JPH08197549A - ポリイミド被覆金型の製法 - Google Patents

ポリイミド被覆金型の製法

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JPH08197549A
JPH08197549A JP1262095A JP1262095A JPH08197549A JP H08197549 A JPH08197549 A JP H08197549A JP 1262095 A JP1262095 A JP 1262095A JP 1262095 A JP1262095 A JP 1262095A JP H08197549 A JPH08197549 A JP H08197549A
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JP
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polyimide
mold
imidization
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polyimide layer
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JP1262095A
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Hiroshi Kataoka
紘 片岡
Isao Umei
勇雄 梅井
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B29WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
    • B29CSHAPING OR JOINING OF PLASTICS; SHAPING OF MATERIAL IN A PLASTIC STATE, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; AFTER-TREATMENT OF THE SHAPED PRODUCTS, e.g. REPAIRING
    • B29C33/00Moulds or cores; Details thereof or accessories therefor
    • B29C33/56Coatings, e.g. enameled or galvanised; Releasing, lubricating or separating agents
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B29WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
    • B29CSHAPING OR JOINING OF PLASTICS; SHAPING OF MATERIAL IN A PLASTIC STATE, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; AFTER-TREATMENT OF THE SHAPED PRODUCTS, e.g. REPAIRING
    • B29C49/00Blow-moulding, i.e. blowing a preform or parison to a desired shape within a mould; Apparatus therefor

Abstract

(57)【要約】 【目的】 金型壁面に残留歪みの少ないポリイミド層を
形成させる。 【構成】 金属からなる主金型の型キャビティを構成す
る型壁面に、0.01〜1mm厚のポリイミド層を被覆
した金型の製法に於いて、直鎖型高分子量ポリイミド前
駆体含有溶液を主金型の型壁面に塗布し、20〜200
℃に加熱してポリイミド層を形成させることを特徴とす
るポリイミド被覆金型の製法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は合成樹脂の成形用金型の
製法に関する。更に詳しくは数万回の成形に耐える射出
成形、ブロー成形等の金型の製法に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂を金型キャビティへ射出し
て成形し、成形品に対する型表面の形状状態の付与にお
ける再現性を良くし、成形品の艶を良くするには、通
常、樹脂温度を高くしたり、射出圧力を高くする等の成
形条件を選ぶことによりある程度達成できる。これらの
要因の中で最も大きな影響があるのは金型温度であり、
金型温度を高くする程好ましい。しかし、金型温度を高
くすると、可塑化された樹脂の冷却固化に必要な冷却時
間が長くなり成形能率が下がる。金型温度を高くするこ
となく型表面の再現性を良くし、又金型温度を高くして
も必要な冷却時間が長くならない方法が要求されてい
る。金型に加熱用、冷却用の孔をそれぞれとりつけてお
き交互に熱媒、冷媒を流して金型の加熱、冷却を繰り返
す方法も行われているが、この方法は熱の消費量も多
く、冷却時間が長くなる。
【0003】金型キャビティを形成する型壁面を熱伝導
率の小さい物質で被覆することにより金型表面再現性を
良くする方法は古くはUSP3544518号明細書等
で開示されている。更に、断熱層として耐熱性と強靭性
に優れた直鎖型高分子量ポリイミドを使用することが良
いことについては、発明者らが、すでに特開平6−22
6749号公報等で提案している。更に、直鎖型高分子
量ポリイミド前駆体であるポリアミド酸のイミド化促進
剤については、1994年度高分子討論会予稿集,Vo
l.43,No.7,P.2087〜2088等に示さ
れている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】主金型の金属と一般の
ポリイミドの熱膨張係数は大きく異なることから、型壁
面にポリイミド層を形成する工程、および該ポリイミド
被覆金型で合成樹脂を成形する時等に生じる冷熱サイク
ルで、金属金型壁面とポリイミド層界面に応力が発生す
る。この応力によりポリイミド層の剥離が発生する。特
に厚肉のポリイミド層を有する金型を使用する場合には
剥離が発生しやすい。
【0005】直鎖型高分子量ポリイミドは耐熱性と強靭
性に優れ、断熱層として極めて好ましい。この直鎖型高
分子量ポリイミドを型壁面に被覆する方法として、その
ポリイミド前駆体溶液を型壁面に塗布し、次いで200
℃を越える高温に加熱してイミド化する方法がとられて
いる。直鎖型高分子量ポリイミド前駆体がイミド化する
時に、一般に十数%の体積収縮が起こることから、この
体積収縮により形成されるポリイミドには残留応力が発
生すると考えられてきた。また、高温でイミド化したポ
リイミド層被覆金型を室温にもどすと、金型とポリイミ
ドの熱膨張係数の差により残留応力が発生する。これら
の残留応力は該金型を用いて数万回の成形を行う間にポ
リイミド層の剥離を引き起こす。射出成形は複雑な形状
の成形品が一度の成形で得られることに最大の長所があ
り、金型キャビティは一般に複雑な形状を有する。複雑
な形状になるとポリイミド層に発生する応力も複雑にな
り、型壁面の一部にその応力が集中しやすくなり、ます
ます剥離が発生しやすくなる。本発明はこの様に発生す
るポリイミド層の剥離を低減することを目的とする。
【0006】
【課題を解決しようとする手段】発明者らは、ポリイミ
ド被覆金型のポリイミド層に残留する歪みを測定した結
果、ポリイミド前駆体を加熱してイミド化する時には、
一般に十数%という大きな体積収縮があるが、このイミ
ド化時の大きな体積収縮が残留歪みとして残る量は比較
的小さく、それよりもイミド化する時の高温度から室温
に冷却する時の温度差と、ポリイミドと金型の熱膨張係
数の差により発生する歪みが大きいことを見出し、本発
明を完成した。
【0007】すなわち、 本発明は以下のとおりであ
る。 1.金属からなる主金型の型キャビティを構成する型壁
面に、0.01〜1mm厚のポリイミド層を被覆する金
型の製法において、直鎖型高分子量ポリイミド前駆体含
有溶液を主金型の型壁面に塗布し、20〜200℃に加
熱してポリイミド層を形成することを特徴とするポリイ
ミド被覆金型の製法。 2.イミド化促進剤を配合した直鎖型高分子量ポリイミ
ド前駆体含有溶液を用いる上記1のポリイミド被覆金型
の製法。 以下に本発明について詳細に説明する。本発明の主金型
を構成する金属は、鉄又は鉄を50重量%以上含有する
鋼材、アルミニウム又はアルミニウムを50重量%以上
含有する合金、ZAS等の亜鉛合金、ベリリウム銅合金
等の一般に合成樹脂の金型に使用されている金属を包含
する。特に鋼材が良好に使用できる。
【0008】射出成形等では、冷却された金型へ加熱さ
れ可塑化された合成樹脂が射出され、それが金型内で冷
却されて成形されるため、各成形毎に、金型表面では1
00℃にも及ぶ加熱と冷却が繰り返され、その時に金属
とポリイミドとの界面に大きな応力が発生することにな
る。この応力に数万回にわたって耐えうるポリイミドと
して、破断強度、破断伸度共に大きく、且つ金型との密
着力が大きいことが好ましく、強靭な直鎖型の高分子量
ポリイミドが好ましい。本発明に良好に使用できる直鎖
型高分子量ポリイミドの繰り返し単位の例を表1に示
す。
【0009】
【表1】
【0010】直鎖型ポリイミドのガラス転移温度(以後
Tgと略称する)は構成成分によって異り、その例を表
2および表3に示した。
【0011】
【表2】
【0012】
【表3】
【0013】本発明に使用できるポリイミドのTgは高
い方が好ましく、180℃以上であることが好ましく、
更に好ましくは200℃以上である。射出成形は複雑な
形状の成形品を一度の成形で得られるところに経済的価
値がある。この複雑な金型表面をポリイミドで均一に被
覆し、且つ強固に密着させるには、ポリイミド前駆体溶
液を塗布し、次いで加熱してポリイミド層を形成させる
ことが最も好ましい方法である。本発明では直鎖型高分
子量ポリイミドの前駆体含有溶液を金型壁面に塗布し、
次いで20〜200℃に加熱して形成される。該ポリイ
ミドは強度及び伸度に優れ、型壁面との密着力が大きい
ことが好ましい。これ等ポリイミド前駆体は金型壁面上
で加熱して脱水環化反応させることにより、下記化1に
示す反応が起こりポリイミドを形成する。
【0014】
【化1】
【0015】本発明に最も好ましい直鎖型ポリイミド前
駆体はポリアミド酸でありその代表例の繰り返し単位
と、それをイミド化したポリイミドの繰り返し単位を次
に示す。
【0016】
【化2】
【0017】
【化3】
【0018】
【化4】
【0019】
【化5】
【0020】ポリアミド酸を加熱してイミド化させる時
に、脱水反応で水が発生する。この水がポリイミドの中
に気泡として残りやすい。特にポリアミド酸を厚塗りす
ると気泡が発生しやすい。このため、一回の塗布、加熱
により、薄肉のポリイミドを形成し、これを繰り返して
所定の厚みのポリイミドを形成する必要がある。ポリイ
ミドの前駆体含有溶液には、コーティング時の粘度を調
整したり、溶液の表面張力を調整、チキソトロピー性を
調整するための添加物及び/又は、金型との密着性を上
げるための微少の添加物を加えることができる。塗布用
に変性したワニスは良好に使用できる。しかし、ポリイ
ミドの熱伝導率を大巾に高くする様な添加物は好ましく
ない。
【0021】ポリイミド前駆体のポリマーはカルボキシ
ル基等を含有するため金型との密着性が良く、金型表面
上でポリイミドを反応形成させることにより金型表面に
密着したポリイミド薄層が得られる。本発明におけるポ
リイミドと主金型との密着力は、室温で0.5kg/1
0mm巾以上であり、好ましくは0.8kg/10mm
巾以上、更に好ましくは1kg/10mm以上である。
これは密着したポリイミドを10mm巾に切り、接着面
と直角方向に20mm/分の速度で引張った時の剥離力
である。この剥離力は測定場所、測定回数によりかなり
バラツキが見られるが、最小値が大きいことが重要であ
り、安定して大きい剥離力であることが好ましい。ここ
に述べる密着力は金型の主要部の密着力の最小値であ
る。この密着力を大きくするために、主金型表面にクロ
ムメッキ及び/又はニッケルメッキを行ったり、適度な
凸凹をつけたり、適度なプライマー処理を行うことは必
要に応じて行うことができる。
【0022】ポリイミド層の厚みは0.01〜1mmの
範囲で適度に選択される。0.01mm未満の厚みでは
成形品表面改良の効果が少なく、1mmを超えると金型
の冷却効果が低下し、成形効率が低下する。金型温度が
高い程、ポリイミド層の厚みを薄くし、金型温度が低い
程、ポリイミド層の厚みを厚くする必要があり、0.0
1〜1mmの範囲で適度に選択される。又、本発明の金
型が使用される成形法によっても、好ましいポリイミド
層の厚みは異る。本発明の金型が最も良好に使用できる
射出成形では、0.05〜0.3mmの厚みが好まし
く、更に好ましくは0.1〜0.2mmの厚みである。
これに対して、押出ブロー成形では0.3〜1mmの厚
みが好ましく、更に好ましくは0.35〜0.6mmで
ある。
【0023】本発明ではポリイミド層の厚みが0.2m
m以上の比較的厚肉の場合に効果が大きい。すなわち、
ポリイミド層が厚肉になる程、該ポリイミド層に発生す
る残留応力は大きくなり、剥離が発生しやすくなる。本
発明は剥離が発生しやすい厚肉ポリイミドに特に有効で
ある。本発明に使用される直鎖型高分子量ポリイミドの
強度及び伸度は大きいことが好ましい。破断伸度が大き
いことは耐冷熱サイクルに必要であり、一般には5%程
度以上が好ましい。破断伸度の測定法はASTM D6
38に準じて行う。
【0024】本発明はポリイミド前駆体を20〜200
℃の低温でイミド化させてポリイミド層を形成する。好
ましくは100〜200℃、更に好ましくは140〜1
90℃でイミド化される。これまで型壁面にポリイミド
層を形成するには、型壁面にポリイミド前駆体溶液を塗
布し、次いで200℃を越える高温で、一般には250
℃以上の高温でイミド化されてポリイミド層とされてき
たが、本発明では低温でイミド化することに特徴があ
る。低温イミド化はポリイミド前駆体含有溶液に各種イ
ミド化促進剤を配合すること等によりできる。
【0025】イミド化促進剤とは、そのイミド化促進剤
を直鎖型高分子量ポリイミド前駆体溶液に配合すること
により、該前駆体のイミド化を促進させ、低温でイミド
化を進行させることができる物質である。イミド化促進
剤としては各種の有機酸や塩基等の物質があるが、例え
ば、ピリジン/無水酢酸系の混合物、m−ハイドロキシ
ベンゾイック酸、p−ハイドロキシベンゾイック酸、
2,4−ジハイドロキシベンゾイック酸、p−ハイドロ
キシフェニル酢酸、3−(p−ハイドロキシフェニル)
プロピオン酸、p−フェノールスルホン酸、p−アミノ
フェノール、m−アミノベンゾイック酸、p−アミノベ
ンゾイック酸、2−(4−ハイドロキシフェニル)イソ
バレリック酸、2−(4−ハイドロキシフェニル)−2
−(4−アミノフェニール)プロパン、p−ハイドロキ
シベンザルデヒド等が良好に使用できる。ポリイミド前
駆体がポリアミド酸の場合、ポリアミド酸溶液に添加す
るイミド化促進剤の量はポリアミド酸のアミド酸基1当
量に対して0.1〜2当量程度添加する。
【0026】ポリイミド自体の構造が低温硬化できる構
造の場合、イミド化促進剤を配合しなくても低温でイミ
ド化は進行し、本発明の目的を達する。本発明にはこの
様な場合も含まれる。ポリイミド前駆体及びイミド化促
進剤は溶液として本発明に使用されるが、良好に使用で
きる溶剤は、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトア
ミド、ジメチルフォルムアミド等の各種極性溶剤、及び
該極性溶剤を含む混合溶剤である。溶液の濃度は金型壁
面への塗布法により異なり、各塗布法により適度に選択
される。例えば、スプレー塗布法を使用する場合には3
〜30重量%程度の濃度の溶液が使用される。主金型に
使用される金属と断熱層のポリイミドの熱膨張係数は一
般に異なる。表4に各種材質の熱膨張係数を示す。
【0027】
【表4】
【0028】主金型として最も多く使用される鉄の熱膨
張係数は一般のポリイミドの熱膨張係数より小さい。低
熱膨張型ポリイミドは熱膨張係数が小さいが、しかしそ
のポリマー鎖は剛直であり、断熱層として使用する場合
には各種の制約を受ける場合が多い。熱膨張係数が大き
いポリイミド前駆体溶液を、熱膨張係数が小さい金属金
型表面に塗布して200℃を越える高温でイミド化する
と、イミド化される高温時にポリイミドと金型は接着
し、それを室温に冷却した時に熱膨張係数の差に比例す
る残留応力がポリイミド層に残る。この残留応力が合成
樹脂成形時の数万回に及ぶ冷熱サイクルでポリイミド層
の剥離をもたらす。
【0029】発明者らは、ポリイミドを被覆した金型の
ポリイミドに残留する歪みを測定した結果、ポリイミド
前駆体を加熱してイミド化する時には、一般に十数%と
いう大きな体積収縮があるが、このイミド化時の大きな
体積収縮が残留歪みとして残る量は比較的小さく、それ
よりもイミド化する時の高温度から室温に冷却する時の
温度差と、ポリイミドと金型の熱膨張係数の差により発
生する歪みが大きいことを発見した。この温度差と熱膨
張係数の差により生ずる収縮量の絶対値はそれ程大きく
ないにもかかわらず、残留歪みに与える影響は大きい。
このことを発見した結果、本発明がなされたものであ
る。
【0030】本発明では主金型の金属とポリイミドの熱
膨張係数の差が大きい場合に、本発明の効果は大きく現
れ、その差が1×10-5/℃以上、更に2×10-5/℃
以上の場合に本発明の効果は顕著である。ポリイミドの
前駆体を20〜200℃の低温でイミド化させることに
より、断熱層のポリイミド層の残留応力を低減して剥離
発生を減少させることができる。
【0031】図1〜図3を用いてイミド化促進剤の効果
を示す。図1は表5に示すポリイミド前駆体である各種
ポリアミド酸の温度とイミド化率の関係を図1に示す
(K.L.Mittel著,Polyimide,Vo
l.1,P.268,Plenum Press刊より
引用)。図1に示すように、一般のポリイミドはそのポ
リイミドの構造に関係なく、イミド化率を100%にす
るには200℃を越える高温にする必要があり、一般に
は300℃付近まで加熱されてイミド化されている。図
2及び図3は表5のNo.1に示すポリアミド酸にイミ
ド化促進剤としてp−ハイドロキシフェニル酢酸を添加
した場合と、添加しない場合のイミド化率の変化を示す
(1994年度高分子討論会予稿集,Vol.43,N
o.7,P.2087〜2088より引用)。イミド化
促進剤を添加することにより、200℃以下の低温でイ
ミド化ができる。
【0032】
【表5】
【0033】射出成形は複雑な形状の型物が一度の成形
で得られることが最大の長所であり、そのため金型キャ
ビティは一般に複雑な形状をしている。この複雑な金型
キャビティ表面に鏡面状に被覆物質を塗布することはき
わめて困難であり、そのため塗布された被覆層を表面研
磨して鏡面状に仕上げることが最も良好な方法である。
本発明法で形成したポリイミド層と他の断熱層を組み合
わせた多層断熱層を形成する場合も本発明に含まれる。
例えば、熱硬化性樹脂からなる断熱層と本発明法で形成
された断熱層からなる多層断熱層等は本発明に含まれ
る。
【0034】また、ポリイミドの薄層の表面の平滑性等
を更に向上させるため、あるいは表面の耐擦傷性を更に
向上させるため、ポリイミド層の厚みの1/10程度以
下の厚みで別物質をポリイミド表面に塗布することも必
要に応じてできる。合成樹脂のシートや型物の表面に、
耐擦傷性向上のため使用されている。一般にハードコー
ト剤と云われている塗料を塗布することもできる。例え
ば、熱硬化型のシリコーン系ハードコート剤は良好に使
用できる。更に、ポリイミド表面にニッケル、クロム等
の金属薄層をメッキ等によりつけることができる。
【0035】本発明の金型で成形されうる合成樹脂は一
般に射出成形やブロー成形等に使用できる熱可塑性樹脂
である。例えば、スチレン重合体又はその共重合体、ポ
リエチレン、ポリプロピレン等オレフィン重合体又はそ
の共重合体、塩化ビニール重合体又はその共重合体、ポ
リアセタール、ポリアミド、ポリエステル、等の一般の
熱可塑性樹脂が使用できる。これ等の樹脂に、各種強化
材、各種充填物を配合した場合、あるいはポリマーアロ
イ等とした場合は特に大きい効果が得られる。例えば、
これ等の樹脂に、ゴム、ガラス繊維、アスベスト、炭酸
カルシウム、タルク、硫酸カルシウム、発泡剤、木粉等
の1種又は2種以上を配合することができる。又、ゴ
ミ、塗料粉等の異物が混入しているリサイクル樹脂も本
発明に良好に使用できる。
【0036】
【実施例】実施例において、主金型及びポリイミド前駆
体は次のものを使用する。 主金型:鋼材(S55C)で作られ、100mm×10
0mmの正方形、厚さ2mmの平板状型キャビティを有
する。主金型表面は鏡面状であり、表面は硬質クロムメ
ッキされている。正方形の辺部にサイドゲートを有す
る。鋼材の熱膨張係数は1.1×10-5/℃である。 ポリイミド前駆体:標準的なポリイミドであるポリイミ
ド前駆体溶液「トレニース#3000」(東レ(株)
製、商品名)。この前駆体単体のイミド化は一般には3
00℃程度まで加熱する必要がある。イミド化後のTg
は、イミド化温度により異なるが一般に250〜300
℃、熱膨張係数は3.3×10-5/℃である。 イミド化促進剤:p−ヒドロキシフェニル酢酸。ポリイ
ミド層の残留歪みの測定法:主金型に被覆したポリアミ
ド層を、表面から約10mm×20mmの長方形状にナ
イフで切り、その長方形のポリイミド層の表面の中央に
ストレインゲージを貼りつけ、次いでナイフでポリイミ
ド層を引き剥がし、剥離後のポリイミドの収縮量を測定
する。剥離したポリイミドに反りが発生する場合には計
算により補正する。
【0037】
【実施例1】ポリイミド前駆体のアミド酸基と等モルの
イミド化促進剤を混合し、該溶液を主金型壁面にスプレ
ー塗布して130℃に加熱し、この操作を繰り返して行
い、最後に190℃に加熱して十分にイミド化し、15
0μm厚のポリイミド層を形成する。イミド化促進剤の
添加により、190℃で十分にイミド化される。このポ
リイミド被覆金型のポリイミド表面にストレインゲージ
を張り付けた後、ポリイミド層を剥離してポリイミドの
残留歪みを測定する。残留歪みは0.37%である。
【0038】
【比較例1】ポリイミド前駆体の単体溶液を主金型にス
プレー塗布して160℃に加熱し、この操作を繰り返し
て行い、最後に300℃に加熱して十分にイミド化し、
150μm厚のポリイミド層を形成する。このポリイミ
ド層の残留歪みを同様に測定する。残留歪みは0.6%
である。190℃の低温でイミド化したポリイミド被覆
金型はポリイミド層の残留歪みが小さく、剥離を引き起
こす力はそれだけ少ない。これに対して、300℃の高
温でイミド化したポリイミド被覆金型はポリイミドの残
留歪みが大きく、剥離を引き起こす力が大きい。この残
留歪みの大きさはポリイミドと鉄との熱膨張係数の差
に、(イミド化温度―室温)を掛けた値にほぼ等しい。
【0039】
【発明の効果】本発明の方法により、金型壁面に残留歪
みの少ないポリイミド層が形成でき、ポリイミド層の剥
離を低減する。
【図面の簡単な説明】
【図1】表5に示すポリアミド酸の温度とイミド化率の
関係を示すグラフ図である。
【図2】ポリアミド酸にイミド化促進剤を添加した場合
の、温度とイミド化率の関係を示すグラフ図である。
【図3】ポリアミド酸にイミド化促進剤を添加した場合
の、温度とイミド化率の関係を示すグラフ図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属からなる主金型の型キャビティを構
    成する型壁面に、0.01〜1mm厚のポリイミド層を
    被覆する金型の製法において、直鎖型高分子量ポリイミ
    ド前駆体含有溶液を主金型の型壁面に塗布し、20℃〜
    200℃に加熱してポリイミド層を形成することを特徴
    とするポリイミド被覆金型の製法。
  2. 【請求項2】 イミド化促進剤を配合した直鎖型高分子
    量ポリイミド前駆体含有溶液を用いる請求項1記載のポ
    リイミド被覆金型の製法。
JP1262095A 1995-01-30 1995-01-30 ポリイミド被覆金型の製法 Withdrawn JPH08197549A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8512621B2 (en) * 2003-12-17 2013-08-20 Oc Oerlikon Balzers Ag Gloss level adjustment

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