JP2003023956A - パン類の製造方法 - Google Patents
パン類の製造方法Info
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Abstract
上させ、且つ口どけ感にも優れ、総合的品質の良好なパ
ン類を提供する。 【解決手段】 湯種製法によりパン類を製造するに際
し、湯種生地に使用する小麦粉として蛋白含有率6.0 〜
9.0 %の小麦粉を用いる。
Description
方法及び該方法により得られるパン類に関する。
粉の一部を熱湯で混捏し、澱粉をα化後、低温にて一晩
貯蔵した生地を用いたパンの製造方法が知られている。
一般に、上記製法はα化法または湯種法と呼ばれてお
り、この方法により得られたパンはヒキのない軽い食感
を有すると言われている(増田信司,”食パンとバラエ
ティブレッド”,p132 ,ベーカーズカンパニー(197
8))。更に近年、この方法を用いた製品も上市されて
いる。
造されたパンは、しっとり感と柔らかさは向上している
ものの、一方で口どけ感が低下し、ねとつきが増加し、
まだ総合品質として満足のいくものではなかった。
よる製パンにおいて、しっとり感と柔らかさを向上さ
せ、且つ口どけ感にも優れ、総合的品質の良好なパン類
及びその製造方法の提供を目的とする。
は、小麦粉中の澱粉のα化によるしっとり感と柔らかさ
の付与である。本発明者は、小麦粉中に一定量以上の蛋
白が存在していると、澱粉のα化に対し阻害効果を生じ
させ、食感に悪影響を及ぼすことを見出し、更に検討の
結果、湯種生地調製時(小麦粉が熱ダメージを受ける
時)に使用する小麦粉として、従来パンに用いられてい
る強力粉(蛋白含有率11.5〜13.5%)に代えて、蛋白含
有率が6.0 〜9.0 %である小麦粉を使用することによ
り、口どけ感が向上し、ねとつきが低下することを見出
した。
ることにより、製パン作業性が向上し、且つパン食感も
更に向上することを見出した。
小麦粉として、好ましくは蛋白含有率が6.5〜8.5 %、
更に好ましくは6.8 〜7.5 %の小麦粉を用いるのが良
い。上記小麦粉は、蛋白含有率が本発明の範囲内にある
1種類の小麦粉を用いるか、蛋白含有率の異なる2種以
上の小麦粉を混合し用いても良い。上記混合に用いる個
々の小麦粉の蛋白含有率は、混合した小麦粉の蛋白含有
率が本発明の範囲に入っていれば特に規定はない。
と同様でよく、例えばケルダール法により小麦粉の蛋白
含有率を測定すればよい(菅原潔、福島正美著、「生物
化学実験法7 蛋白質の定量法」第2版、学会出版セン
ター(1978))。
いられる小麦粉は、本発明のパン類の製造方法に用いら
れる小麦粉の全使用量100 重量部中、10〜40重量部であ
り、好ましくは15〜25重量部である。湯種生地を調製す
る小麦粉が10重量部未満であると湯種法独自の食感が得
られず、40重量部を超えると生地の機械耐性が著しく低
下し、特に生地伸展性が著しく低下し、製パン作業性が
低下してしまう。
湯水の量は、湯種生地を調製する際に用いられる小麦粉
100 重量部に対して、50〜300 重量部であり、好ましく
は100 〜200 重量部である。
温度としては、小麦澱粉のα化温度以上であればよい
が、澱粉のα化を効率化するためには80℃以上が好まし
い。澱粉のα化を促進する方法としては、上記のように
澱粉のα化温度以上の湯水を加える必要があるが、更に
α化の効率化を進めるため、生地の混捏時にミキサー等
の混捏機械を周囲から加熱してもよい。
度が混捏中にα化温度以上となり、混捏生地中澱粉が一
定比率以上のα化すればよく、その範囲としては湯種生
地中澱粉のα化度が20〜90%であればよい。好ましくは
40〜80%である。α化度が20%未満であると湯種法独自
の食感が得られず、90%を超えると得られたパンにねと
つきが生じ食感が大きく低下してしまう。
と同様でよく、調製直後の湯種生地を液体窒素により凍
結し、凍結した生地を凍結乾燥法により乾燥後、粉状に
したものを試料として、β−アミラーゼ・プルラナーゼ
法によりα化度を測定すればよい(中村道徳、貝塚圭二
編、「生物化学実験法19 澱粉・関連糖質実験法」、
学会出版センター(1986))。
に、砂糖、食塩、粉乳など一般にパンに使用されるその
他の材料も、上記したような物性(α化度)を達成でき
れば、配合できる。
種生地は低温にて長時間保存される(増田信司,”食パ
ンとバラエティブレッド”,p132 ,ベーカーズカンパ
ニー(1978))。
法に用いられる保存条件にて湯種生地の保存を行っても
何ら問題はないが、保存後の湯種生地のα化度が上記に
規定した測定方法において20〜90%である保存条件でな
ければならない。この条件を満たすためにも、保存中の
澱粉の老化(β化)を最小限に抑えるためには、保存温
度として生地温度が0℃以下であることが好ましい。
時に乳化剤を添加することが、製パン作業性を向上さ
せ、且つパン食感も更に向上させる上で好ましい。
脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂
肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、
レシチン、レシチン誘導体等が挙げられ、これらの1種
もしくは2種以上の混合系で用いられる。
は、グリセリンと脂肪酸のエステル又はその誘導体であ
り、グリセリン脂肪酸モノエステル(通常モノグリセリ
ド)、グリセリン脂肪酸ジエステル、グリセリン有機酸
脂肪酸モノエステル、ポリグリセリン脂肪酸モノエステ
ル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル等を指
す。特に好ましいのはグリセリン有機酸脂肪酸モノエス
テルである。
ウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン
酸、オレイン酸、ベヘン酸等に由来する飽和脂肪酸もし
くは不飽和脂肪酸が挙げられ、特に飽和脂肪酸が好まし
く、炭素数14〜22の飽和脂肪酸が最も好ましい。これら
脂肪酸は単一で構成されていても良いが、2種以上の混
合系で構成されていても構わない。
とは、グリセリン有機酸脂肪酸モノエステルの3位のO
H基を有機酸でエステル化した化合物である。有機酸と
しては、酢酸、プロピオン酸、酪酸等の低級脂肪酸で構
成される脂肪族モノカルボン酸、シュウ酸、コハク酸等
の脂肪族飽和ジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸等の
脂肪族不飽和ジカルボン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、
ジアセチル酒石酸、クエン酸等のオキシ酸、及びグリシ
ン、アスパラギン酸等のアミノ酸が例示される。特に、
クエン酸、コハク酸、酒石酸、ジアセチル酒石酸が好適
である。また、HLBは4〜14のものが好適である。
エステルは、未反応の有機酸やグリセリン脂肪酸モノエ
ステルを一部含むが、このような市販のグリセリン有機
酸脂肪酸モノエステルを本発明に適用できる。
を構成するポリグリセリンの具体例としては、テトラグ
リセリン、ペンタグリセリン、ヘキサグリセリン、ヘプ
タグリセリン、ノナグリセリン、デカグリセリンなどか
らなる群から選ばれる1種又は2種以上の化合物が挙げ
られる。特にグリセロールの重合度が1〜9のものが好
ましい。
ルは、ポリグリセリンと縮合リシノレイン酸とのエステ
ルであり、通常、グリセリン重合度2〜3のポリグリセ
リンとリシノール酸の3〜5の縮合リシノレイン酸との
モノもしくはジエステルの混合物が用いられる。
とは、ショ糖と脂肪酸のエステルであり、モノ、ジ、ト
リ及びポリエステル等を含み、構成脂肪酸としては炭素
数12〜24の脂肪酸の単一又は2種以上の混合系が好まし
い。また、HLBは5〜15のものが好適である。
テルとは、ソルビタンと脂肪酸のエステルであり、構成
脂肪酸としては炭素数12〜24の脂肪酸の単一又は2種以
上の混合系が好ましい。ソルビタン脂肪酸エステルには
モノエステル型とトリエステル型のものがあるが、本発
明ではモノエステル型のものが好適である。
脂肪酸エステルとは、プロピレングリコールと脂肪酸の
エステルであり、モノエステル型、ジエステル型のもの
が用いられ、構成脂肪酸としては炭素数12〜24の脂肪酸
の単一又は2種以上の混合系が好ましい。
ァチジルコリン、フォスファチジルエタノールアミン、
フォスファチジルイノシトール、フォスファチジン酸等
よりなるリン脂質混合物であって、大豆或いは卵黄等か
ら得られるレシチンが代表的なものである。また、レシ
チン誘導体としてはリゾレシチン、リゾフォスファチジ
ン酸等が挙げられる。
する乳化剤の量は、湯種生地に使用する小麦粉100 重量
部に対して0.1 〜10重量部、好ましくは0.5 〜3重量部
である。乳化剤の添加量が0.1 重量部未満であると生地
の機械耐性向上効果がなく、10重量部を超えると該製法
により得られたパンの食感が低下する。
しては、乳化剤単体をそのまま添加することができ、更
に乳化剤の分散性を高めるため、常温で固体状態にある
乳化剤については、細かく粉砕し粉末もしくは微粉末の
形態で添加される。
水分散性素材に担持させた形態で用いることもできる。
上記水分散性素材としては、糖類、デキストリン、多糖
類、澱粉分解物、蛋白質、蛋白質加水分解物等が挙げら
れる。乳化剤を水分散性素材に担持させる方法として
は、水の存在下、加熱状態で乳化剤と水分散性素材を混
合撹拌した後、スプレードライ等の方法により乾燥する
方法が挙げられる。
加形態として、乳化油脂組成物としての添加においても
効果が得られる。乳化油脂組成物の形態としては特に限
定されず、油中水型、水中油型、更に二重乳化型、D相
乳化型にしても効果は得られる。乳化油脂組成物中、乳
化剤の分散性向上を目的として乳化剤が液晶状態もしく
はα結晶ゲルの状態をとっても良い。
散性向上を目的として、糖類、油脂、水等が主に使用さ
れるが、保存料、pH調整剤、色素、香料等を適宜使用
してもよい。
は、グルコース、フルクトース、ガラクトース等の単糖
類、マルトース、ショ糖、麦芽糖、水飴、異性化糖、転
化糖、サイクロデキストリン、分岐サイクロデキストリ
ン、デキストリン等の多糖類、ソルビトール、マルチト
ール、キシリトール等の糖アルコール類、澱粉加水分解
物等の還元糖類等から選ばれる1種又は2種以上の混合
系が好ましい。
特に制限はないが、大豆油、ナタネ油、ヒマワリ油、オ
リーブ油、サフラワー油、カボック油、パーム油、コー
ン油、綿実油、ヤシ油、パーム核油等の植物性油脂類、
牛脂、ラード、魚油、鯨油、乳脂等の動物性油脂類の何
れも使用することができ、またこれらを水添処理したも
の、及びエステル交換したものも使用できる。また、こ
れらの油脂は単独もしくは2種以上の混合系で使用でき
る。
定性より以下のように規定される。
60重量%、好ましくは2〜20重量%であり、糖類の含有
量は0.2 〜60重量%が好ましく、15〜50重量%が更に好
ましく、水の含有量は10〜90重量%が好ましい。
主原料としての小麦粉の他に、イースト、イーストフー
ド、本発明における乳化剤を含む油脂類(ショートニン
グ、ラード、マーガリン、バター、液状油等)、水、化
工澱粉、乳製品、食塩、糖類、調味料(グルタミン酸ソ
ーダ類や核酸類)、保存料、ビタミン、カルシウム等の
強化剤、蛋白質、アミノ酸、化学膨張剤、フレーバー等
が挙げられる。
調製工程を経ていれば、後の製パン工程としては一般に
行われているパン類の製造方法をそのまま適用すること
ができる。具体的には、直捏法(ストレート法)、中種
法、液種法等が挙げられる。
グなどの詰め物をしたパンも含まれ、食パン、特殊パ
ン、調理パン、菓子パンなどが挙げられる。具体的に
は、食パンとしては白パン、黒パン、フランスパン、バ
ラエティーブレッド、ロール(テーブルロール、バン
ズ、バターロールなど)が挙げられる。特殊パンとして
はマフィンなど、調理パンとしてはホットドック、ハン
バーガーなど、菓子パンとしてはジャムパン、あんパ
ン、クリームパン、レーズパン、メロンパン、スィート
ロール、リッチグッズ(クロワッサン、ブリオッシュ、
デニッシュペストリー)などが挙げられる。
より本発明を更に詳細に説明する。 参考例1(乳化物1の調製) ナタネ白絞油18重量部、グリセリンオレイン酸ジエステ
ル8重量部を加熱融解し、これにグリセリンコハク酸脂
肪酸モノエステル(商品名ステップSS、花王(株)
製)15重量部、大豆レシチン0.5 重量部を添加し、加熱
融解し、油相部とした。
量部を35重量%濃度のソルビトール水溶液56.5重量部に
分散し、これを加熱し、水相部とした。ホモミキサーを
用い、撹拌しながら油相部に水相部を加え、乳化混合
し、水中油型乳化組成物(乳化物1)を調製した。 参考例2(乳化物2の調製) 上記乳化物1において、グリセリンコハク酸脂肪酸モノ
エステルをグリセリン脂肪酸モノエステル(商品名エキ
セルT−95、花王(株)製)に置き換え、後は乳化物
1と同一配合/製法により水中油型乳化組成物(乳化物
2)を調製した。 参考例3(粉末乳化剤1の調製) グリセリン脂肪酸モノエステル(商品名エキセルT−9
5、花王(株)製)90重量部を加熱融解し、これにカゼ
インナトリウム5重量部、デキストリン(DE=10)
5重量部を添加し、スプレーにより室温下に散布、冷却
し、粉末乳化剤1を調製した。 実施例1〜5、比較例1〜3 以下に示す条件により食パンを製造し、評価した。
1に示す通りである。 1.湯種生地調製条件 縦型ミキサー(関東ミキサー、10コート)、フックを用
い、小麦粉及び乳化剤をミキサーに入れ、その上から90
〜95℃の湯を加え、低速3分、中高速3分で混捏した。
混捏時には、縦型ミキサーの下部を85℃の湯を入れたボ
ールにつけ、捏上温度を55〜65℃とし、湯種生地を調製
した。次に、これを−5℃にて24時間保存した。 2.中種生地調製条件 縦型ミキサー(関東ミキサー、10コート)、フックを用
い、中種配合材料をミキサーに入れ、低速3分、中高速
2分で混捏し捏上温度を23℃とし、中種生地とした。次
に、これを発酵(中種発酵)させた。この時の条件は下
記の通りである。
生地及び保存後室温に戻した湯種生地を入れ、本捏配合
材料(ショートニングを除く全材料)を添加し、低速3
分、中高速3分で混捏後、ショートニングを添加し、低
速3分、中高速5分で混捏し、本捏生地とした。本捏生
地の捏上温度は26.5℃とした。
させるために、27.0℃にてフロアータイムを30分とり、
この後に230 gの生地に分割した。分割での生地ダメー
ジをを回復させるために、ベンチタイムを27.0℃で20分
とり、モルダーで成型した。成型物6個を角食のパン型
に入れ、発酵(ホイロ)を行った。ホイロの条件は下記
の通りである。
分間焼成した。焼成後、20℃において90分間冷却後、ビ
ニール袋に入れ、密閉化し、更に20℃において24時間保
存を行い、食パンサンプルとした。
ンプルについて官能評価を行った。 <食パン官能評価>食パンの外観、内相、しっとり感、
柔らかさ、口どけ、ねとつきのなさについて10名のパネ
ラーによる評価を行った。評価は比較例1に対しての相
対評価で行った。
た ○;10名中6〜7名が比較例1より良好であると判断し
た △;10名中4〜5名が比較例1より良好であると判断し
た ×;10名中6名以上が比較例1より良好ではないと判断
した これらの結果を表2に示す。
(蛋白含有率11.8%) 薄力小麦粉;日清製粉(株)製バイオレット(蛋白含有
率7.1 %)
するに際し、湯種生地調製時(小麦粉が熱ダメージを受
ける時)に使用する小麦粉として、従来パンに用いられ
ている強力粉(蛋白含有率11.5〜13.5%)に代えて、蛋
白含有率6.0 〜9.0 %の小麦粉を使用することにより、
口どけ感が顕著に向上し、ねとつきがなく軽い食感のパ
ンが得られることが分かった。
Claims (3)
- 【請求項1】 湯水を小麦粉を主成分とする原材料に添
加し混捏することにより湯種生地を調製する工程を含む
パン類の製造方法であって、湯種生地に使用する小麦粉
として蛋白含有率6.0 〜9.0 %の小麦粉を用いるパン類
の製造方法。 - 【請求項2】 湯種生地の調製時に乳化剤を添加するこ
とを特徴とする請求項1記載のパン類の製造方法。 - 【請求項3】 請求項1又は2記載の製造方法により得
られるパン類。
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