JP2003048273A - 複合樹脂皮膜および複合樹脂皮膜の形成方法 - Google Patents
複合樹脂皮膜および複合樹脂皮膜の形成方法Info
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Abstract
成型による表面以上のスベリ性と耐磨耗性を有した複合
樹脂皮膜およびその形成方法に関する。 【解決手段】 この複合樹脂皮膜およびその形成方法
は、金属またはセラミックの基材表面に、PEEK樹
脂、PEKK樹脂、PPS樹脂およびPES樹脂の群か
ら選ばれた1または複数の樹脂と、フッ素樹脂とからな
る複合樹脂を一体に密着形成して、スベリ性を高めてな
ることを特徴とし、複合樹脂皮膜の表面粗さを、Raで
15μm〜40μmの範囲内に設定することが好ましい。
Description
ミックの基材表面に一体に密着させてスベリ性を高めた
複合樹脂皮膜およびその形成方法に関する。
スベリ構造として、その表面にフッ素樹脂や、二硫化モ
リブデンをコーティングする方法、油を使用する方法、
ベアリングを使用する方法などが知られている。しか
し、フッ素樹脂をコーティングする従来技術では、フッ
素樹脂自体の摩耗という問題がある。また、フッ素樹脂
のスベリ性では対応しきれないものがある。次に、二硫
化モリブデンをコーティングする従来技術では、二硫化
モリブデンが相手材に転移することによってその性能を
あらわす為に、衛生面で問題がある。また、油を使用す
る従来技術では、二硫化モリブデンによるスベリ性付加
と同じく、相手材に転移するという点で衛生面に問題が
ある。更に、油自体の劣化という問題がある。次に、ロ
ーラやボールを軸受して使用する従来技術では、構造が
機械的なものである為に故障するという問題が起こる。
に鑑みて創案されたものであって、その主たる課題は、
フッ素樹脂の塗装および、成型による表面以上のスベリ
性と耐磨耗性を有した複合樹脂皮膜およびその形成方法
を提供することにある。
解決するために、請求項1の複合樹脂皮膜の発明では、
金属またはセラミックの基材表面に、PEEK樹脂、P
EKK樹脂、PPS樹脂およびPES樹脂の群から選ば
れた1または複数の樹脂と、フッ素樹脂とからなる複合
樹脂を溶融し一体に密着形成して、スベリ性を高めてな
る、という技術的手段を講じている。また、請求項2の
発明では、基材が、鉄鋼、アルミニウム、これらの合金
などの金属またはセラミックであって、該基材の表面に
対する洗浄、粗面化、鍍金または化成処理などの前処理
が施されてなる、という技術的手段を講じている。請求
項3の発明では、前記複合樹脂皮膜の表面粗さを、Ra
で15μm〜40μmの範囲内に設定してなる、という技
術的手段を講じている。
は、PEEK樹脂、PEKK樹脂、PPS樹脂およびP
ES樹脂の群から選ばれた1または複数の樹脂とフッ素
樹脂とからなる複合樹脂を、金属またはセラミックの基
材表面に塗布し、溶融後に冷却して複合樹脂皮膜を一体
に密着させてなる、という技術的手段を講じている。更
に、請求項5の発明では、前記基材が金属またはセラミ
ックであって、該基材の表面に対する洗浄、粗面化、鍍
金または化成処理などの前処理が施されており、複合樹
脂が、静電粉体塗装、流動浸漬、またはスプレー塗装な
どの塗装方法により塗布されてなる、という技術的手段
を講じている。また、請求項6の発明では、前記複合樹
脂皮膜の表面粗さを、Raで15μm〜40μmの範囲内
に設定してなる、という技術的手段を講じている。
されて、凹凸面が形成されると共にフッ素樹脂によるス
ベリ性が付与され複合樹脂皮膜となって基材表面に形成
される。これにより、基材表面の複合樹脂皮膜は、表面
のスベリ性と、凹凸面による相手材との接触面積の減少
とが相俟って高いスベリ性を有することができる。ま
た、複合樹脂の素材の組合せにより複合樹脂皮膜に耐磨
耗性を付加することができる。
およびその形成方法の好適実施例について図面を参照し
ながら説明する。本実施例では、基材1として、板状の
鉄材を用いるが、本発明ではアルミニウムやこれらの合
金、その他の金属、あるいはセラミックを用いてもよ
い。
行うことによって、基材表面と樹脂とが物理的方法で強
力に結合しやすくなる。そこで、本実施例では、前処理
第1工程として、上記基材1を400℃で空焼きする。
これにより、基材表面に付着していた油分などの汚れを
除去する。次に、前処理第2工程として、アルミナによ
るサンドブラストを行い、基材表面に残っているその他
の不純物を除去し、また、基材と樹脂との密着力を高め
るために基材表面を粗面化する。図中、1aは粗面化さ
れた基材表面である。
に複合樹脂を密着させるためのプライマーを基材表面に
塗布する。そして、下地処理第2工程として、前記下地
材を400℃で60分間焼成し、基材とプライマー層と
を一体に密着させる。
合樹脂としては、PEEK樹脂、PEKK樹脂、PPS
樹脂およびPES樹脂の群から選ばれた1または複数の
樹脂と、フッ素樹脂とを混合したものである。本実施例
では、PEEK樹脂と、フッ素樹脂としてのPFA樹脂
とを複合樹脂として用い、その配合比としてPEEK:
PFA=約80:約20の割合とした。この配合比は、
一例であって特に限定されるものではない。
上に塗布する。塗布は、静電粉体塗装、流動浸漬、また
はスプレー塗装などの公知の塗装方法により行われる。
ここで、加工者技術により、ほぼ均一の粗さとなるよう
に被膜の厚みを調節する必要性がある。この厚みは、例
えば50μm(10μm〜100μm)であるが、基材や
複合樹脂の素材に応じて適宜、実験的に定めることがで
きる。塗布する厚みが適切でないと、粗さにばらつきが
出てしまい、充分な機能を果たし難くなる。そこで、本
実施例では、形成後の複合樹脂皮膜の表面粗さが、Ra
で20μm±5μmの範囲となるように、複合樹脂の配合
比や皮膜の厚みが決定される。
成する。複合樹脂の焼成は、420℃(溶融温度)で6
0分間行い、これによって、前記プライマー層と複合樹
脂皮膜とを一体に密着させる。そして、徐々に冷却し、
プライマー層と一体に密着した複合樹脂皮膜2を冷却す
ることによって、樹脂を硬化させ、基材の表面構造が完
成する。この複合樹脂皮膜2は、凹凸面に形成されると
共にフッ素樹脂によるスベリ性が付与されて、基材上の
表面に一体に密着形成される。ここで、この複合樹脂皮
膜2の表面粗さはRaで20μm±5μmに形成される。
このようにして得られた複合樹脂皮膜2は、従来に比べ
て高いスベリ性と耐摩耗性を有している。
るために、比較例として板状の鉄材の表面にフッ素樹脂
としてのPTFE樹脂を皮膜として形成した場合につい
て説明する。この比較例では、前記実施例と同様に、鉄
板からなる基材に前処理第1および第2工程と、下地処
理第1および第2工程を行い、前記フッ素樹脂を基材表
面のプライマー層の上に塗布する。そして、フッ素樹脂
を焼成(380℃で60分間)して、プライマー層とフ
ッ素樹脂皮膜とを密着させ、次いで冷却することによっ
て、フッ素樹脂皮膜を硬化させて比較例のテストピース
を得る。
トピースについて、下記の要領で滑り性試験を行った。 a)試験方法 テストピースを傾け、その上に置かれている重りが、傾
き何度になった時点で滑り出すかを調べた。重りの形状
は図2に示すように突起のある部分を下にして行った。 b)テストピースの材質およびサイズ 材 質:鉄 サイズ:長さ5200mm、幅500mm、厚み5mm c)重り 質 量:2kg 形 状:突起のある面を下にして測定(図2参照) d)テストピースの種類 A:複合樹脂皮膜(本実施例品) B:フッ素樹脂(PTFE)皮膜 C:フッ素樹脂(PTFE)皮膜 ※ BとCは使用樹脂は同じであるが、塗料としては違
うものである。 e)試験結果
記と同様の方法で形成された本実施例および比較例のテ
ストピースについて耐摩耗試験を下記の要領で行った。 a)試験方法 テーバー摩耗試験機を用い、塗膜の摩耗量を測定した。
また、試験条件としては荷重1kg、回転数500回転
において、それぞれのテストピースの質量の減量を測定
し、これを摩耗量とした。 b)試験条件(テーバー摩擦試験) 摩耗輪:駆動輪CS−17 荷重:1kg 回転速度:500回転/7min ≒ 71.1回/min c)テストピースの基材の材質およびサイズ 材質:アルミニウム サイズ:長さ100mm、幅100mm、厚み5mm d)テストピースの種類 A:複合樹脂皮膜 B:フッ素樹脂(PTFE)皮膜 e)試験結果
合樹脂皮膜は滑り性に優れ、また耐摩耗性に優れている
ことが確認された。上記実施例は、この発明の一例を示
すものであり技術的範囲を限定するものではない。表面
粗さは、実施例ではRaで20μm±5μmとしたが、1
5μmから40μmの範囲内であればよい。更に、上記範
囲外であっても、複合樹脂の種類や相手材の種類によっ
てスベリ性が向上するものであればよい。その他、要す
るにこの発明の要旨を変更しない範囲で種々設計変更し
うること勿論である。
フッ素樹脂より高い滑り性を有すると共に、耐摩耗性の
向上を図ることができる。また、この発明は基材表面に
塗装により複合樹脂皮膜を形成するものであるため、屈
曲に対する強度が基材の強度に依存し、複合樹脂の成形
品では得られなかった優れた屈曲強度を得ることができ
る。そして、複合樹脂皮膜は基材と一体になっているた
め、基材と共に機械加工を行うことができ、寸法精度を
必要とする精密部品に使用することができる。また基材
が金属の場合には曲げ加工をすることができる。また、
この複合樹脂皮膜のスベリ性を利用して部材を滑動させ
る場合には、潤滑油の必要が無い。更に、板状にして斜
めに配置することにより、載置物品を衛生的に自重でス
ライド降下させることができる耐久性のある棚板として
使用することもできる。
る。
Claims (6)
- 【請求項1】金属またはセラミックの基材表面に、PE
EK樹脂、PEKK樹脂、PPS樹脂およびPES樹脂
の群から選ばれた1または複数の樹脂と、フッ素樹脂と
からなる複合樹脂を溶融し一体に密着形成した複合樹脂
皮膜。 - 【請求項2】基材が、鉄鋼、アルミニウム、これらの合
金などの金属またはセラミックであって、該基材の表面
に対する洗浄、粗面化、鍍金または化成処理などの前処
理が施されてなることを特徴とする請求項1に記載の複
合樹脂皮膜。 - 【請求項3】複合樹脂皮膜の表面粗さを、Raで15μ
m〜40μmの範囲内に設定してなることを特徴とする請
求項1に記載の複合樹脂皮膜。 - 【請求項4】PEEK樹脂、PEKK樹脂、PPS樹脂
およびPES樹脂の群から選ばれた1または複数の樹脂
とフッ素樹脂とからなる複合樹脂を混合し、金属または
セラミックの基材表面に塗布し、溶融後に冷却して複合
樹脂皮膜を形成してなることを特徴とする複合樹脂皮膜
の形成方法。 - 【請求項5】基材が金属またはセラミックであって、該
基材の表面に対する洗浄、粗面化、鍍金または化成処理
などの前処理が施されており、 複合樹脂が、静電粉体塗装、流動浸漬、またはスプレー
塗装などの塗装方法により塗布されてなることを特徴と
する請求項4に記載の複合樹脂皮膜の形成方法。 - 【請求項6】複合樹脂皮膜の表面粗さを、Raで15μ
m〜40μmの範囲内に設定してなることを特徴とする請
求項4に記載の複合樹脂皮膜の形成方法。
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JP2001239319A JP3905730B2 (ja) | 2001-08-07 | 2001-08-07 | 複合樹脂皮膜および複合樹脂皮膜の形成方法 |
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- 2001-08-07 JP JP2001239319A patent/JP3905730B2/ja not_active Expired - Lifetime
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