JPH06198684A - 結晶性合成樹脂の射出成形法 - Google Patents

結晶性合成樹脂の射出成形法

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JPH06198684A
JPH06198684A JP34816892A JP34816892A JPH06198684A JP H06198684 A JPH06198684 A JP H06198684A JP 34816892 A JP34816892 A JP 34816892A JP 34816892 A JP34816892 A JP 34816892A JP H06198684 A JPH06198684 A JP H06198684A
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Japan
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mold
temperature
synthetic resin
polyimide
injection molding
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JP34816892A
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Hiroshi Kataoka
紘 片岡
Masanori Mawaridate
政則 廻立
Isao Umei
勇雄 梅井
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Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 成形品の耐摩耗性、表面硬度、寸法制度の向
上が達成できる。 【構成】 結晶性合成樹脂の射出成形において、特定の
型キャビティを形成する型壁面を特定の断熱層で被覆し
た金型を70℃に冷却して、高速射出成形する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、結晶性合成樹脂の射出
成形法に係る。
【0002】
【従来の技術】結晶性合成樹脂の射出成形では冷却され
た金型に加熱可塑化された合成樹脂が急速に冷却されな
がら射出されるため、成形品の結晶状態は成形品の層の
位置で著しく異なる。好ましい結晶状態の層構造にする
ことが要求されている。例えば、ポリオキシメチレン、
ポリアミド等では射出成形品の表層に非結晶層が形成さ
れるが、この非結晶層を殆ど無くするか、または非常に
薄くすることが要求されている。これ等の要求に対し
て、種々の成形条件を選択することによりある程度改良
できる。
【0003】これ等の要因の中でもっとも大きな影響が
あるのは金型温度であり、金型温度を高くするほど望ま
しい。しかし、金型温度を高くすると、可塑化された樹
脂を冷却固化させるに必要な冷却時間が長くなり成形能
率が下がる。金型温度を高くしても必要な冷却時間が長
くならない方法が要求されている。金型に加熱用の孔と
冷却用の孔をそれぞれ取り付けておき交互に熱媒、冷媒
を流して金型の加熱、冷却を繰り返す方法も行われてい
るが、この方法は熱の消費量も多く、冷却時間も長くな
る。
【0004】鉄製金型キャビティの金型壁表面のみを高
周波誘導加熱により急速に加熱し、型表面のみが加熱さ
れた状態で直ちに射出成形する方法が提案されている
(特公昭58−40504、同57−4748号公
報)。しかし、この方法は高周波誘導加熱装置が非常に
高価であり、一般的でない。金属から成る主金型の表面
を合成樹脂から成る薄い断熱層で被覆することにより、
成形品の型表面再現性を良くする方法については、多く
の公知文献がある。しかし、従来これ等の金型は簡易金
型として成形回数が少ない成形には使用できるものの、
数万回の成形に耐える本格金型には鋼鉄等の強靭な材質
で型キャビティを形成することがこれまでの常識であ
る。射出成形では2mm厚程度の薄肉の型キャビティを
高速で合成樹脂が射出されるため、鋼鉄等の強靭な材質
で型キャビティを形成することが数万回の成形を行う本
格金型ではこれまで必須と考えられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、これ等の射
出成形固有の問題点を改良するためなされた方法であ
る。すなわち、従来金型温度を高くすることにより解決
してきた前記の問題点を、金型温度を高くすることな
く、経済的に成形する方法である。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、加熱可塑化さ
れた結晶合成樹脂を型キャビティへ射出する射出成形法
に於て、(1)室温に於ける熱伝導率が0.05cal
/cm・sec・℃以上の金属から成る主金型の型キャ
ビティを形成する型壁面に熱伝導率が0.002cal
/cm/・sec・℃以下の断熱層が0.001〜1m
m厚に設けられた金型を用い、(2)主金型温度を70
℃以下に冷却し、(3)射出された合成樹脂が型表面に
接触してから、少なくとも0.1秒の間、型表面温度が
100℃以上の状態であることを特徴とする結晶性合成
樹脂の射出成形法である。
【0007】断熱層で被覆した金型は、1)複雑な形状
の金型キャビティを有する金型に適用できる、2)冷却
時間の増大が小さい、3)数万回の繰返し成形に耐え
る、こと等が必要である。このためには断熱層には、次
のことが要求されることを見出した。実質的に金型最表
面にあって薄層であること、また断熱物質に関しては、
熱伝導度が低いこと、耐熱性に優れること、引張強度、
伸びが大きくしかも冷熱サイクルに強いこと、表面硬度
が大きいこと、耐摩耗性に優れること、金型本体への塗
布が良好にできること、金型本体との密着性が良いこ
と、表面研磨ができること、さらに断熱層の形成時ある
いは本金型を用いた合成樹脂の成形時に、耐蝕性に優れ
ること等である。
【0008】更に、主金型の表面を薄い合成樹脂で被覆
しても、一定の条件を満たす合成樹脂から成る断熱層を
使用すれば、数万回の高速射出成形に耐えることを見い
だした。すなわち、射出成形では、金型に射出された加
熱可塑化樹脂は冷却された金型壁面に接触して接触面に
直ちに固化層を形成し、引き続き射出される樹脂は固化
層と固化層の間を進行し、流動先端(flow fro
nt) に達すると、金型壁面の方向へ向かい、金型壁面
と接して固化層となる。すなわち、射出される樹脂は金
型壁面を上から押しつけるように流れ、金型壁面を引き
ずるように流れない。従って、金型表面を選択された合
成樹脂から成る薄い断熱層で被覆すれば、該断熱層は射
出される樹脂で直接摩耗することは無く、数万回の射出
成形に耐えうることを見い出した。
【0009】本発明に用いる主金型材質は、熱伝導率が
0.05cal/cm・sec・℃以上のもので、鉄又
は鉄を50重量%以上含有する鋼材、アルミニウム又は
アルミニウムを50重量%以上含有する合金、亜鉛合
金、銅合金、例えばベリリウム銅合金等の一般に合成樹
脂の金型に使用されている金属を含有する。特に鋼材が
最も良好に使用できる。
【0010】本発明では、主金型の型キャビティを形成
する型壁面をクロムメッキ又は/及びニッケルメッキで
被覆されていることが好ましい。本発明に良好に使用で
きる断熱材としては各種の耐熱樹脂が使用できる。直鎖
型高分子量ポリイミドが本発明では良好に使用できる。
一般的にポリイミドは直鎖型と熱硬化型に分けられそれ
らのポリイミド前駆体としては各種あり、次の表1の様
に分類される。
【0011】
【表1】
【0012】射出成形では、冷却された金型へ加熱され
可塑化された合成樹脂が射出され、それが金型内で冷却
されて成形されるため、各成形毎に、金型表面では10
0℃にも及ぶ加熱と冷却が繰り返される。ポリイミドと
鉄等の金属では、熱膨張係数が1桁も異なっているの
で、100℃にも及ぶ加熱と冷却が繰り返される毎に、
金属とポリイミドとの界面に激しい応力が発生すること
になる。この応力に数万回にわたって耐え得るポリイミ
ドとして、破断強度、破断伸度共に大きく、且つ金型と
の密着力が大きいことが必要であり、強靭な直鎖型の高
分子量ポリイミドが最も好ましい。
【0013】本発明に良好に使用できる直鎖型の高分子
量ポリイミドの例を表2に示した。なお、Tgはガラス
転移温度、又、nはくりかえし単位の数を表す。
【0014】
【表2】
【0015】直鎖型ポリイミドのTgは構成成分によっ
て異り、その例を表3および表4に示した。Tgが20
0℃以上が良く、更に好ましくは230℃以上であっ
た。
【0016】
【表3】
【0017】
【表4】
【0018】射出成形は複雑な形状の成形品を一度の成
形で得られるところに経済的価値がある。この複雑な金
型表面をポリイミドで被覆し、且つ強固に密着させるに
は、ポリイミド前駆体溶液を塗布し、次いで加熱してポ
リイミドを形成させることが好ましい。直鎖型高分子量
ポリイミドは前駆体溶液を金型壁面に塗布し、次いで加
熱して形成される。更に該ポリイミドは、Tgが200
℃以上の高耐熱性樹脂であり、強度及び伸度に優れ、そ
の破断伸度は10%以上が好ましい。型壁面との密着力
は500g/10mm巾以上であることが好ましい。
【0019】直鎖型ポリイミド前駆体は、例えば芳香族
ジアミンと芳香族テトラカルボン酸二無水物を開環重付
加反応させることにより合成される。
【0020】
【化1】
【0021】これ等のポリイミド前駆体は加熱して脱水
環化反応させることによりポリイミドを形成する。本発
明に最も好ましい直鎖型ポリイミド前駆体はポリアミド
酸でありその代表例の繰り返し単位と、それをイミド化
したポリイミドの繰り返し単位を次に示す。
【0022】
【化2】
【0023】
【化3】
【0024】
【化4】
【0025】
【化5】
【0026】上記のポリイミド前駆体のポリマーは、カ
ルボキシル基等の極性基のため金型との密着性が良く、
金型表面上でポリイミドを反応形成させることにより金
型表面に密着したポリイミド薄層が得られる。上記のポ
リイミド前駆体のポリマーはN−メチルピロリドン等の
溶媒に溶かし、金型壁面に塗布される。本発明のポリイ
ミドと主金型との密着力は、室温で500g/10mm
以上が好ましく、更に好ましくは1kg/10mm巾以
上である。これは密着したポリイミドを10mm巾に切
り、接着面と直角方向に20mm/分の速度で引張った
時の剥離力である。この剥離力は測定場所、測定回数に
よりかなりバラツキが見られるが、最少値が大きいこと
が重要であり、安定して大きい剥離力であることが好ま
しい。本発明に述べる密着力は金型の主要部の密着力の
最小値である。主金型をクロムメッキ、ニッケルメッキ
した場合はより安定した剥離力をもたらし、本発明に特
に好ましい。断熱層の熱伝導率は小さい程好ましいが、
熱伝導率は0.002cal/cm・sec・℃以下の
ものが使用できる。
【0027】本発明に使用される直鎖型高分子量ポリイ
ミドの強度及び伸度は大きいことが好ましく、特に破断
伸度が大きいことが耐冷熱サイクルには好ましく、その
破断伸度は10%以上が好ましく、更に好ましくは20
%以上である。破断伸度の測定法はASTM D638
に準じて行う。本発明に使用できる断熱物質としてポリ
イミドで説明したが、これ等ポリイミドと類似の性質を
有する耐熱樹脂が基本的に使用でき、ポリイミドに限定
するものではない。
【0028】断熱層の厚みは0.001mmから1mm
の範囲で適度に選択される。好ましくは0.01mmか
ら0.5mmで有、更に好ましくは0.02mmから
0.2mmである。0.001mm未満では効果が低
く、1mmを越えると成形サイクルタイムが長くなる。
厚み(cm)/熱伝導率(cal/cm・sec・℃)
値が1〜50が本発明に良好に使用できる。
【0029】本発明に述べる結晶性合成樹脂とは、一般
に射出成形に使用される結晶性合成樹脂であるが、特に
成形品表面の非結晶層の存在が問題となっているポリオ
キシメチレン(以後POMと略称する)とポリアミドが
特に良好に使用できる。POMとして、ホモポリマー、
コポリマー、ブロックコポリマー等が挙げられる。ま
た、ポリアミドとしては、ナイロン6、ナイロン66等
が挙げられる。
【0030】本発明では、主金型温度を70℃以下に冷
却し、射出された合成樹脂が型表面に接触してから、少
なくとも0.1秒の間、型表面温度が100℃以上の状
態で成形される。主金型温度は70℃以下であり、好ま
しくは60℃以下、成形室温度以上である。一般に金型
温度は70℃以下で射出成形されており、70℃を越え
る高温にすると成形サイクルタイムが長くなり、成形効
率が低下する。また、成形室温度より低くなると金型表
面に結露が発生しやすくなる。POMやポリアミド等の
結晶性合成樹脂が70℃以下に冷却された一般の冷却金
型に射出されると、その接触表面では結晶化を超す時間
がない状態で急冷され、成形品表層部に非結晶層が形成
される。本発明法で成形することにより表層の急冷が緩
和され、成形品表面直近まで結晶層が形成される。
【0031】ここに述べる成形品表面直近まで結晶層が
形成されるとは、成形品表面の非結晶層の厚みが、従来
の冷却装置で成形された場合の厚みの1/3以下になっ
ていることを意味する。具体的な本発明の非結晶層の厚
みは合成樹脂の種類により異なり、例えばPOMでは
0.01mm以下、好ましくは0.005mm以下であ
り、ナイロン66では0.05mm以下、好ましくは
0.03mm以下である。ここで述べる非結晶層とは、
成形品断面を偏光顕微鏡で見て球晶が実質的に殆どない
層を意味する。
【0032】主金型表面を断熱層で被覆し、その表面に
射出された加熱樹脂が接触すると、型表面は樹脂の熱を
受けて昇温する。断熱層の熱伝導率が小さいほど、ま
た、断熱層が厚いほど、型表面温度は高くなる。本発明
では、射出された合成樹脂が型表面に接触してから、少
なくとも0.1秒の間、型表面温度が100℃以上の状
態であることが必要である。型表面に断熱層が無い場合
には、0.1秒後には型表面温度は殆ど主金型温度と同
一温度となるが、型表面を断熱層で被覆することで、1
00℃以上にすることが出来る。
【0033】本発明では、少なくとも0.1秒の間、型
表面温度が100℃以上状態であり、好ましくは0.2
秒以上の間、更に好ましくは0.3秒の間、型表面温度
が1000C以上の状態である。本発明の成形法では、
断熱層により少なくとも0.1秒の間、型表面温度が1
00℃以上であり、その後徐々に型表面温度は低下して
ゆく。
【0034】射出成形時の型表面温度の変化は、合成樹
脂、主金型、断熱層の温度、比熱、熱伝導率、密度、結
晶化潜熱等から計算できる。図1〜図6は、主金型温度
を50℃にした金型キャビティへPOMを射出した時の
金型壁表面付近の温度分布変化を示す。この図は、AD
INA及びADINAT(MITで開発されたソフトウ
ェア)を用い、非線形有限要素法による非定常熱伝導解
析により計算した値である。この計算には、合成樹脂が
金型内を流動するときに発生する剪断発熱については計
算の中に入れていない。従って現実の金型壁表面温度
は、図1〜図6に示す計算値より若干高くなっていると
推定されるが、本発明に於いては剪断発熱を入れない計
算値で、型表面温度を表すものとする。
【0035】本発明を図を用いて説明する。図1〜図6
は金型壁表面付近の射出成形時の温度分布の変化を示
す。図中の各曲線の数値は加熱樹脂が冷却された金型壁
に接触してからの時間(秒)を示している。図1に示す
ように、一般の金型では樹脂が金型壁に接触して0.0
2秒後には型表面温度は金型温度とほぼ同等になってい
る。
【0036】図2は主金型(S55C)表面に0.05
mmのポリイミド(熱伝導率が0.0005cal/c
m・sec・℃のもの)を被覆した場合の、金型壁表面
付近の温度分布を示す。同様に図3は0.075mmの
ポリイミドを被覆した場合、図4は0.1mmのポリイ
ミドを被覆した場合である。図2〜図4はPOMの温度
が220℃の場合であり、図5〜図6はPOMの温度が
240℃の場合である。
【0037】加熱樹脂は型壁面に接触して、急速に冷却
され、金型表面は加熱樹脂から熱を受けて昇温する。金
型表面を断熱層(ポリイミド)で被覆すると、樹脂と接
触する断熱層表面の温度上昇は大きくなり、温度低下速
度も小さくなる。本発明に述べる、射出された合成樹脂
が型表面に接触してから少なくとも0.1秒の間、型表
面温度が100℃以上の状態にすることは図に示すよう
に断熱層を被覆することにより可能である。
【0038】
【実施例】次の物質及び方法を用いて実験を行った。 (1)射出成形した合成樹脂 1)POM:旭化成工業(株)製「テナック501
0」、2)ナイロン66:旭化成工業(株)製「レオナ
1300S」 (2)主金型材料 1)鋼材:S55C、熱伝導率は0.12cal/cm
・sec・℃ (3)型表面被覆材 1)クロムメッキ:硬質クロムメッキ、0.02mm
厚、2)ポリイミド ポリイミド(A):直鎖型ポリイミド前駆体、ポリイミ
ドワニス「トレニース#3000」(東レ 商品名)。
硬化後のポリイミドのTgは3000C、熱伝導率0.
0005cal/cm・sec・℃。破断伸度60% ポリイミド(B):直鎖型ポリイミド前駆体、ポリイミ
ドワニス「Larc- TPI」(三井東圧 商品名)。硬化
後のポリイミドのTgは256℃。熱伝導率0.000
5cal/cm・sec・℃。破断伸度25%。
【0039】ポリイミド(C):直鎖型ポリイミド前駆
体、ポリアミドイミド「AI−10」(アモコジャパン
リミテッド製品)溶液。硬化後のポリイミドのTgは2
30℃。熱伝導率0.0005cal/cm・sec・
℃。破断伸度40%。 (4)主金型表面のポリイミド被覆法 ポリイミド前駆体溶液を用い、硬質クロムメッキを行っ
た主金型表面にポリイミド被覆層を次の方法により形成
した。金型表面を、十分に脱脂し、次いで、ポリイミド
(A)を塗布し、120℃→210℃→290℃の順に
加熱し、この塗布、加熱を繰返してポリイミド層を形成
する。次いで、バフにダイヤモンドペーストをつけて電
動グラインダーで研磨を行い、所定厚の鏡面状直鎖型ポ
リイミド被覆層を形成する。被覆層を10mm巾に切
り、20mm/分の速度で被覆面と直角方向に引張り、
密着力を測定する。密着力は2.0〜2.2kg/10
mm巾である。他のポリイミドもこれと同様にして形成
した。
【0040】
【実施例1】100mm×100mm×2mm厚の平板
状型キャビティを有する鋼材金型の型キャビティ壁表面
にクロムメッキをした金型とポリイミド(A)で0.0
75mm厚に鏡面状に被覆した金型を用い、50℃にし
た該型キャビティにPOMを樹脂温度220℃で射出成
形した。
【0041】射出成形品の断面の結晶構造を示す偏光顕
微鏡写真を図7と図8に示した。図7はクロムメッキの
金型へ射出した場合であり、成形品表面に非結晶層が存
在する。図8はポリイミド(A)を被覆した金型へ射出
する本発明法で成形した場合であり、成形品表面直近ま
で結晶層が存在する優れた成形品であった。ポリイミド
(A)を被覆した金型の金型壁表面付近の温度分布変化
の計算値が図3に示す値であり、POMが型表面に接触
してから、約0.3秒の間、型表面温度が100℃以上
に保たれており、この間に成形品表面直近まで結晶が成
長し、良好な成形品となった。
【0042】
【実施例2】100mm×100mm×2mm厚の平板
状型キャビティを有する鋼材金型の型キャビティ壁表面
にクロムメッキをした金型とポリイミド(A)で0.1
mm厚に鏡面状に被覆した金型を用い、60℃にした該
型キャビティにナイロン66を樹脂温度240℃で射出
成形した。射出成形品の断面の結晶構造を示す偏光顕微
鏡写真を図9と図10に示した。図9はクロムメッキの
金型へ射出した場合であり、成形品表面に非結晶層が存
在する。図10はポリイミド(A)を被覆した金型へ射
出する本発明法で成形した場合であり、成形品表面直近
まで結晶層が存在する優れた成形品であった。
【0043】
【実施例3】ポリイミド(B)及びポリイミド(C)を
用いて、実施例1及び実施例2と同様に実験を行い、実
施例1及び実施例2と同様の結果を得た。
【0044】
【発明の効果】本発明により、成形品表面直近まで結晶
層が存在する射出成形品が得られ、それにより、成形品
の耐摩耗性の向上、表面硬度の向上、寸法精度の向上等
が達成出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は主金型温度を50℃にした金型キャビテ
ィへPOMを射出した時の金型壁表面付近の温度分布変
化を示す図である。
【図2】図2は主金型温度を50℃にした金型キャビテ
ィへPOMを射出した時の金型壁表面付近の温度分布変
化を示す図である。
【図3】図3は主金型温度を50℃にした金型キャビテ
ィへPOMを射出した時の金型壁表面付近の温度分布変
化を示す図である。
【図4】図4は主金型温度を50℃にした金型キャビテ
ィへPOMを射出した時の金型壁表面付近の温度分布変
化を示す図である。
【図5】図5は主金型温度を50℃にした金型キャビテ
ィへPOMを射出した時の金型壁表面付近の温度分布変
化を示す図である。
【図6】図6は主金型温度を50℃にした金型キャビテ
ィへPOMを射出した時の金型壁表面付近の温度分布変
化を示す図である。
【図7】図7はPOMの射出成形品断面の結晶構造を示
す偏光顕微鏡写真である。
【図8】図8はPOMの射出成形品断面の結晶構造を示
す偏光顕微鏡写真である。
【図9】図9はナイロン66の射出成形品断面の結晶構
造を示す偏光顕微鏡写真である。
【図10】図10はナイロン66の射出成形品断面の結
晶構造を示す偏光顕微鏡写真である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29K 77:00

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加熱可塑化された結晶性合成樹脂を型キ
    ャビティへ射出する射出成形法に於て、(1)室温に於
    ける熱伝導率が0.05cal/cm・sec・℃以上
    の金属から成る主金型の型キャビティを形成する型壁面
    に、熱伝導率が0.002cal/cm・sec・℃以
    下の断熱層が0.001〜1mm厚に設けられた金型を
    用い、(2)主金型温度を70℃以下に冷却し、(3)
    射出された合成樹脂が型表面に接触してから、少なくと
    も0.1秒の間、型表面温度が100℃以上の状態であ
    ることを特徴とする結晶性合成樹脂の射出成形法。
  2. 【請求項2】 結晶性合成樹脂がポリオキシメチレンあ
    るいはポリアミドである請求項1の成形法。
JP34816892A 1992-12-28 1992-12-28 結晶性合成樹脂の射出成形法 Withdrawn JPH06198684A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1998046410A1 (en) * 1997-04-16 1998-10-22 Husky Injection Molding Systems Ltd. Partial crystallization method and apparatus of amorphous plastic articles

Cited By (1)

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WO1998046410A1 (en) * 1997-04-16 1998-10-22 Husky Injection Molding Systems Ltd. Partial crystallization method and apparatus of amorphous plastic articles

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