JP2023141692A - 炭化水素浄化装置及びそれを用いた炭化水素浄化方法 - Google Patents

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Yoshio Hatanaka
正興 岩崎
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Abstract

【課題】100℃以下の低温においても高い炭化水素浄化性能を発現する炭化水素浄化装置を提供すること。
【解決手段】プロトン伝導性固体電解質膜1と、
前記プロトン伝導性固体電解質膜1の一方の面上に配置された、貴金属を含有する多孔質のカソード電極2と、
前記カソード電極2と対向するように前記プロトン伝導性固体電解質膜1の他方の面上に配置された、酸化白金粉末を80質量%以上含有し、フッ素樹脂粉末を含まず、プロトン伝導性固体電解質を含有する多孔質のアノード電極3と、
前記カソード電極2と前記アノード電極3に電気的に接続された通電装置4と、
を備えていることを特徴とする炭化水素浄化装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、炭化水素浄化装置及びそれを用いた炭化水素浄化方法に関し、より詳しくは、炭化水素の電気化学的酸化分解を利用した炭化水素浄化装置及びそれを用いた炭化水素浄化方法に関する。
近年、電気化学素子に電圧を印加することにより排ガスを浄化させる方法が研究されており、このような方法に用いられる排ガス浄化装置として、様々な構成の装置が提案されている。
例えば、特開2019-135042号公報(特許文献1)には、リン酸が担持された硫酸カルシウム粉末からなる固体電解質と、前記固体電解質の一方の面上に配置されたアノード電極膜と、前記アノード電極膜と対向するように前記固体電解質の他方の面上に配置されたカソード電極膜と、前記アノード電極膜及び前記カソード電極膜に電気的に接続された通電装置とを備えている炭化水素浄化装置が開示されている。
また、井口翔之、第126回触媒討論会予稿集、触媒学会、2020年9月、3J08(非特許文献1)には、Pt black及びPtOをそれぞれ空気焼成及びヒドラジン還元することにより調製した白金酸化物(PtO)からなるアノード触媒とPTFE粉とを混練・成型したものをカーボンペーパー(GDL25BC)に接合して作製したアノードと、含浸法で調製した50質量%Pt/Cカソード触媒をカーボンペーパー(GDL25BC)上に固定して作製したカソードとで、電解質膜(Nafion117)を挟み、これをホットプレスして作製した膜-電極接合体(MEA)が開示されており、この膜-電極接合体(MEA)に電圧を印加することによって、プロピレンがプロピレンオキシドとアセトンに部分酸化されるとともに、COとOが生成したことも記載されている。
特開2019-135042号公報
井口翔之、「白金酸化物アノードを用いたプロピレンの電解部分酸化」、第126回触媒討論会予稿集、触媒学会、2020年9月9日、3J308
しかしながら、特許文献1に記載の炭化水素浄化装置においては、固体電解質の抵抗が大きく、十分な反応速度が得られず、また、非特許文献1に記載の膜-電極接合体(MEA)においては、部分酸化物が生成し、プロピレンの完全酸化が難しいため、100℃以下の低温での炭化水素の浄化性能が必ずしも十分に高いものではなかった。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、100℃以下の低温においても高い炭化水素浄化性能を発現する炭化水素浄化装置及び炭化水素浄化方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、プロトン伝導性固体電解質膜と、貴金属を含有する多孔質のカソード電極と、酸化白金粉末を80質量%以上含有し、フッ素樹脂粉末を含まず、プロトン伝導性固体電解質を含有する多孔質のアノード電極とを備える炭化水素浄化装置において、100℃以下の低温においても高い炭化水素浄化性能が発現することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の炭化水素浄化装置は、プロトン伝導性固体電解質膜と、前記プロトン伝導性固体電解質膜の一方の面上に配置された、貴金属を含有する多孔質のカソード電極と、前記カソード電極と対向するように前記プロトン伝導性固体電解質膜の他方の面上に配置された、酸化白金粉末を80質量%以上含有し、フッ素樹脂粉末を含まず、プロトン伝導性固体電解質を含有する多孔質のアノード電極と、前記カソード電極と前記アノード電極に電気的に接続された通電装置と、を備えていることを特徴とするものである。
本発明の炭化水素浄化装置においては、前記アノード電極が、前記酸化白金粉末を80~90質量%含有するものであることが好ましく、また、前記酸化白金粉末が、組成式:PtO(0.1≦x≦0.3)で表される部分酸化白金粉末であることが好ましい。
また、本発明の炭化水素浄化方法は、前記本発明の炭化水素浄化装置の前記カソード電極と前記アノード電極との間に電圧を印加しながら、少なくとも炭化水素を含有する被処理供給流体を前記アノード電極に供給することによって、前記被処理供給流体中の炭化水素を酸化分解することを特徴とする方法である。
なお、本発明によって、100℃以下の低温においても高い炭化水素浄化性能が発現する理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、プロトン伝導性固体電解質膜と、貴金属を含有する多孔質のカソード電極膜と、貴金属を含有する多孔質のアノード電極膜を備える従来の炭化水素浄化装置を構成する電気化学セルにおいては、カソード電極膜とアノード電極膜との間に電圧を印加してアノード電極膜に炭化水素(例えば、C)と水分との混合ガスを接触させると、下記式で表される反応が進行する。すなわち、アノード電極膜上では、水分(HO)の電気分解によって活性酸素(O)が生成し、この活性酸素(O)が炭化水素(例えば、C)を酸化し、二酸化炭素(CO)が生成する。このとき、アノード電極膜上で生成したプロトン(水素イオンH)はプロトン伝導性固体電解質膜を介してカソード電極膜に移動し、カソード電極膜上で電子(e)と反応して水素ガス(H)を生成する。
<アノード電極膜>
9HO→18H+9O+18e
+9O→3CO+3H
<カソード電極膜>
18H+18e→9H
しかしながら、アノード電極膜上で生成する活性酸素(O)やオゾン(O)等は、不安定であるため、通常、短時間でOとなって安定化する。特に、活性酸素(O)の消失が速いと、炭化水素との接触が不十分となり、炭化水素浄化性能が極めて低くなると推察される。
また、プロトン伝導性固体電解質膜と、白金酸化物(PtO)粉末及びPTFE粉を含有するアノード電極と、Pt/C粉末を含有するカソード電極とを備える従来の膜-電極接合体(MEA)においては、アノード電極のプロトン伝導性が不足するため、アノード電極上での水分(HO)の電気分解反応がプロトン伝導性固体電解質膜との界面においてのみ進行し、炭化水素浄化反応に十分な活性酸素(O)が生成しない。その結果、炭化水素浄化性能が低くなると推察される。
一方、本発明の炭化水素浄化装置を構成する電気化学セルは、アノード電極として、酸化白金粉末を80質量%以上含有し、フッ素樹脂粉末(PTFE粉)を含まず、プロトン伝導性固体電解質を含有する多孔質電極を使用しているため、アノード電極のプロトン伝導性が向上し、アノード電極上及び多孔質アノード電極内での水分(HO)の電気分解反応が進行しやすいため、活性酸素(O)が生成しやすくなると推察される。また、アノード電極が80質量%以上の酸化白金粉末で構成されているため、電子伝導相/プロトン伝導相/物質輸送相の三相界面が多く存在する多孔質なアノード電極となることによって、生成した活性酸素(O)が効率よく炭化水素と接触し、炭化水素の酸化に利用されるため、高い炭化水素浄化性能が発現すると推察される。
本発明によれば、100℃以下の低温においても高い炭化水素浄化性能を発現する炭化水素浄化装置及び炭化水素浄化方法を提供することが可能となる。
本発明の炭化水素浄化装置を構成する反応部(電気化学セル)の好適な一実施態様を模式的に示す縦断面図である。 本発明の炭化水素浄化装置の好適な一実施態様を模式的に示す縦断面図である。 実施例1~2及び比較例1~5で作製した炭化水素浄化装置の炭化水素浄化性能評価結果を示すグラフである。
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明するが、本発明は前記図面に限定されるものではない。なお、以下の説明及び図面中、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する場合もある。
〔炭化水素浄化装置〕
先ず、本発明の炭化水素浄化装置について説明する。図1は本発明の炭化水素浄化装置を構成する反応部(電気化学セル)の好適な一実施態様を模式的に示す縦断面図である。図1に示す反応部(電気化学セル)は、プロトン伝導性固体電解質膜1と、前記プロトン伝導性固体電解質膜1の一方の面上に配置された貴金属を含有する多孔質のカソード電極2と、前記カソード電極2と対向するように前記プロトン伝導性固体電解質膜1の他方の面上に配置された、酸化白金粉末を80質量%以上含有しフッ素樹脂粉末を含まず、プロトン伝導性固体電解質を含有する多孔質のアノード電極3とにより構成されるものであり、前記電気化学セルの前記カソード電極2と前記アノード電極3には通電装置4が電気配線5により接続されている。
また、図2は、図1に示した電気化学セルを備える、本発明の炭化水素浄化装置の好適な一実施態様を模式的に示す縦断面図である。図2に示す炭化水素浄化装置においては、プロトン伝導性固体電解質膜1とカソード電極2とアノード電極3とにより構成される電気化学セル8の反応部を含み、前記カソード電極2及び前記アノード電極3にはそれぞれ集電材9、集電板10及び電気配線5を介して通電装置4が接続されており、また、前記電気化学セル8の前記カソード電極2及び前記アノード電極3にはそれぞれ独立に、シール材11及び外枠固定具12の開口部によって形成されるアノード側供給流路6aとアノード側排出流路6b及びカソード側供給流路7aとカソード側排出流路7bが接続されており、前記アノード側供給流路6aと前記アノード電極3と前記アノード側排出流路6bとによってアノード側流路6が形成され、前記カソード側供給流路7aと前記カソード電極2と前記カソード側排出流路7bとによってカソード側流路7が形成される。
本発明に用いられるプロトン伝導性固体電解質膜としては特に制限はなく、例えば、商標名「ナフィオン(登録商標)」として知られているパーフルオロスルホン酸系ポリマー等の従来公知のプロトン伝導性固体電解質膜が挙げられる。このようなプロトン伝導性固体電解質膜の厚さとしては特に制限はないが、0.05~2mmが好ましく、0.1~0.5mmがより好ましい。
本発明の炭化水素浄化装置においては、このようなプロトン伝導性固体電解質膜1の一方の面上にカソード電極2が配置されている。本発明にかかるカソード電極2としては、貴金属を含有する多孔質材料であれば特に制限はなく、従来のカソード電極に用いられるものを使用することができ、例えば、多孔質材料に貴金属が担持されたものであっても、貴金属により形成された多孔質材料であってもよい。前記カソード電極の貴金属としては特に制限はなく、例えば、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、ロジウム(Rh)、銀(Ag)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)等が挙げられる。また、このような貴金属を含有する多孔質材料として具体的には、前記貴金属が担持されたカーボンメッシュ、前記貴金属が担持された多孔質カーボン膜、前記貴金属からなる多孔質膜、前記貴金属メッシュ等が挙げられる。
このようなカソード電極の形成方法としては特に制限はなく、例えば、多孔質材料に貴金属を担持する方法、貴金属により多孔質材料を作製する方法、貴金属担持粉末とプロトン伝導性固体電解質との混合物を成膜する方法のほか、前記プロトン伝導性固体電解質膜の表面に貴金属膜を形成し、この貴金属膜と多孔質材料とを接合する方法等が挙げられる。
本発明の炭化水素浄化装置においては、前記カソード電極2と対向するように、前記プロトン伝導性固体電解質膜1の他方の面上に、酸化白金粉末を80質量%以上含有し、フッ素樹脂粉末を含まず、プロトン伝導性固体電解質を含有する多孔質のアノード電極3が配置されている。
アノード電極3を構成する酸化白金粉末としては特に制限はなく、例えば、黒色白金粉末、白金ブラックが挙げられる。また、この酸化白金粉末は、組成式:PtOやPtOで表される酸化白金粉末であってもよいが、活性酸素(O)の消失(自己分解)や酸素分子としての脱離が抑制されて活性酸素(O)の寿命が長くなり、また、電子伝導性に優れているという観点から、組成式:PtO(0.1≦x≦0.3)で表される部分酸化白金粉末が好ましい。
また、本発明にかかるアノード電極における前記酸化白金粉末の含有率としては、80質量%以上であることが必要である。前記酸化白金粉末の含有率が前記下限未満になると、電子伝導性や水電解性能が不足し、活性酸素(O)が生成しにくくなる。また、前記酸化白金粉末の含有率としては、電子伝導性とプロトン伝導性を両立し、活性酸素(O)の生成量が増大し、さらにガス拡散性を確保するという観点から、80~90質量%が好ましい。
さらに、本発明にかかるアノード電極には、フッ素樹脂粉末が含まれないことが必要である。アノード電極にフッ素樹脂粉末が含まれると、アノード電極の表面抵抗が大きくなり、アノード電極上での水分(HO)の電気分解反応が進行しにくくなるため、活性酸素(O)が生成しにくくなり、その結果、炭化水素浄化性能が低くなったり、完全酸化が難しくなったりする傾向がある。
また、本発明にかかるアノード電極には、プロトン伝導性固体電解質が含まれている。プロトン伝導性固体電解質を含有するアノード電極を用いることによって、電子伝導性に加えてプロトン伝導性を兼ね備えた電極を形成することができる。
本発明にかかるアノード電極における前記プロトン伝導性固体電解質の含有率としては、20質量%以下であることが好ましい。前記プロトン伝導性固体電解質の含有率が前記上限を超えると、電子伝導性が低下したり、ガス拡散性が低下したりする傾向にある。また、前記プロトン伝導性固体電解質の含有率としては、プロトン伝導性を兼ね備え、かつ、ガス拡散性を確保するという観点から、10~20質量%がより好ましい。
このようなアノード電極の形成方法としては特に制限はなく、例えば、酸化白金粉末とプロトン伝導性固体電解質との混合物を用いて成膜する方法、酸化白金粉末とプロトン伝導性固体電解質分散液とを混合してインクを調製し、このインクをシート状に成膜した後、乾燥してフィルム化する方法等が挙げられる。
本発明の炭化水素浄化装置においては、このようなカソード電極2及びアノード電極3と通電装置4とが電気配線5によって接続されている。このような通電装置としては直流の電圧を印加できるものであれば特に制限はなく、公知の通電装置(直流電源)を適宜採用することができる。電気配線としては特に制限はなく、Au線、Pt線、Ni線、Cu線、Ag線等が挙げられる。また、電気配線5は、カソード電極2及びアノード電極3に直接接合されていてもよいし、電気配線5が接合された集電材9としての金属製メッシュ(Auメッシュ、Ptメッシュ、Niメッシュ、Agメッシュ等)をカソード電極2及びアノード電極3と接触させてもよいし、図2に示したように、電気配線5が接合された集電板10及び集電材9を介してカソード電極2及びアノード電極3と接触させてもよい。前記集電板10としては、ステンレス板、貴金属をコーティングしたステンレス板等が挙げられ、前記集電材9としては、前記金属製メッシュ、金属製薄板フィン、ステンレス製のコルゲートフィン、オフセットフィン及びウェービングフィン等が挙げられる。
また、本発明の炭化水素浄化装置においては、カソード電極2及びアノード電極3に、それぞれ独立にガスや液体等の流体が供給されるように、独立したアノード側流路6及びカソード側流路7が接続されていることが好ましい。これにより、アノード側流路6により少なくとも炭化水素含有処理ガスをアノード電極3に供給することが可能となり、また、カソード側流路7によりパージガスや水素(H)と反応するガス、水(液体)等の流体をカソード電極2に供給することが可能となる。そして、アノード電極3で生成した二酸化炭素(CO)や水分(HO)を含有するガスがアノード側流路6により排出され、また、カソード電極2で生成した水素(H)を含有するガスや水溶液がカソード側流路7によりパージされる、或いは、前記水素(H)との反応により生成したガスがカソード側流路7により排出される。
〔炭化水素浄化方法〕
次に、本発明の炭化水素浄化方法を、図1に示した反応部(電気化学セル)及び図2に示した炭化水素浄化装置を用いた場合を例に説明する。前記電気化学セル(図1)を備える炭化水素浄化装置(図2)を用いて炭化水素(HC)を浄化する炭化水素浄化方法は、本発明の炭化水素浄化方法の好適な一実施態様である。なお、前記本発明の炭化水素浄化装置の好適な一実施態様において説明した内容と重複する内容については省略する。
本発明の炭化水素浄化方法においては、前記炭化水素浄化装置のカソード電極2とアノード電極3との間に電圧を印加しながら、少なくとも炭化水素(HC)を含有する(HCと水分(HO)を含む)被処理供給流体をアノード側供給流路6aからアノード電極3に供給して前記被処理供給流体中のHCをアノード電極3で水分(HO)の電気分解により生成する活性酸素(O)と接触させる。
カソード電極2とアノード電極3との間に印加する電圧としては、1~10Vが好ましく、1.5~6Vがより好ましい。印加する電圧が前記下限未満になると、活性酸素(O)が不足し、HCの酸化分解が進行しない傾向にあり、他方、前記上限を超えると、プロトン伝導性固体電解質や電極が劣化したりする傾向にある。
また、カソード電極2とアノード電極3との間の電流値としては、接触抵抗によるが、0.05~2A/cmが好ましく、0.1~1.2A/cmがより好ましい。電流値が前記下限未満になると、活性酸素(O)が不足し、HCの酸化分解が進行しない傾向にあり、他方、前記上限を超えると、プロトン伝導性固体電解質や電極が劣化する傾向にある。
前記被処理供給流体とアノード電極3で水分(HO)の電気分解により生成する活性酸素(O)とを接触させる方法としては特に制限はないが、例えば、内燃機関から排出されるガス中のHCを浄化する場合、内燃機関からの排ガスを電気化学セル8(カソード電極2とプロトン伝導性固体電解質膜1とアノード電極3とを備えるもの)を含む炭化水素浄化装置のアノード側供給流路6aに供給することによって、前記排ガス中に含まれるHCとアノード電極3で水分(HO)の電気分解により生成する活性酸素(O)とを接触させることができる。
このように前記被処理供給流体中のHCをアノード電極3で水分(HO)の電気分解により生成する活性酸素(O)と接触させることによって、二酸化炭素分子(CO)と水分子(HO)に酸化浄化することが可能となる。そして、反応後の少なくとも二酸化炭素分子(CO)と水分(HO)を含有する浄化排出流体はアノード側排出流路6bから排出される。
一方、アノード電極3上で生成した水素イオン(プロトン:H)はプロトン伝導性固体電解質膜1を通ってカソード電極2の表面に移動する。また、アノード電極3上で生成した電子(e)は通電回路を通ってカソード電極2へ移動する。アノード電極3から移動してきた水素イオン(プロトン:H)と電子(e)はカソード電極2上で反応して水素(H)となる。この水素(H)は、カソード側供給流路7aからカソード電極2にパージガス(供給流体)を供給した場合には、水素(H)含有ガス(排出流体)としてカソード側排出流路7bからパージされ、水素(H)と反応するガス(供給流体)を供給した場合には、反応生成ガス(排出流体)がカソード側排出流路7bから排出され、水(液体、供給流体)を供給した場合には、水素(H)ガスが混入した排出流体としてカソード側排出流路7bから排出される。
本発明の炭化水素浄化方法においては、酸化白金粉末を80質量%以上含有し、フッ素樹脂粉末を含まず、プロトン伝導性固体電解質を含有する多孔質の電極をアノード電極3として使用しているために、アノード電極3上で生成した活性酸素(O)は、消失(自己分解)又は酸素分子(O)としての脱離よりも先に拡散してきたHCとの接触が優先される。その結果、アノード電極3上において、活性酸素(O)が効率よく利用され、HCの酸化分解が促進されるため、高い炭化水素浄化性能が得られる。
本発明の炭化水素浄化方法を適用することが可能な排ガスとしてはHC及び水分を含むものであれば特に制限はないが、例えば、HOを3質量%以上含む排ガスが好ましい。このような排ガスに本発明の炭化水素浄化方法を適用すると、アノード電極3上におけるHCを酸化するのに必要な活性酸素(O)量を生成させることができ、炭化水素との反応性が向上する。
以上、図1及び図2を参照して本発明の炭化水素浄化装置及び炭化水素浄化方法の好適な実施態様について説明したが、本発明の炭化水素浄化装置及び炭化水素浄化方法は上記実施形態に限定されるものではない。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(作製例1)
<カソード電極用シートの作製>
容量100mlのビーカーに、イオン交換水5mlと導電性カーボンブラック(キャボット社製「VULCAN XC-72)0.4gとを入れ、攪拌棒で攪拌しながら、5分間超音波処理を施した。得られた分散液にテトラアンミンパラジウム水酸塩溶液(田中貴金属工業株式会社製、Pd含有量:20g/L)10mlとイオン交換水10mlとを添加した後、ラボスターラーを用いて240rpmで攪拌しながら150℃に設定したホットプレート上で蒸発乾固させ、得られた乾固粉末を110℃に設定した乾燥機中で一晩乾燥させた。乾燥後の粉末を坩堝に移し、これを管状路に入れ、水素含有ガス(H(5%)/N(残部))を流量1L/分で流通させながら、室温下に1時間保持した後、1時間かけて100℃まで昇温し、さらに100℃で1時間保持した。その後、前記水素含有ガスを流量1L/分で流通させながら、2時間かけて室温まで降温した後、窒素雰囲気下、室温で20時間保持した。坩堝内の粉末を回収し、直径8cmのメノウ乳鉢を用いて0.5~1分間粉砕して、33質量%Pd担持カーボン粉末を得た。
パーフルオロスルホン酸系樹脂分散液(シグマアルドリッチジャパン合同会社製「ナフィオン(登録商標)分散液」、樹脂濃度:20質量%)と蒸留水とを混合し、さらに、前記Pd担持カーボン粉末を添加して、カソード電極用触媒スラリー(Pd担持カーボンインク)を調製した。
このカソード電極用触媒スラリーを、厚さ0.1mmのテフロン(登録商標)製シート上に滴下し、前記テフロン(登録商標)製シートとの間隔を0.1mmに調整したベーカーアプリケーター(ヨシミツ精機株式会社製、YBA-3型)を用いて塗布した。得られた塗膜を、大気中、室温で約15時間乾燥させ、さらに、70℃に設定した箱型炉中で約1時間乾燥させた後、9.8mm×9.5mmの大きさ(約1cm)にテフロン(登録商標)製シートごと切り出して、前記テフロン(登録商標)製シート上に前記Pd担持カーボン粉末と前記パーフルオロスルホン酸系樹脂とを含有するカソード電極用シートを作製し、このカソード電極用シートの質量を測定した。
(実施例1)
<アノード電極用シートの作製>
先ず、アノード電極の成膜性を向上させるために、酸化白金粉末(田中貴金属工業株式会社製「AY-1020」、タップ密度:0.6~1.0g/cm、平均粒径:3.0~13.0μm、比表面積:20.0~40.0m/g)約2gを、直径8cmのメノウ乳鉢を用いて15分間すり潰して粉砕した。
次に、容量45mlのガラス容器に、パーフルオロスルホン酸系樹脂分散液(シグマアルドリッチジャパン合同会社製「ナフィオン(登録商標)分散液」、樹脂濃度:20質量%)と蒸留水とを入れ、さらに、すり潰した前記酸化白金粉末を添加し、スパチュラで攪拌しながら超音波処理(LEO社製超音波洗浄器「LEO-80」を使用)を5分間施して、前記酸化白金粉末と前記樹脂分散液の固形分との比が94.1質量%:5.9質量%のアノード電極用触媒スラリーを調製した。
このアノード電極用触媒スラリーを、厚さ0.1mmのテフロン(登録商標)製シート上に滴下し、前記テフロン(登録商標)製シートとの間隔を0.1mmに調整したベーカーアプリケーター(ヨシミツ精機株式会社製、YBA-3型)を用いて塗布した。得られた塗膜を、大気中、室温で約15時間乾燥させ、さらに、70℃に設定した箱型炉中で約1時間乾燥させた後、9.8mm×9.5mmの大きさ(約1cm)にテフロン(登録商標)製シートごと切り出して、前記テフロン(登録商標)製シート上に前記酸化白金粉末と前記パーフルオロスルホン酸系樹脂とを含有するアノード電極(酸化白金粉末含有率:94.1質量%、前記樹脂含有率:5.9質量%)が積層されたアノード電極用シートを作製し、このアノード電極用シートの質量を測定した。
<電解質膜・電極接合体(MEA)の作製>
次に、厚さ5mm以上のSUS製の下金型の中央部に、作製例1で得られた前記カソード電極用シートを前記テフロン(登録商標)製シートが下になるように配置し、その上に、パーフルオロスルホン酸系樹脂膜(デュポン社製「ナフィオン(登録商標)N115」、40mm×40mm×0.125mm)を積層し、さらに、前記アノード電極用シートを前記テフロン(登録商標)製シートが上になるように積層した後、シリコンゴムシート(9.8mm×9.5mm×0.5mm)と厚さ5mm以上のSUS製の上金型を順に重ねた。得られた積層体をホットプレスにセットした後、120℃、約0.35kNで5分間加圧し、さらに、120℃、0.89kN(圧力:50kgf/cm)で5分間加圧して、前記カソード電極と前記パーフルオロスルホン酸系樹脂膜と前記アノード電極とを熱圧着させた。前記上金型及び下金型を室温のSUS板で挟んで室温まで空冷した後、前記上金型及び下金型を取り外し、さらに、前記シリコンゴムシート及び2枚の前記テフロン(登録商標)製シートを剥離して、プロトン伝導性固体電解質膜であるパーフルオロスルホン酸系樹脂膜の一方の面に前記Pd担持カーボン粉末と前記パーフルオロスルホン酸系樹脂とを含有するカソード電極が接合し、他方の面に前記酸化白金粉末と前記パーフルオロスルホン酸系樹脂とを含有するアノード電極が接合した電解質膜・電極接合体(MEA)を作製した。ここで、前記カソード電極から剥離した前記テフロン(登録商標)製シート及び前記アノード電極から剥離した前記テフロン(登録商標)製シートの質量をそれぞれ測定し、前記カソード電極シート及び前記アノード電極用シートの質量からこれらをそれぞれ差し引いて、前記カソード電極及び前記アノード電極の質量を求め、前記カソード電極のPd含有率及び前記アノード電極の酸化白金含有率を用いて、前記カソード電極中のPd含有量及び前記アノード電極中のPt含有量を算出したところ、Pd含有量は0.3mg、Pt含有量は3.7mgであった。
<炭化水素浄化装置の作製>
図2に示した炭化水素浄化装置を作製した。すなわち、先ず、前記電解質膜・電極接合体(MEA)のカソード側に1枚のカーボンメッシュ(東レ株式会社製「TGP-H-060」、厚さ:0.19mm、電気抵抗値:(厚さ方向)80mΩ・cm、(面方向)5.8mΩ・cm、気体透過性:1900ml・mm/(cm・hr・mmAq)、気孔率:78%、嵩密度:0.44g・cm))を配置し、プロトン伝導性固体電解質膜〔パーフルオロスルホン酸系樹脂膜〕1、カソード電極〔前記Pd担持カーボン粉末及び前記パーフルオロスルホン酸系樹脂〕2並びにアノード電極〔前記酸化白金粉末及び前記パーフルオロスルホン酸系樹脂〕3を備える電気化学セル8(カーボンメッシュは図示なし)を作製した。
次に、この電気化学セル8の両面を、2枚の集電材(AuをスパッタリングしたSUS316ステンレス板)、厚さ:0.1mm)9で挟持し、さらに、2枚の集電板(PtをスパッタリングしたSUS316ステンレス板)10で挟持し、前記集電板10を通電装置4(株式会社TFFケースレーインスツルメンツ社製直流電源「2400-C型汎用ソースメータ」)に電気配線5により接続した。さらに、シール材(シリコーンガスケット)11及び外枠固定具12を用いてアノード側供給流路6aとアノード側排出流路6b及びカソード側供給流路7aとカソード側排出流路7bを形成して、アノード側流路6(アノード側供給流路6aとアノード電極3とアノード側排出流路6b)及びカソード側流路7(カソード側供給流路7aとカソード電極2とカソード側排出流路7b)を備える炭化水素浄化装置(図2)を作製した。
<性能評価試験>
得られた炭化水素浄化装置の性能評価試験を行った。すなわち、アノード側供給流路6aからアノード電極3に炭化水素、水分及びヘリウムを含むアノード用供給流体(被処理供給流体)として混合ガス(C(1000ppm)+HO(5%)+He(残部))を流量60ml/minで供給し、かつ、カソード側供給流路7aからカソード電極2にカソード用供給流体として水(液体)を流量3ml/minで供給しながら、25℃でカソード電極2とアノード電極3との間に5Vと-0.5Vの電圧を3分間隔で繰返し3回ずつ印加した。3回目に5Vの電圧を印加したときのアノード側排出流路6bから排出された浄化排出流体中のC濃度を四重極型質量分析計(キヤノンアネルバテクニクス株式会社製ガス分析装置「M-201QA-TDM」)により測定した。アノード電極3に被処理供給流体として供給した前記混合ガス中のC濃度と前記浄化排出流体中のC濃度との差からC低減率を求めた。その結果を表1及び図3に示す。
(実施例2)
酸化白金粉末とパーフルオロスルホン酸系樹脂分散液の固形分との比を84.0質量%:16.0質量%に変更した以外は実施例1と同様にして、アノード電極用触媒スラリーを調製し、さらに、前記テフロン(登録商標)製シート上に前記酸化白金粉末と前記パーフルオロスルホン酸系樹脂とを含有するアノード電極(酸化白金粉末含有率:84.0質量%、前記樹脂含有率:16.0質量%)が積層されたアノード電極用シート、電解質膜・電極接合体(MEA)、及び炭化水素浄化装置を作製した。なお、前記電解質膜・電極接合体(MEA)のアノード電極中のPt含有量は7.7mgであった。得られた炭化水素浄化装置の性能評価試験を実施例1と同様にして行った。その結果を表1及び図3に示す。
(比較例1)
容量45mlのガラス容器に、パーフルオロスルホン酸系樹脂分散液(シグマアルドリッチジャパン合同会社製「ナフィオン(登録商標)分散液」、樹脂濃度:20質量%)とテフロン(登録商標)粉末(株式会社セイシン企業製「TFW-3000」)とパーフルオロスルホン酸系樹脂粉末(アルドリッチ社製「ナフィオン(登録商標)粉末」、品番:495786)と蒸留水とを入れ、さらに、実施例1と同様にしてすり潰した前記酸化白金粉末を添加し、スパチュラで攪拌しながら超音波処理(LEO社製超音波洗浄器「LEO-80」を使用)を5分間施して、前記酸化白金粉末と前記樹脂分散液の固形分とテフロン(登録商標)粉末と前記樹脂粉末との比が50.0質量%:16.7質量%:16.7質量%:16.7質量%のアノード電極用触媒スラリーを調製した。
このアノード電極用触媒スラリーを用いた以外は実施例1と同様にして、前記テフロン(登録商標)製シート上に前記酸化白金粉末と前記パーフルオロスルホン酸系樹脂粉末と前記テフロン(登録商標)粉末とを含有するアノード電極(酸化白金粉末含有率:50.0質量%、前記樹脂粉末含有率:33.3質量%、テフロン(登録商標)粉末含有率:16.7質量%)が積層されたアノード電極用シート、電解質膜・電極接合体(MEA)、及び炭化水素浄化装置を作製した。なお、前記電解質膜・電極接合体(MEA)のアノード電極中のPt含有量は3.8mgであった。得られた炭化水素浄化装置の性能評価試験を実施例1と同様にして行った。その結果を表1及び図3に示す。
(比較例2)
容量45mlのガラス容器に、パーフルオロスルホン酸系樹脂分散液(シグマアルドリッチジャパン合同会社製「ナフィオン(登録商標)分散液」、樹脂濃度:20質量%)とテフロン(登録商標)粉末(株式会社セイシン企業製「TFW-3000」)と蒸留水とを入れ、さらに、実施例1と同様にしてすり潰した前記酸化白金粉末を添加し、スパチュラで攪拌しながら超音波処理(LEO社製超音波洗浄器「LEO-80」を使用)を5分間施して、前記酸化白金粉末と前記樹脂分散液の固形分とテフロン(登録商標)粉末との比が63.7質量%:15.1質量%:21.2質量%のアノード電極用触媒スラリーを調製した。
このアノード電極用触媒スラリーを用いた以外は実施例1と同様にして、前記テフロン(登録商標)製シート上に前記酸化白金粉末と前記パーフルオロスルホン酸系樹脂と前記テフロン(登録商標)粉末とを含有するアノード電極(酸化白金粉末含有率:63.7質量%、前記樹脂含有率:15.1質量%、テフロン(登録商標)粉末含有率:21.2質量%)が積層されたアノード電極用シート、電解質膜・電極接合体(MEA)、及び炭化水素浄化装置を作製した。なお、前記電解質膜・電極接合体(MEA)のアノード電極中のPt含有量は3.2mgであった。得られた炭化水素浄化装置の性能評価試験を実施例1と同様にして行った。その結果を表1及び図3に示す。
(比較例3)
Tiメッシュ(株式会社ニラコ製「TI-458100」)に、アルゴンガス(圧力:3Pa)の雰囲気下でスパッタリング法により金属状態の白金を200nmの厚さで蒸着させてアノード電極を作製した。このアノード電極を用いた以外は実施例1と同様にして、電解質膜・電極接合体(MEA)、及び炭化水素浄化装置を作製した。得られた炭化水素浄化装置の性能評価試験を実施例1と同様にして行った。その結果を表1及び図3に示す。
(比較例4)
Tiメッシュの代わりに導電性カーボンブラック(キャボット社製「VULCAN XC-72)を用いた以外は比較例3と同様にしてアノード電極を作製した。このアノード電極を用いた以外は実施例1と同様にして、電解質膜・電極接合体(MEA)、及び炭化水素浄化装置を作製した。得られた炭化水素浄化装置の性能評価試験を実施例1と同様にして行った。その結果を表1及び図3に示す。
(比較例5)
実施例1と同様にしてすり潰した前記酸化白金粉末とパーフルオロスルホン酸系樹脂粉末(アルドリッチ社製「ナフィオン(登録商標)粉末」、品番:495786)とテフロン(登録商標)粉末(株式会社セイシン企業製「TFW-3000」)とを、前記酸化白金粉末と前記樹脂粉末とテフロン(登録商標)粉末との比が50.0質量%:33.3質量%:16.7質量%となるように混合し、得られた混合物をハンドプレスを用いて指示値100kg/cmで圧粉成型して、前記酸化白金粉末と前記パーフルオロスルホン酸系樹脂粉末と前記テフロン(登録商標)粉末とを含有するアノード電極(酸化白金粉末含有率:50.0質量%、前記樹脂粉末含有率:33.3質量%、テフロン(登録商標)粉末含有率:16.7質量%、酸化白金含有量:80mg、厚さ:約0.8mm)を作製した。
このアノード電極を用い、カソード電極とパーフルオロスルホン酸系樹脂膜とアノード電極とを熱圧着させなかった以外は実施例1と同様にして、電解質膜・電極接合体(MEA)、及び炭化水素浄化装置を作製した。得られた炭化水素浄化装置の性能評価試験を実施例1と同様にして行った。その結果を表1及び図3に示す。
表1及び図3に示したように、所定量の酸化白金粉末を含有し、フッ素樹脂粉末を含まず、プロトン伝導性固体電解質を含有するアノード電極を備える炭化水素浄化装置(実施例1~2)は、炭化水素浄化性能に優れていることが確認された。これは、酸化白金粉末を80質量%以上含有するアノード電極を用いることによって、アノード電極とプロトン伝導性固体電解質膜との界面や多孔質アノード電極内の三相界面において生成した活性酸素と炭化水素とが効率的に接触してHCの酸化浄化が進行し、また、前記アノード電極がフッ素樹脂粉末を含んでいないため、アノード電極の表面抵抗が小さくなって十分な電流が流れ、水の電気分解反応が進行して活性酸素(O)が生成したため、優れたHC低減率を示したと考えられる。
一方、酸化白金粉末とテフロン(登録商標)粉末とを含有するアノード電極を用いた場合(比較例1~2、5)には、炭化水素浄化装置の炭化水素浄化性能が、実施例1~2の炭化水素浄化装置に比べて、劣ることがわかった。これは、比較例1~2、5で用いたアノード電極は、実施例1~2で用いたアノード電極に比べて、酸化白金粉末の含有量が少ないため、水の電気分解に必要な活性点が不足し、活性酸素(O)が十分に生成せず、また、比較例5で用いたアノード電極は、テフロン(登録商標)粉末を含有しているため、アノード電極の表面抵抗が大きくなり、水の電気分解反応が進行しにくく、活性酸素(O)が十分に生成しなかったため、高いHC低減率が得られなかったと考えられる。
また、Tiメッシュや導電性カーボンブラックにPtを蒸着させたアノード電極を用いた場合(比較例3~4)には、炭化水素浄化装置の炭化水素浄化性能が極めて劣ることがわかった。これは、アノード電極に含まれる金属状態のPtが、活性酸素(O)の消失(自己分解)や酸素分子としての脱離を促進したためと考えられる。
(比較参考例1)
実施例1と同様にしてすり潰した前記酸化白金粉末を用い、前記酸化白金粉末とテフロン(登録商標)粉末(株式会社セイシン企業製「TFW-3000」)との比が50.0質量%:50.0質量%となるように混合した以外は比較例5と同様にして、前記酸化白金粉末と前記テフロン(登録商標)粉末とを含有するアノード電極(酸化白金含有量:92mg、厚さ:約0.6mm)を作製した。
(比較参考例2)
実施例1と同様にしてすり潰した前記酸化白金粉末を用い、前記酸化白金粉末と前記テフロン(登録商標)粉末との比が30.0質量%:70.0質量%となるように混合し、指示値150kg/cmで圧粉成型した以外は比較例5と同様にして、前記酸化白金粉末と前記テフロン(登録商標)粉末とを含有するアノード電極(酸化白金含有量:57mg、厚さ:約1.15mm)を作製した。
(比較参考例3)
酸化白金粉末(田中貴金属工業株式会社製「AY-1020」)の代わりに、PtO含有量が81~83質量%の酸化白金粉末(アルドリッチ社製、品番:206032-1G)を用いた以外は比較参考例1と同様にして、前記酸化白金粉末と前記テフロン(登録商標)粉末とを含有するアノード電極(酸化白金粉末含有率:50.0質量%、テフロン(登録商標)粉末含有率:50.0質量%、酸化白金含有量:80mg、厚さ:約0.8mm)を作製した。
<酸化白金の酸化状態>
表2には、各温度での白金の酸化反応(Pt+O(g)→PtO)のギブスの自由エネルギーを示す。
表2に示したように、大気中において、500℃以下では白金は酸化状態が安定であるが、600℃以上ではメタル状態が安定である。
前記酸化白金粉末について、100℃から600℃まで昇温しながら熱処理を行うと、質量が1.59質量%減少した。PtOの熱分解が進行し、600℃ではメタル状態となったと仮定すると、初期の前記酸化白金粉末は、PtO0.2程度の部分酸化物であると推察される。
<表面抵抗>
比較参考例1~3で得られたアノード電極の表面抵抗を、デジタルマルチメータ(ヒューレットパッカード社製「34401A」)とシート抵抗測定用4探針ケーブル(アステラック株式会社製「SR4-S No.33091」)を用いて2探針で測定した。その結果を表3に示す。
表3に示したように、部分酸化白金粉末とテフロン(登録商標)粉末とを含有するアノード電極(比較参考例1~2)においては、テフロン(登録商標)粉末の含有量が少ないほど、アノード電極の表面抵抗が小さくなることがわかった。このことから、フッ素樹脂粉末を含むアノード電極は、フッ素樹脂粉末の含有量が多いほど、電流が流れにくく、水の電気分解反応が進行し難いことが示唆された。
また、部分酸化白金粉末を含有するアノード電極(比較参考例1)は、PtOを主成分とする酸化白金粉末を含有するアノード電極(比較参考例3)に比べて、アノード電極の表面抵抗が小さくなることがわかった。このことから、本発明にかかるアノード電極に用いられる酸化白金粉末としては、メタル状態の特徴である電子伝導性を有する部分酸化白金粉末が好ましいことが示唆された。
以上説明したように、本発明によれば、100℃以下の低温においても高い炭化水素浄化性能を発現する炭化水素浄化装置及び炭化水素浄化方法を提供することが可能となる。
したがって、本発明の炭化水素浄化装置及びそれを用いた炭化水素浄化方法は、自動車の排ガス処理、低温排ガス処理、分散型コージェネレーションシステム、長距離トンネルや工場等の閉鎖的空間における炭化水素浄化等に使用できる。
1:プロトン伝導性固体電解質膜
2:カソード電極
3:アノード電極
4:通電装置
5:電気配線
6:アノード側流路
6a:アノード側供給流路
6b:アノード側排出流路
7:カソード側流路
7a:カソード側供給流路
7b:カソード側排出流路
8:電気化学セル
9:集電材(金属製メッシュ又は金属製薄板フィン)
10:集電板
11:シール材
12:外枠固定具

Claims (4)

  1. プロトン伝導性固体電解質膜と、
    前記プロトン伝導性固体電解質膜の一方の面上に配置された、貴金属を含有する多孔質のカソード電極と、
    前記カソード電極と対向するように前記プロトン伝導性固体電解質膜の他方の面上に配置された、酸化白金粉末を80質量%以上含有し、フッ素樹脂粉末を含まず、プロトン伝導性固体電解質を含有する多孔質のアノード電極と、
    前記カソード電極と前記アノード電極に電気的に接続された通電装置と、
    を備えていることを特徴とする炭化水素浄化装置。
  2. 前記アノード電極が、前記酸化白金粉末を80~90質量%含有するものであることを特徴とする請求項1に記載の炭化水素浄化装置。
  3. 前記酸化白金粉末が、組成式:PtO(0.1≦x≦0.3)で表される部分酸化白金粉末であることを特徴とする請求項1又は2に記載の炭化水素浄化装置。
  4. 請求項1~3のうちのいずれか一項に記載の炭化水素浄化装置の前記カソード電極と前記アノード電極との間に電圧を印加しながら、少なくとも炭化水素を含有する被処理供給流体を前記アノード電極に供給することによって、前記被処理供給流体中の炭化水素を酸化分解することを特徴とする炭化水素浄化方法。
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