JP2003037449A - 演算増幅器 - Google Patents

演算増幅器

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JP2003037449A
JP2003037449A JP2001222507A JP2001222507A JP2003037449A JP 2003037449 A JP2003037449 A JP 2003037449A JP 2001222507 A JP2001222507 A JP 2001222507A JP 2001222507 A JP2001222507 A JP 2001222507A JP 2003037449 A JP2003037449 A JP 2003037449A
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operational amplifier
capacitance
current
circuit
multiplier
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JP2001222507A
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Inventor
Naoaki Nishimura
直哲 西村
Shigetaka Takagi
茂孝 高木
Nobuo Fujii
信生 藤井
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Rikogaku Shinkokai
Original Assignee
Rikogaku Shinkokai
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 回路の安定性を損なうことなく、低消費電流
で高スルーレートな演算増幅器を提供する。 【解決手段】 位相補償回路15にキャパシタンスマル
チプライヤを用い、このキャパシタンスマルチプライヤ
15の倍率を変化させることによって等価的に容量値を
増大して安定性を確保する。入力変化に出力が追随でき
ない場合は、キャパシタンスマルチプライヤ15の動作
を停止して元の容量値に戻す。位相補償特性制御回路1
6は、キャパシタンスマルチプライヤ15を構成する電
圧制御電流源のテール電流を変化させることにより倍率
を変更し、あるいは、抵抗がMOS−FETで構成され
る場合、そのゲート電位により抵抗値を変化させること
によって倍率を変更する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、演算増幅器に関
し、詳しくは、キャパシタンスマルチプライヤを用いて
低い消費電力かつ高いスルーレートで動作する演算増幅
器に関する。
【0002】
【従来の技術】移動体通信機器をはじめとする種々の電
子機器が急速に普及している今日、低消費電力かつ高ス
ルーレートで動作する各種電子回路が強く求められてい
る。このような要求は、以下に述べる演算増幅器におい
ても例外ではない。たとえば、差動対を入力段に用いた
従来の一般的な演算増幅器では、位相補償容量に供給す
ることが可能な電流値が、テール電流によって制限され
るため、出力電圧が単位時間あたりに変化することが可
能な量には上限がある。この上限値は、一般に「スルー
レート」と呼ばれている。
【0003】従来の演算増幅器において、前記スルーレ
ートを改善するべくテール電流値を大きくすると、消費
電力が増大するという問題が新たに生じる。そこで、こ
のスルーレートを改善するために、テール電流源を備え
ない入力段を用いた回路や、必要に応じてテール電流を
変化させる回路等が種々提案されている。しかしなが
ら、前者の場合にはバイアス回路が新たに必要となるた
め、回路の規模が増大し、後者の場合にはスルーレート
が増加している間は、回路の消費電流が増えるという問
題を有している。
【0004】図9に従来の演算増幅器の一例を示す。図
9に示される演算増幅器は、現在、最も多用されている
演算増幅器の回路構成であり、初段が電流ミラー回路9
2を負荷とする差動対91、後段がソース接地回路から
なる増幅器93で構成され、高い直流利得と優れた同相
電圧除去比、さらに安定な出力電圧の温度ドリフト特性
を得ることができるものである。位相遅れ補償は、増幅
器93の節点AとBとの間に挿入される容量Ccと抵抗
sとの直列回路94により行なわれる。
【0005】図9の増幅器93は、電圧利得が充分に大
きく、抵抗Rsが充分に小さいものとしてこれを無視し
た場合に、図10(a)に示されるような積分器と等価
となる。図10(a)に示される回路に電流IAを流し
込んだとき、出力電圧V0の単位時間あたりの変化量d
0/dtは、下記式(1)で表される。
【0006】
【数1】
【0007】上記式(1)中、dV0/dtは出力電圧
0の単位時間あたりの変化量であり、IAは図10
(a)に示される積分器の回路に流し込んだ電流値であ
り、Ccは図10(a)に示される増幅器93の節点A
とB(図9参照)との間に挿入された容量である。
【0008】図9に示される演算増幅器の回路構成で
は、増幅器93の入力電流IAは、図10(b)に示さ
れる差動対91の出力電流と等しくなる。この差動対9
1の出力電流値はテール電流ISSに達すると飽和し、こ
のとき、dV0/dtは最大値をとる。dV0/dtの最
大値をスルーレート(以下、「SR」という。)と呼
び、このSRは下記式(2)で表される。
【0009】
【数2】
【0010】上記式(2)中、SRは前記dV0/dt
の最大値を表すスルーレートであり、ISSは図10
(b)に示される差動対91の出力電流値を表すテール
電流値であり、Ccは図10(a)に示される増幅器9
3の節点AとB(図9参照)との間に挿入された容量の
容量値である。
【0011】図10(b)に示される差動対91におけ
る、差動入力電圧Vidと出力電流I Aとの関係、および
差動入力電圧Vidとトランスコンダクタンスgmとの関
係を、それぞれ図11(a)、(b)に示す。図11
(a)に示すように、差動入力電圧Vidが充分小さいと
きには、差動入力電圧Vidと出力電流IAが比例関係に
あると近似することができる。ここでは、この状態を
「小信号動作」と呼ぶ。一方、増幅器の出力電圧の変化
量がスルーレートによって制限されているときには、差
動入力電圧Vidの大きさが下記式(3)で示される値以
上になっており、出力電流IAは一定の値ISSをとる。
ここでは、この状態を「大信号動作」と呼ぶ。
【0012】
【数3】
【0013】上記式(3)中、ISSは図10(b)に示
される差動対91の最大出力電流値を表すテール電流値
であり、kは前記差動対91を構成するトランジスタの
トランスコンダクタンスパラメータである。
【0014】大信号動作においては、入力電圧Vidの変
化が出力電流IAに全く反映されないため、前記差動対
91のトランスコンダクタタンスgmは零である。した
がって、演算増幅器には負帰還がかかっておらず、電流
SSの値を自由に選ぶことができる。入力電圧Vidを変
化させたときのトランスコンダクタンスgmとの関係は
図11(b)に示される。
【0015】このことを利用し、図10(b)に示され
る差動対91の入力電圧Vidまたは出力電流IAの値を
監視することで増幅器93の出力電圧V0の変化量がス
ルーレートに到達したことを検知し、電流ISSを増加さ
せてスルーレートを改善する方法が種々提案されてい
る。このようなスルーレート改善が行なわれる従来の演
算増幅器の一例を図12に示す。図12は、いわゆる
「アダブティブバイアス法」と称される従来のスルーレ
ート改善法を用いた演算増幅器の回路構成を示す図であ
る。図12に示される演算増幅器では、検出回路95で
入力の変化が早いことにより出力が応答できないことを
検出し、位相補償容量Ccに供給する電流ISSを、検出
回路95を介して出力される電流Iboostにより強制的
に増加させて高いスルーレートを得ている。このよう
に、スルーレートをk倍に改善するには、出力電流ISS
をk倍に増加する必要があり、したがって、消費電流は
(k−1)ISSだけ増加することとなる。
【0016】ここで、図12に示される演算増幅器に含
まれる位相補償容量Ccの容量値を信号に応じて動的に
減少させる場合のスルーレートについて述べる。まず、
小信号動作時の位相補償容量Ccを、差動対91のトラ
ンジスタの一方が遮断されて帰還が働いていないときに
一時的にC´c(<Cc)に変化させ、またCcに戻す場
合について考える。前記演算増幅器の出力電圧がΔVだ
け変化するときに必要な電荷の量△Qは、△Q=CcΔV
であり、途中、前記位相補償容量Ccの容量値がC´c
変化しても一定である。したがって、前記位相補償容量
cに供給される電流が一定値ISSならば、前記演算増
幅器の出力電圧の変化に必要な時間△tは下記式(4)
で示され、スルーレートSR=ΔV/Δtも一定値とな
る。
【0017】
【数4】
【0018】上記式(4)中、ΔQは出力電圧がΔVだ
け変化するときに必要な電荷の量であり、ISSは位相補
償容量Ccに供給する電流値である。
【0019】前記スルーレートは、小信号動作時の補償
容量Ccの値のみで決定され、補償容量Ccの値を動的に
減少させても改善の効果が得られないことがわかる。こ
のような演算回路の設計時においては、小信号動作時の
前記補償容量Ccの値を小さく設定すると、前記演算増
幅器の出力電位が変化するのに必要な電荷が少なくなる
のでスルーレートは大きくなるが、小信号動作時の安全
性を充分に確保することが困難となる。
【0020】前記したように、演算増幅器を用いた回路
では、その安定性を確保するために演算増幅器の内部に
ある程度の補償容量を必要とするが、スルーレートを大
きくするべく補償容量を小さくすると演算増幅器の回路
動作が比較的不安定となり易い。また、前記補償容量に
供給する電流の電流値を増やすと消費電量が増大する。
このように、スルーレートと補償容量との間にはトレー
ドオフの関係があるという問題があった。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる問題点
を解決するためになされたものであり、本発明の目的
は、回路動作の安定性を損なうことなく、低い消費電力
で高いスルーレートを実現する演算増幅器を提供するこ
とにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に本発明は、電流ミラー回路を負荷とする差動対で構成
される入力段と、増幅段と、負帰還時に動作の安定性を
確保するべく容量と抵抗との直列回路とから構成される
位相補償回路からなる演算増幅器において、前記入力段
の差動入力電圧の変化に出力電流が追随しているときに
動作して、前記容量に加えて前記安定性を確保するのに
必要な容量を等価的に増大させ、前記入力段の差動入力
電圧の変化に出力電流が追随しなくなったときに動作を
停止するキャパシタンスマルチプライヤを備えたことを
特徴とする演算増幅器を提供する。(請求項1)
【0023】前記構成によれば、キャパシタンスマルチ
プライヤを用いて等価的に容量値を増大して安定性を確
保し、入力変化に出力が追随できなくなった場合にキャ
パシタンスマルチブライヤの動作を停止して元の容量値
に戻すことで高スルーレートを実現している。このこと
により、回路の安定性を損なうことなく、低消費電流で
高スルーレートな演算増幅器を提供することができる。
【0024】また、本発明に係る演算増幅器において、
前記入力段の差動入力電圧の変化に出力電流が追随しな
くなったことを検出して、前記キャパシタンスマルチプ
ライヤの倍率を変更する位相補償特性制御回路を備えて
構成することができる。(請求項2) 前記構成によれば、位相補償特性制御回路は、入力段の
差動回路が飽和したことを検出し、キャパシタンスマル
チプライヤの倍率を変更することで簡単に位相補償特性
を変化させることができる。
【0025】また、本発明に係る演算増幅器において、
前記位相補償特性制御回路が、前記キャパシタンスマル
チプライヤを構成する電圧制御電流源のテール電流を変
化させることにより倍率を変更するように構成すること
ができる。(請求項3) 前記構成によれば、電圧制御電流源のテール電流の値を
変化させることでトランスコンダクタンスの値を変化さ
せることができ、トランスコンダクタの値を変化させる
だけで簡単に補償特性を変更できるため、構成する増幅
回路の利得に合わせた最適な補償が可能となる。
【0026】また、本発明に係る演算増幅器において、
前記遅れ補償特性制御回路が、前記抵抗がMOS−FE
Tで構成される場合、そのゲート電位により抵抗値を変
化させることにより倍率を変更するように構成してもよ
い。(請求項4) 前記構成によれば、抵抗値を変化させるだけで簡単に補
償特性を変更できるため、構成する増幅回路の利得に合
わせた最適な補償が可能となる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態につ
いて、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本
発明に係る演算増幅器の一実施形態を示す回路図であ
る。本発明に係る演算増幅器は、図1に示すように、電
流ミラー回路12を負荷とする差動対で構成される入力
段11と、増幅回路13と、負帰還時に動作の安定性を
確保するために、容量Cと抵抗Rとからなる直列回路
と、キャパシタンスマルチプライヤからなる位相補償回
路15とから構成される。
【0028】すなわち、図1に示される本発明に係る演
算増幅器と図9に示される従来の一例の演算増幅器とを
比較すると、前記両者の節点AとBの間には、位相遅れ
補償のために、図9の従来の演算増幅器においては容量
cと抵抗Rsとからなる直列回路94が挿入されている
のに対し、図1に示される本発明に係る演算増幅器にあ
っては、キャパシタンスマルチプライヤを用いた位相補
償回路15が接続されている。
【0029】すなわち、本発明に係る演算増幅器に含ま
れるキャパシタンスマルチプライヤは、差動入力段11
の差動入力電圧の変化に出力電流が追随しているときに
動作して、直列回路として挿入される容量Cに加えて安
定性を確保するのに必要な容量を等価的に増大させ、差
動入力段11の差動入力電圧の変化に出力電流が追随し
なくなったときに動作を停止するものである。
【0030】図2は、図1に示される本発明に係る演算
増幅器に含まれる、キャパシタンスマルチプライヤを用
いた位相補償回路15のみを抽出した図である。図2に
おいて、節点Aから電流IAを流し込んだとき、容量C
に流れる電流I1とキャパシタンスマルチプライヤを構
成する電圧制御電流源(VCCS:Voltage C
ontrolled Current Source)
が吸い込む電流I2は下記式(5)で表される。
【0031】
【数5】
【0032】上記式(5)中、I1は図2において節点
Aから電流IAを流し込んだときに容量Cに流れる電流
値であり、I2はキャパシタンスマルチプライヤを構成
する電圧制御電流源(VCCS)が吸い込む電流値であ
り、gmはVCCSのトランスコンダクタンスである。
【0033】また、図2に示される節点AとBとの間の
電圧VABは、下記式(6)で示される。
【0034】
【数6】
【0035】上記式(6)中、VABは節点AとBとの間
の電圧値であり、sは複素角周波数であり、Cは容量C
の容量値であり、Rは抵抗Rの抵抗値であり、I1は節
点Aから電流IAを流し込んだとき容量Cに流れる電流
値であり、Aは1+gmR(gmはVCCSのトランス
コンダクタンス値)である。
【0036】したがって、上記式(6)より、節点Aか
らキャパシタンスマルチプライヤを見たときのインピー
ダンスZAは、下記式(7)で表される。
【0037】
【数7】
【0038】上記式(7)中、ZAは図2の節点Aから
キャパシタンスマルチプライヤを見たときのインピーダ
ンスであり、VABは節点AとBとの間の電圧値であり、
Aは図2において節点Aから電流を流し込んだ電流の
電流値であり、sは複素角周波数であり、Cは容量Cの
容量値であり、Rは抵抗Rの抵抗値であり、I1は節点
Aから電流IAを流し込んだときに容量Cに流れる電流
値であり、Aは1+gmR(gmはVCCSのトランス
コンダクタンス値)である。
【0039】上記式(7)より、本発明に係る増幅器に
含まれるキャパシタンスマルチプライヤを用いた位相補
償回路15(図2参照)は、容量の値がA倍、抵抗の値
が1/A倍の直列素子とみなすことができる。したがっ
て、節点AとBとの間に、位相遅れ補償のために、本発
明に係る演算増幅器に含まれるキャパシタンスマルチプ
ライヤを用いた位相補償回路15は、前記従来の容量C
cと抵抗Rsとからなる直列回路94に比べ、1/A倍の
容量で同様の補償を行なうことができる。
【0040】本発明に係る演算増幅器によれば、前記キ
ャパシタンスマルチプライヤの倍率を変えることで位相
補償の特性を変化させることができる。前記キャパシタ
ンスマルチプライヤの倍率を変えるには、抵抗Rまたは
VCCSのトランスコンダクタンスgmの値を変えれば
よい。MOS−FETで抵抗Rを構成すれば、ゲート電
位により抵抗値を電気的に変化させることができる。g
mを変化させるにはキャパシタンスマルチプライヤ15
を構成するVCCSのテール電流の値を変化させればよ
い。
【0041】従来の演算増幅器においては、通常、出力
端子と反転入力端子とを接続して電圧フォロワを構成し
たときでも安定であるように補償される。このため、従
来の演算増幅器で利得が1以上の増幅回路を構成する場
合、このような補償方法によって過補償となり、その結
果、GB積が小さくなるという欠点があった。一方、本
発明に係る演算増幅器によれば、抵抗Rまたはトランス
コンダクタンスgmの値を変化させることで、比較的簡
単に補償特性を変更することができるので、構成される
増幅回路の利得に対応させて最適な補償を実現すること
が可能となる。
【0042】一方、高スルーレート化を実現するために
は、キャパシタンスマルチプライヤの倍率を入力信号に
応じて動的に変化させ、容量Cに流れ込む電流を適宜に
増加させることが必要である。ここで、小信号動作時の
前記マルチプライヤの倍率をA、スルーレート改善時の
キャパシタンスマルチプライヤ15(図1、図2参照)
の倍率をA´とする。キャパシタンスマルチプライヤに
電流IAを流し込んだとき、キャパシタンスマルチプラ
イヤ両端の電圧における単位時間あたりの変化量がスル
ーレートである。小信号動作時は、容量Cに流れ込む電
流I1は下記式(8)で示され、スルーレートは下記式
(9)で示される。
【0043】
【数8】
【0044】上記式(8)中、I1は容量Cに流れ込む
電流値であり、Aは小信号動作時の前記マルチプライヤ
の倍率であり、IAはキャパシタンスマルチプライヤに
流し込んだ電流の電流値である。
【0045】
【数9】
【0046】上記式(9)中、SRはスルーレートであ
り、Cは容量Cの容量値であり、Aは小信号動作時のキ
ャパシタンスマルチプライヤ15(図1、図2参照)の
倍率である。
【0047】一方、キャパシタンスマルチプライヤ15
の倍率をA´(<A)に変化させると、容量Cに流れ込
む電流I1がI1=IA/A´となるのでスルーレートは
下記式(10)に変化し、小信号動作時に比べ、A/A
´(>1)倍になることがわかる。
【0048】
【数10】
【0049】上記式(10)中、SR´はキャパシタン
スマルチプライヤ15の倍率を、A´(<A)に変化さ
せたときのスルーレートであり、IAはキャパシタンス
マルチプライヤに流し込んだ電流の電流値であり、Cは
容量C(図1、図2参照)の容量値であり、A´はスル
ーレート改善時のキャパシタンスマルチプライヤ15
(図1、図2参照)の倍率である。
【0050】キャパシタンスマルチプライヤの倍率は、
A=1+gmRなのでgmとRのうちで少なくとも一方
が零のとき、A´=1となり、このときスルーレートS
R´は小信号動作時のA倍改善される。
【0051】以下、本発明に係るキャパシタンスマルチ
プライヤを用いた位相補償回路15と、従来例の容量C
cと抵抗値Rsとからなる直列回路との比較、および本発
明に係る演算増幅器に従う高スルーレート化の動作確認
について説明する。なお、ここで使用したデバイスパラ
メータは、当該分野で従来公知の2μmルールCMOS
プロセス(レベル2)である。そして、従来例として図
9に示される演算増幅器を、また、本発明に係る実施形
態として図3に示される演算増幅器を使用した。
【0052】図3は、本発明に係る演算増幅器の他の実
施形態を示す回路図である。図3に示される演算増幅器
は、図1に示される本発明実施形態の演算増幅器に、キ
ャパシタンスマルチプライヤの倍率を変化させる位相補
償特性制御回路16を付加したものである。図3におい
て、前記キャパシタンスマルチプライヤを用いた位相補
償回路15は、トランジスタM6〜M9と、容量Cと、
抵抗Rとから構成される。また、トランジスタM11〜
M17は、位相補償特性制御回路16を構成する。この
位相補償特性制御回路16は演算増幅器の差動対(差動
入力段)11が飽和したことを検出し、キャパシタンス
マルチプライヤの倍率を変更するために付加されるもの
である。
【0053】ここで、前記キャパシタンマルチプライヤ
の倍率変更は、キャパシタンスマルチプライヤを構成す
るVCCSのトランスコンダクタンスを変化させること
によって行なうものとする。前記スルーレートを改善す
る際には、トランジスタM17がキャパシタンスマルチ
プライヤを構成するVCCSのテール電流を吸い込み、
VCCSのトランスコンダクタンスgmを減少させる。
トランジスタM17とVCCSを構成するトランジスタ
M6およびM7に流れる電流の総和は、常にI SS2=1
0μAに保持されるため、スルーレートが改善されると
きでも、消費電力が増加することはない。なお、ここで
は、演算増幅器に含まれるトランジスタM1〜M5は、
従来例、本発明に係る実施形態のいずれにおいても同じ
アスペクト比を有するものとする。
【0054】各電流源の値と素子値とを、図4の表1に
示す。従来例である図9に示される演算増幅器におい
て、Cc=1.3pFおよびRs=7.7kΩとし、電流
源の値は図4の表1の値を用い、2pFの容量負荷を接
続したときに90°の位相余裕を確保している。また、
図4において、C=0.1pFは、R=100kΩのと
きの図3に示される本発明に係る実施形態の位相補償回
路の素子であり、従来と同等の周波数特性を得るため
に、キャパシタンスマルチプライヤの倍率を13倍に設
定したときの値である。
【0055】図5は、本発明に係る演算増幅器の周波数
特性(周波数fと直流利得Gとの関係;f−G)を、従
来の演算増幅器の周波数特性(f−G)と比較して示す
グラフである。図5において、aは従来の演算増幅器の
周波数特性であり、bは本発明に係る演算増幅器の周波
数特性である。図5から明らかなように、本発明に係る
演算増幅器では、従来の演算増幅器の1/13倍の容量
で同等の補償が行われている。なお、図5に示される従
来の演算増幅器の周波数特性に対して、本発明に係る演
算増幅器の周波数特性において、直流利得が減少してい
るのは、キャパシタンスマルチプライヤの出力抵抗が差
動対(差動入力段)11の出力抵抗に並列に接続される
ためである。
【0056】つぎに、本発明に係る演算増幅器および従
来の演算増幅器を用いてそれぞれの電圧フォロワを構成
し、それらの過渡解析を行なった。そして、本発明に係
る演算増幅器のスルーレートが改善されていることが確
認された。立ち上がりが充分に速い方形波を入力したと
きの本発明に係る演算増幅器の出力波形Voutを、従来
の演算増幅器のものと比較して図6に示す。図6では、
aは従来の演算増幅器の出力波形Voutを示し、bは本
発明に係る演算増幅器の出力波形Voutを示す。図6に
示すように、従来の演算増幅器ではスルーレートが7.
7V/μsであるのに対し、本発明に係る演算増幅器で
は立ち上がり、および立ち下がりのいずれの場合にも4
倍以上のスルーレートで改善されることが確認された。
【0057】図7は、前記の本発明に係る演算増幅器お
よび従来の演算増幅器を用いて構成されたそれぞれの電
圧フォロワに、正弦波を入力したときの出力波形Vout
を示す。図7において、aは従来の演算増幅器に正弦波
を入力したときの出力波形V outを示し、bは本発明に
係る演算増幅器に正弦波を入力したときの出力波形Vo
utを示す。図7に示すように、従来の演算増幅器におい
ては入力波形に追従することができず三角波になるのに
対し、本発明に係る演算増幅器では入力波形に追従して
正弦波になっていることが確認された。
【0058】また、本発明に係る演算増幅器にあって
は、前記のスルーレート改善時において消費電力が変化
しないことが、つぎのようにして確認された。すなわ
ち、本発明に係る演算増幅器について各部分の消費電流
を見積もると、増幅器部分の消費電流が110μA、キ
ャパシタンスマルチプライヤを構成するVCCSの消費
電流が10μA、差動対(差動入力段)11の飽和を検
出する位相補償特性制御回路16の消費電流が4μAで
あり、したがって、全体の消費電流IPは124μAと
なる。
【0059】図8は、本発明に係る演算増幅器における
消費電流の変化を説明するために引用した図である。図
8より、本発明に係る演算増幅器でスルーレートが改善
されたときでも消費電流は一定値124μAとなってい
ることがわかる。
【0060】
【発明の効果】以上、説明したとおりに構成される本発
明によれば、キャパシタンスマルチプライヤを用いた位
相補償回路により、低消費電力で動作し、かつ高いスル
ーレートを有する演算増幅器を提供することができる。
【0061】また、本発明に係る演算増幅器は、従来の
演算増幅器における位相遅れ補償に必要な容量を、キャ
パシタンスマルチプライヤを用いることにより等価的に
具現化するものである。このことによって、本発明に係
る演算増幅器で使用される容量値は、従来の演算増幅器
で使用される容量値よりも小さく、したがって、演算増
幅器のチップ面積を大幅に小さくすることが可能であ
る。
【0062】さらに、本発明に係る演算増幅器は、キャ
パシタンスマルチプライヤの倍率を入力信号に応じて変
化させることで高スルーレートを具現化することが可能
となる。このようにして高スルーレート化を具現化すれ
ば、スルーレートを増加させても消費電流が増加しない
ので、低消費電力化に有利である。
【0063】そして、トランスコンダクタンスの値、あ
るいは抵抗値を変化させるのみで比較的簡単に補償特性
を変更することができるため、構成される増幅回路の利
得に対応した最適な補償を行なうことが可能となる。
【0064】なお、本発明に係る演算増幅器に対して行
なわれたシミュレーション結果によれば、従来の演算増
幅器が有する位相補償素子の1/13倍の容量値で同等
の位相補償を得ることができ、スルーレートが4倍以上
に改善されることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る演算増幅器の一実施形態を示す回
路図である。
【図2】図1に示される本発明に係る演算増幅器に含ま
れる位相補償回路の動作を説明するために引用した図で
ある。
【図3】本発明に係る演算増幅器の他の実施形態を示す
回路図である。
【図4】本発明に係る演算増幅器に使用される各電流源
の値と素子値を示す表である。
【図5】本発明に係る演算増幅器の周波数特性を従来例
と対比して示した図である。
【図6】本発明に係る演算増幅器に立ち上がりの充分速
い方形波を入力したときの出力波形を、従来の演算増幅
器のものと比較して示したグラフである。
【図7】本発明に係る演算増幅器に正弦波を入力したと
きの出力波形を、従来の演算増幅器のものと比較して示
したグラフである。
【図8】本発明に係る演算増幅器における消費電流の変
化を説明するために引用した図である。
【図9】従来の演算増幅器の回路構成を説明するために
引用した図である。
【図10】図9に示される従来の演算増幅器の構成を説
明するために引用した回路図である。
【図11】従来の演算増幅器の動作を説明するために引
用した図である。図11(a)は、図10(b)に示さ
れる差動対91における差動入力電圧Vidと出力電流I
Aとの関係を示すグラフであり、図11(b)は図10
(b)に示される差動対91における差動入力電圧Vid
とトランスコンダクタンスgmとの関係を示すグラフで
ある。
【図12】従来のスルーレート改善法を用いた演算増幅
器の構成を説明するために引用した回路図である。
【符号の説明】
11 差動入力段(差動対) 12 電流ミラー回路 13 増幅器 15 位相補償回路(キャパシタンスマルチプライヤ) 16 位相補償特性制御回路 91 差動対 92 電流ミラー回路 93 増幅器 94 容量Ccと抵抗Rsとの直列回路 95 検出回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤井 信生 東京都目黒区大岡山2−12−1 東京工業 大学内 Fターム(参考) 5J090 AA01 AA47 CA36 CA65 FA19 FN10 HA10 HA17 HA25 HA29 KA00 KA02 KA05 KA09 MA05 MA13 SA13 TA01 TA03 TA06 5J092 AA01 AA47 CA36 CA65 FA19 HA10 HA17 HA25 HA29 KA00 KA02 KA05 KA09 MA05 MA13 SA13 TA01 TA03 TA06

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 差動対で構成される入力段と、電流ミラ
    ー回路を負荷とする増幅段と、負帰還時に動作の安定性
    を確保するべく容量と抵抗との直列回路とから構成され
    る位相補償回路からなる演算増幅器において、 前記入力段の差動入力電圧の変化に出力電流が追随して
    いるときに動作して、前記容量に加えて前記安定性を確
    保するのに必要な容量を等価的に増大させ、前記入力段
    の差動入力電圧の変化に出力電流が追随しなくなったと
    きに動作を停止するキャパシタンスマルチプライヤを備
    えたことを特徴とする演算増幅器。
  2. 【請求項2】 前記入力段の差動入力電圧の変化に出力
    電流が追随しなくなったことを検出して、前記キャパシ
    タンスマルチプライヤの倍率を変更する位相補償特性制
    御回路を備えたことを特徴とする請求項1に記載の演算
    増幅器。
  3. 【請求項3】 前記位相補償特性制御回路は、前記キャ
    パシタンスマルチプライヤを構成する電圧制御電流源の
    テール電流を変化させることにより倍率を変更すること
    を特徴とする請求項2に記載の演算増幅器。
  4. 【請求項4】 前記位相補償特性制御回路は、前記抵抗
    がMOS−FETで構成される場合、そのゲート電位に
    より抵抗値を変化させることによって倍率を変更するこ
    とを特徴とする請求項2に記載の演算増幅器。
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