JP2003002782A - シリコン単結晶引上方法およびその装置 - Google Patents

シリコン単結晶引上方法およびその装置

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JP2003002782A
JP2003002782A JP2001181118A JP2001181118A JP2003002782A JP 2003002782 A JP2003002782 A JP 2003002782A JP 2001181118 A JP2001181118 A JP 2001181118A JP 2001181118 A JP2001181118 A JP 2001181118A JP 2003002782 A JP2003002782 A JP 2003002782A
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silicon single
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Masayuki Watanabe
正幸 渡辺
Yasutada Nakagawa
泰忠 中川
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Coorstek KK
Toshiba Corp
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Toshiba Corp
Toshiba Ceramics Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 CZ法によるシリコン単結晶引上げにおい
て、結晶歪みや欠陥等がない高品質のシリコン単結晶
を、大口径の単結晶であっても、容易かつ確実に高速で
引上げることができるシリコン単結晶引上方法、およ
び、この方法に好適に用いられる引上装置を提供する。 【解決手段】 カスプ磁場を印加したチョクラルスキー
法によるシリコン単結晶引上において、シリコン融液に
接触するルツボ内壁におけるルツボ底部の温度がルツボ
側部の温度以上であり、かつ、前記ルツボ底部の温度が
ルツボ中心から径方向に向かって低下する温度分布とな
るような条件下で、シリコン単結晶を引上げる。また、
前記温度分布となるように、ルツボ底部とルツボ側部と
を独立に加熱するための底部ヒータ7および側部ヒータ
4を配設し、かつ、シリコン融液L1の自由表面および
ルツボ上端部からの輻射放熱を抑制する輻射カバー6を
ルツボ上方に配設する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、チョクラルスキー
法(CZ法)によるシリコン単結晶の引上方法およびそ
の装置に関し、より詳細には、シリコン単結晶の高速引
上げを可能とする、カスプ磁場を印加したCZ法による
シリコン単結晶の引上方法およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、CZ法によるシリコン単結晶引上
装置としては、図9に示すような装置が、一般的に用い
られている。図9に示した装置は、水冷チャンバ21内
に配置された石英ルツボ22と、前記石英ルツボ22を
保持するカーボンサセプタ23と、前記カーボンサセプ
タ23の側部外周部を囲うヒータ24と、前記ヒータ2
4の放熱を防止する保温筒25とを備えている。そし
て、前記水冷チャンバ21の底部には、その底壁面を貫
通するルツボ支持軸29が配置されている。前記ルツボ
支持軸29の上端部は、カーボンサセプタ23に固定さ
れ、その下端部は、外部の駆動機構(図示しない)に連
結されている。したがって、前記ルツボ支持軸29によ
って、カーボンサセプタ23を介して、石英ルツボ22
は、回転および上下動する。
【0003】また、前記水冷チャンバ21の上部には、
その天壁面を貫通して石英ルツボ22内に垂下する引上
用ワイヤ30が配置されている。前記引上用ワイヤ30
の上端部は、外部のプルヘッド31を介して、引上制御
機構(図示しない)に連結され、その下端部には、シー
ドチャック(図示しない)を介して、シード単結晶32
が取り付けられる。このシード単結晶32は、前記引上
用ワイヤ30によって、回転および上下動する。なお、
水冷チャンバ21には、該水冷チャンバ21内での工程
を監視するための監視窓33が設けられている。
【0004】このように構成された装置を用いたシリコ
ン単結晶引上げは、まず、石英ルツボ22内に収容され
た多結晶シリコン等の原料をヒータ24で加熱溶融し、
そのシリコン融液L2内にシード単結晶32の先端部を
懸垂させて浸す。そして、シリコン融液L2に十分に馴
染ませた後、前記シード単結晶32の引上げを開始す
る。このとき、単結晶を無転位成長させるため、いわゆ
るネッキング工程において、シード単結晶32の先端部
に直径数mm程度のシードネック34を形成する。その
後続けて、シード単結晶32を引上げながら、その先端
部とシリコン融液L2との接触界面で、単結晶の径を拡
大していき、クラウン部(シードコーン部または肩部)
35を成長させ、引き続いて、直胴部36を成長させ
て、全体として棒状の単結晶インゴットを育成する。
【0005】上記のようなシリコン単結晶引上工程にお
いては、結晶成長速度、すなわち、引上速度は、生産性
の決め手となる重要な要素であり、無転位化や結晶品質
に支障がない範囲で、可能な限り速い引上速度が望まれ
る。
【0006】また、最近では、IC等の半導体デバイス
の微細化・高集積化に伴って、シリコン単結晶中の空孔
凝集2次欠陥(COP;Crystal originated particle
)の存在が、デバイス製造の歩留まりや特性に大きく
影響していることが判明した。そして、このCOPを制
御するためには、シリコン単結晶の高速引上げが有効で
あることも指摘されている(例えば、K.M.Kim, "Silico
n-pulling technology for 2000+" Solid State Techno
logy, January 2000,p.69-73)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、CZ法
によるシリコン単結晶の育成においては、その引上速度
が重要であり、特に、最近の半導体用単結晶において
は、生産性のみならず、結晶品質の点でも、高速引上げ
が要求されるようになってきている。
【0008】一般に、単結晶の引上速度は、以下に示す
結晶成長界面での熱バランスの式により見積もられる
(高須新一郎“結晶成長基礎技術”第2版、東京大学出
版会、1990 参照)。 KL ・dTL'/dx+ΔL・v・ρ=KS ・dTS'/dx …(1) ここで、KL とKS は、それぞれ原料融液と結晶の熱伝
導率、dTL'/dxとdTS'/dxは、それぞれ原料融
液と結晶の成長方向における温度勾配、ΔLは単位重量
当たりの凝固潜熱、ρは結晶の密度、vは結晶成長速度
である。
【0009】実際の引上工程における引上速度は、前記
結晶成長速度vとほぼ等しくなるように調整される。ま
た、(1)式におけるdTS'/dxは、短時間である引
上過程においては、それほど大きくは変化しない。この
ため、引上速度を速くするためには、輻射シールドの設
置等によるホットゾーン形成等により、dTS'/dxを
できるだけ大きく維持する一方、引上過程において融液
温度を低下させることにより、dTL'/dxを小さくす
る方法が採られる。そして、(1)式より、引上速度
は、dTL'/dx=0のときに最大となり、理論上の最
高引上速度vmax は、 vmax =(KS /ρΔL)×(dTS'/dx) となる。
【0010】ところで、引上速度は、結晶が大口径であ
るほど、小さくなる。これは、単位時間当たりの凝固潜
熱ΔLは、結晶の体積に比例(口径の3乗に比例)して
大きくなるため、これに伴い、体積に比例(口径の3乗
に比例)して増加する熱量を、口径の2乗に比例して増
加する結晶表面から放出するため、dTS'/dxが小さ
くなることによる。
【0011】また、前記引上速度は、原料の融液状態を
保持するための熱環境の変化、融液内での物質移動、す
なわち、融液流動による温度変化等により生じる液温の
ゆらぎ等に対応して、変化させることが必要である。し
たがって、実際の引上速度は、一般に、(1)式から求
められる理論上の最高引上速度vmax よりも小さくな
る。しかも、大口径の単結晶の引上げは、必然的に、大
口径のルツボを用いて、大容量の原料融液から引上げな
ければならないため、それだけ液温のゆらぎも大きくな
る。この液温のゆらぎは、磁場の印加によって軽減する
ことができるが、それでもなお、実際の引上速度は、
(1)式により求められる理論値vmax よりも小さい。
【0012】例えば、直径300mmのシリコン単結晶
引上げの場合、dTS'/dxは4℃/mm程度まで小さ
くなり、(1)式より、vmax =1.50mm/min
となる。しかしながら、実際の引上速度は、磁場を印加
した場合であっても、最高でも1.0mm/min程度
である。したがって、例えば、直径300mmのシリコ
ン単結晶引上げにおいて、直径200mm並の1.2〜
1.5mm/minの引上速度を実現するためには、引
上速度と融液の加熱方法、対流等を含めたシリコン融液
の流動や熱環境との相関に基づいて制御する必要があ
る。
【0013】近年、計算機シミュレーション技術が発展
し、融液の流動や温度分布の解析評価がなされるように
なってきており、本発明者らは、上記技術的課題を解決
するために、CZ法による大口径単結晶引上げにおい
て、前記解析評価と引上速度との相関について鋭意研究
を重ねてきた。その結果、原料融液に接触するルツボ内
壁の温度分布が特定の状態にある場合に、融液の流動に
乱れが少なく、液温のゆらぎを抑制することができ、実
際の引上速度を、(1)式より求められた理論上の最高
引上速度vmax と同等にすることができることを見出
し、この知見に基づいて、本発明を完成するに至った。
【0014】本発明は、CZ法によるシリコン単結晶引
上げにおいて、結晶歪みや欠陥等がない高品質のシリコ
ン単結晶を、大口径の単結晶であっても、容易かつ確実
に高速で引上げることができるシリコン単結晶引上方
法、および、この方法に好適に用いられる引上装置を提
供することを目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明に係るシリコン単
結晶引上方法は、カスプ磁場を印加したチョクラルスキ
ー法によるシリコン単結晶引上方法において、シリコン
融液に接触するルツボ内壁におけるルツボ底部の温度が
ルツボ側部の温度以上であり、かつ、前記ルツボ底部の
温度がルツボ中心から径方向に向かって低下する温度分
布となるような条件下で、シリコン単結晶を引上げるこ
とを特徴とする。これにより、直径300mm以上の大
口径の単結晶であっても、結晶歪みや欠陥等がない高品
質のシリコン単結晶を、理論上の最高速引上速度に近い
速度で、容易かつ確実に引上げることができる。
【0016】前記温度分布条件は、前記ルツボ底部とル
ツボ側部とを独立に加熱するとともに、シリコン融液の
自由表面およびルツボ上端部からの輻射放熱を抑制する
ことにより制御されることが好ましい。上記温度分布条
件となるように制御するための好適手段であり、ルツボ
外部からの加熱手段を底部と側部とに分割し、さらに、
シリコン融液の自由表面およびルツボ上端部からの輻射
放熱を遮蔽抑制することにより、容易に前記条件を満た
すことができる。
【0017】また、前記カスプ磁場の印加強度を、30
0〜800ガウスとすることが好ましい。上記範囲の磁
場強度でカスプ磁場を印加することにより、前記ルツボ
底部をルツボ側部とは独立に加熱する場合に発生しやす
い、結晶が一方向にねじれる現象を抑制することができ
る。
【0018】本発明に係るシリコン単結晶引上装置は、
カスプ磁場を印加したチョクラルスキー法によるシリコ
ン単結晶引上装置であって、シリコン融液に接触するル
ツボ内壁におけるルツボ底部の温度がルツボ側部の温度
以上であり、かつ、前記ルツボ底部の温度がルツボ中心
から径方向に向かって低下する温度分布となるように、
ルツボ底部とルツボ側部とを独立に加熱するための底部
ヒータおよび側部ヒータが配設され、かつ、シリコン融
液の自由表面およびルツボ上端部からの輻射放熱を抑制
する輻射カバーがルツボ上方に配設されていることを特
徴とする。このような底部ヒータ、側部ヒータおよび輻
射カバーを具備したシリコン単結晶引上装置を用いるこ
とにより、本発明に係る上記引上方法を有効かつ容易に
実施することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明を、図面を参照して
詳細に説明する。図1に、本発明に係るカスプ磁場を印
加したCZ法によるシリコン単結晶引上装置の一例を示
す。図1に示した装置は、水冷チャンバ1と、前記水冷
チャンバ1内に配置された石英ルツボ2と、前記石英ル
ツボ2を保持するカーボンサセプタ3と、前記カーボン
サセプタ3の側部外周部を囲う側部ヒータ4と、前記側
部ヒータ4の外側に設けられた放熱防止用の保温筒5
と、前記石英ルツボ2に収容されたシリコン融液L1の
自由表面上および石英ルツボ2上端部からの輻射放熱を
抑制するための輻射カバー6と、前記石英ルツボ2を底
部から加熱する底部ヒータ7と、前記底部ヒータ7の下
方に設けられた放熱防止用の底部保温板8とを備えてい
る。
【0020】また、前記水冷チャンバ1の底部には、そ
の底壁面を貫通するルツボ支持軸9が配置されている。
前記ルツボ支持軸9の上端部は、カーボンサセプタ3に
固定され、その下端部に連結された外部の駆動機構(図
示しない)によって、回転および上下動可能に構成され
ている。したがって、前記ルツボ支持軸9によって、カ
ーボンサセプタ3を介して、石英ルツボ2は、回転およ
び上下動する。
【0021】また、前記水冷チャンバ1の上部には、そ
の天壁面を貫通して石英ルツボ2内に垂下する引上用ワ
イヤ10が配置されている。前記引上用ワイヤ10の上
端部は、外部のプルヘッド11を介して、引上制御機構
(図示しない)に連結され、その下端部には、シードチ
ャック(図示しない)を介して、シード単結晶12が取
り付けられている。このシード単結晶12は、引上用ワ
イヤ10によって、回転および上下動する。なお、水冷
チャンバ1には、該水冷チャンバ1内での工程を監視す
るための監視窓13が設けられている。
【0022】また、水冷チャンバ1の側部には、石英ル
ツボ2の中心軸と同軸である2対のコイル17a、17
bにより構成されるカスプ型磁場印加装置17が設けら
れている。前記コイル17a、17bは同極同士が相対
し、結晶成長界面付近およびシリコン融液L1にそれぞ
れ、磁力線Nで示されるような磁場を印加する。
【0023】上記装置を用いてシリコン単結晶を引上げ
るには、まず、石英ルツボ2内に多結晶シリコン等の原
料を入れる。そして、これを側部ヒータ4および底部ヒ
ータ7とを併用して加熱溶融し、シリコン融液L1を調
製する。このシリコン融液L1内にシード単結晶12の
先端部を懸垂させて浸し、前記シード単結晶12の引上
げを開始する。そして、ネッキング工程において、シー
ド単結晶12の先端部に、直径数mm程度のシードネッ
ク14を形成し、続いて、シード単結晶12を引上げな
がら、その先端部とシリコン融液L1との接触界面で、
単結晶の径を拡大していき、クラウン部(シードコーン
部または肩部)15を形成する。その後、直胴部16を
成長させ、全体として棒状のシリコン単結晶インゴット
を育成する。
【0024】上述のとおり、本発明に係るシリコン単結
晶引上方法は、シリコン融液に接触するルツボ内壁を特
定の温度分布状態に調節し、引上過程において、その状
態を保持することを特徴とするものである。このため、
図1に示した装置においては、石英ルツボ2の側部から
加熱する従来の側部ヒータ4に加えて、該石英ルツボ2
の底部から加熱する底部ヒータ7を備えている。そし
て、両ヒータの加熱のバランスおよび石英ルツボ2の軸
方向における相対位置を調整することによって、石英ル
ツボ2の加熱状態、すなわち、石英ルツボ2の内壁にお
ける温度分布状態を容易に調節することができるように
している。
【0025】また、上記装置には、シリコン融液L1の
自由表面およびルツボ上端部を覆う輻射カバー6が設け
られている。これにより、石英ルツボ2の側壁上部にお
ける温度低下が抑制され、石英ルツボ2の側部における
温度分布の調節をより容易にすることができる。
【0026】また、底部ヒータ7の使用により、育成さ
れる単結晶が一方向にねじれる現象が生じやすくなる
が、このねじれの現象は、カスプ磁場を印加することに
より抑制することができる。これは、結晶成長界面近傍
における温度分布の非軸対称性(乱れ)が、カスプ磁場
を所定強度以上印加することにより、矯正されるためで
あると考えられる。
【0027】前記カスプ磁場の印加強度は、300〜8
00ガウスとすることが好ましく、より好ましくは、3
50〜500ガウスである。特に、ルツボ底壁およびル
ツボ側壁の磁束の稠密箇所において、500ガウス程度
になるように印加することが好ましい。
【0028】成長界面近傍における温度の時間的なゆら
ぎ、すなわち、温度変動の磁場強度依存性は、磁場強度
が200〜300ガウスまで増大させると、温度変動は
大きくなる傾向を有し、ピークを越えると、逆に、磁場
強度の増大により、温度変動は急速に沈静化する。そし
て、500ガウス付近で飽和して、温度変動は最小とな
り、それ以上の磁場をかけても、温度変動は変化しな
い。磁場強度が300ガウスまでは、浮力による融液の
自然対流および回転による強制対流とが複合して乱流が
生じているところに、磁場を印加することによって自然
対流が減少し、強制対流と拮抗するところでの流動がよ
り不安定になり、これが温度変動のピークを招来するも
のと考えられる。そして、前記温度変動のピークに当た
る磁場強度を越える300ガウス強以上で、上記した結
晶のねじれの現象は抑制される。これは、磁場強度が3
00ガウス強以上に増大すると、前記自然対流が抑制・
整理されて、対流は軸対称になる結果、温度変化が沈静
化し、結晶のねじれの発生も抑制されるものと推測され
る。なお、磁場強度によって、融液の流速は変化する
が、温度分布および流動分布は、基本的には、ルツボ内
壁の温度分布によって決まるため、磁場強度によっては
変化しない。
【0029】次に、図1に示した装置を用いて、側部ヒ
ータ4と底部ヒータ7の加熱バランスおよび石英ルツボ
2との軸方向における相対位置を変化させ、シリコン融
液L1に接触する石英ルツボ2の内壁(側部および底
部)における温度分布とシリコン融液L1の流動状態と
の相関を解析した結果を図2〜図7に示す。ここでは、
結晶成長界面温度を1420℃、カプス磁場をルツボ底
壁およびルツボ側壁の磁束の稠密箇所において500ガ
ウス程度になるように印加した。そして、結晶とルツボ
の回転数を境界条件として、MAC法により数値解析し
た。図2〜図7は、ルツボの中心軸から右半分を図示し
たルツボ内の融液の縦断面図であり、枠外にルツボ内壁
の温度を示し、枠内にシリコン融液の温度分布を領域別
に示した。また、融液の流動状態を速度ベクトルとして
矢印で示した。
【0030】図2〜図7では、いずれの場合にも、シリ
コン融液に二つの主な流れが生じている。一つは、浮力
によってルツボ側壁に沿って上昇する流れXであり、融
液表層に到達した後は、融液表面に沿って結晶成長界面
に向かって流れるものである。もう一つは、ルツボ底部
から結晶成長界面に向かって上昇する流れYであり、浮
力と回転によるコクラン流が関与しているものである。
【0031】これら二つの流れの強弱は、ルツボ内壁の
温度分布によって変化し、次の3つの各パターンに分類
される。 ルツボ側部の温度が底部の温度よりも高い場合(図
3、図7)には、流れXが優勢であり、この流れによっ
て比較的強い熱流が結晶成長界面に向かって生じるた
め、引上速度は0.6〜0.7mm/min程度に留ま
る。 一方、ルツボ側部の温度が底部の温度よりも低い場合
(図4)、または、側部と底部の温度が同程度でも、側
部と底部の境界付近の温度が高い場合(図5)はいずれ
も、流れYが優勢になり、融液表層で流れXと衝突して
結晶成長界面下に流下する。この衝突箇所の付近で、周
辺よりも温度が低くなるため、この低温領域に向かって
成長結晶が張り出しやすくなり、結晶外周が花弁状に変
形(フラッシュアウト)する傾向を生じる。これを回避
するため、引上速度は、0.4〜0.6mm/min程
度に制限される。 次に、ルツボ側部と底部の温度が、いずれの箇所にお
いても同じである場合(図2)、または、底部の温度が
側部の温度以上であり、かつ、底部の温度がルツボ中心
から径方向に向かって低下する場合(図6)には、流れ
Xは抑制され、結晶成長界面への熱流も抑制されるた
め、流れYとの衝突も起こらない。これらの場合には、
いずれも引上速度は速くなるが、図6の場合の方が、流
れXが大幅に抑制されるため、引上速度を大幅に向上さ
せることができる。図2の場合には、引上速度は1.0
mm/min程度であるが、図6の場合には、1.2m
m/min以上の高速での引上げが可能となる。
【0032】したがって、上記パターンののうち、特
に、図6に示したような熱環境を設定することにより、
結晶歪みや欠陥等がない高品質のシリコン単結晶を引上
げる際、その引上速度を最も効果的に向上させることが
できる。すなわち、本発明に係る方法は、カスプ磁場を
印加したCZ法シリコン単結晶引上装置を用いて、底部
の温度が側部の温度以上であり、かつ、底部の温度がル
ツボ中心から径方向に向かって低下するように、シリコ
ン融液に接触するルツボ内壁における温度分布を制御す
るとともに、印加するカスプ磁場強度を300〜800
ガウスとするものである。
【0033】また、図1に示したようなカスプ磁場を印
加したCZ法シリコン単結晶引上装置の構成、特に、ル
ツボの側部および底部を加熱するヒータの構成について
の好適態様を、図8(a)〜(c)に示す。図8(a)
は、シリコン融液L1の液面高さの位置において、側部
ヒータ4を上下に2分割した場合を図示したものであ
る。また、図8(b)は、さらに、側部ヒータ4を底部
付近で上下に分割し、全体で3分割した場合を図示した
ものである。図8(c)は、さらに、底部のルツボ中心
付近と側部付近とで、底部ヒータ7をルツボの径方向に
対して2分割した場合を図示したものである。このよう
に、側部ヒータ4および底部ヒータ7のそれぞれを複数
個に分割して設置したようなヒータ構成とすることによ
り、ルツボ内壁における温度分布を、部分ごとに、より
精密かつ容易に制御することができる。
【0034】
【実施例】[実施例]図1に示したような構成からなる
装置を用いて、内径830mmの石英ルツボ内に、20
0kgの多結晶シリコン原料を溶融させて、融液を調製
した。側部ヒータと底部ヒータによる加熱および初期ル
ツボ位置を調整して、図2(e)に示したような融液状
態、すなわち、シリコン融液に接触する石英ルツボ内壁
におけるルツボ底部の温度が側壁温度以上であり、か
つ、底部の温度がルツボ中心から径方向に向かって低下
する温度分布となるように制御した。また、カスプ磁場
強度は、酸素濃度制御との関係から、500ガウスに設
定した。この状態で、シード単結晶を装着し、ネッキン
グ工程、クラウン成長工程と順次、引上工程を進行さ
せ、直径300mmの直胴部の成長工程に移行した。引
上速度の目標値を1.2mm/minに設定して、結晶
回転数を12rpm、ルツボ回転数を6rpmで一定に
して、直胴部を育成した。また、直径の制御は、引上速
度と側部ヒータの加熱調節とともに、上記温度分布状態
を保持するため、適宜、底部ヒータによる加熱調節も行
った。
【0035】途中、直径の減少や結晶変形を生ずること
なく、引上速度1.2mm/min以上を保持したま
ま、無転位で300mm径のシリコン単結晶インゴット
が得られた。上記操作を30回繰り返し行ったが、いず
れの場合にも、引上速度1.2mm/min以上で、無
転位でシリコン単結晶インゴットが得られた。
【0036】
【発明の効果】以上のとおり、本発明に係るシリコン単
結晶引上方法およびその装置を用いれば、引上速度を制
限する要因を有効に除去することができる。したがっ
て、本発明によって、直径の変動や結晶の変形が抑制さ
れるため、直径300mm以上の大口径の単結晶であっ
ても、結晶歪みや欠陥等がない高品質のシリコン単結晶
の高速引上げが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るシリコン単結晶引上装置の一例を
示す概略断面図である。
【図2】シリコン融液に接触する石英ルツボ内壁におけ
る温度分布とシリコン融液の流動状態との関係を示す模
式図であって、ルツボ側部と底部の温度が、いずれの箇
所においても同じである場合のルツボの中心軸から右半
分を図示したルツボ内の融液の縦断面図である。
【図3】シリコン融液に接触する石英ルツボ内壁におけ
る温度分布とシリコン融液の流動状態との関係を示す模
式図であって、ルツボ側部の温度が底部の温度よりも高
い場合のルツボの中心軸から右半分を図示したルツボ内
の融液の縦断面図である。
【図4】シリコン融液に接触する石英ルツボ内壁におけ
る温度分布とシリコン融液の流動状態との関係を示す模
式図であって、ルツボ側部の温度が底部の温度よりも低
い場合のルツボの中心軸から右半分を図示したルツボ内
の融液の縦断面図である。
【図5】シリコン融液に接触する石英ルツボ内壁におけ
る温度分布とシリコン融液の流動状態との関係を示す模
式図であって、ルツボ側部と底部の温度が同程度であ
り、側部と底部の境界付近の温度が高い場合のルツボの
中心軸から右半分を図示したルツボ内の融液の縦断面図
である。
【図6】シリコン融液に接触する石英ルツボ内壁におけ
る温度分布とシリコン融液の流動状態との関係を示す模
式図であって、ルツボ底部の温度が側部の温度以上であ
り、かつ、底部の温度がルツボ中心から径方向に向かっ
て低下する場合のルツボの中心軸から右半分を図示した
ルツボ内の融液の縦断面図である。
【図7】シリコン融液に接触する石英ルツボ内壁におけ
る温度分布とシリコン融液の流動状態との関係を示す模
式図であって、ルツボ側部の温度が底部の温度以上であ
り、かつ、底部の温度がルツボ中心から径方向に向かっ
て上昇する場合のルツボの中心軸から右半分を図示した
ルツボ内の融液の縦断面図である。
【図8】本発明に係るシリコン単結晶引上装置における
底部ヒータおよび側部ヒータの他の態様を示す概略断面
図である。(a)は、側部ヒータを2分割した場合であ
り、(b)は、側部ヒータを3分割した場合であり、
(c)は、側部ヒータを3分割、底部ヒータを2分割し
た場合を示したものである。
【図9】従来のチョクラルスキー法シリコン単結晶引上
装置の概略断面図である。
【符号の説明】
1、21 水冷チャンバ 2、22 石英ルツボ 3、23 カーボンサセプタ 4、24 側部ヒータ 5、25 保温筒 6 輻射カバー 7 底部ヒータ 8 保温板 9、29 ルツボ支持軸 10、30 引上用ワイヤ 11、31 プルヘッド 12、32 シード単結晶 13、33 監視窓 14、34 シードネック 15、35 クラウン部 16、36 直胴部 17 カスプ型磁場印加装置 17a、17b コイル L1、L2 シリコン融液 N 磁力線 A 1425℃領域 B 1430℃領域 C 1435℃領域 D 1440℃領域 E 1445℃領域 F 1450℃領域 G 1455℃領域 H 1460℃領域 I 1465℃領域 J 1470℃領域 K 1475℃領域 L 1480℃領域 M 1485℃領域
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中川 泰忠 神奈川県横浜市磯子区新磯子町33番地 株 式会社東芝生産技術センター内 Fターム(参考) 4G077 AA02 BA04 CF10 EA01 EG18 EH07 EJ02 HA12 PE07 PF55

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カスプ磁場を印加したチョクラルスキー
    法によるシリコン単結晶引上方法において、 シリコン融液に接触するルツボ内壁におけるルツボ底部
    の温度がルツボ側部の温度以上であり、かつ、前記ルツ
    ボ底部の温度がルツボ中心から径方向に向かって低下す
    る温度分布となるような条件下で、シリコン単結晶を引
    上げることを特徴とするシリコン単結晶引上方法。
  2. 【請求項2】 前記温度分布条件は、前記ルツボ底部と
    ルツボ側部とを独立に加熱するとともに、シリコン融液
    の自由表面およびルツボ上端部からの輻射放熱を抑制す
    ることにより制御されることを特徴とする請求項1記載
    のシリコン単結晶引上方法。
  3. 【請求項3】 前記カスプ磁場の印加強度を、300〜
    800ガウスとすることを特徴とする請求項1または請
    求項2記載のシリコン単結晶引上方法。
  4. 【請求項4】 カスプ磁場を印加したチョクラルスキー
    法によるシリコン単結晶引上装置であって、 シリコン融液に接触するルツボ内壁におけるルツボ底部
    の温度がルツボ側部の温度以上であり、かつ、前記ルツ
    ボ底部の温度がルツボ中心から径方向に向かって低下す
    る温度分布となるように、ルツボ底部とルツボ側部とを
    独立に加熱するための底部ヒータおよび側部ヒータが配
    設され、かつ、シリコン融液の自由表面およびルツボ上
    端部からの輻射放熱を抑制する輻射カバーがルツボ上方
    に配設されていることを特徴とするシリコン単結晶引上
    装置。
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