JP2002126883A - アルミニウム材の接合方法及びアルミニウム材接合製品 - Google Patents
アルミニウム材の接合方法及びアルミニウム材接合製品Info
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Abstract
ニウム材の摩擦撹拌接合により、十分に大きな継手効率
を有する接合製品を安定して得ることの出来る技術を提
供する。 【解決手段】 接合されるべき二つのアルミニウム材1
0,12を突き合わせ、その突合せ部にピン20を回転
させつつ差し込んで、周方向に相対移動させることによ
り、突合せ部を摩擦撹拌接合した後、ピンを、突合せ部
に対する相対移動方向に対して鋭角な角度をもって交わ
る方向に沿って、二つのアルミニウム材のうちの強度に
優れる一方のアルミニウム材の外周面上を相対移動せし
めて、一方のアルミニウム材の接合部位とは異なる部位
において、一方のアルミニウム材から引き抜くようにし
た。
Description
アルミニウム材接合製品に係り、特に、摩擦撹拌接合手
法を利用したアルミニウム材の改良された接合方法と、
そのような改良された接合方法によって、アルミニウム
材を接合せしめてなる新規なアルミニウム材接合製品に
関するものである。
ウム合金からなるパイプ状乃至は中実の棒状アルミニウ
ム材を接合する方法の一つとして、摩擦圧接法が知られ
ている。この摩擦圧接法は、接合されるべきアルミニウ
ム材を互いに突き合わせて、相対的に高速回転させ、そ
れらの突合せ面に発生する摩擦熱で、それぞれの突合せ
部を軟化、溶融させて、圧接せしめる方法であり、アル
ミニウムやアルミニウム合金の溶接手法として一般に採
用されるTIGやMIG等による溶接手法とは異なっ
て、不活性ガス等を使用する必要がない等の利点がある
ものの、接合されるべきアルミニウム材のうちの一方を
高速で回転させるために、回転せしめられるアルミニウ
ム材の大きさによっては大きな装置が必要となり、ま
た、それぞれの突合せ部の溶融部分に対して、互いの突
合せ方向に圧力を掛けて、かかる溶融部分をバリとして
排出させるため、接合されるべきアルミニウム材のそれ
ぞれの長さが、接合の前後で不定量に変化してしまい、
それ故に、所望の長さの接合製品を安定して得ることが
困難となるといった欠点を、有していた。
合法であって、接合時に生ずる接合部位の熱歪みを可及
的に小さく抑え得る接合手法として知られ、従来より、
板状のアルミニウム材を接合する際に多く採用される、
所謂摩擦撹拌接合が、パイプ形状や中実の棒形状を呈す
るアルミニウム材の接合に際しても適用され始めてきて
いる。
材の二つを互いに突き合わせる一方、それら二つのアル
ミニウム材よりも硬い材質のピンが先端中心部に同心的
に設けられてなる回転冶具を高速回転せしめつつ、該ピ
ンを、該二つのアルミニウム材の突合せ部に差し込ん
で、かかる突合せ部に沿って周方向に相対移動せしめる
ことにより、それら回転せしめられるピンや回転冶具と
二つのアルミニウム材との間に摩擦熱を発生せしめ、そ
してその摩擦熱にて、突合せ部の周辺部位を塑性流動可
能な状態と為し、更にピンの高速回転による撹拌作用に
て二つのアルミニウム材の突合せ部の組織を入り交わら
せ、以て二つのアルミニウム材を溶融させることなく、
接合するのである。
されるべき二つのアルミニウム材よりも十分に小さな回
転冶具だけが高速回転せしめられるため、アルミニウム
材の大きさに拘わらず、装置全体の大きさを比較的に小
さく為すことが出来、また二つのアルミニウム材のそれ
ぞれの突合せ部に対して、互いの突合せ方向にさほど大
きな圧力が掛けられるものでないところから、接合時に
生ずるバリにより、接合の前後で、二つのアルミニウム
材の長さが不定量に変化するようなことも殆どないので
あり、以て上述の摩擦圧接法の実施時に生ずる問題が、
悉く解消され得るのである。
手法においては、二つのアルミニウム材の突合せ部の接
合終了後に、回転冶具のピンを二つのアルミニウム材の
接合部位から該ピンの軸方向に引き抜いた際に、そのピ
ンの引抜跡としての凹部が接合部位に不可避的に形成さ
れることとなるため、接合部位の接合強度が該凹部の形
成部分で低くなり、その結果、接合製品における接合部
位全体の接合強度の指標となる継手効率(継手母材とな
るアルミニウム材の引張りによる破断強度に対する接合
部位の引張りによる破断強度の割合)が著しく低下する
といった大きな問題が内在していたのである。
号公報には、パイプ状乃至は中実の棒状アルミニウム材
を接合する、上述の如き従来の摩擦撹拌接合手法の改良
法が明らかにされている。即ち、この改良法において
は、二つのアルミニウム材の突合せ部の摩擦撹拌接合終
了後に、回転冶具のピンが、一方のアルミニウム材の軸
心方向に沿って、該一方のアルミニウム材の他方のアル
ミニウム材との接合部位とは異なる部位に一体形成され
た捨肉部にまで移動せしめられ、その後、該ピンが、か
かる捨肉部から引き抜かられるようになっており、それ
によって、二つのアルミニウム材の接合部位に、該ピン
の引抜跡としての凹部が形成されることが回避され、以
て接合部位における接合強度の信頼性の向上が図られて
いるのである。
開示された摩擦撹拌接合手法によって、実際に、パイプ
形状や中実の棒形状を呈するアルミニウム材の接合を行
なったところ、かかる従来手法では、捨肉部を有するア
ルミニウム材として、展伸材に比べて生産効率の低い鋳
物材しか利用出来ないため、アルミニウム材の準備工程
における効率性が低下するといった不具合が生じ、ま
た、形成された接合製品の設置に際しての省スペース化
を図る上で、捨肉部を切削除去するための余分な工程を
行なわなければならず、それらによって、目的とするア
ルミニウム材接合製品の生産性が低下してしまうこと
が、判明したのである。
情を背景にして為されたものであって、その解決課題と
するところは、パイプ形状や中実の丸棒形状を呈するア
ルミニウム材を、摩擦撹拌接合により、接合部位の全域
において優れた接合強度をもって、効率的に接合するこ
とが出来、以て十分に大きな継手効率を有する接合製品
が、安定して、生産性良く得られるアルミニウム材の接
合方法を提供することにある。また、本発明にあって
は、パイプ形状や中実の丸棒形状を呈するアルミニウム
材が摩擦撹拌接合された製品であって、十分に大きな継
手効率が確保され得るアルミニウム材接合製品を提供す
ることを、第二の解決課題とするものである。
解決のためにパイプ状アルミニウム材と中実の棒状アル
ミニウム材とを突き合わせ、その突合せ部に対して、回
転冶具の先端部に同心的に設けたピンを、該回転冶具と
共に一体に回転させつつ差し込んで、周方向に相対移動
させることにより、かかる突合せ部を摩擦撹拌接合せし
めるようにしたアルミニウム材の接合方法において、前
記突合せ部の摩擦撹拌接合が終了した後、前記回転冶具
のピンを、前記突合せ部に対する相対移動方向に対して
鋭角な角度をもって交わる方向に沿って、前記中実の棒
状アルミニウム材の外周面上を相対移動せしめて、該棒
状アルミニウム材の前記パイプ状アルミニウム材との接
合部位とは異なる部位において、該棒状アルミニウム材
から引き抜くようにしたことを特徴とするアルミニウム
材の接合方法を、その要旨とするものである。
接合方法は、先端部にピンが設けられた回転冶具を用い
て、互いに突き合わされたパイプ状アルミニウム材と中
実の棒状アルミニウム材の突合せ部を摩擦撹拌接合する
ものであり、特に、摩擦撹拌接合の終了後に、回転冶具
のピンを、中実の棒状アルミニウム材の外周面上におけ
るパイプ状アルミニウム材との接合部位とは異なる部位
にまで相対移動させてから、該中実の棒状アルミニウム
材から引き抜くようにしたものなのである。
は、ピンの引抜き後に、その引抜跡からなる凹部が、中
実の棒状アルミニウム材の接合部位とは異なる部位に必
ず形成されることとなり、それによって、かかる凹部が
接合部位に形成されて、該接合部位の接合強度が、該凹
部の形成部分において部分的に低下したり、或いは該凹
部が、中実の棒状アルミニウム材よりも強度の低いパイ
プ状アルミニウム材の外周面上に形成されて、かかるパ
イプ状アルミニウム材が、凹部形成部分において部分的
に薄肉となり、その薄肉部において強度が著しく低下す
るようなことが有利に回避され得るのである。また、従
来手法とは異なって、ピンが引き抜かれるアルミニウム
材に対して、ピンの引抜跡を形成せしめるための捨肉部
を何等設けるものでないため、そのような捨肉部を形成
によって惹起されるアルミニウム材、ひいては目的とす
る接合製品の生産効率の低下が、極めて効果的に回避さ
れ得るのである。
記棒状アルミニウム材の外周面上でのピンの相対移動
が、棒状アルミニウム材とパイプ状アルミニウム材との
突合せ部に対するピンの相対移動方向に対して鋭角な角
度をもって交わる方向に沿って行なわれるようになって
いるところから、例えば、突合せ部の摩擦撹拌接合後
に、回転冶具のピンを、前記相対移動方向に対して直角
な方向に相対移動させる場合、換言すれば、ピンを棒状
アルミニウム材の軸心方向に沿って相対移動させる場合
とは異なって、ピンが棒状アルミニウム材の外周面上を
周方向に斜めに相対移動せしめられて、ピンが設けられ
る回転冶具が、その先端部におけるピンの移動方向の前
方側に位置する角部と、棒状アルミニウム材の外周面と
の間に常に所定の隙間を形成しつつ、相対移動せしめら
れることとなる。そのため、良好な接合状態が安定し
て、確保され得る。つまり、突合せ部の摩擦撹拌接合後
に、ピンを棒状アルミニウム材の軸心方向に相対移動さ
せる場合には、かかるピンの相対移動時に、棒状アルミ
ニウム材の外周面と回転冶具の先端角部との間に隙間が
形成されず、そのために、回転冶具の先端角部により、
棒状アルミニウム材の接合部位が削り取られて、減肉せ
しめられ、そのような接合部位の減肉部分の接合強度が
低下してしまうこととなるが、本発明手法では、そのよ
うな不具合が何等生じることがないのである。
ウム材の接合方法によれば、パイプ状アルミニウム材と
中実の丸棒状アルミニウム材とを、摩擦撹拌接合によ
り、接合部位の全域において優れた接合強度をもって、
しかも接合部位以外の部位の強度も十分に確保しつつ、
確実に効率的に接合することが出来るのであり、それに
よって、パイプ状アルミニウム材と中実の丸棒状アルミ
ニウム材とからなり、従来の摩擦撹拌接合では到底得ら
れない程の大きな継手効率を有する接合製品を、極めて
安定的に、しかも生産性良く得ることが可能となるので
ある。
課題を解決するために、互いに径の異なる中実の棒状ア
ルミニウム材の二つを突き合わせ、その突合せ部に対し
て、回転冶具の先端部に同心的に設けたピンを、該回転
冶具と共に一体に回転させつつ差し込んで、周方向に相
対移動させることにより、かかる突合せ部を摩擦撹拌接
合せしめるようにしたアルミニウム材の接合方法におい
て、前記突合せ部の摩擦撹拌接合が終了した後、前記回
転冶具のピンを、前記突合せ部に対する相対移動方向に
対して鋭角な角度をもって交わる方向に沿って、前記径
の異なる中実の棒状アルミニウム材のうち、大径の棒状
アルミニウム材の外周面上を相対移動せしめて、該大径
棒状アルミニウム材の小径棒状アルミニウム材との接合
部位とは異なる部位において、該大径棒状アルミニウム
材から引き抜くようにしたことを特徴とするアルミニウ
ム材の接合方法をも、その要旨とするものである。
接合方法にあっても、互いに径の異なる中実の棒状アル
ミニウム材の突合せ部が、先端部にピンを有する回転冶
具を用いた摩擦撹拌接合によって接合される一方、その
接合後に、ピンが、大径の棒状アルミニウム材の外周面
上を、突合せ部に対する相対移動方向に対して鋭角な角
度をもって交わる方向に沿って、小径棒状アルミニウム
材との接合部位とは異なる部位にまで相対移動せしめら
れ、その後、かかる大径棒状アルミニウム材から引き抜
かれるようになっているのである。
擦撹拌接合後におけるピンの相対移動や引抜きによっ
て、ピンの引抜跡からなる凹部や、ピンが設けられる回
転冶具により削り取られて減肉された減肉部が、接合部
位に形成されることが効果的に防止され得ると共に、か
かる凹部が、大径棒状アルミニウム材よりも強度に劣る
小径棒状アルミニウム材に形成されることも有利に回避
され得る。しかも、接合されるべき棒状アルミニウム材
には、ピンの引抜跡を形成せしめるための捨肉部は、何
等形成されていないのである。
合方法によれば、互いに径の異なる中実の棒状アルミニ
ウム材の二つを、摩擦撹拌接合により、接合部位の全域
において優れた接合強度をもって、しかも接合部位以外
の部位の強度も十分に確保しつつ、確実に且つ効率的に
接合することが出来るのであり、それによって、中実の
異径棒状アルミニウム材からなり、従来の摩擦撹拌接合
では到底得られない程の大きな継手効率を有する接合製
品を、極めて安定的に、且つ生産性良く得ることが可能
となるのである。
ム材の接合方法の好ましい態様の一つによれば、前記回
転冶具のピンの前記突合せ部に対する周方向への相対移
動が、該突合せ部に沿って360〜450°の範囲で行
なわれる一方、該突合せ部の摩擦撹拌接合終了後におけ
る、前記棒状アルミニウム材の外周面上での該ピンの相
対移動が、該ピンの該突合せ部に対する相対移動方向に
対して5〜70°の角度をもって交わる方向に沿って行
なわれることとなる。
接合の途中と終了後に、接合部位に対して、過剰な軟化
(可塑化)による悪影響が及ぼされることが有利に回避
されるばかりでなく、摩擦撹拌接合後のピンの相対移動
時に、接合部位が回転冶具の先端角部にて削り取られる
ことが、より効果的に防止され得、それによって、十分
に大きな継手効率を有する接合製品が、更に一層に確実
に且つ安定して得られることとなるのである。
の接合方法の有利な別の態様の一つによれば、前記突合
せ部の摩擦撹拌接合終了後に、前記回転冶具のピンが、
前記棒状アルミニウム材の外周面上において、該回転冶
具における前記先端部の全体が該棒状アルミニウム材の
前記接合部位に接触しない位置にまで相対移動せしめら
れ、その後、該ピンが該棒状アルミニウム材から引き抜
かれることとなる。このようにすれば、摩擦熱の影響に
よって接合部位よりも強度が低下せしめられた接合部位
の周辺部に、ピンの引抜跡からなる凹部が形成されるこ
とが有利に回避され得るのであり、それによって、かか
る凹部の形成に起因する該周辺部の強度の更なる低下が
効果的に防止され得、以て、より十分に大きな継手効率
を有する接合製品をより一層安定的に得ることが可能と
なるのである。
の課題の解決のために、パイプ状アルミニウム材と中実
の棒状アルミニウム材とを突き合わせ、その突合せ部に
対して、回転冶具の先端部に同心的に設けたピンを、該
回転冶具と共に一体に回転させつつ差し込んで、周方向
に相対移動させることにより、かかる突合せ部を摩擦撹
拌接合せしめて、構成したアルミニウム材接合製品にお
いて、前記中実の棒状アルミニウム材の外周面上におけ
る前記パイプ状アルミニウム材との接合部位とは異なる
部位に、前記回転冶具のピンを引抜いた形跡を示す引抜
跡と、該棒状アルミニウム材の周方向への該接合部位の
延出方向に対して鋭角な角度をもって交わる方向に沿っ
て、該接合部位から該引抜跡に向かって該ピンを相対移
動せしめた形跡を示す移動跡とが形成されていることを
特徴とするアルミニウム材接合製品を、その要旨とする
ものである。
ニウム材接合製品にあっては、パイプ状アルミニウム材
と中実の棒状アルミニウム材とが、摩擦撹拌接合法を利
用した突合せ接合によって形成されてなるもので、特
に、中実の棒状アルミニウム材の外周面上における接合
部位とは異なる部位に、パイプ状アルミニウム材と中実
の棒状アルミニウム材との突合せ部の摩擦撹拌接合に際
して、該突合せ部に差し込まれるピンの引抜跡としての
凹部が形成されて、構成されており、それ故に、接合部
位や、棒状アルミニウム材よりも強度に劣るパイプ状ア
ルミニウム材に、ピンの引抜跡としての凹部が形成され
てなるものに比して、優れた強度が確保され得るのであ
る。
あっては、接合部位から引抜跡に向かってピンを相対移
動せしめた形跡を示す移動跡が、中実の棒状アルミニウ
ム材の外周面上に、接合部位の周方向への延出方向に対
して鋭角な角度をもって交わる方向に沿って延びるよう
に形成されているところから、製造過程において、棒状
アルミニウム材とパイプ状アルミニウム材との摩擦撹拌
接合後にピンを引き抜くために、該ピンが棒状アルミニ
ウム材の外周面上を周方向に斜めに相対移動せしめられ
て、ピンが設けられる回転冶具が、その先端部における
ピンの相対移動方向の前方側に位置する角部と、棒状ア
ルミニウム材の外周面との間に常に所定の隙間を形成し
つつ、移動せしめられるようになっており、それによっ
て、かかる回転冶具の相対移動時に、その先端角部によ
り、棒状アルミニウム材の接合部位が削り取られて、減
肉せしめられるようなことが回避され得るようなってい
るのであり、それ故に、そのような減肉部が、接合部位
には何等形成されてはいないのである。
ウム材接合製品にあっては、パイプ状アルミニウム材と
中実の棒状アルミニウム材とが、接合部位の全域におい
て優れた接合強度をもって、しかも接合部位以外の部位
の強度も十分に確保せしめられつつ、確実に接合され得
ており、それによって、十分に大きな継手効率が確保さ
れ得るのである。
を解決するために、互いに径の異なる中実の棒状アルミ
ニウム材の二つを突き合わせ、その突合せ部に対して、
回転冶具の先端部に同心的に設けたピンを、該回転冶具
と共に一体に回転させつつ差し込んで、周方向に相対移
動させることにより、かかる突合せ部を摩擦撹拌接合せ
しめて、構成したアルミニウム材接合製品において、前
記径の異なる中実の棒状アルミニウム材のうち、大径の
棒状アルミニウム材の外周面上における、小径の棒状ア
ルミニウム材との接合部位とは異なる部位に、前記回転
冶具のピンを引抜いた形跡を示す引抜跡と、該大径棒状
アルミニウム材の周方向への該接合部位の延出方向に対
して鋭角な角度をもって交わる方向に沿って、該接合部
位から該引抜跡に向かって該ピンを相対移動せしめた形
跡を示す移動跡とが形成されていることを特徴とするア
ルミニウム材接合製品をもまた、その要旨とするもので
ある。
合製品にあっても、互いに径の異なるアルミニウム材の
二つが摩擦撹拌接合法にて接合されて成っていると共
に、優れた強度を有する大径棒状アルミニウム材の外周
面上における接合部位とは異なる部位に、ピンの引抜跡
としての凹部が形成され、更に、かかる外周面上に、接
合部位から引抜跡に向かってピンを相対移動せしめた形
跡を示す移動跡が、接合部位の周方向への延出方向に対
して鋭角な角度をもって交わる方向に沿って延びるよう
に形成されている。
材接合製品においては、互いに径の異なる中実の棒状ア
ルミニウム材の二つが、接合部位の全域において優れた
接合強度をもって、しかも接合部位以外の部位の強度も
十分に確保せしめられつつ、確実に接合され得ており、
それによって、十分に大きな継手効率が確保され得てい
るのである。
ウム材の接合方法は、パイプ状アルミニウム材と中実の
棒状アルミニウム材との接合、及び互いに径の異なる中
実の棒状アルミニウム材の接合に際して、それぞれ適用
されるものであり、また、本発明に従う構造を有するア
ルミニウム材接合製品は、そのようなアルミニウム材の
接合方法によって有利に製造されるものであるが、かか
る本発明手法に従って接合されるアルミニウム材や、本
発明に従う構造を有するアルミニウム材接合製品を与え
るアルミニウム材の材質は、特に限定されるものではな
い。即ち、本発明では、それらのアルミニウム材とし
て、アルミニウム若しくはアルミニウム合金からなるア
ルミニウム材が、適宜に選択されて、用いられるのであ
るが、その中でも、接合部位の組織変化によって、接合
強度の低下が惹起されないものが、強度維持の上で有利
に用いられる。従って、本発明おいては、例えば、Al
−Cu−Mg系(2000系)、Al−Mg−Si系
(6000系)、Al−Zn−Mg系(7000系)の
熱処理型合金からなるアルミニウム材等が、有利に用い
られるものの、それら熱処理型合金以外の非熱処理型合
金からなるアルミニウム材も、適宜に用いられ得るので
ある。
アルミニウム材と中実の棒状アルミニウム材とを用い
て、本発明に従う構造を有するアルミニウム材接合製品
を得る際には、先ず、図1に示されるように、パイプ状
アルミニウム材10と中実の棒状アルミニウム材12と
を、それぞれの端面同士において同軸的に突き合わせた
状態下で、位置固定に保持せしめる一方、それら接合さ
れるべき二つのアルミニウム材10,12の突合せ部1
4から所定距離隔てた位置において、回転冶具16を高
速回転させる。
として、先端面の中央部に、パイプ状アルミニウム材1
0の内孔内に嵌合可能な嵌合突起18が一体形成された
ものが、有利に用いられている。つまり、この嵌合突起
18をパイプ状アルミニウム材10内に挿入せしめるこ
とによって、パイプ状アルミニウム材10と棒状アルミ
ニウム材12の突合せ状態下で、それら二つのアルミニ
ウム材10,12が、確実且つ簡単に同軸的に位置せし
められるようになっているのである。
ム製の板材同士を摩擦撹拌接合する際等において一般に
用いられるものと同様なものが使用される。即ち、ここ
で用いられる回転冶具16は、先端部に、所定高さを有
するピン20が同心的に一体形成されると共に、該先端
部が、平坦な端面を備えたショルダ部22とされてい
る。そして、基部側において、図示しない、従来と同様
な回転駆動装置に取り付けられていることによって、ピ
ン20と一体で、軸心回りに高速回転せしめられるよう
になっている。
6を、図1に示される位置から、同軸的に突き合わされ
たパイプ状アルミニウム材10と棒状アルミニウム材1
2との突合せ部14に向かって移動させることにより、
かかる突合せ部14に、該回転治具16のピン20を押
し付けて、図2に示されるように、回転冶具16のショ
ルダ部22が突合せ部14の周辺部に接触するまで、該
ピン20を突合せ部14に差し込む(突き刺す)。
の間や、ショルダ部20と突合せ部14の周辺部との間
で摩擦熱を発生させて、それら突合せ部14とその周辺
部を可塑化(軟化)せしめ、更に、ピン14の高速回転
に伴う撹拌作用にて、突合せ部14を形成するパイプ状
アルミニウム材10と棒状アルミニウム材12のそれぞ
れの端部部位の組織を入り混じり合せ、以て、突合せ部
14におけるピン20の差込部分を摩擦撹拌接合する。
アルミニウム材10,12よりも硬い材料を用いて形成
されているため、ピン20やショルダ部22が殆ど消耗
することがない。また、棒状アルミニウム材12の嵌合
突起18がパイプ状アルミニウム材10の内孔内に挿入
位置せしめられているため、回転治具16の突合せ部1
4に対する押付け力によって、パイプ状アルミニウム材
10の端部が変形せしめられることも、有利に阻止され
る。なお、嵌合突起18を何等有しない棒状アルミニウ
ム材10を用いる場合には、例えば、かかる嵌合突起1
8の代わりに、適当な中子をパイプ状アルミニウム材1
0の端部の内孔内に挿入すれば、回転治具16の押付け
力による該パイプ状アルミニウム材10の端部の変形を
回避することが出来る。
部14に差し込んだピン20を、回転治具16と共に一
体に高速回転させながら、突合せ部14に沿って、周方
向に移動させる。そして、このピン20の突合せ部14
に沿った周方向への移動に伴って、突合せ部14を周方
向に向かって徐々に摩擦撹拌接合してゆくことにより、
パイプ状アルミニウム材10と棒状アルミニウム材12
とに跨がる接合部位24を、突合せ部14に沿って周方
向に延びるように形成する。
沿った移動は、該突合せ部14を全周にわたって摩擦撹
拌接合するために、突合せ部14に沿って1周以上、換
言すれば、突合せ部14に沿って、少なくとも360°
行われることとなるが、そのようなピン20の突合せ部
14に沿った移動が5/4周を越えた場合、つまり、4
50°を越えて行われると、かかるピン20の移動によ
って形成される接合部位24に対して、ピン20や前記
ショルダ部22との間で生ずる摩擦熱による可塑化(軟
化)の悪影響が広がって、かかる接合部位24の接合強
度が極端に低下する。そのため、ピン20の突合せ部1
4に沿った周方向への移動は、360〜450°の範囲
内で行われることが望ましいのである。また、接合部位
24の接合強度をより十分に確保する上においては、ピ
ン20の突合せ部14に対する相対移動が、360〜4
00°の範囲内で行われることが、より好ましい。な
お、ピン20を突合せ部14に沿って移動させる代わり
に、或いはそれと共に、互いに突き合わされた二つのア
ルミニウム材10,12を軸心回りに一体回転せしめ
て、それら二つのアルミニウム材10,12とピン20
とを、突合せ部14に沿って相対移動させるようにして
も良いのである。
14に沿って周方向に相対移動せしめることにより、突
合せ部14を全周にわたって摩擦撹拌接合せしめて、接
合部位24を突合せ部14に沿って全周に形成した後、
突合せ部14からピン20を引き抜くのであるが、ここ
では、その前に、ピン20が、接合部位24の終端部か
ら棒状アルミニウム材12側に向かって周方向に斜めに
移動せしめられることとなる。
を、突合せ部14に沿った移動方向(図4において矢印
アにて示される方向)に対して鋭角な角度をもって交わ
る方向(図4において矢印イにて示される方向)に沿っ
て、棒状アルミニウム材12の外周面上を移動せしめ、
その後、かかる棒状アルミニウム材12の外周面上から
回転治具16を離隔せしめることにより、ピン20を、
棒状アルミニウム材12の接合部位24とは異なる部位
において、該棒状アルミニウム材12から引き抜くので
ある。
は、ピン20の突合せ部14に沿った移動方向(図4に
おいて矢印アにて示される方向)に対して5〜70°の
角度をもって交わる方向に沿って行われることとなる。
即ち、突合せ部14の摩擦撹拌接合時におけるピン20
の移動方向とかかる摩擦撹拌接合終了後におけるピン2
0の移動方向との交角(図4においてθ1 にて示され
る角)の大きさが5〜70°とされていることが、望ま
しいのである。
である場合、ピン20が、棒状アルミニウム材12の接
合部位24とは異なる部位から引き抜かれるように為す
ために、ピン20を、接合部位24の終端部から、周方
向に長い距離を移動させなければならなくなり、そうす
ると、摩擦撹拌接合終了からピン20を引き抜くまでに
余分な時間が掛かって、目的とするアルミニウム材接合
製品を得る上での生産性(接合効率)や経済性が低下す
るばかりでなく、回転治具16との接触時間の延長に伴
う入熱の増大により、接合部位24に対して過剰な可塑
化(軟化)による悪影響を及ぼす恐れが生じることとな
るからである。また、かかる交角:θ1が70°を越え
る場合には、ピン20の移動時において、回転治具16
のショルダ部22と接合部位24との間に形成される隙
間が極端に小さくなり、そのため、かかるショルダ部2
2にて接合部位24の表面が削り取られて、該接合部位
24に減肉部分が生じ、その結果、そのような減肉部分
において、接合部位24の接合強度が著しく低下してし
まうことがあるからである。
了後におけるピン20の移動は、棒状アルミニウム材1
2の外周面上において、ショルダ部22が、接合部位2
4に接触しない位置に達するまで継続せしめられること
が、望ましいのである。このようにすれば、高速回転せ
しめられる回転治具16のショルダ部22との接触によ
り生ずる摩擦熱の影響によって接合部位24よりも強度
が低下せしめられた接合部位24の周辺部において、ピ
ン20が引き抜かれることが有利に回避されるため、後
述する如き凹所形態を呈するピン20の引抜跡30が、
かかる接合部位24の周辺部に形成されて、該周辺部の
強度の更なる低下が惹起されるようなことが効果的に阻
止されることとなるからである。
接合終了後におけるピン20の移動に際しても、突合せ
部14の摩擦撹拌接合時におけるピン20の移動と同様
に、ピン20を棒状アルミニウム材12の外周面上にお
いて移動させる代わりに、或いはそれと共に、棒状アル
ミニウム材12(アルミニウム材接合製品26)を軸心
回りに一体回転せしめて、該棒状アルミニウム材12を
ピン20に対して相対移動させるようにしても良いので
ある。
終了後に、ピン20を、棒状アルミニウム材12の外周
面上における接合部位24とは異なる部位にまで移動さ
せてから引き抜くことによって、パイプ状アルミニウム
材10と中実の棒状アルミニウム材12とが同軸上に突
き合わされた状態で一体的に接合された、目的とするア
ルミニウム材接合製品26を得るのである。そして、図
4からも明らかなように、かかるアルミニウム材接合製
品26にあっては、外周面上に、パイプ状アルミニウム
材10と中実の棒状アルミニウム材12とに跨る接合部
位24が、全周にわたって周方向に連続して延びるよう
に形成されると共に、その接合部位24の終端部から棒
状アルミニウム材12の外周面上を前記ピン20が移動
した形跡を示す移動跡28が、該棒状アルミニウム材1
2の外周面上を、接合部位24の延出方向に対して鋭角
な角度をもって交わる方向に沿って延びるように形成さ
れ、更に、パイプ状アルミニウム材10よりも強度に優
れた棒状アルミニウム材12の外周面における接合部位
24とは異なる部位において、移動跡28の末端に、ピ
ン20が引き抜かれた形跡を示す引抜跡30が、ピン2
0の形状に対応した凹所形態をもって形成されることと
なるのである。
るアルミニウム材接合製品26において、凹所形態を有
するピン20の引抜跡30の形成による接合強度の低下
や、ピン20の移動に伴う減肉部の発生等のない堅牢な
接合部位24が形成され、しかもかかるピン20の引抜
跡30の形成に起因するパイプ状アルミニウム材10の
強度の低下等も回避され得るのであり、従って、従来の
摩擦撹拌接合では到底得られない程の大きな継手効率を
有するアルミニウム材接合製品26が、極めて安定的に
且つ効率的に得られることとなるのである。
を有するパイプ状アルミニウム材10と中実の棒状アル
ミニウム材12とを用いてアルミニウム材接合製品26
が形成されていたが、目的とするアルミニウム材接合製
品を、小径のパイプ状アルミニウム材とそれよりも径の
大きな中実の棒状アルミニウム材を用いて形成したり、
或いは大径のパイプ状アルミニウム材とそれよりも径の
小さな中実の棒状アルミニウム材を用いて形成すること
も、可能である。但し、それら異径のパイプ状アルミニ
ウム材と中実の棒状アルミニウム材とを用いる場合に
は、それらの突合せ部に差し込まれたピン20の撹拌作
用が健全に実施されて、十分な接合強度を有する接合部
位が形成され得るように為す上で、それら異径のパイプ
状アルミニウム材と中実の棒状アルミニウム材との径の
差が10mm以内とされていることが、望ましい。
中実の棒状アルミニウム材同士を摩擦撹拌接合するに際
して、本発明手法を適用した別の実施形態が示されてい
る。そこにおいて、32は、中実の小径棒状アルミニウ
ム材であり、また34は、中実の大径棒状アルミニウム
材である。そして、図5からも明らかなように、それら
二つの棒状アルミニウム材32,34は、先ず、それぞ
れの端面同士において同軸的に突き合わされた状態下
で、位置固定に保持せしめられる一方、それら二つの棒
状アルミニウム材32,34の突合せ部36から所定距
離隔てた位置において、前記実施形態で用いられるもの
と同様な構造の回転治具16が、高速回転せしめられる
こととなる。なお、ここで用いられる異径の棒状アルミ
ニウム材32,34としては、十分な接合強度を有する
接合部位を得る上で、互いの径の差が10mm以内とさ
れていることが、望ましい。
形態と同様にして、回転治具16のピン20を、高速回
転下で、小径及び大径棒状アルミニウム材32,34の
突合せ部36に差し込み、該突合せ部36に沿って周方
向に移動させることにより、突合せ部36を周方向に向
かって徐々に摩擦撹拌接合する。ここでも、前記実施形
態に示される如き理由から、ピン20が、有利には、突
合せ部36に沿って360〜450°の範囲で移動せし
められることとなる。なお、ここでは、回転冶具16と
して、ピン20の長さが所定寸法長くされている以外、
前記実施形態で用いられる回転冶具16と同様な構造を
有するものが用いられている。
36を全周にわたって摩擦撹拌接合して、接合部位24
を突合せ部36に沿って全周に形成した後、ピン20
を、突合せ部36に沿った移動方向(図7において矢印
ウにて示される方向)に対して鋭角な角度をもって交わ
る方向(図7において矢印エにて示される方向)に沿っ
て、大径棒状アルミニウム材34の外周面上を移動せし
め、その後、該ピン20を、大径棒状アルミニウム材3
4の接合部位24とは異なる部位から引き抜くのであ
る。
施形態と同様な理由から、大径棒状アルミニウム材34
の外周面上において、ショルダ部22が、接合部位24
に接触しない位置に達するまで継続せしめられること
が、望ましいのであり、また有利には、ピン20の突合
せ部36に沿った移動方向(図7において矢印ウにて示
される方向)に対して5〜70°の角度をもって交わる
方向に沿って行われることとなる。即ち、突合せ部36
の摩擦撹拌接合時におけるピン20の移動方向とかかる
摩擦撹拌接合終了後におけるピン20の移動方向との交
角(図7においてθ2 にて示される角)の大きさが5
〜70°とされていることが、好ましいのである。
ルミニウム材32,34が摩擦撹拌接合されてなる目的
とするアルミニウム材接合製品38を得るのである。そ
して、この接合製品38にあっては、図7からも明らか
なように、外周面上に、中実の小径棒状アルミニウム材
32と中実の大径棒状アルミニウム材34とに跨る接合
部位24が、全周にわたって周方向に連続して延びるよ
うに形成されると共に、その接合部位24の終端部から
大径棒状アルミニウム材34の外周面上を前記ピン20
が移動した形跡を示す移動跡28が、該大径棒状アルミ
ニウム材34の外周面上を、接合部位24の延出方向に
対して鋭角な角度をもって交わる方向に沿って延びるよ
うに形成され、更に、小径棒状アルミニウム材32より
も強度に優れた大径棒状アルミニウム材34の外周面に
おける接合部位24とは異なる部位において、移動跡2
8の末端に、ピン20が引き抜かれた形跡を示す引抜跡
30が、ピン20の形状に対応した凹所形態をもって形
成されることとなるのである。
得られるアルミニウム材接合製品38において、凹所形
態を有するピン20の引抜跡30の形成による接合強度
の低下や、ピン20の移動に伴う減肉部の発生等のない
堅牢な接合部位24が形成され、しかもかかるピン20
の引抜跡30の形成に起因するパイプ状アルミニウム材
10の強度の低下等も回避され得るのであり、従って、
従来の摩擦撹拌接合では到底得られない程の大きな継手
効率を有するアルミニウム材接合製品38が、極めて安
定的に且つ効率的に得られることとなるのである。
発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明
が、それらの実施例の記載によって、何等の制約をも受
けるものでないことは、言うまでもないところである。
また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記
した具体的構成以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限
りにおいて、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修
正、改良等を加えた態様において実施され得るものであ
ることが理解されるべきである。
mの厚さとを有するパイプ状アルミニウム材(6061
−T6材)と、該パイプ状アルミニウム材と同一の材質
からなり、一端面に、22mmと30mmの長さを有す
る嵌合突起が一体形成された、外径が30mmの中実の
丸棒状アルミニウム材とを準備した。
ニウム材と中実の丸棒状アルミニウム材とを、該丸棒状
アルミニウム材の嵌合突起をパイプ状アルミニウム材の
内孔内に挿入せしめつつ、互いに同軸上で突き合わせた
後、図2に示される如き形態において、先端部にピンが
設けられた回転冶具を高速回転させつつ、かかる回転冶
具のピンを二つのアルミニウム材の突合せ部に差し込ん
で、その突合せ部に沿って周方向に移動させることによ
り、それらパイプ状アルミニウム材と中実の丸棒状アル
ミニウム材とを摩擦撹拌接合した。そして、この摩擦撹
拌接合の終了後に、ピンを、突合せ部に沿った移動方向
に対して45°の角度で、中実の丸棒状アルミニウム材
側に向かって周方向に斜めに移動させ、該丸棒状アルミ
ニウム材の外周面上において、接合部位における幅方向
の中心から軸心方向に30mm離隔せしめられた部位か
らピンを引き抜いて、目的とするアルミニウム材接合製
品を得た。
0mmの先端部の端面に、直径が3mmで、高さが4.
5mmのピンが同心的に設けられてなる構造を有する回
転冶具を、1000rpmの回転数で回転させつつ、外
周で120mm/分の速度で、周方向に400°移動さ
せて、接合せしめる条件で行なった。
接合製品と、それの母材の一方たるパイプ状アルミニウ
ム材とに対する軸方向への引張試験を、従来法に従って
それぞれ行なった。その結果、アルミニウム材接合製品
の引張強さは202MPaで、パイプ状アルミニウム材
の引張強さは304MPaであった。また、これらの測
定値を基に算出したアルミニウム材接合製品の継手効率
は66%であり、一般的な突合せ継手の強度の指標とな
る60%を十分に越える値となった。なお、パイプ状ア
ルミニウム材の耐力は272MPaで、伸びは17%で
あった。また、アルミニウム材接合製品の破断位置は、
接合部位の周辺部であった。
mの厚さとを有するパイプ状アルミニウム材(6061
−T6材)と、該パイプ状アルミニウム材と同一の材質
からなり、一端面に、22mmと20mmの長さを有す
る嵌合突起が一体形成された、外径が32mmの中実の
丸棒状アルミニウム材とを準備した。
を前記実施例1と同様にして、摩擦撹拌接合した。そし
て、この摩擦撹拌接合の終了後に、ピンを、突合せ部に
沿った移動方向に対して45°の角度で、丸棒状アルミ
ニウム材側に向かって周方向に斜めに移動させ、該丸棒
状アルミニウム材の外周面上において、接合部位におけ
る幅方向の中心から軸心方向に30mm離隔せしめられ
た部位からピンを引き抜いて、目的とするアルミニウム
材接合製品を得た。なお、ここでの摩擦撹拌接合は、直
径が10mmの先端部の端面に、直径が3mmで、高さ
が6.5mmのピンが同心的に設けられてなる構造を有
する回転冶具を、1000rpmの回転数で回転させつ
つ、外周で120mm/分の速度で、周方向に400°
移動させて、接合せしめる条件で行なった。
接合製品と、それの母材の一方たるパイプ状アルミニウ
ム材とに対する軸方向への引張試験を、従来法に従っ
て、それぞれ行なった。その結果、アルミニウム材接合
製品の引張強さは242MPaで、パイプ状アルミニウ
ム材の引張強さは304MPaであった。また、これら
の測定値を基に算出したアルミニウム材接合製品の継手
効率は81%であり、一般的な突合せ継手の強度の指標
となる60%よりも著しく高い値となった。なお、この
アルミニウム材接合製品の破断位置も、接合部位の周辺
部であった。
の丸棒状アルミニウム材(6061−T6材)と、この
丸棒状アルミニウム材と同一の材質からなるものの、外
径が24mmであるの中実の丸棒状アルミニウム材とを
準備した。
を前記実施例1と同様にして、摩擦撹拌接合した。そし
て、この摩擦撹拌接合の終了後に、ピンを、突合せ部に
沿った移動方向に対して45°の角度で、大径丸棒状ア
ルミニウム材側に向かって周方向に斜めに移動させ、こ
の大径丸棒状アルミニウム材の外周面上において、接合
部位における幅方向の中心から軸心方向に30mm離隔
せしめられた部位からピンを引き抜いて、目的とするア
ルミニウム材接合製品を得た。なお、ここでの摩擦撹拌
接合は、直径が12mmの先端部の端面に、直径が4m
mで、高さが10mmのピンが同心的に設けられてなる
構造を有する回転冶具を、1000rpmの回転数で回
転させつつ、外周で120mm/分の速度で、周方向に
400°移動させて、接合せしめる条件で行なった。
接合製品と、それの母材の一方たる小径丸棒状アルミニ
ウム材とに対する軸方向への引張試験を、従来法に従っ
て、それぞれ行なった。その結果、アルミニウム材接合
製品の引張強さは197MPaで、小径丸棒状アルミニ
ウム材の引張強さは304MPaであった。また、これ
らの測定値を基に算出したアルミニウム材接合製品の継
手効率は65%であり、一般的な突合せ継手の強度の指
標となる60%を十分に越える値となった。なお、小径
丸棒状アルミニウム材の耐力は272MPaで、伸びは
17%であった。また、このアルミニウム材接合製品の
破断位置は、ピンの引抜き部であった。 [比較例1]また、比較のために、前記実施例1におい
て用いられたパイプ状アルミニウム材と中実の丸棒状ア
ルミニウム材とをそれぞれ準備し、それら二つのアルミ
ニウム材を前記実施例1と同様にして、それと同一の条
件で摩擦撹拌接合した後、ピンを接合部位の終端部から
軸方向に引き抜いて、該接合部位にピンの引抜跡が設け
られたアルミニウム材接合製品を得た。
接合製品と、それの母材の一方たる小径丸棒状アルミニ
ウム材とに対する軸方向への引張試験を、従来法に従っ
て、それぞれ行なった。その結果、アルミニウム材接合
製品の引張強さは175MPaで、小径丸棒状アルミニ
ウム材の引張強さは304MPaであった。また、これ
らの測定値を基に算出したアルミニウム材接合製品の継
手効率は57%であり、一般的な突合せ継手の強度の指
標となる60%を下回る値となった。なお、このアルミ
ニウム材接合製品の破断位置は、ピンの引抜き部を含む
接合部位と母材との境界部分であった。
実施例3において用いられた互いに径の異なる中実の丸
棒状アルミニウム材をそれぞれ準備し、それら二つのア
ルミニウム材を前記実施例3と同様にして、それと同一
の条件で摩擦撹拌接合した後、ピンを接合部位の終端部
から軸方向に引き抜いて、該接合部位にピンの引抜跡が
設けられたアルミニウム材接合製品を得た。
接合製品と、それの母材の一方たる小径丸棒状アルミニ
ウム材とに対する軸方向への引張試験を、従来法に従っ
て、それぞれ行なった。その結果、アルミニウム材接合
製品の引張強さは152MPaで、小径丸棒状アルミニ
ウム材の引張強さは304MPaであった。また、これ
らの測定値を基に算出したアルミニウム材接合製品の継
手効率は50%であり、一般的な突合せ継手の強度の指
標となる60%を大きく下回る値となった。なお、この
アルミニウム材接合製品の破断位置は、ピンの引抜き部
であった。
明に従うアルミニウム材の接合方法によれば、互いに径
の異なる中実の棒状アルミニウム材同士、或いはパイプ
状アルミニウム材と中実の丸棒状アルミニウム材とを、
摩擦撹拌接合により、接合部位の全域において優れた接
合強度をもって、しかも接合部位以外の部位の強度も十
分に確保しつつ、確実に且つ効率的に接合することが出
来るのであり、それによって、互いに径の異なる中実の
棒状アルミニウム材同士、或いはパイプ状アルミニウム
材と中実の丸棒状アルミニウム材とからなり、従来の摩
擦撹拌接合では到底得られない程の大きな継手効率を有
する接合製品を、極めて安定的に、且つ生産性良く得る
ことが可能となるのである。
品にあっては、互いに径の異なる中実の棒状アルミニウ
ム材同士、或いはパイプ状アルミニウム材と中実の棒状
アルミニウム材とが、接合部位の全域において優れた接
合強度をもって、しかも接合部位以外の部位の強度も十
分に確保せしめられつつ、確実に接合され得るのであ
り、それによって、十分に大きな継手効率が確保され得
ることとなるのである。
と中実の棒状アルミニウム材と摩擦撹拌接合する工程の
一例を示す説明図であって、それら二つのアルミニウム
材を突き合わせた状態を示している。
と中実の棒状アルミニウム材と摩擦撹拌接合する工程の
別の例を示す説明図であって、それら二つのアルミニウ
ム材を突合せ部に回転冶具のピンを差し込んだ状態を示
している。
と中実の棒状アルミニウム材と摩擦撹拌接合する工程の
更に別の例を示す説明図であって、回転冶具のピンを突
合せ部に沿って移動せしめて、周方向に延びる接合部位
を形成した状態を示している。
と中実の棒状アルミニウム材と摩擦撹拌接合する工程の
他の例を示す説明図であって、回転冶具のピンを引き抜
いて、目的とするアルミニウム材接合製品を形成した状
態を示している。
棒状アルミニウム材同士を摩擦撹拌接合する工程の一例
を示す説明図であって、図1に対応する図である。
棒状アルミニウム材同士を摩擦撹拌接合する工程の別の
例を示す説明図であって、図2に対応する図である。
棒状アルミニウム材同士を摩擦撹拌接合する工程の他の
例を示す説明図であって、図4に対応する図である。
ミニウム材 14,36 突合せ部 16 回転冶具 18 嵌合突起 20 ピン 22 ショルダ部 26,38 アル
ミニウム材接合製品 28 移動跡 30 引抜跡 32 小径棒状アルミニウム材 34 大径棒状ア
ルミニウム材
Claims (6)
- 【請求項1】 パイプ状アルミニウム材と中実の棒状ア
ルミニウム材とを突き合わせ、その突合せ部に対して、
回転冶具の先端部に同心的に設けたピンを、該回転冶具
と共に一体に回転させつつ差し込んで、周方向に相対移
動させることにより、かかる突合せ部を摩擦撹拌接合せ
しめるようにしたアルミニウム材の接合方法において、 前記突合せ部の摩擦撹拌接合が終了した後、前記回転冶
具のピンを、前記突合せ部に対する相対移動方向に対し
て鋭角な角度をもって交わる方向に沿って、前記中実の
棒状アルミニウム材の外周面上を相対移動せしめて、該
棒状アルミニウム材の前記パイプ状アルミニウム材との
接合部位とは異なる部位において、該棒状アルミニウム
材から引き抜くようにしたことを特徴とするアルミニウ
ム材の接合方法。 - 【請求項2】 互いに径の異なる中実の棒状アルミニウ
ム材の二つを突き合わせ、その突合せ部に対して、回転
冶具の先端部に同心的に設けたピンを、該回転冶具と共
に一体に回転させつつ差し込んで、周方向に相対移動さ
せることにより、かかる突合せ部を摩擦撹拌接合せしめ
るようにしたアルミニウム材の接合方法において、 前記突合せ部の摩擦撹拌接合が終了した後、前記回転冶
具のピンを、前記突合せ部に対する相対移動方向に対し
て鋭角な角度をもって交わる方向に沿って、前記径の異
なる中実の棒状アルミニウム材のうち、大径の棒状アル
ミニウム材の外周面上を相対移動せしめて、該大径棒状
アルミニウム材の小径棒状アルミニウム材との接合部位
とは異なる部位において、該大径棒状アルミニウム材か
ら引き抜くようにしたことを特徴とするアルミニウム材
の接合方法。 - 【請求項3】 前記回転冶具のピンの前記突合せ部に対
する周方向への相対移動を、該突合せ部に沿って360
〜450°の範囲で行なう一方、該突合せ部の摩擦撹拌
接合終了後における、前記棒状アルミニウム材の外周面
上での該ピンの相対移動を、該ピンの該突合せ部に対す
る相対移動方向に対して5〜70°の角度をもって交わ
る方向に沿って行なうようにしたことを特徴とする請求
項1又は請求項2に記載のアルミニウム材の接合方法。 - 【請求項4】 前記突合せ部の摩擦撹拌接合終了後に、
前記回転冶具のピンを、前記棒状アルミニウム材の外周
面上において、該回転冶具における前記先端部の全体が
該棒状アルミニウム材の前記接合部位に接触しない位置
にまで相対移動せしめ、その後、該ピンを該棒状アルミ
ニウム材から引き抜くようにしたことを特徴とする請求
項1乃至請求項3の何れかに記載のアルミニウム材の接
合方法。 - 【請求項5】 パイプ状アルミニウム材と中実の棒状ア
ルミニウム材とを突き合わせ、その突合せ部に対して、
回転冶具の先端部に同心的に設けたピンを、該回転冶具
と共に一体に回転させつつ差し込んで、周方向に相対移
動させることにより、かかる突合せ部を摩擦撹拌接合せ
しめて、構成したアルミニウム材接合製品において、 前記中実の棒状アルミニウム材の外周面上における、前
記パイプ状アルミニウム材との接合部位とは異なる部位
に、前記回転冶具のピンを引抜いた形跡を示す引抜跡
と、該棒状アルミニウム材の周方向への該接合部位の延
出方向に対して鋭角な角度をもって交わる方向に沿っ
て、該接合部位から該引抜跡に向かって該ピンを相対移
動せしめた形跡を示す移動跡とが形成されていることを
特徴とするアルミニウム材接合製品。 - 【請求項6】 互いに径の異なる中実の棒状アルミニウ
ム材の二つを突き合わせ、その突合せ部に対して、回転
冶具の先端部に同心的に設けたピンを、該回転冶具と共
に一体に回転させつつ差し込んで、周方向に相対移動さ
せることにより、かかる突合せ部を摩擦撹拌接合せしめ
て、構成したアルミニウム材接合製品において、 前記径の異なる中実の棒状アルミニウム材のうち、大径
の棒状アルミニウム材の外周面上における、小径の棒状
アルミニウム材との接合部位とは異なる部位に、前記回
転冶具のピンを引抜いた形跡を示す引抜跡と、該大径棒
状アルミニウム材の周方向への該接合部位の延出方向に
対して鋭角な角度をもって交わる方向に沿って、該接合
部位から該引抜跡に向かって該ピンを相対移動せしめた
形跡を示す移動跡とが形成されていることを特徴とする
アルミニウム材接合製品。
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---|---|---|---|
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