JP2003011182A - 車輌用灯具のレンズの成形方法及び成形金型 - Google Patents

車輌用灯具のレンズの成形方法及び成形金型

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JP2003011182A
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cavity
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molding
mold
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守 小菅
Makoto Sano
良 佐野
Masaru Takiguchi
優 瀧口
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 レンズ表面にウェルドラインが生じないよう
にして、見栄えを向上させると共に機械的強度も向上さ
せることを課題とする。 【解決手段】 レンズとなる溶融樹脂10の流動領域で
あるキャビティ4内において溶融樹脂の会合部6を有す
る車輌用灯具のレンズの成形方法であって、溶融樹脂を
金型1のキャビティ内に射出する工程と、上記溶融樹脂
が上記キャビティ内で冷却される工程とから成り、上記
金型には、上記溶融樹脂の会合部のレンズ表面側のキャ
ビティ面4aに断熱層が形成されている車輌用灯具のレ
ンズの成形方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規な車輌用灯具の
レンズの成形方法及び成形金型に関する。詳しくは、レ
ンズの見栄えと強度の向上を図る技術に関する。
【0002】
【従来の技術】車輌用灯具のレンズは通常熱可塑性樹脂
の射出成形によって形成される。そのため、透明性及び
形状再現性に優れ、さらに、軽量で安価な車輌用灯具の
レンズが提供される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、熱可塑
性樹脂の射出成形によるため、レンズの表面にウェルド
ラインが生じ見栄えを損なうという問題がある。また、
ウェルドラインは細かい筋状の溝であるため、ウェルド
ラインがある部分においては機械的強度が劣るという問
題もある。
【0004】一般に、樹脂成形品におけるウェルドライ
ンは金型のキャビティ内に射出された溶融樹脂の会合部
において生じることが知られており、例えば、図4に示
すように、多色成形レンズのまとめ型によって成形され
るレンズaの場合は、他の色のレンズが嵌め込まれる開
口部b、cが存在し、該開口部b、cを形成するための
障害部がキャビティ内に浮島状に位置することになるた
め、溶融樹脂の流れが複雑になり、複数のウェルドライ
ンd、d、・・・が生じてしまう。なお、ウェルドライ
ンd、d、・・・が生じる位置や長さはレンズaの形状
の他、射出ゲートe、eの数及び位置によって規定され
るものであるが、図4は射出ゲートe、eが2箇所に設
けられた場合における大凡の位置を示している。
【0005】そこで、本発明は、レンズ表面にウェルド
ラインが生じないようにして、見栄えを向上させると共
に機械的強度も向上させることを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明車輌用灯具のレン
ズの製造方法は、上記した課題を解決するために、溶融
樹脂を金型のキャビティ内に射出する工程と、上記溶融
樹脂が上記キャビティ内で冷却される工程とから成り、
上記金型には、上記溶融樹脂の会合部のレンズ表面側の
キャビティ面に断熱層が形成されているものである。
【0007】従って、本発明車輌用灯具のレンズの製造
方法にあっては、キャビティ内に射出された溶融樹脂
は、会合部のレンズ表面側において断熱層に接触するた
め、瞬間的な冷却が防止され、そのため、会合部のレン
ズ表面側においてできるスキン層が極薄いものとなり、
高温の溶融樹脂がいきなり鋼材に接触して瞬間的に冷却
されてできる厚いスキン層が会合することによってでき
るウェルドラインの生成が防止される。そのため、レン
ズ表面の見栄えが向上し、且つ、レンズの会合部におけ
る機械的強度も向上する。
【0008】また、本発明車輌用灯具のレンズの成形金
型は、上記した課題を解決するために、キャビティ内に
射出されたレンズとなる溶融樹脂の会合部を備えてお
り、上記会合部のレンズ表面側のキャビティ面に断熱層
が形成されたものである。
【0009】従って、本発明車輌用灯具のレンズの成形
金型にあっては、キャビティ内に射出された溶融樹脂
は、会合部のレンズ表面側において断熱層に接触するた
め、瞬間的な冷却が防止され、そのため、会合部のレン
ズ表面側においてできるスキン層が極薄いものとなり、
高温の溶融樹脂がいきなり鋼材に接触して瞬間的に冷却
されてできる厚いスキン層が会合することによってでき
るウェルドラインの生成が防止される。そのため、レン
ズ表面の見栄えが向上し、且つ、レンズの会合部におけ
る機械的強度も向上する。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に、本発明車輌用灯具のレン
ズの製造方法及び成形金型の実施の形態について説明す
る。
【0011】図4に示したような車輌用灯具のレンズa
を射出成形により成形する場合、上記したように、溶融
樹脂の会合部においてレンズaの表裏両面にウェルドラ
インd、d、・・・が生じてしまう。なお、図4におい
て、開口部b、cは上述したように、レンズaとは別の
色のレンズが嵌め込まれる部分であり、該別のレンズの
嵌め込み構造は、いわゆる多色成形法を採用した一体成
形による場合と、レンズaとは別体に成形したレンズを
機械的に結合する場合とがある。
【0012】本発明にかかる成形金型の一例1を図1に
示す。
【0013】成形金型1において、固定型板2と可動型
板3とが型締めされることによってキャビティ4が形成
される。図4で示した開口部b、cを有するレンズaを
成形する場合、キャビティ4中に浮島状の障害部5が形
成される。
【0014】上記キャビティ4内に射出され、且つ、分
流した溶融樹脂が会合する部分(会合部)6(図2参
照)のレンズ表面側のキャビティ面4aには断熱層7が
形成されている。
【0015】該断熱層7は、溶融樹脂のキャビティ面と
の接触界面近傍の冷却を遅くするために溶融樹脂自身が
有する熱エネルギーによってキャビティ面の温度を高く
するためのものであり、高分子やセラミックスなど、型
板の材料金属より熱伝導率が低い材料によって形成され
る。また、該断熱層7は射出時には200℃以上の溶融
樹脂に接し、休止時には室温になるので、耐熱性と耐冷
熱サイクルが必要である。さらに、繰り返し使用に耐え
る耐久性と共にキャビティ面4aから容易に剥離しない
密着強度が必要であり、さらにまた、耐摩耗性が要求さ
れる。
【0016】これらの条件を満たす高分子材料として
は、例えば、ピロメリット酸無水物とジアミン類とを蒸
着重合して得られるポリイミド樹脂、トリメリット酸無
水物とジアミン類とを蒸着重合して得られるポリアミド
イミド樹脂、フタル酸ジクロリドとジアミン類とを蒸着
重合して得られるポリアミド樹脂、ジアミン類とジイソ
シアナート類を蒸着重合して得られるポリ尿素樹脂など
が適用可能である。
【0017】例えば、断熱層7としてポリイミド樹脂の
膜を生成させるには、原料モノマーとして、ピロメリッ
ト酸無水物と4、4′−ジアミノジフェニルエーテルを
蒸着重合室内で同時に蒸発させ、固定型板2の表面上で
蒸着重合させる。そして、所定の厚さまで成膜を行った
後、別の加熱炉において300℃で焼き付けを行うこと
により、固定型板2の表面に密着した均一な厚さのポリ
イミド樹脂の断熱層7が形成される。ポリイミド樹脂に
より断熱層7を形成する場合、その厚さは50μm〜1
00μmが好適である。
【0018】また、上記した断熱層7の上には、断熱層
7の保護のためや成形品(レンズ)の離型性を良くする
ために、金属やセラミックスからなる離型層8を積層す
るのが好ましい。例えば、離型層に適した金属材料とし
てはクロム(Cr)、窒化クロム(CrN)やタングス
テン(W)が、セラミックスとしては、窒化チタン(T
iN)や炭化チタン(TiC)が挙げられるが、勿論こ
れらに限るものではない。離型層としての薄膜の形成方
法としては、スパッタリング法、イオンプレーティング
法、低温プラズマCVD法等の一般的な薄膜形成方法を
適用することが出来る。
【0019】なお、断熱層7の上に上記した離型層8を
形成する場合、クロム(Cr)などのポリイミド樹脂と
密着性が良好な中間層9を介してクロム(Cr)系やチ
タン(Ti)系の硬質膜を離型層8として形成すると良
い(図3参照)。例えば、ポリイミド樹脂の膜からなる
断熱層7の上に中間層9としてクロム(Cr)を適用
し、該クロム(Cr)層の上に窒化クロム(CrN)の
層を離型層として適用すると、各層7、9、8間の密着
性が良好であると共に、窒化クロム(CrN)が耐久性
及び耐摩耗性に優れており、その結果、耐久性に優れた
成形金型1を得ることが出来る。また、クロム(Cr)
の薄膜及び窒化クロム(CrN)の薄膜共に蒸着法によ
り成膜することが出来、従って、同一の蒸着室内で、雰
囲気ガス(クロム(Cr)の場合はアルゴンガス、窒化
クロム(CrN)の場合は窒素ガス)を入れ替えるだけ
で成膜工程を行うことが出来、従って、中間層9及び離
型層8の成膜を連続して行うことが出来る。その結果、
成形金型1を安価に製造することが出来る。
【0020】なお、上記した中間層9の厚さは約0.2
μm、離型層8の厚さは0.2μm〜5.0μmが好適
である。
【0021】上記した成形金型1のキャビティ4内に溶
融樹脂を射出して上記レンズaと同様の形状をしたレン
ズを成形すると、従来溶融樹脂の会合部においてレンズ
表面に出来ていたウェルドライン(図4におけるd)が
生ずることなく、見栄えが良好で且つ機械的強度も優れ
た車輌用灯具のレンズを得ることができる。すなわち、
断熱層7が形成された箇所では溶融樹脂10の熱によっ
て断熱層7に瞬間的な蓄熱が行われ、溶融樹脂10のキ
ャビティ面4aとの接触界面近傍での溶融樹脂の冷却速
度が遅くなり、キャビティ面4aとの接触界面に沿って
形成されるスキン層11が断熱層7が形成されていない
箇所で出来るスキン層12(ウェルドラインが形成され
る原因になる)に比較して極めて薄いものとなり、従っ
て、出来上がったレンズの表面にはウェルドラインが現
れない。
【0022】なお、上記した実施の形態においては、断
熱層を溶融樹脂の会合部のレンズ表面側のキャビティ面
にのみ形成するようにしたが、レンズ表面側のキャビテ
ィ面の全体に断熱層を形成しても良い。それによって、
レンズ表面の全体に亘って転写性が良好になり、設計意
図に近いレンズ表面を得ることができる。
【0023】また、上記実施の形態では、本発明を多色
成形レンズのまとめ型に適用したものを示したが、本発
明の適用範囲が多色成形レンズのまとめ型に限定される
ことを意味するものではなく、溶融樹脂の会合部を有す
る場合に広く適用することが出来る。
【0024】さらに、上記した実施の形態において示し
た各部の形状乃至構造は、何れも本発明を実施するに際
して行う具体化のほんの一例を示したものに過ぎず、こ
れらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈される
ようなことがあってはならないものである。
【0025】
【発明の効果】以上に記載したところから明らかなよう
に、本発明車輌用灯具のレンズの成形方法は、レンズと
なる溶融樹脂の流動領域であるキャビティ内において溶
融樹脂の会合部を有する車輌用灯具のレンズの成形方法
であって、溶融樹脂を金型のキャビティ内に射出する工
程と、上記溶融樹脂が上記キャビティ内で冷却される工
程とから成り、上記金型には、上記溶融樹脂の会合部の
レンズ表面側のキャビティ面に断熱層が形成されている
ことを特徴とする。
【0026】従って、本発明車輌用灯具のレンズの製造
方法にあっては、キャビティ内に射出された溶融樹脂
は、会合部のレンズ表面側において断熱層に接触するた
め、瞬間的な冷却が防止され、そのため、会合部のレン
ズ表面側においてできるスキン層が極薄いものとなり、
高温の溶融樹脂がいきなり鋼材に接触して瞬間的に冷却
されてできる厚いスキン層が会合することによってでき
るウェルドラインの生成が防止される。そのため、レン
ズ表面の見栄えが向上し、且つ、レンズの会合部におけ
る機械的強度も向上する。
【0027】そして、本発明車輌用灯具のレンズの成形
方法には種々の実施の態様があり得、その代表的な例を
挙げれば、以下のものがある。
【0028】(1)上記溶融樹脂は、複数のゲートから
上記キャビティ内に射出される。
【0029】(2)上記キャビティ内には浮島状の障害
部が形成されている。
【0030】また、本発明車輌用灯具のレンズの成形金
型は、車輌用灯具のレンズの成形金型であって、キャビ
ティ内に射出されたレンズとなる溶融樹脂の会合部を備
えており、上記会合部のレンズ表面側のキャビティ面に
断熱層が形成されたことをとを特徴とする。
【0031】従って、本発明車輌用灯具のレンズの成形
金型にあっては、キャビティ内に射出された溶融樹脂
は、会合部のレンズ表面側において断熱層に接触するた
め、瞬間的な冷却が防止され、そのため、会合部のレン
ズ表面側においてできるスキン層が極薄いものとなり、
高温の溶融樹脂がいきなり鋼材に接触して瞬間的に冷却
されてできる厚いスキン層が会合することによってでき
るウェルドラインの生成が防止される。そのため、レン
ズ表面の見栄えが向上し、且つ、レンズの会合部におけ
る機械的強度も向上する。
【0032】そして、本発明車輌用灯具のレンズの成形
金型には種々の実施の態様があり得、その代表的な例を
挙げれば、以下のものがある。
【0033】(1)上記キャビティ内に溶融樹脂を射出
する複数のゲートを備えている。
【0034】(2)上記キャビティ内には浮島状の障害
部が形成されている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明車輌用灯具のレンズを成形する成形金型
の実施の形態の一を示す概略断面図である。
【図2】キャビティ内における溶融樹脂の流れを模式的
に示す図である。
【図3】成形金型の別の例の要部を示す模式的な拡大断
面図である。
【図4】従来の成形金型によって成形されたレンズの一
例を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
1…成形金型、4…キャビティ、4a…レンズ表面側の
キャビティ面、5…障害部、6…会合部、7…断熱層、
10…溶融樹脂
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 瀧口 優 静岡県清水市北脇500番地 株式会社小糸 製作所静岡工場内 Fターム(参考) 4F202 AH17 AH75 AJ03 AJ09 AJ11 AJ13 AM36 CA11 CB01 CD22 CK06 CK11

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 レンズとなる溶融樹脂の流動領域である
    キャビティ内において溶融樹脂の会合部を有する車輌用
    灯具のレンズの成形方法であって、 溶融樹脂を金型のキャビティ内に射出する工程と、 上記溶融樹脂が上記キャビティ内で冷却される工程とか
    ら成り、 上記金型には、上記溶融樹脂の会合部のレンズ表面側の
    キャビティ面に断熱層が形成されていることを特徴とす
    る車輌用灯具のレンズの成形方法。
  2. 【請求項2】 上記溶融樹脂は、複数のゲートから上記
    キャビティ内に射出されることを特徴とする請求項1に
    記載の車輌用灯具のレンズの成形方法。
  3. 【請求項3】 上記キャビティ内には浮島状の障害部が
    形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2
    に記載の車輌用灯具のレンズの成形方法。
  4. 【請求項4】 車輌用灯具のレンズの成形金型であっ
    て、 キャビティ内に射出されたレンズとなる溶融樹脂の会合
    部を備えており、 上記会合部のレンズ表面側のキャビティ面に断熱層が形
    成されたことをとを特徴とする車輌用灯具のレンズの成
    形金型。
  5. 【請求項5】 上記キャビティ内に溶融樹脂を射出する
    複数のゲートを備えたことを特徴とする請求項4に記載
    の車輌用灯具のレンズの成形金型。
  6. 【請求項6】 上記キャビティ内には浮島状の障害部
    が形成されていることを特徴とする請求項4又は請求項
    5に記載の車輌用灯具のレンズの成形金型。
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