JP4134981B2 - ハイブリッド変速機のモード切り替え制御装置 - Google Patents
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Description
主動力源および一方のモータ/ジェネレータ間をクラッチ(シリーズクラッチ)により断接可能にすると共に、主動力源および差動装置の対応する回転メンバ間をクラッチ(エンジンクラッチ)により断接可能とし、
主動力源および一方のモータ/ジェネレータ間を対応するシリーズクラッチの締結により結合すると共に主動力源および差動装置の対応する回転メンバ間を対応するエンジンクラッチの解放により切り離すことで、主動力源により駆動される一方のモータ/ジェネレータが発電して得られる電力により他方のモータ/ジェネレータを駆動して駆動系への出力を決定するシリーズハイブリッドモードと、
主動力源および一方のモータ/ジェネレータ間を対応するシリーズクラッチの解放により切り離すと共に主動力源および差動装置の対応する回転メンバ間を対応するエンジンクラッチの締結により結合することで、主動力源からの動力と、少なくとも一方のモータ/ジェネレータからの動力とにより駆動系への出力を決定するパラレルハイブリッドモードとを有した構成となす。
シリーズハイブリッドモードからパラレルハイブリッドモードヘの遷移に際しては、主動力源および一方のモータ/ジェネレータ間を対応するシリーズクラッチの解放により切り離すと共に主動力源および差動装置の対応する回転メンバ間を対応するエンジンクラッチの締結により結合することで当該遷移を行うことができる。
シリーズハイブリッドモードが、エンジン駆動される一方のモータ/ジェネレータの発電電力で駆動される他方のモータ/ジェネレータからの動力のみを用いた駆動のため比較的小さな駆動力での走行モードであるのに対し、パラレルハイブリッドモードが、エンジンからの動力と、少なくとも一方のモータ/ジェネレータからの動力とを用いた駆動のため比較的大きな駆動力で走行モードであることから、
両モード間の最大駆動力間に大きな駆動力差が存在して、シリーズハイブリッドモードからパラレルハイブリッドモードへの遷移に際し、車両が最大駆動力での走行を要求される場合において車両駆動力の急増を生じ、ショックが発生したり、少なくとも乗員に違和感を与えるという問題があった。
図12における波線はシリーズハイブリッドモードで出力可能な車速VSPごとの最大駆動力(波線で囲まれた領域がシリーズハイブリッドモードで出力可能な駆動力範囲)を示し、細い実線はパラレルハイブリッドモードで出力可能な車速VSPごとの最大駆動力(細い実線で囲まれた領域がパラレルハイブリッドモードで出力可能な駆動力範囲)を示す。
図13は、瞬時t0に最大駆動力を要求するような態様で車両を発進させ、これにより車両駆動力Fが図12に太い実線で示すごとく、また図13のような時系列変化をもって上昇するようなシリーズハイブリッドモードでの制御が開始された場合における、エンジンクラッチの差動装置側回転数(変速機入力軸回転数)Niおよびエンジン側回転数(エンジン回転数)Neと、エンジントルクTeおよび前記一方のモータ/ジェネレータMG1のトルクTm1並びに他方のモータ/ジェネレータMG2のトルクTm2と、エンジンクラッチの締結容量トルクTcと、車両駆動力Fとの経時変化を示す。
この間、車両駆動力Fは図12に太い実線で示すように、また図13の時系列変化をもって増大され、シリーズハイブリッドモードで発生可能な最大駆動力になった後は、車速VSPの上昇と共にシリーズハイブリッドモードの最大駆動力線に沿って変化(低下)し、車両駆動力Fが図12に示すシリーズハイブリッドモード域およびパラレルハイブリッドモード域間の境界に至る車速VSP1の時(図13のt1)に、図13のごとくエンジンクラッチを締結容量トルクTcの増大により締結すると共に、図12および図13には示さなかったがシリーズクラッチを解放することでシリーズハイブリッドモードからパラレルハイブリッドモードへの遷移を行う。
最大駆動力を要求した状態での遷移時だと、シリーズハイブリッドモードでの最大駆動力およびパラレルハイブリッドモードでの最大駆動力間における駆動力差により、車両駆動力Fが図12に太い実線で示すごとくモード切り替え時(図13の瞬時t2)において大きく変化(急増)し、ショックが発生したり、少なくとも乗員に違和感を与えるという問題を生ずる。
なお図12および図13につき上述したモード切り替えにあっては、図12に示すシリーズハイブリッドモードの最大駆動力線形状に起因して、図12の車速VSP1となる直前および図13の瞬時t2に至る直前に駆動力の低下も発生し、この点でも乗員に引き込みによる違和感を与えるという問題を生ずる。
しかしこの場合、シリーズハイブリッドモードでの車両駆動力Fの立ち上がりが図12および図13の場合よりも鈍くなり、図12の車速VSP1となる直前および図13の瞬時t2に至る直前における駆動力の急変は解消し得るものの、発進加速性能の低下を否めないし、パラレルハイブリッドモードへの切り替え後に車両駆動力Fを当該モードでの最大駆動力値まで急上昇させることから、図15にt3で示すパラレルハイブリッドモードへの切り替え瞬時の直後に駆動力Fが急増し、ここにおいてショックを生じたり、乗員に違和感を与えるという問題は依然として解消され得ない。
しかしこの場合、シリーズハイブリッドモードでの車両駆動力Fの立ち上がりが図12および図13の場合よりも鈍くなって、図14および図15の場合と同じく発進加速性能の低下を否めないという問題を生ずるほかに、パラレルハイブリッドモードへの切り替え後に車両駆動力Fを当該モードでの最大駆動力値まで緩やかに上昇させることから、図17にt3で示すパラレルハイブリッドモードへの切り替え瞬時の直後に駆動力Fが急増することがなくて、ショックを生じたり、乗員に違和感を与えることがない反面、パラレルハイブリッドモードへの切り替え後における駆動力Fの増大不足から、ここでの発進加速性能の低下を生ずる。
先ず前提となるハイブリッド変速機は、
2要素の回転状態を決定すると他の要素の回転状態が決まる差動装置を介して主動力源、2個のモータ/ジェネレータ、および駆動系への出力間を相互に連結し、
主動力源および一方のモータ/ジェネレータ間をクラッチにより断接可能にすると共に、主動力源および差動装置の対応する回転メンバ間をクラッチにより断接可能とし、
主動力源および一方のモータ/ジェネレータ間を対応するクラッチの締結により結合すると共に主動力源および差動装置の対応する回転メンバ間を対応するクラッチの解放により切り離すことで、主動力源により駆動される一方のモータ/ジェネレータが発電して得られる電力により他方のモータ/ジェネレータを駆動して駆動系への出力を決定するシリーズハイブリッドモードと、
主動力源および一方のモータ/ジェネレータ間を対応するクラッチの解放により切り離すと共に主動力源および差動装置の対応する回転メンバ間を対応するクラッチの締結により結合することで、主動力源からの動力と、少なくとも一方のモータ/ジェネレータからの動力とにより駆動系への出力を決定するパラレルハイブリッドモードとを有したものである。
シリーズハイブリッドモードで前記出力への駆動力がシリーズハイブリッドモードの発生可能最大駆動力に達した時より、主動力源および差動装置の対応する回転メンバ間の前記クラッチを滑り結合させて前記主動力源から前記出力へトルクを伝達することにより、前記駆動力を前記シリーズハイブリッドモードの発生可能最大駆動力から、パラレルハイブリッドモードの発生可能最大駆動力へと連続的に変化させつつ、主動力源および差動装置の対応する回転メンバ間の前記クラッチの締結と、主動力源および一方のモータ/ジェネレータ間の前記クラッチの解放とによる、シリーズハイブリッドモードからパラレルハイブリッドモードへの切り替えを行うよう構成したことを特徴とするものである。
主動力源および差動装置の対応する回転メンバ間の前記クラッチを締結すると共に、主動力源および一方のモータ/ジェネレータ間の前記クラッチを解放することにより行う、シリーズハイブリッドモードからパラレルハイブリッドモードへの切り替えに際し、
シリーズハイブリッドモードで前記出力への駆動力がシリーズハイブリッドモードの発生可能最大駆動力に達した時より、主動力源および差動装置の対応する回転メンバ間の前記クラッチを滑り結合させて前記主動力源から前記出力へトルクを伝達することにより、前記駆動力を前記シリーズハイブリッドモードの発生可能最大駆動力から、パラレルハイブリッドモードの発生可能最大駆動力へと連続的に変化させつつ当該モード切り替えを行うことから、
シリーズハイブリッドモードの発生可能最大駆動力と、パラレルハイブリッドモードの発生可能最大駆動力との間に大きな差があっても、このモード切り替え時に駆動力が急変することがなく、前記したショックや、違和感に関する問題を解消することができる。
シリーズハイブリッドモードでの駆動力の立ち上がりや、パラレルハイブリッドモードへの切り替え直後における駆動力の上昇を要求通りのものにしたままで上記の作用効果を達成することができ、
従って図14および図15につき前述した操作や、図16および図17につき前述した操作を行った場合の前記新たな弊害を伴うことなしに上記の作用効果を達成し得る。
図1は、本発明のモード切り替え制御装置を適用可能なハイブリッド変速機搭載車両のパワートレーンを例示する。
このパワートレーンは、エンジンENGに第1のモータ/ジェネレータMG1が取り付けられ、ハイブリッド変速機の主要部を成す変速機構10のエンジン側端に第2のモータ/ジェネレータMG2が取り付けられ、これらモータ/ジェネレータMG1,MG2間にクラッチ11が存在し、変速機構10の出力が駆動車輪12に伝達されて車両の駆動力を発生するものである。
このパワートレーンは、エンジンENGに第1のモータ/ジェネレータMG1が取り付けられ、変速機構10の出力側端に第2のモータ/ジェネレータMG2が取り付けられ、第1のモータ/ジェネレータMG1と変速機構10のエンジン側端との間にクラッチ11が存在し、変速機構10の出力が駆動車輪12に伝達されて車両の駆動力を発生するものである。
このパワートレーンは、エンジンENGに変速機構10を結合し、この変速機構10に第1のモータ/ジェネレータMG1および第2のモータ/ジェネレータMG2を取り付け、クラッチ等の摩擦要素を全て変速機構10内に配置し、変速機構10の出力が駆動車輪12に伝達されて車両の駆動力を発生するものである。
ハイブリッド変速機の主要部を成す図3の変速機構10は図4に示すように、その軸線方向(図の左右方向)中程に配して第1の単純遊星歯車組G1を設け、図の右側(エンジンENGから遠い後端)に配して第2の単純遊星歯車組G2を設け、図の左側(エンジンENGに近い前端)に配して第3の遊星歯車組G3を設ける。
なお遊星歯車組G1,G2,G3は、回転メンバとしてサンギヤS1,S2,S3、およびリングギヤR1,R2,R3、並びにキャリアC1,C2,C3の3要素を具え、これら回転メンバ間を以下のごとくに相関させることにより、本発明における2自由度の差動装置を構成するものとする。
キャリアC2には、入力軸21に同軸に配置した出力軸22(図5の共線図では出力Outとして示す)を結合する。
また入力軸21および第1のモータ/ジェネレータMG1間をシリーズクラッチS/Cにより結合可能とする。
サンギヤS1,S2を相互に結合し、これらの結合体を第2のモータ/ジェネレータMG2に結合する。
そして、キャリアC3をローブレーキL/Bにより固定可能にすると共に、ハイクラッチH/CによりサンギヤS3に結合可能とする。
第1の遊星歯車組G1における回転速度順で中間のキャリアC1と、第2の遊星歯車組G2における回転速度順で第1位のリングギヤR2とを相互に結合し、第2の遊星歯車組G2における回転速度順で第3位のサンギヤS2と、第1の遊星歯車組G1における回転速度順で第3位のサンギヤS1とにそれぞれ、第3の遊星歯車組G3におけるリングギヤR3およびサンギヤS3を結合する。
第1の遊星歯車組G1のリングギヤR1をモータ/ジェネレータクラッチMG1/Cにより第1のモータ/ジェネレータMG1に結合可能にすると共に、ハイ&ローブレーキHL/Bにより固定可能とする。
第2の遊星歯車組G2のキャリアC2に車輪駆動系への出力Outを結合し、第1の遊星歯車組G1のサンギヤS1および第3の遊星歯車組G3のサンギヤS3に第2のモータ/ジェネレータMG2を結合する。
なお図5の横軸は遊星歯車組G1,G2,G3のギヤ比により決まる回転メンバ間の距離比を表し、縦軸は回転メンバの回転速度(0を基準に、上方が前進回転速度、下方が後進回転速度)を表す。
この場合、図3におけるレバーG2がレバーG1上に乗り、遊星歯車組G1,G2により構成されるギヤ列が4要素2自由度の一直線で表される変速状態を提供し、回転メンバの回転速度順にモータ/ジェネレータMG1、エンジンENGからの入力In、車輪駆動系への出力Out、モータ/ジェネレータMG2の配列となる。
従って出力Out(キャリアC2)の回転が、図5の変速状態の時よりも高くなり、ハイ側変速比域での変速を行わせることができる。
従って出力Out(キャリアC2)の回転が、上記したハイクラッチH/C締結時の変速状態での回転よりも低回転となり、ロー側変速比域での変速を行わせることができる。
つまり、エンジンENGからのトルクによりモータ/ジェネレータMG1を一定回転数(図11参照)で駆動して発電を行わせ、その発電電力を用いて、また必要に応じバッテリ電力を用いて、出力Out側のモータ/ジェネレータMG2を駆動することにより車両を走行させる。
従ってシリーズハイブリッドモードでは、モータ/ジェネレータMG2からの動力のみにより駆動系への出力Outが決定される。
この制御システムは、上記モード切り替えのためのエンジンクラッチE/CおよびシリーズクラッチS/Cの上記状態切り替えのほかに、通常の変速制御のためにエンジンENGおよびモータ/ジェネレータMG1,MG2をも制御するものとする。
ハイブリッドコントローラ31は更に、モータ/ジェネレータMG1,MG2の目標トルクを求めて、対応するモータコントローラ36,37に指令し、これらモータコントローラ36,37は、対応するインバータ38,39を介してバッテリ40からの電力供給量を制御することにより、モータ/ジェネレータMG1,MG2をそれぞれの目標トルクが達成されるよう制御する。
またハイブリッドコントローラ31は、エンジンクラッチE/CおよびシリーズクラッチS/Cの上記状態切り替えに際し、これらクラッチに所定のクラッチ締結トルク容量指令を与え、該クラッチはソレノイドバルブ(図示せず)の電流制御により対応する必要油圧がクラッチに供給される
ようにする。
クラッチスイッチは、対応するクラッチ内の締結油圧が規定の油圧に達した時に出力を0V→5Vとし、規定油圧未満になった場合に出力を5V−0Vとして出力し、クラッチスイッチからの情報を基にハイブリッドコントローラ31は、クラッチ締結油圧が設定油圧に達したか否かを判断することができる。
他方で油圧センサは、クラッチ締結油圧を電圧に変換し、実油圧を継続的に検出するもので、油圧スイッチからの情報によっても同様にハイブリッドコントローラ31は、クラッチ締結油圧が設定油圧に達したか否かを判断することができる。
なお必要に応じて温度センサを設け、クラッチ作動油の温度を計測してクラッチ切り替え制御に用いることも可能である。
図7はメインルーチンで、ステップS1においては、車速VSPおよびアクセル開度APOから、予定の目標駆動カマップを基に、運転者が要求している車両の目標駆動力を演算する。
次にステップS2において、上記の目標駆動力、車速VSP、およびバッテリ蓄電状態SOC(持ち出し可能電力)から、現在の運転状態に最適な走行モード(シリーズハイブリッドモード、パラレルハイブリッドモード)を決定し、この決定したモードを実現するのに必要なクラッチ締結油圧を決定する。
ただし本実施例では、図10に太い実線で示すように車両駆動力Fがシリーズハイブリッドモードの実現可能最大駆動力に達した時は、パラレルハイブリッドモードの実現可能領域と隣り合わせていなくても、最適な走行モードをパラレルハイブリッドモードに決定するものとし、
パラレルハイブリッドモードを実現するよう、つまり、エンジンクラッチE/Cを締結し、シリーズクラッチS/Cを解放するよう、これらクラッチの締結油圧を決定するものとする。
ステップS4においては、上記最適走行モードや、クラッチの締結状態、目標エンジン回転数を考慮し、最適な目標エンジントルクを決定する。
ステップS5においては、上記の目標エンジン回転数および目標エンジントルクを考慮した上で、ステップS1における目標駆動力を実現するのに必要なモータ/ジェネレータMG1,MG2の要求モータトルクを演算する。
ステップS11では、前回シリーズハイブリッドモードであったか否かをチェックし、前回シリーズハイブリッドモードでなければパラレルハイブリッドモード要求中であるから、ステップS12においてパラレルハイブリッドモード用の通常制御を行う。
ステップS11で前回シリーズハイブリッドモードであったと判定する時は、ステップS13において、図7のステップS2で決定した最適モードを読み込み、次のステップS14において、当該読み込んだ最適モードがシリーズハイブリッドモードかパラレルハイブリッドモードか否かに基づき、現在のシリーズハイブリッドモードからパラレルハイブリッドモードへの遷移要求があるか否かを判定する。
この遷移要求がなければシリーズハイブリッドモードの継続が要求されていることから、ステップS15において、シリーズハイブリッドモード用の通常制御を行う。
この時におけるエンジンクラッチE/Cの入力側回転数(エンジン回転数)Neと、出力側回転数Niとの差であるエンジンクラッチスリップ量(Ne−Ni)をステップS16で求め、ここでエンジンクラッチスリップ量(Ne−Ni)が締結完了判定用の規定回転値以下であるか否かによりエンジンクラッチE/Cがモード切り替え用の締結を完了しているか否かをチェックする。
この制御のために先ずステップS17およびステップS18において、目標エンジン回転数および目標エンジントルクを決定する。
目標エンジン回転数は、エンジンの下限回転数およびエンジンクラッチE/Cの出力側回転数Niに応じて決定し、必ずエンジンクラッチ出力側回転数Ni以上なるように決定し、
目標エンジントルクは、目標エンジン回転数を踏まえて、バッテリ蓄電状態SOC(持ち出し可能電力)や、目標駆動力(ステップS1)、変速機構10の状態などに応じ決定する。
ただしエンジンクラッチE/Cの目標締結トルクTcは、シリーズハイブリッドモードでの駆動力Fが図10に太い実線で示すごとくシリーズハイブリッドモードの発生可能最大駆動力αに達した後において、エンジンクラッチE/Cの滑り結合によりエンジントルクの一部をキャリアC1およびリングギヤR2に向かわせ、これにより駆動力Fを上記のαからパラレルハイブリッドモードの発生可能最大駆動力βへと連続的に変化させるためのものとする。
シリーズハイブリッドモードで駆動力Fがシリーズハイブリッドモードの発生可能最大駆動力αに達した時より、エンジンクラッチE/Cを滑り結合させてエンジンからキャリアC1およびリングギヤR2へトルクを伝達することにより、駆動力Fをシリーズハイブリッドモードの発生可能最大駆動力αから、パラレルハイブリッドモードの発生可能最大駆動力βへと連続的に変化させつつモード切り替えを行うことになるから、
シリーズハイブリッドモードの発生可能最大駆動力と、パラレルハイブリッドモードの発生可能最大駆動力との間に大きな差があっても、このモード切り替え時に駆動力が急変することがなく、前記したしたショックや、違和感に関する問題を解消することができる。
シリーズハイブリッドモードでの駆動力Fの立ち上がりや、パラレルハイブリッドモードへの切り替え直後における駆動力Fの上昇を要求通りのものにしたままで上記の作用効果を達成することができ、
図14および図15につき前述した操作や、図16および図17につき前述した操作を行った場合に生ずる前記新たな弊害を伴うことなしに上記の作用効果を達成し得る。
本実施例では図8のステップS21において、モータ/ジェネレータMG1のトルク指令値Tm1を図11の瞬時t4〜t5間に示すごとく、その発電負荷(負荷トルク)が上記のエンジントルク消失分だけ低下するよう決定する。
しかも、応答性の高いモータ/ジェネレータMG1のトルク指令値を操作してエンジン回転数Neを所定の一定値に保つことから、精度良くエンジン回転数の低下防止効果を達成することができる。
ちなみに、エンジンを制御してエンジン回転数Neを所定の一定値に保つ構成の場合、エンジンのトルク応答性が低いため、エンジン回転数が不安定となるが、この問題を回避することができる。
なお、上記のごとくモータ/ジェネレータMG1のトルク指令値Tm1を操作してエンジンの回転低下防止を行うに際しては、周知のPI制御やスライディングモード等を用いることができる。
つまり、エンジンクラッチE/Cをモード切り替え時における駆動力の連続性に鑑み滑り結合させる制御を、エンジンクラッチE/Cの入力側回転数(エンジン回転数Ne)が出力側回転数(変速機入力軸回転数)Niよりも低回転である時に行うと、エンジンクラッチE/Cの締結容量を連続的に増大する過程でクラッチがエンジン系のトルクを駆動軸系に連続的に伝達するため、エンジンの回転数が下がり規定の下限回転数を維持できなくなり、エンジントルク制御、回転維持、各種補機類の機能維持に支障をきたす。
ところで本実施例のごとく、モード切り替え時にエンジンクラッチE/Cを滑り結合させる制御を、エンジンクラッチE/Cの入力側回転数(エンジン回転数Ne)が出力側回転数(変速機入力軸回転数)Niよりも高回転である時に行うようことから、上記のような支障を回避しつつ前記の各種作用効果を実現することができる。
ステップS23において、パラレルハイブリッドモードでエンジンクラッチE/Cをスリップすることなく締結し続け得るエンジンクラッチ締結トルク容量の指令値を出力し、
ステップS24において、パラレルハイブリッドモードへの遷移完了を判定し、ステップS12でのパラレルハイブリッドモード用の通常制御を継続的に実行する。
10 変速機構
11 クラッチ
12 駆動車輪
MG1 第1モータ/ジェネレータ(一方のモータ/ジェネレータ)
MG2 第2モータ/ジェネレータ(他方のモータ/ジェネレータ)
21 入力軸
22 出力軸
G1 第1遊星歯車組(差動装置)
G2 第2遊星歯車組(差動装置)
G3 第3遊星歯車組(差動装置)
S1,S2,S3 サンギヤ
R1,R2,R3 リングギヤ
C1,C2,C3 キャリア
H/C ハイクラッチ
L/B ローブレーキ
E/C エンジンクラッチ
S/C シリーズクラッチ
MG1/C モータ/ジェネレータクラッチ
31 ハイブリッドコントローラ
32 エンジンコントローラ
33 スロットル弁
34 燃料噴射装置
35 点火装置
36 モータコントローラ
37 モータコントローラ
38 インバータ
39 インバータ
40 バッテリ
41 バッテリコントローラ
Claims (3)
- 2要素の回転状態を決定すると他の要素の回転状態が決まる差動装置を介して主動力源、2個のモータ/ジェネレータ、および駆動系への出力間を相互に連結し、
主動力源および一方のモータ/ジェネレータ間をクラッチにより断接可能にすると共に、主動力源および差動装置の対応する回転メンバ間をクラッチにより断接可能とし、
主動力源および一方のモータ/ジェネレータ間を対応するクラッチの締結により結合すると共に主動力源および差動装置の対応する回転メンバ間を対応するクラッチの解放により切り離すことで、主動力源により駆動される一方のモータ/ジェネレータが発電して得られる電力により他方のモータ/ジェネレータを駆動して駆動系への出力を決定するシリーズハイブリッドモードと、
主動力源および一方のモータ/ジェネレータ間を対応するクラッチの解放により切り離すと共に主動力源および差動装置の対応する回転メンバ間を対応するクラッチの締結により結合することで、主動力源からの動力と、少なくとも一方のモータ/ジェネレータからの動力とにより駆動系への出力を決定するパラレルハイブリッドモードとを有したハイブリッド変速機において、
シリーズハイブリッドモードで前記出力への駆動力がシリーズハイブリッドモードの発生可能最大駆動力に達した時より、主動力源および差動装置の対応する回転メンバ間の前記クラッチを滑り結合させて前記主動力源から前記出力へトルクを伝達することにより、前記駆動力を前記シリーズハイブリッドモードの発生可能最大駆動力から、パラレルハイブリッドモードの発生可能最大駆動力へと連続的に変化させつつ、主動力源および差動装置の対応する回転メンバ間の前記クラッチの締結と、主動力源および一方のモータ/ジェネレータ間の前記クラッチの解放とによる、シリーズハイブリッドモードからパラレルハイブリッドモードへの切り替えを行うよう構成したことを特徴とするハイブリッド変速機のモード切り替え制御装置。 - 請求項1に記載のハイブリッド変速機のモード切り替え制御装置において、
前記主動力源および差動装置の対応する回転メンバ間におけるクラッチを前記滑り結合させる制御は、該クラッチの主動力源側回転数が回転メンバ側回転数よりも高回転である時に行うよう構成したことを特徴とするハイブリッド変速機のモード切り替え制御装置。 - 請求項1または2に記載のハイブリッド変速機のモード切り替え制御装置において、
前記主動力源および差動装置の対応する回転メンバ間におけるクラッチを前記滑り結合させて前記主動力源から前記出力へトルクを伝達した分だけ、前記一方のモータ/ジェネレータによる主動力源への負荷トルクを減ずるよう構成したことを特徴とするハイブリッド変速機のモード切り替え制御装置。
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