JP3640724B2 - 高接触角ポリイミド断熱膜の作製方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性樹脂から成る成形品の外観面にヒケやウエルドラインが発生するのを防止して家電、電子機器、機械等のハウジング、カバー等の表面外観の優れた射出成形品を製造する際に射出成形用金型に用いる高接触角ポリイミド断熱膜の作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に熱可塑性樹脂から成る射出成形品を製造する射出成形法は、生産性のよいこと、複雑な形状のものが容易に成形できること等の利点があるため、工業製品や日用雑貨品等の広い範囲に亘って採用されている。
【0003】
従来の射出成形法では、溶融樹脂を射出成形用金型のキャビティ内に射出充填する際に、樹脂が流動し合流する個所では、樹脂同士の融着が不完全となってウエルドラインが発生しやすい。
また、冷却固化させる過程で、樹脂の相変化と体積収縮に伴う成形品表面へのヒケ発生も避けられない。特にリブ、ボス等の厚肉部の表面または裏面等にヒケが集中して発生しやすい。射出成形品の外観面にヒケやウエルドラインが生じることは、射出成形品の商品価値を著しく損なうので、最も避けるべき問題点の一つとされている。
【0004】
これらを改善する方法として、通常、射出成形用金型内に射出充填する樹脂温度を高くしたり、射出充填圧力を高くする等の射出成形条件を選ぶことによりある程度達成させることが出来る。
【0005】
例えば、表面にヒケの生じない射出成形品を得る方法としては、特開昭56-167410号公報で「局部加熱器をキャビティに接して金型内に設置し、該キャビティ内に注入した合成樹脂が冷却固化する間、ヒケの発生が予想される箇所の裏側を、少なくとも金型温度以上に局部加熱器により加熱し、当該箇所の裏側の冷却速度を他の箇所より遅くすることにより、ヒケの発生が予想される箇所でのヒケを防止する合成樹脂成形品の製造方法」、特公昭61-9126号公報で「金型内に溶融樹脂を充填せしめて冷却硬化することにより厚肉部を有する成形品を成形する射出成形法において、金型には成形品厚肉部の背面と対応する位置にその厚肉部に向う貫通孔を設け、金型内の溶融樹脂が冷却硬化しつつ状態にあるとき、空気制御手段によって貫通孔に圧縮空気を送り込んで該圧縮空気が貫通孔から成形品厚肉部の背面を押圧することにより成形品にひけを生じることを防止した合成樹脂成形品の射出成形法」が提案されている。
【0006】
これらの方法は、商品価値を著しく損なうヒケを射出成形品の外観面には生じさせず、射出成形品の欠陥を防ぐものではあるが、前者の特開昭56-167410号公報で提案の方法の場合は、金型温度を局部的に一時高温にしたり、冷却したりする必要があるので、成形サイクルが長くなって生産性が低下するという問題がある。また、後者の特公昭61-9126号公報で提案の方法の場合は、射出成形用金型に多孔部材の貫通孔を設け、更に、圧縮空気を供給するための特殊な金型構造に改造しなければならないばかりではなく、付帯設備が必要となって生産コストが高くなる等の問題がある。
【0007】
一方、射出成形用金型内で二方向からの溶融樹脂の流動合流により、表面スキン層同士が密着しないまま固化されて生じるウエルドラインを低減するための方法が知られている。
【0008】
例えば、ウエルドラインを低減させる方法または装置としては、特開昭51-22759号公報で「ウエルドライン発生箇所に対応して加熱装置および冷却装置を設けた射出成形金型」、特開平3-274127号公報で「溶融した熱可塑性樹脂を金型に供給し、金型内の溶融樹脂の少なくとも一部に剪断力を加えながら樹脂を固化させる成形装置において、該剪断力を加える装置が、該金型内にキャビティーと連通した2本以上のホットランナーと、このホットランナーにピストンを設置した構成の金型である熱可塑性樹脂の成形装置」、特開平4-90309号公報で「熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂を射出成形し射出成形品を製造する方法において、流動中の樹脂に超音波を伝達しながら射出し、成形する射出成形品の製造方法」が提案されている。
【0009】
これら特開昭51-22759号公報、特開平3-274127号公報、特開平4-90309号公報で提案の方法または装置の場合は、ウエルドラインの発生防止にはかなりの効果があるが、いずれも特別な付帯設備や装置を設置しなければならず、未だに満足すべきものではない。
【0010】
また、ウエルドラインおよびフローマークの発生を同時に解消する射出成形用金型として、特開平4-211912号公報で「溶融樹脂が充填されるキャビティ内の型表面の少なくとも一部が、断熱性の薄膜でコーティング処理されている熱可塑性樹脂成形用金型」が提案されている。
そして断熱性の薄膜として熱伝導率が0.1cal/cm・sec・℃以下で、水との接触角が30度以下で、かつ厚さが0.1〜50μmの金属酸化物、けい素酸化物、けい素系複合酸化物、プラズマ重合プラスチック等の薄膜が挙げられている。
【0011】
特開平4-211912号公報で提案の金型の場合は、射出成形用金型のキャビティ内に射出充填された高温の溶融樹脂は、断熱性の薄膜に接触すると瞬時にその断熱性の薄膜の表面温度を上昇させて、断熱性の薄膜に対する優れた濡れ性および密着性を発現するので転写性が向上し、ウエルドライン等を解消させることが出来るが、射出成形用金型内に樹脂を射出充填した後、樹脂冷却時の体積収縮に起因するヒケの発生は解消されないという問題がある。
【0012】
この問題点を解消するために、特開平6-246797号公報で「射出成形用金型キャビティであって、成形品外観面に対応する固定側又は可動側金型面の一部または全面に、水に対する接触角が40〜90度であり、熱伝導量係数(cal/sec・℃)が0.03〜0.5の範囲から成る断熱性薄膜が形成されている射出成形用金型」が提案されている。
そして断熱性薄膜として芳香族ポリイミド等の耐熱性高分子、セラミックス類が挙げられている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記特開平6-246797号公報で提案の場合は、金型表面に形成する芳香族ポリイミドの断熱性薄膜として最も効果的な断熱性を備える例えばPMDA系ポリイミドを用いた場合、射出成形樹脂材料としてポリスチレン(PS)を用いての射出成形ではヒケ、ウエルドライン等の発生を防止することが出来るが、射出成形樹脂材料としてポリプロピレン(PP)、ABS樹脂を用いての射出成形では、射出成形時に金型表面に形成したPMDA系ポリイミドの断熱膜に樹脂材料が接着してしまい、ついには断熱性薄膜が金型表面より剥離し、それに伴ってヒケは逆に発生してしまいヒケ防止効果が得られない。
これは射出成形樹脂材料と金型表面との(水に対する)接触角の違いにより生じるものである。
【0014】
従って、(金型)表面に芳香族ポリイミドのみの断熱性薄膜が形成された射出成形用金型では、射出成形に用いる樹脂材料の種類によっては、ヒケの発生を防止することは出来ない。
【0015】
また、接触角の異なるポリイミドを積層すれば(金型)表面の接触角を変えることが可能だが、ポリイミドは離型性に優れているので、ポリイミド間で層間はく離せず、積層させることは極めて困難である。
【0016】
このように表面に芳香族ポリイミドのみの断熱性薄膜が形成された射出成形用金型では、射出成形に用いる射出成形樹脂材料の種類によっては、ヒケの発生を防止することが出来ないという弊害を起こしてしまうという問題がある。
【0017】
本発明はかかる問題点を解消する高傾斜角ポリイミド断熱膜の作製方法を提供することを目的とする。
【0020】
本発明の高接触角ポリイミド断熱膜の作製方法は、真空中でピロメリト酸二無水物(PMDA)と4,4′−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)とを蒸発させ、これらを基板上で蒸着重合によりPMDA系ポリイミド膜から成る第1断熱膜を形成し、次いでピロメリト酸二無水物(PMDA)と4,4′−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)と4,4′(ヘキサフロロイソプロピリデン)ジフタリックアンハイドライド(6FDA)とを蒸発させ、これらを第1断熱膜上で蒸着重合によりPMDA系ポリイミドとフッ素系ポリイミドとの濃度勾配を有する傾斜膜を形成した後、続いて4,4′−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)と4,4′(ヘキサフロロイソプロピリデン)ジフタリックアンハイドライド(6FDA)とを蒸発させ、これらを傾斜膜上で蒸着重合によりフッ素系ポリイミドから成る第2断熱膜を形成して、基板上に第1断熱膜と傾斜膜と第2断熱膜とから成る積層の断熱膜を形成することを特徴とする。
【0021】
また、前記断熱膜を水に対する接触角が90度以上であり、その熱伝導率を薄膜の厚さ(cm)で除して得られた熱伝導係数が0.03〜0.5cal/sec ℃となるように形成する。
【0023】
射出成形品の外観面の形状に対応する形状の金型のキャビティ面、即ちキャビティ内に射出充填する樹脂材料と接する面に、水に対する接触角が90度以上であり、その熱伝導率を薄膜の厚さ(cm)で除して得られた熱伝導係数(単位:cal/sec ℃)が0.03〜0.5となるような断熱膜として、PMDA系ポリイミドから成る第1断熱膜を形成し、更に第1断熱膜の上にフッ素系ポリイミドから成る第2断熱膜を形成し、第1断熱膜と第2断熱膜とをPMDA系ポリイミドとフッ素系ポリイミドとの濃度勾配を有する傾斜膜を介して積層した断熱膜を形成することにより、金型表面で水との接触角を大きくすることがで出来、射出成形用金型のキャビティ内に射出充填する樹脂材料との離型性をよくすることが出来る。
【0024】
射出充填する樹脂材料と接する側の射出成形用金型のキャビティ面に形成された積層の最表面となる断熱膜に、離型性に優れたフッ素系ポリイミドから成る第2断熱膜を利用することで、金型のキャビティ面と樹脂材料との間の界面に滑りが生じることを防止出来る。
また、断熱膜に利用されるフッ素系ポリイミドから成る第2断熱膜は、一般的に離型性に優れ、金型とは密着性が劣る。そのため積層の断熱膜に多層化すると相関剥離を生じやすく、多層化は容易ではない。
【0025】
本発明では密着性に優れた第1断熱膜と離型性に優れた第2断熱膜との間に傾斜膜を介在させることで、この傾斜膜が第1断熱膜と第2断熱膜との接着剤の役割を果すことになる。
【0026】
【発明の実施の態様】
本発明の断熱膜は、射出成形品の外観面に対応する射出成形用金型のキャビティ面に、水に対する接触角が90度以上であり、その熱伝導率を薄膜の厚さ(cm)で除して得られた熱伝導係数(単位:cal/sec ℃)が0.03〜0.5となるような第1断熱膜を形成し、更に第1断熱膜の上に射出成形品の外観面、射出成形用金型キャビティ即ち内に射出充填する射出成形樹脂材料と接する第2断熱膜を形成し、第1断熱膜と第2断熱膜との間に傾斜膜を介在させた積層の断熱膜を作製することで達成出来る。
【0027】
また、積層の断熱膜の作製は、原料モノマーの蒸着重合法を用いることにより達成出来るようになる。
【0028】
本発明において断熱膜の水に対する接触角を90度以上としたのは、接触角が90度に満たない場合は、溶融樹脂の材質によっては密着性があまりに良すぎて離型性が悪くなるからである。
【0029】
また、断熱膜の熱伝導係数範囲を0.03〜0.5cal/sec ℃としたのは、熱伝導係数が0.03cal/sec ℃に満たない場合は、高断熱性のため熱伝導が小さくなり、成形サイクルが著しく増長されて、また、熱伝導係数が0.5cal/sec ℃を超えた場合は、断熱効果が不十分なため、ヒケの低減効果が小さくなるからである。
【0030】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の態様を説明する。
【0031】
先ず、高傾斜角ポリイミド断熱膜の構造について説明する。
【0032】
図1は本発明の高傾斜角ポリイミド断熱膜の1実施例の構造を示す模式的部分截断面図である。
【0033】
図中、1はPMDA系ポリイミドから成る第1断熱膜、2はフッ素系ポリイミドから成る第2断熱膜、3は第1断熱膜と第2断熱膜との間に介在させたPMDA系ポリイミドとフッ素系ポリイミドとの濃度勾配を有する傾斜膜、4は基板、5は第1断熱膜1と第2断熱膜2と傾斜膜3とから成る積層の断熱膜を示す。
【0034】
第1断熱膜1のPMDA系ポリイミドは、真空中でピロメリト酸二無水物(PMDA)と4,4′−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)とを蒸発させ、基板4上で蒸着重合させて形成する。
蒸着重合でPMDA系ポリイミドが形成される場合を表せば次式(化1)の通りである。
【0035】
【化1】
【0036】
第2断熱膜2のフッ素系ポリイミドは、真空中で4,4′−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)と4,4′(ヘキサフロロイソプロピリデン)ジフタリックアンハイドライド(6FDA)とを蒸発させ、後記の傾斜膜3上で蒸着重合させて形成する。
蒸着重合でフッ素系ポリイミドが形成される場合を表せば次式(化2)の通りである。
【0037】
【化2】
【0038】
傾斜膜3は、真空中で当初は4,4′(ヘキサフロロイソプロピリデン)ジフタリックアンハイドライド(6FDA)の蒸発を停止した状態でピロメリト酸二無水物(PMDA)と4,4′−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)とを蒸発させ、次第にピロメリト酸二無水物(PMDA)の蒸発量を低減させながら、4,4′(ヘキサフロロイソプロピリデン)ジフタリックアンハイドライド(6FDA)の蒸発量を増加せしめ、最後はピロメリト酸二無水物(PMDA)の蒸発を停止し、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)と4,4′(ヘキサフロロイソプロピリデン)ジフタリックアンハイドライド(6FDA)とを蒸発させ、前記第1断熱膜1上で蒸着重合させて形成する。
即ち、傾斜膜3の形成は4,4′−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)の蒸発量100に対して、ピロメリト酸二無水物(PMDA)の蒸発量を100から0に低減させる一方、4,4′(ヘキサフロロイソプロピリデン)ジフタリックアンハイドライド(6FDA)の蒸発量を0から100に増加させながら、蒸着重合させる。
従って、傾斜膜3は、PMDA系ポリイミドとフッ素系ポリイミドとが濃度勾配を有する膜であり、該傾斜膜3はその下側の第1断熱膜1およびその上側の第2断熱膜2とは、その境目を明確に区別することが出来ない膜である。
【0039】
真空処理室内で、前記原料モノマーを蒸発させて基板上等で蒸着重合させる際の真空度としては、0.13〜1.3Pa(1×10-3〜1×10-2Torr)程度に設定する。
【0040】
また、断熱膜を蒸着重合させる基板4、例えば射出成形用金型の材質としては、樹脂材料を射出充填する際の射出充填圧力および樹脂材料温度に耐え得る材質であればよく、鋼材、例えばプレードン鋼(大同製鋼株式会社製:商品名NAK80)が挙げられる。
【0041】
図2は本発明の高接触角ポリイミド断熱膜を作製するための装置の1例の説明線図である。
【0042】
図中、11は真空処理室を示し、真空処理室11内を真空ポンプ等の真空排気系12に排気バルブ13を介して接続した。
真空処理室11の外部には、断熱膜の原料モノマーA、B、Cを蒸発させるためのガラス製、またはステンレス製、またはアルミニウム製、またはアルミニウム合金製の蒸発源容器14、15、16を設け、該蒸発源容器14、15、16の周囲に巻回した加熱ヒーター17、18、19によって加熱、蒸発した原料モノマーA、B、Cをモノマー導入管20、21、22を介してモノマー導入バルブ23、24、25の開閉操作で蒸発口26、27、28より真空処理室11内に導入するようにした。
【0043】
また、真空処理室11内に各蒸発口26、27、28に対向させて断熱膜を形成せしめるべき基板4を基板保持装置29により保持するようにした。
また、真空処理室11の全壁部に加熱ヒーター30を、真空処理室11に接続された真空排気系12の全壁部に加熱ヒーター31を、モノマー導入管20、21、22の全壁部に加熱ヒーター32、32、32を夫々配設すると共に、フランジ等にも加熱ヒーターを配設した。
尚、蒸発源容器14、15、16は大きさ径φ100mmとし、容積265mm3とした。
【0044】
図2に示す装置の基本構成は、本出願人が先に特開平5-132763号(特願平3-323808号)で提案した全方向同時蒸着重合装置である。
【0045】
【実施例】
先ず、射出成形品の形状について説明する。
【0046】
図3は本発明の射出成型用金型を用いて製造した射出成形品の1例を示すものであり、射出成形品41(形状)は大きさ60×150mm、厚さ2mmの平板部42から成り、平板部42には幅20mm、長さ10mmの方形状の角孔43が、また、平板部42の上面側42aには幅4mm、高さ5mm、長さ30mmのリブ44、45、46を有する。
【0047】
リブ44、45、46は平板部42の板厚よりも格段に厚くなっている。この厚みのため、従来の射出成形法で射出成形品を製造する際には、ヒケ、ウエルドラインの関係上、リブ44、45、46が設けられた上面側42aを背面側とし、平板部42の下面側42bを表面側としている。
従来の射出成形法により製造された射出成形品41を調べると、射出成形品41のリブ44、45、46に対応する位置の下面側42b(従来法では表面側である)にはヒケ47a、47aおよび47a(図3に仮想線で示す)が著しく発生している。また、平板部42の角孔43とリブ44、45、46との間の平板部42の下面側42b(従来法では表面側である)にはウエルドライン48a、48b(図3に仮想線で示す)が発生している。
【0048】
次に、本発明の具体的実施例を比較例と共に説明する。
【0049】
実施例1
図1に示す構造の高接触角ポリイミド断熱膜の作製について説明する。
尚、本実施例では高接触角ポリイミド断熱膜の作製を図2に示す全方向同時蒸着重合装置(日本真空技術株式会社製、商品名VEP3040:基本構成は特開平5-132763号[特願平3-323808号]で提案)を用いて行なった。
【0050】
先ず、基板4として図3に示す射出成形品の形状に対応する形状のキャビティを有するプレードン鋼(大同製鋼株式会社製、商品名NAK80)製の射出成形用の固定側金型および可動型金型を用意した。
また、射出成型用金型のキャビティ内に溶融状態の射出成型用樹脂材料を射出充填するためのゲート49(図3に仮想線で示す)を射出成形品41の平板部42の側面側に設けた。
【0051】
尚、本実施例では図3に示す射出成形品41の平板部42の上面側42aを射出成形品41の外観面とし、これに対応する面を射出成形用の固定側金型のキャビティ面となるようにした。
この射出成形用の固定側金型のキャビティ面並びに可動型金型のキャビティ面をサンドブラストで粗面に仕上げた。
【0052】
次に、基板4(キャビティ面をサンドブラストで粗面に仕上げられた固定側金型、並びに可動型金型)を図2の真空処理室11内の基板保持装置29に装着した。
【0053】
また、真空処理室11に接続した蒸発源容器14にピロメリット酸二無水物(PMDA、以下原料モノマーAという)を200g、蒸発源容器15に4,4′−ジアミノジフェニルエーテル(ODA、以下原料モノマーBという)を200g、蒸発源容器16に4,4′(ヘキサフロロイソプロピリデン)ジフタリックアンハイドライド(6FDA、以下原料モノマーCという)を100gを充填した。
【0054】
また、モノマー導入管20、21、22に設けたモノマー導入バルブ23、24、25を夫々閉じた状態で、真空処理室11内を真空排気系12により圧力0.13Pa(1×10-3Torr)に設定した後、蒸発源容器14内の原料モノマーA(ピロメリット酸二無水物:PMDA)を加熱ヒーター17で206±0.2℃に、蒸発源容器15内の原料モノマーB(4,4′−ジアミノジフェニルエーテル:ODA)を加熱ヒーター18で183±0.2℃に、蒸発源容器16内の原料モノマーC(4 ,4′(ヘキサフロロイソプロピリデン)ジフタリックアンハイドライド:6FDA)を215±0.2℃に夫々加熱した。
【0055】
そして、各原料モノマーA、B、Cが所定温度に達した時点で、モノマー導入バルブ23、24とを同時に開き、蒸発口26から原料モノマーAを、蒸発口27から原料モノマーBを真空処理室11内に導入し、基板4上で原料モノマーA、Bを蒸着重合させて膜厚100μmのPMDA系ポリイミドから成る第1断熱膜1を形成した。
尚、原料モノマーA、Bは化学量論的にPMDA系ポリイミドが形成されるように夫々の蒸気圧の調節によって1:1のモル比で蒸発するようにし、また、第1断熱膜1の成膜速度は20μm/hrとした。
【0056】
次いで、モノマー導入バルブ24を開いた状態とし、モノマー導入バルブ23の閉じ操作で原料モノマーAの真空処理室11内への導入量を次第に低減させながら、モノマー導入バルブ25の開き操作で原料モノマーCの真空処理室11内への導入量を次第に増加させて、10分後にはモノマー導入バルブ23を完全に閉じると共に、モノマー導入バルブ25は全開するようにして、第1断熱膜1上で最初は原料モノマーAとBの蒸着重合、途中では原料モノマーAとBとCの蒸着重合、最後的には原料モノマーBとCの蒸着重合させて、膜厚5μmのPMDA系ポリイミドとフッ素系ポリイミドとの濃度勾配を有する傾斜膜3を形成した。
尚、傾斜膜3の成膜速度は10μm/hrとした。
【0057】
続いて、モノマー導入バルブ24、25とを開いた状態で、蒸発口27から原料モノマーBを、蒸発口28から原料モノマーCを真空処理室11内に導入し、傾斜膜3上で原料モノマーB、Cを蒸着重合させて膜厚15μmのフッ素系ポリイミドから成る第2断熱膜2を形成した後、モノマー導入バルブ24とモノマー導入バルブ25とを閉じた。
尚、原料モノマーB、Cは化学量論的にフッ素系ポリイミドが形成されるように夫々の蒸気圧の調節によって1:1のモル比で蒸発するようにし、また、第2断熱膜2の成膜速度は15μm/hrとした。
【0058】
このようにして、固定側金型のキャビティ面および可動型金型のキャビティ面の夫々に全面に亘って、図1に示すような基板4上に、第1断熱膜1と傾斜膜3と第2断熱膜2とから成る膜厚120μmの積層構造の断熱膜5を作製した。
【0059】
尚、断熱膜5の作製に先立って、各加熱ヒーター30、31、32で真空処理室21、排気系12およびモノマー導入管20、21、22その他を夫々200±0.2℃に加熱した。
【0060】
作製された断熱膜5の接触角を自動接触角計CA−Z型(協和界面科学製)を使用し、室温23℃で測定したところ105度であり、また熱伝導率をレーザーフラッシュ法により調べたところ熱伝導係数0.32cal/sec・℃であった。
【0061】
前述のようにキャビティ面に断熱膜5が作製された固定側金型および可動型金型を射出成形機に設置し、両金型の温度を50℃に維持した状態で、両金型のキャビティ内に温度210±0.2℃に加熱された溶融状態のポリプロピレン(PP)樹脂を充填時間1.5秒間の射出成形を行なった後、20秒間冷却してから、射出成形機より固定側金型と可動型金型とを取り外し、固定側金型と可動型金型とを開いて両金型内より固化された樹脂材を取り出して、図3に示す射出成形品41を製造した。
尚、射出成形は連続して10回行なった。
【0062】
そして、製造された射出成形品41の外観を調べたところ、平板部42の上面側42a並びに下面側42bのいずれにもヒケもウエルドラインは何ら見当らなかった。
また、射出成形100回を行なった後、両金型のキャビティ面を調べたが断熱膜の剥離は何ら認められなかった。
【0063】
実施例2
断熱膜5の作製を固定側金型のキャビティ面のみに行なった以外は、前記実施例1と同様の方法で射出成形品を製造した。
尚、射出成形は連続して10回行なった。
【0064】
そして、製造された射出成形品41の外観を調べたところ、平板部42のリブ44、45、46の側面およびその周辺にはヒケは見当らず、また、角孔43とリブ44、45、46との間の上面側42aにはウエルドラインは何ら見当らなかった。
【0065】
ただし、射出成形品10個中、10個に平板部42の下面側42bのリブに対応する位置の周辺にはヒケが見られ、また、角孔43とリブ44、45、46との間の平板部42の下面側42bにはウエルドラインが発生していた。
【0066】
また、射出成形100回を行なった後、固定側金型のキャビティ面を調べたが断熱膜の剥離は何ら認められなかった。
【0067】
比較例1
射出成形用金型として前記実施例1と同様の固定側金型および可動型金型を用意した。
【0068】
この射出成形用の固定側金型のキャビティ面並びに可動型金型のキャビティ面をサンドブラストで粗面に仕上げた。
【0069】
次に、キャビティ面をサンドブラストで粗面に仕上げられた固定側金型並びに可動型金型を図2の真空処理室内の基板保持装置に装着した。
【0070】
そして、原料モノマーとして4,4′−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)と4,4′(ヘキサフロロイソプロピリデン)ジフタリックアンハイドライド(6FDA)とを用い、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)の加熱温度を183±0.2℃とし、4,4′(ヘキサフロロイソプロピリデン)ジフタリックアンハイドライド(6FDA)の加熱温度を215±0.2℃とし、真空処理室内の圧力を0.13Pa(1×10-3Torr)に設定して、蒸着重合により成膜速度20μm/hrで膜厚100μmのフッ素系ポリイミドから成る断熱膜を固定側金型のキャビティ面並びに可動型金型のキャビティ面に夫々作製した。
【0071】
作製された断熱膜の接触角を自動接触角計CA−Z型(協和界面科学製)を使用し、室温23℃で測定したところ105度であり、また熱伝導率をレーザーフラッシュ法により調べたところ熱伝導係数0.35cal/sec・℃であった。
【0072】
尚、断熱膜の作製に先立って、各加熱ヒーターで真空処理室その他を夫々200±0.2℃に加熱した。
【0073】
キャビティ面にフッ素系ポリイミドのみの断熱膜が作製された固定側金型および可動型金型を射出成形機に設置し、両金型の温度を50℃に維持した状態で、両金型のキャビティ内に温度210±1℃に加熱された溶融状態のポリプロピレン(PP)樹脂を充填時間1.5秒間の射出成形を行なった後、20秒間冷却してから、射出成形機より固定側金型と可動型金型とを取り外し、固定側金型と可動型金型とを開いて両金型内より固化された樹脂材を取り出して、図3に示す射出成形品を製造した。
尚、射出成形は1回行なった。
【0074】
そして、製造された射出成形品の外観を調べたところ、射出成形品41の平板部42の上面側42aおよび下面側42bの一部にごく僅かではあったが断熱膜の薄膜が付着しており、金型から剥離していた。また、リブ44、45、46の側面および周辺にはヒケが見られ、ウエルドラインが発生していた。
また、射出成形を行なった後、両金型を調べたところ、金型のキャビティ面からは断熱膜が所々で剥離していた。
【0075】
比較例2
射出成形用金型として前記実施例1と同様の固定側金型および可動型金型を用意した。
【0076】
この射出成形用の固定側金型のキャビティ面並びに可動型金型のキャビティ面をサンドブラストで粗面に仕上げた。
【0077】
次に、キャビティ面をサンドブラストで粗面に仕上げられた固定側金型並びに可動型金型を図2の真空処理室内の基板保持装置に装着した。
【0078】
そして、原料モノマーとしてピロメリト酸二無水物(PMDA)と4,4′−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)とを用い、ピロメリト酸二無水物(PMDA)の加熱温度を206±0.2℃とし、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)の加熱温度を183±0.2℃とし、真空処理室内の圧力を0.13Pa(1×10-3Torr)に設定して、蒸着重合により成膜速度20μm/hrで膜厚100μmのPMDA系ポリイミド(芳香族ポリイミド)から成る断熱膜を固定側金型のキャビティ面並びに可動型金型のキャビティ面に夫々作製した。
【0079】
尚、断熱膜の作製に先立って、各加熱ヒーターで真空処理室その他を夫々200±0.2℃に加熱した。
【0080】
作製された断熱膜の接触角を自動接触角計により測定したところ85度であり、また熱伝導率をレーザーフラッシュ法により調べたところ熱伝導係数0.04cal/sec・℃であった。
【0081】
キャビティ面にPMDA系ポリイミド(芳香族ポリイミド)のみの断熱膜が作製された固定側金型および可動型金型を射出成形機に設置し、両金型の温度を50℃に維持した状態で、両金型のキャビティ内に温度210±1℃に加熱された溶融状態のポリプロピレン(PP)樹脂を充填時間1.5秒間の射出成形を行なった後、20秒間冷却してから、射出成形機より固定側金型と可動型金型とを取り外し、固定側金型と可動型金型とを開いて両金型内より固化された樹脂材を取り出して、図3に示す射出成形品を製造した。
尚、射出成形は1回行なった。
【0082】
そして、製造された射出成形品の外観を調べたところ、射出成形品41の平板部42の上面側42aおよび下面側42bの一部にごく僅かではあったが断熱膜の薄膜が付着しており、リブ44、45、46の側面および周辺にはヒケが見られ、ウエルドラインが発生していた。
また、射出成形を10回行なった後、両金型を調べたところ、金型のキャビティ面からは断熱膜が所々で剥離していた。
【0083】
前記実施例1、2および比較例1、2の結果から明らかなように、射出成形用金型のキャビティ面に第1断熱膜と第2断熱膜との間に傾斜膜を介在させた積層の断熱膜を作製することにより、射出成形樹脂材料としてポリプロピレン(PP)樹脂を用いてもヒケやウエルドラインが発生はしないことが確認された。
【0084】
実施例3
射出成形樹脂材料としてポリスチレン(PS)を用い、樹脂材料の射出充填時時の温度を200±1℃とし、射出時間を0.2秒とし、冷却時間を20秒とした以外は、前記実施例1と同様の方法で図3に示す射出成形品を製造した。
尚、射出成形は連続して10回行なった。
【0085】
そして、製造された射出成形品の外観を調べたところ、平板部の上面側並びに下面側のいずれにもヒケもウエルドラインは何ら見当らなかった。
また、射出成形を100回行なった後、両金型のキャビティ面を調べたが断熱膜の剥離は何ら認められなかった。
【0086】
実施例4
射出成形樹脂材料としてABS樹脂を用い、樹脂材料の射出充填時の温度を200±1℃とし、射出時間を1.5秒とし、冷却時間を20秒とした以外は、前記実施例1と同様の方法で図3に示す射出成形品を製造した。
尚、射出成形は連続して10回行なった。
【0087】
そして、製造された射出成形品の外観を調べたところ、平板部の上面側並びに下面側のいずれにもヒケもウエルドラインは何ら見当らなかった。
また、射出成形を100回行なった後、両金型のキャビティ面を調べたが断熱膜の剥離は何ら認められなかった。
【0088】
実施例5
PMDA系ポリイミドから成る第1断熱膜1の原料モノマーとしてピロメリト酸二無水物(PMDA)と、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)を用い、フッ素系ポリイミドから成る第2断熱膜2の原料モノマーとして4,4′(ヘキサフロロイソプロピリデン)ジフタリックアンハイドライド(6FDA)と、2,2−ビス(4−アミノフェノール)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフロロプロパン(化学式H2N・C6H4・C(CF3)2・C6H4・NH2:BIS-A-AF)を用い、PMDA系ポリイミドとフッ素系ポリイミドとの濃度勾配を有する傾斜膜3の原料モノマーとしてピロメリト酸二無水物(PMDA)と、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)と、4,4′(ヘキサフロロイソプロピリデン)ジフタリックアンハイドライド(6FDA)を用い、原料モノマーのBIS−A−AFの加熱温度を230±0.2℃とした以外は、前記実施例1と同様の方法で基板4(金型キャビティ面)上に第1断熱膜(PMDA+ODA)1と、傾斜膜(PMDA+ODA+6FDA)3と、第2断熱膜(6FDA+BIS−A−AF)2とから成る積層構造の断熱膜5を作製した。
【0089】
そして、前記実施例1と同様の方法で射出成形を行い、製造された射出成形品の外観を調べたところ、射出成形品のいずれにもヒケやウエルドラインは何ら見当らなかった。また、射出成形後、金型のキャビティ面を調べたが断熱膜の剥離は何ら認められなかった。
【0090】
実施例6
PMDA系ポリイミドから成る第1断熱膜1の原料モノマーとしてピロメリト酸二無水物(PMDA)と、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)を用い、フッ素系ポリイミドから成る第2断熱膜2の原料モノマーとして4,4′(ヘキサフロロイソプロピリデン)ジフタリックアンハイドライド(6FDA)と、2,2−ビス(4−アミノフェノール)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフロロプロパン(化学式H2N・C6H4・C(CF3)2・C6H4・NH2:BIS-A-AF)を用い、PMDA系ポリイミドとフッ素系ポリイミドとの濃度勾配を有する傾斜膜3の原料モノマーとしてピロメリト酸二無水物(PMDA)と、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)と、4,4′(ヘキサフロロイソプロピリデン)ジフタリックアンハイドライド(6FDA)と、2,2−ビス(4−アミノフェノール)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフロロプロパン(化学式H2N・C6H4・C(CF3)2・C6H4・NH2:BIS-A-AF )を用い、原料モノマーのBIS−A−AFの加熱温度を230±0.2℃とした以外は、前記実施例1と同様の方法で基板4(金型キャビティ面)上に第1断熱膜(PMDA+ODA)1と、傾斜膜(PMDA+ODA+6FDA+BIS−A−AF)3と、第2断熱膜(6FDA+BIS−A−AF)2とから成る積層構造の断熱膜5を作製した。
【0091】
【発明の効果】
本発明の高接触角ポリイミド断熱膜の作製方法によるときは、樹脂と断熱膜表面では優れた離型性を示し、断熱膜と金型表面とでは優れた密着性を示す等の優れた高接触角ポリイミド断熱膜を提供する効果がある。
【0092】
【発明の効果】
本発明の高接触角ポリイミド断熱膜によるときは、樹脂と断熱膜表面では優れた離型性を示し、断熱膜と金型表面とでは優れた密着性を示す等の優れた高接触角ポリイミド断熱膜を提供する効果がある。
【0093】
また、断熱膜を備える射出成形用金型によるときは、従来法の射出成形用金型、または金型のキャビティ面に芳香族ポリイミドのみの断熱膜を備える射出成形用金型では製造困難であった射出成形樹脂材料としてポリプロピレン、ABS樹脂を用いても、ヒケやウエルドラインの発生を防止し得て、外観に優れた射出成形品を容易に製造出来る射出成形用金型を提供することが出来る効果がある。
【0094】
本発明の高傾斜角ポリイミド断熱膜の作製方法によるときは、射出成形時にヒケやウエルドラインの発生のない第1断熱膜と傾斜膜と第2断熱膜の積層の断熱膜から成る高接触角ポリイミド断熱膜を基板上に容易に製造することが出来る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の高傾斜角ポリイミド断熱膜の1実施例の構造を示す模式的部分截断面図、
【図2】 本発明の高傾斜角ポリイミド断熱膜を作製するための装置の1例の説明線図、
【図3】 本発明の高傾斜角ポリイミド断熱膜の作製方法により作製した射出成形品の1例の斜視図。
【符号の説明】
1 第1断熱膜、 2 第2断熱膜、 3 傾斜膜、
4 基板、 5 積層の断熱膜、
11 真空処理室、 12 真空排気系、 13 排気バルブ、
14,15,16 蒸発源容器、 17,18,19 加熱ヒーター、
20,21,22 モノマー導入管、
23,24,24 モノマー導入バルブ、
26,27,28 蒸発口、 30,31,32 加熱ヒーター、
41 射出成形品、 42 平板部、 43 角孔、
44,45,46 リブ、 A,B,C 原料モノマー。
Claims (1)
- 真空中でピロメリト酸二無水物(PMDA)と4,4′−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)とを蒸発させ、これらを射出成形品の外観面の形状に対応する形状の金型のキャビティ面に蒸着重合によりPMDA系ポリイミド膜から成る第1断熱膜を形成し、次いでピロメリト酸二無水物(PMDA)と4,4′−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)と4,4′(ヘキサフロロイソプロピリデン)ジフタリックアンハイドライド(6FDA)とを蒸発させ、これらを第1断熱膜上で蒸着重合によりPMDA系ポリイミドとフッ素系ポリイミドとの濃度勾配を有する傾斜膜を形成した後、続いて4,4′−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)と4,4′(ヘキサフロロイソプロピリデン)ジフタリックアンハイドライド(6FDA)とを蒸発させ、これらを傾斜膜上で蒸着重合によりフッ素系ポリイミドから成る第2断熱膜を形成して、キャビティ面に第1断熱膜と傾斜膜と第2断熱膜とから成る積層の断熱膜であって、水に対する接触角が 90 度以上であり、その熱伝導率を薄膜の厚さ (cm) で除して得られた熱伝導係数が 0.03 〜 0.5cal/sec ・℃である断熱膜を形成することを特徴とする高接触角ポリイミド断熱膜の作製方法。
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