JP2003022582A - 光ディスク用原盤の製造方法 - Google Patents

光ディスク用原盤の製造方法

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JP2003022582A
JP2003022582A JP2001203095A JP2001203095A JP2003022582A JP 2003022582 A JP2003022582 A JP 2003022582A JP 2001203095 A JP2001203095 A JP 2001203095A JP 2001203095 A JP2001203095 A JP 2001203095A JP 2003022582 A JP2003022582 A JP 2003022582A
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Tsutomu Hashiguchi
強 橋口
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Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高密度光ディスクのプレピットや案内溝に対
応できる、光ディスク用原盤を安定、かつ的確に製造す
る方法を提供する。 【解決手段】 ガラス基板1上に非感光性の水溶性樹脂
からなる下層2を形成し、この下層上に感光性樹脂から
なる上層3を形成する。露光用のレーザービーム8を上
層に集光し、パターン領域を露光して潜像を形成した
後、該潜像を現像液で現像してパターンを形成する。パ
ターン形成後の上層をマスクとして下層を光オゾンアッ
シングし、その後、上層の剥離工程、導電膜形成工程、
電鋳工程、電鋳膜(スタンパ層12)の剥離工程およ
び、この電鋳膜に対する所定の後処理工程を経て所望の
原盤を得る。前記上層形成工程では、上層の厚さを10
0nm〜300nmとし、前記現像工程では、現像液と
して規定度が0.30N〜0.55Nのものを用いて7
5秒〜150秒間現像する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ディスクを製造
するのに用いられる光ディスク用原盤の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】光ディスクの基板上には情報の記録、再
生に用いる光ビームを導くための案内溝やプリピットが
形成されている。この案内溝やプリピットは成形加工の
技術を利用して作られるが、その成形型は後述の光ディ
スク用原盤を基に作られる。
【0003】従来の光ディスク用原盤の製造法は、ガラ
ス基板に感光性樹脂(以下、フォトレジストと称するこ
とがある)の層を形成し、所定のフォーマットに従って
光変調されたレーザー集光ビームで前記フォトレジスト
層を露光し、案内溝やプリピットの潜像を形成する。こ
の露光された原盤を現像処理することによりガラス基板
表面にフォトレジスト層の凹凸をつくる。この凹凸状の
フォトレジスト層の表面に導電性材料をスパッタ成膜
し、更にメッキによって厚い層にする。フォトレジスト
層を剥離すると、凹凸形状を反転させたメッキ層による
スタンパと呼ばれる金型ができる。この金型を使用し
て、案内溝やプリピットを成形した光ディスクの基板を
製造する。
【0004】近年の情報記憶媒体の容量増加という要求
に対応し、更なる高密度化を実現する光ディスク技術が
検討されている。案内溝やプリピットについても、細
く、小さく、且つ狭間隔という厳しい条件が要求され、
それに対応できるスタンパが、したがって、そのための
光ディスク用原盤が必要となる。細い案内溝、小さいプ
リピットには、光ディスク用原盤製作でのフォトレジス
ト露光に遠紫外光や電子線を用いて露光ビーム径を細く
するか、又は露光ビーム径以下のパターンを作成する技
術が必要になる。
【0005】このような高密度化用の光ディスク用原盤
の製造のために、従来のフォトレジスト層上にスタンパ
となるメッキ層を直接形成する方式に代わり、種々の方
法が検討されている。案内溝やプリピットのパターンが
形成されたフォトレジスト層をマスクとして下層部をエ
ッチング、パターン化し、フォトレジスト層を除去後、
下層部の表面にメッキ層を形成して、そのメッキ層をス
タンパに用いる方法である。
【0006】一つの方法は、ガラス基板上のフォトレジ
スト層をパターン化し、このフォトレジスト層をマスク
としてガラス基板の露出部分を所望の深さまでリアクテ
ィブイオンエッチングする。残留フォトレジスト層を除
去後に、メッキ層を形成してスタンパを作成する。この
スタンパを用いて、低ノイズレベルの光ディスクを製造
する方法が開示されている(特開平10−241213
号公報)。
【0007】フォトレジスト層をマスクとして下層部を
エッチングする方法では、露光ビーム径以下の案内溝や
プリピットができることが知られている。図3の断面図
に示すように、露光ビーム5の強度のガウス分布を反映
して、現像後のフォトレジスト層3の開口部の底幅4が
狭くなる。フォトレジスト層3をマスクとしてエッチン
グされた下層2は、底幅4に応じてエッチングされる。
フォトレジスト層3を除去し、この下層2上にメッキ層
(不図示)を形成する。そのメッキ層を剥離すれば、露
光ビーム径以下の案内溝やプリピットを有するスタンパ
となる。なお、図3において符号1はガラス基板であ
る。
【0008】この下層部に関して、特開平9−1065
84号公報では、ガラス基板上に下層(シリコン膜
等)、中間層(酸化シリコン膜等)を積層した構成と
し、更に上層としてのフォトレジスト層を設けている。
露光、現像したフォトレジスト層をマスクとして中間層
をエッチングする。次に、このパターン化された中間層
をマスクとして下層をエッチングする。下層の開口部は
中間層の開口部の底幅によって規定されるため、更に小
さい開口のパターンが出来る。この下層上をメッキし、
スタンパを作成するものである。
【0009】下層部の形成、エッチング、後処理等をよ
り合理的に実現する技術として、本出願人による特開2
000−113526号公報に記載の技術がある。この
技術では、ガラス基板上に、例えば水溶性樹脂材料から
なる下層を形成し、この上にフォトレジストからなる上
層を塗布、乾燥する。ついでこの上層の露光、現像を行
い、上層に所定パターンを形成する。これにより前述と
同様に、露光ビーム強度のガウス分布を反映して、上層
の開口部は図3に示す断面形状となる。
【0010】次いで、このフォトレジストからなるパタ
ーン化した上層をマスクとして、下層の水溶性樹脂層を
光オゾンアッシング処理し、水溶性樹脂層にマスクのパ
ターンを転写する。水溶性樹脂層のパターン形状は上層
のフォトレジストのパターン底幅に規定されるため、露
光ビーム径以下のサイズのプリピットや案内溝のパター
ンを形成することが、前述と同様に可能となる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記特
開平9−106584号公報に開示された下層/中間層
/上層(フォトレジスト層)の構成を実現するには、中
間層、下層をリアクティブイオンエッチングする大掛か
りな装置が必要で、製造工数も多くなる。また、前記特
開平10−241213号公報のように、ガラス基板を
直接リアクティブイオンエッチングする方法では、同様
に大掛かりな装置が必要になるし、溝の深さの制御はエ
ッチング時間によっているため、精密な技術も必要とす
る。
【0012】一方、前記特開2000−113526号
公報では、下層を水溶性高分子材料を用いた層で構成
し、上層のフォトレジスト層をマスクに光オゾンアッシ
ングして下層をエッチングしパターン形成している。こ
の方法は簡易的であり、製造工数も少ない。また、溝の
深さは下層の厚さで決まるので、プリピットや案内溝の
深さ、これらの底部の平面度が制御しやすいという利点
もある。
【0013】しかし、プリピットや案内溝の密度を高め
るために、露光のピット間隔を狭めていくと、前述の露
光ビーム強度のガウス分布を反映させ、マスクの開口部
の底幅を露光ビーム径以下にする方法において、次のよ
うな問題が発生する。
【0014】ピット間隔が露光ビーム径に近づくと、露
光ビーム強度のガウス分布の裾野に相当する部分が隣の
ピットの露光の裾野と重なり始める。ピット間隔が露光
ビーム径程度かそれ以下になると、その重なりは上層パ
ターンの形状へ後述のような影響を及ぼす。このような
上層をマスクとして下層をアッシングするのでは、目標
とするスタンパは得られない。
【0015】図4は、フォトレジストの上層3の露光、
現像後の状態を断面図で示したもので、(a)はピット
間隔が露光ビーム径に比較してある程度広い場合、
(b)はピット間隔が狭くなり、露光ビームの一部が隣
同士で重なって露光された場合を示している。また、
(a)では非露光部6として充分な高さが残るが、
(b)では完全な非露光部とはならない境界部7とし
て、ある高さのフォトレジストが残る。
【0016】図4(a)に示す上層をマスクとして下層
をアッシングした場合は、マスクとしての充分な高さ
(厚さ)が確保されているので、下層に安定したパター
ンを形成できる。しかし、図4(b)に示す上層をマス
クにした場合には、充分な高さ(境界部7の高さ)が確
保されておらず、下層の露出部以外もアッシングの影響
を受け、安定したパターンの形成、即ち、転写ができな
くなる。
【0017】したがって本発明の目的は、従来技術の上
記問題点を解決した光ディスク用原盤の製造方法を提供
することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明の基本は、潜像形
成での露光ビーム強度を小さくできるような現像条件で
上層の潜像を現像する所にあり、この技術を基にピット
間隔が狭い高密度の光ディスク用原盤を安定に製造する
ことが可能になる。
【0019】請求項1に記載の発明は、ガラス基板上に
非感光性の水溶性樹脂からなる下層を形成する第1の工
程と、下層上に感光性樹脂からなる上層を形成する第2
の工程と、露光ビームを上層に集光しパターン領域を露
光して潜像を形成する第3の工程と、潜像が形成された
上層を現像液で現像してパターンを形成する第4の工程
と、パターンが形成された上層をマスクとして下層を光
オゾンアッシングする第5の工程とを含み、前記第2の
工程では上層の厚さを100nmから300nmとし、
前記第4の工程では、現像液として規定度が0.30N
から0.55Nのものを用いて75秒から150秒間現
像することを特徴とする光ディスク用原盤の製造方法で
ある。
【0020】請求項2に記載の発明は、前記第4の工程
では、ガラス基板を回転速度150rpmから400r
pmで回転させながら現像液を供給して現像することを
特徴とする請求項1に記載の光ディスク用原盤の製造方
法である。
【0021】請求項3に記載の発明は、前記現像液が水
酸化カリウム、水酸化ナトリウム、テトラメチルアンモ
ニウムハイドロオキサイド、リン酸塩、ケイ酸塩のいず
れかを含むアルカリ溶液であることを特徴とする請求項
1に記載の光ディスク用原盤の製造方法である。
【0022】請求項4に記載の発明は、前記上層を、前
記現像後の残膜率が85%以上となる感光性樹脂を用い
て形成することを特徴とする請求項1に記載の光ディス
ク用原盤の製造方法である。
【0023】請求項5に記載の発明は、前記上層を、波
長320nm以下の紫外光の透過率が30%以下である
感光性樹脂を用いて形成することを特徴とする請求項1
に記載の光ディスク用原盤の製造方法である。
【0024】請求項6に記載の発明は、前記第2の工程
で形成する上層の厚さを、前記第1の工程で形成する下
層の厚さの2倍以上にすることを特徴とする請求項1に
記載の光ディスク用原盤の製造方法である。
【0025】請求項7に記載の発明は、前記第2の工程
では、下層上に感光性樹脂を塗布した後、70℃から9
0℃の温度で熱処理することにより上層を形成すること
を特徴とする請求項1に記載の光ディスク用原盤の製造
方法である。
【0026】請求項8に記載の発明は、前記熱処理をク
リーンオーブン内で15分から30分間行うことを特徴
とする請求項7に記載の光ディスク用原盤の製造方法で
ある。
【0027】本発明方法では、ピット間隔が露光ビーム
径程度かそれ以下の潜像を形成し、現像した上層のマス
クにおいても、開口部に対する非開口部(上層の感光性
樹脂の残部)の厚さが充分確保でき、光オゾンアッシン
グに対する耐久性が向上する。このような上層マスクを
用いると、下層を安定に光オゾンアッシングできるの
で、下層には良質なパターンが転写されることになる。
【0028】基板を回転させながら現像すると、均一性
良く現像され、150〜400rpmの回転速度が特に
好ましい条件である。この回転速度は、特性的には上層
上の現像液の滞留性と関連しており、また、現像液の使
用効率の経済性も無視できない。現像液としては、水酸
化カリウム、水酸化ナトリウム、テトラメチルアンモニ
ウムハイドロオキサイド、リン酸塩、ケイ酸塩のいずれ
かを含むアルカリ溶液を用いるのが均一な現像などの点
から好ましい。
【0029】現像後の非露光部分の残膜率(後述)は8
5%以上を確保でき、また光オゾンアッシング時に照射
される波長320nm以下の紫外光に対する透過率を3
0%以下に抑えることが、下層の安定なパターン形成
(転写)に望ましく、これに適う感光性樹脂を上層に用
いるのが好ましい。「残膜率が高い」とは、ピット間境
界部の現像液への溶出率が低いことであり、これによ
り、境界部の残存高さも確保しやすくなる。「紫外光の
透過率が低い」ことにより、アッシング時の紫外光の下
層への影響が抑制される。
【0030】上層は下層の厚さの2倍以上の厚さに形成
することが、下層のアッシングを安定に行うために好ま
しい。これにより、下層をアッシングする時間に対応し
て、上層の耐久力を保持させることができる。感光性樹
脂からなる上層の熱処理条件は、露光感度の観点から、
温度は70〜90℃が好ましく、更にクリーンオーブン
内で15〜30分にするのが良い。
【0031】
【発明の実施の形態】ここで、本発明の光ディスク用原
盤の製造方法を、図1(a)から(h)に従って説明す
る。原盤の実体は円板状であるが、図1にはその一部を
断面図で示してある。
【0032】表面が精密に研磨されたガラス基板1を用
意し、基板表面の洗浄を行う。ガラス基板1をスピンコ
ータ(不図示)にセットし、スピンコート法により下層
2の材料の塗布を行う。下層材料としては、非感光性の
水溶性樹脂を用い、具体的にはポリビニルアルコール、
変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メ
チルセルロースなどが好ましい。塗布した材料を、クリ
ーンオーブン中で160〜240℃で約30分の熱処理
を行う。下層2の厚さは、所望のスタンパの出来上がり
寸法に合わせて決めるが、標準的には約50nmにし
た。図1(a)はガラス基板1上に下層2が形成された
状態を示す。
【0033】次に、下層2の上に、スピンコート法によ
り上層3の材料としてのフォトレジストの塗布を行う。
フォトレジストとしては、i線系フォトレジストを用い
ると都合が良い。ノボラック樹脂を成分に持つi線系フ
ォトレジストでは、その構造上から紫外線が透過しにく
く、後工程の光オゾンアッシングでの紫外線(特に、波
長320nm以下で)を遮断する効果を大きくできる点
からこの材料を選択した。塗布したフォトレジストはク
リーンオーブンで熱処理、乾燥し上層3とする。熱処理
の条件は、露光感度を下げないためには温度は高くせ
ず、時間も長くないようにするのが良く、温度は70〜
90℃、時間は15〜30分が好ましい範囲である。図
1(b)は、下層2上に上層3を形成した状態を示して
いる。
【0034】上層3の厚さ範囲の好ましい下限と上限と
は、主として、次のような理由で決まる。上層3のパタ
ーンをマスクとして下層2を光オゾンアッシングする際
に、下層2の非露出部を覆う上層3が、照射される紫外
線と化学的作用に対してどれ程の遮蔽率を持つか、即
ち、下層2への影響を防御できる上層3の厚さにより、
前記下限が求まる。この下限の値には、後述する現像過
程での残膜率の条件も加味しておく必要がある。これに
対し、上限の設定条件のうちでは、実効的な露光感度を
下げない、即ち、所定の底幅を持つパターンを上層3に
形成するに必要な露光光量を少なくするという条件が主
なものである。これらの条件から、上層3の好ましい厚
さの範囲として、100〜300nmの数値範囲を設定
した。
【0035】この状態の光ディスク用原盤を原盤露光機
のターンテーブル(不図示)にのせ、波長400〜42
0nmのレーザービーム8を対物レンズ9で上層3に集
光させて原盤露光を行う。図1(c)は、この露光工程
を示すもので、符号10が露光部分、即ち潜像部であ
る。露光は約7m/秒の線速度一定(CLV)となるよ
う、ターンテーブルの回転速度を制御し、原盤上をスパ
イラル状に露光する。露光光量は、レーザービーム8の
光強度を調整して、所定の量に制御する。このようにし
て、上層3のフォトレジスト層に所定のパターンの潜像
部10を形成する。
【0036】潜像形成された原盤をスピナー(不図示)
にのせ、回転速度350rpmで回転させながら現像液
のアルカリ水溶液を滴下して現像を行い、その後、現像
の進行を止めるため純水でリンスを行い、最後に原盤を
1500rpmで高速回転して乾燥させる。この段階の
状態を図1(d)に示してある。破線で示した現像前の
上層3の厚さH1は、所定の現像をすると、上層3は非
露光部6でもその厚さがH2へと減少する。H2のH1
対する比すなわち、H2/H1を前記した残膜率として評
価し、後述する理由等から、残膜率を85%以上が好ま
しい条件として設定した。
【0037】露光光量(露光ビーム強度)と現像時間と
現像液の規定度とが、上層3の現像パターンの形状に、
どの様な相関性を持つかを調査した。特に、ピット間隔
が狭い露光とその潜像の現像とが、それらの条件によっ
て、露光ビームの重なり領域での上層3の現像状態へど
う影響するかを詳細に調べた。露光ビームの重なり領
域、即ち、図4(b)の境界部7の高さ確保には、端的
に表現すると、露光ビーム強度を小さく、現像時間を長
く、現像液の規定度を高くの条件が重要であると判明し
た。
【0038】更に、上層3の開口部の底幅4(図3を参
照)で所定の値を確保する条件、前述の露光感度に係わ
る上層3の厚さ上限の条件等を加味し、後工程の光オゾ
ンアッシングに耐える境界部7の高さを保持する製造条
件として、現像時間を75〜150秒、現像液の規定度
を0.30〜0.55N、上層3の厚さを100〜30
0nmに設定した。
【0039】現像時間の設定値75〜150秒は、通常
に行われる現像時間の1.2〜4倍の長さにしている。
この条件により、現像後の上層3に同じ底幅4のパター
ン形状を得るのに必要な露光光量を減らすことができる
ため、実質露光ビーム径の縮小の効果が得られ、残りレ
ジストの高さ(図4(b)の境界部7の高さ)を高くす
ることができる。現像時間が75秒未満であると、露光
光量を増加する分、露光ビーム径の縮小効果が減少し、
150秒を超えると形状にバラツキが生じはじめる。
【0040】現像時間を長くする場合、従来の通常技術
では、現像液の規定度を下げて上層3の表面の粗さを抑
制するように設定していた。しかし、本発明では、現像
時間が長いにもかかわらず、規定度は通常通り、または
通常より高く設定することで露光光量を減らし、前述と
同様の効果を得ている。表面の粗さに対しては、底幅4
が安定に得られれば、大きな問題にはならない。一方、
規定度の範囲は、現像の均一性を保てない、露光光量の
低減に効かなくなる、残膜率を低下させる等を考慮して
設定した。
【0041】上層3のパターンをマスクとし、光オゾン
アッシング法を用いて下層2の露出部をエッチングす
る。図1(e)はアッシングしている状態を示してお
り、紫外光11が照射され、マスクの底幅4(図3参
照)と同一幅で下層2がエッチングされる。基板上に紫
外光11が均一に照射され、均一にエッチングされるよ
う原盤を揺動させながらアッシングすると、より良好な
転写が下層2になされる。その後、純水で表面を洗浄す
る。
【0042】次に、上層3を剥離する。図1(f)はそ
の状態を示している。剥離に使用する溶液は、乳酸エチ
ル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ブ
チルなどが良い。これに求められる性質は、上層3に対
する剥離性と、下層2に影響を与えず、エッチングによ
り形成された下層パターンをそのまま残すことである。
フォトレジストの剥離は一般的な有機溶媒、レジスト剥
離液によって可能であるが、下層パターンのサイドエッ
チが少ないという点では、上記の溶剤が適している。
【0043】このようにガラス基板1上に形成された下
層2のパターンに対して、表面にNi膜を約50nmス
パッタリングにより成膜し、導電膜を形成させる。更
に、このNi膜を電極として、厚さ約300μmになる
までNiの電鋳を行い、スタンパ層12を形成する。こ
の時の状態を図1(g)に示す。
【0044】次に、ガラス基板1からスタンパ層12を
剥離する。剥離後に、スタンパ層12に残存した下層2
を純水によって洗浄除去する。下層2は水溶性樹脂(例
えばポリビニルアルコール)で形成されているので、純
水で容易に溶解除去される。更に、裏面研磨、内外径加
工を行って、光ディスク用基盤を作成する型となるスタ
ンパのマスターすなわち光ディスク用原盤13として完
成する。これを図1(h)に示す。
【0045】
【実施例】本発明の光ディスク用原盤の製造方法の一実
施例について説明する。ガラス基板1をスピンコータで
回転させながら、ポリビニールアルコールの溶剤を滴下
し、塗布する。クリーンオーブン内で200℃前後の温
度で、約30分の熱処理をする。これより作成された下
層2の厚さは約50nmである。この熱処理後に室温ま
で冷却し、下層2の上にi線系フォトレジストをスピン
コートし、クリーンオーブンで約20分、80℃で熱処
理する。これより作成された上層3の厚さは約180n
mである。
【0046】この原盤を原盤露光機で、波長400〜4
20nmのレーザ光をレンズで上層2へ集光し、線速度
約7m/sで露光し、潜像を形成した。条件設定のため
に、レーザ光の強度を変えて、露光光量を調整した。次
にスピナーで回転速度350rpmに回転させながら上
層2を、所定の規定度のアルカリ水溶液(リン酸塩とケ
イ酸塩を混合)で、所定時間の現像処理をし、引き続き
純水でリンスする。
【0047】図2(a)は、この工程段階での現像時間
とピット間の境界部7残り高さhとの関係を、現像液の
規定度をパラメータとして示している。図2(b)は、
上層3の現像状態を断面図でモデル的に示したものであ
る。この図では、ピット間隔(隣接トラック間距離)を
TPとし、露光ビーム径をBDとした。このBDの定義
は、露光ビーム強度のガウス分布が1/e2になる径と
した。図2(a)は、TP/BDが0.85になる条件
で露光した場合である。露光光量は、現像後に上層3の
底幅4がほぼ一定になるように、レーザ光の強度を制御
した。
【0048】現像時間が長い程、残り高さhは大きくな
る。この理由は、同じ底幅4のパターン形状を得るのに
必要な露光光量を減らすことができるため、実質露光ビ
ーム径の縮小の効果が得られ、残り高さhを高くするこ
とができるからである。現像時間が75秒以上で実質的
な露光ビーム径の縮小効果が得られ、150秒を超える
と形状バラツキが生じ始める。
【0049】現像液の規定度は0.4Nを使用した方
が、0.3Nよりも、残り高さhは大きくなる。この理
由は、現像時間を長くするのと同様に、露光光量を減ら
すことができ、露光ビーム径の縮小効果が得やすくなる
ためである。
【0050】前記現像処理で得た上層3をマスクとし
て、下層2を光オゾンアッシング法でエッチングし、パ
ターンを下層2へ転写し、純水で表面を洗浄した。次
に、乳酸エチルで上層3を剥離し、下層2のパターン全
体を露出する。以降は、スタンパの形成工程で、下層2
の表面にNi膜を約50nmスパッタリング成膜し、更
にその上に、厚さ約300μmのNi電鋳を形成する。
ガラス基板からNi電鋳を剥離し、純水で洗浄すると、
Ni電鋳に残存していた下層2はポリビニルアルコール
からなるため容易に除去され、スタンパとして完成す
る。
【0051】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、請求項1
の発明に係る光ディスク用原盤の製造方法によれば、高
密度化に対応した光ディスク用の原盤を、従来技術に比
べて簡便な工程で、かつ的確に製造することができ、付
随的には露光用レーザーの負担を軽減できる。このた
め、この製造方法で得られた光ディスク用原盤を使用す
ることで、高密度光ディスク用の高品質スタンパを安定
に、安価に製造することができる。また、請求項2の発
明によれば、現像(パターン形成)の効率化と均一性が
高まる。請求項3から請求項6の発明によれば、パター
ン形成が更に安定化できる。さらに請求項7、請求項8
の発明によれば、良好な露光感度を確保することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法を説明するための工程断面図
である。
【図2】本発明の実施例の結果を説明するための図であ
る。
【図3】フォトレジスト層をマスクとして下層部をエッ
チングしたときのエッチング結果を示す断面図である。
【図4】従来技術の問題点を説明するための断面図であ
る。
【符号の説明】
1 ガラス基板 2 下層 3 上層(フォトレジスト層) 4 底幅 5 露光ビーム 6 非露光部 7 境界部 8 レーザービーム 9 対物レンズ 10 潜像部 11 紫外光 12 スタンパ層 13 マスター(光ディスク用原盤)

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラス基板上に非感光性の水溶性樹脂か
    らなる下層を形成する第1の工程と、下層上に感光性樹
    脂からなる上層を形成する第2の工程と、露光ビームを
    上層に集光しパターン領域を露光して潜像を形成する第
    3の工程と、潜像が形成された上層を現像液で現像して
    パターンを形成する第4の工程と、パターンが形成され
    た上層をマスクとして下層を光オゾンアッシングする第
    5の工程とを含み、 前記第2の工程では上層の厚さを100nmから300
    nmとし、前記第4の工程では、現像液として規定度が
    0.30Nから0.55Nのものを用いて75秒から1
    50秒間現像することを特徴とする光ディスク用原盤の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 前記第4の工程では、ガラス基板を回転
    速度150rpmから400rpmで回転させながら現
    像液を供給して現像することを特徴とする請求項1に記
    載の光ディスク用原盤の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記現像液が、水酸化カリウム、水酸化
    ナトリウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサ
    イド、リン酸塩、ケイ酸塩のいずれかを含むアルカリ溶
    液であることを特徴とする請求項1に記載の光ディスク
    用原盤の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記上層は、前記現像後の残膜率が85
    %以上となる感光性樹脂を用いて形成することを特徴と
    する請求項1に記載の光ディスク用原盤の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記上層は、波長320nm以下の紫外
    光の透過率が30%以下である感光性樹脂を用いて形成
    することを特徴とする請求項1に記載の光ディスク用原
    盤の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記第2の工程で形成する上層の厚さ
    を、前記第1の工程で形成する下層の厚さの2倍以上に
    することを特徴とする請求項1に記載の光ディスク用原
    盤の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記第2の工程では、下層上に感光性樹
    脂を塗布した後、70℃から90℃の温度で熱処理する
    ことにより上層を形成することを特徴とする請求項1に
    記載の光ディスク用原盤の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記熱処理をクリーンオーブン内で15
    分から30分間行うことを特徴とする請求項7に記載の
    光ディスク用原盤の製造方法。
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WO2008088076A1 (ja) * 2007-01-17 2008-07-24 Sony Corporation 現像液、および微細加工体の製造方法

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JPWO2008088076A1 (ja) * 2007-01-17 2010-05-13 ソニー株式会社 現像液、および微細加工体の製造方法

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