JP2003040667A - 耐火物用組成物および耐火物 - Google Patents

耐火物用組成物および耐火物

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鉄、鋼、ガラス、セメント製造、
あるいは焼却炉等の設備や容器に用いられる耐熱性が要
求される煉瓦、耐火物類用途に好適な、残炭性が無く、
且つ、成形時の取り扱いに優れ、離型性と硬化物の表面
平滑性の良好であって、耐火物用組成物を提供するこ
と。 【解決手段】 無機質材料等の耐火骨材100
重量部に対して、ポリビニルアルコール0.1〜10重
量部、ポリプロピレングリコール等のグリコール系溶剤
0.2〜5重量部、水とを0.5〜10重量部とを必須
成分とする耐火物用組成物とその硬化物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】鉄、鋼、ガラス、セメント製
造、あるいは焼却炉等の設備や容器に用いられる耐熱性
を有する煉瓦、耐火物を製造するのに好適な残炭分を実
質的に含有しない耐火物組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】耐火物を成形、施工する際には、耐火骨
材をバインダーと共に混合混練して得られた混練物を使
用する。このバインダーと耐火骨材とを混練しやすくす
る為に、水や有機溶剤を用いて適度な粘度の溶液とする
処方が通常行われている。バインダーとしてフェノール
樹脂等の残炭性を有する樹脂溶液を含有する耐火物用組
成物が広く使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】その一方で、乾燥時や
焼成時にフェノール樹脂分から熱分解により発生するガ
スは、その臭気と毒性とが作業者への影響や、環境に対
しては懸念すべきものとなっている。また、耐火骨材を
完全に溶融して所謂セラミック化する結合には炭化して
残る炭素(残炭)は不都合なものであり、セラミック化
への阻害を起こす難点があり、炭化して残る炭素がない
(残炭性を有しない)バインダーが望まれていた。
【0004】残炭性を有しない有機バインダー類として
は、接着剤用途に多用されるポリビニルアルコールが挙
げられる。ポリビニルアルコールを耐火物のバインダー
に使用した場合は、硬化時に、熱分解するような条件で
使用しても、有害性ガスの発生やその臭気が問題となら
ないこと利点として挙げられる。しかし、一般に、ポリ
ビニルアルコールは水溶液として取り扱われ、その際、
ポリビニルアルコール水溶液は、高粘度のため、取り扱
いが困難で、且つ、成形時に、型に付着し易く、型離れ
が悪い。更に、成形物の表面平滑性に劣るといった難点
があるため、耐火材用バインダーとしては実際に使用さ
れていないのが現状であった。
【0005】従って、本発明の課題は、フェノール樹脂
等の添加を極力排除することで残炭性をなくし、且つ、
成形時の取り扱いに優れ、離型性と硬化物の表面平滑性
の良好な耐火物用組成物と耐火物を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記の問
題点を改善すべく、鋭意検討を重ねた結果、耐火性骨材
とバインダーとしてポリビニルアルコール水溶液に、更
に、グリコール系溶剤を配合した組成物が、残炭性が無
く、且つ、成形時の取り扱いや離型性の良いことを見出
し、発明を完成させた。
【0007】すなわち、本発明は、耐火骨材(A)、ポ
リビニルアルコール(B)、グリコール系溶剤(C)、
水(D)とを必須成分とする耐火物用組成物と、該組成
物を成形した耐火物とを提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明に使用される耐火骨材
(A)としては、特に限定されないが、例えば、アルミ
ナ、マグネシア、マグクロ、シリカ、炭化珪素等の無機
質材料が挙げられる。中でも、マグネシア(酸化マグネ
シウム)、シリカが好ましい。
【0009】本発明に使用される、ポリビニルアルコー
ル(B)は、目的の硬化物(耐火物)の物性が向上する
点からは、濃度が高いほど好ましいが、濃度が高いほど
粘度もまた上昇する。そのため、ポリビニルアルコール
の4重量%水溶液の25℃における粘度が25mPa・
s以下となるような分子量のポリビニルアルコールが、
該ポリビニルアルコール水溶液の濃度を高くでき、且
つ、上記の耐火骨材(A)との混合のし易さから好まし
い。また、バインダーとしての接着性能の点から、4重
量%水溶液の25℃における粘度が1mPa・s以上と
なるような分子量のポリビニルアルコール(B)が好ま
しい。
【0010】本発明に用いるグリコール系溶剤(C)と
しては、特に限定されないが、例えば、エチレングリコ
ール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコー
ル、常温で液体のポリエチレングリコール等のエチレン
グリコール類、プロピレングリコール、ジプロピレング
リコール等のプロピレングリコール類、テトラメチレン
グリコール等のグリコール類が挙げられる。中でも、ポ
リビニールアルコール(B)と水(D)の両者への相溶
性が優れている点、成形時の金型からの離型性が良好な
点から好ましく、中でも、分子量1000以下のポリプ
ロピレングリコール類が好ましい。これらのポリプロピ
レングリコール類としては、プロピレングリコール(P
G)、ジプロピレングリコール(DPG)、分子量が約
400のPPG400、分子量が約1000のPPG1
000等が含まれる。
【0011】本発明で用いられる水(D)は、ポリビニ
ルアルコールを溶解できれば、特に制限はないが、例え
ば、ポリビニールアルコール水溶液の濃度が5重量%〜
40重量%となる範囲で配合することが好ましい。
【0012】本発明の耐火物用組成物としては、耐火骨
材(A)100重量部(以下、部と記す。)に対して、
ポリビニールアルコール(B)が0.1〜20部、グリ
コール系溶剤(C)が0.2〜10部、水(D)が0.
5〜20部の範囲で配合することが好ましい。中でも、
ポリビニールアルコール(B)が0.1〜10部、グリ
コール系溶剤(C)が0.2〜5部、水(D)が0.5
〜10部の範囲で配合することが、該組成物の取り扱い
が容易となる点から、特に好ましい。
【0013】また、これらの他に粘度調整用に、例えば
メタノール、エタノール等のアルコール系溶剤を添加し
ても構わない。
【0014】
【実施例】次に本発明を実施例、比較例により具体的に
説明するが、以下において部は特に断わりのない限り重
量部である。
【0015】なお、例中の測定値は以下の方法で測定し
た。 粘度:B型粘度計で測定(25℃)した。 残炭率:液状のままの1gを落とし蓋付きの坩堝に採取
し、JIS K 2425に則り測定した。 素地強度測定:25mm径×25mm高さの円柱成型物を横
にして接線上に加圧して値を得た。(単位:kgf/c
m) 乾燥強度測定:25mm径×25mm高さの円柱成型物を横
にして接線上に加圧して値を得た。(単位:kgf/c
m) 離型性表面状態:○=角欠けと面付着が無い。
【0016】実施例1 下記の表1に示される配合1として、ポリビニルアルコ
ール、グリコール系溶剤、水を混合して、液状バインダ
ー(配合1)を調製した。次いで、耐火骨材として、酸
化マグネシウム(MgO)の1〜5mm粒、1mm以下
粒及び微粉の混合品[配合比(重量比):(1〜5mm
粒)/(1mm以下粒)/(微粉)=40/40/2
0]と液状バインダー(配合1)とを表2に示される配
合で品川式遊星ミキサーで混練して耐火物組成物を調製
した。次いで、調製した組成物を直径25mm×高さ2
5mmの円柱状の金型で、1t/cmのプレス圧で、
30秒間成形し、耐火物を作成した。プレス後、金型か
ら取り出し、成形物(耐火物)の表面状態を観察し、離
型性表面状態及び素地強度を調べた。
【0017】次いで、上記と同一の配合の成形物を乾燥
機に入れ、80℃から150℃まで20℃/hrで昇温
後、150℃で1時間加熱し、冷却してから乾燥強度を
測定した。得られた結果を表2に示す。
【0018】実施例2 液状バインダー(配合1)を液状バインダー(配合2)
に代えた以外は、すべて実施例1と同じように、耐火物
組成物を調製し、ついで耐火物を作成し、同様に評価し
た。得られた結果を表2に示す。
【0019】実施例3 液状バインダー(配合1)を液状バインダー(配合3)
に代えた以外は、すべて実施例1と同じように、耐火物
組成物を調製し、ついで耐火物を作成し、同様に評価し
た。得られた結果を表2に示す。
【0020】実施例4 液状バインダー(配合1)を液状バインダー(配合4)
に代えた以外は、すべて実施例1と同じように、耐火物
組成物を調製し、ついで耐火物を作成し、同様に評価し
た。得られた結果を表2に示す。
【0021】実施例5 液状バインダー(配合1)を液状バインダー(配合5)
に代えた以外は、すべて実施例1と同じように、耐火物
組成物を調製し、ついで耐火物を作成し、同様に評価し
た。得られた結果を表2に示す。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】実施例6 下記の表1に示される配合で、調製した液状バインダー
(配合1)と耐火骨材として酸化マグネシウム(Mg
O)の1〜5mm粒、1mm以下粒及び微粉の混合品
[配合比(重量比):(1〜5mm粒)/(1mm以下
粒)/(微粉)=40/40/20]とを表3に示され
る配合で混合してスラリー状の耐火物組成物を調製し
た。次いで、調製した組成物を、離型剤を塗布した直径
25mm×高さ25mmの円柱状の金型に流し込み、一
昼夜放置後型から取り出し、半乾燥状態のものを乾燥機
中にて80℃から150℃へ20℃/hrで昇温して1
50℃で1時間保持して後、冷却してから強度を測定す
る不定形耐火物用として評価した。得られた結果を表2
に示す。
【0025】実施例7 液状バインダー(配合1)を液状バインダー(配合2)
に代えた以外はすべて実施例6と同じように、耐火物組
成物を調製し、ついで不定形耐火物を作成し、同様に評
価した。得られた結果を表3に示す。
【0026】実施例8 液状バインダー(配合1)を液状バインダー(配合5)
に代えた以外はすべて実施例6と同じように、耐火物組
成物を調製し、ついで不定形耐火物を作成し、同様に評
価した。得られた結果を表3に示す。
【0027】
【表3】
【0028】比較例1 液状バインダー(配合1)を下記表4に示した液状バイ
ンダー(配合6)に代えた以外はすべて実施例1と同じ
ように、耐火物組成物を調製し、ついで耐火物を作成
し、同様に評価した。得られた結果を表5に示す。
【0029】比較例2 液状バインダー(配合1)を下記表4に示した液状バイ
ンダー(配合6)に代えた以外はすべて実施例6と同じ
ように、耐火物組成物を調製し、ついで不定形耐火物を
作成し、同様に評価した。得られた結果を表5に示す。
【0030】比較例3 液状バインダー(配合1)を下記表4に示した液状バイ
ンダー(配合7)に代えた以外はすべて実施例6と同じ
ように、耐火物組成物を調製し、ついで不定形耐火物を
作成し、同様に評価した。得られた結果を表5に示す。
【0031】比較例3 液状バインダー(配合1)を下記表4に示した液状バイ
ンダー(配合7)に代えた以外はすべて実施例6と同じ
ように、耐火物組成物を調製し、ついで不定形耐火物を
作成し、同様に評価した。得られた結果を表5に示す。
【0032】比較例4 液状バインダー(配合1)を下記表4に示した液状バイ
ンダー(配合8)に代えた以外はすべて実施例6と同じ
ように評価した。得られた結果を表5に示す。
【0033】比較例5 液状バインダー(配合1)を表4に示した液状バインダ
ー(配合9)に代えた以外はすべて実施例1と同じよう
に、耐火物組成物を調製し、ついで耐火物を作成し、同
様に評価した。得られた結果を表5に示す。
【表4】
【0034】
【表5】
【0035】
【発明の効果】ポバール、プロピレングリコール系、水
の組み合わせによる樹脂バインダー組成物は成型性を向
上させ、歩留まりを向上させるのみならず、残炭性を有
しないその特徴が焼成物への良好な特性を付与するとい
った当初の目的に沿った効果が得られた。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 耐火骨材(A)、ポリビニルアルコール
    (B)、グリコール系溶剤(C)、水(D)とを必須成
    分とすることを特徴とする耐火物用組成物。
  2. 【請求項2】 耐火骨材(A)が無機質材料である請求
    項1記載の組成物。
  3. 【請求項3】 ポリビニルアルコール(B)が、4重量
    %水溶液の25℃における粘度が1mPa・s〜25m
    Pa・sである請求項1または2記載の耐火物用組成
    物。
  4. 【請求項4】 グリコール系溶剤(C)がポリプロピレ
    ングリコールである請求項1、2または3記載の耐火物
    用組成物。
  5. 【請求項5】 耐火骨材(A)100重量部に対して、
    ポリビニルアルコール(B)0.1〜10重量部、グリ
    コール系溶剤(C)0.2〜5重量部、水(D)とを
    0.5〜10重量部含有する請求項1〜4の何れか一つ
    に記載の耐火物用組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5の何れか一つに記載の耐火
    物用組成物を成形、硬化してなる耐火物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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JP2010513203A (ja) * 2006-12-21 2010-04-30 コミサリア、ア、レネルジ、アトミク−セーエーアー 高い固相線温度を有する耐火セラミックス材料、その製造方法、前記材料を含む構造部品
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH07188566A (ja) * 1993-12-27 1995-07-25 Mitsubishi Chem Corp 定型炭素質耐火物用バインダー及びこれを用いた定型炭素質耐火物の製造方法

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