JP2011103283A - Led電球用放熱部材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】LED素子を内蔵してなるLED電球における放熱部材1である。放熱部材1は、アルミニウム合金板を略円錐形にプレス成形することによって形成されている。アルミニウム合金板は、該アルミニウム合金板よりなる基板の両面又は片面に放熱性物質を含有した合成樹脂塗膜21をプレコートしたプレコートアルミニウム合金板よりなることが好ましい。合成樹脂塗膜21は、放熱性物質として、酸化チタン、カーボン、シリカ、酸化ジルコニウムの1種または2種以上を含有していることが好ましい。
【選択図】図3
Description
最近、実用化されたLED電球としては、放熱翼を持った形状のアルミニウムの鋳物を放熱部に用いたものがあるが、価格は従来の白熱電球の数十倍程度に設定されており、その低価格化が課題となっている。
該放熱部材は、プレコートアルミニウム合金板を略円錐形にプレス成形することによって形成されており、
上記プレコートアルミニウム合金板は、アルミニウム合金板よりなる基板の両面又は片面に放熱性物質を含有した合成樹脂塗膜をプレコートしたプレコートアルミニウム合金板であることを特徴とするLED電球用放熱部材にある(請求項1)。
上記プレコートアルミニウム合金板は、合成樹脂塗膜の塗装についても連続ラインを用いて大量に効率よく実施することができる。また。プレコートアルミニウム合金板のプレス成形は、これまでの確立した技術を組み合わせることによって、容易に行うことができ、大量生産を前提にすれば、非常に効率よく安価に加工することができる。
本発明のLED電球用放熱部材は、略円錐形を呈する。かかる形状としては、例えば断面が略円形の筒状であって、その開口部となる両末端のうち一方が他方よりも小さな径よりなる形状がある。即ち、大径の開口部と小径の開口部とを両末端にそれぞれ有する筒状体等がある。この場合には、筒状体の外周側面にはテーパ部(傾斜部)が形成され、全体としては上述のように略円錐形を呈する。なお、ここでいう径の大小は両末端の開口部を相対的に比較したときの大小であって、一方が他方より大きいか小さいかを示すにすぎず、絶対的な大きさを示すものではない。ただし、かかる放熱部材1と、電球頭部の光を放出するガラス又は樹脂製の半球状のカバー部(半球ドーム85)と、底部の口金部86とを含めた電球80の全体の形状は、既存の電球規格の輪郭形状内に収まる大きさであることが好ましく(図8参照)、その範囲内においては、放熱部材は様々な形状を呈することができる。
本出願までに使用されているLED電球用放熱部材は、主に鋳造(ダイキャスト)で製造されており、意匠性や放射による放熱性を持たせるために、一般的には、後塗装(ポストコート)やアルマイト(登録商標)が行われている。具体的には、束ねた部品を塗料に浸漬して塗装するバッチ処理、又は一つずつの部品に塗料を吹き付けるスプレイコート等によって行われる。しかし、このような方法は、塗料の付着効率が低く、コストが高くなるという問題がある。
したがって、本願発明のように、板材のプレス成形品が今後実用化されると予想されるが、一般的なアルミニウム材料においては、プレス成形後の材料表面にゆず肌(オレンジビール)が発生するおそれがある。このようなゆず肌は、例え塗膜が付着した状態においても表面性状の点で問題になる可能性が高い。特に、円錐状のような単純な平滑面を有する形状の放熱部材においては、表面性状の問題が顕在化する。
この場合には、略円錐状のような単純形状において顕在化するゆず肌(オレンジピール)を抑制することができる。その結果、熱放射の方向を放熱面の法線方向にすることができ、外部への熱放射効率を向上させることができると共に、放熱面で暖められた空気がより滑らかに上部へと流れ、自然対流伝熱の効率を向上させることができる。また、この場合には、合成樹脂塗膜を形成する際に下地の影響を軽減することができる。
平均結晶粒径が100μmを超える場合には、ゆず肌が発生し易くなる。
この場合には、上記LED電球用放熱部材の構造が簡単になり、その生産性をより向上させることができる。また、金型にかかるコストを削減できるため、経済的に有利となる。
上記プレコートアルミニウム合金板における上記合成樹脂塗膜は、所望の厚みに応じて一層塗り、多層塗りを選択できる。また、放熱性が確保できる限り、必要に応じて、他の種類の合成樹脂塗膜を重ね塗りすることも可能であり、顔料等を含有させることにより多様な意匠性を持たせることも可能である。ある程度、表面積を確保し熱放射効果を上げたり、意匠性の自由度を持たせたい場合には、素材にショットブラスト等を施すことにより、素材の表面を粗くしたり、塗膜に樹脂ビーズなどを含有させることにより塗膜自体の表面粗さを粗くすることも可能である。
赤外線の積分放射率は、FT−IRによって試料と理想黒体の赤外線放射量を比較することにより測定することができる。
なお、上記数平均分子量が5000〜40000の合成樹脂としては、ポリエステルを適用することが好ましい。
また、上記燐片状Niフィラーの厚みが0.2μm未満の場合には熱伝導率が低下するという問題があり、一方、5μmを超える場合にはコストが増大するという問題がある。また、燐片状Niフィラーの長径が2μm未満の場合には導電性が低下するという問題があり、一方、50μmを超える場合には鱗片状Niフィラーの塗膜からの脱落数が増加するという問題がある。
上記インナーワックスの含有量が、ベース樹脂100重量部に対し0.05重量部未満の場合には耐傷つき性が低下するという問題があり、一方、3重量部を超える場合にはブロッキングが発生するという問題がある。
本例のLED電球用放熱部材1は、図8に示すごとく、LED素子8を内蔵してなるLED電球80における放熱部材である。
本例では、複数種類の放熱部材1を作製し、その特性を評価した。
本例においては、複数種類のプレコートアルミニウム合金板を用いて複数の放熱部材(試料1〜30)を作製してその特性を評価する。
以下、上記放熱部材1の製造工程に準じて詳説する。
図1に示すごとく、放熱部材1用のプレコートアルミニウム合金板2を作製する。
基板20としては、材質−質別が5N01−O材、サイズが1.5mm厚×100mm幅×100mm長さのアルミニウム合金板を準備した。
次に、基板20の両面をアルカリ系脱脂剤で脱脂した後、基板20をリン酸クロメート浴に浸漬し、化成処理を行った。得られた化成被膜(リン酸クロメート皮膜)22は、皮膜中のCr含有量として20±5mg/m2の範囲内とした。
また、本例においては、比較用として、合成樹脂被膜を形成していないアルミニウム合金板を準備した。
かかるアルミニウム合金板としては、材質−質別が5N01−O材、サイズが1.5mm厚×100mm幅×100mm長さのものを準備し、その両面をアルカリ系脱脂剤で脱脂した状態のものを採用した。
次に、図2に示すごとく、プレコートアルミニウム合金板2又はアルミニウム合金板20に複数回のプレス成形を施す。
まず、図2(a)(b)に示すごとく、平板状のプレコートアルミニウム合金板2又はアルミニウム合金板20に絞り加工を加え、略円錐状の形状にの中間体151に成形する。このとき、中間体151の小径先端部には底部材158が存在したままであり、大径後端部の周囲には成形した部分の周囲が余白部分159として残存したままである。
上記プレコートアルミニウム合金板2を素材として用いて図3〜図5の状態まで加工した本発明の実施例を試料1〜試料30とし、合成樹脂塗膜を施していない無塗装の上記アルミニウム合金板20を素材として用いて図3〜図5の状態まで加工した比較例を試料31として準備した。
評価は、図8に示すごとく、各試料(試料1〜試料31)を放熱部材として用いて作製したLED電球80を用いて行った。LED電球80は、同図に示すごとく、アルミニウム合金板をプレス成形して作製した蓋体3(図6、図7(a)及び(b))と放熱部材1とを組み合わせ、蓋体3の上面に4個のLED素子8(図示は2個のみ)及びその制御部を配置し、放熱部材1には口金部86を挿入配置し、蓋体3を覆う半球ドーム85を被せることにより作製した。蓋体3は、図6、図7(a)及び(b)に示すごとく、円盤状であり、半球ドームを被せる側の表面に周囲よりも凹む凹部31が形成され、放熱部材1側には、周囲より突出する凸部32が形成されている。
LED素子8は、温度85℃の発熱をするタイプの白色LED素子である。
120分後の温度が55℃以下の場合を◎とし、55℃を超え65℃以下の場合を○とし、65℃を越える場合を×として評価した。
その結果を表1及び表2に示す。
また、試料1〜30のLED電球用放熱部材は、略円錐形状という簡単な構造を有し、プレス成形により生産性よく製造することができ、低コストでの製造が可能である。
したがって、本例によれば、放熱性能に優れ、構造が簡単で、生産性に優れ、コストの低いLED電球用放熱部材を提供することができ、高性能で安価なLED電球の実現を図ることができる。
本例においては、平均結晶粒径を制御したアルミニウム合金板を用いてLED電球用放熱部材を製造する例である。
まず、基材として、材質−質別がA1050−O材、サイズが0.8mm厚×100mm幅×100mm長さのアルミニウム合金板を作製した。本例においては、アルミニウム合金板の製造時における製造方法を調整して、平均結晶粒径が37μm、86μm、125μm、350μmの4種類のアルミニウム合金板を作製した。
即ち、まず、圧延面を電解研磨し、この圧延面について偏光フィルターを通した光学顕微鏡組織を倍率50〜100倍で撮影した。そして、1視野あたり3本のラインインターセプト法により、平均結晶粒径を測定した。
したがって、本例によれば、平均結晶粒径100μm以下のアルミニウム合金板を用いることにより、ゆず肌を抑制できることがわかる。
10 外周側面
2 プレコートアルミニウム合金板
20 基板
21 合成樹脂塗膜
8 LED素子
80 LED電球
Claims (7)
- LED素子を内蔵してなるLED電球における放熱部材であって、
該放熱部材は、プレコートアルミニウム合金板を略円錐形にプレス成形することによって形成されており、
上記プレコートアルミニウム合金板は、アルミニウム合金板よりなる基板の両面又は片面に放熱性物質を含有した合成樹脂塗膜をプレコートしてなることを特徴とするLED電球用放熱部材。 - 請求項1に記載のLED電球用放熱部材において、上記アルミニウム合金板の平均結晶粒径は100μm以下であることを特徴とするLED電球用放熱部材。
- 請求項1又は2に記載のLED電球用放熱部材において、上記合成樹脂塗膜は、上記放熱性物質として、酸化チタン、カーボン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウムの1種または2種以上を含有していることを特徴とするLED電球用放熱部材。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載のLED電球用放熱部材において、上記合成樹脂塗膜は、数平均分子量が5000〜40000の合成樹脂を主成分とするベース樹脂を含有する合成樹脂系塗料を用いており、上記ベース樹脂100重量部に対して、50〜200重量部の平均粒径0.1〜100μmの酸化チタン、1〜25重量部の平均粒径1nm〜500nmのカーボン、50〜200重量部のシリカ、50〜200重量部のアルミナ、及び50〜200重量部の酸化ジルコニウムから選ばれる1種あるいは2種以上を含有することを特徴とするLED電球用放熱部材。
- 請求項4に記載のLED電球用放熱部材において、上記合成樹脂塗膜は、平均粒径0.3〜100μmのNi球状フィラー、あるいは0.2〜5μmの厚さで2〜50μmの長径を有する鱗片状のNiフィラーの少なくとも一方を含有しており、これら両者の合計含有量は、上記ベース樹脂100重量部に対して1〜1000重量部であることを特徴とするLED電球用放熱部材。
- 請求項4又は5に記載のLED電球用放熱部材において、上記合成樹脂塗膜は、上記ベース樹脂100重量部に対して、0.05〜3重量部のラノリン、カルナバ、ポリエチレンの1種あるいは2種のインナーワックスを含有していることを特徴とするLED電球用放熱部材。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載のLED電球用放熱部材において、上記合成樹脂塗膜は、上記基板の表面に形成された塗布型あるいは反応型のクロメートまたはノンクロメート層の上層に形成されていることを特徴とするLED電球用放熱部材。
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