JPH079452A - 合成樹脂成形用金型 - Google Patents

合成樹脂成形用金型

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JPH079452A
JPH079452A JP15721793A JP15721793A JPH079452A JP H079452 A JPH079452 A JP H079452A JP 15721793 A JP15721793 A JP 15721793A JP 15721793 A JP15721793 A JP 15721793A JP H079452 A JPH079452 A JP H079452A
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heat insulating
polymer
heat
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紘 片岡
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 成形サイクルタイムを微増にとどめて、成形
品外観を著しく向上させる金型を提供する。 【構成】 室温に於ける熱伝導率が0.05cal/c
m・sec・℃以上の金属からなる主金型の金型キャビ
ティを形成する型壁面が、熱伝導率が0.002cal
/cm・sec・℃以下の断熱層で被覆された金型であ
り、(1)断熱層は0.02〜2mm厚であり、(2)
断熱層はガラス転移温度が150℃以上の耐熱性重合体
であり、(3)断熱層の表面は、ポリシロキサンとエポ
キシ樹脂を主成分とする重合体からなる硬質薄膜で被覆
されている、合成樹脂成形用金型に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は合成樹脂の成形用金型に
関する。更に詳しくは数万回の成形に耐える射出成形あ
るいはブロー成形用金型に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂を金型キャビティへ射出し
て成形し、成形品に対する型表面の形状状態の付与にお
ける再現性を良くし、成形品の艶を良くするには、通
常、樹脂温度を高くしたり、射出圧力を高くする等の成
形条件を選ぶことによりある程度達成できる。
【0003】これらの要因の中で最も大きな影響がある
のは金型温度であり、金型温度を高くする程好ましい。
しかし、金型温度を高くすると、可塑化された樹脂の冷
却固化に必要な冷却時間が長くなり成形能率が下がる、
金型温度を高くすることなく型表面の再現性を良くし、
又金型温度を高くしても必要な冷却時間が長くならない
方法が要求されている。金型に加熱用、冷却用の孔をそ
れぞれとりつけておき交互に熱媒、冷媒を流して金型の
加熱、冷却を繰り返す方法も行われているが、この方法
は熱の消費量も多く、冷却時間が長くなる。
【0004】金型キャビティを形成する型壁面を熱伝導
率の小さい物質で被覆することにより金型表面再現性を
良くする方法はUSP3544518号明細書等で開示
されており、熱伝導率が小さい物質としてポリエチレン
テレフタレート、ポリフェニレンサルファイド等が示さ
れている。更に、金型表面近くに断熱層を設ける方法と
してWO89/10823号明細書がある。この明細書
には、射出された樹脂が金型内で冷却される際に、ゆっ
くり冷却する手段として、金型再表面をアルミニウムあ
るいはニッケル等の金属とし、次の層に断熱層、その下
を金型本体とする金型構造が示されている。断熱層を設
ける目的は射出された加熱樹脂の冷却速度を大巾に低減
することであり、断熱層として数mm厚の液晶ポリマー
の板、ベスペル(成形されたポリイミド、Du Pon
t社商品名)の板が示されている。特開昭62−371
07号公報には通気性のある断熱層を型表面につけ、シ
ルバーストリークの発生等を防ぐ方法が記載されてい
る。
【0005】熱膨張係数が1桁近く異なる金属と耐熱性
樹脂を密着させ、数万回に及ぶ成形サイクルで密着を保
持することは一般に困難であると考えられてきた。射出
成形は複雑な形状の成形品が一度の成形で得られること
に最大の長所があり、この長所を保持しつつ、金型内の
冷却時間が長くならず、且つ、金型表面再現性を良くし
た鏡面状成形品を成形することが要求されている。
【0006】本発明の課題は、金型表面を断熱層で被覆
した金型に於て、1)複雑な形状の金型キャビティを有
する金型に適用できる、2)冷却時間の増大が小さい、
3)数万回の繰り返し成形に耐える、4)金型表面再現
性に優れた、例えば高光沢成形品が得られる、金型を提
供することである。すなわち、断熱層に関しては、実質
的に金型最表面にあって薄層であること、また断熱物質
に関しては、熱伝導度が低いこと、耐熱性に優れるこ
と、引張強度、伸びが大きくしかも冷熱サイクルに強い
こと、表面硬度が大きいこと、耐摩耗性に優れること、
金型本体との密着性が良いこと、更に断熱層の形成時あ
るいは本金型を用いた合成樹脂の成形時に、耐蝕性に優
れることである。
【0007】本発明者らは金型表面に直鎖型高分子量ポ
リイミドを被覆することにより、長期成形に耐え、金型
表面再現性をよくする金型について、特願平5−175
74等で提案した。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上述のことを
基本に、更に、改良したものである。すなわち、本発明
の金型は、合成樹脂の射出成形やブロー成形において、
成形品の外観の優れたものを提供することにある。
【0009】
【課題を解決しようとする手段】すなわち、本発明は、
室温に於ける熱伝導率が0.05cal/cm・sec
・℃以上の金属からなる主金型の金型キャビティを形成
する型壁面が、熱伝導率が0.002cal/cm・s
ec・℃以下の断熱層で被覆された金型であり、(1)
断熱層は0.02〜2mm厚であり、(2)断熱層はガ
ラス転移温度が150℃以上の耐熱性重合体であり、
(3)断熱層の表面は、ポリシロキサンとエポキシ樹脂
を主成分とする重合体からなる硬質薄膜で被覆されてい
る、合成樹脂成形用金型に関する。
【0010】更に、上記の硬質薄膜がポリジフェニルシ
ロキサンとビスフェノールA系エポキシ樹脂を主成分と
する重合体からなる金型であることが好ましい。又、上
記の耐熱性重合体の破断伸度が10%以上、及び/又は
耐熱性重合体の熱膨張係数が主金型の熱膨張係数の3倍
以下、0.5倍以上である金型である。更には、上記の
耐熱性重合体がポリイミドからなる金型であることが好
ましい。
【0011】以下に本発明について詳細に説明する。主
金型の表面を薄い合成樹脂で被覆しても、一定の条件を
満たす合成樹脂から成る断熱層を使用すれば、数万回の
射出成形に耐えることを見いだした。すなわち、射出成
形では、金型に射出された加熱可塑化樹脂は冷却された
金型壁面に接触して接触面に直ちに固化層を形成し、引
続き射出される樹脂は固化層と固化層の間を進行し、流
動先端(flow front)に達すると、金型壁面
の方向へ向い、金型壁面と接して固化層となる。
【0012】すなわち、射出される樹脂は金型壁面を上
から押し付ける様に流れ、金型壁面をひきずる様に流れ
ない。従って、金型表面を選択された合成樹脂から成る
薄い断熱層で被覆すれば、該断熱層は射出される樹脂で
直接摩耗することは無く、数万回の射出成形に耐え得
る。
【0013】本発明に用いる主金型材質は、熱伝導率が
0.05cal/cm・sec・℃以上のもので、鉄又
は鉄を50重量%以上含有する鋼材、アルミニウム又は
アルミニウムを50重量%以上含有する合金、亜鉛合
金、銅合金、例えばベリリウム銅合金等の一般に合成樹
脂の金型に使用されている金属を包含する。鋼材等から
なる主金型表面に直接断熱層を被覆する場合には、その
被覆工程で主金型表面が変質しやすく、断熱層との密着
性が不安定となり、剥離が生じやい。これを改良するた
め、主金型表面をクロムメッキ及び/又はニッケルメッ
キをした後に断熱層を被覆することが非常に好ましい。
クロムメッキあるいは/及びニッケルメッキをすること
により、表面変質が起こりがたく、表面が安定する。更
に、ニッケルメッキ及び/又はクロムメッキ表面を粗面
とすることにより接触面積を大きくすることは必要に応
じて実施できる。
【0014】断熱層はガラス転移温度が150℃以上、
好ましくは200℃以上の耐熱性重合体であり、更に、
該耐熱性重合体の破断伸度が10%以上、及び/又は該
耐熱性重合体の熱膨張係数が主金型の熱膨張係数の3倍
以下、0.5倍以上であることが好ましい。破断伸度の
測定法はASTM D638に準じて行う。熱膨張係数
はASTM D696に準じて測定する線膨張係数であ
る。
【0015】射出成形では、冷却された金型へ、加熱さ
れ可塑化された合成樹脂が射出され、それが金型内で冷
却されて成形されるため、各成形毎に、金型表面では1
00℃にも及ぶ加熱と冷却が繰り返される毎に、主金属
と断熱層との界面に激しい応力が発生することになる。
この応力に数万回にわたって耐えうる断熱層として、破
断強度、破断伸度共に大きく、且つ金型との密着力が大
きいか、及び/又断熱層の熱膨張係数が主金型の熱膨張
係数の3倍以下、0.5倍以上であることが好ましい。
【0016】本発明で断熱層として良好に使用できる重
合体は、主鎖に芳香環を有する耐熱性重合体であり、各
種ポリイミドやポリベンツイミダゾール等の耐熱性重合
体が良好に使用できる。ポリイミドは各種あるが、直鎖
型高分子量ポリイミドが良好に使用できる。一般に直鎖
型高分子量ポリイミドは破断伸度が大きく、耐久性に優
れている。
【0017】本発明に良好に使用できる直鎖型の高分子
量ポリイミドの例を表1に示した。なお、Tgはガラス
転移温度、又、nはくりかえし単位の数を表わす。
【0018】
【表1】
【0019】直鎖型ポリイミドのTgは構成成分によっ
て異り、その例を表2および表3に示した。Tgが15
0℃以上の重合体が使用され、好ましくは200℃以
上、更に好ましくは230℃以上である。
【0020】
【表2】
【0021】
【表3】
【0022】射出成形は複雑な形状の成形品を一度の成
形で得られるところに経済的価値がある。この複雑な金
型表面をポリイミドで被覆し、且つ強固に密着させるに
は、ポリイミド前駆体溶液を塗布し、次いで加熱してポ
リイミドを形成させることが最も好ましい。本発明のポ
リイミドは、金型との密着性を阻害する物質を実質的に
含有しないことが好ましいが、粗面金型表面をニッケル
等で被覆して粗面状ニッケルとすることにより密着力を
良好にして密着力を増大させ、その密着力を大幅に低下
させない範囲で、変性ポリイミドや各種添加物の配合物
も使用できる。ポリイミド被膜はポリイミドの前駆体溶
液を金型壁面に塗布し次いで加熱して形成される。
【0023】直鎖型ポリイミド前駆体は、例えば芳香族
ジアミンと芳香族テトラカルボン酸二無水物を開環重付
加反応させることにより合成される。
【0024】
【化1】
【0025】これ等ポリイミド前駆体は加熱して脱水環
化反応させることによりポリイミドを形成する。最も好
ましい直鎖型ポリイミド前駆体はポリアミド酸でありそ
の代表例の繰り返し単位と、それをイミド化したポリイ
ミドの繰り返し単位を(化2)、(化3)、(化4)、
(化5)示す。
【0026】
【化2】
【0027】
【化3】
【0028】
【化4】
【0029】
【化5】
【0030】上記のポリイミド前駆体のポリマーはN−
メチルピロリドン等の溶媒に溶かし、金型壁面に塗布さ
れる。ポリイミドの前駆体溶液には、コーティング時の
粘度を調整したり、溶液の表面張力を調整、チキソトロ
ピー性を調整するための添加物を加えたり、及び/又は
金型との密着性を上げるための微少の添加物を加えるこ
とができる。塗布用に変性したワニスは良好に使用でき
る。しかし、ポリイミドの熱伝導率を大巾に大きくする
様な添加物は好ましくない。
【0031】ポリイミド前駆体のポリマーはカルボキシ
ル基等を含有するため金型との密着性が良く、金型表面
上でポリイミドを反応形成させることにより金型表面に
密着したポリイミド薄層が得られる。更に、本発明に使
用できる重合体は、熱膨張係数が5×10-5以下、更に
好ましくは4×10-5以下の熱膨張係数が小さい耐熱性
重合体である。重合体と主金型との熱膨張係数は近い程
好ましい。重合体の熱膨張係数は主金型の熱膨張係数の
3倍以下、0.5倍以上が好ましく、更に好ましくは2
倍以下で0.6倍以上である。ここで用いる熱膨張係数
は室温〜100℃の熱膨張係数を用いることとする。
【0032】本発明では重合体と金型との熱膨張係数が
近い物を組み合わせれば、破断伸度が10%未満の重合
体でも冷熱サイクルに耐えることができる。次表に一般
に金型に使用される各種金属と、各種樹脂の熱膨張係数
の概略値を示す。
【0033】
【表4】
【0034】これらの中で、熱膨張係数が大きい金属
と、熱膨張係数が小さい樹脂の組み合わせ、すなわち金
属と樹脂の熱膨張係数が近い組み合わせが本発明に良好
に使用される。熱膨張係数が小さい重合体として、ポリ
ベンツイミダゾール(以後PBIと略称)、低熱膨張型
ポリイミド等は良好に使用できる。(化6)に示すPB
I:Poly−[2,2′−(m−phenylen
e)−5,5′−bibenzimidazole]は
容易に溶液になるため型壁面に塗布することができ、且
つ、型壁面との密着力も良く、本発明に良好に使用でき
る。このPBIは熱膨張係数が小さく、ほぼアルミニウ
ムと等しい熱膨張係数で、且つ、ガラス転移温度は40
0℃近くであり、本発明に良好に使用できる。
【0035】
【化6】
【0036】重合体として、低熱膨張型ポリイミドも本
発明に良好に使用できる。表2に各種の低熱膨張型ポリ
イミドの熱膨張係数を示した。表中、BifixとFr
eeというのは、ポリイミド前駆体をイミド化してポリ
イミドフィルムをつくるときに、フィルムを自由に収縮
できる様にしたか(Free)、四角の枠に固定して、
イミド化時に起こる収縮を抑えてその応力でポリマー鎖
を面内配向させたか(Bifix)の違いである。ポリ
イミド前駆体溶液を主金型に塗布後、加熱して形成した
ポリイミドの熱膨張係数はFreeとBifixの中間
の値となる。これらの中で、ビフェニルテトラカルボン
酸型ポリイミドは溶剤に可溶であり、型壁面に容易に塗
布できるため、本発明に良好に使用できる。
【0037】
【表5】
【0038】本発明の断熱層と主金型との密着力は、室
温で0.5kg/10mm巾以上であり、好ましくは
0.8kg/10mm巾以上、更に好ましくは1kg/
10mm巾以上である。これは密着した断熱層を10m
m巾に切り、接着面と直角方向に20mm/分の速度で
引張った時の剥離力である。この剥離力は測定場所、測
定回数によりかなりバラツキが見られるが、最小値が大
きいことが重要であり、安定して大きい剥離力であるこ
とが好ましい。本発明に述べる密着力は金型の主要部の
密着力の最小値である。
【0039】断熱層の熱伝導率は小さい程好ましいが、
一般に重合体の熱伝導率は0.002cal/cm・s
ec・℃以下である。断熱層の厚みは、0.02〜2m
mの範囲で適度に選択される。0.02mm未満の厚み
では成形品表面改良の効果が少なく、2mmを超えると
金型の冷却効果が低下し、成形効率が低下する。金型温
度が高い程、断熱層の厚みを薄くし、金型温度が低い
程、断熱層の厚みを厚くする必要があり、0.02〜2
mmの範囲で適度に選択される。又、本発明の金型が使
用される成形法によっても、好ましいポリイミド層の厚
みは異る。本発明の金型が最も良好に使用できる射出成
形では、0.02〜0.5mmの厚みが好ましく、更に
好ましくは0.05〜0.2mmの厚みである。これに
対して、押出ブロー成形では0.1〜1mmの厚みが好
ましい。
【0040】射出成形は複雑な形状の型物が一度の成形
でできることが最大の長所であり、そのため金型キャビ
ティは一般に複雑な形状をしている。この複雑な金型キ
ャビティ表面に鏡面状に被覆物質を塗布することはきわ
めて困難であり、そのため塗布された被覆層を表面研磨
して鏡面状に仕上げることが最も良好な方法である。従
って、被覆物質は研磨でき、鏡面化できることが好まし
い。しかしながら、金属金型の磨き面と同等程度の鏡面
にすることは容易ではない。
【0041】本発明では断熱層の表面の平滑性等を更に
向上させるため、あるいは表面の耐擦傷性を更に向上さ
せるため、断熱層の厚みの1/10以下の厚みのポリシ
ロキサンとエポキシ樹脂を主体とする重合体薄膜を断熱
層表面に塗布することが極めて有効であることを発見し
た。合成樹脂のシートや型物の表面に、耐擦傷性向上の
ため使用されている、一般にハードコート剤と云われて
いる塗料を塗布することは一般に行われている。本発明
に使用する場合には、断熱層との密着性が良く、硬く、
数万回の成形に耐えるだけの耐久性をもつことが必要で
あり、この目的に、ポリシロキサンとエポキシ樹脂を主
体とする重合体が有効であることを発見した。特にポリ
ジフェニルシロキサンとビスフェノールA系エポキシ樹
脂を主体とする重合体が好ましいことを発見した。すな
わち、ポリシロキサンとエポキシ樹脂が相溶し合い、且
つ、硬く、耐久性があって、断熱層との接着性が良い組
成物が必要であり、ポリジフェニルシロキサンとビスフ
ェノールA系エポキシ樹脂を主体とした重合体は非常に
好ましいことがわかった。ポリシロキサンの末端がエポ
キシ基と反応性を有する場合には、ポリシロキサンとエ
ポキシ樹脂はより一体化し、本発明には好ましい。ビス
フェノールA系エポキシ樹脂は、ビスフェノールAとエ
ピクロロヒドリンから合成され、一般に次の構造式を有
する。式中のnは0〜20の範囲で使用され、好ましく
は0〜5の範囲で使用される。
【0042】
【化7】
【0043】本発明でポリシロキサンとエポキシ樹脂を
主体とするとは、ポリシロキサンとエポキシ樹脂が50
重量%以上、好ましくは60重量%以上、更に好ましく
は80重量%以上含まれる重合体である。ポリシロキサ
ンとエポキシ樹脂は重量比で1:5〜5:1の範囲で使
用される。溶剤で希釈されたポリシロキサンとエポキシ
樹脂からなる組成物には各種硬化剤等を配合し、断熱層
に塗布し、次いで加熱硬化して、本発明の重合体薄膜を
形成する。
【0044】ポリシロキサンとエポキシ樹脂を主体とし
た重合体の厚みは断熱層の厚みの1/10以下が好まし
く、更には、1/20以下が好ましく、0.1μm以上
10μm以下の薄層である。薄層であれば、該薄層の破
断伸度が比較的小さくても冷熱サイクルに耐えられる。
本発明の金型で成形されうる合成樹脂は一般に射出成形
やブロー成形等に使用できる熱可塑性樹脂である。例え
ば、スチレン重合体又はその共重合体、ポリエチレン、
ポリプロピレン等オレフィン重合体又はその共重合体、
塩化ビニール重合体又はその共重合体、ポリアセター
ル、ポリアミド、ポリエステル等の一般の熱可塑性樹脂
が使用できる。
【0045】これ等の樹脂に、各種強化材、各種充填物
を配合した場合、あるいはポリマーアロイ等とした場合
は特に大きい効果が得られる。例えば、これ等の樹脂
に、ゴム、ガラス繊維、アスベスト、炭酸カルシウム、
タルク、硫酸カルシウム、発泡剤、木粉等の1種又は2
種以上を配合することができる。又、ゴミ、塗料粉等の
異物が混入しているリサイクル樹脂も本発明に良好に使
用できる。
【0046】本発明を主に射出成形で説明したが、本発
明金型はブロー成形でも同様に使用できる。
【0047】
【実施例】次に示す各種物質を用いる。主金型は鋼材
(S55C)(熱伝導率約0.2cal/cm・sec
・℃)で作られ、100mm×100mmの正方形の辺
部にサイドゲートを有し、厚さ2mmの平板状型キャビ
ティを有する。金型表面は鏡面状に研磨した後、硬質ク
ロムメッキされている。
【0048】ポリイミドは直鎖型ポリイミド前駆体、ポ
リイミドワニス「トレニース#3000」(東レ 商品
名)を硬化する。硬化後のポリイミドのTgは300
℃、熱伝導率0.0005cal/cm・sec・℃破
断伸度60%である。ポリシロキサンとエポキシ樹脂を
主体とする重合体:ポリジフェニルシロキサンとビスフ
ェノールA系エポキシ樹脂を主成分とするYP−932
7(東芝シリコン(株)製)である。
【0049】合成樹脂はゴム強化ポリスチレン、旭化成
ポリスチレン495(旭化成工業(株)製)である。主
金型を2個用意し、その金型表面を次の様に加工する。 (A):上記の金型表面を十分に脱脂し、次いで、ポリ
イミドを塗布し、120℃から210℃の順に加熱し、
この塗布、加熱を3回繰り返して最後に290℃に加熱
してポリイミド層を形成する。次いで、バフにダイアモ
ンドペーストをつけて研磨を行し、0.05mm厚の平
滑な直鎖型ポリイミド被覆層を形成する。 (B):(A)と同様に形成したポリイミド層の表面
に、ポリシロキサンとエポキシ樹脂を主成分とする溶
液、YP−9327を塗布し、150℃で加熱硬化して
2μm厚の重合体薄膜を鏡面状に被覆する。
【0050】(A)と(B)の2つの金型を用いて、合
成樹脂の射出成形を行った。(B)の金型で成形した成
形品は、(A)の成形品に比較して明らかに光沢に優れ
ている。
【0051】
【発明の効果】本発明の金型を使用して合成樹脂の射出
成形やブロー成形を行うことにより、成形サイクルタイ
ムの増加を微増にとどめ、成形品の著るしい外観向上を
行うことができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 室温に於ける熱伝導率が0.05cal
    /cm・sec・℃以上の金属からなる主金型の金型キ
    ャビティを形成する型壁面が、熱伝導率が0.002c
    al/cm・sec・℃以下の断熱層で被覆された金型
    であり、(1)断熱層は0.02〜2mm厚であり、
    (2)断熱層はガラス転移温度が150℃以上の耐熱性
    重合体であり、(3)断熱層の表面は、ポリシロキサン
    とエポキシ樹脂を主成分とする重合体からなる硬質薄膜
    で被覆されている、合成樹脂成形用金型。
  2. 【請求項2】 重合体薄膜がポリジフェニルシロキサン
    とビスフェノールA系エポキシ樹脂を主成分とする重合
    体からなる請求項1記載の金型。
  3. 【請求項3】 耐熱性重合体の破断伸度が10%以上、
    及び/又は耐熱性重合体の熱膨張係数が主金型の熱膨張
    係数の3倍以下、0.5倍以上である請求項1記載ある
    いは請求項2記載の金型。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007129673A1 (ja) * 2006-05-02 2007-11-15 Hiroyuki Iwami 熱可塑性樹脂成形用金型、キャビティ型及びそのキャビティ型の製造方法
JP2012176567A (ja) * 2011-02-28 2012-09-13 Mikio Fukumura 樹脂シートの成形装置および成形方法
JP2016064662A (ja) * 2015-11-12 2016-04-28 福村 三樹郎 樹脂シートの成形装置および成形方法
WO2018092255A1 (ja) * 2016-11-17 2018-05-24 コニカミノルタ株式会社 樹脂成形品の断熱金型

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