JP2003037368A - プリント配線板用熱硬化性エポキシ樹脂組成物、これを用いて作製した多層プリント配線板及びその製造方法 - Google Patents

プリント配線板用熱硬化性エポキシ樹脂組成物、これを用いて作製した多層プリント配線板及びその製造方法

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JP2003037368A
JP2003037368A JP2001223535A JP2001223535A JP2003037368A JP 2003037368 A JP2003037368 A JP 2003037368A JP 2001223535 A JP2001223535 A JP 2001223535A JP 2001223535 A JP2001223535 A JP 2001223535A JP 2003037368 A JP2003037368 A JP 2003037368A
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thermosetting
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Naoko Ota
尚子 太田
Norio Kimura
紀雄 木村
Masato Yoshida
正人 吉田
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Taiyo Holdings Co Ltd
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Taiyo Ink Mfg Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性、クラック耐性、電気絶縁性、導体層
との密着性に優れる硬化塗膜を形成できるプリント配線
板用熱硬化性エポキシ樹脂組成物、それを用いて絶縁樹
脂層を形成したビルドアップ多層プリント配線板及びそ
の製造方法を提供する。 【解決手段】 熱硬化性エポキシ樹脂組成物は、(A)
アルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂、(B)エポ
キシ樹脂硬化剤、及び(C)シラノール縮合促進剤を含
有し、好ましくは硬化物のガラス転移点が150℃以
上、貯蔵弾性率の比E’(室温20℃)/E’(230
℃)が20以下を示す。多層プリント配線板の製造にお
いては、前記組成物を内層回路基板上に塗布し、加熱硬
化させ、1段目シラノール縮合反応、2段目エポキシ硬
化反応の2段階熱硬化を経て絶縁層を形成し、回路層間
を電気的に接続するための接続用の穴を開け、次いで絶
縁層表面を粗化し、その上に導体層を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐熱性、クラック
耐性、電気絶縁特性並びに導体層との密着強度を同時に
満足する絶縁樹脂層を形成できるビルドアッププリント
配線板用熱硬化性エポキシ樹脂組成物、及びこれを用い
たビルドアップ多層プリント配線板、より詳しくは、内
層導体回路上に絶縁層と導体層とを交互に積層すること
により形成され、高密度化に対応できるビルドアップ多
層プリント配線板並びにその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、情報・通信機器の軽薄短小化の強
い要求に伴い、プリント配線板においては高密度実装の
要請が一段と高まってきている。このような高密度実装
に対応する方法の一つとして、ビルドアップ多層プリン
ト配線板が注目されている。ビルドアップ多層プリント
配線板は、導体層と絶縁樹脂層を交互に積層することに
より製造される多層プリント配線板であり、近年多くの
方式が提案され、絶縁樹脂層に関する提案も多くなされ
ている。
【0003】ビルドアップ方式の多層プリント配線板の
製造方法においては、まず、内層導体回路上にエポキシ
樹脂やポリイミド樹脂などの絶縁樹脂層を形成する。絶
縁樹脂層の形成方法としては、スクリーン印刷法、ロー
ルコーティング法、樹脂フィルムによるラミネート法な
どが挙げられる。さらに最近では、銅箔上に予め樹脂組
成物を塗布し半硬化状態にした樹脂付きの銅箔を用いて
ビルドアップする多層プリント配線板も採用されてきて
いる。絶縁樹脂層形成後、導体層間を導通するため所定
の箇所にドリルやレーザーでバイアホールを形成し、酸
化剤で絶縁樹脂層表面及びバイアホール内を粗化後、無
電解銅めっきを施し、アディティブ法又はサブトラクテ
ィブ法で回路を形成する工程を必要なだけ繰り返す。
【0004】ここで用いられる絶縁樹脂層に対しては、
耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性、導体層との密着性等の
諸特性が求められる。一般に、絶縁樹脂層としては、感
光性絶縁樹脂や熱硬化性絶縁樹脂などが用いられている
が、感光性絶縁樹脂の場合には感光性を付与するための
分子構造を導入しなければならないため不利であり、使
用することができる樹脂の選択の幅が狭いという難点が
ある。そのため、ビルドアップ用層間絶縁材料に関して
は、熱硬化性絶縁樹脂が好ましいといえる。
【0005】熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂や高
耐熱性のポリイミド樹脂などが用いられているものの、
ポリイミド樹脂は高価なため、エポキシ樹脂が多用され
ている。ビルドアップ用熱硬化性樹脂は、一般にエポキ
シ樹脂中に硬化剤及び無機フィラーを分散した熱硬化性
組成物であり、耐熱性、耐薬品性等に優れている。しか
し、このように無機フィラーを分散した樹脂組成物で
は、フィラーの粒径や2次凝集により粗化形状が安定し
ないため、絶縁樹脂層上の導体密着強度が充分でなく、
さらにガラス転移点前後の弾性率変化が大きいため、冷
熱サイクルによりクラックを生じるなどの問題があっ
た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記のよう
な従来の技術的課題を解決すべくなされたものであり、
耐熱性、クラック耐性、電気絶縁性、導体層との密着性
に優れる硬化塗膜を形成でき、従ってビルドアップ多層
プリント配線板の絶縁樹脂層の形成に適する熱硬化性エ
ポキシ樹脂組成物を提供することを目的としている。さ
らに本発明の目的は、このような熱硬化性エポキシ樹脂
組成物を用いて絶縁樹脂層を形成したビルドアップ多層
プリント配線板及びその製造方法を提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明によれば、(A)(a)2級水酸基を有する
多官能エポキシ樹脂1質量部に対し、(b)アルコキシ
シラン部分縮合物0.1〜0.5質量部(シリカ換算質
量)を、無溶剤下で脱アルコール縮合反応せしめて得ら
れるアルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂、(B)
エポキシ樹脂硬化剤、及び(C)シラノール縮合促進剤
を含有することを特徴とするビルドアッププリント配線
板用熱硬化性エポキシ樹脂組成物が提供される。好適な
態様においては、前記2級水酸基を有する多官能エポキ
シ樹脂(a)は、ビスフェノール型エポキシ樹脂、好ま
しくは(a−1)液状ビスフェノール型エポキシ樹脂及
び(a−2)固形ビスフェノール型エポキシ樹脂の混合
物であり、また、エポキシ樹脂硬化剤(B)としては、
フェノール性水酸基を有する硬化剤及び硬化触媒からな
る群より選ばれる少なくとも1種を用いることが好まし
い。また、前記シラノール縮合促進剤(C)としては、
有機錫及び有機酸錫よりなる群から選ばれる少なくとも
1種が好適に用いられる。
【0008】本発明の熱硬化性エポキシ樹脂組成物の特
に好適な態様は、その硬化物特性で表わすと、硬化物の
ガラス転移点が150℃以上であり、貯蔵弾性率の比
E’(室温20℃)/E’(230℃)が20以下を示
す熱硬化性エポキシ樹脂組成物である。なお、本発明の
熱硬化性エポキシ樹脂組成物は、平均粒子径が好ましく
は5μm以下の無機又は有機充填剤を含むこともできる
が、その含有量は組成物全体の30質量%以下であるこ
とが好ましい。
【0009】さらに本発明によると、前記熱硬化性エポ
キシ樹脂組成物を用いて絶縁樹脂層を形成した多層プリ
ント配線板も提供される。本発明の多層プリント配線板
の製造方法は、前記熱硬化性エポキシ樹脂組成物を、パ
ターン加工された内層回路基板上に塗布し、加熱硬化さ
せ、1段目シラノール縮合反応、2段目エポキシ硬化反
応の2段階熱硬化を経て絶縁層を形成する工程、(2)
回路層間を電気的に接続するための接続用穴開け工程、
及び(3)絶縁層表面を粗化し、その上に導体層を形成
する工程を含むことを特徴としている。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明に係る熱硬化性エポキシ樹
脂組成物は、(A)(a)2級水酸基を有する多官能エ
ポキシ樹脂、好ましくはエポキシ当量が200〜400
g/eqのビスフェノール型エポキシ樹脂1質量部に対
し、(b)アルコキシシラン部分縮合物を0.1〜0.
5質量部(シリカ換算質量)を、無溶剤下で脱アルコー
ル縮合反応せしめて得られるアルコキシ基含有シラン変
性エポキシ樹脂と、(B)エポキシ樹脂硬化剤を含有す
る組成物に、(C)シラノール縮合促進剤を配合し、必
然的にシラノール縮合反応(約80〜120℃)とエポ
キシ硬化反応(約130〜200℃)の2段階熱硬化反
応が生起するように構成したことを特徴としており、こ
のように熱硬化が2段階で進行するようにしたことによ
り、ガラス転移点が高く、好ましくは150℃以上であ
り、かつ貯蔵弾性率の温度変化が小さく、また、はんだ
耐熱性や導体層との密着強度に優れた硬化物が得られる
ものである。その結果、本発明に係る熱硬化性エポキシ
樹脂組成物は、ビルドアップ多層プリント配線板の層間
絶縁層として有利に使用できる。
【0011】以下、このことを図面を参照しながら説明
する。図1は、本発明に従って、(A)アルコキシ基含
有シラン変性エポキシ樹脂(荒川化学工業(株)製、H
BEP−28)、(B)エポキシ樹脂硬化剤としてイミ
ダゾール系エポキシ樹脂硬化剤(四国化成工業(株)
製、2MZ−A)、(C)シラノール縮合促進剤として
オクチル酸錫を含有する熱硬化性エポキシ樹脂組成物の
一例から作製した硬化フィルムについて、後述する試験
方法と同様にして動的貯蔵弾性率を測定した試験結果の
グラフを示しており、一方、図2は(C)シラノール縮
合促進剤を配合しない以外は全く同一組成の熱硬化性エ
ポキシ樹脂組成物から作製した硬化フィルムについての
動的貯蔵弾性率測定結果のグラフを示している。
【0012】図1と図2を対比すれば明らかなように、
得られる硬化物のガラス転移点(tanδを示す曲線の
ピークで示される)は、シラノール縮合促進剤を配合し
なかった場合に150℃未満であったものが、シラノー
ル縮合促進剤の配合により180℃付近にまで上昇して
いる。また、貯蔵弾性率の比E’(室温20℃)/E’
(230℃)は、約11.8から約9.5に減少するこ
と、即ち貯蔵弾性率の温度変化が小さくなることがわか
る。このため、冷熱サイクル時のクラック耐性に優れた
ものとなる。図2の場合の硬化物のように、ガラス転移
点が150℃未満である場合には、冷熱衝撃試験温度−
55℃〜150℃の間にガラス転移点が存在し、ガラス
転移点前後の物性が大きく変化することにより、熱応力
が生じ、クラックや剥がれの原因とる。また、貯蔵弾性
率の比E′(20℃)/E′(230℃)が20を超え
る場合、ガラス転移点以上の高温域での力学的特性が大
幅に低下するため、プリント配線基板に部分的な圧力を
かけた場合に変形のおそれがある。
【0013】また、本発明の他の特徴は、エポキシ当量
200〜400g/eqを有するビスフェノール型エポ
キシ樹脂、好ましくは液状ビスフェノール型エポキシ樹
脂と固形ビスフェノール型エポキシ樹脂の混合物を用
い、これにアルコキシシラン部分縮合物を無溶剤下で脱
アルコール縮合反応せしめて得られるアルコキシ基含有
シラン変性エポキシ樹脂を用いていることにある。その
結果、取り扱い性に優れ、また、溶剤を用いることなし
に、脱アルコール縮合反応により熱硬化性エポキシ樹脂
組成物を構成できるため、フィラーの分散性がよく、そ
れによつてガラス転移点前後の弾性率の変化が少なく、
クラック耐性に優れる硬化物が得られる。
【0014】以下、本発明の熱硬化性エポキシ樹脂組成
物の各構成成分について詳細に説明する。まず、本発明
で用いるアルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂
(A)は、例えば下記化学式で示されるように、2級水
酸基を有する多官能エポキシ樹脂(a)、好ましくはエ
ポキシ当量が200〜400g/eqのビスフェノール
型エポキシ樹脂の2級水酸基に、ゾル−ゲル法により部
分的に又は全体的にアルコキシシラン部分縮合物(b)
(シリカ前駆体)を結合させて化学修飾したものであ
り、それ自体シリカ硬化反応(自己縮合−シラノール縮
合)すると共に、残存しているエポキシ基はそれ自体エ
ポキシ硬化反応する。すなわち、加熱によってシラノー
ル縮合反応(約80〜120℃)とエポキシ硬化反応
(約130〜180℃)の2段階で熱硬化反応が生起
し、この熱硬化反応によって得られる硬化物中にはシリ
カが存在するため、ガラス転移点が高く、また貯蔵弾性
率の温度変化が小さく、そのため、はんだ耐熱性やPC
T耐性、冷熱サイクル耐性に優れた硬化物が得られると
共に、ボイドやクラックなどを生じることもない。
【化1】
【0015】前記アルコキシ基含有シラン変性エポキシ
樹脂(A)の合成に用いられるエポキシ樹脂としては、
2級水酸基を有する多官能エポキシ樹脂(a)であれば
よいが、ビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましい。以
下においては、代表的なビスフェノール型エポキシ樹脂
を基に説明する。ビスフェノール型エポキシ樹脂として
は、公知慣用の各種エポキシ樹脂、例えばビスフェノー
ルA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹
脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、水添ビスフェノ
ールA型エポキシ樹脂などが用いられるが、より好まし
いものとしては、汎用性があり、低価格なビスフェノー
ルA型エポキシ樹脂が挙げられる。
【0016】前記エポキシ樹脂(a)は、200〜40
0g/eqのエポキシ当量を有することが好ましい。エ
ポキシ当量が200g/eq未満の場合には、アルコキ
シ基含有シラン変性エポキシ樹脂(A)の合成の際に未
反応のアルコキシシラン部分縮合物(b)が多く残存
し、塗膜が不透明化するので好ましくない。一方、40
0g/eqを超える場合には、反応途中でゲル化する傾
向が高くなるので好ましくない。
【0017】このようなエポキシ樹脂(a)は、所定の
エポキシ当量に調整して無溶剤下でアルコキシシラン部
分縮合物と縮合反応せしめるために、好ましくは液状ビ
スフェノール型エポキシ樹脂(a−1)と固形ビスフェ
ノール型エポキシ樹脂(a−2)の混合物を用いる。そ
の配合割合(質量比)は、所定のエポキシ当量となるよ
うに決定されるが、(a−1)/(a−2)が0.1〜
1.0の範囲内になるようにすることが好ましく、より
好ましくは0.2〜0.8の範囲である。(a−1)/
(a−2)が0.1未満の場合には、アルコキシ基含有
シラン変性エポキシ樹脂(A)の合成の際に未反応のア
ルコキシシラン部分縮合物(b)が多く残存するため、
また硬化塗膜の耐熱性も悪くなるので好ましくない。一
方、1.0を超える場合には、反応途中でゲル化する傾
向が高くなるので好ましくない。
【0018】前記アルコキシ基含有シラン変性エポキシ
樹脂(A)の合成に用いられるアルコキシシラン部分縮
合物(b)としては、例えば一般式(1):R1 nSi
(OR 24-n(式中、nは0又は1の整数を表わす。R
1は炭素数1〜8のアルキル基又はアリール基を表わ
し、それぞれ同一でも異なっていてもよい。また、R2
は炭素数1又は2のアルキル基を表わし、それぞれ同一
でも異なっていてもよい。)で表わされるアルコキシシ
ラン化合物を部分的に加水分解、縮合して得られるオリ
ゴマーが挙げられる。具体例としては、テトラメトキシ
シラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシ
ラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシ
シラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリ
メトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イ
ソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエト
キシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルト
リエトキシシラン等の縮合物が挙げられる。これらは単
独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。これらの
中でも、耐熱性、厚膜化の面から3官能アルコキシシラ
ンがより好ましい。
【0019】アルコキシシラン部分縮合物(b)の1分
子当たりのケイ素原子の平均個数は、2〜8程度が適当
である。平均個数が8を超えた場合、ビスフェノール型
エポキシ樹脂(a)に対する溶解性が悪くなり、ビスフ
ェノール型エポキシ樹脂(a)との反応性が悪くなる傾
向がある。一方、平均個数が2未満の場合、反応中に副
生アルコールと共にアルコキシシランが排出され易くな
るので好ましくない。
【0020】アルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂
(A)は、前記ビスフェノール型エポキシ樹脂(a)と
前記アルコキシシラン部分縮合物(b)との脱アルコー
ル縮合反応により得られる。ビスフェノール型エポキシ
樹脂(a)とアルコキシシラン部分縮合物(b)の配合
割合は、ビスフェノール型エポキシ樹脂(a)1質量部
当たり、アルコキシシラン部分縮合物(b)0.1〜
0.5質量部(シリカ換算質量)が適当であり、好まし
くは0.13〜0.4質量部である。ここで、アルコキ
シシラン部分縮合物(b)のシリカ換算質量とは、アル
コキシラン部分縮合物(b)がゾル−ゲル硬化反応し、
一般式(2);R1 nSiO(4-n)/2(式中の各記号の意
味は一般式(1)と同じ)で表わされるシリカとなった
時の質量であり、アルコキシシラン部分縮合物(b)に
過剰の水を加え、120℃で加熱して生成するシリカの
質量割合を求めることにより算出できる。
【0021】アルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂
(A)の合成においては、まず、例えばビスフェノール
型エポキシ樹脂(a)及びアルコキシシラン部分縮合物
(b)の混合物を加熱し、生成するアルコールを留去し
ながら脱アルコール縮合反応を行なう。反応温度は約5
0〜150℃、好ましくは70〜110℃であり、全反
応時間は2〜15時間程度である。また、上記脱アルコ
ール縮合反応には、有機金属触媒など、公知慣用のエス
テル交換触媒を用いることができる。上記脱アルコール
縮合反応は、アルコキシシラン部分縮合物(b)の自己
縮合を防止するために、無水条件下で行なうことが好ま
しい。なお、脱アルコール縮合反応は、無溶剤下で行な
う。こうして得られたアルコキシ基含有シラン変性エポ
キシ樹脂(A)のエポキシ当量は、230〜500g/
eqであり、好適には240〜400g/eqである。
【0022】本発明では、前記アルコキシ基含有シラン
変性エポキシ樹脂(A)に、エポキシ樹脂硬化剤(B)
及びシラノール縮合促進剤(C)を配合することで、多
層プリント配線板、特にビルドアップ方式の多層プリン
ト配線板の絶縁樹脂層の形成に最適な熱硬化性エポキシ
樹脂組成物が得られる。エポキシ樹脂硬化剤(B)とし
ては、アミン系、グアニジン系、イミダゾール系、フェ
ノール系硬化剤又はこれらのエポキシアダクトなど、従
来公知のものは全て使用できる。これらは単独であるい
は数種類を混合して使用することができる。エポキシ樹
脂硬化剤(B)は、アルコキシ基含有シラン変性エポキ
シ樹脂(A)中に含まれるエポキシ基1当量に対し、エ
ポキシ樹脂硬化剤(B)中に含まれる活性水素を有する
基が0.2〜1.5当量となるように配合することが適
当である。
【0023】なお、本発明では、エポキシ樹脂硬化剤
(B)に加え、公知慣用の硬化触媒もしくは硬化反応促
進剤を用いることもできる。硬化触媒もしくは硬化反応
促進剤としては、例えば、1,8−ジアザ−ビシクロ
[5.4.0]ウンデセン−7、トリエチレンジアミ
ン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、
ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメ
チル)フェノールなどの三級アミン類;2−メチルイミ
ダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−
4−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾー
ルなどのイミダゾール類;トリブチルホスフィン、メチ
ルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジ
フェニルホスフィン、フェニルホスフィンなどの有機ホ
スフィン類;テトラフェニルホスホニウム・テトラフェ
ニルボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾール・
テトラフェニルボレート、N−メチルモルホリン・テト
ラフェニルボレートなどのテトラフェニルボロン塩など
が挙げられる。これらは単独であるいは数種類を混合し
て使用することができる。
【0024】前記シラノール縮合促進剤(C)として
は、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート
等の有機錫(例:旭電化工業(株)製OT−1、堺化学
工業(株)製TN−22等)や、オクチル酸錫、オクテ
ン酸錫等の有機酸錫(例:城北化学(株)製KCS−4
05T等)などが挙げられ、これらを単独で又は2種以
上を組み合わせて用いることができる。
【0025】これらシラノール縮合促進剤(C)は、熱
硬化性エポキシ樹脂組成物のアルコキシ基含有シラン変
性エポキシ樹脂(A)100質量部に対し1〜5質量部
の割合で添加することが適当である。シラノール縮合促
進剤の配合割合が上記範囲よりも少ないと、シラノール
縮合反応が遅く、また反応時に生成するメタノールによ
る気泡が残留し易くなるので好ましくない。一方、シラ
ノール縮合促進剤の配合割合が上記範囲よりも多くなる
と、未反応のシラノール縮合促進剤が多く残留し、硬化
塗膜の機械的物性を低下させるので好ましくない。
【0026】なお、本発明では、前記アルコキシ基含有
シラン変性エポキシ樹脂(A)、エポキシ樹脂硬化剤
(B)及びシラノール縮合促進剤(C)に加え、慣用公
知のエポキシ樹脂を併用することもできる。慣用公知の
エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹
脂(例:ジャパンエポキシレジン(株)製エピコート8
28、大日本インキ化学工業(株)製エピクロン105
0)、ビスフェノールA型ノボラックエポキシ樹脂
(例:ジャパンエポキシレジン(株)製エピコート15
7S70)、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(例:大
日本インキ化学工業(株)製エピクロン830、東都化
成(株)製YDF−2001)、ビスフェノールS型エ
ポキシ樹脂(例:大日本インキ化学工業(株)製エピク
ロンEXA−1514)、フェノールノボラック型エポ
キシ樹脂(例:ジャパンエポキシレジン(株)製エピコ
ート152、154)、クレゾールノボラック型エポキ
シ樹脂(例:大日本インキ化学工業(株)製エピクロン
N−660、N−673、N−695)、ビフェニル型
エポキシ樹脂(例:ジャパンエポキシレジン(株)製エ
ピコートYX−4000)、ナフタレン型エポキシ樹脂
(例:大日本インキ化学工業(株)製HP−403
2)、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(例:大日
本インキ化学工業(株)製HP−7200)、N−グリ
シジル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂等のエポキ
シ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ
樹脂(例:日本曹達(株)製BF−1000、出光石油
化学(株)製Poly bd R−45EPI、東都化
成(株)製YR−450、ダイセル化学工業(株)製エ
ポリードPB−3600、PB−4700など)、前記
エポキシ樹脂に臭素やリン化合物を付加した物など公知
のエポキシ樹脂が使用できるが、これらに限定されるも
のではなく、また数種類を同時に用いても差し支えな
い。
【0027】こうして得られた熱硬化性エポキシ樹脂組
成物には、必要に応じて、平均粒子径が好ましくは5μ
m以下の無機又は有機充填剤を含むこともでき、その含
有量は組成物全体の30質量%以下であることが好まし
い。平均粒子径が5μm以下の無機又は有機充填剤の添
加により、レーザー穴開け性に優れた熱硬化性エポキシ
樹脂組成物の硬化物を得ることができる。無機又は有機
充填剤の平均粒子径が5μmを超える場合、形成された
絶縁樹脂層の粗化処理による粗化形状が安定し難いので
好ましくない。また、無機又は有機充填剤の含有量が組
成物全体の30質量%を超えると、CO2レーザー等に
よる穴開け加工で形成される小径ビア形状が悪くなり、
めっきの付き廻り性が悪く接続信頼性に問題が生じる
し、またレーザー加工速度を落とすなど生産性の点から
も好ましくない。
【0028】無機充填剤としては、例えば硫酸バリウ
ム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシ
ウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、チタ
ン酸バリウム、酸化ケイ素粉、球状シリカ、無定形シリ
カ、タルク、クレー、雲母粉などを用いることができ
る。また、有機充填剤としては、シリコンパウダー、ナ
イロンパウダー、フッ素パウダー、ウレタンパウダー
や、予め硬化したエポキシ樹脂の粉体、架橋アクリルポ
リマー微粒子、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、尿素樹
脂やこれらのアルキルエーテル化樹脂などのアミノ樹脂
を熱硬化させた後微粉砕したものなどが挙げられる。無
機又は有機充填剤は、上記のものに限定されるものでは
なく、また数種類を同時に用いても差し支えない。
【0029】本発明の熱硬化性エポキシ樹脂組成物に
は、さらに赤リン、三酸化アンチモン、五酸化アンチモ
ン等の難燃助剤、オルベン、ベントン等の増粘剤、シリ
コーン系、フッ素系、高分子系の消泡剤及び/又はレベ
リング剤、イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾー
ル系、シランカップリング剤等の密着性付与剤のような
添加剤を配合できる。さらに必要に応じて、フタロシア
ニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、アイオジン
・グリーン、ジスアゾイエロー、酸化チタン、カーボン
ブラック、染料等の公知慣用の着色剤を配合することが
できる。
【0030】本発明の熱硬化性エポキシ樹脂組成物は、
さらに各種塗布工程に応じて有機溶剤を用いて稀釈して
もよい。有機溶剤としては、通常の溶剤、例えばアセト
ン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン
類;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、
カルビトールアセテート等の酢酸エステル類;セロソル
ブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類;カルビトー
ル、ブチルカルビトール等のカルビトール類;トルエ
ン、キシレン等の芳香族炭化水素類の他、ジメチルホル
ムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリド
ンなどを単独で又は2種以上を組み合わせて使用するこ
とができる。
【0031】次に、本発明の熱硬化性エポキシ樹脂組成
物を用いた多層プリント配線板の製造について説明す
る。まず、本発明の熱硬化性エポキシ樹脂組成物を、内
層導体回路を形成した絶縁基材上に、スクリーン印刷
法、カーテンコート法、ロールコート法、スプレーコー
ト法など公知の方法により塗布し、2段階硬化を経て絶
縁樹脂層を形成する。コーティング法によっては一回の
コーティングで所望の膜厚の塗膜が得られない場合があ
るが、その場合は複数回コーティングを行なう。複数回
コーティングを行なう場合には、本発明の熱硬化性エポ
キシ樹脂組成物のみを用いて行なってもよく、あるいは
下塗りに銅との密着性の良好な他の熱硬化性樹脂組成物
をコーティングし、その後、最上層のコーティングに本
発明の熱硬化性エポキシ樹脂組成物を用いるようにして
もよい。また、塗膜の2段階硬化は、シラノール縮合反
応のための加熱処理を、80〜120℃で5〜60分間
行ない、さらに、エポキシ樹脂の硬化反応のための加熱
処理を130〜200℃で15〜30分間行なう。
【0032】このようにして内層回路基板上に形成され
た熱硬化性エポキシ樹脂組成物の絶縁樹脂層の所定の位
置に、スルーホール及びバイアホール部をドリル又はレ
ーザーで穴開けを行なう。次いで、絶縁樹脂層表面を粗
化剤により処理し、微細な凹凸を形成する。この際、必
要に応じて粗化処理前に、接着性を安定させるためバフ
による物理研磨を行なってもよい。表面の粗化処理は、
絶縁樹脂層が形成された基板を酸化剤等の溶液中に浸漬
するか、酸化剤等の溶液をスプレーするなどの手段によ
って実施することができる。粗化処理剤の具体例として
は、重クロム酸塩、過マンガン酸塩、オゾン、過酸化水
素/硫酸、硝酸等の酸化剤、N−メチル−2−ピロリド
ン、N,N−ジメチルホルムアミド、メトキシプロパノ
ール等の有機溶剤、また苛性ソーダ、苛性カリ等のアル
カリ性水溶液、硫酸、塩酸などの酸性水溶液、又は各種
プラズマ処理などを用いることができる。またこれらの
処理は併用して用いてもよい。
【0033】次いで、蒸着、スパッタリング、イオンプ
レーティング等の乾式めっき、又は無電解めつき・電解
めっき等の湿式めっきにより導体層を形成する。この
時、絶縁樹脂層上に、導体層とは逆パターンのめっきレ
ジストを形成し、無電解めっきのみで導体層を形成して
もよい。このように導体層が形成された後、アニール処
理することにより、熱硬化性樹脂の硬化が進行し、導体
層のピール強度をさらに向上させることもできる。次
に、導体層上にドライフルム・めっきレジストを必要に
応じて形成し、エッチングで必要な導体パターンを形成
する。さらに、必要に応じてこれらの工程を数回繰り返
すことにより、所望の層数の多層プリント配線板を得る
ことができる。
【0034】
【実施例】以下、実施例及び比較例を示して本発明につ
いてさらに具体的に説明するが、本発明が下記実施例に
限定されるものでないことはもとよりである。なお、以
下において「部」とは、特に断りのない限り質量部を意
味する。
【0035】実施例1 固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量4
75g/eq、ビスフェノールA繰り返し単位2.2)
及び液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当
量190g/eq、ビスフェノールA繰り返し単位0.
1)の混合物(エポキシ当量241g/eq)1部に対
し、ポリ(メチルトリメトキシシラン)(1分子当たり
のケイ素原子の平均個数5.5)を0.254部(シリ
カ換算質量)の割合で無溶剤下で反応させて得られたア
ルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂(荒川化学工業
(株)製、HBEP−28、エポキシ当量280g/e
q)100部に、イミダゾール系エポキシ樹脂硬化剤
(四国化成工業(株)製、2MZ−A)5部、オクチル
酸錫3部及びシリカ(平均粒子径5μm)10部を配合
し、予備混合後、3本ロールミルで混練りし、熱硬化性
エポキシ樹脂組成物を調製した。
【0036】実施例2 実施例1において、イミダゾール系エポキシ樹脂硬化剤
の配合部数を2部に代え、さらにジシアンジアミドを5
部配合した以外は実施例1と同様の組成及び方法で熱硬
化性エポキシ樹脂組成物を調製した。
【0037】実施例3 アルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂を、固形ビス
フェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量475g/
eq、ビスフェノールA繰り返し単位2.2)及び液状
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量190
g/eqビスフェノールA繰り返し単位0.1)の混合
物(エポキシ当量260g/eq)1部に対し、ポリ
(メチルトリメトキシシラン)(一分子当たりの平均ケ
イ素原子含有量5.5)を0.329部(シリカ換算質
量)の割合で無溶剤下で反応させて得られたアルコキシ
基含有シラン変性エポキシ樹脂(荒川化学工業(株)
製、HBEP−29、エポキシ当量311g/eq)に
代えた以外は、実施例1と同様の組成及び方法で熱硬化
性エポキシ樹脂組成物を調製した。
【0038】実施例4 実施例3において、イミダゾール系エポキシ樹脂硬化剤
の配合部数を2部に代え、さらにジシアンジアミドを5
部配合した以外は実施例3と同様の組成及び方法で熱硬
化性エポキシ樹脂組成物を調製した。
【0039】比較例1 実施例2において、オクチル酸錫を配合しなかった以外
は実施例2と同様の組成及び方法で熱硬化性エポキシ樹
脂組成物を調製した。
【0040】比較例2 実施例2において、アルコキシ基含有シラン変性エポキ
シ樹脂に代えて、ビスフェノールA型エポキシ樹脂10
0部(ジャパンエポキシレジン(株)製、エピコート8
28の70部とエピコート1001の30部)に代え、
またオクチル酸錫を配合しなかった以外は実施例2と同
様の組成及び方法で熱硬化性エポキシ樹脂組成物を調製
した。
【0041】比較例3 実施例2において、アルコキシ基含有シラン変性エポキ
シ樹脂に代えて、ビスフェノールA型エポキシ樹脂10
0部(ジャパンエポキシレジン(株)製、エピコート8
28の70部とエピコート1001の30部)及びゴム
変性エポキシ樹脂(出光石油化学(株)製、Poly bd R-
45EPI)20部に代え、またオクチル酸錫を配合しなか
った以外は実施例2と同様の組成及び方法で熱硬化性エ
ポキシ樹脂組成物を調製した。
【0042】比較例4 実施例1において、アルコキシ基含有シラン変性エポキ
シ樹脂に代えて、ビスフェノールA型エポキシ樹脂10
0部(ジャパンエポキシレジン(株)製、エピコート8
28の70部とエピコート1001の30部)に代え、
またオクチル酸錫を配合しなかった以外は実施例1と同
様の組成及び方法で熱硬化性エポキシ樹脂組成物を調製
した。
【0043】前記実施例1〜4及び比較例1〜4の各熱
硬化性エポキシ樹脂組成物について、以下の性能評価を
行なった。 動的貯蔵弾性率(DMS):実施例1〜4及び比較例1
〜4の各熱硬化性エポキシ樹脂組成物を、フッ素樹脂コ
ーティングされた基板に印刷し、110℃で30分及び
150℃で60分間熱硬化させ、フィルム状の硬化物
(膜厚約0.1mm)を得た。得られた硬化物を30×
5mmにカットし、粘弾性測定機(セイコーインスツル
メンツ社製EXTAR6000)を用いて動的貯蔵弾性
率を測定した(測定条件:引張変形、周波数1−10H
z、温度範囲0−250℃、温度上昇5℃/分)。
【0044】電気絶縁性:IPCで定められているプリ
ント回路基板(厚さ1.6mm)のBパターンを用い、
実施例1〜4及び比較例1〜4の各熱硬化性エポキシ樹
脂組成物をスクリーン印刷法で印刷し、熱風循環式乾燥
炉にて110℃×30分+150℃×60分間熱硬化さ
せた。得られた硬化膜の電気絶縁性を以下の基準にて評
価した。 加湿条件:温度85℃、湿度85%RH、印加電圧10
0V、1000時間。 測定条件:測定時間60秒、印加電圧500V。 ○:加湿後の絶縁抵抗値108Ω以上 ×:加湿後の絶縁抵抗値108Ω未満
【0045】ピール強度 予め水洗・スクラブ研磨・乾燥したプリント回路基板
(厚さ1.6mm)上に実施例1〜4及び比較例1〜4
の各熱硬化性エポキシ樹脂組成物をスクリーン印刷法で
印刷し、熱風循環式乾燥炉にて110℃×30分+15
0℃×60分間熱硬化(乾燥膜厚20μm)させて評価
基板を作製した。形成された絶縁樹脂層のプリント回路
基板の導体パターンとの密着強度(ピール強度)を、J
IS C−6481に記載の試験方法に準じて測定し
た。なお、ピール強度が10N/cm未満のものは×で
表示した。
【0046】はんだ耐熱性:JIS C−6481に記
載の試験方法に準じて、前記評価基板の絶縁樹脂層にロ
ジン系フラックスを塗布し、230℃のはんだ槽に10
秒間浸漬する操作を3回繰り返し、絶縁樹脂層の状態を
以下の基準で評価した。 ○:絶縁樹脂層にふくれ、剥がれ、変色がないもの △:絶縁樹脂層に若干ふくれ、剥がれ、変色があるもの ×:絶縁樹脂層にふくれ、剥がれ、変色があるもの
【0047】クラック耐性:気槽式熱衝撃試験機を用
い、前記評価基板に対し、−65℃で15分間保持と1
25℃で15分間保持のサイクルを1,000サイクル
繰り返す熱衝撃試験を行ない、光学顕微鏡により絶縁樹
脂層におけるクラック発生の有無を確認し、以下の基準
で評価した。 ○:クラックが発生しないもの △:500〜1000サイクルでクラックが生じたもの ×:500サイクル未満でクラックが生じたもの
【0048】得られた結果を、組成と共に下記表1に示
す。
【表1】 表1に示す結果から明らかなように、各実施例の熱硬化
性エポキシ樹脂組成物から形成された絶縁樹脂層は、全
てガラス転移点が150℃以上であり、また貯蔵弾性率
の比E’(室温20℃)/E’(230℃)が11.0
以下であり、ピール強度は10N/cmを超えて充分な
密着強度を示し、はんだ耐熱性や冷熱サイクル時のクラ
ック耐性に優れていた。これに対し、シラノール縮合促
進剤を配合しなかった各比較例の熱硬化性エポキシ樹脂
組成物から形成された絶縁樹脂層は、貯蔵弾性率の比
E’(室温20℃)/E’(230℃)とガラス転移点
Tgが共に優れたものはなく、しかも、ピール強度や、
はんだ耐熱性、冷熱サイクル時のクラック耐性に劣って
いた。
【0049】
【発明の効果】以上のように、本発明に係る熱硬化性エ
ポキシ樹脂組成物は、シラノール縮合反応(約80〜1
20℃)とエポキシ硬化反応(約130〜180℃)の
2段階熱硬化反応が生起するように構成されているた
め、ガラス転移点が高く、かつ貯蔵弾性率の温度変化が
小さく、冷熱サイクル時のクラック耐性に優れ、また、
はんだ耐熱性や導体層との密着強度に優れた硬化物が得
られる。また、本発明に係る熱硬化性エポキシ樹脂組成
物は無溶剤下にて製造することができるため、衛生上好
ましく、また、溶剤残存による発泡等の問題が生じるお
それがない。さらに、本発明の熱硬化性エポキシ樹脂組
成物を用いて絶縁樹脂層を形成したビルドアップ多層プ
リント配線板は、耐熱性、クラック耐性、電気絶縁性、
絶縁層と導体層の密着強度に優れており、また、良好な
ピール強度、はんだ耐熱性を有するため、従来の多層プ
リント配線板では困難であった細線パターンの製造に極
めて好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)アルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹
脂、(B)エポキシ樹脂硬化剤、及び(C)シラノール
縮合促進剤を含有する熱硬化性エポキシ樹脂組成物の一
例の硬化フィルムの動的貯蔵弾性率測定試験結果を示す
グラフである。
【図2】(A)アルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹
脂及び(B)エポキシ樹脂硬化剤を含有する熱硬化性エ
ポキシ樹脂組成物の一例の硬化フィルムの動的貯蔵弾性
率測定試験結果を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉田 正人 埼玉県比企郡嵐山町大字大蔵388番地 太 陽インキ製造株式会社嵐山事業所内 Fターム(参考) 4J036 CD16 DA01 FA10 GA28 JA08 5E346 AA12 CC09 DD03 EE39 HH11 HH18

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)(a)2級水酸基を有する多官能
    エポキシ樹脂1質量部に対し、(b)アルコキシシラン
    部分縮合物0.1〜0.5質量部(シリカ換算質量)
    を、無溶剤下で脱アルコール縮合反応せしめて得られる
    アルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂、(B)エポ
    キシ樹脂硬化剤、及び(C)シラノール縮合促進剤を含
    有することを特徴とするビルドアッププリント配線板用
    熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 (1)請求項1に記載の熱硬化性エポキ
    シ樹脂組成物を、パターン加工された内層回路基板上に
    塗布し、加熱硬化させ、1段目シラノール縮合反応、2
    段目エポキシ硬化反応の2段階熱硬化を経て絶縁層を形
    成する工程、(2)回路層間を電気的に接続するための
    接続用穴開け工程、及び(3)絶縁層表面を粗化し、そ
    の上に導体層を形成する工程を含むことを特徴とする多
    層プリント配線板の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の方法により作製した多
    層プリント配線板。
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