JP3387578B2 - 合成樹脂の成形用金型の製法 - Google Patents

合成樹脂の成形用金型の製法

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JP3387578B2 JP25605393A JP25605393A JP3387578B2 JP 3387578 B2 JP3387578 B2 JP 3387578B2 JP 25605393 A JP25605393 A JP 25605393A JP 25605393 A JP25605393 A JP 25605393A JP 3387578 B2 JP3387578 B2 JP 3387578B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は合成樹脂の成形用金型の
製法に関する。更に詳しくは数万回の成形に耐える射出
成形あるいはブロー成形等に使用される金型の製法に関
する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂を金型キャビティへ射出し
て成形し、成形品に対する型表面の形状状態の付与にお
ける再現性を良くし、成形品の艶を良くするには、通
常、樹脂温度を高くしたり、射出圧力を高くする等の成
形条件を選ぶことによりある程度達成できる。
【0003】これらの要因の中で最も大きな影響がある
のは金型温度であり、金型温度を高くする程好ましい。
しかし、金型温度を高くすると、可塑化された樹脂の冷
却固化に必要な冷却時間が長くなり成形能率が下がる。
金型温度を高くすることなく型表面の再現性を良くし、
又金型温度を高くしても必要な冷却時間が長くならない
方法が要求されている。金型に加熱用、冷却用の孔をそ
れぞれとりつけておき交互に熱媒、冷媒を流して金型の
加熱、冷却を繰り返す方法も行われているが、この方法
は熱の消費量も多く、冷却時間が長くなる。
【0004】金型キャビティを形成する型壁面を熱伝導
率の小さい物質で被覆することにより金型表面再現性を
良くする方法はUSP3544518号明細書等で開示
されている。また、我々はWO93/06980で金型
表面に断熱層を設けた金型について提案し、断熱層とし
て直鎖型高分子量ポリイミドが優れていることを示し
た。
【0005】射出成形は複雑な形状の成形品が一度の成
形で得られることに最大の長所があり、この長所を保持
しつつ、金型内の冷却時間が長くならず、且つ、金型表
面再現性を良くした鏡面状成形品を成形することが要求
されている。本発明は、金型表面を断熱層で被覆した金
型に於て、1)複雑な形状の金型キャビティを有する金
型に適用でき、2)冷却時間の増大が小く、3)数万回
の繰り返し成形に耐え、4)金型表面再現性に優れた、
高光沢成形品が得られる金型の経済的な製法を提供する
ことである。
【0006】すなわち、断熱層に関しては、実質的に金
型最表面にあって薄層であること、また断熱物質に関し
ては、熱伝導度が低いこと、耐熱性に優れること、引張
強度、伸びが大きくしかも冷熱サイクルに強いこと、表
面硬度が大きいこと、耐摩耗性に優れること、金型本体
との密着性が良いこと、表面研磨ができること、さらに
断熱層の形成時あるいは本金型を用いた合成樹脂の成形
時に、耐蝕性に優れることである。
【0007】この課題を達成する手段として、我々は直
鎖型高分子量ポリイミドの前駆体溶液を金型壁面に塗布
し、次いで加熱して脱水環化させイミド化し、金型壁面
をポリイミドで被覆した金型を用いることをWO93/
06980で既に提案した。本発明はこのポリイミドを
被覆した金型を良好につくる製法である。射出成形の長
所は複雑な形状の成形品が一度の成形で得られることに
あり、従って射出成形金型キャビティは一般に複雑な形
状をしている。複雑な形状の型壁面にスプレー塗装等に
より直鎖型高分子量ポリイミド前駆体溶液を均一に塗布
して均一な所定の膜厚を形成するには、薄い塗膜を繰り
返し形成して所定の膜厚にしてゆく方法が最も良い方法
である。そして形成された塗膜は主金型に強く密着して
いることが必要である。しかし、この様にポリイミド層
を形成する場合、塗膜の密着力が主金型の大きさや加熱
条件により著しく左右されず、密着力が安定して大きい
良好な塗膜を形成する方法が求められている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】形成された塗膜は主金
型に強く密着し、かつ密着力が安定して大きい良好な塗
膜を形成する方法を提供する。
【0009】
【課題を解決しようとする手段】すなわち、本発明は、
金属から成る主金型の型キャビティを形成する型壁面に
0.05〜2mm厚のポリイミドを被覆した合成樹脂成
形用の金型の製法に於いて、型壁面に直鎖型高分子量ポ
リイミド前駆体溶液を塗布し、次いで、該ポリイミド前
駆体のイミド化率が30〜70%になるまで加熱し、冷
却し、更に、所定の塗膜厚みになるまで塗布、加熱を2
回以上繰り返し、最後に、イミド化率が90%以上にな
るまで加熱することを特徴とする合成樹脂成形用金型の
製法である。
【0010】ポリイミド前駆体がポリアミド酸であるこ
とが好ましい。又、主金型の型壁面がクロムメッキ及び
/又はニッケルメッキされていることが好ましい。更
に、金属からなる熱容量の大きい、金型加熱ブロック及
び/又は金型冷却ブロックを用意し、ポリイミド前駆体
溶液が塗布された金型を金型加熱ブロックの上に乗せて
加熱し、該金型を金型冷却ブロックの上に乗せて冷却
し、これを繰り返すことにより所定の厚みのポリイミド
を形成する製法が好ましい。
【0011】以下に本発明について詳細に説明する。本
発明に用いる主金型材質は、熱伝導率が0.05cal
/cm・sec・℃以上の金属で、鉄又は鉄を50重量
%以上含有する鋼材、アルミニウム又はアルミニウムを
50重量%以上含有する合金、亜鉛合金、銅合金、例え
ばベリリウム銅合金等の一般に合成樹脂の金型に使用さ
れている金属を包含する。特に鋼材が最も良好に使用で
きる。
【0012】射出成形では、冷却された金型へ、加熱さ
れ可塑化された合成樹脂が射出され、それが金型内で冷
却されて成形されるため、各成形毎に、金型表面では1
00℃にも及ぶ加熱と冷却が繰り返される毎に、金属と
ポリイミドとの界面に激しい応力が発生することにな
る。この応力に数万回にわたって耐えうるポリイミドと
して、破断強度、破断伸度共に大きく、且つ金型との密
着力が大きいことが必要であり、強靭な直鎖型の高分子
量ポリイミドが最も好ましい。
【0013】本発明に良好に使用できる直鎖型の高分子
量ポリイミドの例を表1に示す。なお、Tgはガラス転
移温度、又、nはくりかえし単位の数を表わす。
【0014】
【表1】
【0015】直鎖型ポリイミドのTgは構成成分によっ
て異り、その例を表2および表3に示した。本発明者ら
の知見ではTgが200℃付近以上が良く、更に好まし
くは230℃以上である。
【0016】
【表2】
【0017】
【表3】
【0018】射出成形は複雑な形状の成形品を一度の成
形で得られるところに経済的価値がある。この複雑な金
型表面をポリイミドで被覆し、且つ強固に密着させるに
は、ポリイミド前駆体溶液を塗布し、次いで加熱してポ
リイミドを形成させることが最も好ましい。直鎖型ポリ
イミド前駆体は、例えば芳香族ジアミンと芳香族テトラ
カルボン酸二無水物を開環重付加反応させることにより
合成される。
【0019】
【化1】
【0020】これ等ポリイミド前駆体は加熱して脱水環
化反応させることによりポリイミドを形成する。本発明
に最も好ましい直鎖型ポリイミド前駆体はポリアミド酸
でありその代表例の繰り返し単位と、それをイミド化し
たポリイミドの繰り返し単位を次に示す。
【0021】
【化2】
【0022】
【化3】
【0023】
【化4】
【0024】
【化5】
【0025】一般に高耐熱性ポリイミドは難溶解性であ
る。一部の高耐熱性ポリイミドはその前駆体のポリアミ
ド酸のイミド化率が小さい場合には溶解性がある。ポリ
イミド前駆体のポリマーはカルボキシル基等を含有する
ため金型との密着性が良く、金型表面上でポリイミドを
反応形成させることにより金型表面に密着したポリイミ
ド薄層が得られる。
【0026】本発明のポリイミドと主金型との密着力、
あるいは重ね塗りされた各ポリイミドの層間密着力は、
室温で0.5kg/10mm巾以上であり、好ましくは
0.8kg/10mm巾以上、更に好ましくは1kg/
10mm巾以上である。これは密着したポリイミドを1
0mm巾に切り、接着面と直角方向に20mm/分の速
度で引張った時の剥離力である。この剥離力は測定場
所、測定回数によりかなりバラツキが見られるが、最小
値が大きいことが重要であり、安定して大きい剥離力で
あることが好ましい。本発明に述べる密着力は金型の主
要部の密着力の最小値である。この密着力を大きくする
ために、主金型表面にクロムメッキ、及び/又はニッケ
ルメッキを行ったり、適度な凹凸をつけたり、適度なプ
ライマー処理を行うことは必要に応じて行うことができ
る。
【0027】ポリイミドの熱伝導率は小さい程好ましい
が、ポリイミドの熱伝導率は0.002cal/cm・
sec・℃以下のものが好ましく使用できる。ポリイミ
ド層の厚みは、0.05〜2mmの範囲で適度に選択さ
れる。0.05mm未満の厚みでは成形品表面改良の効
果が少なく、2mmを超えると金型の冷却効果が低下
し、成形効率が低下する。金型温度が高い程、ポリイミ
ド層の厚みを薄くし、金型温度が低い程、ポリイミド層
の厚みを厚くする必要があり、0.05〜2mmの範囲
で適度に選択される。又、本発明の金型が使用される成
形法によっても、好ましいポリイミド層の厚みは異る。
本発明の金型が最も良好に使用できる射出成形では、
0.05〜0.5mmの厚みが好ましく、更に好ましく
は0.05〜0.2mmの厚みである。これに対して、
押出ブロー成形では0.1〜1mmの厚みが好ましい。
【0028】本発明に使用される直鎖型高分子量ポリイ
ミドの強度及び伸度は大きいことが必要である。破断伸
度は大きいことは耐冷熱サイクルには必要であり、一般
には10%程度以上が好ましい。破断伸度の測定法はA
STM D638に準じて行う。射出成形は複雑な形状
の型物が一度の成形でできることが最大の長所であり、
そのため金型キャビティは一般に複雑な形状をしてい
る。この複雑な金型キャビティ表面に鏡面状に被覆物質
を塗布することはきわめて困難であり、そのため塗布さ
れた被覆層を表面研磨して鏡面状に仕上げることが最も
良好な方法である。従って、被覆物質は研磨でき、鏡面
化できることが好ましい。
【0029】ポリアミド酸を加熱してイミド化させる時
に、脱水反応で水が発生する。厚塗りするとこの水がポ
リイミドの中に気泡として残りやすい。このため、一回
の塗布、加熱により薄肉のポリイミドを形成し、これを
繰り返すことにより所定の厚みのポリイミドを形成する
必要がある。一方、ポリイミド前駆体溶液には、コーテ
ィング時の粘度を調整したり、チキソトロピー性等を調
整するため各種添加物を加えることができる。しかし、
チキソトロピー剤でチキソトロピー性をだすにも限界が
あり、塗布された塗膜が重力で垂れるため、多数回の重
ね塗りにより所定の厚みにする必要がある。
【0030】このような理由により、直鎖型高分子量ポ
リイミド前駆体溶液の重ね塗りを行うが、重ね塗りされ
た各塗膜の層間密着力が塗布後の加熱条件により異な
り、必要な層間密着力を出すために検討を加えた結果、
本発明に至る。塗布された直鎖型高分子量ポリイミド前
駆体を加熱してイミド化率が30〜70%、好ましくは
35〜65%にした状態で、次の直鎖型高分子量ポリイ
ミド前駆体溶液を塗布してイミド化すると、層間接着力
が大きくなり、良好なポリイミド層が得られることがわ
かった。イミド化率が30%未満では最終硬化時のイミ
ド化により発生するH2 Oによりポリイミド層に気泡が
発生しやすくなり、イミド化率が70%を越えると層間
接着力が低下し、必要な密着力が得られなくなる。加熱
温度とイミド化率との関係は使用するポリイミド前駆体
の種類により異なり、あらかじめその関係を測定してお
き、本発明を実施する必要がある。
【0031】更に、本発明は所定の厚みのポリイミドを
経済的に良好に形成する方法を示す。すなわち、本発明
は、金属からなる熱容量の大きい、金型加熱ブロック及
び/又は金型冷却ブロックを用意し、ポリイミド前駆体
溶液を塗布した金型を金型加熱ブロックの上に乗せて加
熱し、次いで該金型を金型冷却ブロックの上に乗せて冷
却し、これを繰り返すことにより所定の厚みのポリイミ
ドを形成する方法である。これまで、金型に塗料を塗布
した場合、その硬化は加熱炉中で空気伝熱により均一に
加熱して硬化することが一般に行われてきた。しかし、
金型が大型になると空気伝熱では金型の加熱、冷却には
多大の時間がかかり経済的に問題であった。金属からな
る熱容量の大きい、金型加熱ブロック及び/又は金型冷
却ブロックを用意し、ポリイミド前駆体溶液を塗布した
金型を金型加熱ブロックの上に乗せて加熱し、次いで該
金型を金型冷却ブロックの上に乗せて冷却し、これを繰
り返すことにより所定の厚みのポリイミドを形成する方
法により、その加熱、冷却が著しく短縮できることが分
かった。この加熱、冷却法は、金型の重量が100Kg
以上の大型の場合に効果が大きい。
【0032】金型加熱ブロックと金型冷却ブロックを用
いて加熱、冷却する場合、加熱時と冷却時の型壁面の温
度分布差が大きくなりすぎない様に注意する必要があ
り、イミド化に影響を与える温度領域(130℃以上)
で型壁面の最大温度と最小温度の差が50℃以内、好ま
しくは30℃以内にすることが好ましい。この温度差に
するため、加熱時には加熱された雰囲気中で金型加熱ブ
ロック上で加熱したり、金型加熱ブロックの温度を加熱
過程で変化させたりすることが行われる。
【0033】本発明を図により説明する。図1は、化2
に示す直鎖型高分子量ポリイミド前駆体であるポリアミ
ド酸溶液を用いて、塗布、加熱を繰り返して、重ね塗り
し、硬化温度を変えてイミド化率を変化させ、最後に2
90℃に加熱して十分にイミド化したポリイミドの層間
接着力の関係を示す。イミド化率が30〜70%の範囲
が層間接着強度が高いことを示す。
【0034】図2は金型加熱ブロックと金型冷却ブロッ
クを用いて金型の加熱と冷却を行う図を示す。図2に於
いて、金属からなる熱容量が大きい金属加熱ブロック1
と金型冷却ブロック2を用意し、金型加熱ブロック1と
金型冷却ブロック2は断熱材3の上に置かれる。金型加
熱ブロック1は雰囲気温度が高温に保たれた密閉室4に
設置されている。フィルター5よりクリーン空気を取り
入れ、上方に廃棄される。直鎖型高分子量ポリイミド前
駆体溶液を型壁面に塗布した金型6を金型加熱ブロック
1の上にのせて、急速に該金型を加熱し、まず溶剤を蒸
発させ、更に加熱してポリイミド前駆体のイミド化率を
30〜70%にする。次に、該金型6をチェーンブロッ
ク7で取り出して、金型冷却ブロック2の上に乗せて急
速に冷却する。この塗布、加熱、冷却を繰り返して所定
の厚みのポリイミド層を型壁面に形成する。 金型加熱
ブロック及び金型冷却ブロックは熱伝導率が大きいこと
が必要であり、鋼材等の金属で形成される。又、その熱
容量が大きいことが必要であり、少なくとも金型の熱容
量以上、好ましくは3倍以上、更に好ましくは5倍以上
である。金型加熱ブロック6には該金型を加熱するヒー
ターが設置されており、金型を乗せることにより下がる
温度を昇温させる。金型冷却ブロックには同様に冷媒を
流して冷却される。
【0035】図3は実施例に用いた、金型急速加熱、金
型急速冷却に用いる金型入れ子を示す。該入れ子は鋼材
(S55C)でつくられ、箱型であり、外寸法は200
mm×150mm×70mm(立ち上がり部)であり、
肉厚は側面が15mm、底面が20mmである。成形品
の表面となる面は鏡面状のクロムメッキがなされてい
る。
【0036】図4は図3の金型入れ子を金型加熱ブロッ
ク上、あるいは加熱冷却ブロック上で加熱、あるいは冷
却している状態を示す。図5は図3の金型入れ子を加熱
した時の昇温カーブを示す。図6は図3の金型入れ子を
冷却した時の冷却カーブを示す。図4、図5、図6で急
速加熱、急速冷却を説明する。金型入れ子8を金型加熱
ブロック9、あるいは金型冷却ブロック10に乗せて、
加熱、冷却を行う。金型加熱ブロック9、あるいは金型
冷却ブロック10は鋼材でつくられており、その重量は
金型入れ子8の9倍である。
【0037】室温の金型入れ子8を次の3種の方法で加
熱し、金型入れ子8のA部とB部の温度変化カーブを図
5に示す。A,Bカーブは、室温雰囲気内で、190℃
の金型加熱ブロック上で加熱したものである。B′カー
ブは、190℃のオーブン内で、190℃の金型加熱で
加熱したものである。A″,B″カーブは、190℃の
オーブン内で加熱したものである。金型加熱ブロックで
加熱する場合には加熱時間が大幅に短縮できる。昇温中
のA部とB部の温度差が小さいことが好ましく、イミド
化に影響を与える130℃以上で50℃以内が好まし
く、更に好ましくは30℃以内がよい。加熱オーブン内
で、且つ、金型加熱ブロック上で加熱すると、A部とB
部の温度差は小さく、且つ、急速に加熱できる。
【0038】190℃の金型入れ子8を次の2種の方法
で冷却し、そのA部とB部の温度変化を図6に示す。
a,bカーブは、室温の金型冷却ブロック上での冷却で
ある。a′,b′カーブは、金網の上で室温雰囲気下で
の冷却である。金型冷却ブロック上で冷却すると冷却時
間は大幅に短縮できる。本発明の金型で成形されうる合
成樹脂は一般に射出成形やブロー成形等に使用できる熱
可塑性樹脂である。例えば、スチレン重合体又はその共
重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン等オレフィン重
合体又はその共重合体、塩化ビニール重合体又はその共
重合体、ポリアセタール、ポリアミド、ポリエステル等
の一般の熱可塑性樹脂が使用できる。
【0039】これ等の樹脂に、各種強化材、各種充填物
を配合した場合、あるいはポリマーアロイ等とした場合
は特に大きい効果が得られる。例えば、これ等の樹脂
に、ゴム、ガラス繊維、アスベスト、炭酸カルシウム、
タルク、硫酸カルシウム、発泡剤、木粉等の1種又は2
種以上を配合することができる。又、ゴミ、塗料粉等の
異物が混入しているリサイクル樹脂も本発明に良好に使
用できる。
【0040】本発明を主に射出成形で説明したが、本発
明金型はブロー成形でも同様に使用できる。
【0041】
【実施例】実施例において用いる主金型及びポリイミド
は次の通りである。主金型は、鋼材(S55C)(熱伝
導率約0.2cal/cm・sec・℃)でつくられ、
金型のキャビティ側は図3に示す入れ子で、形成されて
いる。金型キャビティは肉厚3mmで、外形寸法は17
0mm×120mm×50mm(立ち上がり部)の箱型
である。
【0042】ポリイミドは、化2に示す構造を主体とす
るポリアミド酸からなるポリイミド前駆体溶液を、加熱
イミド化した。該ポリイミドは、Tgが300℃、熱伝
導率が0.0005cal/cm・sec・℃、破断伸
度が50%であった。ポリイミド前駆体溶液を主金型の
入れ子8の金型キャビティを形成する型壁面に均一にス
プレー塗布し、図4に示す様に170℃の加熱オーブン
に設置した170℃の金型加熱ブロック9に乗せて40
分間加熱し、次いで、室温に冷却した金型冷却ブロック
10に乗せて30分間冷却することによりイミド化率約
50%の0.02mm厚のポリイミド層を形成する。更
にこの塗布、加熱、冷却を4回繰り返して合計0.1m
m厚のポリイミド層を形成し、最後に該入れ子8を29
0℃に加熱してイミド化率100%のポリイミド層を形
成する。このポリイミド層を研磨して鏡面状の良好な金
型を得る。ポリイミドと主金型の密着力、各ポリイミド
層の層間密着力ともに1kg/10mm幅以上である金
型が良好に得られた。
【0043】
【発明の効果】本発明の方法により、金型壁面に密着力
に優れた厚肉ポリイミド層を良好に、経済的に形成させ
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ポリアミド酸の硬化温度とイミド化率、層間接
着強度の関係を示す。
【図2】金型加熱ブロックと金型冷却ブロックを用いて
金型の加熱と冷却を行う図を示す。
【図3】図3は実施例に用いた金型入れ子を示す。
【図4】図3の金型入れ子を金型加熱ブロック上、ある
いは加熱冷却ブロック上で加熱、あるいは冷却している
状態を示す。
【図5】図3の金型入れ子を加熱した時の昇温カーブを
示す。
【図6】図3の金型入れ子を冷却した時の冷却カーブを
示す。
【符号の説明】
1は金型加熱ブロック 2は金型冷却ブロック 3は断熱材 4は密閉室 5はフィルター 6は塗布した金型 7はチェーンブロック 8は金型入れ子 9は金型加熱ブロック、 10は金型冷却ブロック
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 33/00 - 33/76 B29C 45/00 - 45/84

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属から成る主金型の型キャビティを形
    成する型壁面に0.05〜2mm厚のポリイミドを被覆
    した合成樹脂成形用の金型の製法に於いて、型壁面に直
    鎖型高分子量ポリイミド前駆体溶液を塗布し、次いで、
    該ポリイミド前駆体のイミド化率が30〜70%になる
    まで加熱し、冷却し、更に、所定の塗膜厚みになるまで
    塗布、加熱を2回以上繰り返し、最後に、イミド化率が
    90%以上になるまで加熱することを特徴とする合成樹
    脂成形用金型の製法。
  2. 【請求項2】 金属からなる熱容量の大きい、金型加熱
    ブロックと金型冷却ブロックを用意し、ポリイミド前駆
    体溶液を塗布した金型を金型加熱ブロックの上に乗せて
    加熱し、次いで該金型を金型冷却ブロックの上に乗せて
    冷却し、これを繰り返すことにより所定の厚みのポリイ
    ミドを形成する請求項1記載の合成樹脂成形用金型の製
    法。
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