JP2003017089A - 燃料電池およびその製造方法 - Google Patents
燃料電池およびその製造方法Info
- Publication number
- JP2003017089A JP2003017089A JP2001198133A JP2001198133A JP2003017089A JP 2003017089 A JP2003017089 A JP 2003017089A JP 2001198133 A JP2001198133 A JP 2001198133A JP 2001198133 A JP2001198133 A JP 2001198133A JP 2003017089 A JP2003017089 A JP 2003017089A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- electrolyte membrane
- proton conductive
- fuel cell
- electrodes
- electrode
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E60/00—Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
- Y02E60/30—Hydrogen technology
- Y02E60/50—Fuel cells
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P70/00—Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
- Y02P70/50—Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product
Landscapes
- Fuel Cell (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 高プロトン導電性、耐久性を有する無機系プ
ロトン導電材料を用い、高出力の燃料電池を提供する。 【解決手段】 無機系プロトン導電材料からなる電解質
膜と、前記電解質膜を挟持し、電子伝導粒子、触媒粒子
および無機系プロトン導電膜材料を含有する一対の電極
とを含む起電部材を具備する燃料電池である。前記一対
の電極の少なくとも一方に接する前記電解質膜の表面の
細孔径は50Å以下であり、前記電解質膜内部の細孔径
は、前記電解質膜の表面の細孔径よりも大きく、かつ1
00Å以下であることを特徴とする。
ロトン導電材料を用い、高出力の燃料電池を提供する。 【解決手段】 無機系プロトン導電材料からなる電解質
膜と、前記電解質膜を挟持し、電子伝導粒子、触媒粒子
および無機系プロトン導電膜材料を含有する一対の電極
とを含む起電部材を具備する燃料電池である。前記一対
の電極の少なくとも一方に接する前記電解質膜の表面の
細孔径は50Å以下であり、前記電解質膜内部の細孔径
は、前記電解質膜の表面の細孔径よりも大きく、かつ1
00Å以下であることを特徴とする。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、燃料電池およびそ
の製造方法に関する。
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】燃料電池は、副生成物を発生しない分散
型発電機として注目されている。なお、燃料電池用の起
電部材は電解質膜と電極部材とから構成され、電極部材
は集電板と電極層とから構成される。この電極層は、電
子伝導粒子、触媒、およびプロトン導電粒子を含み、プ
ロトン導電粒子は導電パスとして機能する。こうした構
成の燃料電池用起電部材におけるプロトン導電性固体電
解質膜や電極層内部のプロトン導電パスとしては、高分
子材料(Nafion)が使用されている。現在使用さ
れている高分子プロトン導電材料は、スルフォン酸基を
有する強酸性材料であり、コストが高く、リサイクル性
の面での問題も多い。したがって、その代替材料の研究
が盛んに行われている。
型発電機として注目されている。なお、燃料電池用の起
電部材は電解質膜と電極部材とから構成され、電極部材
は集電板と電極層とから構成される。この電極層は、電
子伝導粒子、触媒、およびプロトン導電粒子を含み、プ
ロトン導電粒子は導電パスとして機能する。こうした構
成の燃料電池用起電部材におけるプロトン導電性固体電
解質膜や電極層内部のプロトン導電パスとしては、高分
子材料(Nafion)が使用されている。現在使用さ
れている高分子プロトン導電材料は、スルフォン酸基を
有する強酸性材料であり、コストが高く、リサイクル性
の面での問題も多い。したがって、その代替材料の研究
が盛んに行われている。
【0003】その一つとして、Nafionと同等程度
のプロトン導電率を有し、しかも化学的安定性に優れて
いることから、SiO2−P2O5系ゾルゲル法を用いた
無機系プロトン導電材料が注目されている。
のプロトン導電率を有し、しかも化学的安定性に優れて
いることから、SiO2−P2O5系ゾルゲル法を用いた
無機系プロトン導電材料が注目されている。
【0004】しかしながら、ゾルゲル法により得られた
プロトン導電材料で電極層内のプロトン導電パスを形成
する際には、ゾルの乾燥中の体積収縮により電極層内部
に亀裂や割れが生じてしまう。その結果、健全な電極層
が作製できないという問題があった。また、プロトン導
電性を有する電解質膜や電極層内のプロトン導電パスを
接合させる必要があるものの、現状のプロセスでは十分
行なうことができなかった。このため、ゾルゲル法によ
り得られたプロトン導電材料を用いて起電部材を作製し
た場合には、電解質と電極層との界面が良好でないこと
に起因して界面抵抗が大きくなり、電池の内部抵抗の増
加に伴なって電池性能が低下するという問題があった。
さらに、長時間使用すると界面部分で劣化が進行して界
面抵抗が増加し、いっそう電池性能が低下するという欠
点があった。
プロトン導電材料で電極層内のプロトン導電パスを形成
する際には、ゾルの乾燥中の体積収縮により電極層内部
に亀裂や割れが生じてしまう。その結果、健全な電極層
が作製できないという問題があった。また、プロトン導
電性を有する電解質膜や電極層内のプロトン導電パスを
接合させる必要があるものの、現状のプロセスでは十分
行なうことができなかった。このため、ゾルゲル法によ
り得られたプロトン導電材料を用いて起電部材を作製し
た場合には、電解質と電極層との界面が良好でないこと
に起因して界面抵抗が大きくなり、電池の内部抵抗の増
加に伴なって電池性能が低下するという問題があった。
さらに、長時間使用すると界面部分で劣化が進行して界
面抵抗が増加し、いっそう電池性能が低下するという欠
点があった。
【0005】このように、無機系材料は、作製段階で細
孔径や細孔容量を調整することでメタノールの透過を抑
制することが可能となるものの、上述したように起電部
材を作製する時に膜の割れ等が生じるため、十分な電池
出力を得ることができなかった。
孔径や細孔容量を調整することでメタノールの透過を抑
制することが可能となるものの、上述したように起電部
材を作製する時に膜の割れ等が生じるため、十分な電池
出力を得ることができなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】電解質膜のみならず電
極層を構成するプロトン導電パスも無機系材料で作製す
る場合には、電極層は以下のような手法により作製され
る。すなわち、電気伝導粒子、触媒、および無機系ゾル
液を混合した後、電解質膜もしくは集電板上に塗布・乾
燥することによって電極層が得られる。この乾燥時に電
極層内部に亀裂、割れ、反りが発生して健全な膜を作製
することができず、仮に作製できたところで、集電板・
電極層・電解質膜のそれぞれの界面を良好に接合するこ
とが困難であった。このように、全て無機系プロトン導
電材料で構成された燃料起電部材は作製されていないの
が現状である。
極層を構成するプロトン導電パスも無機系材料で作製す
る場合には、電極層は以下のような手法により作製され
る。すなわち、電気伝導粒子、触媒、および無機系ゾル
液を混合した後、電解質膜もしくは集電板上に塗布・乾
燥することによって電極層が得られる。この乾燥時に電
極層内部に亀裂、割れ、反りが発生して健全な膜を作製
することができず、仮に作製できたところで、集電板・
電極層・電解質膜のそれぞれの界面を良好に接合するこ
とが困難であった。このように、全て無機系プロトン導
電材料で構成された燃料起電部材は作製されていないの
が現状である。
【0007】そこで本発明は、高プロトン導電性、耐久
性を有する無機系プロトン導電材料を用い、高出力の燃
料電池を提供することを目的とする。
性を有する無機系プロトン導電材料を用い、高出力の燃
料電池を提供することを目的とする。
【0008】また本発明は、高出力の燃料電池を、電解
質膜および電極層内のプロトン導電パスの両方に無機系
プロトン導電材料を用いて、低コストで製造可能な方法
を提供することを目的とする。
質膜および電極層内のプロトン導電パスの両方に無機系
プロトン導電材料を用いて、低コストで製造可能な方法
を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、無機系プロトン導電材料からなる電解質
膜と、前記電解質膜を挟持し、電子伝導粒子、触媒粒子
および無機系プロトン導電膜材料を含有する一対の電極
とを含む起電部材を具備し、前記一対の電極の少なくと
も一方に接する前記電解質膜の表面の細孔径は50Å以
下であり、前記電解質膜内部の細孔径は、前記電解質膜
の表面の細孔径よりも大きく、かつ100Å以下である
ことを特徴とする燃料電池を提供する。
に、本発明は、無機系プロトン導電材料からなる電解質
膜と、前記電解質膜を挟持し、電子伝導粒子、触媒粒子
および無機系プロトン導電膜材料を含有する一対の電極
とを含む起電部材を具備し、前記一対の電極の少なくと
も一方に接する前記電解質膜の表面の細孔径は50Å以
下であり、前記電解質膜内部の細孔径は、前記電解質膜
の表面の細孔径よりも大きく、かつ100Å以下である
ことを特徴とする燃料電池を提供する。
【0010】また本発明は、無機系プロトン導電材料か
らなる電解質膜と、前記電解質膜を挟持し、電子伝導粒
子、触媒粒子および無機系プロトン導電膜材料を含有す
る一対の電極とを含む起電部材を具備し、前記一対の電
極の少なくとも一方に接する前記電解質膜の表面の細孔
径は50Å以下であり、前記電解質膜内部の細孔径は、
前記電解質膜の表面の細孔径よりも大きく、かつ100
Å以下である燃料電池の製造方法であって、水熱処理容
器の底部に、無機系プロトン導電材料を含有する液体を
収容する工程と、前記電解質膜と前記一対の電極とを密
着させて、前記水熱処理容器内の上部から吊るす工程
と、前記密着された電解質膜および前記一対の電極に水
熱処理を施して、前記液体中の無機プロトン導電材料を
溶解・析出させることにより、前記電解質膜を前記電極
に密着させる工程とを具備することを特徴とする方法を
提供する。
らなる電解質膜と、前記電解質膜を挟持し、電子伝導粒
子、触媒粒子および無機系プロトン導電膜材料を含有す
る一対の電極とを含む起電部材を具備し、前記一対の電
極の少なくとも一方に接する前記電解質膜の表面の細孔
径は50Å以下であり、前記電解質膜内部の細孔径は、
前記電解質膜の表面の細孔径よりも大きく、かつ100
Å以下である燃料電池の製造方法であって、水熱処理容
器の底部に、無機系プロトン導電材料を含有する液体を
収容する工程と、前記電解質膜と前記一対の電極とを密
着させて、前記水熱処理容器内の上部から吊るす工程
と、前記密着された電解質膜および前記一対の電極に水
熱処理を施して、前記液体中の無機プロトン導電材料を
溶解・析出させることにより、前記電解質膜を前記電極
に密着させる工程とを具備することを特徴とする方法を
提供する。
【0011】従来の手法を用いて、無機系プロトン導電
材料により燃料電池用起電部材を作製した場合には、電
解質膜と電極層との接合を良好に行なうことができず、
高出力の電池を作製することができなかった。
材料により燃料電池用起電部材を作製した場合には、電
解質膜と電極層との接合を良好に行なうことができず、
高出力の電池を作製することができなかった。
【0012】本発明においては、まず、ゾルゲル法で作
製した無機系プロトン導電材料を粉末状態として、電子
伝導粒子、触媒粒子中に分散混合し、集電板上に塗布し
て電極部を作製する。この電極部においては、塗布層が
電極層として作用する。一方、無機系電解質膜を別途作
製し、電極部と機械的に接合して起電部材を得る。その
後、水中温度を100〜400℃に設定した水熱処理容
器(オートクレーブ)内で、その水中温度よりも常に5
0℃低い場所に吊して設置する。水中には、無機系プロ
トン導電材料が含有されている。容器底部から上昇した
溶液は、容器の上部に吊した起電部材中の無機系材料部
に再析出し、これによって電解質膜と電極とが接合され
る。
製した無機系プロトン導電材料を粉末状態として、電子
伝導粒子、触媒粒子中に分散混合し、集電板上に塗布し
て電極部を作製する。この電極部においては、塗布層が
電極層として作用する。一方、無機系電解質膜を別途作
製し、電極部と機械的に接合して起電部材を得る。その
後、水中温度を100〜400℃に設定した水熱処理容
器(オートクレーブ)内で、その水中温度よりも常に5
0℃低い場所に吊して設置する。水中には、無機系プロ
トン導電材料が含有されている。容器底部から上昇した
溶液は、容器の上部に吊した起電部材中の無機系材料部
に再析出し、これによって電解質膜と電極とが接合され
る。
【0013】こうした本発明の方法により、無機系プロ
トン導電材料からなる電解質膜内に亀裂を発生させるこ
となく電極材と接合することが初めて可能となった。さ
らに電極層内部においては、再析出効果により、プロト
ン導電パスのネットワークの連結性が向上する。
トン導電材料からなる電解質膜内に亀裂を発生させるこ
となく電極材と接合することが初めて可能となった。さ
らに電極層内部においては、再析出効果により、プロト
ン導電パスのネットワークの連結性が向上する。
【0014】これらの効果により、無機系プロトン導電
材料を用いた起電部材の電池出力特性を向上させること
ができる。
材料を用いた起電部材の電池出力特性を向上させること
ができる。
【0015】本発明の方法により作製された起電部材
は、前述の容器内の溶液部に配置して水熱処理を行なう
ことによって容易に解体することも可能である。
は、前述の容器内の溶液部に配置して水熱処理を行なう
ことによって容易に解体することも可能である。
【0016】また、メタノールを使用するメタノール直
接供給型燃料電池は、上述したように、メタノールが電
解質膜を透過することに起因して電池出力が低下すると
いう問題点を有している。本発明の方法により製造され
た燃料電池においては、こうした問題点も回避すること
ができる。すなわち、上述したような水熱処理を利用す
ることによって、電極近傍の電解質膜の細孔や細孔容量
を減少させることができる。その結果、出力低下の原因
となる電解質膜のメタノール透過を抑制することが可能
となる。
接供給型燃料電池は、上述したように、メタノールが電
解質膜を透過することに起因して電池出力が低下すると
いう問題点を有している。本発明の方法により製造され
た燃料電池においては、こうした問題点も回避すること
ができる。すなわち、上述したような水熱処理を利用す
ることによって、電極近傍の電解質膜の細孔や細孔容量
を減少させることができる。その結果、出力低下の原因
となる電解質膜のメタノール透過を抑制することが可能
となる。
【0017】なお、水熱処理以外にも、電子線を電解質
膜表面に照射することによって、プロトン電導度を低下
させずに、メタノールの透過の原因となる膜の表面の細
孔径や細孔容量を選択的に低下させることができる。
膜表面に照射することによって、プロトン電導度を低下
させずに、メタノールの透過の原因となる膜の表面の細
孔径や細孔容量を選択的に低下させることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明者らは、鋭意研究した結
果、無機系プロトン導電材料を電解質膜および電極層内
のプロトン導電パスに使用した燃料電池起電部材におい
て、水熱処理(オートクレーブ等)を用いることによ
り、電解質膜と電極層とを強固に接合できることを見出
した。この手法によって、電極層中のプロトン導電パス
と電解質膜とを、電解質膜にダメージを与えることなく
接合させることができる。しかも、電極層内のプロトン
導電パスのネットワークを強固に形成することができ
る。こうした効果によって、初期電池特性やその長期安
定性を向上させることが可能となる。
果、無機系プロトン導電材料を電解質膜および電極層内
のプロトン導電パスに使用した燃料電池起電部材におい
て、水熱処理(オートクレーブ等)を用いることによ
り、電解質膜と電極層とを強固に接合できることを見出
した。この手法によって、電極層中のプロトン導電パス
と電解質膜とを、電解質膜にダメージを与えることなく
接合させることができる。しかも、電極層内のプロトン
導電パスのネットワークを強固に形成することができ
る。こうした効果によって、初期電池特性やその長期安
定性を向上させることが可能となる。
【0019】また、メタノール直接型燃料電池において
は、上述したような水熱処理を施して電解質膜の表面の
細孔径や細孔容量を選択的に低下させることによって、
電池性能の向上を可能とする。
は、上述したような水熱処理を施して電解質膜の表面の
細孔径や細孔容量を選択的に低下させることによって、
電池性能の向上を可能とする。
【0020】以下、本発明により詳細に説明する。
【0021】本発明において、電解質膜および電極層内
のプロトン導電パスに用いられる無機系プロトン導電材
料は、SiO2やP2O5を主成分とする材料である。高
プロトン導電性を付与するためには、ゾルゲル法により
作製したものを用いることが好ましい。
のプロトン導電パスに用いられる無機系プロトン導電材
料は、SiO2やP2O5を主成分とする材料である。高
プロトン導電性を付与するためには、ゾルゲル法により
作製したものを用いることが好ましい。
【0022】このような材料は多孔質であり、材料内部
に吸着水を多量に有するものである。この材料を膜状に
成形したものを電解質膜として使用し、粉末状に粉砕し
たものを電極層内部のプロトン導電パスとして用いる。
に吸着水を多量に有するものである。この材料を膜状に
成形したものを電解質膜として使用し、粉末状に粉砕し
たものを電極層内部のプロトン導電パスとして用いる。
【0023】ゾルゲル法においては、まず、金属アルコ
キシド、水、乾燥抑制剤、および触媒を所定量混合して
ゾルを作製する。次いで、キャスト法にて膜形状にした
ゾルを乾燥させることでゲル化し、さらに乾燥させてゲ
ル膜を作製する。得られたゲル膜を、さらに高温(30
0〜800℃)で加熱焼成することによって、焼成ガラ
スを作製する。このゲル膜または焼成ガラスを、本発明
における電解質膜として用いる。本発明においては、電
解質膜はオートクレーブなどの水熱処理容器内に収容さ
れるので、オートクレーブ内での耐性を高めるために
は、ゲル膜よりも焼成ガラスの方が好ましい。また使用
する膜厚は、50〜200μmの範囲内であることが好
ましい。この程度の膜厚であれば、ある程度の機械的強
度を確保できるとともに電解質の抵抗を低減でき、電池
出力におけるIR損を抑制することができる。
キシド、水、乾燥抑制剤、および触媒を所定量混合して
ゾルを作製する。次いで、キャスト法にて膜形状にした
ゾルを乾燥させることでゲル化し、さらに乾燥させてゲ
ル膜を作製する。得られたゲル膜を、さらに高温(30
0〜800℃)で加熱焼成することによって、焼成ガラ
スを作製する。このゲル膜または焼成ガラスを、本発明
における電解質膜として用いる。本発明においては、電
解質膜はオートクレーブなどの水熱処理容器内に収容さ
れるので、オートクレーブ内での耐性を高めるために
は、ゲル膜よりも焼成ガラスの方が好ましい。また使用
する膜厚は、50〜200μmの範囲内であることが好
ましい。この程度の膜厚であれば、ある程度の機械的強
度を確保できるとともに電解質の抵抗を低減でき、電池
出力におけるIR損を抑制することができる。
【0024】一方、電極層内部のプロトン導電パスを構
成するための粉末は、ゲル化した粉末を150℃〜50
0℃で加熱した後、粉砕することにより得られる。ここ
での粒子径は、0.01〜10μm程度が好ましい。
0.01μm未満の場合には分散が悪くなり、一方10
μmを越えると、再析出によりプロトン導電パスを形成
するのが困難となる。
成するための粉末は、ゲル化した粉末を150℃〜50
0℃で加熱した後、粉砕することにより得られる。ここ
での粒子径は、0.01〜10μm程度が好ましい。
0.01μm未満の場合には分散が悪くなり、一方10
μmを越えると、再析出によりプロトン導電パスを形成
するのが困難となる。
【0025】この粉末は、電子伝導粒子(カーボン粒子
等)や触媒粒子に混合した後、界面活性剤や溶媒を添加
することでスラリー化する。ここで用いられる触媒粒子
は、電子伝導粒子上に担持されていてもよく、負極用に
はPt−Ru系粒子、正極用にはPt粒子を使用するこ
とができる。得られたスラリーを、多孔質集電板(カー
ボンペーパー等)上に塗布・乾燥して、集電板上に電極
層を有する電極部材が形成される。
等)や触媒粒子に混合した後、界面活性剤や溶媒を添加
することでスラリー化する。ここで用いられる触媒粒子
は、電子伝導粒子上に担持されていてもよく、負極用に
はPt−Ru系粒子、正極用にはPt粒子を使用するこ
とができる。得られたスラリーを、多孔質集電板(カー
ボンペーパー等)上に塗布・乾燥して、集電板上に電極
層を有する電極部材が形成される。
【0026】なお、電子伝導粒子や触媒粒子とプロトン
導電粒子との初期のコンタクトを良好にするためには、
加熱粉砕されたゲル粒子を混合するのではなく、電子伝
導粒子や触媒粒子にゾルを加えて乾燥した粉末を用いる
ことが望まれる。この際には、界面活性剤を用いること
によって、電子伝導粒子や触媒粒子とゾルとの濡れ性を
向上させることができる。このような粉末をスラリー化
して、集電板に塗布乾燥して電極部材を形成することに
より、ミクロレベルで強固なコンタクトを確保すること
ができる。
導電粒子との初期のコンタクトを良好にするためには、
加熱粉砕されたゲル粒子を混合するのではなく、電子伝
導粒子や触媒粒子にゾルを加えて乾燥した粉末を用いる
ことが望まれる。この際には、界面活性剤を用いること
によって、電子伝導粒子や触媒粒子とゾルとの濡れ性を
向上させることができる。このような粉末をスラリー化
して、集電板に塗布乾燥して電極部材を形成することに
より、ミクロレベルで強固なコンタクトを確保すること
ができる。
【0027】電解質膜およびプロトン導電パス用の粉末
を作製する材料は特に限定されず、任意の金属アルコキ
シドをSiO2源およびP2O5源として選択することが
できる。SiO2源としては、例えばテトラメトキシシ
ラン、およびテトラエトキシシラン等が挙げられ、P2
O5源としては、例えばテトラメトキシリン酸、および
テトラエトキシリン酸が挙げられる。また、P2O5源は
金属アルコキシドに限定されず、例えばH3PO4を用い
ることもできる。
を作製する材料は特に限定されず、任意の金属アルコキ
シドをSiO2源およびP2O5源として選択することが
できる。SiO2源としては、例えばテトラメトキシシ
ラン、およびテトラエトキシシラン等が挙げられ、P2
O5源としては、例えばテトラメトキシリン酸、および
テトラエトキシリン酸が挙げられる。また、P2O5源は
金属アルコキシドに限定されず、例えばH3PO4を用い
ることもできる。
【0028】SiO2およびP2O5を用いる場合には、
これらSiO2、P2O5が全体の30〜100%(モル
%)で構成されていればよい。それ以外の組成として、
Al、Ga、Sc、Ti、Zr、Y、V、W、Nb、M
o、In、Sn、Fe、Sb、Bi、Pb、Th、S
e、ランタノイド系、Ni、Cr、Co、Zn、Cu、
Ag、Pd、Hf、Ta、Te、Po、Tl、Cdなど
の遷移金属酸化物、アルカリ金属酸化物、あるいはアル
カリ土類酸化物が1種類以上含有されていても構わな
い。
これらSiO2、P2O5が全体の30〜100%(モル
%)で構成されていればよい。それ以外の組成として、
Al、Ga、Sc、Ti、Zr、Y、V、W、Nb、M
o、In、Sn、Fe、Sb、Bi、Pb、Th、S
e、ランタノイド系、Ni、Cr、Co、Zn、Cu、
Ag、Pd、Hf、Ta、Te、Po、Tl、Cdなど
の遷移金属酸化物、アルカリ金属酸化物、あるいはアル
カリ土類酸化物が1種類以上含有されていても構わな
い。
【0029】上述した手法で作製された電解質膜上に、
上述したゾル組成の中で乾燥抑制剤、触媒、および水を
除いた成分だけを、スピンコーティングにより表裏コー
ティングした後、電解質膜の表裏に機械的に正極および
負極を密着させる。
上述したゾル組成の中で乾燥抑制剤、触媒、および水を
除いた成分だけを、スピンコーティングにより表裏コー
ティングした後、電解質膜の表裏に機械的に正極および
負極を密着させる。
【0030】引き続いて、水熱処理容器としてのオート
クレーブ中に設置して水熱処理を施す。図1には、オー
トクレーブの模式図を示す。図示するようなオートクレ
ーブ1の底部に、水とシリカやリン成分(オルトリン酸
などの液体)を含有する原料2を収容して中性に調整す
る。次いで、4%NaOH水溶液を80〜85%満た
し、対流板3を介して対向した上部に電解質膜4と正・
負両電極5、6を機械的に密着させた起電部材7を吊
す。
クレーブ中に設置して水熱処理を施す。図1には、オー
トクレーブの模式図を示す。図示するようなオートクレ
ーブ1の底部に、水とシリカやリン成分(オルトリン酸
などの液体)を含有する原料2を収容して中性に調整す
る。次いで、4%NaOH水溶液を80〜85%満た
し、対流板3を介して対向した上部に電解質膜4と正・
負両電極5、6を機械的に密着させた起電部材7を吊
す。
【0031】その後、外部ヒーター8を用いて底部を約
150〜400℃、起電部材7を吊した部位を約100
〜350℃で加熱し、約0.5〜10時間放置した後、
加熱を停止して起電部材7を取り出す。加熱を行なうこ
とによって、シリカやリン成分を豊富に含んだ液体がオ
ートクレーブ1底部から上部に対流し、底部に比べて約
50℃低い起電部材7を吊した領域で冷却される。その
結果、シリカやリン成分等の無機系材料は、同部材から
構成される部位で優先的に再析出する。
150〜400℃、起電部材7を吊した部位を約100
〜350℃で加熱し、約0.5〜10時間放置した後、
加熱を停止して起電部材7を取り出す。加熱を行なうこ
とによって、シリカやリン成分を豊富に含んだ液体がオ
ートクレーブ1底部から上部に対流し、底部に比べて約
50℃低い起電部材7を吊した領域で冷却される。その
結果、シリカやリン成分等の無機系材料は、同部材から
構成される部位で優先的に再析出する。
【0032】ここで、オートクレーブ処理前および後の
電解質膜/電極層の界面拡大組織図を、図2および図3
にそれぞれ示す。オートクレーブ処理前には、図2に示
されるように、電解質膜14に接する電極層15におい
ては、電子導電粒子11、触媒粒子12およびプロトン
導電粒子13が散逸して存在している。一方、オートク
レーブ処理を施した後には、図3に示されるように、電
解質14表面や電極層15の導電パスを形成する粒子上
にプロトン導電粒子16が再析出して連結する。これに
よって、電解質膜14/電極層15界面やプロトン導電
パス同士のネットワークを強化することができる。こう
した効果によって、電解質14/電極層15の界面抵抗
が低減されるので電池出力が向上する。また、電極層1
5内部のプロトン導電パスのネットワークが強化される
ことによって、起電部材7の寿命が向上する。
電解質膜/電極層の界面拡大組織図を、図2および図3
にそれぞれ示す。オートクレーブ処理前には、図2に示
されるように、電解質膜14に接する電極層15におい
ては、電子導電粒子11、触媒粒子12およびプロトン
導電粒子13が散逸して存在している。一方、オートク
レーブ処理を施した後には、図3に示されるように、電
解質14表面や電極層15の導電パスを形成する粒子上
にプロトン導電粒子16が再析出して連結する。これに
よって、電解質膜14/電極層15界面やプロトン導電
パス同士のネットワークを強化することができる。こう
した効果によって、電解質14/電極層15の界面抵抗
が低減されるので電池出力が向上する。また、電極層1
5内部のプロトン導電パスのネットワークが強化される
ことによって、起電部材7の寿命が向上する。
【0033】なお、本発明の方法により製造された起電
部材は、同様のオートクレーブ1を用いて解体すること
もできる。この場合には、オートクレーブ1の底部に水
と起電部材とを収容し、水熱処理を行なう。これによっ
て電解質が起電部材から溶出し、電極は電解質膜から解
体される。
部材は、同様のオートクレーブ1を用いて解体すること
もできる。この場合には、オートクレーブ1の底部に水
と起電部材とを収容し、水熱処理を行なう。これによっ
て電解質が起電部材から溶出し、電極は電解質膜から解
体される。
【0034】本発明において、起電部材を構成する電解
質膜は、メタノール透過による電池出力の低下を抑制
し、かつ、高プロトン導電性を維持するために細孔径分
布が制御される。このような2つの特性を得るために
は、少なくとも一方の電極に接する表面の細孔径を50
μm以下とし、表面以外の内部を100μm以下に制御
することが必要である。細孔径を小さくするのは、電解
質膜のいずれの側、すなわち負極および正極のいずれで
あってもよい。また、ここでの電解質膜の表面とは、電
解質膜の全体積の20%を占める表面部分を意味し、電
解質膜内部とは体積の80%を占める部分を意味する。
細孔径は、BET法により測定することができる。具体
的には、まず、電解質膜の細孔径を測定する。次いで、
同一の膜の表面部分を酸でエッチングして除去した後、
再度細孔径を測定する。
質膜は、メタノール透過による電池出力の低下を抑制
し、かつ、高プロトン導電性を維持するために細孔径分
布が制御される。このような2つの特性を得るために
は、少なくとも一方の電極に接する表面の細孔径を50
μm以下とし、表面以外の内部を100μm以下に制御
することが必要である。細孔径を小さくするのは、電解
質膜のいずれの側、すなわち負極および正極のいずれで
あってもよい。また、ここでの電解質膜の表面とは、電
解質膜の全体積の20%を占める表面部分を意味し、電
解質膜内部とは体積の80%を占める部分を意味する。
細孔径は、BET法により測定することができる。具体
的には、まず、電解質膜の細孔径を測定する。次いで、
同一の膜の表面部分を酸でエッチングして除去した後、
再度細孔径を測定する。
【0035】なお、メタノールの透過を抑制するととも
に、高プロトン導電性を維持するためには、表面の細孔
径が20〜50Å、内部の細孔径が表面の細孔径よりも
大きく、かつ30〜100Åの範囲に全細孔径分布の8
0%以上が含まれることが望ましい。さらには、表面の
細孔径が30〜40Å、内部の細孔径が40〜80Åで
あることがより望ましい。このような細孔分布を有する
電解質膜では、表面においては、無負荷電圧の低下の原
因であるメタノールの透過が抑制される。一方の内部で
は、内部の細孔径を大きくすることによって、高プロト
ン導電性に必要とされるプロトンパスを確保することが
可能となる。
に、高プロトン導電性を維持するためには、表面の細孔
径が20〜50Å、内部の細孔径が表面の細孔径よりも
大きく、かつ30〜100Åの範囲に全細孔径分布の8
0%以上が含まれることが望ましい。さらには、表面の
細孔径が30〜40Å、内部の細孔径が40〜80Åで
あることがより望ましい。このような細孔分布を有する
電解質膜では、表面においては、無負荷電圧の低下の原
因であるメタノールの透過が抑制される。一方の内部で
は、内部の細孔径を大きくすることによって、高プロト
ン導電性に必要とされるプロトンパスを確保することが
可能となる。
【0036】一方、ゾルゲル法により、塗工、乾燥、お
よび焼成の工程を経ることで電解質膜を作製した後、表
面に電子線を照射してもよい。こうした手法によって、
細孔径および細孔容量を低減させることもできる。この
場合には、電導度の低下を抑制しつつ、メタノールの透
過が抑制される。電解質膜の細孔径や細孔容量は、乾燥
ゲル作製時の細孔径および細孔容量を調整することによ
って、適切な範囲に制御する必要がある。具体的には、
細孔径として100Å以下にして、望ましくは30〜7
0Åに全体の80%が収まるように調整する。
よび焼成の工程を経ることで電解質膜を作製した後、表
面に電子線を照射してもよい。こうした手法によって、
細孔径および細孔容量を低減させることもできる。この
場合には、電導度の低下を抑制しつつ、メタノールの透
過が抑制される。電解質膜の細孔径や細孔容量は、乾燥
ゲル作製時の細孔径および細孔容量を調整することによ
って、適切な範囲に制御する必要がある。具体的には、
細孔径として100Å以下にして、望ましくは30〜7
0Åに全体の80%が収まるように調整する。
【0037】
【実施例】以下に本発明を実施例および比較例により説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0038】(実施例1)組成:0.9SiO2−0.
1P2O5(mol%)のプロトン導電膜を、以下の処方
で作製した。
1P2O5(mol%)のプロトン導電膜を、以下の処方
で作製した。
【0039】
テトラメトキシシラン: 26.6ml
テトラメトキシリン酸: 4.6ml
水: 4.0ml
ホルムアミド: 4.0ml
触媒(20%Nafion溶液(溶媒プロパノー
ル)):1.0ml 上述の比率で、順次混合した金属アルコキシド混合溶液
を約30分間攪拌してゾルを作製した。
ル)):1.0ml 上述の比率で、順次混合した金属アルコキシド混合溶液
を約30分間攪拌してゾルを作製した。
【0040】得られたゾルをテフロン(登録商標)製容
器に流し込んで、薄膜ゲルを作製した。ゾルがゲル化し
た後、ゲル膜内に亀裂が生じない程度に乾燥させ、ゲル
膜と容器とを分離した。分離したゲル膜を、乾燥機によ
り室温から150℃まで乾燥させて、薄膜を得た。
器に流し込んで、薄膜ゲルを作製した。ゾルがゲル化し
た後、ゲル膜内に亀裂が生じない程度に乾燥させ、ゲル
膜と容器とを分離した。分離したゲル膜を、乾燥機によ
り室温から150℃まで乾燥させて、薄膜を得た。
【0041】乾燥終了後、ゲル膜だけを取り出し、電気
炉内にて500℃で1時間焼成を行なって、焼成ガラス
膜(膜厚;100μm、面積;200cm2)を得た。
この焼成ガラス膜は、電解質膜として用いられる。
炉内にて500℃で1時間焼成を行なって、焼成ガラス
膜(膜厚;100μm、面積;200cm2)を得た。
この焼成ガラス膜は、電解質膜として用いられる。
【0042】電極部材の電極層は、以下の手法により作
製した。
製した。
【0043】上述と同様のゾル組成に界面活性剤を添加
して、触媒粒子(負極用:Pt−Ru合金(1:1、モ
ル比)、正極用:Pt)を担時した電気伝導粒子(カー
ボン粒子、粒径分布:10〜100n)を混合した。得
られた混合物は、正極用および負極用を、それぞれ個別
に室温から75℃まで乾燥機で昇温・乾燥させた。乾燥
した粉末を粉砕して平均粒径を1μm以下に調整した
後、この粉末10gに対して2%のPVA溶液3g添加
してスラリーを作製し、集電板に塗布乾燥させた。
して、触媒粒子(負極用:Pt−Ru合金(1:1、モ
ル比)、正極用:Pt)を担時した電気伝導粒子(カー
ボン粒子、粒径分布:10〜100n)を混合した。得
られた混合物は、正極用および負極用を、それぞれ個別
に室温から75℃まで乾燥機で昇温・乾燥させた。乾燥
した粉末を粉砕して平均粒径を1μm以下に調整した
後、この粉末10gに対して2%のPVA溶液3g添加
してスラリーを作製し、集電板に塗布乾燥させた。
【0044】先に得られた焼成ガラス膜上に、前述のゾ
ル組成の中で、水、ホルムアミド、および触媒を除いた
ものをスピンコーティング法により塗布して、薄膜のゲ
ル膜を作製した。さらに、上述した正・負電極部材を焼
成ガラス膜に機械的に密着させた後、オートクレーブ底
部に水とシリカ、オルトリン酸を加え中和させた。次い
で、4%NaOH水溶液を80〜85%程度満たし、対
流板を介して上部に起電部材を吊した。その後、オート
クレーブの底部を200℃、上部を150℃に加熱して
約5時間保持した後、冷却して起電部材を取り出した。
ル組成の中で、水、ホルムアミド、および触媒を除いた
ものをスピンコーティング法により塗布して、薄膜のゲ
ル膜を作製した。さらに、上述した正・負電極部材を焼
成ガラス膜に機械的に密着させた後、オートクレーブ底
部に水とシリカ、オルトリン酸を加え中和させた。次い
で、4%NaOH水溶液を80〜85%程度満たし、対
流板を介して上部に起電部材を吊した。その後、オート
クレーブの底部を200℃、上部を150℃に加熱して
約5時間保持した後、冷却して起電部材を取り出した。
【0045】取り出した起電部材の電解質膜/電極層界
面を透過型電子顕微鏡(TEM)により観察したとこ
ろ、強固に結合しており、電極層内のプロトン導電パス
も図3に示したような強固なネットワークを形成してい
た。
面を透過型電子顕微鏡(TEM)により観察したとこ
ろ、強固に結合しており、電極層内のプロトン導電パス
も図3に示したような強固なネットワークを形成してい
た。
【0046】こうして得られた起電部材の負極側に加湿
水素を送り、正極側に酸素を送って電池性能を評価し
た。その結果、OCVで約1.0V、出力密度最大15
0mW/cm2(80℃)であることが判明し、起電部
材として良好に作動していることが確認された。
水素を送り、正極側に酸素を送って電池性能を評価し
た。その結果、OCVで約1.0V、出力密度最大15
0mW/cm2(80℃)であることが判明し、起電部
材として良好に作動していることが確認された。
【0047】(比較例1)比較例1においては、電極部
材の作製方法、および電解質膜と電極部材との接合方法
を変更した以外は、前述の実施例1と同様の手法により
起電部材を製造した。
材の作製方法、および電解質膜と電極部材との接合方法
を変更した以外は、前述の実施例1と同様の手法により
起電部材を製造した。
【0048】電解質膜は、前述の実施例1と同様の手法
により作製した。
により作製した。
【0049】正・負両電極部材は、次のような手法によ
り作製した。電極層を塗布する際には、2%PVAの代
わりに20%Nafion溶液を5g混合して、それぞ
れ集電板上に塗布し、10分間乾燥した。その後、前述
の電解質膜を挟持して、125℃で熱プレスにより起電
部材を作製した。プレス終了後の起電部材を取り出して
観察したところ、電解質膜内には亀裂が多数認められ
た。
り作製した。電極層を塗布する際には、2%PVAの代
わりに20%Nafion溶液を5g混合して、それぞ
れ集電板上に塗布し、10分間乾燥した。その後、前述
の電解質膜を挟持して、125℃で熱プレスにより起電
部材を作製した。プレス終了後の起電部材を取り出して
観察したところ、電解質膜内には亀裂が多数認められ
た。
【0050】こうして得られた起電部材の負極側に加湿
水素を送り、正極側に酸素を送って電池性能を評価し
た。その結果、OCVで約0.5V、出力密度最大20
mW/cm2(80℃)であり、電解質膜が亀裂したこ
とによりOCVが大きく低下して、出力密度が実施例1
に比べて大きく低下していることが判明した。
水素を送り、正極側に酸素を送って電池性能を評価し
た。その結果、OCVで約0.5V、出力密度最大20
mW/cm2(80℃)であり、電解質膜が亀裂したこ
とによりOCVが大きく低下して、出力密度が実施例1
に比べて大きく低下していることが判明した。
【0051】(実施例2〜10)電極部材の作製方法、
および電解質膜と電極部材との接合方法を変更した以外
は、前述の実施例1と同様の手法により起電部材を製造
した。
および電解質膜と電極部材との接合方法を変更した以外
は、前述の実施例1と同様の手法により起電部材を製造
した。
【0052】電解質膜は、前述の実施例1と同様の手法
により作製し、電極は比較例1と同様の手法により作製
した。
により作製し、電極は比較例1と同様の手法により作製
した。
【0053】その後、オートクレーブを用いて、電解質
膜が割れないように気をつけながら、電極と電解質膜と
を接合して実施例2〜10の起電部材を作製した。この
際、オートクレーブの底部温度は150〜400℃と
し、上部温度は100〜350℃とした。
膜が割れないように気をつけながら、電極と電解質膜と
を接合して実施例2〜10の起電部材を作製した。この
際、オートクレーブの底部温度は150〜400℃と
し、上部温度は100〜350℃とした。
【0054】得られた起電部材の負極に2mol/Lの
メタノール水溶液を送り、正極には空気を送って電池性
能を評価した。
メタノール水溶液を送り、正極には空気を送って電池性
能を評価した。
【0055】各起電部材の表面および内部の細孔径分
布、およびOCV(V)を、最大出力とともに下記表1
にまとめる。
布、およびOCV(V)を、最大出力とともに下記表1
にまとめる。
【0056】
【表1】
【0057】表1に示されるように、いずれの起電部材
も、OCVが0.8V以上得られており、最大出力も5
0mW/cm2(80℃)である。これらの起電部材に
おける電解質膜の細孔径分布(最大値から積算細孔容量
の80%を占める細孔径までの範囲)を測定したとこ
ろ、電解質表面が20〜50Åで、内部が10〜100
Åの分布を有することが判明した。
も、OCVが0.8V以上得られており、最大出力も5
0mW/cm2(80℃)である。これらの起電部材に
おける電解質膜の細孔径分布(最大値から積算細孔容量
の80%を占める細孔径までの範囲)を測定したとこ
ろ、電解質表面が20〜50Åで、内部が10〜100
Åの分布を有することが判明した。
【0058】したがって、実施例2〜10の起電部材
は、メタノール直接型燃料電池に好適に用いることがで
きる。
は、メタノール直接型燃料電池に好適に用いることがで
きる。
【0059】ここで、図4にメタノール直接型燃料電池
の一例の構成を表わす断面図を示す。
の一例の構成を表わす断面図を示す。
【0060】図示するように、メタノール直接型燃料電
池24は、セパレーター17を介して燃料電池セル23
を積層することによって構成される。燃料電池セル23
においては、電解質膜20が燃料極19および酸化剤極
21で挟持されており、これらの電解質膜および電極
は、上述したように無機系プロトン導電材料から構成さ
れる。なお、燃料極19にはメタノールを供給する燃料
供給板18が設けられており、酸化剤極21には酸化剤
側多孔質ガス供給板22が設けられている。
池24は、セパレーター17を介して燃料電池セル23
を積層することによって構成される。燃料電池セル23
においては、電解質膜20が燃料極19および酸化剤極
21で挟持されており、これらの電解質膜および電極
は、上述したように無機系プロトン導電材料から構成さ
れる。なお、燃料極19にはメタノールを供給する燃料
供給板18が設けられており、酸化剤極21には酸化剤
側多孔質ガス供給板22が設けられている。
【0061】実施例2〜10の起電部材における電解質
膜は、上記表1に示したような細孔径分布を有している
ので、図4に示されるメタノール直接型燃料電池に適用
した場合には、メタノールの透過を抑制するとともに、
高プロトン導電性を維持することが可能となる。
膜は、上記表1に示したような細孔径分布を有している
ので、図4に示されるメタノール直接型燃料電池に適用
した場合には、メタノールの透過を抑制するとともに、
高プロトン導電性を維持することが可能となる。
【0062】(比較例2〜10)電極部材の作製方法、
および電解質膜と電極部材との接合方法を変更した以外
は、前述の実施例1と同様の手法により起電部材を製造
した。
および電解質膜と電極部材との接合方法を変更した以外
は、前述の実施例1と同様の手法により起電部材を製造
した。
【0063】電解質膜は、前述の実施例1と同様の手法
により作製し、電極は比較例1と同様の手法により作製
した。
により作製し、電極は比較例1と同様の手法により作製
した。
【0064】その後、オートクレーブを用いて、電解質
膜が割れないように気をつけながら、電極と電解質膜と
を接合して比較例2〜10の起電部材を作製した。この
際、オートクレーブの底部温度は250〜300℃と
し、上部温度は200〜230℃とした。
膜が割れないように気をつけながら、電極と電解質膜と
を接合して比較例2〜10の起電部材を作製した。この
際、オートクレーブの底部温度は250〜300℃と
し、上部温度は200〜230℃とした。
【0065】得られた起電部材の負極に2mol/Lの
メタノール水溶液を送り、正極には空気を送って電池性
能を評価した。
メタノール水溶液を送り、正極には空気を送って電池性
能を評価した。
【0066】各起電部材の表面および内部の細孔径分
布、およびOCV(V)を、最大出力とともに下記表2
にまとめる。
布、およびOCV(V)を、最大出力とともに下記表2
にまとめる。
【0067】
【表2】
【0068】表2に示されるように、比較例2〜10の
起電部材は、OCVが0.4〜0.8Vであり、最大出
力も5〜35mW/cm2(80℃)である。これらの
起電部材における電解質膜の細孔径分布(最大値から積
算細孔容量の80%を占める細孔径までの範囲)を測定
したところ、電解質表面や内部の細孔径が20Å以下の
ものや、内部・表面ともに50Å以上の細孔径を有する
ものが多いことが分かった。
起電部材は、OCVが0.4〜0.8Vであり、最大出
力も5〜35mW/cm2(80℃)である。これらの
起電部材における電解質膜の細孔径分布(最大値から積
算細孔容量の80%を占める細孔径までの範囲)を測定
したところ、電解質表面や内部の細孔径が20Å以下の
ものや、内部・表面ともに50Å以上の細孔径を有する
ものが多いことが分かった。
【0069】特に、比較例8のように細孔径の小さいも
のでは、プロトン電導度が小さく、一方、比較例2,3
〜7,9,10のように細孔径の大きいものではメタノ
ールの透過によるOCVの低下が大きいため、いずれも
高出力を得ることができなかった。
のでは、プロトン電導度が小さく、一方、比較例2,3
〜7,9,10のように細孔径の大きいものではメタノ
ールの透過によるOCVの低下が大きいため、いずれも
高出力を得ることができなかった。
【0070】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、高
プロトン導電性、耐久性を有する無機系プロトン導電材
料を用い、高出力の燃料電池が提供される。また本発明
によれば、高出力の燃料電池を、電解質膜および電極層
内のプロトン導電パスの両方に無機系プロトン導電材料
を用いて、低コストで製造可能な方法が提供される。
プロトン導電性、耐久性を有する無機系プロトン導電材
料を用い、高出力の燃料電池が提供される。また本発明
によれば、高出力の燃料電池を、電解質膜および電極層
内のプロトン導電パスの両方に無機系プロトン導電材料
を用いて、低コストで製造可能な方法が提供される。
【図1】オートクレーブの模式図。
【図2】オートクレーブ処理前の電解質膜/電極層界面
拡大組織図。
拡大組織図。
【図3】オートクレーブ処理後の電解質膜/電極層界面
拡大組織図。
拡大組織図。
【図4】メタノール直接型燃料電池の構成を表わす断面
図。
図。
1…オートクレーブ
2…原料
3…対流制御板
4…電解質膜
5…負極
6…正極
7…起電部材
8…外部ヒーター
9…破壊板
10…圧力計および圧力センサー
11…電子導電粒子
12…触媒粒子
13…プロトン導電粒子
14…電解質膜
15…電極層
16…再析出したプロトン導電粒子
17…セパレーター
18…燃料供給板
19…燃料極
20…電解質膜
21…酸化剤極
22…酸化剤側多孔質ガス供給板
23…燃料電池セル
24…メタノール直接型燃料電池
Claims (2)
- 【請求項1】 無機系プロトン導電材料からなる電解質
膜と、前記電解質膜を挟持し、電子伝導粒子、触媒粒子
および無機系プロトン導電膜材料を含有する一対の電極
とを含む起電部材を具備し、 前記一対の電極の少なくとも一方に接する前記電解質膜
の表面の細孔径は50Å以下であり、前記電解質膜内部
の細孔径は、前記電解質膜の表面の細孔径よりも大き
く、かつ100Å以下であることを特徴とする燃料電
池。 - 【請求項2】 無機系プロトン導電材料からなる電解質
膜と、前記電解質膜を挟持し、電子伝導粒子、触媒粒子
および無機系プロトン導電膜材料を含有する一対の電極
とを含む起電部材を具備し、前記一対の電極の少なくと
も一方に接する前記電解質膜の表面の細孔径は50Å以
下であり、前記電解質内部の細孔径は、前記電解質膜の
表面の細孔径よりも大きく、かつ100Å以下である燃
料電池の製造方法であって、 水熱処理容器の底部に、無機系プロトン導電材料を含有
する液体を収容する工程と、 前記電解質膜と前記一対の電極とを密着させて、前記水
熱処理容器内の上部から吊るす工程と、 前記密着された電解質膜および前記一対の電極に水熱処
理を施して、前記液体中の無機プロトン導電材料を溶解
・析出させることにより、前記電解質膜を前記電極に密
着させる工程とを具備することを特徴とする燃料電池の
製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001198133A JP2003017089A (ja) | 2001-06-29 | 2001-06-29 | 燃料電池およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001198133A JP2003017089A (ja) | 2001-06-29 | 2001-06-29 | 燃料電池およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003017089A true JP2003017089A (ja) | 2003-01-17 |
Family
ID=19035628
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001198133A Pending JP2003017089A (ja) | 2001-06-29 | 2001-06-29 | 燃料電池およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003017089A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004296274A (ja) * | 2003-03-27 | 2004-10-21 | Kyocera Corp | 燃料電池セル及びその製造方法並びに燃料電池 |
JP2005302365A (ja) * | 2004-04-07 | 2005-10-27 | Sony Corp | 複合触媒、燃料電池用電極、及び燃料電池 |
JP2007184201A (ja) * | 2006-01-10 | 2007-07-19 | Toyota Motor Corp | 燃料電池 |
JP2019220458A (ja) * | 2018-06-15 | 2019-12-26 | 日本碍子株式会社 | 電気化学セル |
-
2001
- 2001-06-29 JP JP2001198133A patent/JP2003017089A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004296274A (ja) * | 2003-03-27 | 2004-10-21 | Kyocera Corp | 燃料電池セル及びその製造方法並びに燃料電池 |
JP2005302365A (ja) * | 2004-04-07 | 2005-10-27 | Sony Corp | 複合触媒、燃料電池用電極、及び燃料電池 |
JP2007184201A (ja) * | 2006-01-10 | 2007-07-19 | Toyota Motor Corp | 燃料電池 |
JP2019220458A (ja) * | 2018-06-15 | 2019-12-26 | 日本碍子株式会社 | 電気化学セル |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US8148026B2 (en) | Multi-layered electrode for fuel cell and method for producing the same | |
TWI453973B (zh) | Lithium ion secondary battery and manufacturing method thereof | |
ES2197034T3 (es) | Estructuras distribuidoras de gas y electrodos de difusion de gas para pilas de combustibles. | |
JP2000311694A (ja) | 電気化学電池用の積層電極 | |
JP6086497B2 (ja) | ガス拡散電極用触媒層、その製造方法、膜電極接合体および燃料電池 | |
JP2000285933A (ja) | 燃料電池 | |
JP2003203646A (ja) | 燃料電池用膜−電極−ガスケット接合体の製造方法及びそれを含む燃料電池 | |
CN109950618B (zh) | 一种溶剂化复合固态电解质及其制备方法和应用 | |
JP2000357524A (ja) | プロトン伝導体、燃料電池、電解質板の製造方法および燃料電池の製造方法 | |
CN108808047A (zh) | LSCF/Na2CO3纳米复合材料为燃料电池离子传输层的制备方法 | |
JP5669432B2 (ja) | 膜電極接合体、燃料電池および燃料電池の活性化方法 | |
JP2003017089A (ja) | 燃料電池およびその製造方法 | |
JP4418653B2 (ja) | 固体高分子形燃料電池用電極触媒層、固体高分子形燃料電池用電極、固体高分子形燃料電池 | |
JP2001102071A (ja) | 燃料電池および燃料電池の製造方法 | |
JP2001093543A (ja) | プロトン伝導体及びこれを用いた燃料電池 | |
JP4129366B2 (ja) | プロトン伝導体の製造方法及び燃料電池の製造方法 | |
JP6819688B2 (ja) | 膜−電極接合体の製造方法、これから製造された膜−電極接合体およびこれを含む燃料電池 | |
JP5110337B2 (ja) | 固体電解質型燃料電池用電極構造体およびその製造方法 | |
JPWO2019177060A1 (ja) | 燃料電池用電極触媒及びそれを用いた燃料電池 | |
JP5481297B2 (ja) | 膜電極接合体および燃料電池 | |
JPH1116584A (ja) | 固体高分子型燃料電池用セル及びその作製方法 | |
KR102199455B1 (ko) | 막-전극접합체 전극용 바인더, 이의 제조방법 및 이를 포함하는 막-전극접합체 및 고분자전해질 연료전지 | |
KR100941148B1 (ko) | 금속 산화물의 탄소 코팅 방법 | |
TWI650896B (zh) | 鋰離子電池 | |
JP2002324558A (ja) | シリカゲル電解質膜およびその製造方法、ならびに燃料電池 |