JP2003026702A - 水溶性n−飽和脂肪酸アシルキトサン誘導体、及びその製造方法 - Google Patents
水溶性n−飽和脂肪酸アシルキトサン誘導体、及びその製造方法Info
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- JP2003026702A JP2003026702A JP2001215041A JP2001215041A JP2003026702A JP 2003026702 A JP2003026702 A JP 2003026702A JP 2001215041 A JP2001215041 A JP 2001215041A JP 2001215041 A JP2001215041 A JP 2001215041A JP 2003026702 A JP2003026702 A JP 2003026702A
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Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【課題】 水、アルカリ溶液、及び酸溶液のいずれにも
溶解する水溶性N−飽和脂肪酸アシルキトサン誘導体を
提供する。 【解決手段】下記式で示される水溶性N−飽和脂肪酸ア
シルキトサン誘導体。ただし、m=0且つn=0.42
〜0.82、m=1且つn=0.45〜0.76、m=
2且つn=0.52〜0.71、m=3且つn=0.5
4〜0.64又は、m=4且つn=0.58である。製
造方法は、キトサンを、酸と有機溶媒との混合溶液中
で、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水ペン
タノイック脂肪酸、無水ヘキサノイツ脂肪酸から選ばれ
る無水脂肪酸と反応させるものである。
溶解する水溶性N−飽和脂肪酸アシルキトサン誘導体を
提供する。 【解決手段】下記式で示される水溶性N−飽和脂肪酸ア
シルキトサン誘導体。ただし、m=0且つn=0.42
〜0.82、m=1且つn=0.45〜0.76、m=
2且つn=0.52〜0.71、m=3且つn=0.5
4〜0.64又は、m=4且つn=0.58である。製
造方法は、キトサンを、酸と有機溶媒との混合溶液中
で、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水ペン
タノイック脂肪酸、無水ヘキサノイツ脂肪酸から選ばれ
る無水脂肪酸と反応させるものである。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水、アルカリ溶
液、及び酸溶液のいずれにも可溶の水溶性N−飽和脂肪
酸アシルキトサンに関するものである。
液、及び酸溶液のいずれにも可溶の水溶性N−飽和脂肪
酸アシルキトサンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】キトサンは、N−アセチル−D−グルコ
サミンがβ−1,4−結合で直鎖状に連なったキチンの
脱アセチル化物、即ちβ−1,4−ポリ−D−グルコサ
ミンである。キチンは、その分子内又は分子間結合によ
り、水、アルカリ溶液、及び酸溶液に不溶である。キト
サンは、酢酸等の希酸溶液に可溶であるが水には不溶で
ある。
サミンがβ−1,4−結合で直鎖状に連なったキチンの
脱アセチル化物、即ちβ−1,4−ポリ−D−グルコサ
ミンである。キチンは、その分子内又は分子間結合によ
り、水、アルカリ溶液、及び酸溶液に不溶である。キト
サンは、酢酸等の希酸溶液に可溶であるが水には不溶で
ある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】キトサン及びキチン
は、抗菌作用、生体適合性、保湿性、植物成長促進性等
に優れ、食品添加材、医用材料、化粧品、農業資材等へ
の利用が期待されているが、前述したように、水に不溶
であるために産業的な利用が制限されることが多い。従
って、キトサンの有用性を産業において幅広く利用する
ために、水に可溶なキトサン誘導体が望まれている。
は、抗菌作用、生体適合性、保湿性、植物成長促進性等
に優れ、食品添加材、医用材料、化粧品、農業資材等へ
の利用が期待されているが、前述したように、水に不溶
であるために産業的な利用が制限されることが多い。従
って、キトサンの有用性を産業において幅広く利用する
ために、水に可溶なキトサン誘導体が望まれている。
【0004】そこで本発明は、水、アルカリ溶液、若し
くは酸溶液のいずれにも溶解する水溶性N−飽和脂肪酸
アシルキトサン誘導体、及びその製造方法を提供するこ
とを目的とする。
くは酸溶液のいずれにも溶解する水溶性N−飽和脂肪酸
アシルキトサン誘導体、及びその製造方法を提供するこ
とを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、以下の関係を見
出した。キチン分子は、例えば水素結合等の分子内の強
固な分子間結合のため水に不溶であるが、本発明に係る
水溶性N−飽和脂肪酸アシルキトサン誘導体は、分子間
結合が弱く、親水性のアミノ基を分子表面に表している
ので水に可溶となる。即ち、水溶液中のN−飽和脂肪酸
アシルキトサンにおいては、疎水性のN−飽和脂肪酸ア
シル基がグルコサミンの鎖群の内側に存在し、親水性の
アミノ基が外側に存在することにより水に可溶となって
いる。従って、該可溶性は疎水性基と親水性基との比率
で支配されている。
に本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、以下の関係を見
出した。キチン分子は、例えば水素結合等の分子内の強
固な分子間結合のため水に不溶であるが、本発明に係る
水溶性N−飽和脂肪酸アシルキトサン誘導体は、分子間
結合が弱く、親水性のアミノ基を分子表面に表している
ので水に可溶となる。即ち、水溶液中のN−飽和脂肪酸
アシルキトサンにおいては、疎水性のN−飽和脂肪酸ア
シル基がグルコサミンの鎖群の内側に存在し、親水性の
アミノ基が外側に存在することにより水に可溶となって
いる。従って、該可溶性は疎水性基と親水性基との比率
で支配されている。
【0006】更に、N−飽和脂肪酸アシル化度の低いも
のは、分子全体の疎水性の立体構造のため水に不溶であ
る一方、N−飽和脂肪酸アシル化度の高いものも、N−
アシル基間の分子間疎水結合のため水に不溶である。ま
た、オクタノイル基より炭素数の多いものでは、N−ア
シル基の疎水性のため水に不溶である。即ち、水溶性N
−飽和脂肪酸アシルキトサン誘導体の水溶性は、分子内
の親水性基と疎水性基との均衡と、分子全体の立体構造
に依存するものである。
のは、分子全体の疎水性の立体構造のため水に不溶であ
る一方、N−飽和脂肪酸アシル化度の高いものも、N−
アシル基間の分子間疎水結合のため水に不溶である。ま
た、オクタノイル基より炭素数の多いものでは、N−ア
シル基の疎水性のため水に不溶である。即ち、水溶性N
−飽和脂肪酸アシルキトサン誘導体の水溶性は、分子内
の親水性基と疎水性基との均衡と、分子全体の立体構造
に依存するものである。
【0007】このようなN−飽和脂肪酸アシルキトサン
誘導体の構造及びN−飽和脂肪酸アシル化度と、水に対
する可溶性との間の因果関係を見出して完成された本発
明に係る水溶性N−飽和脂肪酸アシルキトサン誘導体
は、一般式
誘導体の構造及びN−飽和脂肪酸アシル化度と、水に対
する可溶性との間の因果関係を見出して完成された本発
明に係る水溶性N−飽和脂肪酸アシルキトサン誘導体
は、一般式
【化2】
で示される水溶性N−飽和脂肪酸アシルキトサン誘導体
であって、前記一般式において、m=0且つn=0.4
2〜0.82の範囲内、m=1且つn=0.45〜0.
76の範囲内、m=2且つn=0.52〜0.71の範
囲内、m=3且つn=0.54〜0.64の範囲内、又
はm=4且つn=0.58である。
であって、前記一般式において、m=0且つn=0.4
2〜0.82の範囲内、m=1且つn=0.45〜0.
76の範囲内、m=2且つn=0.52〜0.71の範
囲内、m=3且つn=0.54〜0.64の範囲内、又
はm=4且つn=0.58である。
【0008】また、本発明に係る水溶性N−飽和脂肪酸
アシルキトサン誘導体の製造方法は、キトサンを、酸と
有機溶媒との混合溶液中で、無水酢酸、無水プロピオン
酸、無水酪酸、無水ペンタノイック脂肪酸、無水ヘキサ
ノイツ脂肪酸から選ばれる無水脂肪酸と反応させるもの
である。
アシルキトサン誘導体の製造方法は、キトサンを、酸と
有機溶媒との混合溶液中で、無水酢酸、無水プロピオン
酸、無水酪酸、無水ペンタノイック脂肪酸、無水ヘキサ
ノイツ脂肪酸から選ばれる無水脂肪酸と反応させるもの
である。
【0009】キトサンは、脱アセチル化度が50%以上
のものが好ましく、特に好ましくは脱アセチル化度が8
0%以上である。キトサンを溶解する酢酸溶液は、例え
ば2%酢酸溶液であるが、塩酸等のその他の希酸溶液を
用いることができる。キトサンの形状は特に限定される
ものではないが、溶解を容易にするため、粉状に粉砕さ
れたものを用いることが好ましい。キトサンが溶解され
た酢酸溶液に、1〜2倍量のメタノールを加える。メタ
ノールに代えて、エタノール、プロパノール等を用いる
こともできる。
のものが好ましく、特に好ましくは脱アセチル化度が8
0%以上である。キトサンを溶解する酢酸溶液は、例え
ば2%酢酸溶液であるが、塩酸等のその他の希酸溶液を
用いることができる。キトサンの形状は特に限定される
ものではないが、溶解を容易にするため、粉状に粉砕さ
れたものを用いることが好ましい。キトサンが溶解され
た酢酸溶液に、1〜2倍量のメタノールを加える。メタ
ノールに代えて、エタノール、プロパノール等を用いる
こともできる。
【0010】キトサンのN−飽和脂肪酸アシル化は、無
水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水ペンタノイ
ック脂肪酸、無水ヘキサノイツ脂肪酸から選ばれる無水
脂肪酸を添加することにより行われる。該無水脂肪酸の
添加は溶液を撹拌しながら行うことが好ましい。無水脂
肪酸を添加した後、室温にて一晩放置し、その後、2%
水酸化ナトリウムで中和する。更に、透析により脱塩
し、必要に応じて濃縮を行う。このようにして、キトサ
ンのアミノ基がランダムにN−飽和脂肪酸アシル基に置
換される。
水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水ペンタノイ
ック脂肪酸、無水ヘキサノイツ脂肪酸から選ばれる無水
脂肪酸を添加することにより行われる。該無水脂肪酸の
添加は溶液を撹拌しながら行うことが好ましい。無水脂
肪酸を添加した後、室温にて一晩放置し、その後、2%
水酸化ナトリウムで中和する。更に、透析により脱塩
し、必要に応じて濃縮を行う。このようにして、キトサ
ンのアミノ基がランダムにN−飽和脂肪酸アシル基に置
換される。
【0011】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例を挙げて説
明するが、本発明は該実施例に限定されるものではな
く、各種の変更が可能なことは当然である。
明するが、本発明は該実施例に限定されるものではな
く、各種の変更が可能なことは当然である。
【0012】〔実施例1〜5〕キトサン:キトサン試料
(分子量161)は、蟹の甲羅から調製されたものであ
り、40%水酸化ナトリウム溶液中で、115〜117
℃、4時間加熱してアルカリ処理した。
(分子量161)は、蟹の甲羅から調製されたものであ
り、40%水酸化ナトリウム溶液中で、115〜117
℃、4時間加熱してアルカリ処理した。
【0013】キトサンのN−飽和脂肪酸アシル化:前記
キトサン試料0.16gを、2%酢酸溶液20ml及び
メタノール40mlに溶解した後、撹拌しながら、無水
酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水ペンタノイッ
ク脂肪酸、又は無水ヘキサノイツ脂肪酸を、単位グルコ
サミン当り0.1〜3.1molで加え、該混合溶液
を、室温で一晩放置した後、液状又はゲル状の反応液を
得た。これにより、キトサンのN−アミノ基を、部分的
に、N−アセチル酢酸基、N−プロピノイル基、N−ブ
チロイル基、N−ペンタノイル基、又はN−ヘキサノイ
ル基に夫々置換した。各無水脂肪酸及び添加量による反
応液の外観は、表1〜5に夫々示ししている。
キトサン試料0.16gを、2%酢酸溶液20ml及び
メタノール40mlに溶解した後、撹拌しながら、無水
酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水ペンタノイッ
ク脂肪酸、又は無水ヘキサノイツ脂肪酸を、単位グルコ
サミン当り0.1〜3.1molで加え、該混合溶液
を、室温で一晩放置した後、液状又はゲル状の反応液を
得た。これにより、キトサンのN−アミノ基を、部分的
に、N−アセチル酢酸基、N−プロピノイル基、N−ブ
チロイル基、N−ペンタノイル基、又はN−ヘキサノイ
ル基に夫々置換した。各無水脂肪酸及び添加量による反
応液の外観は、表1〜5に夫々示ししている。
【0014】前記反応液を、15%水酸化ナトリウム溶
液でpH8〜10に調整した後、室温で一晩放置し、水
に対して一晩透析した。2%塩酸でpH4〜5に調整し
た後、反応液中の遊離脂肪酸を、クロロホルムにより抽
出除去した。更に、反応液を2%水酸化ナトリウム溶液
でpH9に調整し、3倍量のエタノールを加え、生成し
た沈殿物をろ過により回収し、エタノールで洗浄したの
ち乾燥して、収率75〜85%で白色の生成物を得た。
液でpH8〜10に調整した後、室温で一晩放置し、水
に対して一晩透析した。2%塩酸でpH4〜5に調整し
た後、反応液中の遊離脂肪酸を、クロロホルムにより抽
出除去した。更に、反応液を2%水酸化ナトリウム溶液
でpH9に調整し、3倍量のエタノールを加え、生成し
た沈殿物をろ過により回収し、エタノールで洗浄したの
ち乾燥して、収率75〜85%で白色の生成物を得た。
【0015】無水脂肪酸の添加量における置換度、即
ち、N−飽和脂肪酸アシル化度は、元素分析データのC
/N比に基づいて計算しており、表1〜6中の無水脂肪
酸添加量の横にカッコ書きで示している。また、生成物
の構造はFTIRスペクトル分析で確認した。なお、F
TIRスペクトル(KBr)はJascoFTIR53
00スペクトロメータ(JASCO)及びHoriba
SEPA−200オートポーラリメータ(堀場製作所)
により計測し、元素分析は、京都大学の微量分析センタ
ーで行った。
ち、N−飽和脂肪酸アシル化度は、元素分析データのC
/N比に基づいて計算しており、表1〜6中の無水脂肪
酸添加量の横にカッコ書きで示している。また、生成物
の構造はFTIRスペクトル分析で確認した。なお、F
TIRスペクトル(KBr)はJascoFTIR53
00スペクトロメータ(JASCO)及びHoriba
SEPA−200オートポーラリメータ(堀場製作所)
により計測し、元素分析は、京都大学の微量分析センタ
ーで行った。
【0016】〔比較例1〜6〕比較例1〜6も、前記実
施例1〜5と同様の手順で行い、キトサンと反応させる
各無水脂肪酸を、炭素数が8の無水オクタノイック脂肪
酸、炭素数が10の無水デカノイック脂肪酸、炭素数が
12の無水ラウリック脂肪酸、炭素数が14の無水ミリ
ステリック脂肪酸、炭素数が16の無水パルミチック脂
肪酸、又は炭素数が18の無水ステアリック脂肪酸とし
て、キトサンのアミノ基をオクタノイル基、デカノイル
基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、
又はステアロイル基に夫々置換した。
施例1〜5と同様の手順で行い、キトサンと反応させる
各無水脂肪酸を、炭素数が8の無水オクタノイック脂肪
酸、炭素数が10の無水デカノイック脂肪酸、炭素数が
12の無水ラウリック脂肪酸、炭素数が14の無水ミリ
ステリック脂肪酸、炭素数が16の無水パルミチック脂
肪酸、又は炭素数が18の無水ステアリック脂肪酸とし
て、キトサンのアミノ基をオクタノイル基、デカノイル
基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、
又はステアロイル基に夫々置換した。
【0017】〔評価〕表1〜5は、添加した無水脂肪酸
のモル数毎の反応液の外観、及び生成物の可溶性を示し
たものであり、各表において生成物の可溶性において
は、○は可溶、×は不溶、△は一部可溶を示している。
各表に示したように、各無水脂肪酸、即ち、無水酢酸、
無水プロピオン酸、無水酪酸、無水ペンタノイック脂肪
酸、無水ヘキサノイツ脂肪酸を単位グルコサミン当り
0.7〜1.5mol添加した反応では、反応液に沈殿
物もゲルも生成されなかった。
のモル数毎の反応液の外観、及び生成物の可溶性を示し
たものであり、各表において生成物の可溶性において
は、○は可溶、×は不溶、△は一部可溶を示している。
各表に示したように、各無水脂肪酸、即ち、無水酢酸、
無水プロピオン酸、無水酪酸、無水ペンタノイック脂肪
酸、無水ヘキサノイツ脂肪酸を単位グルコサミン当り
0.7〜1.5mol添加した反応では、反応液に沈殿
物もゲルも生成されなかった。
【0018】
【表1】
【0019】
【表2】
【0020】
【表3】
【0021】
【表4】
【0022】
【表5】
【0023】
【表6】
【0024】2%酢酸溶液に可溶のN−飽和脂肪酸アシ
ルキトサン誘導体は、N−アシル基がアセチル酢酸基
(実施例1)であってN−飽和脂肪酸アシル化度が0.
82以下、N−プロピノイル基(実施例2)であってN
−飽和脂肪酸アシル化度が0.76以下、N−ブチロイ
ル基(実施例3)であってN−飽和脂肪酸アシル化度が
0.71以下、N−ペンタノイル基(実施例4)であっ
てN−飽和脂肪酸アシル化度が0.64以下、N−ヘキ
サノイル基(実施例5)であってN−飽和脂肪酸アシル
化度が0.58以下、N−オクタノイル基(比較例1)
であってN−飽和脂肪酸アシル化度が0.42以下、N
−デカノイル基(比較例2)であってN−飽和脂肪酸ア
シル化度が0.24以下、N−ラウロイル基(比較例
3)であってN−飽和脂肪酸アシル化度が0.15以
下、N−ミリストイル基(比較例4)であってN−飽和
脂肪酸アシル化度0.05以下のものであった。
ルキトサン誘導体は、N−アシル基がアセチル酢酸基
(実施例1)であってN−飽和脂肪酸アシル化度が0.
82以下、N−プロピノイル基(実施例2)であってN
−飽和脂肪酸アシル化度が0.76以下、N−ブチロイ
ル基(実施例3)であってN−飽和脂肪酸アシル化度が
0.71以下、N−ペンタノイル基(実施例4)であっ
てN−飽和脂肪酸アシル化度が0.64以下、N−ヘキ
サノイル基(実施例5)であってN−飽和脂肪酸アシル
化度が0.58以下、N−オクタノイル基(比較例1)
であってN−飽和脂肪酸アシル化度が0.42以下、N
−デカノイル基(比較例2)であってN−飽和脂肪酸ア
シル化度が0.24以下、N−ラウロイル基(比較例
3)であってN−飽和脂肪酸アシル化度が0.15以
下、N−ミリストイル基(比較例4)であってN−飽和
脂肪酸アシル化度0.05以下のものであった。
【0025】一方、水及び2%水酸化ナトリウム溶液に
可溶のN−飽和脂肪酸アシルキトサン誘導体は、N−ア
セチル酢酸基(実施例1)であってN−飽和脂肪酸アシ
ル化度が0.42〜0.82の範囲内、N−プロピノイ
ル基(実施例2)であってN−飽和脂肪酸アシル化度が
0.45〜0.76の範囲内、N−ブチロイル基(実施
例3)であってN−飽和脂肪酸アシル化度が0.52〜
0.71の範囲内、N−ペンタノイル基(実施例4)で
あってN−飽和脂肪酸アシル化度が0.54〜0.64
の範囲内、N−ヘキサノイル基(実施例5)であってN
−飽和脂肪酸アシル化度が0.58のものであった。
可溶のN−飽和脂肪酸アシルキトサン誘導体は、N−ア
セチル酢酸基(実施例1)であってN−飽和脂肪酸アシ
ル化度が0.42〜0.82の範囲内、N−プロピノイ
ル基(実施例2)であってN−飽和脂肪酸アシル化度が
0.45〜0.76の範囲内、N−ブチロイル基(実施
例3)であってN−飽和脂肪酸アシル化度が0.52〜
0.71の範囲内、N−ペンタノイル基(実施例4)で
あってN−飽和脂肪酸アシル化度が0.54〜0.64
の範囲内、N−ヘキサノイル基(実施例5)であってN
−飽和脂肪酸アシル化度が0.58のものであった。
【0026】N−オクタノイル基(比較例1)、N−デ
カノイル基(比較例2)、N−ラウロイル基(比較例
3)、N−ミリストイル基(比較例4)に置換されたキ
トサン誘導体は、すべてのN−飽和脂肪酸アシル化度で
水に不溶であり、また、N−パルミトイル基(比較例
5)、及びN−ステアロイル基(比較例6)で置換され
たキトサン誘導体は、すべてのN−飽和脂肪酸アシル化
度で水、2%水酸化ナトリウム溶液、及び2%酢酸溶液
に不溶であった。
カノイル基(比較例2)、N−ラウロイル基(比較例
3)、N−ミリストイル基(比較例4)に置換されたキ
トサン誘導体は、すべてのN−飽和脂肪酸アシル化度で
水に不溶であり、また、N−パルミトイル基(比較例
5)、及びN−ステアロイル基(比較例6)で置換され
たキトサン誘導体は、すべてのN−飽和脂肪酸アシル化
度で水、2%水酸化ナトリウム溶液、及び2%酢酸溶液
に不溶であった。
【0027】図1は、前記実施例及び比較例の結果に基
づいて、水に可溶な範囲及び酢酸溶液に可溶な範囲を示
したものであるが、図から明らかなように、水に可溶な
N−飽和脂肪酸アシルキトサンの置換度、即ちN−飽和
脂肪酸アシル化度は、アシル基の炭素数がN−ヘキサノ
イル基(C=6)に向かって増加するとともに約0.5
8に収斂する。
づいて、水に可溶な範囲及び酢酸溶液に可溶な範囲を示
したものであるが、図から明らかなように、水に可溶な
N−飽和脂肪酸アシルキトサンの置換度、即ちN−飽和
脂肪酸アシル化度は、アシル基の炭素数がN−ヘキサノ
イル基(C=6)に向かって増加するとともに約0.5
8に収斂する。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る水溶
性N−飽和脂肪酸アシルキトサン誘導体は、水、アルカ
リ溶液、及び酸溶液に可溶であるので幅広い条件で使用
することができ、その優れた抗菌作用、生体適合性、保
湿性、植物成長促進性等を、食品添加材、医用材料、化
粧品、農業資材等の多様な分野で活用できることが期待
される。
性N−飽和脂肪酸アシルキトサン誘導体は、水、アルカ
リ溶液、及び酸溶液に可溶であるので幅広い条件で使用
することができ、その優れた抗菌作用、生体適合性、保
湿性、植物成長促進性等を、食品添加材、医用材料、化
粧品、農業資材等の多様な分野で活用できることが期待
される。
【0029】また、本発明に係る水溶性N−飽和脂肪酸
アシルキトサン誘導体の製造方法により、所望のN−飽
和脂肪酸アシル化度のN−飽和脂肪酸アシルキトサン誘
導体を簡便に製造することができる。
アシルキトサン誘導体の製造方法により、所望のN−飽
和脂肪酸アシル化度のN−飽和脂肪酸アシルキトサン誘
導体を簡便に製造することができる。
【図1】 N−飽和脂肪酸アシルキトサン誘導体の構造
及びN−飽和脂肪酸アシル化度と水に対する可溶性との
関係を示したグラフである。
及びN−飽和脂肪酸アシル化度と水に対する可溶性との
関係を示したグラフである。
Claims (2)
- 【請求項1】 一般式 【化1】 で示される水溶性N−飽和脂肪酸アシルキトサン誘導体
であって、前記一般式において、m=0、且つn=0.
42〜0.82の範囲内、前記一般式において、m=
1、且つn=0.45〜0.76の範囲内、前記一般式
において、m=2、且つn=0.52〜0.71の範囲
内、前記一般式において、m=3、且つn=0.54〜
0.64の範囲内、又は、前記一般式において、m=
4、且つn=0.58であることを特徴とする水溶性N
−飽和脂肪酸アシルキトサン誘導体。 - 【請求項2】 キトサンを、酸と有機溶媒との混合溶液
中で、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水ペ
ンタノイック脂肪酸、無水ヘキサノイツ脂肪酸から選ば
れる無水脂肪酸と反応させることを特徴とする水溶性N
−飽和脂肪酸アシルキトサン誘導体の製造方法。
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Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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JP2010106068A (ja) * | 2008-10-28 | 2010-05-13 | Mie Prefecture | 多糖類の新規化学修飾法 |
CN102408499A (zh) * | 2011-10-18 | 2012-04-11 | 北京化工大学常州先进材料研究院 | 固液非均相反应制备有机溶解性壳聚糖衍生物 |
KR101149061B1 (ko) | 2010-11-16 | 2012-05-24 | 이수복 | 마스크팩재용 키토산 부직포 및 이의 제조방법 |
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-
2001
- 2001-07-16 JP JP2001215041A patent/JP2003026702A/ja active Pending
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