JP2003020357A - ポリオレフィン微多孔膜およびその製造方法 - Google Patents

ポリオレフィン微多孔膜およびその製造方法

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JP2003020357A JP2001206722A JP2001206722A JP2003020357A JP 2003020357 A JP2003020357 A JP 2003020357A JP 2001206722 A JP2001206722 A JP 2001206722A JP 2001206722 A JP2001206722 A JP 2001206722A JP 2003020357 A JP2003020357 A JP 2003020357A
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polyethylene
polyolefin
melting point
film
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Takafumi Yamamizu
孝文 山水
Takahiko Kondo
孝彦 近藤
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Asahi Kasei Corp
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、リチウムイオン二次電池用
セパレータに好適なポリオレフィン微多孔膜を提供する
ことであり、具体的には突刺強度が大きく、電気抵抗因
子が小さく、孔閉塞温度が低く、かつ孔が閉塞する温度
での熱収縮が小さなポリオレフィン微多孔膜およびその
製造方法を提供することにある。 【解決手段】 突刺強度が0.18N/μm以上、電気
抵抗因子が46Ωcm以下、孔閉塞温度が137℃以
下、135℃での熱収縮率が縦、横方向ともに40%以
下であることを特徴とするポリオレフィン微多孔膜。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリオレフィン微多
孔膜に関し、特にリチウムイオン二次電池用セパレータ
に好適なポリオレフィン微多孔膜およびその製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】ポリオレフィン微多孔膜は、浄水器等の
濾材、通気性衣料用途、電池用セパレータや電解コンデ
ンサ用セパレータ等の材料として従来より使用されてき
た。近年では、リチウムイオン二次電池用途の需要が顕
著に伸びてきている。リチウムイオン二次電池用セパレ
ータとして備えるべき性質には多くの項目があるが、主
に電池の高容量化、高出力化、および安全性に適した膜
物性が求められている。
【0003】電池の高容量化には電池缶内の電極活物質
をできるだけ多くすることが第一の対応策であり、その
ためにセパレータの膜厚はできるだけ薄いことが求めら
れている。しかし、この薄膜化は単に従来の膜を薄くす
るだけではセパレータの機械強度の低下をもたらし電池
組立の際の短絡不良が増加し組立収率が低下するため、
機械強度すなわち突刺強度の向上が求められている。電
池の高出力化では大電流放電を可能とするために電池缶
内の電極や電解液等の構成部材の電気抵抗をできるだけ
小さくする必要があり、セパレータも低電気抵抗化が必
要である。微多孔膜の電気抵抗は膜の空隙量すなわち気
孔率に大きく依存するが、気孔率が大きくなるほど膜強
度は低下してしまう。そのため膜の強度を維持しつつ電
気抵抗をできるだけ小さくできる適切な孔構造の形成が
求められる。
【0004】微多孔膜の膜構造と電気抵抗の関係は次の
理論式が提出されている。 R=r・(τ2・L)/(ε・A) (1) ここで膜の電気抵抗をR(Ω)、電解液の比抵抗をr
(Ωcm)、膜の曲路率をτ、膜厚をL(cm)、膜の
気孔率をε、膜面積(測定面積)をA(cm2)とし
た。曲路率τは膜の孔構造を表す因子であるが測定困難
な因子である。そのため曲路率は通常気孔率が大きいほ
ど小さくなることからτ=1/εと近似し、この関係を
(1)式に代入すると(2)式となる。 R=r・L/(ε3・A) (2) (2)式から、膜形状因子としてL/(ε3・A)が導
出される。この膜形状因子で電気抵抗の実測値Rを割っ
た値R・(ε3・A)/Lは、膜形状(膜厚と気孔率)
を規格化した電気抵抗値となりこの値を比較することに
より低電気抵抗に適した孔構造かどうかが判断できるこ
とになる。以上より、R・(ε3・A)/Lを電気抵抗
因子としてこの因子が小さいほど電池の高出力化に適し
た膜となる。
【0005】電池安全性に関してはセパレータの「ヒュ
ーズ温度」すなわち膜の孔閉塞温度が重要な物性であり
孔閉塞温度ができるだけ低いことが求められている。ま
た、孔が閉塞する温度では膜は溶融し大きく収縮するこ
とが常であるが、この際正極と負極間の短絡が生じ電池
が熱暴走してしまう危険性が指摘されている。このため
膜の孔閉塞が生じる高温での熱収縮ができるだけ小さい
ことが電池安全性の面から求められるようになってい
る。
【0006】低温で孔の閉塞を生じさせるためには低融
点の低密度ポリエチレン又は線状共重合ポリエチレンの
使用が考えられるが、これらのポリエチレンでは延伸に
よる高強度化には限界があった。逆に高密度ポリエチレ
ンや超高分子ポリエチレンを高倍率延伸した膜では、大
きな突刺強度を示すが孔閉塞温度が上昇し孔閉塞時の熱
収縮も非常に大きくなってしまうことが常であった。こ
のように高性能リチウムイオン二次電池用セパレータと
しては突刺強度が強く、電気抵抗因子が小さく、孔閉塞
温度が低く、かつ孔閉塞時の熱収縮率が小さい微多孔膜
が最適であるが、これらの四物性は相互に密接に関連し
あっている。このため、従来数多く提案されてきている
製膜技術では四物性のいずれかの物性を特に改善するこ
とを目的としたり、二、三の物性のみを同時に達成する
ことが可能な技術である。これらの物性に関して何らか
の記載がある提案としては、特開平4−212265号
公報、特開平5−25305号公報、特開平6−212
006号公報、特開平7−29563号公報、特開平8
−34873号公報、特開平8−73643号公報、特
開平9−157423号公報、WO97/20883号
公報、特開11−130899等多数あるが、四物性を
同時に高いレベルで達成できる微多孔膜は製膜すること
ができなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、リチ
ウムイオン二次電池用セパレータに好適なポリオレフィ
ン微多孔膜を提供することであり、具体的には突刺強度
が大きく、電気抵抗因子が小さく、孔閉塞温度が低く、
かつ孔が閉塞する温度での熱収縮が小さなポリオレフィ
ン微多孔膜およびその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記課題に
対して鋭意研究をかさねた結果、原料ポリマーとして適
切な分子量のポリエチレンを主成分とするポリオレフィ
ンと可塑剤からなる組成物を用いてゲル状シートを作り
これに適切な延伸およびそれに続く高温加熱処理工程を
加えることを特徴とする製膜方法を施すことにより、突
刺強度が大きく、電気抵抗因子が小さく、孔閉塞温度が
低く、かつ孔が閉塞する温度での熱収縮が小さなポリオ
レフィン微多孔膜が得られることを見出し、本発明をな
すに至った。
【0009】すなわち本発明は (1)突刺強度が0.18N/μm以上、電気抵抗因子
が46Ωcm以下、孔閉塞温度が137℃以下、135
℃での熱収縮率が縦、横方向ともに40%以下であるこ
とを特徴とするポリオレフィン微多孔膜。 (2)膜を構成するポリエチレンが粘度平均分子量30
万から200万であるとともに、DSCで137℃以下
の融点ピークと142℃以上の融点ピークのポリエチレ
ンに帰属される少なくとも二つの融点ピークを有するこ
とを特徴とする(1)記載のポリオレフィン微多孔膜。 (3)(1)または(2)記載のポリオレフィン微多孔
膜からなるセパレータ。 (4)(a)ポリオレフィンと可塑剤からなる組成物を
溶融混練し押出してゲル状シートを得る工程、(b)工
程(a)の後に二軸延伸を行いゲル状延伸フィルムを得
る工程、(c)工程(b)で得られたゲル状延伸フィル
ムのポリエチレンに帰属される融点ピーク以上の温度
(融点ピークが二つ以上有る場合は最も低温側の融点ピ
ーク以上の温度)に加熱後冷却してポリエチレン結晶の
少なくとも一部を溶融再結晶する加熱処理工程、(d)
工程(c)の後に可塑剤を抽出する工程からなることを
特徴とするポリオレフィン微多孔膜の製造方法。 (5)可塑剤を抽出する工程の後、少なくとも一軸方向
に少なくとも一回の延伸を行う工程および幅方向に熱緩
和を施す工程が加わることを特徴とする(4)記載のポ
リオレフィン微多孔膜の製造方法である。
【0010】ポリエチレンは結晶性高分子であり条件に
よって異なる結晶構造を形成し広範囲の膜物性を実現す
る。特にフィルム成形加工では適切な延伸工程によって
分子鎖が配向した結晶いわゆる「配向結晶」を形成し高
強度化することはよく知られている。ポリエチレンの完
全結晶の融点は141℃とされているが、加工成形条件
によってはDSCの融点ピークが141℃を越える「高
融点結晶」の生成も知られている。例えば特開平7−2
68118号公報では、極限粘度[η]が10dl/g
以上の高分子量ポリエチレンと極限粘度[η]が3ない
し15dl/gの高分子量ポリプロピレン組成物の延伸
膜でポリエチレンに帰属する二つの融点ピークが観察さ
れることを特徴とする微多孔性二軸延伸フィルムを提案
している。低温側の融点ピークは延伸フィルムの折り畳
鎖結晶の融点であり、高温側の融点ピークは伸び切り鎖
結晶の融点であるとしている。ここで延伸フィルムの折
り畳鎖結晶はいわゆる配向結晶に対応しており、伸び切
り鎖結晶は高融点結晶に対応すると考えられる。
【0011】本発明の方法においては、適切な高分子量
ポリエチレンを主成分とするゲル状シートを延伸してい
る。この延伸工程によって得られたゲル状延伸フィルム
ではポリエチレンの配向結晶と高融点結晶が少なくとも
一部形成されていると推定される。続いて本発明ではこ
のゲル状延伸フィルムのポリエチレンに帰属される融点
ピークのうち最も低温側のピーク以上の温度に加熱後冷
却している。この工程によってポリエチレンの配向結晶
の少なくとも一部を溶融し再結晶化することによって低
融点の結晶を形成している。このため二つ以上の融点ピ
ークがDSCで観測されることになる。この加熱処理に
よって低融点の結晶が形成されることにより孔閉塞温度
が低くなるとともに、配向結晶の減少から高温での熱収
縮が小さくなっていると推定される。
【0012】ポリオレフィンのゲル状成形物を加熱する
工程については国際公開番号WO00/20492にお
いて例がある。この場合の加熱温度はポリオレフィン組
成物の結晶分散温度以上で融点+30℃以下の温度範囲
としているが、加熱工程の目的は結晶ラメラの再配列を
行い透過性を向上させることにあり膜の溶解はさける温
度としている。加熱温度が結晶分散温度よりも高温であ
れば、結晶構造の再配列が生じ微多孔膜の孔構造の変化
が生じるが、結晶の融解が生じなければ低融点の結晶は
形成されないことから、本発明の加熱処理とは明らかに
異なっている。
【0013】本発明に用いるポリオレフィンとは、ポリ
エチレン単独またはポリオレフィン組成物である。ポリ
オレフィン組成物はポリエチレンを主成分として、ポリ
エチレン以外にポリプロピレン、ポリ−4−メチル−1
−ペンテンなどのポリオレフィンを合計で50wt%未
満、より好ましくは20wt%未満、加えた組成物であ
る。ポリエチレンの粘度平均分子量は、加熱処理での膜
形状および突き刺し強度の保持、さらには膜の加工性の
観点から30万から200万が好ましい。より好ましく
は40万から150万である。本発明で用いるポリエチ
レンとは、エチレンを重合した結晶性の単独重合体もし
くはエチレンと10モル%以下のプロピレン、1−ブテ
ン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン等の共重
合体があげられる。また、これらの単独重合体および共
重合体の混合物であることも差し支えない。
【0014】本発明で使用する可塑剤としては、ポリオ
レフィンと混合した際にポリオレフィンの融点以上にお
いて均一溶液を形成しうる不揮発溶媒であればよい。例
えば、流動パラフィンやパラフィンワックス等の炭化水
素類、フタル酸ジオクチルやフタル酸ジブチル等のエス
テル類、オレイルアルコールやステアリルアルコール等
の高級アルコールが挙げられる。また本発明における組
成物には、酸化防止剤等の添加物を適宜加えても構わな
い。
【0015】本発明の製造法では、上記ポリオレフィン
と可塑剤からなる組成物を溶融混練し、押し出して冷却
固化させゲル状シートを成形する。ポリオレフィンの配
合割合は微多孔膜として適性な性能を発現するために好
ましくは20〜70wt%、より好ましくは30〜50
wt%である。続いてこのシートを延伸する工程ではゲ
ル状シートを加熱しテンター法、ロール法、圧延法もし
くはこれらの方法を組み合わせて行うが、テンターを用
いた同時二軸延伸が好ましい。延伸温度は使用するポリ
オレフィンの結晶分散温度から結晶融点の間の温度であ
る。具体的には90〜140℃で、好ましくは100〜
130℃の範囲である。延伸倍率は使用するポリオレフ
ィンによって可能な範囲があるが、延伸時の破膜が生じ
ない範囲でできるだけ高倍率が好ましい。高倍率延伸ほ
どポリエチレンの配向結晶化が進むとともに伸びきり鎖
に対応する高融点結晶が形成し易い。
【0016】延伸膜の加熱処理工程では、可塑剤を含ん
だ延伸膜のポリエチレンに帰属される融点ピークのうち
最も低温側のピークよりも高温で加熱する。膜強度を保
持しつつ、低融点の結晶を形成させるため、具体的には
130〜150℃が好ましい。可塑剤を抽出する抽出溶
媒は、ポリオレフィンに対して貧溶媒でありかつ可塑剤
に対して良溶媒であればよく、沸点が原料ポリオレフィ
ンの融点よりも低いことが望ましい。このような抽出溶
媒としては、例えば、n−ヘキサンやシクロヘキサン等
の炭化水素類、塩化メチレンや1,1,1-トリクロロエタン
等ハロゲン化炭化水素類、エタノールやイソプロパノー
ル等のアルコール類、アセトンや2-ブタノン等のケト
ン類等が挙げられる。
【0017】可塑剤の抽出後さらに少なくとも一軸方向
に少なくとも一回延伸操作を行うこともできる。この抽
出後延伸では、可塑剤を除去した状態で延伸するので延
伸に伴ってポリマー界面の破壊が支配的に生じ、微多孔
膜の気孔率を増大させる効果がある。抽出後延伸の延伸
倍率は任意の倍率に設定できるが倍率が大きいと熱収縮
が大きくなるので、一軸方向の倍率で5倍以内、二軸方
向の面積倍率で20倍以内が好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、実施例により本発明を詳細
に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるもので
はない。なお、実施例において示される試験方法は次の
通りである。 (1)膜厚(μm) ダイヤルゲージ(尾崎製作所製PEACOCK No.
25)を用いて測定。 (2)気孔率(%) 10cm角の試料を用意し、その試料体積(cm3 )と
質量(g)を測定し得られた結果から次式を用いて気孔
率(%)を計算した。 気孔率=(1−質量/(樹脂密度×試料体積))×10
0 なお、樹脂密度(g/cm3)はASTM−D1505
に準拠し、密度勾配法により測定した。 (3)透気度(秒) JIS P−8117に準拠しガーレー式透気度計(東
洋精器(株)製G−B2型)にて測定。
【0019】(4)突刺強度(N/μm) 圧縮試験機(カトーテック製KES−G5)を用いて、
先端の曲率半径0.5mmの針を用いて突き刺し速度2
mm/sで突き刺し試験を行い最大突刺荷重(N)を得
る。この最大突刺加重(N)を試料の膜厚(μm)で除
することにより突刺強度(N/μm)を算出した。 (5)電気抵抗因子(Ωcm) 微多孔膜試料を内径1cm、外径2cm、厚み1mmの
テフロン(登録商標)パッキングで上下から挟みさらに
その外側に白金黒電極を上下に設置した測定セルを用い
て、安藤電気製LCRメーターAG−4311を使用し
て1kHzの交流にて測定し、膜がある状態の電気抵抗
値から膜の無い状態の電気抵抗値を差し引くことで電気
抵抗値(Ω)を求めた。この電気抵抗値(R)と膜厚
(L)、気孔率(ε)、測定面積(A)を(2)式に代
入して電気抵抗因子を算出した。なお、測定にはプロピ
レンカーボネートとジメトキシエタンの混合液(50/
50容量%)を溶媒として電解質に過塩素酸リチウム1
mol/リットルを用いた電解液を使用した。
【0020】(6)孔閉塞温度(℃) 厚さ10μmのNi箔を2枚(A,B)用意し、一方の
Ni箔Aを縦15mm、横10mmの長方形部分を残し
てテフロン(登録商標)テープでマスキングするととも
に他方のNi箔Bには測定試料のセパレータを置き、セ
パレータの両端をテフロン(登録商標)テープで固定し
た。このNi箔Bを電解液(1mol/リットルLiB
4/プロピレンカーボネート溶液)に浸漬してセパレ
ータに電解液を含浸させた後、Ni箔A,Bを張り合わ
せ2枚のガラス板で両側を押さえた。このようにして作
製したNi箔電極を25℃のオーブンに入れ180℃ま
で2℃/minで昇温した。この際のインピーダンス変
化を1V、1kHzの条件下で測定した。この測定にお
いてインピーダンス値が1000Ωに達した温度を孔閉
塞温度(℃)とした。
【0021】(7)示差走査熱量計(DSC)の融点ピ
ーク温度(℃) セイコー電子工業(株)製DSC−220Cを使用し測
定した。サンプルは直径5mmの円形に打ち抜き、数枚
重ね合わせて3mgとし、これを直径5mmのアルミ製
オーブンサンプルパンに敷き詰め、クリンピングカバー
をのせサンプルシーラーでアルミパン内に固定した。昇
温速度10℃/minで、30℃から180℃までを測
定し、融解吸熱曲線の極大点の温度を融点ピーク温度
(℃)とした。 (8)熱収縮率(%) 微多孔膜から縦(機械方向)および横(幅方向)ともに
10cm角で試料を切り取り、該試料の四方を拘束しな
い状態で135℃に加熱された熱風循環式オーブンに入
れ、2時間加熱後取り出し30分間静置した。その後試
料の縦(機械方向)および横(幅方向)の寸法を計測し
算出した。
【0022】(9)粘度平均分子量 デカヒドロナフタリンに試料を溶解させ試料溶液を作製
し、135℃に調整された動粘度測定用恒温槽(トーマ
ス科学機器(株)製)内でキャノンフェンスケ粘度計
(SO100)を用いて極限粘度[η]を測定した。得
られた[η]を用いて次のChiangの式により粘度
平均分子量Mvを算出した。 [η]=6.77×10-4Mv0.67
【0023】
【実施例1】粘度平均分子量が200万の超高分子量ポ
リエチレン(UHMWPE)50質量部及び粘度平均分
子量が25万の高密度ポリエチレン(HDPE)50質
量部及び2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.
3質量部をヘンシェルミキサーを用いてドライブレンド
し、35mm二軸押出機に投入した。さらに、押出機に
流動パラフィンを注入して200℃で溶融混練し、コー
トハンガーダイを経て表面温度80℃に制御された冷却
ロール上に吐出量10kg/hで押出し、キャストする
ことにより厚み1.5mmのシートを得た。ここで組成
物の比率はポリエチレン混合物40質量部に対して、流
動パラフィン60質量部となるよう調整した。
【0024】得られたゲル状シートを同時二軸テンター
延伸機を用いて延伸および加熱処理を行った。まず予熱
ゾーンで126℃で30秒間予熱した後122℃で7×
7倍に同時二軸延伸した。続いて延伸後の加熱ゾーンで
143℃で10秒間加熱した後同時二軸テンターから出
して空冷した。続いて塩化メチレン中に浸漬して流動パ
ラフィンを抽出除去し、その後付着した塩化メチレンを
乾燥除去した。さらにテンター延伸機を用いて115℃
で幅方向に1.2倍延伸した後1.1倍に緩和した。得
られた微多孔膜の粘度平均分子量は83万であり、DS
Cの測定では135.1℃と147.7℃に融点ピーク
が観測された。膜成形条件を表1に、得られた微多孔膜
の物性を表2に記載した。
【0025】
【実施例2】実施例1において、粘度平均分子量が20
0万の超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)を20
質量部及び粘度平均分子量が25万の高密度ポリエチレ
ン(HDPE)を80質量部とする以外は実施例1と同
様にして厚み1.5mmのシートを得た。ここで組成物
の比率はポリエチレン混合物45質量部に対して、流動
パラフィン55質量部となるよう調整した。該ゲル状シ
ートを用いて表1に記載した成形条件の内容に変更した
こと以外は実施例1と同様にして微多孔膜を得た。得ら
れた微多孔膜の物性を表2に記載した。
【0026】
【比較例1】実施例2と同様にしてゲル状シートを得
た。該ゲル状シートを用いて表1に記載した成形条件の
内容に変更したこと以外は実施例1と同様にして微多孔
膜を得た。得られた微多孔膜の物性を表2に記載した。
加熱条件の温度が低いとDSCの融点ピークが一つであ
るとともに孔閉塞温度が高くかつ135℃での熱収縮率
も大きくなっている。
【0027】
【比較例2】実施例1において、粘度平均分子量が25
万の高密度ポリエチレン(HDPE)を100質量部と
した以外は実施例1と同様にして厚み1.5mmのシー
トを得た。ここで組成物の比率はポリエチレン混合物4
5質量部に対して、流動パラフィン55質量部となるよ
う調整した。得られたゲル状シートを同時二軸テンター
延伸機を用いて延伸及び加熱処理を行った。まず予熱ゾ
ーンで115℃で30秒間予熱した後110℃で7×7
倍に同時二軸延伸した。続いて延伸後の加熱ゾーンで1
38℃で加熱したところ膜が溶融して破膜した。
【0028】
【比較例3】比較例2と同様にしてゲル状シートを得
た。該ゲル状シートを用いて表1に記載した成形条件の
内容に変更したこと、および予熱を115℃で30秒間
としたこと以外は実施例1と同様にして微多孔膜を得
た。得られた微多孔膜の物性を表2に記載した。粘度平
均分子量が25万の高密度ポリエチレンでは、加熱処理
工程の温度を下げて破膜を防止しつつ加熱処理すること
はできるので、低い孔閉塞温度や低い熱収縮率は達成可
能であるが、突刺強度は大幅に低下している。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【発明の効果】本発明の微多孔膜は、優れた機械的特性
及び電気的特性に加えて優れた高温特性を有することか
らリチウムイオン二次電池用セパレータに好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4D006 GA16 MA03 MB16 MB17 MC22X MC88 NA22 NA28 NA54 NA63 NA66 PA05 PC01 PC80 4F074 AA16 AA17 AA18 AB01 AB03 AD01 CB03 CB16 CB17 CC02X CC02Z CC04X CC05X DA10 DA12 DA22 DA23 DA24 DA43 DA49 5H021 BB00 BB01 BB02 BB05 CC08 EE04 HH00 HH06 HH07

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 突刺強度が0.18N/μm以上、電気
    抵抗因子が46Ωcm以下、孔閉塞温度が137℃以
    下、135℃での熱収縮率が縦、横方向ともに40%以
    下であることを特徴とするポリオレフィン微多孔膜。
  2. 【請求項2】 膜を構成するポリエチレンが粘度平均分
    子量30万から200万であるとともに、示差走査熱量
    計(DSC)でポリエチレンに帰属する融点ピークを1
    37℃以下と142℃以上の少なくとも二つ有すること
    を特徴とする請求項1記載のポリオレフィン微多孔膜。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載のポリオレフィン
    微多孔膜からなるセパレータ。
  4. 【請求項4】 (a)ポリオレフィン、可塑剤からなる
    組成物を溶融混練し押出してゲル状シートを得る工程、
    (b)工程(a)の後に二軸延伸を行いゲル状延伸フィ
    ルムを得る工程、(c)工程(b)で得られたゲル状延
    伸フィルムのポリエチレンに帰属される最も低温側の融
    点ピーク以上の温度に加熱後冷却してポリエチレン結晶
    の少なくとも一部を溶融再結晶する加熱処理工程、
    (d)工程(c)の後に可塑剤を抽出する工程からなる
    ことを特徴とするポリオレフィン微多孔膜の製造方法。
  5. 【請求項5】 可塑剤を抽出する工程の後、少なくとも
    一軸方向に少なくとも一回の延伸を行う工程および幅方
    向に熱緩和を施す工程が加わることを特徴とする請求項
    4記載のポリオレフィン微多孔膜の製造方法。
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