JP2003026655A - イソチオシアナート誘導体、レドックス活性重合物、電極材料、リチウム電池 - Google Patents

イソチオシアナート誘導体、レドックス活性重合物、電極材料、リチウム電池

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JP2003026655A JP2001210924A JP2001210924A JP2003026655A JP 2003026655 A JP2003026655 A JP 2003026655A JP 2001210924 A JP2001210924 A JP 2001210924A JP 2001210924 A JP2001210924 A JP 2001210924A JP 2003026655 A JP2003026655 A JP 2003026655A
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、同一分子中にチオウレア基とイソチオシアナ
ート基を有するイソチオシアナート誘導体を出発物質と
して重合、または、同一分子中にS―エーテル―チオウ
レア基とイソチオシアナート基を有するイソチオシアナ
ート誘導体を出発物質として重合することで、ポリマー
側鎖にジスルフィド基を導入し主鎖にジアミノ基を導入
したレドックス活性重合物に関するものであり、本レド
ックス活性重合物を正極としてリチウム電池を作成する
と高容量電池となりうるものである。 【目的】 電池等の電気化学素子の電極として用いた
際、高容量の電極材料となる新規化合物,その製造法お
よびそれを用いた電極を提供することを目的とする。 【構成】 本発明の新規化合物を電極材料として用いた
際、室温下で大電流が取り出せ、高容量の素子を得るこ
とができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸化還元反応が可
逆的に行われるレドックス活性重合物及びこの重合物を
用いた電極に関するものであり、電池、エレクトロクロ
ミック表示素子、センサー、メモリーなどの電気化学素
子に使用することが可能であり、特に、リチウム電池の
電極に用いた場合に、軽量で高エネルギー密度の電池が
得られるようにする点に特徴を有するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、高出力、高エネルギー密度の新型
電池として、リチウムの酸化、還元を利用した高起電力
のリチウム二次電池が利用されるようになった。このよ
うなリチウム二次電池においては、その正極材料とし
て、コバルト、ニッケル、マンガン、鉄、バナジウム、
ニオプ等の金属酸化物が一般に使用される。
【0003】しかし、このような金属酸化物を正極材料
に用いた場合、その重量が大きくなると共にそのコスト
も高くつき、また反応電子数が少なく、単位重量当たり
における容量が必ずしも十分であるとはいえず、高容量
で高エネルギー密度のリチウム二次電池を得ることが困
難であった。
【0004】一方、最近においては、導電性高分子を電
気化学素子として用い、これを軽量で高エネルギー密度
の電池用電極材料や、大面積のエレクトロクロミック素
子や、徽小電極を用いた生物化学センサーに利用するこ
とが検討され、従来、ポリアニリン、ポリピロール、ポ
リアセン、ポリチオフェン等の導電性高分子を電池の電
極に使用することが研究されてきた。
【0005】米国特許第4833048号明細書には、
高容量で高エネルギー密度が得られる高分子として、有
機ジスルフィド化合物を正極材料として使用することが
開示されている。これは、有機ジスルフイド化合物のS
−S結合を電解還元により切断して有機チオレートを形
成し、有機ジスルフイドを有機チオレートの電解酸化に
より再形成するという可逆的な電極材料である。
【0006】有機ジスルフィド化合物は、硫黄の酸化還
元反応を利用して充放電を行うものであり、正極材料に
使用して、高エネルギー密度のリチウム二次電池を得る
ことが検討されている。しかし、有機ジスルフィド化合
物の場合、室温下での使用においては、酸化還元反応が
遅くて、単独では大きな電流を取り出すことは困難で、
充放電電流が小さくなり、絶縁体であり、室温では反応
速度が小さく、100℃以上の高温での使用に限られる
等の問題があった。また、還元時(放電時)に低分子状
態であるため、電極外に溶解拡散してしまい、電極反応
の効率劣化をもたらす。
【0007】有機ジスルフィド化合物のこのような問題
を解決する方法として、導篭性高分子を組み合わせるこ
とが、特開平4−264363号公報、特開平4−27
2659号公報、特開平4−359866号公報、特開
平5−6708号公報、特開平5−82133号公報、
特開平5−135767号公報、特開平5−13576
8号公報、特開平5−135769号公報、米国特許第
5324599号明細書等に開示されている。
【0008】特開平6−231752号公報は、有機ジ
スルフイド化合物のうち、特に、4,5ジアミノ−2,
6−ジメルカプトピリミジンとπ電子共有系導電性高分
子と複合した電極を、特開平7−57723号公報は、
特に、7−メチル−2,6,8−トリメルカプトプリン
とπ電子共有系導電性高分子と複合した電極を開示して
いる。
【0009】また、特開平5−74459号公報は、ジ
スルフィド基を有する導電性高分子を有する電極材料
を、特開平5−314979号公報は、芳香族系炭素原
子に硫黄原子を導入した有機硫黄芳香族系化合物からな
る電極材料を、特開平6−283175号公報は、2,
5−ジメルカプト1,3,4−チアジアゾール(DMc
T)もしくはチオシアヌル酸の単独重合体または両者の
共重合体からなる電極材料を開示している。
【0010】さらに、特に、有機ジスルフイドの酸化還
元速度を加速する役目を果たす導電性ポリマーであるポ
リアニリンとの複合体を用いた電極については、特開平
8−8213021号公報、特開平8−222207号
公報、特開平9−82329号公報、特開平9−106
820号公報、特開平10−27615号公報に開示さ
れており、2,5−ジメルカブト−1,3,4−チアジ
アゾール(DMcT)とポリアニリンとを複合化させる
ことにより、有機ジスルフィド化合物を常温で作動する
二次電池の正極材料として用いることが可能であること
が示されている(「現代化学」1996年10月,第3
4〜41頁)。
【0011】しかし、この複合体においては、化学結合
を伴うような化合物が新しくできるわけではないので、
容量劣化を完全に抑えることはできない。また、電極内
でもポリアニリンとDMcTの分離がおこり、電子の移
動が阻まれ、電極反応速度が低下する可能性がある。
【0012】その他、有機ジスルフイド電極のサイクル
特性を向上させるために、有機ジスルフイドの金属錯体
を使用すること(米国特許第5516598号明細書、
米国特許第5665492号明細書、特開平9−259
864号公報、特開平9−259865公報、特開平1
0−241661号公報、特開平10−241662号
公報)や、電解酸化によりS−S結合を生成するS−L
iイオン結合を有するリチウムチオレート化合物と導電
性高分子との混合物よりなる正極を使用すること(特開
平5−314964号公報)なども知られている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、高容量で高
エネルギー密度の電池や、大面積のエレクトロクロミッ
ク素子や、微小電極を用いた生物化学センサー等に好適
に利用できる、低い温度においても酸化還元反応が適切
に行われる新規なレドックス活性重合物ポリマーからな
る可逆性電極材料を提供することを課題とするものであ
り、特に、電池の電極に使用した場合に、例えぱ室温に
おいても適切な充放電反応が行われ、大きな電流での充
放電が可能になると共に、高容量で高エネルギー密度の
電池が得られるようにすることを課題とするものであ
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者は、ポリマー側
鎖にジスルフィド基を導入し、主鎖にジアミノ基を導入
した新規化合物を開発することにより上記の課題を解決
することに成功した。
【0015】すなわち、本発明は、同一分子中にチオウ
レア基とイソチオシアナート基を有するイソチオシアナ
ート誘導体を出発物質として重合、または、同一分子中
にS―エーテル―チオウレア基とイソチオシアナート基
を有するイソチオシアナート誘導体を出発物質として重
合することで、ポリマー側鎖にジスルフィド基を導入
し、主鎖にジアミノ基を導入した電極材料であって、還
元形が下記の化学式9であり、酸化形が下記の化学式1
0であることを特徴とする可逆性レドックス活性重合物
である。
【0016】
【化9】
【0017】式中において、Nは2以上の整数であり、
R1は炭素数1から20の芳香族基、複素環、あるいは
それらの組み合わせからなる。さらにこれらの基に置換
基として、アミノ基、ハロゲン基、水酸基、スルフオン
基等が結合されていてもよい。
【0018】
【化10】
【0019】式中において、Nは2以上の整数であり、
R1は炭素数1から20の芳香族基、複素環、あるいは
それらの組み合わせからなる。さらにこれらの基に置換
基として、アミノ基、ハロゲン基、水酸基、スルフオン
基等が結合されていてもよい。
【0020】また、本発明は、ベンゼン環にチオウレア
基とイソチオシアナート基を有するイソチオシアナート
誘導体を出発物質として重合してなる、または、ベンゼ
ン環にS―エーテル―チオウレア基とイソチオシアナー
ト基を有するイソチオシアナート誘導体を出発物質とし
て重合することで、ポリマー側鎖にジスルフィド基を導
入し、主鎖にジアミノ基を導入した電極材料であって、
還元形が下記の化学式11であり、酸化形が下記の化学
式12であることを特徴とする可逆性レドックス活性重
合物である。
【0021】
【化11】
【0022】式中において、nは2以上の整数であり、
R1は低級アルキル基、アミノ基、ハロゲン基、水酸
基、スルフオン基等があげられる。
【0023】
【化12】
【0024】式中において、Nは2以上の整数であり、
R1は低級アルキル基、アミノ基、ハロゲン基、水酸
基、スルフオン基等があげられる。
【0025】上記の可逆性レドックス活性重合物の最も
好ましい具体例は、4−イソチオシアネトフェニルチオ
尿素が重合されてなるもの、およびS−ベンジル−4−
イソチオシアネトフェニルチオ尿素がが重合されてなる
ものである。
【0026】さらに、本発明は、正極、固形電解質、お
よぴ負極を有し、正極材料が、上記の可逆性レドックス
活性重合物を含むことを特徴とするリチウム二次電池で
ある。またさらには、本発明は、上記の可逆性レドック
ス活性重合物の製造方法に関するものである。
【0027】レドックス活性重合物の出発物質となる、
同一分子中にチオウレア基とイソチオシアナート基を有
するイソチオシアナート誘導体は、イソチオシアネート
メチルチ尿素、2−イソチオシナートエチルチオ尿素、
2−イソチオシアナートビニルチオ尿素、3−イソチオ
シアナト−シクロペンチル−チオ尿素、5−イソチオシ
アナート−チオフェン−2−イルーチオ尿素、5−イソ
チオシアナート−1−H−ピロール−2−イルーチオ尿
素、6−イソチオシアナトナフタレン2−イルーチオ尿
素が好ましい。
【0028】レドックス活性重合物の出発物質となる、
同一分子中にS―エーテル―チオウレア基とイソチオシ
アナート基を有するイソチオシアナート誘導体は、S−
ベンジル−イソチオシアネートメチルチ尿素、S−エチ
ル−2−イソチオシナートエチルチオ尿素、S−プロピ
ル−2−イソチオシアナートビニルチオ尿素、S−ベン
ジル−3−イソチオシアナト−シクロペンチル−チオ尿
素、S−エチル−5−イソチオシアナート−チオフェン
−2−イルーチオ尿素、S−ベンジル−5−イソチオシ
アナート−1−H−ピロール−2−イルーチオ尿素、S
−ベンジル−6−イソチオシアナトナフタレン2−イル
ーチオ尿素が好ましい。
【0029】本発明の可逆性レドックス活性重合物は、
ジスルフィド(S−S)結合を反応容易な五員環に組み
込み、さらにπ共役可能なポリマー骨格にジアミンを組
み込むことで、従来の電極材料にない大容量を得ること
ができた。さらに容量劣化や反応速度の本質的な改善を
もたらすことができた。
【0030】本発明の可逆性レドックス活性重合物の酸
化還元反応の機構は、上記の式9,10で示すS−S<
−>SHの反応とジアミン<−>ジイミンの反応の二つ
の部位で起こることが想定される。その酸化還元機能に
ついて説明すると、化学式9で示すポリマーは、2個の
SにHが結合した還元形となり、化学式10で示すポリ
マーは、S−S結合した酸化形となる。Sの相手は、H
だけでなく、一般に金属M(LiやNa)でもよい。化
学式13で、R3=Hの場合、その理論容量は、このユ
ニット(Mw=194)がS−Sによる2電子反応する
とすると259mAh/g、さらに、ジアミンの部分で
ユニット当たりさらに2電子反応する518mAh/g
となる。以上の値は、高容量材料である有機ジスルフィ
ド化合物と同程度かそれを上回る値である。化学式13
示すポリマーは、合成の都合で保護基R2を導入した構造
であり、保護基は化学的にも電気化学的にも取り除くこ
とが可能なので、保護基を導入したまま、電極材料とし
て使用することができる。そして、最初の電池反応で保
護基を脱離させ、以降は、化学式9と化学式10の形で
の酸化還元反応が繰り返される。
【0031】
【化13】
【0032】(式中において、nは2以上の整数であ
り、炭素数1から20の芳香族環、複素環、あるいはそ
れらの組み合わせからなる。さらにこれらの基に置換基
として、アミノ基、ハロゲン基、水酸基、スルフオン基
等が結合されていてもよい。R2はチオウレアの硫黄部
に導入する保護基である。この保護基としては、メチ
ル、エチル、フェニルベンジル、ターシャルブチル等の
低級アルキル基があげられる。)さらに、本発明のレド
ックス活性重合物は、従来の有機ジスルフィド化合物で
課題となっていた容量劣化や反応速度の本質的な改善を
もたらすことができた。つまり、還元時にS-S結合が開
裂しても、従来の有機ジスルフィド化合物のようにポリ
マー主鎖が分解し低分子化するわけではなく、硫黄はチ
オールあるいはチオケトの形で側鎖として残るので、電
解質溶液への溶解拡散に伴う容量劣化などがない。ま
た、通常の無機化合物のような結晶構造の崩壊にともな
う容量劣化もない。
【0033】本発明のレドックス活性重合物の硫黄は分
子内で、硫黄原子は酸化還元時に分子内で反応し易い隣
り合った位置に存在しているため、反応が容易に進行す
る。π共役骨格に硫黄原子や窒素原子が結合しているた
め、電荷移動速度が速くなる。酸化時のジスルフイド基
を含む複素環は、偽芳香族性を示すことが報告されてお
り、このようなπ電子豊富な環であるため、その電子移
動速度が速くなることが期待される。その上、酸化状態
では、π共役ポリマーとなるため導電性を期待できる。
【0034】本発明の可逆性電極材料(レドックス活性
重合物)である新規レドックス活性重合物は、同一分子
中にチオウレア基とイソチオシアナート基を有するイソ
チオシアナート誘導体の重付加反応によって製造するこ
とができ、出発物質を無極性、中極性、極性溶媒で還流
すれぱよいが、このままでは、反応性が低いため、反応
の効率を上げるために、実際は、チオウレアのチオケト
基にアルキル基等を保護基として導入してS−エーテル
として反応性を高め、ポリマーを合成する。
【0035】S−エーテルとして導入した保護基は、酸
化又は還元により取り除くことができるので、後の化
学、電気化学処理により、あるいはそのまま電池反応に
より取り除くことができる。
【0036】上記の合成方法により、こうして新規合成
されたポリマー側鎖の硫黄原子は、酸化されると分子内
でジスルフイド結合した時に、五員環(複素環)芳香環
を形成するような位置にジスルフイド基を導入する。酸
化時のジスルフイド基を含む複素環は、偽芳香族性を示
すことが報告されており、このようなπ電子豊富な環で
あるため、その電子移動速度が速くなることが期待され
る。
【0037】本発明の可逆性レドックス活性重合物を用
いて電極を作製するにあたっては、可逆性レドックス活
性重合物に導電材料、イオン伝導材料、バインダー等を
必要に応じて加える。導電材料としては、金属粉末、炭
素材料、導電性高分子等を用いることができる。例えば
金属粉末としては、ニッケル、ステンレス鋼等が用いら
れ、炭素材料としてはアセチレンブラック,気相成長炭
素,グラファイト等が用いられ、導電性高分子として
は、ポリアニリン,ポリビロール,ポリパラフエニレ
ン,ポリアセチレン及ぴこれらの誘導体等が用いられ
る。
【0038】また、イオン伝導材料としては、無機イオ
ン固体電解質や有機イオン固体電解質が用いられ、有機
イオン固体電解質としては、例えぱ、ポリゴチレンオキ
サイド(PEO),ポリアクリロニトリル(PAN)及
ぴこれらの誘導体に電解質塩を含有させたポリマーや、
電解質溶液を含浸させたゲル状ポリマー等を用いること
ができる。
【0039】また、バインダーとしては、例えぱ、ポリ
フッ化ビニリデン(PVDF)等の電極の作製に通常用
いられるポリマーを使用することができる。
【0040】さらに、上記の可逆性レドックス活性重合
物を用いて電極を作製するにあたっては、必要に応じ
て、2,5−ジメルカブト−1,3−チアジアゾール
(DMcT)等の他の有機ジスルフィド化合物や硫黄を
混合させたり、また電極の比表面積を大きくしたり、そ
の製膜性を向上させるために、ゼオライト、ウイスカー
等の繊維状や粒子状の固形物を混合させることも可能で
ある。
【0041】また、上記の可逆性レドックス活性重合物
を用いて電極を作製する方法としては、公知の方法を用
いることができ、例えぱ、上記の可逆性レドックス活性
重合物に導電材料等を加えて乳鉢で混合した合剤を集電
体等に塗布して形成したり、プレス機械で押し固めて成
形する等の方法を用いることができる。
【0042】本発明の電極材料は、リチウム二次電池の
正極材料として好適に使用することができる。上記の可
逆性レドックス活性重合物を用いて作製した電極をリチ
ウム二次電池の正極に使用する場合、負極や電解質には
従来より一般に使用されている公知のものを用いること
ができる。負極としては、例えぱ、リチウム金属、リチ
ウム合金、リチウムの吸蔵・放出が可能な炭素材料や無
機材料、アルミニウムまたはアルミニウム含有合金と炭
素とを主成分とする組成物等で構成されたものを用いる
ことができる。
【0043】また、電解質としては、例えぱ、エチレン
カーボネート等の有機溶媒に電解質塩としてLiCl0
4等のリチウム化合物を溶解させた液体や、無機材料を
用いた固体電解質や、ポリマーを用いた固体電解質等を
用いることができ、また、ポリマーに上記の液体を含浸
させてゲル状にしたゲル状ポリマー電解質を使用するこ
とも可能である。
【0044】なお、この発明の可逆性レドックス活性重
合物や電極材料は電池の電極に用いる他に、発色退色速
度の速いエレクトロクロミック素子や、応答速度の速い
グルコースセンサー等のセンサーや、書き込み・読み出
し速度が速い電気化学アナログメモリー等に用いること
もできる。
【0045】
【実施例】以下、この発明の実施例に係る1,2,4−
ジチアゾリウム−ジアミノベンゼンポリマーの合成方法
について、電池の電極材料に用いた場合を例に具体的に
説明する。なお、本発明の可逆性レドックス活性重合物
の用途は、下記の実施例に示す電池の電極に限定される
ものではなく、可逆性レドックス活性重合物の特性を利
用するその他の用途にも当然適用されるものである。
【0046】実施例1 S−ベンジル−4−イソチオシ
アナト−フェニルチオ尿素を出発物とした、S−ベンジ
ル化ポリ(1フェニル−2,4−ジチオビウレット)の
合成 (1)下記の反応式で示す4−イソチオシアナト−フェ
ニルチオ尿素の合成
【0047】
【化14】
【0048】1,4−ジイソチオシアナトベンゼン2g
をTHF200mlに溶解し、この溶液に室温下、攪拌
しながら、NH3水溶液0.5g滴下した。この混合溶
液を30時間連続室温で攪拌し反応させた。反応溶液を
ろ過し、ろ液をエバポレートしたのち、酢酸エチルを展
開溶媒として、オープンクロマトで分離、分取した。溶
液をエバポレートし、目的物の4−イソチオシアナト−
フェニルチオ尿素を75%の収率で得た。 (2)下記の反応式で示すS-ベンジル−4−イソチオシ
アナト−フェニルチオ尿素の合成
【0049】
【化15】
【0050】4−イソチオシアナト−フェニルチオ尿素
1.6gをTHF20mlに溶解し、塩化ベンジル1.
5gをさらに加え、5時間加熱還流した。反応溶液を室
温冷却後、エバポレートし、粘調溶液を得た。この溶液
にNa−OH粉末460mgを純粋20mlに溶解した
アルカリ溶液を加え攪拌した。この溶液を分液ロートに
加え、Ether/H20抽出した。EtherにMg
SO4を加えて、脱水処理し、エバポレートして、目的
物S−ベンジル−4−イソチオシアナト−フェニルチオ
尿素を85%の収率で得た。 (3)下記の反応式で示すS-ベンジル化ポリ(1フェニ
ル−2,4−ジチオビウレット)の合成
【0051】
【化16】
【0052】S−ベンジル−4−イソチオシアナト−フ
ェニルチオ尿素1.0gをTHF50mlを溶解し、5
日連続で加熱還流した。反応後、析出物を、アセトン、
エタノール、THFの順で洗浄ろ過した。こうしてS−
ベンジル化ポリ(1フェニル−2,4−ジチオビウレッ
ト)550mgを得た。 (4)1,2,4−ジチアゾリウム−ジアミノベンゼン
ポリマーの合成 S−ベンジル化ポリ(1フェニル−2,4−ジチオビウ
レット)と酸化剤を反応させるか、電気化学的に酸化反
応させて目的の1,2,4−ジチアゾリウムジアミノベ
ンゼンポリマーを得ることができるが、本実施例では、
S−ベンジル化ポリ(1−フェニル−2,4ジチオビウ
レット)を用いて電池電極を作成し、電池を組立てた後
電池反応を行わせて1,2,4ジチアゾリウム−ジアミ
ノベンゼンポリマーを合成した。
【0053】実施例2 4−イソチオシアナト−フェニ
ルチオ尿素を出発物とした、1,2,4−ジチアゾリウ
ムジアミノベンゼンポリマーの合成 (1)下記の反応式で示す4−イソチオシアナト−フェ
ニルチオ尿素の合成
【0054】
【化17】
【0055】1,4−ジイソチオシアナトベンゼン2g
をTHF200mlに溶解し、この溶液に室温下、攪拌
しながら、NH3水溶液0.5g滴下した。この混合溶
液を30時間連続室温で攪拌し反応させた。反応溶液を
ろ過し、ろ液をエバポレートしたのち、酢酸エチルを展
開溶媒として、オープンクロマトで分離、分取した。溶
液をエバポレートし、目的物の4−イソチオシアナト−
フェニルチオ尿素を75%の収率で得た。 (2)下記の反応式で示す1,2,4−ジチアゾリウム
ジアミノベンゼンポリマーの合成
【0056】
【化18】
【0057】S−ベンジル−4−イソチオシアナト−フ
ェニルチオ尿素1gをTHF50mlに溶解し、さらに
NaOH粉末100mgを加え、5日連続で加熱還流し
た。反応後、析出物を、希HCl水溶液に加え、析出沈
殿させたのち、沈殿物をろ過した。ろ紙上の固形物をア
セトン、エタノール、THFの順で洗浄ろ過した。こう
して1,2,4−ジチアゾリウムジアミノベンゼンポリ
マー300mgを得た。
【0058】実施例3 評価用電極作成 (A)S−ベンジル化ポリ(1−フェニル−2,4−ジ
チオビウレット)電極 S−ベンジル化ポリ(1−フェニル−2,4−ジチオビ
ウレット)の粉末0.4gを乳鉢上でよく粉砕した。こ
れにアセチレンプラック0.4gを数回に分けて加え,
粉砕混合した。さらにPVDFを0.1g加え,よく混
合した後にDMF50mlを加えて混練し混合溶液を得
た。この溶液を、大きさ10×10cm、厚さ38ミク
ロンのチタン箔上に印刷した後、80℃で3時間真空加
熱処理を行った。これを1×1cmに切出し評価用電極
とした。 (B)1,2,4−ジチアゾリウムジアミノベンゼンポ
リマー電極 1,2,4−ジチアゾリウムジアミノベンゼンポリマー
の粉末0.4gを乳鉢上でよく粉砕した。これにアセチ
レンプラック0.4gを数回に分けて加え,粉砕混合し
た。さらにPVDFを0.1g加え,よく混合した後に
DMF50mlを加えて混練し混合溶液を得た。この溶
液を、大きさ10×10cm、厚さ38ミクロンのチタ
ン箔上に印刷した後、80℃で3時間真空加熱処理を行
った。これを1×1cmに切出し評価用電極とした。
【0059】評価用電極を正極、金属リチウムを負極と
参照極とし、三極式のビーカー型のモデル電池を作成し
た。電解質溶液にはLiCl04をプロピレンカーボネ
ートに溶解し、1Mに調整したものを用いた。電池の作
成は全て窒素ガスフローのグロープボックス内で行っ
た。電池反応は、放電下限1.75V、充電上限4.5
V、電流値0.1mAの定電流充電反応を行った。Aの
S−ベンジル化ポリ(1−フェニル−2,4−ジチオビ
ウレット)電極を正極に用いた電池をモデル電池A、B
の1,2,4−ジチアゾリウムジアミノベンゼンポリマ
ー電極をを正極に用いた電池をモデル電池Bとした。B
のS−ベンジル化ポリ(1−フェニル−2,4−ジチオ
ビウレット)電池に関しては電池反応を行わせながら
1,2,4−ジチアゾリウム−ジアミノベンゼンポリマ
ーを正極に形成した。
【0060】実施例4 評価用電極作成電池特性の測定
結果 A、Bの放電時における放電特性を調べ、その結果を図
1に示す。電池Aでは3回目以降の放電曲線は同様の形
状を示し、活物質当たり220mAh/gと従来の電極
材料にない大きな容量を示した。電池Bでは最初から大
きな放電容量240mAh/gと従来の電極材料にない
大きな容量を示した。また、充放電反応が繰り返し可能
であることが確認出来た。なお、電池Aの放電1、2回
目の放電曲線の形状は3回目以降とは異なり放電容量も
小さかった。
【0061】
【発明の効果】以上詳述したように、この発明における
可逆性レドックス活性重合物は、ポリマー側鎖にジスル
フィド基と主鎖にジアミンを導入したものであり、酸化
還元能を有する新規ポリマーとしての優れた特性を有し
ており、この可逆性レドックス活性重合物において電子
の移動がスムーズに行われ、この可逆性レドックス活性
重合物を電池の電極、特にリチウム二次電池の正極材料
として用いた場合、大きな電流での充放電が可能になる
と共に、高容量で高エネルギー密度の電池が得られるよ
うになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の可逆性レドックス活性重合物を正極材
料としたリチウム二次電池の放電容量を示す説明図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01M 10/40 H01M 10/40 B Fターム(参考) 4H006 AA01 AA03 AB46 AB78 TN90 4J034 HA01 HA04 HB02 HB03 HB09 JA02 JA12 RA14 5H029 AJ03 AK16 AL01 AL06 AL12 AM02 AM03 AM07 AM11 AM16 HJ02 5H050 AA08 BA17 CA20 CB01 CB07 CB12 HA02

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式が化学式1で表される、同一分子
    中にチオウレア基とイソチオシアナート基を有するイソ
    チオシアナート誘導体。 【化1】 (式中のR1は炭素数1から20の芳香族環、複素環、
    あるいはそれらの組み合わせからなる。さらにこれらの
    基にアミノ基、ハロゲン基、水酸基、スルフオン基等が
    結合されていてもよい。)
  2. 【請求項2】 一般式が化学式2で表される、同一分子
    中にS―エーテル―チオウレア基とイソチオシアナート
    基を有するイソチオシアナート誘導体。 【化2】 (式中のR1は炭素数1から20の芳香族環、複素環、
    あるいはそれらの組み合わせからなる。さらにこれらの
    基に置換基として、アミノ基、ハロゲン基、水酸基、ス
    ルフオン基等が結合されていてもよい。式中のR2はチ
    オウレアの硫黄部に導入する保護基である。この保護基
    としては、メチル、エチル、フェニルベンジル、ターシ
    ャルブチル等の低級アルキル基があげられる。)
  3. 【請求項3】 請求項1記載のイソチオシアナート誘導
    体が重合されてなることを特徴とする化学式3で表され
    る構造を有することを特徴とするレドックス活性重合
    物。 【化3】 (式中のR1は、炭素数1から20の芳香族環、複素
    環、あるいはそれらの組み合わせからなる。さらにこれ
    らの基に置換基として、アミノ基、ハロゲン基、水酸
    基、スルフオン基等が結合されていてもよい。)
  4. 【請求項4】 請求項2記載のイソチオシアナート誘導
    体が重合されてなることを特徴とする化学式4で表され
    る構造を有することを特徴とするレドックス活性重合
    物。 【化4】 (式中のR1は、炭素数1から20の芳香族環、複素
    環、あるいはそれらの組み合わせからなる。さらにこれ
    らの基に置換基として、アミノ基、ハロゲン基、水酸
    基、スルフオン基等が結合されていてもよい。式中のR
    2はチオウレアの硫黄部に導入する保護基である。この
    保護基としては、メチル、エチル、フェニルベンジル、
    ターシャルブチル等の低級アルキル基があげられる。)
  5. 【請求項5】 化学式5で表される、ベンゼン環にチオ
    ウレア基とイソチオシアナート基を有する請求項1記載
    のイソチオシアナート誘導体。 【化5】 (式中において、R1は低級アルキル基、アミノ基、ハ
    ロゲン基、水酸基、スルフオン基等があげられる。)
  6. 【請求項6】 化学式6で表される、ベンゼン環にS―
    エーテル―チオウレア基とイソチオシアナート基を有す
    る請求項2記載のイソチオシアナート誘導体。 【化6】 (式中においてR1は低級アルキル基、アミノ基、ハロ
    ゲン基、水酸基、スルフオン基等があげられ、R2はチ
    オウレアの硫黄部に導入する保護基である。この保護基
    としては、メチル、エチル、フェニルベンジル、ターシ
    ャルブチル等の低級アルキル基があげられる。)
  7. 【請求項7】 請求項5記載のイソチオシアナート誘導
    体が重合されてなることを特徴とする化学式7で表され
    る構造を有することを特徴とするレドックス活性重合
    物。 【化7】 (式中において、nは2以上の整数であり、R1は低級
    アルキル基、アミノ基、ハロゲン基、水酸基、スルフオ
    ン基等があげられる。)
  8. 【請求項8】 請求項6記載のイソチオシアナート誘導
    体が重合されてなることを特徴とする化学式8で表され
    る構造を有することを特徴とするレドックス活性重合
    物。 【化8】 (式中において、nは2以上の整数である。R1は低級
    アルキル基、アミノ基、ハロゲン基、水酸基、スルフオ
    ン基等があげられる。R2はチオウレアの硫黄部に導入
    する保護基である。この保護基としては、メチル、エチ
    ル、フェニルベンジル、ターシャルブチル等の低級アル
    キル基があげられる。)
  9. 【請求項9】 請求項3、請求項4、請求項7、請求項
    8の何れか1項に記載したレドックス活性重合物に記載
    した電極材料を少なくとも一つ含有することを特徴とす
    る電極。
  10. 【請求項10】 正極、固形電解質、およぴ負極を有
    し、前記正極として、請求項9記載の電極を用いること
    を特徴とするリチウム二次電池。
  11. 【請求項11】 同一分子中にチオウレア基とイソチオ
    シアナート基を有する芳香族化合物または、複素環化合
    物をアルカリ水酸化物を分散した有機溶媒中で重合させ
    ることを特徴とするレドックス活性重合物の製造方法。
  12. 【請求項12】 同一分子中にチオウレア基とS―エー
    テル―チオウレア基を有する芳香族化合物または、複素
    環化合物を有機溶媒中または、アルカリ水酸化物を分散
    した有機溶媒中で重合させることを特徴とするレドック
    ス活性重合物の製造方法。
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