JP2003001441A - 構造部材の接合方法 - Google Patents
構造部材の接合方法Info
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Abstract
る構造部材に重ね合わせ摩擦攪拌接合する構造部材の接
合方法において、軽量化や作業性の向上を図りながら、
裏当てを用いることなく欠陥のない健全な接合部を容易
に得ることができる構造部材の接合方法を提供するこ
と。 【解決手段】平面部5aを有する第1構造部材5を中空
押出形材からなる第2構造部材6に重ね合わせ、プロー
ブ3を前記第1構造部材5側から挿入し前記第2構造部
材6の長手方向へ移動しながら摩擦攪拌接合する構造部
材の接合方法において、前記第2構造部材6に、前記プ
ローブ3の押圧力による第1構造部材5および第2構造
部材6の撓みを抑える支柱6bを備えた。
Description
レーム用アルミニウム合金製構造部材を重ね合わせ接合
をする方法、特に、摩擦攪拌接合方法に関する。
軽量化の観点からアルミニウム合金が多く使用されるよ
うになってきた。このようなアルミニウム合金製構造部
材を重ね合わせ接合をする方法としては、TIG、MI
G等のアーク溶接が一般的であるが、溶接熱により接合
部近傍が軟化し強度が低下したり、熱歪みが生じ組み付
けを困難にしたりする恐れがあった。
熱量が少なく熱歪み等が生じにくい摩擦攪拌接合が提案
されている。この摩擦攪拌接合による従来の構造部材の
接合方法においては、例えば、平面板を中空押出形材か
らなる構造部材に重ね合わせ接合する際、構造部材の中
空部に裏当てを挿着することにより、構造部材の撓みや
接合部における欠陥の発生を防止するものがあった。
た従来の構造部材の接合方法のように、平面板を中空押
出形材からなる構造部材に重ね合わせ接合する際、構造
部材の中空部に裏当てを挿着すると、摩擦攪拌接合の押
圧力による構造部材の撓みや変形を防止することができ
るが、構造部材の接合ごとに裏当てを挿着するという工
程が増加し、作業が煩雑になるとともに、別途用意する
必要がある裏当ては、挿着する中空部に断面形状や大き
さに合うよう精度よく作製しなければならないという問
題があった。
中空押出形材が長手方向に長い構造部材では、裏当てを
挿着することが困難であり、裏当てなしで重ね合わせ接
合すると摩擦攪拌接合の押圧力で構造部材が撓むことに
より接合部に欠陥が発生してしまうという恐れがあっ
た。
7号公報には、複数の構造部材を突き合わせ接合する
際、構造部材の接合部の肉厚を規定して摩擦攪拌接合す
る方法が記載されており、同様に、平面部を有する構造
部材を中空押出形材からなる構造部材に重ね合わせ接合
する際は、中空押出形材の肉厚を厚くすることで摩擦攪
拌接合の押圧力による構造部材の撓みを防止することが
可能であるが、コストや軽量化で不利になるという問題
があった。
部材を中空押出形材からなる構造部材に重ね合わせ摩擦
攪拌接合する構造部材の接合方法において、軽量化や作
業性の向上を図りながら、裏当てを用いることなく欠陥
のない健全な接合部を容易に得ることができる構造部材
の接合方法を提供することを、その技術的課題とする。
決するために、本発明は、平面部を有する第1構造部材
を中空押出形材からなる第2構造部材に重ね合わせ、プ
ローブを前記第1構造部材側から挿入し前記第2構造部
材の長手方向へ移動しながら摩擦攪拌接合する構造部材
の接合方法において、前記第2構造部材に、前記プロー
ブの押圧力による第1構造部材および第2構造部材の撓
みを抑える支柱を備えたことを特徴とする構造部材の接
合方法とした。
なる第2構造部材に、プローブの押圧力による構造部材
の撓みを抑える支柱を備えたので、裏当てを用いたり構
造部材の肉厚を厚くしたりすることなく、構造部材の撓
みや変形を防止することができる。従って、摩擦攪拌接
合の押圧力で構造部材が撓むことにより発生する接合部
の欠陥を低減することが可能である。よって、軽量化や
作業性の向上を図りながら、健全な接合部を用意に得る
ことができる構造部材の接合方法を提供することができ
る。
に基づいて説明する。
る構造部材の接合方法を示すもので、図1は平面部5a
を有する第1構造部材5と中空押出形材からなる第2構
造部材6とを接合中の状態を示す斜視図、図2は第1構
造部材5と第2構造部材6とを重ね合わせた状態(接合
前)を示す横断面図(接合方向垂直の断面)、図3はプ
ローブ3を挿入して摩擦攪拌させている状態を示す縦断
面図(図2におけるA視)である。
部5aを第2構造部材6の上面6aに重ね合わせ、摩擦
攪拌接合用治具1により接合を行う。第2構造部材6
は、幅w6、高さh6の外観に支柱6bを備えた断面略
日型のアルミニウム合金製中空押出形材により形成され
ている。支柱6bは、第2構造部材6の幅方向中央に、
上面6aに対して垂直に設けられている。
柱状の回転子2と、回転子2の回転軸10上の先端に突
設されたプローブ3とで構成され、駆動装置(図示せ
ず)により高速で回転が可能である。
くとも先端は円錐状を呈している。回転子2のショルダ
ー4は、外周からプローブ3に向かって傾斜した凹面と
なっており、プローブ3の先端は球状に形成されてい
る。尚、効果的に摩擦攪拌するために、プローブ3の外
周面にねじ構造等の凹凸を形成してもよい。プローブ3
の軸方向の長さLは、平面部5aの肉厚t5aよりも長
く、肉厚t5aに上面6aの肉厚t6aを加えた値より
も短くなるように設定されている。
は、図3に示すように、回転子2及びプローブ3を高速
で回転させながら、第1構造部材5の平面部5aを第2
構造部材6の上面6aに重ね合わせた状態で、支柱6b
の上部近傍を平面部5a側より、回転子2の接合方向8
後方(図3において右側)のショルダー4aが平面部5
aに食い込む方向に回転子2及びプローブ3が平面部5
aの垂線11に対する回転軸10の傾斜角である先進角
θで傾斜して、プローブ3を第2構造部材6の上面6a
に及ぶように挿入させるとともに、回転子2のショルダ
ー4を平面部5aに接触させ、第2構造部材6の長手方
向に移動させることで摩擦攪拌接合を行う。
りプローブ3及びショルダー4と第1構造部材5及び第
2構造部材6との摺動で摩擦熱が発生し、摩擦攪拌接合
用治具1の接触部近傍の第1構造部材5及び第2構造部
材6の材料が軟化とともに攪拌及び塑性流動して、空洞
の無い接合部12が得られる。その結果、第1構造部材
5と第2構造部材6とを接合することができる。
造部材6に支柱6bを備えたので、裏当てを用いたり第
2構造部材6の肉厚を厚くしたりすることなく、プロー
ブ3の押圧力による第1構造部材5及び第2構造部材6
の撓みや変形を防止することができる。従って、第1構
造部材5及び第2構造部材6が撓むことにより発生する
接合部12の欠陥を低減することが可能となる。よっ
て、軽量化や作業性の向上を図りながら、健全な接合部
を容易に得ることができる構造部材の接合方法を提供す
ることができる。
せるために3°以上が望ましい。更に、この先進角θ及
び回転子2の直径Dは、接合部のスペースや摩擦熱によ
る影響等をも考慮し総合的に決定される。
3による接合においては、プローブ3の直径Pと支柱6
bの肉厚Tとの比であるP/Tが、4.2以下であるこ
とが望ましい。これにより、支柱6bは、プローブ3の
押圧力による第1構造部材5及び第2構造部材6の撓み
や変形を十分に抑えることができる。より好ましくは、
支柱6bの剛性を向上させるために、P/Tが1.9以
下であることが望ましい。また、軽量化の観点や第2構
造部材6の曲げ加工時の変形抵抗を考慮すると、P/T
の下限値は1以上が望ましい。尚、図2のごとく第2構
造部材6における上面6aと支柱6bとで形成される隅
部6cは、内R(曲率半径)1mm以上で形成されてい
る。
角λの円錐状を呈したプローブ3による接合において
は、プローブ3の(底円における)直径Pと支柱6bの
肉厚Tとの比であるP/Tが、5以下であることが望ま
しい。このとき傾斜角λは、10〜45°が効果的であ
る。これにより、支柱6bは、プローブ3の押圧力によ
る第1構造部材5及び第2構造部材6の撓みや変形を十
分に抑えることができる。より好ましくは、支柱6bの
剛性を向上させるために、P/Tが2.4以下であるこ
とが望ましい。また、軽量化の観点や第2構造部材6の
曲げ加工時の変形抵抗を考慮すると、P/Tの下限値は
1以上が望ましい。尚、図2のごとく第2構造部材6に
おける上面6aと支柱6bとで形成される隅部6cは、
内R(曲率半径)1mm以上で形成されている。
明する。
て、肉厚t5aが2mmのアルミニウム合金製押出板
(A6163−T5)である第1構造部材5を、表1に
示す肉厚Tの支柱6bを備えた断面略日型のアルミニウ
ム合金製中空押出形材(A6N01−T5)からなる第
2構造部材6の上面6aに重ね合わせ、第1構造部材5
の平面部5a側より、表1に示す直径Pの円柱状を呈し
たプローブ3を、先進角θが3.5°にて挿入し、回転
速度2500rpm、接合速度(移動速度)500mm
/minの条件にて摩擦攪拌接合を行った。尚、第2構
造部材の断面は、幅w6が100mm、高さh6が40
mmの外観で、上面6aの肉厚t6aが2mm、隅部6
cの内R(曲率半径)は1.5mmであり、いずれの摩
擦攪拌接合用治具1においても、回転子2の直径Dは1
3mm、ショルダー4は凹面、プローブ3の外周面はね
じ構造(ピッチ1mm)の螺旋溝、プローブ3の先端は
球状、長さLは3.5mmとした。
観及び内部を調査することにより接合性評価を行った。
例えば、接合部12の外観に欠陥が無くても内部に空洞
のような欠陥があれば接合性は大きく損なわれるので、
外観は目視にて、内部はX線透過装置及び接断面の観察
にて欠陥(空洞も含む)の有無を調べ、外観及び内部そ
れぞれにおいて、欠陥が有れば×、欠陥が認められなけ
れば○と判定した。更に、外観及び内部の接合性評価を
○と判定したものは、図5のごとく接合方向垂直の断面
において摩擦攪拌接合用治具1の回転軸10と支柱6b
の厚さ方向の中心に位置する中心軸13との距離(ずれ
量)を、0mmから1mmずつ増やして評価を実施し、
接合性評価が○となる最大の許容ずれ量Gを求めた。こ
れらの結果も、表1に併せて示した。
たプローブ3による接合において、プローブ3の直径P
と支柱6bの肉厚Tとの比であるP/Tが4.2以下で
ある実施例1〜7は、外観及び内部ともに欠陥は認めら
れず、いずれも比較例8〜9と比べて接合性の良いこと
が確認できた。それに対して、比較例8〜9は、外観及
び内部に空洞が生じており、接合性の悪いことが明らか
となった。また、実施例1〜2は、許容ずれ量Gが4m
m以上であるから、3mm以下程度のずれ量ならば、十
分に接合性を満足することがわかる。従って、より好ま
しくは、P/Tが1.9以下であることが望ましい。
角λの円錐状を呈したプローブ3を用いて、表2に示す
直径Dと肉厚Tで上述と同様にして摩擦攪拌接合を行
い、上述と同様に評価して、その結果も、表2に併せて
示した。尚、傾斜角λは40°、プローブ3の外周面は
ねじ構造(ピッチ1mm)の螺旋溝、プローブ3の先端
は半径0.5〜1.5の球状とした。
ブ3による接合において、プローブ3の(底円におけ
る)直径Pと支柱6bの肉厚Tとの比であるP/Tが5
以下である実施例10〜17は、外観及び内部ともに欠
陥は認められず、いずれも比較例18〜19と比べて接
合性の良いことが確認できた。それに対して、比較例1
8〜19は、外観に欠陥の認められない例もあるが、内
部には空洞が生じており、接合性の悪いことが明らかと
なった。また、実施例10〜12は、許容ずれ量Gが4
mm以上であるから、3mm以下程度のずれ量ならば、
十分に接合性を満足することがわかる。従って、より好
ましくは、P/Tが2.4以下であることが望ましい。
aが2mmのアルミニウム合金製鋳物材(ADC12−
T6)からなる自動車の骨格構造材であるピラー(第1
構造部材5)の平面部5aを、支柱6bを備えた肉厚t
6aが2mmの断面略日型のアルミニウム合金製押出形
材(A6163−T6)からなるフレーム(第2構造部
材6)に重ね合わせ、上述と同様にして摩擦攪拌接合す
ることができる。その結果、他のアーク溶接等の接合と
比較すると、接合による強度低下や熱歪みも少なく、優
れた性能を得ることができる。
有する構造部材を中空押出形材からなる構造部材に重ね
合わせ摩擦攪拌接合する構造部材の接合方法において、
軽量化や作業性の向上を図りながら、裏当てを用いるこ
となく欠陥のない健全な接合部を容易に得ることができ
る構造部材の接合方法を提供することが可能となる。
を示すもので、第1構造部材を第2構造部材に重ね合わ
せて接合中の状態を示す斜視図である。
状態(接合前)を示す横断面図である。
擦攪拌させている状態を示す縦断面図(図2におけるA
視)である。
を示す図である。
治具の回転軸と支柱の中心軸とに距離(ずれ量)がある
状態を示す横断面図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 平面部を有する第1構造部材を中空押出
形材からなる第2構造部材に重ね合わせ、プローブを前
記第1構造部材側から挿入し前記第2構造部材の長手方
向へ移動しながら摩擦攪拌接合する構造部材の接合方法
において、前記第2構造部材に、前記プローブの押圧力
による第1構造部材および第2構造部材の撓みを抑える
支柱を備えたことを特徴とする構造部材の接合方法。 - 【請求項2】 前記プローブは円柱状を呈しているとと
もに、前記プローブの直径(P)と前記支柱の肉厚
(T)との比(P/T)が4.2以下であることを特徴
とする請求項1に記載の構造部材の接合方法。 - 【請求項3】 前記プローブの少なくとも先端は円錐状
を呈しているとともに、前記プローブの直径(P)と前
記支柱の肉厚(T)との比(P/T)が5以下であるこ
とを特徴とする請求項1に記載の構造部材の接合方法。
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