JP2003054225A - タイヤ及びその装着方法 - Google Patents

タイヤ及びその装着方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コニシティ、RFV等のタイヤ情報を一時的
に表示させた。 【解決手段】 保護すべきタイヤ1の保護外面Sに、第
1の塗剤10Aを用いて形成されこのタイヤのコニシテ
ィ及び/又はRFVを含むタイヤ情報を表示するマーク
10と、水洗除去可能な第2の塗剤11Aを用いて形成
されかつ前記保護外面Sに塗布されることにより前記マ
ーク10を可視化する前記保護膜11とを設けた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばタイヤを積
み重ねて輸送や保管する際に、タイヤ同士が接触して擦
過傷や色移りなどが生じるのを防止するために一時的に
形成される水洗除去可能な保護膜を利用して、タイヤの
コニシティ、RFV等のタイヤ情報を一時的に表示させ
たタイヤ及びその装着方法に関する。
【0002】
【従来の技術、及び発明が解決しようとする課題】タイ
ヤ業界においては、生産技術の向上、および出荷検査に
よる品質管理の徹底等によって、ユニフォミティーに優
れる高品質のタイヤが生産されるようになってきてい
る。しかし、このような優れたユニフォミティーのタイ
ヤにおいても、車両への装着方法によっては、車両振動
や車両の片流れ等が有効に改善されない場合がある。
【0003】例えば、車両振動に大きな影響を与える要
因の一つとして、RFV(ラジアルフォースバリエーシ
ョン)が知られており、その値が低いほど振動低減のた
めに好ましい。しかしこのRFVは、出荷検査における
合格基準内においてタイヤ毎にばら付いている。従っ
て、例え合格基準内であっても、その上限値に近いタイ
ヤ(RFVが高い)を、車両の前輪側に装着した場合に
は、ハンドルにガタガタというビビリ振動が発生する傾
向となるなど、後輪側にRFVの低いタイヤが装着され
ていたとしても、振動性能は悪いものとなる。
【0004】そこで、このハンドル振動を防止するた
め、出荷検査において測定されるRFVの値の情報をタ
イヤにマーキングし、RFVの低いタイヤを前輪側に選
択して装着することが望まれる。
【0005】又車両の片流れの要因の一つとして、タイ
ヤの回転方向に関係なく常に一定方向に働く横力である
コニシティが知られている。このコニシティは、主にベ
ルト層がオフセットしその周長が左右で異なることによ
って発生すると考えられており、そのばら付きは平均値
0の正規分布に従っている。なおコニシティは、その力
がタイヤのステンシル側(即ちタイヤの製造記号などが
刻印されている側)に向くものを正(+)、反ステンシ
ル側に向くものを負(−)と呼び、又タイヤは、通常、
前記ステンシル側を車両外側に向けて装着される。
【0006】この時、図4に示すように、左右の前輪タ
イヤのうちの一方(図では左)に正(+)のコニシティ
のタイヤt1が、他方(図では右)に負(−)のコニシ
ティのタイヤt2が装着された場合には、各コニシティ
による横力f1、f2が同方向となってしまい、大きな
合力となって片流れの悪化を招くという問題がある。
【0007】従って、この片流れを抑制するため、出荷
検査において測定されるコニシティの正負の情報をタイ
ヤにマーキングし、コニシティが互いに打ち消し合う向
きに左右のタイヤを選択して装着することが望まれる。
【0008】しかし、このような情報は、タイヤを車両
に装着する際に表示されていれば良く、それ以後は、タ
イヤの美観を損ねるなど外観性の低下要因となり、又ユ
ーザーに対して、ユニフォミティの悪いタイヤとの誤っ
た認識を与える恐れもある。従って、前記情報は、タイ
ヤに容易にマーキングでき、しかも輸送や保管時などで
は消えることがなく、かつ車両装着後には、清浄かつ容
易に除去できることが必要である。
【0009】なおタイヤでは、通常、横向きに積み重ね
られて輸送や保管が行われるため、タイヤ同士が接触し
て擦過傷や色移りなどが生じ易い。そのため、特にホワ
イトレタータイヤなどにおいては、前記擦過傷や色移り
などから保護するために、工場出荷時、所謂ブルーペイ
ントと呼ばれる水洗除去可能な水性塗料によって保護膜
を形成することが行われている。
【0010】そこで本発明は、このような保護膜に着目
してなされたものであり、ハンドル振動や片流れを抑制
しうるコニシティやRFV等の情報のマークを具えると
ともに、このマークを、輸送や保管時においても消える
ことなく簡易に形成でき、しかも車両装着後においては
水洗いによって清浄かつ容易に除去可能としたタイヤ及
びその装着方法の提供を目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本願請求項1のタイヤの発明は、保護膜により保護
すべきタイヤの保護外面に、第1の塗剤を用いて形成さ
れこのタイヤのコニシティ及び/又はRFVを含むタイ
ヤ情報を表示するマークと、水洗除去可能な第2の塗剤
を用いて形成されかつ前記保護外面に塗布されることに
より前記マークを可視化する前記保護膜とを設けたこと
を特徴としている。
【0012】又請求項2の発明では、前記第1の塗剤
は、塗布されることにより不可視の前記マークを形成す
る油脂剤であり、かつ第2の塗剤は、前記油脂剤からな
るマークに弾かれることにより該マークを可視化する水
溶性塗剤であることを特徴としている。
【0013】又請求項3の発明では、前記第1の塗剤
は、水溶性塗剤であり、かつ第2の塗剤は、前記第1の
塗剤により形成される前記マークに塗布されることによ
り該マークを可視化する水溶性塗剤であることを特徴と
している。
【0014】又請求項4の発明では、前記第1の塗剤
は、前記第2の塗剤と同組成剤からなり、第2の塗剤は
マークに重ね塗りされることにより該マークを浮き上が
らせ可視化することを特徴としている。
【0015】又請求項5の発明では、前記第2の塗剤
は、水に、ビニル系樹脂と着色剤と界面活性剤とを含有
させてなることを特徴としている。
【0016】又請求項6、7の発明では、請求項1〜4
記載のタイヤを、可視化されたマークによるタイヤ情報
に基づき車両に組込むとともに、水の吹きつけによる保
護膜の除去によってマークを不可視とする、又は水の吹
きつけにより保護膜とともにマークを除去することを特
徴としている。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の一形態を、
図示例とともに説明する。図1は、本発明のタイヤ1
が、乗用車用の空気入りタイヤである場合の側面図を示
しており、タイヤ1は、トレッド部2と、その両端から
半径方向内方にのびるサイドウォール部3と、各サイド
ウォール部3の半径方向内方端に位置するビード部4と
を具える。
【0018】そして、このタイヤ1の保護すべき保護外
面Sに、タイヤ情報を表示するマーク10と、このマー
ク10を可視化させるとともに前記保護外面Sを被覆保
護する保護膜11とを設けている。
【0019】ここで、タイヤでは、横向きに積み重ねら
れて輸送や保管等が行われるため、サイドウォール部3
の外面3S(以下、サイドウォール面3Sという)同士
が接触して擦過傷などが生じ易い。従って、本例では、
前記擦過傷等からサイドウォール面3Sを保護すべく、
このサイドウォール面3Sの略全面に保護膜11を形成
している。即ち本例では、サイドウォール面3Sの略全
面を保護外面Sとした場合を例示している。
【0020】また、例えばホワイトレタータイヤにおい
て、ホワイトレターを、他のタイヤから浸出する老化防
止剤の汚染から保護する場合もある。この時には、ホワ
イトレターの表面及びその周辺領域のみに保護膜11を
形成する、即ちサイドウォール面3Sの一部分を前記保
護外面Sとすることもできる。
【0021】なお前記保護膜11の厚さは、0.1〜
1.0mmが良く、特に0.3〜0.8mmが好まし
い。
【0022】この保護膜11は、図2に示すように、マ
ーク10を形成した後、第2の塗剤11Aを、刷毛やス
プレー等を用いて塗布することにより形成される。この
第2の塗剤11Aとしては、水洗除去可能なものであれ
ば特に規制されないが、本例の如く、溶媒としての水
に、造膜剤としてのビニル系樹脂と着色剤と界面活性剤
とを含有させた有色な水溶性塗剤が、水洗除去性能、保
護膜の強度、取扱い易さ、安全性、コストなどの観点か
ら好適に使用できる。
【0023】なお前記ビニル系樹脂は、ビニル基を有す
るモノマーが重合してなる重合体であり、水に対して高
い溶解性を示すものとして、ポリアクリル酸、ポリアク
リル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリメタクリル
酸メチル、ポリメタクリル酸エチルなどのアクリル変性
ビニル樹脂、及びポリ酢酸ビニルアルコールがあり、こ
れらが好ましく使用できる。
【0024】この時、塗布時における塗剤の垂れ落ちを
防止し、かつ保護膜11を均一かつ充分な厚さで形成す
るために、溶媒(本例では水)100重量部に対する前
記造膜剤(本例ではビニル系樹脂)の固形分の配合量を
10〜20重量部とするのが望ましい。また前記着色剤
は、マーク10を可視化するために配合するが、保護膜
11自体の見栄えを向上させる効果、及び太陽光等から
の保護効果もある。又界面活性剤は、前記造膜剤に対す
る分散剤として機能する他、塗布性を高め、保護外面S
での弾きを生じることなく均一かつ滑らかな塗着を確保
する。
【0025】次に、前記マーク10が表示するタイヤ情
報としては、例えば出荷検査等において測定されるタイ
ヤのコニシティ及び/又はRFVを含んだものである。
RFVの場合には、少なくともその大きさを表示するこ
とが必要であり、表示方法としては、RFVの測定値自
体を表示しても良いが、本例の如く、RFVをn段階
(例えば10段階)に等級分けし、測定値が属する等級
を表示することが好ましい。これは、等級表示の方が作
業者にとって選択の判断が容易であるからである。
【0026】又コニシティの場合には、少なくともその
正負を表示することが必要であり、表示方法としては、
例えば横力が生じる側に、例えば直径5〜30mm程度
の円形マークを形成する。即ちステンシル側にあれば
正、非ステンシル側にあれば負を意味する。或いは、ス
テンシル側に、例えば+(正)或いは−(負)の記号を
形成しても良い。
【0027】このようなマーク10は、第1の塗剤10
Aを用いて形成されるが、この第1の塗剤10Aとし
て、例えば、塗布されることにより不可視の前記マーク
10を形成する油脂剤が好適に使用できる。この時、前
記第2の塗剤11Aは、溶媒として水を使用しているた
め、前記油脂剤からなるマーク10に弾かれ、これによ
って前記マーク10を可視化する。かかる場合には、水
の吹き付けによって、第2の塗剤11A、即ち保護膜1
1が水洗除去され、これによってマーク10は不可視と
なる。
【0028】ここで、前記「不可視」とは、注意しなけ
れば半数を越える人が実質的に視認しえない程度のもの
を意味し、逆に「可視」とは、半数を越える人が実質的
に視認しえる程度のものを意味する。
【0029】なお油脂剤としては、植物油脂、動物油脂
等が好適に使用できるが、常温で液状をなす植物油、特
にオリーブ油などは、低粘度で塗布しやすく、また無臭
に近くかつ低コストであるなど、より好ましく用いう
る。
【0030】又前記第1の塗剤10Aとしては、他に、
前記第2の塗剤11Aと同組成の水溶性塗剤を使用して
も良い。この時には、第2の塗剤11Aは、マーク10
に重ね塗りされることにより、該マーク10を浮き上が
らせて可視化できる。又水の吹き付けによって、第1、
第2の塗剤10A、11Aの双方、即ち保護膜11およ
びマーク10が水洗除去され、これによってマーク10
は不可視となる。
【0031】又前記第1の塗剤10Aとしては、前記第
2の塗剤11Aと異なる組成の水溶性塗剤を使用しても
良い。このような異なる組成のものとして、例えば、着
色剤のみを違えて、色合いを相違させたものなどがあ
り、かかる場合には、マーク10をより明確に可視化し
うる。
【0032】又異なる組成のものとして、第1、第2の
塗剤10A、11Aの一方に、着色剤として、例えば染
料として知られる電子供与性の発色性有機化合物を用
い、かつ他方に、前記電子供与性の発色性有機化合物と
反応して発色させる電子受容性顕色剤を配合させること
もできる。かかる場合には第1、第2の塗剤10A、1
1Aが塗布されることによってマーク10が発色し、可
視化する。
【0033】なお電子供与性の発色性有機化合物とし
て、フタリド系、フルオラン系、スピロピラン系の発色
性化合物があり、又電子受容性顕色剤として、クエン
酸、酒石酸などの有機酸、無機酸等の酸物質がある。
【0034】又前記電子供与性の発色性有機化合物に代
え、ファノールフタレイン等のPH指示薬を用いるとと
もに、電子受容性顕色剤に代えて、前記PH指示薬を発
色させる酸・アルカリ物質を用いても良い。
【0035】次に、前記タイヤ1を用いた車両への装着
方法を説明する。まず前記マーク10がRFVの情報を
表示している場合には、RFVができるだけ小さいタイ
ヤを選択し、このタイヤを車両の前輪側に装着する。こ
れによって、ハンドル振動を抑制でき、限られたタイヤ
の中で振動特性を最も高く発揮させることが可能とな
る。
【0036】又前記マーク10がコニシティの情報を表
示している場合には、図3(A)、(B)に示すよう
に、コニシティが互いに打ち消し合う向きに左右のタイ
ヤを選択して装着する。これによって、横力が打ち消し
合って片流れを抑制でき、車両の直進性を向上できる。
【0037】以上、本発明の特に好ましい実施形態につ
いて詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定される
ことなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【0038】
【発明の効果】叙上の如く本発明のタイヤは、コニシテ
ィやRFV等の情報を表示するマークを、輸送や保管時
においても消えることなく簡易に形成できる。又車両装
着時には、前記マークの情報に基づき車両に組込むこと
ができるため、限られたタイヤの中で、ハンドル振動や
片流れなどの抑止効果を最大限に発揮することができ
る。
【0039】又車両装着後において不要となったマーク
を、水洗いによって清浄かつ容易に除去できるため、タ
イヤの美観を損ねることがなく、しかもユーザーに対し
て、ユニフォミティの悪いタイヤとの誤った認識を与え
る恐れも排除できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のタイヤの側面図である。
【図2】マークおよび保護膜の形成過程を示す線図であ
る。
【図3】(A)、(B)は、コニシティの情報に基づく
タイヤの装着方法を説明する線図である。
【図4】従来技術の問題点を説明する線図である。
【符号の説明】
10 マーク 10A 第1の塗剤 11 保護膜 11A 第2の塗剤 S 保護外面

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】保護膜により保護すべきタイヤの保護外面
    に、 第1の塗剤を用いて形成されこのタイヤのコニシティ及
    び/又はRFVを含むタイヤ情報を表示するマークと、 水洗除去可能な第2の塗剤を用いて形成されかつ前記保
    護外面に塗布されることにより前記マークを可視化する
    前記保護膜とを設けてなるタイヤ。
  2. 【請求項2】前記第1の塗剤は、塗布されることにより
    不可視の前記マークを形成する油脂剤であり、かつ第2
    の塗剤は、前記油脂剤からなるマークに弾かれることに
    より該マークを可視化する水溶性塗剤であることを特徴
    とする請求項1記載のタイヤ。
  3. 【請求項3】前記第1の塗剤は、水溶性塗剤であり、か
    つ第2の塗剤は、前記第1の塗剤により形成される前記
    マークに塗布されることにより該マークを可視化する水
    溶性塗剤であることを特徴とする請求項1記載のタイ
    ヤ。
  4. 【請求項4】前記第1の塗剤は、前記第2の塗剤と同組
    成剤からなり、第2の塗剤はマークに重ね塗りされるこ
    とにより該マークを浮き上がらせ可視化することを特徴
    とする請求項3請求項1記載のタイヤ。
  5. 【請求項5】前記第2の塗剤は、水に、ビニル系樹脂と
    着色剤と界面活性剤とを含有させてなることを特徴とす
    る請求項1〜4のいずれかに記載のタイヤ。
  6. 【請求項6】請求項1又は2記載のタイヤを、可視化さ
    れたマークによるタイヤ情報に基づき車両に組込むとと
    もに、水の吹きつけにより保護膜を除去することによ
    り、マークを不可視とすることを特徴とするタイヤの装
    着方法。
  7. 【請求項7】請求項1、3又は4記載のタイヤを、可視
    化されたマークによるタイヤ情報に基づき車両に組込む
    とともに、水の吹きつけにより保護膜とともにマークを
    除去することを特徴とするタイヤの装着方法。
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