JP2003034833A - 二次電池ケース用アルミニウム合金板 - Google Patents

二次電池ケース用アルミニウム合金板

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JP2003034833A
JP2003034833A JP2002100894A JP2002100894A JP2003034833A JP 2003034833 A JP2003034833 A JP 2003034833A JP 2002100894 A JP2002100894 A JP 2002100894A JP 2002100894 A JP2002100894 A JP 2002100894A JP 2003034833 A JP2003034833 A JP 2003034833A
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alloy plate
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battery case
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Ki Sai
祺 崔
Koichi Ohori
紘一 大堀
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Mitsubishi Aluminum Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高強度かつプレス成形性に優れた二次電池ケ
ース用アルミニウム合金板を提供する。 【解決手段】 Mnを0.6〜1.5重量%、Siを
0.1〜0.8重量%、Cuを0.1〜0.8重量%、
Feを0.1〜0.8重量%、Znを0.2超〜0.7
重量%それぞれ含有し、残部が不可避的不純物及びAl
からなることを特徴とする二次電池ケース用アルミニウ
ム合金板により、上記課題を解決する。この二次電池ケ
ース用アルミニウム合金板は、平均結晶粒径が、25μ
m未満であることが好ましい。また、上記アルミニウム
合金板には、更にMgを0.2超〜0.7重量%含有さ
せることができ、更にZrを0.06〜0.2重量%、
Crを0.06〜0.2重量%のうち一方または双方を
含有させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ノート型パーソナ
ルコンピュータや携帯電話などの動力源となる二次電池
ケース用アルミニウム合金板に関し、特に、リチウムイ
オン二次電池ケース用アルミニウム合金板に関する。
【0002】
【従来の技術】二次電池は、ノート型パーソナルコンピ
ュータや携帯電話などの携帯機器の電源として使用され
るため、小型かつ軽量であることが要求されている。こ
うした要求に対するものの一つとして、二次電池ケース
の薄肉化が検討されている。
【0003】二次電池ケースは、通常、多段プレスによ
って成形されるために、ケース材料には良好なプレス成
形性が求められる。このため、従来では、純アルミニウ
ム系(JIS−1000系)またはAl−Mn系のJI
S−3003合金などのような比較的軟質の材料が二次
電池ケースに用いられることが多かった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そのような二次電池
は、上述した材料からなるケースに電極体を入れた後
に、溶接またはカシメにより蓋を付けて密封することに
より製造される。こうして製造された二次電池を携帯電
話などに使用した場合においては、充電する際に、ケー
ス内部の温度が上昇して、ケース内部の圧力が増加す
る。その場合に、上述した比較的軟質のケース材料で製
造された二次電池ケースは、大きな膨れが生じるという
問題があった。この膨れを抑制するために、高強度の材
料を二次電池用のケース材料として用いることが要求さ
れている。
【0005】本発明は、上記の問題点に鑑みて成し遂げ
られたものであり、その目的は、高強度かつプレス成形
性に優れたアルミニウム合金板を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の二次電
池ケース用アルミニウム合金板は、Mnを0.6〜1.
5重量%、Siを0.1〜0.8重量%、Cuを0.1
〜0.8重量%、Feを0.1〜0.8重量%、Znを
0.2超〜0.7重量%それぞれ含有し、残部が不可避
的不純物及びAlからなることを特徴とする。
【0007】こうした本発明のアルミニウム合金板によ
れば、強度が高いので、形成された二次電池が充電され
る際のケースの膨れが防止される。また、このアルミニ
ウム合金板によれば、プレス成形性に優れているので、
良好にプレス成形がなされた二次電池ケースを提供する
ことができる。さらに、このアルミニウム合金板は、レ
ーザ溶接性にも優れたものである。その結果、二次電池
ケースの薄肉化に寄与でき、さらには、二次電池の小型
軽量化の要請にも応えることができる。
【0008】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の二次電池ケース用アルミニウム合金板において、平均
結晶粒径が25μm未満であることを特徴とする。
【0009】請求項3に記載の発明は、請求項1または
請求項2に記載の二次電池ケース用アルミニウム合金板
において、更にMgを0.2超〜0.7重量%含有させ
ることを特徴とする。
【0010】請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請
求項3のいずれか1項に記載の二次電池ケース用アルミ
ニウム合金板において、更にZrを0.06〜0.2重
量%、Crを0.06〜0.2重量%のうち一方または
双方を含有させることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の二次電池ケース用アルミ
ニウム合金板(以下、アルミニウム合金板という。)に
ついて説明する。
【0012】本発明のアルミニウム合金板の組成は、M
nを0.6〜1.5重量%、Siを0.1〜0.8重量
%、Cuを0.1〜0.8重量%、Feを0.1〜0.
8重量%、Znを0.2超〜0.7重量%それぞれ含有
し、残部が不可避的不純物及びAlからなる。なお、本
発明のアルミニウム合金板には、更に、Mgを0.2超
〜0.7重量%含有させたり、Zrを0.06〜0.2
重量%、Crを0.06〜0.2重量%のうち一方また
は双方を含有させることができる。以下に、これらの構
成成分について説明する。
【0013】Mnは、アルミニウム合金板の強度を高
め、また、結晶粒を微細化してアルミニウム合金板のプ
レス成形性の向上に寄与する。Mn含有量が0.6重量
%未満では、その作用が不十分となり、Mn含有量が
1.5重量%を超えると、鋳造時に粗大な晶出物が生成
しやすくなり、マトリックス中に分散してプレス成形性
が低下する。Mn含有量の好ましい範囲は0.8〜1.
3重量%である。
【0014】Siは、アルミニウム合金板の強度を高
め、また、アルミニウム合金の融点を下げることにより
レーザ溶接時の溶け込み深さを高めて、アルミニウム合
金板のレーザ溶接性の向上に寄与する。Si含有量が
0.1重量%未満では、その作用が不十分となり、Si
含有量が0.8重量%を超えると、鋳造時に粗大な晶出
物が生成しやすくなり、プレス成形性が低下し、レーザ
溶接性も低下する。Si含有量の好ましい範囲は0.1
〜0.6重量%、更に好ましくは0.1重量%以上0.
4重量%未満である。こうした範囲とすることにより、
アルミニウム合金板の強度をより高めると同時に、その
レーザ溶接性をさらに高めることができる。
【0015】Cuは、アルミニウム合金板の強度を高め
るよう作用する。Cu含有量が0.1重量%未満では、
その作用が不十分となり、Cu含有量が0.8重量%を
超えると、強度は更に向上するが、アルミニウム合金板
のプレス成形性が顕著に低下する。Cu含有量の好まし
い範囲は0.3超〜0.75重量%である。
【0016】Feは、アルミニウム合金板の強度を高め
るよう作用する。Fe含有量が0.1重量%未満では、
その作用が不十分となり、Fe含有量が0.8重量%を
超えると、鋳造時に粗大な晶出物が生成しやすくなり、
アルミニウム合金板のプレス成形性が低下する。Fe含
有量の好ましい範囲は0.3〜0.7重量%である。
【0017】Znは、アルミニウム合金板の強度を高
め、また、アルミニウム合金の融点を下げることにより
レーザ溶接時の溶け込み深さを高めて、アルミニウム合
金板のレーザ溶接性の向上に寄与する。Zn含有量が
0.2重量%以下では、その作用が不十分となり、Zn
含有量が0.7重量%を超えると、強度は更に向上する
が、アルミニウム合金板のレーザ溶接性が低下する。Z
n含有量の好ましい範囲は0.3〜0.6重量%であ
る。こうした範囲とすることにより、アルミニウム合金
板の強度をより高めると同時に、そのレーザ溶接性をさ
らに高めることができる。
【0018】ここで、不可避的不純物とは、アルミニウ
ム合金板の製造工程において、不可避的に混入される不
純物をいい、例えば、鋳造工程において結晶粒微細化剤
として混入させるTi、B等が挙げられる。
【0019】以上の組成からなる本発明のアルミニウム
合金板は、強度が高いので、形成した二次電池が充電さ
れる際に、そのケースの膨れを防止できる。さらに、本
発明のアルミニウム合金板は、プレス成形性及びレーザ
溶接性に優れたものとなる。そのため、このアルミニウ
ム合金板は、好ましく二次電池ケースに用いられ、ケー
スの薄肉化にも適したものである。
【0020】また、上記成分組成に、更にMgを含有さ
せることができる。
【0021】Mgは、アルミニウム合金板の強度を高
め、また、加工硬化を高めることによりプレス成形性の
向上に寄与する。Mg含有量が0.2重量%以下では、
その作用が不十分となり、Mg含有量が0.7重量%を
超えると、ケース成形後に胴体に蓋を接合する際の、溶
接性を損なうために好ましくない。なお、この範囲内で
あれば、アルミニウム合金板の強度をより高めると同時
に、そのプレス成形性をさらに高めることができる。M
g含有量の好ましい範囲は0.2超〜0.5重量%であ
る。Mgを加えることにより、更に強度の高いアルミニ
ウム合金板が提供される。
【0022】また、上記成分組成に、更にZrとCrの
一方または双方を含有させることができる。
【0023】Zrはアルミニウム合金板の強度を高め、
結晶粒を微細化してアルミニウム合金板のプレス成形性
の向上に寄与する。Zr含有量が0.06重量%未満で
は、その作用が不十分となり、Zr含有量が0.2重量
%を超えると、鋳造時に粗大な晶出物が生成しやすくな
り、プレス成形性が低下する。Zr含有量の好ましい範
囲は0.07〜0.15重量%である。
【0024】Crはアルミニウム合金板の強度を高め、
結晶粒を微細化してアルミニウム合金板のプレス成形性
の向上に寄与する。Cr含有量が0.06重量%未満で
は、その作用が不十分となり、Cr含有量が0.2重量
%を超えると、鋳造時に粗大な晶出物が生成しやすくな
り、プレス成形性が低下する。Cr含有量の好ましい範
囲は0.07〜0.15重量%である。
【0025】ZrとCrの少なくともいずれか一方を含
有させた場合、すなわち、CrのみまたはZrのみをア
ルミニウム合金板に含有させた場合、またはCrとZr
の双方をアルミニウム合金板に含有させた場合のいずれ
においても、上述した含有量とすることにより、アルミ
ニウム合金板中の結晶粒を微細化させてプレス成形性を
向上させるとともに、強度も高めることができる。
【0026】以上説明した、Mn、Si、Cu、Fe、
Znをそれぞれ所定量含有し、残部が不可避的不純物及
びAlからなるアルミニウム合金板に、Mgを所定量含
有させたり、Zr、Crの少なくとも一方を所定量含有
させたアルミニウム合金板は、いずれも強度が高いため
に、形成された二次電池が充電される際に、そのケース
の膨れを防止することができる。さらに、こうしたアル
ミニウム合金板は、プレス成形性及びレーザ溶接性にも
優れたものとなる。そのため、このアルミニウム合金板
は、好ましく二次電池ケースに用いられ、ケースの薄肉
化にも適したものである。
【0027】次に、アルミニウム合金板の評価基準につ
いて説明する。
【0028】本発明のアルミニウム合金板は、強度、溶
接性、プレス成形性および平均結晶粒径により評価され
る。
【0029】本発明のアルミニウム合金板は、引張試験
で求めた引張強さが200MPa以上であることが好ま
しく、210MPa以上であることがより好ましい。引
張強さがこの範囲内であれば、アルミニウム合金板を成
形した二次電池ケースに十分な耐膨れ性を与えることが
できるので、その充電の際に電池ケースの内部で温度が
上昇し、圧力が増加したときの電池ケースの膨れが防止
される。引張強さの上限値は、特に規定しないが、アル
ミニウム合金板の特性、製造方法に依存するため、現在
のアルミニウム板製造技術で低コストかつ安定に製造で
きるものの引張強さの上限値は400MPa程度、好ま
しくは、300MPa程度である。なお、強度とは、こ
の引張試験によって得られる引張強さをいう。
【0030】溶接性は、合金凝固時の固相と液相との共
存温度範囲(以下、固液共存温度範囲という。)等によ
って評価される。本発明のアルミニウム合金板において
は、固液共存温度範囲が16.5℃未満で、なるべく狭
い方が好ましく、具体的には16.0℃以下である。ア
ルミニウム合金板をレーザによって溶接する際に生じる
欠陥は、主に凝固割れなので、溶接性は割れ感受性と密
接な関係にある。この割れ感受性は固液共存温度範囲に
依存するため、固液共存温度範囲を溶接性の評価にする
ことができる。固液共存温度範囲が上記範囲内であれ
ば、溶接性に優れたアルミニウム合金板となり、この合
金板により二次電池が良好に作製される。固液共存温度
範囲が16.5℃以上になると、レーザ溶接時の割れ感
受性が非常に高くなる。なお、固液共存温度範囲の下限
値は特に規定しないが、5℃程度が好ましい。ここで、
固液共存温度範囲は、一般に、不純物が非常に少ない高
純度アルミニウムにおいては0℃となるが、そうした高
純度アルミニウムの強度は非常に低い。その一方、強度
を高める合金元素を添加すると、固液共存温度範囲は大
きくなる。そのような強度とレーザ溶接性との観点か
ら、本発明の二次電池ケース用アルミニウム合金板にお
いては、固液共存温度範囲の下限値を上述の通り5℃程
度とした。ここで、溶接性とは、二次電池ケース体部に
蓋を溶接によって接合できる性質をいう。特に、レーザ
溶接性とは、溶接をレーザにより行う場合の溶接性をい
う。
【0031】プレス成形性とは、形付けをプレスによっ
て行う場合の形付けができる性質をいう。本発明のアル
ミニウム合金板は、プレス成形性に優れているため、そ
の合金板により、二次電池ケースが良好に成形される。
【0032】本発明のアルミニウム合金板は、圧延方向
断面において、下記の方法で求めた平均結晶粒径が25
μm未満であることが好ましい。より好ましい範囲は2
0μm以下である。
【0033】平均結晶粒径が25μm未満であることに
より、アルミニウム合金板のプレス成形性およびレーザ
溶接性を向上させることができ、この結果、プレス成形
性が良好であり、特にレーザ溶接性が良好なアルミニウ
ム合金板が提供される。さらに、こうした平均結晶粒径
としたアルミニウム合金板は、強度も高いものとなる。
平均結晶粒径が25μm以上となると、プレス成形性と
レーザ溶接性が低下する。平均結晶粒径の下限値は特に
規定しないが、現在のアルミニウム板製造技術では、低
コストかつ安定に製造できる最小平均結晶粒径は3μm
程度とされている。従って、3μm未満の平均結晶粒径
からなるアルミニウム合金板を製造しようとすると、膨
大な設備投資と複雑な製造工程が必要となり、製造コス
トが大幅に増加する。よって、本発明においては、製造
上の観点から、平均結晶粒径の下限値を3μmとする。
【0034】平均結晶粒径は、従来では光学顕微鏡で観
察した組織をもとにして切断法によって求めている。こ
の場合、結晶粒と亜結晶粒(通常、粒界方位差の15°
未満の粒界に囲まれた領域をいう)を区別できないこと
がある。そのため、本発明の平均結晶粒径は、SEM
(Scanning Electron Microscope、走査型電子顕微
鏡)につけた結晶方位観察装置(通称EBSP(Electr
on Back-Scatter diffraction Pattern、反射電子菊
池線回折パターン))によってアルミニウム合金板の圧
延方向断面の粒界を、結晶粒の方位差を測定することに
より決定し、解析ソフトにより結晶粒の断面積を測定し
て求める。EBSPは、軽金属学会誌50巻2000年
2月号86ページに「SEM−EBSPの使い方」とし
ても紹介されている。結晶方位の測定は、全観察領域を
縦横に数万〜数十万のポイントに分割して、1ポイント
ずつ行う。一般には、方位差15°以上の粒界に囲まれ
た領域内に、一定の数以上(例えば10個以上)ポイン
トが含まれるものを結晶粒とする。結晶粒径は、結晶粒
中のポイント数及び1ポイントあたりの面積から結晶粒
の面積を求め、それを円の面積と考えて算出される。こ
のように、各々の結晶粒の粒径を求めてその平均値を算
出して平均結晶粒径とする。
【0035】次に、アルミニウム合金板の製造方法につ
いて説明する。本発明のアルミニウム合金板は以下の方
法により製造される。
【0036】上記本発明の組成からなるアルミニウム合
金を、溶解、鋳造、均質化処理、熱間圧延、冷間圧延、
中間焼鈍、最終冷間圧延の各工程を経て板材とする。
【0037】この製造工程において、均質化処理工程の
温度を500〜620℃、その時間を4〜12時間、熱
間圧延工程の温度を350〜520℃、とするのが好ま
しい。上記各工程の温度及び時間をこの範囲とすること
により、中間焼鈍工程における再結晶核の生成を促進さ
せることができ、アルミニウム合金板の微細な結晶粒組
織が得られ易くなる。
【0038】また、この製造工程において、上記中間焼
鈍工程の昇温速度を10〜250℃/秒、焼鈍温度を4
50〜580℃、保持時間を5〜60秒、冷却速度を2
0〜200℃/秒とするのが好ましい。
【0039】昇温速度が10℃/秒より遅いと、冷間圧
延時に導入された蓄積エネルギーが解放されるために、
再結晶核生成率が低下して、焼鈍後の平均結晶粒径が大
きくなり、上記のように、平均結晶粒径が25μm未満
とはならない。昇温速度が250℃/秒を超えると、高
価な設備投入が必要となり、生産コストが増加する。
【0040】焼鈍温度は450℃より低いと、再結晶が
終わるまでの時間が長くなってしまうので、生産コスト
が増えるほか、細長く、粗大な結晶粒が生じる。焼鈍温
度が580℃より高くなると、再結晶が短時間で終わっ
て、結晶粒成長が生じるので結晶粒が大きくなる。
【0041】保持時間が5秒より短くなると、再結晶が
完全に完了せず、微細な結晶粒が得られない。保持時間
が60秒より長くなると、結晶粒が成長してしまい、平
均結晶粒径25μm未満の微細粒組織が得られない。
【0042】冷却速度が20℃/秒より遅いと、冷却中
にCuとMgが析出してしまい、強度の低下をもたらす
ために好ましくない。冷却速度が200℃/秒を超える
と、冷却用の設備投資が増し、生産コストが増加する。
【0043】以上のように、中間焼鈍工程の昇温速度、
焼鈍温度、保持時間及び冷却速度を上記範囲とすること
で、平均結晶粒径が25μm以上とならずに、強度が高
いため二次電池ケースの膨れを抑制でき、プレス成形性
及び溶接性に優れたアルミニウム合金板が製造される。
【0044】更に、最終冷間圧延時の圧下率を15〜8
5%に制御することが好ましい。圧下率が15%未満で
は、十分な加工硬化が得られず、強度が低下する。圧下
率が85%超えると、更なる加工硬化がそれほど得られ
ない上に、プレス成形性が低下する。より好ましくは、
圧下率が20〜80%、更に好ましくは、30〜70%
の範囲である。
【0045】
【実施例】以下に実施例及び比較例によって本発明を説
明する。
【0046】(実施例1)表1に、製造された実施例1
の本発明のアルミニウム合金板の成分組成を示す。な
お、表1中の単位は重量%である。製造されたアルミニ
ウム合金板が表1に示す成分組成となるように配合され
たアルミニウム合金の鋳塊を半連続鋳造により鋳造し、
得られた鋳塊を面削して表面の不均一層を除去した。そ
の後、595℃の温度に6時間保持する均質化処理を行
い、400℃まで冷却して、速やかに熱間圧延を施し、
厚さ7mmの板材とした。続いて、冷間圧延により、厚
さ1.1mmまで圧延し、表2に示す条件で中間焼鈍を
行った。その後、厚さ0.5mmまで最終冷間圧延し
た。最終冷間圧延の際の圧下率は54.5%であった。
こうして、本発明にかかる実施例1のアルミニウム合金
板を製造した。
【0047】(実施例2〜8)製造されたアルミニウム
合金板が表1に示す成分組成となるようにした他は、実
施例1と同様の方法により、実施例2〜8のアルミニウ
ム合金板を製造した。
【0048】(比較例1〜9)製造されたアルミニウム
合金板が表1に示す成分組成となるようにした他は、実
施例1と同様の方法により、比較例1〜9のアルミニウ
ム合金板を製造した。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】 (引張強さ及びプレス成形性等の評価)引張強さ、平均
結晶粒径、固液共存温度範囲、プレス成形性、レーザ溶
接性及び膨れについて評価を行った。
【0051】引張強さは、得られた板材からJIS Z
2201の5号試験片を採取し、JIS Z 224
1に定められた方法により引張試験を行って調べた。
【0052】平均結晶粒径は、PHILIPS社のSE
M(XL30Fe)につけたTSL社のEBSPシステ
ムにより、0.1μmのポイント間隔で測定した結晶方
位データから、TSL社のOIM2.8解析ソフトによ
って求めた。方位差が15°以上の粒界に囲まれた領域
中に、10個以上のポイントが含まれるものを結晶粒と
した。
【0053】固液共存温度範囲はJIS K 7121
に定められた方法によって測定した。ピーク温度(Tp
m)とオンセット温度(Tim)との差を固液共存温度
範囲とした。
【0054】プレス成形性については、得られた板材か
らプレス成形により角筒缶状の二次電池ケース体部(外
観寸法で高さ50mm、幅29mm、厚さ5mm、側壁
板厚0.3mm、底板厚0.5mm)を形成し、その成
形後に割れや肌荒れなどの欠陥がないものを○、そうし
た欠陥のあるものを×とした。
【0055】レーザ溶接性については、上記のように形
成した二次電池ケース体部に、JIS3003合金の板
材から製造された板厚0.5mmの蓋を、YAG、パル
スレーザ溶接機(KYL−500A/BSP、(株)片
岡製作所)を用いて溶接し、溶接部分に割れ、ポロシテ
ィ、溶け込み不良などの溶接欠陥がないものを○、そう
した欠陥のあるものを×とした。
【0056】膨れについては、上記のように蓋を溶接し
たケースの厚さt0を測定し、その後ケースを70℃に
加熱し、その内圧を4kg/cm2まで加圧して8時間
保持した後のケースの厚さtを測定して、その加熱前後
のケース厚さの変化率を式((t−t0)/t)×10
0%より求めた。この値が2%未満のものを○、2%以
上のものを×とした。
【0057】(評価結果)表3に実施例1〜8及び比較
例1〜9の引張強さ、平均結晶粒径、固液共存温度範
囲、プレス成形性、レーザ溶接性及び膨れの評価結果を
示す。
【0058】表3より、本発明に従って作製した実施例
1〜8の板材は全て、引張強さが高く、二次電池ケース
としたときの膨れがなく、平均結晶粒径が10μm程度
と小さかった。また、良好なレーザ溶接性を示した。ま
た、固液共存温度範囲は16.5℃未満であり、レーザ
溶接時の割れ感受性は低くなっていた。そして、良好な
プレス成形性を示した。これより、本発明の実施例1〜
8においては、引張強さが高く、プレス成形性に優れ、
レーザ溶接性にも優れたアルミニウム合金板が提供で
き、二次電池ケース用アルミニウム合金板として適した
ものである。また、アルミニウム合金板を上記のように
0.5mmの厚さとすることができ、二次電池ケースの
薄肉化にも適している。
【0059】一方、本発明の合金組成範囲からはずれた
比較例1〜9の板材では、引張強さが200MPaよ
りかなり低い、膨れがある、平均結晶粒径が25μ
mより大きい、レーザ溶接性が悪い、プレス成形性
が悪い、のいずれか1以上の項目に該当するものであっ
た。特に、固液共存温度範囲が16.5℃以上のもので
は、レーザ溶接時の割れ感受性が非常に高くなり、レー
ザ溶接性が悪かった。これより、比較例1〜9のアルミ
ニウム合金板は、二次電池ケース用アルミニウム合金板
としては、本発明に比べ、劣ったものである。
【0060】
【表3】
【0061】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のアルミニ
ウム合金板によれば、強度(引張強さ)が高いため、形
成された二次電池が充電される際のケースの膨れが抑制
される。さらに、本発明のアルミニウム合金板によれ
ば、プレス成形性に優れているので、良好にプレス成形
がなされた二次電池ケースを提供することができる。ま
た、本発明のアルミニウム合金板は溶接性(特に、レー
ザ溶接性)にも優れたものである。その結果、本発明の
アルミニウム合金板は、二次電池ケース、特にリチウム
イオン二次電池ケースに用いるのに適したものであり、
二次電池ケースの薄肉化に寄与でき、さらには、二次電
池の小型軽量化の要請にも応えることができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Mnを0.6〜1.5重量%、Siを
    0.1〜0.8重量%、Cuを0.1〜0.8重量%、
    Feを0.1〜0.8重量%、Znを0.2超〜0.7
    重量%それぞれ含有し、残部が不可避的不純物及びAl
    からなることを特徴とする二次電池ケース用アルミニウ
    ム合金板。
  2. 【請求項2】 平均結晶粒径が25μm未満であること
    を特徴とする請求項1に記載の二次電池ケース用アルミ
    ニウム合金板。
  3. 【請求項3】 前記二次電池ケース用アルミニウム合金
    板は、更にMgを0.2超〜0.7重量%含有すること
    を特徴とする請求項1または請求項2に記載の二次電池
    ケース用アルミニウム合金板。
  4. 【請求項4】 前記二次電池ケース用アルミニウム合金
    板は、更にZrを0.06〜0.2重量%、Crを0.
    06〜0.2重量%のうち一方または双方を含有するこ
    とを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に
    記載の二次電池ケース用アルミニウム合金板。
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