JP2003002943A - 芳香族環状リン酸エステル化合物の製造方法 - Google Patents

芳香族環状リン酸エステル化合物の製造方法

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JP2003002943A
JP2003002943A JP2001186270A JP2001186270A JP2003002943A JP 2003002943 A JP2003002943 A JP 2003002943A JP 2001186270 A JP2001186270 A JP 2001186270A JP 2001186270 A JP2001186270 A JP 2001186270A JP 2003002943 A JP2003002943 A JP 2003002943A
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aromatic cyclic
cyclic phosphate
phosphate compound
formula
resin
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JP2001186270A
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English (en)
Inventor
Kazuyuki Tando
和志 丹藤
Yutaka Takeya
竹谷  豊
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Teijin Ltd
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Teijin Chemicals Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 樹脂に高度な難燃性を付与することができる
高品質の芳香族環状リン酸エステル化合物を工業的に簡
便に提供する。 【解決手段】 オルソ−オルソ結合構造を分子内に含有
しているフェノール樹脂と、モノアリールリン酸ジクロ
リドとを反応させることを特徴とする環状リン酸エステ
ル構造を含有している芳香族環状リン酸エステル化合物
の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特定の構造を有す
る芳香族環状リン酸エステル化合物の製造方法に関す
る。更に詳しくは、フェノール樹脂とモノアリールリン
酸ジクロリドとを反応させたゲル化物の低減された芳香
族環状リン酸エステル化合物の製造方法に関する。得ら
れた芳香族環状リン酸エステル化合物は、難燃剤、可塑
剤、酸化防止剤、写真用色素安定剤、作業油、潤滑剤等
の添加剤として使用でき、殊に樹脂用の難燃剤として優
れた化合物である。
【0002】
【従来の技術】ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、
ポリアミド樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリエ
ステル樹脂、ABS樹脂、スチレン樹脂等の樹脂は、そ
の優れた諸特性を生かし、機械部品、電気部品、自動車
部品などの幅広い分野に利用されている。一方、これら
の樹脂は、本質的に可燃性であるため、上記用途として
使用するには一般の化学的、物理的諸特性のバランス以
外に、火炎に対する安全性、すなわち難燃性が要求され
る場合が多い。特に近年、軽薄短小の観点から、薄肉成
形品での難燃性、すなわち、高度な難燃性が必要とされ
ている。
【0003】樹脂に難燃性を付与する方法としては、難
燃剤としてハロゲン系化合物、さらに難燃助剤としてア
ンチモン化合物を樹脂に添加する方法が一般的である。
しかしながらこの方法は、成形加工時或いは燃焼時に、
多量の腐食性ガスを発生させる等の問題があり、また、
特に近年、製品廃棄時における環境影響等が懸念されて
いる。そこで、ハロゲンを全く含まない難燃剤、あるい
は、ハロゲンの含有量を低下させた難燃剤や難燃処方が
強く望まれている。
【0004】ハロゲン系難燃剤を使わずに熱可塑性樹脂
を難燃化する方法としては、水酸化アルミニウム、水酸
化マグネシウムなどの金属水和物を添加することが広く
知られている。しかし、充分な難燃性を得るためには、
上記金属水和物を多量に添加する必要があり、樹脂本来
の特性が失われるという欠点を有していた。
【0005】また、トリアリールリン酸エステルモノマ
ーや縮合リン酸エステルオリゴマー等の芳香族リン酸エ
ステルも、熱可塑性樹脂に難燃性を付与するための難燃
化剤として頻繁に用いられてきた。しかし、トリフェニ
ルホスフェートに代表されるトリアリールリン酸エステ
ルモノマーは、樹脂組成物の耐熱性を著しく低下させ、
かつ、揮発性が高い為に、押出し時や成形加工時にガス
の発生量が多く、ハンドリング性に問題があった。ま
た、縮合リン酸エステルオリゴマーは、揮発性が改善さ
れているものの、その多くが液体であることから、樹脂
との混練には液注装置が必要となり、押出し混錬時のハ
ンドリング性に問題があった。
【0006】一方、芳香族環状リン酸エステルについて
は、米国特許4749645号に写真層の映像染料安定
剤として、特開平3−77895号公報に難燃剤として
開示されている。ところが、これらは、分子内にt−ブ
チル基のような嵩高い置換基を含有するため、樹脂を高
度に難燃化するためには多量に添加する必要があり、耐
熱性等の機械物性が低下するという不都合があった。
【0007】また、フェノール樹脂の環状リン酸エステ
ル変性化合物については、特開昭51−103143号
公報にポリオレフィン樹脂用難燃剤として、特開平4−
226151号にポリカーボネート用難燃剤として開示
されている。ところが、これらは、トリアリールリン酸
エステルとフェノール樹脂とのエステル交換反応で製造
されるため、副生したフェノール類や未反応のトリアリ
ールリン酸エステルを高温、高真空下で留去する必要が
あり、工業的実用性が低かった。さらに、三官能である
トリアリールリン酸エステルによる高温でのエステル交
換反応であるため、反応物はゲル化しやすいという問題
があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
従来技術の問題点を解決し、樹脂に高度な難燃性を付与
することができる芳香族環状リン酸エステル化合物を工
業的に簡便に提供することにある。
【0009】本発明者は、かかる目的を達成せんとして
鋭意検討した結果、フェノール樹脂とモノアリールリン
酸ジクロリドとを反応させることにより、工業的に簡便
で、ゲル化物の低減された高品質の芳香族環状リン酸エ
ステル化合物が得られることを見出し、本発明に到達し
た。
【0010】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明によれ
ば、下記式(1)で示されるオルソ−オルソ結合構造を
分子内に含有しているフェノール樹脂と、下記式(2)
で示されるモノアリールリン酸ジクロリドとを反応させ
ることを特徴とする下記式(3)で示される環状リン酸
エステル構造を含有している芳香族環状リン酸エステル
化合物の製造方法が提供される。
【0011】
【化4】 (式中、R1、R2は同一又は異なっていてもよく、炭素
数1〜12の飽和または不飽和アルキル基、炭素数5〜
16の置換もしくは非置換アリール基およびハロゲン原
子から選ばれる基を示す。m、nは、それぞれ0〜3の
整数を表わす。)
【0012】
【化5】 (式中、Arは炭素数5〜16の置換もしくは非置換ア
リール基を示す。)
【0013】
【化6】 (式中、R1、R2、Ar、mおよびnは、前記式(1)
および(2)における定義と同じものを意味する。) 前記式(1)中のR1およびR2は同一又は異なっていて
もよく、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチ
ル、ヘキシルおよびシクロヘキシル等の炭素数1〜12
の飽和またはビニル、プロペニル等の不飽和アルキル
基、シクロペンタジエニル、フェニル、トリル、キシリ
ル、ナフチル等の炭素数5〜16の置換もしくは非置換
アリール基および塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子
から選ばれる基であり、なかでもメチル基およびハロゲ
ン原子が好ましく、特にメチル基が好ましい。
【0014】前記式(2)中のArはシクロペンタジエ
ニル、フェニル、トリル、キシリル、ナフチル等の炭素
数5〜16の置換もしくは非置換アリール基であり、な
かでもフェニル、トリル、キシリルが好ましい。
【0015】前記式(1)で示されるフェノール樹脂
は、酸あるいはアルカリ存在下、フェノール類単独、あ
るいは複数の混合物とホルマリンとの重縮合反応により
製造することができる。
【0016】かかるフェノール樹脂は、分子内に前記式
(1)で示されるオルソ−オルソ結合構造を含有し、好
ましくは数平均分子量が200〜10万の範囲、特に好
ましくは300〜5万の範囲であり、1H−NMRスペ
クトルにより求めた核間メチレン結合のO/P比{オル
ソ−オルソ結合/(オルソ−パラ結合+パラ−パラ結
合)の比率}が0.6以上であることが、このフェノー
ル樹脂を使用して得られた芳香族環状リン酸エステル化
合物の熱安定性や取扱い性の観点から望ましい。
【0017】前記フェノール樹脂として、例えば、フェ
ノールノボラック樹脂、p−クレゾールノボラック樹脂
などが挙げられる。また、製造時に、メラミンやベンゾ
グアナミン等のトリアジン化合物とともに重縮合された
トリアジン変性フェノール樹脂や、レゾルシンとともに
重縮合されたレゾルシン変性フェノール樹脂などが挙げ
られる。
【0018】前記フェノール樹脂の数平均分子量が20
0以上であると、生成した芳香族環状リン酸エステル化
合物の熱安定性が良好で、数平均分子量が10万以下で
あると、芳香族環状リン酸エステル化合物製造途中でゲ
ル化し難くなる等、取扱い性に優れる。また、O/P比
が0.6以上の場合、環状リン酸エステル構造の割合が
高くなり、また、芳香族環状リン酸エステル化合物製造
途中でゲル化し難い等、取扱い性に優れ好ましい。
【0019】前記式(2)で示されるモノアリールリン
酸ジクロリドは、種々のフェノールとオキシ塩化リンと
を、必要ならば有機溶媒で希釈して、通常は0℃から1
50℃の温度条件下、30分間から10時間反応させて
得ることができる。この時、塩化マグネシウム、塩化カ
リウム、酸化マグネシウム等の金属触媒を少量添加する
と、副生成物及び反応時間を低減できるため好ましい。
【0020】上記種々のフェノールとして、フェノー
ル、2−メチルフェノール、3−メチルフェノール、4
−メチルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、
2,6−ジメチルフェノール等が挙げられ、これらのフ
ェノール類が好ましく使用される。
【0021】モノアリールリン酸ジクロリドをフェノー
ル樹脂と反応させる際、モノアリールリン酸ジクロリド
は、そのまま用いてもよいが、蒸留精製してから用いた
方が収率が高く好ましい。
【0022】前記式(1)で示されるオルソ−オルソ結
合構造を分子内に含有しているフェノール樹脂と、前記
式(2)で示されるモノアリールリン酸ジクロリドとの
反応は、必要ならば有機溶媒で希釈して、アルカリ存在
下で、通常は0℃から150℃の温度条件下、30分間
から30時間反応させて得ることができる。
【0023】モノアリールリン酸ジクロリドの使用量
は、フェノール樹脂の水酸基当量と、モノアリールリン
酸ジクロリドの塩素基当量の比(Cl/OH)が、好ま
しくは0.3〜1.1の範囲、特に好ましくは0.5〜
1の範囲になるように両者を反応させることが望まし
い。Cl/OHが1.1以下であると、未反応のP−C
l基が残存し難く、また、生成物中に酸性のP−OH基
が残存し難くなり、樹脂に配合した場合、樹脂の機械的
特性等の諸物性が良好となり好ましく、また、Cl/O
Hが0.3以上であると、樹脂に高度な難燃性を付与す
ることができ好ましい。
【0024】前記芳香族環状リン酸エステル化合物を合
成する際に必要により用いられる有機溶媒としては、ベ
ンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クロロ
ベンゼン、ジクロロベンゼン、ジオキサン、テトラヒド
ロフラン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホ
ルム等反応に不活性なものが挙げられる。また、合成時
に使用されるアルカリとしては、本反応を円滑に進行さ
せ、また本反応で発生する塩化水素を中和する機能を有
しているものであり、例えば、水酸化ナトリウム、炭酸
ナトリウム、水素化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸
カリウムなどの無機物、ピリジン、トリエチルアミンな
どの有機物が挙げられる。これらは、上記有機溶媒への
溶解性を勘案して用いられる。
【0025】本発明の製造方法により生成した前記式
(3)で示される環状リン酸エステル構造を含有してい
る芳香族環状リン酸エステル化合物は、数平均分子量が
400〜100万であることが好ましい。また、13C−
NMRスペクトルにより求めた全核間メチレン結合に対
する環上メチレン結合(前記式(3)で示される環状リ
ン酸エステル構造に関与しているメチレン結合)の割合
が、0.1〜0.7であることが特に好ましい。全核間
メチレン結合に対する環上メチレン結合の割合が0.1
以上であると、前記式(3)で示される環状リン酸エス
テル構造を十分に含有し、熱安定性に優れる。全核間メ
チレン結合に対する環上メチレン結合の割合が0.7以
下であると、用いたフェノール樹脂の数平均分子量が十
分に大きいことを意味し、熱安定性が良好であり好まし
い。
【0026】また、本発明の製造方法により生成した前
記式(3)で示される環状リン酸エステル構造を含有し
ている芳香族環状リン酸エステル化合物は、その水酸基
当量が150以上であることが好ましく、250以上で
あることがより好ましい。また水酸基当量は10万以下
で十分である。水酸基当量が150以上であると、前記
式(3)で示される環状リン酸エステル構造の割合が十
分に高く、難燃性能に優れ好ましい。
【0027】本発明の製造方法により得られた前記式
(3)で示される環状リン酸エステル構造を含有してい
る芳香族環状リン酸エステル化合物は、ゲル化物が低減
されており、20℃において、該芳香族環状リン酸エス
テル化合物とメチルエチルケトンとを1:1の重量比の
割合で混合し溶解させた時に、ゲル化物の重量が、該芳
香族環状リン酸エステル化合物100重量部当り、20
重量部以下であることが好ましく、10重量部以下であ
ることがより好ましく、5重量部以下であることがさら
に好ましい。また、実質的にゲル化物を含まないことが
特に好ましい。ゲル化物の重量は、溶液を20μmのフ
ィルターで自然ろ過して、フィルター上に残留するゲル
化物を計量する方法が用いられる。ゲル化物の重量が、
芳香族環状リン酸エステル化合物100重量部当り、2
0重量部以下であると、樹脂に加えた時の分散性が高
く、難燃性能に優れるため好ましい。
【0028】本発明の芳香族環状リン酸エステル化合物
は、上記反応終了後の反応混合物から、一般的な分離手
段により得られる。例えば、反応混合物から大部分の溶
媒、触媒、塩等を除いた後、洗浄、あるいは、さらに再
沈殿を行うことにより得ることができる。
【0029】本発明の製造方法により得られた芳香族環
状リン酸エステル化合物は、例えば、難燃剤、可塑剤、
酸化防止剤、写真用色素安定剤、可塑剤、作業油、潤滑
剤等の添加剤として用いることができる。
【0030】また、本発明の製造方法により得られた芳
香族環状リン酸エステル化合物は、殊に、樹脂に高い難
燃性を付与することができるため、難燃剤として好まし
く使用することができる。
【0031】前記芳香族環状リン酸エステル化合物の樹
脂に対する配合量は、使用する樹脂の種類によって異な
るが、通常、樹脂100重量部に対して、0.5〜10
0重量部の範囲であり、配合量が0.5重量部以上の場
合、樹脂に対する難燃化効果が十分であり、100重量
部以下の場合、該樹脂の物性に悪影響を及ぼすことが少
なく、コスト的に有利となり好ましい。好ましい配合量
は、1〜80重量部、更に好ましくは、2〜50重量部
である。該芳香族環状リン酸エステル化合物は、1種類
または2種類以上を混合して使用することができる。
【0032】前記芳香族環状リン酸エステル化合物によ
って難燃化される樹脂には特に限定はなく、例えば、ポ
リカーボネート系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹
脂、ポリイミド樹脂、スチレン系樹脂、芳香族ポリエス
テル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリオレフィン樹脂、
ジエン系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンエーテ
ル樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイ
ド樹脂、ポリアルキルメタアクリレート樹脂、熱可塑性
ポリウレタンエラストマー、熱可塑性ポリエステルエラ
ストマー等が挙げられ、特にポリカーボネート樹脂が好
ましい。
【0033】また、前記芳香族環状リン酸エステル化合
物は、望ましい特性に従って種々の物理的形態で使用し
てもよい。例えば、樹脂中により十分に分散されるよう
に粉砕して使用してもよい。
【0034】前記芳香族環状リン酸エステル化合物を、
樹脂へ配合する場合は、該樹脂は溶液状態、溶融状態、
粉粒体、ペレット等いずれの形態においても行うことが
できる。
【0035】かかる芳香族環状リン酸エステル化合物を
配合した樹脂は、射出成形、押出成形、ブロ−成形、圧
縮成形、トランスファー成形等通常用いられるいずれの
成形法でも適用することができる。
【0036】得られる樹脂成形物は、高い難燃性を有し
ており、OA機器、家電製品等に適している。
【0037】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、
本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではな
い。なお、各種測定は以下の方法で行った。
【0038】1)フェノール樹脂の核間メチレン結合の
O/P比1 H−NMRスペクトル法により求めた各メチレン基結
合量を、次式に代入し算出した。 O/P比={オルソ−オルソ結合量/(オルソ−パラ結
合量+パラ−パラ結合量)} なお、オルソ−オルソ結合量は、ピリジン−d5溶媒
で、テトラメチルシランを0ppmとした時、4.3〜
4.6ppmに現われたメチレン結合由来のピークの積
分値を用いた。同様に、オルソ−パラ結合量は3.9〜
4.3ppm、パラ−パラ結合量は3.5〜3.9pp
mに現われたメチレン結合由来のピークの積分値を用い
た。
【0039】2)フェノール樹脂及び芳香族環状リン酸
エステル化合物の水酸基当量 試料に、過剰量の無水酢酸−ピリジン混合液を加えて水
酸基をアセチル化し、残りの酢酸を5Nの水酸化ナトリ
ウム水溶液で滴定した。水酸基当量は以下の式から計算
して求めた。 水酸基当量(g/eq)=200W/{f(B−S)} W:試料の重量(g) f:5N水酸化ナトリウム水溶液のファクター B:ブランクの滴定量(mL) S:試料の滴定量(mL)
【0040】3)全核間メチレン結合に対する環上メチ
レン結合の割合13 C−NMRスペクトル法により求めた核間メチレン結
合量を、次式に代入し算出した。 {環上メチレン結合量/全核間メチレン結合量}なお、
環上メチレン結合量は、テトラメチルシランを0ppm
とした時、33.0〜34.0ppmに現われたメチレ
ン結合由来のピークの積分値を用いた。同様に、全核間
メチレン結合量は30〜42ppmに現われたメチレン
結合由来のピークの積分値を用いた。
【0041】4)フェノール樹脂及び芳香族環状リン酸
エステル化合物の数平均分子量 サイズ排除クロマトグラフィーで測定して得られた分子
量分布の溶出時間を、標準ポリスチレンで作成した更正
曲線に当てはめ、分子量換算して求めた。
【0042】[実施例1]撹拌装置、還流冷却管、滴下
漏斗、オイルバスを備えた10リットル三つ口フラスコ
に、オキシ塩化リン5758g(37.6mol)、無
水塩化マグネシウム15.35g(0.161mol)
を仕込み、窒素気流下でオイルバスを約110℃に加熱
し、オキシ塩化リンを還流する状態とした後、滴下漏斗
よりフェノール1024g(10.9mol)をクロロ
ベンゼン1700mlに溶解した溶液を約1時間かけて
注入し、その後30分更に反応させた。発生する塩化水
素は、還流冷却管を通して反応系外の水酸化ナトリウム
水溶液に吸収させた。反応後溶媒と過剰のオキシ塩化リ
ンを留去し、続いて、フェニルジクロロホスフェートを
蒸留した。収量2070g(収率90%)。31P−NM
R(重クロロホルム溶媒)測定を行い、3.4ppmの
単一ピークを確認した。
【0043】次に、撹拌装置、還流冷却管、滴下漏斗、
オイルバスを備えた10リットルの三つ口フラスコに、
p−クレゾールノボラック樹脂(住友デュレズ(株)製
スミライトレジンPR−53053、数平均分子量30
0、水酸基当量121、全てオルソ−オルソ結合)72
3.6g(6当量)、トリエチルアミン303.6g、
塩化メチレン3Lを加え、窒素雰囲気下、40℃で攪拌
した。この溶液に、上記反応で得たフェニルジクロロホ
スフェート(塩素基当量105)316.5g(3当
量)を滴下ロートから約2時間かけて注入し、その後加
熱して約2時間還流させた。反応終了後、大部分の溶媒
と塩を除去し、希釈HCl、水、飽和NaHCO3の順
に洗浄し、無水MgSO4で乾燥させた。MgSO4及び
溶媒を除去し、芳香族環状リン酸エステル化合物を92
3.5g得た(回収率99%)。この芳香族環状リン酸
エステル化合物10gを、20℃で10gのメチルエチ
ルケトンに溶解させたところ、すべて溶解しゲル化物は
含まれていなかった。また、芳香族環状リン酸エステル
化合物の分析結果を以下に示した。
【0044】1H−NMR(化学シフト δ ppm、
CDCl3):2.0〜2.4(マルチプレット)、
3.6〜4.5(マルチプレット)、6.6〜7.4
(マルチプレット)31 P−NMR(化学シフト δ ppm、CDC
3):−18〜−15 全核間メチレン結合に対する環上メチレン結合の割合:
0.34 水酸基当量:312 融点(目視):80〜90℃ 数平均分子量:550 次に、ビスフェノールA型のポリカーボネート樹脂(帝
人化成(株)製パンライトL−1225)95.7重量
部に対して、上記芳香族環状リン酸エステル化合物を4
重量部、ドリップ防止剤としてポリテトラフルオロエチ
レン(ダイキン工業(株)製 ポリフロンFA500)
0.3重量部添加し、タンブラーを使用して均一に混合
した後、15mmφベント付き二軸押出機((株)テク
ノベル社製 KZW−15)にて樹脂温度260℃でペ
レット化し、得られたペレットを熱風乾燥機にて95℃
で4時間乾燥した。このペレットを射出成形機((株)
日本製鋼所製J75Si)を用いてシリンダー温度25
0℃、金型温度80℃で厚さ1.6mmのテストピース
を成形した。難燃性を、米国UL規格のUL−94に規
定されている垂直燃焼試験に従って評価したところ、V
−0ランクであった。
【0045】[実施例2]実施例1において、フェノー
ルの代わりに、2,6−キシレノール1332g(1
0.9mol)を用いたこと以外は同様に行って、2,
6−キシレニルジクロロホスフェートを2319g(収
率89%)得た。続いて、撹拌装置、還流冷却管、滴下
漏斗、オイルバスを備えた10リットルの三つ口フラス
コに、実施例1で使用したp−クレゾールノボラック樹
脂727.2g(6当量)、トリエチルアミン305.
1g、塩化メチレン3Lを加え、窒素雰囲気下、40℃
で攪拌した。この溶液に、上記で得た2,6−キシレニ
ルジクロロホスフェート(塩素基当量120)358.
5g(3当量)を滴下ロートから約2時間かけて注入
し、その後加熱して約2時間還流させた。反応終了後、
大部分の溶媒と塩を除去し、希釈HCl、水、飽和Na
HCO3の順に洗浄し、無水MgSO4で乾燥させた。M
gSO4及び溶媒を除去し、芳香族環状リン酸エステル
化合物を924.1g得た(回収率95%)。この芳香
族環状リン酸エステル化合物10gを、20℃で10g
のメチルエチルケトンに溶解させたところ、すべて溶解
しゲル化物は含まれていなかった。また、芳香族環状リ
ン酸エステル化合物の分析結果を以下に示した。
【0046】1H−NMR(化学シフト δ ppm、
CDCl3):2.0〜2.4(マルチプレット)、
3.6〜4.5(マルチプレット)、6.6〜7.4
(マルチプレット)31 P−NMR(化学シフト δ ppm、CDC
3):−18〜−15 全核間メチレン結合に対する環上メチレン結合の割合:
0.33 水酸基当量:320 融点(目視):110〜120℃ 数平均分子量:600 次に、合成した芳香族環状リン酸エステル化合物を用い
て、実施例1と同様にテストピースを作成し難燃性を評
価したところ、V−0ランクであった。
【0047】[実施例3]実施例1の方法と同様に、フ
ェニルジクロロホスフェートを得、続いて、撹拌装置、
還流冷却管、滴下漏斗、オイルバスを備えた10リット
ルの三つ口フラスコに、実施例1で使用したp−クレゾ
ールノボラック樹脂606.0g(5当量)、トリエチ
ルアミン506.0g、塩化メチレン2.5Lを加え、
窒素雰囲気下、40℃で攪拌した。この溶液に、フェニ
ルジクロロホスフェート527.4g(5当量)を滴下
ロートから約2時間かけて注入し、その後加熱して約2
時間還流させた。反応終了後、大部分の溶媒と塩を除去
し、希釈HCl、水、飽和NaHCO3の順に洗浄し、
無水MgSO4で乾燥させた。MgSO4及び溶媒を除去
し、芳香族環状リン酸エステル化合物を861.9g得
た(回収率89%)。この芳香族環状リン酸エステル化
合物10gを、20℃で10gのメチルエチルケトンに
溶解させたところ、すべて溶解しゲル化物は含まれてい
なかった。また、芳香族環状リン酸エステル化合物の分
析結果を以下に示した。
【0048】1H−NMR(化学シフト δ ppm、
CDCl3):2.0〜2.4(マルチプレット)、
3.4〜4.4(マルチプレット)、6.5〜7.4
(マルチプレット)31 P−NMR(化学シフト δ ppm、CDC
3):−18〜−16 全核間メチレン結合に対する環上メチレン結合の割合:
0.55 水酸基当量:10000 融点(目視):90〜100℃ 数平均分子量:600 次に、合成した芳香族環状リン酸エステル化合物を用い
て、実施例1と同様にテストピースを作成し難燃性を評
価したところ、V−0ランクであった。
【0049】[実施例4]実施例1の方法と同様に、フ
ェニルジクロロホスフェートを得、続いて、撹拌装置、
還流冷却管、滴下漏斗、オイルバスを備えた10リット
ルの三つ口フラスコに、ハイオルソフェノールノボラッ
ク樹脂(住友デュレズ(株)製スミライトレジンR−5
4545HVD、数平均分子量600、水酸基当量10
7、O/P比0.86)704.5g(6.6当量)、
トリエチルアミン333.9g、塩化メチレン3.3L
を加え、窒素雰囲気下、40℃で攪拌した。この溶液
に、フェニルジクロロホスフェート348.1g(3.
3当量)を滴下ロートから約2時間かけて注入し、その
後加熱して約2時間還流させた。反応終了後、大部分の
溶媒と塩を除去し、希釈HCl、水、飽和NaHCO3
の順に洗浄し、無水MgSO4で乾燥させた。MgSO4
及び溶媒を除去し、芳香族環状リン酸エステル化合物を
810.0g得た(回収率87%)。この芳香族環状リ
ン酸エステル化合物10gを、20℃で10gのメチル
エチルケトンに溶解させたところ、すべて溶解しゲル化
物は含まれていなかった。また、芳香族環状リン酸エス
テル化合物の分析結果を以下に示した。
【0050】1H−NMR(化学シフト δ ppm、
Acetone−d6):3.6〜4.4(マルチプレ
ット)、6.6〜8.4(マルチプレット)31 P−NMR(化学シフト δ ppm、化学シフト
δ ppm、Acetone−d6):−18〜−16 全核間メチレン結合に対する環上メチレン結合の割合:
0.26 水酸基当量:290 融点(目視):110〜120℃ 次に、合成した芳香族環状リン酸エステル化合物を用い
て、実施例1と同様にテストピースを作成し難燃性を評
価したところ、V−0ランクであった。
【0051】
【発明の効果】本発明の芳香族環状リン酸エステル化合
物の製造方法は、簡便な方法で工業的にも有利な方法で
ある。かかる方法により得られた芳香族環状リン酸エス
テル化合物は、ゲル化物が低減され、難燃剤、結晶核
剤、可塑剤、酸化防止剤、写真用色素安定剤、可塑剤、
作業油、潤滑剤等の添加剤として使用でき、殊に、樹脂
に高度な難燃性を付与することができるため、難燃剤と
して好ましく使用することができる。この芳香族環状リ
ン酸エステル化合物を配合した樹脂成形物は、高い難燃
性を有しており、OA機器、家電製品等の用途に極めて
有用である。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(1)で示されるオルソ−オルソ
    結合構造を分子内に含有しているフェノール樹脂と、下
    記式(2)で示されるモノアリールリン酸ジクロリドと
    を反応させることを特徴とする下記式(3)で示される
    環状リン酸エステル構造を含有している芳香族環状リン
    酸エステル化合物の製造方法。 【化1】 (式中、R1、R2は同一又は異なっていてもよく、炭素
    数1〜12の飽和または不飽和アルキル基、炭素数5〜
    16の置換もしくは非置換アリール基およびハロゲン原
    子から選ばれる基を示す。m、nは、それぞれ0〜3の
    整数を表わす。) 【化2】 (式中、Arは炭素数5〜16の置換もしくは非置換ア
    リール基を示す。) 【化3】 (式中、R1、R2、Ar、mおよびnは、前記式(1)
    および(2)における定義と同じものを意味する。)
  2. 【請求項2】 前記式(1)で示される構造を有するフ
    ェノール樹脂は、数平均分子量が200〜10万で、か
    1H−NMRスペクトルにより求めた核間メチレン結
    合のO/P比{オルソ−オルソ結合/(オルソ−パラ結
    合+パラ−パラ結合)の比率}が、0.6以上である請
    求項1記載の芳香族環状リン酸エステル化合物の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 前記式(1)で示される構造を有するフ
    ェノール樹脂の水酸基当量と、前記式(2)で示される
    モノアリールリン酸ジクロリドの塩素基当量の比(Cl
    /OH)が、0.3〜1.1になるように両者を反応さ
    せる請求項1記載の芳香族環状リン酸エステル化合物の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 前記フェノール樹脂において、式(1)
    中のR1およびR2はメチル基である請求項1記載の芳香
    族環状リン酸エステル化合物の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記式(3)で示される構造を含有する
    芳香族環状リン酸エステル化合物は、13C−NMRスペ
    クトルにより求めた、全核間メチレン結合に対する環上
    メチレン結合の割合が、0.1〜0.7である請求項1
    記載の芳香族環状リン酸エステル化合物の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記式(3)で示される構造を含有する
    芳香族環状リン酸エステル化合物は、その水酸基当量
    が、150〜10万である請求項1記載の芳香族環状リ
    ン酸エステル化合物の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1記載の製造方法により得られた
    芳香族環状リン酸エステル化合物であって、該芳香族環
    状リン酸エステル化合物は、20℃において、該芳香族
    環状リン酸エステル化合物とメチルエチルケトンとを
    1:1の重量比の割合で混合し溶解させた時に、該芳香
    族環状リン酸エステル化合物100重量部当り、ゲル化
    物の重量が20重量部以下である芳香族環状リン酸エス
    テル化合物。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の芳香族環状リン酸エステ
    ル化合物よりなる樹脂用難燃剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US3409571A (en) * 1964-11-30 1968-11-05 Hooker Chemical Corp Phenol-aldehyde/phenol-ketone condensate-phosphorus containing esters

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US3409571A (en) * 1964-11-30 1968-11-05 Hooker Chemical Corp Phenol-aldehyde/phenol-ketone condensate-phosphorus containing esters

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