JP2002543043A - D型アミノ酸を含む、ベータアミロイドペプチドの凝集のモジュレータ - Google Patents

D型アミノ酸を含む、ベータアミロイドペプチドの凝集のモジュレータ

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Abstract

(57)【要約】 天然βアミロイドペプチドの凝集を調節する化合物を提供する。本発明のモジュレータは、D型アミノ酸から成るペプチドを含む。好ましくは、ペプチドは、3から5個のD型アミノ酸残基を含み、D型ロイシン、D型フェニルアラニン及びD型バリンのうちのいずれかから個別に選択される少なくとも二つのD型アミノ酸残基を含む。特に好適な実施例では、ペプチドがβアミロイドペプチドのレトロ−インベルソ異性体であり、好ましくはAβ17-21のレトロ−インベルソ異性体である。ペプチドはアミノ末端、カルボキシ末端又は両方で修飾される。好適なアミノ末端修飾基はアルキル基である。好適なカルボキシ末端修飾基には、アミド基、アセテート基、アルキルアミド基、アリールアミド基、又は、ヒドロキシ基が含まれる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 発明の背景 アルツハイマー病(AD)は、1907年にバイエルンの精神科医、アロイス
・アルツハイマー医師によって初めて記述された疾患であり、短期の記憶喪失に
始まり、進行して見当識障害、判断力及び理性の喪失、及び、最終的には痴呆に
もつながる進行性の神経障害である。この疾患の経過は通常、発症後4年から1
2年の間に、重篤な脆弱化した不動の状態で死に至る。ADには、65歳以上の
人口の5から11パーセント、そして86歳以上の人口では47パーセントもが
罹患すると推定されている。ADに対応するための社会的コストは年間8500
億ドルを超えるが、これは主に、AD患者には広汎な保護的ケアが必要だからで
ある。さらに、1940年代及び1950年代のベビーブームに生まれた成人が
、ADが多くなる年齢にさしかかるにつれ、ADの抑制及び治療が、より大きな
保健上の問題になるであろう。現在では、この疾患の進行を有意に遅らせる治療
法はない。ADに関する総説については、Selkoe, D.J.Sci.Amer.,1991年11月
、p.p.68-78及びYankner,B.A.等(1991)N.Eng.J.Med.325:1849-1857を参照された
い。
【0002】 最近、アルツハイマー型の神経病理をトランスジェニック・マウスで発生させ
たという報告があった(Games等(1995)Nature 373:523-527)このトランスジェニ
ック・マウスは高レベルのヒト変異アミロイド前駆体タンパクを発現し、ADに
伴う病的状態の多くを発症する。
【0003】 病理学的には、ADは、その患者の脳内に顕著な病変の存在があることを特徴
とする。このような脳の病変には、神経原線維濃縮体(NTF)と呼ばれる異常
な細胞内フィラメントや、アミロイド形成性タンパク質の老人班又はアミロイド
斑への細胞外沈着がある。またアミロイド沈着物は、AD患者の脳血管壁にも存
在する。アミロイド斑の主要なタンパク質構成成分は、β−アミロイドペプチド
(β−AP)と呼ばれる4キロダルトンのペプチドであると同定されている(Gl
enner,G.G.及びWong,C.W.(1984)Biochem.Biophys.Res.Commun.120:885-890;Mast
ers,C.等(1985)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:4245-4249)。β−APの広汎性の沈
着は正常な成人脳でもよく観察されるが、一方、ADの脳組織は、より小型の、
密に詰まったコアβ−アミロイド斑を特徴とする。(例えばDavies,L.等(1988)N
eurology 38:1688-1693を参照されたい)。これらの観察は、β−APの沈着が
、ADで起きるニューロンの破壊に先行して起き、かつそれに寄与していること
を示唆している。β−APの直接的な病理的役割をさらに裏付けるものとして、
β−アミロイドは、培養株及びイン・ビボの両方で、成熟ニューロンに対して毒
性であることが示されている。Yankner,B.A.等(1989)Science245:417-420;Yankn
er,B.A.等(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:9020-9023;Roher,A.E.等(1991)Bio
chem.Biophys.Res.Commun.174:572-579;Kowall,N.W.等(1991)Proc.Natl.Acad.S
ci.USA88:7247-7251。更に、大脳皮質及び脳血管系内の広汎性β−アミロイド沈
着により特徴付けられる遺伝性のアミロイドーシスオランダ型を伴う脳溢血(H
CHWA−D)の患者は、β−AP内のアミノ酸置換へとつながる点突然変異を
有することが示された。Levy,E.等(1990)Science 248:1124-1126。この観察は
、β−APの配列の特定の変化がβ−アミロイドの沈着を引き起こすことを示し
ている。
【0004】 天然β−APは、アミロイド前駆体タンパク質(APP)と呼ばれるずっと大き
いタンパク質から加水分解によって誘導される。Kang,J.等(1987)Nature 325:7
33;Goldgaber,D.等(1987)Science 235:877;Robakis,N.K.等(1987)Proc.Natl.Aca
d.Sci.USA 84:4190;Tanzi,R.E.等(1987)Science235:880。APP遺伝子は、第2
1染色体にマップされるが、このことは、第21染色体のトリソミーにより引き
起こされるダウン症候群の個人において若年齢で見られるβ−アミロイド沈着に
対する説明となる。Mann,D.M.等(1989)Neuropathol.Appl.Neurobiol.15:317;Rum
ble,B.等(1989)N.Eng.J.Med.320:1446。APPは、単一の膜貫通ドメインと、細
胞外環境へ伸びる長いアミノ末端領域(このタンパク質の約2/3)及び細胞質中
に突き出た、より短いカルボキシ末端領域を含む。APPメッセンジャーRNA
の選択的スプライシングから、563アミノ酸(APP−563)、695アミノ
酸(APP−695)、714アミノ酸(APP−714)、751アミノ酸(AP
P−751)又は770アミノ酸(APP−770)の何れかからなる少なくとも
5つの型のAPPができる。
【0005】 APP内で、天然発生型のβ−アミロイドペプチドは、APP−770のアミ
ノ酸位置672のアスパラギン酸残基で始まる。APPのタンパク質分解ででき
た天然β−APは、不均一性を示すカルボキシ末端の終点に応じて39〜43ア
ミノ酸残基長である。ADの患者及び正常の成人の両方の血液及び脳脊髄液中で
優勢な循環型のβ−APは、β1−40(「ショートβ」)である。Seubert,P.
等(1992)Nature 359:325;Shoji,M.等(1992)Science 258:126。しかしながら、
β1−42及びβ1−43(「ロングβ」)も又、アミロイド斑中の型である。Ma
sters,C.等(1985)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:4245;Miller,D.等(1993)Arch.
Biochem.Biophys.301:41;Mori,H.等(1992)J.Biol.Chem.267:17082。β−APP
の凝集及び沈着へと導く正確な分子機構は未知であるが、このプロセスは、核形
成依存性の重合(例えば、タンパク質結晶化、微小管形成及びアクチン重合)のそ
れになぞらえられてきた。例えば、Jarrett,J.T.及びLansbury,P.T.(1993)Cell
73:1055-1058を参照されたい。かかるプロセスにおいて、モノマー成分の重合は
、核形成までは、生じない。従って、これらのプロセスは、凝集が起きるまでの
遅延時間とそれに続く核形成後の急速な重合により特徴付けられる。核形成は、
急速な重合を生じる「種」又は予備形成した核の添加により加速することができ
る。β−APのロングβ型は、種として作用し、それにより、ロング及びショー
トβ−AP型の両方の重合を加速することが示されている。Jarrett,J.T.等(19
93)Biochemistry32:4693。
【0006】 β−AP中にアミノ酸置換を作成したある研究において、2つの変異型βペプ
チドが、変異型のペプチドと非変異型のペプチドを混合したときに、非変異型の
β−APの重合を邪魔することが報告された。Hilbich,C.等(1992)J.Mol.Biol.
228:460-473。等モル量の変異した及び変異してない(即ち、天然の)β−アミロ
イドペプチドを用いてこの効果を見て、これらの変異したペプチドは、イン・ビ
ボでの使用に適さないことが報告された。Hilbich,C.等(1992)、前出。
【0007】 発明の概要 本発明は、天然β−アミロイドペプチド(β−AP)に結合し、天然β−AP
の凝集を調節し、及び/又は、天然β−APの神経毒性を阻止することのできる
化合物、及び、その製薬組成物に関するものである。前記化合物は、生物学的安
定性を高め、上昇した血漿レベルを長引かせるような態様で、修飾される。本発
明のβ−アミロイドモジュレータ化合物は、完全にD型アミノ酸から構成された
、好ましくはβ−アミロイドペプチドに基づく、ペプチド構造を含む。様々な実
施例では、前記モジュレータ化合物のペプチド構造は、天然β−APに見られる
L型アミノ酸配列に対応するD型アミノ酸配列、天然β−APに見られるL型ア
ミノ酸配列のインベルソ異性体であるD型アミノ酸配列、天然β−APに見られ
るL型アミノ酸配列のレトロ−インベルソ異性体であるD型アミノ酸配列、又は
、天然β−APに見られるL型アミノ酸配列がスクランブルされた又は置換され
たものであるD型アミノ酸配列、を含む。好ましくは、前記モジュレータのD型
アミノ酸ペプチド構造は、アミノ酸配列Leu-Val-Phe-Phe-Ala(SEQ ID NO:4)を
有する、天然β−APの位置17−21(それぞれAβ17-20及びAβ17-21)に
ある小領域に基づいてデザインされるとよい。好適な実施例では、本発明の化合
物中のフェニルアラニンは、例えば酸化的代謝に対してより安定であるか、もし
くはその影響を受けにくいような、又は当該化合物の脳内レベルが高くなるよう
な、フェニルアラニン類似体に置換される。
【0008】 さらに別の実施例では、本発明のモジュレータ化合物には、ヒドラジン部分に
結合させた、D型アミノ酸、L型アミノ酸もしくは両方から成るβ−アミロイド
ペプチド、β−アミロイドペプチドのインベルソ異性体、又は、β−アミロイド
ペプチドのレトロ−インベルソ異性体が含まれ、この場合、前記化合物は、天然
β−アミロイドペプチドに接触させたときに、その天然β−アミロイドペプチド
に結合するか、又は、天然β−アミロイドペプチドの凝集を調節するか、又は、
その天然β−アミロイドペプチドの神経毒性を阻止する。
【0009】 本発明のモジュレータ化合物は、好ましくは、3から20個のD型アミノ酸、
より好ましくは3から10個のD型アミノ酸、そしてさらにより好ましくは3か
ら5個のD型アミノ酸を含む。前記モジュレータのD型アミノ酸ペプチド構造は
、遊離したアミノ末端、カルボキシ末端、又は、カルボキシアミド末端を有して
いてもよい。あるいは、前記アミノ末端、カルボキシ末端、又は、その両方、を
修飾してもよい。例えば、Aβ凝集を阻止する上での当該化合物の能力を高める
N末端修飾基を用いてもよい。さらに、(例えば安定性、生物学的利用能、例え
ば血液脳関門を通過して脳内に進入する当該化合物送達度の向上、等々)当該化
合物の薬物動態性を変えるために、当該ペプチドのアミノ末端及び/又はカルボ
キシ末端を修飾してもよい。好適なアミノ末端修飾基には、アルキル基、例えば
メチル基、エチル基、又はイソプロピル基など、がある。好適なカルボキシル末
端修飾基には、アミド基、アルキルもしくはアリールアミド基(例えばフェネチ
ルアミド)、ヒドロキシ基(即ち、ペプチド酸を還元してペプチドアルコールを
生じる場合の生成物)、アシルアミド基、及び、アセチル基、がある。さらに、
モジュレータ化合物を修飾して、検出可能な物質(例えば放射性標識)で当該化
合物を標識してもよい。
【0010】 いくつかの好適な実施例では、本発明は構造:N,N-ジメチル-(Gly-D-Ala-D-Ph
e-D-Phe-D-Val-D-Leu)-NH2; N,N-ジメチル-(D-Ala-D-Phe-D-Phe-D-Val-D-Leu)-N
H2; N-メチル-(Gly-D-Ala-D-Phe-D-Phe-D-Val-D-Leu)-NH2; N-エチル-(Gly-D-Al
a-D-Phe-D-Phe-D-Val-D-Leu)-NH2; N-イソプロピル-(Gly-D-Ala-D-Phe-D-Phe-D-
Val-D-Leu)-NH2; H-(D-Leu-D-Val-D-Phe-D-Phe-D-Ala)-イソプロピルアミド; H-
(D-Leu-D-Val-D-Phe-D-Phe-D-Ala)-ジメチルアミド; N,N-ジエチル-(Gly-D-Ala-
D-Phe-D-Phe-D-Val-D-Leu)-NH2; N,N-ジエチル-(D-Ala-D-Phe-D-Phe-D-Val-D-Le
u)-NH2; N,N-ジメチル-(D-Leu-D-Val-D-Phe-D-Phe-D-Leu)-NH2; N,N-ジメチル-(
D-Leu-D-Val-D-Phe-D-Phe-D-Leu)-NH2; N,N-ジメチル-(D-Leu-D-Phe-D-Phe-D-Va
l-D-Leu)-NH2; H-(Gly-D-Leu-D-Val-D-Phe-D-Phe-D-Leu)-NH2; N-エチル-(Gly-D
-Leu-D-Val-D-Phe-D-Phe-D-Leu)-NH2; N-エチル-(Gly- D-Leu-D-Phe-D-Phe-D-Va
l-D-Leu)-NH2; N-メチル-(D-Leu-D-Phe-D-Phe-D-Val-D-Leu)-NH2; N-エチル-(D-
Leu-D-Val-D-Phe-D-Phe-D-Leu)-NH2; N-プロピル-(D-Leu-D-Val-D-Phe-D-Phe-D-
Leu)-NH2; N,N-ジエチル-(Gly-D-Leu-D-Val-D-Phe-D-Phe-D-Leu)-NH2; H-(D-Ile
-D-Val-D-Phe-D-Phe-D-Ile)-NH2; H-(D-Ile-D-Val-D-Phe-D-Phe-D-Ala-)-NH2; H
-( D-Ile- D-Ile-D-Phe-D-Phe- D-Ile)-NH2; H-(D-Nle-D-Val-D-Phe-D-Phe-D-Al
a-)-NH2; H-(D-Nle-D-Val-D-Phe-D-Phe-D-Nle)-NH2; 1-ピペリジン-アセチル-(D
-Leu-D-Val-D-Phe-D-Phe-D-Leu)-NH2; 1-ピペリジン-アセチル-(D-Leu-D-Phe-D-
Phe-D-Val-D-Leu)-NH2; H-D-Leu-D-Val-D-Phe-D-Phe-D-Leu-イソプロピルアミド
; H-D-Leu-D-Phe-D-Phe-D-Val-D-Leu-イソプロピルアミド; H-(D-Leu-D-Val-D-P
he-D-Phe-D-Leu)-メチルアミド; H-(D-Leu-D-Phe-D-Phe-D-Val-D-Leu)-メチルア
ミド; H-(D-Leu-D-Val-D-Phe-D-Phe-D-Leu)-OH; N-メチル-(D-Leu-D-Val-D-Phe-
D-Phe-D-Leu)-NH2; H-(D-Leu-D-Val-D-Phe-D-Cha-D-Leu)-NH2; H-(D-Leu-D-Val-
D-Phe-D-[p-F]Phe-D-Leu)-NH2; H-(D-Leu-D-Val-D-Phe-D-[F5]Phe-D-Leu)-NH2;
H-(D-Leu-D-Phe-D-Cha-D-Val-D-Leu)-NH2; H-(D-Leu-D-Phe- D-[p-F]Phe-D-Val-
D-Leu)-NH2; H-(D-Leu-D-Phe- D-[F5]Phe-D-Val-D-Leu)-NH2; H-(D-Leu-D-Phe-D
-Lys-D-Val-D-Leu)-NH2; H-(D-Leu-D-Cha-D-Phe-D-Val-D-Leu)-NH2; H-(D-Leu-D
-[p-F]Phe-D-Phe-D-Val-D-Leu)-NH2; H-(D-Leu-D-[F5]Phe-D-Phe-D-Val-D-Leu)-
NH2; H-(D-Leu- D-Lys-D-Phe-D-Val-D-Leu)-NH2; H-(D-Leu-D-Cha-D-Cha-D-Val-
D-Leu)-NH2; H-(D-Leu- D-[p-F]Phe-D-[p-F]Phe-D-Val-D-Leu)-NH2; H-(D-Leu-D
-[F5]Phe-D-[F5]Phe-D-Val-D-Leu)-NH2; H-(D-Leu- D-Lys- D-Lys-D-Val-D-Leu)
-NH2; N-メチル-(D-Leu-D-Val-D-Phe-D-Cha-D-Leu)-NH2; N-メチル-(D-Leu-D-Va
l-D-Phe-D-[p-F]Phe-D-Leu)-NH2; N-メチル-(D-Leu-D-Val-D-Phe-D-[F5]Phe-D-L
eu)-NH2; H-D-Leu-D-Val-D-Phe-NH-(H-D-Leu-D-Val-D-Phe-)NH; H-D-Leu-D-Val-
D-Phe-NH-NH-COCH3; 及びH- D-Leu-D-Val-D-Phe-NH-NH2を有する化合物を提供
するものである。
【0011】 本発明の化合物で特に好適なものについては、実施例の項で記述する。
【0012】 本発明の別の態様は、製薬組成物に関する。典型的には、前記製薬組成物は、
治療上有効量の本発明のモジュレータ化合物と、薬学的に容認可能な担体と、を
含む。
【0013】 本発明のさらに別の態様は、天然β−アミロイドペプチドの凝集を阻止する方
法に関する。これらの方法は、天然β−アミロイドペプチドの凝集が阻止される
よう、天然β−アミロイドペプチドを本発明のモジュレータ化合物に接触させる
ステップを含む。
【0014】 本発明のさらに別の態様は、生物学的試料中の天然β−アミロイドペプチドの
存在又は不存在を検出する方法に関する。これらの方法は、生物学的試料を本発
明の化合物に接触させるステップであって、前記化合物に、検出可能な物質の標
識が付けられている、ステップと、天然β−アミロイドペプチドに結合した前記
化合物を検出し、それにより、前記生物学的試料中の天然β−アミロイドペプチ
ドの存在又は不存在を検出するステップと、を含む。
【0015】 本発明のさらに別の態様は、β−アミロイド症に伴う障害について被験者を処
置する方法に関する。これらの方法は、β−アミロイド症に伴う障害について被
験者が処置されるよう、被験者に、治療上有効量の本発明のモジュレータ化合物
を投与するステップを含む。好ましくは、前記障害がアルツハイマー病であると
よい。β−アミロイド症に伴う障害の治療に、又は、β−アミロイド症に伴う障
害の処置のための医薬製造に、本発明のモジュレータを利用することも、本発明
の包含するところである。
【0016】 発明の詳細な説明 本発明は、天然β−アミロイドペプチドに結合する、天然β−アミロイドペプ
チド(β−AP)の凝集を調節する、及び/又は、天然β−APの神経毒性を阻
止する、ことのできる化合物、及びその製薬組成物に関するものである。前記化
合物は、生物学的安定性を高め、高められた血漿レベルを長引かせるような態様
で修飾される。天然β−APの凝集を調節する本発明の化合物は、ここでは互換
可能にβ−アミロイドモジュレータ化合物、β−アミロイドモジュレータ、又は
、単にモジュレータとも言及されており、当該モジュレータを天然β−APに接
触させたときに、天然β−APの凝集を変えるものである。このように、本発明
の化合物は、β−APの天然の凝集プロセス又は速度を変えるよう作用すること
で、このプロセスを破壊する。好ましくは、前記化合物はβ−APの凝集を阻止
するとよい。本発明の化合物は、完全にD型アミノ酸残基から成るペプチド構造
を含むことを特徴とする。このペプチド構造は、好ましくはβ−アミロイドペプ
チドに基づくものであるとよく、そして、例えば、天然β−APに見られるL型
アミノ酸配列に対応するD型アミノ酸配列、天然β−APに見られるL型アミノ
酸配列のインベルソ異性体であるD型アミノ酸配列、天然β−APに見られるL
型アミノ酸配列のレトロ−インベルソ異性体であるD型アミノ酸配列、又は、天
然β−APに見られるL型アミノ酸配列がスクランブルされた又は置換されたも
のであるD型アミノ酸配列、を含むことができる。好適な実施例では、本発明の
化合物中のフェニルアラニンは、例えば酸化的代謝に対してより安定な、かつ、
その影響を受けにくいフェニルアラニン類似体に置換される。
【0017】 本発明は、遊離したアミノ末端、カルボキシ末端、又はカルボキシアミド末端
を有するD型アミノ酸ペプチド構造を含むモジュレータ化合物や、ペプチド構造
のアミノ末端、カルボキシ末端、及び/又は、側鎖が修飾されているようなモジ
ュレータ化合物を包含する。
【0018】 本発明のβ−アミロイドモジュレータ化合物は、それらが持つ天然β−アミロ
イドペプチドに結合する能力、イン・ビトロで天然β−アミロイドペプチドの凝
集を調節する能力、及び/又は、(例えば神経毒性アッセイ、核形成アッセイ、
又は、原線維結合アッセイなど、ここで説明するアッセイを用いて)培養細胞で
天然β−AP原線維の神経毒性を阻止する能力に基づいて、選抜することができ
る。好適なモジュレータ化合物は、天然β−APの凝集を阻止する、及び/又は
、天然β−APの神経毒性を阻止する、ものである。しかしながら、これらの特
性の一方又は両方に基づいて選抜されたモジュレータ化合物は、アミロイド症の
処置に有利かも知れない更なる特性をイン・ビボで有するものでもよい(J. S.
Pachter 等 (1998) "Aβ1-40 induced neurocytopathic activation of human m
onocytes is blocked by Aβ peptide aggregation inhibitors." Neurobiology
of Aging (Abstracts: The 6th International Conference on Alzheimer's D
isease and Related Disorders, Amsterdam, 18-23 July 1998) 19, S128 (Abst
ract 540); R. Weltzein, A. 等 (1998) "Phagocytosis of Beta-Amyloid: A Po
ssible Requisite for Neurotoxicity." J. Neuroimmunology (Special Issue:
Abstracts of the International Society of Neuroimmunology Fifth Interna
tional Congress, Montreal, Canada, 23-27 August 1998) 1998, 90, 32 (Abst
ract 162))。例えば、前記モジュレータ化合物は、(直接的又は間接的プロテ
アーゼ阻害により)又は、イン・ビボで生体内で毒性β−AP又はその他のAP
Pフラグメントを生ずるプロセスの調節により、天然β−APのプロセッシング
に干渉するものでもよい。あるいは、イン・ビトロでのAβ凝集の阻止ではなく
、これら後者の特性に基づいてモジュレータ化合物を選抜してもよい。さらに、
天然β−APとの相互作用に基づいて選抜された、本発明のモジュレータ化合物
は、さらに、APP又はその他のAPPフラグメントと相互作用してもよい。さ
らに、本発明のモジュレータ化合物は、β−アミロイド原線維の凝集を有意に変
化させることなくβ−アミロイド原線維に結合するその能力に基づいて、特徴付
けることができる(この能力は、例えば当該化合物を放射性標識し、当該化合物
をβ−アミロイド斑に接触させ、β−APの病的形態である斑などに結合した当
該化合物を例えば撮像などによって計数又は検出することによって、調べること
ができる)。β−アミロイド原線維の凝集を有意に変化させることなくβ−アミ
ロイド原線維に効率的に結合するような化合物を用いて、例えば、β−アミロイ
ド原線維を(例えばここでさらに説明するように診断目的で)検出することがで
きる。しかしながら、β−アミロイド原線維に結合する、及び/又は、それらの
凝集を調節する上での、特定の化合物の能力は、その化合物の濃度に依存して異
なる場合があることは、理解されよう。従って、低濃度のときには、β−アミロ
イド原線維の凝集を変化させることなく、それらに結合する化合物であっても、
高濃度のときには、原線維の凝集を阻止するかも知れない。β−アミロイド原線
維に結合する、及び/又は、原線維の凝集を調節する、という特性を有するこの
ような化合物はすべて、本発明に包含されるものとして、意図されている。
【0019】 ここで用いられる、β−アミロイド凝集の「モジュレータ」とは、天然β−ア
ミロイドペプチドに接触させたときに、天然β−アミロイドペプチドの凝集を変
化させる作用薬を言うものとして、意図されている。「β−アミロイドペプチド
の凝集」という用語は、ペプチドが相互に会合して多量体の、概ね不溶性の錯体
を形成するプロセスを言う。「凝集」という用語はさらに、β−アミロイドの原
線維形成を包含するものとして意図されており、β−アミロイド斑も包含する。
【0020】 ここでは互換可能に用いられている「天然β−アミロイドペプチド」、「天然
β−AP」及び「天然Aβペプチド」という用語は、β−AP凝集及びβ−アミ
ロイド症に関与するβ−アミロイド前駆体タンパク質(APP)の自然発生型の
タンパク質分解開裂生成物を包含するものとして、意図されている。これらの天
然ペプチドには、39から43個のアミノ酸を有するβ−アミロイドペプチド(
即ちAβ1-39、Aβ1-40、Aβ1-41、Aβ1-42及びAβ1-43)が含まれる。天然
β−APのアミノ末端アミノ酸残基は、770個のアミノ酸残基型のアミロイド
前駆体タンパク質(「APP−770」)の位置672にあるアスパラギン酸残
基に相当する。43個のアミノ酸ロング型の天然β−APはアミノ酸配列 DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKGAIIGLMVGGVVIAT (SEQ ID NO:1とも示す)を有
するが、より短い型は、カルボキシ末端から削除した1から4個のアミノ酸残基
を有する。APP−770の、位置672(即ち天然β−APのアミノ末端)か
らそのC末端まで(103個のアミノ酸)のアミノ酸配列をSEQ ID NO:2に示す
。ここで説明する凝集アッセイに用いるのに好適な型の天然β−APは、Aβ −40 又はAβ1−42である。
【0021】 本発明のモジュレータの存在下では、天然β−アミロイドペプチドの凝集は「
変更」又は「調節」される。様々な型の用語「変更」又は「調節」も、β−AP
凝集の阻止及びβ−AP凝集の促進の両方を包含するものとして、意図されてい
る。天然β−APの凝集は、当該モジュレータの不存在下でのβ−APの凝集量
及び/又は凝集速度に比較して、β−APの凝集量及び/又は凝集速度に減少が
あったときに、当該モジュレータの存在下で「阻止された」とされる。凝集の阻
止は、実施例の項で説明するような凝集アッセイを用い、凝集にかかる遅延時間
の倍増としてか、又は、凝集の全体的プラトーレベル(即ち凝集の全体量)の低
下として、定量することができる。様々な実施例では、本発明のモジュレータは
、当該化合物がβ−APに対して一モル等量であるとき、凝集遅延時間を少なく
とも1.2倍、1.5倍、1.8倍、2倍、2.5倍、3倍、4倍又は5倍に増
加させるものである。その他の様々な実施例では、本発明のモジュレータは、凝
集のプラトーレベルを、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、
75%又は100%、阻止するものである。
【0022】 β−AP凝集を阻止するモジュレータ(阻止的モジュレータ化合物)を用いて
、β−アミロイド沈着の開始を妨げる又は遅らせることができる。好ましくは、
本発明の阻止的モジュレータ化合物は、天然Aβペプチドの神経毒性凝集体の形
成及び/又は活性を阻止するものであるとよい(即ち、前記阻止的化合物を用い
て、β−APの神経毒性を阻止できるとよい)。さらに、本発明の阻止的化合物
によって、既に形成されたβ−AP凝集体の神経毒性を減じることができるが、
このことは、この阻止的モジュレータが、既に形成されたβ−AP原線維又は可
溶性の凝集体に結合してそれらの固有神経毒性を調節できること、又は、このモ
ジュレータが、単量体型のβ−APと凝集型のβ−APとの間にある平衡を、非
毒性型を優先する態様で乱すことができること、を示唆している。
【0023】 あるいは、別の実施例では、本発明のモジュレータ化合物は、天然Aβペプチ
ドの凝集を促進するものである。様々な型の用語「促進」は、このモジュレータ
の不存在下でのβ−APの凝集量及び/又は凝集の割合に比較して、このモジュ
レータの存在下でβ−APの凝集量及び/凝集の割合に増加があることを言う。
Aβ凝集を促進するこのような化合物は、刺激的モジュレータ化合物と言及され
ている。刺激的モジュレータ化合物は、例えばβ−APの凝集が有害でないかも
知れない生物区画にβ−アミロイドペプチドを封鎖し、それによりβ−APの凝
集が有害である生物区画からβ−APを枯渇させるのに、有用かも知れない。さ
らに、刺激的モジュレータ化合物を用いて、イン・ビトロ凝集アッセイ(例えば
例2の項に記載したアッセイなど)でAβ凝集を促進することができ、このイン
・ビトロ凝集アッセイは、例えば、このAβ凝集を阻止するか又は反転させるこ
とのできるテスト化合物に関するスクリーニング・アッセイ(即ち、刺激的モジ
ュレータ化合物が、Aβ凝集体の形成を促進する「種」として作用できる場合)
である。
【0024】 好適な実施例では、本発明のモジュレータは、モル過剰量の天然β−APに接
触させたときにβ−AP凝集を変化させることができる。「モル過剰量の天然β
−AP」とは、モジュレータのモル濃度よりも大きな、β−APのモル濃度を言
う。例えば、モジュレータ及びβ−APが両方とも1μMの濃度で存在する場合
、これらは「等モル」であると言い、他方、モジュレータが1μMの濃度で存在
し、β−APが5μMの濃度で存在する場合、このβ−APはモジュレータに比
較して5倍のモル過剰量、存在すると言う。好適な実施例では、本発明のモジュ
レータは、天然β−APがモジュレータ濃度に比較して少なくとも2倍、3倍又
は5倍モル過剰で存在するとき、天然β−AP凝集を変化させるのに効果的であ
る。別の実施例では、このモジュレータは、天然β−APがモジュレータ濃度に
比較して少なくとも10倍、20倍、33倍、50倍、100倍、500倍又は
1000倍モル過剰で存在するとき、β−AP凝集を変化させるのに効果的であ
る。
【0025】 ここで用いられる「完全にD型アミノ酸から成るβ−アミロイドペプチド」と
いう用語は、本発明のモジュレータに用いられる場合、APP中の天然配列のア
ミノ酸配列に同一なアミノ酸配列を有するペプチドだけでなく、許容可能なアミ
ノ酸置換がその天然配列から行われており、しかし天然β−APに存在する天然
L型アミノ酸ではなく、D型アミノ酸から成るペプチドも包含するものとして、
意図されている。許容可能なアミノ酸置換とは、天然β−AP凝集を変化させる
という、そのD型アミノ酸含有ペプチドの能力に影響を与えない、及び/又は、
その能力を高めるかも知れないものである。さらに、いくつかのアミノ酸置換は
、天然β−AP凝集を変化させるそのペプチドの能力に貢献したり、及び/又は
、更なる有利な性質(例えば可溶性の向上、その他のアミロイドタンパク質との
会合の減少、等々)をそのペプチドにもたらすかも知れない。親ペプチドに見ら
れるのと同一のアミノ酸配列を有するが、全L型アミノ酸が全D型アミノ酸に置
換されているようなペプチドは、さらに「インベルソ」化合物とも言及されてい
る。例えば、親ペプチドがThr-Ala-Tyrである場合、そのインベルソ型はD-Thr-D
-Ala-D-Tyrである。
【0026】 ここで用いられる「β−アミロイドペプチドのレトロ−インベルソ異性体」と
いう用語は、本発明のモジュレータに用いられる場合、当該アミノ酸の配列が、
天然β−AP中の配列に比較して反転されており、全L型アミノ酸がD型アミノ
酸に置換されているようなペプチドを包含するものとして、意図されている。例
えば、親ペプチドがThr-Ala-Tyrである場合、そのレトロ−インベルソ型はD-Tyr
-D-Ala-D-Thrである。親ペプチドに比べ、レトロ−インベルソペプチドは、反転
した骨格を持ち、しかし元の側鎖の空間的コンホメーションを概ね維持している
ため、親ペプチドに近似したトポロジーを有するレトロ−インベルソ異性体とな
っている。Goodman 等 "Perspectives in Peptide Chemistry" pp. 283-294 (19
81)を参照されたい。「レトロ−インベルソ」ペプチドの更なる解説については
、Sistoの米国特許第4,522,752も参照されたい。
【0027】 多様なその他の態様の本発明のモジュレータ、及びその利用を、以下の項でさ
らに詳細に説明する。
【0028】 I モジュレータ化合物 一実施例では、本発明のモジュレータ化合物はβ−アミロイドペプチドを包含
して成るが、このβ−アミロイドペプチドは、完全にD型アミノ酸から成り、前
記化合物は、天然β−アミロイドペプチドに接触させたときに、天然β−アミロ
イドペプチドに結合するか、又は、天然β−アミロイドペプチドの凝集を調節す
るか、又は、その神経毒性を阻止する。好ましくは、前記モジュレータのβ−ア
ミロイドペプチドは、3から20個のD型アミノ酸、より好ましくは3から10
個のD型アミノ酸、そしてさらにより好ましくは3から5個のD型アミノ酸から
成るとよい。好適な実施例では、本発明の化合物中のフェニルアラニンは、例え
ば酸化的代謝に対してより安定である、かつ、より影響を受けないフェニルアラ
ニン類似体に置換される。
【0029】 実施例の一つでは、モジュレータのβ−アミロイドペプチドを、例えばメチル
、エチル、もしくはプロピル基など、C1からC6の低級アルキル基などのアル
キル基;又は、環式、ヘテロ環式、多環式又は分枝式アルキル基などのアルキル
基を含む修飾基で、アミノ末端修飾する。適したN末端修飾基の例を、以下の項
IIでさらに詳述する。別の実施例では、モジュレータのβ−アミロイドペプチ
ドにカルボキシ末端修飾し、例えば当該モジュレータが、ペプチドアミド、ペプ
チドアルキルもしくはアリールアミド(例えばペプチドフェネチルアミド)又は
ペプチドアルコールを含んでいてもよい。適したC末端修飾基の例を、以下の項
II及びIIIにさらに解説する。モジュレータのβ−アミロイドペプチドは、
β−AP凝集又は神経毒性を変化させるそのモジュレータの能力を高めるよう、
修飾してもよい。加えて、又は、代替的に、モジュレータの薬物動態特性を変更
したり、及び/又は、検出可能な物質(以下の項IIIにさらに説明する)でモ
ジュレータを標識するために、モジュレータのβ−アミロイドペプチドを修飾し
てもよい。
【0030】 別の実施例では、本発明のモジュレータ化合物は、β−アミロイドペプチドの
レトロ−インベルソ異性体を包含して成り、この場合、前記化合物は、天然β−
アミロイドペプチドに接触させたときに、天然β−アミロイドペプチドに結合す
るか、又は、天然β−アミロイドペプチドの凝集を調節するか、又は、その神経
毒性を阻止する。好ましくは、前記β−アミロイドペプチドのレトロ−インベル
ソ異性体は、3から20個のD型アミノ酸、より好ましくは3から10個のD型
アミノ酸、そしてさらにより好ましくは3から5個のD型アミノ酸から成るとよ
い。好適な実施例では、本発明の化合物中のフェニルアラニンは、例えば酸化的
代謝に対してより安定である、かつ、より影響を受けないフェニルアラニン類似
体に置換される。
【0031】 実施例の一つでは、このレトロ−インベルソ異性体を、例えばメチル、エチル
もしくはプロピル基など、C1からC6の低級アルキル基などのアルキル基;又
は、環式、ヘテロ環式、多環式又は分枝式アルキル基などのアルキル基を含む修
飾基で、アミノ末端修飾する。適したN末端修飾基の例を、以下の項IIでさら
に詳述する。別の実施例では、このレトロ−インベルソ異性体に、例えばアミド
基、アルキルもしくはアリールアミド基(例えばフェネチルアミド)、又はヒド
ロキシ基(即ち、ペプチド酸を還元してペプチドアルコールを生じる場合の生成
物)でカルボキシ末端修飾してもよい。適したC末端修飾基の例を、以下の項I
I及びIIIにさらに解説する。このレトロ−インベルソ異性体は、β−AP凝
集又は神経毒性を変化させるそのモジュレータの能力を高めるよう、修飾しても
よい。加えて、又は、代替的に、モジュレータの薬物動態特性を変化させたり、
及び/又は、検出可能な物質(以下の項IIIにさらに説明する)でモジュレー
タを標識するために、このレトロ−インベルソ異性体を修飾してもよい。
【0032】 さらに別の実施例では、本発明のモジュレータ化合物には、ヒドラジン部分に
結合させた、完全にもしくは部分的にD型アミノ酸から成るβ−アミロイドペプ
チド、β−アミロイドペプチドのインベルソ異性体、又は、β−アミロイドペプ
チドのレトロ−インベルソ異性体が含まれ、この場合、前記化合物は、天然β−
アミロイドペプチドに接触させたときに、その天然β−アミロイドペプチドに結
合するか、又は、天然β−アミロイドペプチドの凝集を調節するか、又は、その
天然β−アミロイドペプチドの神経毒性を阻止する。好ましくは、本発明のモジ
ュレータ化合物は、ヒドラジン部分に結合させた、1から20個のD型アミノ酸
、より好ましくは1から10個のD型アミノ酸、さらにより好ましくは1から5
個のD型アミノ酸、そして最も好ましくは2から4個のD型アミノ酸から成ると
よい。
【0033】 一実施例では、ヒドラジン部分を含む本発明のモジュレータ化合物を、例えば
メチル、エチル又はイソプロピル基などのアルキル基を含む修飾基で、アミノ末
端修飾する。適したN末端修飾基の例を、以下の項IIにさらに解説する。別の
実施例では、ヒドラジン部分を含むこの本発明のモジュレータ化合物を、例えば
アセチルなどでカルボキシ末端修飾する。適したC末端修飾基の例は、以下の項
II及びIIIでさらに解説する。ヒドラジン部分を含む本発明のモジュレータ
化合物は、β−AP凝集又は神経毒性を変化させるそのモジュレータの能力を高
めるよう、修飾してもよい。加えて、又は、代替的に、モジュレータの薬物動態
特性を変化させたり、及び/又は、検出可能な物質(以下の項IIIにさらに説
明する)でモジュレータを標識するために、ヒドラジン部分を含むこの本発明の
モジュレータ化合物を修飾してもよい。
【0034】 本発明のモジュレータは、好ましくは、天然β−APの小領域のアミノ酸配列
に基づいてデザインされるとよい。「天然β−アミロイドペプチドの小領域」と
いう用語は、天然β−APのアミノ末端及び/又はカルボキシ末端の削除を含む
ものとして、意図されている。「天然β−APの小領域」という用語は、完全長
の天然β−APを含むものとしては、意図されていない(即ち、「小領域」には
Aβ1−39、Aβ1−40、Aβ1−41、Aβ1−42、及びAβ1−43 は含まれない)。天然β−アミロイドの好適な小領域は「Aβ凝集コアドメイン
」(ACD)である。ここで用いられる「Aβ凝集コアドメイン」という用語は
、天然β−アミロイドペプチドの小領域であって、この小領域を、言及によって
その全内容をここに編入する米国特許出願番号08/548,998号及び米国
特許出願番号08/616,081号に詳述されたように、そのL型アミノ酸型
の状態で適宜修飾(例えばアミノ末端で修飾する)すると、天然β−APの凝集
を調節するのに充分であるような小領域を言う。好ましくは、ACDを、15個
未満のアミノ酸長、そしてより好ましくは3から10個のアミノ酸長である天然
β−APの小領域にならってモデル化するとよい。多様な実施例では、このAC
Dを、10、9、8、7、6、5、4又は3個のアミノ酸長であるβ−APの小
領域にならってモデル化する。一実施例では、ACDのモデル化の基となるβ−
APの小領域は、β−APの内部又はカルボキシ末端領域(即ち、アミノ酸位置
1のアミノ末端よりも下流)である。別の実施例では、このACDを、β−AP
のうちの疎水性の小領域にならってモデル化する。好適なAβ凝集コアドメイン
は、ここで説明するように、天然β−AP又はその類似体のアミノ酸残基17−
20又は17−21(それぞれAβ17−20及びAβ17−21)を包含する
。Aβ17−20及びAβ17−21のアミノ酸配列は、それぞれLeu-Val-Phe-
Phe(SEQ ID NO:3)及びLeu-Val-Phe-Phe-Ala(SEQ ID NO:4)である。
【0035】 実施例の項で実証するように、Aβ17−20及びAβ17−21のアミノ酸
配列に基づいてデザインされた、D型アミノ酸含有モジュレータは、Aβ凝集の
特に有効な阻止剤であり、向上した生物学的安定性、及び、延長された上昇した
血漿レベルを呈する。これらのモジュレータは、Aβ17−20又はAβ17− 21 のL型アミノ酸配列に対応するD型アミノ酸配列、Aβ17−20又はAβ 17−21 のL型アミノ酸配列のインベルソ異性体であるD型アミノ酸配列、A
β17−20又はAβ17−21のL型アミノ酸配列のレトロ−インベルソ異性
体であるD型アミノ酸配列、又は、Aβ17−20又はAβ17−21のL型ア
ミノ酸配列のスクランブルされた又は置換されたものであるD型アミノ酸配列、
を含んでいてよい。好適な実施例では、Aβ17−20及びAβ17−2のアミ
ノ酸配列に基づいてデザインされたモジュレータ中のフェニルアラニンは、酸化
的代謝などに対してより安定である、かつ、より影響を受けないフェニルアラニ
ン類似体に置換される。別の好適な実施例では、Aβ17−20及びAβ17− のアミノ酸配列に基づいてデザインされたモジュレータは、さらにヒドラジン
部分を含む。
【0036】 D型アミノ酸を基にしたモジュレータは、修飾されていないアミノ末端及び/
又はカルボキシ末端及び/又はカルボキシアミド末端を有していてもよく、ある
いは、その代わりに、そのアミノ末端、カルボキシ末端、又は両方は、修飾され
てもよい(以下に詳述する)。効果的なモジュレータのペプチド構造は概ね疎水
性であり、D型ロイシン構造、D型フェニルアラニン構造、及びD型バリン構造
のうちのいずれかから個別に選択される少なくとも二つのD型アミノ酸構造の存
在を特徴とする。ここで用いられる「D型アミノ酸構造」(例えば「D型ロイシ
ン構造」、「D型フェニルアラニン構造」、又は「D型バリン構造」など)とい
う用語は、D型アミノ酸だけでなく、当該化合物の機能的活性を維持したD型ア
ミノ酸の類似体、誘導体、及びミメティックをも包含するものとして、意図され
ている(以下に詳述する)。例えば、「D型フェニルアラニン構造」という用語
は、D型フェニルアラニンだけでなく、D-シクロヘキシルアラニン[D-cha]、D
-4-フルオロフェニルアラニン(パラ−フルオロフェニルアラニン){[p-F]f
又はD-[p-F]Phe}、D-ペンタフルオロフェニルアラニン{[F5]f又はD-[F5
]Phe}、クロロフェニルアラニン、ブロモフェニルアラニン、ニトロフェニル
アラニン、D-ピリジルアラニン、D-ホモフェニルアラニン、メチルチロシン、及
びベンジルセリンや、D型リシン構造、D型バリン構造、又はD型ロイシン構造
による置換も含むものとして意図されている。「D型ロイシン構造」という用語
は、D型ロイシンだけでなく、D型バリンやD型ロイシン、又は、例えばD型ノ
ルロイシンもしくはD型ノルバリンなどの脂肪族の側鎖を有するその他の天然も
しくは非天然のアミノ酸による置換も含むものとして、意図されている。「D型
バリン構造」という用語は、D型バリンだけでなく、D型ロイシンや、脂肪族の
側鎖を有するその他の天然もしくは非天然のアミノ酸による置換も含むものとし
て、意図されている。
【0037】 他の実施例では、モジュレータのペプチド構造は、D型ロイシン構造、D型フ
ェニルアラニン構造、D型バリン構造、D型アラニン構造、D型チロシン構造、
D型ヨードチロシン構造、及び、D型リシン構造、のうちのいずれかから個別に
選択される少なくとも二つのD型アミノ酸構造を含む。別の実施例では、前記ペ
プチド構造は、D型ロイシン構造、D型フェニルアラニン構造、及び、D型バリ
ン構造のうちのいずれかから個別に選択される少なくとも三つのD型アミノ酸構
造から成る。さらに別の実施例では、前記ペプチド構造は、D型ロイシン構造、
D型フェニルアラニン構造、D型バリン構造、D型アラニン構造、D型チロシン
構造、D型ヨードチロシン構造、及び、D型リシン構造、のうちのいずれかから
個別に選択される少なくとも三つのD型アミノ酸構造から成る。さらに別の実施
例では、前記ペプチド構造は、D型ロイシン構造、D型フェニルアラニン構造、
及び、D型バリン構造のうちのいずれかから個別に選択される少なくとも四つの
D型アミノ酸構造を含む。さらに別の実施例では、前記ペプチド構造は、D型ロ
イシン構造、D型フェニルアラニン構造、及び、D型バリン構造のうちのいずれ
かから個別に選択される少なくとも四つのD型アミノ酸構造から成る。好適な実
施例では、前記ペプチド構造は、フェニルアラニンよりも安定であり、酸化的代
謝などによる影響をより受けない、少なくとも一つのフェニルアラニン類似体を
含む。
【0038】 一実施例では、本発明は、式(I):
【0039】
【化1】
【0040】 を含むβ−アミロイドモジュレータ化合物を提供するものであるが、 但し式中、Xaa1、Xaa2、Xaa3、及びXaa4、はそれぞれD型アミノ酸
構造であり、Xaa1、Xaa2、Xaa3、及びXaa4、のうちの少なくとも二
つは、個別に、D型ロイシン構造、D型フェニルアラニン構造、例えばD-シクロ
ヘキシルアラニン、D-4-フルオロフェニルアラニン(パラ−フルオロフェニルア
ラニン)、D-ペンタフルオロフェニルアラニン、クロロフェニルアラニン、ブロ
モフェニルアラニン、ニトロフェニルアラニン、及びD-ホモフェニルアラニンな
ど、及び、D型バリン構造、のうちのいずれかから選択され、 存在しても、存在しなくともよいYは、式(Xaa)aを有する構造であり、但し
式中、Xaaは何らかのD型アミノ酸構造であり、そしてaは1から15までの
整数であり、 存在しても、存在しなくともよいZは、式(Xaa)bを有する構造であり、但し
式中、Xaaは何らかのD型アミノ酸構造であり、そしてbは1から15までの
整数であり、 存在しても、存在しなくともよいAは、前記化合物に直接又は間接的に結合させ
た修飾基であり、そして nは1から15までの整数であり、 但し式中、Xaa1、Xaa2、Xaa3、Xaa4、Y、Z、A及びnは、前記化合物
が、天然β−アミロイドペプチドに接触させたときに、天然β−アミロイドペプ
チドに結合するか、天然β−アミロイドペプチドの凝集を調節するか、又は、神
経毒性を阻止するよう、かつ、酸化的代謝などの代謝の影響をより受けないよう
、選択される。
【0041】 この式の下位実施例では、五番目のアミノ酸残基であるXaa5は、Xaa4
C末端側に特定され、そして存在しても、存在しなくてもよいZは、式(Xaa) b を有する構造であり、但し式中、Xaaは何らかのD型アミノ酸構造であり、
そしてbは1から14までの整数である。従って、本発明は式(II):
【0042】
【化2】
【0043】 を含むβ−アミロイドモジュレータ化合物を提供するものであり、但し式中、b
は1から14までの整数である。
【0044】 好適な実施例では、式(I)のXaa1、Xaa2、Xaa3、Xaa4は、Aβ 17−20 の配列、又は許容可能なその置換に基づいて選択される。従って、好
適な実施例において、Xaa1は、D型アラニン構造又はD型ロイシン構造であ
り、Xaa2は、D型バリン構造又はD型フェニルアラニン構造であり、Xaa3 は、D型フェニルアラニン構造、例えばD-シクロヘキシルアラニン、D-4-フルオ
ロフェニルアラニン(パラ-フルオロフェニルアラニン)、D-ペンタフルオロフ
ェニルアラニン、クロロフェニルアラニン、ブロモフェニルアラニン、ニトロフ
ェニルアラニン、及びD-ホモフェニルアラニンなど、D型チロシン構造、D型ヨ
ードチロシン構造、又は、D型リシン構造であり、そしてXaa4は、D型フェ
ニルアラニン構造、例えばD-シクロヘキシルアラニン、D-4-フルオロフェニルア
ラニン(パラ-フルオロフェニルアラニン)、D-ペンタフルオロフェニルアラニ
ン、クロロフェニルアラニン、ブロモフェニルアラニン、ニトロフェニルアラニ
ン、及びD-ホモフェニルアラニンなど、D型チロシン構造、D型ヨードチロシン
構造、又はD型リシン構造、である。
【0045】 他の好適な実施例において、式(II)のXaa1、Xaa2、Xaa3、Xaa4
びXaa5は、Aβ17-21の配列又はその許容し得る置換に基づいて選択される。
従って、好適な実施例において、Xaa1は、D型アラニン構造又はD型ロイシ
ン構造であり、Xaa2は、D型バリン構造であり;Xaa3は、D型フェニルア
ラニン構造、例えばD-シクロヘキシルアラニン、D-4-フルオロフェニルアラニン
(パラ-フルオロフェニルアラニン)、D-ペンタフルオロフェニルアラニン、ク
ロロフェニルアラニン、ブロモフェニルアラニン、ニトロフェニルアラニン、及
びD-ホモフェニルアラニンなど、D型チロシン構造、D型ヨードチロシン構造、
又は、D型リシン構造であり、Xaa4は、フェニルアラニン構造、例えばD-シ
クロヘキシルアラニン、D-4-フルオロフェニルアラニン(パラ-フルオロフェニ
ルアラニン)、D-ペンタフルオロフェニルアラニン、クロロフェニルアラニン、
ブロモフェニルアラニン、ニトロフェニルアラニン、D-ピリジルアラニン、及び
D-ホモフェニルアラニンなど、D型チロシン構造、D型ヨードチロシン構造、又
はD型リシン構造であり、そしてXaa5は、D型アラニン構造又はD型ロイシ
ン構造である。
【0046】 他の好適な実施例において、式(I)のXaa1、Xaa2、Xaa3及びXaa4 は、Aβ17-20のレトロ−インベルソ異性体又はその許容し得る置換に基づいて
選択される。従って、好適な実施例において、Xaa1は、D型アラニン構造、
D型ロイシン構造、又は、D型フェニルアラニン構造、例えばD-シクロヘキシル
アラニン、D-4-フルオロフェニルアラニン(パラ-フルオロフェニルアラニン)
、D-ペンタフルオロフェニルアラニン、クロロフェニルアラニン、ブロモフェニ
ルアラニン、ニトロフェニルアラニン、及びD-ホモフェニルアラニンなど、D型
チロシン構造、D型ヨードチロシン構造、D型ロイシン構造、D型バリン構造、
又は、D型リシン構造であり;Xaa2は、D型フェニルアラニン構造、例えばD
-シクロヘキシルアラニン、D-4-フルオロフェニルアラニン(パラ-フルオロフェ
ニルアラニン)、D-ペンタフルオロフェニルアラニン、クロロフェニルアラニン
、ブロモフェニルアラニン、ニトロフェニルアラニン、D-ピリジルアラニン、及
びD-ホモフェニルアラニンなど、D型チロシン構造、D型ヨードチロシン構造、
又はD型リシン構造であり;Xaa3は、D型フェニルアラニン構造、例えばD-
シクロヘキシルアラニン、D-4-フルオロフェニルアラニン(パラ-フルオロフェ
ニルアラニン)、D-ペンタフルオロフェニルアラニン、クロロフェニルアラニン
、ブロモフェニルアラニン、ニトロフェニルアラニン、D-ピリジルアラニン、及
びD-ホモフェニルアラニンなど、D型チロシン構造、D型ヨードチロシン構造、
又は、D型リシン構造であり;そしてXaa4は、D型バリン構造、又は、D型
ロイシン構造である。
【0047】 他の好適な実施例において、式(II)のXaa1、Xaa2、Xaa3、Xaa4
びXaa5は、Aβ17-21のレトロ−インベルソ異性体又はその許容し得る置換に
基づいて選択される。従って、好適な実施例において、Xaa1は、D型アラニ
ン構造、D型ロイシン構造、又は、D型フェニルアラニン構造、例えばD-シクロ
ヘキシルアラニン、D-4-フルオロフェニルアラニン(パラ-フルオロフェニルア
ラニン)、D-ペンタフルオロフェニルアラニン、クロロフェニルアラニン、ブロ
モフェニルアラニン、ニトロフェニルアラニン、D-ピリジルアラニン、及びD-ホ
モフェニルアラニンなど、D型チロシン構造、D型ヨードチロシン構造、又は、
D型リシン構造であり;Xaa2は、D型フェニルアラニン構造、例えばD-シク
ロヘキシルアラニン、D-4-フルオロフェニルアラニン(パラ-フルオロフェニル
アラニン)、D-ペンタフルオロフェニルアラニン、クロロフェニルアラニン、ブ
ロモフェニルアラニン、ニトロフェニルアラニン、D-ピリジルアラニン、及びD-
ホモフェニルアラニンなど、D型チロシン構造、D型ヨードチロシン構造、又は
、D型リシン構造であり;Xaa3は、D型フェニルアラニン構造、例えばD-シ
クロヘキシルアラニン、D-4-フルオロフェニルアラニン(パラ-フルオロフェニ
ルアラニン)、D-ペンタフルオロフェニルアラニン、クロロフェニルアラニン、
ブロモフェニルアラニン、ニトロフェニルアラニン、、D-ピリジルアラニン、及
びD-ホモフェニルアラニンなど、D型チロシン構造、D型ヨードチロシン構造、
又は、D型リシン構造であり;Xaa4は、D型バリン構造又はD型ロイシン構
造であり、そしてXaa5は、D型ロイシン構造である。
【0048】 別の実施例では、本発明は式(III):
【0049】
【化3】
【0050】 を含むβ−アミロイドモジュレータ化合物を提供するものであり、但し式中、 Xaa1及びXaa2は、それぞれD型アミノ酸構造であり、そしてXaa1及び
Xaa2のうちの少なくとも二つは、個別に、D型ロイシン構造、D型フェニル
アラニン構造、例えばD-シクロヘキシルアラニン、D-4-フルオロフェニルアラニ
ン(パラ-フルオロフェニルアラニン)、D-ペンタフルオロフェニルアラニン、
クロロフェニルアラニン、ブロモフェニルアラニン、ニトロフェニルアラニン、
及びD-ホモフェニルアラニンなど、D型チロシン構造、D型ヨードチロシン構造
、D型リシン構造、又は、D型バリン構造、のうちのいずれかから選択され、 NH-NHはヒドラジン構造であり、 存在しても、存在しなくともよいYは、式(Xaa)aを有する構造であり、但し
式中、Xaaは何らかのD型アミノ酸構造であり、そしてaは1から15までの
整数であり、 存在しても、存在しなくともよいXaa1’、Xaa2’、及びXaa3’は、そ
れぞれD型アミノ酸又はL型アミノ酸構造であり、Xaa1’、Xaa2’、及び
Xaa3’のうちの少なくとも二つは、個別に、D型もしくはL型ロイシン構造
、D型もしくはL型フェニルアラニン構造、例えばD-シクロヘキシルアラニン、
D-4-フルオロフェニルアラニン(パラ-フルオロフェニルアラニン)、D-ペンタ
フルオロフェニルアラニン、クロロフェニルアラニン、ブロモフェニルアラニン
、ニトロフェニルアラニン、及びD-ホモフェニルアラニンなど、D型もしくはL
型チロシン構造、D型もしくはL型ヨードチロシン構造、D型もしくはL型リシ
ン構造、又は、D型もしくはL型バリン構造、のうちのいずれかから選択され、
存在しても、存在しなくともよいZは、式(Xaa)bを有する構造であり、但し
式中、Xaaは何らかのD型アミノ酸構造であり、そしてbは1から15までの
整数であり、 存在しても、存在しなくともよいAは、前記化合物に直接又は間接的に結合し
た修飾基であり、そして nは1から15までの整数であり、 但し式中、Xaa1、Xaa2、Xaa1’、Xaa2’、Xaa3’、Y、Z、A及び
nは、前記化合物が、天然β−アミロイドペプチドに接触させたときに、天然β
−アミロイドペプチドに結合するか、天然β−アミロイドペプチドの凝集を調節
するか、又は、天然β−アミロイドペプチドの神経毒性を阻止し、かつ、酸化的
代謝などの代謝の影響をより受けない、ように、選択される。
【0051】 上記の式(I)、(II)又は(III)を有するこの発明のモジュレータにおい
ては、随意の修飾基(「A」)を、直接又は間接的に、このモジュレータのペプチ
ド構造に結合させる。(ここで用いる場合、用語「調節基」及び「修飾基」は、
ペプチド構造に直接又は間接的に結合された化学基を記述するために互換可能に
用いる)。例えば、修飾基を、共有結合により、直接ペプチド構造に結合するこ
とができ、又は修飾基を、安定な非共有結合性の会合により、間接的に結合する
ことができる。この発明の一実施例においては、修飾基を、このモジュレータの
アミノ末端に結合する。或は、この発明の他の実施例においては、修飾基を、こ
のモジュレータのカルボキシ末端に結合させる。別の実施例においては、修飾基
を、このモジュレータのアミノ末端及びカルボキシ末端の両方に結合させる。さ
らに別の実施例では、調節基を、このモジュレータのペプチド構造の少なくとも
1つのアミノ酸残基の側鎖に結合する(例えば、リジル残基のイプシロンアミノ
基を通して、アスパラギン酸残基若しくはグルタミン酸残基のカルボキシル基を
通して、チロシル残基、セリン残基若しくはスレオニン残基のヒドロキシ基、又
は、他のアミノ酸側鎖上の適当な反応基を通して)。
【0052】 修飾基が存在するならば、その修飾基は、この化合物が天然β−アミロイドペ
プチドと接触したときに、天然β−アミロイドペプチドの凝集を阻止するように
選択される。従って、この化合物のβ−APペプチドは、その天然状態から改変
されているため、修飾基「A」は、ここで用いる場合、水素を包含することを意
図していない。この発明のモジュレータにおいては、単一の修飾基を、ペプチド
構造に結合することができ、又は複数の修飾基をペプチド構造に結合することが
できる。修飾基の数は、この化合物が天然β−アミロイドペプチドと接触したと
きに天然β−アミロイドペプチドの凝集を阻止するように選択される。しかしな
がら、nは、好ましくは、1〜60の、一層好ましくは1〜30の、尚一層好ま
しくは1〜10の又は1〜5の整数である。好適な実施例において、Aは、環式
基、ヘテロ環式基、多環式基、直線状の基、又は、分枝したアルキル基を含むア
ミノ末端修飾基であり、且つ、n=1である。他の好適な実施例において、Aは
、アミド基、アルキルアミド基、アリールアミド基又はヒドロキシ基を含むカル
ボキシ末端修飾基であり、且つ、n=1である。適当な修飾基については、下記
のII項及びIII項において更に説明する。
【0053】 好適な特定の実施例において、この発明は、(D-Leu-D-Val-D-Phe-D-Cha-D-Leu
) (SEQ ID NO:5); (D-Leu-D-Val-D-Cha-D-Phe-D-Leu) (SEQ ID NO:6); (D-Leu-D
-Val-D-Phe-D-[p-F]Phe-D-Leu) (SEQ ID NO:7); (D-Leu-D-Val-D-[p-F]Phe-D-Ph
e-D-Leu) (SEQ ID NO:8); (D-Leu-D-Val-D-Phe-D-[F5]Phe-D-Leu) (SEQ ID NO:9
); (D-Leu-D-Val-D-[F5]Phe-D-Phe-D-Leu) (SEQ ID NO:10); (D-Leu-D-Phe-D-Ch
a-D-Val-D-Leu) (SEQ ID NO:11); (D-Leu-D-Phe-D-[p-F]Phe-D-Val-D-Leu) (SEQ
ID NO:12); D-Leu-D-Phe-D-[F5]Phe-D-Val-D-Leu) (SEQ ID NO:13); (D-Leu-D-
Phe-D-Lys-D-Val-D-Leu) (SEQ ID NO:14); (D-Leu-D-Cha-D-Phe-D-Val-D-Leu) (
SEQ ID NO:15); (D-Leu-D-[p-F]Phe-D-Phe-D-Val-D-Leu) (SEQ ID NO:16); (D-L
eu-D-[F5]Phe-D-Phe-D-Val-D-Leu) (SEQ ID NO:17); (D-Leu-D-Lys-D-Phe-D-Val
-D-Leu) (SEQ ID NO:18); (D-Leu-D-Cha-D-Cha-D-Val-D-Leu) (SEQ ID NO:19);
(D-Leu-D-Val-D-Cha-D-Cha-D-Leu) (SEQ ID NO:20); (D-Leu-D-[p-F]Phe-D-[p-F
]Phe-D-Val-D-Leu) (SEQ ID NO:21); (D-Leu-D-Val-D-[p-F]Phe-D-[p-F]Phe-D-L
eu) (SEQ ID NO:22); (D-Leu-D-[F5]Phe-D-[F5]Phe-D-Val-D-Leu) (SEQ ID NO:2
3); (D-Leu-D-Val-D-[F5]Phe-D-[F5]Phe-D-Leu) (SEQ ID NO:24); (D-Leu-D-Val
-D-Phe) (SEQ D NO:25)よりなる群から選択するペプチド構造を含むβ−アミロ
イドモジュレータ化合物を提供する。
【0054】 前述の特定のペプチド構造の何れも、アミノ末端及び/又はカルボキシ末端を
修飾することができ、下記のII及び/又はIII項において更に説明する。
【0055】 本発明において特に好適なモジュレータには、以下N,N-ジメチル-(Gly-D-Ala-
D-Phe-D-Phe-D-Val-D-Leu)-NH2; N,N-ジメチル-(D-Ala-D-Phe-D-Phe-D-Val-D-Le
u)-NH2; N-メチル-(Gly-D-Ala-D-Phe-D-Phe-D-Val-D-Leu)-NH2; N-エチル-(Gly-
D-Ala-D-Phe-D-Phe-D-Val-D-Leu)-NH2; N-イソプロピル-(Gly-D-Ala-D-Phe-D-Ph
e-D-Val-D-Leu)-NH2; H-(D-Leu-D-Val-D-Phe-D-Phe-D-Ala)-イソプロピルアミド
; H-(D-Leu-D-Val-D-Phe-D-Phe-D-Ala)-ジメチルアミド; N,N-ジエチル-(Gly-D-
Ala-D-Phe-D-Phe-D-Val-D-Leu)-NH2; N,N-ジエチル-(D-Ala-D-Phe-D-Phe-D-Val-
D-Leu)-NH2; N,N-ジメチル-(D-Leu-D-Val-D-Phe-D-Phe-D-Leu)-NH2; N,N-ジメチ
ル-(D-Leu-D-Val-D-Phe-D-Phe-D-Leu)-NH2; N,N-ジメチル-(D-Leu-D-Phe-D-Phe-
D-Val-D-Leu)-NH2; H-(Gly-D-Leu-D-Val-D-Phe-D-Phe-D-Leu)-NH2; N-エチル-(G
ly-D-Leu-D-Val-D-Phe-D-Phe-D-Leu)-NH2; N-エチル-(Gly- D-Leu-D-Phe-D-Phe-
D-Val-D-Leu)-NH2; N-メチル-(D-Leu-D-Phe-D-Phe-D-Val-D-Leu)-NH2; N-エチル
-(D-Leu-D-Val-D-Phe-D-Phe-D-Leu)-NH2; N-プロピル-(D-Leu-D-Val-D-Phe-D-Ph
e-D-Leu)-NH2; N,N-ジエチル-(Gly-D-Leu-D-Val-D-Phe-D-Phe-D-Leu)-NH2; H-(D
-Ile-D-Val-D-Phe-D-Phe-D-Ile)-NH2; H-(D-Ile-D-Val-D-Phe-D-Phe-D-Ala-)-NH 2 ; H-( D-Ile- D-Ile-D-Phe-D-Phe- D-Ile)-NH2; H-(D-Nle-D-Val-D-Phe-D-Phe-
D-Ala-)-NH2; H-(D-Nle-D-Val-D-Phe-D-Phe-D-Nle)-NH2; 1-ピペリジン-アセチ
ル-(D-Leu-D-Val-D-Phe-D-Phe-D-Leu)-NH2; 1-ピペリジン-アセチル-(D-Leu-D-P
he-D-Phe-D-Val-D-Leu)-NH2; H-D-Leu-D-Val-D-Phe-D-Phe-D-Leu-イソプロピル
アミド; H-D-Leu-D-Phe-D-Phe-D-Val-D-Leu-イソプロピルアミド; H-(D-Leu-D-V
al-D-Phe-D-Phe-D-Leu)-メチルアミド; H-(D-Leu-D-Phe-D-Phe-D-Val-D-Leu)-メ
チルアミド; H-(D-Leu-D-Val-D-Phe-D-Phe-D-Leu)-OH; N-メチル-(D-Leu-D-Val-
D-Phe-D-Phe-D-Leu)-NH2; H-(D-Leu-D-Val-D-Phe-D-Cha-D-Leu)-NH2; H-(D-Leu-
D-Val-D-Phe-D-[p-F]Phe-D-Leu)-NH2; H-(D-Leu-D-Val-D-Phe-D-[F5]Phe-D-Leu)
-NH2; H-(D-Leu-D-Phe-D-Cha-D-Val-D-Leu)-NH2; H-(D-Leu-D-Phe- D-[p-F]Phe-
D-Val-D-Leu)-NH2; H-(D-Leu-D-Phe- D-[F5]Phe-D-Val-D-Leu)-NH2; H-(D-Leu-D
-Phe-D-Lys-D-Val-D-Leu)-NH2; H-(D-Leu-D-Cha-D-Phe-D-Val-D-Leu)-NH2; H-(D
-Leu-D-[p-F]Phe-D-Phe-D-Val-D-Leu)-NH2; H-(D-Leu-D-[F5]Phe-D-Phe-D-Val-D
-Leu)-NH2; H-(D-Leu- D-Lys-D-Phe-D-Val-D-Leu)-NH2; H-(D-Leu-D-Cha-D-Cha-
D-Val-D-Leu)-NH2; H-(D-Leu- D-[p-F]Phe-D-[p-F]Phe-D-Val-D-Leu)-NH2; H-(D
-Leu-D-[F5]Phe-D-[F5]Phe-D-Val-D-Leu)-NH2; H-(D-Leu- D-Lys- D-Lys-D-Val-
D-Leu)-NH2; N-メチル-(D-Leu-D-Val-D-Phe-D-Cha-D-Leu)-NH2; N-メチル-(D-Le
u-D-Val-D-Phe-D-[p-F]Phe-D-Leu)-NH2; N-メチル-(D-Leu-D-Val-D-Phe-D-[F5]P
he-D-Leu)-NH2; H-D-Leu-D-Val-D-Phe-NH-(H-D-Leu-D-Val-D-Phe-)NH; H-D-Leu-
D-Val-D-Phe-NH-NH-COCH3; 及びH- D-Leu-D-Val-D-Phe-NH-NH2、が含まれる。
【0056】 さらにより好適な本発明の化合物には、PPI-1319: H-(D-Leu-D-Phe-[p-F]D-Ph
e-D-Val-D-Leu)-NH2 及びPPI:1019: N-メチル-(D-Leu-D-Val-D-Phe-D-Phe-D-Leu
)-NH2 が含まれる。(上述したように、D-ChaはD-シクロヘキシルアラニンを表
し;[p-F]f又はD-[p-F]Phe はD-4-フルオロフェニルアラニン(又はパラ-フルオ
ロフェニルアラニン)を表し;[F5]f 又はD-[ F5]Phe はD-ペンタフルオロフェ
ニルアラニンを表し;そしてD-NleはD-ノルロイシンを表す)。
【0057】 この発明のこれらのモジュレータのD型アミノ酸ペプチド構造は、更に、ここ
に記載のような天然β−AP凝集を変化させるこのモジュレータの能力を保持し
ている他のペプチド改変物(類似体、誘導体及びミメティックを含む)を包含する
ことを意図している。例えば、この発明のモジュレータのD型アミノ酸ペプチド
構造は、更に、その安定性、生物学的利用能、溶解度等を増大させるように改変
してもよい。用語「類似体」、「誘導体」及び「ミメティック」は、ここで用い
る場合、D−ペプチド構造の化学構造を模倣すると共にD−ペプチド構造の機能
的特性を保持した分子を包含することを意図している。ペプチドの類似体、誘導
体及びミメティックをデザインするアプローチは、当分野において、公知である
。例えば、Farmer,P.S.{Drug Design(E.J.Ariens編)Academic Press,New York
,1980,10巻、119-143頁};Ball.J.B.及びAlewood.P.F.(1990)J.Mol.Recogni
tion 3:55;Morgan,B.A.及びGainor,J.A.(1989)Ann.Rep.Med.Chem.24:243;及びF
reidinger,R.M.(1989)Trends Pharmacol.Sci.10:270を参照されたい。Sawyer,T.
K.(1995)「Peptidomimetic Design and Chemical Approaches to Peptide Metab
olism」{Taylor,M.D.及びAmidon,G.L.(編)Peptide-Based Drug Dcsign:Contr
olling Transport and Metabolism,第17章};Smith,A.B.三世等(1995)J.Am.Ch
em.Soc.117:11113-11123;Smith,A.B.三世等(1994)J.Am.Chem.Soc.116:9947-996
2;及びHirschman,R.等(1993)J.Am.Chem.Soc.115:12550-12568も参照されたい。
【0058】 ここで用いる場合、化合物X(例えば、ペプチド又はアミノ酸)の「誘導体」は
、この化合物上の1つ以上の反応基が置換基によって誘導変化されているXの形
態をいう。ペプチド誘導体の例には、アミノ酸側鎖、ペプチド主鎖又はアミノ若
しくはカルボキシ末端が誘導変化されたペプチド(例えば、メチル化アミド結合
を有するペプチド化合物)が含まれる。ここで用いる場合、化合物Xの「類似体
」は、Xと異なるある化学構造をも有するが、Xの機能的活性に必要なXの化学
構造を未だ保持している化合物をいう。天然発生型のペプチドの類似体の例は、
1つ以上の非天然アミノ酸を含むペプチドである。ここで用いる場合、化合物X
の「ミメティック」は、Xの機能的活性に必要なXの化学構造がXのコンホメー
ションを真似た他の化学構造で置換された化合物をいう。ペプチドミメティック
の例には、ペプチド主鎖が1つ以上のベンゾジアゼピン分子で置換されたペプチ
ド化合物が含まれる(例えば、James,G.L.等(1993)Science 260:1937-1942を参
照されたい)。
【0059】 本発明のモジュレータ化合物の類似体は、ペプチド構造の1つ以上のD型アミ
ノ酸が、元のモジュレータの特性が保持されるように同族のアミノ酸で置換され
た化合物を包含することを意図している。好ましくは、保存的アミノ酸置換は、
1つ以上のアミノ酸残基で行われるとよい。「保存的アミノ酸置換」とは、アミ
ノ酸残基が、類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置換されるものである。類似の
側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当分野において定義されており、塩
基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アス
パラギン酸、グルタミン酸)、帯電していない極性側鎖(例えば、グリシン、アス
パラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性
側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニ
ルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β−分枝側鎖(例えば、スレオニン
、バリン、イソロイシン)及び芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン
、トリプトファン、ヒスチジン)が含まれる。本発明のモジュレータのペプチド
構造においてなし得る同族置換の非制限的な例には、D−フェニルアラニンのD
−チロシン、D−ピリジルアラニン若しくはD−ホモフェニルアラニンでの置換
、D−ロイシンのD−バリン若しくは他の天然若しくは非天然の脂肪族側鎖を有
するアミノ酸での置換、及び/又は、D−バリンのD−ロイシン若しくは他の天
然若しくは非天然の脂肪族側鎖を有するアミノ酸での置換が含まれる。
【0060】 用語「ミメティック」(特に、ペプチドミメティック)は、同配体を含むことを
意図している。この用語「同配体」は、ここで用いる場合、第1の構造の立体コ
ンホメーションが第2の構造に特異的な結合部位に適合するために第2の化学構
造の代用となり得る化学構造を含むことを意図している。この用語は、特に、当
業者に周知のペプチド主鎖改変物(即ち、アミド結合ミメティック)を包含する。
かかる改変には、アミド窒素、α−炭素、アミドカルボニルの改変、アミド結合
の完全な置換、伸長、欠失又は主鎖の架橋が含まれる。ψ[CH2S]、ψ[CH2
NH]、ψ[CSNH2]、ψ[NHCO]、ψ[COCH2]及びψ[(E)又は(Z)CH
=CH]を含む幾つかのペプチド主鎖の改変は、公知である。上で用いた命名法
において、ψは、アミド結合の不在を示している。このアミド基を置き換える構
造は、角型括弧内に特定されている。
【0061】 他の可能な改変には、N−アルキル(又はアリール)置換(ψ[CONR])や、又
は、ラクタム及び他の環状構造を構築する主鎖の架橋が含まれる。この発明のモ
ジュレータ化合物の他の誘導体には、C末端ヒドロキシメチル誘導体、O−改変
誘導体(例えば、C末端ヒドロキシメチルベンジルエーテル)、N末端改変誘導体
(置換されたアミド、例えばアルキルアミド及びヒドラジドを含む)、及び、C末
端フェニルアラニン残基がフェネチルアミド類似体で置換された化合物(例えば
、トリペプチドVal−Phe−Pheの類似体としてのVal−Phe−フェ
ネチルアミド)が含まれる。
【0062】 この発明のモジュレータ化合物は、製薬組成物に取り入れることができ(下記
のV項で更に説明する)、下記のVI項で更に説明するような検出方法及び治療
方法において用いることができる。
【0063】 II.修飾基 いくつかの実施例においては、本発明のモジュレータ化合物を、直接又は間接
的に、少なくとも1つの修飾基(MGと略記)に結合する。用語「修飾基」は、D
型アミノ酸構造に(例えば、共有結合で)直接結合する構造や、(例えば、安定な
非共有結合性の会合により、又は、Aβ由来のD型アミノ酸ペプチド構造に隣接
し得る追加のアミノ酸残基若しくはそのミメティック、類似体若しくは誘導体に
対する共有結合により)間接的にペプチド構造に結合するものを含むことを意図
している。例えば、修飾基を、Aβ由来のD−アミノ酸ペプチド構造のアミノ末
端若しくはカルボキシ末端に結合することができ、又はコアドメインに隣接する
ペプチド若しくはペプチドミメティック領域に結合することができる。或は、修
飾基を、Aβ由来のD−アミノ酸ペプチド構造の少なくとも1つのD型アミノ酸
残基の側鎖に、又はコアドメインに隣接するペプチド若しくはペプチドミメティ
ック領域に結合することができる(例えば、リジル残基のイプシロンアミノ基を
通して、アスパラギン酸残基若しくはグルタミン酸残基のカルボキシル基を通し
て、チロシル残基、セリン残基若しくはスレオニン残基のヒドロキシ基又は他の
アミノ酸側鎖上の適当な反応基を通して)。D型アミノ酸ペプチド構造に共有結
合される修飾基は、例えば、アミド、アルキルアミノ、カルバメート、尿素又は
エステル結合を含む化学構造を結合させるための、当分野で周知の手段及び方法
により結合することができる。
【0064】 用語「修飾基」は、それらの自然の形態においては天然のAβペプチドに自然
には結合しない基を包含することを意図している。従って、用語「修飾基」は、
水素を包含することを意図していない。この(これらの)修飾基は、モジュレータ
化合物が、天然β−アミロイドペプチドと接触したときに天然β−アミロイドペ
プチドの凝集を変化させ好ましくは阻止し又は天然β−アミロイドペプチドと接
触したときに天然β−アミロイドペプチドの神経毒性を阻止するように選択する
。機構により制限されることを意図する訳ではないが、このモジュレータが修飾
基を含む実施例においては、その(それらの)修飾基は、モジュレータのAβ重合
を破壊させる能力を増大させる主要なファルマコフォアとして機能すると考えら
れる。
【0065】 好適実施例において、この(これらの)修飾基はアルキル基を包含する。用語
「アルキル」は、ここで用いられる場合、約1から10個の炭素原子を有する直
鎖又は枝分かれ鎖の炭化水素基を言う。アルキル基の例には、メチル、エチル、
ジメチル、ジエチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、
s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、及びn−ヘキシルがある。アルキル基
は置換されなくともよく、又は、一つ以上の位置で、例えばハロゲン、アルキル
、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロ環式基、ヒドロ
キシル、アミノ、ニトロ、チオール、アミン、イミン、アミド、ホスホネート、
ホスフィン、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、チオエーテル、ス
ルホニル、セレノエーテル、ケトン、アルデヒド、エステル、−CF、−CN
、等々で置換されてもよい。好適なアルキルはメチル、エチル、ジメチル、ジエ
チル、n−プロピル、イソプロピルである。
【0066】 別の実施例では、例えば一個のアルキル基などの一個の修飾基を、別の修飾基
に結合させる。さらに別の実施例では、本発明のモジュレータ化合物中のD型ア
ミノ酸を、二つの修飾基で修飾する。従って、好適な修飾基には1-ピペリジンア
セチル基が含まれる。
【0067】 好適な実施例の一つでは、この(これらの)修飾基は環式、ヘテロ環式、多環
式又は枝分かれ式のアルキル基を包含する。用語「環式基」は、ここで用いる場
合、約3〜10の好ましくは約4〜8の、一層好ましくは約5〜7の炭素原子を
有する環式の飽和又は不飽和(即ち、芳香族)基を包含することを意図している。
典型的な環式基には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロ
ヘキシル及びシクロオクチルが含まれる。環式基は、1つ以上の環位置において
未置換であっても、又は、置換されていてよい。従って、環式基は、例えば、ハ
ロゲン、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテ
ロ環式基、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、チオール、アミン、イミン、アミド
、ホスホネート、ホスフィン、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、
チオエーテル、スルホニル、スルホネート、セレノエーテル、ケトン、アルデヒ
ド、エステル、−CF3、−CN等で置換されていてよい。
【0068】 用語「ヘテロ環式基」は、約3〜10の好ましくは約4〜8の、一層好ましく
は約5〜7の炭素原子を有する環式の飽和又は不飽和(即ち、芳香族)基であって
、その環構造が約1〜4のヘテロ原子を含むものを包含することを意図している
。ヘテロ環式基には、ピロリジン、オキソラン、チオラン、イミダゾール、オキ
サゾール、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン及びピリジンが含まれる。ヘテ
ロ環式の環は、1つ以上の位置で、例えば、ハロゲン、アルキル、シクロアルキ
ル、アルケニル、アルキニル、アリール、他のヘテロ環式基、ヒドロキシル、ア
ミノ、ニトロ、チオール、アミン、イミン、アミド、ホスホネート、ホスフィン
、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、チオエーテル、スルホニル、
セレノエーテル、ケトン、アルデヒド、エステル、−CF3、−CN、等の置換
基により置換されていてよい。ヘテロ環式基は又、下記のような他の環式基と架
橋又は縮合していてもよい。
【0069】 用語「多環式基」は、ここで用いる場合、2つ以上の炭素が2つの隣接する環
に共有される2つ以上の飽和又は不飽和(即ち、芳香族)環をいうことを意図して
いる(例えば、これらの環は、「縮合環」である)。非隣接原子を介して連結され
た環は、「架橋された」環と呼ばれる。多環式基の各環は、上記のような置換基
、例えばハロゲン、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、ヒド
ロキシル、アミノ、ニトロ、チオール、アミン、イミン、アミド、ホスホネート
、ホスフィン、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、チオエーテル、
スルホニル、セレノエーテル、ケトン、アルデヒド、エステル、−CF3、−C
N、等によって置換することができる。
【0070】 好適な多環式基は、シス−デカリン構造を含む基である。機構により制限され
ることを意図する訳ではないが、シス−デカリン構造の存在により修飾基上に与
えられた「曲がった」コンホメーションがAβ重合の破壊における修飾基の効力
に寄与していると考えられる。従って、シス−デカリン構造の「曲がった」配置
を真似る他の構造も又、修飾基として用いることができる。修飾基として用いる
ことのできるシス−デカリン含有構造の例は、コラノイル構造例えばコリル基で
ある。例えば、モジュレータ化合物は、そのアミノ末端を、凝集コアドメインを
コール酸、胆汁酸と反応させることにより、コリル基で修飾することができる。
その上、モジュレータ化合物は、そのカルボキシ末端を、当分野で公知の方法に
より、コリル基で修飾することができる(例えば、Wess,G.等(1993)Tetrahedro
n Letters,34:817-822;Wess,G.等(1992)Tetrahedron Letters 33:195-198;及びK
ramer,W.等(1992)J.Biol.Chem.267:18598-18604を参照されたい)。コリル誘導体
及び類似体も又、修飾基として用いることができる。例えば、好適なコリル誘導
体は、Aic(3−(O−アミノエチル−イソ)−コリル)であり、これは、更にモ
ジュレータ化合物を修飾するために用いることのできる遊離のアミノ基を有する
(例えば、99mTcのキレート化基を、Aicの遊離のアミノ基を通して導入する
ことができる)。ここで用いる場合、用語「コラノイル構造」は、コリル基並び
にその誘導体及び類似体特に4環シス−デカリン形状を保持しているものを包含
することを意図している。コラノイル構造の例には、他の胆汁酸例えばデオキシ
コール酸、リトコール酸、ウルソデオキシコール酸、ケノデオキシコール酸及び
ヒオデオキシコール酸から誘導された基並びに他の関連する構造例えばコラン酸
、ブファリン及びレジブフォゲニンが含まれる(もっとも、最後の2つの化合物
は、修飾基として用いるには好ましくない)。シス−デカリン含有化合物の他の
例は、5β-コレスタン-3α-オール((+)-ジヒドロコレステロールのシス−デカリ
ン異性体)である。胆汁酸及びステロイド構造及び命名法の更なる説明は、Nes,W
.R.及びMcKean,M.L.Biochemistry of Steroids and OtherIsopentanoids,Univer
sity Park Press,Baltimore,メリーランド在の第2章を参照されたい。
【0071】 シス−デカリン含有基に加えて、他の多環式基を修飾基として用いることがで
きる。例えば、ステロイド又はβ−ラクタムに由来する修飾基は、適当な修飾基
であろう。一実施例において、修飾基は、ビオチニル基並びにその類似体及び誘
導体を含む「ビオチニル構造」である(例えば、2−イミノビオチニル基)。他の
実施例において、修飾基には、「フルオレセイン含有基」、例えばAβ由来のペ
プチド構造を5-(及び6-)-カルボキシフルオレセイン、スクシンイミジルエステ
ル又はフルオレセインイソチオシアネートと反応させて誘導された基など、を含
めることができる。種々の他の実施例において、修飾基には、N-アセチルノイラ
ミニル基、トランス-4-コチニンカルボキシル基、2-イミノ-1-イミダゾリジンア
セチル基、(S)-(-)-インドリン-2-カルボキシル基、(-)-メントキシアセチル基
、2−ノルボルナンアセチル基、γ-オキソ-5-アセナフテンブチリル、(-)-2-オ
キソ-4-チアゾリジンカルボキシル基、テトラヒドロ-3-フロイル基、2-イミノビ
オチニル基、ジエチレントリアミンペンタアセチル基、4-モルホリンカルボニル
基、2-チオフェンアセチル基又は2-チオフェンスルホニル基を含めることができ
る。
【0072】 上記の環式基、ヘテロ環式基及び多環式基に加えて、他の型の修飾基を、本発
明のモジュレータにおいて用いることができる。例えば、疎水性の基及び分枝し
たアルキル基は、適当な修飾基であろう。例には、アセチル基、フェニルアセチ
ル基、フェニルアセチル基、ジフェニルアセチル基、トリフェニルアセチル基、
イソブタノイル基、4−メチルバレリル基、トランス-シンナモイル基、ブタノ
イル基及び1-アダマンタンカルボニル基が含まれる。
【0073】 更に別の型の修飾基は、ベータ−ターンミメティックとして作用する非天然ア
ミノ酸例えばTsang,K.Y.等(1994)J.Am.Chem.Soc.116:3988-4005;Diaz,H及びKell
y,J.W.(1991)Tetrahedron Letters 41:5725-5728;及びDiaz,H等(1992)J.Am.Chem
.Soc.114:8316-8318に記載されたジベンゾフランベースのアミノ酸を含有する化
合物である。かかる修飾基の例は、ペプチドアミノエチルジベンゾフラニルプロ
ピオン酸(Adp)基(例えば、DDIIL−Adp)(SEQ ID NO:31)である。こ
の型の修飾基には、更に、この型の化合物が天然β−APと相互作用する際に天
然β−APの凝集に対する更なる立体障害を導入するための1つ以上のN−メチ
ルペプチド結合が含まれ得る。
【0074】 更に別の種類の修飾基はNH−OR基であり、但し式中、Rは、ここに説明し
た、修飾された又は未修飾のアルキル基又はシクロアルキル基のいずれでもよい
【0075】 適当な修飾基及びそれらの対応する修飾試薬の非制限的例を以下に列記する。
【0076】 修飾基 修飾試薬 メチル- メチルアミン、Fmoc-D-[Me]-Leu- OH、 メチルアミン及びブロモアセチルペプチド エチル- エチルアミン、アセトアルデヒド及び 水素化シアノホウ素ナトリウム、 エチルアミン及びブロモアセチルペプチド プロピル- プロピルアミン、プロピオンアルデヒド 及び水素化シアノホウ素ナトリウム、 プロピルアミン及びブロモアセチルペプチド イソプロピル- イソプロピルアミン、イソプロピルアミン 及びブロモアセチルペプチド ピペリジン- ピペリジン及びブロモアセチルペプチド アセチル- 無水酢酸、酢酸 ジメチル- メチルアミン、ホルムアルデヒド及び 水素化シアノホウ素ナトリウム ジエチル- アセトアルデヒド 及び水素化シアノホウ素ナトリウム コリル- コール酸 リトコリル- リトコール酸 ヒオデキシコリル- ヒオデオキシコール酸 ケノデオキシコリル- ケノデオキシコール酸 ウルソデオキシコリル- ウルソデオキシコール酸 3-ヒドロキシシンナモイル- 3-ヒドロキシ桂皮酸 4-ヒドロキシシナモイル- 4-ヒドロキシ桂皮酸 2-ヒドロキシシナモイル- 2-ヒドロキシ桂皮酸 3-ヒドロキシ-4-メトキシシンナモイル- 3-ヒドロキシ-4-メトキシ桂皮酸 4-ヒドロキシ-3-メトキシシンナモイル- 4-ヒドロキシ-3-メトキシ桂皮酸 2-カルボキシシンナモイル- 2-カルボキシ桂皮酸 3-ホルミルベンゾイル- 3-カルボキシベンズアルデヒド 4-ホルミルベンゾイル- 4-カルボキシベンズアルデヒド 3,4-ジヒドロキシヒドロシンナモイル- 3,4-ジヒドロキシヒドロ桂皮酸 3,7-ジヒドロキシ-2-ナフトイル- 3,7-ジヒドロキシ-2-ナフトエ酸 4-ホルミルシンナモイル- 4-ホルミル桂皮酸 2-ホルミルフェノキシアセチル- 2-ホルミルフェノキシ酢酸 8-ホルミル-1-ナフトイル- 1,8-ナフタアルデヒド酸 4-(ヒドロキシメチル)ベンゾイル- 4-(ヒドロキシメチル)安息香酸 4-ヒドロキシフェニルアセチル- 4-ヒドロキシフェニル酢酸 3-ヒドロキシベンゾイル- 3-ヒドロキシ安息香酸 4-ヒドロキシベンゾイル- 4-ヒドロキシ安息香酸 5-ヒダントインアセチル- 5-ヒダントイン酢酸 L-ヒドロオロチル- L-ヒドロオロト酸 4-メチルバレリル- 4-メチル吉草酸 2,4-ジヒドロキシベンゾイル- 2,4-ジヒドロキシ安息香酸 3,4-ジヒドロキシシンナモイル- 3,4-ジヒドロキシ桂皮酸 3,5-ジヒドロキシ-2-ナフトイル- 3,5-ジヒドロキシ-2-ナフトエ酸 3-ベンゾイルプロパノイル- 3-ベンゾイルプロパン酸 trans-シンナモイル- trans-桂皮酸 フェニルアセチル- フェニル酢酸 ジフェニルアセチル- ジフェニル酢酸 トリフェニルアセチル- トリフェニル酢酸 2-ヒドロキシフェニルアセチル- 2-ヒドロキシフェニル酢酸 3-ヒドロキシフェニルアセチル- 3-ヒドロキシフェニル酢酸 4-ヒドロキシフェニルアセチル- 4-ヒドロキシフェニル酢酸 ()-マンデリル- ()-マンデル酸 ()-2,4-ジヒドロキシ-3,3-ジメチルブタノイル ()-パントラクトン ブタノイル- 無水ブタン酸 イソブタノイル- 無水イソブタン酸 ヘキサノイル- 無水ヘキサン酸 プロピオニル- 無水プロピオン酸 3-ヒドロキシブチロイル β-ブチロラクトン 4-ヒドロキシブチロイル γ-ブチロラクトン 3-ヒドロキシプロピオノイル β-プロピオラクトン 2,4-ジヒドロキシブチロイル α-ヒドロキシ-β-ブチロラクトン 1-アダマンタンカルボニル- 1-アダマンタン炭酸 グリコリル- グリコール酸 DL-3-(4-ヒドロキシフェニル)ラクチル- DL-3-(4-ヒドロキシフェニル)乳酸 3-(2-ヒドロキシフェニル)プロピオニル- 3-(2-ヒドロキシフェニル)プロ ピオン酸 4-(2-ヒドロキシフェニル)プロピオニル- 4-(2-ヒドロキシフェニル)プロ ピオン酸 D-3-フェニルラクチル- D-3-フェニル乳酸 ヒドロシナモイル- ヒドロ桂皮酸 3-(4-ヒドロキシフェニル)プロピオニル- 3-(4-ヒドロキシフェニル)プロピ オン酸 L-3-フェニルラクチル- L-3-フェニル乳酸 4-メチルバレリル 4-メチル吉草酸 3-ピリジルアセチル 3-ピリジル酢酸 4-ピリジルアセチル 4-ピリジル酢酸 イソニコチノイル 4-キノリンカルボキシル 4-キノリンカルボン酸 1-イソキノリンカルボキシル 1-イソキノリンカルボン酸 3-イソキノリンカルボキシル 3-イソキノリンカルボン酸
【0077】 好適な修飾基には、メチル含有基、エチル含有基、プロピル含有基、及び、1-
ピペリジン-アセチル基などのピペリジン含有基、が含まれる。
【0078】 III.Aβモジュレータの更なる化学修飾 本発明のAβ−アミロイドモジュレータ化合物は、更に、この化合物のAβ凝
集を変化させ及びAβ神経毒性を阻止する能力を保持したまま、この化合物の特
定の特性を変えるように修飾することができる。例えば、一実施例においては、
この化合物を更に修飾して、この化合物の薬物動態特性、例えばイン・ビボでの
安定性又は半減期など、を変化させる。他の実施例においては、この化合物を更
に修飾して、検出可能な物質でこの化合物を標識する。更に別の実施例において
は、この化合物を更に修飾して、この化合物を更なる治療部分に結合させる。図
式的には、少なくとも1つの修飾基に直接又は間接的に結合されたD−アミノ酸
Aβ凝集コアドメインを含む本発明のモジュレータは、MG−ACDと示すこと
ができる。もっとも、更にこのモジュレータの特性を変えるように修飾されたこ
の化合物は、MG−ACD−CMと示すことができる(ここに、CMは、更なる
化学修飾を表している)。
【0079】 この化合物の薬物動態特性を変える等のためにこの化合物を更に化学的に修飾
するには、反応基を誘導変化させることができる。例えば、修飾基を凝集コアド
メインのアミノ末端に結合した場合には、この化合物のカルボキシ末端を更に修
飾することができる。好適なC末端修飾には、この化合物のカルボキシペプチダ
ーゼの基質として作用する能力を減少させるものが含まれる。好適なC末端改変
剤の例には、アミド基(即ち、ペプチドアミド)、アルキル又はアリールアミド基
(例えば、エチルアミド基又はフェネチルアミド基)ヒドロキシ基(即ち、ペプチ
ドアルコール)及び種々の非天然アミノ酸例えばD型アミノ酸及びβ−アラニン
が含まれる。或は、修飾基を凝集コアドメインのカルボキシ末端に結合した場合
には、この化合物のアミノ末端を更に修飾して、例えば、この化合物のアミノペ
プチダーゼ基質として作用する能力を減少させることができる。
【0080】 モジュレータ化合物は、更に修飾して、この化合物を検出可能な物質と反応さ
せることにより、この化合物を標識することができる。適当な検出可能な物質に
は、種々の酵素、補欠分子団、蛍光物質、発光物質及び放射性物質が含まれる。
適当な酵素の例には、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、
β−ガラクトシダーゼ又はアセチルコリンエステラーゼが含まれる。適当な補欠
分子団複合体の例には、ストレプトアビジン/ビオチン及びアビジン/ビオチン
が含まれ;適当な蛍光物質の例には、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フル
オレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフル
オレセイン、ダンジルクロリド又はフィコエリトリンが含まれ;発光物質の例に
は、ルミノールが含まれ;そして適当な放射性物質の例には、14C、123I、
24I、125I、131I、99mTc、35S又は3Hが含まれる。好適実施例において
、モジュレータ化合物は、14Cの修飾基又はモジュレータ化合物中の1つ以上の
アミノ酸構造中への組み込みにより、14Cで放射性標識する。標識されたモジュ
レータ化合物を用いて、これらの化合物のイン・ビボでの薬物動態を評価するこ
とができ、並びにAβ凝集を検出することができる(例えば、診断目的のために)
。Aβ凝集は、標識したモジュレータ化合物を用いて、イン・ビボで、又は、患
者に由来するイン・ビトロ試料中で検出することができる。
【0081】 好ましくは、イン・ビボ診断剤としての使用のためには、本発明のモジュレー
タ化合物を、放射性テクネチウム又はヨウ素で標識する。従って、一実施例にお
いて、本発明は、テクネチウムで(好ましくは、99mTcで)標識したモジュレー
タ化合物を提供する。ペプチド化合物をテクネチウムで標識する方法は、当分野
において公知である(例えば、米国特許第5,443,815号、第5,225
,180号及び第5,405,597号(すべて、Dean等による);Stepniak-Bin
iakiewicz,D.等(1992)J.Med.Chem.35:274-279:Fritzberg.A.R.等(1988)Proc.Nat
l.Acad.Sci.USA 85:4025-4029;Baidoo,K.E.等(1990)Cancer Res.補遺50:799s-80
3s;及びRegan,L.及びSmith,C.K.(1995)Science 270:980-982を参照されたい)。9 9m Tcに対するキレート化基を導入することのできる部位を提供する修飾基を選
択することができる(例えば、遊離のアミノ基を有するコール酸のAic誘導体)
。他の実施例において、本発明は、放射性ヨウ素で標識されたモジュレータ化合
物を提供する。例えば、Aβ配列中のフェニルアラニン残基(例えばPhe19
はPhe20)を、放射性のヨードチロシルで置換することができる。放射性ヨウ
素の種々のアイソトープの何れでも、取り込ませて診断剤を造ることができる。
好ましくは、123I(半減期=13.2時間)を、全身シンチグラフィーに用い、1 24 I(半減期=4日)を、ポジトロン放射トモグラフィー(PET)に用い、125I(
半減期=60日)を、代謝回転の研究に用い、そして131I(半減期=8日)を、全
身計数及び遅延低解像度イメージングの研究に用いる。
【0082】 その上、本発明のモジュレータ化合物の更なる修飾を、この化合物に更なる治
療特性を与えるのに役立てることができる。即ち、この更なる化学修飾は、更な
る官能性部分を含むことができる。例えば、アミロイド斑を分解又は溶解させる
のに役立つ官能性部分を、このモジュレータ化合物に結合することができる。こ
の形態において、このモジュレータのMG−ACD部分は、この化合物をAβペ
プチドにターゲティングすると共に、Aβペプチドの重合を破壊するのに役立つ
。もっとも、この追加の官能性部分は、この化合物がこれらの部位にターゲティ
ングされた後で、アミロイド斑を分解又は溶解させるのに役立つ。
【0083】 別の化学修飾においては、本発明のβ−アミロイド化合物は、「プロドラッグ
」形態で製造され、該形態において、この化合物自体はAβ凝集を調節しないが
、イン・ビボでの代謝の際に、ここに規定するβ−アミロイドモジュレータ化合
物に変換させることができる。例えば、この型の化合物において、調節基は、代
謝されると活性な調節基の形態に転化することのできるプロドラッグ形態で存在
することができる。かかるプロドラッグ形態の修飾基は、ここでは、「二次的修
飾基」と呼ぶ。ペプチドベースの薬物の活性型の最適な送達のために、代謝を制
限するペプチドプロドラッグを製造する様々なストラテジーが、当分野において
は、知られている(例えば、Moss,J.(1995){Peptide-Based Drug Design:Control
ling Transport and Metabolism,Taylor,M.D.及びAmidon,G.L.(編)、第18章中}
を参照されたい)。更に、ストラテジーは、「順次的代謝」に基づくCNS送達
を達成するように特に仕立てられてきた(例えば、Bodor,N.等(1992)Science 257
:1698-1700;Prokai,L.等(1994)J.Am.Chem.Soc.116:2643-2644;Bodor,N.及びProk
ai,L.(1995){Peptide-Based Drug Design:Controlling Transport and Metaboli
sm,Taylor,M.D.及びAmidon,G.L.(編)第14章}を参照されたい)。本発明のプロド
ラッグ形態のモジュレータの一実施例において、修飾基には、血液脳関門透過性
を促進するアルキルエステルが含まれる。
【0084】 本発明のモジュレータ化合物は、当分野で公知の標準的技術により製造するこ
とができる。モジュレータのペプチド成分は、Bodansky,M.Principles of Pept
ide Synthcsis,Springer Verlag,Berlin(1993)及びGrant,G.A.(編)Synthetic Pe
ptides:A User's Guide,W.H.Freeman and Company,New York(1992)に記載された
ような標準的技術を用いて合成することができる。自動化ペプチドシンセサイザ
ーが市販されている(例えば、Advanced Chem Tech Model 396;Milligen/Biosear
ch 9600)。更に、1つ以上の調節基を、Aβに由来するペプチド成分(例えば、
Aβ凝集コアドメイン)に、標準的方法例えばアミノ基(例えば、ペプチドのアミ
ノ末端のアルファ−アミノ基)、カルボキシル基(例えば、ペプチドのカルボキシ
末端の)、ヒドロキシル基(例えば、チロシン、セリン又はスレオニン残基上の)
又はアミノ酸側鎖上の他の適当な反応基を通した反応のための方法を用いること
により、結合することができる(例えば、Greene,T.W及びWuts,P.G.M.Protective
Groups in Organic Synthesis,John Wiley and Sons,Inc.,New York(1991)を参
照されたい)。D型アミノ酸βアミロイドモジュレータの典型的合成を、実施例
1において更に説明する。
【0085】 IV.スクリーニングアッセイ 本発明の他の態様は、β−アミロイド凝集のモジュレータを選択する方法に関
係する。この方法においては、テスト化合物を天然βアミロイドペプチドと接触
させ、天然β−APの凝集を測定し、そして天然β−APの凝集を変える(例え
ば、凝集を阻止し又は促進する)テスト化合物の能力に基づいてモジュレータを
選択する。好適実施例において、テスト化合物を、モル過剰量の天然β−APと
接触させる。テスト化合物の存在下での天然β−AP凝集の量及び/又は割合を
、ここに記載したようなβ−AP凝集を示す適当なアッセイによって調べること
ができる(例えば、実施例2参照)。
【0086】 好適なアッセイにおいては、天然β−APをテスト化合物の存在下で溶液に溶
解させて、天然β−APの凝集を、405nmでの溶液の見かけの吸光度により
測定して、時間経過にわたって溶液の濁度を評価することにより(実施例2で更
に説明する;Jarrett等(1993)Biochemistry 32:4693-4697も参照されたい)、核
形成アッセイ(実施例2参照)で評価する。β−アミロイドモジュレータの不在時
では、溶液のA405nmは、典型的には、溶液中にβ−APが残っている遅延時間
中では比較的一定のままであるが、その後β−APが凝集して溶液から析出する
につれ、この溶液のA405nmは急速に上昇し、最後にはプラトーレベルに達する(
即ち、溶液のA405nmは、時間経過に伴ってシグモイド的動力学を示す)。対照的
に、β−AP凝集を阻止するテスト化合物の存在下では、溶液のA405nmはモジ
ュレータの不在時と比べて減少する。このように、阻止用モジュレータの存在下
では、溶液は、モジュレータの不在時と比べて、増大した遅延時間、低下した凝
集勾配及び/又は一層低いプラトーレベルを示す。β−アミロイド重合のモジュ
レータを選択するこの方法は、同じく、β−AP凝集を促進するモジュレータを
選択するために用いることもできる。従って、β−AP凝集を促進するモジュレ
ータの存在下で、溶液のA405nmは、モジュレータの不在時と比べて増大する(例
えば、この溶液は、モジュレータの不在時と比べて減少した遅延時間、増大した
凝集勾配及び/又は一層高いプラトーレベルを示すであろう)。
【0087】 本発明のスクリーニング方法での使用に適した他のアッセイである播種伸展(s
eeded extension)アッセイも又、実施例2で更に説明する。このアッセイにおい
ては、β−APモノマーと、凝集したβ−APの「種」とを、テスト化合物の存
在下及び不在において組み合わせて、β−原線維形成の量を、β−AP原線維と
接触した際の染料チオフラビンTの増大された放出に基づいて、アッセイする。
その上、β−AP凝集は、β−AP標品の電子顕微鏡検査(EM)によって、モジ
ュレータの存在下又は不在においてアッセイすることができる。例えば、EMに
より検出可能なβアミロイド原線維形成は、β−AP凝集を阻止するモジュレー
タの存在下で減少する(即ち、このモジュレータの存在下では、β−原線維の量
又は数が減少する)が、β原線維形成は、β−AP凝集を促進するモジュレータ
の存在下においては増大する(即ち、このモジュレータの存在下では、β−原線
維の量又は数が増大する)。
【0088】 適当なモジュレータを選択するための本発明のスクリーニング方法において使
用するのに好適な他のアッセイは、実施例3に記載した神経毒性アッセイである
。神経毒性のAβ凝集物の形成を阻止し及び/又は既に形成されたAβ原線維の
神経毒性を阻止する化合物を選択する。この神経毒性アッセイは、イン・ビボに
おける神経毒性の予想となると考えられる。従って、このイン・ビトロの神経毒
性アッセイにおけるモジュレータ化合物の阻止活性は、イン・ビボにおける神経
毒性に対するこの化合物の同様の阻止活性を予測する。
【0089】 V.製薬組成物 本発明の他の態様は、本発明のβ−アミロイドモジュレータ化合物の製薬組成
物に関係する。一実施例において、この組成物は、天然β−アミロイドペプチド
の凝集を変化させ好ましくは阻止させるのに十分な製薬上又は予防上有効な量の
βアミロイドモジュレータ化合物と、製薬上許容し得る担体と、を含む。他の実
施例において、この組成物は、天然β−アミロイドペプチドの神経毒性を阻止す
るのに十分な治療上又は予防上有効な量のβアミロイドモジュレータ化合物と、
製薬上許容し得る担体と、を含む。「治療上有効な量」は、β−アミロイド沈着
の減少若しくは逆転、及び/又は、Aβ神経毒性の減少若しくは逆転等、所望の
治療結果を達成するのに有効な量(投薬量及び必要な期間の量)をいう。モジュレ
ータの治療上有効な量は、個人の病状、年齢、性別及び体重等の因子、並びにそ
の個人における所望の応答を誘出するモジュレータの能力によって変化し得る。
投薬養生法は、最適な治療応答を与えるように調節することができる。治療上有
効な量は又、モジュレータの任意の毒性の又は有害な効果よりも、治療上有益な
効果が勝っているものでもある。本発明のモジュレータの潜在的な神経毒性は、
実施例6に記載した細胞ベースのアッセイを用いてアッセイすることができ、有
意の神経毒性を示さない治療上有効なモジュレータを選択することができる。好
適実施例において、モジュレータの治療上有効な量は、モル過剰量の天然β−ア
ミロイドペプチドの凝集を変化させ好ましくは阻止するのに十分である。「予防
上有効な量」は、所望の予防上の結果例えばβ−アミロイド沈着が起きやすい患
者におけるβ−アミロイド沈着の割合及び/又はAβ神経毒性を防止し又は阻止
することを達成するのに十分な量(投薬量及び必要な期間)をいう。予防上有効な
量は、治療上有効な量について上記したようにして決定することができる。典型
的には、予防的投与量は、病気の初期ステージの前の又は該ステージの患者に用
い、予防上有効な量は、治療上有効な量より少ないであろう。
【0090】 βアミロイドモジュレータの治療上又は予防上有効な量を決定する際に考慮し
得る1つの因子は、患者の生物学的区画、例えば患者の脳脊髄液(CSF)、中の
天然β−APの濃度である。CSF中の天然β−APの濃度は3nMと見積もら
れている(Schwartzman,(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:8368-8372)。βアミ
ロイドモジュレータの治療上又は予防上有効な量の非制限的な範囲は、0.01
nM〜10μMである。投薬量の値は、軽減すべき病状の重さによって変化し得
るということには注意すべきである。任意の特定の患者について、特定の投薬養
生法は、その個人の必要に応じて、及び、これらの組成物を投与し又はその投与
を管理する専門家の判断に従って、経時的に調節すべきであるということ、並び
に、ここに示した投薬量の範囲は例に過ぎず請求の範囲に記載した組成物の範囲
及びプラクティスを制限することを意図したものではないということは、更に理
解されるべきである。
【0091】 この組成物中の活性な化合物の量は、個人の病状、年齢、性別及び体重等の因
子(これらの各々は、その個人における天然β−APの量に影響し得る)によって
変化し得る。投薬養生法は、最適な治療応答をもたらすように調節することがで
きる。例えば、単一の巨丸剤を投与することができ、幾つかに分割した投与量を
経時的に投与することができ、又はこの投与量を治療状況の緊急性に合わせて増
減することができる。非経口組成物を投与し易いように及び均一な投与量のため
に投薬量単位形態で配合することは、特に有利である。投薬量単位形態は、ここ
で用いる場合、治療すべき哺乳動物患者への単位ごとの投薬に適した物理的に別
々の単位を言い、各単位は、所望の治療効果を生じるように計算された所定量の
活性な化合物を、必要な製薬担体と組み合わせて含む。本発明の投薬量単位形態
の仕様は、(a)活性な化合物の固有の特性及び達成すべき特定の治療効果並びに
(b)個人における感受性の治療のためにかかる活性な化合物を混合する分野に固
有の限界によって決定され、且つ、直接これらに依存する。
【0092】 ここで用いる場合、「製薬上許容し得る担体」は、生理学的に適合性の任意の
及びすべての溶媒、分散媒、被覆、抗菌及び抗カビ剤、等張剤及び吸収遅延剤等
を包含する。一実施例において、この担体は、非経口投与に適している。好まし
くは、この担体は、中枢神経系(例えば、髄腔又は大脳内)への投与に適している
。或は、この担体は、静脈、腹腔又は筋肉投与に適していてよい。他の実施例に
おいて、この担体は、経口投与に適している。製薬上許容し得る担体には、無菌
の水溶液又は分散及び、無菌の注射用溶液又は分散液の即時調製用の無菌の粉末
が含まれる。かかる媒質及び作用剤の製薬上活性な物質のための利用は、当分野
で周知である。任意の慣用の媒質又は作用剤が活性な化合物と適合性でない場合
を除いて、本発明の製薬組成物におけるそれらの利用は、企図されている。補足
的な活性化合物も又、これらの組成物に組み込むことができる。
【0093】 治療用組成物は、典型的には、製造及び貯蔵条件下で無菌で且つ安定でなけれ
ばならない。この組成物は、溶液、ミクロエマルジョン、リポソーム又は他の高
い薬物濃度に適した整った構造として配合することができる。この担体は、例え
ば水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール
及び液体ポリエチレングリコール等)及びこれらの適当な混合物を含有する溶媒
又は分散媒であってよい。適当な流動性を、例えば、レシチン等の被覆の利用に
より、適当な粒子寸法の維持により(分散液の場合)、及び界面活性剤の利用によ
り維持することができる。多くの場合において、等張剤例えば糖類、ポリアルコ
ール例えばマンニトール、ソルビトール、又は塩化ナトリウムをこの組成物中に
含むことは、好適であろう。これらの注射用組成物の延長された吸収は、組成物
中に吸収を遅らせる薬剤例えばモノステアリン酸塩及びゼラチンを含ませること
によりもたらすことができる。その上、これらのモジュレータは、時間放出用配
合物例えば遅延放出ポリマーを含む組成物にて投与することができる。これらの
活性化合物は、化合物を急速な放出から護る担体と共に調製することができる(
インプラント及びマイクロカプセル封入した送達システムを含む。制御放出製剤
等)。エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリ
オルトエステル、ポリ乳酸、及び、ポリ乳酸、ポリグリコール酸コポリマー(P
LG)等の生物分解性の生体適合性ポリマーを用いることができる。かかる配合
物の多くの製造方法は、特許され又は、一般に、当業者に公知である。
【0094】 無菌の注射用溶液は、適当な溶媒中に必要量の活性化合物(例えば、β−アミ
ロイドモジュレータ)を、必要に応じて上記の成分の1つ又は組合せと共に取り
込み、その後、濾過除菌することにより調製することができる。一般に、分散液
は、活性化合物を、基礎的分散媒及び上記からの他の必要な成分を含む無菌ビヒ
クルに取り込むことにより調製する。無菌注射用溶液の調製のための無菌粉末の
場合には、好適な製造方法は、活性成分及び任意の所望の成分の粉末を、予め除
菌濾過したそれらの溶液から生成する真空乾燥及び凍結乾燥である。
【0095】 本発明のモジュレータ化合物は、このモジュレータ化合物の溶解度を増大させ
る1種以上の追加の化合物を伴って配合することができる。これらのモジュレー
タの溶解度を増大させるために配合物に加えるべき好適な化合物は、シクロデキ
ストリン誘導体、好ましくはヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリンであ
る。ペプチドの中枢神経系への送達のためのシクロデキストリン誘導体を含有す
る薬物送達用ビヒクルは、Bodor,N.等(1992)Science 257:1698-1700に記載され
ている。ここに記載のβ−アミロイドモジュレータについて、配合物中にヒドロ
キシプロピル−γ−シクロデキストリンを50〜200mMの濃度で含めると、
これらの化合物の水への溶解度が増大する。溶解度の増大に加えて、この配合物
へのシクロデキストリン誘導体の含有は、β−シクロデキストリン自体がAβペ
プチドと相互作用して原線維の形成を阻止することがイン・ビトロで報告されて
いるため、他の有益な効果を有するかも知れない(Camilleri,P.等(1994)FEBS Le
ttcrs 341:256-258)。従って、本発明のモジュレータをシクロデキストリン誘導
体と組み合わせた利用は、モジュレータ単独での使用よりも大きいAβ凝集の阻
止を生じ得る。シクロデキストリンの化学修飾は、当分野で公知である(Hanessi
an等(1995)J.Org.Chem.60:4786-4797)。本発明のモジュレータを含有する製薬組
成物における添加剤としての利用に加えて、シクロデキストリン誘導体は又、修
飾基としても有用であり、従って、Aβペプチド化合物と共有結合して本発明の
モジュレータ化合物を形成することもできる。
【0096】 脳の取り込みを増大させるモジュレータ化合物の他の好適な配合物は、デター
ジェントトゥイーン−80、ポリエチレングリコール(PEG)及びエタノール(
塩溶液中)を含む。かかる好適な配合物の非制限的例は、0.16%トゥイーン
−80、1.3%PEG−3000及び2%エタノール(塩溶液中)である。
【0097】 他の実施例では、本発明のモジュレータを含む製薬組成物を、このモジュレー
タが血液脳関門(BBB)を横切って輸送されるように配合する。BBBを横切る
輸送を増大させるための、当分野で知られた様々なストラテジーを本発明のモジ
ュレータに適合させ、それにより、BBBを横切るモジュレータの輸送を増大さ
せることができる(かかるストラテジーの総説としては、例えば、Pardridge,W.M
.(1994)Trends in Biotechnol.12:239-245;Van Bree,J.B.等(1993)Pharm.World
Sci.15:2-9;及びPardridge,W.M.等(1992)Pharmacol.Toxicol.71:3-10を参照され
たい)。一つのアプローチにおいては、このモジュレータを化学的に修飾して、
増大した膜貫通輸送を有するプロドラッグを形成する。適当な化学修飾には、脂
肪酸のこのモジュレータへのアミド又はエステル結合を介しての共有結合(例え
ば、Shashouaの米国特許第4,933,324号及びPCT公開WO89/07
938;Hesse等の米国特許第5,284,876号;Toth,I.等(1994)J.Drug T
arget.2:217-239;及びShashoua,W.E.等(1984)J.Med.Chem.27:659-664参照)、及
び、このモジュレータの糖付加(例えば、Poduslo等の米国特許第5,260,3
08号参照)が含まれる。又、N−アシルアミノ酸誘導体もモジュレータにおい
て用いて「脂質的」プロドラッグを形成することができる(例えば、Hashimoto等
の第5,112,863号参照)。
【0098】 BBBを横切る輸送を増大させるための別のアプローチにおいては、ペプチド
モジュレータ又はペプチドミメティックモジュレータを、第2のペプチド又は蛋
白質に結合して、それにより、キメラ蛋白質を形成する(ここに、第2のペプチ
ド又は蛋白質は、BBBを介して吸収性の又はレセプター媒介のトランスサイト
ーシスを受ける)。従って、モジュレータをこの第2のペプチド又は蛋白質に結
合することにより、このキメラ蛋白質は、BBBを横切って輸送される。この第
2のペプチド又は蛋白質は、脳毛細血管内皮細胞レセプターリガンドのリガンド
であってよい。例えば、好適なリガンドは、脳毛細血管内皮細胞上のトランスフ
ェリンレセプターに特異的に結合するモノクローナル抗体である(例えば、すべ
てFriden等の米国特許第5,182,107号及び第5,154,924号及び
PCT公開WO93/10819及びWO95/02421を参照)。BBBを
横切る輸送を媒介することのできる他の適当なペプチド又は蛋白質には、ヒスト
ン(例えば、Pardridge及びSchimmelの米国特許第4,902,505号参照)、
及び、リガンド、例えばビオチン、葉酸塩、ナイアシン、パントテン酸、リボフ
ラビン、チアミン、ピリドキサール及びアスコルビン酸(例えば、両者ともにHei
nsteinの米国特許第5,416,016号及び第5,108,921号参照)が
含まれる。更に、グルコーストランスポーターGLUT−1は、BBBを横切っ
て糖ペプチド([Met5]エンケファリンのL−セリニル−β−D−グルコシド類似
体)を輸送することが報告されている(Polt,R.等(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA
91.:7114-1778)。従って、モジュレータ化合物をかかる糖ペプチドに結合して、
そのモジュレータをGLUT−1グルコーストランスポーターを標的とさせるこ
とができる。例えば、アミノ末端を修飾基Aic(3−(O−アミノエチル−イソ
)−コリル、遊離アミノ基を有するコール酸の誘導体)で修飾したモジュレータ化
合物を、標準的方法によって、Aicのアミノ基を介して糖ペプチドに結合する
ことができる。キメラ蛋白質は、組換えDNA法により(例えば、融合蛋白質を
コードするキメラ遺伝子の形成により)形成したり、又は、モジュレータを第2
のペプチド若しくは蛋白質に化学的に架橋してキメラ蛋白質を形成することによ
って形成することができる。多数の化学架橋剤が公知である(例えば、イリノイ
州ロックフォード、ピアース社から市販されている)。モジュレータを第2のペ
プチド又は蛋白質へ高い収率で結合させるような、そしてその後、生物活性を有
するモジュレータを遊離させるようリンカーの開裂を可能にするような架橋剤を
選択することができる。例えば、ビオチン−アビジンベースのリンカー系を用い
ることができる。
【0099】 BBBを横切った輸送を増大させるための更に別のアプローチにおいては、モ
ジュレータを、BBBを横切る輸送を媒介する担体ベクター中にカプセル封入す
る。例えば、モジュレータを、リポソーム、例えば正に帯電した単ラメラリポソ
ーム(例えば、FadenのPCT公開WO88/07851及びWO88/7852
参照)中に、又は高分子ミクロスフェア(例えば、Khan等の米国特許第5,413
,797号、Mathiowitz等の米国特許第5,271,961号及びGombotz等の
第5,019,400号参照)中にカプセル封入することができる。その上、担
体ベクターを改変して、それを、BBBを横切る輸送のためにターゲッティング
することができる。例えば、この担体ベクター(例えば、リポソーム)を、BBB
を横切って能動輸送される分子で共有結合により修飾したり、又は、脳内皮細胞
レセプターに対するリガンド、例えばトランスフェリンレセプターに特異的に結
合するモノクローナル抗体など、で修飾することができる(例えば、Collins等の
PCT公開WO91/04014及びGreig等のWO94/02178参照)。
【0100】 BBBを横切るモジュレータの輸送を増大させるための更に別のアプローチに
おいては、モジュレータを、BBBを透過性にするよう機能する他の薬剤と同時
投与する。かかるBBB「パーミアビライザー」の例には、ブラジキニン及びブ
ラジキニンアゴニスト(例えば、Malfroy-Camineの米国特許第5,112,59
6号参照)及びKozarich等の米国特許第5,268,164号に開示されたペプ
チド化合物が含まれる。
【0101】 脳脊髄液(CSF)中のモジュレータ化合物のイン・ビトロでの安定性や、モデ
ル動物におけるモジュレータ化合物の脳による取り込みの程度を測定するアッセ
イは、これらの化合物のイン・ビボでの効力の予測として用いることができる。
CSF安定性及び脳の取り込みを測定するための適当なアッセイは、実施例7及
び8にそれぞれ記載してある。
【0102】 本発明のモジュレータ化合物は、このモジュレータが唯一の活性化合物である
製薬組成物に配合することができ、或は、この製薬組成物に更なる活性化合物を
含有させることができる。例えば、2種以上のモジュレータ化合物を組み合わせ
て用いることができる。その上、本発明のモジュレータ化合物は、抗アミロイド
形成性特性を有する1種以上の他の薬剤と組み合わせることができる。例えば、
モジュレータ化合物を、非特異的なコリンエステラーゼインヒビターのタクリン
(COGNEX(登録商標)、Parke-Davis)と組み合わせることができる。
【0103】 他の実施例において、本発明の製薬組成物をパッケージされた配合物として提
供する。このパッケージされた配合物には、容器に入った本発明の製薬組成物と
、β−アミロイド症に関連する病気、例えばアルツハイマー病など、を有する患
者を治療するためにこの組成物を投与する際の印刷指示書とが含まれよう。
【0104】 VI.Aβモジュレータの利用方法 本発明の他の態様は、天然β−アミロイドペプチドの凝集を変化させ又はその
神経毒性を阻止するための方法に関係する。本発明の方法においては、天然βア
ミロイドペプチドを、Aβアミロイドモジュレータに、天然βアミロイドペプチ
ドの凝集が変化し又は天然βアミロイドペプチドの神経毒性が阻止されるよう、
接触させる。好適実施例において、このモジュレータは、天然βアミロイドペプ
チドの凝集を阻止する。他の実施例において、このモジュレータは、天然βアミ
ロイドペプチドの凝集を促進する。好ましくは、モジュレータの量と比較してモ
ル過剰量のβ−APの凝集が、このモジュレータとの接触に際して変更される。
【0105】 本発明の方法においては、天然βアミロイドペプチドを、イン・ビトロ又はイ
ン・ビボの何れにおいても、モジュレータと接触させることができる。従って、
用語「と接触させる」は、モジュレータを天然β−AP標品とイン・ビトロでイ
ンキュベートすること及びモジュレータを天然β−APが存在するイン・ビボの
部位に送達することの両方を包含することを意図している。モジュレータ化合物
は天然β−APと相互作用するので、これらのモジュレータ化合物を用いて、天
然β−APを、イン・ビトロ又はイン・ビボの何れでも検出することができる。
従って、本発明のモジュレータ化合物の用途の一つは、診断剤として、生物学的
試料中で又は患者においてイン・ビボで、天然β−APの存在を検出することで
ある。さらに、本発明のモジュレータ化合物を用いる天然β−APの検出は、更
に、患者におけるアミロイド症を診断するために利用することができる。更には
、本発明のモジュレータ化合物はβ−APの凝集を破壊し、β−APの神経毒性
を阻止するため、これらのモジュレータ化合物は又、β−アミロイド症に関連す
る障害の治療においても、予防上又は治療上の何れでも有用である。従って、本
発明のモジュレータ化合物の他の用途は、天然β−APの凝集及び/又は神経毒
性を変化させる治療剤としての用途である。
【0106】 一実施例において、本発明のモジュレータ化合物は、例えば、イン・ビトロで
、試料(例えば、生物学的液体の試料)中の天然β−APを検出し、定量するため
に用いられる。検出における補助のために、このモジュレータ化合物を検出可能
な物質で修飾することができる。この方法で用いる天然β−APの源は、例えば
、脳脊髄液の試料(例えば、AD患者、家族の病歴から見てAD易罹患性のある
成人、又は正常な成人からの試料)であってよい。天然β−AP試料を本発明の
モジュレータと接触させて、β−APの凝集を実施例2に記載したようなアッセ
イなどによって測定する。次いで、β−AP試料の凝集の程度を、同様にモジュ
レータと接触させた既知濃度のβ−APの対照用試料のそれと比較することがで
き、その結果を、患者がβ−アミロイド症と関連する障害に対して易罹患性であ
る又はその病気を有しているかの指標として利用することができる。その上、β
−APは、モジュレータ中に取り込まれた調節基を検出することにより検出する
ことができる。例えば、ここに記載したようなビオチン化合物(例えば、アミノ
末端ビオチン化β−APペプチド)を取り込んだモジュレータを、検出可能な物
質(例えば、酵素例えばペルオキシダーゼ)で標識したストレプトアビジン又はア
ビジン・プローブを用いて検出することができる。
【0107】 他の実施例において、例えば患者におけるβアミロイド症の診断の補助のため
に、本発明のモジュレータ化合物をイン・ビボで用いて、患者における天然β−
AP沈着を検出し、所望であれば定量する。検出の補助のために、モジュレータ
化合物を、検出可能な物質好ましくは患者においてイン・ビボで検出できる99m
Tc又は放射性ヨウ素で修飾することができる(上で更に説明した)。標識したβ
−アミロイドモジュレータ化合物を患者に投与し、アミロイド沈着部位にモジュ
レータを蓄積させるのに十分な時間の後に、標識したモジュレータ化合物を標準
的なイメージング技術により検出する。標識した化合物により生成された放射性
シグナルは、直接検出することができ(例えば、全身計数)、或は、患者における
アミロイド沈着の像を描くことを可能にするために、放射性シグナルをオートラ
ジオグラフ上又はコンピュータースクリーン上で画像に変換することができる。
放射性標識した蛋白質を用いてアミロイド症の像を描く方法は、当分野において
公知である。例えば、123I又は99mTcで放射性標識した血清アミロイドPコン
ポーネント(SAP)は、全身のアミロイド症の像を撮像するのに利用されてきた
(例えば、Hawkins,P.N.及びPepys,M.B.(1995)Eur.J.Nucl.Med.22:595-599参照)
。種々の放射性ヨウ素のアイソタイプの内で、好ましくは、123I(半減期=13
.2時間)を全身シンチグラフィーに用い、124I(半減期=4日)をポジトロン放
出トモグラフィー(PET)に用い、125I(半減期=60日)を代謝回転の研究に
用い、そして131I(半減期=8日)を全身計数及び遅延低分解能イメージングの
研究に用いる。放射性標識したSAPを用いる研究と同様に、本発明の標識した
モジュレータ化合物を適当な経路により(例えば、静脈、髄腔、大脳経由で)、例
えば約180MBqの放射能を有する100μgの標識した化合物を含有する単
一の巨丸剤にて、患者に送達することができる。
【0108】 本発明は、生物学的試料中の天然β−アミロイドペプチドの存否を検出する方
法であって、生物学的試料を本発明の化合物と接触させて天然β−アミロイドペ
プチドに結合した化合物を検出し、それにより、その生物学的試料中の天然β−
アミロイドペプチドの存否を検出することを含む方法を提供する。一実施例にお
いて、β−アミロイドモジュレータ化合物と生物学的試料をイン・ビトロで接触
させる。他の実施例においては、β−アミロイドモジュレータ化合物を、該化合
物を患者に投与することにより生物学的試料と接触させる。イン・ビボ投与の場
合、好ましくは、この化合物を、放射性テクネチウム又は放射性ヨウ素で標識す
る。
【0109】 本発明は又、天然β−アミロイドペプチドを検出してβ−アミロイド形成性疾
患の診断を容易にする方法であって、生物学的試料を本発明の化合物と接触させ
、天然β−アミロイドペプチドに結合した化合物を検出してβ−アミロイド形成
性疾患の診断を容易にすることを含む方法をも提供する。一実施例においては、
β−アミロイドモジュレータ化合物と生物学的試料をイン・ビトロで接触させる
。他の実施例においては、β−アミロイドモジュレータ化合物を、β−アミロイ
ドモジュレータ化合物を患者に投与することによって生物学的試料と接触させる
。イン・ビボ投与の場合、好ましくは、化合物を放射性テクネチウム又は放射性
ヨウ素で標識する。好ましくは、この方法の利用は、アルツハイマー病の診断を
容易にする。
【0110】 他の実施例において、本発明は、天然β−AP凝集を変化させ又はβ−APの
神経毒性を阻止するための方法であって、βアミロイド症と関連する障害、例え
ばアルツハイマー病など、の治療又は防止において、予防又は治療のために用い
ることのできる方法を提供する。本発明のモジュレータ化合物は、天然β−AP
凝集物の培養神経細胞に対する毒性を減じることができる。その上、これらのモ
ジュレータは又、既に形成されたAβ原線維の神経毒性を減じる能力をも有する
。従って、本発明のモジュレータ化合物を用いて、患者における神経毒性のAβ
原線維の形成を(例えば、β−アミロイド沈着を生じ易い患者において予防的に)
阻止し又は防止することができ、また、既にβ−アミロイド沈着を示している患
者において治療的にβ−アミロイド症を逆行させるために用いることができる。
【0111】 本発明のモジュレータを、患者中(例えば、患者の脳脊髄液又は大脳中)に存在
する天然βアミロイドペプチドと接触させ、それにより、天然β−APの凝集を
変化させ及び/又は天然β−APの神経毒性を阻止する。モジュレータ化合物を
単独で患者に投与することができ、或は、モジュレータ化合物を他の治療上活性
な薬剤と組み合わせて投与することができる(例えば、IV項で上述したように)
。併用療法を採用する場合には、それらの治療剤は、単一の製薬組成物にて同時
投与することができ、別々の製薬組成物にて同時投与することができ、又は順次
的に投与することができる。
【0112】 このモジュレータは、患者における天然β−AP凝集を阻止するのに有効な任
意の適当な経路によって患者に投与することができる。もっとも、特に好適な実
施例において、このモジュレータは、非経口的に投与され、最も好ましくは、患
者の中枢神経系に投与する。CNS投与の可能な経路には、髄腔内投与及び大脳
内投与(例えば、大脳血管投与)が含まれる。或は、この化合物を、例えば経口、
腹腔、静脈又は筋肉内投与することができる。非CNS投与経路の場合、この化
合物は、BBBを横切る輸送を可能にする配合物にて投与することができる。い
くつかのモジュレータは、何ら追加の更なる修飾をしなくてもBBBを横切って
輸送され得るが、他のものは、IV項に記載したように更なる修飾を必要とする
場合がある。
【0113】 患者のCNSへの治療用化合物の送達のための適当な形態及び装置は、当分野
で公知であり、脳血管リザーバー(例えば、Ommaya又はRikkerリザーバー;例え
ば、Raney,J.P.等(1988)J.Neurosci.Nurs.20:23-29;Sundaresan,N.等(1989)Onco
logy 3:15-22参照)、くも膜下送達用カテーテル(例えば、Port-a-Cath,Y-カテー
テル等;例えば、Plummer,J.L.(1991)Pain 44:215-220;Yaksh,T.L.等(1986)Phar
macol.Biochem.Behav.25:483-485参照)、注射可能なくも膜下用リザーバー(例え
ば、Spinalgesic;例えば、Brazenor,G.A.(1987)Neurosurgery 21:484-491参照)
、移植可能な輸注ポンプシステム(例えば、Infusaid;例えば、Zierski,J.等(198
8)Acta Neurochem.Suppl.43:94-99;Kanoff,R.B.(1994)J.Am.Osteopath.Assoc.94
:487-493参照)及び浸透ポンプ(Alza社より販売されている)が含まれる。特に好
適な投与形態は、移植可能な外からプログラムできる輸注ポンプによるものであ
る。適当な輸注ポンプシステム及びリザーバーシステムは、Blomquistの米国特
許第5,368,562号及びPharmacia Dcltce Inc.が開発したDoanの米国特
許第4,731,058号にも記載されている。
【0114】 イン・ビボでβ−AP凝集を変化させ、特に、β−AP凝集を阻止するための
本発明の方法は、異常なβアミロイド凝集及び沈着に関連する疾患の治療に利用
することができ、それにより、βアミロイド沈着の速度を遅くし及び/又はβア
ミロイド沈着の程度を少なくし、それにより、疾患の経過を改善することができ
る。好適実施例において、この方法をアルツハイマー病(例えば、散発性又は家
族性AD、ADの症状を示す個人及び家族性ADに易罹患性の個人の両方を含む
)を治療するために用いる。この方法は又、他の臨床的に生じるβアミロイド沈
着、例えばダウン症候群の個人におけるもの及びアミロイド症オランダ型を伴う
遺伝性脳溢血(HCHWA−D)の患者におけるものを、予防又は治療するのにも
用いることができる。β−AP凝集の阻止は好適な治療方法であるが、β−AP
凝集を促進するモジュレータも又、神経病学的障害へとつながらない部位へのβ
−APの隔離を可能にすることにより、治療上有用であろう。
【0115】 更に、β−アミロイド前駆体蛋白質の筋線維中の異常な蓄積は、散発性の封入
体筋炎(IBM)の病理に関係があるとされてきた(Askana,V.等(1996)Proc.Natl.
Acad.Sci.USA 93:1314-1319;Askanas,V.等(1995)Current Opinion in Rheumatol
ogy 7:486-496)。従って、本発明のモジュレータは、β−AP又はAPPが非神
経病学的位置に異常に沈着する障害の治療、例えばモジュレータの筋線維への送
達によるIBMの治療など、において予防的又は治療的に用いることができる。
【0116】 本発明を、下記の実施例により更に説明するが、これらを制限的なものと解釈
すべきではない。下記のアッセイにおいて、天然β−アミロイドペプチドの凝集
を変化させ及び/又は天然β−アミロイドペプチドの神経毒性を阻止するモジュ
レータの能力は、それらのモジュレータのイン・ビボで同じ機能を果たす能力を
予想させるものである。
【0117】 本発明を、下記の実施例により更に説明するが、これらを制限的なものと解釈
すべきではない。この出願中で引用したすべての参考文献、特許及び公開された
特許出願の内容や図面を、参考として本明細書中に援用する。
【0118】 実施例1:D型アミノ酸を含むβ−アミロイドモジュレータ化合物の製造 D型アミノ酸を含むβ−アミロイドモジュレータは、固相ペプチド合成により
、例えば、下記のようなNα-9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(FMOC
)ベースの保護ストラテジーを用いて製造することができる。2.5mモルのF
MOC−D−Val−Wang樹脂にて出発して、各アミノ酸の順次的付加を、4倍
過剰の保護したアミノ酸、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)及びジ
イソプロピルカルボジイミド(DIC)を用いて行う。結合の後に樹脂のニンヒド
リン試験により測定して必要な場合には、再結合を行う。各合成サイクルは、簡
単に述べれば、3分間の脱保護(25%ピペリジン/N−メチル−ピロリドン(N
MP))、15分間の脱保護、5回の1分間のNMP洗浄、60分間の結合サイク
ル、5回のNMP洗浄及びニンヒドリン試験によるものである。N末端修飾のた
めに、上記のプロトコールに従って、N末端修飾試薬でFMOC−D−アミノ酸
を置換し、完全に組み立てられたペプチド樹脂の700mg部分に結合する。こ
のペプチドを、トリフルオロ酢酸(TFA)(82.5%)、水(5%)、チオアニソ
ール(5%)、フェノール(5%)、エタンジチオール(2.5%)で2時間処理する
ことにより樹脂から取り出し、その後ペプチドを冷エーテル中で沈殿させる。こ
の固形分を遠心分離(2400rpm×10分間)によりペレット化して、エーテ
ルをデカントする。この固形分をエーテルに再懸濁させ、ペレット化して、2回
デカントする。この固形分を10%酢酸に溶解させて、凍結乾燥する。準備的な
精製、及び、それに続く分析的な特徴付けのために、この固形分の60mgを2
5%アセトニトリル(ACN)/0.1%TFAに溶解させ、C18逆相高性能液
体クロマトグラフィー(HPLC)カラムに施す。
【0119】 或は、D型アミノ酸を含むβ−アミロイドモジュレータは、0.025mモル
スケールでの合成用にメーカにより確立された自動化プロトコールを用いてRain
in PS3ペプチド・シンセサイザーにて製造することができる。カップリングを、
2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフ
ルオロホスフェート(HBTU)/FMOC-D型アミノ酸を4倍過剰で0.4MのN-
メチルモルホリン(NMM)/ジメチルホルムアミド(DMF)中で60分間用いて行
う。カップリングとカップリングの間に、20%のピペリジン/DMFとの20
分間の反応により、FMOC基を取り除く。95%のTFA/水による1時間の
処理により、樹脂からペプチドを外し、エーテルで沈殿させる。そのペレットを
40%のアセトニトリル/水に再懸濁させ、凍結乾燥させる。必要に応じて、こ
の物質を調製用HPLCにより、15〜50%アセトニトリルを用いて、60分
間にわたって、Vydac C18カラム(21×250mm)を用いて精製した。
【0120】 種々のN末端修飾したβ−アミロイドモジュレータ化合物を、標準的方法を用
いて合成することができる。完全に保護した樹脂結合したペプチドを上記のよう
に適当な樹脂上で製造して最後にカルボキシル末端ペプチド酸を与える。各ペプ
チド樹脂の小部分(例えば、13〜20μモル)を別々の反応容器にアリクォート
する。各試料のN末端FMOC保護基を、標準的方法にて、20%ピペリジン(
NMP中)を用い、その後DMFで入念に洗うことにより除去する。各ペプチド
−樹脂試料の保護されていないN末端α−アミノ基を、下記の方法の一つを用い
て修飾することができる:
【0121】 方法A、遊離のカルボン酸基を含む修飾試薬の結合:修飾試薬(5当量)を予め
NMP、DMSO又はこれら2溶媒の混合物に溶解させる。HOBT及びDIC
(各試薬の5当量)を溶解させた改質剤に加え、その結果の溶液を1当量の遊離ア
ミノペプチド樹脂に加える。カップリングを一晩進め、その後、洗浄する。ペプ
チド−樹脂の小試料に対するニンヒドリン試験がカップリングが終了していない
ことを示したならば、HOBtの代わりに1−ヒドロキシ-7-アザベンゾトリア
ゾール(HOAt)を用いてカップリングを繰り返す。
【0122】 方法B、予め活性化した形態で得られた修飾試薬の結合:修飾試薬(5当量)を
予めNMP、DMSO又はこれら2溶媒の混合物に溶解させ、1当量のペプチド
−樹脂に加える。ジイソプロピルエチルアミン(DIEA;6当量)を、活性化し
た改質剤及びペプチド−樹脂の懸濁液に加える。カップリングを一晩進め、その
後、洗浄する。ペプチド−樹脂の小試料に対するニンヒドリン試験がカップリン
グが終了していないことを示したならば、カップリングを繰り返す。
【0123】 第2のカップリングの後に(必要ならば)、N末端修飾したペプチド−樹脂を減
圧下で乾燥し、上記のように側鎖保護基をはずして樹脂から開裂させる。分析用
逆相HPLCを用いて主要生成物が生成した粗ペプチド中に存在することを確認
し、該生成物をMillipore Sep-Pakカートリッジ又は調製用逆相HPLCを用い
て精製する。質量分析又はハイフィールド核磁気共鳴スペクトル分析を用いて、
生成物中の所望の化合物の存在を確認する。
【0124】 方法C、N末端アルキル置換ペプチドの、ブロモアセチルペプチド中間体を用
いた調製: DMF中で1,3-ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)(13当量
)を用いて、樹脂結合ペプチドをブロモ酢酸(12当量)に結合させることがで
きる。その結果得られるブロモアセチル置換ペプチドを、メチルアミン、エチル
アミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン及びピペリジンを含む第一級又は
第二級アミンとの反応で修飾することができる。反応は60%のDMSO/DMF内で行
われるが、典型的には24時間後に終了する。
【0125】 方法D、還元的アルキル化による、N末端アルキル置換ペプチドの調製: 0
〜10%のメタノールを含有する水にペプチドを溶解(又は部分的に溶解)させ
た後、アルデヒド(5乃至8当量)及び水素化シアノホウ素ナトリウム(10乃
至16当量)と反応させる。アルデヒドの種類及び所望の置換の程度に応じて、
当量数は調節してもよい。その結果得られる溶液のpHを、1MのHClで2に
調節して、1時間、2に維持する。反応はhplcで観察するが、通常は2時間
で終了する。反応混合液を室温で濃縮し、hplcで精製する。
【0126】 方法E、C末端の修飾: 標準的なFmoc化学法を用いてペプチドを2-クロロト
リチル樹脂上に合成したが、結合した最終のD型アミノ酸基はBocで保護した。
このペプチドを樹脂から8/1/1のジクロロメタン(DCM)/酢酸/トリフルオロエ
タノールで取り外し、混合液を濃縮した。ペプチド残分を20%のアセトニトリ
ルに溶解させ、凍結させ、一晩かけて凍結乾燥させた。BOC保護された粗ペプチ
ド酸を、それぞれ1当量の1-ヒドロキシ-7-アゾベンゾトリアゾール(HOAt)及
びDICで、塩基性条件(DIEAで調節した、pH=11)下でアミンに結合させた
。一晩攪拌した後に反応を終了させ、水でペプチドを沈殿させた。DCMに溶かし
た25%のTFAとの1時間の反応によってBOC基を開裂させ、ペプチドをHPLC精製
した。
【0127】 実施例2: β−アミロイド凝集アッセイ β−アミロイドモジュレータ化合物の、天然β−APと組み合わされたときに
天然β−APの凝集を調節する(例えば阻止する又は促進する)能力は、下記の
凝集アッセイの一方又は両方において試験することができる。これらの凝集アッ
セイで用いるための天然β−AP(β−AP1-40)は、Bachem(カリフォルニア、T
orrance在)より市販されている。
【0128】 A.核形成アッセイ モノマーのβ−APからのβ−AP線維の形成における初期事象を変化させる
(例えば、阻止する)テスト化合物の能力を測定するために核形成アッセイを用い
る。核形成される重合機構の特徴である遅延時間が核形成前に認められ、その後
、ペプチドは、濁度の直線的上昇に反映されるように、急速に線維を形成する。
β−APモノマーの重合前の時間の遅れ並びに不溶性線維の形成の程度は、光散
乱(濁度)により定量することができる。重合は、最大濁度がプラトーに達したと
きに平衡に達する。種々の濃度のβ−アミロイドモジュレータ化合物の不在又は
存在下における天然β−APの溶液の濁度を、溶液の405nmでの見かけの吸
光度(A405nm)を経時的に測定することにより測定する。濁度の測定の感度の閾
値は、15〜20μMβ−APの範囲にある。モジュレータの存在下での、モジ
ュレータの不在時の濁度と比較して経時的に減少した濁度は、そのモジュレータ
がモノマーのβ−APからのβ−AP線維の形成を阻止することを示す。このア
ッセイは、攪拌又は振盪を利用して重合を加速して行うことができ、それにより
、アッセイのスピードを増すことができる。その上、このアッセイは、96ウェ
ルプレート形式に適合させて複数の化合物をスクリーニングすることができる。
【0129】 核形成アッセイを行うために、第1のAβ1-40ペプチドをHFIP(1,1,1,3,3
,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール;Aldrich 10,522-8)中に2mgペプチド/
mlの濃度で溶解させ、室温で30分間インキュベートする。HFIP可溶化さ
れたペプチドを水浴ソニケーター中で5分間、最高の設定で超音波処理し、次い
で、アルゴン気流中で蒸発させて乾燥させる。このペプチドフィルムを、無水ジ
メチルスルホキシド(DMSO)中に、6.9mg/mlの濃度(25×濃度)で再
懸濁させ、前記のように5分間超音波処理し、次いで、0.2ミクロンのナイロ
ンシリンジフィルター(VWR cat.No.28196-050)を通して濾過する。テスト化合物
を、DMSO中に、100×濃度で溶解させる。4容の25×Aβ1-40ペプチド
(DMSO中)を1容のテスト化合物(DMSO中)とガラスバイアル中で合わせ
て、混合して1:1のAβペプチドのテスト化合物に対するモル比とする。種々
のモル比について、テスト化合物を、最終的なDMSOとAβ1-40の濃度を一定
に保つために、Aβ1-40への添加の前にDMSOで希釈する。対照用試料は、テ
スト化合物を含まない。この混合物の10マイクロリットルを、次いで、Corning
Costar超低結合性96ウェルプレート(マサチューセッツ、Cambridge在、Cornin
g Costar;cat.No.2500)のウェルの底に加える。90マイクロリットルの水をこ
のウェルに加え、このプレートをロータリーシェーカー上で、室温で30秒間一
定のスピードで振盪し、追加の100μlの2×PTL緩衝液(20mM NaH
2PO4、300mM NaCl、pH7.4)をこのウェルに加え、このプレート
を30秒間再振盪し、ベースライン(t=0)の濁度を、405nmでの見かけの
吸光度をBio-Rad Model 450マイクロプレートリーダーを用いて測定することに
より、読み取る。次いで、このプレートをシェーカーに戻して連続5時間振盪す
る。濁度の読み取りを15分間隔で行う。
【0130】 β−アミロイド凝集は、何れのモジュレータも存在しない場合には、天然β−
AP溶液の増大した濁度(即ち、405nmにおける経時的な見かけの吸光度の
増加)を生じる。従って、効果的な阻止用モジュレータ化合物を含む溶液は、モ
ジュレータ化合物を含まない対照用試料と比較して減少した濁度(即ち、対照用
試料と比較して一層少ない405nmにおける経時的な見かけの吸光度)を示す
【0131】 β−アミロイド凝集を定量するための濁度の利用の代わりに、チオフラビンT
(Th−T)の蛍光も又、核形成アッセイにおけるβ−アミロイド凝集を定量する
ために用いることができる(Th−Tの蛍光のβ−アミロイド凝集を定量するた
めの利用は、更に、下記において、播種伸展アッセイについて説明されている)
【0132】 B.原線維結合アッセイ 原線維結合アッセイには以下の材料が必要である。ミリポア社製マルチフィル
タ装置;12×75のガラス製チューブ;GF/F25ミリメートルのガラス製フィ
ルタ;4℃のPBS/0.1%トゥイーン20(PBST);Aβ原線維;放射性化合
物;非放射性化合物;チップ付きエッペンドルフリピート・ピペット;ラベル;
鉗子;及びバキューム。
【0133】 このアッセイでは各試料を三重にして試験を行った。4%のDMSO/PBSに溶かし
た200μMのAβ1-40ペプチド溶液の1mlアリクォートを、揺らしながら3
7℃で8日間、「老化」させることにより、およそ8日間前に「老化」Aβ原線
維をまず調製する。このような「老化」Aβペプチドは、細胞上で直接テストし
ても、又は−80℃で凍結させてもよい。
【0134】 200μMのAβ原線維をPBSTに希釈して、4μMの溶液(16mlのPBS
T中320μl)を生成する。この溶液のうち100μLのアリクォートをリピ
ート・ピペットで1本のチューブごとに加える。
【0135】 以下のようにして、本発明のβアミロイドモジュレータ化合物を2μMから2
00fMの希釈液になるように調製する: 5 mM のストックをDMSOに1:3に希釈して1.6667 のストック (400μlのDMSO中
200μl)を生成する。 1.667 mM のストックをDMSOに1:3に希釈して0.5556 のストック (400μlのDM
SO中200μl)を生成する。 555.556μMのストックをDMSOに1:3に希釈して185.19のストック (400μlのDMS
O中200μl)を生成する。 5 185.185μMのストックをDMSOに1:3に希釈して61.728のストック (400μ
lのDMSO中200μl)を生成する。 61.728μMのストックをDMSOに1:3に希釈して20.576のストック (400μlのDM
SO中200μl)を生成する。 20.576μMのストックをDMSOに1:3に希釈して6.8587のストック (400μlのDMSO
中200μl)を生成する。 6.859μMのストックをDMSOに1:3に希釈して2.2862のストック (400μlのDMSO
中200μl)を生成する。 2.286μMのストックをDMSOに1:3に希釈して0.7621のストック (400μlのDMSO
中200μl)を生成する。 10 762.079 nM のストックをDMSOに1:3に希釈して254.03のストック (400μl
のDMSO中200μl)を生成する。 254.026 nM のストックをDMSOに1:3に希釈して84.675のストック (400μlのDM
SO中200μl)を生成する。 84.675 nM のストックをDMSOに1:3に希釈して28.225のストック (400μlのDMS
O中200μl)を生成する。 28.225 nM のストックをDMSOに1:3に希釈して9.4084 のストック (400μlのDM
SO中200μl)を生成する。 9.408 nM のストックをDMSOに1:3に希釈して3.1361 のストック (400μlのDMS
O中200μl)を生成する。 15 3.136 nM のストックをDMSOに1:3に希釈して1.0454 のストック (400μl
のDMSO中200μl)を生成する。 1.045 nM のストックをDMSOに1:3に希釈して0.3485 のストック(400μlのDM
SO中200μl)を生成する。 348.459 pM のストックをDMSOに1:3に希釈して116.15 のストック(400μlのDM
SO中200μl)を生成する。 116.153 pM のストックをDMSOに1:3に希釈して38.718 のストック(400μlのDM
SO中200μl)を生成する。 185.185μMのストックをPBSTに1:25に希釈して7.4074 (1.2mLのPBST中50μL
)を生成する。 20 61.728μMのストックをPBSTに1:25に希釈して2.4691 (1.2mLのPBST中50μ
L)を生成する。 20.576μMのストックをPBSTに1:25に希釈して0.823 (1.2mLのPBST中50μL)を
生成する。 6.859μMのストックをPBSTに1:25に希釈して0.2743 (1.2mLのPBST中50μL)を
生成する。 2.286μM のストックをPBSTに1:25に希釈して0.0914 (1.2mLのPBST中50μL)
を生成する。 762.079 nM のストックをPBSTに1:25に希釈して30.483 (1.2mLのPBST中50μL
)を生成する。 25 254.026 nM のストックをPBSTに1:25に希釈して10.161 (1.2mLのPBST中5
0μL)を生成する。 84.675 nM のストックをPBSTに1:25に希釈して3.387 (1.2mLのPBST中50μL)
を生成する。 28.225 nM のストックをPBSTに1:25に希釈して1.129 (1.2mLのPBST中50μL)
を生成する。 9.408 nM のストックをPBSTに1:25に希釈して0.3763 (1.2mLのPBST中50μL)
を生成する。 3.136 nM のストックをPBSTに1:25に希釈して 0.1254 (1.2mLのPBST中50μL
)を生成する。 30 1.045 nM のストックをPBSTに1:25に希釈して0.0418 (1.2mLのPBST中50
μL)を生成する。 348.459 pM のストックをPBSTに1:25に希釈して13.938 (1.2mLのPBST中50μL
)を生成する。 116.153 pM のストックをPBSTに1:25に希釈して4.6461 (1.2mLのPBST中50μL
)を生成する。
【0136】 次に、βアミロイドモジュレータ化合物(200μL)を、Aβ原線維を容れ
た適当なチューブに加える。
【0137】 放射性標識されたβアミロイドモジュレータ化合物の調製は、終末濃度が100
μL当たり20,000dpmになるよう、PBS/0.1%トゥイーン20溶液への希釈を
行うことで、標準的な放射能安全プロトコルを用いて行われる。リピート・ピペ
ットを用いて1本のチューブ当たり100μLアリクォートの放射性標識済みβアミ
ロイドモジュレータ化合物を加える。試料をパラフィルムで覆い、プラスチック
製放射能バッグ内で一晩、37℃でインキュベートする。
【0138】 試料を濾過するために、フィルタを少量のPBSTで予め濡らす。メーカの指示に
従い、二つのミリポア社製マルチフィルトレーション装置の各濾過スロットにGF
/Fフィルタを取り付ける。試料を37℃のインキュベータから取り出し、各試料
を少量(〜5ml)の低温PBST緩衝液を用いて濾過する。次に試料のチューブをさ
らに二回、5mLの体積のの低温PBST緩衝液で洗浄する。最後の試料を加えてから
約2分間、バキュームをセミドライフィルタ上にあて、フィルタをラベル付きチ
ューブに移してヨウ素化計数する。1分間のカウントを記録し、データを表にし
、メーカの指示に基づき、プリズム・プログラム(GraphPAD)を用いてグラフを
分析する。
【0139】 C.播種伸展アッセイ 播種伸展アッセイを用いて、ポリマーAβ線維の「種」の添加後にAβモノマ
ーの溶液において形成されるAβ線維の割合を測定することができる。既に沈着
したアミロイドへのモノマーAβの更なる沈着を防止するテスト化合物の能力を
、蛍光を用いるβ−シート形成の直接的指標を利用して測定する。核形成アッセ
イとは対照的に、種の添加により、核形成が即時に行われ、また、連続混合を必
要としないまま、前に形成された線維が継続的に成長するため、重合開始前の遅
延時間がなくなる。このアッセイは、静的重合条件を用いるので、核形成アッセ
イにおける陽性化合物の活性をこの第2のアッセイにおいて異なる条件下で及び
アミロイド構造の更なるプローブを用いて確認することができる。
【0140】 播種伸展アッセイにおいては、モノマーAβ1-40を、「種」核(制御された静
的条件下で前に重合させた約10モルパーセントのAβ)の存在下でインキュベ
ートする。この溶液の試料を、次いで、チオフラビンT(Th−T)にて希釈する
。Th−TのAβとのポリマー特異的会合により、蛍光性の複合体が生成される
が、この複合体により、原線維形成の程度の測定が可能である(Levine,H.(1993)
Protein Science 2:404-410)。特に、Th−Tの、凝集したβ−AP(モノマー
の又はゆるく会合したβ−APではない)との会合は、(この染料が遊離している
場合の385nm(ex)及び445nm(em)とは対照的に)450nmに新た
な励起(ex)の最大値を生じ、482nmに増大された放出(em)を生じる。こ
の重合混合物の小アリコートは、Th−Tと混合するのに充分な原線維を含んで
おり、反復サンプリングにより、その反応混合物の観察が可能である。直線的成
長曲線は、過剰のモノマーの存在下で認められる。チオフラビンT反応性β−シ
ート原線維の形成は、核形成アッセイを用いて認められた濁度の増加に並行する
【0141】 播種伸展アッセイで用いるAβモノマーの溶液は、適当な量のAβ1-40ペプチ
ドを1/25容のジメチスルホキシド(DMSO)に溶解させ、その後、1/2容
以下の水及び1/2容の2×PBS(10×PBS:137mM NaCl、2.
7mM KCl、4.3mM Na2HPO4・7H2O、1.4mMKH2PO4
H7.2)で200μMの終末濃度にすることによって調製する。ストックの種
を用意するために、1mlのAβモノマー調製物を約8日間37℃でインキュベ
ートし、順次、18、23、26及び30ゲージの針をそれぞれ25回、25回
、50回及び100回通して剪断する。この剪断した物質の2μlの試料を、蛍
光単位(FU)がプラトー(約100−150×)に達するまで、30ゲージの針を
50回通すごとに蛍光測定用に取る。適当な量のテスト化合物を1×PBS中に
1mM(10×ストック)の終末濃度になるように溶解させることにより、テスト
化合物を調製する。不溶性であれば、その化合物を、1/10容のDMSOに溶
解させ、1×PBSで希釈して1mMとする。更なる1/10希釈物も又、10
0μM及び10μMの各候補をテストするために調製する。
【0142】 播種伸展アッセイを行うために、各試料を、50μlの200μMモノマー、
125FUの剪断した種(種のバッチに依って量は変化するが、通常3〜6μl
である)及び10μlの10×モジュレータ溶液と共にセットする。次いで、こ
の試料体積を、1×PBSを用いて100μlの最終体積に調節する。典型的に
は、各モジュレータの2つの濃度100μM及び10μMをテストする(これら
は、1:1及び1:10のモノマーのモジュレータに対するモル比に相当する)
。これらの対照には、新鮮なモノマーが種を含まないことを確認するための播種
してない反応、及び、如何なるモジュレータも存在しない場合の播種した反応が
含まれる(候補のモジュレータと比較するための参考として)。このアッセイを、
6時間、37℃でインキュベートし、蛍光測定のために、1時間ごとに2μlの
試料を取る。蛍光を測定するために、Aβの2μlの試料を400μlのチオフ
ラビン−T溶液(50mMリン酸カリウム、10mMチオフラビン−TpH7.
5)に加える。これらの試料をボルテックスミキサーにかけ、蛍光度を、0.5
mlのミクロ石英キュベットで、EX450nm及びEM482nm(Hitachi 4
500蛍光計)にて読む。
【0143】 β−アミロイド凝集は、チオフラビン−Tの増大した放出を生じる。従って、
有効な阻止用モジュレータ化合物を含む試料は、モジュレータ化合物を含まない
対照用試料と比較して減少した放出を示す。
【0144】 実施例3: βアミロイドモジュレータ化合物の分析 この実施例では、ここに説明したβアミロイドモジュレータ化合物を調製し、
実施例2で説明した通りの凝集アッセイを用いて、天然βアミロイドペプチドの
凝集を阻止するそれらの能力についてテストした。最初の一連の実験結果を下の
表I、II及びIIIに要約する。
【0145】
【表1】
【0146】
【表2】
【0147】 モジュレータ化合物は、5μMのAβ1-40と、5μM、2.5μM、1.25μM
、3μM、1μM、又は0.3μMのいずれかのテスト化合物とを用いた核形成ア
ッセイで評価した。遅延時間(ΔLag)の変化は、テスト化合物(5μM、2.
5μM、1.25μM、3μM、1μM、又は0.3μM)の存在時に観察された遅
延時間の、対照での遅延時間に対する比率で表す。
【0148】
【表3】
【0149】 PPI-1801は、文献で報告されたH-LPFFD-OHのアセチルアミド類似体である。こ
の化合物を調製し、比較目的で活性についてテストした。その結果、この化合物
が、ここで用いたアッセイでは原線維にあまり結合しないことが示された。
【0150】 対照的に、表I、II及びIII、並びに図2で示した結果は、本発明のβア
ミロイドモジュレータは、Aβ凝集の有効なインヒビタであることを実証してい
る。
【0151】 実施例6: 神経毒性アッセイ β−アミロイドモジュレータの存在下又は不在下における天然β−アミロイド
ペプチド凝集物の神経毒性を、ラット又はヒトのニューロン由来の細胞系統の何
れか(それぞれ、PC−12細胞又はNT−2細胞)及び生存力インジケーター
3,(4,4-ジメチルチアゾール-2-イル)2,5-ジフェニル−テトラゾリウムブロミ
ド(MTT)を用いる細胞ベースのアッセイにおいてテストすることができる。(
例えば、類似の細胞ベースの生存力アッセイについてのShearman,M.S.等(1994)P
roc.Natl.Acad.Sci.USA 91:1470-1474;Hansen,M.B.等(1988)J.Immun.Methods 11
9:203-210を参照されたい)。PC−12は、ラットの副腎のクロム親和性細胞腫
細胞株であり、メリーランド、Rockville在、アメリカン・タイプ・カルチャー
・コレクションから入手可能である(ATCC CRL1721)。MTT(Sigma
Chemical Co.より市販されている)は、生存細胞において黄色から青色に変換さ
れ、分光測光的に検出することができる発色性物質である。
【0152】 天然β−アミロイドペプチドの神経毒性をテストするために、新鮮なAβモノ
マー及び老化したAβ凝集物のストック溶液を先ず用意する。100%DMSO
中のAβ1-40を凍結乾燥粉末から調製し、すぐに最終容積の1/2になるように
2Oで希釈し、次いで、2×PBSにて最終容積の1/2に希釈して、200
μM ペプチド、4%DMSOの終末濃度を達成する。この方法で調製し、細胞
において直ちにテストしたペプチドを、「新鮮な」Aβモノマーと呼ぶ。「老化
した」Aβ凝集物を調製するためには、ペプチド溶液を1.5mlのエッペンド
ルフチューブに入れて、37℃で8日間インキュベートして原線維を形成させる
。かかる「老化した」Aβペプチドは、細胞において直接テストすることができ
又は−80℃に凍結することができる。新鮮なモノマー及び老化した凝集物の神
経毒性を、PC12細胞及びNT2細胞を用いてテストする。PC12細胞を、
10%ウマ血清、5%ウシ胎児血清、4mMグルタミン及び1%ゲンタマイシン
を含有するダルベッコ改良イーグル培地(DMEM)中で日常的に培養する。NT
2細胞は、10%ウシ胎児血清、2mMグルタミン及び1%ゲンタマイシンを補
ったOPTI−MEM培地(GIBCO BRL CAT.番号31985)にて日常的に培養する。
細胞は、処理の3〜4時間前に、10〜15,000細胞/ウェルになるように
、96ウェル組織培養プレート中の90μlの新鮮培地中に、プレートする。次
いで、新鮮な又は老化したAβペプチド溶液(10μL)を、直接、組織培養培地
に加えて、1:10に希釈して、終末濃度を1〜10μMペプチドの範囲とする
。細胞を、ペプチドの存在下で、培地を換えずに37℃で48時間インキュベー
トする。これらの細胞をβ−AP標品にさらす最後の3時間にわたって、MTT
を培地に加えて1mg/mlの終末濃度とし、インキュベーションを37℃で続
ける。MTTとの2時間のインキュベーションの後に、培地を除去して細胞を1
00μLのイソプロパノール/0.4NHCl中で攪拌して溶解させる。等容の
PBSを各ウェルに加え、これらのプレートを更に10分間攪拌する。各ウェル
の570nmでの吸光度を、マイクロ滴定プレートリーダーを用いて測定して生
存細胞を定量する。
【0153】 このアッセイを用いて、老化した(5日又は8日)Aβ1-40凝集物単独の神経
毒性を確認した(新鮮なAβ1-40モノマー単独ではない)。実験は、神経細胞を、
増大する量のAβ1-40モノマーとインキュベートすることはそれらの細胞に対し
て有意に毒性ではないが、これらの細胞を増大する量の5日目又は8日目のAβ 1-40 凝集物とインキュベートすることは神経毒性の量の増大へと導くことを示し
た。老化したAβ1-40凝集物の毒性に関するEC50は、PC12細胞及びNT2
細胞の両者について1〜2μMであった。
【0154】 β−アミロイドモジュレータ化合物のAβ1-40凝集物の神経毒性に対する効果
を測定するために、モジュレータ化合物を、Aβ1-40モノマーと実施例2に記載
した標準的な核形成アッセイ条件下で予備インキュベートし、インキュベーショ
ン後、特定の時間間隔でβ−AP/モジュレータ溶液のアリコートを取り出し、
1)この溶液の濁度を凝集の尺度として評価し、そして2)この溶液を培養神経
細胞に48時間にわたって加え、この時間において、細胞の生存力をMTTを用
いて評価してこの溶液の神経毒性を調べる。更に、β−アミロイドモジュレータ
化合物が、既に形成されたAβ1-40凝集物の神経毒性を減じる上での能力をアッ
セイすることができる。これらの実験において、Aβ1-40凝集物は、モノマーの
モジュレータの不在におけるインキュベーションにより予備形成される。このモ
ジュレータ化合物を、次いで、予備形成したAβ1-40凝集物と24時間37℃で
インキュベートし、その後、β−AP/モジュレータ溶液を集めてその神経毒性
を上記のように評価する。
【0155】 実施例7: 脳脊髄液中のモジュレータ化合物の安定性のアッセイ 脳脊髄液(CSF)中のモジュレータ化合物の安定性を、次のように、イン・ビ
トロアッセイにてアッセイすることができる。75%のアカゲザルのCSF(Nor
thern Biomedical Researchから市販されている)、23%の無菌のリン酸緩衝生
理食塩水及び2%のジメチルスルホキシド(v/v)(Aldrich Chemical Co.,カタ
ログNo.27,685-5)を含むCSF溶液を調製する。テストモジュレータ化合物を、
このCSF溶液に加えて40μM又は15μMの終末濃度にする。すべての試料
操作を層流フード中で行い、テスト溶液は、アッセイ中37℃に維持する。24
時間後に、これらの溶液中の酵素活性を、アセトニトリルを加えて25%(v/
v)の終末濃度とすることによりより消失させる。試料を(0時間及び24時間の
時点で)、逆相HPLCを用いて室温で分析する。ミクロボアカラムを用いて感
度を最高にする。分析用HPLCのパラメーターは、下記の通りである:
【0156】 溶媒系 A:0.1%(v/v)トリフルオロ酢酸(TFA)(水中) B:0.085%TFA/アセトニトリル、1%H2O(v/v)
【0157】 注射及び勾配 注射:100〜250μLのテスト試料 ラン:Bを5分間10%とし、その後、Bを60分間にわたって10〜70%と
する。
【0158】 クロマトグラフィー分析を、ヒューレット・パッカード1090シリーズIIHPL
Cを用いて行う。分離に用いるカラムは、C4、5μm、1×250mm(Vydac
番号214TP51)である。流量は50μL/分であり、テスト化合物の溶出曲線を、
214、260及び280nmで観察する。
【0159】 実施例8: 脳の取り込みアッセイ 我々のAβ由来ペプチドの脳内レベルを、静脈投与後のラットで調べた。ケタ
ミン/キシラジンの麻酔をかけた雄のスプラーグ・ドーリーラット(219から
302g)に、左頸静脈に挿入されたカテーテルを通じて静注した(投与量は1
分間かけて4mL/kg)。テストした各化合物の実際の投与量を図1に示す。
【0160】 投与後60分後に左総頸動脈をカヌーレして、脳血液を除くべく左前脳を灌流
できるようにした。血液を除いたこの前脳を、説かれた(Triguero 等 (1990) J
. Neurochem. 54: 1882-1888)ように毛細血管除去した。この確立された技術は
、脳血管系を実質から分離するものであり、ひいては血液脳関門を通過した、試
験対象である化合物の濃度を正確に調べることができる。脳内に存在した親化合
物の量はLC/MS/MSで調べた。
【0161】 上述のアッセイを用いて、以下のモジュレータの脳内取り込みを測定した。
【0162】 化合物 用量 PPI 構造 分子量 濃度 mg/kg (mg/mL) IV 1324 TFA. H-(l-[F5]f-fvl)-NH2 841 1.20 4.9 1318 TFA. H-(lf-D-Cha-vl)-NH2 757 0.29 1.0 1319 TFA. H-(lf-[p-F]f-vl)-NH2 769 1.70 6.6 1327 TFA. H-(l-[p-F]f-[p-F]f-vl)-NH2 787 0.98 4.0 1301 TFA. H-(lvf-D-Cha-l)-NH2 757 0.70 2.9 1302 TFA. H-(lvf-[p-F]f-l)-NH2 769 0.19 0.7 1328 TFA. H-(l-[F5]f-[F5]f-vl)-NH2 931 0.29 1.2 1322 TFA. H-(l-D-Cha-fvl)-NH2 757 0.03 0.1 1303 TFA. H-(lvf-[F5]f-l)-NH2 841 0.27 1.0 1326 TFA. H-(l-D-Cha-D-Cha-vl)-NH2 763 0.05 0.2 1320 TFA. H-(lf-[F5]f-vl)-NH2 841 0.70 3.0
【0163】 * 下側文字表記はD型の立体配置を表す。
【0164】 結果を図1に要約する。
【0165】 ここに記載したβアミロイドモジュレータ化合物を、以下の表に要約する。
【0166】
【表4】
【0167】 同等物 当業者は、ここに記載したこの発明の特定の具体例に対する多くの同等物を通
常の実験を用いて認識し又は確認することができよう。かかる同等物は、後記の
請求の範囲により包含されるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 脳取り込みアッセイの結果を示す表である。
【図2】 実施例2で説明した原線維結合アッセイの結果を示すグラフである
【配列表】
<110> Praecis Pharmaceuticals, Inc. <120> MODULATORS OF B-AMYLOID PEPTIDE AGGREGATION <130> PPI-068CPPC <140> PCT/US00/05574 <141> 2000-03-03 <150> USSN 60/122,736 <151> 1999-03-04 <160> 4 <170> PatentIn Ver. 2.0 <210> 1 <211> 43 <212> PRT <213> Homo sapiens <400> 1 Asp Ala Glu Phe Arg His Asp Ser Gly Tyr Glu Val His His Gln Lys 1 5 10 15 Leu Val Phe Phe Ala Glu Asp Val Gly Ser Asn Lys Gly Ala Ile Ile 20 25 30 Gly Leu Met Val Gly Gly Val Val Ile Ala Thr 35 40 <210> 2 <211> 103 <212> PRT <213> Homo sapiens <400> 2 Glu Val Lys Met Asp Ala Glu Phe Arg His Asp Ser Gly Tyr Glu Val 1 5 10 15 His His Gln Lys Leu Val Phe Phe Ala Glu Asp Val Gly Ser Asn Lys 20 25 30 Gly Ala Ile Ile Gly Leu Met Val Gly Gly Val Val Ile Ala Thr Val 35 40 45 Ile Val Ile Thr Leu Val Met Leu Lys Lys Lys Gln Tyr Thr Ser Ile 50 55 60 His His Gly Val Val Glu Val Asp Ala Ala Val Thr Pro Glu Glu Arg 65 70 75 80 His Leu Ser Lys Met Gln Gln Asn Gly Tyr Glu Asn Pro Thr Tyr Lys 85 90 95 Phe Phe Glu Gln Met Gln Asn 100 <210> 3 <211> 4 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: amyloid deposit inhibitor peptide <400> 3 Leu Val Phe Phe 1 <210> 4 <211> 5 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: amyloid deposit inhibitor peptide <400> 4 Leu Val Phe Phe Ala 1 5
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 33/68 A61K 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI ,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID, IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,K Z,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA ,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ, PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,S K,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG ,UZ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 フィリップス キャサリン アメリカ合衆国 マサチューセッツ州 02108 ボストン マウント バーノン ストリート 73 (72)発明者 オルソン ガリー エル アメリカ合衆国 ニュージャージー州 07092 マウンテンサイド コールズ ア ベニュー 1505 (72)発明者 セルフ クリストファー アメリカ合衆国 ニュージャージー州 07006 ウエスト カルドウェル ナタリ ー ドライブ 32 Fターム(参考) 2G045 BB01 BB05 BB41 BB50 BB51 CB01 FA29 FA36 FB06 FB08 FB12 GC10 GC15 4C084 AA02 AA07 BA01 BA09 BA15 BA16 BA17 BA23 CA59 DC50 NA14 ZB262 ZC022 4H045 AA10 AA30 BA12 BA13 BA14 BA50 EA20 EA21 EA50

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構造: を含む化合物であって、 但し式中、 Xaa1及びXaa2は、それぞれD型アミノ酸構造であり、そしてXaa1
    びXaa2のうちの少なくとも二つは、個別に、D型ロイシン構造、D型フェニ
    ルアラニン構造、D型チロシン構造、D型ヨードチロシン構造、D型リシン構造
    、又は、D型バリン構造、のうちのいずれかから選択され、 NH-NHはヒドラジン構造であり、 存在しても、存在しなくともよいYは、式(Xaa)aを有する構造であり、但
    し式中、Xaaは何らかのD型アミノ酸構造であり、そしてaは1から15まで
    の整数であり、 存在しても、存在しなくともよいXaa1’、Xaa2’、及びXaa3’は、
    それぞれD型アミノ酸又はL型アミノ酸構造であり、Xaa1’、Xaa2’、及
    びXaa3’のうちの少なくとも二つは、個別に、D型もしくはL型ロイシン構
    造、D型もしくはL型フェニルアラニン構造、D型もしくはL型チロシン構造、
    D型もしくはL型ヨードチロシン構造、D型もしくはL型リシン構造、又は、D
    型もしくはL型バリン構造、のうちのいずれかから選択され、 存在しても、存在しなくともよいZは、式(Xaa)bを有する構造であり、但
    し式中、Xaaは何らかのD型アミノ酸構造であり、そしてbは1から15まで
    の整数であり、 存在しても、存在しなくともよいAは、前記化合物に直接又は間接的に結合し
    た修飾基であり、そして nは1から15までの整数であり、 但し式中、Xaa1、Xaa2、Xaa1’、Xaa2’、Xaa3’、Y、Z、A及
    びnは、前記化合物が、天然β−アミロイドペプチドに接触させたときに、天然
    β−アミロイドペプチドに結合するか、天然β−アミロイドペプチドの凝集を調
    節するか、又は、天然β−アミロイドペプチドの神経毒性を阻止するよう、かつ
    、代謝の影響をより受けない、ように、選択される、 化合物。
  2. 【請求項2】H-D-Leu-D-Val-D-Phe-NH-(H-D-Leu-D-Val-D-Phe-)NH; H-D-Leu-D
    -Val-D-Phe-NH-NH-COCH3; 及び H- D-Leu-D-Val-D-Phe-NH-NH2のうちのいずれか
    から選択される構造を有する化合物。
  3. 【請求項3】 構造: を含む化合物であって、 但し式中、 Xaa1、Xaa2、Xaa3、及びXaa4、はそれぞれD型アミノ酸構造であ
    り、Xaa1、Xaa2、Xaa3、及びXaa4、のうちの少なくとも二つは、個
    別に、D型ロイシン構造、D-シクロヘキシルアラニン、D-4-フルオロフェニル
    アラニン(パラ-フルオロフェニルアラニン)、D-ペンタフルオロフェニルアラ
    ニン、クロロフェニルアラニン、ブロモフェニルアラニン、ニトロフェニルアラ
    ニンD-ホモフェニルアラニン、D型リシン構造、及び、D型バリン構造、のうち
    のいずれかから選択され、 存在しても、存在しなくともよいYは、式(Xaa)aを有する構造であり、但
    し式中、Xaaは何らかのD型アミノ酸構造であり、そしてaは1から15まで
    の整数であり、 存在しても、存在しなくともよいZは、式(Xaa)bを有する構造であり、但
    し式中、Xaaは何らかのD型アミノ酸構造であり、そしてbは1から15まで
    の整数であり、 存在しても、存在しなくともよいAは、前記化合物に直接又は間接的に結合さ
    せた修飾基であり、そして nは1から15までの整数であり、 但し式中、Xaa1、Xaa2、Xaa3、Xaa4、Y、Z、A及びnは、前記化合
    物が、天然β−アミロイドペプチドに接触させたときに、天然β−アミロイドペ
    プチドに結合するか、天然β−アミロイドペプチドの凝集を調節するか、又は、
    天然β−アミロイドペプチドの神経毒性を阻止するよう、かつ、代謝の影響をよ
    り受けないよう、選択される、 化合物。
  4. 【請求項4】 N,N-ジメチル-(Gly-D-Ala-D-Phe-D-Phe-D-Val-D-Leu)-NH2; N,
    N-ジメチル-(D-Ala-D-Phe-D-Phe-D-Val-D-Leu)-NH2; N-メチル-(Gly-D-Ala-D-Ph
    e-D-Phe-D-Val-D-Leu)-NH2; N-エチル-(Gly-D-Ala-D-Phe-D-Phe-D-Val-D-Leu)-N
    H2; N-イソプロピル-(Gly-D-Ala-D-Phe-D-Phe-D-Val-D-Leu)-NH2; H-(D-Leu-D-V
    al-D-Phe-D-Phe-D-Ala)-イソプロピルアミド; H-(D-Leu-D-Val-D-Phe-D-Phe-D-A
    la)-ジメチルアミド; N,N-ジエチル-(Gly-D-Ala-D-Phe-D-Phe-D-Val-D-Leu)-NH2 ; N,N-ジエチル-(D-Ala-D-Phe-D-Phe-D-Val-D-Leu)-NH2; N,N-ジメチル-(D-Leu-
    D-Val-D-Phe-D-Phe-D-Leu)-NH2; N,N-ジメチル-(D-Leu-D-Val-D-Phe-D-Phe-D-Le
    u)-NH2; N,N-ジメチル-(D-Leu-D-Phe-D-Phe-D-Val-D-Leu)-NH2; H-(Gly-D-Leu-D
    -Val-D-Phe-D-Phe-D-Leu)-NH2; N-エチル-(Gly-D-Leu-D-Val-D-Phe-D-Phe-D-Leu
    )-NH2; N-エチル-(Gly- D-Leu-D-Phe-D-Phe-D-Val-D-Leu)-NH2; N-メチル-(D-Le
    u-D-Phe-D-Phe-D-Val-D-Leu)-NH2; N-エチル-(D-Leu-D-Val-D-Phe-D-Phe-D-Leu)
    -NH2; N-プロピル-(D-Leu-D-Val-D-Phe-D-Phe-D-Leu)-NH2; N,N-ジエチル-(Gly-
    D-Leu-D-Val-D-Phe-D-Phe-D-Leu)-NH2; H-(D-Ile-D-Val-D-Phe-D-Phe-D-Ile)-NH 2 ; H-(D-Ile-D-Val-D-Phe-D-Phe-D-Ala-)-NH2; H-( D-Ile- D-Ile-D-Phe-D-Phe- D-Ile)-NH2; H-(D-Nle-D-Val-D-Phe-D-Phe-D-Ala-)-NH2; H-(D-Nle-D-Val-D-Ph
    e-D-Phe-D-Nle)-NH2; 1-ピペリジン-アセチル-(D-Leu-D-Val-D-Phe-D-Phe-D-Leu
    )-NH2; 1-ピペリジン-アセチル-(D-Leu-D-Phe-D-Phe-D-Val-D-Leu)-NH2; H-D-Le
    u-D-Val-D-Phe-D-Phe-D-Leu-イソプロピルアミド; H-D-Leu-D-Phe-D-Phe-D-Val-
    D-Leu-イソプロピルアミド; H-(D-Leu-D-Val-D-Phe-D-Phe-D-Leu)-メチルアミド
    ; H-(D-Leu-D-Phe-D-Phe-D-Val-D-Leu)-メチルアミド; H-(D-Leu-D-Val-D-Phe-D
    -Phe-D-Leu)-OH; N-メチル-(D-Leu-D-Val-D-Phe-D-Phe-D-Leu)-NH2; H-(D-Leu-D
    -Val-D-Phe-D-Cha-D-Leu)-NH2; H-(D-Leu-D-Val-D-Phe-D-[p-F]Phe-D-Leu)-NH2; H-(D-Leu-D-Val-D-Phe-D-[F5]Phe-D-Leu)-NH2; H-(D-Leu-D-Phe-D-Cha-D-Val-D
    -Leu)-NH2; H-(D-Leu-D-Phe- D-[p-F]Phe-D-Val-D-Leu)-NH2; H-(D-Leu-D-Phe-
    D-[F5]Phe-D-Val-D-Leu)-NH2; H-(D-Leu-D-Phe-D-Lys-D-Val-D-Leu)-NH2; H-(D-
    Leu-D-Cha-D-Phe-D-Val-D-Leu)-NH2; H-(D-Leu-D-[p-F]Phe-D-Phe-D-Val-D-Leu)
    -NH2; H-(D-Leu-D-[F5]Phe-D-Phe-D-Val-D-Leu)-NH2; H-(D-Leu- D-Lys-D-Phe-D
    -Val-D-Leu)-NH2; H-(D-Leu-D-Cha-D-Cha-D-Val-D-Leu)-NH2; H-(D-Leu- D-[p-F
    ]Phe-D-[p-F]Phe-D-Val-D-Leu)-NH2; H-(D-Leu-D-[F5]Phe-D-[F5]Phe-D-Val-D-L
    eu)-NH2; H-(D-Leu- D-Lys- D-Lys-D-Val-D-Leu)-NH2; N-メチル-(D-Leu-D-Val-
    D-Phe-D-Cha-D-Leu)-NH2; N-メチル-(D-Leu-D-Val-D-Phe-D-[p-F]Phe-D-Leu)-NH 2 ; N-メチル-(D-Leu-D-Val-D-Phe-D-[F5]Phe-D-Leu)-NH2; H-D-Leu-D-Val-D-Phe
    -NH-(H-D-Leu-D-Val-D-Phe-)NH; H-D-Leu-D-Val-D-Phe-NH-NH-COCH3; 及びH- D
    -Leu-D-Val-D-Phe-NH-NH2のうちのいずれかから選択される構造を有する化合物
  5. 【請求項5】 構造:H-(D-Leu-D-Phe-[p-F]D-Phe-D-Val-D-Leu)-NH2 を有す
    る化合物。
  6. 【請求項6】 構造: N-メチル-(D-Leu-D-Val-D-Phe-D-Phe-D-Leu)-NH2 を有
    する化合物。
  7. 【請求項7】 治療上有効量の上記請求項1、2、3、4、5、又は6のいず
    れかに記載の化合物と、薬学上許容可能な担体とを含む製薬組成物。
  8. 【請求項8】 天然βアミロイドペプチドの凝集が阻止されるよう、上記請求
    項1、2、3、4、5、又は6のいずれかに記載の化合物に天然βアミロイドペ
    プチドを接触させるステップを含む、天然βアミロイドペプチドの凝集を阻止す
    る方法。
  9. 【請求項9】 上記請求項1、2、3、4、5、又は6のいずれかに記載の化
    合物に、生物学的試料を接触させるステップであって、前記化合物が検出可能な
    物質で標識されている、ステップと、 天然βアミロイドペプチドに結合した前記化合物を検出し、それにより、前記
    生物学的試料中の天然βアミロイドペプチドの存在又は不在を検出するステップ
    と を含む、生物学的試料中の天然βアミロイドペプチドの存在又は不在を検出する
    方法。
  10. 【請求項10】 前記βアミロイドモジュレータ化合物及び前記生物学的試料
    をイン・ビトロで接触させる、請求項9に記載の方法。
  11. 【請求項11】 前記βアミロイドモジュレータ化合物を患者に投与すること
    により、前記生物学的試料に前記βアミロイドモジュレータ化合物を接触させる
    、請求項9に記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記化合物が放射性テクネチウム又は放射性ヨウ素で標識さ
    れる、請求項9に記載の方法。
  13. 【請求項13】 患者を、βアミロイド症を伴う障害について処置するよう、
    治療上有効量の上記請求項1、2、3、4、5、又は6のいずれかに記載の化合
    物を患者に投与するステップを含む、βアミロイド症を伴う障害について患者を
    処置する方法。
  14. 【請求項14】 前記障害がアルツハイマー病である、請求項13に記載の方
    法。
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