JP2003042273A - 変速機用潤滑装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】摺動部に潤滑油を効率的に供給できる変速機用
潤滑装置を提供する。 【解決手段】内部油路（５２）と油孔（５１）とを有す
る回転軸（５０）と、この回転軸と一体的に回転するオ
イルキャッチャー（４０）とからなる変速機用潤滑装置
（１）において、さらに、前記回転軸を囲繞し潤滑油を
回転軸の周囲に貯え得るハウジング（１０）と、前記オ
イルキャッチャーの回転に伴うハウジング内での潤滑油
の連れ回りを阻害して潤滑油に該回転軸の油孔に向けた
流れを誘起させる誘起手段（１３）を備えることを特徴
とする変速機用潤滑装置。誘起手段によって、連れ回る
潤滑油を回転軸の油孔へ効果的に導くことができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、歯車、軸受等の摺
動部に供給するための潤滑油を効率的に取込める変速機
用潤滑装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】エンジン、モータ等により駆動される車
両（乗用車、バス、トラック等）は、運転状況に応じた
速度、駆動力を得るために、変速機を備える。変速機と
して、オートマチックトランスミッション（ＡＴ）やＣ
ＶＴ、マニュアルトランスミッション（ＭＴ）等が代表
的である。ところで、このような変速機はいずれも軸受
や歯車等の各種摺動部を備える。そして、それらの部分
は、相対速度や作用する荷重も比較的大きいことが多い
ため、それらの部分は適切に潤滑される必要がある。専
用オイルポンプによる高圧のオイル（潤滑油）がそのよ
うな摺動部に十分供給されている場合は良いが、そうで
ない場合、オイルが摺動部に効率的に供給されるような
工夫を必要とする。

【０００３】例えば、特開平２０００−１５４８６５号
公報には、図４または図５に示すように、回転軸周りの
潤滑油を積極的に捕集することができるオイルキャッチ
ャーを回転軸の外周側に設けることが開示されている。
このオイルキャッチャーにより捕集された潤滑油は、回
転軸の外周側に開孔した油孔へ導かれ、そこから回転軸
の内部を軸方向に伸びる内部油路へ供給される。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】回転軸の外周が環状の
ハウジングによって囲繞されているような場合、そのオ
イルキャッチャーのみでは、オイルを効率的に捕集し油
路に潤滑油を供給することができないことが判明した。
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであ
る。つまり、回転軸がハウジングにより囲繞されていて
も、オイルキャッチャーにより潤滑油（オイル）を効率
的に捕集し、その潤滑油を油路に十分に導ける変速機用
潤滑装置を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明者は、ハウジング
内の潤滑油がオイルキャッチャーの回転に伴って連れ回
っていることが、潤滑油の油孔への流入量低減の原因で
あることをつきとめ、この潤滑油の連れ回りを阻害する
ことを思い付き、本発明の変速機用潤滑装置を完成する
に至った。すなわち、本発明の変速機用潤滑装置は、内
周側に設けられた内部油路と該内部油路に連通し外周側
に開孔する油孔とを有する回転軸と、該回転軸の外周側
から主回転方向に延在してなり該回転軸と一体的に回転
して該回転軸の周囲にある潤滑油を捕集し該油孔に導く
オイルキャッチャーとからなる変速機用潤滑装置におい
て、さらに、前記回転軸を囲繞し前記潤滑油を該回転軸
の周囲に貯え得るハウジングと、前記オイルキャッチャ
ーの回転に伴う該ハウジング内での潤滑油の連れ回りを
部分的に阻害して該潤滑油に該回転軸の油孔に向けた流
れを誘起させる誘起手段を備えることを特徴とする。

【０００６】回転軸の周囲にハウジングを設けた場合、
上述したように潤滑油の連れ回りが生じ、回転軸の周囲
にある潤滑油はオイルキャッチャーと一体的に回転して
しまう。このため、オイルキャッチャーの外周側から内
周側へ向けた潤滑油の流れ、つまり、オイルキャッチャ
ーから回転軸の油孔へ向けた潤滑油の流れが起り難い状
況にある。そこで、本発明では、この連れ回りを生じ易
い潤滑油に連れ回りを妨げる手段を設けることとした。
これにより、潤滑油の油孔への流れが促進され、油孔か
ら内部油路に潤滑油がより効率的に供給されるようにな
る。

【０００７】

【発明の実施の形態】次に、変速機用潤滑装置に係る実
施形態を挙げ、本発明をより具体的に説明する。本発明
の第１実施形態である変速機用潤滑装置１の断面図を図
１および図２に示す。図１は変速機用潤滑装置１の横断
面図であり、図２はその縦断面図である。変速機用潤滑
装置１は、周知の手動変速機に設けられたものであり、
アウトプットシャフト５０（回転軸）と、アウトプット
シャフト５０に固定されたオイルキャッチャー４０と、
アウトプットシャフト５０およびオイルキャッチャー４
０とを囲繞するエクステンションハウジング１０とから
なる。なお、エクステンションハウジング１０とアウト
プットシャフト５０との間には、特に図示していない
が、オイル（潤滑油）が存在している。

【０００８】アウトプットシャフト５０は、内部を軸方
向に延在する円筒状の内部油路５２と、この内部油路５
２に連通しアウトプットシャフト５０の外周面に開孔し
た油孔５１とを有する。オイルキャッチャー４０は、捕
集部４２を有する。エクステンションハウジング１０の
内周面１４には、４箇所の凹部１３（誘起手段）が形成
されている。凹部１３は、主回転方向Ｓに対して前端部
１１から後端部１２にかけて奥行を増している（つま
り、半径方向に深くなっている）。前端部１１は内周面
１４に滑らかに接続されている。一方、後端部１２は、
凹部１３の側壁の曲率が後端側で変化ている。

【０００９】ところで、エクステンションハウジング１
０とアウトプットシャフト５０との間に存在するオイル
は、アウトプットシャフト５０およびオイルキャッチャ
ー４０の回転に伴い、図１または図２に示したＲ０〜Ｒ
３のような流れを生じ得る。つまり、アウトプットシャ
フト５０の外周面近傍で連れ回る流れＲ０と、エクステ
ンションハウジング１０の内周面近傍で凹部１３に取込
まれ、後端部１２によって削ぎ落されたオイルの流れＲ
１と、オイルキャッチャー４０の捕集部４２によって取
込まれ開口４３、油孔５１および内部油路５２へと向う
オイルの流れＲ２と、さらに内部油路５２から所望の摺
動部に分流していくオイルの流れＲ３とを生じると考え
られる。特に、本実施形態の場合、誘起手段である凹部
１３の存在により、流れＲ１が流れＲ２を増長させたと
考えられる。

【００１０】次に、本発明に係る第２実施形態である変
速機用潤滑装置２を図３に示す。第１実施形態と同様の
部分については、図１と同じ符号を示した。変速機用潤
滑装置２は、前記エクステンションハウジング１０の凹
部１３に替えて、内周面２４から突出した凸部２３を形
成したものである。この凸部２３は、オイルキャッチャ
ー４０の回転に伴って連れ回っているオイルを削ぎ落せ
るようになっている。従って、隣接した凸部２３間で図
３に示すようなオイルの流れＲ１が生じると考えられ
る。そして、この流れがエクステンションハウジング２
０の内周面近傍におけるオイルの流れを乱し、油孔５１
から内部油路５２に向けたオイルの流れＲ２を誘起し増
長させる。

【００１１】

【発明の効果】本発明の変速機用潤滑装置によれば、誘
起手段が回転軸とハウジングとの間に存在するオイルの
連れ回りを阻害し、オイルキャッチャーによる潤滑油の
油孔への流れを促進して、潤滑油を効率的に取込むこと
ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施形態に係る横断面図である。

【図２】本発明の第１実施形態に係る縦断面図である。

【図３】本発明の第２実施形態に係る横断面図である。

【図４】従来の変速機用潤滑装置を示す分解斜視図であ
る。

【図５】従来の変速機用潤滑装置の組立後の横断面図で
ある。

【符号の説明】

１０、２０ エクステンションハウジング（ハウジン
グ） １３ 凹部（誘起手段） ２３ 凸部（誘起手段） ４０ オイルキャッチャー ５０ アウトプットシャフト（回転軸） ５１ 油孔 ５２ 内部油路

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】内周側に設けられた内部油路と該内部油路
   に連通し外周側に開孔する油孔とを有する回転軸と、 該回転軸の外周側から主回転方向に延在してなり該回転
   軸と一体的に回転して該回転軸の周囲にある潤滑油を捕
   集し該油孔に導くオイルキャッチャーとからなる変速機
   用潤滑装置において、 さらに、前記回転軸を囲繞し前記潤滑油を該回転軸の周
   囲に貯え得るハウジングと、 前記オイルキャッチャーの回転に伴う該ハウジング内で
   の潤滑油の連れ回りを少なくとも部分的に阻害して該潤
   滑油に該回転軸の油孔に向けた流れを誘起させる誘起手
   段を備えることを特徴とする変速機用潤滑装置。
2. 【請求項２】前記誘起手段は、前記ハウジングの内周面
   より窪んだ凹部である請求項１記載の変速機用潤滑装
   置。
3. 【請求項３】前記誘起手段は、前記ハウジングの内周面
   より突出した凸部である請求項１記載の変速機用潤滑装
   置。