JP2003035360A - 自動変速機およびその制御装置 - Google Patents

自動変速機およびその制御装置

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JP2003035360A
JP2003035360A JP2001223631A JP2001223631A JP2003035360A JP 2003035360 A JP2003035360 A JP 2003035360A JP 2001223631 A JP2001223631 A JP 2001223631A JP 2001223631 A JP2001223631 A JP 2001223631A JP 2003035360 A JP2003035360 A JP 2003035360A
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JP
Japan
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clutch
external force
torque
engaged
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JP2001223631A
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English (en)
Inventor
Kunihiro Iwatsuki
邦裕 岩月
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
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Publication of JP2003035360A publication Critical patent/JP2003035360A/ja
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16HGEARING
    • F16H3/00Toothed gearings for conveying rotary motion with variable gear ratio or for reversing rotary motion
    • F16H3/006Toothed gearings for conveying rotary motion with variable gear ratio or for reversing rotary motion power being selectively transmitted by either one of the parallel flow paths

Landscapes

  • Hydraulic Clutches, Magnetic Clutches, Fluid Clutches, And Fluid Joints (AREA)
  • Control Of Transmission Device (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 定常的な状態でのエネルギーの消費を回避し
て車両の燃費を向上させることのできる自動変速機を提
供する。 【解決手段】 変速比を所定の値に設定しかつ外力を付
与することなく係合状態を維持する複数の変速比クラッ
チ3,4,5,6,7,8と、係合することにより動力
源のトルクを前記入力側部材に伝達する発進クラッチ1
7と、係合することにより動力源のトルクを前記出力側
部材に伝達する変速用クラッチ18とを有する自動変速
機において、前記発進クラッチが、トルク伝達容量を連
続的に変化させることができ、かつ外力を付与すること
なく係合状態を維持するクラッチによって構成され、前
記変速用クラッチが、外力を付与することにより係合
し、かつ外力を付与しないことにより解放状態を維持す
るクラッチによって構成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、クラッチが係合
することによりそのクラッチに応じた変速比が設定され
る変速機に関し、特に変速比の選択信号に応じて動作
し、その選択された変速比を設定する自動変速機に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】車両用の変速機として、クラッチの断続
操作と併せて変速操作をおこなう手動変速機と、アクセ
ル開度や車速などの車両の走行状態に基づいて変速比が
自動的に変更される自動変速機とが知られている。前者
の手動変速機では、エンジンからのトルクを遮断した状
態で、変速を実行するので、変速比(変速段)を設定す
るためのクラッチとして噛み合い式のクラッチ(ドック
クラッチ)を採用でき、またエンジンからのトルクを入
力するためのクラッチ(入力クラッチもしくは発進クラ
ッチ)として乾式のクラッチが一般に採用されている。
【0003】したがって、手動変速機において所定の変
速段を設定して走行している状態では、各クラッチがそ
の外部から荷重を掛けつづけることなく係合状態を維持
するので、所定の変速段を維持するためにエネルギーを
消費することがない。しかしながら、変速の都度、入力
クラッチ(もしくは発進クラッチ)の解放操作と、その
後のいわゆる半クラッチ状態を経た入力クラッチ(もし
くは発進クラッチ)の係合操作とを繰り返す必要がある
ので、変速操作が煩わしいものとなるうえに、クラッチ
を繋ぐ操作の良否によってはショックが生じることがあ
る。
【0004】これに対して自動変速機では、クラッチあ
るいはブレーキなどの係合装置を次第に係合もしくは解
放することにより、あるいは一方の係合装置を解放しつ
つ他方の係合装置を次第に係合させることにより、変速
比が変更され、その変速操作が車両の走行状態に応じて
実行されるので、人為的な変速操作を要さずに、またシ
ョックを特には生じさせずに、変速をおこなうことがで
きる。しかしながら、その係合装置の半クラッチ状態を
含む係合・解放の制御を油圧によっておこなうから、係
合・解放などの所定の動作状態を維持するために、油圧
を所定値以上に維持する必要があり、そのために、油圧
ポンプを常時駆動しなければならないので、エネルギー
を消費し、これが燃費の悪化要因になる可能性がある。
【0005】このように手動変速機と自動変速機とに
は、それぞれ一長一短があるので、それぞれの利点を有
した変速機が望まれている。従来、そのような変速機と
して、ツインクラッチ式変速機と称される変速機が提案
されている。
【0006】その一例は、常時噛み合った複数のギヤ対
を、入力軸と副軸もしくは出力軸との間に配置し、その
入力軸に動力源のトルクを選択的に伝達する第1入力ク
ラッチと、最高速段のギヤ対に動力源のトルクを伝達す
る第2入力クラッチとを設けるとともに、最高速段より
低速側のギヤ対を、入力軸もしくは副軸(出力軸)に選
択的に連結する変速クラッチを設けて構成されている。
そして、この変速クラッチは、ギヤ対を選択するもので
あるから、手動変速機におけるクラッチと同様に噛み合
い式のクラッチ(ドッククラッチ)が採用される。
【0007】それらの各入力クラッチは、油圧によって
係合・解放するクラッチであり、発進時は、変速クラッ
チによって第1速のギヤ対が入力軸と副軸(出力軸)と
に連結させられ、その状態で第1入力クラッチが次第に
係合させられる。また走行中の変速は、第2入力クラッ
チを係合させて変速前の変速段を設定している変速クラ
ッチに掛かるトルクを低下させ、そのトルクがほぼゼロ
になった状態で変速クラッチを解放し、かつ変速後の変
速段を設定するための変速クラッチについての入力回転
数および出力回転数が同期した時点で、その変速後の変
速クラッチを係合させ、その後、第2入力クラッチを解
放させて実行される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】この種の変速機では、
変速段を選択する変速クラッチとして、前述した手動変
速機におけるクラッチと同様に、噛み合い式のクラッチ
を採用することができる。したがって係合状態を維持さ
せるために油圧などの外力を特に付与する必要がないか
ら、変速段を設定するためにエネルギーを消費すること
がない。
【0009】しかしながら、各入力クラッチは油圧を供
給して係合する形式のクラッチであるから、走行中に常
時油圧を発生させる必要があり、油圧を発生させるため
の動力が燃費の悪化要因になる不都合があった。
【0010】このような不都合を解消するために、上記
の各入力クラッチを、従来の手動変速機で採用されてい
る乾式のクラッチに置き換えることが考えられる。この
ようにすれば、入力クラッチを係合状態に維持するため
の動力が必要ではなくなるので、燃費の向上を図ること
ができる。しかし、その反面、乾式クラッチは摩耗や発
熱などの問題があるために、長時間に亘ってスリップ状
態に維持できないので、車両が発進しない程度の低トル
クを出力軸に生じさせるクリープトルク状態を設定でき
ない問題が生じる。
【0011】この発明は、上述した技術的課題に着目し
てなされたものであり、変速比を維持するためのエネル
ギーを消費することがなく、したがって搭載されている
車両の燃費の向上に有利な自動変速機およびその制御装
置を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段およびその作用】この発明
は、上記の目的を達成するために、変速比を設定するた
めに係合するクラッチと、動力源の出力トルクを入力す
るためのクラッチとを、外力を付与することなく係合状
態を維持する構成のクラッチとしてことを特徴とするも
のである。より具体的には、請求項1の発明は、係合す
ることにより入力側部材と出力側部材との回転数比を所
定の値に設定しかつ外力を付与することなく係合状態を
維持する複数の変速比クラッチと、係合することにより
動力源のトルクを前記入力側部材に伝達する発進クラッ
チと、係合することにより動力源のトルクを前記出力側
部材に伝達する変速用クラッチとを有する自動変速機に
おいて、前記発進クラッチが、トルク伝達容量を連続的
に変化させることができ、かつ外力を付与することなく
係合状態を維持するクラッチによって構成され、前記変
速用クラッチが、外力を付与することにより係合し、か
つ外力を付与しないことにより解放状態を維持するクラ
ッチによって構成されていることを特徴とする自動変速
機である。
【0013】したがって請求項1の発明では、例えば最
も大きい前進用の変速比を設定するための変速比クラッ
チを係合させ、その状態で発進用クラッチを次第に係合
させることにより、出力側部材にトルクが伝達されてそ
のトルクが次第に増大する。そして、変速用クラッチを
解放状態から係合状態に切り換えると、この変速用クラ
ッチを介して出力側部材にトルクが伝達されるので、係
合状態にある変速比クラッチに掛かるトルクが低下し、
その変速比クラッチを解放させることができる。また、
他の変速比クラッチにおける互いに連結される二つの部
材の回転数が同期するので、当該他の変速比クラッチを
係合させ、変速をおこなうことができる。その後、変速
用クラッチを解放させることにより、変速が完了する。
このように、発進時および変速時には発進クラッチを解
放状態から係合状態に切り換え、また変速用クラッチを
一時的に係合状態に制御する必要があり、その際に油圧
などの外力を使用することになるが、所定の変速比が設
定されている状態では、発進クラッチが外力を付与する
ことなくその係合状態を維持し、また変速比クラッチも
同様に、外力を付与することなく係合状態を維持する。
そのため、所定の変速比を維持して走行している際に
は、その変速比を維持するためにエネルギーを消費する
ことがないので、上記の自動変速機を搭載している車両
の燃費が向上する。また、変速の際に一方の変速比クラ
ッチが解放し、他の変速比クラッチが係合するが、その
変速の過程では、変速用クラッチが出力側部材にトルク
を伝達しているので、変速過渡時に出力側部材のトルク
が低下することが回避される。さらに、発進用クラッチ
は、そのトルク伝達容量を連続的に変化させることがで
きるから、ショックを生じることなく滑らかに発進する
ことができ、また、停止時にクリープトルクを発生させ
ることができる。
【0014】また、請求項2の発明は、係合することに
より入力側部材と出力側部材との回転数比を所定の値に
設定しかつ外力を付与することなく係合状態を維持する
複数の変速比クラッチと、係合することにより動力源の
トルクを前記入力側部材に伝達する発進クラッチと、係
合することにより動力源のトルクを前記出力側部材に伝
達する変速用クラッチとを有する自動変速機において、
前記発進クラッチが、付与される外力に応じてトルク伝
達容量が増大する第1のクラッチ機構と、動作状態では
所定の一回転方向にトルクを伝達しかつ非動作状態では
いずれの回転方向にもトルクを伝達しない第1の一方向
クラッチ機能および動作状態では前記一回転方向とは反
対の回転方向にトルクを伝達しかつ非動作状態ではいず
れの回転方向にもトルクを伝達しない第2の一方向クラ
ッチ機能を有する第2のクラッチ機構とによって構成さ
れ、前記変速用クラッチが、外力を付与することにより
係合し、かつ外力を付与しないことにより解放状態を維
持するクラッチによって構成されていることを特徴とす
る自動変速機である。
【0015】したがって請求項2の発明では、例えば最
も大きい前進用の変速比を設定するための変速比クラッ
チを係合させ、その状態で発進用クラッチにおける第1
のクラッチ機構を次第に係合させることにより、出力側
部材にトルクが伝達されてそのトルクが次第に増大す
る。その第1のクラッチ機構がほぼ完全に係合した後、
これと同一方向にトルクを伝達する第2のクラッチ機構
におけるいずれかの一方向クラッチ機能を動作状態と
し、もしくは第1および第2の一方向クラッチ機能を動
作状態とし、かつ第1のクラッチ機構を解放させる。そ
して、変速用クラッチを解放状態から係合状態に切り換
えると、この変速用クラッチを介して出力側部材にトル
クが伝達されるので、係合状態にある変速比クラッチに
掛かるトルクが低下し、その変速比クラッチを解放させ
ることができる。また、他の変速比クラッチにおける互
いに連結される二つの部材の回転数が同期するので、当
該他の変速比クラッチを係合させ、変速をおこなうこと
ができる。その後、変速用クラッチを解放させることに
より、変速が完了する。このように、発進時には、第1
および第2のクラッチ機構を切り換え動作させる必要が
あり、また変速時には変速用クラッチを一時的に係合状
態に制御する必要があるので、その際に油圧などの外力
を使用することになる。しかしながら、所定の変速比が
設定されている状態では、発進クラッチにおける一方向
クラッチ機能がその係合状態を維持し、また変速比クラ
ッチも同様に、外力を付与することなく係合状態を維持
する。そのため、所定の変速比を維持して走行している
際には、その変速比を維持するためにエネルギーを消費
することがないので、上記の自動変速機を搭載している
車両の燃費が向上する。また、変速の際に一方の変速比
クラッチが解放し、他の変速比クラッチが係合するが、
その変速の過程では、変速用クラッチが出力側部材にト
ルクを伝達しているので、変速過渡時に出力側部材のト
ルクが低下することが回避される。さらに、発進用クラ
ッチにおける第1のクラッチ機構は、そのトルク伝達容
量を連続的に変化させることができるから、ショックを
生じることなく滑らかに発進することができ、また、停
止時にクリープトルクを発生させることができる。
【0016】さらに請求項3の発明は、係合することに
より入力側部材と出力側部材との回転数比を所定の値に
設定しかつ外力を付与することなく係合状態を維持する
複数の変速比クラッチと、係合することにより動力源の
トルクを前記入力側部材に伝達する発進クラッチと、係
合することにより動力源のトルクを前記出力側部材に伝
達する変速用クラッチとを有する自動変速機の制御装置
において、前記発進クラッチが、トルク伝達容量を連続
的に変化させることができ、かつ外力を付与することな
く係合状態を維持するクラッチによって構成され、前記
変速用クラッチが、外力を付与することにより係合し、
かつ外力を付与しないことにより解放状態を維持するク
ラッチによって構成され、動力を受けて動作することに
より前記外力を発生する外力発生機構が設けられ、さら
に前記発進クラッチと変速用クラッチとのいずれにも外
力を付与しない状態では前記外力発生機構の動作の停止
を指示する停止指示手段が設けられていることを特徴と
する制御装置である。
【0017】したがって請求項3の発明では、いずれか
の変速比クラッチが係合している状態で、発進クラッチ
および変速用クラッチのいずれにも外力を付与しなけれ
ば、発進クラッチが係合状態を維持し、かつ変速用クラ
ッチが解放状態を維持する。その結果、前記変速比クラ
ッチが係合することにより選択された変速比が設定さ
れ、その変速比に応じてトルクが出力側部材に現れる。
すなわち、所定の変速比を設定している状態では、発進
クラッチおよび変速用クラッチのいずれにも外力を付与
する必要がなく、そのために外力発生手段が停止状態に
制御される。結局、所定の変速比を維持するために特に
エネルギーを消費しないので、上記の自動変速機を搭載
した車両の燃費が向上する。
【0018】さらにまた請求項4の発明は、係合するこ
とにより入力側部材と出力側部材との回転数比を所定の
値に設定しかつ外力を付与することなく係合状態を維持
する複数の変速比クラッチと、係合することにより動力
源のトルクを前記入力側部材に伝達する発進クラッチ
と、係合することにより動力源のトルクを前記出力側部
材に伝達する変速用クラッチとを有する自動変速機の制
御装置において、前記発進クラッチが、トルク伝達容量
を連続的に変化させることができ、かつ外力を付与する
ことなく係合状態を維持するクラッチによって構成さ
れ、前記変速用クラッチが、外力を付与することにより
係合し、かつ外力を付与しないことにより解放状態を維
持するクラッチによって構成され、前記外力を蓄えてお
き、かつ蓄えた外力を前記発進クラッチおよび変速用ク
ラッチに選択的に付与する蓄積機構が設けられているこ
とを特徴とする制御装置である。
【0019】したがって請求項4の発明では、いずれか
の変速比クラッチを係合させ、その状態で発進用クラッ
チを係合させるとともに、変速用クラッチを解放させる
ことにより、係合させた変速比クラッチに応じた変速比
が設定される。その状態で変速用クラッチを係合させる
ことにより、係合させる変速比クラッチを切り換えて変
速を実行することができる。また、最低速側の変速比を
設定した状態で発進クラッチを解放側に制御してトルク
伝達容量を低下させれば、クリープトルクを発生させる
ことができる。このような、変速用クラッチを係合さ
せ、また発進クラッチを解放側に制御する場合の外力
は、蓄積機構から付与される。そして、その蓄積機構
は、発進クラッチの解放あるいは変速用クラッチの係合
のタイミングに拘わらず、外力を蓄積するので、前記自
動変速機を搭載した車両の余裕動力あるいは回生動力を
利用して外力の蓄積をおこなうことができ、その結果、
その車両の燃費が向上する。
【0020】そして、請求項5の発明は、係合すること
により入力側部材と出力側部材との回転数比を所定の値
に設定しかつ外力を付与することなく係合状態を維持す
る複数の変速比クラッチと、係合することにより動力源
のトルクを前記入力側部材に伝達する発進クラッチと、
係合することにより動力源のトルクを前記出力側部材に
伝達する変速用クラッチとを有する自動変速機の制御装
置において、前記発進クラッチが、トルク伝達容量を連
続的に変化させることができ、かつ外力を付与すること
なく係合状態を維持するクラッチによって構成され、前
記変速用クラッチが、外力を付与することにより係合
し、かつ外力を付与しないことにより解放状態を維持す
るクラッチによって構成され、前記自動変速機を搭載し
た車両の車速が予め定めた低車速領域にある状態では前
発進クラッチを滑り状態に設定するクラッチ制御手段を
備えていることを特徴とする制御装置である。
【0021】したがって請求項5の発明では、いずれか
の変速比クラッチを係合させ、その状態で発進用クラッ
チを係合させるとともに、変速用クラッチを解放させる
ことにより、係合させた変速比クラッチに応じた変速比
が設定される。その場合、発進クラッチは外力を付与す
ることなく係合状態を維持し、かつ変速用クラッチは外
力を付与することなく解放状態を維持するので、所定の
変速比を維持するためには特にはエネルギーを消費しな
い。しかしながら、車速が予め定めた所定の低車速域に
ある状態では、発進クラッチが滑り状態に設定される。
その場合、発進クラッチを完全に係合している状態から
解放側に制御するので、エネルギーを消費することにな
るが、動力源の回転数が低下することに伴う動力源から
の入力トルクの変動が、発進クラッチの滑りによって吸
収され、車両の振動や騒音が抑制もしくは防止され、さ
らに停車状態でのエンジンストールが回避されるととも
にクリープトルクが発生する。
【0022】
【発明の実施の形態】つぎにこの発明を具体例に基づい
て説明する。先ず、この発明に係る自動変速機の一例を
説明すると、図1はその自動変速機におけるギヤトレー
ンの一例を示すスケルトン図であって、ここに示す例
は、前進5段・後進1段の変速段を設定できるように構
成されている。すなわち、この発明の入力側部材に相当
する入力軸1とこの発明の出力側部材に相当する出力軸
2とが互いに平行に配置されており、上記の各変速段を
設定するためのギヤ対が、これら入力軸1と出力軸2と
の間に配置されている。
【0023】前進段を設定するための各ギヤ対は、常時
噛み合っている駆動ギヤ3a,4a,5a,6a,7a
と従動ギヤ3b,4b,5b,6b,7bとからなり、
各駆動ギヤ3a,4a,5a,6a,7aが入力軸1に
一体的に回転するように取り付けられ、また各従動ギヤ
3b,4b,5b,6b,7bは、出力軸2に回転自在
に嵌合した状態に取り付けられている。なお、各ギヤ対
のギヤ比(歯数比:駆動ギヤの歯数に対する従動ギヤの
歯数の比率)は、第1速用のギヤ対3のギヤ比が最も大
きく、以下、第2速用ないし第5速用の順に小さくなっ
ている。
【0024】また、後進段用のギヤ対8は、駆動ギヤ8
aおよび従動ギヤ8bならびにこれらのギヤ8a,8b
に噛合している中間ギヤ8cからなり、その駆動ギヤ8
aが入力軸1に一体となって回転するように取り付けら
れ、かつ従動ギヤ8bが出力軸2に回転自在に嵌合した
状態で取り付けられている。なお、この後進段用のギヤ
8のギヤ比は、前進第1速用のギヤ対3のギヤ比と同等
もしくはそれより幾分大きい値に設定されている。
【0025】これらのギヤ対の配列順序は、図1の右側
から左側に向けて、後進段用ギヤ対8、前進第1速用ギ
ヤ対7、前進第2速用ギヤ対6、前進第3速用ギヤ対
5、前進第4速用ギヤ対4、前進第5速用ギヤ対3の順
序である。したがって後進段用の従動ギヤ8bと第1速
用の従動ギヤ7bとが互いに隣接し、また第2速用の従
動ギヤ6bと第3速用の従動ギヤ5bとが互いに隣接
し、さらに第4速用の従動ギヤ4bと第5速用の従動ギ
ヤ3bとが互いに隣接している。そして、これらの互い
に隣接する従動ギヤ3b,〜8bの間に、各従動ギヤ3
b,〜8bを出力軸2に対して選択的に連結するクラッ
チ9,10,11が設けられている。
【0026】これらのクラッチ9,10,11は、この
発明の変速比クラッチに相当し、外力を付与することな
く係合状態を維持するクラッチ(例えばドッククラッチ
と称される噛み合い式のクラッチ)によって構成されて
いる。すなわち外周面にスプライン歯が形成されている
クラッチハブ9a,10a,11aが、第5速用従動ギ
ヤ3bと第4速用従動ギヤ4bとの間、および第3速用
従動ギヤ5bと第2速用従動ギヤ6bとの間、ならびに
第1速用従動ギヤ7bと後進段用従動ギヤ8bとの間の
それぞれに配置されている。また、各従動ギヤ3b,〜
8bには、クラッチハブ9a,10a,11aと同一外
径でかつ外周面にスプライン歯が形成されたクラッチ用
ボス部9b,9c,10b,10c,11b,11cが
形成されている。そして、各クラッチハブ9a,10
a,11aには、その外周面のスプライン歯に噛合する
スプライン歯を内周面に形成したハブスリーブ9d,1
0d,11dが軸線方向に前後動自在に嵌合されてい
る。
【0027】各ハブスリーブ9d,10d,11dは、
それぞれに対応して設けたアクチュエータ12,13,
14に直接、もしくは適宜のリンク機構(図示せず)を
介して連結されている。これらのアクチュエータ12,
13,14は、油圧などの流体圧で動作する駆動装置で
あって、具体的には、直線的に動作する油圧シリンダや
回転動作するロータリーシリンダなどが採用される。
【0028】したがって各クラッチ9,10,11は、
ハブスリーブ9d,10d,11dがクラッチハブ9
a,10a,11aにのみ噛合した中立位置から軸線方
向での前後いずれかの方向に移動して、隣接するクラッ
チ用ボス部9b,9c,10b,10c,11b,11
cのいずれかに噛合することにより、前進第1速ないし
第5速もしくは後進段のいずれかを選択して設定するよ
うになっている。そして、各クラッチ9,10,11
は、そのハブスリーブ9d,10d,11dを移動させ
る際に外力を付与する必要があるが、いずれのクラッチ
用ボス部9b,9c,10b,10c,11b,11c
にも係合していない解放状態あるいはいずれかのクラッ
チ用ボス部9b,9c,10b,10c,11b,11
cに噛合している係合状態を、外力を付与することなく
維持するように構成されている。
【0029】また、上記の入力軸1と出力軸2との間に
変速用ギヤ対15が設けられている。この変速用ギヤ対
15は、変速途中で出力軸2に対して直接トルクを伝達
するためのものであり、変速用駆動ギヤ15aが入力軸
1に回転自在に嵌合して保持され、これに噛合している
変速用従動ギヤ15bが出力軸2に一体となって回転す
るように取り付けられている。なお、この変速用ギヤ対
15の変速比は、第5速用ギヤ対3のギヤ比より小さい
値に設定されている。
【0030】つぎに、上記の自動変速機にトルクを入力
するための機構について説明する。この発明に係る上記
の自動変速機は、内燃機関(エンジン)16を動力源と
する車両に搭載することができ、そのエンジン16から
出力されたトルクを入力軸1に選択的に伝達する発進ク
ラッチ17と、エンジン16から出力されたトルクを変
速用ギヤ対15に選択的に伝達する変速用クラッチ18
とが設けられている。発進クラッチ17は、トルク伝達
容量を連続的に変化させることができ、かつ滑りを伴っ
てトルクを伝達するいわゆるスリップ制御の可能なクラ
ッチであって、一例として摩擦面を潤滑油で湿潤状態に
維持し、その摩擦面を接触されることによりトルクを伝
達する湿式の摩擦クラッチが採用されている。
【0031】また、この発明における発進クラッチ17
は、外力を付与することなく係合状態(トルクを伝達す
る状態)を維持するように構成されている。その一例を
模式的に示すと図2のとおりであり、エンジン16から
トルクが伝達されるクラッチドラム19の内周面に取り
付けられた摩擦板20と前記入力軸1に連結されている
摩擦板21とが軸線方向に並んで交互に配置され、これ
らの摩擦板20,21の一端部側にプッシャープレート
22が配置されている。
【0032】このプッシャープレート22の背面側(摩
擦板20,21とは反対側)に、ダイヤフラムスプリン
グ23の外周端が接触させられている。このダイヤフラ
ムスプリング23は、環状をなす薄い皿状のスプリング
であって、所定の固定部によって保持されている。した
がってこのダイヤフラムスプリング23がプッシャプレ
ート22をその弾性力で押圧することにより、各摩擦板
20,21が互いに接触させられてトルクを伝達するよ
うになっている。
【0033】また、ダイヤフラムスプリング23の中心
側には、リリースリング24が軸線方向に前後動できる
ように配置されている。このリリースリング24にリン
ク25を介してリリースアクチュエータ26が連結され
ている。このリリースアクチュエータ26は、発進クラ
ッチ17を解放側に動作させるためのものであり、例え
ば油圧によって動作するシリンダが使用されている。し
たがって、例えばこのリリースアクチュエータ26に油
圧を供給すると、リンク25を介してリリースリング2
4が図2の右側に移動して、ダイヤフラムスプリング2
3の中心側の部分を押圧し、それに伴ってダイヤフラム
スプリング23が撓むことにより、プッシャプレート2
3が図2の左方向に移動させられ、その結果、摩擦板2
0,21に対する押圧力が解除されて、その接触圧が低
下し、解放側に制御されるようになっている。
【0034】なお、上記の発進クラッチ17と入力軸1
との間には、ダンパー27が設けられている。
【0035】他方、変速用クラッチ18は、油圧などの
外力が付与されることにより係合側に動作するクラッチ
であって、その外力が増大することに応じてトルク伝達
容量が次第に増大するクラッチが採用されている。その
一例は、遊星歯車機構を主体にして構成した従来の有段
式自動変速機で採用されている油圧式の湿式クラッチで
ある。したがってこの変速用クラッチ18においては、
その油圧サーボ機構に供給する外力である油圧を高くす
るほど、トルク伝達容量が増大するようになっており、
その油圧の増大の過程では、滑りを伴ってトルクを伝達
する。
【0036】上記の外力を発生するための電動オイルポ
ンプ28が設けられている。この電動オイルポンプ28
はこの発明の外力発生機構に相当し、外部に連結されて
いるモータもしくは内蔵しているモータ(それぞれ図示
せず)から動力を受けて動作することにより、油圧を発
生するように構成されている。
【0037】この電動オイルポンプ28で発生した油圧
を調圧し、またその調圧した油圧を元圧として前記各ク
ラッチ9,10,1117,18を制御する油圧制御装
置29が設けられている。この油圧制御装置29は、電
磁弁やその電磁弁から出力されるパイロット圧で動作さ
せられる調圧弁あるいは切換弁など(それぞれ図示せ
ず)を手段にして構成されている。
【0038】そして、上記の電動オイルポンプ28のオ
ン・オフの制御や吐出圧の制御、さらには油圧制御装置
29の制御をおこなう電子制御装置(ECU)30が設
けられている。この電子制御装置30は、一例としてマ
イクロコンピュータを主体にして構成されており、車速
やアクセル開度(アクセルペダルの踏み込み角度)など
の信号や、パーキング(P)および後進(リバース:
R)ならびにニュートラル(N)および前進段(ドライ
ブ:D)などの走行レンジを選択するシフト装置(図示
せず)からのシフトポジション信号、さらに油温などの
変速機の動作状態を示す信号などが入力されている。そ
して、電子制御装置30は、これらの入力された信号お
よび予め記憶している情報に基づいて演算をおこない、
前記電動オイルポンプ26のオン・オフ制御や前記各ク
ラッチ9,10,11,17,18を係合・解放・半係
合の状態に制御する指令信号(すなわち変速比の選択信
号)を前記油圧制御装置29に出力するように構成され
ている。
【0039】上記の自動変速機では、前進5段・後進1
段の変速段を設定することができ、その前進段は、その
自動変速機が搭載された車両の走行状態に基づいて自動
的に設定される。図3は、その前進段での各変速段領域
を概念的に示す変速線図であって、この図3にはアップ
シフト線のみを示してある。この図3は、従来の自動変
速機を制御する変速線図と同様の線図であり、車速ある
いはアクセル開度などの走行状態が、アップシフト線を
横切るように変化することにより、アップシフトの判断
が成立して前記電子制御装置30がアップシフト信号
(すなわち変速比の選択信号)を出力し、所定の変速が
実行される。こうして設定される変速段は、高車速ほ
ど、また低アクセル開度ほど、高速側の変速段となる。
【0040】なお、この発明に係る上記の自動変速機で
は、図3に示すように、発進クラッチ17の滑り領域が
設定されている。この滑り領域は、車速がゼロの状態を
下限とし、所定の車速を上限とした領域であって、アク
セル開度が大きいほど上限車速が高車速となる領域とし
て設定されている。また、この滑り領域は、前進走行す
る領域としてのみでなく、後進走行する際の領域として
も設定されている。
【0041】この滑り領域は、発進クラッチ17を滑り
状態に制御(スリップ制御)する領域であって、例えば
前述したリリースアクチュエータ26に供給する油圧を
低下させて、ダイヤフラムスプリング23およびプッシ
ャープレート22によって各摩擦板20,21を僅かに
押圧し、このトルク伝達容量が、発進クラッチ17に入
力されるトルクより小さい容量に維持される。なお、そ
の油圧の制御は、一例としてスリップ回転数が目標値と
なるように、リリースアクチュエータ26の油圧をフィ
ードフォワード・フィードバック制御することにより実
行される。
【0042】したがってこの状態では、入力軸1に現れ
るトルクが、入力トルクより小さくなり、例えば第1速
を設定していれば、いわゆるクリープトルクを生じさせ
ることができる。また、入力トルクが変動した場合に
は、滑りがそれに応じて生じるので、入力トルクの変動
が発進クラッチ17で吸収され、振動や騒音が低減され
る。
【0043】上述した各変速段および走行レンジは、各
クラッチ9,10,11,17,18および電動オイル
ポンプ28を図4に示すように制御することにより設定
され、また各変速段の間での変速が、各クラッチ9,1
0,11,17,18を図4に示すように切り換えて実
行される。各走行レンジおよび各変速段について簡単に
説明する。
【0044】パーキングレンジは、出力軸2にトルクが
現れず、車両を停止状態に維持するレンジであり、発進
クラッチ17および変速用クラッチ18が共に解放させ
られ、かつ変速段を設定するための各クラッチ9,1
0,11が中立状態に設定される。この中立状態とは、
ハブスリーブ9d,10d,11dがクラッチハブ9
a,10a,11aのみに係合し、いずれの従動ギヤ3
a,〜8aも出力軸2に連結しない状態であり、図1に
示す例では、ハブスリーブ9d,10d,11dが中央
に位置することにより、図4には「中」と表示してあ
る。
【0045】前述したように発進クラッチ17は、ダイ
ヤフラムスプリング23の弾性力で係合状態を維持し、
リリースアクチュエータ26が発生する押圧力で解放状
態に制御されるクラッチである。したがってパーキング
レンジでは、発進クラッチ17を解放させるためにリリ
ースアクチュエータ26に油圧を供給する必要があるか
ら、電動オイルポンプ28が駆動させられる。この状態
を図4では「○」印で示してある。
【0046】後進段(Rレンジ)は、後進走行するレン
ジであり、前述した後進段用のギヤ対8を介して入力軸
1から出力軸2にトルクを伝達することにより設定され
る。したがって、図1の右側に示すクラッチ11のハブ
スリーブ11dを、アクチュエータ14によって図1の
右側に移動させて後進段用の従動ギヤ8bにおけるクラ
ッチ用ボス部11cに噛合させる。すなわち、クラッチ
用ボス部11cおよびハブスリーブ11dならびにクラ
ッチハブ11aを介して従動ギヤ8bを出力軸2に連結
する。この状態を図4の「11d」の欄に「右」と表示
してある。
【0047】後進段を設定した状態で車両が停止し、も
しくは停止に近い低車速で移動している場合には、発進
クラッチ17の滑り領域にあって発進クラッチ17がス
リップ制御される。すなわちリリースアクチュエータ2
6に対して供給する油圧を低下させる。したがってこの
場合も油圧が必要であるから、電動オイルポンプ28が
駆動される。
【0048】そして、後進走行する車速がある程度速く
なれば、発進クラッチ17の滑り領域を外れて非滑り領
域に入るので、発進クラッチ17が係合状態に設定され
る。すなわちリリースアクチュエータ26から排圧され
てリリースアクチュエータ26が押圧力を生じないこと
により、各摩擦板20,21がダイヤフラムスプリング
23によって押圧されて係合し、トルクを伝達する。し
たがってこの場合には、後進状態を維持するための油圧
が必要ではないので、電動オイルポンプ28が停止させ
られる。
【0049】ニュートラル状態(ニュートラルレンジ)
は、出力軸2を入力軸1に対して非連結の状態にするレ
ンジであり、これは、上述したパーキングレンジと同様
にして設定される。
【0050】前進第1速は、多くの場合、発進の際に設
定される。具体的には、第1速用のギヤ対7を介して入
力軸1から出力軸2にトルクを伝達する。そのために、
図1の右側のクラッチ11におけるハブスリーブ11d
が、アクチュエータ14によって図1の左側に移動させ
られ、第1速用の従動ギヤ7bにおけるクラッチ用ボス
部11bに噛合させられる。したがってその従動ギヤ7
bが、クラッチ用ボス部11bおよびハブスリーブ11
dならびにクラッチハブ11aを介して出力軸2に連結
される。この状態を図4の「11d」の欄に「左」と表
示してある。
【0051】第1速で発進する場合、ショックを防止す
るために駆動トルクを滑らかに増大させる必要があり、
また、エンジンストールを防止する必要があるから、発
進クラッチ17によってクリープトルクを生じさせる。
すなわち、車速がゼロの状態およびゼロに近い低車速の
状態では、発進クラッチ17がスリップ状態に制御され
る。これは、前述した後進レンジでのスリップ制御と同
様であり、リリースアクチュエータ26に供給する油圧
を低圧に維持することにより設定される。したがって電
動オイルポンプ28が駆動させられる。
【0052】前進第1速で発進し、車速がある程度速く
なると、発進クラッチ17の滑り領域を外れるので、発
進クラッチ17が完全に係合させられる。すなわち、リ
リースアクチュエータ26から排圧することによりダイ
ヤフラムスプリング23が摩擦板20,21を押圧し、
発進クラッチ17を係合させる。したがって発進クラッ
チ17に対して油圧を供給する必要がなくなるので、電
動オイルポンプ28が停止させられる。
【0053】前進第2速ないし第5速の各変速段は、そ
れぞれに対応した従動ギヤ6b,75b,4b,3bを
各クラッチ11,10,9によって出力軸2に連結する
ことにより設定される。すなわち、ハブスリーブ10d
を図1の右側に移動させて、クラッチハブ10aと併せ
て第2速用従動ギヤ6bにおけるクラッチ用ボス部10
cに係合させることにより、その従動ギヤ6bが出力軸
2に連結されて第2速が設定される。図4では、この状
態を「10d」の欄に「右」と表示してある。第3速
は、ハブスリーブ10dを図1の左側に移動させて、ク
ラッチハブ10aと併せて第3速用従動ギヤ5bにおけ
るクラッチ用ボス部10bに係合させることにより、そ
の従動ギヤ5bが出力軸2に連結されて設定される。図
4では、この状態を「10d」の欄に「左」と表示して
ある。
【0054】第4速は、ハブスリーブ9dを図1の右側
に移動させて、クラッチハブ9aと併せて第4速用従動
ギヤ4bにおけるクラッチ用ボス部9bに係合させるこ
とにより、その従動ギヤ4bが出力軸2に連結されて設
定される。図4では、この状態を「9d」の欄に「右」
と表示してある。そして、第5速は、ハブスリーブ9d
を図1の左側に移動させて、クラッチハブ9aと併せて
第5速用従動ギヤ3bにおけるクラッチ用ボス部9bに
係合させることにより、その従動ギヤ3bが出力軸2に
連結されて設定される。図4では、この状態を「9d」
の欄に「左」と表示してある。
【0055】上記の各変速段もしくは走行レンジを設定
する各クラッチ9,10,11は、スプライン歯を噛合
させる噛み合いクラッチであるから、トルクが掛かって
いる状態では、その係合を外すことが困難であり、また
相対回転が生じている状態では係合させることが困難で
ある。そこで、変速する際には、前述した変速用クラッ
チ18が係合させられて、クラッチ9,10,11に掛
かるトルクを低減させ、また係合させられ2部材の同期
が図られる。
【0056】具体的に説明すると、所定の前進段(例え
ば第4速)からアップシフトする場合、変速用クラッチ
18に次第に油圧を供給してその伝達トルク容量を増大
させると、その変速段用のギヤ対4を介して出力軸2に
伝達されていたトルクの一部が変速用ギヤ対15を介し
て出力軸2に伝達されるようになる。したがって変速用
クラッチ18の伝達トルク容量が増大するに従って変速
段用のギヤ対すなわち変速段を設定しているクラッチに
掛かるトルクが低下する。このようにして第4速を設定
しているクラッチ9に掛かるトルクがほぼゼロになった
時点で、ハブスリーブ9dが図1の左側にアクチュエー
タ12によって移動させられる。
【0057】また、変速用ギヤ対15のギヤ比が、最高
速段である第5速のためのギヤ対3のギヤ比より小さい
ので、変速用クラッチ18の伝達トルク容量が増大する
のに従って、すなわち変速用クラッチ18における滑り
が少なくなるのに従って入力軸1の回転数が低下する。
その結果、変速用クラッチ18が次第に係合する過程に
おいて、変速後の変速段である第5速のための従動ギヤ
3bの回転数が、ハブスリーブ9dの回転数に同期す
る。その時点にハブスリーブ9dが図1の左側にアクチ
ュエータ12によって移動させられて、第5速用従動ギ
ヤ3bにおけるクラッチ用ボス部9bに係合させられ
る。その後、もしくはこれと同時に、変速用クラッチ1
8から排圧されて、これが解放され、第4速から第5速
へのアップシフトが完了する。このような変速制御は、
他の前進段同士の間での変速の際にも同様に実行され
る。
【0058】したがって上記の自動変速機では、各変速
段を設定するための変速の際に、各ハブスリーブ11
d,10d,9dをそれぞれに対応して設けてあるアク
チュエータ12,13,14によって図1の左右方向に
移動させるので、そのためにいわゆる外力である油圧を
必要とし、また前進段同士の間での変速の際には、変速
用クラッチ18を一時的に係合させるための油圧を必要
とする。しかしながら、各変速段を設定している状態で
は、各クラッチ9,10,11,17,18に油圧を供
給する必要がないので、車両の走行状態が発進クラッチ
17の滑り領域にある場合および変速をおこなう場合以
外は、電動オイルポンプ28を停止させる。図5にその
電動オイルポンプ28の駆動・停止のための制御ルーチ
ンを示してある。
【0059】図5は車両が走行している際に所定の短時
間毎に繰り返し実行されるルーチンを示しており、先
ず、車両の動作状態が発進クラッチ17の滑り領域に入
っているか否かが判断される(ステップS1)。この滑
り領域は、図3を参照して説明したとおりであり、した
がってステップS1の判断は、車速およびアクセル開度
に基づいておこなうことができる。
【0060】車両の動作状態が上記の滑り領域に入って
いないことによりステップS1で否定的に判断された場
合には、車両の状態に応じて、発進クラッチ17を係合
させる処理が実行される(ステップS2)。その後、変
速中か否かが判断される(ステップS3)。
【0061】上記の自動変速機は、前述した図3に示す
変速線図に基づいて変速段が判断されるので、車速など
の車両の走行状態の変化に基づいて変速をおこなうべき
ことが判断され、その変速判断がおこなわれたことによ
って変速中の判断が成立する。そして、これは、その判
断された変速が完了するまで維持される。すなわち変速
中とは、変速判断の成立から変速の完了までの間であ
る。
【0062】所定の変速段を設定して走行していること
によりステップS3で否定的に判断された場合には、発
進クラッチ17の係合が完了したか否かが判断される
(ステップS4)。これは、適宜の回転部材の回転数に
基づいて判断でき、あるいは油圧に基づいて判断するこ
とができる。
【0063】このステップS4で否定的に判断された場
合には、発進クラッチ17の係合制御を継続するために
リターンする。これとは反対に、発進クラッチ17の係
合が完了していることによりステップS4で肯定的に判
断された場合には、電動オイルポンプ28の停止が指示
される(ステップS5)。前述したように発進クラッチ
17および各変速段を設定するクラッチ9,10,11
は、油圧などの外力を付与することなく係合状態を維持
し、また変速用クラッチ18は油圧などの外力を付与す
ることなく解放状態を維持するからである。なお、この
ステップS5の機能的手段がこの発明の停止指示手段に
相当する。
【0064】一方、ステップS3で肯定的に判断された
場合、すなわち変速中の場合には、電動オイルポンプ2
8が駆動され(ステップS6)、かつ変速制御が実行さ
れる(ステップS7)。この変速制御は、変速用クラッ
チ18を係合制御し、かつ変速段を設定するためのクラ
ッチ9,10,11をそれぞれに対応して設けてあるア
クチュエータ12,13,14によって動作させるな
ど、既に説明したとおりに実行される。
【0065】さらに、車両の動作状態が発進クラッチ1
7の滑り領域に入っていることによりステップS1で肯
定的に判断された場合には、電動オイルポンプ28が駆
動され(ステップS8)、かつ発進クラッチ17の滑り
制御(スリップ制御)が実行される(ステップS9)。
この滑り制御は、具体的には、発進クラッチ17におけ
る入力側の部材と出力側の部材との回転数差が、予め定
めた目標値となるように、発進クラッチ17に供給する
油圧をフィードフォワード・フィードバック制御するこ
とにより実行される。なお、このステップS9の機能的
手段がこの発明のクラッチ制御手段に相当する。
【0066】したがって上記の自動変速機を対象とする
制御装置では、変速中や走行状態が上記の滑り領域に入
っている場合など、車両の挙動が変化する過渡状態で電
動オイルポンプ28を駆動するが、停車状態を含む車両
の挙動の大半を占める定常的な走行状態では電動オイル
ポンプ28を停止させる。そのため、電動オイルポンプ
28あるいはこれに相当する駆動装置を動作させるため
の時間が短くなるとともに、その駆動装置で消費される
エネルギーが削減されるので、車両の燃費が向上する。
【0067】上述した具体例は、外力(油圧)を付与す
ることにより解放する発進クラッチ17を使用した例で
あるが、これとは反対に外力を付与することにより係合
する発進クラッチを使用して、所定の変速段を設定した
状態で電動オイルポンプ28を停止させるように構成す
ることができる。図6にその一例をスケルトン図で示し
てある。
【0068】図6に示す例は、発進クラッチを、前述し
た変速用クラッチ18と同様の油圧によって係合する摩
擦クラッチ17Aと、一方向にのみトルクを伝達する動
作状態とトルクを伝達しない非動作状態とに切り換える
ことのできる第1一方向クラッチ(OWC)17Bと、
この第1一方向クラッチ17Bとは反対の方向にのみト
ルクを伝達する動作状態とトルクを伝達しない非動作状
態とに切り換えることのできる第2一方向クラッチ(O
WC)17Cとによって構成し、その他の構成は、上述
した図1に示す構成と同じ構成とした例である。その摩
擦クラッチ17Aは、図示しない油圧サーボ機構に油圧
を供給することにより摩擦板が接触してトルクを伝達す
る公知の構造のクラッチであり、したがってこの発明に
おける外力に相当する油圧を供給しない状態では、解放
状態となる。なお、この摩擦クラッチ17Aがこの発明
の第1のクラッチ機構に相当し、また第1一方向クラッ
チ17Bおよび第2一方向クラッチ17Cがこの発明の
第1の一方向クラッチ機能および第2の一方向クラッチ
機能を含む第2のクラッチ機構に相当する。
【0069】また、各一方向クラッチ17B,17C
は、ラチェットや転動子(スプラグ)などの係合部材を
2つの回転部材の間に配置し、その係合部材を係合状態
と非係合状態とに切り換えるように構成したクラッチで
あり、その一例を図7に模式的に示してある。ここに示
す例は、転動子(スプラグ)を使用して構成した一方向
クラッチの例であり、互いに同心状に配置されたインナ
ーレース50とアウターレース51との間に、非円形断
面のスプラグ52が配置されている。そのインナーレー
ス50の外周面は、真円に形成されているのに対して、
アウターレース51の内周面の一部には、半径方向で外
側に窪んだ凹部53が形成され、その凹部53における
円周方向での両側の面が、インナーレース50に次第に
接近する斜面として形成されている。
【0070】スプラグ52は、その長軸が、前記凹部5
3におけるインナーレース50とアウターレース51と
の最も広い箇所の間隔より僅か短く、かつその凹部53
における斜面とインナーレース50の外周面との間隔よ
り長い寸法に設定された小さい駒状の部材であって、円
周方向に複数個が等間隔に配置されている。そして、こ
れらのスプラグ52は、インナーレース50とアウター
レース51とに対して同心状に配置されたリング状の保
持器(リテーナー)54によって傾転可能に保持されて
いる。
【0071】さらに、そのリテーナー54が、アウター
レース51と共に回転し、かつアウターレース51に対
する円周方向の相対位置を変更できるように構成されて
いる。すなわち、リテーナー54は、アウターレース5
1に対して相対的に回転することにより、保持している
スプラグ52を、前記凹部53の中央位置に位置させ、
あるいはその中央位置を外れて位置させるように構成さ
れている。
【0072】したがってスプラグ52が凹部53の中央
に位置している状態では、スプラグ52が傾転してもこ
れがインナーレース50とアウターレース51との間に
挟み込まれることがないので、インナーレース50とア
ウターレース51との間でのトルクの伝達が生じない。
これに対して、スプラグ52が凹部53の中央位置を外
れると、インナーレース50とアウターレース51との
相対回転によってスプラグ52が傾転する。その傾転方
向が、インナーレース50とアウターレース51との間
にスプラグ52が挟み込まれる方向であれば、インナー
レース50とアウターレース51とがスプラグ52を介
して回転方向で一体化されるので、インナーレース50
とアウターレース51との間でトルクの伝達が生じる。
また、スプラグ52の傾転方向が、前記凹部53の斜面
とインナーレース50の外周面との間から外れる方向で
あれば、スプラグ52がインナーレース50とアウター
レース51との間に挟み込まれないので、インナーレー
ス50とアウターレース51とが自由に相対回転し、ト
ルクの伝達が生じない。
【0073】上記の凹部53における斜面は、図7の左
右方向に対称に形成されているので、スプラグ52を図
1の右側に相対的に移動させた場合と、左側に相対的に
移動させた場合とでは、トルクの伝達方向が反対とな
る。そのようなスプラグ52をアウターレース51に対
して相対的に移動させてトルクの伝達方向を選択する操
作は、前記リテーナー54を油圧などの適宜の外力で移
動させることによりおこなわれる。
【0074】そして、図6に示す例では、二つの一方向
クラッチ17B,17Cが互いに並列で、かつ摩擦クラ
ッチ17Aと並列に配置されているので、これらの一方
向クラッチ17B,17Cをそのトルクの伝達方向が反
対となるようにそれぞれのリテーナー54を操作するこ
とにより、入力軸1に対して常時トルクを伝達するいわ
ゆる係合状態とすることができる。また、反対に、いず
れの一方向クラッチ17B,17Cにおいてもそのスプ
ラグ52が凹部53の中央に位置するようにリテーナー
54を操作すれば、いずれの一方向クラッチ17B,1
7Cにおいてもトルクの伝達が生じないので、入力軸1
に対してトルクを入力しないいわゆる解放状態とするこ
とができる。
【0075】図8は、図6に示す自動変速機において各
変速段および走行レンジを設定している状態でのクラッ
チや電動オイルポンプ28の状態を一括して示す図表で
あり、発進クラッチに相当する摩擦クラッチ17Aおよ
び一方向クラッチ17B,17Cは、滑り領域で各一方
向クラッチ17B,17Cがトルクを伝達しない非動作
状態に設定され、かつ摩擦クラッチ17Aが滑り状態に
設定される。これは、摩擦クラッチ17Aに外力である
油圧を供給することより設定される。したがって電動オ
イルポンプ28が動作させられて油圧を発生する。
【0076】これに対して非走行状態および各変速段を
設定している状態では、摩擦クラッチ17Aが解放させ
られ、かつ各一方向クラッチ17B,17Cが係合状態
に設定される。すなわち、摩擦クラッチ17Aから排圧
してこれを解放し、また各一方向クラッチ17B,17
Cに油圧を一時的に供給してリテーナー54およびスプ
ラグ52の位置を変更する。したがってこれらの各状態
を設定した後は、外力である油圧を必要としないので、
電動オイルポンプ28が停止させられる。そのため、前
述した図1に示す自動変速機と同様に、定常的な状態で
は、電動オイルポンプ28を停止させておくので、エネ
ルギーの消費が抑制されて車両の燃費が向上する。
【0077】なお、上記の各具体例では、電動オイルポ
ンプ28で発生した油圧を直接油圧制御装置もしくは各
クラッチあるいはアクチュエータに供給するように構成
したが、この発明では、電動オイルポンプ28に替え
て、あるいはこれと併せた蓄圧器を設けてもよい。この
蓄圧器60を図1および図6に鎖線で示してあり、これ
は、前述した各クラッチあるいはアクチュエータに付与
する外力もしくはエネルギーを蓄えるこの発明の蓄積機
構に相当するものであって、電動オイルポンプによって
発生した油圧、あるいはエンジン16によって駆動され
る図示しない油圧ポンプによって発生した油圧を蓄える
ように構成されている。
【0078】したがってこの種の蓄圧器60を設けた場
合には、その蓄積している油圧が下限値を下回った場合
に、電動オイルポンプを駆動し、あるいは油圧ポンプを
駆動すればよく、その際の動力は回生エネルギーなどの
燃費に対して有利なものを選択して使用できる。また、
既に蓄えている油圧を使用することになるので、クラッ
チやアクチュエータの動作応答性が良好になる。
【0079】また、この発明は上述した各具体例に限定
されないのであって、上述した各具体例の一部を変更し
た各種の変形例が可能である。例えば、パーキングレン
ジでは、出力軸2の回転を積極的に阻止することが望ま
しいので、各クラッチを解放状態もしくは中立状態にす
る替わりに、変速段を設定するためのクラッチのうち、
いずれか2つ以上を係合させて、出力軸2の回転を止め
るようにしてもよい。また、上記の各具体例では、変速
段を設定するためのギヤ対を出力軸に対して選択的に連
結する構成としたが、これに替えて、変速段用のギヤ対
を入力軸に対して選択的に連結するように構成してもよ
い。
【0080】さらに、この発明における変速比用クラッ
チは、係合状態および解放状態を外力を付与することな
く維持するクラッチであればよく、上述したスプライン
タイプのクラッチ以外に、対向面に噛み合い歯を形成し
たクラッチなどのいわゆる噛み合い式のクラッチ(ドッ
ククラッチ)を採用することができる。さらに、この発
明に係る自動変速機を搭載する車両は、内燃機関のみを
動力源とした車両に限定されないのであって、内燃機関
および電動機を動力源としたハイブリッド車であっても
よい。そして、この発明における一方向クラッチを2つ
組み合わせた「第2のクラッチ機構」は、要は、トルク
を伝達しない解放状態と、トルクの伝達を正転方向およ
び逆転方向のいずれかとする一方向クラッチ状態と、完
全に係合した状態とを選択できるものであればよく、上
記の具体例で示したものに限定されない。
【0081】
【発明の効果】以上説明したように請求項1の発明によ
れば、発進時および変速時には発進クラッチを解放状態
から係合状態に切り換え、また変速用クラッチを一時的
に係合状態に制御する必要があり、その際に油圧などの
外力を使用することになるが、所定の変速比が設定され
ている状態では、発進クラッチが外力を付与することな
くその係合状態を維持し、また変速比クラッチも同様
に、外力を付与することなく係合状態を維持するため、
所定の変速比を維持して走行している際には、その変速
比を維持するためにエネルギーを消費することがなく、
したがって上記の自動変速機を搭載している車両の燃費
を向上させることができる。また、変速の際に一方の変
速比クラッチが解放し、他の変速比クラッチが係合する
が、その変速の過程では、変速用クラッチが出力側部材
にトルクを伝達しているので、変速過渡時に出力側部材
のトルクが低下することが回避し、乗り心地を改善する
ことができる。さらに、発進用クラッチは、そのトルク
伝達容量を連続的に変化させることができるから、ショ
ックを生じることなく滑らかに発進することができ、ま
た、停止時にクリープトルクを発生させることができ
る。
【0082】また、請求項2の発明によれば、発進時に
は、第1および第2のクラッチ機構を切り換え動作させ
る必要があり、また変速時には変速用クラッチを一時的
に係合状態に制御する必要があるので、その際に油圧な
どの外力を使用することになるが、所定の変速比が設定
されている状態では、発進クラッチにおける一方向クラ
ッチ機構がその係合状態を維持し、また変速比クラッチ
も同様に、外力を付与することなく係合状態を維持する
ため、所定の変速比を維持して走行している際には、そ
の変速比を維持するためにエネルギーを消費することが
なく、したがって上記の自動変速機を搭載している車両
の燃費を向上させることができる。また、変速の際に一
方の変速比クラッチが解放し、他の変速比クラッチが係
合するが、その変速の過程では、変速用クラッチが出力
側部材にトルクを伝達しているので、変速過渡時に出力
側部材のトルクが低下することを回避し、乗り心地を改
善することができる。さらに、発進用クラッチにおける
第1のクラッチ機構は、そのトルク伝達容量を連続的に
変化させることができるから、ショックを生じることな
く滑らかに発進することができ、また、停止時にクリー
プトルクを発生させることができる。
【0083】さらに請求項3の発明によれば、所定の変
速比を設定している状態では、発進クラッチおよび変速
用クラッチのいずれにも外力を付与する必要がなく、そ
のために外力発生手段が停止状態に制御されるので、所
定の変速比を維持するために特にエネルギーを消費する
ことがなく、上記の自動変速機を搭載した車両の燃費を
向上させることができる。
【0084】さらにまた請求項4の発明によれば、変速
用クラッチを係合させ、また発進クラッチを解放側に制
御する場合の外力が、蓄積機構から付与され、そして、
その蓄積機構は、発進クラッチの解放あるいは変速用ク
ラッチの係合のタイミングに拘わらず、外力を蓄積する
ので、前記自動変速機を搭載した車両の余裕動力あるい
は回生動力を利用して外力の蓄積をおこなうことがで
き、その結果、その車両の燃費を向上させることができ
る。
【0085】そして、請求項5の発明によれば、車速が
予め定めた所定の低車速域にある状態では、発進クラッ
チが滑り状態に設定され、その場合、発進クラッチが完
全に係合している状態から解放側に制御されるので、そ
れに伴ってエネルギーを消費することになるが、動力源
の回転数が低下することに伴う動力源からの入力トルク
の変動が、発進クラッチの滑りによって吸収され、その
結果、車両の振動や騒音を抑制もしくは防止することが
でき、さらにエンジンストールを回避することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係る自動変速機の一例を示すスケ
ルトン図である。
【図2】 その発進クラッチの一例を模式的に示す図で
ある。
【図3】 その自動変速機で設定される変速段領域を車
速およびアクセル開度をパラメータとして示す変速線図
である。
【図4】 図1に示す自動変速機で設定される走行レン
ジおよび変速段でのクラッチなどの動作状態をまとめて
示す図表である。
【図5】 その電動オイルポンプの駆動・停止を制御す
るためのルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図6】 この発明に係る自動変速機の他の例を示すス
ケルトン図である。
【図7】 その自動変速機の発進クラッチに採用される
一方向クラッチの例を模式的に示す部分図である。
【図8】 図6に示す自動変速機で設定される走行レン
ジおよび変速段でのクラッチなどの動作状態をまとめて
示す図表である。
【符号の説明】
1…入力軸、 2…出力軸、 3,4,5,6,7,8
…変速段用ギヤ対、9,10,11…(変速段用の)ク
ラッチ、 12,13,14…アクチュエータ、 15
…変速用ギヤ対、 17…発進クラッチ、 17A…摩
擦クラッチ、17B,17C…一方向クラッチ、 18
…変速用クラッチ、 28…電動オイルポンプ、 29
…油圧制御装置、 30…電子制御装置、 60…蓄圧
器。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3J057 AA03 BB01 BB03 FF10 FF15 FF17 GA01 GA17 GA21 GA30 GA44 GB05 GB23 GB26 GB36 GE03 GE05 GE07 HH01 3J552 MA04 MA13 NA01 NB08 PA59 QB02 QC09 RA02 RB17 SA18 SA26 UA03 UA10

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 係合することにより入力側部材と出力側
    部材との回転数比を所定の値に設定しかつ外力を付与す
    ることなく係合状態を維持する複数の変速比クラッチ
    と、係合することにより動力源のトルクを前記入力側部
    材に伝達する発進クラッチと、係合することにより動力
    源のトルクを前記出力側部材に伝達する変速用クラッチ
    とを有する自動変速機において、 前記発進クラッチが、トルク伝達容量を連続的に変化さ
    せることができ、かつ外力を付与することなく係合状態
    を維持するクラッチによって構成され、 前記変速用クラッチが、外力を付与することにより係合
    し、かつ外力を付与しないことにより解放状態を維持す
    るクラッチによって構成されていることを特徴とする自
    動変速機。
  2. 【請求項2】 係合することにより入力側部材と出力側
    部材との回転数比を所定の値に設定しかつ外力を付与す
    ることなく係合状態を維持する複数の変速比クラッチ
    と、係合することにより動力源のトルクを前記入力側部
    材に伝達する発進クラッチと、係合することにより動力
    源のトルクを前記出力側部材に伝達する変速用クラッチ
    とを有する自動変速機において、 前記発進クラッチが、付与される外力に応じてトルク伝
    達容量が増大する第1のクラッチ機構と、動作状態では
    所定の一回転方向にトルクを伝達しかつ非動作状態では
    いずれの回転方向にもトルクを伝達しない第1の一方向
    クラッチ機能および動作状態では前記一回転方向とは反
    対の回転方向にトルクを伝達しかつ非動作状態ではいず
    れの回転方向にもトルクを伝達しない第2の一方向クラ
    ッチ機能を有する第2のクラッチ機構とによって構成さ
    れ、 前記変速用クラッチが、外力を付与することにより係合
    し、かつ外力を付与しないことにより解放状態を維持す
    るクラッチによって構成されていることを特徴とする自
    動変速機。
  3. 【請求項3】 係合することにより入力側部材と出力側
    部材との回転数比を所定の値に設定しかつ外力を付与す
    ることなく係合状態を維持する複数の変速比クラッチ
    と、係合することにより動力源のトルクを前記入力側部
    材に伝達する発進クラッチと、係合することにより動力
    源のトルクを前記出力側部材に伝達する変速用クラッチ
    とを有する自動変速機の制御装置において、 前記発進クラッチが、トルク伝達容量を連続的に変化さ
    せることができ、かつ外力を付与することなく係合状態
    を維持するクラッチによって構成され、 前記変速用クラッチが、外力を付与することにより係合
    し、かつ外力を付与しないことにより解放状態を維持す
    るクラッチによって構成され、 動力を受けて動作することにより前記外力を発生する外
    力発生機構が設けられ、 さらに前記発進クラッチと変速用クラッチとのいずれに
    も外力を付与しない状態では前記外力発生機構の動作の
    停止を指示する停止指示手段が設けられていることを特
    徴とする自動変速機の制御装置。
  4. 【請求項4】 係合することにより入力側部材と出力側
    部材との回転数比を所定の値に設定しかつ外力を付与す
    ることなく係合状態を維持する複数の変速比クラッチ
    と、係合することにより動力源のトルクを前記入力側部
    材に伝達する発進クラッチと、係合することにより動力
    源のトルクを前記出力側部材に伝達する変速用クラッチ
    とを有する自動変速機の制御装置において、 前記発進クラッチが、トルク伝達容量を連続的に変化さ
    せることができ、かつ外力を付与することなく係合状態
    を維持するクラッチによって構成され、 前記変速用クラッチが、外力を付与することにより係合
    し、かつ外力を付与しないことにより解放状態を維持す
    るクラッチによって構成され、 前記外力を蓄えておき、かつ蓄えた外力を前記発進クラ
    ッチおよび変速用クラッチに選択的に付与する蓄積機構
    が設けられていることを特徴とする自動変速機の制御装
    置。
  5. 【請求項5】 係合することにより入力側部材と出力側
    部材との回転数比を所定の値に設定しかつ外力を付与す
    ることなく係合状態を維持する複数の変速比クラッチ
    と、係合することにより動力源のトルクを前記入力側部
    材に伝達する発進クラッチと、係合することにより動力
    源のトルクを前記出力側部材に伝達する変速用クラッチ
    とを有する自動変速機の制御装置において、 前記発進クラッチが、トルク伝達容量を連続的に変化さ
    せることができ、かつ外力を付与することなく係合状態
    を維持するクラッチによって構成され、 前記変速用クラッチが、外力を付与することにより係合
    し、かつ外力を付与しないことにより解放状態を維持す
    るクラッチによって構成され、 前記自動変速機を搭載した車両の車速が予め定めた低車
    速領域にある状態では前発進クラッチを滑り状態に設定
    するクラッチ制御手段を備えていることを特徴とする自
    動変速機の制御装置。
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