JP2003051217A - 圧縮導体を使用した水密絶縁電線。 - Google Patents
圧縮導体を使用した水密絶縁電線。Info
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Abstract
れた水密型絶縁電線を製造する。 【解決手段】 複数本の導体の撚り合わせ時に、第1の
水密材料として、100%モジュラスが、2.7MPa
以下の樹脂組成物を、それぞれの導体に被覆して、前記
第1の水密材料を撚り線導体間隙に充填した撚り線導体
を、占積率87〜89%となるように圧縮成形し、その
外周に、第2の水密材料として100%モジュラスが
0.6MPa以上、2.7MPa以下の樹脂組成物を被
覆し、その後、その外周に絶縁層を押し出し被覆する。
Description
た水密絶縁電線に関するものである。
線の線引き加工時や撚り線加工時に発生する引っ張り応
力や、曲げ応力が歪みとして残留している。こうした残
留応力と水分との相乗作用により導体の腐食が進行する
現象があり、応力腐食といわれている。この応力腐食
は、ひどい場合には導体が断線するという場合もあり、
応力腐食の防止方法が種々検討されている。
導体を圧縮成形することが提案されている。圧縮成形す
ることにより、残留応力をキャンセルする効果があると
言われている。また、一方、応力腐食に関与する水分が
導体と接触するのを防ぐために、導体に水密材料を被覆
する方法も提案されている。
じ導体の中で、圧縮導体は、外径が小さくでき、電線ケ
ーブルのコンパクト化に役に立つ。しかも、前記の通
り、応力腐食の防止の役にも立つので、圧縮導体を用い
て、これに水密材料を被覆すれば、大変有効な応力腐食
対策になり、かつ、ケーブルのコンパクト化にも役に立
つと考えられる。ところが、複数本の導体の撚り合わせ
時に、水密材料をそれぞれの導体に被覆して、撚り線導
体間隙に水密材料を充填しても、水密材料によっては、
導体を圧縮成形すると、水密材料の防水効果が発揮でき
なくなる場合がある。また、水密材料によっては、導体
への付着が少ない状態に皮剥ぎすることが大変やりにく
くなる場合がある。
なくしたもので、圧縮導体を使用した水密性が良く、か
つ、皮剥ぎ性にも優れた絶縁電線を提供するもので、複
数本の導体の撚り合わせ時に、第1の水密材料として、
100%モジュラスが、2.7MPa以下の樹脂組成物
を、それぞれの導体に被覆して、前記第1の水密材料を
撚り線導体間隙に充填した撚り線導体を、占積率87〜
89%となるように圧縮成形し、その外周に、第2の水
密材料として100%モジュラスが0.6MPa以上、
2.7MPa以下の樹脂組成物を被覆し、その後、その
外周に、絶縁層を押出し被覆することを特徴とする圧縮
導体を使用した水密絶縁電線である。
リマーおよび、それらを相互にブレンドした樹脂組成物
の中から100%モジュラス値をキーとして、第1およ
び第2の水密材料を選定し、それを使用することができ
る。 (1) エチレン酢酸ビニル共重合樹脂(EVA) (2) エチレン−エチルアクリレート共重合樹脂(E
EA) (3) スチレン系熱可塑性エラストマー ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン(SB
S) ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン(SI
S) ポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチ
レン(SEBS) ポリスチレン−ポリ(エチレン−プロピレン)−ポリス
チレン(SEPS) (4) ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(TP
O) オレフィン系ゴム(EPDMやIIR)と ポリオレフィン樹脂
とのブレンド (5) ポリウレタン系熱可塑性エラストマー(TP
U) (6) ポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPE
E) (7) ポリアミド系熱可塑性エラストマー(TPE
A) (8) 1,2ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー
(TPVB) (9) トランスポリイソプレン系熱可塑性エラストマ
ー(TPI) (10) フッ素ゴム系熱可塑性エラストマー (11) アイオノマー系熱可塑性エラストマー (12) ポリマーアロイ系エラストマー (13) 超低密度ポリエチレン
の検討により、架橋ポリエチレン絶縁電線に於いては、
次に述べる通り、水密材料の100%モジュラス、およ
び、ポリエチレンを架橋する際の架橋温度の両方が、水
密性にも皮剥ぎ性にも大きな影響を及ぼすことを見出し
た。すなわち、100%モジュラスが、できるだけ小さ
い樹脂組成物を水密材料として選定すれば、水密性は良
好になる。しかし、100%モジュラスが0.60MP
a未満の樹脂組成物を水密材料として使用すると、水密
材料の導体への付着が少ない状態に皮剥ぎすることが著
しく困難になる。一方、100%モジュラスが2.70
MPaより大きい樹脂組成物を水密材料として選定する
と、水密性を良好にすることが困難である。
として押出し被覆した後、温水または常圧の水蒸気中
で、絶縁層のポリエチレンを架橋させるが、ポリエチレ
ンの架橋温度を90℃以上とするには、大掛かりな設備
が必要であり、ポリエチレンの架橋温度を60℃以下に
したのでは、架橋時間が長くなり過ぎて好ましくない。
また、水密材料は、温度が高くなると粘度が低下し、導
体との密着性が大きくなる。従って、水密性を良くする
には、架橋温度を高くすることが好ましく、皮剥ぎ性を
良くするには架橋温度は低い方が好ましい。
のようなプロセスに従って、シラン架橋方式で、OC−
Wを製造することを考えた。 導体の撚り合わせ時に、第1の水密材料を導体に被
覆して、第1の水密材料を撚り線導体間隙に充填する。 第1の水密材料を撚り線導体間隙に充填した撚り線
導体の外周に、第2の水密材料を被覆し、その後、その
外周に、シラン架橋剤入りのポリエチレンを押出し被覆
する。 温水または常圧(1気圧以下)の水蒸気中で、前記押
出し被覆したポリエチレンを架橋させる。上記のよう
に、同じOC−Wに於いて、撚り線導体間隙と撚り線導
体の外周とに異なる樹脂組成物を水密材料として使用す
ることで、水密材料の選択の幅をひろげることができ、
水密性に優れ、かつ、皮剥ぎ性にも優れたOC−Wをシ
ラン架橋方式で容易に製造することができる。また、こ
のように撚り線導体間隙と撚り線導体の外周とに異なる
樹脂組成物を水密材料として使用するという考え方は、
非架橋の絶縁電線にも応用することができる。
プル1〜サンプル8のEEAを、水密材料として使用
し、それぞれの水密材料を撚り線導体の外から圧入し、
シラン架橋剤入りのポリエチレンを押出し被覆し、次い
で、架橋温度を数種類変化させて、押出し被覆したそれ
ぞれのポリエチレンをシラン架橋させ、OC−Wを試作
した。そして、試作したそれぞれの電線の水密性、皮剥
ぎ性を調査した。
に述べるような方法、および判定基準を用いて評価し
た。 [水密性]長さ2mの電線の片端に、差圧が0.01気
圧になるように水圧を掛け、24時間後の水の進入長を
測定し、時間当たりの水の進入速度(mm/H)を求
め、これを水密性の指標とし、判定の基準を次の通りと
した。( ◎、○、△は実用可能。×は実用できな
い。) 水密性 水の進入速度 A判定( ◎ ) : 1mm/H未満 B判定( ○ ) : 1〜10mm/H C判定( △ ) : 10〜100mm/H D判定 ( × ): 100mm/H以上
に固定された1対のバイスに、長さ約1mの電線の両端
を挟んで、挟まれた電線の中央部を約40cm、専用皮
剥工具(GSピラ−古川電機製)で皮剥ぎする。尚、皮
剥ぎ時の周囲温度は常温(25±5℃)とする。そし
て、皮剥ぎ性の判定基準は次の通りとした。 ( ◎、○、△は実用可能。×は実用できない。) A判定( ◎ ):撚り線導体を構成する複数の導体素線
の表面に水密材料の付着がない場合。 B判定( ○ ):水密材料の残りはあるが、導体素線の
間のみで、撚り線導体の外接円周を超えて残っていない
場合。 C判定( △ ):水密材料が導体素線の撚り溝に、撚り
線導体の外接円周を超えて残っている場合。 D判定( × ):水密材料が、皮剥ぎ両端部に連続し
て、つながって残っている場合。 E判定( × ):水密材料が、撚り線導体の円周方向に
幅3mm以上で、残っている場合。
果を表2に示す。表2に於いて、サンプルの欄の( )
内に示した数字は、それぞれのサンプルの100%モジ
ュラスの値(MPa)を示す。また、水密材料の融点と
架橋温度との温度差は、水密材料の融点から、ポリエチ
レンの架橋温度を引いて求めたもので、プラスは、水密
材料の融点より低い温度でポリエチレンをシラン架橋さ
せることを示し、マイナスは、水密材料の融点より高い
温度でポリエチレンをシラン架橋させることを示してい
る。また、サンプルの100%モジュラスの値(MP
a)をX軸にとり、水密材料の融点と架橋温度との温度
差をY軸にとって、表2の結果のそれぞれをグラフ上に
示すと図1のようになる。グラフ上の各座標に於いて、
当該座標のX値を水密材料の100%モジュラスの値、
Y値を温度差(水密材料の融点−架橋温度)としたとき
の水密性、皮剥ぎ性を調査した結果を示し、上段は水密
性の評価結果、下段は皮剥ぎ性の評価結果を示す。
の評価結果から、次のことがわかる。100%モジュラ
スが、それぞれ、3.05、3.28MPaのサンプル
7、または、サンプル8を水密材料として使用した場合
は、いずれも、水密性が実用可能なレベルに達しなかっ
たが、100%モジュラスが0.61〜2.63MPa
のサンプル1〜サンプル6のいずれかを水密材料として
使用した場合は、いずれも、水密性が良好である。そし
て、100%モジュラスが小さいものほど水密性がより
良好な傾向が認められる。しかし、皮剥ぎ性は、100
%モジュラスが大きいほど、より良好な傾向が認められ
る。そして、表2に於いて、水密性、皮剥ぎ性が共にA
判定( ◎ )になっているのは、サンプル3を用いて、
温度差(前記の選ばれた水密材料の融点−架橋温度)が
12℃という温度条件で、ポリエチレンをシラン架橋さ
せる場合のみである。このように、撚り線導体間隙と撚
り線導体の外周とに同じ樹脂組成物を水密材料として使
用するとすると、水密性、皮剥ぎ性が共に充分に良好な
OC−Wを製造するための条件の幅は、大変狭いものと
なる。
て、撚り線導体間隙と撚り線導体の外周とに異なる樹脂
組成物を水密材料として使用することにすれば、撚り線
導体の内層間隙に充填する第1の水密材料は、100%
モジュラスが2.63MPa以下という条件で、水密性
を重視して、比較的幅広い範囲から選ぶことができる。
そして、100%モジュラスが0.6MPa以上、2.
7MPa以下の樹脂組成物の中から、皮剥ぎ性を重視し
て、第2の水密材料を選んで、これを撚り線導体の外周
に、被覆し、その後、その外周に、シラン架橋剤入りの
ポリエチレンを押出し被覆し、温度差(前記の選ばれた
第2の水密材料の融点−架橋温度)がゼロ℃以上、30
℃以下で、かつ、ポリエチレンのシラン架橋温度が60
℃以上の条件で、前記押出し被覆したポリエチレンをシ
ラン架橋させることにより、水密性が特に優れていて、
かつ、皮剥ぎ性にも優れたOC−Wを製造することがで
きる。
の樹脂組成物についても、100%モジュラスが、2.
7MPa以下の樹脂組成物を第1の水密材料として選
び、導体の撚り合わせ時に前記第1の水密材料を導体に
被覆することにより、前記第1の水密材料を撚り線導体
間隙に充填し、前記第1の水密材料が撚り線導体間隙に
充填された撚り線導体の外周に、100%モジュラスが
0.6MPa以上、2.7MPa以下の樹脂組成物を第
2の水密材料として選んで、これを被覆し、その後、そ
の外周に、シラン架橋剤入りのポリエチレンを押出し被
覆し、前記の選ばれた第2の水密材料の融点以上で、か
つ、60℃以上90℃以下の温度条件で、前記押出し被
覆したポリエチレンをシラン架橋させれば、水密性が特
に優れていて、かつ、皮剥ぎ性にも優れたOC−Wを製
造することができる。
ー(SIS、SEBS、TPO、TPU)は、導体との接
着に対して、架橋温度の影響が少ないので、100%モ
ジュラスが前記の範囲のものを選んで第2の水密材料と
すれば、EEAよりも広い範囲の架橋温度で、水密性が
良く、かつ、皮剥ぎ性にも優れたOC−Wを製造するこ
とができるので好ましい。
討により、シラン架橋ポリエチレン絶縁電線に於いて、
良好な性能を示した水密材料を用いて、圧縮導体の絶縁
電線の場合の水密性の調査をした。撚り合わせると導体
断面積が 80mm2 になる導体について、複数の素
線に、それぞれ水密材料(EEA A709 または A
713)を被覆して撚り合わせ、導体の占積率が変わる
ように圧縮成形し、その外周に、前記と同じ水密材料を
被覆した後、絶縁被覆をした電線を試作し、第1ステッ
プでの方法と同様の方法で、水密性の検討を行った。水
密材料として EEA A709を使用した場合の結果を
表3に、EEA A713を使用した場合の結果を表4
に示した。
積率が86%では、導体抵抗、導体引っ張り強さの両方
の規格を満足せず、導体占積率は87%以上であること
が必要である。導体占積率87〜89%であれば、シラ
ン架橋ポリエチレン絶縁の場合も、非架橋のサーモプラ
スチック絶縁の場合も、水密性は実用上問題ないレベル
であるが、導体占積率が90%だと、水密性がD判定に
なる。導体占積率が90%以上になると、水密材料が入
るスペースが少なくなり、水密性の効果を充分に発揮で
きるだけの量が確保できないためと考えられる。以上よ
り、圧縮導体であって、水密材料による水密性の効果を
発揮させるには、ステップ1の検討で見出した特定の水
密材料を使用し、かつ、導体占積率を87〜89%とす
ることが必要なことがわかった。
合に用いる圧縮前の導体素線の外径は、撚り線導体の断
面積により、それぞれ異なっている。38mm2〜15
0mm2 の範囲で、導体占積率を87〜89%とする
場合に用いる圧縮前の導体素線の外径を実績から求めた
結果を表5に示す。
水密材料として、100%モジュラスが、2.7MPa
以下の樹脂組成物を、それぞれの導体に被覆して、前記
第1の水密材料を撚り線導体間隙に充填した撚り線導体
を、占積率87〜89%となるように圧縮成形し、その
外周に、第2の水密材料として100%モジュラスが
0.6MPa以上、2.7MPa以下の樹脂組成物を被
覆し、その後、その外周に絶縁層を押し出し被覆するこ
とを特徴とする本発明の水密絶縁電線は、圧縮導体を使
用することで、導体の残留応力がキャンセルされ、か
つ、水密性が良いので、応力腐食を防止できる。しか
も、皮剥ぎ性にも優れていて、端末加工がやりやすい。
そして、圧縮導体であり、外径が小さくでき、電線ケー
ブルのコンパクト化に役に立つので、工業的に大変利用
価値が高い。
について、水密材料の融点と架橋温度との温度差に於け
る水密性/皮剥ぎ性を示す。
Claims (4)
- 【請求項1】 複数本の導体の撚り合わせ時に、第1の
水密材料として、100%モジュラスが、2.7MPa
以下の樹脂組成物を、それぞれの導体に被覆して、前記
第1の水密材料を撚り線導体間隙に充填した撚り線導体
を、占積率87〜89%となるように圧縮成形し、その
外周に、第2の水密材料として100%モジュラスが
0.6MPa以上、2.7MPa以下の樹脂組成物を被
覆し、その後、その外周に絶縁層を押し出し被覆するこ
とを特徴とする圧縮導体を使用した水密絶縁電線。 - 【請求項2】 複数本の導体の撚り合わせ時に、第1の
水密材料として、100%モジュラスが、2.7MPa
以下の樹脂組成物を、それぞれの導体に被覆して、前記
第1の水密材料を撚り線導体間隙に充填した撚り線導体
を、占積率87〜89%となるように圧縮成形し、その
外周に、第2の水密材料として100%モジュラスが
0.6MPa以上、2.7MPa以下の樹脂組成物を被
覆し、その後、その外周に、シラン架橋剤入りのポリエ
チレンを押出し被覆し、60℃〜90℃の温度範囲で、
かつ、前記の第2の水密材料の融点以上の温度で、前記
押出し被覆したポリエチレンをシラン架橋させることを
特徴とする圧縮導体を使用した水密絶縁電線。 - 【請求項3】 第2の水密材料が、エチレン−エチルア
クリレート共重合樹脂であることを特徴とする請求項1
または請求項2に記載の圧縮導体を使用した水密絶縁電
線。 - 【請求項4】 圧縮導体の圧縮前の導体素線径が下記の
通りであることを特徴とする請求項1ないし請求項3の
いずれかに記載の圧縮導体を使用した水密絶縁電線。 導体断面積が 38mm2 の場合:2.66〜2.74
mm 導体断面積が 60mm2 の場合:2.03〜2.10
mm 導体断面積が 80mm2 の場合:2.34〜2.41
mm 導体断面積が 100mm2 の場合:2.61〜2.6
9mm 導体断面積が 150mm2 の場合:3.20〜3.3
0
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001237377A JP3692315B2 (ja) | 2001-08-06 | 2001-08-06 | 圧縮導体を使用した水密絶縁電線。 |
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JP3692315B2 JP3692315B2 (ja) | 2005-09-07 |
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- 2001-08-06 JP JP2001237377A patent/JP3692315B2/ja not_active Expired - Lifetime
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