JP2003038965A - 陰イオン交換体および陰イオン交換膜 - Google Patents

陰イオン交換体および陰イオン交換膜

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JP2003038965A
JP2003038965A JP2001229670A JP2001229670A JP2003038965A JP 2003038965 A JP2003038965 A JP 2003038965A JP 2001229670 A JP2001229670 A JP 2001229670A JP 2001229670 A JP2001229670 A JP 2001229670A JP 2003038965 A JP2003038965 A JP 2003038965A
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anion exchanger
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exchange membrane
haloalkyl group
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Niro Kawazoe
仁郎 川添
Yoshio Sugaya
良雄 菅家
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AGC Inc
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Asahi Glass Co Ltd
Asahi Glass Engineering Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】イオン選択透過性が高く、比抵抗が低い陰イオ
ン交換体の提供。 【解決手段】ビフェニレン基(ビフェニレン基に結合し
た水素の少なくとも1個はハロアルキル基で置換されて
なる)を有する繰返し単位を含有する特定の芳香族ポリ
スルホン系重合体のハロアルキル基が、アミンと反応し
た重合体からなる陰イオン交換体であって、上記芳香族
ポリスルホン系重合体におけるハロアルキル基の含有量
が1.0〜4.0mmol/gである陰イオン交換体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、陰イオン交換体、
特には、海水濃縮、かん水の脱塩等のための電気透析、
酸やアルカリの拡散透析、電解または電池用の隔膜に使
用できる陰イオン交換膜に適した陰イオン交換体に関す
る。
【0002】
【従来の技術】実用的で有益な陰イオン交換体として、
スチレン−ジビニルベンゼン系共重合体に陰イオン交換
基を導入してなる重合体がある。スチレン−ジビニルベ
ンゼン系共重合体は、ベンゼン核の反応性を利用して陽
イオン交換基や陰イオン交換基に容易に変換できるだけ
でなく、耐薬品性、耐熱性に優れ、架橋剤となるジビニ
ルベンゼンの含有量を変えることにより、イオン交換特
性や選択透過性を制御できることから、様々な用途に用
いられ、多種の品種が開発されてきた。
【0003】しかし、工業塩並の安価な食塩を製造する
ための海水濃縮、各種産業から排出される排水からの酸
またはアルカリの回収、レドックスフロー電池やメタノ
ール電池用の隔膜等の新しい用途においては、従来のス
チレン−ジビニルベンゼン系共重合体からなるイオン交
換膜では対応できない問題があった。
【0004】すなわち、抵抗を低下させるには架橋密度
を低くすること、膜厚を薄くすることが必要であるが、
架橋密度を低くするとイオン選択性や耐薬品性が低下
し、膜厚を薄くすると機械的強度が低下する。
【0005】一方、限外ろ過膜、逆浸透膜やガス分離膜
等の分離膜においては、機械的強度および加工性の優れ
たエンジニアリングプラスチック系の材料が使用されて
いる。特に耐薬品性が優れたポリスルホン系重合体から
なる膜については、イオン交換基が導入されたものにつ
いては限外ろ過膜や逆浸透膜での透過性の改良に用いら
れ、イオン選択透過性が付与されたものはイオン交換膜
への適用が検討されてきた。例えば、式(a)からなる
繰り返し単位を有するポリスルホンのクロロメチル化物
を、トリメチルアミンで4級化した強塩基性の陰イオン
交換膜がJ.MEMBRANE SCIENCE,22
(1985)325〜332に記載されている。しか
し、このポリスルホン系重合体からなるイオン交換膜は
非架橋であり、イオン交換容量を増加させて抵抗を低下
させようとすると、吸水率が急激に増加し、イオン選択
透過性が低下する。
【0006】
【化2】
【0007】この問題を解決する陰イオン交換膜とし
て、ブロモメチル化ポリスルホンとポリスルホンとの混
合物からなるアミノ化ポリマーを多孔性ポリスルホン支
持体にコーティングした複合陰イオン交換膜が開発さ
れ、酸の透析分離へ利用できることが[繊維と工業]4
4巻1号11頁(1988)に記載されている。この膜
はイオン交換容量を一定に制御できる効果はあるもの
の、実用面で従来のスチレン−ジビニルベンゼン系共重
合体からなる陰イオン交換膜に代替できるものではなか
った。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、イオン交換
容量が高くともイオン選択透過性が高く、電気抵抗が低
い安価な陰イオン交換体および陰イオン交換膜の提供を
目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、式1で示され
る繰返し単位を有する芳香族ポリスルホン系重合体(式
1において、R〜Rは互いに同一または異なる炭素
数1〜8の炭化水素基またはフッ素原子を示す。a、b
は0〜8の整数、a+bは0〜7、c、dは0〜4の整
数、c+dは0〜7を示す。また、RまたはRが結
合できるフェニレン基に結合した水素の少なくとも1個
はハロアルキル基で置換されてなる。)のハロアルキル
基が、アミンと反応した重合体からなる陰イオン交換体
を提供する。
【0010】
【化3】
【0011】本発明者らは、芳香族ポリスルホン系重合
体に陰イオン交換基を導入した陰イオン交換体におい
て、従来より主として用いられてきた、ベンゼン環とベ
ンゼン環との間に単結合以外の基を含むもの(例えば、
ビスフェニルプロパンのフェニル環に陰イオン交換基が
導入されてなる芳香族ポリスルホン系重合体)からなる
陰イオン交換体より、ビフェニル環に陰イオン交換基が
導入されてなる上記芳香族ポリスルホン系重合体からな
る本発明の陰イオン交換体がはるかに優れたイオン選択
性と耐久性を有することを見出した。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の陰イオン交換体は、式1
で示される繰返し単位を有する芳香族ポリスルホン系重
合体のハロアルキル基の一部または全部が、アミンと反
応してなる重合体からなる。上記芳香族ポリスルホン系
重合体における、式1で示される繰返し単位の含有量は
80質量%以上であるのが好ましい。
【0013】また、本発明の陰イオン交換体は、機械的
性質の向上等を目的として、陰イオン交換基を有しない
重合体と混合して用いることができる。なかでも、本発
明の陰イオン交換体と、式2で示される重合体との混合
物からなる陰イオン交換体は、イオン選択透過性に優
れ、かつ、機械的性質および耐薬品性が優れることから
好ましく用いられる。
【0014】
【化4】
【0015】式2において、YおよびZは互いに異なる
O、O−Py−O、O−Py−Py−O、O−Py−
(CH−Py−O、Sであり、Pyはフェニレン
基である。mは10〜100であり、nは0〜100で
ある。
【0016】式2で示される重合体としては、本発明の
陰イオン交換体との相溶性、得られた混合物からなる陰
イオン交換体の機械的性質、耐久性等の観点から、特に
は、YがO−Py−Py−OでありZがOであるもの、
YがO−Py−Py−OでありZがSであるもの、Yが
Oでありnが0であるもの、YがO−Py−Py−Oで
ありnが0であるものが好ましい。
【0017】本発明の陰イオン交換体と、式2で示され
る重合体の混合割合は、陰イオン交換体100質量部に
対して、式2で示される重合体5〜300質量部とする
のが好ましい。
【0018】本発明の陰イオン交換体としては、上記芳
香族ポリスルホン系重合体におけるハロアルキル基の含
有量が1.0〜4.0mmol/gであるのが好まし
い。ハロアルキル基の含有量が上記範囲である場合、ア
ミンとの反応性が高く、得られる陰イオン交換体のイオ
ン選択透過性が良好である。上記ハロアルキル基の含有
量は、特には1.5〜3.5mmol/gであるのが好
ましい。
【0019】また、本発明の陰イオン交換体としては、
上記芳香族ポリスルホン系重合体に含まれるハロアルキ
ル基全体に対してアミンと反応したハロアルキル基の比
率が30mol%以上であるものが好ましい。上記ポリ
スルホン系重合体におけるハロアルキル基の含有量と、
ハロアルキル基全体に対してアミンと反応したハロアル
キル基の比率を選択することにより、目標とするイオン
交換容量を有する陰イオン交換体を得ることができる。
上記ハロアルキル基の比率は特には50mol%以上で
あるのが好ましい。
【0020】本発明の陰イオン交換体のイオン交換容量
は0.5〜4.0ミリ当量/g乾燥樹脂であるのが好ま
しい。イオン交換容量が0.5ミリ当量/g乾燥樹脂よ
り小さい場合は比抵抗が大きくなり、4.0ミリ当量/
g乾燥樹脂より大きい場合はイオン選択透過性が低下す
る。イオン交換容量は特には0.8〜3.5ミリ当量/
g乾燥樹脂、さらには1.7〜3.2ミリ当量/g乾燥
樹脂であるのが好ましい。
【0021】本発明の陰イオン交換体が膜状に成形され
たものは、イオン交換膜として種々の用途に用いること
ができる。本発明の陰イオン交換膜は、比較的高いイオ
ン交換容量を有していても、固定イオン濃度を4ミリ当
量/gHO以上、好ましくは6ミリ当量/gHO以
上と高くでき、高いイオン選択性と、高い透過性を発現
できると考えられる。
【0022】本発明の陰イオン交換膜としては、25℃
における0.5mol/L硫酸中の交流比抵抗が50〜
6000Ω・cmであるのが好ましい。この比抵抗が上
記範囲内である場合はイオン選択透過性が高く、拡散透
析による酸の回収においては高純度で酸を回収でき、電
気透析や電解においては高い電流効率を保つことができ
る。ここで上記比抵抗は、膜を0.5mol/Lの硫酸
中で平衡させ、1000Hzの交流でLCRメータによ
って測定した値である。
【0023】本発明の陰イオン交換膜の好ましい膜厚
は、陰イオン交換膜の用途および使用条件等により異な
るが、0.1〜300μm、特には1〜100μm、さ
らには5〜50μmとするのが好ましい。
【0024】本発明の陰イオン交換体は、式1で示され
る繰返し単位を有する芳香族ポリスルホン系重合体のハ
ロアルキル基の一部または全部をアミンと反応させるこ
とにより得られる。
【0025】ハロアルキル基としては、−(CH
X(sは1〜5の整数、XはCl、BrまたはI)が好
ましいが、特にはクロロメチル基、3−ブロモプロピル
基、4−ブロモブチル基、5−ブロモペンチル基等が好
ましく、なかでも反応が容易である点からクロロメチル
基が好ましい。クロロメチル基を導入する場合は、例え
ば、ビフェニル環を含有する芳香族ポリスルホン系重合
体と、(クロロメチル)メチルエーテル、1,4−ビス
(クロロメトキシ)ブタン、1−クロロメトキシ−4−
クロロブタン、またはホルマリン−塩化水素系、パラホ
ルムアルデヒド−塩化水素系等の親電子反応性のクロロ
メチル化剤とを反応させる。このとき触媒として塩化ス
ズ等を用いることができる。これにより上記芳香族ポリ
スルホン系重合体のビフェニル環にクロロメチル基を選
択的に導入できる。
【0026】本発明のハロアルキル基を所定量含有する
陰イオン交換体を得るためには、ハロアルキル化反応を
終了させるときに、反応停止剤としてメトキシ基を含有
する化合物を添加するのが好ましい。これにより、導入
されるハロアルキル基の量を制御できるとともに、得ら
れたハロアルキル基を有する上記芳香族ポリスルホン系
重合体を精製するときに、該重合体がゲル化するのを防
ぐことができる。
【0027】このようなメトキシ基を含有する化合物と
しては、1−メトキシエタノール、2−メトキシエタノ
ール等のメトキシアルコール、アニソール、p−メトキ
シフェノール等のメトキシ基を含有する芳香族化合物、
1,2−ジメトキシエタン等のメトキシ基を2個含有す
る化合物が挙げられる。なかでも1,2−ジメトキシエ
タンは安定であることから好ましい。
【0028】このようにして得られたクロロメチル化重
合体を、例えば以下の方法によりアミノ化し、製膜す
る。 (1)クロロメチル化重合体を溶媒に溶解し、モノアミ
ンを添加して一定量のクロロメチル基をモノアミンと反
応させた溶液を流延し、膜状に成形する方法。 (2)クロロメチル化重合体を溶媒に溶解させた溶液を
流延し、膜状に成形した後、モノアミンを添加して一定
量のクロロメチル基をモノアミンと反応させる方法。 (3)クロロメチル化重合体を溶媒に溶解し、クロロメ
チル基の一部、好ましくは20〜80mol%を第3ア
ミンと反応させ、膜状に成形した後、残部のクロロメチ
ル基を加熱処理、ルイス酸との接触、または少なくとも
2個以上のアミノ基を有するポリアミンと反応させて、
架橋構造を導入する方法。
【0029】ここで、モノアミンとしては第1〜第3ア
ミンが使用できる。ここで、第1アミンとしては、メチ
ルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、n−ブ
チルアミン等のアルキルアミン、アニリン等の芳香族ア
ミン、またはエタノールアミン等が挙げられる。第2ア
ミンとしては、ジメチルアミン、ジエチルアミン等のジ
アルキルアミンの他、N−メチルアニリン等の芳香族ア
ミン、ピロリジン、ピペラジン、モルホリン等の複素環
アミン、またはジエタノールアミン等が挙げられる。
【0030】また第3アミンとしては、トリメチルアミ
ン、トリエチルアミン等のトリアルキルアミンの他、
N,N−ジメチルアニリン、N−メチルジフェニルアミ
ン、ピリジン、キノリン、アクリジン、N−メチルピロ
ール、1−メチルインドール、N−エチルカルバゾール
等の芳香族アミン、N−メチルピロリジン、N−メチル
モルホリン等の複素環系アミン、またはトリエタノール
アミン等が挙げられる。なかでも、トリメチルアミン
は、低い比抵抗の膜が得られることから好ましく用いら
れる。
【0031】また、(3)の方法で用いられる、陰イオ
ン交換基と架橋構造を導入できるポリアミンのうち、ア
ミノ基を2個有するものとしては、式3で示されるもの
や、複素環系のジアミンが好ましい。 (A)(A)−N−(CH−(A)(A) ・・・式3 式3において、A、A、A、Aは互いに同一ま
たは異なる水素、炭素数1〜6のアルキル基またはヒド
ロキシアルキル基であり、tは1〜15の整数である。
具体的には、メチレンジアミン、エチレンジアミン、ト
リメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、フェニ
レンジアミン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、シ
ンノリン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン、1
−メチルイミダゾール、N,N′−ジメチルピペラジ
ン、(1,4)ジアザビシクロ(2,2,2)オクタン
が挙げられる。アミノ基を3個以上有するものとして
は、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、
テトラエチレンヘプタミン等のポリエチレンイミン化合
物やトリアジン、ヘキサメチレンテトラミン等の環状ポ
リアミンが挙げられる。
【0032】本発明の陰イオン交換膜は、単独で膜状に
加工して用いることができるが、寸法安定性、取扱性等
の実用的な強度を付与するため、または比抵抗を低下さ
せるために、多孔性基材と複合させて、補強して用いて
もよい。
【0033】多孔性基材としては、ポリエチレン、ポリ
プロピレン、ポリテトラフルオロエチレン等の不織布
や、延伸展開法によって得られる微多孔膜が好ましく、
複合させる方法としては、陰イオン交換体、または陰イ
オン交換体の前駆体からなる溶液を接着剤として使用
し、あらかじめ作製した陰イオン交換膜と多孔性基材と
を、いわゆるウエットラミネート法で接着する方法が好
ましい。
【0034】多孔性基材を陰イオン交換膜に複合させる
方法としては、多孔性基材をイオン交換体層中に埋め込
む方法、薄い陰イオン交換膜と多孔性基材とを積層する
方法等が挙げられる。
【0035】なお、本発明の陰イオン交換膜は一般的な
平面状だけではなく、袋状、中空糸状、中空管状等に成
形してもよい。
【0036】
【実施例】以下に本発明の実施例(例1〜3)および比
較例(例4)を説明する。
【0037】[例1]式4で示される、固有粘度0.5
dL/gのポリスルホン(アモコエンジニアリングポリ
マーズ社製品名:レーデルR5000NT)40gを準
備した。
【0038】
【化5】
【0039】これを1,1,2,2−テトラクロロエタ
ン737gに溶解したものに、クロロメチルメチルエー
テル171g、および無水塩化スズ4gをクロロメチル
メチルエーテル36gに溶解した溶液を添加し、80℃
にて6時間かけてクロロメチル化反応を行い、1,2−
ジメトキシエタン18gを添加して30分間撹拌し、反
応を停止させた。次いで、得られた反応生成物を塩化メ
チレンにて希釈し、メタノールを添加して沈澱させ、こ
れを洗浄し、固有粘度0.7dL/gのクロロメチル化
重合体Aを得た。
【0040】クロロメチル化重合体Aにおけるクロロメ
チル基の含有量は3.7mmol/gであり、クロロメ
チル基をすべてトリメチルアミンで反応させた場合のイ
オン交換容量は3.1ミリ当量/g乾燥樹脂であった。
【0041】このクロロメチル化重合体A50gをN,
N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFという)30
0mLに溶解した15質量%の溶液を調製した。この溶
液を冷却下、撹拌しながら、0℃の1mol/Lのトリ
メチルアミンのDMF溶液104mLをゆっくりと滴下
した後、2−メトキシエタノール65gを添加し、イオ
ン交換容量が2.0ミリ当量/g乾燥樹脂の溶液Aを得
た。
【0042】この溶液Aをポリエチレンテレフタレート
(以下、PET)フィルム上にバーコータにて塗工し、
80℃、1時間加熱乾燥せしめ膜厚25μmの陰イオン
交換膜Aを形成した後、PETフィルムを陰イオン交換
膜Aから剥離させた。得られた陰イオン交換膜Aの固定
イオン濃度は10ミリ当量/g・HOであり、25℃
における0.5mol/L硫酸中の交流比抵抗値は20
0Ω・cmであった。
【0043】[例2]クロロメチル化反応のときの温度
を75℃とした以外は例1と同様にしてクロロメチル化
重合体Bを得た。クロロメチル化重合体Bの固有粘度は
0.6dL/gであり、クロロメチル基の含有量は3.
5mmol/gであり、クロロメチル基をすべてトリメ
チルアミンで反応させた場合のイオン交換容量は2.8
ミリ当量/g乾燥樹脂であった。
【0044】このクロロメチル化重合体Bを例1と同様
にしてアミノ化し、イオン交換容量が2.3ミリ当量/
g乾燥樹脂の溶液Bを得、例1と同様にして膜厚25μ
mの陰イオン交換膜Bを作成した。陰イオン交換膜Bの
固定イオン濃度は8ミリ当量/g・HOであり、25
℃における0.5mol/L硫酸中の交流比抵抗値は2
58Ω・cmであった。
【0045】[例3]クロロメチル化反応のときの温度
を50℃とした以外は例1と同様にしてクロロメチル化
重合体Cを得た。クロロメチル化重合体Cの固有粘度は
0.6dL/gであり、クロロメチル基の含有量は2.
4mmol/gであり、クロロメチル基をすべてトリメ
チルアミンで反応させた場合のイオン交換容量は2.1
ミリ当量/g乾燥樹脂であった。
【0046】このクロロメチル化重合体Cを例1と同様
にしてアミノ化し、イオン交換容量が2.0ミリ当量/
g乾燥樹脂の溶液Cを得、例1と同様にして膜厚25μ
mの陰イオン交換膜Cを作成した。陰イオン交換膜Cの
固定イオン濃度は8ミリ当量/g・HOであり、25
℃における0.5mol/L硫酸中の交流比抵抗値は2
70Ω・cmであった。
【0047】[例4(比較例)]式5で示される、固有
粘度0.4dL/gのポリスルホン(アモコエンジニア
リングポリマーズ社製品名:ユーデルP3500)を準
備した。
【0048】
【化6】
【0049】例1と同様にして75℃にて6時間かけて
クロロメチル化反応を行い、得られた反応生成物を例1
と同様にして沈殿させた後、洗浄し、固有粘度0.65
dL/gのクロロメチル化重合体Dを得た。クロロメチ
ル化重合体Dにおけるクロロメチル基の含有量は3.2
mmol/gであり、クロロメチル基をすべてトリメチ
ルアミンで反応させた場合のイオン交換容量は2.7ミ
リ当量/g乾燥樹脂であった。
【0050】このクロルメチル化重合体Dを例1と同様
にしてアミノ化し、イオン交換容量が2.3ミリ当量/
g乾燥樹脂の溶液Dを得た。例1と同様にして膜厚25
μmの陰イオン交換膜Dを作成した。陰イオン交換膜D
の固定イオン濃度は5ミリ当量/g・HOであり、2
5℃における0.5mol/L硫酸中の交流比抵抗値は
110Ω・cmであった。
【0051】[評価結果]例1〜4で得られた各陰イオン
交換膜を用いて以下のようにして拡散透析による酸の回
収を行った。陰イオン交換膜を2室セルに組み、一方の
室に0.4molのアルミニウムイオンを含有する3m
ol/Lの硫酸を満たし、もう一方の室に純水を供給し
た。純水側に拡散した酸とアルミニウムイオンの濃度を
測定し、酸の透過係数、アルミニウムイオンの透過係
数、酸とアルミニウムイオンの透過係数比を求めた。
【0052】さらに、上記測定後の各々の膜を純水中で
25℃にて2週間浸漬して膨潤させた後、上記と同様に
して酸の透過係数(mol・m−2・h−1・(mol
/L)−1)、アルミニウムイオンの透過係数(mol
・m−2・h−1・(mol/L)−1)、酸とアルミ
ニウムイオンの透過係数比を求めた。以上の結果を表1
に示す。本発明の陰イオン交換膜は酸の選択透過性に優
れ、イオン交換水で膨潤させた後の性能も優れている。
【0053】
【表1】
【0054】
【発明の効果】本発明の陰イオン交換体は、機械的強度
に優れたポリスルホンを基本骨格とし、ビフェノール構
造に選択的に陰イオン交換基が導入されることにより、
高いイオン選択透過性、高い透過性、優れた耐久性を有
する。よって、この陰イオン交換体からなる陰イオン交
換膜を拡散透析による酸の回収に用いると、高純度の酸
が効率よく回収できる。また、電気透析や電解に用いる
と、目的とする酸またはアルカリが高い濃縮濃度で効率
よく得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C08L 81:06 C08L 81:06 (72)発明者 菅家 良雄 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1150番地 旭硝子株式会社内 Fターム(参考) 4F071 AA64 FA01 FA03 FA09 FB02 FC01 FD04 4J030 BA07 BA09 BA42 BA48 BA49 BD01 BD08 BG23

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式1で示される繰返し単位を有する芳香族
    ポリスルホン系重合体(式1において、R〜Rは互
    いに同一または異なる炭素数1〜8の炭化水素基または
    フッ素原子を示す。a、bは0〜4の整数、a+bは0
    〜8、c、dは0〜4の整数、c+dは0〜7を示す。
    また、RまたはRが結合できるフェニレン基に結合
    した水素の少なくとも1個はハロアルキル基で置換され
    てなる。)のハロアルキル基が、アミンと反応した重合
    体からなる陰イオン交換体。 【化1】
  2. 【請求項2】上記芳香族ポリスルホン系重合体における
    ハロアルキル基の含有量が1.0〜4.0mmol/g
    である請求項1記載の陰イオン交換体。
  3. 【請求項3】イオン交換容量が0.5〜4.0ミリ当量
    /g乾燥樹脂である請求項1または2記載の陰イオン交
    換体。
  4. 【請求項4】ハロアルキル基全体に対してアミンと反応
    したハロアルキル基の比率が30mol%以上である請
    求項1〜3いずれか記載の陰イオン交換体。
  5. 【請求項5】アミンがモノアミンである請求項1〜4い
    ずれか記載の陰イオン交換体。
  6. 【請求項6】請求項1〜5いずれか記載の陰イオン交換
    体が膜状に成形された陰イオン交換膜。
  7. 【請求項7】25℃における0.5mol/L硫酸中の
    交流比抵抗値が50〜6000Ω・cmである請求項6
    記載の陰イオン交換膜。
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