JP2003002610A - 高温型プロトン導電体を用いた炭化水素改質ガス類から水素を分離する方法 - Google Patents
高温型プロトン導電体を用いた炭化水素改質ガス類から水素を分離する方法Info
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Abstract
からなる膜の両面に水素の酸化・プロトンの還元反応が
可能な電極ELA、ELCが取り付けられ、一方が陽極室
(アノード室)〔A〕を、他方が陰極室(カソード室)
〔C〕を構成するよう前記電極に電圧が加えられ、かつ
前記高温型プロトン導電性固体電解質が充分なイオン導
電性を持つように維持された電気化学的セルの、アノー
ド室に少なくとも一酸化炭素および/または二酸化炭素
ならびに水素を含む混合ガスGMI Xを供給し、カソード
室には0.1−0.4mol/発生H2mol比の水分
または水分を含むスイープガスGSWを送ることを特徴と
する前記混合ガスから分離された水素を得る方法。
Description
/または二酸化炭素を含む混合ガス、特に合成直後の高
温の合成ガスから実質的に水素のみを分離する水素分離
方法に関する。
び生物に有害な排気ガスなどの問題を地球規模で解決す
るためには、化石燃料の燃焼エネルギーを機械エネルギ
ー源としていたエネルギー変換技術から、前記問題をで
きるだけ小さく抑えることができるエネルギー変換手段
への、または前記問題のガスを実質的に発生させないエ
ネルギー変換手段への変更の必要性が、より切迫した問
題とされるようになってきた。自動車などでも、エネル
ギーのハイブリッド化が進められ、更にはエネルギー変
換手段を全く変えた、燃料電池をエネルギー変換手段と
するものに大きく変わろうとしている。
つ化学エネルギーを電気化学的な反応によって直接電気
エネルギーに変換でき、変換効率が高く、クリーンな排
気、低騒音であるなどの長所を持つため、都心部にも設
置可能なエネルギー変換手段として注目され、実用化の
研究も更に盛んになっている。中でも、固体電解質型燃
料電池は、従来の熱機関より遙かに高い発電効率が予想
されており、今後の資源エネルギーの問題や前記環境問
題を解決できるものとして注目されている。特に、水素
を燃料とするものは、クリーンで、かなりコンパクトな
電池が設計可能であることから、最も注目されている。
電池では、水素燃料中への一酸化炭素の混入は貴金属系
触媒に被毒をきたすなど、該変換手段に悪影響を引き起
こすという問題があり、燃料中のこの量を100ppm
以下にすることが重要な課題となっている。前記一酸化
炭素などを除去するのにこれまで提案されている技術
を、水素源として、改質ガス、合成ガスを用いる場合に
ついて、挙げると、 1,多孔質体(フイルター)を用いる方法。 2,パラジウムあるいはパラジウム合金を改質ガスから
の水素分離に用いる方法。 3,固体電解質を用いる方法などがある。 3,の方法は、分離性能および被毒の問題が少ないもの
として注目されている。
素イオン輸送に基づく、炭化水素の部分酸化による合成
ガスの製造と、該生成した合成ガスから水素輸送膜とし
て、例えばパラジウム若しくはパラジウム合金を利用す
るもの又はプロトン輸送膜、例えば高温型プロトン導電
性固体電解質水素輸送膜を用いて水素のみを分離する工
程とを一体化した水素の製造プロセスの発明について説
明されている。そして、使用する固体電解質水素輸送膜
を構成する材料および水素製造法の原理的な説明はある
が、水素製造の具体的な説明がなされておらず、実際に
水素の生成がされたことを確認したことのデータもな
い。また、本発明者らは、前記公開公報に記載の範囲で
その技術の実施を試みたが、水素の継続的分離を確かめ
ることができなかった。
は、基本的には前記先行技術の不都合の原因を見出し、
その不都合を取り除いた高温型プロトン導電性固体電解
質を用いて純粋な水素を分離できる技術を確立する、特
に前記分離の駆動力を電圧にのみに依存させ、圧力差、
濃度差に依存しない水素の分離技術を確立することであ
る。そこで、前記公報の技術説明だけの原理ではなぜ作
動しないかを次のように推測した。もし高温型プロトン
導電性固体電解質が、化学的組成および構造が安定に存
在するならば、前記固体電解質のプロトン導電性の特性
から、水素の分離が実現されなければならない。しかし
ながら、それが進まないのは化学的組成および結晶構造
が、プロトンの導電体として機能させない化学量論的な
変化が生じているものと考えられる。そこで、そのよう
な変化をどうすれば防ぐことができるかを検討すること
を試みる実験をした。その際、可能性としては酸素の減
少が考えられるので、酸素を何らかの方法で供給するこ
とを試み、前記化学量論的な変化をなくすことができれ
ば、前記固体電解質のプロトン導電性を維持できるもの
と考えた。この考えの基に、酸素そのものおよび酸素を
固体電解質に供給できる物質、例えば水(蒸気として)
を供給したところ、カソード側に水素(一部は添加した
蒸気の電気分解により発生する水素を含む)が電解によ
り、安定に移送されて来ることが確認できた。これによ
り、前記本発明の課題を解決することができた。
ン導電性固体電解質からなる膜の両面に水素の酸化・プ
ロトンの還元反応が可能な電極が取り付けられ、一方が
陽極室(アノード室)を、他方が陰極室(カソード室)
を構成するよう前記電極に電圧が加えられ、かつ前記高
温型プロトン導電性固体電解質が充分なイオン導電性を
持つように維持された電気化学セルの、アノード室に少
なくとも一酸化炭素および/または二酸化炭素ならびに
水素を含む混合ガスを供給し、カソード室には0.1−
0.4mol/発生H2mol比の水分または水分を含
むスイープガスをカソード室に供給することを特徴とす
る前記混合ガスから分離された水素を得る方法である。
好ましくは、高温型プロトン導電性固体電解質からなる
膜を700℃以上1000℃迄に維持することを特徴と
する前記混合ガスから分離された水素を得る方法であ
り、より好ましくは、混合ガスとして生成した高温の改
質ガスを用いることを特徴とする前記分離された水素を
得る方法である。
参照しながら説明する。図1において、[A]はアノー
ド室を構成し、この室には改質ガスなどの一酸化炭素
(CO)を含む混合ガスGMIXが供給され、直流電圧
D.C.が印加されたアノード電極ELAおよびとカソ
ード電極ELCと高温型プロトン導電性固体電解質S.
E.からなる膜とから構成される電気化学セルにより水
素が分離されCO濃度が上がったガスGcoが室外に取り
出される。また、[C]はカソード室を構成し、この室
からは、カソード電極ELC表面に移動した分離された
水素ガスと該分離された水素ガスを電極表面から分離さ
せるために供給されるスイープガスGSW中の水分が電気
分解されて発生する水素ガスとが前記スイープガスGSW
と共に取り出される。このような構成により、水素が分
離される。
を供給しても良い。前記膜の概念には、比較的厚い数m
m厚のものを含み、その形状も、板状、チューブ状(こ
の場合筒状の電解セルとすることができる)など、要は
前記原理による水素分離機能を発揮するものであればよ
い。また、水素分離の原料混合ガスとしては、例えば
1,CH4+1/2O2→CO+2H2の反応によって生
じる水素と一酸化炭素の混合ガス(比は2/1)、2,
CO+H2O→CO2+H2の反応より前記1,で生成す
る一酸化炭素を水蒸気と反応させることにより得られる
水素と二酸化炭素の混合ガス(比は3/1)などを挙げ
ることができる。
導電体固体電解質の両側にに水素の酸化・プロトンの還
元反応を行わせることのできる電極を取り付けたもので
ある。前記電気化学セルの電極での反応は理論的には H2→2H++2e-(アノード) (1) 2H++2e-→H2(カソード) (2) のようになるはずであるが、前記反応が安定に維持でき
ないので、カソード側に少量の酸素補給体、例えば水蒸
気を供給し、前記固体電解質に少量の酸化物イオンによ
る電流を生じさせることにより、本発明の水素の分離を
実現した。
としては、SrCe0.95Yb0.05O3- α、BaCe0.80
Y0.20O3- α、CaZr0.90In0.10O3- αなどを好ま
しい材料として挙げることができる。基本的にはプロト
ン導電性酸化物固体電解質であれば使用可能である。 D.電極構成材料としては、PtやNiなどの金属、お
よび電子導電性酸化物を使用できる。
3mm、厚さ0.5mmのディスク状に加工したものに
多孔質白金電極を取り付け、アノード室、およびカソー
ド室を構成する磁製の部材で、気密にはさみ付けて電気
化学セルを構成した。アノード室には水素と一酸化炭素
の2:1の混合ガスを希釈ガスArで希釈したガスを導
入し直流を通電して、他方の電極室で発生する水素の量
をガスクロマトグラフ(島津製作所社製GC−8A)で
調べた。本実験にはスイープガスG SWとして湿潤アルゴ
ンを用い、カソード室へ水蒸気を導入することにより比
較的高い電流密度まで高い電流効率が得られた。900
℃において実験を行った結果、通電とともにカソード室
において水素の発生が確認され、このような方法により
改質ガスからの水素分離がなされた。図2に示すように
水素の発生量は、120mA/cm2程度の電流密度ま
で電流から計算される値に一致した。これは、通電した
電気量の全てがカソード室での水素発生に使われたこと
を示し、電流効率はほぼ1である。
CO中の水素および一酸化炭素の濃度の通電による変化を
調べたところ、一酸化炭素の濃度は電流に対してほとん
ど変化せず、一方、水素は単調に減っており、水素が分
離されたことを示す。ここでは、水素の減少量は小さい
が、電極面積、電流を大きくすれば、水素の分離効率を
上げることができることは明らかである。
アルゴンを用い、カソード室での水素の発生速度と電流
値の関連を調べたところ、水素発生速度は電流密度25
mA/cm2で飽和し水素の分離が電流量に比例してい
ないことが分かる(図4)。また、アノード室での水素
の減少率を測定した結果を図5に示す。図3と対比する
と電解セルによる水素分離の性能が明らかに悪いことが
理解される。
てCOを含まない水素を得ることができ、改質ガスの製
造と組み合わせることにより、純度の高い水素の製造が
できる装置を設計できる、水素の分離技術を提供できる
という、優れた効果がもたらされる。
ード室)
ド室)
ノード電極 ELC カソード電極 S.E 高温型プロトン導電性
電解質 GMIX 混合ガス GCO カソード室排出ガス GSW
スイープガス
Claims (3)
- 【請求項1】 高温型プロトン導電性固体電解質からな
る膜の両面に水素の酸化・プロトンの還元反応が可能な
電極が取り付けられ、一方が陽極室(アノード室)を、
他方が陰極室(カソード室)を構成するよう前記電極に
電圧が加えられ、かつ前記高温型プロトン導電性固体電
解質が充分なイオン導電性を持つように維持された電気
化学セルの、アノード室に少なくとも一酸化炭素および
/または二酸化炭素ならびに水素を含む混合ガスを供給
し、カソード室には0.1−0.4mol/発生H2m
ol比の水分または水分を含むスイープガスをカソード
室に供給することを特徴とする前記混合ガスから分離さ
れた水素を得る方法。 - 【請求項2】 高温型プロトン導電性固体電解質からな
る膜を700℃以上1000℃迄に維持することを特徴
とする請求項1に記載の混合ガスから分離された水素を
得る方法。 - 【請求項3】 混合ガスが生成した高温の改質ガスであ
ることを特徴とする請求項1または2に記載の分離され
た水素を得る方法。
Priority Applications (1)
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JP2001190705A JP4353657B2 (ja) | 2001-06-25 | 2001-06-25 | 高温型プロトン導電体を用いた炭化水素改質ガス類から水素を分離する方法 |
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WO2007046314A1 (ja) | 2005-10-19 | 2007-04-26 | Japan Science & Technology Agency | 酸素透過膜を用いた炭化水素改質方法及び炭化水素改質装置 |
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-
2001
- 2001-06-25 JP JP2001190705A patent/JP4353657B2/ja not_active Expired - Lifetime
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