JPH09215499A - 有用タンパク質の製造方法およびこれに用いるカイコ - Google Patents

有用タンパク質の製造方法およびこれに用いるカイコ

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JPH09215499A
JPH09215499A JP8048436A JP4843696A JPH09215499A JP H09215499 A JPH09215499 A JP H09215499A JP 8048436 A JP8048436 A JP 8048436A JP 4843696 A JP4843696 A JP 4843696A JP H09215499 A JPH09215499 A JP H09215499A
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silkworm
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pupae
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JP8048436A
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Tamao Shimamura
玲郎 島村
Yasumasa Yamazaki
泰正 山崎
Hiroyuki Okazaki
博之 岡▲崎▼
Toshimichi Kanetani
利道 金谷
Takeo Suzuki
健夫 鈴木
Hidekazu Nagaya
英和 長屋
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Katakura Industries Co Ltd
Original Assignee
Katakura Industries Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 カイコを利用する有用タンパク質の製造にお
いて、目的タンパク質のプロテアーゼによる分解や不純
物の生成を抑制しうる製造方法を提供する。 【解決手段】 カイコに目的タンパク質をコードする遺
伝子を組込んだウイルスを感染させ、カイコ中から目的
タンパク質を採取する方法において、該ウィルスを蛹の
状態のカイコに接種することを特徴とするカイコからの
有用タンパク質の製造方法およびこれに用いられる、少
なくとも80%の裸蛹率を有するカイコ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カイコを用いる有
用タンパク質の製造方法に関し、更に詳細には、医薬原
料などの目的タンパク質をコードする遺伝子を組み込ん
だウイルス(以下、「組換えウイルス」という)をカイ
コの蛹に接種し、カイコ体内で産生された有用タンパク
質を回収する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、遺伝子組換え技術を利用し、カイ
コやヨトウ蛾等の昆虫の幼虫やその培養細胞を用いて有
用タンパク質を生産する技術が盛んに研究されている。
これらの昆虫の幼虫や昆虫細胞を用いる遺伝子組換え
手法においては、バキュロウイルス、特にその中の核多
角体病ウイルス(NPV)をベクターとして利用する方
法が一般的である(特開昭61−9288号、同62−
208276号等)。
【0003】このようなカイコ幼虫や細胞を利用した遺
伝子組換えの技術は、宿主となるカイコが従来用いられ
ている大腸菌や酵母と比べて遺伝的に人間に近いもので
あるため、産生有用物質の活性や抗原性の点等から好ま
しいとされている。
【0004】これらの遺伝子組換えの手法のうち、例え
ばカイコ幼虫の生体を用いる方法は、カイコ多角体病ウ
イルス(BmNPV)の有する多角体遺伝子を他の有用
タンパク質をコードする遺伝子に置き換えて組換えウイ
ルスを調製し、これを5齢カイコ幼虫に接種して感染さ
せ、4〜6日後に組換えウイルスが増殖の過程でカイコ
幼虫細胞中で産生し、体液中に分泌した有用タンパク質
を採取、分離、精製するというものである。この方法に
よれば、細胞培養によることなく通常のカイコ幼虫の飼
育で有用タンパク質が得られること、またタンパク質が
多量に発現することから、経済性の面から極めて有利な
ものと期待されている。
【0005】しかし、実際にカイコ幼虫に組換えウイル
スを接種し、有用タンパク質を産生させようとすると、
感染後5日目程度までは飼育期間に従って有用タンパク
質の量が増加して行くが、その後は減少してしまうとい
う現象が起き、期待した通りに有用タンパク質が得られ
ないことが知られてきた。
【0006】このような現象は、ウイルスに感染したカ
イコの体液中に有用タンパク質を分解するプロテアーゼ
が存在するためと考え、本発明者らは、カイコの体液中
に存在するプロテアーゼについて種々検討を行なった。
そして、組換えウイルスに由来するシステインプロテア
ーゼをコードする遺伝子の全部または一部を欠損したカ
イコ核多角体病ウイルス(以下、「BmNPVCP-
という)を利用する方法を先に出願した(特開平7−3
03488号公報)。 この方法は、一旦生成された有
用タンパク質がウィルス由来のプロテアーゼによって分
解されるのを防ぐ目的で非常に有効である。しかし、有
用タンパク質の種類によっては、中腸プロテアーゼなど
カイコに由来するプロテアーゼにより分解されることも
考えられるため、それを防ぐことが課題として残されて
いた。
【0007】また、ウィルス接種後の飼育期間中に、有
用タンパク質以外の不純物が多量に蓄積され、分離、精
製に困難が伴ったり、有用タンパク質の収量が減少する
ということも知られている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って、カイコを利用
する有用タンパク質の製造において、生成された有用タ
ンパク質のプロテアーゼによる分解や不純物の生成を、
より抑制しうる方法の提供が求められていた。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記実情
に鑑み、組換えウイルスを接種する時期や、使用するカ
イコの品種などについて鋭意研究を行なった結果、蛹の
段階のカイコにウイルスを接種すれば、カイコ由来の消
化酵素等の影響が少なく、しかも、不純物の蓄積も少な
いということを見出し、本発明を完成した。
【0010】すなわち本発明の目的は、カイコに目的タ
ンパク質をコードする遺伝子を組込んだウイルスを感染
させ、カイコ中から目的タンパク質を採取する方法にお
いて、該ウィルスを蛹の状態のカイコに接種することを
特徴とするカイコからの有用タンパク質の製造方法を提
供することである。
【0011】また、本発明の他の目的は、有用タンパク
質の製造に利用される、少なくとも80%の裸蛹率を有
するカイコを提供することである。
【0012】
【発明の開示】本発明は、カイコが蛹化した段階で組換
えウイルスを接種し、カイコ体内(蛹内)でウイルスを
増殖させ、一定時間経過後目的タンパク質を分離・回収
することにより行われる。
【0013】本発明において用いられるカイコは、飼育
方法が確立し、一般に普及している品種を有利に使用す
ることができるが、通常カイコの蛹は繭に覆われている
ため、ウイルス接種時の作業の効率を考慮すると、蛹化
時に繭をつくらない品種、いわゆる裸蛹系統のカイコを
使用することが好ましい。
【0014】裸蛹系統のカイコは、繭形成に関わる遺伝
子が変異し、蛹化はしても繭を作らないカイコであり、
繭を作らないため、これまでは利用価値のない変種と考
えられてきたものである。 この裸蛹系統のカイコとし
ては、例えばNd系、NdH系、Ndb系、Nd−s系、
Nd−t系等のカイコが知られており、本発明において
はこれらを有利に使用することができる。
【0015】しかし、一般にこれら裸蛹系統のカイコの
裸蛹率はそれほど高くないので、継代しながら蛾区選抜
や個体選抜を実施し、裸蛹率を高めて使用することが好
ましい。従って、本発明においては、裸蛹率が80%以
上に高められたカイコを使用することが好ましく、特に
裸蛹率が95%以上のカイコであればより好ましい。例
えば、後述する実施例において用いられるNd系のカイ
コ、Nd(K)は本発明者らが18代に渡り継代して裸
蛹率を当初の34%から98%に高めた強裸蛹カイコで
あり、本発明方法に極めて有利に利用できる。
【0016】また、一般に裸蛹系統のカイコは純粋種で
あるため飼育が難しく、体重も比較的少ないので、有用
タンパク質の生産に用いる場合は他の品種のカイコと交
配させ、性質や体格が改善された交雑種(一代雑種)を
使用することがより好ましい。
【0017】裸蛹系統のカイコと交配させる他の品種
は、飼育方法が確立されており、体重が多い品種、とり
わけウィルスが増殖する脂肪組織が豊富な品種が好まし
く、例えば、太平(N2)、太平1号などのN2系の品
種のカイコを利用することが好ましい。
【0018】交雑種の例としては、Nd(K)とN2と
を交配して得られる一代雑種、Nd(K)と太平1号と
を交配して得られる一代雑種、NdH系とN2とを交配
して得られる一代雑種等を挙げることができる。特にN
d(K)×N2は、95%を越える高い裸蛹率でありな
がら、絹糸腺が未発達で絹タンパク質生産に利用される
アミノ酸を目的有用タンパク質の生産に利用でき、なお
かつ各個体の体重が多く脂肪組織も豊富で、人工飼料も
旺盛に食下するなど飼育し易いため、有用タンパク質の
生産に適している。なお、本発明において「裸蛹系統」
とは、本来の裸蛹系統(純粋種)のカイコだけでなく、
これと他の品種とを交配させた交雑種であって裸蛹形質
を維持しているカイコも含むものである。
【0019】代表的な裸蛹系統のカイコであるNd系
は、保存品種として九州大学蚕遺伝子保存施設または蚕
糸・昆虫農業技術研究所に保存されており、また、Nd
系との交配に用いた「太平(N2)」は、片倉工業株式
会社または農林水産省に保存されており、いずれも所定
の手続きにより分譲を受けることが可能である。
【0020】一方、本発明において、カイコの蛹に接種
する組換えウイルスとしては、例えばカイコ核多角体病
ウイルスDNA(BmNPV DNA)の多角体蛋白構
造遺伝子部分に、目的とする有用タンパク質の遺伝子を
組み込んだものが挙げられる。 ここで用いられるカイ
コ核多角体病ウイルスは、野生型のウイルス株の中か
ら、増殖が活発で、しかも多角体形成の良好な株を分離
し、数回のプラーク形成によりクローン化されたもので
あり、その代表的なものとしては、T3株(ATCC)
やP4E株(蚕糸・昆虫農業技術研究所)が知られてい
る。
【0021】組換えウイルスの調製は常法にしたがって
行なうことができる。 例えばカイコ核多角体病ウイル
スの多角体タンパク質発現プロモーターを調製し、この
プロモーターの下流に目的とする有用タンパク質をコー
ドする遺伝子を組み込み、発現ベクターを調製する。
次いで、この発現ベクターと予めクローン化してあるカ
イコ核多角体病ウイルスとをカイコ樹立細胞中でコ・ト
ランスフェクトさせ、形質転換された組換えウイルスを
同じくカイコ樹立細胞中で培養増殖させ、その細胞を破
壊して組換えウイルスを取得すれば良い。
【0022】なお、本発明においては、BmNPV D
NA断片上に存在するシステインプロテアーゼ遺伝子の
一部若しくは全部を欠損またはマーカー遺伝子で置換し
た遺伝子組換え用カイコ核多角体病ウイルス(BmNP
VCP-)を用いると、ウイルス由来のシステインプロ
テアーゼによる目的タンパク質の分解を防ぐことができ
るので特に好ましい(特開平7−303488号公報参
照)。なお、このBmNPVCP-は、ブタペスト条約
に基づきアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション
(米国メリーランド州)に ATCC No.VR−250
0 として寄託済みである。
【0023】本発明方法により、生産される有用タンパ
ク質の例としては、ウロキナーゼ、アンジオテンシン変
換酵素、α−アミド化酵素、チトクロームP450など
の酵素類;インシュリン、ソマトメジン、ヒト成長ホル
モン、各種動物成長ホルモン等のホルモン類;インター
フェロン(α、β、γ)、インターロイキン(1−
7)、CSF、EPO等のサイトカイン類;エイズウイ
ルスのgp160(gp120、gp40)、インフル
エンザのHAタンパク質、B型肝炎ウイルスのHBs、
C型肝炎ウイルスのHCs、狂犬病ウイルスのgp50
等の各種ウイルスのタンパク質類;T細胞のCD4、C
−fms、erbB等の各種細胞のレセプタータンパク
質類;myf、fos等の核内タンパク質類;ルシフェ
ラーゼ等のタンパク類、糖タンパク類;各種生理活性ペ
プチド類;などを挙げることができる。
【0024】カイコ蛹への上記組換えウイルスの接種
は、必要に応じ繭を除去した後、蛹にウイルス液を注入
する注射法、針に微量のウイルス液を塗布し蛹に接種す
る微量接種法等の方法により行うことができる。注射法
は、ウイルスを感染させた培養細胞の上清を滅菌蒸留水
で5〜10倍に希釈して調製したウイルス懸濁液を、注
射器を用いて蛹1頭当たり約50μl程度注射すればよ
い。 微量接種法は、前記ウイルス懸濁液に通常の針ま
たは注射針を一瞬浸し、直ちに蛹に刺して接種すればよ
く、この場合、1接種当たりのウイルス量は注射法に比
べ約1/300でよい。 いずれの方法においても、接
種を行う位置および針を刺す深さは任意である。微量接
種法の場合は針が貫通しても蛹は死亡せずに感染が成立
する。 なお、Nd(K)などの裸蛹カイコや、その一
代交雑種を用いた場合は、蛹時に繭を形成しないため、
繭の除去操作が不要となること、蛹になった時期が一目
でわかり好ましい時期に接種可能であること等の面で有
利である。
【0025】カイコに接種する組換えウイルスは、ウイ
ルス懸濁液、ウイルス凍結乾燥粉末等に調製して接種に
供することができる。ウイルスの接種量は、使用する組
換えウイルスの種類、産生させるべき有用タンパク質の
種類により異なる。例えば、カイコ核多角体病ウイルス
を用いる場合の標準としては、前記のとおりウイルス培
養細胞上清を滅菌蒸留水で5〜10倍に希釈して(およ
そ103〜104TCID50/25μl程度)用いること
が好ましい。 なお、前記ウイルス懸濁液は、100倍
程度まで希釈して用いることも可能である。この濃度で
微量接種法により蛹に接種すると、発現時期が一日程度
遅れるが高い発現が得られ特に不都合は生じない。しか
し、幼虫を用いた場合は高率に感染するものの、タンパ
ク質の発現が2桁以上も低くなる。
【0026】ウイルス接種の時期は、蛹化後72時間以
内が好ましく、特に、蛹化後48時間以内に接種するこ
とが好ましい。
【0027】上記の様にして組換えウイルスを接種した
後は、カイコ蛹内で組換えウイルスが増殖するまで放置
する。一定温度に置いた場合は常に一定の日数で安定し
た目的タンパク質を得ることができるが、放置する時間
や温度などの条件は用いるウイルスや目的タンパク質の
種類により異なるため、実験的に定めることが好まし
い。例えば、組換えウイルスとしてカイコ核多角体病ウ
イルスを使用してルシフェラーゼを生産する場合、放置
する温度は23〜27℃の範囲が適当である。
【0028】しかし、通常のカイコ核多角体病ウイルス
(以下、「BmNPVCP+」と表記する)を使用する
場合と、BmNPVCP-を使用する場合では、タンパ
ク質の回収時期が異なるので注意を要する。BmNPV
CP+の場合は、接種後88〜112時間程度でルシフ
ェラーゼの生産がピークになるため、この時期に回収す
ることが好ましい。一方、BmNPVCP-の場合は、
接種後120〜139時間後の致死期にルシフェラーゼ
の生産がピークに達するため、この時期に蛹の腹部を指
で押して反応がなければ致死したとみなして回収するこ
とが好ましい。
【0029】従って、目的タンパク質を回収するために
蛹を処理する一応の目安としては、BmNPVCP+
場合は感染後4〜5日、BmNPVCP-の場合あるい
は目的タンパク質が分解を受け易いものである場合は感
染後5〜6日が、それぞれ好ましい。 なお、蛹におい
ては幼虫のように核多角体病(膿病)特有の病徴を呈す
ることはないが、蛹内部の組織崩壊により腹部が軟化し
て偏平になり表皮にしわが寄ってくるので、外部からも
観察可能である。
【0030】飼育容器は無菌環境が維持できるものがよ
く、例えば除菌フィルターの付いた通気性のある蓋によ
り密閉された容器を使用するとよい。
【0031】カイコ蛹体中で産生された目的タンパク質
の回収・分離は、カイコ蛹体中に目的タンパク質が最も
多く蓄積される時期にカイコ蛹を回収し、リン酸バッフ
ァー等を加えて摺りつぶした後、遠心分離、カラムクロ
マトグラフィー等の各種分離手段によりタンパク質を取
得、精製すれば良い。この場合、10〜100μMのロ
イペプチン(Leupeptin)を添加すると目的タンパク質
の分解抑制に効果的である。
【0032】また、別の手段としては、カイコ蛹を摺り
つぶし、SDS水溶液、尿素水溶液、アルカリ性水溶液
等で抽出した後、常法処理によって有用タンパク質を分
離、採取する方法あるいは摺りつぶしたカイコ蛹をリン
酸バッファー等に懸濁させ、超音波処理を施した後、血
球等の、目的タンパク質と特異的に結合する物質を加え
てタンパク質を取得する方法が挙げられる。更に別の手
段としては、カイコ蛹の体液を採取して、そのまま常法
により処理し有用タンパク質を取得する方法を挙げるこ
とができる。
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、カイコ由来の酵素によ
るタンパク質の分解が抑えられ、目的タンパク質の回収
率が高くなる。しかも不純物の蓄積が少ないので、目的
タンパク質の分離・精製が容易であり、工業的にも十分
に満足しうるものである。特に組換えウイルスとしてB
mNPVCP-を用いた場合は、非常に有用である。
【0034】また、幼虫に比べ蛹は扱い易いため、大量
のカイコを用いてタンパク質を生産させる上で有利であ
る。例えば、ウイルス接種後は蛹を放置するだけでよく
給餌の手間がいらないこと、餌の食べ残しや糞による汚
染が無く環境を清浄に維持しやすいこと、病原菌による
汚染が懸念される状況においても塩化ベンザルコニウム
液や次亜塩素酸ナトリウム液等の薬剤を用いて容易に蛹
の表面消毒が可能であること等の利点が挙げられる。
しかも、蛹を用いる場合は、動き回る幼虫よりもウイル
スの接種作業が容易であり、特に裸蛹系統のカイコを用
いると繭の除去作業が不要となるため好都合である。
【0035】
【実施例】次に参考例および実施例を挙げ、本発明を更
に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例等になんら
制約されるものではない。なお、実施例中のルシフェラ
ーゼ活性は、10mM 硫酸マグネシウムを含む50m
M HEPES緩衝液(pH7.8) 300μl、3m
M ATP200μlおよび試料 10μlを混合し、
0.125mM ルシフェリンナトリウム塩 100μl
を加えて、30秒間静置した後、続く30秒間のフォト
ン数をルミネッセンスリーダ BLR−201(アロカ
社製)を用いて積算測定する方法により測定した。ま
た、ルシフェラーゼ活性は、アメリカホタル(Photinus
pyralis)尾部より精製したルシフェーラーゼ(シグマ
社製)を標準として検量線を作成し算出した。
【0036】参 考 例 1 強裸蛹カイコの選抜:裸蛹系統のカイコNd種(農林水
産省蚕糸・昆虫農業技術研究所から入手)を裸蛹率の高
い方向に選抜育成した。Nd種の同一母蛾集団を10蛾
区(1蛾区当りの飼育頭数350頭)飼育し、これらの
裸蛹率を測定し、最も裸蛹率の高い蛾区を選出した。次
に、選抜した蛾区の裸蛹の雌雄を交配採取し、得られた
2世代カイコを10蛾区飼育し、先と同様に蛾区選抜を
行った。 このように蛾区選抜と個体選抜を併用して1
8代に渡り選抜を行った結果、裸蛹率は98%まで高め
られた。選抜の概要は表1に示すとおりである。得られ
た裸蛹率の高いカイコを、以下Nd(K)と表記する。
【0037】 表 1 ───────────────────────── 世代数 飼 育 年 月 裸蛹率 ───────────────────────── 1 1990年5月 34% 2 1990年7月 41% 3 1990年8月 34% 4 1991年5月 40% 5 1991年7月 45% 6 1991年8月 57% 7 1992年5月 55% 8 1992年7月 52% 9 1992年8月 63% 10 1993年5月 66% 11 1993年7月 78% 12 1993年8月 72% 13 1994年5月 92% 14 1994年7月 89% 15 1994年8月 93% 16 1995年5月 94% 17 1995年7月 97% 18 1995年8月 98% ─────────────────────────
【0038】参 考 例 2 一代雑種の育成:参考例1で得られた強裸蛹種のカイ
コ、Nd(K)を日本種原々種の「太平(N2)」と交
配し、一代雑種を育成した。この一代雑種Nd(K)×
N2の性状は表2に示すとおりである。なお、対照品種
として養蚕用品種として農林水産省の指定を受けている
「秋光×竜白」を用いた。また、このNd(K)×N2
の裸蛹率は95%であった。
【0039】 表 2 ────────────────────────────────── 品種名 ─────────────────────────── 秋光×竜白 Nd(K) N2 Nd(K) 性 状 ×N2 ────────────────────────────────── 化 性 2 2 2 2 系 統 交雑種 日日固定種 日日固定種 日日交雑種 斑 紋 形蚕 形蚕 形蚕 形蚕 全齢経過日数 24.20 24.02 24.15 24.10 化蛹歩合(%) 96 94 85 98 繭重(g) 1.98 − 2.02 − 繭層重(cg) 42.3 0 39.1 0 繭層歩合(%) 21.36 0.00 19.36 0.00 五齢期食下量 13.2 9.9 13.9 11.7 (g/頭) 最大幼虫体重 5.72 4.83 5.86 5.69 (g) 絹糸腺重量 30 13 27 15 割合(%) 脂肪体重量 4.1 6.6 3.9 6.3 割合(%) ──────────────────────────────────
【0040】実 施 例 1 カイコ蛹によるルシフェラーゼの生産:カイコ(秋光×
竜白種)を雌雄に分け、蛹化してから1〜2日後に繭を
除去し、ルシフェラーゼを組み込んだBmNPVCP+
を注射器によって蛹1頭当り50μlづつ胸部に接種し
た。 接種後24、48、72、88、96、112、
120、128、136および144時間で蛹を採取
し、10% 飽和硫酸アンモニウムおよび1mM EDT
Aからなる溶液を1頭当り5ml加えて磨砕した。次
に、これらの磨砕液を4重ガーゼで濾過して作成した粗
酵素液について、ルシフェーラーゼ活性を測定し、更に
LOWRY法により総タンパク質濃度を測定した。 結
果は図1に示すとおりである。雌雄でルシフェラーゼ発
現量に大きな差は見られなかったが、総タンパク質濃度
は雌の方が雄を大きく上回っていた。
【0041】実 施 例 2 カイコの蛹によるルシフェラーゼの生産およびウイルス
接種時期の検討:カイコ(秋光×竜白種)が蛹化してか
ら1日後あるいは3日後に繭を除去して雌雄に分け、ル
シフェラーゼ遺伝子を組み込んだBmNPVCP+を注
射器によって蛹1頭当り50μlづつ胸部に接種した。
接種後72、80、88、96、104、112、12
0および128時間で蛹を採取し、10% 飽和硫酸ア
ンモニウムおよび1mM EDTAからなる溶液を1頭
当り5ml加えて磨砕した。次に、これらの磨砕液を
3,000rpmで5分間遠心分離した上清について、
ルシフェーラーゼ活性を測定した。結果は図2に示すと
おりである。個体差はあるが、発現量はおおむね蛹化1
日目に接種した方が蛹化3日目に接種したものより高か
った。
【0042】実 施 例 3 カイコ蛹によるHAタンパク質の生産および接種方法の
検討:裸蛹系統のカイコ(Nd×E6:一代雑種)が蛹
化してから1日後に繭を除去して雌雄に分け、HAタン
パク質遺伝子を組み込んだBmNPVCP+を、注射器
によって蛹1頭当り50μlづつ、あるいは、通常の針
を一瞬ウイルス懸濁液に浸して直ちに、胸部に接種し
た。 接種後1、2、3、4、5、6日目に蛹を採取
し、リン酸緩衝液を1頭当り5ml加えて磨砕し、さら
に超音波処理を施した。
【0043】次に、これらの磨砕液を3000rpmで
5分間遠心分離した上清を50μl採り、リン酸緩衝液
を50μlづつ分注した96穴マイクロプレートに加
え、順次2倍〜224倍の2倍希釈列を作成した。この9
6穴マイクロプレートに、0.5%ニワトリ血清を50
μlづつ分注して30分間静置し、赤血球凝集反応がは
じめて起きた希釈倍(HA価)によってHAタンパク質
の活性を測定した。結果は図3に示すとおりである。注
射法による場合は接種4〜5日後に、微量接種法の場合
は接種5〜6日後に、それぞれHAタンパク質の活性の
ピークが訪れる事が判明した。
【0044】実 施 例 4 カイコ蛹によるルシフェラーゼの生産および安定性の測
定:カイコ(錦秋×鐘和種)が蛹化してから1日後に繭
を除去し、ルシフェラーゼを組み込んだBmNPVCP
-を注射器によって蛹1頭当り50μlづつ胸部に接種
した。 接種後、継時的に蛹を採取し、1mM ジチオ
トレイトール、1mM EDTA2ナトリウムおよび1
00μM ロイペプチンを含むリン酸緩衝液を1頭当り
10ml加えて磨砕した。次にこれらの磨砕液を13,
900rpmで一時間遠心分離した上清について、ルシ
フェラーゼ活性とBCA法による総タンパク質濃度の測
定を行った。また、この上清を37℃で2時間インキュ
ベートし、SDS−PAGEを行った後、銀染色および
ウエスタンブロッティング法によって分解産物を調べ
た。
【0045】結果は図4および図5に示すとおりであ
る。ルシフェラーゼ活性は、接種後139時間まで上昇
し続けた。これはシステインプロテアーゼ遺伝子が欠失
した効果と考えられる。 また、磨砕物についてのウエ
スタンブロッティングでは、ルシフェラーゼ分解産物の
バンドは全くみられず、37℃で2時間インキュベート
した場合でも、ルシフェラーゼより高分子側にバンドが
観察されるようになったものの、低分子側に分解産物と
思われるバンドは現れなかった。これは蛹磨砕物中に中
腸プロテアーゼが存在しないためと考えられる。
【0046】実 施 例 5および 比 較 例 1 カイコ蛹および幼虫によるルシフェラーゼの生産:カイ
コ(錦秋×鐘和種)の5齢1日目の幼虫(比較例)ある
いは蛹化してから1日後に繭を除去した蛹に、BmNP
VCP-を、注射器によって1頭当り50μlづつ、幼
虫においては腹部節間膜に、蛹においては胸部に接種し
た。接種後136〜148時間にカイコ蛹およびカイコ
幼虫を採取し、1mM ジチオトレイトールおよび1m
M EDTA2ナトリウムを含むリン酸緩衝液を1頭当
り10ml加えて磨砕した。次にこれらの磨砕液を1
3,900rpmで1時間遠心分離した上清について、
ルシフェラーゼ活性とBCA法による総タンパク質濃度
の測定を行った。
【0047】結果は表3に示すとおりである。総タンパ
ク質量に占めるルシフェラーゼ活性および個体あたりの
ルシフェラーゼ活性ともに、蛹にBmNPVCP-を接
種した方が幼虫に接種した場合より高かった。
【0048】 表 3 ──────────────────────────────── 区 分 ルシフェラーゼ活性 総タンパク質濃度 (mg/頭) (mg/頭) ──────────────────────────────── 蛹 (実施例5) 18.5 136.0 幼虫(比較例1) 10.0 200.1 ────────────────────────────────
【0049】実 施 例 6および 比 較 例 2 カイコ蛹および幼虫によるHAタンパク質の生産並びに
接種法の検討:カイコ(秋光×竜白種)の5齢1日目の
幼虫(比較例)あるいは蛹化してから1日後に繭を除去
した蛹に、HAタンパク質遺伝子を組み込んだBmNP
VCP+を、注射針を一瞬ウイルス懸濁液に浸して直ち
に、幼虫においては腹部節間膜に、蛹においては胸部に
接種した。 幼虫の場合は接種してから68、76、9
2、100、116、124、140および148時間
後に、蛹の場合は接種してから64、72、88、9
6、112、120、136および144時間後にそれ
ぞれ採取し、リン酸緩衝液を1頭当り5ml加えて磨砕
して超音波処理を施した。 次に、これらの磨砕液を前
記実施例3と同様に処理しHAタンパク質の活性を測定
した。
【0050】結果は図6に示すとおりである。蛹に対し
てウイルスを微量接種した場合は、注射した場合と比べ
てHAタンパク質の活性に大きな差はなかったが、幼虫
に対して微量接種を行った場合は、注射法による接種と
比較して約1000分の1程度しかHAタンパク質の活
性が現れなかった。
【0051】実 施 例 7 ウイルス(BmNPVCP-)接種時期の検討:カイコ
(錦秋×鐘和種)が蛹化してから72時間以上、72〜
60時間、60〜48時間、48〜36時間および36
〜24時間に、ルシフェラーゼ遺伝子を組み込んだBm
NPVCP-を注射器によって蛹1頭当り50μlづつ
胸部に接種した。 接種後24、46、72、96およ
び123時間で蛹を採取し、1mM ジチオトレイトー
ル、1mM EDTA2ナトリウムおよび100μM ロ
イペプチンを含むリン酸緩衝液を蛹1頭当り10ml加
えて磨砕した。次にこれらの磨砕液を3,000rpm
で約5分間遠心分離した上清について、ルシフェラーゼ
活性を測定した。
【0052】結果は図7に示すとおりである。BmNP
VCP-を蛹化後48時間までに接種した場合は、接種
後72時間程度でルシフェラーゼ活性がピークに達した
が、蛹化後48時間以降にウイルスを接種した場合はル
シフェラーゼ活性の上昇はより緩やかであり、接種後1
23時間程度でピークに達した。なお、いずれの場合も
蛹が死亡して時間が経過すると活性は低下した。
【0053】実 施 例 8および比 較 例 3 カイコによるMuIFNβ(マウスインターフェロン
β)の生産:カイコ(錦秋×鐘和)の5齢幼虫(比較
例)あるいは蛹に、BmNPVCP+またはBmNPV
CP-を、注射器によって1頭当り50μlづつ、幼虫
においては腹部節間膜に、蛹においては胸部に接種し
た。接種後5日目および6日目に幼虫および蛹を採取
し、グリシン緩衝液でを加えて磨砕した。次に、これら
の磨砕液を3,000rpmで15分間遠心分離し、そ
の上清を濾過してサンプルとした。 組換えMuIFN
βの活性測定は、マウスL929細胞(繊維芽細胞)を
用いて次のようにして行った。
【0054】まず、対数増殖期にある継代細胞を血球計
算盤でカウントした後に、5%FCSを含有するMEM
培地で4〜6×106細胞/mlに調製し、これを96
穴プレートに100μl/ウエルずつ入れた。およそ2
4時間後、被検試料を10-3 〜10-5程度に培地で希釈
し、更にトランスファープレートを用いて2倍希釈を行
ない、培養プレートにトランスファープレートを重ねて
試料を移し、5%CO2濃度に調製したインキュベータ
ー内で37℃、12〜24時間培養した。培養後、ウイ
ルスを1000〜3000PFU/mlとなるように培
地で希釈し、さらに培養プレート中の培地を捨て、ウイ
ルス液を100μl/ウエルずつ1〜10列目まで添加
した。11〜12列はウイルスを含まない培地を100
μl/ウエルずつ入れた。24〜36時間培養後、細胞
変性状況を検鏡し、ウイルス感染対照群の細胞変性がほ
ぼ100%となったところで、培地を捨て5分間UV照
射をしてウイルスを不活性にした後に、10%ホルマリ
ン溶液に10分間程度浸し細胞を固定した。
【0055】固定後、ホルマリン溶液を捨て、ナフトー
ルブルーブラック染色液を50μl/ウエルずつ添加
し、30分間程度染色した。その後、染色液を捨て、水
道水でよく染色液を洗い流し、プレートを風乾した後に
100mM NaClで染色された細胞を溶出した。溶
出プレートをマイクロプレートリーダー(フィルター:
630nm)で吸光度を測定し、レファレンスの値(I
U/ml)と比較して被検試料の力価を求めた。レファ
レンスは米国N.I.Hの国際標準品のMuIFNβを使
用した。結果は表4に示すとおりである。BmNPVC
+およびBmNPVCP-のいずれを接種した場合で
も、幼虫に比べ蛹を用いたほうがMuIFNβの抗ウイ
ルス活性が高かった。
【0056】 表 4 ────────────────────────────────── 抗ウイルス活性(IU/ml) ────────────────────── 区 分 蛹 幼虫 ────────────────────────────────── BmNPVCP+ 感染5日目 2.792×106 1.71×106 感染6日目 2.952×106 5.94×105 ────────────────────────────────── BmNPVCP 感染5日目 3.242×106 − 感染6日目 3.64×106 4.6〜6.7×105 ──────────────────────────────────
【0057】実 施 例 9 裸蛹系統のカイコを用いた蛹によるルシフェラーゼの生
産:裸蛹系統の一代雑種カイコ(Nd(K)×N2種)
が蛹化してから24〜36時間後に、ルシフェラーゼ遺
伝子を組み込んだBmNPVCPを注射器によって蛹
1頭当たり50μlずつ胸部に接種した。接種後96時
間で蛹を採取し、1mM ジチオトレイトール、1mM
EDTA2ナトリウムおよび100μM ロイペプチン
を含むリン酸緩衝液を蛹1頭当たり10ml加えて磨砕
した。次にこの磨砕液を3,000rpmで約5分間遠
心分離した上清について、ルシフェラーゼ活性を測定し
た。また、同様の操作で裸蛹系統ではない秋光×竜白種
および錦秋×鐘和種についてもルシフェラーゼ活性を測
定した。結果を表5に示す。裸蛹系統のカイコを用い、
BmNPVCPを蛹に接種した場合は、顕著に高いル
シフェラーゼの発現が得られることが明かである。
【0058】 表 5 ───────────────────────── 品 種 名 ルシフェラーゼ生産量 (mg/ml) ───────────────────────── Nd(K)×N2 5.29 秋光×竜白 3.86 錦秋×鐘和 3.24 ─────────────────────────
【0059】上記、実施例および比較例より、蛹化した
カイコを用いてタンパク質を生産させた場合は、幼虫を
用いる場合に比べ、タンパク質の回収率が高く、分離・
精製も容易であることが明らかとなった。これは蛹化し
たカイコでは、中腸プロテアーゼ等の消化酵素の活性や
代謝活動が低下しており、目的タンパク質の分解や不純
物の生成が抑制されるためと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 カイコ蛹により生産されるルシフェラーゼの
活性およびタンパク質濃度を示す図面。
【図2】 カイコ蛹により生産されるルシフェラーゼ活
性のウイルス接種時期による相違を示す図面。
【図3】 カイコ蛹により生産されるHAタンパク質活
性の接種法による相違を示す図面。
【図4】 カイコ蛹により生産されたルシフェラーゼの
活性および総タンパク質濃度の時間による変化を示す図
面。
【図5】 BmNPVCPを接種したカイコ蛹により
生産されたルシフェラーゼの安定性を示す電気泳動の図
面。
【図6】 カイコ蛹および幼虫により生産されたHAタ
ンパク質活性の接種法による相違を示す図面。
【図7】 カイコ蛹および幼虫により生産されたルシフ
ェラーゼ活性の接種時期による相違を示す図面。 以 上
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年5月1日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正内容】
【0012】
【発明の実施の形態】 本発明は、カイコが蛹化した段階
で組換えウイルスを接種し、カイコ体内(蛹内)でウイ
ルスを増殖させ、一定時間経過後目的タンパク質を分離
・回収することにより行われる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図5
【補正方法】変更
【補正内容】
【図5】 BmNPVCPを接種したカイコ蛹により
生産されたルシフェラーゼの安定性を示す電気泳動の
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図5
【補正方法】変更
【補正内容】
【図5】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12N 5/10 C12N 5/00 B 15/09 9282−4B 15/00 A //(C12P 21/00 C12R 1:91) (C12N 5/10 C12R 1:91) (72)発明者 金谷 利道 長野県松本市中央4丁目5番25号 片倉工 業株式会社生物科学研究所内 (72)発明者 鈴木 健夫 長野県松本市中央4丁目5番25号 片倉工 業株式会社生物科学研究所内 (72)発明者 長屋 英和 埼玉県狭山市大字下奥富字宮後1548 片倉 工業株式会社中央蚕研事業所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カイコに目的タンパク質をコードする遺
    伝子を組込んだウイルスを接種し、カイコ体内で増殖さ
    せ、カイコから目的タンパク質を採取する方法におい
    て、該ウィルスを蛹の状態のカイコに接種することを特
    徴とするカイコによる有用タンパク質の製造方法。
  2. 【請求項2】 カイコが裸蛹系統のカイコである請求項
    第1項記載の有用タンパク質の製造方法。
  3. 【請求項3】 裸蛹系統のカイコがNd系とN2系のカ
    イコの交雑種である請求項第2項記載の有用タンパク質
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 目的タンパク質をコードする遺伝子を組
    込んだウイルスが、ゲノム上に存在するシステインプロ
    テアーゼ遺伝子の一部若しくは全部を欠失またはマーカ
    ー遺伝子で置換したカイコ核多角体病ウイルスである請
    求項第1項ないし第3項記載の有用タンパク質の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 少なくとも80%の裸蛹率を有するカイ
    コ。
  6. 【請求項6】 Nd系カイコを継代しながら、蛾区選抜
    および個体選抜を行って得られたものである請求項第5
    項記載のカイコ。
  7. 【請求項7】 請求項第6項記載のカイコをN2系カイ
    コと交配させて得られるカイコ。
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