JP2004084928A - 変速機の油圧制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】変速機における制御回路と潤滑回路の特性に合わせた油圧エネルギ供給により、油圧発生のためのオイルポンプの必要容量と運転エネルギロスを小さくする。
【解決手段】変速機の油圧制御装置は、オイルポンプ20を油圧エネルギ源として、油の供給により、機構各部の潤滑を行なうとともに、変速制御のための油圧サーボC1〜C3を作動させる。油圧制御装置は、油を常時供給される潤滑回路3と、供給される油を蓄圧し、油圧サーボに供給するアキュムレータ4とを備え、オイルポンプを潤滑回路とアキュムレータに選択的に接続する選択弁41を有する。油圧サーボのアキューム圧作動でオイルポンプの低容量化が可能となり、アキュムレータへの蓄圧完了時に潤滑回路への油供給に合わせて低負荷運転とすることで油圧エネルギロスが低減される。
【選択図】 図4
【解決手段】変速機の油圧制御装置は、オイルポンプ20を油圧エネルギ源として、油の供給により、機構各部の潤滑を行なうとともに、変速制御のための油圧サーボC1〜C3を作動させる。油圧制御装置は、油を常時供給される潤滑回路3と、供給される油を蓄圧し、油圧サーボに供給するアキュムレータ4とを備え、オイルポンプを潤滑回路とアキュムレータに選択的に接続する選択弁41を有する。油圧サーボのアキューム圧作動でオイルポンプの低容量化が可能となり、アキュムレータへの蓄圧完了時に潤滑回路への油供給に合わせて低負荷運転とすることで油圧エネルギロスが低減される。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、変速機の油圧制御装置に関し、特に、変速機の潤滑回路と制御回路に対する油圧供給の制御技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動変速機において、変速制御のためのクラッチやブレーキの油圧サーボの作動、機構各部の潤滑及び冷却、更にはトルクコンバータに対する作動油の循環のために油圧の供給を行なう油圧制御装置は、一般に、機関回転数と同速で回転するトルクコンバータのポンプ側の回転部材により機械的に駆動されるオイルポンプを油圧発生源とする。このように、油圧発生源の油圧エネルギを利用して、特定の変速段の維持(クラッチやブレーキの係合維持)のためにほとんど流量を必要としない長時間の高圧と、変速(クラッチやブレーキの係合操作)のためにそれほど高い油圧を必要せずに短時間の大流量とを必要とする制御回路と、この制御回路に比べて低圧ながら常時概ね一定の流量を必要とする潤滑回路に油を供給するには、これらの状態に十分に対応可能な大容量のオイルポンプを用いれば足りる。しかしながら、オイルポンプの駆動は、機関出力に対する駆動力を減殺する負荷となることから、こうした流量と圧力の条件に常時対応可能な油圧エネルギを得るようにオイルポンプの容量を設定することは得策ではない。こうした事情から、従来、自動変速機における機械駆動のオイルポンプは、油圧エネルギ消費条件の重なりを勘案して、可及的に小容量に設定されている。
【0003】
上記のようなオイルポンプ容量の設定の基では、時として、制御回路側の必要流量が満たされずに供給油路の瞬間的な圧力低下が生じることがあり、これを修正する調圧信号回路の過渡的な作動から、逆に供給油路の油圧が瞬間的に昇圧され過ぎ、クラッチやブレーキの急係合による変速ショックの発生につながることがある。こうした問題に対処すべく、従来、オイルポンプが吐出する油が圧力調整弁の制御下で油圧回路内で必要とされる油圧に調圧される調圧油路に直接接続して、調節された油を蓄圧する容量要素としてアキュムレータを設けた自動変速機の油圧制御装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特公平5−7579号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記の従来技術は、オイルポンプを機関回転に従って駆動させることを前提とし、制御回路の瞬間的な圧低に起因する変速ショックの発生の回避を課題とすることから、制御回路に対する供給回路に蓄圧容量手段としてのアキュムレータを配して、瞬間的な油圧エネルギ不足を補う対策を取るものであり、油圧エネルギの総合的な削減に対する考慮はない。したがって、この従来技術におけるオイルポンプの容量は、機関回転が最も低いアイドリング状態でも、必要な油圧を吐出できるように設定されている。その結果、機関回転が高く、動力伝達のための必要流量が低い状態では、過剰に油圧エネルギを発生させていることになり、伝達効率や燃費の改善にはつながらない。一般に、油圧エネルギの削減の問題は、オイルポンプを機関回転とは別個に回転制御可能なもの、例えば電動モータ駆動のオイルポンプのような可変容量ポンプとすれば改善可能であるが、そうした場合でも、動力伝達、潤滑及び冷却等の機能を同時に満足する油圧エネルギを得るには、消費電力及びサイズの比較的大きな電動オイルポンプが必要である。
【0006】
本発明は、上記のような事情に鑑み案出されたものであり、変速機における制御回路と潤滑回路の特性に合わせた油圧エネルギ供給により、油圧発生のためのオイルポンプの必要容量と駆動エネルギ消費を小さくすることを第1の目的とする。次に、本発明は、回路の油圧エネルギロスを削減して、オイルポンプの容量削減に役立てることを更なる第2の目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記第1の目的を達成するため、本発明は、オイルポンプを油圧エネルギ源として、油の供給により、機構各部の潤滑を行なうとともに、変速制御のための油圧サーボを作動させる変速機の油圧制御装置であって、油を供給される潤滑回路と、供給される油を蓄圧し、油圧サーボに供給可能なアキュムレータと、を備えるものにおいて、前記オイルポンプを潤滑回路とアキュムレータに選択的に接続する切換手段が設けられたことを特徴とする。
【0008】
上記第2の目的を達成するため、本発明は、オイルポンプを油圧エネルギ源として、油の供給により、機構各部の潤滑を行なうとともに、変速制御のための油圧サーボを作動させる変速機の油圧制御装置であって、油を供給される潤滑回路と、供給される油を蓄圧し、油圧サーボに供給可能なアキュムレータと、を備えるものにおいて、前記油圧サーボを作動させるための複数の制御弁を備え、それら制御弁の各ドレーンポートのうちの少なくとも一部は、前記潤滑回路に接続されたことを特徴とする。
【0009】
上記の構成において、前記アキュムレータは、少なくとも油圧サーボを1回作動させるに足る蓄圧容量を有する構成とするのが有効である。
【0010】
上記の構成において、より具体的には、前記アキュムレータの蓄圧状態を検出する油圧センサと、該油圧センサが検出する情報に基づき前記オイルポンプの運転を制御する電子制御装置を備え、該電子制御装置は、少なくとも油圧センサが検出するアキュムレータの蓄圧状態に応じてオイルポンプの運転を制御する構成とされる。また、前記電子制御装置は、前記オイルポンプを、前記アキュムレータへの蓄圧時には高出力運転とし、アキュムレータへの蓄圧完了後には、潤滑油量を確保するに足る低出力運転とする構成とされる。この場合、前記高出力運転と低出力運転の少なくとも一方は、電子制御装置によるその運転時間の継続判断により、他方の出力運転に切換えられる構成とするのも有効である。
【0011】
また、上記の構成において、シフトポジションセンサを備え、前記オイルポンプは、シフトポジションセンサによる非走行レンジ検出を条件として、低出力運転とされる構成を採るのも有効である。この場合、前記低出力運転により確保する潤滑油量は、走行レンジにおいて確保すべき潤滑油量より低く設定される。
【0012】
上記いずれの場合も、前記オイルポンプは、可変容量ポンプであればよいが、特に、電動オイルポンプとするのが有効である。
【0013】
更に、前記油圧制御装置は、前記油圧サーボを制御するための複数の制御弁を備え、それら弁の各ドレーンポートのうちの少なくとも一部は、前記潤滑回路に接続された構成とするのが有効である。また、前記油圧制御装置は、前記油圧サーボを制御するための複数の制御弁を備え、それら制御弁の各ドレーンポートのうちの少なくとも一部は、閉鎖された構成を採るのも有効である。
【0014】
前記いずれかの構成において、前記切換手段と前記アキュムレータとの間の油路と、前記潤滑回路とをオリフィスを介して連通した構成とするのが有効である。また、前記アキュムレータと前記切換手段との間に、前記オイルポンプからアキュムレータへの油圧の供給のみ許容する一方向供給油路を設け、該一方向供給油路と前記潤滑回路とをオリフィスを介して連通した構成を採るのも有効である。
【0015】
【発明の作用及び効果】
上記請求項1記載の構成では、オイルポンプが選択的にアキュムレータに接続可能であるため、油圧サーボ作動のための高い油圧を蓄圧するアキュムレータへの蓄圧完了時に、オイルポンプを高い油圧を必要としない潤滑回路への接続に切換えることで、アキュムレータへの接続時に対してオイルポンプの負荷を低減することができる。そのため、アキュムレータの蓄圧完了時にオイルポンプを低負荷運転とすることで、蓄圧用の高い油圧を発生させるに要する油圧エネルギのロスをなくすことができる。
【0016】
また、請求項2記載の構成では、一旦アキュムレータに蓄圧され、油圧サーボを作動させるための制御弁に供給されてドレーンされる油を潤滑回路への供給に充てることができるため、蓄圧のために要したオイルポンプの駆動エネルギが油圧サーボの作動と潤滑に有効に利用される。
【0017】
次に、請求項3記載の構成では、アキュムレータが油圧サーボの作動に必要な油圧エネルギを常に蓄圧していることになるため、必要時に、オイルポンプを高負荷運転に切換える操作を要せずに、この油圧エネルギにより油圧サーボを確実に作動させることができる。したがって、この構成によれば、オイルポンプの運転制御を単純化することができる。
【0018】
次に、請求項4記載の構成では、油圧センサが検出する情報に基づきアキュムレータの蓄圧状態に応じてオイルポンプが運転を制御されることで、過剰な油圧エネルギを発生させることによるエネルギロスを回避することができる。
【0019】
次に、請求項5記載の構成では、オイルポンプが発生させる油圧エネルギをエネルギ消費に合わせることができるため、オイルポンプ駆動のためのエネルギのロスを防ぐことができる。
【0020】
次に、請求項6記載の構成では、油圧回路異常発生時でもオイルポンプやその駆動機構に過剰な負荷がかかるのを防ぎながらアキュムレータの蓄圧状態を確保して、油圧回路の機能を正常時に順じた状態に維持させることができる。
【0021】
次に、請求項7記載の構成では、オイルポンプが発生させる油圧エネルギを車両の運行状態に応じたエネルギ消費に合わせることが可能となるため、オイルポンプ駆動のためのエネルギのロスを総合的に一層低減することができる。
【0022】
次に、請求項8記載の構成では、オイルポンプが発生させる油圧エネルギをエネルギ要求の少ない車両の非走行時に低減することができるため、オイルポンプ駆動のためのエネルギのロスをより一層低減することができる。
【0023】
次に、請求項9記載の構成では、容量可変のための複雑な制御機構を必要としないため、油圧発生源の小形、軽量化が可能となる。
【0024】
次に、請求項10記載の構成では、請求項1の構成による前記効果と、請求項2の構成による効果を併せて達成することができる。
【0025】
次に、請求項11記載の構成では、油圧サーボを制御するための制御弁からのドレーンによるドレーン油路からの油抜けを防ぐことで、制御弁からの油漏れを減少させることができるため、油圧制御装置の油圧エネルギ消費を削減することができ、それがオイルポンプの低容量化につながる。
【0026】
次に、請求項12記載の構成では、切換手段の作動によるアキュムレータへの油供給時にも、オリフィスを介して常時潤滑回路への油の供給を維持することができるため、アキュムレータ蓄圧時の潤滑不足をなくすことができる。
【0027】
次に、請求項13記載の構成では、アキュムレータに蓄圧した油が潤滑回路に流出するのを一方向供給油路によって阻止することができるため、切換手段の作動による潤滑回路への油の供給時に、油圧サーボの作動に備えるアキュムレータの蓄圧状態を保持することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、図面に沿い、本発明の実施形態を説明する。図1は本発明の適用に係る変速機のギヤトレーンの一例をスケルトンで示す。このギヤトレーンは、手動変速機を主体として構成され、複数の変速要素G1〜G8を有し、これら変速要素を通る並列な動力伝達流れの選択により複数の変速段を達成する主変速機(実施形態の説明において、M/T部という)M/Tと、プラネタリギヤセットPを変速要素とする副変速機(同じく、プラネタリ部という)S/Tと、プラネタリ部S/Tの異なる変速要素をM/T部の異なる変速要素に連結する内外2重の軸Y,Zを備える。
【0029】
この形態の場合、M/T部は、その変速要素として複数の常時噛合式の歯車対G1〜G8を包含し、変速要素を通る動力伝達流れを選択する2つのドッグクラッチH1,H2を有する。このM/T部は、2重の内軸Y及び外軸Zを入力軸とし、それらの軸上の各ドライブギヤG3,G7,G1,G5から出力軸O上の各ドリブンギヤG4,G8,G2,G6に平行軸で動力を伝達する構成とされている。外軸Z上の第1速及び第3速用のドライブギヤG1,G5とリバース用のドライブギヤGrは、外軸Zに一体回転可能に連結されている。これら第1速及び第3速用のドライブギヤG1,G5と対をなすそれぞれのドリブンギヤG2,G6は、出力軸O上に回転自在に支持され、それらの間に配置されたドッグクラッチH1の軸方向移動により出力軸Oに選択的に連結可能とされている。また、リバース用のドライブギヤGrとドッグクラッチH1の外周歯で構成されるリバース用のドリブンギヤは、カウンタギヤGcを介して相互に噛合い、ドッグクラッチH1の中立位置においてリバースギヤ列を通る動力伝達を可能としている。内軸Y上の第2速及び第4速用のドライブギヤG3,G7は内軸Yに回転自在に支持され、それらの間に配置されたドッグクラッチH2の軸方向移動により内軸Yに選択的に連結可能とされている。これら第2速及び第4速用のドライブギヤG3,G7と対をなすそれぞれのドリブンギヤG4,G8は、それぞれ出力軸Oに一体回転可能に連結されている。
【0030】
プラネタリ部S/Tは、図示しないエンジンE/GのフライホイールダンパF/Wに連結する入力軸Xと、入力軸Xと同軸配置の内外二重軸でM/T部入力軸としての内軸Y及び外軸Zに連結する出力軸を備える。プラネタリ部S/Tは、ダブルピニオン構成とされている。すなわち、プラネタリギヤセットPのサンギヤSは、内軸Yに連結され、この内軸Yがクラッチ(C−1)を介して入力軸Xに連結され、キャリアCは、外軸Zに連結されると共に、クラッチ(C−2)を介して入力軸Xに連結されている。リングギヤRは、クラッチ(C−3)を介して入力軸Xに連結されている。
【0031】
こうした構成からなる変速機は、図2にその作動を図表化して示す(図において○印は油圧の供給と押付力の作用(クラッチ係合)を表し、括弧付の○印はクラッチ係合に関与しない油圧供給状態を表す)ようなクラッチ作動で、1〜4速の合計7速の変速段を達成する。
【0032】
図1に戻って、M/T部の第1歯車対G1,G2をドッグクラッチH1で出力軸Oに連結し、プラネタリ部S/Tのクラッチ(C−2)を係合することで第1速を達成する。この状態で、エンジンE/Gの回転がプラネタリ部S/Tのクラッチ(C−2)経由でキャリアCを通して外軸ZからM/T部のドライブギヤG1に入力され、第1歯車対G1,G2で減速され、ドッグクラッチH1を経て出力軸Oに伝達される。このときの変速比は、最小径のドライブギヤG1と最大径のドリブンギヤG2のギヤ比に従う第1速の変速比となる。
【0033】
次に、第1.5速は、M/T部の第1歯車対G1,G2をドッグクラッチH1で出力軸Oに連結すると共に、第2歯車対G3,G4をドッグクラッチH2で出力軸Oに連結し、プラネタリ部S/Tのクラッチ(C−3)を係合することで達成される。この状態が前変速段を第1速とする1→1.5変速で生じる場合、両ドッグクラッチH1,H2の係合により第1歯車対G1,G2と第2歯車対G3,G4が共に出力軸Oに連結された状態となることで、第1歯車対G1,G2のドライブギヤG1と第2歯車対G3,G4のドライブギヤG3に連結する外軸Zと内軸Yは、第1歯車対G1,G2のギヤ比と第2歯車対G3,G4のギヤ比となり、内軸Yに連結するプラネアリギヤセットPのサンギヤSと外軸Zに連結するキャリアCの回転関係が定まる。この状態でのサンギヤSの回転は、エンジン回転と等しい回転であるのに対して、キャリアCの回転はそれより減速された回転となり、リングギヤRはこれらの回転に規制されて空転している。この状態でクラッチ(C−2)を解放し、クラッチ(C−3)の係合に移行して、空転中のリングギヤRにエンジンE/G回転が入力されることで、予め生成された前記中間のギヤ比に従うリングギヤRからキャリアCへのトルク伝達と、リングギヤRからキャリアC経由でサンギヤSへのトルク伝達が並列的に生じ、これらのトルクが外軸Zと内軸Y経由で両歯車対G1,G2,G3,G4を介して出力軸Oに伝達されて第1.5速の変速段が達成される。
【0034】
第2速は、M/T部の第2歯車対G3,G4をドッグクラッチH2で出力軸Oに連結し、プラネタリ部S/Tのクラッチ(C−1)を係合することで達成される。この状態で、エンジンE/Gの回転がクラッチ(C−1)経由で内軸Yに入力され、その回転がドッグクラッチH2を経て第2歯車対G3,G4に伝達され、そこで第2歯車対G3,G4のギヤ比で減速されて出力軸Oに伝達される。
【0035】
第2.5速は、M/T部の第2歯車対G3,G4をドッグクラッチH2で出力軸Oに連結すると共に、第3歯車対G5,G6をドッグクラッチH1で出力軸Oに連結し、プラネタリ部S/Tのクラッチ(C−3)を係合することで達成される。この状態が前変速段を第2速とする2→2.5変速で生じる場合、両ドッグクラッチH1,H2の係合により第2歯車対G3,G4と第3歯車対G5,G6が共に出力軸Oに連結された状態となることで、第2歯車対G3,G4のドライブギヤG3と第3歯車対G5,G6のドライブギヤG5に連結する内軸Yと外軸Zは、第2歯車対G3,G4のギヤ比と第3歯車対G5,G6のギヤ比となり、内軸Yに連結するプラネアリギヤセットPのサンギヤSと外軸Zに連結するキャリアCの回転関係が定まる。この状態でのキャリアCの回転は、エンジンE/G回転と等しい回転であるのに対して、サンギヤSの回転はそれより増速された回転となり、リングギヤRはこれらの回転に規制されて空転している。この状態でクラッチ(C−1)を解放し、クラッチ(C−3)の係合に移行して、空転中のリングギヤRにエンジンE/G回転が入力されることで、予め生成された前記中間のギヤ比に従うリングギヤRからキャリアCへのトルク伝達と、リングギヤRからキャリアC経由でサンギヤSへのトルク伝達が並列的に生じ、これらのトルクが内軸Yと外軸Z経由で両歯車対G3,G4,G5,G6を介して出力軸Oに伝達されて第2.5速の変速段が達成される。
【0036】
第3速は、M/T部の第3歯車対G5,G6をドッグクラッチH1で出力軸Oに連結し、プラネタリ部S/Tのクラッチ(C−2)を係合することで達成される。この状態で、エンジンE/Gの回転がクラッチ(C−2)及びキャリアC経由で外軸Zに入力され、その回転が第3歯車対G5,G6に伝達され、そこで第3歯車対G5,G6のギヤ比で増速され、ドッグクラッチH1を経て出力軸Oに伝達される。
【0037】
第3.5速は、M/T部の第3歯車対G5,G6をドッグクラッチH1で出力軸Oに連結すると共に、第4歯車対G7,G8をドッグクラッチH2で出力軸Oに連結し、プラネタリ部S/Tのクラッチ(C−3)を係合することで達成される。この状態が前変速段を第3速とする3→3.5変速で生じる場合、両ドッグクラッチH1,H2の係合により第3歯車対G5,G6と第4歯車対G7,G8が共に出力軸Oに連結された状態となることで、第3歯車対G5,G6のドライブギヤG5と第4歯車対G7,G8のドライブギヤG7に連結する外軸Zと内軸Yは、第3歯車対G5,G6のギヤ比と第4歯車対G7,G8のギヤ比となり、内軸Yに連結するプラネアリギヤセットPのサンギヤSと外軸Zに連結するキャリアCの回転関係が定まる。この状態でのキャリアCの回転は、エンジンE/G回転と等しい回転であるのに対して、サンギヤSの回転はそれより増速された回転となり、リングギヤRはこれらの回転に規制されて空転している。この状態でクラッチ(C−2)を解放し、クラッチ(C−3)の係合に移行して、空転中のリングギヤRにエンジンE/G回転が入力されることで、予め生成された前記中間のギヤ比に従うリングギヤRからキャリアCへのトルク伝達と、リングギヤRからキャリアC経由でサンギヤSへのトルク伝達が並列的に生じ、これらのトルクが内軸Yと外軸Z経由で両歯車対G5,G6,G7,G8を介して出力軸Oに伝達されて第3.5速の変速段が達成される。
【0038】
第4速は、M/T部の第4歯車対G7,G8をドッグクラッチH2で出力軸Oに連結し、プラネタリ部S/Tのクラッチ(C−1)を係合することで達成される。この状態で、エンジンE/Gの回転がクラッチ(C−1)経由で内軸Yに入力され、その回転がドッグクラッチH2を経て第4歯車対G7,G8に伝達され、そこで第4歯車対G7,G8のギヤ比で増速されて出力軸Oに伝達される。
【0039】
なお、図2の図表には示されていないが、リバースは、M/T部のドッグクラッチH1を中立として、リバースギヤ列Gr,Gcを出力軸Oに連結し、プラネタリ部S/Tのクラッチ(C−2)を係合することで達成される。この状態で、エンジンE/Gの回転がクラッチ(C−2)及びキャリアC経由で外軸Zに入力され、その回転がリバースギヤ列で減速且つカウンタギヤGc経由で前記各変速段とは逆転されて出力軸Oに伝達される。
【0040】
以上の各変速段達成の経緯から分かるように、この変速機では、各整数の変速段がプラネタリギヤセットPの変速要素を変速に関与しない単なる動力伝達部材として達成されるのに対して、各端数付きの変速段は、プラネタリギヤセットPの変速要素を機能させて達成される。しかも、これら各端数付きの変速段は、それを挟む整数の変速段の達成時に連結される2つの歯車対の同時連結により達成される。そして、端数付きの変速段は、M/T部の第1〜第4歯車対により本来達成可能な整数変速段に対する中間段としてのギヤ比で、隣り合う整数変速段を達成する歯車対による同時動力伝達により達成されるもので、隣り合う整数の変速段に対する経過段としても機能するものである。したがって、この変速機では、従来形式の常時噛合式の4速変速機に対して、歯車対を増やさずに各変速段の中間に、ギヤ比ステップを密にする形態で3速の変速段が付加されている。
【0041】
しかも、この変速機では、シフト中も前変速段を達成していた何れかの歯車対による動力伝達状態が継続することで、変速の間にニュートラル期間が存在しないため、トルク抜けによる加速度0の期間が生じず、速度増加も連続した滑らかなものとなる。
【0042】
次に示す図3は、制御装置のシステム構成をブロックで示す。図示するように、この制御装置は、電子制御装置1を中核として、それによる制御に必要な情報を検出し、入力すべく、電子制御装置1の入力側に接続された各種センサと、出力側に接続された制御対象としてのオイルポンプ20及び各種アクチュエータとで構成されている。
【0043】
上記センサとしては、オイルポンプ20の制御に係るものとして、油圧制御回路に組込んで、油圧センサ41と油温センサ42が設けられ、変速制御に係るものとして、スロットルセンサ71と、車速センサ72と、回転センサ73と、シフトポジションセンサ74が設けられている。また、制御対象としては、本発明の切換手段21を信号圧制御するオンオフソレノイドバルブ制御のためのソレノイド61aと、変速制御に係るものとして、各油圧サーボへの供給圧を制御する複数のリニアソレノイドバルブ制御のためのリニアソレノイド62a〜64aとが油圧制御回路に組込まれ、シフトアクチュエータ8が設けられている。
【0044】
次に示す図4は、油圧制御装置の回路構成を示すもので、この回路は、オイルポンプ20を油圧エネルギ源として、油の供給により、変速機構各部の潤滑を行なうとともに、変速制御のための各クラッチの油圧サーボ(図に○印で囲ったC1〜C3で略示する)を作動させる変速機の油圧制御装置を構成している。この回路は、油を常時供給される潤滑回路(図に○印で囲ったLUBEで略示する)3と、供給される油を蓄圧し、油圧サーボC1〜C3に供給するアキュムレータ40とを備える。そして、本発明の特徴に従い、オイルポンプ20を潤滑回路3とアキュムレータ40に選択的に接続する切換手段としてモードセレクトバルブ21が設けられている。
【0045】
以下、この制御回路の詳細と回路を構成する各要素について順次詳述する。この回路は、油溜まり5からポンプ20で油を吸い上げ、各部に供給後の油をドレーンさせて油溜まり5に戻す、通常の自動変速機と同様のオープン回路を構成している。先ず、油溜まり5から油を吸い上げて回路に吐出する油圧発生源としてのオイルポンプ20は、電子制御装置(図3参照)1による制御の容易性とコンパクト性の見地から、電動オイルポンプとされている。
【0046】
オイルポンプ20の吐出油路には、スプリング復帰式のスプール形3ポート切換弁からなるモードセレクトバルブ21のインポートが接続され、そのアウトポートの一方は、潤滑回路3に接続され、他方はチェックバルブ22を経て蓄圧回路4に接続されている。これら2つのアウトポートは、オリフィス23を介挿した油路で相互に接続されている。このモードセレクトバルブ21の切換えは、スプリング負荷に抗するスプール端へのソレノイド信号圧(後に詳記する)の印加により成される。
【0047】
オイルポンプ20の吐出圧をチックバルブ22を経て供給される蓄圧回路4には、アキュムレータ40が接続され、更に前記油圧センサ41と油温センサ42が接続されている。アキュムレータ40は、油圧サーボC1〜C3の同時作動や蓄圧所要時間に満たない時間間隔での連続作動がないものとすれば、少なくとも油圧サーボC1〜C3を1回作動させるに足る蓄圧容量を有するもので足りるが、本形態では短時間に変速が相次いで成される場合を想定して、余裕を持たせて3回分の油圧サーボの作動を可能とする蓄圧容量とされている。蓄圧回路4の出力側は、プライマリモジュレータバルブ50を介してライン圧回路5に接続されている。このプライマリモジュレータバルブ50は、スプリング負荷のスプール形3ポート減圧弁で構成され、ライン圧回路5に安定したライン圧を供給すべく設けられており、スプリング負荷に抗するスプール端へのオリフィスを介するライン圧のフィードバックにより調圧作動する。
【0048】
ライン圧回路5には、変速用の制御弁として3つのコントロールバルブ51〜53が接続されている。これらコントロールバルブ51〜53は、それぞれ同様のスプリング負荷のスプール形3ポート調圧弁で構成され、対応する各油圧サーボC1〜C3への供給圧をピストンストロークから摩擦材の係合完了まで調圧制御すべく設けられており、スプリング負荷とオリフィス経由のフィードバック圧に対向するソレノイド圧の印加で作動し、油圧サーボC1〜C3につながるアウトポートのライン圧回路に接続するインポートとドレーン油路につながるドレーンポートに対する連通度合をスプール変位で調整することで、油圧サーボC1〜C3の油圧を調圧する。なお、これらコントロールバルブ51〜53は、ソレノイド圧のフル出力印加時は、ライン圧を油圧サーボC1〜C3へ完全導通状態とし、ソレノイド圧の印加オフ時は、油圧サーボC1〜C3をドレーン連通とする機能も果たす。
【0049】
ライン圧回路5の末端には、先のプライマリモジュレータバルブ50と同様の構成のソレノイドモジュレータバルブ60を介してモジュレータ圧回路6が接続されている。このモジュレータ圧回路6は、ライン圧を後に詳述するリニアソレノイドバルブの調圧ゲインに合わせるように減圧したモジュレータ圧とすべく設けられている。このモジュレータ圧回路6には、モードセレクトバルブ21に対する信号圧印加用の常閉形のオンオフソレノイドバルブ61と、各コントロールバルブ51〜53に対する信号圧印加用の3つのリニアソレノイドバルブ62〜64が接続されている。オンオフソレノイドバルブ61は、3ポート形ボール弁の弁体でモジュレータ圧回路6につながるインポートとドレーンポートを選択的に閉鎖する構成とされ、ソレノイド信号オフ時はスプリング負荷でインポートを閉じてモードセレクトバルブ21のスプール端につながる信号圧油路をドレーン連通とし、ソレノイド信号オン時はソレノイド負荷でインポートとアウトポートを連通させてソレノイド圧をモードセレクトバルブ21に信号圧として印加する機能を果たす。3つのリニアソレノイドバルブ62〜64は、いずれも3ポート形スプール弁で構成され、スプリング負荷とオリフィス経由のフィードバック圧に対向するソレノイド負荷で作動し、コントロールバルブ51〜53につながるアウトポートをモジュレータ圧回路6に接続するインポートとドレーン油路につながるドレーンポートに対する連通度合をスプール変位で調整することで、コントロールバルブ51〜53にオリフィス経由で印加する信号圧を調圧する。
【0050】
前記各弁のドレーンについて、本形態では、油圧サーボを制御するための3つの制御弁としてのコントロールバルブ51〜53の各ドレーンポートは、油路からの油抜けを防ぐ排出弁54を備えるドレーン油路に接続されている。また、また2つのモジュレータバルブ50,60のドレーン油路は、ともにドレーン油路中に配した閉栓55,65により閉鎖されている。このように、弁のドレーンを閉鎖した場合、一般には、油圧の閉じ込みによる弁の作動不良が懸念されるが、この油圧回路では、これらの弁への油圧の供給はアキュムレータ40からの蓄圧の放出により定まった流量だけ成されるため、これらの弁がオイルポンプに直接接続されて油の供給を連続的に受ける場合と異なり、ドレーン流量としてはごく僅かなものとなるため、油圧については弁からの油漏れを利用して圧抜きし、油をドレーンポート側に残しておくことで、油圧エネルギロスの低減が図られている。また、3つのリニアソレノイドバルブ62〜64の各ドレーンポートについては、直接ドレーン連通とされている。
【0051】
こうした構成からなる油圧制御装置において、電動オイルポンプ20は、油圧センサ41が検出するアキュムレータ40の蓄圧状態(例えばアキュムレータ40がスプリング負荷のピストンを備えるものの場合、ピストン負荷荷重により定まる油圧(以下、実施形態の説明において、アキューム圧という)であって、蓄圧終了とすべきアキューム圧は、原則としては、前記各油圧サーボC1〜C3によりクラッチの摩擦材の係合を、その時点の車両負荷に応じて維持させるに要する油圧すなわちライン圧に、プライマリモジュレータバルブ50の調圧による減圧分の油圧を加えた油圧となる。)に応じて制御される。詳しくは、電動オイルポンプ20は、アキュムレータ40への蓄圧時には、所定の短い時間内に蓄圧を完了させるべく高出力運転とされ、アキュムレータ40への蓄圧完了時には、駆動エネルギすなわち消費電力の節減のために潤滑油量を確保するに足る低出力運転とされる。
【0052】
図5は、電子制御装置1による電動オイルポンプ制御の詳細をフローで示す。このフローは、オイルポンプを、アキュムレータへの蓄圧時には高出力運転とし、アキュムレータへの蓄圧完了後には、潤滑油量を確保するに足る低出力運転とすることを主体とするが、付加的な制御として、オイルポンプを、シフトポジションセンサによる非走行レンジ検出を条件として、低出力運転とし、その際、低出力運転により確保する潤滑油量を、走行レンジにおいて確保すべき潤滑油量より低く設定する制御と、高出力運転と低出力運転のいずれもを、電子制御装置によるその運転時間の継続判断により、他方の出力運転に切換える制御とを包含しする。
【0053】
先ず、当初のステップ100で、シフトレバー位置が「N」又は「P」の非走行レンジであるか否かを判定し、更にステップ110で、車速=0かつアクセルオフの条件が成立するか否かを判定する。こうしていずれかの条件が成立(Y)する場合には、車両がにわかに発進する状態ではないので、省エネモードを実現すべく、ステップ130によりアキューム圧設定の狙い値(上限値PLMAX,下限値PLMIN)を発進遅れが無い程度に低めにセットする。また、いずれの条件も不成立(N)の場合は、ステップ120によりアキューム圧設定の狙い値を通常時の値(上限値PNMMAX ,下限値PNMMIN )にセットする。
【0054】
次のステップ200では、現在の動作モードが潤滑モードか蓄圧モードかを判定し、蓄圧モード中であればステップ300へ、潤滑モード中であればステップ600へ進む。
【0055】
ステップ300へ進んだ場合、現在の動作モードが強制蓄圧モードか否かを判定し、強制蓄圧モードであればステップ310へ、そうでなければステップ320へ進む。強制蓄圧モードでステップ310へ進んだ場合は、設定された最大蓄圧時間TSMAXを経過したかどうかを判定し、経過していればステップ315で強制蓄圧モードフラグをリセットし、ステップ400で潤滑モードタイマをリセットし、ステップ410により潤滑モードに遷移する。最大蓄圧時間TSMAXが経過していなときは、ステップ500により強制蓄圧モードを継続する。
【0056】
ステップ320は、通常の蓄圧モードである。この場合、検出されたアキューム圧PACC が設定されたアキューム圧閾値の上限値P**MAX 以上かどうかを判定し、以上のときはステップ325で強制潤滑モードフラグをリセットし.ステップ400で潤滑モードタイマをリセットし、ステップ410により潤滑モードに遷移する。そうでなければステップ330へ進む。
【0057】
ステップ330では、通常の蓄圧モード中で、設定された最大蓄圧時間TSMAXを経過したかどうかを判定し、経過していればステップ335で強制潤滑モードフラグをセットし、ステップ400で潤滑モードタイマをリセットし、ステップ410により潤滑モードに遷移する。最大蓄圧時間TSMAXを経過していなければ、ステップ500で通常蓄圧モードを継続する。
【0058】
一方、先のステップ200で潤滑モード中である場合、ステップ600に遷移する。この場合、現在の動作モードが強制潤滑モードか否かを判定し、強制潤滑モードであればステップ610へ、そうでなければステップ620へ進む。強制潤滑モードでステップ610へ進んだ場合は、設定された最大潤滑時間TLMAXを経過したかどうかを判定し、経過していればステップ615で強制潤滑モードフラグをリセットし、ステップ700で蓄圧モードタイマをリセットし、ステップ710により蓄圧モードに遷移する。最大潤滑時間TLMAXが経過していなときは、ステップ800により強制潤滑モードを継続する。この強制潤滑モードで設定する最大潤滑時間TLMAXは、油の流動性が温度の影響を大きく受けることから、それを考慮して、油温に応じて複数設定されることが望ましく、その場合、ステップ610の判定は、例えば油温と最大潤滑時間を対応させたマップデータを参照する制御となる。
【0059】
ステップ620は、通常の潤滑モードである。この場合、検出されたアキューム圧PACC が設定されたアキューム圧閾値の下限値P**MIN 未満かどうかを判定し、未満のときはステップ625で強制蓄圧モードフラグをリセットし.ステップ700で蓄圧モードタイマをリセットし、ステップ710により蓄圧モードに遷移する。そうでなければステップ630へ進む。
【0060】
ステップ630では、通常の潤滑モード中で、設定された最大潤滑時間TLMAXを経過したかどうかを判定し、経過していればステップ635で強制蓄圧モードフラグをセットし、ステップ700で潤滑モードタイマをリセットし、ステップ710により蓄圧モードに遷移する。最大潤滑時間TLMAXを経過していなければ、ステップ800で通常潤滑モードを継続する。
【0061】
なお、上記のフローによれば、この制御中でセットされる強制蓄圧モードフラグ(ステップ635参照)及び強制潤滑モードフラグ(ステップ335参照)を参照して、エンジン制御ユニットによりエンジン出力を制限し、ドライバに警告する処理も可能となる。それにより、ライン圧が多少低下した場合でもリンプホームが可能となる。
【0062】
次に示す図6は、上記の油圧制御作動をタイムチャートで示す。図に正常時として示す油圧変化は、先の蓄圧モードと潤滑モードが正常に進行している状態で、潤滑モード中にシフト操作により非走行レンジへの切換えが行われた場合に、省エネモードが実行されることを示す例である。図に見るように、制御開始から油圧(アキューム圧PACC )は上昇し、蓄圧終了時にピークとなり、そこから回路内の油漏れにより徐々に低下する。この油圧低下が下限に達すると蓄圧が開始され、再びアキューム圧PACC は上昇し、蓄圧終了時にピークとなり、そこから回路内の油漏れにより徐々に低下する。図にはこの経過を3サイクルの途中まで示している。ここで、例えばD→Nシフトにより省エネモード移行条件が成立すると、アキューム圧設定の狙い値が通常の狙い値(上限値PLMMAX ,下限値PLMMIN )から省エネモード用の値(PLMAX,PLMIN)に引き下げられ(ステップ130参照)、オイルポンプの運転が低出力運転に切換えられている。これにより油圧が相対的に低下している。このモードは、図示のように、省エネモード解除条件が成立することで解除される(ステップ100又はステップ110参照)。
【0063】
図6に蓄圧モード固定時として示す油圧変化は、先の蓄圧モードと潤滑モードが正常に進行している状態で、蓄圧モード中に何らかの原因で蓄圧モード継続時間TSMAXを超えてもアキューム圧がアキューム圧閾値の上限値P**MAX に達しない場合を示す例である。この場合、異常発生として、以後の制御は潤滑モード継続時間TLMAXと蓄圧モード継続時間TSMAXの監視によるタイマ制御となる(ステップ335参照)。このモードは、蓄圧モード継続時間TSMAX内にアキューム圧がアキューム圧閾値の上限値P**MAX に達すると、正常復帰として解除される(ステップ315参照)。なお、前記のような蓄圧モード時の異常発生の原因としては、種々のものが想定されるが、油圧センサの故障が原因でない場合、モードセレクトバルブの作動不良や蓄圧回路の油漏れが想定され、こうした原因の場合は、実際の油圧も図示のようなものとなる。
【0064】
図6に潤滑モード固定時として示す油圧変化は、同様に蓄圧モードと潤滑モードが正常に進行している状態で、潤滑モード中に何らかの原因で潤滑モード継続時間を超えてもアキューム圧がアキューム圧閾値の下限値P**MIN まで降下しない場合を示す例である。この場合も、異常発生として、以後の制御は蓄圧モード継続時間と潤滑モード継続時間の監視によるタイマ制御となる(ステップ635参照)。このモードは、潤滑モード継続時間内にアキューム圧がアキューム圧閾値の下限値P**MIN に達すると、正常復帰として解除される(ステップ615参照)。なお、潤滑モード時の異常発生の原因としては、油圧センサの故障以外は想定し難いが、希な原因として、低温時の油の流動性の極端な低下による制御回路からの漏れの減少が想定される。
【0065】
次に、図7に示すフローは、車両発進時に限って潤滑油量を増加させる場合の制御を示す。このフローにおけるステップ10〜21は、先述のギヤトレーンにおいて、クラッチを滑らせながら係合させていくことで車両を発進させるいわゆるフリクション発進となり、このときに限ってクラッチ摩擦材の熱負荷が大きくなることから、フリクション発進時には、潤滑油による湿式クラッチ部の発熱保護を目的に、車速Vが所定の値V0 未満で、スロットル開度θが所定値θ0 を超える条件が成立したら、蓄圧時にオリフィス23(図4参照)を通して潤滑回路側に供給される潤滑流量を確保するために、アキューム圧設定のための狙い値を高めにセットするために設けられている処理である。
【0066】
すなわち、当初のステップ10で発進待機中か否かの判断を行ない、これが成立の場合に、ステップ20により発進待機中のアキューム圧の上限及び下限の閾値(PSTMAX ,PSTMIN )をセットする。一方、この判断が不成立の場合は、ステップ21により通常走行中のアキューム圧の上限及び下限の閾値(PNMMAX ,PNMMIN )をセットする。こうして次のステップ30に進み、現在の動作モードが潤滑モードであるか否かの判断を行なう。この判断が成立する潤滑モードであれば、ステップ40により、検出された現在のアキューム圧PACC と発進待機中の下限値PSTMIN とを比較し、通常走行時であれば、通常走行中の下限値PNMMIN とを比較する。また、この判断が不成立の非潤滑モードであれば、ステップ41により、検出された現在のアキューム圧PACC と発進待機中の上限値PSTMAX とを比較し、通常走行時であれば、通常走行中の上限値PNMMAX とを比較する。こうして、最後のステップ50又はステップ51により、先に示した油圧回路中のオンオフソレノイドバルブ61(図4参照)のオン・オフを切換えることにより蓄圧モードと潤滑モードの切換えを行なう。
【0067】
次に示す図8は、上記の油圧制御作動をタイムチャートで示す。図の■印を結ぶ線は、アキューム圧PACC を示し、菱形印を結ぶ線は、潤滑流量を示し、実線はライン圧の調圧限界を示す。図示の例は、発進待機中から走行を開始して1回の変速が成される過程を示す。図に見るように、制御開始からアキューム圧PACC は上昇し、蓄圧終了時にピークとなり、そこから回路内の油漏れにより徐々に低下する。この油圧低下が下限に達すると蓄圧が開始され、再びアキューム圧PACC は上昇し、蓄圧終了時にピークとなり、そこから回路内の油漏れにより徐々に低下する。図にはこの経過を2サイクル分だけ示しているが、このサイクルは、実際には、発進時にクラッチ油圧サーボのピストンストロークが行なわれるまで継続される。
【0068】
図示の例では、アキューム圧PACC が降下し、蓄圧が再開されるタイミングと同時に発進時ピストンストロークが生じている。これによりアキューム圧PACC は一気に低下し、ピストンストロークが終了すると、通常の低下勾配に戻った圧力低下となる。この状態では、車両は走行状態に入っている。更にアキューム圧PACC が低下し続け、やがて下限値に達すると、今度は通常走行中の蓄圧モードに従い蓄圧が成される。このときもアキューム圧PACC は上昇し、蓄圧終了時にピークとなり、そこから回路内の油漏れにより徐々に低下する。図にはこの経過を1サイクル分だけ示しているが、このサイクルは、実際には、通常走行時に変速のためのピストンストロークが行なわれるまで継続される。
【0069】
図示の例では、アキューム圧PACC が降下し、蓄圧が再開されるタイミングと同時に変速時ピストンストロークが生じている。これによりアキューム圧PACC は一気に低下し、ライン圧の調圧限界付近まで低下しているので、今度は通常走行中の蓄圧モードに従い蓄圧が成される。これによりアキューム圧PACC は上昇し、蓄圧終了時にピークとなり、そこから回路内の油漏れにより徐々に低下する。図にはその後の経過を1サイクル分だけ示しているが、このサイクルは、実際には、通常走行時に変速のためのピストンストロークが行なわれるまで継続される。
【0070】
一方、潤滑回路への油の供給は、常時オリフィス23(図4参照)を介して成されるため、蓄圧時にも最小油量の供給が確保される。また、潤滑モード時は、直接の油供給が成されるため、このときの供給油量は大幅に増加する。こうした経緯から、潤滑流量については、図に見るように、概ね矩形波状の流量変化となる。
【0071】
ところで、この実施形態では、図8の油圧変化を参照して、縦軸方向のスケールから分かるように、アキュムレータは概ね3回分のピストンストロークが可能な蓄圧容量とされているため、敢えて発進待機中の蓄圧モードと通常走行中の蓄圧モードを分ける必要はないが、本形態では、前記のように発進時のアキュムレータ蓄圧時には、通常時のアキュムレータ蓄圧中とは異なり、クラッチ摩擦材冷却のために多めの潤滑流量を確保すべく、これら2つのモード分けを行なっている。
【0072】
次に示す図9〜図11は、本形態に特有の多重配置の油圧サーボの構成を模式化して示す。この配置は、先に変速機のギヤトレーン構成をスケルトンを参照して述べたように、3つのクラッチが軸方向に並べて隣接配置されることから、各クラッチ作動のための油圧サーボを集約させて、コンパクト化することを意図して採られる配置である。この配列における油圧サーボは、1つのシリンダ90に第1〜第3のピストン91〜93を入れ子状に嵌め合わせて、シリンダ90と第1のピストン92との間に第1の油圧サーボC2の油室、第1のピストン92と第2のピストン93との間に第2の油圧サーボC3の油室、第2のピストン93と第3のピストン91との間に第3の油圧サーボC1の油室を画定する多重配置の油圧サーボとされている。この多重配置の油圧サーボにおける各油圧サーボC1,C2,C3は、先の図2を参照して、クラッチ(C−2)用の第1の油圧サーボC2の油室からクラッチ(C−1)用の第3の油圧サーボC1の油室へ順次油圧供給を積み重ね、それとは逆順に油圧解放を積み重ねる繰返しにより、連続する変速段を順番に達成する配列とされている。したがって、この配列は図1に示すクラッチの摩擦材の配列とは異なるものである。この油圧供給における図2に括弧付の○印で示す油圧供給は、係合要素の係合に直接関与しない油圧供給となる。
【0073】
図9〜図11を参照して、これらの図における黒矢印は油圧の印加と押圧力の作用状態を表し、白矢印は油圧の解放と押圧力の解放状態を表す。先ず図7を参照して、全クラッチの解放状態から、クラッチ(C−2)のサーボ油室に油圧を供給すると、ピストン92は、その受圧面としての正面側(図上で右側面、他のピストンについて同じ)に油圧が作用し、背面側(図上で左側面、他のピストンについて同じ)には油圧が作用しないため、図示しないリターンスプリングの荷重に抗して油圧でシリンダ90から押出され、クラッチ(C−2)の摩擦材に押付力を作用させ、クラッチ(C−2)だけが係合する。この状態における変速段は、ギヤ対の選択により定まり、先の図2の係合図表を参照して、第1速又は第3速となる。
【0074】
次に、図10を参照して、上記の油圧供給状態を維持したまま、クラッチ(C−3)のサーボ油室に油圧を供給すると、上記ピストン92の場合と同様の作用で、ピストン93がシリンダ90から押し出され、クラッチ(C−3)の摩擦材に押付力が作用しクラッチ(C−3)が係合する。このとき、油圧はピストン93の正面側に印加されるとともに、ピストン92の背面側にも同様に印加される。この作用によりピストン92には、その正面と背面の両面に同様の油圧が印加されることになり、受圧面積が実質上同様であることで、ピストン92は受圧バランス状態となる。したがって、ピストン92は図示しないそのリターンスプリングの荷重負荷で押し戻され、この作用でクラッチ(C−2)は、先のコントロールバルブ52による制御に関わりなく解放される。この状態における変速段も、ギヤ対の選択により定まり、先の図2の係合図表を参照して、第1.5速、第2.5速又は第3.5速となる。
【0075】
更に、図10を参照して、上記の油圧供給状態を維持したまま、クラッチ(C−1)のサーボ油室に油圧を供給すると、ピストン91の正面側の受圧で、ピストン91がシリンダ90から押し出され、クラッチ(C−1)の摩擦材に押付力が作用し、クラッチ(C−1)が係合する。このとき、油圧はピストン91の正面側に印加されるとともに、ピストン93の背面側にも同様に印加される。この作用によりピストン93には、先のピストン92の場合と全く同様の理由で、正面と背面の両面の受圧バランスが成立し、ピストン93への油圧による荷重負荷は実質上解放された状態となる。したがって、ピストン93はそのリターンスプリングによる荷重負荷で押し戻され、この作用でクラッチ(C−3)は、コントロールバルブ52,53による制御に関わりなく解放される。この状態における変速段も、ギヤ対の選択により定まり、先の図2の係合図表を参照して、第2速又は第4速となる。
【0076】
こうした関係は、油圧を順次抜いていく場合についても同様である。上記3つの油圧サーボへの同時供給状態から、参照を図10に戻して、クラッチ(C−1)のサーボ油室の油圧のみ解放すると、正面側への油圧負荷が無くなったピストン91が、リターンスプリングの荷重負荷で押し戻され、クラッチ(C−1)の摩擦材の押付力が解放されて、クラッチC−1が解放される。このとき、クラッチ(C−3)のピストン93の正面と背面の受圧にアンバランスが生じるため、代わってピストン93がシリンダ00から押出され、クラッチ(C−3)の係合が生じる。この場合第1のピストン92は、先述の理由でそのままの戻り位置状態を維持する。こうしてこの状態における変速段も、ギヤ対の選択により定まり、先の図2の係合図表を参照して、第1.5速、第2.5速又は第3.5速となる。
【0077】
次に、上記2つの油圧サーボへの同時供給状態から、クラッチ(C−3)のサーボ油室の油圧を解放した場合も同様であり、図9に参照を戻して、ピストン93がリターンスプリングの荷重負荷で押し戻され、クラッチ(C−3)の摩擦材の押付力が解放されて、クラッチ(C−3)が解放される。このときも、先の場合と同様の理由から、クラッチ(C−2)のピストン92の受圧にアンバランスが生じるため、代わってクラッチ(C−2)の係合が生じる。こうしてこの状態における変速段も、ギヤ対の選択により定まり、先の図2の係合図表を参照して、第1速又は第3速となる。
【0078】
以上詳述したように、前記実施形態によれば、電動オイルポンプ20がモードセレクトバルブ21の切換えにより、選択的にアキュムレータ40に接続可能であるため、油圧サーボC1〜C3作動のための高い油圧を蓄圧するアキュムレータ40への蓄圧完了時に、電動オイルポンプ20を高い油圧を必要としない潤滑回路3への接続に換えることで、アキュムレータ40への接続時に対して電動オイルポンプ20の負荷を低減することができる。そのため、アキュムレータ40の蓄圧完了時にオイルポンプ20を低負荷運転とすることで、蓄圧用の高い油圧を発生させるに要する油圧エネルギのロスをなくすことができる。
【0079】
ところで、前記第1実施形態では、制御回路に供給された油のドレーンによる油圧エネルギロスを低減すべく、ドレーン油路の油抜けを防ぐ構成としたが、油のドレーンをより積極的に活用することで、一層油圧エネルギロスを低減することも可能である。次に、こうした意図に沿う第2実施形態の回路構成を説明する。
【0080】
図12は第2実施形態の油圧回路構成を示す。この油圧回路は、ドレーン油路の接続関係を除いて、基本的には前記第1実施形態のものと同様であるので、対応する部分については同様の参照符号を付して説明に代え、以下相違点のみ説明する。この回路では、油圧サーボC1〜C3を作動させるための複数のリニアソレノイドバルブ62〜64の各ドレーンポートと、両モジュレータバルブ50,60のドレーンポートは、チェックバルブ24を介して潤滑回路3に接続されている。
【0081】
この第2実施形態の構成を採った場合、一旦アキュムレータ40に蓄圧され、油圧サーボC1〜C3を作動させるためのライン圧回路5側に供給されてドレーンされる油を潤滑回路3への供給に充てることができるため、蓄圧のために要した電動オイルポンプ20の駆動エネルギが油圧サーボC1〜C3の作動と変速機構各部の潤滑に有効に利用される。
【0082】
この他にもドレーン油路の接続関係については種々の形態を採ることができる。これらの逐一の例示は、冗長を避ける意味で省略するが、基本的には、各制御弁のドレーンについて、それらを潤滑回路3への接続とするか、閉鎖して自然の漏れに任せるか、油の流出を防ぐ排出弁経由のドレーンとするかのいずれかと、それらの適宜の組合せとなる。
【0083】
以上、本発明の理解のために3つのクラッチの油圧サーボを作動させる油圧回路について2つの実施形態を挙げて説明したが、本発明は、例示の実施形態のような油圧回路に限定されるものではなく、広く一般的な変速制御のための油圧回路に適用し、特許請求の範囲の個々の請求項に記載の事項の範囲内で種々に具体的な構成を変更して実施することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の適用に係る変速機のギヤトレーンを示すスケルトン図である。
【図2】ギヤトレーンの各変速段の作動を示す作動図表である。
【図3】本発明の実施形態に係る油圧制御装置の制御系のシステム構成を示すブロック図である。
【図4】第1実施形態の油圧制御装置の構成を示す回路図である。
【図5】油圧制御装置の油圧制御内容を示すフローチャートである。
【図6】油圧制御装置の油圧制御作動を示すタイムチャートである。
【図7】油圧制御装置の発進待機制御を行う場合の油圧制御内容を示すフローチャートである。
【図8】油圧制御装置の発進待機制御を行う場合の油圧制御作動を示すタイムチャートである。
【図9】ギヤトレーンによる第1速及び第3速達成のための油圧サーボの作動を示す模式図である。
【図10】ギヤトレーンによる第1.5速,2.5速及び第3.5速達成のための油圧サーボの作動を示す模式図である。
【図11】ギヤトレーンによる第2速及び第4速達成のための油圧サーボの作動を示す模式図である。
【図12】第2実施形態の油圧制御装置の構成を示す回路図である。
【符号の説明】
C1〜C3 油圧サーボ
1 電子制御装置
2 電動オイルポンプ
3 潤滑回路
21 モードセレクトバルブ(切換手段)
22 チェックバルブ
23 オリフィス
40 アキュムレータ
41 油圧センサ
50 プライマリモジュレータバルブ(制御弁)
60 ソレノイドモジュレータバルブ(制御弁)
62〜64 リニアソレノイドバルブ(制御弁)
【発明の属する技術分野】
本発明は、変速機の油圧制御装置に関し、特に、変速機の潤滑回路と制御回路に対する油圧供給の制御技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動変速機において、変速制御のためのクラッチやブレーキの油圧サーボの作動、機構各部の潤滑及び冷却、更にはトルクコンバータに対する作動油の循環のために油圧の供給を行なう油圧制御装置は、一般に、機関回転数と同速で回転するトルクコンバータのポンプ側の回転部材により機械的に駆動されるオイルポンプを油圧発生源とする。このように、油圧発生源の油圧エネルギを利用して、特定の変速段の維持(クラッチやブレーキの係合維持)のためにほとんど流量を必要としない長時間の高圧と、変速(クラッチやブレーキの係合操作)のためにそれほど高い油圧を必要せずに短時間の大流量とを必要とする制御回路と、この制御回路に比べて低圧ながら常時概ね一定の流量を必要とする潤滑回路に油を供給するには、これらの状態に十分に対応可能な大容量のオイルポンプを用いれば足りる。しかしながら、オイルポンプの駆動は、機関出力に対する駆動力を減殺する負荷となることから、こうした流量と圧力の条件に常時対応可能な油圧エネルギを得るようにオイルポンプの容量を設定することは得策ではない。こうした事情から、従来、自動変速機における機械駆動のオイルポンプは、油圧エネルギ消費条件の重なりを勘案して、可及的に小容量に設定されている。
【0003】
上記のようなオイルポンプ容量の設定の基では、時として、制御回路側の必要流量が満たされずに供給油路の瞬間的な圧力低下が生じることがあり、これを修正する調圧信号回路の過渡的な作動から、逆に供給油路の油圧が瞬間的に昇圧され過ぎ、クラッチやブレーキの急係合による変速ショックの発生につながることがある。こうした問題に対処すべく、従来、オイルポンプが吐出する油が圧力調整弁の制御下で油圧回路内で必要とされる油圧に調圧される調圧油路に直接接続して、調節された油を蓄圧する容量要素としてアキュムレータを設けた自動変速機の油圧制御装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特公平5−7579号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記の従来技術は、オイルポンプを機関回転に従って駆動させることを前提とし、制御回路の瞬間的な圧低に起因する変速ショックの発生の回避を課題とすることから、制御回路に対する供給回路に蓄圧容量手段としてのアキュムレータを配して、瞬間的な油圧エネルギ不足を補う対策を取るものであり、油圧エネルギの総合的な削減に対する考慮はない。したがって、この従来技術におけるオイルポンプの容量は、機関回転が最も低いアイドリング状態でも、必要な油圧を吐出できるように設定されている。その結果、機関回転が高く、動力伝達のための必要流量が低い状態では、過剰に油圧エネルギを発生させていることになり、伝達効率や燃費の改善にはつながらない。一般に、油圧エネルギの削減の問題は、オイルポンプを機関回転とは別個に回転制御可能なもの、例えば電動モータ駆動のオイルポンプのような可変容量ポンプとすれば改善可能であるが、そうした場合でも、動力伝達、潤滑及び冷却等の機能を同時に満足する油圧エネルギを得るには、消費電力及びサイズの比較的大きな電動オイルポンプが必要である。
【0006】
本発明は、上記のような事情に鑑み案出されたものであり、変速機における制御回路と潤滑回路の特性に合わせた油圧エネルギ供給により、油圧発生のためのオイルポンプの必要容量と駆動エネルギ消費を小さくすることを第1の目的とする。次に、本発明は、回路の油圧エネルギロスを削減して、オイルポンプの容量削減に役立てることを更なる第2の目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記第1の目的を達成するため、本発明は、オイルポンプを油圧エネルギ源として、油の供給により、機構各部の潤滑を行なうとともに、変速制御のための油圧サーボを作動させる変速機の油圧制御装置であって、油を供給される潤滑回路と、供給される油を蓄圧し、油圧サーボに供給可能なアキュムレータと、を備えるものにおいて、前記オイルポンプを潤滑回路とアキュムレータに選択的に接続する切換手段が設けられたことを特徴とする。
【0008】
上記第2の目的を達成するため、本発明は、オイルポンプを油圧エネルギ源として、油の供給により、機構各部の潤滑を行なうとともに、変速制御のための油圧サーボを作動させる変速機の油圧制御装置であって、油を供給される潤滑回路と、供給される油を蓄圧し、油圧サーボに供給可能なアキュムレータと、を備えるものにおいて、前記油圧サーボを作動させるための複数の制御弁を備え、それら制御弁の各ドレーンポートのうちの少なくとも一部は、前記潤滑回路に接続されたことを特徴とする。
【0009】
上記の構成において、前記アキュムレータは、少なくとも油圧サーボを1回作動させるに足る蓄圧容量を有する構成とするのが有効である。
【0010】
上記の構成において、より具体的には、前記アキュムレータの蓄圧状態を検出する油圧センサと、該油圧センサが検出する情報に基づき前記オイルポンプの運転を制御する電子制御装置を備え、該電子制御装置は、少なくとも油圧センサが検出するアキュムレータの蓄圧状態に応じてオイルポンプの運転を制御する構成とされる。また、前記電子制御装置は、前記オイルポンプを、前記アキュムレータへの蓄圧時には高出力運転とし、アキュムレータへの蓄圧完了後には、潤滑油量を確保するに足る低出力運転とする構成とされる。この場合、前記高出力運転と低出力運転の少なくとも一方は、電子制御装置によるその運転時間の継続判断により、他方の出力運転に切換えられる構成とするのも有効である。
【0011】
また、上記の構成において、シフトポジションセンサを備え、前記オイルポンプは、シフトポジションセンサによる非走行レンジ検出を条件として、低出力運転とされる構成を採るのも有効である。この場合、前記低出力運転により確保する潤滑油量は、走行レンジにおいて確保すべき潤滑油量より低く設定される。
【0012】
上記いずれの場合も、前記オイルポンプは、可変容量ポンプであればよいが、特に、電動オイルポンプとするのが有効である。
【0013】
更に、前記油圧制御装置は、前記油圧サーボを制御するための複数の制御弁を備え、それら弁の各ドレーンポートのうちの少なくとも一部は、前記潤滑回路に接続された構成とするのが有効である。また、前記油圧制御装置は、前記油圧サーボを制御するための複数の制御弁を備え、それら制御弁の各ドレーンポートのうちの少なくとも一部は、閉鎖された構成を採るのも有効である。
【0014】
前記いずれかの構成において、前記切換手段と前記アキュムレータとの間の油路と、前記潤滑回路とをオリフィスを介して連通した構成とするのが有効である。また、前記アキュムレータと前記切換手段との間に、前記オイルポンプからアキュムレータへの油圧の供給のみ許容する一方向供給油路を設け、該一方向供給油路と前記潤滑回路とをオリフィスを介して連通した構成を採るのも有効である。
【0015】
【発明の作用及び効果】
上記請求項1記載の構成では、オイルポンプが選択的にアキュムレータに接続可能であるため、油圧サーボ作動のための高い油圧を蓄圧するアキュムレータへの蓄圧完了時に、オイルポンプを高い油圧を必要としない潤滑回路への接続に切換えることで、アキュムレータへの接続時に対してオイルポンプの負荷を低減することができる。そのため、アキュムレータの蓄圧完了時にオイルポンプを低負荷運転とすることで、蓄圧用の高い油圧を発生させるに要する油圧エネルギのロスをなくすことができる。
【0016】
また、請求項2記載の構成では、一旦アキュムレータに蓄圧され、油圧サーボを作動させるための制御弁に供給されてドレーンされる油を潤滑回路への供給に充てることができるため、蓄圧のために要したオイルポンプの駆動エネルギが油圧サーボの作動と潤滑に有効に利用される。
【0017】
次に、請求項3記載の構成では、アキュムレータが油圧サーボの作動に必要な油圧エネルギを常に蓄圧していることになるため、必要時に、オイルポンプを高負荷運転に切換える操作を要せずに、この油圧エネルギにより油圧サーボを確実に作動させることができる。したがって、この構成によれば、オイルポンプの運転制御を単純化することができる。
【0018】
次に、請求項4記載の構成では、油圧センサが検出する情報に基づきアキュムレータの蓄圧状態に応じてオイルポンプが運転を制御されることで、過剰な油圧エネルギを発生させることによるエネルギロスを回避することができる。
【0019】
次に、請求項5記載の構成では、オイルポンプが発生させる油圧エネルギをエネルギ消費に合わせることができるため、オイルポンプ駆動のためのエネルギのロスを防ぐことができる。
【0020】
次に、請求項6記載の構成では、油圧回路異常発生時でもオイルポンプやその駆動機構に過剰な負荷がかかるのを防ぎながらアキュムレータの蓄圧状態を確保して、油圧回路の機能を正常時に順じた状態に維持させることができる。
【0021】
次に、請求項7記載の構成では、オイルポンプが発生させる油圧エネルギを車両の運行状態に応じたエネルギ消費に合わせることが可能となるため、オイルポンプ駆動のためのエネルギのロスを総合的に一層低減することができる。
【0022】
次に、請求項8記載の構成では、オイルポンプが発生させる油圧エネルギをエネルギ要求の少ない車両の非走行時に低減することができるため、オイルポンプ駆動のためのエネルギのロスをより一層低減することができる。
【0023】
次に、請求項9記載の構成では、容量可変のための複雑な制御機構を必要としないため、油圧発生源の小形、軽量化が可能となる。
【0024】
次に、請求項10記載の構成では、請求項1の構成による前記効果と、請求項2の構成による効果を併せて達成することができる。
【0025】
次に、請求項11記載の構成では、油圧サーボを制御するための制御弁からのドレーンによるドレーン油路からの油抜けを防ぐことで、制御弁からの油漏れを減少させることができるため、油圧制御装置の油圧エネルギ消費を削減することができ、それがオイルポンプの低容量化につながる。
【0026】
次に、請求項12記載の構成では、切換手段の作動によるアキュムレータへの油供給時にも、オリフィスを介して常時潤滑回路への油の供給を維持することができるため、アキュムレータ蓄圧時の潤滑不足をなくすことができる。
【0027】
次に、請求項13記載の構成では、アキュムレータに蓄圧した油が潤滑回路に流出するのを一方向供給油路によって阻止することができるため、切換手段の作動による潤滑回路への油の供給時に、油圧サーボの作動に備えるアキュムレータの蓄圧状態を保持することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、図面に沿い、本発明の実施形態を説明する。図1は本発明の適用に係る変速機のギヤトレーンの一例をスケルトンで示す。このギヤトレーンは、手動変速機を主体として構成され、複数の変速要素G1〜G8を有し、これら変速要素を通る並列な動力伝達流れの選択により複数の変速段を達成する主変速機(実施形態の説明において、M/T部という)M/Tと、プラネタリギヤセットPを変速要素とする副変速機(同じく、プラネタリ部という)S/Tと、プラネタリ部S/Tの異なる変速要素をM/T部の異なる変速要素に連結する内外2重の軸Y,Zを備える。
【0029】
この形態の場合、M/T部は、その変速要素として複数の常時噛合式の歯車対G1〜G8を包含し、変速要素を通る動力伝達流れを選択する2つのドッグクラッチH1,H2を有する。このM/T部は、2重の内軸Y及び外軸Zを入力軸とし、それらの軸上の各ドライブギヤG3,G7,G1,G5から出力軸O上の各ドリブンギヤG4,G8,G2,G6に平行軸で動力を伝達する構成とされている。外軸Z上の第1速及び第3速用のドライブギヤG1,G5とリバース用のドライブギヤGrは、外軸Zに一体回転可能に連結されている。これら第1速及び第3速用のドライブギヤG1,G5と対をなすそれぞれのドリブンギヤG2,G6は、出力軸O上に回転自在に支持され、それらの間に配置されたドッグクラッチH1の軸方向移動により出力軸Oに選択的に連結可能とされている。また、リバース用のドライブギヤGrとドッグクラッチH1の外周歯で構成されるリバース用のドリブンギヤは、カウンタギヤGcを介して相互に噛合い、ドッグクラッチH1の中立位置においてリバースギヤ列を通る動力伝達を可能としている。内軸Y上の第2速及び第4速用のドライブギヤG3,G7は内軸Yに回転自在に支持され、それらの間に配置されたドッグクラッチH2の軸方向移動により内軸Yに選択的に連結可能とされている。これら第2速及び第4速用のドライブギヤG3,G7と対をなすそれぞれのドリブンギヤG4,G8は、それぞれ出力軸Oに一体回転可能に連結されている。
【0030】
プラネタリ部S/Tは、図示しないエンジンE/GのフライホイールダンパF/Wに連結する入力軸Xと、入力軸Xと同軸配置の内外二重軸でM/T部入力軸としての内軸Y及び外軸Zに連結する出力軸を備える。プラネタリ部S/Tは、ダブルピニオン構成とされている。すなわち、プラネタリギヤセットPのサンギヤSは、内軸Yに連結され、この内軸Yがクラッチ(C−1)を介して入力軸Xに連結され、キャリアCは、外軸Zに連結されると共に、クラッチ(C−2)を介して入力軸Xに連結されている。リングギヤRは、クラッチ(C−3)を介して入力軸Xに連結されている。
【0031】
こうした構成からなる変速機は、図2にその作動を図表化して示す(図において○印は油圧の供給と押付力の作用(クラッチ係合)を表し、括弧付の○印はクラッチ係合に関与しない油圧供給状態を表す)ようなクラッチ作動で、1〜4速の合計7速の変速段を達成する。
【0032】
図1に戻って、M/T部の第1歯車対G1,G2をドッグクラッチH1で出力軸Oに連結し、プラネタリ部S/Tのクラッチ(C−2)を係合することで第1速を達成する。この状態で、エンジンE/Gの回転がプラネタリ部S/Tのクラッチ(C−2)経由でキャリアCを通して外軸ZからM/T部のドライブギヤG1に入力され、第1歯車対G1,G2で減速され、ドッグクラッチH1を経て出力軸Oに伝達される。このときの変速比は、最小径のドライブギヤG1と最大径のドリブンギヤG2のギヤ比に従う第1速の変速比となる。
【0033】
次に、第1.5速は、M/T部の第1歯車対G1,G2をドッグクラッチH1で出力軸Oに連結すると共に、第2歯車対G3,G4をドッグクラッチH2で出力軸Oに連結し、プラネタリ部S/Tのクラッチ(C−3)を係合することで達成される。この状態が前変速段を第1速とする1→1.5変速で生じる場合、両ドッグクラッチH1,H2の係合により第1歯車対G1,G2と第2歯車対G3,G4が共に出力軸Oに連結された状態となることで、第1歯車対G1,G2のドライブギヤG1と第2歯車対G3,G4のドライブギヤG3に連結する外軸Zと内軸Yは、第1歯車対G1,G2のギヤ比と第2歯車対G3,G4のギヤ比となり、内軸Yに連結するプラネアリギヤセットPのサンギヤSと外軸Zに連結するキャリアCの回転関係が定まる。この状態でのサンギヤSの回転は、エンジン回転と等しい回転であるのに対して、キャリアCの回転はそれより減速された回転となり、リングギヤRはこれらの回転に規制されて空転している。この状態でクラッチ(C−2)を解放し、クラッチ(C−3)の係合に移行して、空転中のリングギヤRにエンジンE/G回転が入力されることで、予め生成された前記中間のギヤ比に従うリングギヤRからキャリアCへのトルク伝達と、リングギヤRからキャリアC経由でサンギヤSへのトルク伝達が並列的に生じ、これらのトルクが外軸Zと内軸Y経由で両歯車対G1,G2,G3,G4を介して出力軸Oに伝達されて第1.5速の変速段が達成される。
【0034】
第2速は、M/T部の第2歯車対G3,G4をドッグクラッチH2で出力軸Oに連結し、プラネタリ部S/Tのクラッチ(C−1)を係合することで達成される。この状態で、エンジンE/Gの回転がクラッチ(C−1)経由で内軸Yに入力され、その回転がドッグクラッチH2を経て第2歯車対G3,G4に伝達され、そこで第2歯車対G3,G4のギヤ比で減速されて出力軸Oに伝達される。
【0035】
第2.5速は、M/T部の第2歯車対G3,G4をドッグクラッチH2で出力軸Oに連結すると共に、第3歯車対G5,G6をドッグクラッチH1で出力軸Oに連結し、プラネタリ部S/Tのクラッチ(C−3)を係合することで達成される。この状態が前変速段を第2速とする2→2.5変速で生じる場合、両ドッグクラッチH1,H2の係合により第2歯車対G3,G4と第3歯車対G5,G6が共に出力軸Oに連結された状態となることで、第2歯車対G3,G4のドライブギヤG3と第3歯車対G5,G6のドライブギヤG5に連結する内軸Yと外軸Zは、第2歯車対G3,G4のギヤ比と第3歯車対G5,G6のギヤ比となり、内軸Yに連結するプラネアリギヤセットPのサンギヤSと外軸Zに連結するキャリアCの回転関係が定まる。この状態でのキャリアCの回転は、エンジンE/G回転と等しい回転であるのに対して、サンギヤSの回転はそれより増速された回転となり、リングギヤRはこれらの回転に規制されて空転している。この状態でクラッチ(C−1)を解放し、クラッチ(C−3)の係合に移行して、空転中のリングギヤRにエンジンE/G回転が入力されることで、予め生成された前記中間のギヤ比に従うリングギヤRからキャリアCへのトルク伝達と、リングギヤRからキャリアC経由でサンギヤSへのトルク伝達が並列的に生じ、これらのトルクが内軸Yと外軸Z経由で両歯車対G3,G4,G5,G6を介して出力軸Oに伝達されて第2.5速の変速段が達成される。
【0036】
第3速は、M/T部の第3歯車対G5,G6をドッグクラッチH1で出力軸Oに連結し、プラネタリ部S/Tのクラッチ(C−2)を係合することで達成される。この状態で、エンジンE/Gの回転がクラッチ(C−2)及びキャリアC経由で外軸Zに入力され、その回転が第3歯車対G5,G6に伝達され、そこで第3歯車対G5,G6のギヤ比で増速され、ドッグクラッチH1を経て出力軸Oに伝達される。
【0037】
第3.5速は、M/T部の第3歯車対G5,G6をドッグクラッチH1で出力軸Oに連結すると共に、第4歯車対G7,G8をドッグクラッチH2で出力軸Oに連結し、プラネタリ部S/Tのクラッチ(C−3)を係合することで達成される。この状態が前変速段を第3速とする3→3.5変速で生じる場合、両ドッグクラッチH1,H2の係合により第3歯車対G5,G6と第4歯車対G7,G8が共に出力軸Oに連結された状態となることで、第3歯車対G5,G6のドライブギヤG5と第4歯車対G7,G8のドライブギヤG7に連結する外軸Zと内軸Yは、第3歯車対G5,G6のギヤ比と第4歯車対G7,G8のギヤ比となり、内軸Yに連結するプラネアリギヤセットPのサンギヤSと外軸Zに連結するキャリアCの回転関係が定まる。この状態でのキャリアCの回転は、エンジンE/G回転と等しい回転であるのに対して、サンギヤSの回転はそれより増速された回転となり、リングギヤRはこれらの回転に規制されて空転している。この状態でクラッチ(C−2)を解放し、クラッチ(C−3)の係合に移行して、空転中のリングギヤRにエンジンE/G回転が入力されることで、予め生成された前記中間のギヤ比に従うリングギヤRからキャリアCへのトルク伝達と、リングギヤRからキャリアC経由でサンギヤSへのトルク伝達が並列的に生じ、これらのトルクが内軸Yと外軸Z経由で両歯車対G5,G6,G7,G8を介して出力軸Oに伝達されて第3.5速の変速段が達成される。
【0038】
第4速は、M/T部の第4歯車対G7,G8をドッグクラッチH2で出力軸Oに連結し、プラネタリ部S/Tのクラッチ(C−1)を係合することで達成される。この状態で、エンジンE/Gの回転がクラッチ(C−1)経由で内軸Yに入力され、その回転がドッグクラッチH2を経て第4歯車対G7,G8に伝達され、そこで第4歯車対G7,G8のギヤ比で増速されて出力軸Oに伝達される。
【0039】
なお、図2の図表には示されていないが、リバースは、M/T部のドッグクラッチH1を中立として、リバースギヤ列Gr,Gcを出力軸Oに連結し、プラネタリ部S/Tのクラッチ(C−2)を係合することで達成される。この状態で、エンジンE/Gの回転がクラッチ(C−2)及びキャリアC経由で外軸Zに入力され、その回転がリバースギヤ列で減速且つカウンタギヤGc経由で前記各変速段とは逆転されて出力軸Oに伝達される。
【0040】
以上の各変速段達成の経緯から分かるように、この変速機では、各整数の変速段がプラネタリギヤセットPの変速要素を変速に関与しない単なる動力伝達部材として達成されるのに対して、各端数付きの変速段は、プラネタリギヤセットPの変速要素を機能させて達成される。しかも、これら各端数付きの変速段は、それを挟む整数の変速段の達成時に連結される2つの歯車対の同時連結により達成される。そして、端数付きの変速段は、M/T部の第1〜第4歯車対により本来達成可能な整数変速段に対する中間段としてのギヤ比で、隣り合う整数変速段を達成する歯車対による同時動力伝達により達成されるもので、隣り合う整数の変速段に対する経過段としても機能するものである。したがって、この変速機では、従来形式の常時噛合式の4速変速機に対して、歯車対を増やさずに各変速段の中間に、ギヤ比ステップを密にする形態で3速の変速段が付加されている。
【0041】
しかも、この変速機では、シフト中も前変速段を達成していた何れかの歯車対による動力伝達状態が継続することで、変速の間にニュートラル期間が存在しないため、トルク抜けによる加速度0の期間が生じず、速度増加も連続した滑らかなものとなる。
【0042】
次に示す図3は、制御装置のシステム構成をブロックで示す。図示するように、この制御装置は、電子制御装置1を中核として、それによる制御に必要な情報を検出し、入力すべく、電子制御装置1の入力側に接続された各種センサと、出力側に接続された制御対象としてのオイルポンプ20及び各種アクチュエータとで構成されている。
【0043】
上記センサとしては、オイルポンプ20の制御に係るものとして、油圧制御回路に組込んで、油圧センサ41と油温センサ42が設けられ、変速制御に係るものとして、スロットルセンサ71と、車速センサ72と、回転センサ73と、シフトポジションセンサ74が設けられている。また、制御対象としては、本発明の切換手段21を信号圧制御するオンオフソレノイドバルブ制御のためのソレノイド61aと、変速制御に係るものとして、各油圧サーボへの供給圧を制御する複数のリニアソレノイドバルブ制御のためのリニアソレノイド62a〜64aとが油圧制御回路に組込まれ、シフトアクチュエータ8が設けられている。
【0044】
次に示す図4は、油圧制御装置の回路構成を示すもので、この回路は、オイルポンプ20を油圧エネルギ源として、油の供給により、変速機構各部の潤滑を行なうとともに、変速制御のための各クラッチの油圧サーボ(図に○印で囲ったC1〜C3で略示する)を作動させる変速機の油圧制御装置を構成している。この回路は、油を常時供給される潤滑回路(図に○印で囲ったLUBEで略示する)3と、供給される油を蓄圧し、油圧サーボC1〜C3に供給するアキュムレータ40とを備える。そして、本発明の特徴に従い、オイルポンプ20を潤滑回路3とアキュムレータ40に選択的に接続する切換手段としてモードセレクトバルブ21が設けられている。
【0045】
以下、この制御回路の詳細と回路を構成する各要素について順次詳述する。この回路は、油溜まり5からポンプ20で油を吸い上げ、各部に供給後の油をドレーンさせて油溜まり5に戻す、通常の自動変速機と同様のオープン回路を構成している。先ず、油溜まり5から油を吸い上げて回路に吐出する油圧発生源としてのオイルポンプ20は、電子制御装置(図3参照)1による制御の容易性とコンパクト性の見地から、電動オイルポンプとされている。
【0046】
オイルポンプ20の吐出油路には、スプリング復帰式のスプール形3ポート切換弁からなるモードセレクトバルブ21のインポートが接続され、そのアウトポートの一方は、潤滑回路3に接続され、他方はチェックバルブ22を経て蓄圧回路4に接続されている。これら2つのアウトポートは、オリフィス23を介挿した油路で相互に接続されている。このモードセレクトバルブ21の切換えは、スプリング負荷に抗するスプール端へのソレノイド信号圧(後に詳記する)の印加により成される。
【0047】
オイルポンプ20の吐出圧をチックバルブ22を経て供給される蓄圧回路4には、アキュムレータ40が接続され、更に前記油圧センサ41と油温センサ42が接続されている。アキュムレータ40は、油圧サーボC1〜C3の同時作動や蓄圧所要時間に満たない時間間隔での連続作動がないものとすれば、少なくとも油圧サーボC1〜C3を1回作動させるに足る蓄圧容量を有するもので足りるが、本形態では短時間に変速が相次いで成される場合を想定して、余裕を持たせて3回分の油圧サーボの作動を可能とする蓄圧容量とされている。蓄圧回路4の出力側は、プライマリモジュレータバルブ50を介してライン圧回路5に接続されている。このプライマリモジュレータバルブ50は、スプリング負荷のスプール形3ポート減圧弁で構成され、ライン圧回路5に安定したライン圧を供給すべく設けられており、スプリング負荷に抗するスプール端へのオリフィスを介するライン圧のフィードバックにより調圧作動する。
【0048】
ライン圧回路5には、変速用の制御弁として3つのコントロールバルブ51〜53が接続されている。これらコントロールバルブ51〜53は、それぞれ同様のスプリング負荷のスプール形3ポート調圧弁で構成され、対応する各油圧サーボC1〜C3への供給圧をピストンストロークから摩擦材の係合完了まで調圧制御すべく設けられており、スプリング負荷とオリフィス経由のフィードバック圧に対向するソレノイド圧の印加で作動し、油圧サーボC1〜C3につながるアウトポートのライン圧回路に接続するインポートとドレーン油路につながるドレーンポートに対する連通度合をスプール変位で調整することで、油圧サーボC1〜C3の油圧を調圧する。なお、これらコントロールバルブ51〜53は、ソレノイド圧のフル出力印加時は、ライン圧を油圧サーボC1〜C3へ完全導通状態とし、ソレノイド圧の印加オフ時は、油圧サーボC1〜C3をドレーン連通とする機能も果たす。
【0049】
ライン圧回路5の末端には、先のプライマリモジュレータバルブ50と同様の構成のソレノイドモジュレータバルブ60を介してモジュレータ圧回路6が接続されている。このモジュレータ圧回路6は、ライン圧を後に詳述するリニアソレノイドバルブの調圧ゲインに合わせるように減圧したモジュレータ圧とすべく設けられている。このモジュレータ圧回路6には、モードセレクトバルブ21に対する信号圧印加用の常閉形のオンオフソレノイドバルブ61と、各コントロールバルブ51〜53に対する信号圧印加用の3つのリニアソレノイドバルブ62〜64が接続されている。オンオフソレノイドバルブ61は、3ポート形ボール弁の弁体でモジュレータ圧回路6につながるインポートとドレーンポートを選択的に閉鎖する構成とされ、ソレノイド信号オフ時はスプリング負荷でインポートを閉じてモードセレクトバルブ21のスプール端につながる信号圧油路をドレーン連通とし、ソレノイド信号オン時はソレノイド負荷でインポートとアウトポートを連通させてソレノイド圧をモードセレクトバルブ21に信号圧として印加する機能を果たす。3つのリニアソレノイドバルブ62〜64は、いずれも3ポート形スプール弁で構成され、スプリング負荷とオリフィス経由のフィードバック圧に対向するソレノイド負荷で作動し、コントロールバルブ51〜53につながるアウトポートをモジュレータ圧回路6に接続するインポートとドレーン油路につながるドレーンポートに対する連通度合をスプール変位で調整することで、コントロールバルブ51〜53にオリフィス経由で印加する信号圧を調圧する。
【0050】
前記各弁のドレーンについて、本形態では、油圧サーボを制御するための3つの制御弁としてのコントロールバルブ51〜53の各ドレーンポートは、油路からの油抜けを防ぐ排出弁54を備えるドレーン油路に接続されている。また、また2つのモジュレータバルブ50,60のドレーン油路は、ともにドレーン油路中に配した閉栓55,65により閉鎖されている。このように、弁のドレーンを閉鎖した場合、一般には、油圧の閉じ込みによる弁の作動不良が懸念されるが、この油圧回路では、これらの弁への油圧の供給はアキュムレータ40からの蓄圧の放出により定まった流量だけ成されるため、これらの弁がオイルポンプに直接接続されて油の供給を連続的に受ける場合と異なり、ドレーン流量としてはごく僅かなものとなるため、油圧については弁からの油漏れを利用して圧抜きし、油をドレーンポート側に残しておくことで、油圧エネルギロスの低減が図られている。また、3つのリニアソレノイドバルブ62〜64の各ドレーンポートについては、直接ドレーン連通とされている。
【0051】
こうした構成からなる油圧制御装置において、電動オイルポンプ20は、油圧センサ41が検出するアキュムレータ40の蓄圧状態(例えばアキュムレータ40がスプリング負荷のピストンを備えるものの場合、ピストン負荷荷重により定まる油圧(以下、実施形態の説明において、アキューム圧という)であって、蓄圧終了とすべきアキューム圧は、原則としては、前記各油圧サーボC1〜C3によりクラッチの摩擦材の係合を、その時点の車両負荷に応じて維持させるに要する油圧すなわちライン圧に、プライマリモジュレータバルブ50の調圧による減圧分の油圧を加えた油圧となる。)に応じて制御される。詳しくは、電動オイルポンプ20は、アキュムレータ40への蓄圧時には、所定の短い時間内に蓄圧を完了させるべく高出力運転とされ、アキュムレータ40への蓄圧完了時には、駆動エネルギすなわち消費電力の節減のために潤滑油量を確保するに足る低出力運転とされる。
【0052】
図5は、電子制御装置1による電動オイルポンプ制御の詳細をフローで示す。このフローは、オイルポンプを、アキュムレータへの蓄圧時には高出力運転とし、アキュムレータへの蓄圧完了後には、潤滑油量を確保するに足る低出力運転とすることを主体とするが、付加的な制御として、オイルポンプを、シフトポジションセンサによる非走行レンジ検出を条件として、低出力運転とし、その際、低出力運転により確保する潤滑油量を、走行レンジにおいて確保すべき潤滑油量より低く設定する制御と、高出力運転と低出力運転のいずれもを、電子制御装置によるその運転時間の継続判断により、他方の出力運転に切換える制御とを包含しする。
【0053】
先ず、当初のステップ100で、シフトレバー位置が「N」又は「P」の非走行レンジであるか否かを判定し、更にステップ110で、車速=0かつアクセルオフの条件が成立するか否かを判定する。こうしていずれかの条件が成立(Y)する場合には、車両がにわかに発進する状態ではないので、省エネモードを実現すべく、ステップ130によりアキューム圧設定の狙い値(上限値PLMAX,下限値PLMIN)を発進遅れが無い程度に低めにセットする。また、いずれの条件も不成立(N)の場合は、ステップ120によりアキューム圧設定の狙い値を通常時の値(上限値PNMMAX ,下限値PNMMIN )にセットする。
【0054】
次のステップ200では、現在の動作モードが潤滑モードか蓄圧モードかを判定し、蓄圧モード中であればステップ300へ、潤滑モード中であればステップ600へ進む。
【0055】
ステップ300へ進んだ場合、現在の動作モードが強制蓄圧モードか否かを判定し、強制蓄圧モードであればステップ310へ、そうでなければステップ320へ進む。強制蓄圧モードでステップ310へ進んだ場合は、設定された最大蓄圧時間TSMAXを経過したかどうかを判定し、経過していればステップ315で強制蓄圧モードフラグをリセットし、ステップ400で潤滑モードタイマをリセットし、ステップ410により潤滑モードに遷移する。最大蓄圧時間TSMAXが経過していなときは、ステップ500により強制蓄圧モードを継続する。
【0056】
ステップ320は、通常の蓄圧モードである。この場合、検出されたアキューム圧PACC が設定されたアキューム圧閾値の上限値P**MAX 以上かどうかを判定し、以上のときはステップ325で強制潤滑モードフラグをリセットし.ステップ400で潤滑モードタイマをリセットし、ステップ410により潤滑モードに遷移する。そうでなければステップ330へ進む。
【0057】
ステップ330では、通常の蓄圧モード中で、設定された最大蓄圧時間TSMAXを経過したかどうかを判定し、経過していればステップ335で強制潤滑モードフラグをセットし、ステップ400で潤滑モードタイマをリセットし、ステップ410により潤滑モードに遷移する。最大蓄圧時間TSMAXを経過していなければ、ステップ500で通常蓄圧モードを継続する。
【0058】
一方、先のステップ200で潤滑モード中である場合、ステップ600に遷移する。この場合、現在の動作モードが強制潤滑モードか否かを判定し、強制潤滑モードであればステップ610へ、そうでなければステップ620へ進む。強制潤滑モードでステップ610へ進んだ場合は、設定された最大潤滑時間TLMAXを経過したかどうかを判定し、経過していればステップ615で強制潤滑モードフラグをリセットし、ステップ700で蓄圧モードタイマをリセットし、ステップ710により蓄圧モードに遷移する。最大潤滑時間TLMAXが経過していなときは、ステップ800により強制潤滑モードを継続する。この強制潤滑モードで設定する最大潤滑時間TLMAXは、油の流動性が温度の影響を大きく受けることから、それを考慮して、油温に応じて複数設定されることが望ましく、その場合、ステップ610の判定は、例えば油温と最大潤滑時間を対応させたマップデータを参照する制御となる。
【0059】
ステップ620は、通常の潤滑モードである。この場合、検出されたアキューム圧PACC が設定されたアキューム圧閾値の下限値P**MIN 未満かどうかを判定し、未満のときはステップ625で強制蓄圧モードフラグをリセットし.ステップ700で蓄圧モードタイマをリセットし、ステップ710により蓄圧モードに遷移する。そうでなければステップ630へ進む。
【0060】
ステップ630では、通常の潤滑モード中で、設定された最大潤滑時間TLMAXを経過したかどうかを判定し、経過していればステップ635で強制蓄圧モードフラグをセットし、ステップ700で潤滑モードタイマをリセットし、ステップ710により蓄圧モードに遷移する。最大潤滑時間TLMAXを経過していなければ、ステップ800で通常潤滑モードを継続する。
【0061】
なお、上記のフローによれば、この制御中でセットされる強制蓄圧モードフラグ(ステップ635参照)及び強制潤滑モードフラグ(ステップ335参照)を参照して、エンジン制御ユニットによりエンジン出力を制限し、ドライバに警告する処理も可能となる。それにより、ライン圧が多少低下した場合でもリンプホームが可能となる。
【0062】
次に示す図6は、上記の油圧制御作動をタイムチャートで示す。図に正常時として示す油圧変化は、先の蓄圧モードと潤滑モードが正常に進行している状態で、潤滑モード中にシフト操作により非走行レンジへの切換えが行われた場合に、省エネモードが実行されることを示す例である。図に見るように、制御開始から油圧(アキューム圧PACC )は上昇し、蓄圧終了時にピークとなり、そこから回路内の油漏れにより徐々に低下する。この油圧低下が下限に達すると蓄圧が開始され、再びアキューム圧PACC は上昇し、蓄圧終了時にピークとなり、そこから回路内の油漏れにより徐々に低下する。図にはこの経過を3サイクルの途中まで示している。ここで、例えばD→Nシフトにより省エネモード移行条件が成立すると、アキューム圧設定の狙い値が通常の狙い値(上限値PLMMAX ,下限値PLMMIN )から省エネモード用の値(PLMAX,PLMIN)に引き下げられ(ステップ130参照)、オイルポンプの運転が低出力運転に切換えられている。これにより油圧が相対的に低下している。このモードは、図示のように、省エネモード解除条件が成立することで解除される(ステップ100又はステップ110参照)。
【0063】
図6に蓄圧モード固定時として示す油圧変化は、先の蓄圧モードと潤滑モードが正常に進行している状態で、蓄圧モード中に何らかの原因で蓄圧モード継続時間TSMAXを超えてもアキューム圧がアキューム圧閾値の上限値P**MAX に達しない場合を示す例である。この場合、異常発生として、以後の制御は潤滑モード継続時間TLMAXと蓄圧モード継続時間TSMAXの監視によるタイマ制御となる(ステップ335参照)。このモードは、蓄圧モード継続時間TSMAX内にアキューム圧がアキューム圧閾値の上限値P**MAX に達すると、正常復帰として解除される(ステップ315参照)。なお、前記のような蓄圧モード時の異常発生の原因としては、種々のものが想定されるが、油圧センサの故障が原因でない場合、モードセレクトバルブの作動不良や蓄圧回路の油漏れが想定され、こうした原因の場合は、実際の油圧も図示のようなものとなる。
【0064】
図6に潤滑モード固定時として示す油圧変化は、同様に蓄圧モードと潤滑モードが正常に進行している状態で、潤滑モード中に何らかの原因で潤滑モード継続時間を超えてもアキューム圧がアキューム圧閾値の下限値P**MIN まで降下しない場合を示す例である。この場合も、異常発生として、以後の制御は蓄圧モード継続時間と潤滑モード継続時間の監視によるタイマ制御となる(ステップ635参照)。このモードは、潤滑モード継続時間内にアキューム圧がアキューム圧閾値の下限値P**MIN に達すると、正常復帰として解除される(ステップ615参照)。なお、潤滑モード時の異常発生の原因としては、油圧センサの故障以外は想定し難いが、希な原因として、低温時の油の流動性の極端な低下による制御回路からの漏れの減少が想定される。
【0065】
次に、図7に示すフローは、車両発進時に限って潤滑油量を増加させる場合の制御を示す。このフローにおけるステップ10〜21は、先述のギヤトレーンにおいて、クラッチを滑らせながら係合させていくことで車両を発進させるいわゆるフリクション発進となり、このときに限ってクラッチ摩擦材の熱負荷が大きくなることから、フリクション発進時には、潤滑油による湿式クラッチ部の発熱保護を目的に、車速Vが所定の値V0 未満で、スロットル開度θが所定値θ0 を超える条件が成立したら、蓄圧時にオリフィス23(図4参照)を通して潤滑回路側に供給される潤滑流量を確保するために、アキューム圧設定のための狙い値を高めにセットするために設けられている処理である。
【0066】
すなわち、当初のステップ10で発進待機中か否かの判断を行ない、これが成立の場合に、ステップ20により発進待機中のアキューム圧の上限及び下限の閾値(PSTMAX ,PSTMIN )をセットする。一方、この判断が不成立の場合は、ステップ21により通常走行中のアキューム圧の上限及び下限の閾値(PNMMAX ,PNMMIN )をセットする。こうして次のステップ30に進み、現在の動作モードが潤滑モードであるか否かの判断を行なう。この判断が成立する潤滑モードであれば、ステップ40により、検出された現在のアキューム圧PACC と発進待機中の下限値PSTMIN とを比較し、通常走行時であれば、通常走行中の下限値PNMMIN とを比較する。また、この判断が不成立の非潤滑モードであれば、ステップ41により、検出された現在のアキューム圧PACC と発進待機中の上限値PSTMAX とを比較し、通常走行時であれば、通常走行中の上限値PNMMAX とを比較する。こうして、最後のステップ50又はステップ51により、先に示した油圧回路中のオンオフソレノイドバルブ61(図4参照)のオン・オフを切換えることにより蓄圧モードと潤滑モードの切換えを行なう。
【0067】
次に示す図8は、上記の油圧制御作動をタイムチャートで示す。図の■印を結ぶ線は、アキューム圧PACC を示し、菱形印を結ぶ線は、潤滑流量を示し、実線はライン圧の調圧限界を示す。図示の例は、発進待機中から走行を開始して1回の変速が成される過程を示す。図に見るように、制御開始からアキューム圧PACC は上昇し、蓄圧終了時にピークとなり、そこから回路内の油漏れにより徐々に低下する。この油圧低下が下限に達すると蓄圧が開始され、再びアキューム圧PACC は上昇し、蓄圧終了時にピークとなり、そこから回路内の油漏れにより徐々に低下する。図にはこの経過を2サイクル分だけ示しているが、このサイクルは、実際には、発進時にクラッチ油圧サーボのピストンストロークが行なわれるまで継続される。
【0068】
図示の例では、アキューム圧PACC が降下し、蓄圧が再開されるタイミングと同時に発進時ピストンストロークが生じている。これによりアキューム圧PACC は一気に低下し、ピストンストロークが終了すると、通常の低下勾配に戻った圧力低下となる。この状態では、車両は走行状態に入っている。更にアキューム圧PACC が低下し続け、やがて下限値に達すると、今度は通常走行中の蓄圧モードに従い蓄圧が成される。このときもアキューム圧PACC は上昇し、蓄圧終了時にピークとなり、そこから回路内の油漏れにより徐々に低下する。図にはこの経過を1サイクル分だけ示しているが、このサイクルは、実際には、通常走行時に変速のためのピストンストロークが行なわれるまで継続される。
【0069】
図示の例では、アキューム圧PACC が降下し、蓄圧が再開されるタイミングと同時に変速時ピストンストロークが生じている。これによりアキューム圧PACC は一気に低下し、ライン圧の調圧限界付近まで低下しているので、今度は通常走行中の蓄圧モードに従い蓄圧が成される。これによりアキューム圧PACC は上昇し、蓄圧終了時にピークとなり、そこから回路内の油漏れにより徐々に低下する。図にはその後の経過を1サイクル分だけ示しているが、このサイクルは、実際には、通常走行時に変速のためのピストンストロークが行なわれるまで継続される。
【0070】
一方、潤滑回路への油の供給は、常時オリフィス23(図4参照)を介して成されるため、蓄圧時にも最小油量の供給が確保される。また、潤滑モード時は、直接の油供給が成されるため、このときの供給油量は大幅に増加する。こうした経緯から、潤滑流量については、図に見るように、概ね矩形波状の流量変化となる。
【0071】
ところで、この実施形態では、図8の油圧変化を参照して、縦軸方向のスケールから分かるように、アキュムレータは概ね3回分のピストンストロークが可能な蓄圧容量とされているため、敢えて発進待機中の蓄圧モードと通常走行中の蓄圧モードを分ける必要はないが、本形態では、前記のように発進時のアキュムレータ蓄圧時には、通常時のアキュムレータ蓄圧中とは異なり、クラッチ摩擦材冷却のために多めの潤滑流量を確保すべく、これら2つのモード分けを行なっている。
【0072】
次に示す図9〜図11は、本形態に特有の多重配置の油圧サーボの構成を模式化して示す。この配置は、先に変速機のギヤトレーン構成をスケルトンを参照して述べたように、3つのクラッチが軸方向に並べて隣接配置されることから、各クラッチ作動のための油圧サーボを集約させて、コンパクト化することを意図して採られる配置である。この配列における油圧サーボは、1つのシリンダ90に第1〜第3のピストン91〜93を入れ子状に嵌め合わせて、シリンダ90と第1のピストン92との間に第1の油圧サーボC2の油室、第1のピストン92と第2のピストン93との間に第2の油圧サーボC3の油室、第2のピストン93と第3のピストン91との間に第3の油圧サーボC1の油室を画定する多重配置の油圧サーボとされている。この多重配置の油圧サーボにおける各油圧サーボC1,C2,C3は、先の図2を参照して、クラッチ(C−2)用の第1の油圧サーボC2の油室からクラッチ(C−1)用の第3の油圧サーボC1の油室へ順次油圧供給を積み重ね、それとは逆順に油圧解放を積み重ねる繰返しにより、連続する変速段を順番に達成する配列とされている。したがって、この配列は図1に示すクラッチの摩擦材の配列とは異なるものである。この油圧供給における図2に括弧付の○印で示す油圧供給は、係合要素の係合に直接関与しない油圧供給となる。
【0073】
図9〜図11を参照して、これらの図における黒矢印は油圧の印加と押圧力の作用状態を表し、白矢印は油圧の解放と押圧力の解放状態を表す。先ず図7を参照して、全クラッチの解放状態から、クラッチ(C−2)のサーボ油室に油圧を供給すると、ピストン92は、その受圧面としての正面側(図上で右側面、他のピストンについて同じ)に油圧が作用し、背面側(図上で左側面、他のピストンについて同じ)には油圧が作用しないため、図示しないリターンスプリングの荷重に抗して油圧でシリンダ90から押出され、クラッチ(C−2)の摩擦材に押付力を作用させ、クラッチ(C−2)だけが係合する。この状態における変速段は、ギヤ対の選択により定まり、先の図2の係合図表を参照して、第1速又は第3速となる。
【0074】
次に、図10を参照して、上記の油圧供給状態を維持したまま、クラッチ(C−3)のサーボ油室に油圧を供給すると、上記ピストン92の場合と同様の作用で、ピストン93がシリンダ90から押し出され、クラッチ(C−3)の摩擦材に押付力が作用しクラッチ(C−3)が係合する。このとき、油圧はピストン93の正面側に印加されるとともに、ピストン92の背面側にも同様に印加される。この作用によりピストン92には、その正面と背面の両面に同様の油圧が印加されることになり、受圧面積が実質上同様であることで、ピストン92は受圧バランス状態となる。したがって、ピストン92は図示しないそのリターンスプリングの荷重負荷で押し戻され、この作用でクラッチ(C−2)は、先のコントロールバルブ52による制御に関わりなく解放される。この状態における変速段も、ギヤ対の選択により定まり、先の図2の係合図表を参照して、第1.5速、第2.5速又は第3.5速となる。
【0075】
更に、図10を参照して、上記の油圧供給状態を維持したまま、クラッチ(C−1)のサーボ油室に油圧を供給すると、ピストン91の正面側の受圧で、ピストン91がシリンダ90から押し出され、クラッチ(C−1)の摩擦材に押付力が作用し、クラッチ(C−1)が係合する。このとき、油圧はピストン91の正面側に印加されるとともに、ピストン93の背面側にも同様に印加される。この作用によりピストン93には、先のピストン92の場合と全く同様の理由で、正面と背面の両面の受圧バランスが成立し、ピストン93への油圧による荷重負荷は実質上解放された状態となる。したがって、ピストン93はそのリターンスプリングによる荷重負荷で押し戻され、この作用でクラッチ(C−3)は、コントロールバルブ52,53による制御に関わりなく解放される。この状態における変速段も、ギヤ対の選択により定まり、先の図2の係合図表を参照して、第2速又は第4速となる。
【0076】
こうした関係は、油圧を順次抜いていく場合についても同様である。上記3つの油圧サーボへの同時供給状態から、参照を図10に戻して、クラッチ(C−1)のサーボ油室の油圧のみ解放すると、正面側への油圧負荷が無くなったピストン91が、リターンスプリングの荷重負荷で押し戻され、クラッチ(C−1)の摩擦材の押付力が解放されて、クラッチC−1が解放される。このとき、クラッチ(C−3)のピストン93の正面と背面の受圧にアンバランスが生じるため、代わってピストン93がシリンダ00から押出され、クラッチ(C−3)の係合が生じる。この場合第1のピストン92は、先述の理由でそのままの戻り位置状態を維持する。こうしてこの状態における変速段も、ギヤ対の選択により定まり、先の図2の係合図表を参照して、第1.5速、第2.5速又は第3.5速となる。
【0077】
次に、上記2つの油圧サーボへの同時供給状態から、クラッチ(C−3)のサーボ油室の油圧を解放した場合も同様であり、図9に参照を戻して、ピストン93がリターンスプリングの荷重負荷で押し戻され、クラッチ(C−3)の摩擦材の押付力が解放されて、クラッチ(C−3)が解放される。このときも、先の場合と同様の理由から、クラッチ(C−2)のピストン92の受圧にアンバランスが生じるため、代わってクラッチ(C−2)の係合が生じる。こうしてこの状態における変速段も、ギヤ対の選択により定まり、先の図2の係合図表を参照して、第1速又は第3速となる。
【0078】
以上詳述したように、前記実施形態によれば、電動オイルポンプ20がモードセレクトバルブ21の切換えにより、選択的にアキュムレータ40に接続可能であるため、油圧サーボC1〜C3作動のための高い油圧を蓄圧するアキュムレータ40への蓄圧完了時に、電動オイルポンプ20を高い油圧を必要としない潤滑回路3への接続に換えることで、アキュムレータ40への接続時に対して電動オイルポンプ20の負荷を低減することができる。そのため、アキュムレータ40の蓄圧完了時にオイルポンプ20を低負荷運転とすることで、蓄圧用の高い油圧を発生させるに要する油圧エネルギのロスをなくすことができる。
【0079】
ところで、前記第1実施形態では、制御回路に供給された油のドレーンによる油圧エネルギロスを低減すべく、ドレーン油路の油抜けを防ぐ構成としたが、油のドレーンをより積極的に活用することで、一層油圧エネルギロスを低減することも可能である。次に、こうした意図に沿う第2実施形態の回路構成を説明する。
【0080】
図12は第2実施形態の油圧回路構成を示す。この油圧回路は、ドレーン油路の接続関係を除いて、基本的には前記第1実施形態のものと同様であるので、対応する部分については同様の参照符号を付して説明に代え、以下相違点のみ説明する。この回路では、油圧サーボC1〜C3を作動させるための複数のリニアソレノイドバルブ62〜64の各ドレーンポートと、両モジュレータバルブ50,60のドレーンポートは、チェックバルブ24を介して潤滑回路3に接続されている。
【0081】
この第2実施形態の構成を採った場合、一旦アキュムレータ40に蓄圧され、油圧サーボC1〜C3を作動させるためのライン圧回路5側に供給されてドレーンされる油を潤滑回路3への供給に充てることができるため、蓄圧のために要した電動オイルポンプ20の駆動エネルギが油圧サーボC1〜C3の作動と変速機構各部の潤滑に有効に利用される。
【0082】
この他にもドレーン油路の接続関係については種々の形態を採ることができる。これらの逐一の例示は、冗長を避ける意味で省略するが、基本的には、各制御弁のドレーンについて、それらを潤滑回路3への接続とするか、閉鎖して自然の漏れに任せるか、油の流出を防ぐ排出弁経由のドレーンとするかのいずれかと、それらの適宜の組合せとなる。
【0083】
以上、本発明の理解のために3つのクラッチの油圧サーボを作動させる油圧回路について2つの実施形態を挙げて説明したが、本発明は、例示の実施形態のような油圧回路に限定されるものではなく、広く一般的な変速制御のための油圧回路に適用し、特許請求の範囲の個々の請求項に記載の事項の範囲内で種々に具体的な構成を変更して実施することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の適用に係る変速機のギヤトレーンを示すスケルトン図である。
【図2】ギヤトレーンの各変速段の作動を示す作動図表である。
【図3】本発明の実施形態に係る油圧制御装置の制御系のシステム構成を示すブロック図である。
【図4】第1実施形態の油圧制御装置の構成を示す回路図である。
【図5】油圧制御装置の油圧制御内容を示すフローチャートである。
【図6】油圧制御装置の油圧制御作動を示すタイムチャートである。
【図7】油圧制御装置の発進待機制御を行う場合の油圧制御内容を示すフローチャートである。
【図8】油圧制御装置の発進待機制御を行う場合の油圧制御作動を示すタイムチャートである。
【図9】ギヤトレーンによる第1速及び第3速達成のための油圧サーボの作動を示す模式図である。
【図10】ギヤトレーンによる第1.5速,2.5速及び第3.5速達成のための油圧サーボの作動を示す模式図である。
【図11】ギヤトレーンによる第2速及び第4速達成のための油圧サーボの作動を示す模式図である。
【図12】第2実施形態の油圧制御装置の構成を示す回路図である。
【符号の説明】
C1〜C3 油圧サーボ
1 電子制御装置
2 電動オイルポンプ
3 潤滑回路
21 モードセレクトバルブ(切換手段)
22 チェックバルブ
23 オリフィス
40 アキュムレータ
41 油圧センサ
50 プライマリモジュレータバルブ(制御弁)
60 ソレノイドモジュレータバルブ(制御弁)
62〜64 リニアソレノイドバルブ(制御弁)
Claims (13)
- オイルポンプを油圧エネルギ源として、油の供給により、機構各部の潤滑を行なうとともに、変速制御のための油圧サーボを作動させる変速機の油圧制御装置であって、
油を供給される潤滑回路と、
供給される油を蓄圧し、油圧サーボに供給するアキュムレータと、
を備えるものにおいて、
前記オイルポンプを潤滑回路とアキュムレータに選択的に接続する切換手段が設けられたことを特徴とする変速機の油圧制御装置。 - オイルポンプを油圧エネルギ源として、油の供給により、機構各部の潤滑を行なうとともに、変速制御のための油圧サーボを作動させる変速機の油圧制御装置であって、
油を供給される潤滑回路と、
供給される油を蓄圧し、油圧サーボに供給可能なアキュムレータと、
を備えるものにおいて、
前記油圧サーボを作動させるための複数の制御弁を備え、それら制御弁の各ドレーンポートのうちの少なくとも一部は、前記潤滑回路に接続されたことを特徴とする変速機の油圧制御装置。 - 前記アキュムレータは、少なくとも油圧サーボを1回作動させるに足る蓄圧容量を有する、請求項1又は2記載の変速機の油圧制御装置。
- 前記アキュムレータの蓄圧状態を検出する油圧センサと、該油圧センサが検出する情報に基づき前記オイルポンプの運転を制御する電子制御装置を備え、
該電子制御装置は、少なくとも油圧センサが検出するアキュムレータの蓄圧状態に応じてオイルポンプの運転を制御する、請求項1、2又は3記載の変速機の油圧制御装置。 - 前記電子制御装置は、前記オイルポンプを、前記アキュムレータへの蓄圧時には高出力運転とし、アキュムレータへの蓄圧完了後には、潤滑油量を確保するに足る低出力運転とする、請求項4記載の変速機の油圧制御装置。
- 前記高出力運転と低出力運転の少なくとも一方は、電子制御装置によるその運転時間の継続判断により、他方の出力運転に切換えられる、請求項5記載の変速機の油圧制御装置。
- シフトポジションセンサを備え、
前記オイルポンプは、シフトポジションセンサによる非走行レンジ検出を条件として、低出力運転とされる、請求項4〜6のいずれか1項記載の変速機の油圧制御装置。 - 前記低出力運転により確保する潤滑油量は、走行レンジにおいて確保すべき潤滑油量より低く設定される、請求項7記載の変速機の油圧制御装置。
- 前記オイルポンプは、電動オイルポンプである、請求項1〜8のいずれか1項記載の変速機の油圧制御装置。
- 前記油圧制御装置は、前記油圧サーボを制御するための複数の制御弁を備え、それら弁の各ドレーンポートのうちの少なくとも一部は、前記潤滑回路に接続された、請求項1、3〜9のいずれか1項記載の変速機の油圧制御装置。
- 前記油圧制御装置は、前記油圧サーボを制御するための複数の制御弁を備え、それら制御弁の各ドレーンポートのうちの少なくとも一部は、閉鎖された、請求項1〜10のいずれか1項記載の変速機の油圧制御装置。
- 前記切換手段と前記アキュムレータとの間の油路と、前記潤滑回路とをオリフィスを介して連通した、請求項1記載の変速機の油圧制御装置。
- 前記アキュムレータと前記切換手段との間に、前記オイルポンプからアキュムレータへの油圧の供給のみ許容する一方向供給油路を設け、該一方向供給油路と前記潤滑回路とをオリフィスを介して連通した、請求項1記載の変速機の油圧制御装置。
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