JP2003011237A - 立体造形物の製造方法 - Google Patents

立体造形物の製造方法

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JP2003011237A
JP2003011237A JP2001201961A JP2001201961A JP2003011237A JP 2003011237 A JP2003011237 A JP 2003011237A JP 2001201961 A JP2001201961 A JP 2001201961A JP 2001201961 A JP2001201961 A JP 2001201961A JP 2003011237 A JP2003011237 A JP 2003011237A
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photocurable resin
thermoplastic polymer
layer
dimensional
resin composition
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JP2001201961A
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English (en)
Inventor
Kenichi Hino
憲一 日野
Kazunari Ishiura
一成 石浦
Akiko Ide
章子 井出
Tatsuhiko Higaki
達彦 檜垣
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 1つの立体造形物中に、色調、透明度、力学
的特性、物理的特性、化学的特性、生化学的特性等の異
なる複数部位が複合的に形成されている精密な立体造形
物、特に生体模型として適する立体造形物の製法の提
供。 【解決手段】 温度変化で可逆的にゾル−ゲル相転移す
る2種類以上の光硬化性樹脂組成物を用いて光学的立体
造形を行うか、流動開始温度が60〜200℃の範囲に
ある2種類以上の熱可塑性重合体又は熱可塑性重合体組
成物を用いて立体造形を行うか、或いは前2者の方法を
組み合わせて立体造形を行う方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、2種類以上の光硬
化性樹脂組成物および/または熱可塑性重合体(熱可塑
性重合体組成物)を用いて、各樹脂組成物からなる部位
および/または各熱可塑性重合体からなる部位が1つの
立体造形物中で立体的に複合化されている立体造形物を
迅速に且つ精密に製造する方法、並びにそれにより得ら
れる立体造形物に関する。本発明の方法は生体模型の製
造法として特に有用であり、本発明により得られる立体
造形物、特に生体模型は、生体の状態を正確に再現して
いることから、例えば医学生の教育や実習、医師による
術前の確認または練習のための医療シミュレーション用
などの用途に有効に使用することができる。
【0002】
【従来の技術】従来、医学生の教育や実習、医師による
術前の確認や練習用などのような医療用シミュレーショ
ンに使用される生体模型は、その大半は無機的なマネキ
ン様のものであった。また、近年、軟質エラストマーを
用いて作製されていて、場合によっては気管、肺または
心臓に相当する内部構造、模擬血液を含むチューブなど
を有する軟質の人形が、救命蘇生の訓練、静脈注射の練
習などに使用されるようになっている。しかしながら、
それらは、いずれも代表的な解剖学のデータをもとにし
て作られた画一的なマネキンの域を出るものではなく、
個々の患者に特有の病巣状況や生体形態を忠実に再現し
たものではない。そのため、医療処置手順の練習には役
に立つが、医師による術前の確認または練習用などの医
療用シミュレーション用には十分に役立つものではなか
った。
【0003】また、近年、通常の切開手術に比較して患
者に与えるダメージが少ないことから、内視鏡を用いる
手術法が進歩し、脚光を浴びている。内視鏡手術に当た
っては、患部を撮影してその映像を見ながら手術を行う
ことも行われているが、切開手術とは異なり、患部を直
接目視しながら手術を行うものではないため、高い習熟
度が要求される。そこで、内視鏡手術を実際に行う前に
何度かシミュレーションシしておきたいという要望が強
いが、個々の患者の患部状況を忠実に再現した生体模型
がないことから、実現されていないのが実情である。
【0004】一方、国際公開WO 01/10632号
公報には、温度などの物理変化により可逆的かつ急速に
ゾル−ゲル相転移を引き起こす1種類の光硬化性樹脂組
成物を1層ずつ層状に施し、光硬化させたくない部位に
マスクパターンを描画した後に光を照射して硬化させる
操作を繰り返すことによって造形物を形成する光造形方
法が開示されている。この方法による場合は、サポート
を配置することなく光造形物を迅速に製造することがで
きるが、1種類の光硬化性樹脂組成物を用いて光造形を
行っているために、例えば、患部に相当する部位と正常
組織に相当する部位とが1つの立体造形物中に区別可能
に形成され複合化されていて医療分野でのシミュレーシ
ョンなどに有効に用い得る高機能の生体模型などを製造
することができない。しかも、この公報には、その光学
的立体造形法を歯車などの一般工業用品の作製に適用す
ることが記載されているだけであり、生体模型の作製に
応用することすらも記載されていない。
【0005】また、上記国際公開公報に記載された方法
に限らず、光硬化性樹脂組成物を用いて立体造形物を製
造する光学的立体造形法は従来からも種々知られている
が、従来の光学的立体造形法においても1種類の光硬化
性樹脂組成物のみを用いて造形が行われているため、互
いに区別可能な部位が1つの立体造形物中に複合的に形
成されていることが強く求められている生体模型の製造
には十分に適用できない。さらに、生体模型に限らず、
工業部品モデルなどとして用いられる光造形物において
も、1つの造形物中に色調、力学的特性、物理的特性な
どが異なる複数の部位が複合的に形成されている立体造
形物が必要な場合があるが、1種類の光硬化性樹脂組成
物のみを使用して光学的立体造形を行っている従来の光
学的立体造形法ではそのような造形物を製造することは
困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、1つ
の立体造形物中に、例えば、色調、透明度、力学的特
性、物理的特性、化学的特性などが異なる複数の部位が
複合的に形成されている立体造形物を、迅速に且つ高い
造形精度で製造することのできる立体造形法を提供する
ことである。特に、本発明は、医学生の教育実習、訓
練、医療用シミュレーションなどに用いる生体模型とし
て、より実物の生体に近い状態の生体模型を生産性よく
製造することのできる立体造形法を提供することを重要
な目的とするものである。そして、本発明の目的は、色
調、透明度、力学的特性、物理的特性、化学的特性など
が異なる複数の部位が1つの立体造形物中に精密に且つ
複合的に形成されている生体模型やその他の立体造形物
を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意検討した結果、温度変化により
可逆的に且つ急速にゾル−ゲル相転移を引き起こす光硬
化性樹脂組成物を2種類以上用いて特定の光学的立体造
形法を行うか、流動開始温度が60〜250℃の範囲に
ある2種類以上の熱可塑性重合体または熱可塑性重合体
組成物を用いて特定の方法で立体造形を行うか、或いは
温度変化により可逆的に且つ急速にゾル−ゲル相転移を
引き起こす光硬化性樹脂組成物の1種類以上と流動開始
温度が60〜250℃の範囲内にある熱可塑性重合体ま
たは熱可塑性重合体組成物の1種類以上を用いて特定の
方法で立体造形を行うと、色調、透明度、力学的特性、
物理的特性、化学的特性などの異なる複数の部位が1つ
の造形物中に複合的に形成されている立体造形物を、迅
速に且つ高い造形精度で製造できること、そしてこれら
の立体造形法は生体模型の製造方法として特に有効であ
ることを見出して本発明を完成した。
【0008】すなわち、本発明は、(1) 温度変化に
より可逆的に且つ急速にゾル−ゲル相転移を引き起こす
2種類以上の光硬化性樹脂組成物を用い、三次元データ
をコンピューターにより平行にスライスしてなるスライ
ス形状データに基づいて、該2種類以上の光硬化性樹脂
組成物のうちの1種類または2種類以上を、ゾル状で前
記スライス形状データの占める面積以上で平らに1層分
供給すると共に直ちに冷却ゲル化させ、該光硬化性樹脂
組成物層における光硬化させたくない部位にマスクパタ
ーンを施した後、光を照射してマスクパターンが施され
ていない部位を光硬化させ、次いで光硬化した部位を含
む前記樹脂層上に、三次元データをコンピューターによ
り平行にスライスしてなる次のスライス形状データに基
づいて前記した光硬化性樹脂組成物のうちの1種類また
は2種類以上をゾル状で新たに平らに1層分供給すると
共に直ちに冷却ゲル化させ、該光硬化性樹脂組成物層に
おける光硬化させたくない部位にマスクパターンを施し
た後に光を照射してマスクパターンが施されていない部
位を光硬化させて光硬化した部位を含む樹脂層を形成さ
せ、三次元データに相当する立体状光硬化物が形成され
るまで前記操作を複数回繰り返し、次いで立体状光硬化
物から光硬化されなかった光硬化性樹脂組成物を取り除
くことを特徴とする立体造形物の製造方法(以下「本発
明第1方法」ということがある)である。
【0009】そして、本発明は、(2) 流動開始温度
が60〜250℃の範囲にある2種類以上の熱可塑性重
合体または熱可塑性重合体組成物を用い、三次元データ
をコンピューターにより平行にスライスしてなるスライ
ス形状データに基づいて、該2種類以上の熱可塑性重合
体または熱可塑性重合体組成物のうちの1種類または2
種類以上を、個別のX−Yプロッター装置に設けてなる
ノズルから流動状態で平らに1層分供給すると共に直ち
に冷却固化させ、次いで該冷却固化した層上に、三次元
データをコンピューターにより平行にスライスしてなる
次のスライス形状データに基づいて前記した熱可塑性重
合体または熱可塑性重合体組成物のうちの1種類または
2種類以上を流動状態で新たに平らに1層分供給すると
共に直ちに冷却固化させ、三次元データに相当する立体
状固化物が形成されるまで前記操作を複数回繰り返すこ
とを特徴とする立体造形物の製造方法(以下「本発明第
2方法」ということがある)である。
【0010】さらに、本発明は、(3) 温度変化によ
り可逆的に且つ急速にゾル−ゲル相転移を引き起こす光
硬化性樹脂組成物の1種類以上と、流動開始温度が60
〜250℃の範囲にある熱可塑性重合体または熱可塑性
重合体組成物の1種類以上を用い、三次元データをコン
ピューターにより平行にスライスしてなるスライス形状
データに基づいて、前記した光硬化性樹脂組成物、熱可
塑性重合体および熱可塑性重合体組成物のうちの1種類
または2種類以上をゾル状または流動状態で前記スライ
ス形状データの占める面積以上で平らに1層分供給する
と共に直ちに冷却してゲル化および/または固化させ、
該層における光硬化させたくない部位にマスクパターン
を施した後、光を照射してマスクパターンが施されてい
ない光硬化性樹脂組成物部位を光硬化させ、次いで光硬
化した部位を含む前記層上に、三次元データをコンピュ
ーターにより平行にスライスしてなる次のスライス形状
データに基づいて前記した光硬化性樹脂組成物と熱可塑
性重合体または熱可塑性重合体組成物のうちの1種類ま
たは2種類以上をゾル状または流動状態で新たに平らに
1層分供給すると共に直ちに冷却してゲル化および/ま
たは固化させ、該層における光硬化させたくない部位に
マスクパターンを施した後に光を照射してマスクパター
ンが施されていない光硬化性樹脂組成物部位を光硬化さ
せて光硬化した部位を含む層を形成させ、三次元データ
に相当する立体状物が形成されるまで前記操作を複数回
繰り返し、次いで立体状物から光硬化されなかった光硬
化性樹脂組成物を取り除くことを特徴とする立体造形物
の製造方法(以下「本発明第3方法」ということがあ
る)である。
【0011】そして、本発明は、(4) マスクパター
ンを、ゲル化および/または固化した層上に光不透過性
インクをジェット噴射することによって施す前記(1)
または(3)の製造方法;(5) 2種類以上の光硬化
性樹脂組成物、2種類以上の熱可塑性重合体または熱可
塑性重合体組成物、或いは光硬化性樹脂組成物の1種類
以上と熱可塑性重合体または熱可塑性重合体組成物の1
種類以上として、製造される立体造形物中に組成、色
調、透明度、力学的特性、物理的特性および化学的特性
のうちの少なくとも1つにおいて互いに異なる部位を形
成するものを用いる前記した(1)〜(4)のいずれか
の製造方法;および、(6) 前記スライス形状データ
が、生体の一部または全身より得られた断層撮影データ
であり、立体造形物が生体模型である前記(1)〜
(5)のいずれかの製造方法;を包含する。
【0012】さらに、本発明は、(7) 前記(1)〜
(6)のいずれかの製造方法で得られる立体造形物;
(8) 生体模型である前記(7)の立体造形物;
(9) 患部組織の形態を忠実に再現した生体模型であ
る前記(8)の立体造形物;(10) 生体模型におけ
る患部組織に相当する部位が、正常組織とは異なった色
調、透明度、力学的特性および/または物理的特性を有
する光硬化樹脂または熱可塑性重合体から形成されてい
る前記(9)の立体造形物;および、(11) 生体模
型における異なる生体組織に相当する部位が、色調、透
明度、力学的特性および/または物理的特性の異なる光
硬化樹脂または熱可塑性重合体から形成されている前記
(8)の立体造形物;である。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明
する。まず、本発明第1方法、本発明第2方法および本
発明第3方法(以下これらを総称する場合は「本発明方
法」ということがある)を行う際の基本データである
「三次元データをコンピューターにより平行にスライス
してなるスライス形状データ」とは、三次元CADデー
タ、特定の物品を三次元測定機で測定して得られる三次
元データ、生体の一部または全部を断層撮影装置(CT
スキャナーなど)で撮影して得られる三次元データなど
を、立体造形を行うためにコンピューターによって平行
に薄くスライスして得られる個々のスライス形状データ
(スライス断面データ)をいう。本発明方法によって生
体模型を製造する場合は、該スライス形状データとし
て、生体の一部または全部を断層撮影装置(CTスキャ
ナーなど)で撮影して得られる三次元データをコンピュ
ーターによって平行に薄くスライスして得られる個々の
スライス形状データが1層ごとの光硬化樹脂層または固
化重合体層を形成するためのデータとして採用される。
より具体的には、例えば、患部などのX線CTスキャン
画像データをコンピューター内でSTLフォーマット
(三次元自由曲面を三角パッチの集合体で近似する方
式)に変換する。患部STLデータを元に造形装置内で
の配置や積層方向(モデルの置き方)などを決定し、使
用する樹脂や重合体の種類などによってサポートが必要
な場合には別途コンピューター内でデータを作製し、患
部モデル三次元データに加える。更に、場合によりサポ
ート付きの患部モデル三次元データをコンピューター内
でスライスして各層の断面データ(等高線データ)を求
め、これを立体造形を行う際のスライス形状データとす
る。
【0014】(I)本発明第1方法:最初に本発明第1
方法について説明する。本発明第1方法は、温度変化に
より可逆的に且つ急速にゾル−ゲル相転移を引き起こす
光硬化性樹脂組成物を用い、光硬化させたくない部位に
マスクパターンを施してから光照射を行って立体造形物
を製造する方法であり、この点で前記した国際公開WO
01/10632号公報に開示されている方法と共通
している。しかしながら、本発明第1方法は2種類以上
の光硬化性樹脂組成物を用いることを必須にしているの
に対して、国際公開WO 01/10632号公報に記
載されている方法では1種類の光硬化性樹脂組成物のみ
を用いていており、この点で大きく相違する。2種類以
上の光硬化性樹脂組成物を用いる本発明第1方法による
場合は、使用する2種類以上の光硬化性樹脂組成物の組
み合わせ方によって、例えば、色調、透明度、力学的特
性、物理的特性および/または化学的特性の異なる部位
が1つの造形物中に複合的に形成された精密な立体造形
物が形成できるが、国際公開WO 01/10632号
公報に記載の方法では、上記のようにそのような異なる
部位が1つの立体造形物中に複合的に形成されている立
体造形物は形成されない。
【0015】本発明第1方法では、まず、温度変化によ
り可逆的に且つ急速にゾル−ゲル相転移を引き起こす2
種類以上の光硬化性樹脂組成物を用い、三次元データを
コンピューターにより平行にスライスしてなるスライス
形状データに基づいて、該2種類以上の光硬化性樹脂組
成物のうちの1種類または2種類以上を、ゾル状を呈す
る温度に加熱してゾル状にして(流動性にし)、前記ス
ライス形状データの占める面積以上で、造形ステージ
(造形テーブル)上に平らに1層分供給する。この際に
前記1層分の形成に当たって、1種類の光硬化性樹脂組
成物のみが供給されるか、または2種類以上の光硬化性
樹脂組成物が供給されるかは、該層を形成する際のベー
スとなるスライス形状データの内容による。スライス形
状データが、その外側の輪郭を除いて全体的に1つの均
質部分よりなるデータ内容である場合(例えば、図2に
おけるn=1に相当するスライス形状データの場合)に
は、1種類の光硬化性樹脂組成物のみが供給されて該1
層分の層形成がなされる。また、スライス形状データ
が、互いに不均質な複数部分を有するデータ内容である
場合(例えば、図2におけるn=p+1に相当するスラ
イス形状データの場合)には、該不均質な複数部分に相
当する数の複数種類の光硬化性樹脂組成物が予め混合さ
れることなくそれぞれ別々に供給され、且つスライス形
状データの内容に応じて1つの層内のそれぞれの位置に
配置された(分布された)1つの層が形成される。1種
類または2種類以上の光硬化性樹脂組成物を供給して形
成された前記1つの層は直ちにそのゲル化温度以下に冷
却されてゲル化される。特に該1つの層が2種類以上の
光硬化性樹脂組成物から形成されている場合は、該1つ
の層内で複数の光硬化性樹脂組成物間の混合が生じない
ようにゲル化を速やかに行う必要がある。
【0016】次いで、光硬化性樹脂組成物よりなる前記
1つの層において、光硬化させたくない部位にマスクパ
ターンを施した後、光を照射してマスクパターンが施さ
れていない部位を光硬化させる。続いて、光硬化した部
位を含む前記樹脂層上に、三次元データをコンピュータ
ーにより平行にスライスしてなる次のスライス形状デー
タに基づいて前記した光硬化性樹脂組成物のうちの1種
類または2種類以上をゾル状で新たに平らに1層分供給
すると共に直ちに冷却ゲル化させ、該光硬化性樹脂組成
物層における光硬化させたくない部位にマスクパターン
を施した後に光を照射してマスクパターンが施されてい
ない部位を光硬化させて光硬化した部位を含む樹脂層を
形成させる。そして、三次元データに相当する立体状光
硬化物が形成されるまで前記した操作を複数回繰り返
す。最後に、前記で生成した立体状光硬化物から、光硬
化されなかった光硬化性樹脂組成物を取り除いて、目的
とする立体造形物を得る。
【0017】本発明第1方法で用いる温度変化により可
逆的に且つ急速にゾル−ゲル相転移を引き起こす光硬化
性樹脂組成物としては、60〜200℃、特に80〜1
50℃の温度範囲内で可逆的に且つ急速にゾルからゲル
にまたはゲルからゾルに相転移を引き起こす光硬化性樹
脂組成物が、光硬化性樹脂組成物よりなる各層の形成容
易性、該層を形成した後のゲル化の容易性などの点から
好ましく用いられる。本発明第1方法で用いる光硬化性
樹脂組成物は、一般に、光硬化性オリゴマーおよび/ま
たはモノマーからなる光硬化性成分、光硬化性樹脂組成
物を温度変化により可逆的にゾル−ゲル相転移させるた
めの流動性調節用成分、および光重合開始剤を含有し、
さらに必要に応じてその他の樹脂用添加物、例えば、チ
クソトロピー性発現剤、充填剤、可塑剤、安定剤、着色
剤、難燃剤、酸化防止剤、帯電防止剤などを含むもので
ある。
【0018】本発明第1方法で用いられる光硬化性樹脂
組成物を構成する上記した光硬化性成分としては、光硬
化性樹脂組成物において従来から用いられている光硬化
性オリゴマーおよび/またはモノマーのいずれもが使用
でき、例えば、単官能または多官能のアルキル(メタ)
アクリレート系、エポキシ(メタ)アクリレート系、ポ
リエステル(メタ)アクリレート系、ポリエーテル(メ
タ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系
などの(メタ)アクリレート系の光硬化性モノマーや光
硬化性オリゴマー;ビスフェノールA系エポキシ化合
物、ノボラック系エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合
物、ポリフェノール系エポキシ化合物、ポリグリシジル
アミン系、アルコール系エポキシ化合物、エステル系エ
ポキシ化合物などの従来公知のエポキシ系光カチオン硬
化性樹脂成分を挙げることができ、それらの1種または
2種以上を用いることができる。
【0019】光硬化性樹脂組成物を温度変化により可逆
的にゾル−ゲル相転移させるための流動性調節用成分と
しては、重合体が好ましく用いられる。光硬化性オリゴ
マーおよび/またはモノマーよりなる光硬化性成分は、
所定の温度以下になると流動性調節用成分である重合体
を溶解せずに膨潤した状態となって光硬化性樹脂組成物
全体がゲル状を呈すようになり、一方光硬化性樹脂組成
物の温度が所定温度以下になると光硬化性成分が重合体
を溶解するかおよび/または重合体が溶融して光硬化性
樹脂組成物全体が流動性(ゾル状)を呈するようにな
り、そのような機構によって光硬化性樹脂組成物が温度
変化により可逆的にゾル−ゲル相転移を引き起こす。
【0020】流動性調節用成分として用いられる重合体
としては、例えば、前記した光硬化性モノマーの単独重
合体や共重合体、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポ
リクロロプレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ
カプロラクトン、ニトリルゴム、ナイロン、ポリウレタ
ン、セルローストリブチレート、セルローストリニトレ
ート、ポリエチレンオキシド、ポリオキシメチレン、ポ
リアクリロニトリル、コラーゲン、ポリビニルアルコー
ル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルブチラール、エポ
キシ樹脂、ポリ−4−メチルペンテン、ポリエステル、
フェノール樹脂、尿素樹脂、メラニン樹脂、ジアリルフ
タレート樹脂、シリコーン樹脂などの汎用の重合体、こ
れらの重合体を構成する繰り返し単位を含む共重合体、
前記重合体または共重合体の各種の架橋物、それらの2
種以上のブレンド物、シンジオタクチックポリアルキル
メタクリレートとアイソタクチックポリアルキルメタク
リレートの混合物などを挙げることができる。そのうち
でも、本発明では、流動性調節用成分として、シンジオ
タクチックポリアルキルメタクリレートとアイソタクチ
ックポリアルキルメタクリレートの混合物、特にシンジ
オタクチックポリメチルメタクリレートとアイソタクチ
ックポリメチルメタクリレートの混合物を含むものが好
ましく用いられる。
【0021】ここで、前記したシンジオタクチックポリ
メチルメタクリレートとしては、重合体中にシンジオタ
クチックな3連子(連続する3個のモノマー単位)の割
合が60〜90%程度のものが好ましく用いられ、65
〜80%程度のものがより好ましく用いられる。また、
前記したアイソタクチックポリメチルメタクリレートと
しては、重合体中にアイソタクチックな3連子の割合が
80〜95%程度のものが好もしく用いられ、85〜9
5%程度のものがより好ましく用いられる。シンジオタ
クチックポリメチルメタクリレート:アイソタクチック
ポリメチルメタクリレートの質量比は、これらの重合体
の重合度やタクチシティーなどにより異なるが、光硬化
性樹脂組成物の取扱性などの点から、通常1:10〜1
0:1であるのが好ましく、2:1であるのがより好ま
しい。光硬化性樹脂組成物中におけるシンジオタクチッ
クポリメチルメタクリレートおよびアイソタクチックポ
リメチルメタクリレートの含有量は、光硬化性樹脂組成
物全体の質量に対して、それぞれ1質量%以上であるこ
とが好ましく、2〜30質量%であることがより好まし
い。
【0022】特に、医療用シミュレーションなどの目的
で用いられる生体模型では、骨を模した硬い立体造形物
だけではなく、血管や内臓組織などを模した軟らかい立
体造形物が求められることが多い。そのため、本発明第
1方法によって柔らかい生体模型を製造する場合は、光
硬化性樹脂組成物中の流動性調節成分として、例えばブ
タジエン、イソプレン、クロロプレンなどの共役ジエン
の重合体または共重合体よりなるエラストマー、スチレ
ン系重合体ブロック−(水添)ジエン系重合体ブロック
を有するブロック共重合体などに代表される熱可塑性エ
ラストマーを用い、それらのエラストマーに、前記した
光重合性モノマーまたはオリゴマーのうちで比較的分子
鎖が長くて可塑剤的な性質を示し得るものを光硬化性成
分として組み合わせて光硬化性樹脂組成物を調製し、そ
れを用いて立体造形を行うとよい。そのような光硬化性
樹脂組成物では、温度によって光重合性モノマーおよび
/またはオリゴマーによるエラストマー粒子の膨潤度合
が変化し、それによって光硬化性樹脂組成物が温度変化
により可逆的にゾル−ゲル相転移を生ずるようになる。
【0023】本発明第1方法で使用する光硬化性樹脂組
成物で使用する光重合開始剤は、紫外線および/または
可視光線を使用する光重合技術において光重合開始剤と
して用いられる従来既知の光重合開始剤であればいずれ
でもよく、具体例としては、従来公知のベンゾフェノン
系化合物、ベンゾインアルキルエーテル系化合物、チオ
キサントン系化合物、アントラキノン系化合物、ナフト
キノン系化合物、ケタール系化合物、α−ジケトン系化
合物、アシルホスフィンオキサイド系化合物などを挙げ
ることができ、これらの1種または2種以上を用いるこ
とができる。
【0024】本発明第1方法で用いる光硬化性樹脂組成
物は、本発明の趣旨を損なわない範囲内で、必要に応じ
て、チクソトロピー性を発現する微細な充填剤、例え
ば、ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ等の球形のも
の、シリカゲルなどの球状粉体が凝集したもの、粘土鉱
物のような板状のもの、ウィスカーまたは有機繊維のよ
うな針状あるいは繊維状のものなどを含有していてもよ
い。さらに、本発明第1方法で用いる光硬化性樹脂組成
物は、本発明の趣旨を損なわない範囲内で、その他の充
填剤、可塑剤、安定剤、着色剤、難燃剤、酸化防止剤あ
るいは帯電防止剤を必要に応じて適宜含有していてもよ
い。
【0025】本発明第1方法では、2種類以上の光硬化
性樹脂組成物が用いられる。本発明第1方法で用いられ
る2種類以上の光硬化性樹脂組成物としては、最終的に
製造される立体造形物の種類、用途、立体造形物に要求
される特性などに基づいて、立体造形物中に、例えば、
組成;色調;透明度;例えば強度、伸長率、弾性率、硬
度、柔軟性、圧縮特性、耐熱性、気体透過性、引張特
性、耐寒性などの力学的特性や物理的特性および耐薬品
性、耐候性、耐加水分解性、耐水性などの化学的特性の
うちの少なくとも1つにおいて互いに異なる部位を形成
するものを用いるとよい。例えば、色調や透明度が互い
に異なる部位を有する立体造形物を製造する場合は、着
色剤を含有する光硬化性樹脂組成物と着色剤を含有しな
い光硬化性樹脂組成物との組み合わせ、充填剤を含有す
る光硬化性樹脂組成物と透明な光硬化物を形成する光硬
化性樹脂組成物との組み合わせなどを用いればよい。ま
た、硬度が互いに異なる部位を有する立体造形物を製造
する場合は、例えば、軟質の光硬化物を形成する光硬化
性樹脂組成物と硬質の光硬化物を形成する光硬化性樹脂
組成物の組み合わせなどを用いればよい。本発明第1方
法によって生体模型を製造する場合に、2種類以上の光
硬化性樹脂組成物の組み合わせを選択することによっ
て、例えば、ガン組織などの患部に相当する部位と正常
組織に相当する部位とで、また筋肉に相当する部位と血
管に相当する部位とで、さらには筋肉に相当する部位と
骨に相当する部位とで、互いに色調、透明度、硬さなど
において異なるようにして光硬化物を形成すると、手術
前のシミュレーション、医学生の教育や訓練用などに極
めて有用な、精密な生体模型を簡単に且つ迅速に製造す
ることができる。
【0026】本発明第1方法において、造形ステージ
(造形テーブル)上に第1の層を形成する際に、また既
に光硬化した樹脂層上に更に1つの層を形成するに当た
って、造形ステージ上または光硬化した樹脂層上に光硬
化性樹脂組成物を供給する方法は特に制限されず、例え
ば、2種類以上の光硬化性樹脂組成物の各々を個別に収
容しゾル状で排出させ得る2つ以上の容器(タンク)、
光硬化性樹脂組成物を容器から吐出させるための加圧手
段、吐出量や供給量の制御手段、さらに好ましくはX−
Y方向の位置検出手段を有するアプリケーター(X−Y
プロッター装置)を備えた供給装置により、2種類以上
の光硬化性樹脂組成物の1種類または2種類以上を、各
層を形成するための各スライス形状データに応じて造形
ステージの上または光硬化した樹脂層の上の所定の位置
に一定量ずつ押し出す方法などが挙げられる。また、光
硬化した樹脂層の積層数が多くなり、光硬化物の厚みが
厚くなるに従って、重合収縮に基づく歪の影響が光硬化
樹脂層の歪み(平面性の不良)という形で顕れることが
ある。この場合に、そのような現象を回避するために、
光硬化した樹脂層の平面性を検出するレベル検出手段を
設け、アプリケーターからの吐出量を調節・制御するプ
ログラムを組んでもよい。また、別の方法として、供給
した光硬化性樹脂組成物をリコーターにより平らになら
してもよい。
【0027】また、本発明第1方法において、光硬化性
樹脂組成物よりなる層上にマスクパターンを施す方法と
しては、任意の方法を採用することができ、例えば光不
透過性インクを用いてインクジェット手段を使用して光
硬化性樹脂組成物よりなる層の上にマスクパターンを印
刷する方法、マスクパターンを形成した透明フィルム
(PETフィルムなど)を光硬化性樹脂組成物層と光源
との間に配置する方法などを挙げることができる。その
うちでも、光不透過性インクを用いてインクジェット手
段でマスクパターンを印刷する方法が好ましく採用され
る。すなわち、本発明第1方法で用いる光硬化性樹脂組
成物は、温度変化により可逆的に且つ急速にゾル−ゲル
相転移を引き起こす樹脂組成物であって、該光硬化性樹
脂組成物を用いて形成された層は、マスクパターンを施
す際にはゲル状(固形状)を呈しているので、該層の上
に光透過性インクを噴霧してマスクパターンを直接印刷
してもマスクパターンが崩れることがなく、この方法に
よる場合は所望のマスクパターンを極めて短時間で良好
に形成することができる。その際に、マスクパターンの
形成に用いられる光不透過性インクとしては、例えば、
カーボンブラック、酸化鉄、酸化チタン、その他の微細
で不透明な粉末を界面活性剤を含む水や溶剤中に増粘剤
とともに分散させたインク、ベンゾフェノン系、ベンゾ
トリアゾール系、サリチル酸系、ヒンダードアミン系な
どの紫外線吸収剤の1種または2種以上を増粘剤、溶剤
等に溶かしたインクなどを挙げることができる。
【0028】本発明第1方法において、光硬化性樹脂組
成物よりなる層を硬化させるための光照射装置として
は、水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、
ハロゲンランプなどの従来公知のランプ手段、光学系の
制御および照射時間などの制御を行うための制御手段、
ランプ手段や制御手段の冷却手段、光の外部への漏出を
防ぐ筐体などからなるものが好ましく使用される。造形
ステージ上に施されている(載置されている)光硬化性
樹脂組成物の上面全体に均一に光を照射し得るように、
複数のランプを備えていてもよいし、また造形ステージ
が回転するターンテーブルであってもよい。但し、ター
ンテーブル方式を採る場合には、しっかりしたテーブル
の位置決め手段を設ける必要がある。
【0029】また、本発明第1方法において、必要な全
ての光硬化工程を終えて生成した立体状光硬化物から、
光硬化されなかった光硬化性樹脂組成物を取り除いて、
立体造形物を得るに当たっては、光硬化物が変質しない
溶媒を用いて未硬化の光硬化性樹脂組成物を洗い流す方
法、前記方法を超音波を当てながら行なう方法、溶媒を
用いずに加熱により未硬化の光硬化性樹脂組成物部分を
ゾル状にして(流動化して)光硬化物から分離させる方
法などのいずれの方法を採用してもよい。未硬化の光硬
化性樹脂組成物部分を光硬化物から分離した後に得られ
る立体造形物にベタツキが残っていて、手などを汚す恐
れがある場合は、立体造形物に再度光を照射して硬化を
完結させてもよい。
【0030】本発明第1方法によって立体造形物を製造
する場合は、立体造形物がオーバーハング形状のもので
あっても、サポートなどを使用することなく、目的とす
る立体造形物を良好な寸法精度で簡単に且つ生産性良く
製造することができる。かかる点から、本発明第1方法
により、生体の一部または全身の形態を忠実に再現した
精密な生体模型を製造することができる。本発明第1方
法によって、例えば、ガンに侵された肝臓組織と正常な
肝臓組織とを色調的に区別した生体模型を製造すること
ができる。限定されるものではないが、そのような生体
模型を製造するために、生体の肝臓部分より得られた各
断層撮影データ(肝臓の各スライス形状データ)に応じ
て、例えば色調、透明度または組成の異なる2種類以上
の光硬化性樹脂組成物を、個別のノズルを有する個々の
X−Yプロッター装置を用いて生体模型製造用ステージ
上の所定の位置に、ガンに侵された肝臓組織と正常な肝
臓組織のそれぞれに対応させて別々に供給し、不要部あ
るいは輪郭線等の硬化させたくない部位に光不透過性イ
ンクを噴射するインクジェット手段などを用いてマスク
パターンを施し、該光硬化性樹脂組成物およびマスクパ
ターンの上から光照射を行って肝臓の各スライス形状デ
ータに対応する硬化樹脂層を形成させ、前記操作を肝臓
全体に相当する光造形物が形成されるまで繰り返し、最
後に硬化しなかった光硬化性樹脂組成物部分を光硬化物
部分から取り除く方法などが採用される。それによっ
て、ガンに侵された肝臓組織に相当する部位と、正常な
肝臓組織に相当する部位とで、色調、透明度またはその
他の物性が異なる精密な肝臓模型を製造することができ
る。
【0031】また、本発明第1方法によって、マスクパ
ターンを生体組織の外縁相当部位の形成のためにのみ用
いずに、異なる生体組織間の輪郭線(境界部)に相当す
る部位に施すと、その部位では光が遮蔽された光硬化性
樹脂組成物が硬化しないことから、異なる生体組織に相
当する部位の境界に隙間を有する生体模型を形成するこ
とができる。また、生体の柔組織に相当する部位を軟質
の光硬化樹脂から形成し、生体の硬質組織に相当する部
位を硬質の光硬化樹脂から形成し、前記したマスキング
方法によって両組織間に隙間を形成すると、生体により
近似したリアルな生体模型を形成することもできる。
【0032】(II)本発明第2方法:次に、本発明第2
方法について説明する。本発明第2方法は、流動開始温
度が60〜250℃、好ましくは80〜180℃の範囲
にある2種類以上の熱可塑性重合体または熱可塑性重合
体組成物を用い、三次元データをコンピューターにより
平行にスライスしてなるスライス形状データに基づい
て、該2種類以上の熱可塑性重合体または熱可塑性重合
体組成物のうちの1種類または2種類以上を、それぞれ
の熱可塑性重合体または熱可塑性重合体組成物ごとに設
けられている個別のX−Yプロッター装置に取り付けて
なるノズルから、それぞれ流動状態(溶融状態)で造形
ステージ(造形テーブル)上に平らに1層分、例えば面
状で供給すると共に直ちに冷却固化させ、次いでその冷
却固化した層上に、三次元データをコンピューターによ
り平行にスライスしてなる次のスライス形状データに基
づいて前記した熱可塑性重合体または熱可塑性重合体組
成物のうちの1種類または2種類以上をそれぞれの熱可
塑性重合体または熱可塑性重合体組成物ごとに設けられ
ている前記した個別のX−Yプロッター装置に取り付け
てなるノズルからそれぞれ流動状態(溶融状態)で新た
に平らに1層分供給すると共に直ちに冷却固化させ、三
次元データに相当する立体状固化物が形成されるまで前
記操作を複数回繰り返して立体造形物を製造する方法で
ある。
【0033】本発明第2方法において、前記1層分の重
合体層を形成するに当たって、該1層分の重合体層を形
成するために熱可塑性重合体または熱可塑性重合体組成
物のうちの1種類のみが供給されるかまたは2種類以上
が供給されるかは、該層を形成する際のベースとなるス
ライス形状データの内容による。スライス形状データ
が、全体的に1つの均質部分よりなるデータ内容である
場合(例えば、図6におけるn=p+1に相当するスラ
イス形状データの場合)には、1種類の熱可塑性重合体
または熱可塑性重合体組成物のみが供給されて該1つの
層が形成される。また、スライス形状データが、互いに
不均質な複数部分を有するデータ内容である場合(例え
ば、図6におけるn=p+2に相当するスライス形状デ
ータの場合)には、該不均質な複数部分に相当する数の
複数種類の熱可塑性重合体または熱可塑性重合体組成物
が個別のX−Yプロッター装置に取り付けてなるそれぞ
れのノズルから別々に供給されてスライス形状データの
内容に応じて1つの層内のそれぞれの位置に配置されて
1つの層が形成される。1種類または2種類以上の熱可
塑性重合体または熱可塑性重合体組成物を供給して形成
された前記1つの層は直ちにその固化温度以下に冷却さ
れて固化される。特に該1つの層が2種類以上の熱可塑
性重合体または熱可塑性重合体組成物から形成されてい
る場合は、1つの層内で複数の熱可塑性重合体または熱
可塑性重合体組成物間で混合が生じないように固化を速
やかに行う必要がある。
【0034】本発明第2方法で用いる前記熱可塑性重合
体または熱可塑性重合体組成物は、室温では固体状を呈
し、その流動開始温度(60〜250℃)以上に加熱さ
れると流動する。本発明第2方法では、2種類以上の熱
可塑性重合体または熱可塑性重合体組成物として、熱可
塑性重合体または熱可塑性重合体組成物の流動開始温度
が60〜250℃の範囲内にあるものであれば、例え
ば、種類の異なる2種類以上の熱可塑性重合体の組み合
わせ、1つの熱可塑性重合体とそれと同じ熱可塑性重合
体に充填剤、着色剤などの添加剤を添加してなる熱可塑
性重合体組成物との組み合わせ、同じ熱可塑性重合体を
ベースとするが組成の異なる2種類以上の熱可塑性重合
体組成物の組み合わせ、互いに異なる熱可塑性重合体を
ベースとする2種類以上の熱可塑性重合体組成物の組み
合わせなどのいずれを採用してもよい。本発明第2方法
で用い得る熱可塑性重合体または熱可塑性重合体組成物
としては、例えば、ワックス、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・メ
チルメタクリレート共重合体、トランスポリイソプレ
ン、ポリカプロラクトン、メチルメタクリレートと他の
アルキル(メタ)アクリレートとの共重合体、またはこ
れらの重合体の1種または2種以上をベースとする熱可
塑性重合体組成物が挙げられる。これらのうち、ワック
スは立体造形物の製造工程の最終工程で、熱水洗浄や水
蒸気洗浄を行うことにより、本体部分から容易に除去で
きるので、他の熱可塑性重合体および/またはは熱可塑
性重合体組成物を用いて本発明第2方法に従って立体造
形物を製造する際に、熱可塑性重合体および/または熱
可塑性重合体組成物が目的とする立体造形物の輪郭から
外方に余分にはみ出して立体造形物の形状精度が失われ
ないようにするための分離手段(補助材料)としても使
用することができる。また、本発明第2方法では、立体
造形物の形状などに応じて、立体造形物を構成する2種
類以上の熱可塑性重合体または熱可塑性重合体組成物と
共に、立体造形中にサポートとして機能し立体造形の終
了後は立体造形物から取り除かれる熱可塑性重合体また
は熱可塑性重合体組成物を用いて立体造形を行ってもよ
い。本発明第2方法で用いる熱可塑性重合体または熱可
塑性重合体組成物は、本発明の趣旨を損なわない範囲内
で、充填剤、可塑剤、安定剤、着色剤、難燃剤、酸化防
止剤、帯電防止剤などの1種または2種以上を必要に応
じて含有していてもよい。
【0035】本発明第2方法では、2種類以上の熱可塑
性重合体または熱可塑性重合体組成物として、最終的に
製造される立体造形物の種類、用途、立体造形物に要求
される特性などに基づいて、立体造形物中に、例えば、
組成;色調;透明度;例えば強度、伸長率、弾性率、硬
度、柔軟性、圧縮特性、耐熱性、気体透過性、引張特
性、耐寒性などの力学的特性や物理的特性および耐薬品
性、耐候性、耐加水分解性、耐水性などの化学的特性の
うちの少なくとも1つにおいて互いに異なる部位を形成
するものが用いられる。例えば、色調や透明度が互いに
異なる部位を有する立体造形物を製造する場合は、着色
剤を含有する熱可塑性重合体組成物と着色剤を含有しな
い熱可塑性重合体との組み合わせ、充填剤を含有する熱
可塑性重合体組成物と透明な光硬化物を形成する熱可塑
性重合体との組み合わせなどを用いればよい。また、硬
度が互いに異なる部位を有する立体造形物を製造する場
合は、例えば、柔軟性のある熱可塑性重合体または熱可
塑性重合体組成物と硬質の熱可塑性重合体または熱可塑
性重合体組成物の組み合わせなどを用いればよい。本発
明第2方法によって生体模型を製造する場合にも、本発
明第1方法の場合と同様に、2種類以上の熱可塑性重合
体または熱可塑性重合体組成物の組み合わせを選択する
ことによって、例えば、ガン組織などの患部に相当する
部位と正常組織に相当する部位とで、筋肉に相当する部
位と血管に相当する部位とで、または筋肉に相当する部
位と骨に相当する部位とで、互いに色調、透明度、硬さ
などにおいて異なる、手術前のシミュレーション、医学
生の教育や訓練用などに役立つ精密な生体模型を簡単に
且つ迅速に製造することができる。
【0036】本発明第2方法において、造形ステージ
(造形テーブル)上に熱可塑性重合体または熱可塑性重
合体組成物の溶融物を供給して1層分の重合体層を形成
する方法としては、例えば、熱可塑性重合体または熱可
塑性重合体組成物を充填してなる容器(タンク)、熱可
塑性重合体または熱可塑性重合体組成物を流動開始温度
以上に加熱する手段、溶融した熱可塑性重合体または熱
可塑性重合体組成物のノズルからの吐出量を定量する手
段、ノズルのX−Y方向での位置検出手段およびそれら
を制御する手段を備えたアプリレーターを使用して、該
アプリケーターより熱可塑性重合体または熱可塑性重合
体組成物の溶融物をステージ上の所定の位置に一定量ず
つ押し出した後、ファン等の手段により発生させたエア
ーの流れを細い流路に導いて冷却を要する部位に吹き付
けて固化する方法が挙げられる。造形テーブル上または
既に固化した重合体層上に供給された熱可塑性重合体ま
たは熱可塑性重合体組成物の層の表面に突起が生じてい
て平滑な面となっていない場合は、寸法精度に優れる立
体造形物を得るために、熱可塑性重合体または熱可塑性
重合体組成物の溶融物の層の表面を平坦化するための手
段を設けてもよい。固化した熱可塑性重合体または熱可
塑性重合体組成物の層の積層数が多くなり、固化物の厚
みが厚くなるに従って、熱可塑性重合体または熱可塑性
重合体組成物の収縮に基づく歪の影響が立体造形物にお
ける平坦性の欠如という形で顕れることがあるが、必要
であれば、固化した重合体層の平坦性を検出するレベル
検出手段を設けて、アプリケーターからの吐出量を調節
・制御するプログラムを組むこともできる。
【0037】(III)本発明第3方法:本発明第3方法
は、前記した本発明第1方法と本発明第2方法を組み合
わせたものであって、温度変化により可逆的に且つ急速
にゾル−ゲル相転移を引き起こす光硬化性樹脂組成物の
1種類以上と、流動開始温度が60〜250℃の範囲に
ある熱可塑性重合体または熱可塑性重合体組成物の1種
類以上を用い、三次元データをコンピューターにより平
行にスライスしてなるスライス形状データに基づいて、
前記した光硬化性樹脂組成物、熱可塑性重合体および熱
可塑性重合体組成物のうちの1種類または2種類以上を
ゾル状または流動状態で、造形ステージ(造形テーブ
ル)上に、前記スライス形状データの占める面積以上で
平らに1層分供給すると共に直ちにゲル化および/また
は固化させ、該層における光硬化させたくない部位にマ
スクパターンを施した後、光を照射してマスクパターン
が施されていない光硬化性樹脂組成物部位を光硬化さ
せ、次いで光硬化した部位を含む前記層上に、三次元デ
ータをコンピューターにより平行にスライスしてなる次
のスライス形状データに基づいて前記した光硬化性樹脂
組成物と熱可塑性重合体または熱可塑性重合体組成物の
うちの1種類または2種類以上をゾル状または流動状態
で新たに平らに1層分供給すると共に直ちにゲル化およ
び/または固化させ、該層における光硬化させたくない
部位にマスクパターンを施した後に光を照射してマスク
パターンが施されていない光硬化性樹脂組成物部位を光
硬化させて光硬化した部位を含む層を形成させ、三次元
データに相当する立体状物が形成されるまで前記操作を
複数回繰り返し、次いで立体状物から光硬化されなかっ
た光硬化性樹脂組成物を取り除いて立体造形物を製造す
る方法である。
【0038】本発明第3方法では、光硬化性樹脂組成
物、熱可塑性重合体または熱可塑性重合体組成物とし
て、本発明第1方法で用いられる光硬化性樹脂組成物お
よび本発明第2方法で用いられる熱可塑性重合体または
熱可塑性重合体組成物と同じものが使用できる。本発明
第3方法では、光硬化性樹脂組成物、熱可塑性重合体ま
たは熱可塑性重合体組成物という多種類の樹脂や重合
体、重合体組成物を用いるものであるため、それらの2
種以上の組み合わせとして極めて多様な組み合わせが可
能であり、かかる点で、立体造形物の用途などに応じ
て、より精密な立体造形物を形成することができる。本
発明第3方法では、マスクパターンの形成方法、光硬化
および/または冷却固化した層の形成方法や形成装置、
最終工程での立体造形物からの光硬化してない光硬化性
樹脂組成物の分離方法などにおいても、本発明第1方法
および/または本発明第2方法と同様の方法および装置
が採用される。
【0039】本発明第3方法を採用して生体模型を製造
するに当たって、例えば、先に生体の輪郭部(体表部)
を熱可塑性重合体または熱可塑性重合体組成物で製造す
ると、熱可塑性重合体または熱可塑性重合体組成物より
なる輪郭部が光硬化性樹脂組成物を体内の部分に保持す
るための堤となり、高価な光硬化性樹脂組成物を余分に
供給する必要がなくなる利点がある。また、本発明第3
方法によって、例えば体内の複数の組織を再現した生体
模型を製造する際に、熱可塑性重合体または熱可塑性重
合体組成物と光硬化性樹脂組成物とを交互に供給するよ
うにプログラムすると、熱可塑性重合体または熱可塑性
重合体組成物と光硬化性樹脂組成物とが互いに接着しに
く点を利用して、生体模型においてそれぞれの組織に相
当する部位が密着して剥がれなくなるようなトラブルを
回避することができる。
【0040】
【実施例】以下に本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明は実施例に限定されるものではない。以下
の実施例1〜3で用いた光硬化性樹脂組成物および/ま
たは熱可塑性重合体(熱可塑性重合体組成物)の内容を
下記の表1および表2に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】なお、上記の表1および表2に記載したモ
ノマーまたは重合体の略号とその内容は次のとおりであ
る。 ・MMA:メタクリル酸メチルモノマー ・PMMA:ポリメタクリル酸メチル(株式会社クラレ
製:パラペットLW−1000、シンジオタクチック割
合65%) ・i−PMMA:アイソタクティック−ポリメタクリル
酸メチル(t−ブチルマグネシウムブロマイドを開始剤
として用いてアニオン重合により製造したもの;アイソ
タクティック割合90%) ・2EHA: アクリル酸2−エチルヘキシルモノマー ・赤色染料:共立化学株式会社製「#310」 ・PE:ポリエチレン(日本ポリケム株式会社製「ノバ
テックHJ−290」) ・白色顔料:酸化チタン(石原産業株式会社製「タイペ
ーク」) ・IR:ポリイソプレンゴム(株式会社クラレ製「IR
−10」) ・オイル:プロセスオイル(出光石油化学株式会社製
「PW−380」)
【0044】《実施例1》[病変部を有する肝臓模型の
製造] (1) この実施例1では、2種類の光硬化性樹脂組成
物、具体的には正常部に相当する部位用として光硬化性
樹脂組成物B(軟質透明)を用いて、また病変部に相当
する部位用として光硬化性樹脂組成物C(軟質赤色)を
用いて、本発明第1方法に従って、図1に相当する病変
部を有する肝臓に相当する肝臓模型を製造した。すなわ
ち、加熱手段を有する2個の樹脂タンク、該2個の樹脂
タンクと連結した上下動可能な造形ステージ(造形テー
ブル)上に光硬化性樹脂組成物を塗布可能な個別のX−
Yプロッター装置に結合した2個のノズル、および紫外
線遮光性インクを印刷できるX−Yプロッター装置に結
合したインクジェットヘッドを主要駆動部として備え且
つ紫外線ランプを光源として備える装置を用いて、図3
〜図5に示す手順に従って、病変部に相当する部位を正
常部に相当する部位内に有する、図1の概略図で示され
る肝臓の模型を製造した。
【0045】(2) CTスキャンにより得られた図1
の概略図に示す病変部を有する、患者の肝臓データをコ
ンピューターによりSTLフォーマットに変換した後、
さらに図2に示すようにコンピューターでスライスして
各層のスライス形状データ(スライス断面データ)を求
めた。 (3) 図2において、病変部を含まないスライス断面
データは、n=1の第1層からn=pの層までである。
これらの層部分の光造形は、光硬化性樹脂組成物Bを単
独で使用して、図3の概略図に示す方法で行った。すな
わち、 (i) 光硬化性樹脂組成物Bを120℃に加熱溶融し
てゾル状(液状)にしてノズル1から造形ステージ3の
上に1層分供給し直ちに空冷によりゲル状にして(固化
して)固化層4−1を形成する工程(図3の); (ii) 前記で形成した固化層4−1の上に、スライス
断面データに基づいてインクジェットヘッド5によって
遮光性マスクパターン6−1を形成する工程(図3の
); (iii) 紫外線照射装置7によって面照射を行って層
内に光硬化した樹脂部8−1を形成する工程(図3の
); (iv) 造形ステージ3を1層分だけ下降させた後、前
記(iii)で形成した光硬化した樹脂部8−1を層内に
含む層(n=1)の面上に、120℃に加熱して溶融し
た光硬化性樹脂組成物Bをノズル1から1層分供給し、
直ちに空冷してゲル化して(固化して)固化層4−2を
形成する工程(図3の); (v) 前記で生成した固化層4−2に対して各々のス
ライス断面データに基づいて、前記(ii)〜(iv)の工
程をn=pの層が形成されるまで繰り返す工程;を採用
してn=1の第1層からn=pの層までに相当する部分
の光造形を行った。
【0046】(4) 図2において、病変部を含むスラ
イス断面データは、n=p+1からn=qの層までであ
る。そこで、上記(3)の光造形に続いて、n=p+1
からn=qの層までの光造形を、光硬化性樹脂組成物B
および光硬化性樹脂組成物Cの両方を使用して、図4の
概略図に示す方法で行った。すなわち、 (i) 各タンク内の光硬化性樹脂組成物Bおよび光硬
化性樹脂組成物Cをそれぞれ120℃に加熱溶融してゾ
ル状(液状)にしてノズル1およびノズル2から1層分
で光硬化した樹脂部を含む層(n=pに相当する層)の
上に供給し、直ちに空冷によりゲル状にして(固化し
て)、光硬化性樹脂組成物Bからなる部位と光硬化性樹
脂組成物Cからなる部位とが1つの層内に分布した固化
層4−p1を形成する工程(図4の’); (ii) 前記で生成した固化層4−p1の上にスライス
断面データに基づいたインクジェットヘッド5による遮
光性マスクパターン6−p1を形成する工程(図4の
’); (iii) 紫外線照射装置7により面照射して光硬化し
た樹脂部8−p1を形成する工程(図4の’); (iv) 造形ステージ3を1層分だけ下降させた後、前
記(iii)で形成した光硬化樹脂部8−p1を層内に含む
層(n=p+1に相当する層)の面上に、120℃に加
熱して溶融した光硬化性樹脂組成物Bと光硬化性樹脂組
成物Cをノズル1およびノズル2を通して1層分供給し
直ちに空冷によりゲル状にして(固化して)、光硬化性
樹脂組成物B部と光硬化性樹脂組成物C部が1つの層内
に分布した固化層4−p2を形成する工程(図4の
’); (v) 前記で生成した固化層4−p2に対して各々ス
ライス断面データに基づいて、前記(ii)〜(iv)の工
程をn=qの層が形成するまで繰り返す工程;を採用し
てn=p+1からn=qの層までの部分(病変部に相当
する部位を有する部分)の光造形を行った。
【0047】(5) 上記の工程によって、図5の
(a)に示すように、光硬化してない光硬化性樹脂組成
物10によって光硬化した樹脂からなる造形部9がほぼ
包囲された造形体が得られたので、それを120℃で5
分間加熱して未硬化の光硬化性樹脂組成物10の部分を
溶融して(ゾル状にして)造形物9から分離することに
よって、図5の(b)に示す、病変部に相当する部位を
有する肝臓模型が得られた。この肝臓模型では、病変部
に相当する部位は軟質赤色であり、正常部に相当する部
位は軟質透明であり、しかも両部位は生体肝臓と類似し
た弾性率を有しており、さらに病変部に相当する部位と
正常部に相当する部位が色調が異なるものの同質の光硬
化性樹脂組成物から形成されているため、病変部に相当
する部位と正常部に相当する部位間の接着が良好であっ
た。そして、この肝臓模型では、病変部に相当する部位
の状態を外部から容易に確認することができるため、手
術前のシミュレーションや医学生の教育などに極めて有
用なものであった。
【0048】《実施例2》[病変部を有する肝臓模型の
製造] (1) この実施例2では、図1に相当する病変部を有
する肝臓に相当する肝臓模型[図5の(b)に示す肝臓
模型]を、1種類の熱可塑性重合体と2種類の熱可塑性
重合体組成物、具体的には表2におけるa(サポート
用;硬質半透明)、b(正常部に相当する部位用;ゴム
状透明)およびc(病変部に相当する部位用;ゴム状赤
色))を使用して、本発明第2方法に従って製造した。
その際にサポート部位を考慮して、図8に示す形状の立
体造形物を製造し、それからサポート部を分離すること
によって、図5に示す肝臓模型を製造した。すなわち、
加熱手段を有する3個の重合体タンク、該3個の重合体
タンクと連結した上下動可能な造形ステージ(造形テー
ブル)上に熱可塑性重合体または熱可塑性重合体組成物
を塗布可能な個別のX−Yプロッター装置に結合した3
個のノズル、および冷却装置を主要駆動部として備える
装置を用いて、図7に示す手順に従って、病変部に相当
する部位を正常部に相当する部位内に有し且つサポート
部を有する図8の概略図で示されるサポート付の立体造
形物を製造した後、該立体造形物からサポート部を分離
することによって、図5に示す肝臓模型を製造した。
【0049】(2) CTスキャンにより得られた図1
の概略図に示す病変部を有する、患者の肝臓データをコ
ンピューターによりSTLフォーマットに変換した後、
さらに図6に示すようにコンピューターでスライスして
各層のスライス形状データ(スライス断面データ)を求
めた。図6において、病変部を含まず、サポート部と正
常部を含むスライス断面データは、n=1の第1層から
n=pの層までである。これらの層部分の光造形は、熱
可塑性重合体a(サポート部用)と熱可塑性重合体組成
物c(正常部用)光硬化性樹脂組成物を使用して、図7
の該略図に示す方法で行った。すなわち、 (i) 第1のスライス断面データに基づいて、熱可塑
性重合体aを110℃に加熱溶融して流動状にしてノズ
ル11を通して造形ステージ3の上に供給し、同時に熱
可塑性重合体組成物bを190℃に加熱溶融して流動状
にしてノズル12を通して造形ステージ3の上に供給
し、直ちに冷却装置で冷却して固化させ、1つの層内に
熱可塑性重合体aからなる部位と熱可塑性重合体組成物
bからなる部位とが分布している第1の固化層14−1
を形成する工程(図7の); (ii) 造形ステージ3を1層分だけ下降させた後、前
記(i)で形成した固化層14−1(n=1に相当する
層)の面上に、第2のスライス断面データに基づいて、
熱可塑性重合体aを110℃に加熱溶融して流動状にし
てノズル11を通して供給し、同時に熱可塑性重合体組
成物bを190℃に加熱溶融して流動状にしてノズル1
2を通して供給し、直ちに冷却装置で冷却して固化さ
せ、1つの層内に熱可塑性重合体aからなる部位と熱可
塑性重合体組成物bからなる部位とが分布している第2
の固化層14−2を形成する工程(図7の); (iii) 前記で生成した固化層14−2に対して各々
のスライス断面データに基づいて、前記(ii)の工程を
n=pの層が形成されるまで繰り返す工程;を採用して
n=1の第1層からn=pの層までに相当する部分の造
形を行った。
【0050】(3) 次に、造形ステージ3を1層分だ
け下降させた後、前記(2)で形成した固化層14−p
(n=pに相当する固化層)の上に、スライス断面デー
タに基づいて、熱可塑性重合体組成物bを190℃に加
熱溶融して流動状にしてノズル12から供給し、直ちに
冷却装置で冷却して固化させ、熱可塑性重合体組成物b
のみからなる固化層(n=p+1に相当する固化層)を
形成した(図7の)。 (4)(i) 続いて、造形ステージ3を1層分だけ下
降させた後、前記(4)で形成した固化層(n=p+1
に相当する固化層)の上に、スライス断面データに基づ
いて、熱可塑性重合体組成物b(正常部に相当する部位
用;透明)を190℃に加熱溶融して流動状にしてノズ
ル12を通して供給し、同時に熱可塑性重合体組成物c
(病変部に相当する部位用;赤色)を190℃に加熱溶
融して流動状にしてノズル13を通して供給し、直ちに
冷却装置で冷却して固化させ、1つの層内に熱可塑性重
合体組成物bからなる部位と熱可塑性重合体組成物cか
らなる部位とが分布している固化層(n=p+2に相当
する固化層)を形成した。 (ii) 前記(i)で生成した固化層に対して各々のス
ライス断面データに基づいて、前記(i)と同様の工程
をn=qの層が形成されるまで繰り返す工程を採用し
て、図8に示すような、サポート部15、正常部に相当
する部位16および病変部に相当する部位17を有する
立体造形物を製造した。
【0051】(5) 上記(5)で得られた図8の立体
造形物を110℃に加熱することによって、サポート部
15のみが溶融液化し、部位16と部位17からなる本
体部から容易に分離して、図5の(b)に示す、病変部
に相当する部位を有する肝臓模型が得られた。この肝臓
模型では、病変部に相当する部位は赤色であり、正常部
に相当する部位は無色透明であり、しかも両部位は生体
肝臓と類似した弾性率を有しており、さらに病変部に相
当する部位と正常部に相当する部位が色調が異なるもの
の同質の熱可塑性重合体組成物から形成されているた
め、病変部に相当する部位と正常部に相当する部位間の
接着が良好であり、病変部に相当する部位の状態を外部
から容易に確認することができるため、手術前のシミュ
レーションや医学生の教育などに極めて有用なものであ
った。
【0052】《実施例3》[筋肉相当部位と骨相当部位
を有する生体模型の製造] (1) この実施例3では、光硬化性樹脂組成物A(骨
相当部位用;硬質透明)、光硬化性樹脂組成物C(筋肉
相当部位用;軟式赤色)および熱可塑性重合体a(骨と
筋肉との間の空間部相当部位用;硬質半透明)の3種類
の重合体を用いて、本発明第3方法に従って、図9に相
当する、筋肉相当部位と骨相当部位を有し且つ筋肉相当
部位と骨相当部位との間に空間を有する生体模型を製造
した。すなわち、加熱手段を有する3個の樹脂(重合
体)タンク、上下動可能な造形ステージ(造形テーブ
ル)上に光硬化性樹脂組成物および熱可塑性重合体を塗
布可能な、前記3個のタンクと連結した個別のX−Yプ
ロッター装置に結合した3個のノズル、紫外線遮光性イ
ンクを印刷できるX−Yプロッター装置に結合したイン
クジェットヘッドおよび冷却装置を主要駆動部として備
え、紫外線ランプを光源として備える装置を用いて、以
下の(2)以降に示す工程で、図9に相当する筋肉相当
部位と骨相当部位を有する生体模型を製造した。
【0053】(2) CTスキャンにより得られた生体
部データをコンピューターによりSTLフォーマットに
変換した後、さらに図10に示すようにコンピューター
でスライスして各層のスライス形状データ(スライス断
面データ)を求めた。 (3) 上記(2)で得られたスライス断面データに基
づいて、1つの層内に筋肉に相当する部分のみを有する
層(図10におけるn=1〜n=pのスライス断面デー
タに相当する層)での造形は、光硬化性樹脂組成物Cの
みを用いて、実施例1の(3)におけるのと同様の工程
を採用して行った。 (4) 次に、1つの層内に筋肉に相当する部位、空間
に相当する部位および骨に相当する部位を有する層(図
10におけるn=p+1〜n=qのスライス断面データ
に相当する層)での造形は、光硬化性樹脂組成物A、光
硬化性樹脂組成物Cおよび熱可塑性重合体aを用いて、
実施例1の(4)におけるのと同様の工程を採用して行
った。 (5) 続いて、1つの層内に骨に相当する部位と空間
に相当する部位を有する層(図10におけるn=q+1
〜n=rのスライス断面データに相当する層)での造形
は、光硬化性樹脂組成物Aと熱可塑性重合体aを用いて
実施例1の(4)におけるのと同様の工程を採用して行
った。
【0054】(6) 次に、1つの層内に骨に相当する
部位のみを有する層(図10におけるn=r+1以降の
スライス断面データに相当する層)での造形は、光硬化
性樹脂組成物Aのみを用いて実施例1の(3)におけるの
と同様の工程を採用して行った。 (7) 上記の工程によって、図11に示すように、光
硬化してない光硬化性樹脂組成物10によって光硬化し
た樹脂と固化した熱可塑性重合体からなる造形部がほぼ
包囲された造形体が得られたので、それを120℃で5
分間加熱して、未硬化の光硬化性樹脂組成物10の部分
と空間部に相当する熱可塑性重合体aを溶融して造形物
から分離することによって、図9に相当する、筋肉相当
部位と骨相当部位を有し且つ筋肉相当部位と骨相当部位
との間に空間を有する生体模型を製造した。この生体模
型では、筋肉相当部位は軟質赤色であり、骨相当部位が
硬質透明であり、しかも生体におけるのと同様に筋肉相
当部位と骨相当部位との間に空間が存在しているため、
生体における実際の組織構造を容易に且つ確実に知るこ
とができる。
【0055】
【発明の効果】本発明による場合は、1つの立体造形物
中に、例えば、色調、透明度、力学的特性、物理的特
性、化学的特性などが異なる複数の部位が複合的に形成
されていて、工業分野、医療分野、その分野など各種用
途に有効に用い得る精密な立体造形物を、迅速に且つ高
い造形精度で生産性よく製造することができる。本発明
の方法は、生体模型の製造に特に適しており、例えば、
特定の患部だけを再現した生体模型;トルソ像や頭像な
ど生体模型;患部組織の形態を忠実に再現した生体模型
であって組織内の正常な部分と切除すべき病変部分とが
互いに識別可能な色調などで作製生体模型;透明な樹脂
よりなる生体の全身模型または部分模型の中に他の部分
とは異なった色調の患部組織が埋まっている形式の生体
模型;透明な樹脂よりなる生体の全身模型または部分模
型の中に医師が内視鏡を患部に向かって挿入せんとする
際に内視鏡が接近または接触する可能性のある複数の組
織および目的とする患部が互いに他の部分とは識別可能
な色調の樹脂で作成されているような生体模型;生体組
織に似せた弾性率などの力学特性を有する複数の樹脂や
重合体からなる患部組織をより忠実に再現した生体模型
などの種々の精密な生体模型を迅速に且つ容易に製造す
ることができる。そのため、本発明の方法により得られ
る生体模型は、術前の医師の練習用(シミュレーション
用)、イメージトレーニング用、医学生や看護学生の教
育や訓練用などとして極めて有用である。そして、本発
明第1方法による場合は、光造形工程を複雑にする別体
のサポートや立体造形物におけるサポート付けなどが不
要であり、目的とする前記した各種の立体造形物を、簡
単に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】病変部を有する肝臓の例を示す概略図である。
【図2】図1の肝臓のデータから得られる各層のスライ
ス形状データ(スライス断面データ)を示す図である。
【図3】実施例1で本発明第1方法によって図1の肝臓
に相当する肝臓模型を製造する際の前般の工程を示す図
である。
【図4】実施例1で本発明第1方法によって図1の肝臓
に相当する肝臓模型を製造する際の中盤以降の工程を示
す図である。
【図5】実施例1で本発明第1方法によって図1の肝臓
に相当する肝臓模型を製造する際の最後の工程と、最終
的に得られた肝臓模型を示す図である。
【図6】実施例2で採用いられた、図1の肝臓のデータ
から得られる各層のスライス形状データ(スライス断面
データ)(サポート部付)を示す図である。
【図7】実施例2で本発明第2方法によって図1の肝臓
に相当する肝臓模型を製造する際の工程を示す図であ
る。
【図8】実施例2で本発明第2方法を採用して得られた
サポート付きの肝臓模型の概略を示す図である。
【図9】実施例3で本発明第3方法を採用して得られた
筋肉相当部位と骨相当部位を有する生体模型の概略を示
す図である。
【図10】実施例3で用いられた、図9の生体模型を得
るための各層のスライス形状データ(スライス断面デー
タ)を示す図である。
【図11】実施例3で得られた、光硬化してない光硬化
性樹脂組成物でほぼ包囲された立体造形物を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 ノズル 2 ノズル 3 造形ステージ 5 光遮蔽用インクジェットヘッド 7 紫外線照射装置 11 ノズル 12 ノズル 13 ノズル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 井出 章子 大阪府大阪市北区梅田1丁目12番39号 株 式会社クラレ内 (72)発明者 檜垣 達彦 大阪府大阪市北区梅田1丁目12番39号 株 式会社クラレ内 Fターム(参考) 2H097 CA11 FA02 GA50 HA00 LA15 4F213 AA44 WA25 WA84 WB01 WL03 WL12 WL15 WL24 WL34 WL67 WL82 5H269 AB01 BB03 BB05 CC01 DD01 QA05 QE06

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 温度変化により可逆的に且つ急速にゾル
    −ゲル相転移を引き起こす2種類以上の光硬化性樹脂組
    成物を用い、三次元データをコンピューターにより平行
    にスライスしてなるスライス形状データに基づいて、該
    2種類以上の光硬化性樹脂組成物のうちの1種類または
    2種類以上を、ゾル状で前記スライス形状データの占め
    る面積以上で平らに1層分供給すると共に直ちに冷却ゲ
    ル化させ、該光硬化性樹脂組成物層における光硬化させ
    たくない部位にマスクパターンを施した後、光を照射し
    てマスクパターンが施されていない部位を光硬化させ、
    次いで光硬化した部位を含む前記樹脂層上に、三次元デ
    ータをコンピューターにより平行にスライスしてなる次
    のスライス形状データに基づいて前記した光硬化性樹脂
    組成物のうちの1種類または2種類以上をゾル状で新た
    に平らに1層分供給すると共に直ちに冷却ゲル化させ、
    該光硬化性樹脂組成物層における光硬化させたくない部
    位にマスクパターンを施した後に光を照射してマスクパ
    ターンが施されていない部位を光硬化させて光硬化した
    部位を含む樹脂層を形成させ、三次元データに相当する
    立体状光硬化物が形成されるまで前記操作を複数回繰り
    返し、次いで前記立体状光硬化物から光硬化されなかっ
    た光硬化性樹脂組成物を取り除くことを特徴とする立体
    造形物の製造方法。
  2. 【請求項2】 流動開始温度が60〜250℃の範囲に
    ある2種類以上の熱可塑性重合体または熱可塑性重合体
    組成物を用い、三次元データをコンピューターにより平
    行にスライスしてなるスライス形状データに基づいて、
    該2種類以上の熱可塑性重合体または熱可塑性重合体組
    成物のうちの1種類または2種類以上を、個別のX−Y
    プロッター装置に設けてなるノズルから流動状態で平ら
    に1層分供給すると共に直ちに冷却固化させ、次いで該
    冷却固化した層上に、三次元データをコンピューターに
    より平行にスライスしてなる次のスライス形状データに
    基づいて前記した熱可塑性重合体または熱可塑性重合体
    組成物のうちの1種類または2種類以上を流動状態で新
    たに平らに1層分供給すると共に直ちに冷却固化させ、
    三次元データに相当する立体状固化物が形成されるまで
    前記操作を複数回繰り返すことを特徴とする立体造形物
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 温度変化により可逆的に且つ急速にゾル
    −ゲル相転移を引き起こす光硬化性樹脂組成物の1種類
    以上と、流動開始温度が60〜250℃の範囲にある熱
    可塑性重合体または熱可塑性重合体組成物の1種類以上
    を用い、三次元データをコンピューターにより平行にス
    ライスしてなるスライス形状データに基づいて、前記し
    た光硬化性樹脂組成物、熱可塑性重合体および熱可塑性
    重合体組成物のうちの1種類または2種類以上をゾル状
    または流動状態で前記スライス形状データの占める面積
    以上で平らに1層分供給すると共に直ちに冷却してゲル
    化および/または固化させ、該層における光硬化させた
    くない部位にマスクパターンを施した後、光を照射して
    マスクパターンが施されていない光硬化性樹脂組成物部
    位を光硬化させ、次いで光硬化した部位を含む前記層上
    に、三次元データをコンピューターにより平行にスライ
    スしてなる次のスライス形状データに基づいて前記した
    光硬化性樹脂組成物と熱可塑性重合体または熱可塑性重
    合体組成物のうちの1種類または2種類以上をゾル状ま
    たは流動状態で新たに平らに1層分供給すると共に直ち
    に冷却してゲル化および/または固化させ、該層におけ
    る光硬化させたくない部位にマスクパターンを施した後
    に光を照射してマスクパターンが施されていない光硬化
    性樹脂組成物部位を光硬化させて光硬化した部位を含む
    層を形成させ、三次元データに相当する立体状物が形成
    されるまで前記操作を複数回繰り返し、次いで立体状物
    から光硬化されなかった光硬化性樹脂組成物を取り除く
    ことを特徴とする立体造形物の製造方法。
  4. 【請求項4】 マスクパターンを、ゲル化および/また
    は固化した層上に光不透過性インクをジェット噴射する
    ことによって施す請求項1または3に記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 2種類以上の光硬化性樹脂組成物、2種
    類以上の熱可塑性重合体または熱可塑性重合体組成物、
    或いは光硬化性樹脂組成物の1種類以上と熱可塑性重合
    体または熱可塑性重合体組成物の1種類以上として、製
    造される立体造形物中に組成、色調、透明度、力学的特
    性、物理的特性および化学的特性のうちの少なくとも1
    つにおいて互いに異なる部位を形成するものを用いる請
    求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記スライス形状データが、生体の一部
    または全身より得られた断層撮影データであり、立体造
    形物が生体模型である請求項1〜5のいずれか1項に記
    載の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項に記載の製
    造方法で得られる立体造形物。
  8. 【請求項8】 生体模型である請求項7に記載の立体造
    形物。
  9. 【請求項9】 患部組織の形態を忠実に再現した生体模
    型である請求項8に記載の立体造形物。
  10. 【請求項10】 生体模型における患部組織に相当する
    部位が、正常組織とは異なった色調、透明度、力学的特
    性および/または物理的特性を有する光硬化樹脂または
    熱可塑性重合体から形成されている請求項9に記載の立
    体造形物。
  11. 【請求項11】 生体模型における異なる生体組織に相
    当する部位が、色調、透明度、力学的特性および/また
    は物理的特性の異なる光硬化樹脂または熱可塑性重合体
    から形成されている請求項8に記載の立体造形物。
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