JP2003047391A - 乾燥耐性酵母 - Google Patents

乾燥耐性酵母

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JP2003047391A JP2001304576A JP2001304576A JP2003047391A JP 2003047391 A JP2003047391 A JP 2003047391A JP 2001304576 A JP2001304576 A JP 2001304576A JP 2001304576 A JP2001304576 A JP 2001304576A JP 2003047391 A JP2003047391 A JP 2003047391A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】無糖から高糖濃度までの種々の生地において優
れた発酵力を有し、かつ乾燥耐性を有する、特に冷凍生
地製パン用として好適な酵母の提供。また、前記酵母を
乾燥してなる、貯蔵性や保存性に優れ、生酵母と同程度
の発酵力を発揮しうる乾燥酵母の提供。さらに、前記酵
母を用いてなる、品質の安定した優れたパンの提供。 【解決手段】高糖生地、糖濃度0〜30重量%の生地、
糖濃度0〜5重量%の生地において発酵力及び乾燥耐性
を有し、さらに糖濃度10〜30重量%の生地、糖濃度
0〜30重量%の生地、糖濃度0〜3重量%の生地にお
いて冷凍耐性及び/又はフロア耐性を有し、かつ乾燥耐
性及び低温感受性を有し、かつ乾燥耐性を有する乾燥酵
母をパン生地に含有させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、製パン用、特に冷
凍生地製パン用として好適な、乾燥耐性を有する酵母、
当該酵母を乾燥してなる乾燥酵母、前記酵母または前記
乾燥酵母を含有してなる生地、ならびに当該生地を用い
てなるパンに関する。
【0002】
【従来の技術】パン酵母には生酵母(以下、乾燥前の酵
母という場合がある)と乾燥酵母(以下、乾燥後の酵母
という場合がある)の大きく分けて2種類の形態があ
る。生酵母としては、より糖濃度の高い生地に用いられ
る酵母、冷凍生地製法に用いられる酵母、低温感受性を
有している酵母など種々の機能を持った酵母が開発され
ており、目的のパンの製造に適した酵母が実用化され、
様々な製パンへの対応が可能である。しかしながら、生
酵母は貯蔵に冷蔵が必要であり、保存期間も短い。
【0003】一方、乾燥酵母は、保存性、貯蔵性の向上
を目的として生酵母を乾燥されたものであり、活性乾燥
酵母やインスタント乾燥酵母として実用化されている。
さらに、乾燥酵母特有の風味が特に糖濃度が低いパンに
好まれ、実用化されている。かかる乾燥酵母の製造には
乾燥耐性を有した菌株を用いたり、又は培養方法を調整
することによって乾燥耐性を付与することが必要であ
る。また、乾燥においても乾燥装置の工夫と、温度又は
乳化剤添加などの工夫が必要である。このように、乾燥
時の性能低下を最小限に防ぎ、発酵力等の機能を生酵母
そのままに保ち乾燥酵母製品にすることは難しく、生酵
母に比べその機能は十分とは言えない。そこで、貯蔵性
や保存性に優れ、なおかつ生酵母でみられるような様々
の機能を同程度に有する乾燥酵母の実現が待ち望まれて
いた。
【0004】現在、乾燥酵母は限られた糖濃度の条件
で、特に乾燥酵母特有の風味を生かした製法において主
に使用されている。具体的には、スクラッチ製法のフラ
ンスパンと、食パンなど糖濃度の低いパンの製造への使
用が主流である。一方、糖濃度の高い生地を用いる製パ
ン法や、冷凍生地もしくは冷蔵保存生地を用いる冷凍生
地製法にはほとんど使用されていない。これは、それら
の生地において充分な製パン性を有する酵母が未だ得ら
れていないことによる。乾燥酵母として冷凍生地製法に
おいて使用し得る酵母としては、たとえば、特開平11
−155559号公報に、ごく限られた低い糖濃度の生
地において冷凍耐性を有し、かつ乾燥耐性を有するパン
酵母が記載されている。しかしながら、未だ無糖から高
糖濃度までの種々の生地において高い冷凍耐性を発揮し
得る酵母については報告された例はなく、当然ながら、
そのような特性を有する乾燥酵母についても報告はな
い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、無糖から高
糖濃度までの種々の生地において優れた発酵力を有し、
かつ乾燥耐性を有する、製パン用、特に冷凍生地製パン
用として好適な酵母、詳しくは、高糖から超高糖生地に
おいて高い発酵力を示し、かつ乾燥耐性を有する酵母;
無糖から高糖生地において高い発酵力を示し、かつ乾燥
耐性を有する酵母;無糖から低糖生地において高い発酵
力を示し、かつ乾燥耐性を有する酵母;中糖から高糖生
地において高い冷凍耐性及び/又はフロア耐性を有し、
かつ乾燥耐性を有する酵母;無糖から高糖生地において
高い冷凍耐性及び/又はフロア耐性を有し、かつ乾燥耐
性を有する酵母;無糖から低糖生地において高い冷凍耐
性及び/又はフロア耐性を有し、かつ乾燥耐性を有する
酵母;および低温感受性を有し、かつ乾燥耐性を有する
酵母を提供することを目的とする。また本発明は、前記
酵母を乾燥してなる、貯蔵性や保存性に優れ、生酵母と
同程度の発酵力を発揮しうる、特に冷凍生地製パン用と
して好適な乾燥酵母を提供することを目的とする。さら
に本発明は、前記酵母または前記乾燥酵母を含有してな
る生地および冷凍生地、ならびに当該生地を用いてな
る、品質の安定した優れたパンを提供することを目的と
する。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前期課題に
鑑み鋭意検討した結果、所望の特性を有する酵母を見出
し、本発明を完成させるに至った。
【0007】即ち、本発明は〔1〕 高糖生地において
発酵力を有し、かつ乾燥耐性を有する酵母、〔2〕 乾
燥酵母とした時の発酵力を糖濃度30重量%の生地(乾
燥酵母1.5重量%)85g当たり30℃における11
5分間のガス発生量で表した時、200ml以上である
前記〔1〕記載の酵母、〔3〕 乾燥酵母とした時の発
酵力を糖濃度40重量%の生地(乾燥酵母1.5重量
%)85g当たり30℃における115分間のガス発生
量で表した時、70ml以上である前記〔1〕または
〔2〕記載の酵母、〔4〕 糖濃度0〜30重量%の生
地において発酵力を有し、かつ乾燥耐性を有する酵母、
〔5〕 乾燥酵母とした時の発酵力を糖濃度0重量%の
生地(乾燥酵母1重量%)85g当たり30℃における
85分間のガス発生量で表した時、140ml以上であ
り、かつ糖濃度30重量%の生地(乾燥酵母1.5重量
%)85g当たり30℃における115分間のガス発生
量で表した時、200ml以上である前記〔4〕記載の
酵母、〔6〕 乾燥酵母とした時の発酵力を加糖中種法
における本捏後の生地(糖濃度28重量%、乾燥酵母
1.5重量%)50g当たり30℃における120分間
のガス発生量で表した時、120ml以上である前記
〔1〕〜〔5〕いずれか記載の酵母、〔7〕 糖濃度0
〜5重量%の生地において発酵力を有し、かつ乾燥耐性
を有する酵母、〔8〕 乾燥酵母とした時の発酵力を糖
濃度0重量%の生地(乾燥酵母1重量%)85g当たり
30℃における85分間のガス発生量で表した時、22
0ml以上である前記〔7〕記載の酵母、
〔9〕 乾燥
酵母とした時の発酵力を糖濃度5重量%の生地(乾燥酵
母1重量%)85g当たり30℃における85分間のガ
ス発生量で表した時、160ml以上である前記〔7〕
または〔8〕記載の酵母、〔10〕 糖濃度10〜30
重量%の生地において冷凍耐性及び/又はフロア耐性を
有し、かつ乾燥耐性を有する酵母、〔11〕 乾燥酵母
とした時の発酵力を糖濃度10重量%の生地(乾燥酵母
2重量%)20g当たり38℃における120分間のガ
ス発生量で表した時、フロアタイム60分後4週間冷凍
保存後の生地で90ml以上である前記〔10〕記載の
酵母、〔12〕 さらに、フロアタイム60分後4週間
冷凍保存前後での発酵力の比(冷凍保存後/冷凍保存
前)が0.50以上である前記〔11〕記載の酵母、
〔13〕 さらに、フロアタイム30分後4週間冷凍保
存後とフロアタイム90分後4週間冷凍保存後での発酵
力の比(フロアタイム90分/フロアタイム30分)が
0.20以上である前記〔11〕又は〔12〕記載の酵
母、〔14〕 乾燥酵母とした時の発酵力を糖濃度15
重量%の生地(乾燥酵母2.5重量%)20g当たり3
8℃における120分間のガス発生量で表した時、フロ
アタイム60分後4週間冷凍保存後の生地で70ml以
上である前記〔10〕記載の酵母、〔15〕 さらに、
フロアタイム60分後4週間冷凍保存前後での発酵力の
比(冷凍保存後/冷凍保存前)が0.40以上である前
記〔14〕記載の酵母、〔16〕 さらに、フロアタイ
ム30分後4週間冷凍保存後とフロアタイム90分後4
週間冷凍保存後での発酵力の比(フロアタイム90分/
フロアタイム30分)が0.20以上である前記〔1
4〕又は〔15〕記載の酵母、〔17〕 乾燥酵母とし
た時の発酵力を糖濃度25重量%の生地(乾燥酵母3重
量%)20g当たり38℃における120分間のガス発
生量で表した時、フロアタイム90分後4週間冷凍保存
後の生地で50ml以上である前記〔10〕記載の酵
母、〔18〕 さらに、フロアタイム90分後4週間冷
凍保存前後での発酵力の比(冷凍保存後/冷凍保存前)
が0.60以上である前記〔17〕記載の酵母、〔1
9〕 さらに、フロアタイム30分後4週間冷凍保存後
とフロアタイム90分後4週間冷凍保存後での発酵力の
比(フロアタイム90分/フロアタイム30分)が0.
70以上である前記〔17〕又は〔18〕記載の酵母、
〔20〕 糖濃度0〜30重量%の生地において冷凍耐
性及び/又はフロア耐性を有し、かつ乾燥耐性を有する
酵母、〔21〕 乾燥酵母とした時の発酵力を糖濃度0
重量%の生地(乾燥酵母2重量%)20g当たり38℃
における120分間のガス発生量で表した時、フロアタ
イム60分後4週間冷凍保存後の生地で100ml以上
である前記〔20〕記載の酵母、〔22〕 さらに、フ
ロアタイム60分後4週間冷凍保存前後での発酵力の比
(冷凍保存後/冷凍保存前)が0.88以上である前記
〔21〕記載の酵母、〔23〕 さらに、フロアタイム
0分4週間冷凍保存後とフロアタイム60分後4週間冷
凍保存後での発酵力の比(フロアタイム60分/フロア
タイム0分)が0.80以上である前記〔21〕又は
〔22〕記載の酵母、〔24〕 乾燥酵母とした時の発
酵力を糖濃度5重量%の生地(乾燥酵母2重量%)20
g当たり38℃における120分間のガス発生量で表し
た時、フロアタイム60分後4週間冷凍保存後の生地で
70ml以上である前記〔20〕〜〔23〕いずれか記
載の酵母、〔25〕 さらに、フロアタイム60分後4
週間冷凍保存前後での発酵力の比(冷凍保存後/冷凍保
存前)が0.40以上である前記〔24〕記載の酵母、
〔26〕 さらに、フロアタイム0分4週間冷凍保存後
とフロアタイム60分後4週間冷凍保存後での発酵力の
比(フロアタイム60分/フロアタイム0分)が0.5
0以上である前記〔24〕又は〔25〕記載の酵母、
〔27〕 乾燥酵母とした時の発酵力を糖濃度10重量
%の生地(乾燥酵母2重量%)20g当たり38℃にお
ける120分間のガス発生量で表した時、フロアタイム
60分後4週間冷凍保存後の生地で90ml以上である
前記〔20〕〜〔26〕いずれか記載の酵母、〔28〕
さらに、フロアタイム60分後4週間冷凍保存前後で
の発酵力の比(冷凍保存後/冷凍保存前)が0.50以
上である前記〔27〕記載の酵母、〔29〕 さらに、
フロアタイム30分後4週間冷凍保存後とフロアタイム
90分後4週間冷凍保存後での発酵力の比(フロアタイ
ム90分/フロアタイム30分)が0.20以上である
前記〔27〕又は〔28〕記載の酵母、〔30〕 乾燥
酵母とした時の発酵力を糖濃度25重量%の生地(乾燥
酵母3重量%)20g当たり38℃における120分間
のガス発生量で表した時、フロアタイム60分後4週間
冷凍保存後の生地で125ml以上であり、かつフロア
タイム90分後4週間冷凍保存後の生地で50ml以上
である前記〔20〕〜〔29〕いずれか記載の酵母、
〔31〕 さらに、フロアタイム60分後4週間冷凍保
存前後での発酵力の比(冷凍保存後/冷凍保存前)が
0.70以上であり、かつフロアタイム90分後4週間
冷凍保存前後での発酵力の比(冷凍保存後/冷凍保存
前)が0.30以上である前記〔30〕記載の酵母、
〔32〕 さらに、フロアタイム30分後4週間冷凍保
存後とフロアタイム90分後4週間冷凍保存後での発酵
力の比(フロアタイム90分/フロアタイム30分)が
0.35以上である前記〔30〕又は〔31〕記載の酵
母、〔33〕 糖濃度0〜3重量%の生地において冷凍
耐性及び/又はフロア耐性を有し、かつ乾燥耐性を有す
る酵母、〔34〕 乾燥酵母とした時の発酵力を糖濃度
0重量%の生地(乾燥酵母2重量%)20g当たり38
℃における120分間のガス発生量で表した時、フロア
タイム60分後4週間冷凍保存後の生地で100ml以
上である前記〔33〕記載の酵母、〔35〕 さらに、
フロアタイム60分後4週間冷凍保存前後での発酵力の
比(冷凍保存後/冷凍保存前)が0.88以上である前
記〔34〕記載の酵母、〔36〕 さらに、フロアタイ
ム0分4週間冷凍保存後とフロアタイム60分後4週間
冷凍保存後での発酵力の比(フロアタイム60分/フロ
アタイム0分)が0.80以上である前記〔34〕又は
〔35〕記載の酵母、〔37〕 乾燥酵母とした時の発
酵力を糖濃度3重量%の生地(乾燥酵母2重量%)20
g当たり38℃における120分間のガス発生量で表し
た時、フロアタイム60分後4週間冷凍保存後の生地で
50ml以上である前記〔33〕〜〔36〕いずれか記
載の酵母、〔38〕 さらに、フロアタイム60分後4
週間冷凍保存前後での発酵力の比(冷凍保存後/冷凍保
存前)が0.40以上である前記〔37〕記載の酵母、
〔39〕 さらに、フロアタイム0分4週間冷凍保存後
とフロアタイム60分後4週間冷凍保存後での発酵力の
比(フロアタイム60分/フロアタイム0分)が0.3
5以上である前記〔37〕又は〔38〕記載の酵母、
〔40〕 低温感受性を有し、かつ乾燥耐性を有する酵
母、〔41〕 さらに、残存発酵力比〔乾燥前後での発
酵力の比(乾燥後/乾燥前)〕が0.70以上である前
記〔1〕〜〔40〕いずれか記載の酵母、〔42〕 サ
ッカロマイセス・セルビシエ(Saccharomyces cerevisia
e)D75412株(FERM BP−7688)である
前記〔1〕〜〔3〕および〔41〕いずれか記載の酵
母、〔43〕 サッカロマイセス・セルビシエ(Sacchar
omyces cerevisiae)D20946株(FERM BP−
7684)である前記〔4〕〜〔6〕および〔41〕い
ずれか記載の酵母、〔44〕 サッカロマイセス・セル
ビシエ(Saccharomyces cerevisiae)D46462株(F
ERM BP−7686)である前記〔7〕〜
〔9〕お
よび〔41〕いずれか記載の酵母、〔45〕 サッカロ
マイセス・セルビシエ(Saccharomyces cerevisiae)D6
6785株(FERM BP−7687)である前記
〔10〕〜〔19〕および〔41〕いずれか記載の酵
母、〔46〕 サッカロマイセス・セルビシエ(Sacchar
omyces cerevisiae)D92764株(FERM BP−
7690)である前記〔20〕〜〔32〕および〔4
1〕いずれか記載の酵母、〔47〕 サッカロマイセス
・セルビシエ(Saccharomyces cerevisiae)D80921
株(FERM BP−7689)である請求項〔33〕
〜〔39〕および〔41〕いずれか記載の酵母、〔4
8〕 サッカロマイセス・セルビシエ(Saccharomyces c
erevisiae)D31735株(FERM BP−768
5)である前記〔40〕および〔41〕記載の酵母、
〔49〕 酵母が乾燥酵母である前記〔1〕〜〔48〕
いずれか記載の酵母、〔50〕 冷凍生地用の前記〔1
0〕〜〔49〕いずれか記載の酵母、〔51〕 前記
〔1〕〜〔50〕いずれかに記載の酵母を含有してなる
生地、ならびに〔52〕 前記〔51〕に記載の生地を
用いてなるパン、に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の酵母は、無糖から高糖濃
度までの種々の生地において優れた発酵力を有し、かつ
乾燥耐性を有する酵母である。また、当該酵母は特定の
糖濃度範囲の生地において、特に、優れた発酵力、冷凍
耐性、フロア耐性、低温感受性を発揮するなど、製パン
性の観点より特に優れた性質を有する。
【0009】本発明の酵母によれば、パンの糖濃度に応
じた従来のような使い分けの必要は必ずしもないので、
一般的なあらゆる糖濃度のパンの製造に対応することが
できる。また、糖濃度を限定し、当該糖濃度において特
に優れた性質を発揮しうる酵母を使用することで、より
優れたパンの製造が可能となる。また、当該酵母を乾燥
してなる乾燥酵母は、貯蔵性や保存性に優れ、しかも高
糖から超高糖生地において、又は無糖から高糖生地の広
い糖濃度範囲の生地において、又は無糖から低糖生地に
おいて生酵母と同程度の発酵力を発揮しうることから、
一般的なあらゆる糖濃度範囲において質のよいパン製造
を行うことができる。また、従来の乾燥酵母には、例え
ば、十分な冷凍耐性及び/又はフロア耐性を有するもの
はなく、冷凍生地製法への使用は困難であったが、前記
乾燥酵母は中糖から高糖生地において、又は無糖から高
糖生地の広い糖濃度範囲の生地において、又は無糖から
低糖生地において高い冷凍耐性及び/又はフロア耐性を
発揮しえ、かつ乾燥耐性を有することから、糖濃度によ
る制限を実質的に受けることなく、冷凍生地製法に非常
に好適に使用することができる。
【0010】ところで、乾燥酵母は、その製法と性状か
ら大きく2種類に分類される。一方は、その製造に特殊
な機器を必要としない一般にアクティブ乾燥酵母(アク
ティブドライブイースト)と呼ばれるもので、菌体水分
量10重量%程度である。使用に際しては、温水(ショ
糖を添加する場合もある)に溶解して数十分間に渡り活
性化を行った後にパン生地に混捏する。もう一方は、イ
ンスタント乾燥酵母と呼ばれるもので、菌体水分量は4
重量%程度で長期間の保存が可能であり、使用に際して
は温水で活性化することなしに生地に混捏することがで
きる。
【0011】本明細書において「乾燥酵母」とはインス
タント乾燥酵母をいい、前記アクティブ乾燥酵母として
のみ使用可能な酵母に比べ、より乾燥耐性に優れた酵母
からなる。従って、本発明の乾燥酵母は、貯蔵性に非常
に優れると共に、生地に混捏する際に温水での活性化な
しに直ちに使用可能である。
【0012】さらに、本発明によれば、前記酵母又は前
記乾燥酵母を含有してなる、例えば、スクラッチ製法の
生地及び冷凍生地製法に好適な生地が得られ、当該生地
を用いてなる、品質の安定した優れたパンを提供するこ
とができる。
【0013】なお、前記乾燥酵母、生地及びパンは本発
明に包含される。また本明細書において、生地の糖濃度
として「重量%」を用いる場合、当業界の慣習に従って
「小麦粉100重量部に対する糖の重量部」を示し、た
とえば、「糖濃度5重量%の生地」という場合、「小麦
粉100重量部に対し糖5重量部が添加されてなる生
地」をいう。冷凍生地には冷蔵生地の概念を含む場合が
ある。また本明細書において、「無糖生地」とは糖濃度
0重量%である生地を、「低糖生地」とは糖濃度が0重
量%を超えて10重量%までの生地を、「中糖生地」と
は糖濃度が10重量%を超えて15重量%までの生地
を、「高糖生地」とは糖濃度が15重量%を超えて30
重量%までの生地を、「超高糖生地」とは糖濃度が30
重量%を超えて40重量%までの生地を、それぞれい
う。なお、本明細書において、「糖」とは一般にショ糖
をいうが、その種類は特に限定されるものではなく、生
地の調製の際に添加して使用される糖であればいずれの
ものでもよい。また、高糖生地には超高糖生地の意が含
まれる場合がある。
【0014】以下、本発明の酵母の性質について説明す
る。
【0015】なお、スクラッチ製法において示す、糖濃
度0重量%、糖濃度5重量%、糖濃度30重量%、糖濃
度40重量%の各々の生地は、表1に示す配合にしたが
い、各原料を卓上ミキサー(HOBART社製)により、捏ね
上げ温度29℃で混捏し、調製したものである。
【0016】
【表1】
【0017】同様に、冷凍生地製法において示す、糖濃
度0重量%、糖濃度3重量%、糖濃度5重量%、糖濃度
10重量%、糖濃度15重量%、糖濃度25重量%の各
々の生地は、後述する表4に示す配合にしたがい、各原
料を卓上ミキサー(HOBART社製)により、捏ね上げ温度
29℃で混捏し、調製したものである。
【0018】本発明の酵母の各性質の定義ならびにその
評価の方法をまとめて示す。
【0019】(1)糖濃度0重量%の生地発酵力 本明細書において糖濃度0重量%の生地発酵力は、酵母
を後述するようにして乾燥して得た乾燥酵母を用いて生
地を調製し、一定条件下に測定した生地からのガス(炭
酸ガス)発生量で表す。具体的には、当該ガス発生量
(ml)は、表1に示す糖濃度0重量%の生地配合で生
地を混捏・調製し、この生地を85gに分割後、常法に
従ってファーモグラフ(アトー社製)で測定(30℃で
85分間)して求める。
【0020】(2)糖濃度5重量%の生地発酵力 本明細書において糖濃度5重量%の生地発酵力とは、酵
母を後述するようにして乾燥して得た乾燥酵母を用いて
生地を調製し、一定条件下に測定した生地からのガス発
生量で表す。具体的には、当該ガス発生量(ml)は、
表1に示す糖濃度5重量%の生地配合で生地を混捏・調
製し、この生地を85gに分割後、常法に従ってファー
モグラフ(アトー社製)で測定(30℃で85分間)し
て求める。
【0021】(3)糖濃度30重量%の生地発酵力 本明細書において糖濃度30重量%の生地発酵力とは、
酵母を後述するようにして乾燥して得た乾燥酵母を用い
て生地を調製し、一定条件下に測定した生地からのガス
発生量で表す。具体的には、当該ガス発生量(ml)
は、表1に示す糖濃度30重量%の生地配合で生地を混
捏・調製し、この生地を85gに分割後、常法に従って
ファーモグラフ(アトー社製)で測定(30℃で115
分間)して求める。
【0022】(4)糖濃度40重量%の生地発酵力 本明細書において糖濃度40重量%の生地発酵力とは、
酵母を後述するようにして乾燥して得た乾燥酵母を用い
て生地を調製し、一定条件下に測定した生地からのガス
発生量で表す。具体的には、当該ガス発生量(ml)
は、表1に示す糖濃度40重量%の生地配合で生地を混
捏・調製し、この生地を85gに分割後、常法に従って
ファーモグラフ(アトー社製)で測定(30℃で115
分間)して求める。
【0023】(5)本捏後の生地ガス発生量 本明細書において本捏後の生地ガス発生量とは、酵母を
後述するようにして乾燥して得た乾燥酵母を用い、加糖
中種法により調製した本捏後の生地からの、一定条件下
に測定したガス発生量で表す。具体的には、当該ガス発
生量(ml)は、表2に示す加糖中種生地配合で表3に
示す加糖中種法の生地作製条件に従って生地を調製し、
本捏後の生地を50gに分割後、常法に従ってファーモ
グラフ(アトー社製)で測定(30℃で120分間)し
て求める。
【0024】
【表2】
【0025】
【表3】
【0026】(6)冷凍耐性 本明細書において冷凍耐性とは、酵母を後述するように
して乾燥して得た乾燥酵母を用いて生地を調製し、当該
生地を一定期間冷凍保存後、当該乾燥酵母が、冷凍保存
前の酵母と同様に使用可能な発酵力を発揮し得ることを
いう。なお、冷凍保存後の発酵力は、表4の配合に従っ
て得られた生地を20gに分割し、30℃でフロアタイ
ムを60分間又は90分間とり、次いで−20℃で4週
間冷凍保存後、25℃で30分間解凍し、ファーモグラ
フ(アトー社製)で測定(38℃で120分間)して得
た生地からのガス発生量(ml)として表す。
【0027】
【表4】
【0028】また、冷凍耐性は、冷凍保存前後での発酵
力の比(冷凍保存後/冷凍保存前)、詳しくは、発酵力
を表すガス発生量の冷凍保存前後での比として表すこと
もでき、冷凍保存前と比較した冷凍保存後の発酵力の程
度を直ちに把握することができる点で、冷凍耐性を評価
するのに好適である。本発明の酵母としては、その冷凍
耐性において、前記冷凍保存後の発酵力と冷凍保存前後
での発酵力の比が共に高いものがより好適である。な
お、冷凍保存前の発酵力は、前記冷凍保存後の発酵力に
ついて示す方法において、生地を冷凍保存しない場合の
生地からのガス発生量として表す。
【0029】(7)フロア耐性 本明細書においてフロア耐性とは、酵母を後述するよう
にして乾燥して得た乾燥酵母を用いて生地を調製し、冷
凍保存の前に前発酵(フロア)しても、前発酵しない
か、あるいは実質的に前発酵しない場合と同様に使用可
能な発酵力を発揮し得ることをいう。フロア耐性は、前
記乾燥酵母を用いて生地を調製し、個々の生地に対し長
短時間の2通りのフロアタイムをとり、次いで当該生地
を一定期間冷凍保存後、短時間のフロアタイムをとった
場合と長時間のフロアタイムをとった場合における冷凍
保存後の発酵力の比(長時間のフロアタイム/短時間の
フロアタイム)、詳しくは、前記冷凍耐性と同様、発酵
力をガス発生量として求め、得られたガス発生量の比と
して表す。
【0030】すなわち、糖濃度0重量%の生地、糖濃度
3重量%の生地、糖濃度5重量%の生地では、フロアタ
イム0分と60分間とし、4週間冷凍保存後、解凍し、
各々発酵力をガス発生量として求め、それらの比をと
る。また、糖濃度10重量%の生地、糖濃度15重量%
の生地、糖濃度25重量%の生地では、フロアタイムを
30分間と90分間とし、4週間冷凍保存後、解凍し、
各々発酵力をガス発生量として求め、それらの比をと
る。なお、ガス発生量(ml)は、酵母を後述するよう
にして乾燥して得た乾燥酵母を用い、表4の配合に従っ
て生地を調製し、当該生地を20gに分割し、30℃で
所定のフロアタイムをとり、次いで−20℃で4週間冷
凍保存後、25℃で30分間解凍し、ファーモグラフ
(アトー社製)で測定(38℃で120分間)して求め
る。
【0031】(8)低温感受性 本明細書において低温感受性とは、好ましくは0℃〜1
0℃、より好ましくは3℃〜8℃の低温において発酵力
が低いという性質をいい、本発明において具体的には、
酵母を後述するようにして乾燥して得た乾燥酵母の5℃
における生地発酵力に対する30℃における生地発酵力
の比(30℃生地発酵力/5℃生地発酵力)により評価
した。当該比の値が大きいほど低温感受性に優れる。
【0032】当該乾燥酵母の5℃における発酵力は微弱
であるため、5℃生地発酵力と30℃生地発酵力とで
は、その測定方法が異なる。すなわち、5℃生地発酵力
を測定する場合、表5に示す生地組成で各成分を卓上ミ
キサーを用い、捏ね上げ温度25℃になるように混捏し
て生地を調製し、得られた生地をシリンダーに入れて、
あらかじめ初期体積(ml)を測定する。次いで、その
ままの状態で5℃にて20時間発酵させた後に生地の体
積(発酵後体積)を測定し、発酵後体積と初期体積との
差(発酵後体積−初期体積)を5℃生地発酵力とする。
一方、30℃生地発酵力は、表5に示す生地組成で同様
にして、捏ね上げ温度29℃になるように混捏して生地
を調製し、得られた生地を85gに分割後、常法に従っ
てファーモグラフ(アトー社製)でガス発生量を測定
(30℃で85分間)し、当該ガス発生量を30℃生地
発酵力とする。なお、酵母として生酵母(圧搾酵母)を
使用する場合は、表5において乾燥酵母1gの替わりに
生酵母2gを使用する。
【0033】
【表5】
【0034】(9)乾燥耐性 本発明において乾燥耐性は、乾燥前の酵母の発酵力に対
する乾燥後の酵母の発酵力の比(残存発酵力比)として
表す。本発明の酵母は乾燥耐性に優れており、従って、
乾燥後においても乾燥前の酵母と同様に使用可能な発酵
力を発揮し得る。
【0035】なお、残存発酵力比は以下のようにして求
める。すなわち、乾燥前及び乾燥後の各々の酵母を用
い、表6の配合に従って各原料を卓上ミキサー(HOBERT
社製)により混捏(捏ね上げ温度29℃)して生地を調
製する。得られた生地を85gに分割した後、各場合に
ついて、ファーモグラフにて30℃で85分間のガス発
生量(ml)を測定し、当該ガス発生量を発酵力とす
る。次いで、乾燥後の酵母の発酵力、乾燥前の酵母の発
酵力、乾燥後の菌体水分量(重量%)及び乾燥前の菌体
水分量(重量%)を、以下の式:
【0036】
【数1】
【0037】に適用して残存発酵力比を求める。乾燥後
及び乾燥前の菌体水分量は、測定する菌体約1gを精秤
し(菌体重量1;g)、充分に乾燥した試験管内におい
て110℃で12時間乾燥を行った後、再度精秤し(菌
体重量2;g)、以下の式: 菌体水分量(重量%)=〔(菌体重量1−菌体重量2)
/菌体重量1〕×100 により求める。
【0038】
【表6】
【0039】本発明の一態様として、特に高糖生地にお
いて好適に使用される、当該生地において高い発酵力を
有し、かつ乾燥耐性を有する酵母を提供する。当該酵母
としては以下の性質を有するものが好適であり、本発明
の所望の効果を充分に奏しうる。
【0040】糖濃度30重量%の生地発酵力としては好
ましくは200ml以上、より好ましくは250ml以
上である、および/または糖濃度40重量%の生地発酵
力としては好ましくは70ml以上、より好ましくは9
0ml以上である。また、さらに本捏後の生地ガス発生
量が、好ましくは120ml以上、より好ましくは17
0ml以上、特に好ましくは175ml以上、さらに好
ましくは190ml以上であるのがより好ましい。
【0041】乾燥耐性としては、残存発酵力比が好まし
くは0.70以上、より好ましくは0.80以上であ
る。なお、本態様において、残存発酵力比が0.70以
上である場合、冷凍生地用としても好適に使用すること
ができる。
【0042】本態様における好適な酵母の一例として具
体的には、後述するサッカロマイセス・セルビシエ(Sac
charomyces cerevisiae)D75412株(FERM B
P−7688)を挙げることができる。
【0043】また本発明の一態様として、糖濃度0〜3
0重量%の生地において好適に使用される、当該生地に
おいて高い発酵力を有し、かつ乾燥耐性を有する酵母を
提供する。当該酵母としては以下の性質を有するものが
好適であり、本発明の所望の効果を充分に奏しうる。
【0044】糖濃度0重量%の生地発酵力としては好ま
しくは140ml以上、より好ましくは190ml以上
であり、かつ糖濃度30重量%の生地発酵力としては好
ましくは200ml以上、より好ましくは230ml以
上である。また、さらに本捏後の生地ガス発生量が好ま
しくは120ml以上、より好ましくは170ml以
上、特に好ましくは175ml以上であるのがより好ま
しい。
【0045】乾燥耐性としては、残存発酵力比が好まし
くは0.70以上、より好ましくは0.80以上であ
る。なお、本態様において、残存発酵力比が0.70以
上である場合、冷凍生地用としても好適に使用すること
ができる。
【0046】本態様における好適な酵母の一例として具
体的には、後述するサッカロマイセス・セルビシエ(Sac
charomyces cerevisiae)D20946株(FERM B
P−7684)を挙げることができる。
【0047】また本発明の一態様として、糖濃度0〜5
重量%の生地において好適に使用される、当該生地にお
いて高い発酵力を有し、かつ乾燥耐性を有する酵母を提
供する。当該酵母としては以下の性質を有するものが好
適であり、本発明の所望の効果を充分に奏しうる。
【0048】糖濃度0重量%の生地発酵力としては好ま
しくは220ml以上、より好ましくは240ml以上
である、および/または糖濃度5重量%の生地発酵力と
しては好ましくは160ml以上、より好ましくは18
0ml以上である。
【0049】乾燥耐性としては、残存発酵力比が好まし
くは0.70以上、より好ましくは0.80以上であ
る。なお、本態様において、残存発酵力比が0.70以
上である場合、冷凍生地用としても好適に使用すること
ができる。
【0050】本態様における好適な酵母の一例として具
体的には、後述するサッカロマイセス・セルビシエ(Sac
charomyces cerevisiae)D46462株(FERM B
P−7686)を挙げることができる。
【0051】また本発明の一態様として、糖濃度10〜
30重量%の生地において好適に使用される、当該生地
において冷凍耐性及び/又はフロア耐性を有し、かつ乾
燥耐性を有する酵母を提供する。当該酵母としては以下
の性質を有するものが好適であり、本発明の所望の効果
を充分に奏しうる。
【0052】糖濃度10重量%の生地の場合、フロアタ
イム60分後4週間冷凍保存後の発酵力は、ガス発生量
で好ましくは90ml以上、より好ましくは100ml
以上であり、さらに、フロアタイム60分後4週間冷凍
保存前後での発酵力の比が好ましくは0.50以上、よ
り好ましくは0.55以上であるのが好適である。加え
て、フロアタイム30分後4週間冷凍保存後とフロアタ
イム90分後4週間冷凍保存後での発酵力の比(フロア
タイム90分/フロアタイム30分)が好ましくは0.
20以上、より好ましくは0.35以上であるのがより
好適である。
【0053】糖濃度15重量%の生地の場合、フロアタ
イム60分後4週間冷凍保存後の発酵力は、ガス発生量
で好ましくは70ml以上、より好ましくは100ml
以上、さらに好ましくは130ml以上であり、さら
に、フロアタイム60分後4週間冷凍保存前後での発酵
力の比が好ましくは0.40以上、より好ましくは0.
50以上、さらに好ましくは0.65以上であるのが好
適である。加えて、フロアタイム30分後4週間冷凍保
存後とフロアタイム90分後4週間冷凍保存後での発酵
力の比(フロアタイム90分/フロアタイム30分)が
好ましくは0.20以上、より好ましくは0.30以
上、さらに好ましくは0.45以上であるのがより好適
である。
【0054】糖濃度25重量%の生地の場合、フロアタ
イム90分後4週間冷凍保存後の発酵力は、ガス発生量
で好ましくは50ml以上、より好ましくは60ml以
上、更に好ましくは90ml以上であり、さらに、フロ
アタイム90分後4週間冷凍保存前後での発酵力の比が
好ましくは0.60以上、より好ましくは0.63以上
であるのが好適である。加えて、フロアタイム30分後
4週間冷凍保存後とフロアタイム90分後4週間冷凍保
存後での発酵力の比(フロアタイム90分/フロアタイ
ム30分)が好ましくは0.70以上、より好ましくは
0.78以上であるのがより好適である。
【0055】乾燥耐性としては、残存発酵力比が好まし
くは0.70以上、より好ましくは0.80以上であ
る。
【0056】本態様における好適な酵母の一例として具
体的には、後述するサッカロマイセス・セルビシエ(Sac
charomyces cerevisiae)D66785株(FERM B
P−7687)を挙げることができる。
【0057】また本発明の一態様として、糖濃度0〜3
0重量%の生地において好適に使用される、当該生地に
おいて冷凍耐性及び/又はフロア耐性を有し、かつ乾燥
耐性を有する酵母を提供する。当該酵母としては以下の
性質を有するものが好適であり、本発明の所望の効果を
充分に奏しうる。
【0058】糖濃度0重量%の生地の場合、フロアタイ
ム60分後4週間冷凍保存後の発酵力は、ガス発生量で
好ましくは100ml以上、より好ましくは105ml
以上であり、さらに、フロアタイム60分後4週間冷凍
保存前後での発酵力の比が好ましくは0.88以上、よ
り好ましくは0.90以上であるのが好適である。加え
て、フロアタイム0分4週間冷凍保存後とフロアタイム
60分後4週間冷凍保存後での発酵力の比(フロアタイ
ム60分/フロアタイム0分)が好ましくは0.80以
上、より好ましくは0.90以上であるのがより好適で
ある。
【0059】さらに糖濃度5重量%の生地の場合、フロ
アタイム60分後4週間冷凍保存後の発酵力は、ガス発
生量で好ましくは70ml以上、より好ましくは85m
l以上、さらに好ましくは90ml以上であり、さら
に、フロアタイム60分後4週間冷凍保存前後での発酵
力の比が好ましくは0.40以上、より好ましくは0.
70以上であるのが好適である。加えて、フロアタイム
0分4週間冷凍保存後とフロアタイム60分後4週間冷
凍保存後での発酵力の比(フロアタイム60分/フロア
タイム0分)が好ましくは0.50以上、より好ましく
は0.60以上であるのがより好適である。
【0060】さらに糖濃度10重量%の生地の場合、フ
ロアタイム60分後4週間冷凍保存後の発酵力は、ガス
発生量で好ましくは90ml以上、より好ましくは10
0ml以上であり、さらに、フロアタイム60分後4週
間冷凍保存前後での発酵力の比が好ましくは0.50以
上、より好ましくは0.55以上、さらに好ましくは
0.65以上であるのが好適である。加えて、フロアタ
イム30分後4週間冷凍保存後とフロアタイム90分後
4週間冷凍保存後での発酵力の比(フロアタイム90分
/フロアタイム30分)が好ましくは0.20以上、よ
り好ましくは0.35以上、さらに好ましく0.40以
上であるのがより好適である。
【0061】さらに糖濃度25重量%の生地の場合、フ
ロアタイム60分後4週間冷凍保存後の発酵力は、ガス
発生量で好ましくは125ml以上、より好ましくは1
30ml以上、更に好ましくは140ml以上であり、
かつフロアタイム90分後4週間冷凍保存後の発酵力
は、ガス発生量で好ましくは50ml以上、より好まし
くは60ml以上、更に好ましくは90ml以上であ
る。さらに、フロアタイム60分後4週間冷凍保存前後
での発酵力の比が好ましくは0.70以上、より好まし
くは0.72以上であり、かつフロアタイム90分後4
週間冷凍保存前後での発酵力の比が好ましくは0.30
以上、より好ましくは0.35以上であるのが好適であ
る。加えて、フロアタイム30分後4週間冷凍保存後と
フロアタイム90分後4週間冷凍保存後での発酵力の比
(フロアタイム90分/フロアタイム30分)は好まし
くは0.35以上、より好ましくは0.38以上である
のがより好適である。
【0062】乾燥耐性としては、残存発酵力比が好まし
くは0.70以上、より好ましくは0.80以上であ
る。
【0063】本態様における好適な酵母の一例として具
体的には、後述するサッカロマイセス・セルビシエ(Sac
charomyces cerevisiae)D92764株(FERM B
P−7690)を挙げることができる。
【0064】また本発明の一態様として、糖濃度0〜3
重量%の生地において好適に使用される、当該生地にお
いて冷凍耐性及び/又はフロア耐性を有し、かつ乾燥耐
性を有する酵母を提供する。当該酵母としては以下の性
質を有するものが好適であり、本発明の所望の効果を充
分に奏しうる。
【0065】糖濃度0重量%の生地の場合、フロアタイ
ム60分後4週間冷凍保存後の発酵力は、ガス発生量で
好ましくは100ml以上、より好ましくは110ml
以上であり、さらに、フロアタイム60分後4週間冷凍
保存前後での発酵力の比が好ましくは0.88以上、よ
り好ましくは0.95以上であるのが好適である。加え
て、フロアタイム0分4週間冷凍保存後とフロアタイム
60分後4週間冷凍保存後での発酵力の比(フロアタイ
ム60分/フロアタイム0分)が好ましくは0.80以
上、より好ましくは0.90以上であるのがより好適で
ある。
【0066】さらに糖濃度3重量%の生地の場合、フロ
アタイム60分後4週間冷凍保存後の発酵力は、ガス発
生量で好ましくは50ml以上、より好ましくは70m
l以上、さらに好ましくは75ml以上であり、さら
に、フロアタイム60分後4週間冷凍保存前後での発酵
力の比が好ましくは0.40以上、より好ましくは0.
50以上、さらに好ましくは0.55以上であるのが好
適である。加えて、フロアタイム0分4週間冷凍保存後
とフロアタイム60分後4週間冷凍保存後での発酵力の
比(フロアタイム60分/フロアタイム0分)が好まし
くは0.35以上、より好ましくは0.50以上である
のがより好適である。
【0067】乾燥耐性としては、残存発酵力比が好まし
くは0.70以上、より好ましくは0.80以上であ
る。
【0068】本態様における好適な酵母の一例として具
体的には、後述するサッカロマイセス・セルビシエ(Sac
charomyces cerevisiae)D80921株(FERM B
P−7689)を挙げることができる。
【0069】また本発明の一態様として、特に低糖生地
において好適に使用される、当該生地において低温感受
性及び乾燥耐性を有する酵母を提供する。低温感受性と
しては、5℃生地発酵力に対する30℃生地発酵力の比
(30℃生地発酵力/5℃生地発酵力)が好ましくは
0.70以上、より好ましくは0.80以上である。一
方、乾燥耐性としては、残存発酵力比が好ましくは0.
70以上、より好ましくは0.80以上である。
【0070】本態様における好適な酵母の一例として具
体的には、後述するサッカロマイセス・セルビシエ(Sac
charomyces cerevisiae)D31735株(FERM B
P−7685)を挙げることができる。
【0071】本発明の酵母としては無糖から高糖濃度の
生地において前記したような性質を有するあらゆる菌
株、特に、高糖から超高糖生地において高い発酵力を示
しかつ乾燥耐性を有するあらゆる菌株、無糖から高糖生
地において高い発酵力を示しかつ乾燥耐性を有するあら
ゆる菌株、無糖から低糖生地において高い発酵力を示し
かつ乾燥耐性を有するあらゆる菌株、中糖から高糖生地
において高い冷凍耐性及び/又はフロア耐性を有し、か
つ乾燥耐性を有するあらゆる菌株、無糖から高糖生地に
おいて高い冷凍耐性及び/又はフロア耐性を有し、かつ
乾燥耐性を有するあらゆる菌株、無糖から低糖生地にお
いて高い冷凍耐性及び/又はフロア耐性を有し、かつ乾
燥耐性を有するあらゆる菌株、低温感受性を有し、かつ
乾燥耐性を有するあらゆる菌株を包含し、人工的に作出
したもの、自然界から分離したものを問わず、全て包含
するものである。たとえば、既知の酵母でよく、一般的
にパンを製造するのに利用されている酵母、たとえば、
多用されるサッカロマイセス・セルビシエ、その他、サ
ッカロマイセス・ウバウム、サッカロマイセス・エクシ
ギューズやトルラポラ属等が挙げられ、本発明の所望の
効果を奏しうる限り、いずれのものでもよい。
【0072】本発明の酵母は公知の各種方法により得る
ことができる。たとえば、前記したような各種性質に基
づいて自然界より広くスクリーニングを実施し、所望の
性質を有する酵母を選抜し、若しくは公知の交雑法によ
り各酵母を掛け合わせ、或いは公知の方法に従って各種
突然変異を引き起こし、所望の性質を有する酵母を選抜
することで、所望の酵母を取得できる。
【0073】本発明においては、自然界より分離した菌
株や交雑により作製した育種菌株を前記の各種性質に基
づいてスクリーニングした結果、前記のような優れた性
質を有する7種の新規菌株を取得し、それぞれサッカロ
マイセス・セルビシエD75412株、サッカロマイセ
ス・セルビシエD20946株、サッカロマイセス・セ
ルビシエD46462株、サッカロマイセス・セルビシ
エD66785株、サッカロマイセス・セルビシエD9
2764株、サッカロマイセス・セルビシエD8092
1株、およびサッカロマイセス・セルビシエD3173
5株(以下、株を省略する)と命名し、独立行政法人産
業技術総合研究所特許生物寄託センターに寄託した。
【0074】以下、前記新規菌株について説明する。
【0075】〔菌学的性質〕本発明の酵母の菌学的性質
を表7〜表20に示す。
【0076】
【表7】
【0077】
【表8】
【0078】
【表9】
【0079】
【表10】
【0080】
【表11】
【0081】
【表12】
【0082】
【表13】
【0083】
【表14】
【0084】
【表15】
【0085】
【表16】
【0086】
【表17】
【0087】
【表18】
【0088】
【表19】
【0089】
【表20】
【0090】前記菌株はそれぞれ、上記のような菌学的
性質を有し、「ジ イースツ、アタキソノミック スタ
ディー(The Yeasts, A Taxonomic Study)(第4
版)」と照合したところ、いずれの菌株ともサッカロマ
イセス・セルビシエに属するものと確認された。さら
に、前記するように、それぞれ、高糖から超高糖生地に
おいて高い発酵力を示しかつ乾燥耐性を有するという特
徴、無糖から高糖生地において高い発酵力を示しかつ乾
燥耐性を有するという特徴、無糖から低糖生地において
高い発酵力を示しかつ乾燥耐性を有するという特徴、中
糖から高糖生地において高い冷凍耐性及び/又はフロア
耐性を有しかつ乾燥耐性を有するという特徴、無糖から
高糖生地において高い冷凍耐性及び/又はフロア耐性を
有しかつ乾燥耐性を有するという特徴、無糖から低糖生
地において高い冷凍耐性及び/又はフロア耐性を有しか
つ乾燥耐性を有するという特徴、低温感受性を有しかつ
乾燥耐性を有するという特徴を持っていることから、前
記菌株はいずれも従来の菌株には見当たらず、新規菌株
と認定した。
【0091】〔培養条件〕前記各酵母の培養方法として
は通常のパン酵母に用いられる方法であれば特に限定は
ない。また、最適生育pH、生育可能なpH範囲、最適
生育温度、生育可能な温度範囲等も通常のパン酵母と同
様である。例えば、糖蜜の流加方式にて菌体を作製する
ことができる。糖蜜は他の資化性糖蜜に代用でき、また
窒素源/リン酸源も限定するものではない。さらに成長
促進因子を加えても良い。培養により得られた酵母菌体
を集菌、洗浄後、脱水し、圧搾酵母として本発明の酵母
を得ることができる。
【0092】本発明はまた、前記酵母を乾燥して得られ
る乾燥酵母を提供する。本明細書にいう乾燥酵母とは酵
母を乾燥させたものをいい、好ましくは、酵母菌体中の
水分量が5重量%以下であるものをいう。なお、菌体中
の水分量の測定は前記の方法により行うことができる。
【0093】前記したように、従来、所望の製パン性を
有する乾燥酵母を調製することは困難であったが、本発
明においては、酵母の乾燥方法には特に限定はなく、た
とえば、一般に乾燥酵母を作製する方法として公知であ
る方法を使用することができる。たとえば、以下のよう
にして乾燥酵母を得ることができる。圧搾酵母に乾燥酵
母当たり1.5重量%になるようにソルビタン脂肪酸エ
ステルの水エマルジョンを添加して混合し、次いで、エ
クストルーダーにより0.5mmのスクリーンメッシュ
をパスさせて糸状とし、流動乾燥機の初期入り口温度4
4℃の温風により流動乾燥させ、乾燥終点を菌体中の水
分量が5重量%以下になった時点とし、乾燥酵母を得る
ことができる。
【0094】本発明の生地は、前記する本発明の酵母
(乾燥前の酵母)又は乾燥酵母を、各種原料と共に混捏
することで調製することができる。本明細書にいう生地
とは、小麦粉に代表される穀粉に水を加えて、所望によ
り、ショートニング等の油脂;砂糖、ブドウ糖、果糖、
液糖等の糖類;食塩;卵;脱脂粉乳、牛乳、発酵乳等の
乳製品;イーストフード;モノグリセリド等の乳化剤等
の添加物を入れて混捏したものをいい、特に限定される
ものではないが、主としてパン生地をいう。本発明の生
地としては、パイ生地、饅頭生地、ピザ生地等も包含す
る。前記穀粉、水、添加物は特に限定されるものではな
く、公知のものを適宜使用することができる。本発明の
酵母又は乾燥酵母は、無糖から高糖濃度までの種々の生
地において優れた発酵力を有し、かつ乾燥耐性を有する
酵母であり、また、前記するように、当該酵母はそれぞ
れ特定の糖濃度範囲の生地において、製パン性の観点よ
り、特に優れた性質を有する。従って、一般的なあらゆ
る糖濃度のパンの製造に対応することができ、また、糖
濃度範囲を限定することで、より優れたパンの製造が可
能となる。なお、本発明の酵母又は乾燥酵母の生地にお
ける含有量は特に限定されるものではないが、生酵母の
場合、小麦粉100重量部に対し、好ましくは1〜6重
量部、一方、乾燥酵母の場合、小麦粉100重量部に対
し、好ましくは0.5〜3重量部である。
【0095】本発明のパンの製造方法としては特に限定
はなく、たとえば、ストレート法、中種法、冷蔵生地
法、冷凍生地法を挙げることができる。本発明の酵母又
は乾燥酵母は、本発明の所望の効果の発現の観点から、
スクラッチ製法においては、好ましくは糖濃度0〜40
重量%、より好ましくは0〜30重量%の配合で使用す
ることが効果的である。また、冷凍耐性を持った酵母に
ついては冷蔵もしくは冷凍生地法において当該生地用と
して使用することが効果的である。なお、前記生地は、
これらのパンの製造方法において、焼成工程を経てパン
となる前のものである。
【0096】たとえば、公知の冷凍生地法では、通常、
冷凍生地は、冷凍生地以外のいわゆるストレート生地と
同様の生地組成で比較的低温で捏ね上げて調製され、3
0〜120分間の前発酵(フロア)、分割、成形の後、
冷凍保存される。次いで、冷凍保存された生地を解凍
後、最終発酵、焼成することにより品質の安定した優れ
たパンが得られる。これらの生地およびパンの製造に関
しては過去様々な資料が知られており、それらを適宜参
考にすることができ、混捏条件、温度条件等は特に限定
されるものではない。
【0097】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げて説明するが、
本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものでは
ない。
【0098】実施例1 本発明酵母サッカロマイセス・セルビシエD7541
2、D20946、D46462、D66785、D9
2764、D80921、D31735について、乾燥
耐性を検討した。本発明酵母と、比較対照として市販の
汎用酵母カネカレッドイースト(鐘淵化学工業株式会社
製)、低温感受性酵母カネカイーストホワイト(鐘淵化
学工業株式会社製)、カネカイーストAL(鐘淵化学工
業株式会社製)、冷凍耐性酵母FD−I(O社製)、冷
凍耐性酵母FD−II(O社製)とYF(J社製)か
ら、乾燥酵母を作製し、その乾燥耐性を比較した。各々
の圧搾酵母について乾燥酵母当たり1.5重量%になる
ようにソルビタン脂肪酸エステルの水エマルジョンを添
加して混合し、次いでエクストルーダーにより0.5m
mにスクリーンメッシュをパスさせて糸状とし、流動層
乾燥機の初期入り口温度44℃の温風により流動乾燥さ
せ、乾燥終点は菌体水分量が5重量%以下になった時点
とし、それぞれの乾燥酵母を得た。
【0099】乾燥耐性は、前記(9)乾燥耐性に示す方
法により評価した。その結果を表21に示す。市販の酵
母の残存発酵力比が0.50以下であるのに対して、本
発明の乾燥酵母の残存発酵力比は0.70以上であり、
優れた乾燥耐性を有することが分かる。
【0100】
【表21】
【0101】実施例2 本発明酵母サッカロマイセス・セルビシエD46462
について、乾燥温度を変えての乾燥後の残存発酵力比を
測定した。本発明酵母と、比較対照として市販のMaurip
an low sugar (BP社製)から、乾燥酵母を作製し、その
乾燥耐性を乾燥温度を変えて比較した。実施例1と同様
に、各々の圧搾酵母について乾燥酵母当たり1.5重量
%になるようにソルビタン脂肪酸エステルの水エマルジ
ョンを添加して混合し、次いでエクストルーダーにより
0.5mmにスクリーンメッシュをパスさせて糸状と
し、流動層乾燥機の初期入り口温度44℃の温風により
流動乾燥させた。同様に、流動乾燥機の入り口温度を5
0℃から65℃まで変化させ乾燥酵母を得た。乾燥終点
は菌体水分量が5重量%以下になった時点とし、それぞ
れの乾燥酵母を得た。
【0102】乾燥耐性は、前記(9)乾燥耐性に示す方
法により評価した。その結果を表22に示す。本発明の
乾燥酵母(D46462)とMauripan low sugar (BP社
製)は、44℃で乾燥させた時の残存発酵力比は0.8
程度とほぼ同等であるが、温度の上昇と共に残存発酵力
比の差は広がり、65℃で乾燥させた時の残存発酵力比
は本発明の乾燥酵母(D46462)が0.64に対
し、Mauripan low sugar(BP社製)は0.51と明らか
に、本発明の酵母D46462がより乾燥耐性の強いこ
とを示している。
【0103】
【表22】
【0104】実施例3 圧搾酵母より乾燥酵母を調製する際に、乾燥による発酵
力の低下を押さえる目的で乳化剤の添加は不可欠であ
る。しかし、近年消費者の自然指向の強まりと共に、で
きるだけ添加剤を押さえた製パンを求められるようにな
っている。乾燥時に添加する乳化剤の濃度を変えて、本
発明の酵母D46462と、比較対照として市販の酵母
Mauripan low sugar (BP社製)(本明細書においては、
製品の乾燥酵母を「市販の乾燥酵母Mauripan low suga
r」という場合がある)より培養により圧搾酵母を調製
後、乾燥酵母を作製し、乾燥耐性を検討した。
【0105】各々の圧搾酵母について、乾燥酵母当たり
0.8、1.0、1.2、1.5、3.0重量%になる
ようにソルビタン脂肪酸エステルの水エマルジョンを添
加して混合し、次いでエクストルーダーにより0.5m
mのスクリーンメッシュをパスさせて糸状とし、入り口
温度を44℃の温風により流動乾燥させ、乾燥終点は菌
体水分量が5重量%以下になった時点とし、それぞれの
乾燥酵母を得た。
【0106】乾燥耐性は、前記(9)乾燥耐性に示す方
法により評価した。その結果を表23に示す。
【0107】
【表23】
【0108】表23から明らかなように、市販の酵母か
ら調製した乾燥酵母は、乳化剤添加濃度が1.0重量%
以下で急激な低糖生地発酵力の低下がおこったのに対し
て、本発明の酵母は0.8重量%でも0.60の残存発
酵力比を保持していた。このことから、酵母から乾燥酵
母を作製する際に添加する乳化剤の量を押さえることが
可能で、本発明により、強く求められている自然志向の
食品にマッチした乾燥酵母を得ることが出来るといえ
る。
【0109】実施例4 本発明の酵母D75412について、糖濃度30重量%
の生地発酵力と糖濃度40重量%の生地発酵力を測定し
た。それぞれの生地発酵力は、前記(3)糖濃度30重
量%の生地発酵力と(4)糖濃度40重量%の生地発酵
力に示す方法により評価した。本発明の酵母D7541
2は実施例1と同様にして乾燥酵母とした。また比較対
照として、菓子パン製造に適するとされる市販の乾燥酵
母Saf-instant(Gold)(S社製)、Fermipan Brown(D社
製)を用いた。結果を表24に示す。
【0110】
【表24】
【0111】表24に示すように、糖濃度30重量%の
生地発酵力は、市販の乾燥酵母が200ml未満である
のに対し、本発明の乾燥酵母D75412は261ml
であり、優れた発酵力を有することが分かる。さらに、
糖濃度40重量%の生地発酵力は、市販の乾燥酵母が7
0ml未満であるのに対し、本発明の乾燥酵母(D75
412)は111mlであり、糖濃度40重量%の生地
においても優れた発酵力を有することが分かる。この発
酵力は、あんパンなど糖を多く含む菓子パン生地に最適
なことを示している。
【0112】実施例5 本発明の酵母D20946について、糖濃度0重量%の
生地発酵力と糖濃度30重量%の生地発酵力を測定し
た。それぞれの生地発酵力は、前記(1)糖濃度0重量
%の生地発酵力と(3)糖濃度30重量%の生地発酵力
に示す方法により評価した。本発明の酵母D20946
は実施例1と同様にして乾燥酵母とした。比較対照とし
て、食パン製造に適するとされる市販の乾燥酵母Saf-in
stant (RED) (S社製) 、Fermipan RED (D社製)2品
と、菓子パン製造に適するとされる市販の乾燥酵母Saf-
instant (Gold) (S社製) 、Fermipan Brown (D社製)
2品の合計4品について糖濃度0重量%の生地発酵力と
糖濃度30重量%の生地発酵力を測定した。得られた結
果を表25に示す。
【0113】
【表25】
【0114】表25に示すように、市販の乾燥酵母で糖
濃度0重量%の生地発酵力が170ml以上の充分に高
い菌株でも糖濃度30重量%の生地発酵力は100ml
未満となり、高糖濃度の菓子パンを製造するには適さな
いものであった。また、糖濃度30重量%の生地発酵力
が180ml以上あり、菓子パン製造に適した市販の乾
燥酵母では、糖濃度0重量%の生地発酵力が140ml
未満であり、フランスパンを製造するには適さないもの
であった。
【0115】それに対し、本発明の乾燥酵母(D209
46)は糖濃度0重量%の生地発酵力が196mlと充
分に高く、また、糖濃度30重量%の生地発酵力も23
6mlと十分に高いため、フランスパンのような無糖生
地から、菓子パンのような高糖生地を製造するのに充分
な発酵力を示した。
【0116】実施例6 本発明の酵母D46462について、糖濃度0重量%の
生地発酵力と糖濃度5重量%の生地発酵力を測定した。
それぞれの生地発酵力は、前記(1)糖濃度0重量%の
生地発酵力と(2)糖濃度5重量%の生地発酵力に示す
方法により評価した。本発明の酵母D46462は実施
例1と同様にして乾燥酵母とした。比較対照として、食
パン製造に適するとされる市販の乾燥酵母Bruggeman Bl
ue (BR社製)、Saf-instant (RED) (S社製)、およびM
auripan low sugar (BP社製)について糖濃度0重量%の
生地発酵力と糖濃度5重量%の生地発酵力を測定した。
得られた結果を表26に示す。
【0117】
【表26】
【0118】表26に示すように、市販の乾燥酵母は糖
濃度0重量%の生地発酵力が220ml未満で、かつ糖
濃度5重量%の生地発酵力が160ml未満であった。
それに対し、本発明の酵母D46462は糖濃度0重量
%の生地発酵力が244mlであり、更に、糖濃度5重
量%の生地発酵力が193mlと市販の乾燥酵母より遙
かに高い発酵力を示した。
【0119】実施例7 本発明酵母D75412、D20946について、加糖
中種生地における本捏後のガス発生量及びホイロ投入後
のガス発生量(ホイロ中のガス発生量)を測定した。比
較対照として、菓子パン製造に適するとされる市販の乾
燥酵母Saf-instant(Gold)(S社製)、Fermipan Brown(D社
製)を使用した。前記(5)本捏後の生地ガス発生量に
示す方法で、本捏後の生地ガス発生量を測定した。同様
に、成型後の生地を50gに分割した後、ファーモグラ
フ(アトー社製)により30℃で2時間のガス発生量
(ml)を測定し、当該ガス発生量をホイロ投入後のガ
ス発生量とした。さらに、焼成後のパンの重量に対する
パンの容積の割合をパンの比容積(ml/g)として測
定した。得られた結果を表27に示す。
【0120】
【表27】
【0121】表27で示すように、市販の乾燥酵母はい
ずれも本捏後のガス発生量が120ml以下であるのに
対して、本発明の乾燥酵母(D75412)は193m
l、本発明の乾燥酵母(D20946)は176mlと
顕著に高かった。この本捏後のガス発生量の高さは、引
き続いて行われるホイロ投入後のガス発生量の差を生み
だしている。最終的に焼成されたパンは、市販の乾燥酵
母のものはパンの膨らみが悪く、比容積が4.6ml/
g以下と小さいものであった。それに対し、本発明の乾
燥酵母で作成されたパンは、顕著に大きなパンが焼成さ
れ、その比容積は、本発明の乾燥酵母(D75412)
は5.89ml/g、本発明の乾燥酵母(D2094
6)は5.54ml/gであった。
【0122】実施例8 本発明の酵母D92764、D80921について冷凍
耐性を検討した。冷凍耐性は、前記(6)冷凍耐性に示
す方法により評価した。本発明の酵母は実施例1と同様
にして乾燥酵母とした。比較対照として市販の乾燥酵母
Saf-instant (Red) (S社製) 、Fermipan Red(D社
製) を用いた。冷凍耐性の評価においては、生地の糖
濃度は0重量%とした。結果を表28に示す。
【0123】
【表28】
【0124】表28に示すように、冷凍保存後の発酵力
は、市販の乾燥酵母が100ml未満であるのに対し、
本発明の乾燥酵母(D92764)は110ml、同
(D80921)は110mlであり、優れた冷凍保存
後の発酵力を有することが分かる。さらに、冷凍保存前
後の発酵力の比は、市販の乾燥酵母が0.88未満であ
るのに対し、本発明の乾燥酵母(D92764)は0.
92、同(D80921)は0.97であり、優れた冷
凍耐性を有することが分かる。
【0125】また、冷凍保存期間を1週間、2週間、4
週間にして冷凍保存後の発酵力を測定した。その結果を
図1に示す。糖濃度0重量%の生地でのフロアタイム6
0分後の条件では、図1から明らかなように、1週、2
週、4週のいずれの冷凍保存期間においても、市販の乾
燥酵母に対して本発明の乾燥酵母が顕著な冷凍耐性を示
した。
【0126】実施例9 本発明の酵母D80921について冷凍耐性を検討し
た。冷凍耐性は、前記(6)冷凍耐性に示す方法により
評価した。本発明の酵母は実施例1と同様にして乾燥酵
母とした。比較対照として市販の乾燥酵母Saf-instant
(Red) (S社製)、Fermipan Red(D社製) を用い
た。冷凍耐性の評価においては、生地の糖濃度は3重量
%とした。結果を表29に示す。
【0127】
【表29】
【0128】表29に示すように、冷凍保存後の発酵力
は、市販の乾燥酵母が50ml未満であるのに対し、本
発明の乾燥酵母(D80921)は79mlであり、優
れた冷凍保存後の発酵力を有することが分かる。さら
に、冷凍保存前後の発酵力の比は、市販の乾燥酵母が
0.35未満であるのに対し、本発明の乾燥酵母は0.
58であり、優れた冷凍耐性を有することが分かる。
【0129】また、冷凍保存期間を1週間、2週間、4
週間にして冷凍保存後の発酵力を測定した。その結果を
図2に示す。糖濃度3重量%の生地でのフロアタイム6
0分後の条件では、図2から明らかなように、1週、2
週、4週のいずれの冷凍保存期間においても、市販の乾
燥酵母に対して本発明の乾燥酵母が顕著な冷凍耐性を示
した。
【0130】実施例10 本発明の酵母D92764について冷凍耐性を検討し
た。冷凍耐性は、前記(6)冷凍耐性に示す方法により
評価した。本発明の酵母は実施例1と同様にして乾燥酵
母とした。比較対照として市販の乾燥酵母Saf-instant
(Red) (S社製)、Fermipan Red(D社製) を用い
た。冷凍耐性の評価においては、生地の糖濃度は5重量
%とした。結果を表30に示す。
【0131】
【表30】
【0132】表30に示すように、冷凍保存後の発酵力
は、市販の乾燥酵母が70ml未満であるのに対し、本
発明の乾燥酵母は91mlであり、優れた冷凍保存後の
発酵力を有することが分かる。さらに、冷凍保存前後の
発酵力の比は、市販の乾燥酵母が0.40未満であるの
に対し、本発明の乾燥酵母は0.72であり、優れた冷
凍耐性を有することが分かる。
【0133】また、冷凍保存期間を1週間、2週間、4
週間にして冷凍保存後の発酵力を測定した。その結果を
図3に示す。糖濃度5重量%の生地でのフロアタイム6
0分後の条件では、図3から明らかなように、1週、2
週、4週のいずれの冷凍保存期間においても、市販の乾
燥酵母に対して本発明の乾燥酵母が顕著な冷凍耐性を示
した。
【0134】実施例11 本発明の酵母D92764、D66785について冷凍
耐性を検討した。冷凍耐性は、前記(6)冷凍耐性に示
す方法により評価した。本発明の酵母は実施例1と同様
にして乾燥酵母とした。比較対照として市販の乾燥酵母
Saf-instant (Red) 、Saf-instant (Gold)(S社製)、
Fermipan Red、Fermipan Brown(D社製)を用いた。冷
凍耐性の評価においては、生地の糖濃度は10重量%と
した。結果を表31に示す。
【0135】
【表31】
【0136】表31に示すように、冷凍保存後の発酵力
は、市販の乾燥酵母が80ml以下であるのに対し、本
発明の乾燥酵母(D92764)は112ml、同(D
66785)は109mlであり、優れた冷凍保存後の
発酵力を有することが分かる。さらに、冷凍保存前後の
発酵力の比は、市販の乾燥酵母が0.45未満であるの
に対し、本発明の乾燥酵母(D92764)は0.6
9、同(D66785)は0.56であり、優れた冷凍
耐性を有することが分かる。
【0137】また、冷凍保存期間を1週間、2週間、4
週間にして冷凍保存後の発酵力を測定した。その結果を
図4に示す。糖濃度10重量%の生地でのフロアタイム
60分後の条件では、図4から明らかなように、1週、
2週、4週のいずれの冷凍保存期間においても、市販の
乾燥酵母に対して本発明の乾燥酵母が顕著な冷凍耐性を
示した。
【0138】実施例12 本発明の酵母D66785について冷凍耐性を検討し
た。冷凍耐性は、前記(6)冷凍耐性に示す方法により
評価した。本発明の酵母は実施例1と同様にして乾燥酵
母とした。比較対照として市販の乾燥酵母Saf-instant
(Gold)(S社製)、Fermipan Brown(D社製)を用い
た。冷凍耐性の評価においては、生地の糖濃度は15重
量%とした。結果を表32に示す。
【0139】
【表32】
【0140】表32に示すように、冷凍保存後の発酵力
は、市販の乾燥酵母が62ml以下であるのに対し、本
発明の乾燥酵母(D66785)は132mlであり、
優れた冷凍保存後の発酵力を有することが分かる。さら
に、冷凍保存前後の発酵力の比は、市販の乾燥酵母が
0.35未満であるのに対し、本発明の乾燥酵母(D6
6785)は0.66であり、優れた冷凍耐性を有する
ことが分かる。
【0141】また、冷凍保存期間を1週間、2週間、4
週間にして冷凍保存後の発酵力を測定した。その結果を
図5に示す。糖濃度15重量%の生地でのフロアタイム
60分後の条件では、図5から明らかなように、1週、
2週、4週のいずれの冷凍保存期間においても、市販の
乾燥酵母に対して本発明の乾燥酵母が顕著な冷凍耐性を
示した。
【0142】実施例13 本発明の酵母D92764、D66785について冷凍
耐性を検討した。冷凍耐性は、前記(6)冷凍耐性に示
す方法により評価した。本発明の酵母は実施例1と同様
にして乾燥酵母とした。比較対照として市販の乾燥酵母
Saf-instant (Gold) (S社製) 、Fermipan Brown (D社
製) を用いた。冷凍耐性の評価においては、生地の糖濃
度は25重量%とした。結果を表33と表34に示す。
【0143】
【表33】
【0144】
【表34】
【0145】表33と表34に示すように、フロアタイ
ムを60分とした時、冷凍保存後の発酵力は、市販の乾
燥酵母が120ml以下であるのに対し、本発明の乾燥
酵母(D92764)は138ml、同(D6678
5)は145mlであり、また、フロアタイムを90分
とした時、冷凍保存後の発酵力は、市販の乾燥酵母が4
0ml未満であるのに対し、本発明の乾燥酵母(D92
764)は65ml、同(D66785)は119ml
であり、優れた冷凍保存後の発酵力を有することが分か
る。さらに、冷凍保存前後の発酵力の比は、フロアタイ
ムを60分とした時、市販の乾燥酵母が0.70未満で
あるのに対し、本発明の乾燥酵母(D92764)は
0.72、同(D66785)は0.78であり、ま
た、フロアタイムを90分とした時、市販の乾燥酵母が
0.25未満であるのに対し、本発明の乾燥酵母(D9
2764)は0.36、同(D66785)は0.64
であり、優れた冷凍耐性を有することが分かる。
【0146】また、冷凍保存期間を1週間、2週間、4
週間にして冷凍保存後の発酵力を測定した。その結果を
図6に示す。糖濃度25重量%の生地でのフロアタイム
90分後の条件では、図6から明らかなように、1週、
2週、4週のいずれの冷凍保存期間においても、市販の
乾燥酵母に対して本発明の乾燥酵母が顕著な冷凍耐性を
示した。
【0147】実施例14 本発明の酵母D92764、D80921についてフロ
ア耐性を検討した。フロア耐性は、前記(7)フロア耐
性に示す方法により評価した。本発明の酵母は実施例1
と同様にして乾燥酵母とした。比較対照として市販の乾
燥酵母Saf-instant (Red) (S社製) 、Fermipan Red
(D社製) を用いた。フロア耐性の評価においては、
生地の糖濃度は0重量%とした。結果を表35に示す。
【0148】
【表35】
【0149】表35に示すように、フロア耐性を表わす
発酵力の比(フロアタイム60分での発酵力/フロアタ
イム0分での発酵力)は、市販の乾燥酵母が0.70以
下であるのに対し、本発明の乾燥酵母(D92764)
は1.00、同(D80921)は0.90であり、優
れたフロア耐性を有することが分かる。
【0150】また、冷凍保存期間を1週間、2週間、4
週間にして各時点でのフロア耐性を検討した。その結果
を図7に示す。糖濃度0重量%の生地では、図7から明
らかなように、1週、2週、4週のいずれの冷凍保存期
間においても、市販の乾燥酵母に対して本発明の乾燥酵
母が顕著なフロア耐性を示した。
【0151】実施例15 本発明の酵母D80921についてフロア耐性を検討し
た。フロア耐性は、前記(7)フロア耐性に示す方法に
より評価した。本発明の酵母は実施例1と同様にして乾
燥酵母とした。比較対照として市販の乾燥酵母Saf-inst
ant (Red) (S社製) 、Fermipan Red(D社製) を用
いた。フロア耐性の評価においては、生地の糖濃度は3
重量%とした。結果を表36に示す。
【0152】
【表36】
【0153】表36に示すように、フロア耐性を表わす
発酵力の比(フロアタイム60分での発酵力/フロアタ
イム0分での発酵力)は、市販の乾燥酵母が0.30未
満であるのに対し、本発明の乾燥酵母(D80921)
は0.54であり、優れたフロア耐性を有することが分
かる。
【0154】また、冷凍保存期間を1週間、2週間、4
週間にして各時点でのフロア耐性を検討した。その結果
を図8に示す。糖濃度3重量%の生地では、図8から明
らかなように、1週、2週、4週のいずれの冷凍保存期
間においても、市販の乾燥酵母に対して本発明の乾燥酵
母が顕著なフロア耐性を示した。
【0155】実施例16 本発明の酵母D92764についてフロア耐性を検討し
た。フロア耐性は、前記(7)フロア耐性に示す方法に
より評価した。本発明の酵母は実施例1と同様にして乾
燥酵母とした。比較対照として市販の乾燥酵母Saf-inst
ant (Red)(S社製)、Fermipan Red(D社製)を用い
た。フロア耐性の評価においては、生地の糖濃度は5重
量%とした。結果を表37に示す。
【0156】
【表37】
【0157】表37に示すように、フロア耐性を表わす
発酵力の比(フロアタイム60分での発酵力/フロアタ
イム0分での発酵力)は、市販の乾燥酵母が0.50未
満であるのに対し、本発明の乾燥酵母(D92764)
は0.67であり、優れたフロア耐性を有することが分
かる。
【0158】また、冷凍保存期間を1週間、2週間、4
週間にして各時点でのフロア耐性を検討した。その結果
を図9に示す。糖濃度5重量%の生地では、図9から明
らかなように、特に冷凍保存期間が長期に渡る場合(2
週または4週間)、市販の乾燥酵母に対して本発明の乾
燥酵母が顕著なフロア耐性を示した。
【0159】実施例17 本発明の酵母D92764、D66785についてフロ
ア耐性を検討した。フロア耐性は、前記(7)フロア耐
性に示す方法により評価した。本発明の酵母は実施例1
と同様にして乾燥酵母とした。比較対照として市販の乾
燥酵母Saf-instant (Red) 、Saf-instant (Gold)(S社
製) 、Fermipan Red、Fermipan Brown(D社製) を用
いた。フロア耐性の評価においては、生地の糖濃度は1
0重量%とした。結果を表38に示す。
【0160】
【表38】
【0161】表38に示すように、フロア耐性を表わす
発酵力の比(フロアタイム90分での発酵力/フロアタ
イム30分での発酵力)は、市販の乾燥酵母が0.15
未満であるのに対し、本発明の乾燥酵母(D9276
4)は0.45、同(D66785)は0.39であ
り、優れたフロア耐性を有することが分かる。
【0162】また、冷凍保存期間を1週間、2週間、4
週間にして各時点でのフロア耐性を検討した。その結果
を図10に示す。糖濃度10重量%の生地では、図10
から明らかなように、1週、2週、4週のいずれの冷凍
保存期間においても、市販の乾燥酵母に対して本発明の
乾燥酵母が顕著なフロア耐性を示した。
【0163】実施例18 本発明の酵母D66785についてフロア耐性を検討し
た。フロア耐性は、前記(7)フロア耐性に示す方法に
より評価した。本発明の酵母は実施例1と同様にして乾
燥酵母とした。比較対照として市販の乾燥酵母Saf-inst
ant (Gold) (S社製) 、Fermipan Brown (D社製) を用
いた。フロア耐性の評価においては、生地の糖濃度は1
5重量%とした。結果を表39に示す。
【0164】
【表39】
【0165】表39に示すように、フロア耐性を表わす
発酵力の比(フロアタイム90分での発酵力/フロアタ
イム30分での発酵力)は、市販の乾燥酵母が0.15
以下であるのに対し、本発明の乾燥酵母(D6678
5)は0.48であり、優れたフロア耐性を有すること
が分かる。
【0166】また、冷凍保存期間を1週間、2週間、4
週間にして各時点でのフロア耐性を検討した。その結果
を図11に示す。糖濃度15重量%の生地では、図11
から明らかなように、1週、2週、4週のいずれの冷凍
保存期間においても、市販の乾燥酵母に対して本発明の
乾燥酵母が顕著なフロア耐性を示した。
【0167】実施例19 本発明の酵母D92764、D66785についてフロ
ア耐性を検討した。フロア耐性は、前記(7)フロア耐
性に示す方法により評価した。本発明の酵母は実施例1
と同様にして乾燥酵母とした。比較対照として市販の乾
燥酵母Saf-instant (Gold) (S社製) 、Fermipan Brown
(D社製) を用いた。フロア耐性の評価においては、生
地の糖濃度は25重量%とした。結果を表40に示す。
【0168】
【表40】
【0169】表40に示すように、フロア耐性を表わす
発酵力の比(フロアタイム90分での発酵力/フロアタ
イム30分での発酵力)は、市販の乾燥酵母が0.30
以下であるのに対し、本発明の乾燥酵母(D9276
4)は0.38、同(D66785)は0.79であ
り、優れたフロア耐性を有することが分かる。
【0170】また、冷凍保存期間を1週間、2週間、4
週間にして各時点でのフロア耐性を検討した。その結果
を図12に示す。糖濃度25重量%の生地では、図12
から明らかなように、1週、2週、4週のいずれの冷凍
保存期間においても、市販の乾燥酵母に対して本発明の
乾燥酵母が顕著なフロア耐性を示した。
【0171】実施例20 本発明乾燥酵母D31735の低温感受性を前記(8)
低温感受性に示す方法により測定した。比較対照とし
て、市販の低温感受性の圧搾酵母 カネカイーストAL
(鐘淵化学工業(株))と、市販の乾燥酵母6種、Saf-
instant(RED)(S社製) 、Saf-instant (Gold) (S社製)、
Mauripan low sugar(BP社製)、BruggemanBlue(BR社
製)、Fermipan RED(D社製)、Fermipan Brown(D社製)を
用いた。その結果を表41に示す。
【0172】
【表41】
【0173】表41から明らかなように、低温感受性を
有する市販の圧搾酵母の5℃生地発酵力に対する30℃
生地発酵力の比が1.02に対し、本発明の乾燥酵母で
は1.01であり、ほぼ同等の低温感受性を有している
ことを示している。それに対し、市販の乾燥酵母6種
は、いずれもその比が0.64以下であり、本発明の乾
燥酵母に比べ、低温感受性が劣ることが分かる。
【0174】 寄託された生物材料 (1)寄託機関の名称・あて名 独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6(郵便番号305-8566) (2)寄託された微生物 サッカロマイセス・セルビシエ(Saccharomyces cerevisiae)D75412 原寄託日 :2000年9月8日 国際寄託への移管請求日 :2001年8月1日 受託番号: FERM BP−7688 サッカロマイセス・セルビシエ(Saccharomyces cerevisiae)D20946 原寄託日 :2000年9月8日 国際寄託への移管請求日 :2001年8月1日 受託番号: FERM BP−7684 サッカロマイセス・セルビシエ(Saccharomyces cerevisiae)D46462 原寄託日 :2000年9月8日 国際寄託への移管請求日 :2001年8月1日 受託番号: FERM BP−7686 サッカロマイセス・セルビシエ(Saccharomyces cerevisiae)D66785 原寄託日 :2000年9月8日 国際寄託への移管請求日 :2001年8月1日 受託番号: FERM BP−7687 サッカロマイセス・セルビシエ(Saccharomyces cerevisiae)D92764 原寄託日 :2001年2月20日 国際寄託への移管請求日 :2001年8月1日 受託番号: FERM BP−7690 サッカロマイセス・セルビシエ(Saccharomyces cerevisiae)D80921 原寄託日 :2000年9月8日 国際寄託への移管請求日 :2001年8月1日 受託番号: FERM BP−7689 サッカロマイセス・セルビシエ(Saccharomyces cerevisiae)D31735 原寄託日 :2000年9月8日 国際寄託への移管請求日 :2001年8月1日 受託番号: FERM BP−7685
【0175】
【発明の効果】本発明により、無糖から高糖濃度までの
種々の生地において優れた発酵力を有し、かつ乾燥耐性
を有する、製パン用、特に冷凍生地製パン用として好適
な酵母、詳しくは、高糖から超高糖生地において高い発
酵力を示し、かつ乾燥耐性を有する酵母;無糖から高糖
生地において高い発酵力を示し、かつ乾燥耐性を有する
酵母;無糖から低糖生地において高い発酵力を示し、か
つ乾燥耐性を有する酵母;中糖から高糖生地において高
い冷凍耐性及び/又はフロア耐性を有し、かつ乾燥耐性
を有する酵母;無糖から高糖生地において高い冷凍耐性
及び/又はフロア耐性を有し、かつ乾燥耐性を有する酵
母;無糖から低糖生地において高い冷凍耐性及び/又は
フロア耐性を有し、かつ乾燥耐性を有する酵母;および
低温感受性を有し、かつ乾燥耐性を有する酵母が提供さ
れる。また本発明により、前記酵母を乾燥してなる、貯
蔵性や保存性に優れ、生酵母と同程度の発酵力を発揮し
うる、特に冷凍生地製パン用として好適な乾燥酵母が提
供される。さらに本発明により、前記酵母または前記乾
燥酵母を含有してなる生地および冷凍生地、ならびに当
該生地を用いてなる、品質の安定した優れたパンが提供
される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、糖濃度0重量%の生地(フロアタイム
60分)における本発明の乾燥酵母と市販の乾燥酵母の
冷凍耐性を比較したグラフである。グラフ中、黒丸は本
発明の乾燥酵母(D80921)、黒四角は本発明の乾
燥酵母(D92764)、黒三角は市販の乾燥酵母Saf-
instant(Red)、白四角は市販の乾燥酵母FermipanRedの
結果を示す。また、縦軸には、各酵母の冷凍保存前の発
酵力を1.0とした場合の冷凍保存の各時点での発酵力
を冷凍耐性度として示す。なお、糖濃度は0%と記し
た。以下、各図につき同様である。
【図2】図2は、糖濃度3重量%の生地(フロアタイム
60分)における本発明の乾燥酵母と市販の乾燥酵母の
冷凍耐性を比較したグラフである。グラフ中、黒丸は本
発明の乾燥酵母(D80921)、黒三角は市販の乾燥
酵母Saf-instant(Red)、白四角は市販の乾燥酵母Fermip
an Redの結果を示す。また、縦軸には、各酵母の冷凍保
存前の発酵力を1.0とした場合の冷凍保存の各時点で
の発酵力を冷凍耐性度として示す。
【図3】図3は、糖濃度5重量%の生地(フロアタイム
60分)における本発明の乾燥酵母と市販の乾燥酵母の
冷凍耐性を比較したグラフである。グラフ中、黒四角は
本発明の乾燥酵母(D92764)、黒三角は市販の乾
燥酵母Saf-instant(Red)、白四角は市販の乾燥酵母Ferm
ipan Redの結果を示す。また、縦軸には、各酵母の冷凍
保存前の発酵力を1.0とした場合の冷凍保存の各時点
での発酵力を冷凍耐性度として示す。
【図4】図4は、糖濃度10重量%の生地(フロアタイ
ム60分)における本発明の乾燥酵母と市販の乾燥酵母
の冷凍耐性を比較したグラフである。グラフ中、黒四角
は本発明の乾燥酵母(D92764)、黒丸は本発明の
乾燥酵母(D66785)、黒三角は市販の乾燥酵母Sa
f-instant(Red)、白四角は市販の乾燥酵母Fermipan Re
d、白丸は市販の乾燥酵母Saf-instant(Gold)、白三角は
市販の乾燥酵母Fermipan Brownの結果を示す。また、縦
軸には、各酵母の冷凍保存前の発酵力を1.0とした場
合の冷凍保存の各時点での発酵力を冷凍耐性度として示
す。
【図5】図5は、糖濃度15重量%の生地(フロアタイ
ム60分)における本発明の乾燥酵母と市販の乾燥酵母
の冷凍耐性を比較したグラフである。グラフ中、黒丸は
本発明の乾燥酵母(D66785)、白丸は市販の乾燥
酵母Saf-instant(Gold)、白三角は市販の乾燥酵母Fermi
pan Brownの結果を示す。また、縦軸には、各酵母の冷
凍保存前の発酵力を1.0とした場合の冷凍保存の各時
点での発酵力を冷凍耐性度として示す。
【図6】図6は、糖濃度25重量%の生地(フロアタイ
ム90分)における本発明の乾燥酵母と市販の乾燥酵母
の冷凍耐性を比較したグラフである。グラフ中、黒丸は
本発明の乾燥酵母(D66785)、黒四角は本発明の
乾燥酵母(D92764)、白丸は市販の乾燥酵母Saf-
instant(Gold)、白三角は市販の乾燥酵母Fermipan Brow
nの結果を示す。また、縦軸には、各酵母の冷凍保存前
の発酵力を1.0とした場合の冷凍保存の各時点での発
酵力を冷凍耐性度として示す。
【図7】図7は、糖濃度0重量%の生地における本発明
の乾燥酵母と市販の乾燥酵母のフロア耐性を比較したグ
ラフである。グラフ中、黒四角は本発明の乾燥酵母(D
92764)、黒丸は本発明の乾燥酵母(D8092
1)、黒三角は市販の乾燥酵母Saf-instant(Red)、白四
角は市販の乾燥酵母Fermipan Redの結果を示す。また、
縦軸には、冷凍保存後の発酵力の比(フロアタイム60
分/フロアタイム0分)として表わされるフロア耐性を
示す。
【図8】図8は、糖濃度3重量%の生地における本発明
の乾燥酵母と市販の乾燥酵母のフロア耐性を比較したグ
ラフである。グラフ中、黒丸は本発明の乾燥酵母(D8
0921)、黒三角は市販の乾燥酵母Saf-instant(Re
d)、白四角は市販の乾燥酵母Fermipan Redの結果を示
す。また、縦軸には、冷凍保存後の発酵力の比(フロア
タイム60分/フロアタイム0分)として表わされるフ
ロア耐性を示す。
【図9】図9は、糖濃度5重量%の生地における本発明
の乾燥酵母と市販の乾燥酵母のフロア耐性を比較したグ
ラフである。グラフ中、黒四角は本発明の乾燥酵母(D
92764)、黒三角は市販の乾燥酵母Saf-instant(Re
d)、白四角は市販の乾燥酵母Fermipan Redの結果を示
す。また、縦軸には、冷凍保存後の発酵力の比(フロア
タイム60分/フロアタイム0分)として表わされるフ
ロア耐性を示す。
【図10】図10は、糖濃度10重量%の生地における
本発明の乾燥酵母と市販の乾燥酵母のフロア耐性を比較
したグラフである。グラフ中、黒四角は本発明の乾燥酵
母(D92764)、黒丸は本発明の乾燥酵母(D66
785)、黒三角は市販の乾燥酵母Saf-instant(Red)、
白丸は市販の乾燥酵母Saf-instant(Gold)、白四角は市
販の乾燥酵母Fermipan Red、白三角は市販の乾燥酵母Fe
rmipan Brownの結果を示す。また、縦軸には、冷凍保存
後の発酵力の比(フロアタイム90分/フロアタイム3
0分)として表わされるフロア耐性を示す。
【図11】図11は、糖濃度15重量%の生地における
本発明の乾燥酵母と市販の乾燥酵母のフロア耐性を比較
したグラフである。グラフ中、黒丸は本発明の乾燥酵母
(D66785)、黒三角は市販の乾燥酵母Saf-instan
t(Gold)、白四角は市販の乾燥酵母Fermipan Brownの結
果を示す。また、縦軸には、冷凍保存後の発酵力の比
(フロアタイム90分/フロアタイム30分)として表
わされるフロア耐性を示す。
【図12】図12は、糖濃度25重量%の生地における
本発明の乾燥酵母と市販の乾燥酵母のフロア耐性を比較
したグラフである。グラフ中、黒丸は本発明の乾燥酵母
(D66785)、黒四角は本発明の乾燥酵母(D92
764)、白三角は市販の乾燥酵母Fermipan Brown、白
丸は市販の乾燥酵母Saf-instant(Gold)、の結果を示
す。また、縦軸には、冷凍保存後の発酵力の比(フロア
タイム90分/フロアタイム30分)として表わされる
フロア耐性を示す。
フロントページの続き (31)優先権主張番号 特願2000−302166(P2000−302166) (32)優先日 平成12年10月2日(2000.10.2) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願2000−307268(P2000−307268) (32)優先日 平成12年10月6日(2000.10.6) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願2000−307267(P2000−307267) (32)優先日 平成12年10月6日(2000.10.6) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願2001−165097(P2001−165097) (32)優先日 平成13年5月31日(2001.5.31) (33)優先権主張国 日本(JP) Fターム(参考) 4B032 DB01 DK55 DP33 DP37 DP38 4B065 AA80 AC03 AC07 AC20 BA23 BB15 BD09 BD10 BD12 CA42

Claims (52)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高糖生地において発酵力を有し、かつ乾
    燥耐性を有する酵母。
  2. 【請求項2】 乾燥酵母とした時の発酵力を糖濃度30
    重量%の生地(乾燥酵母1.5重量%)85g当たり3
    0℃における115分間のガス発生量で表した時、20
    0ml以上である請求項1記載の酵母。
  3. 【請求項3】 乾燥酵母とした時の発酵力を糖濃度40
    重量%の生地(乾燥酵母1.5重量%)85g当たり3
    0℃における115分間のガス発生量で表した時、70
    ml以上である請求項1または2記載の酵母。
  4. 【請求項4】 糖濃度0〜30重量%の生地において発
    酵力を有し、かつ乾燥耐性を有する酵母。
  5. 【請求項5】 乾燥酵母とした時の発酵力を糖濃度0重
    量%の生地(乾燥酵母1重量%)85g当たり30℃に
    おける85分間のガス発生量で表した時、140ml以
    上であり、かつ糖濃度30重量%の生地(乾燥酵母1.
    5重量%)85g当たり30℃における115分間のガ
    ス発生量で表した時、200ml以上である請求項4記
    載の酵母。
  6. 【請求項6】 乾燥酵母とした時の発酵力を加糖中種法
    における本捏後の生地(糖濃度28重量%、乾燥酵母
    1.5重量%)50g当たり30℃における120分間
    のガス発生量で表した時、120ml以上である請求項
    1〜5いずれか記載の酵母。
  7. 【請求項7】 糖濃度0〜5重量%の生地において発酵
    力を有し、かつ乾燥耐性を有する酵母。
  8. 【請求項8】 乾燥酵母とした時の発酵力を糖濃度0重
    量%の生地(乾燥酵母1重量%)85g当たり30℃に
    おける85分間のガス発生量で表した時、220ml以
    上である請求項7記載の酵母。
  9. 【請求項9】 乾燥酵母とした時の発酵力を糖濃度5重
    量%の生地(乾燥酵母1重量%)85g当たり30℃に
    おける85分間のガス発生量で表した時、160ml以
    上である請求項7または8記載の酵母。
  10. 【請求項10】 糖濃度10〜30重量%の生地におい
    て冷凍耐性及び/又はフロア耐性を有し、かつ乾燥耐性
    を有する酵母。
  11. 【請求項11】 乾燥酵母とした時の発酵力を糖濃度1
    0重量%の生地(乾燥酵母2重量%)20g当たり38
    ℃における120分間のガス発生量で表した時、フロア
    タイム60分後4週間冷凍保存後の生地で90ml以上
    である請求項10記載の酵母。
  12. 【請求項12】 さらに、フロアタイム60分後4週間
    冷凍保存前後での発酵力の比(冷凍保存後/冷凍保存
    前)が0.50以上である請求項11記載の酵母。
  13. 【請求項13】 さらに、フロアタイム30分後4週間
    冷凍保存後とフロアタイム90分後4週間冷凍保存後で
    の発酵力の比(フロアタイム90分/フロアタイム30
    分)が0.20以上である請求項11又は12記載の酵
    母。
  14. 【請求項14】 乾燥酵母とした時の発酵力を糖濃度1
    5重量%の生地(乾燥酵母2.5重量%)20g当たり
    38℃における120分間のガス発生量で表した時、フ
    ロアタイム60分後4週間冷凍保存後の生地で70ml
    以上である請求項10記載の酵母。
  15. 【請求項15】 さらに、フロアタイム60分後4週間
    冷凍保存前後での発酵力の比(冷凍保存後/冷凍保存
    前)が0.40以上である請求項14記載の酵母。
  16. 【請求項16】 さらに、フロアタイム30分後4週間
    冷凍保存後とフロアタイム90分後4週間冷凍保存後で
    の発酵力の比(フロアタイム90分/フロアタイム30
    分)が0.20以上である請求項14又は15記載の酵
    母。
  17. 【請求項17】 乾燥酵母とした時の発酵力を糖濃度2
    5重量%の生地(乾燥酵母3重量%)20g当たり38
    ℃における120分間のガス発生量で表した時、フロア
    タイム90分後4週間冷凍保存後の生地で50ml以上
    である請求項10記載の酵母。
  18. 【請求項18】 さらに、フロアタイム90分後4週間
    冷凍保存前後での発酵力の比(冷凍保存後/冷凍保存
    前)が0.60以上である請求項17記載の酵母。
  19. 【請求項19】 さらに、フロアタイム30分後4週間
    冷凍保存後とフロアタイム90分後4週間冷凍保存後で
    の発酵力の比(フロアタイム90分/フロアタイム30
    分)が0.70以上である請求項17又は18記載の酵
    母。
  20. 【請求項20】 糖濃度0〜30重量%の生地において
    冷凍耐性及び/又はフロア耐性を有し、かつ乾燥耐性を
    有する酵母。
  21. 【請求項21】 乾燥酵母とした時の発酵力を糖濃度0
    重量%の生地(乾燥酵母2重量%)20g当たり38℃
    における120分間のガス発生量で表した時、フロアタ
    イム60分後4週間冷凍保存後の生地で100ml以上
    である請求項20記載の酵母。
  22. 【請求項22】 さらに、フロアタイム60分後4週間
    冷凍保存前後での発酵力の比(冷凍保存後/冷凍保存
    前)が0.88以上である請求項21記載の酵母。
  23. 【請求項23】 さらに、フロアタイム0分4週間冷凍
    保存後とフロアタイム60分後4週間冷凍保存後での発
    酵力の比(フロアタイム60分/フロアタイム0分)が
    0.80以上である請求項21又は22記載の酵母。
  24. 【請求項24】 乾燥酵母とした時の発酵力を糖濃度5
    重量%の生地(乾燥酵母2重量%)20g当たり38℃
    における120分間のガス発生量で表した時、フロアタ
    イム60分後4週間冷凍保存後の生地で70ml以上で
    ある請求項20〜23いずれか記載の酵母。
  25. 【請求項25】 さらに、フロアタイム60分後4週間
    冷凍保存前後での発酵力の比(冷凍保存後/冷凍保存
    前)が0.40以上である請求項24記載の酵母。
  26. 【請求項26】 さらに、フロアタイム0分4週間冷凍
    保存後とフロアタイム60分後4週間冷凍保存後での発
    酵力の比(フロアタイム60分/フロアタイム0分)が
    0.50以上である請求項24又は25記載の酵母。
  27. 【請求項27】 乾燥酵母とした時の発酵力を糖濃度1
    0重量%の生地(乾燥酵母2重量%)20g当たり38
    ℃における120分間のガス発生量で表した時、フロア
    タイム60分後4週間冷凍保存後の生地で90ml以上
    である請求項20〜26いずれか記載の酵母。
  28. 【請求項28】 さらに、フロアタイム60分後4週間
    冷凍保存前後での発酵力の比(冷凍保存後/冷凍保存
    前)が0.50以上である請求項27記載の酵母。
  29. 【請求項29】 さらに、フロアタイム30分後4週間
    冷凍保存後とフロアタイム90分後4週間冷凍保存後で
    の発酵力の比(フロアタイム90分/フロアタイム30
    分)が0.20以上である請求項27又は28記載の酵
    母。
  30. 【請求項30】 乾燥酵母とした時の発酵力を糖濃度2
    5重量%の生地(乾燥酵母3重量%)20g当たり38
    ℃における120分間のガス発生量で表した時、フロア
    タイム60分後4週間冷凍保存後の生地で125ml以
    上であり、かつフロアタイム90分後4週間冷凍保存後
    の生地で50ml以上である請求項20〜29いずれか
    記載の酵母。
  31. 【請求項31】 さらに、フロアタイム60分後4週間
    冷凍保存前後での発酵力の比(冷凍保存後/冷凍保存
    前)が0.70以上であり、かつフロアタイム90分後
    4週間冷凍保存前後での発酵力の比(冷凍保存後/冷凍
    保存前)が0.30以上である請求項30記載の酵母。
  32. 【請求項32】 さらに、フロアタイム30分後4週間
    冷凍保存後とフロアタイム90分後4週間冷凍保存後で
    の発酵力の比(フロアタイム90分/フロアタイム30
    分)が0.35以上である請求項30又は31記載の酵
    母。
  33. 【請求項33】 糖濃度0〜3重量%の生地において冷
    凍耐性及び/又はフロア耐性を有し、かつ乾燥耐性を有
    する酵母。
  34. 【請求項34】 乾燥酵母とした時の発酵力を糖濃度0
    重量%の生地(乾燥酵母2重量%)20g当たり38℃
    における120分間のガス発生量で表した時、フロアタ
    イム60分後4週間冷凍保存後の生地で100ml以上
    である請求項33記載の酵母。
  35. 【請求項35】 さらに、フロアタイム60分後4週間
    冷凍保存前後での発酵力の比(冷凍保存後/冷凍保存
    前)が0.88以上である請求項34記載の酵母。
  36. 【請求項36】 さらに、フロアタイム0分4週間冷凍
    保存後とフロアタイム60分後4週間冷凍保存後での発
    酵力の比(フロアタイム60分/フロアタイム0分)が
    0.80以上である請求項34又は35記載の酵母。
  37. 【請求項37】 乾燥酵母とした時の発酵力を糖濃度3
    重量%の生地(乾燥酵母2重量%)20g当たり38℃
    における120分間のガス発生量で表した時、フロアタ
    イム60分後4週間冷凍保存後の生地で50ml以上で
    ある請求項33〜36いずれか記載の酵母。
  38. 【請求項38】 さらに、フロアタイム60分後4週間
    冷凍保存前後での発酵力の比(冷凍保存後/冷凍保存
    前)が0.40以上である請求項37記載の酵母。
  39. 【請求項39】 さらに、フロアタイム0分4週間冷凍
    保存後とフロアタイム60分後4週間冷凍保存後での発
    酵力の比(フロアタイム60分/フロアタイム0分)が
    0.35以上である請求項37又は38記載の酵母。
  40. 【請求項40】 低温感受性を有し、かつ乾燥耐性を有
    する酵母。
  41. 【請求項41】 さらに、残存発酵力比〔乾燥前後での
    発酵力の比(乾燥後/乾燥前)〕が0.70以上である
    請求項1〜40いずれか記載の酵母。
  42. 【請求項42】 サッカロマイセス・セルビシエ(Sacch
    aromyces cerevisiae)D75412株(FERM BP
    −7688)である請求項1〜3および41いずれか記
    載の酵母。
  43. 【請求項43】 サッカロマイセス・セルビシエ(Sacch
    aromyces cerevisiae)D20946株(FERM BP
    −7684)である請求項4〜6および41いずれか記
    載の酵母。
  44. 【請求項44】 サッカロマイセス・セルビシエ(Sacch
    aromyces cerevisiae)D46462株(FERM BP
    −7686)である請求項7〜9および41いずれか記
    載の酵母。
  45. 【請求項45】 サッカロマイセス・セルビシエ(Sacch
    aromyces cerevisiae)D66785株(FERM BP
    −7687)である請求項10〜19および41いずれ
    か記載の酵母。
  46. 【請求項46】 サッカロマイセス・セルビシエ(Sacch
    aromyces cerevisiae)D92764株(FERM BP
    −7690)である請求項20〜32および41いずれ
    か記載の酵母。
  47. 【請求項47】 サッカロマイセス・セルビシエ(Sacch
    aromyces cerevisiae)D80921株(FERM BP
    −7689)である請求項33〜39および41いずれ
    か記載の酵母。
  48. 【請求項48】 サッカロマイセス・セルビシエ(Sacch
    aromyces cerevisiae)D31735株(FERM BP
    −7685)である請求項40および41記載の酵母。
  49. 【請求項49】 酵母が乾燥酵母である請求項1〜48
    いずれか記載の酵母。
  50. 【請求項50】 冷凍生地用の請求項10〜49いずれ
    か記載の酵母。
  51. 【請求項51】 請求項1〜50いずれかに記載の酵母
    を含有してなる生地。
  52. 【請求項52】 請求項51に記載の生地を用いてなる
    パン。
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