JP2003012769A - 封止用エポキシ樹脂成形材料及び電子部品装置 - Google Patents

封止用エポキシ樹脂成形材料及び電子部品装置

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JP2003012769A JP2001193208A JP2001193208A JP2003012769A JP 2003012769 A JP2003012769 A JP 2003012769A JP 2001193208 A JP2001193208 A JP 2001193208A JP 2001193208 A JP2001193208 A JP 2001193208A JP 2003012769 A JP2003012769 A JP 2003012769A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ノンハロゲンかつノンアンチモンで、成形性、
耐リフロー性、耐湿性、及び高温放置特性等の信頼性を
低下させずに難燃性が良好な封止用エポキシ樹脂材料、
及びこれにより封止した素子を備えた電子部品装置を提
供する。 【解決手段】(A)エポキシ樹脂及び(B)硬化剤を必
須成分とし、(A)エポキシ樹脂が下記一般式(I)で
示されるエポキシ樹脂及び結晶性エポキシ樹脂を含有
し、(B)硬化剤が下記一般式(II)で示されるフェノ
ール樹脂を含有する封止用エポキシ樹脂成形材料。 【化1】 (ここで、R1、R2及びR3は水素原子、置換又は非置
換の炭素数1〜10の炭化水素基及び置換又は非置換の
炭素数1〜10のアルコキシ基から選ばれ、全てが同一
でも異なっていても良い。m、nは0〜10の整数を示
す。ただし、m、nが同時に0の場合を除く。) 【化2】 (ここで、R1、R2及びR3は水素原子、置換又は非置
換の炭素数1〜10の炭化水素基及び置換又は非置換の
炭素数1〜10のアルコキシ基から選ばれ、全てが同一
でも異なっていても良い。m、nは1〜10の整数を示
す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、封止用エポキシ樹
脂成形材料、特に環境対応の観点から要求されるノンハ
ロゲンかつノンアンチモンで難燃性の封止用エポキシ樹
脂成形材料で、厳しい信頼性を要求されるVLSIの封
止用に好適な成形材料及びこの成形材料で封止した素子
を備えた電子部品装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、トランジスタ、IC等の電子
部品装置の素子封止の分野では生産性、コスト等の面か
ら樹脂封止が主流となり、エポキシ樹脂成形材料が広く
用いられている。この理由としては、エポキシ樹脂が電
気特性、耐湿性、耐熱性、機械特性、インサート品との
接着性などの諸特性にバランスがとれているためであ
る。これらの封止用エポキシ樹脂成形材料の難燃化は主
にテトラブロモビスフェノールAのジグリシジルエーテ
ル等のブロム化樹脂と酸化アンチモンの組合せにより行
われている。近年、環境保護の観点からダイオキシン問
題に端を発し、デカブロムをはじめとするハロゲン化樹
脂やアンチモン化合物に量規制の動きがあり、封止用エ
ポキシ樹脂成形材料についてもノンハロゲン化(ノンブ
ロム化)及びノンアンチモン化の要求が出てきている。
また、プラスチック封止ICの高温放置特性にブロム化
合物が悪影響を及ぼすことが知られており、この観点か
らもブロム化樹脂量の低減が望まれている。そこで、ブ
ロム化樹脂や酸化アンチモンを用いずに難燃化を達成す
る手法としては、赤リンを用いる方法(特開平9−22
7765号公報)、リン酸エステル化合物を用いる方法
(特開平9−235449号公報)、ホスファゼン化合
物を用いる方法(特開平8−225714号公報)、金
属水酸化物を用いる方法(特開平9−241483号公
報)、金属水酸化物と金属酸化物を併用する方法(特開
平9−100337号公報)、フェロセン等のシクロペ
ンタジエニル化合物(特開平11-269349号公
報)、アセチルアセトナート銅(加藤寛、機能材料、1
1(6)、34(1991))等の有機金属化合物を用
いる方法などのハロゲン、アンチモン以外の難燃剤を用
いる方法、充填剤の割合を高くする方法(特開平7−8
2343号公報)等が試みられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、封止用
エポキシ樹脂成形材料に赤リンを用いた場合は耐湿性の
低下の問題、リン酸エステル化合物やホスファゼン化合
物を用いた場合は可塑化による成形性の低下や耐湿性の
低下の問題、金属水酸化物や金属酸化物を用いた場合
や、充填剤の割合を高くした場合は流動性の低下の問題
がそれぞれある。また、有機金属化合物を用いた場合
は、硬化反応を阻害し成形性が低下する問題がある。以
上のようにこれらノンハロゲン、ノンアンチモン系の難
燃剤では、いずれの場合もブロム化樹脂と酸化アンチモ
ンを併用した封止用エポキシ樹脂成形材料と同等の成形
性、信頼性を得るに至っていない。本発明はかかる状況
に鑑みなされたもので、ノンハロゲンかつノンアンチモ
ンで、成形性、耐リフロー性、耐湿性及び高温放置特性
等の信頼性を低下させずに難燃性が良好な封止用エポキ
シ樹脂材料、及びこれにより封止した素子を備えた電子
部品装置を提供しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
を解決するために鋭意検討を重ねた結果、特定のエポキ
シ樹脂及び硬化剤を配合した封止用エポキシ樹脂成形材
料により上記の目的を達成しうることを見い出し、本発
明を完成するに至った。
【0005】すなわち、本発明は(1)(A)エポキシ
樹脂及び(B)硬化剤を必須成分とし、(A)エポキシ
樹脂が下記一般式(I)で示されるエポキシ樹脂及び結
晶性エポキシ樹脂を含有し、(B)硬化剤が下記一般式
(II)で示されるフェノール樹脂を含有する封止用エポ
キシ樹脂成形材料、
【化3】 (ここで、R1、R2及びR3は水素原子、置換又は非置
換の炭素数1〜10の炭化水素基及び置換又は非置換の
炭素数1〜10のアルコキシ基から選ばれ、全てが同一
でも異なっていても良い。m、nは0〜10の整数を示
す。ただし、m、nが同時に0の場合を除く。)
【化4】 (ここで、R1、R2及びR3は水素原子、置換又は非置
換の炭素数1〜10の炭化水素基及び置換又は非置換の
炭素数1〜10のアルコキシ基から選ばれ、全てが同一
でも異なっていても良い。m、nは1〜10の整数を示
す。)(2)結晶性エポキシ樹脂がビフェニル型エポキ
シ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、硫黄原子含有エポ
キシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂から選ばれ
る1種又は2種以上を含有する上記(1)記載の封止用
エポキシ樹脂成形材料、(3)(C)硬化促進剤をさら
に含有する上記(1)又は(2)記載の封止用エポキシ
樹脂成形材料、(4)(C)硬化促進剤がホスフィン化
合物とキノン化合物との付加物及び/又はジアザビシク
ロウンデセンのフェノールノボラック樹脂塩を含有する
上記(3)記載の封止用エポキシ樹脂成形材料、(5)
(C)硬化促進剤が第三ホスフィン化合物を含有し、キ
ノン化合物をさらに含有する上記(3)又は(4)記載
の封止用エポキシ樹脂成形材料、(6)(D)無機充填
剤をさらに含有する上記(1)〜(5)のいずれかに記
載の封止用エポキシ樹脂成形材料、並びに(7)上記
(1)〜(6)のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂
成形材料で封止された素子を備えた電子部品装置、に関
する。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明において用いられる(A)
エポキシ樹脂は、下記一般式(I)で示されるエポキシ
樹脂及び結晶性エポキシ樹脂を含有することが必要であ
る。
【化5】 ここで、R1、R2及びR3は水素原子、置換又は非置換
の炭素数1〜10の炭化水素基及び置換又は非置換の炭
素数1〜10のアルコキシ基から選ばれ、全てが同一で
も異なっていても良い。m、nは0〜10の整数を示
す。ただし、m、nが同時に0の場合を除く。(R2
は4個のR2を示し、(R3は4個のR3を示す。
上記一般式(I)中のR〜R3としては、たとえば、
水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル
基、イソプロピル基、イソブチル基等のアルキル基、ビ
ニル基、アリル基、ブテニル基等のアルケニル基、フェ
ニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基、ベンジ
ル基、フェネチル基等のアラルキル基、アミノ基置換ア
ルキル基、メルカプト基置換アルキル基、アルケニル基
置換アルキル基、アルキル基置換アリール基、アルキル
基置換アラルキル基などの置換又は非置換の炭素数1〜
10の炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキ
シ基、ブトキシ基等のアルコキシル基、アルキル基置換
アルコキシル基、アミノ基置換アルコキシル基などの置
換又は非置換の炭素数1〜10のアルコキシル基が挙げ
られ、なかでも、水素原子又はメチル基が好ましく、水
素原子がより好ましい。式中(m+n+1)個のR
(8×m)個のR2、(4×n)個のR3は、それぞれが
全てが同一でも異なっていてもよく、R1、R2及びRが
同一でも異なっていてもよい。上記一般式(I)で示さ
れるエポキシ樹脂のなかでも難燃性の観点からは、
1、R2及びR3が水素原子であるものが好ましい。上
記一般式(I)で示されるエポキシ樹脂は、( )m及
び( )nで示される繰り返し単位の共重合体である
が、これらの繰り返し単位がランダムに結合したランダ
ム共重合体であっても、交互に結合した共重合体であっ
ても、ブロック共重合体であってもかまわないが、難燃
性の観点からはランダム共重合体又は交互共重合体が好
ましい。また、共重合比m/nは特に制限はないが、重
量比が10〜0.1が好ましく、5〜0.5がより好まし
い。重量比m/nが0.1未満の場合は難燃性が低下す
る傾向にあり、10より大きい場合は成形性が低下する
傾向にある。上記一般式(I)で示されるエポキシ樹脂
の配合量は、その性能を発揮するために(A)エポキシ
樹脂全量に対して10重量%以上とすることが好まし
く、40重量%以上がより好ましく、60重量%以上が
さらに好ましい。
【0007】また、結晶性エポキシ樹脂としては、結晶
性を有するエポキシ樹脂であれば特に限定はないが、耐
リフロー性の観点からは、ビフェニル型エポキシ樹脂、
スチルベン型エポキシ樹脂、硫黄原子含有エポキシ樹脂
及びビスフェノールF型エポキシ樹脂が好ましい。
【0008】ビフェニル型エポキシ樹脂としては、たと
えば下記一般式(III)で示されるエポキシ樹脂等が挙
げられ、スチルベン型エポキシ樹脂としては、たとえば
下記一般式(IV)で示されるエポキシ樹脂等が挙げら
れ、硫黄原子含有エポキシ樹脂としては、たとえば下記
一般式(V)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられ、ビ
スフェノールF型エポキシ樹脂としては、たとえば下記
一般式(VI)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
【化6】 (ここで、R1〜R8は水素原子及び炭素数1〜10の置
換又は非置換の一価の炭化水素基から選ばれ、全てが同
一でも異なっていてもよい。nは0〜3の整数を示
す。)
【化7】 (ここで、R1〜R8は水素原子及び炭素数1〜5の置換
又は非置換の一価の炭化水素基から選ばれ、全てが同一
でも異なっていてもよい。nは0〜10の整数を示
す。)
【化8】 (ここで、R1〜R8は水素原子、置換又は非置換の炭素
数1〜10のアルキル基及び置換又は非置換の炭素数1
〜10のアルコキシ基から選ばれ、全てが同一でも異な
っていてもよい。nは0〜3の整数を示す。)
【化9】 (ここで、R1〜R8は水素原子、置換又は非置換の炭素
数1〜10のアルキル基及び置換又は非置換の炭素数1
〜10のアルコキシ基から選ばれ、全てが同一でも異な
っていてもよい。nは0〜3の整数を示す。)
【0009】上記一般式(III)で示されるビフェニル
型エポキシ樹脂としては、たとえば、4,4’−ビス
(2,3−エポキシプロポキシ)ビフェニル又は4,
4’−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)−3,
3’,5,5’−テトラメチルビフェニルを主成分とす
るエポキシ樹脂、エピクロルヒドリンと4,4’−ビフ
ェノール又は4,4’−(3,3’,5,5’−テトラ
メチル)ビフェノールとを反応させて得られるエポキシ
樹脂等が挙げられる。なかでも、4,4’−ビス(2,
3−エポキシプロポキシ)−3,3’,5,5’−テト
ラメチルビフェニルを主成分とするエポキシ樹脂が好ま
しい。上記一般式(IV)で示されるスチルベン型エポキ
シ樹脂は、原料であるスチルベン系フェノール類とエピ
クロルヒドリンとを塩基性物質存在下で反応させて得る
ことができる。この原料であるスチルベン系フェノール
類としては、たとえば3−t−ブチル−4,4′−ジヒ
ドロキシ−3′,5,5′−トリメチルスチルベン、3
−t−ブチル−4,4′−ジヒドロキシ−3′,5′,
6−トリメチルスチルベン、4,4’−ジヒドロキシ−
3,3’,5,5’−テトラメチルスチルベン、4,
4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ−t−ブチル−5,
5’−ジメチルスチルベン、4,4’−ジヒドロキシ−
3,3’−ジ−t−ブチル−6,6’−ジメチルスチル
ベン等が挙げられ、なかでも3−t−ブチル−4,4′
−ジヒドロキシ−3′,5,5′−トリメチルスチルベ
ン、及び4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’
−テトラメチルスチルベンが好ましい。これらのスチル
ベン型フェノール類は単独で用いても2種以上を組み合
わせて用いてもよい。上記一般式(V)で示される硫黄
原子含有エポキシ樹脂のなかでも、R1、R4、R5及び
8が水素原子で、R2、R3、R6及びR7がアルキル基
であるエポキシ樹脂が好ましく、R1、R4、R5及びR8
が水素原子で、R2及びR7がメチル基で、R3及びR6
t−ブチル基であるエポキシ樹脂がより好ましい。この
ような化合物としては、YSLV−120TE(新日鐵
化学社製)等が市販品として入手可能である。上記一般
式(VI)で示されるビスフェノールF型エポキシ樹脂の
なかでも、R 2、R4、R5及びR7が水素原子で、R1
3、R6及びR8がアルキル基であるエポキシ樹脂が好
ましく、R2、R4、R5及びR7が水素原子で、R1
3、R6及びR8がメチル基であるエポキシ樹脂がより
好ましい。このような化合物としては、YSLV−80
XY(新日鐵化学社製)等が市販品として入手可能であ
る。
【0010】これらのビフェニル型エポキシ樹脂、スチ
ルベン型エポキシ樹脂、硫黄原子含有エポキシ樹脂及び
ビスフェノールF型エポキシ樹脂は、いずれか1種を単
独で用いても2種以上を組合わせて用いてもよいが、そ
の配合量は、その性能を発揮するために(A)エポキシ
樹脂全量に対して合わせて10重量%以上とすることが
好ましく、30重量%以上がより好ましく、50重量%
以上とすることがさらに好ましい。
【0011】上記一般式(I)で示されるエポキシ樹脂
と結晶性エポキシ樹脂の配合比率は、特に限定はない
が、一般式(I)で示されるエポキシ樹脂/結晶性エポ
キシ樹脂の重量比で90/10〜10/90とすること
が好ましく、80/20〜40/60がより好ましい。
90/10よりも結晶性エポキシ樹脂が少ない場合は流
動性が低下する傾向にあり、10/90よりも一般式
(I)で示されるエポキシ樹脂が少ない場合は難燃性が
低下する傾向にある。
【0012】また、本発明の封止用エポキシ樹脂成形材
料及び電子部品装置には、上記の一般式(I)で示され
るエポキシ樹脂と結晶性エポキシ樹脂以外に従来公知の
エポキシ樹脂を併用してもよい。たとえば、フェノール
ノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラッ
ク型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン骨格を有するエ
ポキシ樹脂をはじめとするフェノール、クレゾール、キ
シレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノール
A、ビスフェノールF等のフェノール類及び/又はα−
ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン
等のナフトール類とホルムアルデヒド、アセトアルデヒ
ド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチ
ルアルデヒド等のアルデヒド基を有する化合物とを酸性
触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂
をエポキシ化したもの、ビスフェノールA、ビスフェノ
ールS等のジグリシジルエーテル、フタル酸、ダイマー
酸等の多塩基酸とエピクロルヒドリンの反応により得ら
れるグリシジルエステル型エポキシ樹脂、ジアミノジフ
ェニルメタン、イソシアヌル酸等のポリアミンとエピク
ロルヒドリンの反応により得られるグリシジルアミン型
エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンとフェノ−ル類の
共縮合樹脂のエポキシ化物、ナフタレン環を有するエポ
キシ樹脂、フェノール類及び/又はナフトール類とジメ
トキシパラキシレンから合成されるフェノール・アラル
キル樹脂、ナフトール・アラルキル樹脂等のアラルキル
型フェノール樹脂のエポキシ化物、トリメチロールプロ
パン型エポキシ樹脂、テルペン変性エポキシ樹脂、オレ
フィン結合を過酢酸等の過酸で酸化して得られる線状脂
肪族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂などが挙げら
れ、これらの1種を単独で用いても2種以上を組み合わ
せて用いてもよい。なかでも、硬化性の観点からはノボ
ラック型エポキシ樹脂が好ましく、低吸湿性の観点から
はジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂が好ましく、耐
熱性及び低反り性の観点からはナフタレン型エポキシ樹
脂及びトリフェニルメタン型エポキシ樹脂が好ましい。
【0013】ノボラック型エポキシ樹脂としては、たと
えば下記一般式(VII)で示されるエポキシ樹脂等が挙
げられる。
【化10】 (ここで、Rは水素原子及び炭素数1〜10の置換又は
非置換の一価の炭化水素基から選ばれ、nは0〜10の
整数を示す。) 上記一般式(VII)で示されるノボラック型エポキシ樹
脂は、ノボラック型フェノール樹脂にエピクロルヒドリ
ンを反応させることによって容易に得られる。なかで
も、一般式(VII)中のRとしては、メチル基、エチル
基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチ
ル基等の炭素数1〜10のアルキル基、メトキシ基、エ
トキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜1
0のアルコキシル基が好ましく、水素原子又はメチル基
がより好ましい。nは0〜3の整数が好ましい。上記一
般式(VII)で示されるノボラック型エポキシ樹脂のな
かでも、オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂が
好ましい。
【0014】ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂とし
ては、たとえば下記一般式(VIII)で示されるエポキシ
樹脂等が挙げられる。
【化11】 (ここで、R1及びR2は水素原子及び炭素数1〜10の
置換又は非置換の一価の炭化水素基からそれぞれ独立し
て選ばれ、nは0〜10の整数を示し、mは0〜6の整
数を示す。) 上記式(VIII)中のR1としては、たとえば、水素原
子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソ
プロピル基、t−ブチル基等のアルキル基、ビニル基、
アリル基、ブテニル基等のアルケニル基、ハロゲン化ア
ルキル基、アミノ基置換アルキル基、メルカプト基置換
アルキル基などの炭素数1〜5の置換又は非置換の一価
の炭化水素基が挙げられ、なかでもメチル基、エチル基
等のアルキル基及び水素原子が好ましく、メチル基及び
水素原子がより好ましい。R2としては、たとえば、水
素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、
イソプロピル基、t−ブチル基等のアルキル基、ビニル
基、アリル基、ブテニル基等のアルケニル基、ハロゲン
化アルキル基、アミノ基置換アルキル基、メルカプト基
置換アルキル基などの炭素数1〜5の置換又は非置換の
一価の炭化水素基が挙げられ、なかでも水素原子が好ま
しい。
【0015】ナフタレン型エポキシ樹脂としてはたとえ
ば下記一般式(IX)で示されるエポキシ樹脂等が挙げら
れ、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂としてはたとえ
ば下記一般式(X)で示されるエポキシ樹脂等が挙げら
れる。下記一般式(IX)で示されるナフタレン型エポキ
シ樹脂としては、l個の構成単位及びm個の構成単位を
ランダムに含むランダム共重合体、交互に含む交互共重
合体、規則的に含む共重合体、ブロック状に含むブロッ
ク共重合体が挙げられ、これらのいずれか1種を単独で
用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。ま
た、下記一般式(X)で示されるトリフェニルメタン型
エポキシ樹脂としては特に制限はないが、サリチルアル
デヒド型エポキシ樹脂が好ましい。
【化12】 (ここで、R1〜R3は水素原子及び置換又は非置換の炭
素数1〜12の一価の炭化水素基から選ばれ、それぞれ
全てが同一でも異なっていてもよい。pは1又は0で、
l、mはそれぞれ0〜11の整数であって、(l+m)
が1〜11の整数でかつ(l+p)が1〜12の整数と
なるよう選ばれる。iは0〜3の整数、jは0〜2の整
数、kは0〜4の整数を示す。)
【化13】 (ここで、Rは水素原子及び炭素数1〜10の置換又は
非置換の一価の炭化水素基から選ばれ、nは1〜10の
整数を示す。) これらのナフタレン型エポキシ樹脂及びトリフェニルメ
タン型エポキシ樹脂はいずれか1種を単独で用いても両
者を組合わせて用いてもよい。
【0016】本発明において用いられる(B)硬化剤
は、下記一般式(II)で示されるフェノール樹脂を含有
することが必要でああり、なかでも難燃性の観点から
は、下記一般式(I)のR、R及びRが水素原子
であるものが好ましい。
【化14】 ここで、R1、R2及びR3は水素原子又は炭素数1〜1
0の置換又は非置換の炭化水素基、アルコキシ基を表
し、全て同一でも異なっていても良い。m、nは1〜1
0の整数を示す。(R2は4個のR2を示し、
(R3は4個のR3を示す。上記一般式(II)中のR
〜R3としては、たとえば、水素原子、メチル基、エ
チル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソ
ブチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニ
ル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基、キシリ
ル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のア
ラルキル基、アミノ基置換アルキル基、メルカプト基置
換アルキル基、アルケニル基置換アルキル基、アルキル
基置換アリール基、アルキル基置換アラルキル基などの
置換又は非置換の炭素数1〜10の炭化水素基、メトキ
シ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等のアル
コキシル基、アルキル基置換アルコキシル基、アミノ基
置換アルコキシル基などの置換又は非置換の炭素数1〜
10のアルコキシル基が挙げられ、なかでも、水素原子
又はメチル基が好ましく、水素原子がより好ましい。式
中(m+n+1)個のR、(8×m)個のR2、(4×
n)個のR3は、それぞれが全てが同一でも異なってい
てもよく、R1、R2及びRが同一でも異なっていてもよ
い。上記一般式(II)で示されるフェノール樹脂は、
( )m及び( )nで示される繰り返し単位の共重合
体であるが、これらの繰り返し単位がランダムに結合し
たランダム共重合体であっても、交互に結合した共重合
体であっても、ブロック共重合体であってもかまわない
が、難燃性の観点からはランダム共重合体又は交互共重
合体が好ましい。また、共重合比m/nは特に制限はな
いが、重量比が10〜0.1が好ましく、5〜0.5がよ
り好ましい。重量比m/nが0.1未満の場合は難燃性
が低下する傾向にあり、10より大きい場合は成形性が
低下する傾向にある。一般式(II)で示されるフェノー
ル樹脂の配合量は、その性能を発揮するために(B)硬
化剤全量に対して50重量%以上とすることが好まし
く、60重量%以上がより好ましく、80重量%以上が
さらに好ましい。
【0017】また、本発明の封止用エポキシ樹脂成形材
料及び電子部品装置には、上記フェノール樹脂以外に従
来公知の硬化剤を併用してもよい。例えばフェノール、
クレゾール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノール
A、ビスフェノールF、フェニルフェノール、アミノフ
ェノール等のフェノール類及び/又はα−ナフトール、
β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトー
ル類とホルムアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチル
アルデヒド等のアルデヒド基を有する化合物とを酸性触
媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック型フェ
ノール樹脂、フェノール類及び/又はナフトール類とジ
メトキシパラキシレンから合成されるフェノール・アラ
ルキル樹脂、ナフトール・アラルキル樹脂等のアラルキ
ル型フェノール樹脂、フェノール類及び/又はナフトー
ル類とシクロペンタジエンから共重合により合成され
る、ジクロペンタジエン型フェノールノボラック樹脂、
ナフトールノボラック樹脂等のジクロペンタジエン型フ
ェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂などが挙げ
られ、これらの1種を単独で用いても2種以上を組み合
わせて併用してもよい。なかでも、耐リフロー性及び硬
化性の観点からはアラルキル型フェノール樹脂が好まし
く、低吸湿性の観点からはジシクロペンタジエン型フェ
ノール樹脂が好ましく、耐熱性、低膨張率及び低そり性
の観点からはトリフェニルメタン型フェノール樹脂が好
ましく、硬化性の観点からはノボラック型フェノール樹
脂が好ましい。
【0018】アラルキル型フェノール樹脂としては、た
とえばフェノール・アラルキル樹脂、ナフトール・アラ
ルキル樹脂等が挙げられ、下記一般式(XI)で示される
フェノール・アラルキル樹脂が好ましく、一般式(XI)
中のRが水素原子で、nの平均値が0〜8であるフェノ
ール・アラルキル樹脂がより好ましい。具体例として
は、p−キシリレン型フェノール・アラルキル樹脂、m
−キシリレン型フェノール・アラルキル樹脂等が挙げら
れる。
【化15】 (ここで、Rは水素原子及び炭素数1〜10の置換又は
非置換の一価の炭化水素基から選ばれ、nは0〜10の
整数を示す。) ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂としては、たと
えば下記一般式(XII)で示されるフェノール樹脂等が
挙げられる。
【化16】 (ここで、R1及びR2は水素原子及び炭素数1〜10の
置換又は非置換の一価の炭化水素基からそれぞれ独立し
て選ばれ、nは0〜10の整数を示し、mは0〜6の整
数を示す。) トリフェニルメタン型フェノール樹脂としては、たとえ
ば下記一般式(XIII)で示されるフェノール樹脂等が挙
げられる。下記一般式(XIII)で示されるトリフェニル
メタン型フェノール樹脂としては特に制限はないが、た
とえば、サリチルアルデヒド型フェノール樹脂、o−ヒ
ドロキシベンズアルデヒド型フェノール樹脂、m−ヒド
ロキシベンズアルデヒド型フェノール樹脂等が挙げら
れ、これらの1種を単独で用いても2種以上を組合わせ
て用いてもよい。なかでもサリチルアルデヒド型フェノ
ール樹脂が好ましい。
【化17】 (ここで、Rは水素原子及び炭素数1〜10の置換又は
非置換の一価の炭化水素基から選ばれ、nは1〜10の
整数を示す。) ノボラック型フェノール樹脂としては、たとえば、フェ
ノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ナ
フトールノボラック樹脂等が挙げられ、なかでもフェノ
ールノボラック樹脂が好ましい。
【0019】(A)エポキシ樹脂と(B)硬化剤との当
量比、すなわち、エポキシ樹脂中のエポキシ基数に対す
る硬化剤中の水酸基数の比(硬化剤中の水酸基数/エポ
キシ樹脂中のエポキシ基数)は、特に制限はないが、そ
れぞれの未反応分を少なく抑えるために0.5〜2の範
囲に設定されることが好ましく、0.6〜1.3がより
好ましい。成形性及び耐リフロー性に優れる封止用エポ
キシ樹脂成形材料を得るためには0.8〜1.2の範囲
に設定されることがさらに好ましい。
【0020】本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料に
は、必要に応じて(C)硬化促進剤を配合することがで
きる。(C)硬化促進剤は、封止用エポキシ樹脂成形材
料に一般に使用されているもので特に制限はないが、た
とえば、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウン
デセン−7、1,5−ジアザ−ビシクロ(4,3,0)
ノネン、5、6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザ−ビ
シクロ(5,4,0)ウンデセン−7等のシクロアミジ
ン化合物及びこれらの化合物に無水マレイン酸、1,4
−ベンゾキノン、2,5−トルキノン、1,4−ナフト
キノン、2,3−ジメチルベンゾキノン、2,6−ジメ
チルベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−5−メチル−
1,4−ベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−1,4−
ベンゾキノン、フェニル−1,4−ベンゾキノン等のキ
ノン化合物、ジアゾフェニルメタン、フェノール樹脂等
のπ結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有す
る化合物、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールア
ミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルア
ミノメチル)フェノール等の3級アミン類及びこれらの
誘導体、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダ
ゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール等のイ
ミダゾール類及びこれらの誘導体、トリブチルホスフィ
ン、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフ
ィン、トリス(4−メチルフェニル)ホスフィン、ジフ
ェニルホスフィン、フェニルホスフィン等のホスフィン
化合物及びこれらのホスフィン化合物に無水マレイン
酸、上記キノン化合物、ジアゾフェニルメタン、フェノ
ール樹脂等のπ結合をもつ化合物を付加してなる分子内
分極を有するリン化合物、テトラフェニルホスホニウム
テトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンテト
ラフェニルボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾ
ールテトラフェニルボレート、N−メチルモルホリンテ
トラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩及び
これらの誘導体などが挙げられ、これらの1種を単独で
用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかで
も、硬化性及び流動性の観点からは、ホスフィン化合物
及びホスフィン化合物とキノン化合物との付加物が好ま
しく、トリフェニルホスフィン等の第三ホスフィン化合
物及びトリフェニルホスフィンとキノン化合物との付加
物がより好ましい。第三ホスフィン化合物を用いる場合
にはキノン化合物をさらに含有することが好ましい。ま
た、保存安定性の観点からは、シクロアミジン化合物と
フェノール樹脂との付加物が好ましく、ジアザビシクロ
ウンデセンのフェノールノボラック樹脂塩がより好まし
い。
【0021】(C)硬化促進剤の配合量は、硬化促進効
果が達成される量であれば特に制限はないが、封止用エ
ポキシ樹脂成形材料に対して0.005〜2重量%が好
ましく、0.01〜0.5重量%がより好ましい。0.
005重量%未満では短時間での硬化性に劣る傾向があ
り、2重量%を超えると硬化速度が速すぎて良好な成形
品を得ることが困難になる傾向がある。
【0022】本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料に
は、必要に応じて(D)無機充填剤を配合することがで
きる。(D)無機充填剤は、吸湿性、線膨張係数低減、
熱伝導性向上及び強度向上のために成形材料に配合され
るものであり、たとえば、溶融シリカ、結晶シリカ、ア
ルミナ、ジルコン、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、
チタン酸カリウム、炭化珪素、窒化珪素、窒化アルミ、
窒化ホウ素、ベリリア、ジルコニア、ジルコン、フォス
テライト、ステアタイト、スピネル、ムライト、チタニ
ア等の粉体、又はこれらを球形化したビーズ、ガラス繊
維などが挙げられ、これらの1種を単独で用いても2種
以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、線膨張係
数低減の観点からは溶融シリカが、高熱伝導性の観点か
らはアルミナが好ましく、充填剤形状は成形時の流動性
及び金型摩耗性の点から球形が好ましい。(D)無機充
填剤の配合量は、難燃性、成形性、吸湿性、線膨張係数
低減及び強度向上の観点から、封止用エポキシ樹脂成形
材料に対して70〜95重量%が好ましく、75〜92
重量%がより好ましい。70重量%未満では難燃性及び
耐リフロー性が低下する傾向があり、95重量%を超え
ると流動性が不足する傾向がある。
【0023】本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料に
は、IC等の半導体素子の耐湿性及び高温放置特性を向
上させる観点から、必要に応じてイオントラップ剤をさ
らに配合することができる。イオントラップ剤としては
特に制限はなく、従来公知のものを用いることができる
が、たとえば、ハイドロタルサイト類や、マグネシウ
ム、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ビスマスか
ら選ばれる元素の含水酸化物等が挙げられ、これらを単
独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。な
かでも、下記組成式(XIV)で示されるハイドロタルサ
イトが好ましい。
【化18】 Mg1-XAlX(OH)2(CO3X/2・mH2O ……(XIV) (0<X≦0.5、mは正の数) イオントラップ剤の配合量は、ハロゲンイオンなどの陰
イオンを捕捉できる十分量であれば特に制限はないが、
流動性及び曲げ強度の観点から(A)エポキシ樹脂に対
して0.1〜30重量%が好ましく、0.5〜10重量
%がより好ましく、1〜5重量%がさらに好ましい。
【0024】また、本発明の封止用エポキシ樹脂成形材
料には、樹脂成分と無機充填剤との接着性を高めるため
に、必要に応じて、エポキシシラン、メルカプトシラ
ン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、
ビニルシラン等の各種シラン系化合物、チタン系化合
物、アルミニウムキレート類、アルミニウム/ジルコニ
ウム系化合物等の公知のカップリング剤を添加すること
ができる。これらを例示すると、ビニルトリクロロシラ
ン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メ
トキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピル
トリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘ
キシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシ
プロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピ
ルメチルジメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラ
ン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−
アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アニリノプロ
ピルトリメトキシシラン、γ-アニリノプロピルメチル
ジメトキシシラン、γ−[ビス(β−ヒドロキシエチ
ル)]アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−
(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−(β−アミノエチル)アミノプロピルジメト
キシメチルシラン、N−(トリメトキシシリルプロピ
ル)エチレンジアミン、N−(ジメトキシメチルシリル
イソプロピル)エチレンジアミン、メチルトリメトキシ
シラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキ
シシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチ
ル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ク
ロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラ
ン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピ
ルメチルジメトキシシラン等のシラン系カップリング
剤、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イ
ソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チ
タネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミ
ノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデ
シルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジア
リルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)
ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホス
フェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオク
チルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプ
ロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメ
タクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルト
リドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピ
ルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピ
ルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプ
ロピルトリクミルフェニルチタネート、テトライソプロ
ピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート等のチ
タネート系カップリング剤などが挙げられ、これらの1
種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよ
い。
【0025】上記カップリング剤の配合量は、(D)無
機充填剤に対して0.05〜5重量%であることが好ま
しく、0.1〜2.5重量%がより好ましい。0.05
重量%未満ではフレームとの接着性が低下する傾向があ
り、5重量%を超えるとパッケージの成形性が低下する
傾向がある。
【0026】本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料には
従来公知のノンハロゲン、ノンアンチモンの難燃剤を必
要に応じて配合することができる。たとえば、赤リン、
水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛等
の無機物及び/又はフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂等
で被覆された赤リン、リン酸エステル等のリン化合物、
メラミン、メラミン誘導体、メラミン変性フェノール樹
脂、トリアジン環を有する化合物、シアヌル酸誘導体、
イソシアヌル酸誘導体等の窒素含有化合物、シクロホス
ファゼン等のリン及び窒素含有化合物、水酸化アルミニ
ウム、水酸化マグネシウム及び下記組成式(XV)で示さ
れる複合金属水酸化物などが挙げられる。
【化19】 p(M1aOb)・q(M2cOd)・r(M3cOd)・mH2O (XV) (ここで、M1、M2及びM3は互いに異なる金属元素を
示し、a、b、c、d、p、q及びmは正の数、rは0又は
正の数を示す。) 上記組成式(XV)中のM1、M2及びM3は互いに異なる
金属元素であれば特に制限はないが、難燃性の観点から
は、M1が第3周期の金属元素、IIA族のアルカリ土類
金属元素、IVB族、IIB族、VIII族、IB族、IIIA族
及びIVA族に属する金属元素から選ばれ、M2がIIIB〜
IIB族の遷移金属元素から選ばれることが好ましく、M
1がマグネシウム、カルシウム、アルミニウム、スズ、
チタン、鉄、コバルト、ニッケル、銅及び亜鉛から選ば
れ、M2が鉄、コバルト、ニッケル、銅及び亜鉛から選
ばれることがより好ましい。流動性の観点からは、M1
がマグネシウム、M2が亜鉛又はニッケルで、r=0の
ものが好ましい。p、q及びrのモル比は特に制限はな
いが、r=0で、p/qが1/99〜1/1であること
が好ましい。なお、金属元素の分類は、典型元素をA亜
族、遷移元素をB亜族とする長周期型の周期率表(出
典:共立出版株式会社発行「化学大辞典4」1987年
2月15日縮刷版第30刷)に基づいて行った。)ま
た、酸化亜鉛、錫酸亜鉛、硼酸亜鉛、酸化鉄、酸化モリ
ブデン、モリブデン酸亜鉛、ジシクロペンタジエニル鉄
等の金属元素を含む化合物などが挙げられ、これらの1
種を単独で用いても2種以上を組合わせて用いてもよ
い。
【0027】さらに、本発明の封止用エポキシ樹脂成形
材料には、その他の添加剤として、高級脂肪酸、高級脂
肪酸金属塩、エステル系ワックス、ポリオレフィン系ワ
ックス、ポリエチレン、酸化ポリエチレン等の離型剤、
カーボンブラック等の着色剤、シリコーンオイル、シリ
コーンゴム粉末等の応力緩和剤などを必要に応じて配合
することができる。
【0028】本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料は、
各種原材料を均一に分散混合できるのであれば、いかな
る手法を用いても調製できるが、一般的な手法として、
所定の配合量の原材料をミキサー等によって十分混合し
た後、ミキシングロール、押出機等によって溶融混練し
た後、冷却、粉砕する方法を挙げることができる。成形
条件に合うような寸法及び重量でタブレット化すると使
いやすい。
【0029】本発明で得られる封止用エポキシ樹脂成形
材料により封止した素子を備えた電子部品装置として
は、リードフレーム、配線済みのテープキャリア、配線
板、ガラス、シリコンウエハ等の支持部材に、半導体チ
ップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等の能動
素子、コンデンサ、抵抗体、コイル等の受動素子等の素
子を搭載し、必要な部分を本発明の封止用エポキシ樹脂
成形材料で封止した、電子部品装置などが挙げられる。
このような電子部品装置としては、たとえば、リードフ
レーム上に半導体素子を固定し、ボンディングパッド等
の素子の端子部とリード部をワイヤボンディングやバン
プで接続した後、本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料
を用いてトランスファ成形等により封止してなる、DI
P(Dual Inline Package)、PLCC(Plastic Leade
d Chip Carrier)、QFP(Quad Flat Package)、S
OP(Small Outline Package)、SOJ(Small Outli
ne J-lead package)、TSOP(Thin Small Outline
Package)、TQFP(Thin Quad Flat Package)等の
一般的な樹脂封止型IC、テープキャリアにバンプで接
続した半導体チップを、本発明の封止用エポキシ樹脂成
形材料で封止したTCP(Tape Carrier Package)、配
線板やガラス上に形成した配線に、ワイヤボンディン
グ、フリップチップボンディング、はんだ等で接続した
半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ
等の能動素子及び/又はコンデンサ、抵抗体、コイル等
の受動素子を、本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料で
封止したCOB(Chip On Board)モジュール、ハイブ
リッドIC、マルチチップモジュール、マザーボード接
続用の端子を形成したインターポーザ基板に半導体チッ
プを搭載し、バンプまたはワイヤボンディングにより半
導体チップとインターポーザ基板に形成された配線を接
続した後、本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料で半導
体チップ搭載側を封止したBGA(Ball Grid Arra
y)、CSP(Chip Size Package)、MCP(Multi Ch
ip Package)などが挙げられる。また、プリント回路板
にも本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料は有効に使用
できる。
【0030】本発明の封止用エポキシ樹脂成形材料を用
いて素子を封止する方法としては、低圧トランスファ成
形法が最も一般的であるが、インジェクション成形法、
圧縮成形法等を用いてもよい。
【0031】
【実施例】次に実施例により本発明を説明するが、本発
明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0032】実施例1〜12、比較例1〜9 エポキシ樹脂として、下記一般式(XVI)で示されるア
ラルキル型エポキシ樹脂で、重量比m/nが5でエポキ
シ当量が273であるエポキシ樹脂1、重量比m/nが
1でエポキシ当量が260であるエポキシ樹脂2、及び
重量比m/nが0.1でエポキシ当量が243であるエ
ポキシ樹脂3、エポキシ当量280、軟化点60℃のビ
フェニレン基を含有するアラルキル型エポキシ樹脂4
(日本化薬株式会社製NC−3000)、エポキシ当量
196、融点106℃のビフェニル型エポキシ樹脂5
(油化シェルエポキシ株式会社製商品名エピコートYX
−4000H)、エポキシ当量210、融点130℃の
スチルベン型エポキシ樹脂6、エポキシ当量245、融
点110℃の硫黄原子含有エポキシ樹脂7(新日鐵化学
株式会社製商品名YSLV−120TE)、エポキシ当
量190、融点75℃のビスフェノールF型エポキシ樹
脂8(新日鐵化学株式会社製商品名YSLV−80X
Y)、又はエポキシ当量195、軟化点65℃のo−ク
レゾールノボラック型エポキシ樹脂9(住友化学工業株
式会社製商品名ESCN−190)、硬化剤として下記
一般式(XVII)で示されるアラルキル型フェノール樹脂
で、重量比m/nが5で水酸基当量が195であるフェ
ノール樹脂1、重量比m/nが1で水酸基当量が187
であるフェノール樹脂2、及び重量比m/nが0.1で
水酸基当量が177であるフェノール樹脂3、水酸基当
量199、軟化点80℃のビフェニレン基を含有するア
ラルキル型フェノール樹脂4(明和化成株式会社製商品
名MEH−7851)、水酸基当量175、軟化点70
℃のフェノール・アラルキル樹脂(フェノール樹脂5、
三井化学株式会社製商品名ミレックスXL−225)、
又は水酸基当量106、軟化点80℃のフェノールノボ
ラック樹脂(フェノール樹脂6、明和化成株式会社製商
品名H−1)、硬化促進剤としてトリフェニルホスフィ
ンと1,4−ベンゾキノンとの付加物(硬化促進剤
1)、又は1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウ
ンデセン−7のフェノールノボラック樹脂塩(硬化促進
剤2)、無機充填剤として平均粒径17.5μm、比表
面積3.8m/gの球状溶融シリカ、難燃剤として、
水酸化アルミニウム及びフェノール樹脂で被覆された赤
リン(燐化学工業株式会社製商品名ノーバエクセル14
0)、又は、三酸化アンチモン及びエポキシ当量37
5、軟化点80℃、臭素含量48重量%のビスフェノー
ルA型ブロム化エポキシ樹脂(住友化学工業株式会社製
商品名ESB−400T)、カップリング剤としてγ−
グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(エポキシシ
ラン)、その他の添加剤としてカルナバワックス(クラ
リアント社製)及びカーボンブラック(三菱化学株式会
社製商品名MA−100)をそれぞれ表1及び表2に示
す重量部で配合し、混練温度80℃、混練時間10分の
条件でロール混練を行い、実施例1〜12及び比較例1
〜9の封止用エポキシ樹脂成形材料を作製した。
【化20】
【化21】
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】作製した実施例及び比較例の封止用エポキ
シ樹脂成形材料を、次の各試験により評価した。結果を
表3及び表4に示す。なお、封止用エポキシ樹脂成形材
料の成形は、トランスファ成形機により、金型温度18
0℃、成形圧力6.9MPa、硬化時間90秒の条件で
行った。また、後硬化は180℃で5時間行った。 (1)難燃性 厚さ1/16インチの試験片を成形する金型を用いて、
封止用エポキシ樹脂成形材料を上記条件で成形して後硬
化を行い、UL−94試験法に従って難燃性を評価し
た。 (2)スパイラルフロー(流動性の指標) EMMI−1−66に準じたスパイラルフロー測定用金
型を用いて、封止用エポキシ樹脂成形材料を上記条件で
成形し、流動距離(cm)を求めた。 (3)熱時硬度 封止用エポキシ樹脂成形材料を上記条件で直径50mm
×厚さ3mmの円板に成形し、成形後直ちにショアD型
硬度計を用いて測定した。 (4)保存安定性 封止用エポキシ樹脂成形材料を30℃、湿度40%RH
の環境で所定時間保管して、上記(2)と同様にしてス
パイラルフロー(流動距離)を測定し、保管前の流動距
離に対して90%になる保管時間を求めた。 (5)耐リフロー性 8mm×10mm×0.4mmのシリコーンチップを搭
載した外形寸法20mm×14mm×2mmの80ピン
フラットパッケージを、封止用エポキシ樹脂成形材料を
用いて上記条件で成形、後硬化して作製し、85℃、8
5%RHの条件で加湿して所定時間毎に240℃、10
秒の条件でリフロー処理を行い、クラックの有無を観察
し、試験パッケージ数(5)に対するクラック発生パッ
ケージ数で評価した。 (6)耐湿性 線幅10μm、厚さ1μmのアルミ配線を施した6mm
×6mm×0.4mmのテスト用シリコーンチップを搭
載した外形寸法19mm×14mm×2.7mmの80
ピンフラットパッケージを、封止用エポキシ樹脂成形材
料を用いて上記条件で成形、後硬化して作製し、前処理
を行った後、加湿して所定時間毎にアルミ配線腐食によ
る断線不良を調べ、試験パッケージ数(10)に対する
不良パッケージ数で評価した。なお、前処理は85℃、
85%RH、72時間の条件でフラットパッケージを加
湿後、215℃、90秒間のベーパーフェーズリフロー
処理を行った。その後の加湿は0.2MPa、121℃
の条件で行った。 (7)高温放置特性 上記(7)と同様に作製した試験用パッケージを200
℃の高温槽に保管し、所定時間毎に取り出して導通試験
を行い、試験パッケージ数(10)に対する導通不良パ
ッケージ数で、高温放置特性を評価した。
【0036】
【表3】
【0037】
【表4】
【0038】本発明における一般式(I)で示されるエ
ポキシ樹脂、結晶性エポキシ樹脂及び一般式(II)で示
されるフェノール樹脂を含まない比較例はいずれも、本
発明の特性を満足していない。すなわち、比較例1、3
〜5及び7は難燃性に劣り、UL−94でV−0を達成
していない。比較例2は流動性、耐リフロー性に劣る。
また、赤リン系難燃剤を使用した比較例6は耐湿性に劣
る。臭素系難燃剤と三酸化アンチモンを使用した比較例
8、9は高温放置特性に劣る。これに対して、実施例1
〜12は、いずれもUL−94でV−0を達成してお
り、また、流動性、熱時硬度、耐リフロー性、耐湿性及
び高温放置特性のいずれも低下せずに良好である。
【0039】
【発明の効果】本発明になる封止用エポキシ樹脂成形材
料は実施例で示したようにノンハロゲンかつノンアンチ
モンで難燃化を達成でき、これを用いてIC、LSI等
の電子部品を封止すれば成形性が良好であり、耐リフロ
ー性、耐湿性及び高温放置特性等の信頼性が良好な製品
を得ることができ、その工業的価値は大である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J036 AC01 AC02 AC03 AD03 AD07 AD10 AD20 AD21 AE05 AE07 DA02 DC02 DC42 DC46 DD07 FA03 FA04 FA05 FA12 FA13 FB08 GA28 HA12 JA07 4M109 AA01 CA21 EA03 EA04 EB03 EB04 EB07 EC20

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)エポキシ樹脂及び(B)硬化剤を必
    須成分とし、(A)エポキシ樹脂が下記一般式(I)で
    示されるエポキシ樹脂及び結晶性エポキシ樹脂を含有
    し、(B)硬化剤が下記一般式(II)で示されるフェノ
    ール樹脂を含有する封止用エポキシ樹脂成形材料。 【化1】 (ここで、R1、R2及びR3は水素原子、置換又は非置
    換の炭素数1〜10の炭化水素基及び置換又は非置換の
    炭素数1〜10のアルコキシ基から選ばれ、全てが同一
    でも異なっていても良い。m、nは0〜10の整数を示
    す。ただし、m、nが同時に0の場合を除く。) 【化2】 (ここで、R1、R2及びR3は水素原子、置換又は非置
    換の炭素数1〜10の炭化水素基及び置換又は非置換の
    炭素数1〜10のアルコキシ基から選ばれ、全てが同一
    でも異なっていても良い。m、nは1〜10の整数を示
    す。)
  2. 【請求項2】結晶性エポキシ樹脂がビフェニル型エポキ
    シ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、硫黄原子含有エポ
    キシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂から選ばれ
    る1種又は2種以上を含有する請求項1記載の封止用エ
    ポキシ樹脂成形材料。
  3. 【請求項3】(C)硬化促進剤をさらに含有する請求項
    1又は請求項2記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
  4. 【請求項4】(C)硬化促進剤がホスフィン化合物とキ
    ノン化合物との付加物及び/又はジアザビシクロウンデ
    センのフェノールノボラック樹脂塩を含有する請求項3
    記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
  5. 【請求項5】(C)硬化促進剤が第三ホスフィン化合物
    を含有し、キノン化合物をさらに含有する請求項3又は
    請求項4記載の封止用エポキシ樹脂成形材料。
  6. 【請求項6】(D)無機充填剤をさらに含有する請求項
    1〜5のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂成形材
    料。
  7. 【請求項7】請求項1〜6のいずれかに記載の封止用エ
    ポキシ樹脂成形材料で封止された素子を備えた電子部品
    装置。
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