JP2003048968A - 新規なポリヒドロキシアルカノエート及びその製造方法、並びに該ポリヒドロキシアルカノエートを含有する荷電制御剤、該荷電制御剤を含むトナー、該トナーを用いた画像形成方法と画像形成装置 - Google Patents

新規なポリヒドロキシアルカノエート及びその製造方法、並びに該ポリヒドロキシアルカノエートを含有する荷電制御剤、該荷電制御剤を含むトナー、該トナーを用いた画像形成方法と画像形成装置

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JP2003048968A
JP2003048968A JP2002125613A JP2002125613A JP2003048968A JP 2003048968 A JP2003048968 A JP 2003048968A JP 2002125613 A JP2002125613 A JP 2002125613A JP 2002125613 A JP2002125613 A JP 2002125613A JP 2003048968 A JP2003048968 A JP 2003048968A
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剛士 今村
Etsuko Sugawa
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Tetsuya Yano
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 微生物により産生される3−ヒドロキシ−ω
−(2−チエニルスルファニル)アルカン酸ユニットを
主に含むポリヒドロキシアルカノエートを中間原料とし
て、そのスルフィド型イオウ(−S−)部分を、他のイ
オウを含む基へと変換することで得られる新規な構造の
PHA、ならびに、その製造方法の提供。 【解決手段】 原料のω−(2−チエニルスルファニ
ル)アルカン酸から、微生物が産生する3−ヒドロキシ
−ω−(2−チエニルスルファニル)アルカン酸ユニッ
トを主に含むPHAを、次亜塩素酸ナトリウムにより処
理し、スルホン構造(−SO2−)へ変換したユニッ
ト、加えて、その硫黄原子に隣接するメチレン基上にク
ロロ基が置換された特異な構造のユニットをも含む新規
な構造のPHAを得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な構成ユニッ
トを含むポリヒドロキシアルカノエート(PHA)と、
その製造方法に関する。より具体的には、側鎖末端に、
2−チエニルスルフィニル基並びに2−チエニルスルホ
ニル基を置換基として有する3−ヒドロキシアルカン酸
ユニットを含む新規なPHAを、PHA生産能を有する
微生物を培養して、対応する2−チエニルスルファニル
基を置換基として有する3−ヒドロキシアルカン酸ユニ
ットを含むPHAを生産し体内に蓄積させ、このPHA
中のスルフィド型イオウを選択的に酸化処理して、スル
ホニル基ならびにスルフィニル基に変換して、生分解性
の当該PHAを製造する方法に関する。
【0002】更には、本発明は、前記PHAの用途の発
明にも関し、より具体的には、前記PHAの荷電制御剤
への利用用途の発明として、電子写真法、静電記録法、
磁気記録法等を利用した記録方法に用いられる荷電制御
剤、トナーバインダー、静電荷像現像トナー、該トナー
を使用する画像形成方法及び画像形成装置に関する。特
には、予め静電潜像担持体(以下、単に像担持体と呼
ぶ)上にトナー像を形成後、被転写材上に転写させて画
像を形成する、複写機、プリンター、ファックス等の電
子写真、静電記録、静電印刷に用いられる荷電制御剤、
トナーバインダー、静電荷像現像トナー、画像形成方法
及び画像形成装置に関する。更に詳しくは、負帯電性の
電荷制御剤、それを利用するトナーバインダー、静電荷
像現像トナー、該トナーを使用する画像形成方法及び画
像形成装置に関する。
【0003】
【従来の技術】これまで、多くの微生物がポリ−3−ヒ
ドロキシ酪酸(PHB)、あるいはその他のPHAを生
産し、菌体内に蓄積することが報告されてきた(「生分
解性プラスチックハンドブック」、生分解性プラスチッ
ク研究会編、(株)エヌ・ティー・エス、P178−1
97(1995))。微生物が産生するこれらPHA
は、従来のプラスチックと同様に、溶融加工等により各
種製品の生産に利用することができる。さらに、微生物
が産生するPHAは、生分解性であるがゆえに、自然界
で微生物により完全分解されるという利点を有してお
り、従来の多くの合成高分子化合物のように自然環境に
残留して汚染を引き起こすことがない。また、生体適合
性にも優れており、医療用軟質部材等としての応用も期
待されている。
【0004】このような微生物産生PHAは、その生産
に用いる微生物の種類や培地組成、培養条件等により、
様々な組成や構造のものとなり得ることが知られてお
り、これまで主に、PHAの物性の改良という観点か
ら、このような組成や構造の制御に関する研究がなされ
てきた。
【0005】[1]まず、3−ヒドロキシ酪酸(以下、
3HBと略す)をはじめとする比較的簡単な構造のモノ
マーユニットを重合させたPHAの生合成の報告例とし
て、次の文献が挙げられる。
【0006】(a)3HBと3−ヒドロキシ吉草酸(以
下、3HVと略す)を、モノマーユニットとして含むP
HA 特公平6−15604号公報、特公平7−14352号
公報、特公平8−19227号公報、ならびに特開平5
−7492号公報 (b)3HBと3−ヒドロキシヘキサン酸(以下、3H
Hxと略す)を、モノマーユニットとして含むPHA 特開平5−93049号公報、及び特開平7−2650
65号公報 (c)3HBと4−ヒドロキシ酪酸(以下、4HBと略
す)を、モノマーユニットとして含むPHA 特開平9−191893号公報 (d)炭素数6〜12の3−ヒドロキシアルカノエート
を、モノマーユニットとして含むPHA 特許公報第2642937号 (e)単一の脂肪酸を炭素源としたPHA生合成;生産
物は、前記(d)とほぼ同様のPHA Appl. Environ. Microbiol, 58(2), 746 (1992) 等が挙げられる。これらの報告例は、いずれも微生物に
よる炭化水素等のβ酸化、あるいは、糖からの脂肪酸合
成により合成された、いずれも側鎖にアルキル基を有す
るモノマーユニットからなるPHA、即ち、「usual P
HA」の生産例である。
【0007】[2]しかし、微生物産生PHAのより広
範囲な応用、例えば、機能性ポリマーとしての応用を図
る上では、アルキル基以外の置換基が側鎖に導入された
PHA、即ち、「unusual PHA」が極めて有用である
ことが期待される。この目的から、有望な置換基の例と
して、芳香環を含む基(フェニル基、フェノキシ基、ベ
ンゾイル基など)、不飽和炭化水素基、エステル基、ア
リル基、シアノ基、ハロゲン化炭化水素基、エポキシド
などが、側鎖上に存在するものが挙げられる。これらの
中でも、特に、側鎖上に芳香環を有するPHAの研究が
盛んになされている。側鎖上に芳香環を有するPHAの
生合成の報告例として、下記するものなどを挙げること
ができる。
【0008】(a)フェニル基、もしくはその部分置換
体(置換フェニル基など)を含むPHA Makromol. Chem., 191, 1957-1965 (1990)及びMacromol
ecules, 24, 5256-5260 (1991)には、シュードモナス
オレオボランス(Pseudomonas oleovorans)は、5−フ
ェニル吉草酸を基質として、3−ヒドロキシ−5−フェ
ニル吉草酸をユニットとして含むPHAを生産すること
が報告されている。
【0009】Macromolecules, 29, 1762-1766 (1996)に
は、シュードモナス オレオボランス(Pseudomonas ole
ovorans)は、5−(p−トリル)吉草酸を基質とし
て、3−ヒドロキシ−5−(p−トリル)吉草酸をユニ
ットとして含むPHAを生産することが報告されてい
る。
【0010】Macromolecules, 32, 2889-2895 (1999)に
は、シュードモナス オレオボランス(Pseudomonas ole
ovorans)は、5−(2,4−ジニトロフェニル)吉草
酸を基質として、3−ヒドロキシ−5−(2,4−ジニ
トロフェニル)吉草酸ならびに3−ヒドロキシ−5−
(p−ニトロフェニル)吉草酸をユニットとして含むP
HAを生産することが報告されている。
【0011】(b)フェノキシ基もしくはその部分置換
体(置換フェノキシ基等)を含むPHA Macromol. Ch
em. Phys., 195, 1665-1672 (1994)には、シュードモナ
スオレオボランス(Pseudomonas oleovorans)には、1
1−フェノキシウンデカン酸を基質として、3−ヒドロ
キシ−5−フェノキシ吉草酸と3−ヒドロキシ−9−フ
ェノキシノナン酸ユニットを含むPHAコポリマーを生
産することが報告されている。
【0012】特許公報第2989175号には、3−ヒ
ドロキシ−5−(モノフルオロフェノキシ)ペンタノエ
ート(3H5(MFP)P)ユニット、あるいは3−ヒ
ドロキシ、5−(ジフルオロフェノキシ)ペンタノエー
ト(3H5(DFP)P)ユニットからなるホモポリマ
ー、少なくとも3H5(MFP)Pユニットあるいは3H
5(DFP)Pユニットを含有するコポリマー、加えて、
これらのポリマーを生合成するシュードモナス・プチダ
の新規菌株、ならびに、シュードモナス属を用いた前記
のポリマーの製造法に関する発明が開示されている。か
かる特許公報は、その発明がもたらす効果として、置換
基をもつ長鎖脂肪酸を資化して、側鎖末端に、1又は2
個のフッ素原子が置換したフェノキシ基を持つPHAポ
リマーを生合成することができ、さらには、生産物のP
HAは、融点が高く、良い加工性を保持しながら、立体
規則性、撥水性を与えることができるとしている。
【0013】この環上にフッ素置換がなされたフェノキ
シ基の部分置換体以外にも、環上にシアノ基やニトロ基
が置換する部分置換体の研究もなされている。
【0014】Can. J. Microbiol., 41, 32-43 (1995)及
びPolymer International, 39 ,205-213 (1996)には、
シュードモナス オレオボランス(Pseudomonas oleovor
ans)ATCC 29347 株及びシュードモナス プチダ(Pseud
omonas putida) KT 2442株を用いて、オクタン酸と6
−(p−シアノフェノキシ)ヘキサン酸または6−(p
−ニトロフェノキシ)ヘキサン酸を基質として、3−ヒ
ドロキシ−6−(p−シアノフェノキシ)ヘキサン酸あ
るいは3−ヒドロキシ−6−(p−ニトロフェノキシ)
ヘキサン酸をモノマーユニットとして含むPHAの生産
が報告されている。
【0015】これらの報告例は、側鎖がアルキル基であ
る一般的なPHAとは異なり、いずれもPHAの側鎖上
に芳香環を有しており、それに由来する物性を有するポ
リマーを得る上で有益である。
【0016】[3]また、新たなカテゴリーとして、単
に物性の変化に留まらず、側鎖に適当な官能基を有する
PHAを生産し、その官能基を利用して新たな機能を付
加したPHAの創製を目的とする研究も行われている。
【0017】例えば、Macromolecules, 31, 1480-1486
(1996)及び、Journal of Polymer Science: Part A:Poly
mer Chemistry, 36 ,2381-2387 (1998)などでは、側鎖
の末端にビニル基を持つユニットを含むPHAを生合成
した後、酸化剤によりエポキシ化し、側鎖末端に反応性
の高いエポキシ基を有するPHAを合成できることが報
告されている。
【0018】またビニル基以外にも、高い反応性が期待
されるスルフィド型イオウ(−S−)を有するユニット
を含むPHAの生合成例として、Macromolecules, 32,
8315-8318 (1999) には、シュードモナス プチダ(Pseu
domonas putida)27N01株は、11−(フェニルスルフ
ァニル)吉草酸を基質とし、3−ヒドロキシ−5−(フ
ェニルスルファニル)吉草酸と3−ヒドロキシ−7−
(フェニルスルファニル)ヘプタン酸ユニットを含むP
HAコポリマーを生産することが報告されている。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】これら側鎖上に官能基
を有するPHAのうち、例えば、3−ヒドロキシ−ω−
(フェニルスルファニル)アルカン酸ユニットを含むP
HAに注目すると、そのスルフィド型イオウ(−S−)
は反応性が高く、機能性PHAを開発していく際、スル
フィド型イオウ(−S−)を有するPHAの種々の誘導
体等に関して、今後益々研究がなされていくものと予想
される。なお、この様な、芳香環とスルフィド型イオウ
(−S−)とを有するPHAの生合成に関しては、上に
挙げた1例の報告があるに過ぎない。すなわち、機能性
PHAを開発していく上では、スルフィド型イオウ(−
S−)を有するPHAから誘導される、種々の新規な誘
導体PHAの創製が望まれている。
【0020】本発明は前記の課題を解決するもので、本
発明の目的は、側鎖中にスルフィド型イオウ(−S−)
を有するユニットを含むPHAに代えて、かかるPHA
を更なる広範囲な用途に対応可能なものとできる、具体
的には、PHAの物理化学的性状を更に改善しうる新た
な構造のPHA、およびその製造方法を提供することに
ある。より具体的には、本発明の目的は、微生物により
産生される3−ヒドロキシ−ω−(2−チエニルスルフ
ァニル)アルカン酸ユニットを主に含むPHAを中間原
料として、そのスルフィド型イオウ(−S−)部分を、
他のイオウを含む基へと変換し、さらに、側鎖のメチレ
ン部分に化学修飾を加え、その化学構造をも変化せしめ
ることで得られる新規な構造のPHA、ならびに、その
製造方法を提供することにある。
【0021】加えて、本発明の更なる目的は、前記の新
規な構造のPHAの示す特性を利用する新規な用途、な
らびに、かかる新規な用途に付随した、前記の新規な構
造のPHAを使用する方法を提供することにある。より
具体的には、本発明の目的は、下記する電子写真方式の
画像形成方法において、トナー粒子中に含有させて、負
帯電性の荷電制御剤としての機能を発揮するに適する新
規な構造のPHAを提供することにある。
【0022】電子写真方式の画像形成方法は、現在まで
に多数の方法が提案されているが、一般的には、光導電
性物質を利用し、種々の手段によって像担持体(感光
体)上に電気的潜像を形成し、次いで該潜像をトナーで
現像して可視像とし、必要に応じて紙等の被転写材にト
ナー像を転写した後、熱及び/または圧力等により被転
写材上にトナー画像を定着して複写物を得るものであ
る。電気的潜像を可視化する方法としては、カスケード
現像法、磁気ブラシ現像法、加圧現像方法等が知られて
いる。更には、磁性トナーと中心に磁極を配した回転現
像スリーブを用いて、現像スリーブ上から感光体上へと
磁性トナーを磁界にて飛翔させる方法も用いられてい
る。
【0023】静電潜像を現像する際に用いられる現像方
式には、トナーとキャリアとからなる二成分系現像剤を
使用する二成分現像方式と、キャリアを使用しないトナ
ーのみからなる一成分系現像剤を用いる一成分現像方式
とがある。
【0024】ここで、一般にトナーと称される着色微粒
子は、バインダー樹脂と着色材とを必須成分とし、その
他必要に応じ磁性粉等から構成されている。トナーに電
荷を付与する方法としては、荷電制御剤を用いることな
くバインダー樹脂そのものの帯電特性を利用することも
できるが、それでは帯電の経時安定性、耐湿性が劣り良
好な画質を得ることが出来ない。従って通常トナーの電
荷保持、荷電制御の目的で荷電制御剤が加えられる。
【0025】今日、当該技術分野で知られている公知の
荷電制御剤としては、例えば、負摩擦帯電性としては、
アゾ染料金属錯体、芳香族ジカルボン酸の金属錯体、サ
リチル酸誘導体の金属錯体等がある。また、正荷電制御
剤としてはニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染
料、各種4級アンモニウム塩、ジブチル錫オキサイド等
の有機スズ化合物等が知られている。
【0026】近年、環境保護の観点からも、より一層の
廃棄物の削減と環境汚染の防止が世界的に望まれてい
る。このような課題は、電子写真の分野においても同様
であり、イメージング装置の広い普及にともない、印刷
された用紙、使用済みの廃トナー、複写紙の廃棄量が年
ごとに増大しており、地球環境の保全の見地から、より
一層の廃棄物の削減と環境に配慮した物質の使用が望ま
れている。
【0027】上記の課題を解決する手段として、無色で
重金属を含まない化合物や高分子系の荷電制御剤が検討
されている。このような例として、USP448002
1、USP4442189、USP4925765、特
開昭60−108861号公報、特開昭61−3149
60−108861号公報、特開昭63−389586
0−108861号公報、特開昭63−8856460
−108861号公報などに提案されている化合物が挙
げられるが、これらの化合物は荷電制御剤としての十分
な性能を有しておらず、帯電量、帯電の立ち上がり特
性、経時安定性、環境安定性等に課題がある。従来、ト
ナー粒子に負帯電性を発揮させる場合に利用される高分
子荷電制御剤として、スチレン及び/またはα−メチル
スチレンと、スルホン酸基を有するアルキル(メタ)ア
クリレートエステルあるいはN−アルキル(メタ)アク
リレートアミドとの共重合体(特開平7−72658号
公報、特開平8−179564号公報、特許21144
10号公報、特許2623684号公報、特許2807
795号公報)が用いられる事例が多い。この(メタ)
アクリレート型ユニットを含む共重合体材料は、無色で
ある点では有利であるが、目的とする帯電量を得るため
には大量の添加が必要である。但し、スルホン酸基自体
はアニオン性官能基であり、前記共重合体材料は、(メ
タ)アクリレート型ユニットに起因する吸湿性を有して
いるため、トナー粒子の耐湿性という観点では、問題を
有する。更に、(メタ)アクリレート型ユニットの存在
は、基本的には非イオン性である結着樹脂(バインダ
ー)との相溶性にも影響を与えることも考えられる。
【0028】環境保護の観点から、微生物等の作用によ
り経時的に分解可能な樹脂、すなわち、生分解性の樹脂
の開発が進められており、例えば、多くの微生物がポリ
エステル構造を有する生分解性樹脂(PHA)を生産
し、菌体内に蓄積することが報告されているのは上記に
示した通りである。このようなPHAは、その生産に用
いる微生物の種類や培地組成、培養条件等により、様々
な組成や構造のものとなり得ることが知られており、こ
れまで主に、物性の改良という観点から、産生されるP
HAの組成や構造の制御に関する研究がなされている。
【0029】電子写真の分野においても、特にトナーの
製造においてバインダー樹脂への生分解性樹脂の応用が
提案されている。例えば、USP5004664には生
分解性樹脂、特にはポリヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキ
シ吉草酸、これらの共重合体あるいはブレンド体をその
組成物としてなるトナーが開示されている。また、特開
平6−289644号公報には、少なくともバインダー
樹脂が、植物系ワックスと、生分解性樹脂(例えば、微
生物生産のポリエステル、植物−または動物−由来の天
然高分子材料等)とを含有し、前記植物系ワックスが、
前記バインダー樹脂中に5〜50質量%の比率で添加さ
れていることを特徴とする、特に熱ロール定着用の電子
写真用トナーが開示されている。また、特開平7−12
0975号公報には、乳酸系樹脂をバインダー樹脂とし
て含有することを特徴とする電子写真用トナーが開示さ
れている。さらに、特開平9−274335号公報に
は、乳酸及び3官能以上のオキシカルボン酸を含有する
組成物を脱水重縮合して得られたポリエステル樹脂及び
着色剤を含有することを特徴とする静電荷像現像用トナ
ーが開示されている。また、特開平8−262796号
公報には、バインダー樹脂及び着色剤を含む電子写真用
トナーであって、前記バインダー樹脂が生分解性樹脂
(例えば、脂肪族ポリエステル樹脂等)よりなり、そし
て前記着色剤が非水溶性色素よりなることを特徴とする
電子写真用トナーが開示されている。さらに、特開平9
−281746号公報には、ポリ乳酸を3官能以上の多
価イソシアナートにより架橋して得られるウレタン化ポ
リエステル樹脂及び着色剤を含有することを特徴とする
静電荷像現像用トナーが開示されている。そのバインダ
ー樹脂として生分解性樹脂を使用している、これら電子
写真用トナーでは、いずれも、生分解性樹脂の使用は、
環境の保全等に寄与する効果があると理解される。
【0030】上記の生分解性樹脂をバインダー樹脂とし
て使用している電子写真用トナーのいずれも、負帯電性
の荷電制御剤を利用しており、かかる荷電制御剤に由来
する、クロム、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、鉄など
の重金属が含まれている。一方、荷電制御剤に生分解性
樹脂を使用している例の報告は未だ知られておらず、更
なる環境への配慮した材料の提供が望まれている。
【0031】本発明は前記の電子写真分野における課題
をも解決するもので、本発明の目的一つは、側鎖中にス
ルフィド型イオウ(−S−)を有するユニットを含むP
HAに代えて、かかるPHAを荷電制御剤としての用途
にも対応可能なものとできる、具体的には、生分解性樹
脂の特徴を保持しつつ、負帯電性の荷電制御剤に適合す
るように、PHAの物理化学的性状を更に改善しうる新
たな構造のPHA、およびその製造方法を提供すること
にある。より具体的には、本発明の目的は、微生物によ
り産生される3−ヒドロキシ−ω−(2−チエニルスル
ファニル)アルカン酸ユニットを主に含むPHAを中間
原料として、そのスルフィド型イオウ(−S−)部分
を、他のイオウを含む基へと変換し、さらに、側鎖のメ
チレン部分に化学修飾を加え、その化学構造をも変化せ
しめることで、負帯電性の荷電制御機能を付与された新
規な構造のPHA、ならびに、その製造方法を提供する
ことにある。加えて、本発明の更なる目的は、前記の新
規な構造のPHAの示す荷電制御機能を利用する新規な
用途、すなわち、静電荷像現像用トナーに利用される新
規な荷電制御剤、ならびに、かかる新規な荷電制御剤を
含有するトナー粒子を提供することにある。換言するな
らば、本発明の更なる目的は、負帯電性の荷電制御機能
を付与された新規な構造のPHAを利用して、機能面に
おいては無着色で金属類を含まず、かつ高性能(高帯電
量、帯電の立ち上がりが早い、経時安定性に優れる、環
境安定性が高い、の少なくともいずれか一つ)で、トナ
ーを構成するバインダー樹脂に対する分散性の改良され
た負帯電性の荷電制御剤、該荷電制御剤を含有してなる
トナーバインダー、該荷電制御剤を含有してなる静電荷
像現像トナー、さらには該静電荷像現像トナーを用いた
画像形成方法を提供することにある。
【0032】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく、鋭意研究を進めたところ、微生物によ
り産生される3−ヒドロキシ−ω−(2−チエニルスル
ファニル)アルカン酸ユニットを主に含むPHAを中間
原料として、そのスルフィド型イオウ(−S−)部分を
酸化するため、次亜塩素酸ナトリウムを利用して酸化処
理を施すと、スルフィニル基(−SO−)並びにスルホニ
ル基(−SO2−)へと変換でき、得られるPHAは、
新規な構造のPHAであり、PHAの物理化学的性状を
更に改善し得るものとなることを見出した。また、かか
るPHAにおいては、前記スルフィニル基(−SO−)並
びにスルホニル基(−SO2−)へと変換のみならず、
このスルホニル基(−SO2−)に隣接する炭素上への
クロロ置換が生じたクロロ置換体ユニット、あるいは、
部分的に酸化が進んだスルフィニル基(−SO−)を有
し、その隣接する炭素上へのクロロ置換が生じたクロロ
置換体ユニットも、副次的な構成ユニットとして含有す
ることを見出した。加えて、本発明者らは、中間原料と
する3−ヒドロキシ−ω−(2−チエニルスルファニ
ル)アルカン酸ユニットを主に含むPHAを、原料とす
るω−(2−チエニルスルファニル)アルカン酸から、
微生物に産生させた後、一旦、溶媒抽出により分離・精
製する工程を経て、回収した後、前記次亜塩素酸ナトリ
ウムを利用する酸化処理を行う代わりに、微生物細胞に
対して、直接次亜塩素酸ナトリウムを利用する処理を施
す、あるいは、微生物細胞内に蓄積されるPHAを細胞
を破砕して分離を図った後、次亜塩素酸ナトリウムを利
用して処理することによっても、目的とするスルフィニ
ル基(−SO−)並びにスルホニル基(−SO2−)を有
するユニットを主に含むPHAの製造が可能であること
も見出した。本発明者らは、以上の知見に基づき、本発
明を完成するに至った。
【0033】すなわち、本発明のポリヒドロキシアルカ
ノエートは、下記一般式(1):
【0034】
【化20】
【0035】(式中、xは、化学式中に示す0〜8の範
囲から選択される整数を表し、ポリマー中において一つ
以上を含むことができる)で示されるユニット及び、下
記一般式(2):
【0036】
【化21】 (式中、xは、化学式中に示す0〜8の範囲から選択さ
れる整数を表し、ポリマー中において一つ以上を含むこ
とができる)で示されるユニットを含み、下記一般式
(3):
【0037】
【化22】 (式中、xは、化学式中に示す0〜8の範囲から選択さ
れる整数を表し、ポリマー中において一つ以上を含むこ
とができる)で示されるユニット、下記一般式(4):
【0038】
【化23】 (式中、xは、化学式中に示す0〜8の範囲から選択さ
れる整数を表し、ポリマー中において一つ以上を含むこ
とができる)で示されるユニット、下記一般式(5):
【0039】
【化24】
【0040】(式中、xは、化学式中に示す0〜8の範
囲から選択される整数を表し、ポリマー中において一つ
以上を含むことができる)で示されるユニット、下記一
般式(6):
【0041】
【化25】 (式中、xは、化学式中に示す0〜8の範囲から選択さ
れる整数を表し、ポリマー中において一つ以上を含むこ
とができる)で示されるユニット、この一般式(3)〜
(6)で示されるユニット4種類のうち、少なくとも1
種類のユニットをさらにポリマー分子中に含むことを特
徴とするポリヒドロキシアルカノエートである。かかる
本発明のPHAにおいては、前記一般式(1)示される
ユニット及び一般式(2)、ならびに、前記一般式
(3)〜(6)で示されるユニット4種類のうち、少な
くとも1種類のユニットに加えて、下記一般式(7):
【0042】
【化26】 (式中、yは、化学式中に示す0〜8の範囲から選択さ
れる整数を表し、ポリマー中において一つ以上を含むこ
とができる)で示されるユニット、または、下記一般式
(8):
【0043】
【化27】 (式中、zは、3または5から選択される整数を表す)
で示されるユニットのうち、少なくとも1種類のユニッ
トをさらに含んでもよい。また、本発明のPHAは、そ
の数平均分子量が1000〜500000の範囲である
ことが好ましい。
【0044】上記の構成をとる本発明のPHAにおけ
る、一形態として、下記化学式(9):
【0045】
【化28】
【0046】で示される3−ヒドロキシ−5−(2−チ
エニルスルフィニル)吉草酸ユニット及び、下記化学式
(10):
【0047】
【化29】
【0048】で示される3−ヒドロキシ−5−(2−チ
エニルスルホニル)吉草酸ユニットとを含み、下記化学
式(11):
【0049】
【化30】
【0050】で示される5−クロロ−3−ヒドロキシ−
5−(2−チエニルスルフィニル)吉草酸ユニット、下
記化学式(12):
【0051】
【化31】
【0052】で示される5−クロロ−3−ヒドロキシ−
5−(2−チエニルスルホニル)吉草酸ユニット、下記
化学式(13):
【0053】
【化32】
【0054】で示される5,5−ジクロロ−3−ヒドロ
キシ−5−(2−チエニルスルフィニル)吉草酸ユニッ
ト、下記化学式(14):
【0055】
【化33】
【0056】で示される5,5−ジクロロ−3−ヒドロ
キシ−5−(2−チエニルスルホニル)吉草酸ユニット
の、前記化学式(11)〜(14)に示される4種類の
ユニットのうちの少なくとも1種類のクロロ置換体ユニ
ットとをポリマー分子中に含むことを特徴とするポリヒ
ドロキシアルカノエートとすることができる。さらに
は、本発明のPHAにおける、一形態として、下記化学
式(15):
【0057】
【化34】
【0058】で示される3−ヒドロキシ−4−(2−チ
エニルスルフィニル)酪酸ユニット及び、下記化学式
(16):
【0059】
【化35】
【0060】で示される3−ヒドロキシ−4−(2−チ
エニルスルホニル)酪酸ユニットとを含み、下記化学式
(17):
【0061】
【化36】
【0062】で示される4−クロロ−3−ヒドロキシ−
4−(2−チエニルスルフィニル)酪酸ユニット、下記
化学式(18):
【0063】
【化37】
【0064】で示される4−クロロ−3−ヒドロキシ−
4−(2−チエニルスルホニル)酪酸ユニット、下記化
学式(19):
【0065】
【化38】
【0066】で示される4,4−ジクロロ−3−ヒドロ
キシ−4−(2−チエニルスルフィニル)酪酸ユニッ
ト、下記化学式(20):
【0067】
【化39】
【0068】で示される4,4−ジクロロ−3−ヒドロ
キシ−4−(2−チエニルスルホニル)酪酸ユニット
の、前記化学式(17)〜(20)に示される4種類の
ユニットのうちの少なくとも1種類のクロロ置換体ユニ
ットと、さらに、下記化学式(21):
【0069】
【化40】
【0070】で示される3−ヒドロキシ−6−(2−チ
エニルスルフィニル)ヘキサン酸ユニット及び、下記化
学式(22):
【0071】
【化41】
【0072】で示される3−ヒドロキシ−6−(2−チ
エニルスルホニル)ヘキサン酸ユニットとを含み、下記
化学式(23):
【0073】
【化42】
【0074】で示される6−クロロ−3−ヒドロキシ−
6−(2−チエニルスルフィニル)ヘキサン酸ユニッ
ト、下記化学式(24):
【0075】
【化43】
【0076】で示される6−クロロ−3−ヒドロキシ−
6−(2−チエニルスルホニル)ヘキサン酸ユニット、
下記化学式(25):
【0077】
【化44】
【0078】で示される6,6−ジクロロ−3−ヒドロ
キシ−6−(2−チエニルスルフィニル)ヘキサン酸ユ
ニット、下記化学式(26):
【0079】
【化45】
【0080】で示される6,6−ジクロロ−3−ヒドロ
キシ−6−(2−チエニルスルホニル)ヘキサン酸ユニ
ットの、前記化学式(23)〜(26)に示される4種
類のユニットのうちの少なくとも1種類のクロロ置換体
ユニットとを、ポリマー分子中に含むことを特徴とする
ポリヒドロキシアルカノエートとすることもできる。
【0081】加えて、本発明は、上記する本発明のPH
Aを製造する方法の発明をも提供しており、すなわち、
本発明のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法は、
上記するいずれかの構成を有するポリヒドロキシアルカ
ノエートの製造方法であって、(工程1) 下記一般式
(27):
【0082】
【化46】
【0083】(式中、xは、0〜8の範囲から選択され
る整数を表す)で示されるω−(2−チエニルスルファ
ニル)アルカン酸化合物を少なくとも一種類以上含む培
地中で微生物を培養する工程と、(工程2) 工程1に
おいて培養した微生物により生産されたポリヒドロキシ
アルカノエートを次亜塩素酸ナトリウムで処理する工程
とを含むことを特徴とするポリヒドロキシアルカノエー
トの製造方法である。
【0084】本発明のPHAの製造方法においては、前
記工程1と工程2の間に、前記工程1において培養され
た微生物細胞から、かかる微生物が産生したポリヒドロ
キシアルカノエートを分離する工程を設けることもでき
る。
【0085】その際、前記微生物細胞から、かかる微生
物が産生したポリヒドロキシアルカノエートを分離する
工程は、微生物細胞を破砕する工程を含むことを特徴と
する製造方法とすることができる。この微生物細胞を破
砕する工程は、超音波破砕法、ホモジナイザー法、圧力
破砕法、ビーズ衝撃法、摩砕法、擂潰法、凍結融解法の
いずれかの方法で行われることが好ましい。
【0086】あるいは、前記微生物細胞から、かかる微
生物が産生したポリヒドロキシアルカノエートを分離す
る工程は、微生物が産生したポリヒドロキシアルカノエ
ートを可溶な溶媒を用いて、微生物細胞から前記ポリヒ
ドロキシアルカノエートを抽出する工程を含むことを特
徴とする製造方法とすることもできる。この微生物が産
生したポリヒドロキシアルカノエートを可溶な前記溶媒
は、クロロホルム、ジクロロメタン、ジオキサン、テト
ラヒドロフラン、アセトニトリル、アセトンから選択さ
れる1種類以上の溶媒であることが好ましい。
【0087】加えて、本発明のPHAの製造方法では、
工程1に利用する培地中に、ポリペプトンが含まれてい
ることを特徴とする製造方法とすることができる。ま
た、工程1に利用する培地中に、酵母エキスが含まれて
いることを特徴とする製造方法とすることもできる。あ
るいは、工程1に利用する培地中に、糖類が含まれてい
ることを特徴とする製造方法とすることも可能である。
その際には、前記糖類は、グリセロアルデヒド、エリト
ロース、アラビノース、キシロース、グルコース、ガラ
クトース、マンノース、フルクトース、グリセロール、
エリトリトール、キシリトール、グルコン酸、グルクロ
ン酸、ガラクツロン酸、マルトース、スクロース、ラク
トースからなる群から選ばれる1つ以上の化合物である
ことが好ましい。
【0088】さらには、本発明のPHAの製造方法で
は、工程1に利用する培地中に、有機酸またはその塩が
含まれていることを特徴とする製造方法とすることがで
きる。この場合には、前記有機酸またはその塩は、ピル
ビン酸、リンゴ酸、乳酸、クエン酸、コハク酸またはそ
れらの塩からなる群から選ばれる1つ以上の化合物であ
ることが好ましい。また、工程1に利用する培地中に、
アミノ酸またはその塩が含まれていることを特徴とする
製造方法とすることができる。その時、前記アミノ酸ま
たはその塩は、グルタミン酸、アスパラギン酸、または
それらの塩からなる群から選ばれる1つ以上の化合物で
あることが好ましい。場合によっては、工程1に利用す
る培地中に、炭素数4〜12の直鎖アルカン酸またはそ
の塩が含まれていることを特徴とする製造方法とするこ
ともできる。
【0089】また、本発明のPHAの製造方法では、前
記工程1における微生物の培養は、(工程1−1) 下
記一般式(27):
【0090】
【化47】 (式中、xは、0〜8の範囲から選択される整数を表
す)で示されるω−(2−チエニルスルファニル)アル
カン酸化合物を少なくとも1種類以上含み、かつポリペ
プトンを含む培地中で微生物を培養する工程と、これに
続く、(工程1−2) 前記一般式(23)で示される
ω−(2−チエニルスルファニル)アルカン酸化合物を
少なくとも一種類以上含み、かつ有機酸またはその塩を
含む培地中で、前記工程1−1において培養された微生
物を更に培養する工程とを含むことを特徴とする製造方
法としてもよい。この形態では、工程1−2で利用する
培地中に含有される前記有機酸またはその塩が、ピルビ
ン酸、リンゴ酸、乳酸、クエン酸、コハク酸またはそれ
らの塩からなる群から選ばれる1つ以上の化合物である
ことが好ましい。その際、工程1−2で利用する培地
は、窒素源を含んでいないことがより好ましい。
【0091】あるいは、本発明のPHAの製造方法で
は、前記工程1における微生物の培養は、(工程1−
3) 下記一般式(27):
【0092】
【化48】 (式中、xは、0〜8の範囲から選択される整数を表
す)で示されるω−(2−チエニルスルファニル)アル
カン酸化合物を少なくとも1種類以上含み、かつ糖類を
含む培地中で微生物を培養する工程と、これに続く、
(工程1−4) 前記一般式(27)で示されるω−
(2−チエニルスルファニル)アルカン酸化合物を少な
くとも一種類以上含み、かつ糖類を含み、窒素源を含ま
ない培地中で、前記工程1−3において培養された微生
物を更に培養する工程とを含むことを特徴とする製造方
法としてもよい。この形態において、前記糖類が、グリ
セロアルデヒド、エリトロース、アラビノース、キシロ
ース、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルク
トース、グリセロール、エリトリトール、キシリトー
ル、グルコン酸、グルクロン酸、ガラクツロン酸、マル
トース、スクロース、ラクトースからなる群から選ばれ
る1つ以上の化合物であることが好ましい。その際、工
程1−4で利用する培地は、窒素源を含んでいないこと
がより好ましい。
【0093】加えて、本発明のPHAの製造方法におい
て、その一形態として、工程1において、培地中に含有
させる前記ω−(2−チエニルスルファニル)アルカン
酸化合物として、下記化学式(29):
【0094】
【化49】
【0095】で示される5−(2−チエニルスルファニ
ル)吉草酸を用いて、その培地中で微生物を培養し、工
程2において、前記工程1において培養された微生物
が、前記化学式(29)で示される5−(2−チエニル
スルファニル)吉草酸より生産したポリヒドロキシアル
カノエートを次亜塩素酸ナトリウムで処理することによ
り、下記化学式(9):
【0096】
【化50】
【0097】で示される3−ヒドロキシ−5−(2−チ
エニルスルフィニル)吉草酸ユニット及び、下記化学式
(10):
【0098】
【化51】
【0099】で示される3−ヒドロキシ−5−(2−チ
エニルスルホニル)吉草酸ユニットと、下記化学式(1
1):
【0100】
【化52】
【0101】で示される5−クロロ−3−ヒドロキシ−
5−(2−チエニルスルフィニル)吉草酸ユニット、下
記化学式(12):
【0102】
【化53】
【0103】で示される5−クロロ−3−ヒドロキシ−
5−(2−チエニルスルホニル)吉草酸ユニット、下記
化学式(13):
【0104】
【化54】
【0105】で示される5,5−ジクロロ−3−ヒドロ
キシ−5−(2−チエニルスルフィニル)吉草酸ユニッ
ト、下記化学式(14):
【0106】
【化55】
【0107】で示される5,5−ジクロロ−3−ヒドロ
キシ−5−(2−チエニルスルホニル)吉草酸ユニット
の、前記化学式(11)〜(14)に示される4種類の
ユニットのうちの少なくとも1種類のクロロ置換体ユニ
ットとを、ポリマー分子中に含むポリヒドロキシアルカ
ノエートを製造することを特徴とするポリヒドロキシア
ルカノエートの製造方法を挙げることができる。
【0108】また、本発明のPHAの製造方法におい
て、その一形態として、工程1において、培地中に含有
させる前記ω−(2−チエニルスルファニル)アルカン
酸化合物として、下記化学式(30):
【0109】
【化56】
【0110】で示される6−(2−チエニルスルファニ
ル)ヘキサン酸を用いて、その培地中で微生物を培養
し、工程2において、前記工程1において培養された微
生物が、前記化学式(30)で示される6−(2−チエ
ニルスルファニル)ヘキサン酸より生産したポリヒドロ
キシアルカノエートを次亜塩素酸ナトリウムで処理する
ことにより、下記化学式(15):
【0111】
【化57】
【0112】で示される3−ヒドロキシ−4−(2−チ
エニルスルフィニル)酪酸ユニット及び、下記化学式
(16):
【0113】
【化58】
【0114】で示される3−ヒドロキシ−4−(2−チ
エニルスルホニル)酪酸ユニットとを含み、下記化学式
(17):
【0115】
【化59】
【0116】で示される4−クロロ−3−ヒドロキシ−
4−(2−チエニルスルフィニル)酪酸ユニット、下記
化学式(18):
【0117】
【化60】
【0118】で示される4−クロロ−3−ヒドロキシ−
4−(2−チエニルスルホニル)酪酸ユニット、下記化
学式(19):
【0119】
【化61】
【0120】で示される4,4−ジクロロ−3−ヒドロ
キシ−4−(2−チエニルスルフィニル)酪酸ユニッ
ト、下記化学式(20):
【0121】
【化62】
【0122】で示される4,4−ジクロロ−3−ヒドロ
キシ−4−(2−チエニルスルホニル)酪酸ユニット
の、前記化学式(17)〜(20)に示される4種類の
ユニットのうちの少なくとも1種類のクロロ置換体ユニ
ットと、加えて、下記化学式(21):
【0123】
【化63】
【0124】で示される3−ヒドロキシ−6−(2−チ
エニルスルフィニル)ヘキサン酸ユニット及び下記化学
式(22):
【0125】
【化64】
【0126】で示される3−ヒドロキシ−6−(2−チ
エニルスルホニル)ヘキサン酸ユニットとを含み、下記
化学式(23):
【0127】
【化65】
【0128】で示される6−クロロ−3−ヒドロキシ−
6−(2−チエニルスルフィニル)ヘキサン酸ユニッ
ト、下記化学式(24):
【0129】
【化66】
【0130】で示される6−クロロ−3−ヒドロキシ−
6−(2−チエニルスルホニル)ヘキサン酸ユニット、
下記化学式(25):
【0131】
【化67】
【0132】で示される6,6−ジクロロ−3−ヒドロ
キシ−6−(2−チエニルスルフィニル)ヘキサン酸ユ
ニット、下記化学式(26):
【0133】
【化68】
【0134】で示される6,6−ジクロロ−3−ヒドロ
キシ−6−(2−チエニルスルホニル)ヘキサン酸ユニ
ットの、前記化学式(23)〜(26)に示される4種
類のユニットのうちの少なくとも1種類のクロロ置換体
ユニットとを、ポリマー分子中に含むポリヒドロキシア
ルカノエートを製造することを特徴とするポリヒドロキ
シアルカノエートの製造方法を挙げることもできる。
【0135】以上の構成を有する本発明のPHAの製造
方法では、工程1に利用する前記微生物は、シュードモ
ナス(Pseudomonas)属に属する微生物であ
ることが好ましい。例えば、工程1に利用する前記微生
物は、シュードモナス・チコリアイ YN2株(Pse
udomonas cichorii YN2;FERM
BP−7375)、シュードモナス・チコリアイ H4
5株(Pseudomonas cichorii H4
5、FERM BP−7374)、シュードモナス・ジ
ェッセニイ P161株(Pseudomonas j
essenii P161、FERM BP−7376)
のいずれが1つ以上の株であることがより好ましい。
【0136】また、本発明者らは、さらに上記する本発
明にかかるPHA化合物は、実質的に無色なポリマーで
あり、その側鎖に導入される電子吸引性を示す構造に起
因して、高性能でかつ、金属を使用する必要のない荷電
制御剤としての機能を有することを確認し、本発明にか
かるPHAの電子写真分野における用途の発明を完成す
るに到った。
【0137】すなわち、本発明の荷電制御剤は、下記一
般式(1):
【0138】
【化69】 (式中、xは、化学式中に示す0〜8の範囲から選択さ
れる整数を表し、ポリマー中において一つ以上を含むこ
とができる)で示されるユニット及び、下記一般式
(2):
【0139】
【化70】 (式中、xは、化学式中に示す0〜8の範囲から選択さ
れる整数を表し、ポリマー中において一つ以上を含むこ
とができる)で示されるユニットとを含み、下記一般式
(3):
【0140】
【化71】
【0141】(式中、xは、化学式中に示す0〜8の範
囲から選択される整数を表し、ポリマー中において一つ
以上を含むことができる)で示されるユニット、下記一
般式(4):
【0142】
【化72】
【0143】(式中、xは、化学式中に示す0〜8の範
囲から選択される整数を表し、ポリマー中において一つ
以上を含むことができる)で示されるユニット、下記一
般式(5):
【0144】
【化73】 (式中、xは、化学式中に示す0〜8の範囲から選択さ
れる整数を表し、ポリマー中において一つ以上を含むこ
とができる)で示されるユニット、下記一般式(6):
【0145】
【化74】 (式中、xは、化学式中に示す0〜8の範囲から選択さ
れる整数を表し、ポリマー中において一つ以上を含むこ
とができる)で示されるユニット、この一般式(3)〜
(6)で示されるユニット4種類のユニットのうち、少
なくとも1種類のユニットとをさらに、ポリマー分子中
に有するポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含
有してなる荷電制御剤である。
【0146】本発明の荷電制御剤では、更に、該PHA
は、下記一般式(7):
【0147】
【化75】 (式中、yは、化学式中に示す0〜8の範囲から選択さ
れる整数を表し、ポリマー中において一つ以上を含むこ
とができる)で示されるユニット、または、下記一般式
(8):
【0148】
【化76】
【0149】に示されるユニット(y及びzは、
(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)で示
すユニットと独立して化学式中に示した範囲内で任意の
一つ以上の整数値をとり得る。)の少なくともいずれか
一つを更に有していてもよい。
【0150】また、本発明の荷電制御剤中に含有される
PHAの数平均分子量は、1,000〜500,000の
範囲であることが好ましい。
【0151】加えて、本発明にかかるトナーバインダー
は、上記する本発明の荷電制御剤を含有してなるトナー
バインダーである。さらには、本発明にかかるトナー
は、少なくとも、バインダー樹脂、着色剤、および荷電
制御剤を含有してなるトナー粒子であって、前記荷電制
御剤は、上述する構成のいずれかを有する本発明の荷電
制御剤であることを特徴とするトナーである。
【0152】加えて、本発明は、上述する本発明にかか
るPHAの荷電制御剤としての用途の発明に付随して、
本発明にかかるPHAを使用する方法の一形態として、
本発明にかかる画像形成方法をも提供し、すなわち、本
発明にかかる画像形成方法は、被記録材上に定着された
トナー像を形成するための画像形成方法であって、少な
くとも、外部より帯電部材に電圧を印加して静電潜像担
持体に帯電を行う工程と、帯電された静電潜像担持体に
静電荷像を形成する工程と、該静電荷像を静電荷像現像
トナーにより現像してトナー像を静電潜像担持体上に形
成する現像工程と、静電潜像担持体上のトナー像を被記
録材へ転写する転写工程と、被記録材上のトナー像を加
熱定着する定着工程とを有し、前記静電荷像現像トナー
として、少なくとも、バインダー樹脂、着色剤、および
上述する構成のいずれかを有する本発明の荷電制御剤を
含有してなるトナー粒子を使用することを特徴とする画
像形成方法である。
【0153】本発明にかかる画像形成方法においては、
前記静電潜像担持体上のトナー像を被記録材へ転写する
転写工程は、少なくとも、前記静電潜像担持体上のトナ
ー像を中間の転写体に転写する第1の転写工程と、該中
間の転写体上のトナー像を被記録材に転写する第2の転
写工程とを含んでなり、前記静電荷像現像トナーとし
て、少なくとも、バインダー樹脂、着色剤、および上述
する構成のいずれかを有する本発明の荷電制御剤を含有
してなるトナー粒子を使用することを特徴とする画像形
成方法とすることができる。
【0154】さらには、本発明は、前記の本発明にかか
る画像形成方法の実施に専ら利用される画像形成装置の
発明をも提供しており、すなわち、本発明の画像形成装
置は、被記録材上に定着されたトナー像を形成するため
の画像形成装置であって、前記トナー像の形成に供する
トナーとして、上記本発明のトナーを具えてなることを
特徴とする画像形成装置である。より具体的には、本発
明の画像形成装置は、被記録材上に定着されたトナー像
を形成するための画像形成装置であって、少なくとも、
外部より帯電部材に電圧を印加して静電潜像担持体に帯
電を行う手段と、帯電された静電潜像担持体に静電荷像
を形成する手段と、該静電荷像を静電荷像現像トナーに
より現像してトナー像を静電潜像担持体上に形成する現
像手段と、静電潜像担持体上のトナー像を被記録材へ転
写する転写手段と、被記録材上のトナー像を加熱定着す
る定着手段とを有し、前記静電荷像現像トナーを、トナ
ー像の形成に供するトナーとして具えており、前記静電
荷像現像トナーは、少なくとも、バインダー樹脂、着色
剤、および上述する構成のいずれかを有する本発明の荷
電制御剤を含有してなるトナー粒子であることを特徴と
する画像形成装置である。かかる形態の本発明の画像形
成装置においては、前記静電潜像担持体上のトナー像を
被記録材へ転写する転写手段として、前記静電潜像担持
体上のトナー像を中間の転写体に転写する第1の転写手
段と、該中間の転写体上のトナー像を被記録材に転写す
る第2の転写手段とを有し、前記静電荷像現像トナー
を、トナー像の形成に供するトナーとして具えており、
前記静電荷像現像トナーは、少なくとも、バインダー樹
脂、着色剤、および上述する構成のいずれかを有する本
発明の荷電制御剤を含有してなるトナー粒子であること
を特徴とする画像形成装置とすることができる。
【0155】
【発明の実施の形態】本発明の新規なポリヒドロキシア
ルカノエートは、それを構成するモノマーユニットとし
て、3−ヒドロキシアルカン酸ユニットの側鎖末端に、
2−チエニルスルフィニル基の形状でチオフェン環とス
ルホキシド構造(−SO−)を有するユニット並びに2
−チエニルスルホニル基の形状でチオフェン環とスルホ
ン構造(−SO2−)を有するユニット、さらには、前
記側鎖の炭素鎖末端、すなわち、前記スルホン構造(−
SO2−)またはスルホキシド構造(−SO−)の硫黄
原子が置換する、ω−位の炭素上にクロロ基がさらに置
換した構造のクロロ置換体ユニットをも有している。こ
の構造により、これまでに知られている微生物生産ポリ
ヒドロキシアルカノエートとは著しく異なった物理化学
的性質を示す。なお、この本発明のポリヒドロキシアル
カノエートは、例えば、ポリヒドロキシアルカノエート
生産能力を有する微生物を、原料とする一般式(27)
で示されるω−(2−チエニルスルファニル)アルカン
酸を含む培地中で培養する工程と、培養された微生物細
胞により生産される3−ヒドロキシ−ω−(2−チエニ
ルスルファニル)アルカン酸ユニットを含むPHAを次
亜塩素酸ナトリウムにより処理する工程とにより製造さ
れるものである。従って、前記微生物が産生する中間原
料PHAから誘導される本発明のPHAは、生分解性を
有する光学異性体の特質を保持しており、その新規な物
理化学的性質とともに、従来に見られない新たなPHA
の用途開発を可能とする。より具体的には、新たなPH
Aの用途として、例えば、電子写真方式の画像形成方法
において、トナー粒子中に含有させる負帯電性の荷電制
御剤としての用途開発を可能とする。以下に、本発明に
ついて、より詳細に説明する。
【0156】(カルボン酸誘導体)本発明で原料に用い
る一般式(27)で示されるω−(2−チエニルスルフ
ァニル)アルカン酸は、直鎖のカルボン酸の末端に2−
チエニルスルファニル基が置換したカルボン酸である。
なお、かかるω−(2−チエニルスルファニル)アルカ
ン酸のうち、下記一般式(28):
【0157】
【化77】 (式中、xは、化学式中に示す1〜8の範囲から選択さ
れる整数を表す。)で示されるω−(2−チエニルスル
ファニル)アルカン酸は、新規な物質である。
【0158】また、一般式(28)で示されるω−(2
−チエニルスルファニル)アルカン酸は、下記する製造
方法により調製することができる。 1−1. チオフェン−2−チオールとω−ブロモアル
カン酸を反応させて、一般式(28)に示すω−(2−
チエニルスルファニル)アルカン酸を得る製造方法。
【0159】1−2. チオフェン−2−チオールとω
−ブロモアルカン酸エステルを反応させ、ω−(2−チ
エニルスルファニル)アルカン酸エステルを合成した
後、エステルを加水分解することにより一般式(28)
に示すω−(2−チエニルスルファニル)アルカン酸を
得る製造方法。
【0160】1−3. チオフェン−2−チオールとω
−ブロモ−1−アルカノールを反応させ、ω−(2−チ
エニルスルファニル)−1−アルカノールを合成した
後、アルキル鎖末端のヒドロキシ基が置換している炭素
をカルボキシ基まで酸化することにより、一般式(2
8)に示すω−(2−チエニルスルファニル)アルカン
酸を得る製造方法。
【0161】1−4. チオフェン−2−チオールと
1,ω−ジブロモアルカンを反応させ、2−[(ω−ブ
ロモアルキル)スルファニル]チオフェン(ω−ブロモ
アルキル2−チエニルスルフィド)を合成した後、金属
マグネシウムを用いグリニヤール試薬に調製し、更に炭
酸ガスを加え、末端にカルボキシ基を導入することによ
り、炭素数が1増した一般式(28)に示すω−(2−
チエニルスルファニル)アルカン酸を得る製造方法。
【0162】1−5. チオフェン−2−チオールとラ
クトン類(アルカノ−ω−ラクトン)を反応させ、ラク
トン環の開環を行うことにより、一般式(28)に示す
ω−(2−チエニルスルファニル)アルカン酸を得る製
造方法。
【0163】なお、一般式(28)に示す置換カルボン
酸の製造は、上記の方法に限定されるものではない。
【0164】上記ω−(2−チエニルスルファニル)ア
ルカン酸の製造方法をさらに具体的に示す。
【0165】まず、下記化学式(29):
【0166】
【化78】
【0167】に示す5−(2−チエニルスルファニル)
吉草酸(5−(2−チエニルスルファニル)ペンタン
酸)の製造方法を以下に示す。
【0168】2−1. チオフェン−2−チオールと5
−ブロモ吉草酸(5−ブロモペンタン酸)を反応させ、
化学式(29)に示す5−(2−チエニルスルファニ
ル)吉草酸を得る製造方法。
【0169】2−2. チオフェン−2−チオールと5
−ブロモ吉草酸エステルを反応させ、5−(2−チエニ
ルスルファニル)吉草酸エステルを合成した後、エステ
ルを加水分解することにより化学式(29)に示す5−
(2−チエニルスルファニル)吉草酸を得る製造方法。
【0170】2−3. チオフェン−2−チオールと5
−ブロモ−1−ペンタノールを反応させ、5−(2−チ
エニルスルファニル)−1−ペンタノールを合成した
後、酸化することにより、化学式(29)に示す5−
(2−チエニルスルファニル)吉草酸を得る製造方法。
【0171】2−4. チオフェン−2−チオールと
1,4−ジブロモブタンを反応させ、2−[(4−ブロ
モブチル)スルファニル]チオフェンを合成した後、金
属マグネシウムを用いグリニヤール試薬を調製し、更に
炭酸ガスを加えることにより、化学式(29)に示す5
−(2−チエニルスルファニル)吉草酸を得る製造方
法。
【0172】2−5. チオフェン−2−チオールとδ
−バレロラクトン(ペンタノ−5−ラクトン)を反応さ
せ、化学式(29)に示す5−(2−チエニルスルファ
ニル)吉草酸を得る製造方法。
【0173】次に、下記化学式(30):
【0174】
【化79】
【0175】に示す6−(2−チエニルスルファニル)
ヘキサン酸の製造方法を以下に示す。 3−1. チオフェン−2−チオールと6−ブロモヘキ
サン酸を反応させ、化学式(30)に示す6−(2−チ
エニルスルファニル)ヘキサン酸を得る製造方法。
【0176】3−2. チオフェン−2−チオールと6
−ブロモヘキサン酸エステルを反応させ、6−(2−チ
エニルスルファニル)ヘキサン酸エステルを合成した
後、エステルを加水分解することにより化学式(30)
に示す6−(2−チエニルスルファニル)ヘキサン酸を
得る製造方法。
【0177】3−3. チオフェン−2−チオールと6
−ブロモ−1−ヘキサノールを反応させ、6−(2−チ
エニルスルファニル)−1−ヘキサノールを合成した
後、酸化することにより、化学式(30)に示す6−
(2−チエニルスルファニル)ヘキサン酸を得る製造方
法。
【0178】3−4. チオフェン−2−チオールと
1,5−ジブロモペンタンを反応させ、2−[(5−ブ
ロモペンチル)スルファニル]チオフェンを合成した
後、金属マグネシウムを用いグリニヤール試薬を調製
し、更に炭酸ガスを加えることにより、化学式(30)
に示す6−(2−チエニルスルファニル)ヘキサン酸を
得る製造方法。
【0179】3−5. チオフェン−2−チオールとε
−カプロラクトン(ヘキンサノ−6−ラクトン)を反応
させ、化学式(30)に示す6−(2−チエニルスルフ
ァニル)ヘキサン酸を得る製造方法。 本発明のPHAの製造方法では、中間原料とする前駆体
PHAの生産に用いる微生物は、原料とする一般式(2
7)で示されるω−(2−チエニルスルファニル)アル
カン酸化合物を含む培地中で培養した際、対応する側鎖
末端に2−チエニルスルファニル基を有する3−ヒドロ
キシアルカン酸ユニットを含むPHAを生産し、その細
胞内に蓄積する微生物であれば、いかなる微生物であっ
てもよい。例えば、PHA産生能を有するシュードモナ
ス(Pseudomonas)属に属する微生物が挙げられる。好
適なシュードモナス(Pseudomonas)属に属する微生物
の一例を挙げると、シュードモナス・チコリアイ YN
2株(Pseudomonas cichorii YN2;FERM BP
−7375)、シュードモナス・チコリアイ H45株
(Pseudomonas cichorii H45、FERM BP−73
74)、シュードモナス・ジェッセニイ P161株(P
seudomonas jessenii P161、FERM BP−737
6)の三種の菌株が挙げられる。これら三種の微生物
は、寄託者として本願出願人を名義として、先に国内寄
託され、その後、その原寄託よりブタペスト条約に基づ
く寄託へと移管され、国際寄託機関としての、独立行政
法人 産業技術総合研究所(旧 経済産業省 産業技術
総合研究所) 生命工学工業技術研究所(NIBH)
に、それぞれ前記の受託番号を付与され寄託されてい
る。また、新規なPHA産生能を有する菌株として、既
に、特願平11−371863号(特開2001−28
8256号公報)に記載されている微生物である。
【0180】また、これら三種の微生物は、側鎖に、芳
香環部分に置換基を有する3−ヒドロキシフェニルアル
カン酸、3−ヒドロキシ−フェノキシアルカン酸、3−
ヒドロキシフェニルスルファニルアルカン酸等のユニッ
トを含むポリヒドロキシアルカノエート型のポリエステ
ルを生産する能力を有する微生物である。以下に、YN
2株、H45株及びP161株について、その菌学的性
質を示す。
【0181】 <YN2株の菌学的性質> (1)形態学的性質 細胞の形と大きさ :桿菌、0.8μm×1.5〜2.0μm 細胞の多形性 :なし 運動性 :あり 胞子形成 :なし グラム染色性 :陰性 コロニー形状 :円形、全縁なめらか、低凸状、 表層なめらか、光沢、半透明 (2)生理学的性質 カタラーゼ :陽性 オキシダーゼ :陽性 O/F試験 :酸化型(非発酵性) 硝酸塩の還元 :陰性 インドールの生成 :陽性 ブドウ糖酸性化 :陰性 アルギニンジヒドロラーゼ :陰性 ウレアーゼ :陰性 エスクリン加水分解 :陰性 ゼラチン加水分解 :陰性 β−ガラクトシダーゼ :陰性 King's B寒天での蛍光色素産生 :陽性 4%NaClでの生育 :陽性(弱い生育) ポリ−β−ヒドロキシ酪酸の蓄積:陰性(*) Tween80の加水分解 :陽性 * nutrient agar培養コロニーをズダンブラックで染色することで判定。 (3)基質資化能 ブドウ糖 :陽性 L−アラビノース :陽性 D−マンノース :陰性 D−マンニトール :陰性 N−アセチル−D−グルコサミン :陰性 マルトース :陰性 グルコン酸カリウム :陽性 n−カプリン酸 :陽性 アジピン酸 :陰性 dl−リンゴ酸 :陽性 クエン酸ナトリウム :陽性 酢酸フェニル :陽性 <H45株の菌学的性質> (1)形態学的性質 細胞の形と大きさ :桿菌、0.8μm×1.0〜1.2μm 細胞の多形性 :なし 運動性 :あり 胞子形成 :なし グラム染色性 :陰性 コロニー形状 :円形、全縁なめらか、低凸状、 表層なめらか、光沢、クリーム色 (2)生理学的性質 カタラーゼ :陽性 オキシダーゼ :陽性 O/F試験 :酸化型 硝酸塩の還元 :陰性 インドールの生成 :陰性 ブドウ糖酸性化 :陰性 アルギニンジヒドロラーゼ :陰性 ウレアーゼ :陰性 エスクリン加水分解 :陰性 ゼラチン加水分解 :陰性 β−ガラクトシダーゼ :陰性 King's B寒天での蛍光色素産生 :陽性 4%NaClでの生育 :陰性 ポリ−β−ヒドロキシ酪酸の蓄積:陰性 (3)基質資化能 ブドウ糖 :陽性 L−アラビノース :陰性 D−マンノース :陽性 D−マンニトール :陽性 N−アセチル−D−グルコサミン :陽性 マルトース :陰性 グルコン酸カリウム :陽性 n−カプリン酸 :陽性 アジピン酸 :陰性 dl−リンゴ酸 :陽性 クエン酸ナトリウム :陽性 酢酸フェニル :陽性 <P161株の菌学的性質> (1)形態学的性質 細胞の形と大きさ :球状、φ0.6μm 桿状、0.6μm×1.5〜2.0μm 細胞の多形性 :あり(伸長型) 運動性 :あり 胞子形成 :なし グラム染色性 :陰性 コロニー形状 :円形、全縁なめらか、低凸状、 表層なめらか、淡黄色 (2)生理学的性質 カタラーゼ :陽性 オキシダーゼ :陽性 O/F試験 :酸化型 硝酸塩の還元 :陽性 インドールの生成 :陰性 ブドウ糖酸性化 :陰性 アルギニンジヒドロラーゼ :陽性 ウレアーゼ :陰性 エスクリン加水分解 :陰性 ゼラチン加水分解 :陰性 β−ガラクトシダーゼ :陰性 King's B寒天での蛍光色素産生 :陽性 (3)基質資化能 ブドウ糖 :陽性 L−アラビノース :陽性 D−マンノース :陽性 D−マンニトール :陽性 N−アセチル−D−グルコサミン :陽性 マルトース :陰性 グルコン酸カリウム :陽性 n−カプリン酸 :陽性 アジピン酸 :陰性 dl−リンゴ酸 :陽性 クエン酸ナトリウム :陽性 酢酸フェニル :陽性 また、シュードモナス属に属する微生物に加えて、アエ
ロモナス属(Aeromonas sp.)、コマモナ
ス属(Comamonas sp.)、バークホルデリ
ア属(Burkholderia sp.)などに属
し、前記一般式(27)で表されるアルカン酸化合物を
原料(基質)として用いて、対応する側鎖末端に2−チ
エニルスルファニル基を保持する3−ヒドロキシアルカ
ン酸ユニットを含むPHAを生産する微生物を用いるこ
とも可能である。
【0182】(培養工程)本発明にかかるPHAの製造
方法の工程1においては、上記するPHA産生能を有す
る微生物を利用して、原料の上記一般式(27)で記載
されるω−(2−チエニルスルファニル)アルカン酸か
ら、対応する側鎖末端に2−チエニルスルファニル基を
保持する、3−ヒドロキシ−ω−(2−チエニルスルフ
ァニル)アルカン酸ユニットを含むPHAを生産させ
る。
【0183】この工程1に利用する微生物の通常の培
養、例えば、保存菌株の作製、PHAの生産に必要とさ
れる菌数や活性状態を確保するための増殖などには、用
いる微生物の増殖に必要な成分を含有する培地を適宜選
択して用いる。例えば、微生物の生育や生存に悪影響を
及ぼすものでない限り、一般的な天然培地(肉汁培地、
酵母エキスなど)や、栄養源を添加した合成培地など、
いかなる種類の培地をも用いることができる。温度、通
気、攪拌などの培養条件は、用いる微生物に応じて適宜
選択する。
【0184】一方、工程1において、前記したようなP
HA生産微生物を用いて、目的とする中間原料の、側鎖
末端に2−チエニルスルファニル基を保持する、3−ヒ
ドロキシ−ω−(2−チエニルスルファニル)アルカン
酸ユニットを含むPHAを製造する際には、培地とし
て、PHA生産用の原料として、このモノマーユニット
に対応する、上記一般式(27)で示されるω−(2−
チエニルスルファニル)アルカン酸化合物に加えて、微
生物の増殖用炭素源とを少なくとも含んだ無機培地など
を用いることができる。原料の一般式(27)で示され
る化合物は、培地あたり0.01%〜1%(w/v)の
範囲、より好ましくは、0.02%〜0.2%(w/
v)の範囲に初期の含有率を選択することが望ましい。
原料の一般式(27)で示されるω−(2−チエニルス
ルファニル)アルカン酸は、末端にチオフェン環を有す
るなどの構造のため、その水溶性は必ずしも良好ではな
いが、上記する微生物は、この化合物を基質として利用
できる特性を有するので、培養当初、その溶解度を超え
る部分は、部分的に懸濁された状態であっても、培養を
継続する間に微生物が徐々にその細胞内に取り込む結
果、部分的に懸濁されていたものが代わって、培地に溶
解するので何ら問題とはならない。
【0185】なお、原料の一般式(27)で示される化
合物は、分散性を高めるため、場合によっては、1−ヘ
キサデセンやn−ヘキサデカンのような溶媒に溶解、あ
るいは、微細な懸濁物とした形状で培地中に添加するこ
とも可能である。その際には、利用する1−ヘキサデセ
ンやn−ヘキサデカンのような溶媒の添加濃度は、培地
に対して、その濃度は3%(v/v)以下にすることが
必要である。
【0186】培地には、微生物が増殖に利用する増殖用
炭素源を別途添加する。この増殖用炭素源は、酵母エキ
スやポリペプトン、肉エキスといった栄養素を用いるこ
とが可能である。更に、糖類、TCA回路中の中間体と
して生じる有機酸ならびにTCA回路から一段階ないし
は二段階の生化学反応を経て生じる有機酸またはその
塩、アミノ酸またはその塩、炭素数4〜12の直鎖アル
カン酸またはその塩などから、用いる菌株に応じて、炭
素源としての有用性を考慮して、適宜選択することがで
きる。
【0187】これら種々の炭素源のうち、糖類として
は、グリセロアルデヒド、エリトロース、アラビノー
ス、キシロース、グルコース、ガラクトース、マンノー
ス、フルクトースといったアルドース、グリセロール、
エリトリトール、キシリトール等のアルジトール、グル
コン酸等のアルドン酸、グルクロン酸、ガラクツロン酸
等のウロン酸、マルトース、スクロース、ラクトースと
いった二糖等から選ばれる1つ以上の化合物が好適に利
用できる。
【0188】また、有機酸あるいはその塩としては、ピ
ルビン酸、リンゴ酸、乳酸、クエン酸、コハク酸または
それらの塩からなる群から選ばれる1つ以上の化合物が
好適に利用できる。一方、アミノ酸またはその塩として
は、グルタミン酸、アスパラギン酸あるいはそれらの塩
からなる群から選ばれる1つ以上の化合物が好適に利用
できる。
【0189】一般に、これら種々の炭素源の中でも、ポ
リペプトンや糖類を用いるのがより好ましく、また、糖
類の中では、グルコース、フルクトース、マンノースか
らなる群から選択される少なくとも一つを用いることが
さらに好ましい。これらの炭素源基質は、通常、培地あ
たり0.1%〜5%(w/v)の範囲、より好ましく
は、0.2%〜2%(w/v)の範囲にその含有率を選
択することが望ましい。
【0190】微生物にPHAを生産・蓄積させる工程1
における、培養方法としては、一旦十分に増殖させた後
に、塩化アンモニウムのような窒素源を制限した培地へ
菌体を移し、目的ユニットの基質となる化合物を加えた
状態でさらに培養すると生産性が向上する場合がある。
例えば、前記の異なる培養条件からなる工程を複数段接
続した多段方式の採用が挙げられる。
【0191】より具体的には、(工程1−1)として、
一般式(27)で示される化合物、ならびに炭素源とな
るポリペプトンを含む培地中で微生物を培養する工程を
対数増殖後期から定常期の時点まで続け、一旦菌体を遠
心分離等で回収した後、これに続き、(工程1−2)と
して、一般式(27)で示される化合物、ならびに炭素
源となる有機酸またはその塩とを含み、窒素源を含まな
い培地中で、前段の工程1−1で培養・増殖した微生物
の菌体をされに培養する工程を行う二段階培養方法、あ
るいは、(工程1−3)として、一般式(27)で示さ
れる化合物、ならびに炭素源となる糖類を含む培地中で
微生物を培養する工程を対数増殖後期から定常期の時点
まで続け、一旦菌体を遠心分離等で回収した後、これに
続き、(工程1−4)として、一般式(27)で示され
る化合物、ならびに炭素源となる糖類を含み、窒素源を
含まない培地中で、前段の工程1−3で培養・増殖した
微生物の菌体をされに培養する工程を行う二段階培養方
法等を利用することが一層好ましい。この二段階培養方
法では、前段において、原料の上記一般式(27)で示
されるω−(2−チエニルスルファニル)アルカン酸か
ら、目的とする中間原料の、側鎖末端に2−チエニルス
ルファニル基を保持する3−ヒドロキシアルカン酸ユニ
ットを含むPHAを生産させつつ、菌体の増殖を予め行
い、後段では、窒素源を含まない培地中で、既に培養さ
れた菌体に、主にPHAの生産を行わせる培養形態とす
ることで、細胞内に蓄積されるPHA量をさらに高くす
ることができる。
【0192】工程1における培養温度は、上記の菌株が
良好に増殖可能な温度であればよく、例えば、15〜4
0℃、好ましくは20〜35℃の範囲、より好ましくは
20℃〜30℃の範囲に選択するこのが適当である。
【0193】培養は、液体培養、固体培養など、利用す
る微生物が増殖し、培地中に含有される原料の一般式
(27)に示される化合物から、前記側鎖末端に2−チ
エニルスルファニル基を保持する3−ヒドロキシアルカ
ン酸ユニットを含むPHAを生産する培養方法ならば、
いかなる培養方法をも用いることができる。さらには、
原料、炭素源、さらには酸素の供給が適正に行われるな
らば、バッチ培養、フェドバッチ培養、半連続培養、連
続培養などの種類も問わない。例えば、液体バッチ培養
の形態としては、振とうフラスコによって振とうさせて
酸素を供給する方法、ジャーファーメンターによる攪拌
通気方式の酸素供給方法がある。
【0194】上記の培養方法に用いる無機培地として
は、リン源(例えば、リン酸塩など)、窒素源(例え
ば、アンモニウム塩、硝酸塩など)等、微生物の増殖に
必要な成分を含んでいる培地であればいかなるものでも
良く、例えば、MSB培地、M9培地等を挙げることが
できる。
【0195】例えば、後の述べる実施例において用いた
無機塩培地:M9培地の組成を以下に示す。
【0196】[M9培地] Na2HPO4 6.2g KH2PO4 3.0g NaCl 0.5g NH4Cl 1.0g (培地1リットル中、pH7.0) 更に、良好な増殖と、それに伴うPHAの生産のために
は、上記の無機塩培地に、例えば、以下に示す微量成分
溶液を0.3%(v/v)程度添加して、必須微量元素
を補う必要がある。
【0197】[微量成分溶液] ニトリロ三酢酸 :1.5g; MgSO4 :3.0g; MnSO4 :0.5g; NaCl :1.0g; FeSO4 :0.1g; CaCl2 :0.1g; CoCl2 :0.1g; ZnSO4 :0.1g; CuSO4 :0.1g; AlK(SO42:0.1g; H3BO3 :0.1g; Na2MoO4 :0.1g; NiCl2 :0.1g (溶液1リットル中、pH7.0) (次亜塩素酸ナトリウム処理工程)例えば、本出願人に
より先に出願された、特願2001−057085号に
開示されているように、本発明に用いる微生物はこのよ
うな培養方法により、側鎖末端に置換する2−チエニル
スルファニル基として、チオフェン環とスルファニル基
(−S−)を有するユニットを含むPHAを生産する。
本発明のPHAはこのようにして生産されたPHA中の
硫黄部分のうち、スルファニル基(−S−)を選択的に
酸化することで製造することができる。その具体的な例
としては、前記中間原料の、3−ヒドロキシ−ω−(2
−チエニルスルファニル)アルカン酸ユニットを含むP
HAに、酸化試薬として、次亜塩素酸ナトリウムを利用
する処理を施すことで製造することができる。
【0198】かかる工程2における、次亜塩素酸ナトリ
ウムを利用する処理方法のうち、最も簡便な手段は、工
程1における培養により、本発明のPHAの前駆体(中
間原料)である3−ヒドロキシ−ω−(2−チエニルス
ルファニル)アルカン酸ユニットを含むPHAをその細
胞内に生産・蓄積している微生物細胞をそのまま次亜塩
素酸ナトリウム水溶液に懸濁し、攪拌して、細胞由来の
不溶成分の除去と、PHAに対する処理を同時に行う方
法である。この細胞に対して直接次亜塩素酸ナトリウム
を作用させる方法では、次亜塩素酸ナトリウムによる処
理を終えたPHAは、最終段階で不溶成分として回収す
る。この手段を採用する際、次亜塩素酸ナトリウム水溶
液の濃度が比較的高い場合、あるいは、反応温度が比較
的高い場合は、処理終了後、不溶成分として、本発明の
PHAはほぼ純粋な形で回収されるものの、反応条件が
厳し過ぎる際には、部分的に主鎖のエステル結合の分断
に起因する分子量低下などが起こる場合もある。一方、
次亜塩素酸ナトリウム水溶液の濃度が低い場合には、同
時に進行する菌体細胞由来成分の酸化・可溶化処理が不
十分となり、不溶成分中に、例えば、細胞膜などの菌体
細胞由来成分の一部が残留する場合がある。
【0199】この菌体細胞由来成分の残留を回避する一
つの手段としては、予め培養微生物細胞を破砕し、本発
明のPHAの前駆体である、微生物が産生した3−ヒド
ロキシ−ω−(2−チエニルスルファニル)アルカン酸
ユニットを含むPHAを粗製で回収する工程を設け、そ
の後、回収した前駆体PHA(中間原料)に次亜塩素酸
ナトリウムによる処理を施す方法がある。この細胞破砕
し、前駆体PHA(中間原料)を分離・回収する工程を
設ける方法を利用すると、工程2における次亜塩素酸ナ
トリウムによる処理を、比較的温和な条件で行っても、
純度の高いPHAを回収することができる。
【0200】更に、菌体細胞由来成分の残留を回避す
る、もう一つの方法としては、工程1後、培地から分離
した、産生したPHAを細胞内に蓄積している微生物細
胞から、クロロホルムやアセトンといったかかるPHA
の可溶溶媒により、PHAのみを抽出・単離する工程を
設け、その後、抽出・単離される前駆体PHA(中間原
料)に次亜塩素酸ナトリウムによる処理を施す方法があ
る。この溶媒抽出による前駆体PHA(中間原料)を分
離・回収する工程を設ける方法では、抽出・回収された
PHAが、水性媒体中で塊状になる場合があり、その結
果、次亜塩素酸ナトリウムによる処理効率が著しく低下
するという操作上の困難を伴う場合も多い。その観点か
らは、先に述べた2つの方法は、前駆体PHAは、本
来、微生物細胞中に微粒子状で存在しており、その状態
のまま、微粒子状の前駆体PHAを水懸濁状態で次亜塩
素酸ナトリウムによる処理を施すことが可能であること
から、操作上もより簡便な方法である。
【0201】本発明のPHAの製造方法で用いる次亜塩
素酸ナトリウムは、本発明の目的、すなわち、2−チエ
ニルスルファニル基として存在するスルファニル基(−
S−)の選択的な酸化を行え、併せて、かかる2−チエ
ニルスルファニル基が置換している側鎖炭素鎖の末端メ
チレン基の塩素化に寄与しうる限り、いかなる形態のも
のをも用いることが可能である。一般に、次亜塩素酸ナ
トリウムの水溶液の形態で利用する。
【0202】本発明のPHAの製造方法の工程2におけ
る、次亜塩素酸ナトリウムの処理条件としては、処理さ
れる前駆体PHAの状態(菌体成分の有無、塊状か微粒
子状か等)に依って適宜選択されるものであるが、概ね
以下の範囲に選択することが好ましい。
【0203】次亜塩素酸ナトリウムの濃度は、処理液中
の有効塩素濃度として、0.5質量%〜12.0質量%
の範囲、好ましくは、1.5質量%〜5.0質量%の範
囲に選択することが望ましい。また、細胞ごと、処理を
施す際には、処理される微生物細胞の乾燥重量1g当た
り、50ml〜300mlの範囲にその液量を選択し
て、処理することが望ましい。その際、処理温度は、室
温(20℃程度)より高く選択すると、上述するPHA
の分子量低下をまねく恐れがあるため、0℃〜20℃の
範囲、好ましくは、0℃〜10℃の範囲に選択し、反応
活性を制御しつつ実施することが好ましい。また、反応
時間は、次亜塩素酸ナトリウムの濃度、処理温度に依る
が、例えば、前記の好適な濃度、温度範囲を選択する際
には、通常、1時間〜5時間の範囲、望ましくは、2時
間前後に選択することで、不要な副次的反応の蓄積を回
避することが可能となる。
【0204】前記次亜塩素酸ナトリウムによる処理条件
で、工程1において培養された微生物菌体に蓄積された
3−ヒドロキシ−ω−(2−チエニルスルファニル)ア
ルカン酸ユニットを含むPHAは、その3−ヒドロキシ
−ω−(2−チエニルスルファニル)アルカン酸ユニッ
ト部分が、下記一般式(1):
【0205】
【化80】 (式中、xは、化学式中に示す0〜8の範囲から選択さ
れる整数を表し、ポリマー中において一つ以上を含むこ
とができる)で示される3−ヒドロキシ−ω−(2−チ
エニルスルフィニル)アルカン酸ユニット及び、下記一
般式(2):
【0206】
【化81】
【0207】(式中、xは、化学式中に示す0〜8の範
囲から選択される整数を表し、ポリマー中において一つ
以上を含むことができる)で示される3−ヒドロキシ−
ω−(2−チエニルスルホニル)アルカン酸ユニットと
を含み、下記一般式(3):
【0208】
【化82】
【0209】(式中、xは、化学式中に示す0〜8の範
囲から選択される整数を表し、ポリマー中において一つ
以上を含むことができる)で示されるω−クロロ−3−
ヒドロキシ−ω−(2−チエニルスルフィニル)アルカ
ン酸ユニット、下記一般式(4):
【0210】
【化83】
【0211】(式中、xは、化学式中に示す0〜8の範
囲から選択される整数を表し、ポリマー中において一つ
以上を含むことができる)で示されるω−クロロ−3−
ヒドロキシ−ω−(2−チエニルスルホニル)アルカン
酸ユニット、下記一般式(5):
【0212】
【化84】 (式中、xは、化学式中に示す0〜8の範囲から選択さ
れる整数を表し、ポリマー中において一つ以上を含むこ
とができる)で示されるω,ω−ジクロロ−3−ヒドロ
キシ−ω−(2−チエニルスルフィニル)アルカン酸ユ
ニット、下記一般式(6):
【0213】
【化85】
【0214】(式中、xは、化学式中に示す0〜8の範
囲から選択される整数を表し、ポリマー中において一つ
以上を含むことができる)で示されるω,ω−ジクロロ
−3−ヒドロキシ−ω−(2−チエニルスルホニル)ア
ルカン酸ユニットの、前記一般式(3)〜(6)で示さ
れる4種類のクロロ置換体ユニットのうち、少なくとも
1種類をさらに、ホリマー分子中に含むPHAへと変換
される。なお、前記一般式(1)〜(6)で示される6
種類のユニットは、元となる3−ヒドロキシ−ω−(2
−チエニルスルファニル)アルカン酸ユニットと同様
に、3位の炭素原子は不斉炭素原子であり、本発明の微
生物を利用する製造方法では、その絶対配置は、R体と
なっている。従って、本発明の製造方法により作製され
るPHAは、3位の不斉炭素原子の絶対配置はいずれも
R体をとる光学異性体として製造され、生分解性を有す
るものである。加えて、前記一般式(3)、(4)で示
される2種類のモノクロロ置換体ユニットは、その末端
(ω位)の炭素原子も不斉炭素原子であるが、工程2の
次亜塩素酸ナトリウム処理によるクロロ置換では、絶対
配置に対する選択性は一般に見出されない。また、かか
る一般式(3)、(4)で示される2種類のモノクロロ
置換体ユニットを含むPHAの生分解性に対して、3位
の不斉炭素原子の絶対配置はいずれもR体をとる光学異
性体である限り、その末端(ω位)炭素原子の絶対配置
は実質的な影響を及ぼさない。
【0215】工程2の次亜塩素酸ナトリウム処理終了
後、処理液中のPHAを回収する手段としては、PHA
を共存する可溶化成分から効果的に分離精製し得る方法
であれば、いかなる方法をも用いることができる。例え
ば、遠心分離法を用いることができる。また、次亜塩素
酸ナトリウム由来の塩素が、回収したPHAに残存する
可能性がある際には、回収したPHAを精製水などで洗
浄する工程を付加することが好ましい。更に、このPH
Aの物理化学的性質が変わらない範囲で、残留塩素を除
去し得る薬剤を用いて、洗浄する工程を付加することが
より好ましい。
【0216】本発明の新規なポリヒドロキシアルカノエ
ートは、それを構成するモノマーユニットとして、上記
する一般式(1)及び(2)で示されるユニット、なら
びに、一般式(3)〜(6)で示される4種類のクロロ
置換体ユニットのうち、少なくとも一種のユニットを含
んでおり、これらユニット中にチオフェン環及びスルホ
ン構造(−SO2−)、あるいは、スルホキシド構造
(−SO−)を有しており、加えて、そのスルホン構造
(−SO2−)、あるいは、スルホキシド構造(−SO
−)の硫黄原子に隣接するメチレン基上にクロロ基が置
換された部分構造を有している。このような特異な構造
を有していることで、分子内において電子の局在化が起
こり、例えば、光機能性材料やデバイス材料といった、
通常のポリヒドロキシアルカノエートとは大きく異なっ
た領域での材料展開を可能とする。
【0217】従って、上記の製造法で作製される、分子
内において電子の局在化が容易に起こる本発明のPHA
は、荷電制御剤として利用する上で、きわめて優れた特
性を有し、かつ、該荷電制御剤を含有する静電荷像現像
用トナーとして、該静電荷像現像用トナーを一定の現像
システムを有する画像形成装置に使用した場合に著しい
効果がある。
【0218】すなわち、本発明にかかるPHAの用途発
明の第一は、本発明の荷電制御剤であり、この荷電制御
剤は、下記一般式(1):
【0219】
【化86】 (式中、xは、化学式中に示す0〜8の範囲から選択さ
れる整数を表し、ポリマー中において一つ以上を含むこ
とができる)で示されるユニット及び、下記一般式
(2):
【0220】
【化87】 (式中、xは、化学式中に示す0〜8の範囲から選択さ
れる整数を表し、ポリマー中において一つ以上を含むこ
とができる)で示されるユニットとを含み、下記一般式
(3):
【0221】
【化88】
【0222】(式中、xは、化学式中に示す0〜8の範
囲から選択される整数を表し、ポリマー中において一つ
以上を含むことができる)で示されるユニット、下記一
般式(4):
【0223】
【化89】 (式中、xは、化学式中に示す0〜8の範囲から選択さ
れる整数を表し、ポリマー中において一つ以上を含むこ
とができる)で示されるユニット、下記一般式(5):
【0224】
【化90】
【0225】(式中、xは、化学式中に示す0〜8の範
囲から選択される整数を表し、ポリマー中において一つ
以上を含むことができる)で示されるユニット、下記一
般式(6):
【0226】
【化91】
【0227】(式中、xは、化学式中に示す0〜8の範
囲から選択される整数を表し、ポリマー中において一つ
以上を含むことができる)で示されるユニット、この一
般式(3)〜(6)で示されるユニット4種類のユニッ
トのうち、少なくとも1種類のユニットとを、ポリマー
分子中に有するポリヒドロキシアルカノエート(PH
A)を含有してなる荷電制御剤であり、更に、該PHA
は、下記一般式(7):
【0228】
【化92】 (式中、yは、化学式中に示す0〜8の範囲から選択さ
れる整数を表し、ポリマー中において一つ以上を含むこ
とができる)で示されるユニット、または、下記一般式
(8):
【0229】
【化93】
【0230】(式中、zは、化学式中に示す3または5
から選択される整数を表し、ポリマー中において一つ以
上を含むことができる)で示されるユニット(y及びz
は、一般式(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、
(6)で示すユニットと独立して化学式中に示した範囲
内で任意の一つ以上の整数値をとり得る。)の少なくと
もいずれか一つを更に有するPHAを含有してなる荷電
制御剤であり、更には、該荷電制御剤を含有してなる静
電荷像現像用トナーである。また、本発明のPHAを使
用する方法として、本発明の画像形成方法は、上記の静
電荷像現像用トナーを、外部より帯電部材に電圧を印加
し、静電潜像担持体を均一に帯電させる帯電工程と、静
電潜像担持体上にトナー像を形成する現像工程と、静電
潜像担持体上のトナー像を中間の転写体を介して、また
は、介さずに被転写材へ転写する転写工程と、被転写材
上のトナー像を熱によって定着する加熱定着工程とを有
する画像形成方法であり、更には、上記の静電荷像現像
トナーを用いて被記録材へ画像を形成することを特徴と
する画像形成装置である。
【0231】ここで、本発明の荷電制御剤に利用される
PHA化合物は、生分解性樹脂としての基本骨格を有し
ており、環境等に悪影響を及ぼさない効果が期待でき
る。本発明の荷電制御剤に利用されるPHA化合物は、
従来のプラスチックと同様、溶融加工等により各種製品
の生産に利用することができるとともに、石油由来の合
成高分子とは異なり、生物により分解されうるという際
立った特性を有している。従って、廃棄した際、本発明
の荷電制御剤に利用されるPHA化合物は、微生物等に
よって分解され、最終的に自然界の物質循環に取り込ま
れるので、従来利用されていた、多くの合成高分子化合
物のように自然環境に残留して汚染を引き起こすことが
ない。また、クロム、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、
鉄などの重金属を使用する必要がないため、従来の荷電
制御剤に比較して環境への負担がさらに少ない。さら
に、生分解処理を行うことで、燃焼処理を行う必要もな
いため、大気汚染や地球温暖化を防止するという観点で
も有効な材料であり、環境保全を可能とするプラスチッ
クとして利用することができる。
【0232】本発明の静電荷像現像用トナーに使用する
帯電制御剤として好適な、本発明のPHA化合物につい
て具体的に説明する。
【0233】本発明の帯電制御剤で使用するPHA化合
物は、3−ヒドロキシアルカノエートをモノマー単位と
するポリエステル樹脂であって、側鎖にチエニル環及び
スルホニル構造を有するユニットを含み、それ以外のユ
ニットとしてチエニル環及びスルフィニル構造或いはス
ルホニル構造を有し、更にそのα位のメチレンがクロロ
置換されている構造を有するユニットを含んでいる。さ
らに本発明の帯電制御剤で使用するPHA化合物は、先
に示したユニット以外に直鎖の3−ヒドロキシアルカノ
エート及び側鎖に不飽和結合を含んだ3−ヒドロキシア
ルケノエートを同時に或いは独立して含んでいても良
い。
【0234】ここで、このPHA化合物を、微生物によ
り生産せしめる工程を含んだ方法で製造した場合、本発
明にかかるPHA化合物は、それ構成するユニットは、
R体のみからなるアイソタクチックなポリマーとなる。
なお、物性/機能の両面において、本発明の帯電制御剤
に求められる目的・機能を達成しうるならば、利用する
PHA化合物は、特にアイソタクチックなポリマーであ
る必要はなく、アタクチックなポリマーについても利用
することが可能である。また、ラクトン化合物の開環重
合などを利用した化学合成法により、本発明にかかるP
HA化合物を得ることも可能である。
【0235】本発明の荷電制御剤において、重要なこと
は、本発明の荷電制御剤に含有されているポリヒドロキ
シアルカノエートが、側鎖にチエニル環及びスルフィニ
ル構造若しくはスルホニル構造を有するユニットを含
み、それ以外のユニットとしてチエニル環及びスルフィ
ニル構造或いはスルホニル構造を有し、更にそのα位の
メチレンがクロロ置換されているユニットを含んでいる
ことである。これらの構造により分子内で電子の局在化
が起こり、本発明の荷電制御剤は優れた負帯電性を有す
るものとなる。これらの構造を有するユニットを含む本
発明の荷電制御剤は、これまで開示されてきた負帯電性
高分子電荷制御剤とは異なり、イオン性官能基を含有せ
ず、耐湿性を含めた耐候性に優れたものである。
【0236】また、これらの構造を有するユニットの比
率を変化させることにより、帯電の立ち上がりをコント
ロールすることが可能である。更に、これらのユニット
比の制御により、さらに環境依存性を少なくすることも
可能である。
【0237】本発明の荷電制御剤に含有されているポリ
ヒドロキシアルカノエートは、製造上、側鎖にチエニル
環を含み且つ、スルフィニル構造(−SO−)あるいは
スルホニル構造(−SO2−)を有するユニット、すな
わち、上記一般式(1)及び(2)に示されるユニット
を必須なユニットとして含有するが、加えて、チエニル
環及びスルフィニル構造あるいはスルホニル構造を有
し、更にそのスルフィニル基あるいはスルホニル基に隣
接するメチレンがクロロ置換されている構造を有してい
るユニット、すなわち、上記一般式(3)、(4)、
(5)、(6)に示されるユニットのうち、少なくとも
1種類のユニットを更に含んでおり、本発明の荷電制御
剤の帯電性能に対する寄与面から考えると、一般式
(1)及び(2)に示されるユニットに加えて、これら
クロロ置換されているユニットを含むことが、本発明の
荷電制御剤の帯電性能に多大に寄与しているものと考え
られる。
【0238】これら一般式(3)、(4)、(5)、
(6)に示される構造を有するユニットの含有率は、ポ
リマー中に少なくとも、1mol%以上含まれていれば良
く、その他の一般式(1)及び(2)に示されるユニッ
トなどとの含有比率、また、所望とする帯電性をも考慮
して、適宜選択すれば良い。なお、荷電制御剤として、
トナー粒子に十分な帯電性を付与する上では、一般式
(3)、(4)、(5)、(6)に示される構造を有す
るユニットの含有率は、ポリマー中において、5mol%
以上に選択することがより好ましい。また、一般式
(3)、(4)、(5)、(6)に示される構造を有す
るユニットの含有率の上限については、荷電制御剤を添
加するトナーにおいて選択されるバインダー樹脂の種
類、ならびに、ポリマー中に含まれる、その他のユニッ
トを考慮すれば良く、トナーに添加する際、バインダー
樹脂に対する相溶性を損なわない範囲であれば、含有率
の上限に制限はない。
【0239】本発明の荷電制御剤に利用されるPHA化
合物は、バインダー樹脂に対する相溶性が良好であり、
特にはポリエステル系のバインダー樹脂に対する相溶性
がきわめて良好である。荷電制御剤として、この本発明
のPHA化合物を含有せしめたトナーは、比帯電量が高
く、その経時安定性も良好であることから、トナーを長
時間保存しても静電記録の画像形成において安定して鮮
明な画像を与え、また、無色の負の帯電性能をもつた
め、黒色の負帯電トナーおよびカラートナー何れについ
ても製出することが出来る。
【0240】さらに、本発明にかかるPHA化合物を構
成するモノマーユニットの種類/組成比を適宜選択する
ことにより、幅広い相溶性の制御が可能である。ここ
で、荷電制御剤がトナーバインダー中でミクロ相分離構
造をとるよう樹脂組成を選択すると、トナーの電気的連
続性が生じないため安定に電荷を保持することが可能と
なる。また、本発明のPHA化合物は、荷電制御剤とし
て利用する際、重金属を含まない形状で使用できるた
め、環境に対する安全性がきわめて高い。また、懸濁重
合法や乳化重合法でトナーを作製する際には、含金属の
荷電制御剤で見られるような重金属による重合禁止作用
がないので、安定してトナーを製出することが出来る。
【0241】(PHAのトナーへの添加)本発明におい
て、上記した本発明にかかるPHA化合物を含む荷電制
御剤をトナーに含有させる方法としては、トナーに内添
する方法とトナーに外添する方法がある。内添する場合
の添加量は、トナーバインダーと該荷電制御剤の質量割
合として、通常0.1〜50質量%、好ましくは0.3
〜30質量%、さらに好ましくは0.5〜20質量%の
範囲で使用するのがより好ましい。0.1質量%よりも
少ないと、トナーの帯電性における改良の度合いが顕著
にみられず好ましくない。一方、50質量%を超える
と、経済的な観点から好ましくない。また、外添する場
合には、トナーバインダーと該荷電制御剤の質量割合は
0.01〜5質量%とすることが好ましく、特に、メカ
ノケミカル的にトナー表面に固着させるのが好ましい。
更に、本発明の荷電制御剤は、本発明の目的、効果を損
なわない範囲で、公知の荷電制御剤と組み合わせて使用
することもできる。
【0242】本発明の荷電制御剤に利用する際、PHA
化合物の数平均分子量は、通常1,000〜500,00
0の範囲、好ましくは1,000〜100,000の範囲
であることがこのましい。数平均分子量が1,000未
満であると、トナーバインダーに完全相溶し、不連続な
ドメインを形成しにくくなるため、トナーの帯電量不足
となるとともに、トナーの流動性に悪影響を与える。ま
た、数平均分子量が500,000を超えると、トナー
中に分散させるのが困難となる。
【0243】本発明の荷電制御剤に利用するPHA化合
物の分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマト
グラフィー)により測定する。具体的なGPCの測定方
法としては、予め本発明のPHA化合物を、0.1質量
%LiBr含有ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解
し、多サンプルを同様の移動相で測定し、標準ポリスチ
レン樹脂の検量線から、ポリスチレン換算の分子量分布
を求める。
【0244】また、本発明の荷電制御剤においては、上
記GPC法で測定した重量平均分子量(Mw)と数平均
分子量(Mn)との比率(Mw/Mn)が、1〜10の
範囲内にある本発明のPHA化合物を使用することが好
ましい。
【0245】本発明の荷電制御剤において、利用する本
発明のPHA化合物は、20〜150℃、特に40〜1
50℃の融点を持つか、または融点は持たないが20〜
150℃、特に40〜150℃のガラス転移点を持つこ
とが好ましい。上記融点が20℃未満、または融点を持
たずガラス転移点が20℃未満の場合は、本発明の荷電
制御剤を添加するトナーの流動性や、保存性に悪影響を
与えやすい。また、融点が150℃を超えるか、または
融点を持たずガラス転移点が150℃を超える場合は、
本発明の荷電制御剤をトナー中に混練することが困難に
なり、帯電量分布が広くなりやすい。
【0246】本発明のPHA化合物について、その融点
Tmあるいはガラス転移点Tgの測定には、例えば、パ
ーキンエルマー社製のDSC−7のような高精度の内熱
式入力補償型の示差走査熱量計を用いて測定を行えばよ
い。
【0247】本発明のトナーバインダーおよび静電荷像
現像用トナーにおいて、トナーバインダー樹脂と該荷電
制御剤の含有割合は、バインダー樹脂と該荷電制御剤の
合計に対する荷電制御剤の比率を、通常0.1〜50質
量%、好ましくは0.3〜30質量%、さらに好ましく
は0.5〜20質量%である。本発明の静電荷像現像用
トナーの組成比は、トナー粒子の質量に基づき、通常、
前記荷電制御剤が0.1〜50質量%、トナーバインダ
ーが20〜95質量%、着色材料が0〜15質量%であ
る。かかるトナー粒子を磁性トナー粒子とする際には、
必要により磁性粉(鉄、コバルト、ニッケルなどの強磁
性金属の粉末もしくはマグネタイト、ヘマタイト、フェ
ライトなどの化合物)を、前記着色材料としての機能を
兼ねて60質量%以下含有する組成としていてもよい。
さらに、種々の添加剤、例えば、滑剤(ポリテトラフル
オロエチレン、低分子量ポリオレフィン、脂肪酸、もし
くはその金属塩またはアミドなど)および他の荷電制御
剤(ニグロシン誘導体、ナフテン酸金属、アルコキシル
化アミン、四級アンモニウム塩など)を含有させること
もできる。また、トナー粒子の流動性改良のために、疎
水性コロイダルシリカ微粉末等を用いることもできる。
これら添加剤の添加量は、トナー粒子の質量に基づき、
通常10質量%以下の範囲に選択する。
【0248】本発明のトナーにおいては、トナーバイン
ダーの少なくとも一部が連続相を形成しており、荷電制
御剤の少なくとも一部が不連続なドメインを形成してい
ることが好ましい。不連続なドメインを形成せずに、ト
ナーバインダー中に荷電制御剤が完全相溶する場合と比
較して、不連続なドメインを形成することで、添加した
荷電制御剤がトナー表面に露出しやすくなると、少量の
添加で、荷電制御剤として十分な効果を発現する。ま
た、荷電制御剤の特性をより効果的に発揮する上では、
該不連続なドメインの分散粒径は、好ましくは0.01
〜4μmであり、さらに好ましくは0.05〜2μmで
ある。4μmを超えると分散性が不充分であり、帯電量
分布が広くなるとともに、トナーの透明性が悪くなる問
題が生じる。また、分散粒径が0.01μm未満では、
不連続なドメインを形成せずにトナーバインダー中に完
全相溶する場合と同様であり、多量の荷電制御剤の添加
が必要となる。前記荷電制御剤の少なくとも一部が不連
続なドメインを形成していること、およびその分散粒径
は、透過型電子顕微鏡などでトナーの切片を観察するこ
とで確認できる。不連続なドメインの界面を明瞭に観察
するために、四酸化ルテニウム、四酸化オスニウムなど
でトナー切片を染色した後に電子顕微鏡観察をすること
も有効である。
【0249】また、本発明のPHA化合物が、トナー粒
子に添加した際に形成する不連続なドメインの粒径を小
さくする目的で、本発明のPHA化合物に対して相溶性
を有し、かつトナーバインダー樹脂に対しても相溶性を
有する重合体を相溶化剤として含有させることもでき
る。相溶化剤としては、本発明のPHA化合物を構成す
るユニットと実質的に同じ構造を有するユニットを50
モル%以上含有する重合体鎖と、トナーバインダー樹脂
の構成単量体ユニットと実質的に同じ構造を有する単量
体ユニットを50モル%以上含有する重合体鎖とを、グ
ラフト状またはブロック状に結合した共重合体などが挙
げられる。相溶化剤の使用量は、トナー粒子中に添加さ
れる本発明のPHA化合物に対して、通常30質量%以
下であり、好ましくは1〜10質量%の範囲に選択す
る。
【0250】<他の構成材料>以下、本発明の静電荷像
現像用トナーを構成するその他の構成材料について説明
する。
【0251】(バインダー樹脂)先ず、バインダー樹脂
としては、通常、トナーを製造する際に用いられている
ものであればいずれも使用することができ、特に限定さ
れない。また、本発明の荷電制御剤は、トナーとする前
にバインダー樹脂とあらかじめ混合し、荷電制御能をも
つ本発明のトナーバインダー組成物として用いることが
できる。例えば、バインダー樹脂としては、スチレン系
ポリマー、ポリエステル系ポリマー、エポキシ系ポリマ
ー、ポリオレフィン系ポリマーおよびポリウレタン系ポ
リマーなどが挙げられ、単独または混合して使用するこ
とができる。
【0252】スチレン系ポリマーとしては、スチレンと
(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体およびこれら
と共重合可能な他の単量体の共重合体、スチレンとジエ
ン系単量体(ブタジエン、イソプレンなど)との共重合
体およびこれらと共重合可能な他の単量体の共重合体な
どが挙げられる。ポリエステル系ポリマーとしては芳香
族ジカルボン酸と芳香族ジオールのアルキレンオキサイ
ド付加物との重縮合物などが挙げられる。エポキシ系ポ
リマーとしては芳香族ジオールとエピクロルヒドリンと
の反応物およびこれの変性物などが挙げられる。ポリオ
レフィン系ポリマーとしてはポリエチレン、ポリプロピ
レンおよびこれらと他の共重合可能な単量体との共重合
体鎖などが挙げられる。ポリウレタン系ポリマーとして
は芳香族ジイソシアネートと芳香族ジオールのアルキレ
ンオキサイド付加物との重付加物などが挙げられる。
【0253】本発明のトナーにおいて用いられるバイン
ダー樹脂の具体例としては、以下に挙げる重合性単量体
の重合体、または、これらの混合物、或いは、以下に挙
げる重合性単量体を2種類以上使用して得られる共重合
生成物が挙げられる。このようなものとしては、具体的
には、例えば、スチレン−アクリル酸共重合体、あるい
はスチレン−メタクリル酸系共重合体などのスチレン系
ポリマー、さらには、ポリエステル系ポリマー、エポキ
シ系ポリマー、ポリオレフィン系ポリマーならびにポリ
ウレタン系ポリマー等が挙げられ、好ましく使用でき
る。
【0254】重合性単量体の具体例としては、例えば、
スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、
p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェ
ニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロル
スチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチ
レン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチル
スチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチ
ルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシル
スチレン、p−n−ドデシルスチレンなどのスチレン及
びその誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソ
ブチレンなどのエチレンや不飽和モノオレフィン類;ブ
タジエンのなどの不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化
ビニリデン、臭化ビニル、弗化ビニルなどのハロゲン化
ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ
酸ビニルなどのビニルエステル酸;メタクリル酸メチ
ル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタ
クリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタク
リル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリ
ル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メ
タクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチ
ル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどのα,β−
不飽和脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メ
チル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アク
リル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n
−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチ
ルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−ク
ロルエチル、アクリル酸フェニルなどのアクリル酸エス
テル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテ
ル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル
類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチ
ルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン類;N−ビ
ニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルイ
ンドール、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニル化合
物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリ
ロニトリル、アクリルアミドなどのアクリル酸またはメ
タクリル酸誘導体;前述のα,β−不飽和酸のエステ
ル、二塩基酸のジエステル類;マレイン酸、マレイン酸
メチル、マレイン酸ブチル、マレイン酸ジメチル、フタ
ル酸、コハク酸、テレフタル酸などのジカルボン酸類;
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチ
レングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,
3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、
1,6−ヘキサンジオール、ビスフェノールA、水素添
加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノ
ールA等のポリオール化合物;p−フェニレンジイソシ
アネート、p−キシリレンジイソシアネート、1,4−
テトラメチレンジイソシアネート等のイソシアネート
類;エチルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、
1,4−ジアミノベンゼン、1,4−ジアミノブタン、
モノエタノールアミン等のアミン類;ジグリシジルエー
テル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ビス
フェノールAグリシジルエーテル、ハイドロキノンジグ
リシジルエーテル等のエポキシ化合物等が挙げられる。
【0255】(架橋剤)本発明において使用するバイン
ダー樹脂を形成する場合、必要に応じて下記に挙げるよ
うな架橋剤を用いることもできる。例えば、2官能の架
橋剤として、ジビニルベンゼン、ビス(4−アクリロキ
シポリエトキシフェニル)プロパン、エチレングリコー
ルジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアク
リレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、
1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘ
キサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコー
ルジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレー
ト、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエ
チレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコ
ール#200、#400、#600の各ジアクリレー
ト、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロ
ピレングリコールジアクリレート、ポリエステル型ジア
クリレート、ならびに前記のアクリレートをメタクリレ
ートに変えたもの等が挙げられる。
【0256】2官能以上の多官能の架橋剤としては、例
えば、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメ
チロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロ
パントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラ
アクリレート、オリゴエステルアクリレートあるいは前
記のアクリレートをメタクリレートに変えたもの、2,
2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)
プロパン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレー
ト、トリアリルアソシアヌレート、トリアリルイソシア
ヌレート、トリアリルトリメリテート、ジアリールクロ
レンデート等が挙げられる。
【0257】(重合開始剤)また、本発明のトナーにお
いて使用するバインダー樹脂を形成する際には、必要に
応じて、重合性単量体の種類に従って、適宜選択する重
合開始剤を用いることができる。利用される重合開始剤
としては、例えば、t−ブチルパーオキシ−2−エチル
ヘキサノエート、クミンパーピバレート、t−ブチルパ
ーオキシラウレート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウ
ロイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、
ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパー
オキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,2’−アゾ
ビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メ
チルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−
ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−
メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1
−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチ
ルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキ
シ)シクロヘキサン、1,4−ビス(t−ブチルパーオ
キシカルボニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−
ブチルパーオキシ)オクタン、n−ブチル4,4−ビス
(t−ブチルパーオキシ)バリレート、2,2−ビス
(t−ブチルパーオキシ)ブタン、1,3−ビス(t−
ブチルパーオキシ−イソプロピル)ベンゼン、2,5−
ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサ
ン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオ
キシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタ
レート、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオ
キシシクロヘキシル)プロパン、ジ−t−ブチルパーオ
キシα−メチルサクシネート、ジ−t−ブチルパーオキ
シジメチルグルタレート、ジ−t−ブチルパーオキシヘ
キサヒドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシ
アゼラート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチ
ルパーオキシ)ヘキサン、ジエチレングリコール−ビス
(t−ブチルパーオキシカーボネート)、ジ−t−ブチ
ルパーオキシトリメチルアジペート、トリス(t−ブチ
ルパーオキシ)トリアジン、ビニルトリス(t−ブチル
パーオキシ)シラン等が挙げられる。これらの重合開始
剤は、単独で、あるいは二種以上を併用して、使用でき
る。その使用量は、モノマー100質量部に対し、少な
くとも、0.05質量部以上、好ましくは0.1〜15
質量部の範囲に選択することが望ましい。
【0258】(他の生分解性プラスチック)さらに、本
発明のトナーにおいては、バインダー樹脂として、生分
解性プラスチックを好適に使用できる。バインダー樹脂
に利用可能な生分解性プラスチックとしては、「エコス
ター」「エコスタープラス」(萩原工業)、「バイオポ
ール」(アイ・シー・アイ・ジャパン)、「アジコー
ト」(味の素)、「プラクセル」「ポリカプロラクト
ン」(ダイセル化学)、「ショーレックス」「ビオノー
レ」(昭和電工)、「ラクティ」(島津製作所)、「レ
イシア」(三井化学)、「ユーペック」(三菱瓦斯化
学)等の商品名で供給されている市販品が挙げられる。
【0259】これらのバインダー樹脂と本発明の荷電制
御剤の組合せは、バインダー樹脂の高分子の構造と荷電
制御剤のポリマー鎖の高分子構造とができるだけ類似し
ていることが好ましい。バインダー樹脂の高分子構造と
荷電制御剤のポリマー鎖の高分子構造が大きく異なると
バインダー樹脂中への荷電制御剤の分散が不十分になり
やすい。
【0260】本発明の荷電制御剤をバインダー樹脂に内
添する質量割合は、通常0.1〜50質量%、好ましく
は0.3〜30質量%、さらに好ましくは、0.5〜2
0質量%である。ここで、内添する荷電制御剤の質量割
合が0.1質量%未満であると、帯電量が低く、50質
量%を超えるとトナーの帯電安定性が悪くなる。
【0261】(着色剤)本発明の静電荷像現像用トナー
を構成する着色剤としては、通常、トナーを製造する際
に用いられているものであればいずれも使用でき、特に
限定されるものではない。例えば、カーボンブラック、
チタンホワイト、その他あらゆる顔料及び/または染料
を用いることができる。例えば、本発明の静電荷像現像
用トナーを磁性カラートナーとして使用する場合には、
着色剤としては、例えば、C.I.ダイレクトレッド
1、C.I.ダイレクトレッド4、C.I.アシッドレ
ッド1、C.I.ベーシックレッド1、C.I.モーダ
ントレッド30、C.I.ダイレクトブルー1、C.
I.ダイレクトブルー2、C.I.アシッドブルー9、
C.I.アシッドブルー15、C.I.ベーシックブル
ー3、C.I.ベーシックブルー5、C.I.モーダン
トブルー7、C.I.ダイレクトグリーン6、C.I.
ベーシックグリーン4、C.I.ベーシックグリーン6
等がある。顔料としては、黄鉛、カドミウムイエロー、
ミネラルファストイエロー、ネーブルイエロー、ナフト
ールイエローS、ハンザイエローG、パーマネントイエ
ローNCG、タートラジンレーキ、赤口黄鉛、モリブデ
ンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロン
オレンジ、ベンジジンオレンジG、カドミウムレッド、
パーマネントレッド4R、ウオッチングレッドカルシウ
ム塩、エオシンレーキ、ブリリアントカーミン3B、マ
ンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレッ
トレーキ、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレー
キ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、
ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC、
クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、
マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリー
ンG等を使用することができる。
【0262】また、本発明の静電荷像現像用トナーを二
成分フルカラー用トナーとして使用する場合には、着色
剤として次の様なものを使用することができる。例え
ば、マゼンタ色トナー用の着色顔料としては、C.I.
ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、
9、10、11、12、13、14、15、16、1
7、18、19、21、22、23、30、31、3
2、37、38、39、40、41、48、49、5
0、51、52、53、54、55、57、58、6
0、63、64、68、81、83、87、88、8
9、90、112、114、122、123、163、
202、206、207、209、C.I.ピグメント
バイオレット19、C.I.バットレッド1、2、1
0、13、15、23、29、35等が挙げられる。
【0263】本発明のトナーにおいては、上に挙げた顔
料を単独で使用することでも、目的とする着色が可能で
あるものの、顔料に加えて染料を併用すると、その鮮明
度の向上が達成でき、フルカラー画像における画質をよ
り高める上でより好ましい。顔料と併用できるマゼンタ
用染料としては、C.I.ソルベントレッド1、3、
8、23、24、25、27、30、49、81、8
2、83、84、100、109、121、C.I.デ
ィスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレット
8、13、14、21、27、C.I.ディスパースバ
イオレット1等の油溶染料、C.I.ベーシックレッド
1、2、9、12、13、14、15、17、18、2
2、23、24、27、29、32、34、35、3
6、37、38、39、40、C.I.ベーシックバイ
オレット1、3、7、10、14、15、21、25、
26、27、28等の塩基性染料が挙げられる。
【0264】その他の着色顔料としては、シアン用着色
顔料としては、C.I.ピグメントブルー2、3、1
5、16、17、C.I.バットブルー6、C.I.ア
シッドブルー45、さらには、フタロシアニン骨格にフ
タルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニ
ン顔料等が挙げられる。
【0265】イエロー用着色顔料としては、C.I.ピ
グメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、
11、12、13、14、15、16、17、23、6
5、73、83、C.I.バットイエロー1、3、20
等が挙げられる。
【0266】上述するように、これら染料及び顔料は、
単独で使用してもよく、あるいは、所望とするトナーの
色調を得るために、複数種を適宜に混合して使用するこ
ともできる。なお、環境保全や人体に対する安全性など
を考慮して、各種の食用色素を使用することもできる。
上記の着色剤のトナー中の含有量は、所望とする着色効
果などを考慮して、着色剤の種類に応じて適宜選択すべ
きものである。通常、最も良好なトナー特性を得るた
め、すなわち、印字の着色力、トナーの形状安定性、ト
ナーの飛散などを考慮した場合、これらの着色剤は、通
常、バインダー樹脂100質量部に対して、0.1〜6
0質量部好ましくは0.5〜20質量部程度の割合で使
用される。
【0267】(トナーの他の成分)本発明の静電荷像現
像用トナー中には、上記したバインダー樹脂及び着色剤
成分の他に、本発明の効果に悪影響を与えない範囲で
(バインダー樹脂成分の含有量より少ない割合で)以下
の化合物を含有させてもよい。例えば、シリコーン樹
脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、エポキ
シ樹脂、ポリビニルブチラール、ロジン、変性ロジン、
テルペン樹脂、フェノール樹脂、低分子量ポリエチレン
または低分子量ポリプロピレンなどの脂肪族または脂環
族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、及び、塩素化パラ
フィン、パラフィンワックス等である。これらの中でも
好ましく用いられるワックス類としては、具体的には、
低分子量ポリプロピレン及びこの副生成物、低分子量ポ
リエステル及びエステル系ワックス、脂肪族の誘導体が
挙げられる。これらのワックスから、種々の方法により
ワックスを分子量により分別したワックスも本発明に好
ましく用いられる。また、分別後に酸価やブロック共重
合、グラフト変性を行ってもよい。
【0268】特に、本発明の静電荷像現像用トナーにお
いては、上記したようなワックス成分を含み、しかも透
過型電子顕微鏡(TEM)を用いてトナーの断層観察を
行なった場合に、これらのワックス成分が、バインダー
樹脂中に実質的に球状及び/または紡錘形の島状に分散
されている場合に優れた特性のトナーとなる。
【0269】(トナーの作製方法)上記のような構成を
有する本発明の静電荷像現像用トナーを作製する具体的
な方法としては、従来公知の方法をいずれも用いること
ができる。本発明の静電荷像現像用トナーは、例えば、
下記の工程によってトナーを得る、所謂粉砕法によって
作製できる。即ち、具体的には、先に説明した本発明で
示される化合物と、バインダー樹脂等の樹脂類、その
他、必要に応じて添加されるワックスを、ヘンシェルミ
キサー、ボールミル等の混合器により充分混合してか
ら、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーの如き熱
混練機を用いて溶融混練して樹脂類をお互いに相溶せし
めた中に、着色剤としての顔料、染料、または磁性体、
必要に応じて添加される金属化合物等の添加剤を分散ま
たは溶解せしめ、冷却固化後、ジェットミル、ボールミ
ル等の粉砕機により固化物を粉砕した後、分級を行って
所望の粒径を有する本発明の静電荷像現像用トナーを得
ることができる。また、上記分級工程においては、生産
効率上、多分割分級機を用いることが好ましい。
【0270】あるいは、バインダー樹脂と本発明で示さ
れる化合物を溶剤(トルエン、キシレンなどの芳香族炭
化水素、クロロホルム、エチレンジクロライドなどのハ
ロゲン化物、アセトン、メチルエチルケトンなどのケト
ンおよびジメチルホルムアミドなどのアミドなど)を用
い、溶液混合し、攪拌処理後、水中に投じて再沈澱せし
め、濾過、乾燥後、ジェットミル、ボールミル等の粉砕
機により固化物を粉砕した後、分級を行って所望の粒径
を有する本発明の静電荷像現像用トナーを得ることもで
きる。その際にも、上記分級工程においては、生産効率
上、多分割分級機を用いることが好ましい。
【0271】また、本発明の静電荷像現像用トナーは、
下記のような所謂重合法によって作製することもでき
る。即ち、この場合には、本発明で示される化合物と、
重合性単量体、着色剤としての顔料、染料、または磁性
体、必要に応じて、架橋剤、重合開始剤、ワックス、そ
の他の添加剤等の材料を混合分散し、界面活性剤等の存
在下、水系分散媒体中で懸濁重合することにより重合性
着色樹脂粒子を合成し、得られた粒子を固液分離した
後、乾燥し、必要に応じて分級を行って本発明の静電荷
像現像用トナーを得ることができる。
【0272】さらには、荷電制御剤を含まない着色微粒
子を上記方法により調製し、次いで本発明で示される化
合物を単独もしくはコロイダルシリカ等の外添剤と供に
メカノケミカル的な方法等により粒子表面に固着添加す
ることも出来る。
【0273】(シリカ外添剤)本発明のトナーにおいて
は、上記の方法によって作製されたトナー粒子に、帯電
安定性、現像性、流動性、耐久性向上のため、シリカ微
粉末を外添することが好ましい。この目的で利用される
シリカ微粉末として、BET法で測定した窒素吸着によ
る比表面積が20m2/g以上、特には、30〜400
2/gの範囲内のものを選択すると、良好な結果を与
える。外添するシリカ微粉末の量は、トナー粒子100
質量部に対して、シリカ微粉体を0.01〜8質量部、
好ましくは0.1〜5質量部の範囲となる程度に添加量
を選用することが望ましい。外添する際、シリカ微粉末
に対して、疎水化及び帯電性を制御する目的で、シリコ
ーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオ
イル、各種変性シリコーンオイル、シランカップリング
剤、官能基を有するシランカップリング剤、その他の有
機ケイ素化合物などの処理剤で、必要に応じて表面処理
を施した上で使用することが好ましい。これらの処理剤
は混合して使用してもよい。
【0274】(無機紛体)また、トナー粒子の現像性及
び耐久性を向上させるために、以下に例示する無機粉体
を添加することも好ましい。前記用途で利用可能な無機
粉体として、例えば、マグネシウム、亜鉛、アルミニウ
ム、セリウム、コバルト、鉄、ジルコニウム、クロム、
マンガン、ストロンチウム、錫、アンチモンなどの金属
の金属酸化物;チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシ
ウム、チタン酸ストロンチウムなどの複合金属酸化物;
炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸アルミニウム
などの金属塩;カオリンなどの粘土鉱物;アパタイトな
どのリン酸化合物;炭化ケイ素、窒化ケイ素などのケイ
素化合物;カーボンブラックやグラファイトなどの炭素
粉末が挙げられる。中でも、酸化亜鉛、酸化アルミニウ
ム、酸化コバルト、二酸化マンガン、チタン酸ストロン
チウム、チタン酸マグルシウムから選択される微粉体を
使用することが好ましい。
【0275】(滑剤)更に、下記に挙げるような滑剤粉
末をトナーに添加してもよい。例えば、テフロン(登録
商標)、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素樹脂;フッ
化カーボンなどのフッ素化合物;ステアリン酸亜鉛など
の脂肪酸金属塩;脂肪酸、脂肪酸エステルなどの脂肪酸
誘導体;硫化モリブデン等が挙げられる。
【0276】(磁性キャリアについて)上記のように種
々の構成を有する本発明の静電荷像現像用トナーは、単
独で非磁性一成分現像剤として使用することもでき、あ
るいは、磁性キャリアとともに磁性二成分現像剤を構成
する非磁性トナーとすることができる。さらには、磁性
材料を予めトナー粒子に加えて、単独で磁性一成分トナ
ーとして使用される磁性トナーとすることもでき、従来
公知の種々のトナーに適用することができる。磁性二成
分現像剤として使用する際の磁性キャリアとしては、従
来知られているものをいずれも使用することができる。
具体的には、表面酸化または未酸化の鉄、ニッケル、コ
バルト、マンガン、クロム、希土類などの金属及びそれ
らの合金または酸化物で形成される平均粒径20〜30
0μmの磁性粒子を、磁性キヤリア粒子として使用でき
る。また、本発明において用いる磁性キャリアは、上記
の磁性キャリア粒子の表面に、スチレン系樹脂、アクリ
ル系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエス
テル樹脂などの物質を付着させた、あるいは被覆層を設
けているものであることが好ましい。
【0277】(磁性トナー)本発明の静電荷像現像用ト
ナーは、予め磁性材料をトナー粒子中ら含有させ磁性ト
ナーとしてもよい。その場合には、磁性材料として、着
色剤の機能を有するものを利用し、二つの機能を兼ねさ
せることもできる。この磁性トナーに使用される磁性材
料としては、マグネタイト、ヘマタイト、フェライトな
どの酸化鉄;鉄、コバルト、ニッケルのような金属、あ
るいはこれらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、
鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウ
ム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セ
レン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属
との合金ならびにその混合物が挙げられる。本発明のト
ナーを磁性トナーとする際に使用される、これらの磁性
材料は、平均粒子径が2μm以下、好ましくは0.1〜
0.5μmの範囲程度であるものが好適に利用できる。
トナー中に含有させる磁性材料の量は、バインダー樹脂
100質量部に対し20〜200質量部、特に好ましく
は、バインダー樹脂100質量部に対して40〜150
質量部の範囲に選択することが好ましい。
【0278】更に、高画質化を達成するためには、より
微小な潜像ドットを忠実に現像することが可能なトナー
粒子径とにする必要がある。すなわち、本発明の静電荷
像現像用トナー粒子のトナー粒子径を所定の解像度に適
するものとすることが望ましく、例えば、トナー粒子の
重量平均径を4μm〜9μmの範囲内となるように調整
することが好ましい。すなわち、トナー粒子の重量平均
径が4μm未満であると、転写効率の低下が生じ、従っ
て、感光体上に転写残トナーが多く残り易く、場合によ
っては、カブリ・転写不良に基づく画像の不均一ムラの
原因となり易い。一方、トナー粒子の重量平均径が9μ
mを超える場合には、文字やライン画像の飛び散りが生
じ易い。
【0279】本発明のトナーにおいて、トナーの平均粒
径及び粒度分布の評価は、例えば、コールターカウンタ
ーTA−II型あるいはコールターマルチサイザー(コー
ルター社製)等を用い、個数分布、体積分布を出力する
インターフェイス(日科機製)及びPC9801パーソ
ナルコンピューター(NEC製)を接続して、それぞれ
測定することができる。
【0280】前記の測定装置では、トナー粒子を電解液
中に均一に分散した上で、その光散乱により、平均粒径
及び粒度分布を測定する。分散液の調製に使用する電解
液として、1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水
溶液を調製する。この電解液として、例えば、市販のI
SOTON R−II(コールターサイエンティフィック
ジャパン社製)を使用することもできる。具体的な測定
法としては、上記電解液100〜150ml中に、分散
剤として界面活性剤、好ましくは、アルキルベンゼンス
ルフォン酸塩を0.1〜5ml加え、更に、測定試料の
トナー粒子を2〜20mg加えて、均一分散して測定用
試料とする。測定の際には、この測定試料のトナー粒子
が懸濁された電解液を超音波分散器で約1〜3分間分散
処理を行った後、前記コールターカウンターTA−II型
において、アパーチャーとして100μmアパーチャー
を用いて、粒子系2μm以上のトナーの体積、個数を測
定し、体積分布と個数分布とを算出した。それらの値、
分布から、各トナー粒子に対する、体積分布から求めた
体積基準の重量平均粒径(D4)、個数分布から求めた
個数基準の長さ平均粒径(D1)を求めた。
【0281】(帯電量)また、平均粒径を前記の範囲に
選択した上、本発明の静電荷像現像用トナーにおける、
摩擦帯電特性は、単位質量あたりの帯電量(二成分法)
が−10〜−80μC/g、より好ましくは−15〜−
70μC/gの範囲とすることが、電圧を印加した転写
部材を用いる転写方法において、転写効率を向上させる
上で好ましい。
【0282】本発明の静電荷像現像用トナーにおける摩
擦帯電特性、具体的には、二成分法による帯電量(二成
分トリボ)を測定する方法を以下に示す。例えば、測定
には、図7に示した帯電量測定装置を使用する。先ず、
一定環境下、キャリアとしてEFV200/300(パ
ウダーテック社製)を用い、該キャリア9.5gに対し
て、測定対象のトナー0.5gを加えた混合物を、50
〜100ml容量のポリエチレン製の瓶に入れる。つい
で、振幅を一定にした振とう機に設置して、振とう条件
を、振幅100mm、振とう速度1分間100回往復に
設定し、一定時間振とうする。その後、図7に示す帯電
量測定装置の、底に500メッシュのスクリーン43の
ある金属製の測定容器42に、前記混合物1.0〜1.
2gを入れて、金属製のフタ44をする。この時点で秤
量される、測定容器42全体の質量をW1(g)とす
る。次いで、測定容器42と接する部分は少なくとも絶
縁体とした、不図示の吸引機を吸引口47に接続し、風
量調節弁46を調節して、吸引時に、真空計45で測定
される圧力(差圧)が2450Pa(250mmAq)
となるようにする。この状態で一分間吸引を行って、ト
ナーを吸引除去する。
【0283】その後、吸引除去されるトナー粒子が帯び
ていた摩擦帯電による電荷に起因する、電位計49で測
定される電位をV(ボルト)とする。ここで、前記電荷
は、コンデンサー48に蓄積される電気量に相当し、コ
ンデンサー48の容量をC(μF)とすると、C×Vで
ある。また、吸引後に秤量される。測定機全体の質量を
W2(g)とする。前記の二成分摩擦帯電条件におけ
る、トナーの摩擦帯電量(μC/g)は、これらの測定
値から、下式によって計算される。
【0284】 摩擦帯電量(μC/g)=C×V/(W1−W2) (バインダー樹脂の分子量分布)また、本発明の静電荷
像現像用トナーの構成に用いられるバインダー樹脂とし
ては、特に、粉砕法でトナーを作製する際には、GPC
による分子量分布において、低分子量領域におけるピー
クが3,000〜15,000の範囲にあるものを選択
することが好ましい。すなわち、バインダー樹脂の低分
子量領域におけるGPCピークが15,000を超える
と、得られるトナーの転写効率の向上が十分達成できな
い場合もある。一方、低分子量領域におけるGPCピー
クが3000未満のバインダー樹脂を用いると、感光体
表面に残る転写残トナーの除去処理時に、トナーの融着
を生じ易くなる。従って、前記の分子量分布範囲を選択
することが好ましい。
【0285】本発明のトナーに利用されるバインダー樹
脂の分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマト
グラフィー)により測定できる。具体的なGPCの測定
方法としては、予めトナー粒子に含まれるバインダー樹
脂等の樹脂成分をTHF(テトラヒドロフラン)溶剤で
ソックスレー抽出器を用いて20時間抽出を行い、この
抽出されたサンプルを測定に用いる。測定用のカラム構
成は、昭和電工製A−801、802、803、80
4、805、806、807を連結し、標準ポリスチレ
ン樹脂の検量線を用いて、ポリスチレン換算の分子量分
布を測定する。また、本発明のトナーにおいては、上記
のGPC法により測定される分子量分布は、重量平均分
子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比率(Mw/
Mn)が、2〜100の範囲内にあるバインダー樹脂を
使用することが好ましい。
【0286】(トナーのガラス転移点)更に、本発明の
トナーにおいては、定着性、保存性の観点から、該トナ
ー粒子を構成する樹脂成分は、適宜な材料を用いること
によって、そのガラス転移点Tgが、40℃〜75℃、
更に好ましくは、52℃〜70℃の範囲となるように調
製されることが好ましい。このトナーの樹脂成分のガラ
ス転移点Tgは、例えば、パーキンエルマー社製のDS
C−7のような高精度の内熱式入力補償型の示差走査熱
量計を用いて測定を行えばよい。ガラス転移点Tgの測
定条件、手順は、ASTM D3418−82に準じて
行う。本発明のトナーにおいて、樹脂成分のガラス転移
点Tgを測定する場合には、測定試料を1回昇温して全
履歴をとった後、急冷し、再度、昇温速度10℃/mi
n、温度0〜200℃の範囲で昇温させた際、測定され
るDSC曲線を用いて、ガラス転移点Tgを決定すると
よい。
【0287】(画像形成方法)上記で説明した構成を有
する本発明の静電荷現像用トナーは、少なくとも、外部
より帯電部材に電圧を印加して、静電潜像担持体に帯電
を行う帯電工程と、帯電された静電潜像担持体に静電荷
像を形成する工程と、該静電荷像をトナーにより現像し
てトナー像を静電潜像担持体上に形成する現像工程と、
静電潜像担持体上のトナー像を被記録材へ転写する転写
工程と、被記録材上のトナー像を加熱定着する加熱定着
工程とを有する画像形成方法、あるいは、転写工程が、
静電潜像担持体上のトナー像を中間の転写体に転写する
第1の転写工程と、該中間の転写体上のトナー像を被記
録材に転写する第2の転写工程とからなる画像形成方法
に適用することが特に好ましい。
【0288】なお、本発明のPHAは、それを構成する
上記一般式(1)〜(6)で示される各ユニットにおい
て、その側鎖に存在するアルキレン鎖;−(CH2)x
−の炭素鎖数Xの範囲は、X=0〜8の範囲であれば、
上記の荷電制御剤の用途へ利用できるものの、上述する
製造方法における培地へ原料の添加の容易さ等を考慮す
ると、その側鎖に存在するアルキレン鎖;−(CH2
x−の炭素鎖数Xの範囲を、X=0〜6の範囲に選択す
ることも好ましい。
【0289】
【実施例】以下に、実施例を挙げて、本発明をより具体
的に説明する。これら実施例は、発明にかかる最良の実
施形態の一例ではあるものの、本発明は、これら実施例
により限定されるものではない。
【0290】まず、以下の実施例1〜10には、原料の
5−(2−チエニルスルファニル)吉草酸を含む培地中
でPHA生産菌を培養し、その後、PHA生産菌が生産
したPHAに対して、次亜塩素酸ナトリウムによる処理
を施すことによって、上記化学式(9)の3−ヒドロキシ
−5−(2−チエニルスルフィニル)吉草酸ユニッ及び
(10)の3−ヒドロキシ−5−(2−チエニルスルホ
ニル)吉草酸ユニットに加えて、化学式(11)の5−
クロロ−3−ヒドロキシ−5−(2−チエニルスルフィ
ニル)吉草酸ユニット、化学式(12)の5−クロロ−
3−ヒドロキシ−5−(2−チエニルスルホニル)吉草
酸ユニット、化学式(13)の5,5−ジクロロ−3−
ヒドロキシ−5−(2−チエニルスルフィニル)吉草酸
ユニット、化学式(14)の5,5−ジクロロ−3−ヒ
ドロキシ−5−(2−チエニルスルフィニル)吉草酸ユ
ニットの4種類のうち、少なくとも1種類のクロロ置換
体ユニットとをポリマー分子中に含むPHAを製造した
例を示す。
【0291】(実施例1)2000ml容振とうフラス
コに、市販のポリペプトン(販売元:和光純薬工業)
0.5%と5−(2−チエニルスルファニル)吉草酸
0.1%とを含むM9培地1000mlを入れ、YN2
株を植菌し、30℃、125ストローク/分の条件下で
62時間振とう培養した。得られた培養液から、遠心分
離(8000G(=78000m/s2)、4℃、10
分間)により微生物細胞を回収した。
【0292】回収した細胞は、精製水40mlに懸濁
し、次亜塩素酸ナトリウム水溶液(キシダ化学(株)
製、有効塩素濃度5%以上)20mlを添加した。これ
を、4℃、2時間振とうし、目的のPHA以外の細胞構
成成分を可溶化すると共に、PHAの酸化ならびに塩素
化を行った。反応終了後、処理液から、遠心分離(30
00G(=29400m/s2)、4℃、30分間)に
よりPHAを不溶成分として分離・回収した。分離した
PHAは、再び精製水70mlに懸濁し、遠心分離(3
000G(=29400m/s2)、4℃、30分間)
によりPHAを分離・回収した。この再懸濁と遠心分離
の操作を合計3回繰り返して、PHAの水洗浄を行っ
た。最後に、水洗浄済みのPHAは、精製水10mlに
懸濁して凍結乾燥し、PHA粒子445mg(乾燥重
量)を得た。
【0293】得られたPHAの平均分子量は、ゲル・パ
ーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により
測定した。GPCの測定条件は、 装置:東ソーHLC−8020; カラム:ポリマーラボラトリー PLgel MIXED
−C(5μm)×2本; 移動層溶媒:0.1質量%LiBr含有DMF; ポリ
スチレン換算分子量である。また、PHAの構造同定
は、プロトン−核磁気共鳴(1H−NMR)分析により
行った。この1H−NMRの測定条件は、 測定装置:Bruker DPX400 FT−NM
R;1 H共鳴周波数:400MHz; 測定核種:1H; 使用溶媒:CDCl3; reference:キャピラリ封入TMS/CDCl
3; 測定温度:室温 である。
【0294】図8に、測定された1H−NMRスペクト
ルチャートを示し、表1に、前記1H−NMRスペクト
ルの同定結果に基づき、含有されるモノマーユニットの
含有比率(モル%)を算定した結果を示す。また、測定
されたこのPHAの平均分子量は、数平均分子量(M
n):11000、重量平均分子量(Mw):1790
0、Mw/Mn:1.6であった。
【0295】1H−NMR分析の結果、得られたPHA
においては、原料の5−(2−チエニルスルファニル)
吉草酸からYN2株が生産する前駆体PHA中に含まれ
る3−ヒドロキシ−(2−チエニルスルファニル)吉草
酸ユニットは、次亜塩素酸ナトリウム処理によって、化
学式(9)の3−ヒドロキシ−5−(2−チエニルスル
ファニル)吉草酸ユニット及び化学式(10)の3−ヒ
ドロキシ−5−(2−チエニルスルホニル)吉草酸ユニ
ットとを含み、化学式(11)の5−クロロ−3−ヒド
ロキシ−5−(2−チエニルスルフィニル)吉草酸ユニ
ット、化学式(12)の5−クロロ−3−ヒドロキシ−
5−(2−チエニルスルホニル)吉草酸ユニット、化学
式(13)の5,5−ジクロロ−3−ヒドロキシ−5−
(2−チエニルスルフィニル)吉草酸ユニット、化学式
(14)の5,5−ジクロロ−3−ヒドロキシ−5−
(2−チエニルスルホニル)吉草酸ユニットをも含むも
のへと変換されていることが判明した。加えて、それ以
外のユニットとして、一般式(7)で示される炭素数4
〜12まで直鎖3−ヒドロキシアルカン酸ユニットまた
は一般式(8)に示される直鎖3−ヒドロキシアルカ−
5−エン酸ユニットを含むPHAであることも確認され
た。なお、表1中において、一般式(7)に示される炭
素数4〜12までの直鎖3−ヒドロキシアルカン酸また
は一般式(8)に示される直鎖3−ヒドロキシアルケン
酸は、3HAとして併せて示す。
【0296】
【表1】
【0297】なお、化学式(9)および化学式(10)
に示すユニット、化学式(11)および化学式(12)
に示すユニット、化学式(13)及び化学式(14)に示
すユニット、これらについては、個別の量比をNMRの
結果から算出することが困難であり、表1には、その合
計を記載している。なお、NMR分析に加えて、赤外吸
収スペクトル、熱分解GC−MC分析結果をも総合して
判断した結果、ポリマー中には、上記のクロロ置換体ユ
ニット四種がいずれも含有されているとの結論を得た。
【0298】(実施例2)2000ml容振とうフラス
コに、市販のポリペプトン(販売元:和光純薬工業)
0.5%と5−(2−チエニルスルファニル)吉草酸
0.1%とを含むM9培地1000mlを入れ、H45
株を植菌し、30℃、125ストローク/分の条件下で
62時間振とう培養した。得られた培養液から、遠心分
離(8000G(=78000m/s2)、4℃、10
分間)により微生物細胞を回収した。
【0299】得られた細胞は、実施例1と同様の条件で
次亜塩素酸ナトリウム処理を行い、ポリヒドロキシアル
カノエート255mg(乾燥重量)を得た。
【0300】(実施例3)2000ml容振とうフラス
コに、市販のポリペプトン(販売元:和光純薬工業)
0.5%と5−(2−チエニルスルファニル)吉草酸
0.1%とを含むM9培地1000mlを入れ、P16
1株を植菌し、30℃、125ストローク/分の条件下
で62時間振とう培養した。得られた培養液から、遠心
分離(8000G(=78000m/s2)、4℃、1
0分間)により微生物細胞を回収した。
【0301】得られた細胞は、実施例1と同様の条件で
次亜塩素酸ナトリウム処理を行い、ポリヒドロキシアル
カノエート220mg(乾燥重量)を得た。
【0302】(実施例4)2000ml容振とうフラス
コに、グルコース0.5%と5−(2−チエニルスルフ
ァニル)吉草酸0.1%とを含むM9培地1000ml
を入れ、YN2株を植菌し、30℃、125ストローク
/分の条件下で45時間振とう培養した。得られた培養
液から、遠心分離により培養菌体を回収した。回収され
た培養菌体を、グルコース0.5%と5−(2−チエニ
ルスルファニル)吉草酸0.1%とを含み、窒素源(N
4Cl)を含まないM9培地1000mlに再懸濁
し、2000ml振とうフラスコ中で、30℃、125
ストローク/分の条件下で48時間振とう培養した。そ
の培養液から、遠心分離(8000G(=78000m
/s2)、4℃、10分間)により微生物細胞を回収し
た。
【0303】得られた細胞は、実施例1と同様の条件で
次亜塩素酸ナトリウム処理を行い、ポリヒドロキシアル
カノエート960mg(乾燥重量)を得た。
【0304】(実施例5)2000ml容振とうフラス
コに、グリセロール0.5%と5−(2−チエニルスル
ファニル)吉草酸0.1%とを含むM9培地1000m
lを入れ、YN2株を植菌し、30℃、125ストロー
ク/分の条件下で45時間振とう培養した。得られた培
養液から、遠心分離により培養菌体を回収した。回収さ
れた培養菌体を、グリセロール0.5%と5−(2−チ
エニルスルファニル)吉草酸0.1%とを含み、窒素源
(NH4Cl)を含まないM9培地1000mlに再懸
濁し、2000ml振とうフラスコ中で、30℃、12
5ストローク/分の条件下で48時間振とう培養した。
その培養液から、遠心分離(8000G(=78000
m/s2)、4℃、10分間)により微生物細胞を回収
した。
【0305】得られた細胞は、実施例1と同様の条件で
次亜塩素酸ナトリウム処理を行い、ポリヒドロキシアル
カノエート830mg(乾燥重量)を得た。
【0306】(実施例6)2000ml容振とうフラス
コに、ポリペプトン0.5%と5−(2−チエニルスル
ファニル)吉草酸0.1%とを含むM9培地1000m
lを入れ、YN2株を植菌し、30℃、125ストロー
ク/分の条件下で45時間振とう培養した。得られた培
養液から、遠心分離により培養菌体を回収した。回収さ
れた培養菌体を、ピルビン酸ナトリウム0.5%と5−
(2−チエニルスルファニル)吉草酸0.1%とを含
み、窒素源(NH4Cl)を含まないM9培地1000
mlに再懸濁し、2000ml振とうフラスコ中で、3
0℃、125ストローク/分の条件下で48時間振とう
培養した。その培養液から、遠心分離(8000G(=
78000m/s2)、4℃、10分間)により微生物
細胞を回収した。
【0307】得られた細胞は、実施例1と同様の条件で
次亜塩素酸ナトリウム処理を行い、ポリヒドロキシアル
カノエート1410mg(乾燥重量)を得た。
【0308】(実施例7)2000ml容振とうフラス
コに、市販の酵母エキス(DIFCO)0.5%と5−
(2−チエニルスルファニル)吉草酸0.1%とを含む
M9培地1000mlを入れ、YN2株を植菌し、30
℃、125ストローク/分の条件下で62時間振とう培
養した。得られた培養液から、遠心分離(8000G
(=78000m/s2)、4℃、10分間)により微
生物細胞を回収した。
【0309】得られた細胞は、実施例1と同様の条件で
次亜塩素酸ナトリウム処理を行い、ポリヒドロキシアル
カノエート120mg(乾燥重量)を得た。
【0310】(実施例8)2000ml容振とうフラス
コに、ピルビン酸ナトリウム0.5%と5−(2−チエ
ニルスルファニル)吉草酸0.1%とを含むM9培地1
000mlを入れ、YN2株を植菌し、30℃、125
ストローク/分の条件下で62時間振とう培養した。得
られた培養液から、遠心分離(8000G(=7800
0m/s2)、4℃、10分間)により微生物細胞を回
収した。
【0311】得られた細胞は、実施例1と同様の条件で
次亜塩素酸ナトリウム処理を行い、ポリヒドロキシアル
カノエート425mg(乾燥重量)を得た。
【0312】(実施例9)2000ml容振とうフラス
コに、グルタミン酸ナトリウム0.5%と5−(2−チ
エニルスルファニル)吉草酸0.1%とを含むM9培地
1000mlを入れ、YN2株を植菌し、30℃、12
5ストローク/分の条件下で62時間振とう培養した。
得られた培養液から、遠心分離(8000G(=780
00m/s 2)、4℃、10分間)により微生物細胞を
回収した。
【0313】得られた細胞は、実施例1と同様の条件で
次亜塩素酸ナトリウム処理を行い、ポリヒドロキシアル
カノエート410mg(乾燥重量)を得た。
【0314】(実施例10)2000ml容振とうフラ
スコに、ノナン酸0.1%と5−(2−チエニルスルフ
ァニル)吉草酸0.1%とを含むM9培地1000ml
を入れ、YN2株を植菌し、30℃、125ストローク
/分の条件下で62時間振とう培養した。得られた培養
液から、遠心分離(8000G(=78000m/
2)、4℃、10分間)により微生物細胞を回収し
た。
【0315】得られた細胞は、実施例1と同様の条件で
次亜塩素酸ナトリウム処理を行い、ポリヒドロキシアル
カノエート430mg(乾燥重量)を得た。
【0316】上記実施例2〜10において得られたポリ
ヒドロキシアルカノエートについても、実施例1と同様
の条件でNMR分析及び分子量測定を行った。表2に、
NMR分析の結果から、算定される各ユニットの含有比
率を示す。表3に、平均分子量を示す。なお、表2中に
おいて、一般式(6)に示される炭素数4〜12までの
直鎖3−ヒドロキシアルカン酸または一般式(7)に示
される直鎖3−ヒドロキシアルケン酸は、3HAとして
併せて示す。
【0317】
【表2】
【0318】
【表3】
【0319】さらに、以下の実施例11〜14には、原
料の6−(2−チエニルスルファニル)ヘキサン酸を含
む培地中でPHA生産菌を培養し、その後、PHA生産
菌が生産したPHAに対して、次亜塩素酸ナトリウムに
よる処理を施すことによって、上記化学式(21)の3
−ヒドロキシ−6−(2−チエニルスルフィニル)へキ
サン酸ユニット及び(22)の3−ヒドロキシ−6−
(2−チエニルスルホニル)ヘキサン酸ユニットとを含
み、化学式(23)の6−クロロ−3−ヒドロキシ−6
−(2−チエニルスルフィニル)ヘキサン酸ユニット、
化学式(24)の6−クロロ−3−ヒドロキシ−6−
(2−チエニルスルホニル)ヘキサン酸ユニット、化学
式(25)の6,6−ジクロロ−3−ヒドロキシ−6−
(2−チエニルスルフィニル)ヘキサン酸ユニット、化
学式(26)の6,6−ジクロロ−3−ヒドロキシ−6
−(2−チエニルスルホニル)ヘキサン酸ユニットの4
種類のうち、少なくとも1種類のクロロ置換体ユニット
と、さらに、化学式(15)の3−ヒドロキシ−4−
(2−チエニルスルフィニル)酪酸ユニット及び化学式
(16)の3−ヒドロキシ−4−(2−チエニルスルホ
ニル)酪酸ユニットとを含み、化学式(17)の4−ク
ロロ−3−ヒドロキシ−4−(2−チエニルスルフィニ
ル)酪酸ユニット、化学式(18)の4−クロロ−3−
ヒドロキシ−4−(2−チエニルスルホニル)酪酸ユニ
ット、化学式(19)の4,4−ジクロロ−3−ヒドロ
キシ−4−(2−チエニルスルフィニル)酪酸ユニッ
ト、化学式(20)の4,4−ジクロロ−3−ヒドロキ
シ−4−(2−チエニルスルホニル)酪酸ユニットの4
種類のうち、少なくとも1種類のクロロ置換体ユニット
とをポリマー分子中に含むPHAを製造した例を示す。
【0320】(実施例11)2000ml容振とうフラ
スコに、市販のポリペプトン(販売元:和光純薬工業)
0.5%と6−(2−チエニルスルファニル)ヘキサン
酸0.1%とを含むM9培地1000mlを入れ、YN
2株を植菌し、30℃、125ストローク/分の条件下
で30時間振とう培養した。得られた培養液から、遠心
分離(8000G(=78000m/s2)、4℃、1
0分間)により微生物細胞を回収した。
【0321】回収した細胞は、精製水40mlに懸濁
し、次亜塩素酸ナトリウム水溶液(キシダ化学(株)
製、有効塩素濃度5%以上)20mlを添加した。これ
を、4℃2時間振とうし、目的のPHA以外の細胞構成
成分を可溶化すると共に、PHAの酸化ならびに塩素化
を行った。反応終了後、処理液から、遠心分離(300
0G(=294000m/s2)、4℃、30分間)に
よりPHAを不溶成分として分離・回収した。分離した
PHAは、再び精製水70mlに懸濁し、遠心分離(3
000G(=29400m/s2)、4℃、30分間)
によりPHAを分離・回収した。この再懸濁と遠心分離
の操作を合計3回繰り返して、PHAの水洗浄を行っ
た。最後に、水洗浄済みのPHAは、精製水10mlに
懸濁して凍結乾燥し、PHA粒子440mg(乾燥重
量)を得た。
【0322】この実施例11において得られたポリヒド
ロキシアルカノエートについても、実施例1と同様の条
件でNMR分析及び分子量測定を行った。表4に、前記
1H−NMRスペクトルの同定結果に基づき、含有され
るモノマーユニットの含有比率(モル%)を算定した結
果を示す。なお、表4中において、一般式(7)に示さ
れる炭素数4〜12までの直鎖3−ヒドロキシアルカン
酸または一般式(8)に示される直鎖3−ヒドロキシア
ルケン酸ユニットは、3HAとして併せて示す。また、
測定されたこのPHAの平均分子量は、数平均分子量
(Mn):3800、重量平均分子量(Mw):650
0、Mw/Mn:1.7であった。
【0323】得られたポリヒドロキシアルカノエート
は、化学式(15)の3−ヒドロキシ−4−(2−チエ
ニルスルフィニル)酪酸ユニット、化学式(16)の3
−ヒドロキシ−4−(2−チエニルスルホニル)酪酸ユ
ニット、化学式(17)の4−クロロ−3−ヒドロキシ
−4−(2−チエニルスルフィニル)酪酸ユニット、化
学式(18)の4−クロロ−3−ヒドロキシ−4−(2
−チエニルスルホニル)酪酸ユニット、化学式(19)
の4,4−ジクロロ−3−ヒドロキシ−4−(2−チエ
ニルスルフィニル)酪酸ユニット、化学式(20)の
4,4−ジクロロ−3−ヒドロキシ−4−(2−チエニ
ルスルホニル)酪酸ユニット、ならびに化学式(21)
の3−ヒドロキシ−6−(2−チエニルスルフィニル)
ヘキサン酸ユニット、化学式(22)の3−ヒドロキシ
−6−(2−チエニルスルホニル)ヘキサン酸ユニッ
ト、化学式(23)の6−クロロ−3−ヒドロキシ−6
−(2−チエニルスルフィニル)ヘキサン酸ユニット、
化学式(24)の6−クロロ−3−ヒドロキシ−6−
(2−チエニルスルホニル)ヘキサン酸ユニット、化学
式(25)の6,6−ジクロロ−3−ヒドロキシ−6−
(2−チエニルスルフィニル)ヘキサン酸ユニット、化
学式(26)の6,6−ジクロロ−3−ヒドロキシ−6
−(2−チエニルスルホニル)ヘキサン酸ユニットを含
み、それ以外のユニットとして、一般式(7)に示され
る炭素数4〜12までの直鎖3−ヒドロキシアルカン酸
あるいは一般式(8)に示される炭素数4〜12までの
直鎖3−ヒドロキシアルケン酸ユニットを含むポリヒド
ロキシアルカノエートであることが確認された。
【0324】
【表4】
【0325】なお、化学式(15)および化学式(1
6)に示すユニット、化学式(17)および化学式(1
8)に示すユニット、化学式(19)および化学式(2
0)に示すユニット、化学式(21)および化学式(2
2)に示すユニット、化学式(23)及び化学式(2
4)に示すユニット、化学式(25)及び化学式(2
6)に示すユニット、これらについては、個別の量比を
NMRの結果から算出することが困難であり、表4に
は、その合計を記載している。なお、NMR分析に加え
て、赤外吸収スペクトル、熱分解GC−MC分析結果を
も総合して判断した結果、ポリマー中には、上記のクロ
ロ置換体ユニットがいずれも含有されているとの結論を
得た。
【0326】(実施例12)2000ml容振とうフラ
スコに、市販のポリペプトン(販売元:和光純薬工業)
0.5%と6−(2−チエニルスルファニル)ヘキサン
酸0.1%とを含むM9培地1000mlを入れ、H4
5株を植菌し、30℃、125ストローク/分の条件下
で30時間振とう培養した。得られた培養液から、遠心
分離(8000G(=78000m/s2)、4℃、1
0分間)により微生物細胞を回収した。
【0327】得られた細胞は、実施例11と同様の条件
で次亜塩素酸ナトリウム処理を行い、ポリヒドロキシア
ルカノエート155mg(乾燥重量)を得た。
【0328】(実施例13)2000ml容振とうフラ
スコに、市販のポリペプトン(販売元:和光純薬工業)
0.5%と6−(2−チエニルスルファニル)ヘキサン
酸0.1%とを含むM9培地1000mlを入れ、P1
61株を植菌し、30℃、125ストローク/分の条件
下で30時間振とう培養した。得られた培養液から、遠
心分離(8000G(=78000m/s2)、4℃、
10分間)により微生物細胞を回収した。
【0329】得られた細胞は、実施例11と同様の条件
で次亜塩素酸ナトリウム処理を行い、ポリヒドロキシア
ルカノエート100mg(乾燥重量)を得た。
【0330】(実施例14)2000ml容振とうフラ
スコに、グルコース0.5%と6−(2−チエニルスル
ファニル)ヘキサン酸0.1%とを含むM9培地100
0mlを入れ、YN2株を植菌し、30℃、125スト
ローク/分の条件下で45時間振とう培養した。得られ
た培養液から、遠心分離により培養菌体を回収した。回
収された培養菌体を、グルコース0.5%と6−(2−
チエニルスルファニル)ヘキサン酸0.1%とを含み、
窒素源(NH4Cl)を含まないM9培地1000ml
に再懸濁し、2000ml振とうフラスコ中で、30
℃、125ストローク/分の条件下で48時間振とう培
養した。その培養液から、遠心分離(8000G(=7
8000m/s2)、4℃、10分間)により微生物細
胞を回収した。
【0331】得られた細胞は、実施例11と同様の条件
で次亜塩素酸ナトリウム処理を行い、ポリヒドロキシア
ルカノエート195mg(乾燥重量)を得た。
【0332】上記実施例12〜14において得られたポ
リヒドロキシアルカノエートについても、実施例1と同
様の条件でNMR分析及び分子量測定を行った。表5
に、NMR分析の結果から、算定される各ユニットの含
有比率を示す。表6に、平均分子量を示す。なお、表5
中において、一般式(7)に示される炭素数4〜12ま
での直鎖3−ヒドロキシアルカン酸または一般式(8)
に示される直鎖3−ヒドロキシアルケン酸は、3HAと
して併せて示す。
【0333】
【表5】
【0334】
【表6】
【0335】以上の実施例1〜3、11〜13で得られ
たPHAを、表7に示すように例示化合物(1)〜
(6)として、荷電制御剤として用いて各種トナーを製
造し、評価を行った(実施例15〜70)。
【0336】
【表7】
【0337】(実施例15)先ず、高速撹拌装置TK−
ホモミキサーを備えた2リットル用の四つ口フラスコ中
に、Na3PO4水溶液を添加し、回転数を10,000
rpmに調整し、60℃に加温した。ここにCaCl2
水溶液を徐々に添加していき、微小な難水溶性分散剤C
3(PO42を含む水系分散媒体を調製した。
【0338】一方、下記組成の原料混合物を、ボールミ
ルを用いて3時間分散・混合した後、離型剤(エステル
ワックス)10質量部と、重合開始剤として、2,2’
−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)10質
量部を添加して重合性単量体組成物を調製した。
【0339】 ・スチレン単量体 82質量部 ・エチルヘキシルアクリレート単量体 18質量部 ・ジビニルベンゼン単量体 0.1質量部 ・シアン着色剤(C.I.ピグメントブルー15) 6質量部 ・酸化ポリエチレン樹脂(分子量3200、酸価8) 5質量部 ・例示化合物(1) 2質量部 次に、上記で得られた重合性単量体組成物を、先に調製
した水系分散媒体中に投入し、回転数10,000rp
mを維持しつつ造粒した。その後、パドル撹拌翼で撹拌
しつつ、65℃で3時間反応させた後、80℃で6時間
重合させて重合反応を終了した。反応終了後、懸濁液を
冷却し、酸を加えて難水溶性分散剤Ca 3(PO42
溶解した後、濾過、水洗、乾燥して青色重合粒子(1)
を得た。得られた青色重合粒子(1)の粒度を、コール
ターカウンターマルチサイザー(コールター社製)を用
いて測定したところ、重量平均粒径7.2μmで、微粉
量(個数分布における3.17μm以下の粒子の存在割
合)は5.1個数%であった。
【0340】調製した青色重合粒子(1)100質量部
に対して、流動向上剤としてヘキサメチルジシラザンで
処理した疎水性シリカ微粉体(BET:270m2
g)1.3質量部をヘンシェルミキサーで乾式混合して
外添し、本実施例の青色トナー(1)とした。更に、こ
の青色トナー(1)7質量部と樹脂コート磁性フェライ
トキャリア(平均粒子径:45μm)93質量部とを混
合して、磁気ブラシ現像用の2成分系青色現像剤(1)
を調製した。
【0341】調製された2成分系青色現像剤(1)につ
いて、そのトナー粒子の摩擦帯電特性を先に述べた測定
手順にしたがって、常温常湿(25℃、60%RH)、
及び高温高湿(30℃、80%RH)の二つの環境下
で、10秒、及び300秒攪拌時間について、それぞれ
帯電量を測定し、摩擦帯電量を評価した。
【0342】(実施例16〜20)例示化合物(1)に
代えて、それぞれ例示化合物(2)〜(6)を2.0質
量部使用する以外は、実施例15と同様の手順で、実施
例16〜20の青色トナー(2)〜(6)を得た。ま
た、各青色トナー(2)〜(6)と前記樹脂コート磁性
フェライトキャリアとを用いて実施例15と同様にし
て、2成分系青色現像剤(2)〜(6)をそれぞれ得
た。これらの青色トナー(2)〜(6)、ならびに2成
分系青色現像剤(2)〜(6)についても、各トナーの
特性を実施例15と同様に測定し、その結果を表8に併
せて示す。
【0343】(比較例1)例示化合物を使用しない点以
外は実施例15と同様の手順により、比較例1の青色ト
ナー7を得た。この青色トナー7の特性を実施例15と
同様に測定し、その結果を表8に併せて示した。また、
この青色トナー7と前記樹脂コート磁性フェライトキャ
リアとを用いて実施例15と同様にして、比較例1の2
成分系青色現像剤7を得た。
【0344】<評価>上記実施例15〜20で得られた
2成分系青色現像剤(1)〜(6)、および比較例1で
得られた2成分系青色現像剤7について、常温常湿(2
5℃、60%RH)、及び高温高湿(30℃、80%R
H)のそれぞれの環境下で、先に述べた帯電量の測定方
法を用いて、10秒、及び300秒攪拌後のトナーの摩
擦帯電量を測定した。そして、かかる2成分ブローオフ
帯電量の測定値から、少数以下第2位を四捨五入し、下
記の基準に従って、帯電性の評価を行った。表8には、
個々の摩擦帯電量の測定値に代えて、その帯電性の評価
結果を示す。
【0345】[帯電性] ◎:非常に良好(−20μC/g以下) ○:良好(−19.9〜−10.0μC/g) △:実用可(−9.9〜−5.0μC/g) ×:実用不可(−4.9μC/g以上)
【0346】
【表8】
【0347】(実施例21〜実施例26)実施例21〜
26では、シアン着色剤の代わりにイエロー着色剤(ハ
ンザイエローG)を使用し、また、それぞれ例示化合物
(1)〜(6)各2.0質量部を用いる以外は、実施例
15と同様の手順により、イエロートナー(1)〜
(6)をそれぞれ作製した。これらイエロートナー
(1)〜(6)についても、各トナーの粒度分布を実施
例15と同様に測定し、その結果を表9に示す。また、
イエロートナー(1)〜(6)と前記樹脂コート磁性フ
ェライトキャリアとを用いて、実施例15と同様にし
て、それぞれ2成分系イエロー現像剤(1)〜(6)を
得た。実施例15と同様に、2成分ブローオフ帯電量の
測定値から、各2成分系イエロー現像剤(1)〜(6)
について、常温常湿(25℃、60%RH)、及び高温
高湿(30℃、80%RH)のそれぞれの環境下で、先
に述べた帯電量の測定方法を用いて、10秒、及び30
0秒攪拌後のトナーの摩擦帯電量を測定した。
【0348】(比較例2)シアン着色剤の代わりにイエ
ロー着色剤(ハンザイエローG)を使用する点以外は、
比較例1の青色トナー7と同様の方法により、荷電制御
剤の例示化合物を添加していない、比較例2のイエロー
トナー7を作製した。このイエロートナー7について
も、トナーの粒度分布を実施例15と同様に測定し、そ
の結果を表9に示す。また、イエロートナー7と前記樹
脂コート磁性フェライトキャリアとを用いて、実施例1
5と同様にして、比較例2の2成分系イエロー現像剤7
を得た。実施例15と同様に、2成分ブローオフ帯電量
の測定値から、2成分系イエロー現像剤7についても、
常温常湿(25℃、60%RH)、及び高温高湿(30
℃、80%RH)のそれぞれの環境下で、先に述べた帯
電量の測定方法を用いて、10秒、及び300秒攪拌後
のトナーの摩擦帯電量を測定した。
【0349】<評価>上記実施例21〜26で得られた
2成分系イエロー現像剤(1)〜(6)、および比較例
2で得られた2成分系イエロー現像剤7について、常温
常湿(25℃、60%RH)、及び高温高湿(30℃、
80%RH)のそれぞれの環境下で、先に述べた帯電量
の測定方法を用いて、10秒、及び300秒攪拌後のト
ナーの摩擦帯電量を測定した。そして、かかる2成分ブ
ローオフ帯電量の測定値から、少数以下第2位を四捨五
入し、下記の基準に従って、帯電性の評価を行った。表
9には、個々の摩擦帯電量の測定値に代えて、その帯電
性の評価結果を示す。
【0350】[帯電性] ◎:非常に良好(−20μC/g以下) ○:良好(−19.9〜−10.0μC/g) △:実用可(−9.9〜−5.0μC/g) ×:実用不可(−4.9μC/g以上)
【0351】
【表9】
【0352】(実施例27〜実施例32)実施例27〜
32では、シアン着色剤の代わりにカーボンブラック
(DBP吸油量110ml/100g)を使用し、ま
た、それぞれ例示化合物(1)〜(6)各2.0質量部
を用いる以外は、実施例15と同様の手順により、黒色
トナー(1)〜(6)をそれぞれ作製した。これら黒色
トナー(1)〜(6)についても、各トナーの粒度分布
を実施例15と同様に測定し、その結果を表10に示
す。また、黒色トナー(1)〜(6)と前記樹脂コート
磁性フェライトキャリアとを用いて、実施例15と同様
にして、それぞれ2成分系黒色現像剤(1)〜(6)を
得た。実施例15と同様に、2成分ブローオフ帯電量の
測定値から、各2成分系黒色現像剤(1)〜(6)につ
いて、常温常湿(25℃、60%RH)、及び高温高湿
(30℃、80%RH)のそれぞれの環境下で、先に述
べた帯電量の測定方法を用いて、10秒、及び300秒
攪拌後のトナーの摩擦帯電量を測定した。
【0353】(比較例3)シアン着色剤の代わりにカー
ボンブラック(DBP吸油量110ml/100g)を
使用する点以外は、比較例1の青色トナー7と同様の方
法により、荷電制御剤の例示化合物を添加していない、
比較例3の黒色トナー7を作製した。この黒色トナー7
についても、トナーの粒度分布を実施例15と同様に測
定し、その結果を表10に示す。また、黒色トナー7と
前記樹脂コート磁性フェライトキャリアとを用いて、実
施例15と同様にして、比較例3の2成分系黒色現像剤
7を得た。実施例15と同様に、2成分ブローオフ帯電
量の測定値から、2成分系黒色現像剤7についても、常
温常湿(25℃、60%RH)、及び高温高湿(30
℃、80%RH)のそれぞれの環境下で、先に述べた帯
電量の測定方法を用いて、10秒、及び300秒攪拌後
のトナーの摩擦帯電量を測定した。
【0354】<評価>上記実施例27〜32で得られた
2成分系黒色現像剤(1)〜(6)、および比較例3で
得られた2成分系黒色現像剤7について、常温常湿(2
5℃、60%RH)、及び高温高湿(30℃、80%R
H)のそれぞれの環境下で、先に述べた帯電量の測定方
法を用いて、10秒、及び300秒攪拌後のトナーの摩
擦帯電量を測定した。そして、かかる2成分ブローオフ
帯電量の測定値から、少数以下第2位を四捨五入し、下
記の基準に従って、帯電性の評価を行った。表10に
は、個々の摩擦帯電量の測定値に代えて、その帯電性の
評価結果を示す。
【0355】[帯電性] ◎:非常に良好(−20μC/g以下) ○:良好(−19.9〜−10.0μC/g) △:実用可(−9.9〜−5.0μC/g) ×:実用不可(−4.9μC/g以上)
【0356】
【表10】
【0357】 (実施例33) ・スチレン−ブチルアクリレート共重合樹脂(ガラス転移温度70℃) 100質量部 ・マゼンタ顔料(C.I.ピグメントレッド114) 5質量部 ・例示化合物(1) 2質量部 上記組成の混合物を、二軸エクストルーダー(L/D=
30)で溶融混練した。この混練物を冷却後、ハンマー
ミルで粗粉砕し、ジェットミルで微粉砕した後、分級し
て、粉砕法によって調製したマゼンタ着色粒子(1)を
得た。粒度分布を実施例15と同様に測定したところ、
このマゼンタ着色粒子(1)の粒度は、重量平均粒径
7.3μm、微粉量は5.0個数%であった。
【0358】このマゼンタ着色粒子(1)100質量部
に対して、流動向上剤として、ヘキサメチルジシラザン
で処理した疎水性シリカ微粉体(BET:250m2
g)1.5質量部をヘンシェルミキサーで乾式混合し
て、本実施例のマゼンタトナー(1)を得た。更に、得
られたマゼンタトナー(1)7質量部と樹脂コート磁性
フェライトキャリア(平均粒子径:45μm)93質量
部とを混合して、磁気ブラシ現像用の2成分系マゼンタ
現像剤(1)を調製した。実施例15と同様に、2成分
ブローオフ帯電量の測定値から、2成分系マゼンタ現像
剤(1)についても、常温常湿(25℃、60%R
H)、及び高温高湿(30℃、80%RH)のそれぞれ
の環境下で、先に述べた帯電量の測定方法を用いて、1
0秒、及び300秒攪拌後のトナーの摩擦帯電量を測定
した。
【0359】(実施例34〜38)例示化合物(1)の
代わりに、例示化合物(2)〜(6)をそれぞれ2.0
質量部使用する以外は、実施例33と同様の手順で、実
施例26〜30のマゼンタ着色粒子(2)〜(6)を調
製した。実施例26〜30のマゼンタ着色粒子(2)〜
(6)についても、その粒度分布を実施例15と同様に
測定した。次いで、実施例33と同様の手順で、流動向
上剤を乾式混合して、実施例26〜30のマゼンタトナ
ー(2)〜(6)を得た。また、これらマゼンタトナー
(2)〜(6)を用いて、実施例33と同様にして、2
成分系マゼンタ現像剤(2)〜(6)をそれぞれ調製し
た。さらに、実施例15と同様に、2成分ブローオフ帯
電量の測定値から、各2成分系マゼンタ現像剤(2)〜
(6)について、常温常湿(25℃、60%RH)、及
び高温高湿(30℃、80%RH)のそれぞれの環境下
で、先に述べた帯電量の測定方法を用いて、10秒、及
び300秒攪拌後のトナーの摩擦帯電量を測定した。
【0360】(比較例4)例示化合物を使用しない点以
外は実施例33と同様の方法により、比較例4のマゼン
タ着色粒子7を調製した。このマゼンタ着色粒子7につ
いても、その粒度分布を実施例15と同様に測定した。
次いで、実施例33と同様の手順で、流動向上剤を乾式
混合して、比較例4のマゼンタトナー7を得た。また、
このマゼンタトナー7を用いて実施例33と同様にし
て、比較例4の2成分系マゼンタ現像剤7を調製した。
実施例15と同様に、2成分ブローオフ帯電量の測定値
から、2成分系マゼンタ現像剤7についても、常温常湿
(25℃、60%RH)、及び高温高湿(30℃、80
%RH)のそれぞれの環境下で、先に述べた帯電量の測
定方法を用いて、10秒、及び300秒攪拌後のトナー
の摩擦帯電量を測定した。
【0361】<評価>上記実施例33〜38で得られた
2成分系マゼンタ現像剤(1)〜(6)、および比較例
4で得られた2成分系マゼンタ現像剤7について、常温
常湿(25℃、60%RH)、及び高温高湿(30℃、
80%RH)のそれぞれの環境下で、先に述べた帯電量
の測定方法を用いて、10秒、及び300秒攪拌後のト
ナーの摩擦帯電量を測定した。そして、かかる2成分ブ
ローオフ帯電量の測定値から、少数以下第2位を四捨五
入し、下記の基準に従って、帯電性の評価を行った。表
11には、個々の摩擦帯電量の測定値に代えて、その帯
電性の評価結果を示す。併せて、表11に、各マゼンタ
着色粒子の重量平均粒径と微粉量を示す。
【0362】[帯電性] ◎:非常に良好(−20μC/g以下) ○:良好(−19.9〜−10.0μC/g) △:実用可(−9.9〜−5.0μC/g) ×:実用不可(−4.9μC/g以上)
【0363】
【表11】
【0364】(実施例39〜44)実施例39〜44で
は、マゼンタ顔料の代わりにカーボンブラック(DBP
吸油量110ml/100g)を使用し、また、それぞ
れ例示化合物(1)〜(6)各2.0質量部を用いる以
外は、実施例33と同様の手順により、黒色着色粒子
(8)〜(13)をそれぞれ作製した。これら黒色着色
粒子(8)〜(13)についても、粒度分布を実施例1
5と同様に測定し、その結果を表12に示す。次いで、
実施例33と同様の手順で、各黒色着色粒子(8)〜
(13)に流動向上剤を乾式混合して、実施例39〜4
4の黒色トナー(8)〜(13)を得た。また、これら
黒色トナー(8)〜(13)を用いて、実施例33と同
様にして、2成分系黒色現像剤(8)〜(13)をそれ
ぞれ調製した。さらに、実施例15と同様に、2成分ブ
ローオフ帯電量の測定値から、各2成分系黒色現像剤
(8)〜(13)について、常温常湿(25℃、60%
RH)、及び高温高湿(30℃、80%RH)のそれぞ
れの環境下で、先に述べた帯電量の測定方法を用いて、
10秒、及び300秒攪拌後のトナーの摩擦帯電量を測
定した。
【0365】(比較例5)マゼンタ顔料の代わりにカー
ボンブラック(DBP吸油量110ml/100g)を
使用する点以外は、比較例4のマゼンタ着色粒子7と同
様の方法により、荷電制御剤の例示化合物を添加してい
ない、比較例5の黒色着色粒子14を作製した。この黒
色着色粒子14についても、粒度分布を実施例15と同
様に測定し、その結果を表12に示す。次いで、実施例
33と同様の手順で、比較例5の黒色着色粒子14に流
動向上剤を乾式混合して、比較例5の黒色トナー14を
得た。また、黒色トナー14と前記樹脂コート磁性フェ
ライトキャリアとを用いて、実施例33と同様にして、
比較例5の2成分系黒色現像剤14を得た。実施例15
と同様に、2成分ブローオフ帯電量の測定値から、2成
分系黒色現像剤14についても、常温常湿(25℃、6
0%RH)、及び高温高湿(30℃、80%RH)のそ
れぞれの環境下で、先に述べた帯電量の測定方法を用い
て、10秒、及び300秒攪拌後のトナーの摩擦帯電量
を測定した。
【0366】<評価>上記実施例39〜44で得られた
2成分系黒色現像剤(8)〜(13)、および比較例5
で得られた2成分系黒色現像剤14について、常温常湿
(25℃、60%RH)、及び高温高湿(30℃、80
%RH)のそれぞれの環境下で、先に述べた帯電量の測
定方法を用いて、10秒、及び300秒攪拌後のトナー
の摩擦帯電量を測定した。そして、かかる2成分ブロー
オフ帯電量の測定値から、少数以下第2位を四捨五入
し、下記の基準に従って、帯電性の評価を行った。表1
2には、個々の摩擦帯電量の測定値に代えて、その帯電
性の評価結果を示す。併せて、表12に、各黒色着色粒
子の重量平均粒径と微粉量を示す。
【0367】[帯電性] ◎:非常に良好(−20μC/g以下) ○:良好(−19.9〜−10.0μC/g) △:実用可(−9.9〜−5.0μC/g) ×:実用不可(−4.9μC/g以上)
【0368】
【表12】
【0369】 (実施例45) ・ポリエステル樹脂 100質量部 ・カーボンブラック(DBP吸油量110ml/100g) 5質量部 ・例示化合物(1) 2質量部 バインダー樹脂とするポリエステル樹脂は、次のように
して合成した。ビスフェノールAプロピレンオキサイド
2モル付加物751部、テレフタル酸104部および無
水トリメリット酸167部を、ジブチルチンオキサイド
2部を触媒として重縮合し、軟化点125℃のポリエス
テル樹脂を得た。
【0370】上記組成の混合物を、二軸エクストルーダ
ー(L/D=30)で溶融混練した。この混練物を冷却
後、ハンマーミルで粗粉砕し、ジェットミルで微粉砕し
た後、分級して、粉砕法によって調製した黒色着色粒子
15を得た。粒度分布を実施例15と同様に測定したと
ころ、この黒色着色粒子(15)の粒度は、重量平均粒
径7.4μm、微粉量は5.1個数%であった。
【0371】この黒色着色粒子(15)100質量部に
対して、流動向上剤として、ヘキメチルジシラザンで処
理した疎水性シリカ微粉体(BET:250m2/g)
1.5質量部をヘンシェルミキサーで乾式混合して、本
実施例の黒色トナー(15)を得た。更に、得られた黒
色トナー(15)7質量部と樹脂コート磁性フェライト
キャリア(平均粒子径:45μm)93質量部とを混合
して、磁気ブラシ現像用の2成分系黒色現像剤(15)
を調製した。実施例15と同様に、2成分ブローオフ帯
電量の測定値から、2成分系黒色現像剤15について
も、常温常湿(25℃、60%RH)、及び高温高湿
(30℃、80%RH)のそれぞれの環境下で、先に述
べた帯電量の測定方法を用いて、10秒、及び300秒
攪拌後のトナーの摩擦帯電量を測定した。
【0372】(実施例46〜50)例示化合物(1)の
代わりに、例示化合物(2)〜(6)をそれぞれ2.0
質量部使用する以外は、実施例45と同様の手順で、実
施例46〜50の黒色着色粒子(16)〜(20)を調
製した。実施例46〜50の黒色着色粒子(16)〜
(20)についても、その粒度分布を実施例15と同様
に測定した。次いで、実施例45と同様の手順で、流動
向上剤を乾式混合して、実施例46〜50の黒色トナー
(16)〜(20)を得た。また、これら黒色トナー
(16)〜(20)を用いて、実施例45と同様にし
て、2成分系黒色現像剤(16)〜(20)をそれぞれ
調製した。さらに、実施例15と同様に、2成分ブロー
オフ帯電量の測定値から、各2成分系黒色現像剤(1
6)〜(20)について、常温常湿(25℃、60%R
H)、及び高温高湿(30℃、80%RH)のそれぞれ
の環境下で、先に述べた帯電量の測定方法を用いて、1
0秒、及び300秒攪拌後のトナーの摩擦帯電量を測定
した。
【0373】(比較例6)例示化合物を使用しない点以
外は実施例45と同様の手順により、荷電制御剤の例示
化合物を添加していない、比較例6の黒色着色粒子21
を作製した。この黒色着色粒子21についても、粒度分
布を実施例15と同様に測定し、その結果を表13に示
す。次いで、実施例45と同様の手順で、比較例6の黒
色着色粒子21に流動向上剤を乾式混合して、比較例6
の黒色トナー21を得た。また、黒色トナー21と前記
樹脂コート磁性フェライトキャリアとを用いて、実施例
45と同様にして、比較例6の2成分系黒色現像剤21
を得た。実施例15と同様に、2成分ブローオフ帯電量
の測定値から、2成分系黒色現像剤21についても、常
温常湿(25℃、60%RH)、及び高温高湿(30
℃、80%RH)のそれぞれの環境下で、先に述べた帯
電量の測定方法を用いて、10秒、及び300秒攪拌後
のトナーの摩擦帯電量を測定した。
【0374】<評価>上記実施例45〜50で得られた
2成分系黒色現像剤(15)〜(20)、および比較例
6で得られた2成分系黒色現像剤21について、常温常
湿(25℃、60%RH)、及び高温高湿(30℃、8
0%RH)のそれぞれの環境下で、先に述べた帯電量の
測定方法を用いて、10秒、及び300秒攪拌後のトナ
ーの摩擦帯電量を測定した。そして、かかる2成分ブロ
ーオフ帯電量の測定値から、少数以下第2位を四捨五入
し、下記の基準に従って、帯電性の評価を行った。表1
3には、個々の摩擦帯電量の測定値に代えて、その帯電
性の評価結果を示す。併せて、表13に、各黒色着色粒
子の重量平均粒径と微粉量を示す。
【0375】[帯電性] ◎:非常に良好(−20μC/g以下) ○:良好(−19.9〜−10.0μC/g) △:実用可(−9.9〜−5.0μC/g) ×:実用不可(−4.9μC/g以上)
【0376】
【表13】
【0377】(実施例51〜実施例64および比較例7
〜比較例12)先ず、下記する実施例51〜実施例64
および比較例7〜比較例12の画像形成方法に使用され
る画像形成装置の基本構成について説明する。図1は、
本発明にかかる実施例の画像形成方法ならびに従来法に
よる比較例の画像形成方法を実施する際に利用される画
像形成装置の装置構成を概略的に説明する断面図であ
る。図1に示す装置構成では、感光体ドラム1は、基材
1b上に有機光半導体を有する感光層1aを有し、矢印
方向に回転するように構成されている。また、感光体ド
ラム1に対向し、且つ該ドラムと接触回転している帯電
部材である帯電ローラー2によって、感光体ドラム1の
表面が約−600Vの表面電位に帯電される。図1に示
すように、帯電ローラー2は、芯金2bの上に導電性弾
性層2aを被覆する構成とされる。
【0378】次に、表面が負帯電された感光体ドラム1
に向けて、形成すべき画像情報に従って露光光3が照射
される。その際、ポリゴンミラーにより、露光光3を感
光体上で軸方向に走査しつつ、デジタル画像情報に応じ
て、露光光3の光量のオン−オフを行うことで、露光部
電位が−100V、暗部電位が−600Vの静電荷像が
形成される。続いて、この感光体ドラム1上に形成され
る静電荷像は、フルカラー画像形成に利用される、4色
に対応する現像装置4−1、4−2、4−3、4−4を
用いて、各色毎に反転現像されてに顕像化され、感光体
ドラム1上に各色のトナー像が形成される。その際、現
像剤として、実施例15〜20、21、24、27、3
0、33、36、39、42、45、48、あるいは比
較例1〜6で得た2成分系現像剤をそれぞれ用い、イエ
ロートナー、マゼンタトナー、シアントナーならびにブ
ラックトナーの4色のトナー画像がそれぞれ形成され
る。図2は、前記二成分系現像剤用の各現像装置4の要
部構造を示す拡大断面図である。次に、現像により顕像
化された感光体ドラム1上の各色トナー像は、感光体ド
ラム1と接触回転している中間の転写体5上に、順次転
写される。この結果、中間の転写体5上には、四色の色
重ね顕色像が形成される。一方、感光体ドラム1上に転
写されずに残った転写残トナーは、クリーナー部材8に
よって除去し、残トナー容器9内に回収される。
【0379】図1に示すように、中間の転写体5は、支
持体としての芯金5bと、その上に積層された弾性層5
aとで構成されている。本実施例においては、パイプ状
の芯金5b上に、導電付与材料としてカーボンブラック
を利用し、ニトリル−ブタジエンラバー(NBR)中に
カーボンブラックを十分に分散させた弾性層5bをコー
ティングされた中間の転写体5を使用した。「JIS
K−6301」に準拠して測定した弾性層5bの硬度は
30度であり、体積抵抗値は、109Ω・cmであっ
た。なお、本実施例においては、感光体ドラム1から中
間の転写体5への転写に必要な転写電流は約5μAであ
り、前記転写電流は、中間の転写体5に対して、電源よ
り+500Vを芯金5bに印加することで付与した。
【0380】中間の転写体5上に一旦転写された四色の
トナーの色重ね顕色像は、転写ローラー7によって、紙
等の被転写材に更に転写される。その後、被転写材上の
顕色像は、加熱定着装置Hによって定着・固定される。
転写ローラー7は、その外径の直径が10mmの芯金7
b上に、導電性付与材料としてカーボンを利用し、エチ
レン−プロピレン−ジエン系三次元共重合体(EPD
M)の発砲体中に該カーボンを十分な状態で分散した弾
性層7aをコーティング形成している。この弾性層7a
の体積固有抵抗値は、106Ω・cmであり、「JIS
K−6301」に準拠して測定した硬度が35度の値
を示すのもを用いた。また、紙等の被転写材への転写に
際して、この転写ローラー7には電圧を印加して、15
μAの転写電流を流す。
【0381】図1に示す装置では、加熱定着装置Hに、
図5及び図6に構造を示す熱ロール方式の定着装置を用
いた。なお、本例で利用する熱ロール方式の定着装置
は、ロール表面へのオイル塗布機構を設けていない。そ
れに代えて、上部ローラー、下部ローラー共にフッ素系
樹脂の表面層を有するものを使用した。また、ローラー
の直径は60mmであった。定着の際の定着温度を16
0℃とし、ニップ幅を7mmに設定した。一方、クリー
ナー部材8によって除去し、残トナー容器9内に回収さ
れる感光体ドラム1上の転写残トナーは、リユース機構
により現像器に搬送し再使用した。
【0382】<評価>以上の条件で、常温常湿(25
℃、60%RH)及び、高温高湿(30℃、80%R
H)環境下、8枚(A4サイズ)/分のプリントアウト
速度で、実施例15〜20、21、24、27、30、
33、36、39、42、45、48のトナーを使用し
て作製した2成分系現像剤(実施例51〜66)と、比
較例1〜6のトナーを使用して作製した2成分系現像剤
(比較例7〜12)をそれぞれ使用し、逐次補給しなが
ら、単色での間歇モード、すなわち、一枚プリントアウ
トする毎に10秒間現像器を休止させ、再起動時の予備
動作でトナーの劣化を促進させるモードでプリントアウ
ト試験を行い、得られたプリントアウト画像を下記の項
目について評価した。評価結果を表14にまとめて示し
た。
【0383】[プリントアウト画像評価] 1.画像濃度 通常の複写機用普通紙(75g/m2)に、所定枚数の
プリントアウトをして、初期の画像に対するプリント終
了時における画像の画像濃度維持の程度により評価し
た。なお、画像濃度はマクベス反射濃度計(マクベス社
製)を用い、原稿濃度が0.00の白地部分のプリント
アウト画像に対する相対濃度を測定し、下記の基準に従
って、評価を行った。 ◎:優(終了時の画像濃度が1.40以上) ○:良(終了時の画像濃度が1.35以上1.40未
満) △:可(終了時の画像濃度が1.00以上1.35未
満) ×:不可(終了時の画像濃度が1.00未満) 2.画像カブリ 通常の複写機用普通紙(75g/m2)に所定枚数のプ
リントアウトをし、プリント終了時のベタ白画像により
評価した。具体的には、下記のような方法で評価した。
反射式濃度計(TOKYO DENSHOKU C
O.,LTD社製REFLECTOMETER ODE
L TC−6DS)を用いて、プリント前の用紙の反射
濃度と、プリント後の白地部反射濃度とを測定する。測
定されたプリント終了時の白地部反射濃度の最悪値をD
s、プリント前の用紙の反射濃度平均値をDrとし、こ
れから(Ds−Dr)を算出し、Drを100%とする
ときの(Ds−Dr)をカブリ量とし、下記の基準に従
って評価を行った。 ◎:非常に良好(カブリ量が0%以上1.5%未満) ○:良好(カブリ量が1.5%以上3.0%未満) △:実用可(カブリ量が3.0%以上5.0%未満) ×:実用不可(カブリ量が5.0%以上) 3.転写性 通常の複写機用普通紙(75g/m2)に、黒ベタ画像
を所定枚数プリントアウトし、プリント終了時の画像の
画像抜け量を目視により観察し、下記の基準で評価し
た。 ◎:非常に良好(殆ど発生せず) ○:良好(軽微) △:実用可 ×:実用不可 また、実施例51〜実施例64および比較例7〜比較例
12の2成分系現像剤を使用した系において、5000
枚画像出力を行ったときの感光ドラム及び中間転写体表
面の傷や残留トナーの固着の発生状況とプリントアウト
画像への影響(画像形成装置とのマッチング)を目視で
評価した。実施例51〜実施例64の2成分系現像剤を
使用した系では、感光ドラム1及び中間転写体5表面の
傷や、残留トナーの固着が全く確認できず、画像形成装
置とのマッチングが非常に良好であった。一方、比較例
7〜12の2成分系現像剤を使用した系では、いずれも
感光ドラム1表面にトナーの固着が認められた。更に、
比較例7〜12の2成分系現像剤を使用した系では、中
間転写体5表面上にトナーの固着と表面傷が確認でき、
画像上にも縦スジ状の画像欠陥を生じるといった、画像
形成装置とのマッチングにおいて問題を生じた。
【0384】
【表14】
【0385】(実施例67〜実施例69、比較例13〜
比較例15)実施例67〜実施例69、比較例13〜比
較例15に示す、画像形成方法の実施にあたっては、現
像剤として、実施例15、21、27および比較例1〜
3で得たトナーをそれぞれ用いた。また、画像形成装置
の構成は、市販のレーザービームプリンターLBP−E
X(キヤノン社製)に対して、図3に示すようにリユー
ス機構を取り付ける改造を施し、再設定した画像形成装
置を使用した。すなわち、図3に示す画像形成装置で
は、転写後に感光体ドラム20上に残った未転写トナー
は、該感光体ドラム20に当接しているクリーナー21
の弾性ブレード22により掻き落とされら後、クリーナ
ーローラーによってクリーナー21内部へと一旦回収さ
れる。次いで、回収されたトナーは、クリーナーリユー
ス23を経て、搬送スクリューを設けた供給用パイプ2
4によってホッパー25を介して、現像器26に戻さ
れ、再度、利用するシステムが取り付けられている。
【0386】図3に示す画像形成装置では、一次帯電ロ
ーラー27により、感光体ドラム20の表面の帯電がな
される。一次帯電ローラー27には、ナイロン樹脂で被
覆された、導電性カーボンが分散されたゴムローラー
(直径12mm、当接圧50g/cm)を使用してい
る。帯電された静電潜像担持体(感光体ドラム20)上
に、レーザー露光(600dpi、不図示)により、暗
部電位VD=−700V、明部電位VL=−200Vの
静電潜像を形成する。トナー担持体として、その表面
に、カーボンブラックが分散された樹脂がコートされて
いる表面粗度Raが1.1を呈する現像スリーブ28を
用いた。
【0387】図4に、実施例59〜実施例61、比較例
13〜比較例15で使用する一成分現像剤用の現像装置
の要部拡大断面図を示す。静電潜像の現像条件として、
該現像スリーブ28の速度を、対向する感光ドラム20
面の移動速度に対して1.1倍の速さになるように設定
し、更に、感光ドラム20と現像スリーブ28との間隔
α(S−D間)を270μmとした。現像スリーブ28
に供給されるトナーの層厚規制部材としては、ウレタン
ゴム製ブレード29を当接させて用いた。一方、転写
後、トナー画像を定着させる加熱定着装置の設定温度は
160℃とした。なお、定着装置には、図5及び図6に
示す熱ロール方式の定着装置を用いている。
【0388】以上の画像形成装置、条件において、常温
常湿(25℃、60%RH)環境下、8枚(A4サイ
ズ)/分のプリントアウト速度で、トナーを逐次補給し
ながら連続モード、すなわち、現像器を休止させること
なくトナーの消費を促進させるモードで、3万枚までプ
リントアウトを行い、得られたプリントアウト画像につ
いて画像濃度を測定し、その耐久について下記に示す基
準で評価した。加えて、10,000枚目の画像を観察
し、画像カブリについて下記の基準で評価した。また、
同時に、耐久試験後における画像形成装置を構成してい
る各装置の様子を観察し、画像形成装置の構成と上記の
各トナーとのマッチングについても評価した。以上の評
価結果を、表15にまとめて示す。
【0389】[耐久時の画像濃度推移]通常の複写機用
普通紙(75g/m2)に、所定枚数のプリントアウト
をして、初期の画像に対するプリント終了時における画
像の画像濃度維持の程度により評価した。なお、画像濃
度はマクベス反射濃度計(マクベス社製)を用いて、原
稿濃度が0.00の白地部分のプリントアウト画像に対
する相対濃度を測定し、下記の基準に従って、評価を行
った。 ◎:優(終了時の画像濃度が1.40以上) ○:良(終了時の画像濃度が1.35以上1.40未
満) △:可(終了時の画像濃度が1.00以上1.35未
満) ×:不可(終了時の画像濃度が1.00未満) [画像カブリ]通常の複写機用普通紙(75g/m2
に所定枚数のプリントアウトをし、プリント終了時のベ
タ白画像により評価した。具体的には、下記のような方
法で評価した。反射式濃度計(TOKYO DENSH
OKU CO.,LTD社製REFLECTOMETE
R ODEL TC−6DS)を用いて、プリント前の
用紙の反射濃度と、プリント後の白地部反射濃度とを測
定する。測定されたプリント終了時の白地部反射濃度の
最悪値をDs、プリント前の用紙の反射濃度平均値をD
rとし、これから(Ds−Dr)を算出し、Drを10
0%とするときの(Ds−Dr)をカブリ量とし、下記
の基準に従って評価を行った。 ◎:非常に良好(カブリ量が0%以上1.5%未満) ○:良好(カブリ量が1.5%以上3.0%未満) △:実用可(カブリ量が3.0%以上5.0%未満) ×:実用不可(カブリ量が5.0%以上) [画像形成装置マッチング評価] 1.現像スリーブとのマッチング プリントアウト試験終了後、現像スリーブ表面への残留
トナーの固着の様子と、プリントアウト画像への影響を
目視で評価した。 ◎:非常に良好(未発生) ○:良好(殆ど発生せず) △:実用可(固着があるが、画像への影響が少ない) ×:実用不可(固着が多く、画像ムラを生じる) 2.感光ドラムとのマッチング 感光体ドラム表面の傷や残留トナーの固着の発生状況
と、プリントアウト画像への影響を目視で評価した。 ◎:非常に良好(未発生) ○:良好(僅かに傷の発生が見られるが、画像への影響
はない) △:実用可(固着や傷があるが、画像への影響が少な
い) ×:実用不可(固着が多く、縦スジ状の画像欠陥を生じ
る) 3.定着装置とのマッチング 定着フィルム表面の様子を観察し、表面性及び残留トナ
ーの固着状況の結果を総合平均化して、その耐久性を評
価した。 (1)表面性 プリントアウト試験終了後、定着フィルム表面の傷や削
れの発生の様子を目視で観察し、評価した。 ◎:非常に良好(未発生) ○:良好(殆ど発生せず) △:実用可 ×:実用不可 (2)残留トナーの固着状況 プリントアウト試験終了後、定着フィルム表面の残留ト
ナーの固着状況を目視で観察し、評価した。 ◎:非常に良好(未発生) ○:良好(殆ど発生せず) △:実用可 ×:実用不可
【0390】
【表15】
【0391】(実施例70)図3に示す画像形成装置か
ら、トナーリユース機構を取り外し、プリントアウト速
度を16枚(A4サイズ)/分とした以外は実施例67
と同様にし、実施例15の青色トナー(1)を逐次補給
しながら連続モード、すなわち、現像器を休止させるこ
となくトナーの消費を促進させるモードでプリントアウ
ト試験を行った。得られたプリントアウト画像評価なら
びに用いた画像評価装置とのマッチングを実施例67〜
実施例69、比較例13〜比較例15と同様の項目につ
いて評価した。その結果、回収トナーを再利用せず、プ
リントアウト速度を実施例67の倍とする条件でも、実
施例67と同じく、いずれの評価項目についても良好な
結果が得られた。
【0392】
【発明の効果】本発明のPHAの製造方法は、原料とし
て、ω−(2−チエニルスルファニル)アルカン酸を含
む培地中で微生物を培養し、培養した微生物により生産
される3−ヒドロキシ−ω−(2−チエニルスルファニ
ル)アルカン酸ユニットを含むPHAを次亜塩素酸ナト
リウムで処理して、そのスルファニル基(−S−)をス
ルホニル基(−SO2−)へと変換した、上記一般式
(1)で示される3−ヒドロキシ−ω−(2−チエニル
スルフィニル)アルカン酸ユニット及び一般式(2)で
示される3−ヒドロキシ−ω−(2−チエニルスルホニ
ル)アルカン酸ユニットとを含み、加えて、一般式
(3)のω−クロロ−3−ヒドロキシ−ω−(2−チエ
ニルスルフィニル)アルカン酸ユニット、一般式(4)
のω−クロロ−3−ヒドロキシ−ω−(2−チエニルス
ルホニル)アルカン酸ユニット、一般式(5)のω,ω
−ジクロロ−3−ヒドロキシ−ω−(2−チエニルスル
フィニル)アルカン酸ユニット、一般式(6)のω,ω
−ジクロロ−3−ヒドロキシ−ω−(2−チエニルスル
ホニル)アルカン酸ユニット、この一般式(3)〜
(6)で示されるユニット4種類のうち、少なくとも1
種類のユニットとを、ポリマー分子中に含む新規な生分
解性ポリヒドロキシアルカノエートの生産を可能とす
る。加えて、本発明のPHAの製造方法により作製され
るPHAは、これらユニット中にチオフェン環及びスル
ホン構造(−SO2−)、あるいは、スルホキシド構造
(−SO−)を有しており、加えて、そのスルホン構造
(−SO2−)、あるいは、スルホキシド構造(−SO
−)の硫黄原子に隣接するメチレン基上にクロロ基が置
換された、特異な構造を有しているので、分子内におい
て電子の局在化が起こり、例えば、光機能性材料やデバ
イス材料といった、通常のポリヒドロキシアルカノエー
トとは大きく異なった領域での材料展開を可能とする。
【0393】また、本発明によれば、前記本発明にかか
るPHAの特異な構造を有するユニットに由来する特性
を利用することで、帯電特性に優れ、かつトナー樹脂中
への該PHA化合物の分散性、スペント性を向上した生
分解性の荷電制御剤を提供することができる。
【0394】また、該荷電制御剤を含有するトナーは、
画像形成装置での出力時においても、画像カブリを発生
せず、転写性に優れ、かつ、電子写真プロセスに高度に
適合する静電荷像現像用トナーであり、かかる現像剤を
採用する画像形成方法は、良好な画像を長期安定して提
供することが可能となる。
【0395】また、本発明の荷電制御剤に使用する本発
明にかかるPHAは、無色あるいは着色が弱いため、本
発明の荷電制御剤を利用する際、カラートナーに要求さ
れる色相に合わせて任意の着色剤を選定することが可能
であり、かつ染料、顔料が有する本来の色相を何ら阻害
することが無い点も特徴である。
【0396】加えて、本発明の荷電制御剤を利用してい
る、本発明にかかる静電荷像現像用トナーは、荷電制御
剤用に重金属を使用する必要がなく、また、荷電制御剤
に使用する本発明にかかるPHA自体は生分解性である
ために、環境等に影響を及ぼさないといった産業上多大
な効果をもたらすものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる画像形成方法に利用される画像
形成装置の一例を示し、中間転写体を利用するフルカラ
ー画像形成用装置構成を模式的に示すの断面図である。
【図2】図1に例示する本発明にかかる画像形成方法に
利用される画像形成装置中、二成分系現像剤用の各現像
装置4の要部構造を示す拡大断面図である。
【図3】本発明にかかる画像形成方法に利用される画像
形成装置の一例を示し、転写残トナーの回収と再利用の
ため、トナーのリユース機構を設ける装置構成を模式的
に示すの断面図である。
【図4】図3に例示する本発明にかかる画像形成方法に
利用される画像形成装置中、一成分現像材用の現像装置
26の要部構造を示す拡大断面図である。
【図5】本発明にかかる画像形成方法に利用される画像
形成装置中で利用される、熱ロール型の定着装置の要部
構成を示す分解斜面図である。
【図6】図5に例示する定着装置の非駆動時の定着フィ
ルム状態を示す要部の拡大断面図である。
【図7】トナーの帯電量を測定するブローオフ帯電量測
定装置の構成を模式的に示す斜視図である。
【図8】実施例1で得られたPHA試料の1H−NMR
スペクトルチャートを示す図ある。
【符号の説明】
1、20 感光体(静電潜像担持体) 2、27 帯電ローラー 3 露光光 4、26 現像装置(4−1、4−2、4−3、4−
4) 5 中間の転写体 6 被転写材 7 転写ローラー 13 感光体ドラム 11、28 現像剤担持体 30 ステー 31 加熱体 31a ヒーター基板 31b 発熱体 31c 表面保護層 31d 検温素子 32 定着フィルム 33 加熱ローラー 34 コイルばね 35 フィルム端部規制フランジ 36 給電コネクター 37 絶縁部材 38 入口ガイド 39 出口ガイド(分離ガイド) 43 スクリーン 45 真空計 47 吸引口 49 電位計
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03G 15/16 103 G03G 9/08 381 (72)発明者 須川 悦子 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 矢野 哲哉 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2H005 AA01 AB02 CA04 CA08 CA20 DA02 EA06 2H200 GA23 GA34 GA44 GA47 GA51 GB12 GB22 GB26 HA02 HA28 HB12 HB22 HB48 JA01 JA28 JC02 JC12 LB02 LB09 LB13 NA02 4B064 AD83 CA02 DA16 4J029 AA01 AB01 AB04 AC03 AD01 FB17 (54)【発明の名称】 新規なポリヒドロキシアルカノエート及びその製造方法、並びに該ポリヒドロキシアルカノエー トを含有する荷電制御剤、該荷電制御剤を含むトナー、該トナーを用いた画像形成方法と画像形 成装置

Claims (30)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1): 【化1】 (式中、xは、化学式中に示す0〜8の範囲から選択さ
    れる整数を表し、ポリマー中において一つ以上を含むこ
    とができる)で示されるユニット及び、下記一般式
    (2): 【化2】 (式中、xは、化学式中に示す0〜8の範囲から選択さ
    れる整数を表し、ポリマー中において一つ以上を含むこ
    とができる)で示されるユニットとを含み、下記一般式
    (3): 【化3】 (式中、xは、化学式中に示す0〜8の範囲から選択さ
    れる整数を表し、ポリマー中において一つ以上を含むこ
    とができる)で示されるユニット、下記一般式(4): 【化4】 (式中、xは、化学式中に示す0〜8の範囲から選択さ
    れる整数を表し、ポリマー中において一つ以上を含むこ
    とができる)で示されるユニット、下記一般式(5): 【化5】 (式中、xは、化学式中に示す0〜8の範囲から選択さ
    れる整数を表し、ポリマー中において一つ以上を含むこ
    とができる)で示されるユニット、下記一般式(6): 【化6】 (式中、xは、化学式中に示す0〜8の範囲から選択さ
    れる整数を表し、ポリマー中において一つ以上を含むこ
    とができる)で示されるユニット、この一般式(3)〜
    (6)で示されるユニット4種類のうち、少なくとも1
    種類のユニットをさらにポリマー分子中に含むことを特
    徴とするポリヒドロキシアルカノエート。
  2. 【請求項2】 前記一般式(1)及び(2)で示される
    ユニット、ならびに、前記一般式(3)〜(6)で示さ
    れるユニット4種類のうち、少なくとも1種類のユニッ
    トに加えて、下記一般式(7): 【化7】 (式中、yは、化学式中に示す0〜8の範囲から選択さ
    れる整数を表し、ポリマー中において一つ以上を含むこ
    とができる)で示されるユニット、または、下記一般式
    (8): 【化8】 (式中、zは、3または5から選択される整数を表す)
    で示されるユニットのうち、少なくとも1種類のユニッ
    トをさらに含んでもよいことを特徴とする請求項1に記
    載のポリヒドロキシアルカノエート。
  3. 【請求項3】 数平均分子量が1000〜500000
    の範囲であることを特徴とする請求項1または2のいず
    れかに記載のポリヒドロキシアルカノエート。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載のポリヒ
    ドロキシアルカノエートの製造方法であって、(工程
    1) 下記一般式(27): 【化9】 (式中、xは、0〜8の範囲から選択される整数を表
    す)で示されるω−(2−チエニルスルファニル)アル
    カン酸化合物を少なくとも一種類以上含む培地中で微生
    物を培養する工程と、(工程2) 工程1において培養
    した微生物により生産されたポリヒドロキシアルカノエ
    ートを次亜塩素酸ナトリウムで処理する工程とを含むこ
    とを特徴とするポリヒドロキシアルカノエートの製造方
    法。
  5. 【請求項5】 前記工程1と工程2の間に、前記工程1
    において培養された微生物細胞から、かかる微生物が産
    生したポリヒドロキシアルカノエートを分離する工程を
    設けることを特徴とする請求項4に記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記微生物細胞から、かかる微生物が産
    生したポリヒドロキシアルカノエートを分離する工程
    は、微生物細胞を破砕する工程を含むことを特徴とする
    請求項5に記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記微生物細胞から、かかる微生物が産
    生したポリヒドロキシアルカノエートを分離する工程
    は、微生物が産生したポリヒドロキシアルカノエートを
    可溶な溶媒を用いて、微生物細胞から前記ポリヒドロキ
    シアルカノエートを抽出する工程を含むことを特徴とす
    る請求項5に記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 工程1に利用する培地中に、ポリペプト
    ンが含まれていることを特徴とする請求項4または5に
    記載の製造方法。
  9. 【請求項9】 工程1に利用する培地中に、酵母エキス
    が含まれていることを特徴とする請求項4または5に記
    載の製造方法。
  10. 【請求項10】 工程1に利用する培地中に、糖類が含
    まれていることを特徴とする請求項4または5に記載の
    製造方法。
  11. 【請求項11】 前記糖類は、グリセロアルデヒド、エ
    リトロース、アラビノース、キシロース、グルコース、
    ガラクトース、マンノース、フルクトース、グリセロー
    ル、エリトリトール、キシリトール、グルコン酸、グル
    クロン酸、ガラクツロン酸、マルトース、スクロース、
    ラクトースからなる群から選ばれる1つ以上の化合物で
    あることを特徴とする請求項10に記載の製造方法。
  12. 【請求項12】 工程1に利用する培地中に、有機酸ま
    たはその塩が含まれていることを特徴とする請求項4ま
    たは5に記載の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記有機酸またはその塩は、ピルビン
    酸、リンゴ酸、乳酸、クエン酸、コハク酸またはそれら
    の塩からなる群から選ばれる1つ以上の化合物であるこ
    とを特徴とする請求項12に記載の製造方法。
  14. 【請求項14】 工程1に利用する培地中に、アミノ酸
    またはその塩が含まれていることを特徴とする請求項4
    または5に記載の製造方法。
  15. 【請求項15】 前記アミノ酸またはその塩は、グルタ
    ミン酸、アスパラギン酸、またはそれらの塩からなる群
    から選ばれる1つ以上の化合物であることを特徴とする
    請求項14に記載の製造方法。
  16. 【請求項16】 工程1に利用する培地中に、炭素数4
    〜12の直鎖アルカン酸またはその塩が含まれているこ
    とを特徴とする請求項4または5に記載の製造方法。
  17. 【請求項17】 前記工程1における微生物の培養は、
    (工程1−1) 下記一般式(27): 【化10】 (式中、xは、0〜8の範囲から選択される整数を表
    す)で示されるω−(2−チエニルスルファニル)アル
    カン酸化合物を少なくとも1種類以上含み、かつポリペ
    プトンを含む培地中で微生物を培養する工程と、これに
    続く、(工程1−2) 前記一般式(27)で示される
    ω−(2−チエニルスルファニル)アルカン酸化合物を
    少なくとも一種類以上含み、かつ有機酸またはその塩を
    含む培地中で、前記工程1−1において培養された微生
    物を更に培養する工程とを含むことを特徴とする請求項
    6または7に記載の製造方法。
  18. 【請求項18】 前記工程1における微生物の培養は、
    (工程1−3) 下記一般式(27): 【化11】 (式中、xは、0〜8の範囲から選択される整数を表
    す)で示されるω−(2−チエニルスルファニル)アル
    カン酸化合物を少なくとも1種類以上含み、かつ糖類を
    含む培地中で微生物を培養する工程と、これに続く、
    (工程1−4) 前記一般式(27)で示されるω−
    (2−チエニルスルファニル)アルカン酸化合物を少な
    くとも一種類以上含み、かつ糖類を含む培地中で、前記
    工程1−3において培養された微生物を更に培養する工
    程とを含むことを特徴とする請求項4または5に記載の
    製造方法。
  19. 【請求項19】 工程1に利用する前記微生物は、シュ
    ードモナス(Pseudomonas)属に属する微生
    物であることを特徴とする請求項4〜18のいずれか一
    項に記載の製造方法。
  20. 【請求項20】 工程1に利用する前記微生物は、シュ
    ードモナス・チコリアイ YN2株(Pseudomo
    nas cichorii YN2;FERMBP−73
    75)、シュードモナス・チコリアイ H45株(Ps
    eudomonas cichorii H45、FER
    M BP−7374)、シュードモナス・ジェッセニイ
    P161株(Pseudomonas jessen
    ii P161、FERM BP−7376)のいずれ
    が1つ以上の株であることを特徴とする請求項19に記
    載の製造方法。
  21. 【請求項21】下記一般式(1): 【化12】 (式中、xは、化学式中に示す0〜8の範囲から選択さ
    れる整数を表し、ポリマー中において一つ以上を含むこ
    とができる)で示されるユニット及び 【化13】 (式中、xは、化学式中に示す0〜8の範囲から選択さ
    れる整数を表し、ポリマー中において一つ以上を含むこ
    とができる)で示されるユニットとを含み、下記一般式
    (3): 【化14】 (式中、xは、化学式中に示す0〜8の範囲から選択さ
    れる整数を表し、ポリマー中において一つ以上を含むこ
    とができる)で示されるユニット、下記一般式(4): 【化15】 (式中、xは、化学式中に示す0〜8の範囲から選択さ
    れる整数を表し、ポリマー中において一つ以上を含むこ
    とができる)で示されるユニット、下記一般式(5): 【化16】 (式中、xは、化学式中に示す0〜8の範囲から選択さ
    れる整数を表し、ポリマー中において一つ以上を含むこ
    とができる)で示されるユニット、下記一般式(6): 【化17】 (式中、xは、化学式中に示す0〜8の範囲から選択さ
    れる整数を表し、ポリマー中において一つ以上を含むこ
    とができる)で示されるユニット、この一般式(3)〜
    (6)で示されるユニット4種類のうち、少なくとも1
    種類のユニットとを、ポリマー分子中に含むポリヒドロ
    キシアルカノエートを含有してなる荷電制御剤。
  22. 【請求項22】 前記ポリヒドロキシアルカノエート
    は、前記一般式(1)及び(2)で示されるユニット、
    ならびに、前記一般式(3)〜(6)で示されるユニッ
    ト4種類のうち、少なくとも1種類のユニットに加え
    て、下記一般式(7): 【化18】 (式中、yは、化学式中に示す0〜8の範囲から選択さ
    れる整数を表し、ポリマー中において一つ以上を含むこ
    とができる)で示されるユニット、または、下記一般式
    (8): 【化19】 (式中、zは、3または5から選択される整数を表す)
    に示されるユニットのうち、少なくとも1種類のユニッ
    トをさらに含んでもよいことを特徴とする請求項22に
    記載の荷電制御剤。
  23. 【請求項23】 前記ポリヒドロキシアルカノエート
    は、数平均分子量が1,000〜500,000の範囲で
    あることを特徴とする請求項21または22に記載の荷
    電制御剤。
  24. 【請求項24】 請求項21〜23のいずれか一項に記
    載の荷電制御剤を含有してなるトナーバインダー。
  25. 【請求項25】 少なくとも、バインダー樹脂、着色
    剤、および荷電制御剤を含有してなるトナー粒子であっ
    て、前記荷電制御剤は、請求項21〜23のいずれか一
    項に記載の荷電制御剤であることを特徴とするトナー。
  26. 【請求項26】 被記録材上に定着されたトナー像を形
    成するための画像形成方法であって、少なくとも、外部
    より帯電部材に電圧を印加して静電潜像担持体に帯電を
    行う工程と、帯電された静電潜像担持体に静電荷像を形
    成する工程と、該静電荷像を静電荷像現像トナーにより
    現像してトナー像を静電潜像担持体上に形成する現像工
    程と、静電潜像担持体上のトナー像を被記録材へ転写す
    る転写工程と、被記録材上のトナー像を加熱定着する定
    着工程とを有し、前記静電荷像現像トナーとして、少な
    くとも、バインダー樹脂、着色剤、および請求項21〜
    23のいずれか一項に記載の荷電制御剤を含有してなる
    トナー粒子を使用することを特徴とする画像形成方法。
  27. 【請求項27】 前記静電潜像担持体上のトナー像を被
    記録材へ転写する転写工程は、少なくとも、前記静電潜
    像担持体上のトナー像を中間の転写体に転写する第1の
    転写工程と、該中間の転写体上のトナー像を被記録材に
    転写する第2の転写工程とを含んでなり、前記静電荷像
    現像トナーとして、少なくとも、バインダー樹脂、着色
    剤、および請求項21〜23のいずれか一項に記載の荷
    電制御剤を含有してなるトナー粒子を使用することを特
    徴とする請求項26に記載の画像形成方法。
  28. 【請求項28】 被記録材上に定着されたトナー像を形
    成するための画像形成装置であって、前記トナー像の形
    成に供するトナーとして、請求項25に記載のトナーを
    具えてなることを特徴とする画像形成装置。
  29. 【請求項29】 被記録材上に定着されたトナー像を形
    成するための画像形成装置であって、少なくとも、外部
    より帯電部材に電圧を印加して静電潜像担持体に帯電を
    行う手段と、帯電された静電潜像担持体に静電荷像を形
    成する手段と、該静電荷像を静電荷像現像トナーにより
    現像してトナー像を静電潜像担持体上に形成する現像手
    段と、静電潜像担持体上のトナー像を被記録材へ転写す
    る転写手段と、被記録材上のトナー像を加熱定着する定
    着手段とを有し、前記静電荷像現像トナーを、トナー像
    の形成に供するトナーとして具えており、前記静電荷像
    現像トナーは、少なくとも、バインダー樹脂、着色剤、
    および請求項21〜23のいずれか一項に記載の荷電制
    御剤を含有してなるトナー粒子であることを特徴とする
    画像形成装置。
  30. 【請求項30】 前記静電潜像担持体上のトナー像を被
    記録材へ転写する転写手段として、前記静電潜像担持体
    上のトナー像を中間の転写体に転写する第1の転写手段
    と、該中間の転写体上のトナー像を被記録材に転写する
    第2の転写手段とを有し、前記静電荷像現像トナーを、
    トナー像の形成に供するトナーとして具えており、前記
    静電荷像現像トナーは、少なくとも、バインダー樹脂、
    着色剤、および請求項21〜23のいずれか一項に記載
    の荷電制御剤を含有してなるトナー粒子であることを特
    徴とする請求項29に記載の画像形成装置。
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JP2018120055A (ja) * 2017-01-24 2018-08-02 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 静電潜像現像用トナー

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