JP2003003545A - 防水パン及びその製造方法 - Google Patents

防水パン及びその製造方法

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JP2003003545A JP2001187874A JP2001187874A JP2003003545A JP 2003003545 A JP2003003545 A JP 2003003545A JP 2001187874 A JP2001187874 A JP 2001187874A JP 2001187874 A JP2001187874 A JP 2001187874A JP 2003003545 A JP2003003545 A JP 2003003545A
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JP2001187874A
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Kenji Nakatani
健司 中谷
Masanori Abe
正典 阿部
Eiji Yoshida
英次 吉田
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Teijin Metton KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、軽量であり、その上衝撃に
対して充分な強度を有し、さらに剛性の大きな防水パン
を提供することにある。 【解決手段】 環状オレフィン架橋重合体よりなる防水
パンであって、該重合体が均一微細な気泡を多数含有す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は衝突に対し強く、耐
久性に優れ、かつ繊維強化の必要もなくリサイクルが可
能で、さらに廃棄焼却処分時焼却残渣がほとんど出ず、
有毒ガスを発生しない無公害な、一体成形された浴室用
防水パンに関するものであり、特に、軽量で、剛性が高
く、廉価であることを特徴とするものである。
【0002】
【従来の技術】従来浴槽の下に敷く防水パンの多くは繊
維強化プラスチック(FRP)を使用してシート成型法
(SMC)で成形されており、その中でも特にガラス繊
維で強化した不飽和ポリエステル樹脂を使用して成形さ
れていることが多い。このガラス繊維で強化した不飽和
ポリエステル樹脂を用いて防水パンを成形する場合、ガ
ラス繊維を含んだ大量の粉塵が発生し、作業環境が劣悪
となる問題があった。その上かかるFRPを使用した防
水パンの比重が1.8程度と高く重量も大きくなる問題点
がある。また運搬時落とした場合や施工時例えば小石が
あたった場合、その衝撃によって容易に割れ目が発生す
るという欠点があった。さらにFRPの成形物は、ガラ
ス繊維入りのため廃棄時に破砕、粉砕が困難であり、焼
却してもガラス繊維が大量に残りその処理に手間を要し
ていた。
【0003】特開平10−88636号公報には、ジシ
クロペンタジエンの如く安価に得られるメタセシス重合
性環状オレフィンを用い、メタセシス重合を利用したR
IM(反応射出成形)法によって成形される防水パンが
記載されている。しかし、浴槽の容量がより大きなもの
になると、水を張った場合の総重量の増加による圧力が
増すことになる。これを、例えば特定構造の凹凸状リブ
の数あるいは高さを増やすことで該圧力に対応させよう
とすると、防水パン自身の重量が増え、かならずしも重
量的に満足したものにならない場合が生じるという問題
がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、軽量であ
り、その上衝撃に対して充分な強度を有し、大容量の浴
槽にも充分耐え得る廉価な防水パンを提供することを目
的としている。
【0005】もちろん本発明の防水パンは浴槽を支える
浴槽パンだけではなく、ユニットバス、システムトイ
レ、洗面台やトイレを備えたシステムバスなど各種のシ
ステムにも用いる事が出来る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記本発明
の目的を解決するために鋭意研究を進めた結果、防水パ
ンの材質を均一微細な気泡を多数含有するジシクロペン
タジエン重合体とし、その気泡のサイズと個数を特定す
ることで、高価な樹脂原料の使用量を削減すると同時に
高い剛性を付与するという一石二鳥の効果を見出し、本
発明に到達した。
【0007】すなわち、本発明によれば、次の防水パン
が提供される。
【0008】多数の気泡を含有する防水パンであって、
該防水パンは、(1)メタセシス重合触媒系の触媒成分
を含有するメタセシス重合性環状オレフィンからなるモ
ノマー液A(溶液A)とメタセシス重合触媒系の活性化
剤成分を含有するメタセシス重合性環状オレフィンから
なるモノマー液B(溶液B)とを混合し、その原料混合
液を金型内に注入しその金型内において重合および架橋
反応せしめることによって得られた架橋重合体成形物で
あり、(2)平均直径100μm以下の大きさの独立し
た微細な気泡を1cm3当り4×106個以上含有し、か
つ(3)気泡の占める全体積が架橋重合体成形物の体積
の50%以下であることを特徴とする防水パン。
【0009】また本発明によれば、次の防水パンの製造
方法が提供される。
【0010】多数の気泡を含有する防水パンであって、
該防水パンは、(1)メタセシス重合触媒系の触媒成分
を含有するメタセシス重合性環状オレフィンからなるモ
ノマー液A(溶液A)とメタセシス重合触媒系の活性化
剤成分を含有するメタセシス重合性環状オレフィンから
なるモノマー液B(溶液B)とを混合し、その原料混合
液を金型内に注入しその金型内において重合および架橋
反応せしめることによって得られた架橋重合体成形物で
あり、(2)平均直径100μm以下の大きさの独立し
た微細な気泡を1cm3当り4×106個以上含有し、か
つ(3)気泡の占める全体積が架橋重合体成形物の体積
の50%以下であることを特徴とする防水パンを製造す
る方法であって、少なくとも一方に重合および架橋反応
性に影響を及ぼさないガスを加圧により溶解した溶液A
及び溶液Bを混合し、その原料混合液を金型内に注入し
その金型内において発泡せしめて防水パンを成形するこ
とを特徴とする防水パンの製造方法。
【0011】
【発明の実施の形態】以下本発明についてさらに具体的
に説明する。
【0012】本発明の防水パンを構成する発泡架橋重合
体を形成するためのメタセシス重合性環状オレフィンと
しては、メタセシス重合性シクロアルケン基を分子中に
1〜2個含有するものが使用される。好ましくはノルボ
ルネン骨格を分子中に少なくとも1つ有する化合物であ
る。これらの具体例としては、ジシクロペンタジエン、
トリシクロペンタジエン、シクロペンタジエン−メチル
シクロペンタジエン共二量体、5−エチリデンノルボル
ネン、ノルボルネン、ノルボルナジエン、5−シクロヘ
キセニルノルボルネン、1,4,5,8−ジメタノ−
1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナ
フタレン、1,4−メタノ−1,4,4a,5,6,
7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−エチリデ
ン−1,4,5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,
6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−エチ
リデン−1,4−メタノ−1,4,4a,5,6,7,
8,8a,−オクタヒドロナフタレン、1,4,5,8
−ジメタノ−1,4,4a,5,8,8a−ヘキサヒド
ロナフタレン、エチレンビス(5−ノルボルネン)など
を挙げることができ、これらの混合物も使用することが
できる。特にジシクロペンタジエンまたはそれを50モ
ル%以上、好ましくは70モル%以上含む混合物が好適
に用いられる。
【0013】また、必要に応じて、酸素、窒素などの異
種元素を含有する極性基を有するメタセシス重合性環状
オレフィンを共重合モノマーとして用いることができ
る。かかる共重合モノマーも、ノルボルネン構造単位を
有するものが好ましく且つ極性基としてはエステル基、
エーテル基、シアノ基、N−置換イミド基、ハロゲン基
などが好ましい。かかる共重合モノマーの具体例として
は、5−メトキシカルボニルノルボルネン、5−(2−
エチルヘキシロキン)カルボニル−5−メチルノルボル
ネン、5−フェニロキシメチルノルボルネン、5−シア
ノノルボルネン、6−シアノ−1,4,5,8−ジメタ
ノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒド
ロナフタレン,N−ブチルナディック酸イミド、5−ク
ロルノルボルネンなどを挙げることができる。
【0014】本発明におけるモノマー液A(溶液A)中
には、メタセシス重合触媒系の触媒成分が含有されてい
る。かかる触媒成分としては、タングステン、レニー
ム、タンタル、モリブデンなどの金属のハライドやアン
モニュウム塩が用いられるが、特にタングステン化合物
が好ましい。かかるタングステン化合物としては、タン
グステンヘキサハライド、タングステンオキシハライド
などが好ましく、より具体的にはタングステンヘキサク
ロライド、タングステンオキシクロライドなどが好まし
い。また、有機アンモニウムタングステン酸塩なども用
いることができる。かかるタングステン化合物は、直接
モノマーに添加すると、直ちにカチオン重合を開始する
ことが分かっており好ましくない。従って、かかるタン
グステン化合物は不活性溶媒、例えばベンゼン、トルエ
ン、クロロベンゼンなどに予め懸濁し、少量のアルコー
ル系化合物および/またはフェノール系化合物を添加す
ることによって可溶化させて使用するのが好ましい。さ
らに上述した如き、好ましくない重合を予防するために
タングステン化合物1モルに対し、約1〜5モルのルイ
ス塩基またはキレート化剤を添加することが好ましい。
かかる添加剤としてはアセチルアセトン、アセト酢酸ア
ルキルエステル類、テトラヒドロフラン、ベンゾニトリ
ルなどを挙げることができる。極性モノマーを用いる場
合には、前述の如く、そのものがルイス塩基である場合
があり、上記の如き化合物を特に加えなくてもその作用
を有している場合もある。前述の如くして、触媒成分を
含むモノマー液A(溶液A)は、実質上充分な安定性を
有することになる。
【0015】一方、本発明におけるモノマー液B(溶液
B)中には、メタセシス重合触媒系の活性化剤成分が含
有されている。この活性化剤成分は、周期律表第I〜第
III族の金属のアルキル化物を中心とする有機金属化
合物、特にテトラアルキル錫、アルキルアルミニウム化
合物、アルキルアルミニウムハライド化合物が好まし
く、具体的には塩化ジエチルアルミニウム、ジ塩化エチ
ルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、ジオクチ
ルアルミニウムアイオダイド、テトラブチル錫などを挙
げることができる。これら活性化剤成分としての有機金
属化合物をモノマーに溶解することにより、モノマー液
B(溶液B)が形成される。
【0016】基本的には、後述する本発明の特徴をなす
発泡剤又は発泡用のガスを添加した前記溶液Aおよび/
または溶液Bを混合し、ついでこれらを金型内に注入
し、該金型内で重合及び架橋反応することを利用した、
いわゆる反応射出成形(RIM成形)によって、目的と
する架橋重合体の成形物を得ることができる。しかし、
上記組成のままでは、重合反応が非常に速く開始される
ので、成形金型に十分流れ込まない間に硬化が起こるこ
ともあり問題となる場合もある。このような場合には活
性調節剤を用いることが好ましい。かかる調節剤として
はルイス塩基類が一般に用いられ、なかんずく、エーテ
ル類、エステル類、ニトリル類などが用いられる。具体
例としては安息香酸エチル、ブチルエーテル、ジグライ
ムなどを挙げることができる。かかる調節剤は一般的
に、有機金属化合物の活性化剤の成分の溶液(溶液B)
の側に添加して用いられる。前述と同様にルイス塩基を
有するモノマーを使用する場合には、それに調節剤の役
目を兼ねさせることができる。
【0017】メタセシス重合触媒系の使用量は、例えば
触媒成分としてタングステン化合物を用いる場合は、上
記原料モノマーに対するタングステン化合物の比率は、
モル基準で約1,000対1〜15,000対1、好ま
しくは2,000対1の付近であり、また、活性化剤成
分はアルキルアルミニウム類を用いる場合には、上記原
料モノマーに対するアルミニウム化合物の比率は、モル
基準で約100対1〜10,000対1、好ましくは2
00対1〜1,000対1の付近が用いられる。さらに
上述した如きキレート化剤や調節剤については、実験に
よって上記触媒系の使用量に応じて、適宜調節して用い
ることができる。
【0018】本発明における架橋重合体の成形物には、
実用に当たってその特性を改良または維持するために更
にその目的に応じた各種添加剤を配合することができ
る。かかる添加剤としては、充填剤、顔料、酸化防止
剤、光安定剤、難燃剤、高分子改良剤などがある。この
ような添加剤は、本発明の架橋重合体が成形されて後は
添加することが不可能であるから添加する場合には予め
前述した原料溶液に添加しておく必要がある。
【0019】その最も容易な方法としては、前記溶液A
および溶液Bのいずれかまたは両方に前もって添加して
おく方法を挙げることができるが、その場合、その液中
の反応性の強い触媒成分、活性化剤成分と実用上差支え
ある程度には反応せず、且つ重合を阻害しないものでな
くてはならない。どうしても、その反応が避け得ないも
のが共存しても、重合を実質的に阻害しないものあるい
は短時間には阻害しないものの場合は、モノマーと混合
して、第三液を調製し、重合直前に混合使用することも
できる。また、重合触媒または活性化剤を第三液とし、
これを含まない溶液Aまたは溶液Bに上記添加物を添加
する方法も考えられる。さらに、固体の充填剤の場合で
あって、両成分が混合されて、重合反応を開始する直前
あるいは重合しながら、その空隙を充分に埋め得る形状
の物については、成形金型内に充填しておくことも可能
である。また、本発明による成形物は、酸化防止剤を添
加しておくことが好ましく、そのため、フェノール系ま
たはアミノ系の酸化防止剤を予め溶液中に加えておくこ
とが望ましい。これら酸化防止剤の具体例としては、
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、N,N'−
ジフェニル−p−フェニレンジアミン、テトラキス[メ
チレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシシン
ナメート)]メタンなどが挙げられる。
【0020】また、本発明における成形物は、添加剤と
して他の重合体をモノマー溶液状態の時に添加しておい
て得てもよい。かかる添加剤としてはエラストマーが、
成形物の耐衝撃性を高めることおよび溶液の粘度を調節
する上で効果がある。かかる目的に用いられるエラスト
マーとしては、スチレン−ブタジエン−スチレントリブ
ロックゴム、スチレン−イソプレン−スチレントリブロ
ックゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブチルゴ
ム、エチレンプロピレン−ジエンターポリマー、ニトリ
ルゴムなど広範なエラストマーを挙げることができる。
【0021】本発明の防水パンは、ジシクロペンタジエ
ンの架橋重合体中に比較的均一な微細な気泡を多数含有
することで、軽量化、肉厚化、高強度化、高剛性化を達
成したことを最大の特徴とするものである。該気泡のサ
イズは平均直径が100μmより小さい必要がある。1
00μmより大きいと脆くなり曲げ弾性率が低下する。
又10μmより小さい気泡を均一に多量に作成すること
は一般に困難であり、また効果が小さい。単位体積当た
りの個数は4×106個/cm3、以上が必要である。こ
れより少ないと弾性率向上の効果が小さい。気泡が多す
ぎると、気泡同士が合体し空洞が大きくなり極めて強度
の点で不都合である。本発明の防水パン中の気泡は主と
して独立した気泡であり、衝撃に対して十分な強度を有
するために互いに連通し連続気泡を実質的に形成してい
ないことが好ましい。気泡の個数の上限はセル径に依存
し、防水パンとして用いる架橋重合体成形物の全体にお
ける気泡の占める割合が、体積で50%以下を占有する
ような個数が好ましい。従って、気泡がすべて独立気泡
と仮定すると自ずと決定されるが、おおよそ1×1010
個/cm3、程度が上限の目安となる。
【0022】なお、気泡のサイズと個数、その形状は成
形物の断面を電子顕微鏡観察して測定、計測する。具体
的には、100倍〜200倍の倍率で成型物の断面の電
子顕微鏡写真を撮影し、その一定断面積中で観察される
セルを球形と仮定したセル径、セル数を測定し、それを
3次元に拡張して計算される。平均セル径は断面写真上
の測定値の平均である。又断面でのセル形状から互いに
連通していない独立気泡が大多数であることが確認され
る。
【0023】一般に、本発明の架橋重合体成形物中に多
数の気泡を有する防水パンを作製する方法としては特に
制限はなく、公知の種々の方法を用いることができる。
例えば、ガスをミキサーなどで攪拌しながら混入させ
て、機械的に発泡させる方法や、低沸点の化合物を発泡
剤として添加して物理的に発泡させる方法、或いは、2
成分の化学反応により、ガス(発泡性ガスということが
ある)を発生させて化学的に発泡させる方法などが挙げ
られる。しかし、これらの方法では微細な気泡を精度よ
く、再現よく作製することは困難である。又独立した気
泡セルを形成することが困難で各セル間が連通し、樹脂
表面に開口するセルが多数発生し機械的強度を維持する
ことが難しく、強度低下を生じ易い問題点がある。そこ
で本発明では、かかる問題点を解決すべく鋭意検討し、
高圧力でモノマー液(液Aと液Bの片方又は両方)にガ
スを溶解させて、金型内に注入後に金型内で該ガスを発
泡させる方法が好ましく適応されることを見出し、本発
明の防水パンを提供するに至った。
【0024】本発明の多数の気泡を含有する防水パンの
製造方法としては、前記溶液Aおよび溶液Bの少なくと
も一方に発泡用のガスを添加し圧力を加えて溶解させ、
ついでこれら溶液Aおよび溶液Bを混合する。混合され
た原料混合液を、防水パンの金型内に注入しその金型内
において重合および架橋反応せしめる。これらの反応と
ともに溶液中に溶解したガスが発泡し、架橋重合体成形
物中に発泡形状が生じる。このように金型内で重合及び
架橋反応とともに発泡が起こり、発泡成形物が得られ
る。
【0025】以下に、本発明の防水パンの製造方法を詳
細に説明する。
【0026】前記した原料のモノマー液A及びモノマー
液Bは、発泡成形前においては、反応を生じさせないよ
うに分けて、それぞれを密閉して収容できる第1容器及
び第2容器に収容しておく。そして、これら各モノマー
液が収容された第1容器及び第2容器に、ガス供給手段
からガスを導入して、所定の圧力、温度、及び時間にお
いて、導入されたガスを第1容器及び/又は第2容器中
にあるそれぞれのモノマー液に飽和させる。この場合、
導入するガスは、二酸化炭素ガス、窒素ガス、アルゴン
ガスなどを発泡ガスとして作用出来るが、モノマーの反
応性を阻害しないガスであれば何れでもよい。チッソガ
スは不活性で重合反応を阻害することがないので、本発
明ではより好適に用いられる。
【0027】また、それぞれのモノマー液に発泡性ガス
を飽和させるには、例えば、常温下において例えば1M
Pa以上の圧力のみを加えて飽和させる場合、ガス供給
手段に加圧装置を備え、この加圧装置によりガスを第1
容器及び第2容器内に圧送すると共に、第1容器及び第
2容器内を加圧して、例えば、約5MPa以上の圧力で5
時間以上加圧することにより行う。なお、ジシクロペン
タジエンの場合は、重合反応を精度良く制御する観点か
らか、モノマー液は20〜40℃程度の温度範囲内でコ
ントロールされるのが普通である。
【0028】次いで、この圧力及び温度を保持した状態
で、これら第1容器及び第2容器に連通し前記2モノマ
ー液を混合する混合チャンバー(ミキシングヘッド)に
各モノマー液を送り、この混合チャンバーにおいて2液
を均一に混合する。各成分の輸送はポンプなどを用いて
行なわれる。そして、混合された2液は、金型に送られ
て、混合成分が化学反応を起こし重合反応が開始され
る。重合反応により温度が上昇し、圧力も変化する。か
かる圧力及び/又は温度が急激に変化することでガスの
溶解度が減少し樹脂中に気泡が析出する。又溶液が重合
固化することでもガスの溶解度も変化し樹脂中に気泡が
析出する。
【0029】すなわち、金型内では、混合成分の反応に
よる圧力温度変化により、予め2液中、又は、片方のモ
ノマー液中で飽和しているガスの混合成分に対する溶解
度が低下して、それを契機として、実質的に均一且つ微
小なセル径をもつ発泡成形体を製造できるのである。か
かる溶解度変化を調節して望ましい気泡状態を得る為に
は外部から圧力、温度の何れを変化させてもよいが、高
圧によりガスを飽和させている場合は、圧力温度制御手
段として圧力調整弁を備えて、この圧力調整弁を開いて
金型内の圧力を急激に低下させるように制御するのが好
ましい。
【0030】この圧力変化は、セル径100m以下とす
るには、例えば、上記のように約5MPa以上の圧力で飽
和させている場合には、反応時の硬化圧力として4MPa以
下とするのが好ましい。また、前記圧力温度制御手段を
用いて、金型内の圧力及び/又は温度を適宜制御するこ
とにより、発泡成形物中のセル径やセル数を調節でき、
所望のセル径やセル数をもつ発泡成形物を得ることがで
きる。なお、モノマー液中のガス濃度を制御する事で
も、発泡成形物中のセル径やセル数を調節できる。
【0031】
【発明の効果】本発明の重合体は上記方法で作製された
多数の気泡を含有することにより、軽量化を達成し、同
じサイズ、厚さの成形品では高価な樹脂の使用量を節約
できる。気泡を含有しないジシクロペンタジエン重合体
の比重は約1.05であるが、本発明では、比重が0.
8〜0.6程度となり、強度、剛性を低下させることな
く大幅な軽量化、と製造コストの削減を達成した。ま
た、軽量化により、厚さを大きくすることができ、曲げ
剛性が大幅に向上した。
【0032】本発明の防水パンは前記したように浴槽を
支える浴槽パンだけではなく、ユニットバス、システム
トイレ、洗面台やトイレを備えたシステムバスなど各種
のシステムにも用いることが出来る。例えば、浴室を構
成する洗い場の床を支える防水パン、該防水パンの上に
乗る浴槽パン、浴槽を形成する浴槽壁、浴槽天井も本特
許の軽量で衝撃強さの強い防水パンの範疇である。なお
浴槽パンや浴槽壁、浴槽天井の様に使用時に使用者の目
に触れる部分においては浴槽パンや浴槽壁、浴槽天井の
表面は塗装して実用に供せられる点で浴槽パンより工程
が増加するが基本とする点は同じである。
【0033】塗装に関しては成形後に成形品の表面を研
磨して塗装する場合もあれば、本発明の成形装置に成形
品を取り出さずに成形後に塗料を金型に流し込んで金型
内で塗装も行う所謂インモールドコーテイング(IMC)
が有効に利用出来る。
【0034】
【実施例】以下実施例を掲げて本発明の防水パンをより
具体的に説明する。
【0035】[実施例1および比較例1] 原料液の製造(溶液Aの調整):六塩化タングステン2
8重量部を窒素気流中下で乾燥トルエン80重量部に添
加し、次いでt−ブタノール1.3重量部を1重量部に
溶解した溶液を加え1時間撹拌し、次いでノニルフェノ
ール18重量部およびトルエン14重量部よりなる溶液
を添加し5時間窒素パージ下撹拌した。さらにアセチル
アセトン14重量部を加えた。副生する塩化水素ガスを
追い出しながら窒素パージ下に一晩撹拌を継続し、重合
用触媒溶液を調製した。
【0036】次いで精製ジシクロペンタジエン(純度9
9.7重量%、以下同様)95重量部、精製エチリデン
ノルボルネン(純度99.5重量%、以下同様)5重量
部よりなるモノマー混合物に対し、エチレン含有70モ
ル%のエチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン
共重合ゴム3重量部、酸化安定剤としてエタノックス7
02の2重量部を加えた溶液に上記重合用触媒溶液をタ
ングステン含量が0.01M/Lになるように加えて触
媒成分を含有するモノマー液A(溶液)を調製した。
【0037】(溶液Bの調製):精製ジシクロペンタジ
エン83重量部、精製エチリデンノルボルネン5重量部
よりなるモノマー混合物に対し、エチレン含有70モル
%のエチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン共
重合ゴム3重量部を溶解した溶液に、トリオクチルアル
ミニウム85、ジオクチルアルミニウムアイオダイド1
5、ジグライム100のモル割合で混合調製した重合用
活性化剤混合液をアルミニウム含量が0.03M/Lに
なる割合で添加し、活性化剤成分を含有するモノマー液
B(溶液B)を調製した。
【0038】(防水パンの成型):防水パンとして長さ
1.67m、幅0.85m、深さ0.3m、厚み7mmで底面の
裏面側に縦横80mm間隔で高さ80mmのリブを設けた形状の
金型を用いて成型を行った。成型機として前記発泡反応
射出成型機を用いた。成型条件としては、原料のA,B液
の液温度を30℃、とし窒素ガスを13MPaで両モノマ
ー液に溶解させた。固定側金型温度は90℃、可動側金
型温度は60℃とし、キャビティ内圧を0.5MPaと
して反応射出成形した。
【0039】該防水パンの上に重量600Kgの水を張っ
た浴槽を設置した時の床面の歪量を実測した。その結
果、垂直最大変形量は2.6mmとなり、当該業界での
推奨値である3mm以内を満足出来た。
【0040】該防水パンの一部を切り取りその断面の顕
微鏡写真を撮影した。写真の気泡断面からセル径を、又
個数からセル密度を測定した。
【0041】一方、樹脂中に気泡を作成しない従来法で
の防水パンを比較の為に同じ構造で製造した。但しこの
場合の厚みは6mmであった。該防水パンの上に重量6
00Kgの水を張った浴槽を設置した時の床面の歪量は
最大2.7mmとなった。
【0042】実施例、比較例の防水パンの重量比と樹脂
中の気泡の大きさを表1に纏めた。
【0043】
【表1】
【0044】以上より、本発明の発泡樹脂製防水パンで
は従来と同じ構造で重量を25%低減してもその最大変化
量は同じ特性が得られることが明らかになり、樹脂使用
量の減少、コストの低下、防水パンの設置工事の簡略化
等の優れた効果が得られることが明らかになった。
【0045】[実施例2〜5、比較例2〜3]ガスの添
加条件、硬化圧を変化させた以外は前記実施例1と同じ
液温度、金型温度の成型条件で、気泡を有する厚み3m
m、縦横500mmの平板を作成した。その断面を顕微鏡
観察してセル径、セル密度、発泡成形物(発泡樹脂)の
強度の関係を調べた。強度はJIS7113に定める小型試験
片を用いて測定した。
【0046】
【表2】
【0047】*樹脂割合は、全体積に占める樹脂の割合
であり、平板の比重より求めた。
【0048】実施例2〜6は実施例1以上の引張り強
度、引張り弾性率を示し強度特性が良好であることを示
している。実施例1〜6では成形物中の気泡のセル径は
100μ以下を示し、セル密度は4E+6(4×106)以上
を、全体積に占める樹脂割合が50%以上であることを示
す。一方比較例2,3ではガスを導入した発泡樹脂では
あるが、セル径が100μより大きく、樹脂割合も50%以
下を示し強度が劣ることがわかる。
【0049】以上のように本発明の発泡樹脂からなる防
水パンは従来の樹脂成型防水パンより軽量であり、且つ
強度が強い特徴を有することが実施例で明らかになっ
た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29L 31:10 B29L 31:10 (72)発明者 吉田 英次 山口県岩国市日の出町2番1号 帝人メト ン株式会社テクニカルセンター内 Fターム(参考) 2D061 CA02 CC11 4F206 AA03 AB02 AC05 AG20 JA01 JA04 JF01 JF04 JL02 JM01 JN01 JW33 4J032 CA25 CA34 CA38 CA45 CB01 CB03 CD01 CD03 CD09 CE06

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多数の気泡を含有する防水パンであっ
    て、該防水パンは、(1)メタセシス重合触媒系の触媒
    成分を含有するメタセシス重合性環状オレフィンからな
    るモノマー液A(溶液A)とメタセシス重合触媒系の活
    性化剤成分を含有するメタセシス重合性環状オレフィン
    からなるモノマー液B(溶液B)とを混合し、その原料
    混合液を金型内に注入しその金型内において重合および
    架橋反応せしめることによって得られた架橋重合体成形
    物であり、(2)平均直径100μm以下の大きさの独
    立した微細な気泡を1cm3当り4×106個以上含有
    し、かつ(3)気泡の占める全体積が架橋重合体成形物
    の体積の50%以下であることを特徴とする防水パン。
  2. 【請求項2】 少なくとも一方に重合および架橋反応性
    に影響を及ぼさないガスを加圧により溶解した溶液A及
    び溶液Bを混合し、その原料混合液を金型内に注入しそ
    の金型内において発泡せしめて請求項1記載の防水パン
    を成形することを特徴とする防水パンの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記ガスが窒素ガスであることを特徴と
    する請求項2記載の防水パンの製造方法。
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