JP2003012525A - 生体の損傷部位用の洗浄水およびその製造装置 - Google Patents

生体の損傷部位用の洗浄水およびその製造装置

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JP2003012525A
JP2003012525A JP2001200891A JP2001200891A JP2003012525A JP 2003012525 A JP2003012525 A JP 2003012525A JP 2001200891 A JP2001200891 A JP 2001200891A JP 2001200891 A JP2001200891 A JP 2001200891A JP 2003012525 A JP2003012525 A JP 2003012525A
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electrolyzed
alkaline
cells
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JP2001200891A
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Yoshinori Kamiya
喜則 紙谷
Masato Miyaji
正人 宮地
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Hoshizaki Electric Co Ltd
Original Assignee
Hoshizaki Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】生体に生成される創傷、褥摩、擦り傷等や、各
種の手術にて生成される開放創等の生体の損傷部位の洗
浄に適した洗浄水を提供する。 【解決手段】生体の損傷部位を洗浄する洗浄水であっ
て、当該洗浄水は強アルカリ性の電解生成アルカリ水
と、生体の細胞の増殖能を有する細胞増殖物質を主要構
成成分とし、生体の細胞内液の浸透圧に等しい等張状態
に調製されているものである。当該洗浄水は、損傷部位
に対する洗浄作用が高く、損傷部位に対するダメージが
小さく、かつ、損傷部位での細胞の増殖を助成する機能
を有している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生体の損傷部位を
洗浄するために使用する洗浄水、および、当該洗浄水を
製造するための製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】生体に生成される創傷、褥摩、擦り傷等
や、各種の手術にて生成される開放創等の生体の損傷部
位には、外部からの汚染物や、体内からの血液、滲出
液、壊死組織や、治療に使用した残留薬剤等が付着して
いることが多い。このような場合には、これらの付着物
を損傷部位から速やかに取り除いて、損傷部位を清浄化
することが肝要である。
【0003】生体の損傷部位を清浄化するには、一般に
は、生体の損傷部位に対しダメージを与えることがない
生理食塩水を使用して洗浄する方法が採られる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、生体の損傷
部位を洗浄するために使用される生理食塩水は、かなず
しも洗浄力が高いとはいえないため、損傷部位の付着物
を取り除いて損傷部位を清浄化するには、十分に長い時
間をかける必要があるが、損傷部位を長時間洗浄する
と、周囲に浮遊する細菌が損傷部位に付着して損傷部位
を汚染するおそれがあり、新たな衛生上の問題を引き起
こすおそれがある。なお、損傷部位を十分に清浄化し得
ない場合には、損傷部位に残留する壊死組織を栄養源し
て細菌が繁殖して損傷部位を化膿させるおそれがあり、
また、損傷部位に残留する残留薬剤が劣化して損傷部位
に悪影響をおよぼすおそれがある。
【0005】従って、生体の損傷部位を清浄化するに
は、洗浄力が高い洗浄水を使用して、損傷部位をできる
限り短い時間で洗浄し終えることが好ましい。また、洗
浄後の損傷部位での細菌の繁殖に起因する化膿の発生を
防止するには、損傷部位の創口を早期に閉塞して、創口
に細菌が付着しないようにすることが必要であり、ま
た、創口を早期に閉塞するには、損傷部位での細胞の増
殖を助成することが必要である。
【0006】本発明は、高い洗浄力を有する電解生成水
として知られている、強アルカリ性の電解生成アルカリ
水に着目してなされたもので、その目的とするところ
は、電解生成アルカリ水が有する高い洗浄力を、生体の
損傷部位にダメージを与えることなく有効に利用するこ
とによって、生体の損傷部位の洗浄を短時間に終了させ
るとともに、これに併せて、洗浄された損傷部位での細
胞の増殖を助成することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、生体の損傷部
位を洗浄するために使用する洗浄水、および、当該洗浄
水を製造するための製造装置に関するものである。
【0008】しかして、本発明に係る洗浄水は、強アル
カリ性の電解生成アルカリ水と、生体の細胞の増殖能を
有する細胞増殖物質を主要構成成分とし、生体の細胞内
液の浸透圧に等しい等張状態に調製されていることを特
徴とするものである。
【0009】本発明に係る洗浄水においては、前記電解
生成アルカリ水として、希薄食塩水を被電解水とする有
隔膜電解にて陰極室側に生成される強アルカリ水を採用
し、かつ、前記細胞増殖物質として、細胞を培養する培
地の栄養成分を採用することができる。この場合、等張
状態は、含有する食塩の濃度を0.6重量%〜0.9重
量%に調製することにより形成することができる。
【0010】本発明に係る洗浄水の前記等張化状態は、
前記電解生成アルカリ水を生成する被電解水の食塩濃度
を調製することにより形成することができるとともに、
生成された前記電解生成アルカリ水の食塩濃度を調製す
ることによっても形成することができる。
【0011】また、本発明は、上記したこれらの洗浄水
を製造するための製造装置であり、当該製造装置は、隔
膜にて区画された陽極室および陰極室を有する有隔膜電
解槽と、同有隔膜電解槽の陽極室および陰極室にそれぞ
れ接続されて被電解水である無機塩の希薄水溶液をこれ
らの各室にそれぞれ供給する被電解水の供給管路と、前
記有隔膜電解槽の陽極室および陰極室にそれぞれ接続さ
れてこれらの各室にて生成される電解生成水を流出させ
る流出管路と、前記有隔膜電解槽の陰極室側の流出管路
の途中に接続された細胞増殖物質の貯留タンクを備え、
同貯留タンク内に貯留する前記細胞増殖物質を前記有隔
膜電解槽の陰極室側の流出管路を流動する電解生成アル
カリ水に供給して、当該洗浄水を調製するように構成し
ていることを特徴とするものである。
【0012】本発明に係る洗浄水の製造装置において
は、前記有隔膜電解槽の供給管路の途中に接続された無
機塩水の貯留タンクを備え、同貯留タンク内に貯留する
前記無機塩水を前記供給管路を流動する被電解水の原水
に供給して、前記有隔膜電解槽に供給される被電解水の
塩濃度を調製して等張状態を形成するように構成するこ
ともできる。
【0013】
【発明の作用・効果】本発明に係る洗浄水は、高い洗浄
力を有する強アルカリ性の電解生成アルカリ水と、生体
の細胞の増殖能を有する細胞増殖物質とを主要構成成分
とするものであって、生体の細胞に対して等張化された
等張液の形態に調製されているいるものである。
【0014】このため、当該洗浄水においては、生体の
損傷部位に対してダメージを与えることなく、電解生成
アルカリ水の高い洗浄作用を付与することができるもの
である。これにより、生体の損傷部位を短い時間に十分
に洗浄し得て、損傷部位を清浄化することができる。ま
た、当該洗浄水においては、かかる洗浄作用に併せて、
生体の損傷部位に対して、細胞増殖物質による細胞増殖
作用を付与することができるものである。これにより、
生体の損傷部位での細胞増殖を助成して、損傷部位の創
口を早期に閉塞させることができる。
【0015】従って、当該洗浄水によれば、生体の損傷
部位を短時間に清浄化し、かつ、損傷部位の創口を早期
に閉塞し得て、損傷部位である患部を早期に回復させる
ことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明に係る洗浄水は、生体に生
成される創傷、褥摩、擦り傷等や、各種の手術にて生成
される開放創等の、生体の損傷部位を洗浄するために使
用する洗浄水であって、当該洗浄水は強アルカリ性の電
解生成アルカリ水と、生体の細胞の増殖能を有する細胞
増殖物質を主要構成成分とし、生体の細胞内液の浸透圧
に等しい等張状態に調製されているものである。
【0017】当該洗浄水を構成する強アリカリ性の電解
生成アルカリ水は、高い洗浄力を有するものとして知ら
れていて、生体の洗浄に使用する場合には、高い洗浄作
用を発揮して生体を短時間に清浄化することができる。
しかしながら、生体の洗浄すべき部位が、特に、生体の
創傷、褥摩、擦り傷、開放創等が存在する損傷部位であ
る場合には、損傷部位に受けるダメージが大きい。本発
明に係る洗浄水においては、このダメージを極力抑制す
るために、生体の細胞内液の浸透圧に等しい等張状態に
調製されている。
【0018】これにより、当該洗浄水は、生体の損傷部
位の細胞に対しては、穏和な状態で作用することになっ
て、洗浄力を低下させることなく、損傷部位に対するダ
メージが緩和される。同時に、当該洗浄水を構成する細
胞増殖物質が、損傷部位に対する細胞増殖能を発揮し
て、清浄化された損傷部位での細胞の増殖を助成し、創
口を早期に閉鎖すべく機能する。
【0019】当該洗浄水を構成する電解生成アルカリ水
としては、食塩等の無機塩の希薄水溶液を被電解水とす
る有隔膜電解にて陰極室側に生成される電解生成水を採
用することができる。陰極室側に生成される電解生成水
は、pHが9〜11の強アルカリ性の電解生成アルカリ
水である。また、当該洗浄水を構成する細胞増殖物質と
しては、細胞を培養する培地を構成する種々の栄養成分
を採用することができる。
【0020】当該洗浄水の等張化は、例えば、電解生成
アルカリ水中の食塩濃度を調整することにより行うこと
ができ、食塩濃度を0.6重量%〜0.9重量%の範囲
で調整すれば、当該洗浄水は等張状態となる。等張化す
る手段としては、電解生成アルカリ水の生成に使用する
被電解水の食塩濃度を調整する手段を採用することがで
き、また、生成された電解生成アルカリ水に食塩を添加
して、電解生成アルカリ水中の食塩濃度を調整する手段
を採用することができる。
【0021】図1には、当該洗浄水を製造するための製
造装置の一例を概略的に示している。当該製造装置は、
基本的には、有隔膜電解槽を有する電解生成装置と同様
の構成であって、有隔膜電解槽10を主要構成部とし、
これに第1貯留タンク20aと第2貯留タンク20bを
備えた構成となっている。
【0022】有隔膜電解槽10は槽本体11からなり、
槽本体11は、その内部をイオン透過性の隔膜12にて
2つの区画室に区画されていて、一方の区画室はその内
部に陽極電極13aが配設されて陽極室13に形成さ
れ、かつ、他方の区画室はその内部に陰極電極14aが
配設されて陰極室14に形成されている。
【0023】当該有隔膜電解槽10においては、被電解
水の供給管路21が陽極室13および陰極室14に接続
され、かつ、陽極室13および陰極室14には、各室1
3,14にて生成される電解水を流出する第1流出管路
22、第2流出管路23がそれぞれ接続されている。供
給管路21は、下流側が分岐された状態で陽極室13お
よび陰極室14に接続されていて、その上流側にて水道
水等の水源に接続されている。この供給管路21の途中
には、第1貯留タンク20aが接続されている。また、
第2流出管路23には、第2貯留タンク20bが接続さ
れている。
【0024】第1貯留タンク20aは、飽和濃度の食塩
水を貯留するもので、電解運転中、供給管路21を流通
する水道水等の一般水に一定量の食塩水を継続して供給
することにより、供給管路21内で一定濃度の希薄塩水
溶液を調製する。調製された希薄塩水溶液は、被電解水
として、電解運転中、供給管路21を通して有隔膜電解
槽10の陽極室13および陰極室14に供給される。こ
の場合、被電解水の食塩濃度は、生成された電解生成ア
ルカリ水中に未消費の状態で残留する食塩の濃度が0.
6重量%〜0.9重量%の範囲の適宜の量になるように
調整する。
【0025】第2貯留タンク20bは、細胞を培養する
培地を構成する種々の栄養成分を貯留するもので、装置
の電解運転中に、第2流出管路23を流通する電解生成
アルカリ水の所定量の栄養分を継続して供給する。
【0026】当該製造装置を電解運転すれば、第1貯留
タンク20aから、一定濃度の食塩水が供給管路21内
の流動している水中に供給されて被電解水が調製され、
調製された被電解水は、供給管路21を通して陽極室1
3および陰極室14に供給される。供給された被電解水
は、陽極室13内では強酸性の電解生成水に生成される
とともに、陰極室14内では強アルカリ性の電解生成水
に生成される。陽極室13内で生成された電解生成酸性
水は、第1流出管路22を通して外部に流出され、か
つ、陰極室14内で生成された電解生成アルカリ水は、
第2流出管路23を通して外部に流出される。第2流出
管路23を通って流出する電解生成アルカリ水には、第
2貯留タンク20bから所定量の栄養成分が継続的に供
給されて、洗浄水として流出する。
【0027】流出する洗浄水は、第2貯留タンク20b
から電解生成アリカリ水に供給される栄養成分により、
電解生成アリカリ水と栄養成分を主要構成成分とする洗
浄水に構成され、かつ、第1貯留タンク20aから供給
される食塩水の供給量の制御によって等張状態にある。
【0028】
【実施例】本発明に係る洗浄水の作用効果を確認するた
め、当該洗浄水、当該洗浄水を構成する強アルカリ性の
電解生成アルカリ水の生体の損傷部位に対する影響、す
なわち、細胞に対するダメージ、および、細胞の増殖に
ついての実験1,2を試みた。実験1では、強アルカリ
性の電解生成アルカリ水の生体の損傷部位に対する影響
を確認する実験を行い、かつ、実験2では、当該洗浄水
による細胞の増殖の影響を確認する実験を行った。
【0029】(実験1)本実験は当該洗浄水を構成する
強アルカリ性の電解生成アルカリ水の生体の損傷部位へ
の影響を確認するため、強アルカリ性の電解生成アルカ
リ水および生体の細胞内液の浸透圧に等しい等張状態に
した強アルカリ性の電解生成アルカリ水を細胞に曝露す
る実験を行った。
【0030】(供試細胞)本実験にはチャイニーズ・ハ
ムスター由来のV79細胞(理化学研究所)を使用した
(以下V79細胞と記す)。
【0031】(培地の調製)V79細胞を培養する培地
はMO5培地を使用した。MO5培地の調製方法はME
Mアール(コージン・バイオ株式会社)9.4gに1mmol/L
ピルビン酸、0.05mg/mlカナマイシン及び5vol%牛胎児
血清を加え、1Lに調製した。
【0032】(強アルカリ性の電解生成アルカリ水)本
実験は電解生成アルカリ性水のpHが11.3以上、酸化還
元電位が-800mV以下のものを使用した。
【0033】(リン酸緩衝生理食塩水の調製)リン酸緩
衝生理食塩水はNaCl 8.0g,KCl 0.2g,Na2HPO4 1.15
g,KH2PO4 0.2gを蒸留水にて1Lに調製した。
【0034】(等張化強アルカリ性の電解生成アルカリ
水の調製)生体の細胞内液の浸透圧に等しい等張状態に
ある強アルカリ性の電解生成アルカリ水を調製するため
上記の強アルカリ性の電解生成アルカリ水と10倍濃度
の上記リン酸緩衝生理食塩水を9:1の割合で混合した
ものを等張化強アルカリ性の電解生成アルカリ水とし
た。
【0035】(実験操作)単層に増殖したV79細胞を
トリプシン処理によりはく離し、MO5培地を用いて1
00個/mlの細胞浮遊液を調製した。この細胞浮遊液
を組織培養用のファルコン組織培養用プラスチックプレ
ート24穴の各ウエルに0.5mlずつ播種し、37℃
の5%CO2インキュベーターで6時間培養した。培養
後、細胞がウエルの底面に接着していることを確認して
からウエル中の培地を取り除き、強アルカリ性の電解生
成アルカリ水の濃度が異なる強アルカリ性の電解生成ア
ルカリ水及び等張化強アルカリ性の電解生成アルカリ水
をウエルに0.5mlずつ加え、37℃の5%インキュ
ベーターで30分間曝露した。曝露後全てのウエルをM
O5培地に交換し、37℃の5%CO2インキュベータ
ーで6日間培養した。培養終了後、ウエルを10%中性
リン酸緩衝ホルマリン溶液で30分間固定し、0.1%
メチレンブルー溶液で15分間染色してコロニーを計数
し、リン酸緩衝生理食塩水で曝露したものと比較するこ
とによりコロニー形成率を算出した。
【0036】(結果及び考察)図2を参照すると明らか
なように、V79細胞に強アルカリ性の電解生成アルカ
リ水を曝露したときは大幅にコロニーの形成を阻害して
いる。それに対し、生体の細胞内液の浸透圧に等しい等
張状態にある強アルカリ性の電解生成アルカリ水を曝露
したときは強アルカリ性の電解生成アルカリ水を曝露し
たときに比べコロニー形成率が高くなっていることが判
る。このことから強アルカリ性の電解生成アルカリ水を
等張化することは、細胞に対するダメージを軽減するこ
とができるため、強アルカリ性の電解生成アルカリ水を
その主要構成成分とする本発明に係る洗浄水も同様に、
生体の細胞内液の浸透圧に等しい等張状態に調製するこ
とにより細胞に対するダメージを減らすことができる。
【0037】(実験2)本実験は当該洗浄水の細胞の増
殖の影響を確認するため、当該洗浄水の一例である強ア
ルカリ性の電解生成アルカリ水と生体の細胞の増殖能を
有する細胞増殖物質としてMO5培地を使用した溶液を
用いて細胞を培養する実験を行った。
【0038】(供試細胞)本実験にはチャイニーズ・ハ
ムスター由来のV79細胞(理化学研究所)を使用した
(以下V79細胞と記す)。
【0039】(培地の調製)V79細胞を培養する培地
はMO5培地を使用した。調整方法は実験1と同様に調
製した。
【0040】(強アルカリ性の電解生成アルカリ水とM
O5培地からなる溶液の調製)培地MEMアール(コー
ジン・バイオ株式会社)9.2g、1mmol/Lピルビン酸、0.0
5mg/mlカナマイシン及び5vol%牛胎児血清を加え、各
種濃度に希釈した電解生成強アルカリ性水にて1Lに調製
し、各種濃度の電解生成強アルカリ性水とMO5培地か
らなる溶液とした。MO5培地はその培地成分から生体
の細胞内液の浸透圧に等しい等張状態を有している。
【0041】(実験操作)単層に増殖したV79細胞を
トリプシン処理によりはく離し、MO5培地を用いて1
00個/mlの細胞浮遊液を調製した。この細胞浮遊液
を組織培養用のファルコン組織培養用プラスチックプレ
ート24穴の各ウエルに0.5mlずつ播種し、37℃
の5%CO2インキュベーターで6時間培養した。培養
後、細胞がウエルの底面に接着していることを確認して
からウエル中の培地を取り除き、各種濃度の強アルカリ
性の電解生成アルカリ水とMO5培地からなる溶液をウ
エルに0.5mlずつ加え、37℃の5%インキュベー
ターで6日間培養した。培養終了後、ウエルを10%中
性リン酸緩衝ホルマリン溶液で30分間固定し、0.1
%メチレンブルー溶液で15分間染色してコロニーを計
数し、MO5培地で培養したものとと比較することによ
りコロニー形成率を算出した。
【0042】(結果及び考察)図3を参照すると明らか
なように、強アルカリ性の電解生成アルカリ水とMO5
培地からなる溶液でV79細胞を培養したときはMO5
培地で培養したときに比べコロニー形成率が高くなって
いる。このことから、強アルカリ性の電解生成アルカリ
水とMO5培地からなる溶液が細胞の増殖を促進してい
るため、当該洗浄水も同様に細胞の増殖を促進する効果
を有することが判る。
【0043】(実験1及び実験2の総括)強アルカリ性
の電解生成アルカリ水は高い洗浄力を有しているが、生
体の損傷部位にダメージを与えるために洗浄水として用
いるには適していない。しかし、実験1に示したよう
に、生体の細胞内液の浸透圧に等しい等張状態に調製し
た強アルカリ性の電解生成アルカリ水は強アルカリ性の
電解生成アルカリ水と比較して細胞に対するダメージを
減らすことができる。さらに、実験2では強アルカリ性
の電解生成アルカリ水とMO5培地からなる溶液はMO
5培地のみと比較して細胞の増殖が促進されることがわ
かる。
【0044】従って、強アルカリ性の電解生成アルカリ
水と、生体の細胞の増殖能を有する細胞増殖物質を主要
構成成分とし、生体の細胞内液に等しい等張状態に調製
された洗浄水は高い洗浄力を有するとともに、生体の損
傷部位にダメージを与えることなく、洗浄された損傷部
位での細胞の増殖を助成して、損傷部位の創口を早期に
閉塞させることができる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る生体の損傷部位用の洗浄水の製
造装置の概略的構成図である。
【図2】 強アルカリ性の電解生成アルカリ水をV79
細胞に曝露した際のコロニー形成率を示した図である。
【図3】 本発明に係る洗浄水の一例である強アルカリ
性の電解生成アルカリ水とMO5培地からなる溶液で細
胞培養した際のコロニー形成率を示した図である。
【符号の説明】
10…有隔膜電解槽,11…槽本体,12…隔膜,13
…陽極室,13a…陽極電極,14…陰極室,14a…
陰極電極,20a…第1貯留タンク,20b…第2貯留
タンク,21…供給管路,22…第1流出管路,23…
第2流出管路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 17/02 A61P 17/02 43/00 107 43/00 107 C02F 1/46 C02F 1/46 A Fターム(参考) 4C058 AA20 AA28 BB02 CC02 DD06 4C084 AA17 MA02 MA63 NA05 ZA892 ZA902 4C087 AA01 AA02 BA01 MA02 MA63 NA05 ZA89 ZA90 4D061 DA03 DB01 DB08 EA02 EB02 EB04 EB12 ED13

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】生体の損傷部位を洗浄するために使用する
    洗浄水であって、当該洗浄水は強アルカリ性の電解生成
    アルカリ水と、生体の細胞の増殖能を有する細胞増殖物
    質を主要構成成分とし、生体の細胞内液の浸透圧に等し
    い等張状態に調製されていることを特徴とする洗浄水。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の洗浄水において、前記電
    解生成アルカリ水は希薄食塩水を被電解水とする有隔膜
    電解にて陰極室側に生成される強アルカリ水であり、か
    つ、前記細胞増殖物質は細胞を培養する培地の栄養成分
    であることを特徴とする洗浄水。
  3. 【請求項3】請求項1に記載の洗浄水において、前記等
    張状態は、含有する食塩の濃度を0.6重量%〜0.9
    重量%に調整することにより形成されることを特徴とす
    る洗浄水。
  4. 【請求項4】請求項1に記載の洗浄水において、前記等
    張化状態は、前記電解生成アルカリ水を生成する被電解
    水の食塩濃度を調製することにより形成されることを特
    徴とする洗浄水。
  5. 【請求項5】請求項1に記載の洗浄水において、前記等
    張化状態は、生成された前記電解生成アルカリ水の食塩
    濃度を調製することにより形成されることを特徴とする
    洗浄水。
  6. 【請求項6】強アルカリ性の電解生成アルカリ水と、生
    体の細胞の増殖能を有する細胞増殖物質を主要構成成分
    とし、生体の細胞内液の浸透圧に等しい等張状態に調製
    されている、生体の損傷部位を洗浄するために使用する
    洗浄水の製造装置であって、隔膜にて区画された陽極室
    および陰極室を有する有隔膜電解槽と、同有隔膜電解槽
    の陽極室および陰極室にそれぞれ接続されて被電解水で
    ある無機塩の希薄水溶液をこれらの各室にそれぞれ供給
    する被電解水の供給管路と、前記有隔膜電解槽の陽極室
    および陰極室にそれぞれ接続されてこれらの各室にて生
    成される電解生成水を流出させる流出管路と、前記有隔
    膜電解槽の陰極室側の流出管路の途中に接続された細胞
    増殖物質の貯留タンクを備え、同貯留タンク内に貯留す
    る前記細胞増殖物質を前記有隔膜電解槽の陰極室側の流
    出管路を流動する電解生成アルカリ水に供給して、当該
    洗浄水を調製するように構成していることを特徴とする
    洗浄水の製造装置。
  7. 【請求項7】請求項6に記載の洗浄水の製造装置におい
    て、前記有隔膜電解槽の供給管路の途中に接続された無
    機塩水の貯留タンクを備え、同貯留タンク内に貯留する
    前記無機塩水を前記供給管路を流動する被電解水の原水
    に供給して、前記有隔膜電解槽に供給される被電解水の
    塩濃度を調製して等張状態を形成するように構成してい
    ることを特徴とする洗浄水の製造装置。
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