JP2002528055A - コアグラーゼ陰性スタフィロコカス菌に由来のポリペプチド及びポリヌクレオチド - Google Patents

コアグラーゼ陰性スタフィロコカス菌に由来のポリペプチド及びポリヌクレオチド

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コアグラーゼ陰性スタフィロコカス菌に由来のポリペプチド及びポリヌクレオチド 【解決手段】 コアグラーゼ陰性であるスタフィロコカス属の菌、例えばS.epidermidisによって引起された感染の予防及び治療において有用な、SdrF、SdrG、及びSdrHと呼ばれている単離されたタンパク質、及びこれらの対応アミノ酸及び核酸配列が提供されている。SdrF、SdrG、及びSdrHタンパク質は、細胞壁会合性タンパク質であり、これらは宿主タンパク質に特異的に結合し、それぞれが、TYTFTDYVDというコンセンサス配列を含む高度に保存されたモチーフを有する。これらのタンパク質、これらの抗原部分、及び抗−SdrF、SdrG、及びSdrH抗体も、コアグラーゼ陰性スタフィロコカス菌感染の同定及び診断に有用である。特にこれらのタンパク質は次の理由から有利である。すなわちこれらは、ワクチン成分又はこれらの抗体として用いることができ、傷に投与されるか又は生体適合材料を被覆するのに用いられて、コアグラーゼ陰性スタフィロコカス菌の傷又は生体適合材料への結合を妨げるか又は阻害するためのブロック剤として作用しうるからである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の分野) 本発明は、微生物学及び分子生物学の分野のものであり、より詳しくはヒト及
び動物におけるコアグラーゼ陰性スタフィロコカス菌 (coagulase-nega
tive Staphylococcus)の感染の予防、治療、又は診断のための生物学的産物に関
する分野のものである。
【0002】 (発明の背景) スタフィロコカス菌(Staphylococci)は、グラム陽性の球形細胞であり、通常は
、ブドウ様の不規則な房状に配列されている。ヒトの皮膚及び粘膜の常在菌すな
わち正常菌叢(normal flora)の構成員であるものもあり、膿、膿瘍形成、多様
な化膿性感染、及び致命的な敗血症でさえ引起すものもある。病原性のスタフィ
ロコカス菌は多くの場合、血液を溶血させ、血漿を凝固させ、多様な細胞外酵素
及び毒素を生産する。最も普通の種類の食品汚染は、熱安定性のスタフィロコカ
ス菌のエンテロトキシンによって引起される。スタフィロコカス(Staphylococcu
s)属は、少なくとも30種を有する。臨床的に重要な3つの主要種は、
Staphylococcus aureus、Staphylococcus epidermidis、及び Staph
ylococcus saprophyticusである。Staphylococcus aureusは、コアグラーゼ(co
agulase)陽性であり、このことからこれはその他の種の菌と区別される。S.aure
usは、ヒトの主な病原である。ほとんどすべての人は、一生の間に、食品汚染又
はささいな皮膚感染から、生命に関わる重大な感染まで重症度が様々な、何らか
の種類のS.aureus感染を経験する。
【0003】 コアグラーゼ陰性スタフィロコカス菌は、特に非常に幼い患者、老人の患者、
及び免疫弱化患者において、多くの場合はインプラント装置と関連した感染を起
こすことがある、ヒト正常叢すなわち常在菌である。コアグラーゼ陰性スタフィ
ロコカス菌によって生じた感染の約75%は、 S.epidermidisによる。Staphyloco
ccus warneri、Staphylococcus hominis、及びその他の種による感染は、
それほど一般的ではない。 S.saprophyticusは、若い女性における尿路感染
の比較的普通の原因である。スタフィロコカス菌は、カタラーゼを生産するが、
このことによってスタフィロコカス菌はストレプトコカス菌と区別される。
【0004】 Staphylococcus aureusとStaphylococcus epidermidisはどちらも、補綴した
医療器具の場所において、皮膚及び隣接組織を侵すという特徴的な傾向を有する
。これらの補綴器具には、血管内カテーテル、髄液シャント、血液透析シャント
、血管移植片、及び広範囲の装着用コンタクトレンズが含まれる。48〜72時間以
内に、これらの異物の挿入部位に、比較的多数のスタフィロコカス菌が明白に現
れる(Archer, G.L. in Remington, J.S., et al., Current Clinical Topic
s in Infectious Diseases, McGraw-Hill, NY, 25-46, 1986)。
【0005】 Staphylococcus epidermidisは一般に、ヒトの皮膚の無発病性共生生物であり
、末梢及び中央静脈カテーテル、補綴心臓弁、人工関節、及びその他の補綴装置
の感染の主要な病因である。S.epidermidis細胞は、カテーテルの内側又は外側
表面に、これらの組成とは無関係に、すなわちポリエチレン、ポリ塩化ビニル、
ポリフッ化ビニル、あるいはポリエステルベースであるかどうかとは無関係に付
着して増殖する。
【0006】 体内留置型医療器具の当初局部化された感染は、より重大な侵襲的感染、例え
ば敗血症、骨髄炎、又は心内膜炎を生じることがある。血管カテーテルは、微生
物が、皮膚表面からカテーテルの経皮部分まで移動して、この器具に近づくこと
ができ、従って血流に近づくことができる時に感染すると考えられる。医療器具
に関連した感染において、プラスチック及び金属表面は、インプラント後まもな
く、宿主血漿及びマトリックスタンパク質、例えばフィブリノーゲン、ビトロネ
クチン、及びフィブロネクチンで被覆される。S.epidermidis菌血症は、8日間
もの過剰な入院という結果になることがあり、これは非常に高くつく。
【0007】 コアグラーゼ陰性スタフィロコカス菌の毒性は、異物の存在下において強化さ
れるが、これらの正常な皮膚の共生生物を院内感染病原にする微生物因子はまだ
よく特徴決定されていない。コアグラーゼ陰性 S.epidermidisがこれらの
タンパク質に接着する能力は、感染を開始させるのに決定的に重要である。接着
は、コアグラーゼ陰性スタフィロコカス菌異物感染の病原論における決定的な第
一段階であると考えられているので、ポリマー補綴材料への接着、ついでこれの
コロニー化を仲介することがあるこれらの微生物の表面特性に対して注意が集中
していた。
【0008】 いくつかの要因が、補綴材料への微生物の接着能力に影響を与える。これらに
は、微生物及び生体適合材料の特徴及び周りの環境の性質が含まれる。この微生
物と宿主との間の当初の引力は、非特異的な力、例えば表面電荷、極性、ファン
デルワールス力、及び疎水性相互作用によって影響を受ける。接着の決定的な段
階は、細胞表面アドヘーシン (adhesins)と固定化宿主タンパク質との間
の特異的相互作用を含んでいる。現在、S.epidermidisの生体適合材料への接着
に関する研究は、主として粘液としても知られている細胞外多糖類又は糖衣の役
割に関するものである。しかしながら集中的な研究にもかかわらず、病気の病原
論における粘液の提案されている役割あるいはその組成でさえ、議論の余地があ
る(Drewry et al., Clin. Microbiol. 28: 1292-1296, 1990)。現在、細胞外粘
液は、接着の後の方の段階及び感染の持続性においてある役割を果たすと考えら
れている。これは、局部栄養環境を最適化し、マクロコロニーへの抗生物質の浸
透を防ぎ、あるいは細菌を食細胞宿主防御細胞から保護するためのイオン交換樹
脂として働くことがある。 Petersらは、細胞外多糖類は、接着の後の方の
段階において現れ、接着の最初の段階の間は存在しないことを電子顕微鏡研究に
よって証明し た。(J. Infect. Dis., 65146: 479-482, 1982)。Hogtらは、繰
返しの洗浄による細胞外粘液層の除去は、S.epidermidisの生体適合材料への接
着能力を減少させないことを証明した(J. Gen. Microbiol. 129: 2959- 2968,
1983)。
【0009】 これまで、エキソ多糖類の研究は、細菌による当初の接着の防止にあまり役に
立っていない。その他のいくつかの研究は、Tojoら(J. Infect.Dis., 157: 713-
722, 1988)によって観察された多糖類アドヘーシン (PS/A)とChristensenら(
Infect Immun, 58: 2906-2911, 1990)とを含むS.epidermidisの別の潜在的アド
ヘーシンを同定した。
【0010】 PS/Aは、S.epidermidisのPS/A生産株の接着を妨げる単糖類アドヘーシンの錯
混合物であることが証明されている。心内膜炎の動物モデルにおいて、PS/Aに対
して向けられた抗体は保護的であった。しかしながらこの保護作用が特異的であ
るかどうか、抗体の接着防止作用に関連しているかどうか、あるいは血液によっ
て運ばれる細菌のオプソニン食細胞増加(opsonophagocytosis)の効率におけるよ
り一般的な増加によるものなのかはっきりしない。各アドヘーシンは、接着プロ
セスの様々な段階において機能するが、これらのアドヘーシンのうちの1つ又は
それ以上が当初引力の原因であり、一方、マクロコロニーにおける凝集に必要と
されるものもあるという仮説が立てられた。
【0011】 多くの研究にもかかわらず、生体適合材料へのS.epidermidisの初期接着に関
わる要因の多くは依然として知られていない。さらには感染、接着、又は付着の
第一段階を防ぐ実際的な方法は知られていない。従って細菌アドヘーシン(adhes
in)タンパク質、及びこれらをコードする遺伝子の発見及び特徴決定が依然とし
て大いに必要とされている。
【0012】 従ってコアグラーゼ陰性スタフィロコカス菌の有する細胞壁会合性細胞外マト
リックス(cell-wall associated extracellular matrix)に結合性のタンパク質
を提供することが、本発明の1つの目的である。
【0013】 インプラントされた生体適合材料の表面に存在する固定化細胞外マトリックス
又は宿主細胞へのスタフィロコカス菌の接着を阻害しうる、コアグラーゼ陰性ス
タフィロコカス菌表面タンパク質を提供することが、本発明のさらにもう1つの
目的である。
【0014】 コアグラーゼ陰性スタフィロコカス菌ワクチンを提供すること、コアグラーゼ
陰性スタフィロコカス菌タンパク質を阻止する抗血清及び抗体を発生させること
、及びコアグラーゼ陰性スタフィロコカス菌を阻止する抗体を単離することが、
本発明のさらにもう1つの目的である。
【0015】 臨床的及び研究所の環境において、コアグラーゼ陰性スタフィロコカス菌微生
物を検出及び区別するための改良された材料及び方法を提供することが、本発明
のさらにもう1つの目的である。
【0016】 コアグラーゼ陰性スタフィロコカス菌に特異的な核酸プローブ及びプライマー
を提供することが、本発明のさらにもう1つの目的である。
【0017】 コアグラーゼ陰性スタフィロコカス菌に感受性がありかつこれに特異的である
細菌感染の治療の進行を検出し、診断し、処理するか、あるいは監視するための
方法を提供することが、本発明のさらにもう1つの目的である。
【0018】 本発明のこれらの目的及びその他の目的、特徴及び利点は、開示されている実
施形態及び添付クレームの次の詳細な記載を読めば明らかになるであろう。
【0019】 (発明の概要) コアグラーゼ陰性スタフィロコカス菌から単離されたタンパク質、及びこれら
の対応アミノ酸及び核酸配列が本発明により提供される。これらのタンパク質は
、SdrF、SdrG、及びSdrHと呼ばれる。SdrFのDNA配列及びタンパク質SdrF(太字
)のアミノ酸配列が、これらのフランキング配列と共に後記の図2に示されてい
る。SdrGのDNA配列及びタンパク質SdrG(太字)のアミノ酸配列が、これらのフ
ランキング配列と共に図3に示されている。最後に、DNA及びアミノ酸配列を含
むSdrHコーディング領域が図4に示されている。
【0020】 同様に、SdrF及びSdrGのA領域において、コンセンサスである TYTFTDYV
Dモチーフを誘導するために用いることができる、高度に保存されたアミノ酸配
列があることも発見された。このモチーフは、細菌感染に対して広いスペクトル
の免疫を与える多成分ワクチンに用いることができ、同様に広いスペクトルの受
動免疫を与えるモノクローナル又はポリクローナル抗体を生産するためにも用い
ることができる。本発明のもう1つの実施形態において、Sdrタンパク質族から
誘導された可変配列モチーフ(T)(Y)(T)(F)(T)(D/N)(Y)
(V)(D)のあらゆる組み合わせを、免疫を与えるため、又は保護抗体を誘発
するために用いることができる。タンパク質又はこれらの抗原部分は、コアグラ
ーゼ陰性スタフィロコカス菌細菌感染の診断のため,又は能動又は受動免疫化の
ための抗コアグラーゼ陰性スタフィロコカス菌ワクチンの開発のための抗体を生
産するために用いられる。傷に投与されるか、あるいは試験管内及び生体内でポ
リマー生体適合材料を被覆するために用いられた時、これらのタンパク質と抗体
はどちらも、傷部位又はあらゆる生体適合材料へのコアグラーゼ陰性スタフィロ
コカス菌の結合を防ぐか又は阻害するためのブロック剤としても有用である。Sd
rF、SdrG、及びSdrHタンパク質はさらに、細菌病理学のメカニズム及び抗菌療法
の開発について理解するための科学的研究用具としても有用である。
【0021】 SdrF、SdrG、及びSdrH遺伝子配列は、コアグラーゼ陰性スタフィロコカス菌細
胞表面タンパク質の検出及び同定のための核酸プローブとして有用である。これ
らの核酸配列もまた、ベクターの中に挿入され、組換えSdrF、SdrG、及びSdrHタ
ンパク質の生産のために微生物の中に入れられてもよい。これらのSdrタンパク
質のアミノ酸配列は、例えば合成 SdrF、SdrG、及びSdrHタンパク質又はこれ
らの部分、例えばコンセンサス又は可変配列アミノ酸モチーフの生産においても
同様に有用である。
【0022】 SdrF、SdrG、及びSdrHタンパク質又はこれらの部分、例えばコンセンサス又は
可変配列アミノ酸モチーフに対して高められた抗血清及び抗 体、及びこれらの
タンパク質を含むワクチン又はその他の製薬組成物もまた、ここで提供される。
【0023】 さらには核酸分子、タンパク質、SdrF、SdrG、及びSdrHタンパク質又はこれら
の部分、例えばコンセンサス又は可変配列アミノ酸モチーフに対して高められた
抗体又は抗血清、及びサンプルとの反応のための適切な試薬を含む診断キットも
提供されている。
【0024】 本発明の第1の実施形態において、このポリヌクレオチドは、図2に示されて
いる配列を含むSdrFポリペプチドをエンコードする領域又はその変異型を含んで
いる。
【0025】 本発明のこの第1の形態によれば、Staphylococcus epidermidis株9491によっ
て発現可能な成熟ポリペプチドをエンコードする、単離された核酸分子が提供さ
れている。
【0026】 本発明の第2の実施形態において、このポリヌクレオチドは、図3に示されて
いる配列を含むSdrGポリペプチドをエンコードする領域又はその変異型を含んで
いる。
【0027】 本発明のこの第2実施形態によれば、Staphylococcus epidermidis株K28によ
って発現可能な成熟ポリペプチドをエンコードする、単離された核酸分子が提供
されている。
【0028】 本発明の第3の実施形態において、このポリヌクレオチドは、図4に示されて
いる配列を含むSdrHポリペプチドをエンコードする領域又はその変異型を含んで
いる。
【0029】 本発明のこの第3実施形態によれば、Staphylococcus epidermidis株9491によ
って発現可能な成熟ポリペプチドをエンコードする、単離された核酸分子が提供
されている。
【0030】 本発明の第4の実施形態において、図2に示されているSdrFアミノ酸配列を含
むStaphylococcus epidermidisからの新規タンパク質又はその変異型がある。
【0031】 本発明の第5の実施形態において、図3に示されているSdrGアミノ酸配列を含
むStaphylococcus epidermidisからの新規タンパク質又はその変異型がある。
【0032】 本発明の第6の実施形態において、図4に示されているSdrHアミノ酸配列を含
むStaphylococcus epidermidisからの新規タンパク質又はその変異型がある。
【0033】 本発明の第4、第5および第6の実施形態によれば、mRNA、cDNA、ゲノムDNA
を含む、SdrF、SdrG、又はSdrHタンパク質、特に Staphylococcus e
pidermidisをエンコードする、単離された核酸分子が提供されている。本発明の
別の実施形態には、生物学的、診断的、予防的、臨床的、又は治療学的に有用な
これらの変異型、及びこれを含む組成物も含まれる。
【0034】 本発明の第7の実施形態において、治療又は予防目的のため、特に遺伝子免疫
化のための本発明のポリヌクレオチドの使用が提供されてい る。
【0035】 本発明の第8の実施形態において、SdrF、SdrG、又SdrH遺伝子の自然発生アレ
レ(alleles)によってエンコードされる、SdrF、SdrG、又はSdrHポリペプチド又は
これらの部分、例えばコンセンサス又は可変配列アミノ酸モチーフの変異型が提
供されている。
【0036】 本発明のこの実施形態によれば、ここではSdrF、SdrG、又はSdrHと呼ばれるSt
aphylococcus epidermidisの新規ポリペプチド又はこれらの部分、例えばコンセ
ンサス又は可変配列アミノ酸モチーフ、並びに生物学的、診断的、予防的、臨床
的、又は治療学的に有用なこれらの変異型、及びこれを含む組成物が提供されて
いる。
【0037】 本発明の第9の実施形態において、前記SdrF、SdrG、又はSdrHポリペプチド又
はこれらの部分、例えばコンセンサス又は可変配列アミノ酸モチーフを生産する
ための方法が提供されている。
【0038】 本発明の第10の実施形態において、SdrF、SdrG、又はSdrHポリペプチド又はポ
リヌクレオチド又はこれらの部分、例えばコンセンサス又は可変配列アミノ酸モ
チーフ、又はこのようなモチーフをエンコードする核酸に対する抗体が提供され
ている。
【0039】 本発明の第11の実施形態において、特に厳しい条件下において、 SdrF、S
drG、又はSdrHポリヌクレオチド配列又はこれらの部分、例えばコンセンサス又
は可変配列アミノ酸モチーフに交雑するポリヌクレオチドが提供されている。
【0040】 本発明の第12の実施形態において、1つの細胞又は多細胞生物体に対する投
与のための、SdrF、SdrG、又はSdrHポリヌクレオチド又は SdrF、SdrG、又は
SdrHポリペプチド又はこれらの部分、例えばコンセンサス又は可変配列アミノ酸
モチーフを含む組成物が提供されている。
【0041】 開示されている発明の精神及び範囲内の様々な変更及び修正は、次の記載を読
めば、及び本開示のその他の部分を読めば、当業者には容易に明らかになるであ
ろう。
【0042】 (発明の詳細な説明) 単離されたSdrタンパク質、及びこれらの対応アミノ酸、及び核酸配列が本明
細書に記載されている。これらのタンパク質は、SdrF、SdrG、及びSdrHと呼ばれ
ている。SdrFのDNA配列及びタンパク質SdrF(太 字)のアミノ酸配列は、これ
らのフランキング配列と共に図2に示されている。SdrGのDNA配列及びタンパク
質SdrG(太字)のアミノ酸配列 は、これらのフランキング配列と共に図3に示
されている。最後に、DNA及びアミノ酸配列を含むSdrHコード領域は、図4に示さ
れている。
【0043】 SdrF、SdrG、及びSdrHタンパク質は、主配列及び構造組織において Staphylo
coccus aureusからのタンパク質の細胞外マトリックス結合Sdr族に関連しており
、細胞表面上に局在している。SdrF、SdrG、及びSdrHタンパク質は、細胞壁会合
タンパク質であり、シグナル配列がN−末端にあり、LPXTGモチーフ、疎水性ド
メイン、及び陽電荷残渣がC−末端にある。これらはそれぞれまた、細胞表面上
のリガンド結合ドメイン領域Aの効率的発現を可能にするのに十分な長さのSD反
復含有領域Rを有する。SdrF、SdrG、及びSdrHタンパク質のA領域が細胞表面上
に位置しているので、これらのタンパク質は、血漿内のタンパク質及び細胞外マ
トリックスと、あるいは宿主細胞の表面上の分子と相互作用しうる。例えばSdrG
は、フィブリノーゲンのベータ鎖のN−末端1/2と結合する。
【0044】 開示されている細胞外マトリックス結合タンパク質は、優勢的にアスパルテー
ト及びセリン残渣を含む、唯一のジペプチド反復領域(領域 R)を分かち合っ
ている。このDS反復は、コンセンサスGAY TCN GAY TCN GAY AGYを有する18ヌ
クレオチド反復によってエンコードされ、TCNは第一及び第二セリンコドンとして
、AGYは第三セリンコドンとしてのものである。R領域は、タンパク質のC―末
端近くにあり、一般的には40〜 300のDS残渣を含んでおり、より詳しくは60、80
、100、120、150、200、又は250よりも多くの反復単位を含んでおり、これらのう
ちの90、95、あるいは98%よりも多くでさえアミノ酸D又はSである。R領域DS反
復は、タンパク質間の長さが様々であり、領域Rそれ自体は細胞外マトリックス
タンパク質を結合しないが、このR領域はS.aureusの細胞表面上のタンパク質の
結合領域の提示(presentation)を可能にする。このようにして、DS反復(上記参
照)をエンコードするコンセンサスDNAへのプローブは、S.aureusの宿主組織へ
の接着に対して本質的な様々な結合タンパク質をエンコードするその他の遺伝子
を同定するために用いることができる。R領域への抗体もまた、このような追加
の結合タンパク質を同定するために用いることができる。
【0045】 SdrF及びSdrGのA領域において、コンセンサスTYTFTDYVDモチーフを誘導する
ために用いることができる、高度に保存されたアミノ酸配列があることが発見さ
れた。このモチーフは、細菌感染に対して広いスペクトルの免疫を与えるための
多成分ワクチンに用いることができ、同様に広いスペクトルの受動免疫を与える
モノクローナル又はポリクローナル抗体を生産するのにも用いることができる。
もう1つの実施形態において、Sdrタンパク質族から誘導された可変配列モチー
フ(T)(Y)(T)(F)(T)(D/N)(Y)(V)(D)のあらゆる組
合わせを、免疫を与えるため、又は保護抗体を誘導するために用いることができ
る。
【0046】 さらにSdrGが、913アミノ酸残渣のタンパク質をエンコードする2736ヌクレオ
チドのオープンリーディングフレームを有することも発見された。このタンパク
質は、30アミノ酸のシグナル配列、542アミノ酸のリガンド結合A領域、及びB
領域と名づけられた2つの反復モチーフを有する。B1は113アミノ酸であり、
B2は110アミノ酸であり、R領域は77アミノ酸である。B領域は、Ca++結合を
意味するEFハンドモチーフを含んでおり、これらは、その他のCa++結合タンパ
ク質、例えばカルモヂュリン及びトロポニンに見られるものと類似である。EF
ハンドモチーフの追加のさらに同義性の(degenerate)形態は、残渣457〜471間の
SdrGのA領域に見られる。フィブリノーゲンへのSdrG Aの結合における有意な
減少は、EDTAの存在下において注目され、これは結合に対する金属イオン依存性
を証明している。
【0047】 I.定義 「SdrFタンパク質」、「SdrGタンパク質」、及び「SdrHタンパク質」という用
語はここでは、SdrF、SdrG、及びSdrHサブドメイン、及びSdrF、SdrG、及びSdrH
タンパク質の活性又は抗原断片、例えばコンセンサス又は可変配列アミノ酸モチ
ーフを含むと定義される。
【0048】 ここで用いられている「pg」とは、ピコグラムを意味し、「ng」はナノグラム
、「ug」又は「μg」はマイクログラム、「mg」はミリグラム、 「ul」又は「
μl」はマイクロリットル、「ml」はミリリットル、「l」はリットルを意味す
る。
【0049】 SdrF、SdrG、及びSdrHタンパク質の「活性断片」はここでは、固定化又は可溶
性宿主タンパク質へのコアグラーゼ陰性スタフィロコカス菌の結合を妨げうるペ
プチドまたはポリペプチドとして定義される。
【0050】 ここで用いられている「アドヘーシンadhesin」という用語は、細胞外マトリ
ックスタンパク質に結合しうるか及び/又は宿主細胞への接着を仲介しうる自然
発生及び合成又は組換えタンパク質及びペプチドを含んでいる。
【0051】 ここで用いられている「アミノ酸」という用語は、自然発生及び合成のアミノ
酸を含んでおり、これには、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロ
リン、フェニルアラニン、トリプトファン、メチオニン、グリシン、セリン、ト
レオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、グルタメート、アスパラギン
酸、グルタミン酸、リシン、アルギニン、及びヒスチジンが含まれるが、これら
に限定されるわけではな い。
【0052】 「抗体」は、あらゆる免疫グロブリンであり、これには、特異的エピトープを
結合する抗体及びこれの断片が含まれる。ここで用いられているこの用語には、
モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、キメラ抗体、単鎖抗体、二重特異性
抗体、サルに適応させた(simianized)抗体、ヒトに適応させた抗体、並びにFab
免疫グロブリン発現ライブラリーの産物を含むFab断片が含まれる。
【0053】 ここで用いられている様々な文法形での「抗体分子」という語句は、完全な(i
ntact)免疫グロブリン分子と免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分との両
方のことについて考察している。
【0054】 SdrF、SdrG、及びSdrHタンパク質の「抗原断片」はここでは、免疫応答を生じ
うるペプチド又はポリペプチドとして定義されている。
【0055】 ここで用いられている「抗原的に機能的な同等物」タンパク質又はペプチドは
、開示されている特定のタンパク質の1つ又はそれ以上のエピトープと免疫学的
に交差反応的なエピトープを組込んでいるものであ る。抗原的に機能的な同等
物、あるいはエピトープ配列は、最初に設計されるかあるいは予測され、ついで
テストされてもよく、あるいは単に交差反応性について直接テストされてもよい
【0056】 「細胞系」は、多くの世代について試験管内安定成長が可能な初代細胞のクロ
ーンである。
【0057】 「クローン」は、有糸分裂によって単一細胞又は共通の祖先に由来する細胞集
団である。
【0058】 DNA「コーディング配列」は、適切な調節配列の制御下に置かれた時、生体内
でポリペプチドに転写及び翻訳される二本鎖DNA配列である。この配列の境界は
、5’(アミノ)末端における出発コドン及び3’(カルボキシル)末端におけ
る翻訳停止コドンによって決定される。コーディング配列は、原核配列、真核MR
NAからのcDNA、真核(例えば哺乳類) DNAからの遺伝子DNA配列、及び合成DNA
配列でさえ含んでいてもよい が、これらに限定されない。ポリアデニル化シグ
ナルおよび転写終結配列は、通常、コーディング配列に対して3’に位置してい
るであろう。
【0059】 「DNA分子」とは、その一本鎖形態あるいは二本鎖螺旋のどちらかの形態にお
けるデオキシリボヌクレオチド(アデニン、グアニン、チミン、又はシトシン)
のポリマー形態のことを言う。この用語は、分子の第一及び第二構造のことのみ
を言い、これを特定の第三形態に限定しない。従ってこの用語は、とりわけ線状
DNA分子(例えば制限断片)、ウイルス、プラスミド、及び染色体に見られる二本鎖
DNAを含んでいる。特定の二本鎖DNA分子の構造を考察する上で、配列はここでは
、DNAの非転写鎖 (すなわちmRNAと相同な配列を有する鎖)に沿って5’から3
’の方向にある配列のみを与える通常の慣例に従って記載されてもよい。
【0060】 転写及び翻訳制御配列は、「DNA調節配列」、例えばプロモーター、エンハン
サー、ポリアデニル化シグナル、ターミネーター等であり、これらは、宿主細胞
におけるコーディング配列の発現を生じる。
【0061】 「発現制御配列」は、別のDNA配列の転写及び翻訳を制御及び調節するDNA配列
である。コーディング配列は、RNAポリメラーゼがコーディング配列をmRNAに転
写する時に、1つの細胞において転写及び翻訳制御配列の「制御下」にある。こ
れはついでコーディング配列によってエンコードされたタンパク質に翻訳される
【0062】 ここで用いられている「細胞外マトリックスタンパク質」又はECMという用語
は、マクロ分子の4つの一般的な族、コラーゲン、構造糖タンパク質、プロテオ
グリカン、及びエラスチンのことを言い、これには、支持を与えて細胞挙動を調
節するフィブロネクチン及びフィブリノーゲンが含まれる。
【0063】 ここで用いられている「宿主細胞」は、形質転換されるか又はトランスフェク
トされた、あるいは外生ポリヌクレオチド配列によって形質転換又はトランスフ
ェクションが可能な細胞である。
【0064】 この技術で知られている「同一性(identity)」は、配列を比較することによっ
て決定される、2つ又はそれ以上のポリペプチド配列又は2つ又はそれ以上のポ
リヌクレオチド配列間の関係である。この技術において、「同一性」とはまた、
場合によって配列のストリング間のマッチ性 (match)によって決定されるよう
な、ポリペプチド又はポリヌクレオチド配列間の配列の関連性の程度のことを意
味する。
【0065】 「同一性」及び「類似性」は、既知の方法によって容易に計算することができ
る(Computational Molecular Biology, Lesk, A.M., ed., Oxford Universi
ty Press, New York, 1988; Biocomputing: Informatics and Genome
Projects, Smith, D.W.ed., Academic Press, New York, 1993)。2つの配列間
における同一性及び類似性を測定するためのいくつかの方法が存在するが、どち
らの用語も当業者にはよく知られている。配列間の同一性又は類似性を決定する
ために通常用いられている方法には、Carillo, H.,及びLipman, D., SIAM J. Ap
plied Math., 48: 1073(1988)に開示されているものが含まれるが、これらに限
定されるわけではない。同一性を決定するのに好ましい方法は、テストされてい
る配列間に最大のマッチ性を生じるように設計されている。同一性及び類似性を
決定する方法は、一般に入手しうるコンピュータープログラムとして体系化され
ている。2つの配列間の同一性及び類似性を決定するのに好ましいコンピュータ
ープログラム方法には、GCGプログラムパッケージ(Devereux et al., Nucleic A
cids Research 12(1); 387, 1984)、BLASTP、 BLASTIN、及びFASTA(Atschul et al.
, J.Molec. Biol. 215: 403-410, 1990)が含まれるが、これらに限定される
わけではない。BLAST Xプログラムは、NCBI及びその他の入手源から一般に入手
しうる(BLAST Manual, Altschul et al., NCBI NLM NIH Bethesda, Md. 20894;
Altschul et al., J.Mol. Biol.215; 403-410, 1990)。
【0066】 「免疫学的に有効な量」とは、受容動物において免疫応答を発生させうるペプ
チド組成物の量を意味する。これには、抗体応答(B細胞応答)の発生、及び/又
は細胞毒性免疫応答(T細胞応答)の刺激との両方が含まれる。このような免疫
応答の発生は、有用な生物試薬、例えばCTL、より詳しくは診断の実施形態におい
て用いるための反応性抗体の生産のどちらにも有用性を有し、同様に様々な予防
的又は治療的実施形態においても有用性を有する。
【0067】 ここで用いられている「生体内ワクチン」とは、病原へのその後の暴露に対し
て保護する体液性及び細胞性応答を顕在化させるための、タンパク質での動物の
免疫化のことを言う。
【0068】 「単離された」という用語はここでは、これが自然に発生する時に伴っている
成分の少なくともいくつかを含まないものとして定義される。ここで用いられて
いる「単離された」とはまた、その自然状態から「人間の手」によって変えられ
ることをも意味している。すなわちこれが自然界に発生するならば、これはその
もとの環境から変えられているか、又は除去されているか、あるいはこの両方で
ある。例えば生体系に自然に存在するポリヌクレオチド又はポリペプチドは、「
単離されて」いないが、その自然状態の共存物質から分離された同じポリヌクレ
オチド又はポリペプチドは、この用語がここで用いられているように、「単離され
て」いる。
【0069】 「リガンド」という用語は、病原菌が付着している分子を含むために用いられ
ており、これには宿主組織内にある分子も含まれる。
【0070】 様々な文法形態における「モノクローナル抗体」という語句は、特定の抗原と
免疫反応しうる抗体組合わせ部位の1つの種のみを有する抗体のことを言う。
【0071】 ここで用いられている「オリゴヌクレオチド」という用語は、2つ又はそれ以
上、好ましくは3つ以上のヌクレオチドから構成されている分子として定義され
る。その正確なサイズは、多くの要因に依る。これらの要因自体は、オリゴヌク
レオチドの究極的機能及び使用に依る。
【0072】 ここで用いられている「製薬的に許容しうる」という語句は、生理学的に許容
でき、かつヒトに投与された時に、一般的には許容しえないアレルギー又は同等
の不適当な反応を生じない分子体及び組成物のことについて言う。
【0073】 「ポリヌクレオチド」は一般に、ポリリボヌクレオチド又はポリデオキシリボ
ヌクレオチドのことを言い、これらは非修飾RNA又はDNA又は修飾RNA又はDNAであ
ってもよい。「ポリヌクレオチド」には、一本鎖及び二本鎖DNA、一本鎖領域と二
本鎖領域との混合物、又は一本鎖、二本鎖、及び三本鎖領域の混合物であるDNA、一
本鎖及び二本鎖RNA、及び一本鎖領域と二本鎖領域との混合物であるRNA、一本鎖
、より典型的には二本鎖、又は三本鎖であってもよく、あるいは一本鎖領域と二
本鎖領域との混合物であってもよいDNAとRNAとを含むハイブリッド分子が含まれ
るが、これらに限定されるわけではない。さらにはここで用いられている「ポリ
ヌクレオチド」は、RNA又はDNA、又はRNAとDNAとの両方を含む三本鎖領域のこと
を言う。このような領域における鎖は、同じ分子からのものであってもよく、異
なる分子からのものであってもよい。これらの領域は、これらの分子の1つ又は
それ以上のすべてを含んでいてもよいが、より一般的にはこれらの分子のいくつ
かのうちの1つの領域のみを含んでいる。三本螺旋領域の分子の1つは多くの場
合、オリゴヌクレオチドである。ここで用いられている「ポリヌクレオチド」と
いう用語は、1つ又はそれ以上の修飾塩基を含む、前記のようなDNA又はRNAを含
んでいる。従って安定性又はその他の理由で修飾されているバックボーンを備え
たDNA又はRNAは、この用語がここで意図している「ポリヌクレオチド」である。
さらには2つの例のみを挙げれば、通常でない塩基例えばイノシン、又は修飾塩
基例えばトリチル化塩基を含むDNA又はRNAは、この用語がここで用いられている
ようなポリヌクレオチドである。当業者に知られている多くの有用な目的に役立
つDNA及びRNAに対して、非常に多様な修飾がなされたことが分かるであろう。こ
こで用いられているような「ポリヌクレオチド」という用語は、ポリヌクレオチ
ドのこのような化学的、酵素的、あるいは代謝的に修飾された形態、並びに例え
ば単純又は複合細胞を含むウイルス及び細胞に特徴的なDNA及びRNAの化学的形態
をも包含する。「ポリヌクレオチド」は、多くの場合オリゴヌクレオチドと呼ば
れている短いポリヌクレオチドを包含する。
【0074】 「ポリペプチド」とは、ペプチド結合又は修飾ペプチド結合によって互いに結
合されている2つ又はそれ以上のアミノ酸を含むあらゆるペプチド又はタンパク
質のことを言う。「ポリペプチド」とは、通常ペプチド、オリゴペプチド、及びオリ
ゴマーのことを言う短い鎖と、一般にタンパク質のことを言うより長い鎖との両
方のことを言う。ポリペプチドは、遺伝子的にエンコードされた20アミノ酸以
外のアミノ酸を含んでいてもよい。「ポリペプチド」には、自然のプロセス、例え
ばプロセッシング、及びその他の翻訳後修飾によって、及びまたこの技術でよく
知られている化学的修飾技術によって修飾されたものも含まれる。このような修
飾は、基本的なテキスト、及びより詳細なモノグラフ、同様に多量の研究文献に
おいて十分に記載されており、これらは当業者にはよく知られている。同じ種類
の修飾が、ある一定のポリペプチドにおけるいくつかの部位において同程度又は
様々な程度において存在してもよいことが分かるであろう。同様にある一定のポ
リペプチドは、多くの種類の修飾を含んでいてもよい。修飾は、ポリペプチドの
どこでも起こりうる。ここにはペプチドバックボーン、アミノ酸側鎖、及びアミ
ノ又はカルボキシル末端が含まれる。修飾は、アセチル化、アシル化、ADP−リ
ボシル化、アミド化、フラビンの共有結合接着、ヘム部分の共有結合接着、ヌク
レオチド又はヌクレオチド誘導体の共有結合接着、脂質又は脂質誘導体の共有結
合接着、ホスファチジルイノシトールの共有結合接着、架橋、環化、ニ硫化物結合
形成、脱メチル化、共有結合架橋の形成、システインの形成、ピログルタメート
の形成、配合、ガンマカルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、ヒド
ロキシル化、ヨウ素化、メチル化、ミリストール化、酸化、原核プロセッシング
、ホスホリル化、プレニル化、ラセミ化、グリコシル化、脂質接着、硫酸化、グ
ルタミン酸残渣のガンマカルボキシル化、ヒドロキシル化、及びADP−リボシル
化、セレノイル化、硫酸化、タンパク質へのアミノ酸の転移―RNA仲介付加、例
えばアルギニル化、及びユビキチン化が含まれる。例えばSeifter et al., Meth
. Enzymol. 182: 626-646, 1990及びRattan et al., Ann. N.Y. Acad. Sci
. 663: 48-62, 1992参照。ポリペプチドは、枝分かれしていてもよく、枝分かれを
伴ってあるいは伴わずに環式であってもよい。環式、枝分かれ、及び枝分かれ円
形ポリペプチドは、翻訳後自然プロセスから生じてもよく、完全に合成的な方法
で製造されてもよい。
【0075】 ここで用いられている「プライマー」という用語は、精製された制限消化にお
けるように自然発生のものであれ、合成的に生産されたものであれ、次のような
オリゴヌクレオチドのことを言う。すなわち、核酸鎖に対して相補的であるプラ
イマーエクステンション産物の合成が誘発されるような条件下、すなわちヌクレ
オチド及び誘発剤、例えばDNAポリメラーゼの存在下、適切な温度及びpHに置か
れた時に、合成の開始点として作用することができるものである。プライマーは
、一本鎖又は二本鎖のどちらかであってもよく、これは誘発剤の存在下に所望の
エクステンション産物の合成を開始させるのに十分なほど長いものでなければな
らない。プライマーの正確な長さは、温度、プライマー源、及びこの方法の使用
を含む多くの要因に依る。例えば診断用の用途には、標的配列の複雑さに応じて
、オリゴヌクレオチドプライマーは一般的に、15〜25又はそれ以上のヌクレオチ
ドを含んでいる。但しこれはより少ないヌクレオチドを含んでいてもよい。
【0076】 ここでのプライマーは、特定の標的DNA配列の種々の鎖と実質的に相補的であ
るように選択される。このことは、これらのプライマーがこれらの各々の鎖と交
雑するのに十分なほど相補的なものでなければならないことを意味する。従って
プライマー配列は、鋳型の正確な配列を反映する必要はない。例えば非相補的ヌ
クレオチド断片は、プライマーの5’末端に接着されてもよく、プライマー配列
の残りのものはこの鎖に相補的なものである。あるいはまた、プライマー配列が
、これと交雑し、従ってエクステンション産物の合成のための鋳型を形成するの
に十分なほどのこの鎖の配列との相補性を有するならば、非相補的な塩基又はよ
り長い配列を、このプライマーの中に散在させることができる。
【0077】 「プロモーター配列」は、細胞においてRNAポリメラーゼを結合することがで
き、かつ下流(3’方向)コーディング配列の転写を開始しうるDNA調節領域で
ある。本発明を規定する目的のためには、プロモーター配列は、その3’末端に
おいて転写開始部位によって境界がつくられ、上流(5’方向)に伸びて、バッ
クグラウンドの上の検出しうるレベルにおいて転写を開始させるのに必要な最少
数の塩基又は要素を含む。プロモーター配列内には、転写開始部位(ヌクレアー
ゼSIでのマッピングによって規定するのが便利である)、並びにRNAポリメラー
ゼの結合の原因であるタンパク質結合ドメイン(コンセンサス配列)が見られる
であろう。真核プロモーターは、「TATA」ボックス及び「CAT」ボックスを含ん
でいることが多いが、いつもそうであるわけではない。原核プロモーターは、−
10及び−35コンセンサス配列に加えて、シャイン・ダルガルノ配列を含んでいる
【0078】 「レプリコン」は、生体内のDNAの複製の自律的単位として機能する、すなわち
それ自体の制御下での複製が可能である遺伝子要素(プラスミド、染色体、ウイ
ルス)である。
【0079】 ここで用いられている「制限エンドヌクレアーゼ」及び「制限酵素」という用
語は、細菌酵素のことを言い、これらの各々は、特異的パリンドロームヌクレオ
チド配列のところ又はその近くにおいて二本鎖DNAを切断する。
【0080】 「シグナル配列」は、コーディング配列の前に含まれていてもよい。この配列
は、シグナルペプチド、ポリペプチドへのN−末端をエンコードする。これは、
宿主細胞につながって、このポリペプチドを細胞表面に向けるか、あるいはこの
ポリペプチドを媒質の中に分泌する。このシグナルペプチドは、タンパク質が細
胞を離れる前に宿主細胞によって切取られる。シグナル配列は、原核生物及び真
核生物に本来ある多様なタンパク質と関連しているのが見られる。
【0081】 細胞は、このようなDNAが細胞内に導入された時に外生的又は非相同 DNAによ
って「形質転換」されている。形質転換DNAは、細胞のゲノムを構成する染色体D
NAに組込まれて(共有結合されて)いてもよく、組込まれていなくてもよい。例
えば原核生物、酵母、及び哺乳類細胞において、形質転換DNAは、例えばプラス
ミドのようなエピソーム要素上に維持されてもよい。真核細胞に関しては、安定
的に形質転換された細胞は、形質転換DNAが染色体の中に組込まれているものであ
り、従ってこれは染色体複製を通じて娘細胞によって受け継がれる。この安定性
は、真核細胞が形質転換DNAを含む娘細胞の集団から構成される細胞系又はクロ
ーンを確立する能力によって証明される。
【0082】 この用語がここで用いられているような「変異型」は、それぞれ対照ポリヌク
レオチド又はポリペプチドとは異なるが、本質的な特性を保持しているポリヌク
レオチド又はポリペプチドである。ポリヌクレオチドの典型的な変異型は、ヌク
レオチド配列において別の対照ポリヌクレオチドとは異なる。この変異型のヌク
レオチド配列における変化は、対照ポリヌクレオチドによってエンコードされる
ポリペプチドのアミノ酸配列を変えることもあり、変えないこともある。ヌクレ
オチド変化は、下記のような対照配列によってエンコードされるプロペプチドに
おけるアミノ酸置換、付加、欠失、融合、又は先端の切取りという結果を生じる
ことがある。ポリペプチドの典型的な変異型は、アミノ酸配列において別の対照
ポリペプチドとは異なる。一般に、差は限定されており、従って対照ポリペプチ
ド及び変異型の配列は、全体として密接に類似しており、多くの領域において同
じである。変異型及び対照ポリペプチドは、アミノ酸配列において、どの組合わ
せにおいても、1つ又はそれ以上の置換、付加、又は欠失によって異なっていて
もよい。置換又は挿入アミノ酸残渣は、遺伝子コードによってエンコードされた
ものであってもよく、そうでなくてもよい。ポリヌクレオチド又はポリペプチド
の変異型は、自然発生のもの、例えばアレレ変異型であってもよく、あるいはこ
れは自然発生することが知られていない変異型であってもよい。ポリヌクレオチ
ド及びポリペプチドの非自然発生変異型は、突然変異誘発技術、直接合成、及び当
業者に知られているその他の組換え方法によってつくられてもよい。
【0083】 「ベクター」は、レプリコン、例えばプラスミド、ファージ、又はコスミドで
あり、これには別のDNAセグメントが、接着されたセグメントの複製をもたらす
ように接着されていてもよい。
【0084】 II.核酸及びアミノ酸配列 SdrF、SdrG、及びSdrH(それぞれ図2〜4に示されている)又はこれらの部分
、例えばコンセンサス又は可変配列アミノ酸モチーフをエンコードする核酸配列
は、組換えタンパク質の生産のため、又は高い感受性及び特異性を有するサンプ
ル又は標本におけるコアグラーゼ陰性スタフィロコカス菌タンパク質の検出のた
めの核酸プローブとして有用である。これらのプローブは、サンプル中のコアグ
ラーゼ陰性スタフィロコカス菌の存在を検出し、病気の感染を診断し、サンプル
中のコアグラーゼ陰性スタフィロコカス菌の量を定量化するか、あるいはこの感
染を治療するために用いられる療法の進行を監視するために用いることができる
。核酸及びアミノ酸配列はまた、微生物及び病気を研究するため、又はこの病気
の療法及び治療を開発するための研究所の研究用具としても有用でありうる。
【0085】 当業者なら、SdrF、SdrG、又はSdrHタンパク質はまた、配列リストに挙げられ
ている核酸配列と実質的に類似の配列によってもエンコードされると理解するで
あろう。2つのDNA配列は、ヌクレオチドの約70%又はそれ以上(好ましくは少な
くとも約80%、最も好ましくは少なくとも約90又は95%)が、DNA配列の規定の長
さにわたってマッチする時に「実質的に類似」である。実質的に相同である配列
は、配列データバンク、又は例えば特定の系について規定されているような厳し
い条件下におけるサザン交雑(ハイブリダイゼーション)実験において入手しう
る標準的ソフトウエアを用いてこれらの配列を比較することによって同定するこ
とができる。適切な交雑(ハイブリダイズ)条件を規定することも、当業者の技
術の範囲内にある。例えばManiatis et al., Molecular Cloning; A Labo
ratory Manual, 1982; DNA Cloning, Vols. I & II、 上記; Nucleic Acid Hybri
dization, [B.D. Hames & S.J. HIgGins eds. (1985)]参照。「実質的に類似
」とはさらに、遺伝子コードの同義性によって、図2〜4に示されている配列の
どれかに示されているものと同一ではないが、同じアミノ酸配列をエンコードす
るDNA配列;あるいは1つのアミノ酸が類似のアミノ酸と取り替えられているか
ら、あるいは変化(これが置換であれ、欠失であれ、挿入であれ)がタンパク質
の活性部位に影響を与えないからという理由のどちらかから、タンパク質の活性
を保持する異なるアミノ酸配列をエンコードするDNA配列をも意味する。2つの
アミノ酸配列又は2つの核酸配列は、アミノ酸の約70%又はそれ以上(好ましく
は少なくとも約80%、よい好ましくは少なくとも約90%又は95%)が、これらの
配列の規定の長さにわたってマッチする時に「実質的に類似」である。
【0086】 修飾及び変更は、本発明のペプチドの構造、及びこれらをエンコードするが、
望ましい特徴を備えたタンパク質又はペプチドをエンコードする機能的分子が得
られるDNAセグメントにおいて行なわれてもよい。次のことは、同等又は改良さ
れていることさえある第二世代分子をつくり出すためのタンパク質のアミノ酸の
変更に基づく考察である。アミノ酸の変更は、表1によれば、DNA配列のコドン
を変更することによって実施することができる。表1に特定されているコドンが
RNA配列のためのものであることを、当業者は理解すべきである。DNAのための対
応コドン は、Uに対して置換されたTを有する。標準的命名法(J.Biol. Chem.,
243: 3552-3559, 1969)に従って、アミノ酸残渣の短縮形をさらに表1に示す
【0087】
【表1】
【0088】 例えばいくつかのアミノ酸は、例えば抗体の抗原結合領域又は基質分子上の結
合部位のような構造との相互作用的結合能力の顕著な損失を伴わずに、タンパク
質構造において他のアミノ酸と代えてもよい。このタンパク質の生物学的機能活
性を規定するのはタンパク質の相互作用的能力及び性質であるので、いくつかの
アミノ酸配列の置換は、タンパク質配列において、及び当然ながらその下部DNA
コーディング配列においても実施することができるが、それにもかかわらず、同
様な性質を備えたタンパク質を得ることができる。従って、生物学的有用性又は
活性の顕著な損失を伴わずに、開示されている組成物のペプチド配列、又は前記
ペプチドをエンコードする対応DNA配列において、様々な変更を行なってもよい
と本発明者らによって考察されている。
【0089】 このような変更を行なう上で、アミノ酸の水感応指数(hydropathic index)
を考慮してもよい。タンパク質に対して相互作用的生物機能を与えることにおけ
るアミノ酸の水感応指数の重要性は、一般にこの技術において理解されている(K
yte及びDoolittle, J. Mol Biol, 157(1): 105-132, 1982、これは参照して
ここに組込まれる)。アミノ酸の相対的水感応性は、結果として生じるタンパク
質の第二構造に寄与し、これ自体は、タンパク質とその他の分子、例えば酵素、
基質、受容体、DNA、抗体、抗原等との相互作用を規定していることは認められ
ている。各アミノ酸には、その疎水性及び電荷特性をベースとして水感応指数が
与えられている(Kyte及びDoolittle、上記、1982)。これらは、イソロイシン(
+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8);フェニルアラニン(
+2.8);システイン/シスチン(+2.5);メチオニン (+1.9)
;アラニン(+1.8);グリシン(−0.4);トレオニン(−0.7);セ
リン(−0.8);トリプトファン(−0.9);チロシン(−1.3);プロ
リン(−1.6);ヒスチジン(−3.2);グルタメート(−3.5);グル
タミン(−3.5);アスパルテート (−3.5);アスパラギン(−
3.5);リシン(−3.9);及びアルギニン(−4.5)である。
【0090】 あるいくつかのアミノ酸は、同様な水感応指数又は評点を有するその他のアミ
ノ酸によって置換されてもよく、それでもその結果として同様な生物学的活性を
備えたタンパク質を生じる、すなわちそれでもなお生物学的に機能的に同等なタ
ンパク質が得られることは、この技術において知られている。このような変更を
行なう上で、±2内の水感応指数を有するアミノ酸の置換が好ましい。±1内に
あるものが特に好ましく、±0.5以内にあるものが特にさらに好ましい。同様
に、同様なアミノ酸の置換は、親水性をベースとして効果的に行なうことができ
ることもこの技術で理解されている。参照してここに組込まれている米国特許第
4,554,101号は、それの隣接するアミノ酸の親水性によって支配されているよう
な、タンパク質の最大の局部平均親水性が、そのタンパク質の生物学的特性と相
関関係があると記載している。
【0091】 米国特許第4,554,101号に詳細に記載されているように、次の親水性値が、ア
ミノ酸残渣に与えられている:アルギニン(+3.0);リシン(+1.0);
アスパルテート(+3.0±1);グルタメート (+3.0±1);セ
リン(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);グリ
シン(0);トレオニン(−0.4);プロリン(−0.5±1);アラニン(
−0.5);ヒスチジン(−0.5);システイン(−1.0);メチオニン(
−1.3);バリン(−1.5);ロイシン(−0.8);イソロイシン(−1
.8);チロシン(−2.3);フェニルアラニン(−2.5);トリプトファ
ン;(−3.4)。アミノ酸 は、同様な親水性値を有する別のものと置換され
てもよく、それでもなお生物学的に同等な、特に免疫学的に同等なタンパク質が
得られると理解されている。このような変更において、±2内の親水性値を有す
るアミノ酸の置換が好ましく、±1内にあるものが特に好ましく、±0.5以内
にあるものが特にさらに好ましい。
【0092】 上に概略されているように、従ってアミノ酸置換は一般に、アミノ酸側鎖置換
基の相対的類似性、例えばこれらの疎水性、親水性、電荷、サイズ等に基づいて
いる。前記特性の様々なものを考慮に入れた置換の例は当業者によく知られてお
り、これには、アルギニンとリシン;グルタメートとアスパルテート;セリンと
トレオニン;グルタミンとアスパラギン;及びバリン、ロイシン、及びイソロイ
シンが含まれる。
【0093】 本発明のポリペプチドは化学的に合成することができる。合成ポリペプチドは
、固相、液相のよく知られている技術、又はペプチド縮合技術、あるいはこれらの
あらゆる組合わせを用いて調製され、これには天然及び非天然アミノ酸が含まれ
ていてもよい。ペプチド合成に用いられるアミノ酸は、標準的脱保護、中和、カ
ップリング、及びMerrifield (J.Am. Chem. Soc., 85: 2149-2154, 1963)の独創
的固相手順の洗浄プロトコルでの標準的Boc(NA−アミノ保護−Na−t−ブチルオ
キシカルボニル)アミノ酸樹脂、又は最初にCarpino及びHan(J.Org. Chem., 37:3
403-3409, 1972)によって記載されている塩基レービルNa-アミノ保護9−フル
オレニルメトキシカルボニル(Fmoc)アミノ酸であってもよい。Fmoc及びBocNa
アミノ保護アミノ酸はどちらも、Fluka、Bachem、Advanced Chemtech、 Sigma、 Ca
mbridge Research Biochemical、 Bachem、又は Peninsula Labs、あるいはこ
の技術を実施する者によく知られているその他の化学会社から入手することがで
きる。さらには、本発明の方法は、当業者によく知られているその他のNa-保護
基と共に用いることができる。固相ペプチド合成は、当業者に知られている技術
、例えばStewart及びYoung, 1984, Solid Phase Synthesis, Second Edition, P
ierce Chemical Co., Rockford, IL; Fields及びNoble, 1990, Int. J.Pept Pro
tein Res. 35: 161-214において示されている技術によって、あるいは例えばAB
Sによって販売されているもののような自動合成器によって実施することができ
る。従って本発明のポリペプチドは、特別な特性を伝えるために、D−アミノ酸
、D−アミノ酸とL−アミノ酸との組合わせ、及び様々な「デザイナー」アミノ
酸(例えばβ―メチルアミノ酸、Cα−メチルアミノ酸、及びNα−メチルアミノ
酸等)を含んでいてもよい。合成アミノ酸は、リシンとしてオルニチン、フェニ
ルアラニンとしてフルオロフェニルアラニン、及びロイシン又はイソロイシンと
してノルロイシンを含んでいる。さらには特異的カップリング工程において特異
的アミノ酸を割当てることによって、α−螺旋、β回転(turn)、βシート、γ−
回転、及び環式ペプチドを発生させることができる。
【0094】 さらにもう1つの実施態様において、有用な化学的及び構造的特性を与えるペ
プチドのサブ単位が選ばれる。例えばD−アミノ酸を含むペプチドは、生体内で
L−アミノ酸特異性プロテアーゼに抵抗性がある。さらには本発明は、さらによ
く規定されている構造特性を有するペプチドの調製について考察しており、かつ
新規特性を備えたペプチドを調製するための、ペプチド擬似物(peptidomimetics
)及びペプチド擬似結合、例えばエステル結合の使用についても考察している。
もう1つの実施態様において、還元ペプチド結合、すなわちR1−CH2−NH−R2
ここにおいてR1及びR2は、アミノ酸残渣又は配列である)を組込んでいるペプチ
ドを発生させることもできる。還元ペプチド結合は、ジペプチドサブ単位として
導入することができる。このような分子は、ペプチド結合加水分解、例えばプロテ
アーゼ活性に対して抵抗性があるであろう。このようなペプチドは、独特の機能
及び活性、例えば代謝分解又はプロテアーゼ活性への抵抗性によって生体内での
延長された半減期をリガンドに備えさせる。さらには、いくつかの系において強
制されたペプチドは、強化された機能的活性を示すことがよく知られている(Hru
by, Life Sciences, 31: 189-199, 1982); (Hruby et al., Biochem J., 268:
249-262, 1990)。
【0095】 次のような従来のものではないアミノ酸が、特別な立体配座モチーフを導入す
るために、ペプチド内に組込まれてもよい:1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリ
ン−3−カルボキシレート(Kazmierski et al., J.Am. Chem. Soc., 113: 2275
-2283, 1991); (2S,3S)−メチル−フェニルアラニン、(2S,3R)−メチル−フェニ
ルアラニン、(2R,3S)−メチル−フェニルアラニン、及び(2R,3R)−メチル―フェ
ニルアラニン(Kazmierski及びHruby, Tetrahedron Lett., 1991); 2-アミノテト
ラヒドロナフタレン−2−カルボン酸(Landis, Ph.D. Thesis, University of A
rizona, 1989);ヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ―イソキノリン−3−カル
ボキシレート(Miyake et al, J.Takeda Res. Labs., 43: 5333-76, 1989); β−
カルボリン(D及びL)(Kazmierski, Ph.D. Thesis, University of Arizona,
1988); HIC(ヒスチジンイソキノリンカルボン酸)(Zechel et al,Int. J.Pep.
Protein Res., 43, 1991);及びHIC(ヒスチジン環式尿素)(Dharanipragada)。
【0096】 次のようなアミノ酸類似体及びペプチド擬似体を、特異的第二構造を誘発又は
促進するためにペプチド中に組込んでもよい:LL−Acp (LL−3−アミ
ノ−2−プロペニドン−6−カルボン酸)、β−回転誘発ジペプチド類似体(Kemp
et al, J.Org. Chem., 50: 5834-5838 (1985); β−シート誘発類似体(Ke
mp et al,Tetrahedron Lett., 29: 5081-5082, 1988); β−回転誘発類似体(Kem
p et al, Tetrahedron Lett., 29: 5057-5060, 1988); アルファ−螺旋誘発類似
体(Kemp et al, Tetrahedron Lett., 29: 4935-4938, 1988);γ−回転誘発
類似体(Kemp et al, J.Org. Chem., 54:109:115, 1989);及び次の参考文献によ
って挙げられている類似体:Nagai及びSato, Tetrahedron Lett., 26:647-650 (
1985); DiMaio et al., J.Chem. Soc. Perkin Trans., p.1687 (1989);同
様にGly−Ala回転類似体(Kahn et al., Tetrahedron Lett., 30: 2317-1989);ア
ミド結合アイソスター(Jones et al., Tetrahedron Lett., 29: 3853-3856, 19
88);テトラゾール(Zabrocki et al., J.Am. Chem. Soc., 110: 5875-5880, 198
8); DTC(Samanen et al., Int. J.Protein Pep. Res., 35:501:509, 1990
);及びOlson et al., (J.Am. Chem. Sci., 112: 323-333, 1990)及びGarvey et
al., (J.Org. Chem, 56:436, 1990)。ベータ回転及びベータバルジの立体配座
的に制限された擬似体、及びこれらを含むペプチドは、1995年8月8日にKahnに
発行された米国特許第5,440,013号に記載されている。
【0097】 同様にここでは、コアグラーゼ陰性スタフィロコカス菌、例えばここに記載さ
れているS.epidermidis又はこれらの相補的配列からの、フィブリノーゲン結合
タンパク質又はこれらの部分、例えばコンセンサス又は可変配列アミノ酸モチー
フをエンコードする核酸分子と選択的に交雑(ハイブリダイズ)する核酸分子の
配列も提供されている。「選択的」又は「選択的に」とは、他の核酸と交雑しな
い配列を意味する。これは、 SdrFSdrG、又はSdrHの特異的検出を促進するた
めである。従って、核酸を交雑する設計においては、選択性は、サンプル中に存
在するその他の要素に依るであろう。交雑核酸は、これが交雑している核酸のセ
グメントと少なくとも70%の相補性を有すべきである。核酸を記載するためにこ
こで用いられている「選択的に交雑(ハイブリダイズ)する」という用語は、随
時のランダム交雑核酸は除外しており、従って「特異的に交雑(ハイブリダイズ
)している」と同じ意味を有する。本発明の選択的に交雑した核酸は、これらが
交雑している配列のセグメントと、少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、
97%、98%、及び99%の相補性を有していてもよい。
【0098】 本発明は、エンコーディングDNA又はここに特異的に挙げられているもののよ
うなDNAの相補的な又は反対の鎖に選択的に交雑している配 列、プローブ、及
びプライマーについて考察する。核酸との特異的交雑は、機能種特異的交雑能力
が維持されている限り、核酸において小さい修飾又は置換と共に生じうる。「プ
ローブ」とは、これらの検出又は増幅のための相補的核酸配列との選択的交雑の
ためにプローブ又はプライマーとして用いうる核酸配列のことを意味する。これ
らのプローブは、長さが約5〜100ヌクレオチド、好ましくは約10〜50ヌクレオ
チド、最も好ましくは約18〜24ヌクレオチドの様々なものであってもよい。従っ
てここで用いられている「プローブ」又は「複数のプローブ」は、「プライマー
」を含むものと定義されている。厳しい条件下に種特異的核酸と選択的に交雑し
、かつSambrook et al, 1989. MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL,
2nd. ed. Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, N.Y.によっ
て記載されている当該配列(sequence of interest)に相補的な少なくとも5
つのヌクレオチドを有すべきである、単離された核酸がここに提供されている。
【0099】 プライマーとして用いられるならば、この組成物は好ましくは、所望の領域を
増幅するために目標分子の様々な領域に交雑する少なくとも2つの核酸分子を含
んでいる。プローブ又はプライマーの長さに応じて、目標領域は、70%相補塩基
と完全な相補性との間の範囲にあって、それでもなお厳しい条件下に交雑しうる
。例えばS.epidermidisの存在を診断することを目的として、交雑核酸(プロー
ブ又はプライマー)とこれが交雑する配列(例えばサンプルからのコアグラーゼ
陰性スタフィロコカス菌DNA)との間の相補性の程度は、他の細菌からの核酸と
の交雑を区別するのに少なくとも十分である。
【0100】 SdrF、SdrG、又はSdrHタンパク質又はこれらの部分、例えばコンセンサス又は
可変配列アミノ酸モチーフをエンコードする核酸配列を、ベクター例えばプラス
ミドの中に挿入してもよく、生体系の中に組換えによって発現させ、組換えSdrF
、SdrG、又はSdrHタンパク質又はこれらの断片を生産することができる。例えば
組換えSdrF、SdrG、又はSdrHを生産するDNA分子は、本発明に従ってプラスミド
中において生産された。
【0101】 組換えタンパク質は、当業者によく知られた方法によって生産される。クローニ
ングベクター、例えばプラスミド又はファージDNAは、制限酵素で切断され(clea
ved)、SdrF、SdrG、又はSdrHタンパク質又はこれらの断片、例えばコンセンサス
又は可変配列アミノ酸モチーフをエンコードするDNA配列を、切断(cleavage)部
位の中に挿入し、結合させる (ligate)。ついでクローニングベクターを、
宿主の中に挿入し、SdrF、 SdrG、又はSdrHエンコーディングDNAによってエンコ
ードされたタンパク質又は断片を生産させる。適切な宿主には、細菌宿主、例え
Escherichia coliBacillus subtilis、酵母、及びその他の細胞培養
が含まれる。遺伝子産物の生産及び精製は、既知の分子生物学技術を用いて実施
し、向上させることができる。
【0102】 III.Sdr核酸の使用 コアグラーゼ陰性スタフィロコカス菌の存在を検出及び同定するために、ここ
に記載されている核酸を使用する方法が提供される。これらの方法は、コアグラ
ーゼ陰性スタフィロコカス菌感染及びその他の関連する病気、例えばカテーテル
関連感染、生体適合材料関連感染、上気道感染(例えば中耳炎、細菌気管炎、急
性喉頭蓋炎、甲状腺炎)、下気道感染(例えば肺気腫、肺膿瘍)、心臓(例えば
感染性心内膜炎)、胃腸(例えば分泌性下痢、脾膿瘍、腹膜後膿瘍)、中枢神経
系(例えば脳膿瘍)、目(例えば眼瞼炎、結膜炎、角膜炎、眼球内炎、前中隔及
び眼窩蜂巣炎 (preseptal and orbital cellulitis)、ダークリヨシスティチ
ス (darcryocystitis)、腎臓及び尿道(例えば副睾丸炎、腎内及び腎周囲
膿瘍、毒性ショック症候群)、皮膚(例えばとびひ、毛包炎、皮膚膿瘍、蜂巣炎、
傷感染、細菌性筋炎)、骨及び関節(例えば敗血性関節炎、骨髄炎)、ウシの乳腺炎
、及びイヌの膿皮症を診断するのに用いうる。
【0103】 この方法は、コアグラーゼ陰性スタフィロコカス菌を含むと疑われるサンプル
を得る工程を含んでいる。このサンプルは、個人、例えば個人の血液、唾液、組
織、骨、筋肉、軟骨、又は皮膚から取ることができる。ついでこれらの細胞を溶解
し、DNAを抽出し、沈殿し、増幅させることができる。コアグラーゼ陰性スタフ
ィロコカス菌からのDNAの検出は、本発明の詳細な説明において上記されている
ようなDNAと選択的に交雑するコアグラーゼ陰性スタフィロコカス菌用プローブ
と、この増幅された DNAとを交雑させて実施される。交雑の検出は、コアグラー
ゼ陰性スタフィロコカス菌の存在を示している。
【0104】 好ましくは核酸(例えばプローブ又はプライマー)交雑の検出は、検出可能な
部分を用いることによって容易にすることができる。例えばこれらのプローブは
、ビオチンで標識することができ、ストレプトアビジン被覆ミクロ滴定プレート
検定において用いることができる。その他の検出可能な部分には、例えば放射性
標識、酵素標識、及び蛍光標識が含まれる。
【0105】 DNAは、直接検出することもできるが、分析の前にポリメラーゼ鎖反応(PCR)又
はその他の増幅技術を用いて酵素的に増幅させてもよい。RNA又はcDNAも同様に
検出することができる。SdrFSdrG、又はSdrHの増加又は減少発現は、核酸分子
の定量化のためのこの技術でよく知られている方法、例えば増幅、PCR、RT-PCR
、RNAse保護、ノーザンブブロッティング、及びその他の交雑方法を用いて測定
することができる。
【0106】 SdrF、SdrG、又はSdrHタンパク質又はこれらの部分、例えばコンセンサス又は
可変配列アミノ酸モチーフ、又は抗SdrF、SdrG、又はSdr抗体のための診断検定
も、Staphylococcus epidermidis感染の存在を検出するために用いることができ
る。サンプル中におけるタンパク質又は抗体レベルを決定する検定技術は、当業
者によく知られており、これには例えばラジオイムノアッセイ、ウエスタンブロ
ット分析、及びELISA検定法のような技術が含まれる。
【0107】 IV.Sdrタンパク質又は抗体の使用 単離されているか、組換えであるか、あるいは合成タンパク質、又はこれらの
抗原部分(エピトープを有する断片を含むもの)、又はこれらの融合タンパク質
を、SdrF、SdrG、又はSdrHタンパク質又はこれらの部 分、例えばコンセンサス
又は可変配列アミノ酸モチーフと反応性のある抗体の生産のために、単独で又は
アジュバントと組合わせて、免疫原又は抗原として動物に投与することができる
。さらにはこれらのタンパク質は、超免疫患者のために、抗体又は抗血清をスク
リーンするために用いることができる。これらの患者からは、タンパク質に対し
て非常に高い親和性を有する特異的な抗体を誘導することができる。
【0108】 SdrF、SdrG、又はSdrH、又はこれらの断片、例えばコンセンサス又は可変配列
アミノ酸モチーフへの抗体は、受動免疫を与えるために用いることができ、これ
らは、コアグラーゼ陰性スタフィロコカス菌タンパク質の特異的検出、コアグラ
ーゼ陰性スタフィロコカス菌感染の予防、進行中の感染の治療、又は研究器具と
しての使用のために用いうる。ここで用いられている「抗体」という用語には、
モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、キメラ抗体、単鎖抗体、二重特異性
抗体、サルに適応させた(simianized)抗体、ヒトに適応させた抗体あるいはプリ
マタイズド(primatized)抗体、並びにFab断片が含まれ、これにはFab免疫グロブ
リン発現ライブラリーの産物が含まれる。これらの種類の抗体又は抗体断片のう
ちのいずれかの発生は、当業者によく知られている。
【0109】 モノクローナル抗体は、当業者によく知られている方法によって発生させられ
る。好ましい方法は、Kearney et al., J.Immunol. 123: 1548-1558 (1979)の方
法の修正版である。これは参照してここに組込まれる。要約すれば、例えばマウ
ス又はウサギのような動物にアジュバント中の免疫原を接種し、脾臓細胞を取り
出し、骨髄腫細胞系、例えば P3X63Ag8, 653と混合する。ポリエチレン
グリコールの添加によって、これらの細胞を、融合へと誘発させる。ヒポキサン
チン、アミノプテリン、及びチミジン(HAT)を含む選択媒質中にこれらの細胞をプ
レートして、ハイブリドーマを化学的に選択する。続いて、抗SdrF、SdrG、又は
SdrHモノクローナル抗体を生産する能力について、ハイブリドーマをスクリーン
する。ハイブリドーマ生産抗体をクローンし、膨張させ、将来の生産のために凍
結保存する。
【0110】 単鎖抗体の生産技術は当業者に知られており、米国特許第4,946,778号に記載
されており、ここに記載されているタンパク質への単鎖抗体の生産に用いること
ができる。SdrF、SdrG、又はSdrH又はナイーブライブラリーへの抗体を有するも
のについてスクリーンされたヒトからのリンパ球のPCR-増幅遺伝子から、SdrF、
SdrG、又はSdrH、又はこれらの抗原部分、例えばコンセンサス又は可変配列アミ
ノ酸モチーフに対する結合活性を有する抗体遺伝子を選択するために、ファージ
ディスプレイ技術を用いることができる。二重特異性抗体は、2つの抗原結合ド
メインを有しており、ここにおいて各ドメインは、異なるエピトープに逆らって
向けられている。
【0111】 前記抗体のどれも、コアグラーゼ陰性スタフィロコカス菌の同定及び定量化の
ために検出可能な標識で直接標識されていてもよい。イムノアッセイに用いるた
めの標識は、一般に当業者に知られており、これには酵素、ラジオアイソトープ
、及び蛍光、発光、及び染色体物質が含まれ、これには着色粒子、例えばコロイド
状金又はラテックスビーズが含まれる。適切なイムノアッセイには、酵素結合イ
ムノソルベント検定法 (ELISA)が含まれる。
【0112】 あるいはまたこの抗体は、免疫グロブリンに親和性を有する標識物質との反応
によって間接的に標識されてもよい。この抗体は、第二物質と共役されてもよく
、抗体に共役されている第二物質への親和性を有する標識第三物質で検出するこ
ともできる。例えばこの抗体はビオチンに共役されてもよく、この抗体−ビオチ
ン共役は、標識アビジン又はストレプトアビジンを用いて検出することができる
。同様にこの抗体はハプテンに共役されてもよく、この抗体−ハプテン共役は、
標識抗ハプテン抗体を用いて検出することができる。抗体を標識するこれらの方
法及びその他の方法及び共役の検定は、当業者によく知られている。
【0113】 細胞外マトリックス―結合タンパク質SdrF、SdrG、又はSdrH又はこれらの部分
、例えばコンセンサス又は可変配列アミノ酸モチーフへの抗体も、例えば親和性
クロマトグラフィーによって、追加量のタンパク質を単離するために、生産施設
又は研究所で用いることができる。例えばフィブリノーゲン結合タンパク質SdrG
への抗体は、追加量のフィブリノーゲンを単離するために用いることができる。
【0114】 タンパク質、又はこれらの活性断片、及びタンパク質への抗体は、診断方法に
関して前記されているようなコアグラーゼ陰性スタフィロコカス菌感染の治療及
び診断のために、あるいは能動又は受動免疫化のための抗コアグラーゼ陰性スタ
フィロコカス菌ワクチンの開発のために用いうる。さらには傷への製薬組成物と
して投与された時、あるいは試験管内及び生体内において医療器具又はポリマー
生体適合材料に用いられた時、これらのタンパク質及び抗体は、コアグラーゼ陰
性スタフィロコカス菌の傷部位又は生体適合材料それ自体への結合を防ぐか又は
阻害するためのブロック剤として有用である。好ましくは抗体は、これが投与さ
れる患者においてそれほど免疫原性でなくなるように修飾される。例えば患者が
ヒトである場合、この抗体は、Jones et al., Nature 321: 522-525 (1986)
又はTempest et al. Biotechnology 9: 266-273 (1991)に記載されているように
、及び前記のように、ハイブリドーマ誘導抗体の相補性決定領域を、ヒトのモノ
クローナル抗体の中へ移植することによって、「ヒトに適応させる」ことができ
る。
【0115】 ここに記載されている抗体、タンパク質、及び活性断片で被覆される医療器具
又はポリマー生体適合材料には、ステープル、縫合糸、取替え用心臓弁、心臓補
助器具、ハード及びソフトコンタクトレンズ、眼内レンズインプラント(前室又
は後室)、その他のインプラント、例えば角膜インレー、角膜プロテーゼ、血管
ステント、エピケラトファリア (epikeratophalia)装置、緑内障シャント
、網膜ステープル、強膜バックル、デンタルプロテーゼ、甲状腺形成装置(thyro
plastic devices)、喉頭形成(laryngoplastic)装置、血管移植片、ポンプを含む
がこれに限定されないソフト及びハード組織プロテーゼ、スティミュレーター及
びレコーダーを含む電気装置、聴覚プロテーゼ、ペースメーカー、人工喉頭、デン
タルインプラント、乳房インプラント、陰茎インプラント、頭蓋/顔腱、人工関
節、腱、靭帯、半月及び円板、人工骨、人工器官(人工すい臓、人工心臓、人工
四肢、及び心臓弁を含む)、ステント、ワイヤ、ガイドワイヤ、静脈内及び中央
静脈カテーテル、レーザー及びバルーン血管形成装置、血管及び心臓装置(管、
カテーテル、バルーン)、心室補助具、血管透析部品、血液酸素供給器、尿道/
尿管/尿装置(Foleyカテーテル、ステント、管、及びバルーン)、気道カテーテ
ル(気管内及び気管切開管及びカフス)、小腸供給管(鼻胃、胃内、及び空腸管
を含 む)、傷排液管、体腔例えば胸膜、腹膜、頭蓋、及び心膜腔から排液する
ために用いられる管、血液バッグ、試験管、血液収集管、バキュテイナー (
vacutainer)、注射器、針、ピペット、ピペットチップ、及び血液管系が含まれ
るが、これらに限定されるわけではない。
【0116】 ここで用いられている「被覆された」又は「被覆」という用語は、コアグラー
ゼ陰性スタフィロコカス菌感染に暴露されることがある装置の表面、好ましくは
外側表面に、タンパク質、抗体、又は活性断片を塗布することを意味すると当業
者には理解されるであろう。この装置の表面は、タンパク質、抗体、又は活性断
片によって完全に覆われる必要はない。
【0117】 V.製薬(pharmaceutical)組成物 ワクチンを含む免疫組成物、及びSdrF、SdrG、又はSdrHタンパク質又はこれら
の部分、例えばコンセンサス又は可変配列アミノ酸モチーフを含むその他の製薬
組成物は、本発明の範囲内に含まれる。SdrF、SdrG、又はSdrHタンパク質、又は
これらの活性又は抗原断片、又はこれらの融合タンパク質の1つ又はそれ以上は
、ワクチンについて当業者に知られている方法及び材料を用いて、単独で又は他
の抗原と組合わせて配合及び包装することができる。免疫応答は、治療学的又は
予防学的に用いることができ、抗体免疫又は細胞免疫、例えばTリンパ球によっ
て生産されるものを供給することができる。
【0118】 免疫組成物、例えばワクチン、及びその他の製薬組成物は、コアグラーゼ陰性
スタフィロコカス菌によって引起されるか又は悪化したヒト及び動物の感染から
保護するために、単独で又はその他のブロック剤と組合わせて用いることができ
る。特にこれらの組成物は、心内膜炎、毒性ショック症候群、骨髄炎、副睾丸炎
、蜂巣炎、又はその他の多くの感染からヒトを守るために用いることができる。
これらの組成物はまた、コアグラーゼ陰性スタフィロコカス菌によって引起され
た乳腺炎から、ヒト又は反芻動物を守ることができる。このワクチンはさらに、
その他の動物種、例えばイヌ及びウマ科の動物を、同様なコアグラーゼ陰性スタ
フィロコカス菌感染から守るために用いることができる。
【0119】 免疫原性(immunogenicity)を高めるために、たんぱく質をキャリヤ分子と共役
させてもよい。適切な免疫原性キャリヤーには、タンパク質、ポリペプチド、又
はペプチド、例えばアルブミン、ヘモシアニン、チログロブリン、及びこれらの
誘導体、特にウシ血清アルブミン(BSA)、及びカサガイ(keyhole limpet)ヘモシ
アニン(KLH)、多糖類、炭水化物、ポリマー、及び固相が含まれる。その他のタ
ンパク質誘導又は非タンパク質誘導物質も、当業者に知られている。免疫原性キ
ャリヤーは一般的には、少なくとも1,000ダルトン、好ましくは10,000ダルトンよ
りも大きい分子質量を有する。キャリヤー分子は、ハプテンへの共有結合共役を
促進するために反応基を含んでいることが多い。カルボン酸基又はアミノ酸のア
ミノ基又は糖タンパク質の糖基もこのようにして用いられることが多い。このよ
うな基を欠いているキャリヤーは、これらを生産するために、多くの場合適切な
化学物質と反応させることができる。好ましくは、免疫応答は、免疫原が動物、
例えばマウス、ウサギ、ラット、ヤギ、羊、モルモット、ニワトリ、及びその他の
動物、最も好ましくはマウス及びウサギに注入された時に生じる。あるいはまた
、多コピーのタンパク質又はポリペプチドを含む多抗原ペプチド、又は抗原的又
は免疫学的に同等のポリペプチドは、キャリヤーを用いずに免疫原性を改良する
のに十分なほど抗原性のものであってもよい。
【0120】 SdrF、SdrG、又はSdrHタンパク質又はこれらの部分、例えばコンセンサス又は
可変配列アミノ酸モチーフ、又はタンパク質の組合わせを、共役体に対しての免
疫原性応答を強化するのに有効な量でアジュバントと共に投与してもよい。この
時、ヒトに広く用いられる唯一のアジュバントは、ミョウバン(リン酸アルミニ
ウム又は水酸化アルミニウム)であった。サポニン及びその精製成分Quil A、完
全フロイントアジュバント及び研究及び獣医用に用いられるその他のアジュバン
トは、ヒトワクチンにおけるこれらの潜在的使用を制限する毒性を有する。しか
しながら化学的に規定された調製物、例えばムラミルジペプチド、モノホスホリ
ル脂質A、リン脂質共役体、例えばGoodman-Snitkoff et al. J.Immun
ol. 147: 410-415 (1991)に記載され、かつ参照してここに組込まれているもの
、Miller et al., J.Exp. Med. 176: 1739-1744 (1992)に記載され、かつ参照し
てここに組込まれているプロテオリポソームの中へのこの共役体のカプセル化、
及び例えばNovasome(登録商標)脂質小胞(Micro Vescular Systems, Inc., Nas
hua, NH)のような脂質小胞へのタンパク質のカプセル化も同様に有用である。
【0121】 ここで用いられている「ワクチン」という用語は、製薬組成物における、SdrF
、SdrG、又はSdrH又はこれらの抗原部分、例えばあらゆるコンセンサス又は可変
配列アミノ酸モチーフをエンコードする核酸分子が患者に投与されるDNAワクチ
ンを含んでいる。遺伝子免疫化のために、当業者に知られている適切な送り出し
(delivery)方法には、プラスミドDNAの筋肉への直接注射(Wolff et al., Hum. M
ol. Genet. 1:363, 1992)、特異的タンパク質キャリヤーと錯化されたDNAの送り
出し(Wu et al., J.Biol. Chem. 264: 16985, 1989)、DNAとリン酸カルシウム
との共沈 (Benvenisty and Reshef, Proc.Natl. Acad. Sci. 83: 9551, 1986)
、 DNAのリポソームへのカプセル化(Kaneda et al., Science 243: 375, 198
9)、粒子衝撃(Tang et al., Nature 356: 152, 1992及びEisenbraun et al., DN
A Cell Biol. 12:791, 1993)、及びクローンされたレトロウイルスベクターを用
いた生体内感染(Seeger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. 81: 5849, 1984)が含
まれる。
【0122】 別の実施態様において、本発明は、ポリヌクレオチドを生体内で真核組織の中
に導入した時に、遺伝子産物を生産するために発現されうる隣接核酸配列を含む
ポリヌクレオチドである。エンコードされた遺伝子産物は、好ましくは免疫活性
化剤として、あるいは免疫応答を発生させうる抗原として作用する。このように
してこの実施態様における核酸配列は、免疫原性エピトープ、場合によってはサ
イトカイン、又はT細胞共刺激性要素、例えばタンパク質のB族の一員をエンコ
ードする。
【0123】 その遺伝子産物よりはむしろ遺伝子での免疫化にいくつかの利点がある。第一
の利点は相対的単純性であり、この単純性を伴って、天然の (native)又はほ
ぼ天然の抗原が、免疫系に対して提示されうる。細菌、酵母、又は哺乳類細胞に
おいてでさえ組換え的に発現される哺乳類タンパク質は、適切な抗原性を確保す
るためには広範囲な処理を必要とすることが多い。DNA免疫化の第二の利点は、
免疫原がMHC綱I経路に入り、細胞毒性T細胞応答を引起す可能性である。イン
フルエンザAヌクレオタンパク質(NP)をエンコードするDNAでのマウスの免疫化
は、NPへの CD8+応答を顕在化させたが、これはインフルエンザの異型株での
攻撃 (challenge)からマウスを守った(Montgomery, D.L. et al., Cell Mol
Biol, 43(3): 285-92, 1997及びUlmer, J. et al., Vaccine, 15(8): 792-79
4, 1997)。
【0124】 細胞仲介免疫は、感染を制御する上で重要である。DNA免疫化は、体液及び細
胞仲介免疫応答のどちらをも引起すことができるので、その最大の利点は、これ
がこれらのワクチン可能性について多数のS.epidermidisを調査するのに比較的
単純な方法を提供するということであろう。
【0125】 VI.製薬組成物の投与方法及び投薬量 SdrF、SdrG、又はSdrHタンパク質又はこれらの部分、例えばコンセンサス又は
可変配列アミノ酸モチーフ、核酸分子、抗体、又はこれらの断片を含む製薬組成
物は、製薬キャリヤー、例えば塩水、デキストロース、水、グリセロール、エタノ
ール、その他の治療用化合物、及びこれらの組合わせと組合わせて配合すること
ができる。この配合物は、投与方法に適切なものであるべきである。これらの組
成物は、コアグラーゼ陰性スタフィロコカス菌と宿主細胞上のフィブリノーゲン
との間の結合相互作用を妨げるか、調節するか、あるいは阻害するのに有用であ
る。
【0126】 ワクチン受容体に導入される発現性DNA又は転写RNAの量は、非常に幅広い投薬
量範囲を有し、用いられる転写及び翻訳プロモーターの強度に依るであろう。さ
らには免疫応答の規模は、タンパク質発現のレベル、及び発現された遺伝子産物の
免疫原性に依るであろう。一般に約1ng〜5mg、100ng〜2.5mg、1μg〜750μg
、好ましくは約10μg〜300μgの効果的用量範囲のDNAを、直接筋肉組織の中に投
与する。皮下注射、皮内導入、皮膚を通る圧痕、及びその他の投与方法、たとえ
ば腹腔内、静脈内、吸入送り出しも適切である。同様にブースターワクチン投与
も提供しうると考えられる。ポリヌクレオチド免疫原でのワクチン投与に続いて
、タンパク質免疫原、例えばSdrH遺伝子産物でのブースティングも考えられる。
【0127】 このポリヌクレオチドは、「裸」であってもよい。すなわち、受容体の免疫系
に影響を与えるタンパク質、アジュバント、又はその他の薬剤と組み合わされて
いなくてもよい。この場合、このポリヌクレオチドは、生理学的に許容しうる溶
液、例えば滅菌塩水又は滅菌緩衝塩水中にあるのが望ましいが、これらに限定さ
れるわけではない。あるいはまたこの DNAはリポソーム、例えばレシチンリポソ
ーム、又はこの技術で知られているその他のリポソーム、例えばDNA−リポソー
ム混合物と組み合わされてもよく、あるいはこのDNAは、免疫応答を増幅させる
ためにこの技術で知られているアジュバント、例えばタンパク質又はその他のキ
ャリヤーと組み合わされてもよい。DNAの細胞取り込みを補助する薬剤、例えば
カルシウムイオンも用いることができるが、これに限定されるわけではない。こ
れらの薬剤は一般にここでは、トランスフェクション促進試薬及び製薬的に許容
しうるキャリヤーと呼ばれる。ポリヌクレオチドで被覆されたマイクロプロジェ
クティル(microprojectiles)を被覆する技術はこの技術で知られており、この発
明に関しても用いることができる。ヒトへの使用のためと意図されているDNAに
ついては、製薬的に許容しうるキャリヤー又は緩衝溶液に最終DNA産物を有する
ことが有用であろう。製薬的に許容しうるキャリヤー又は緩衝溶液は、この技術
で知られており、これには、多様なテキスト、例えばRemington's Pharmaceutical Sciencesに記載されているものが含まれる。
【0128】 DNAワクチン投与療法に最適な投薬スケジュールは、短ければ2〜4週間の間
隔から、長ければ5〜10年の間隔をあけて、時にはこれより長くさえある間隔を
あけて投与される免疫化物質を、多ければ5〜6回、好ましくは3〜5回、さら
により好ましくは1〜3回の投与を含んでいてもよいことは、当業者によって認
められている。
【0129】 この出願に開示されているあらゆる製薬組成物の適切な投与方法に は、局所
的、経口、肛門、膣、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、鼻腔内、及び皮内投与が含
まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0130】 局所投与のためには、この組成物は、軟膏、クリーム、ジェル、ローション、
滴剤(例えば眼の滴剤及び耳の滴剤)、又は溶液(例えばマウスウオッシュ)の
形態で配合される。傷又は外科外傷用医薬材料、縫合糸、及びエーロゾルに、こ
の組成物を含浸してもよい。この組成物は、通常の添加剤、例えば保存料、浸透
を促進する溶媒、及びエモリエントを含んでいてもよい。局所配合物はまた、通
常のキャリヤー、例えばクリーム又は軟膏ベース、エタノール、又はオレイルア
ルコールを含んでいてもよい。
【0131】 好ましい実施態様において、ワクチンは、非経口(すなわち筋肉内、皮内、又
は皮下)投与又は鼻咽腔(すなわち鼻腔内)投与による免疫化のために単一投薬
量として包装される。このワクチンは、最も好ましくは三角筋へ筋肉内注射され
る。このワクチンは、好ましくは投与を容易にするために、製薬的に許容しうる
キャリヤーと組み合わされる。このキャリヤーは通常、保存料を含むか又は含ま
ない水又は緩衝塩水であ る。このワクチンは、投与の時の再懸濁のために凍結
乾燥されてもよく、あるいは溶液状であってもよい。
【0132】 タンパク質のマイクロカプセル化は、制御された放出を与える。いくつかの要
因が、マイクロカプセル化のための特定のポリマーを選ぶのに役立つ。ポリマー
合成の再現性及びマイクロカプセル化方法、マイクロカプセル化材料及び方法の
費用、毒物学的プロフィール、可変性放出動力学に対する必要条件、及びポリマ
ーと抗原との物理化学的適合性はすべて、考慮しなければならない要因である。
有用なポリマーの例は、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ
オルトエステル、ポリアミド、ポリ(D,L-ラクチド―コ―グリコリド)(PLGA)、及
びその他の生物分解性ポリマーである。抗原の制御された放出のためのPLGAの使
用は、Eldridge e al., CURRENT TOPICS IN MICROBIOLOGY AND IMMUNOL
OGY, 146: 59-66 (1989)によって精密に調べられている。
【0133】 ヒトへの投与に好ましい用量は、0.01mg/kg〜10mg/kg、好ましくは約 1mg/kg
である。この範囲をベースとして、より重い体重に対して同等の投薬量を決定す
ることができる。この用量は、この組成物が投与される個人に合うように調節す
べきであり、年齢、体重、及び個人の代謝と共に様々に変わる。このワクチンは
さらに、安定化剤又は製薬的に許容しうる保存料、例えばチメロサル(エチル(
2−メルカプトベンゾエート−S)水銀ナトリウム塩)(Sigma Chemical Compan
y, St.Lous, MO)を含んでいてもよい。
【0134】 VII.タンパク質標識共役体 検出可能な生物分子又は化学物質で標識された時、ここに記載されているフィ
ブリノーゲン結合タンパク質は、ブドウ球菌感染の生体内及び試験管内診断又は
コアグラーゼ陰性スタフィロコカス菌の検出のような目的に有用である。研究所
の研究はまた、このようなSdrタンパク質標識共役体の使用によって容易にする
ことができる。様々な種類の標識、及びタンパク質にこれらの標識を共役する方
法は、当業者によく知られている。いくつかの特異的標識は次に示されている。
これらの標識は、タンパク質例えば抗体又は受容体に共役された時に、特に有用
である。
【0135】 例えばタンパク質は、ラジオ標識、例えば32P、3H、14C、35S、125I、又は131 Iに共役されてもよいが、これらに限定されるわけではない。標識の検出は、例
えばシンチレーション計数、ガンマ線分光測定法、又はオートラジオグラフィー
のような方法によってもよい。
【0136】 生物発光標識、蛍ルシフェリンの誘導体も用いうる。生物発光物質 は、通常
の方法によってタンパク質に共有結合的に結合され、標識されたタンパク質は、
酵素、例えばルシフェラーゼがATPとの反応を触媒し、生物発光性分子に光の
光子を発光させる時に検出される。
【0137】 フルオロゲンもまた、タンパク質を標識するのに用いることができ る。フル
オロゲンの例には、フルオレセイン及び誘導体、フィコエリトリン、アロ―フィ
コシアニン、フィコシアニン、ローダミン、及びテキサスレッドが含まれる。フ
ルオロゲンは一般に、蛍光検出器によって検出される。
【0138】 あるいはまたタンパク質は、酵素又は親和性標識を生じるためにクロモゲンで
標識することもできる。例えばタンパク質は、ビオチン−アビジン反応に用いう
るように、ビオチニル化されてもよい。これはまた、標識例えば酵素又はフルオ
ロゲンと組み合わされてもよい。例えばタンパク質は、ペルオキシダーゼ、アル
カリホスファターゼ、又は基質を添加した時にクロモゲン又はフルオロゲン反応
を生じるその他の酵素で標識されてもよい。添加剤、例えば5−アミノ−2,3
−ヒジヒドロ− 1,4−フタラジンジオン(ルミノールとしても知られている
)(Sigma Chemical Company,St.Louis,MO)、及び速度エンハンサー(rate
enhancer)、例えばp−ヒドロキシビフェニル(p−フェニルフェノールとし
ても知られているもの)(Sigma Chemical Company,St.Louis, MO) は、発光反応
を通じて例えばワサビペルオキシダーゼのような酵素を増幅するために用いるこ
とができる;また酵素基質のルミノゲン又はフルオロゲンジオキセタン誘導体も
用いることができる。このような標識 は、酵素結合イムノアッセイ(ELISA)
を用いて、あるいは分光光度計を用いて色の変化を検出することによって検出す
ることができる。さらにはタンパク質は、当業者によく知られている方法に従っ
て、免疫電子顕微鏡に使用するためのコロイド金で標識することもできる。
【0139】 細胞におけるリガンドの位置は、前記のように抗体を標識し、当業者によく知
られている方法、例えばWarren及びNelson(Mol. Cell. Biol., 7: 1326-1
337, 1987)によって記載されているもののような手順を用いた免疫蛍光顕微鏡
法に従って標識を検出することによって決定することができる。
【0140】 VIII.治療用の用途 治療用組成物及び前記方法に加えて、SdrF、SdrG、又はSdrHタンパク質又はこ
れらの部分、例えばコンセンサス又は可変配列アミノ酸モチーフ、核酸分子、又
は抗体は、病原と、感染の原因である哺乳類宿主との間の当初の物理的相互作用
、例えば体内留置装置上の哺乳類細胞外マトリックスタンパク質への、又は傷に
おける細胞外マトリックスタンパク質への、細菌特にグラム陰性細菌の付着を妨
害するため;SdrF、SdrG、又はSdrHタンパク質仲介哺乳類細胞の侵襲を妨げるた
め;哺乳類細胞外マトリックスタンパク質と、組織損傷を仲介する細菌SdrF、Sd
rG、又はSdrHタンパク質又はこれらの部分、例えばコンセンサス又は可変配列ア
ミノ酸モチーフとの間の細菌付着を妨げるため;及び体内留置装置又は外科技術
のインプラントによるもの以外によって開始された感染における病原の正常な進
行を妨げるために用いうる。
【0141】 IX.スクリーニング方法 SdrF、SdrG、又はSdrHタンパク質又はこれらの断片、例えばコンセンサス又は
可変配列アミノ酸モチーフは、宿主分子へのコアグラーゼ陰性スタフィロコカス
菌結合を阻害する化合物を同定するために、化合物をスクリーンするための方法
において有用である。本方法によれば、当該化合物(compound of interet)は、S
drF、SdrG、又はSdrHタンパク質又はこれらの断片のうちの1つ又はそれ以上と
組み合わされ、フィブリノーゲン又はその他の細胞外マトリックスタンパク質へ
のタンパク質の結合程度が測定されるか又は観察される。この化合物の存在が、
例えばタンパク質―フィブリノーゲン結合の阻害を結果として生じるならば、そ
の場合にはこの化合物は、生体内又は試験管内でコアグラーゼ陰性スタフィロコ
カス菌を阻害するのに有用であろう。この方法は同様に、コアグラーゼ陰性スタ
フィロコカス菌と宿主分子との相互作用を促進する化合物を同定するのにも用い
うるであろう。
【0142】 この方法は、静菌又は殺菌特性を有する化合物を同定するのに特に有用である
【0143】 例えばコアグラーゼ陰性スタフィロコカス菌アゴニスト又はアンタゴニストに
ついてスクリーンするために、合成反応混合物、SdrF、SdrG、又はSdrHタンパク
質又はこれらの断片、例えばコンセンサス又は可変配列アミノ酸モチーフの1つ
又はそれ以上を含む細胞区画(例えば膜、細胞エンベロープ、又は細胞壁)、及
びこのタンパク質の標識基質又はリガンドを、研究中の化合物の不存在下又は存
在下にインキュベートする。この化合物がタンパク質をアゴナイズ又はアンタゴ
ナイズする能力は、標識リガンドの結合における減少又は基質産物の生産の減少
によって示される。良好に結合し、かつ基質からの産物形成率を増加させる化合
物は、アゴニストである。基質からの産物の生産率又はレベルの検出は、リポー
ター系、例えば産物に転換された比色標識基質、SdrF、SdrG、又はSdrH核酸又は
タンパク質活性における変化に反応するリポーター遺伝子、及び当業者に知られ
ている結合検定法の使用によって向上させることができる。競合阻害検定法も用
いることができる。
【0144】 潜在的アンタゴニストには、SdrF、SdrG、又はSdrH核酸分子又はタンパク質又
はこれらの部分、例えばコンセンサス又は可変配列アミノ酸モチーフに結合し、
これによってこれらの活性を阻害するか、あるいは結合分子(例えばフィブリノ
ーゲン)に結合して、SdrF、SdrG、又はSdrH核酸分子又はタンパク質のそのリガ
ンドへの結合を防ぐ小さい有機分 子、ペプチド、ポリペプチド、及び抗体が含
まれる。例えばSdrF、 SdrG、又はSdrH活性を阻害する化合物は、SdrF、Sdr
G、又はSdrHタンパク質の結合部位に結合してここを占領し、これによって細胞
結合分子への結合を妨害して、正常な生物学的活性を妨げる小さい分子であるこ
とがある。小さい分子の例には、小さい有機分子、ペプチド、又はペプチド様分
子が含まれるが、これらに限定されるわけではない。その他の潜在的アンタゴニ
ストには、アンチセンス分子が含まれる。好ましいアンタゴニストには、SdrF、
SdrG、又はSdrHタンパク質又はこれらの部 分、例えばコンセンサス又は可変配
列アミノ酸モチーフに関連した化合物及び変異型又は誘導体が含まれる。
【0145】 ここに記載されている核酸分子もまた、抗菌活性について化合物をスクリーン
するために用いることができる。
【0146】 X.コアグラーゼ陰性スタフィロコカス菌用検出キット 本発明はさらに、サンプル中のコアグラーゼ陰性スタフィロコカス菌又はコア
グラーゼ陰性スタフィロコカス菌Sdrタンパク質又はこれらの部分、例えばコン
センサス又は可変配列アミノ酸モチーフの検出、又はコアグラーゼ陰性スタフィ
ロコカス菌感染の診断のために用いることができる、1つ又はそれ以上のSdrF SdrG 、又はSdrH―特異的核酸プローブを含むキットについて考察する。このよう
なキットはまた、このプローブをサンプルに交雑するのに適した試薬及び検出用
プローブ (detecting bound probe)を含んでいてもよい。
【0147】 もう1つの実施態様において、このキットは、コアグラーゼ陰性スタフィロコ
カス菌の検出に用いることができる、1つ又はそれ以上の SdrF、SdrG、又
はSdrHタンパク質又はこれらのペプチド部分、例えばコンセンサス又は可変配列
アミノ酸モチーフに特異的な抗体を含んでい る。
【0148】 さらにもう1つの実施態様において、このキットは、サンプル中のコアグラー
ゼ陰性スタフィロコカス菌微生物又はコアグラーゼ陰性スタフィロコカス菌Sdr
タンパク質への抗体の検出に用いうる、1つ又はそれ以上のSdrF、SdrG、又はSd
rHタンパク質又はこれらの活性断片を含んでいる。
【0149】 ここに記載されているキットは、さらにはサンプルを安全に得るための装置、
試薬を入れるための容器、計時手段、サンプルを希釈するための緩衝液、及び比
色計、反射計、これと比較して色の変化を測定することができる標準を含んでい
てもよい。
【0150】 好ましい実施態様において、タンパク質又は抗体を含む試薬は、最も好ましく
は単一の容器において凍結乾燥される。水性サンプルの容器への添加の結果、凍
結乾燥された試薬の可溶化が生じ、これらを反応させる。最も好ましくはこれら
の試薬は、サンプルの添加前に試薬によって反応を最小限にする、当業者によく
知られた方法に従って、単一容器において連続的に凍結乾燥される。
【0151】 (実施例) 下記実施例は、本発明の好ましい実施態様を証明するために含まれている。下
記実施例に開示されている技術は、本発明の実施において良好に機能すると本発
明者らによって発見された技術を表わしており、従ってその実施のための好まし
い方法を構成すると考える考えることができると当業者は理解するであろう。し
かしながら当業者なら、本発明の開示を読めば、開示されている特定の実施例に
多くの変更をなすことができ、それでもなお本発明の精神及び範囲から逸脱する
ことなく、同様な又は類似の結果を得ることができることが分かるであろう。
【0152】 実施例1 コアグラーゼ陰性スタフィロコカス菌におけるSdrエンコーディング遺伝子の
同定 5つの遺伝子(clfAclfBSdrCSdrDSdrE)がStaphylococcus aureus
において同定された。これらは、18bp反復モチーフGAY TCN GAY TCN GAY AGY(
ここにおいてY=ピリミジンであり、N=あらゆる塩基である)によってエンコ
ードされた、ジペプチドアスパラギン酸及びセリン(DS)を含んでいる。このタン
パク質族は、セリン−アスパラギン酸反復のためにSdrと名づけられている。5
つのS.aureus Sdr遺伝子のすべてが、グラム陽性菌における表面会合タンパク質
としてこれらを特徴付ける特徴を含んでいるタンパク質をエンコードする。すな
わち、N−末端には、分泌シグナルがあり、C−末端には、(i)タンパク質分泌
のための停止シグナルとして働くいくつかの陽電荷残渣、(ii)疎水貫膜領域、及
び(iii)精密な選別及び細胞壁内の正しいタンパク質配向に必要とされるLPXTGモ
チーフを備えた壁にまたがる(wall-spanning)領域がある。コアグラーゼ陰性ス
タフィロコカス菌における細胞表面タンパク質をエンコードする新規遺伝子を同
定するために、本発明者らは、様々なコアグラーゼ陰性スタフィロコカス菌種の
中に相同体が存在するかどうかを決定するための遺伝子プローブとして、clfA
DSコーディング領域を用いた。本発明者らが特徴決定したコアグラーゼ陰性スタ
フィロコカス菌種は、(1)S.lugdunensis、(2)S.haemolyticus、(3)S.s
chleiferi、及び(4)S.epidermidisであった。各々の株を下記リストに挙げる
【0153】 S.epidermidisS.lugdunensisS.schleiferi、及びS.haemolyticusの株は各
々、Jerome Etienne(フランス国リヨン)から入手した。さらにはDr.Timothy Fos
terの株コレクションは、他の研究者から寄贈された S.epidermidis株を含んで
いた。すべてのコアグラーゼ陰性スタフィロコカス菌株から単離されたゲノムDN
Aを用いたサザン交雑分析を実施し た。染色体DNAをHindIIIで切断し、clfAのD
Sコーディング領域を DIG-標識(Boehringer)し、プローブとして用いた。1
0個の S.lugdunensis株すべてのサザン交雑分析によって、9kbの単
一の HindIII断片は、clfAのDSコーディング領域に交雑したことが明らかに
なった。clfAのDSコーディング配列でのS.haemolyticus株の分析によって、異な
るサイズの断片が明らかになったた。テストされた10株のうち、6株が、18kb
と10kbとの間の強力に交雑する帯を生じた。1つ以上のDSコーディング領域が
HindIII断片上に存在する可能性があ る。オートラジオグラムの長い暴露の
後、残りの4株は、clfAのDSコーディング領域への弱い交雑を示した。clfAプロ
ーブは、S.schleiferiからのゲノムDNAにおいてDSコーディング領域を検出しな
かった。特徴決定されたすべてのS.epidermidis株は、clfAのDSコーディング領
域に交雑した少なくとも2つのHindIII断片を明らかにした。
【0154】 テストされた株: S.lugdunensis株 S.epidermidis株 S.haemolyticus株 S.schleiferi株
【0155】 他のS.epidermidis株におけるSdrF相同体 S.epidermidisの17株について、サザン交雑によるSdrF遺伝子の存在を調べた
。個々の株の染色体DNAを、HindIIIで切断し、プローブとしてのSdrFの領域Aコ
ーディング配列でプローブした。このDNAプローブ は、pC5(以下の実施例2に
さらに記載されている)を鋳型として用いるPCRによってDIG-標識された。SdrF
遺伝子は、4〜10kbの様々な HindIII断片上に存在し、テストされた16株の
うち12個に存在した。 clfAの領域Rコーディング配列をプローブとして用いた
場合にも、同じサイズの帯が同定され、これは、他のS.epidermidis株におけるS
drF相同体も、領域Rコーディング配列を含んでいることを示している。
【0156】 他のS.epidermidis株におけるSdrG相同体 S.epidermidisの16株について、SdrGの領域Aコーディング配列のために設
計されたプローブを用いてSdrG遺伝子の存在をテストした。サザン交雑分析によ
って、SdrGは、16kbHindIII断片上に存在し、調べられたすべてのS.epidermidis
株に存在することが明らかになった。SdrGの領域Aコーディング配列の増幅に用
いられたプライマー配列は次のとおりである: Fl-sdrG: 5'GATGATGAATTATCAGAC3' R.-sdrG: 5'CAGGAGGCAAGTCACCTTG3' (SdrGの同調体(coordinates)195〜1795を包含する)
【0157】 S.epidermidis株におけるDSコーディング領域相同体 染色体DNAを、HindIIIで切断し、clfAのDSコーディング領域をDIG標識(Boehri
nger)し、プローブを用いた。サザン交雑分析によって、 clfAのDSコーディン
グ領域に交雑する少なくとも2つのHindIII断片が明らかになった。10株が3つ
HindIII断片に交雑した。
【0158】 実施例2 コアグラーゼ陰性スタフィロコカス菌におけるSdr遺伝子の研究、及びSdrF、S
drG、及びSdrHの同定、単離、配列決定、及び発現 概論 Staphylococcus epidermidis株は、セリン−アスパラギン酸のジペプチド反復
を含む3つの異なる細胞表面結合タンパク質を発現し得る。 SdrFおよびSdrG
のタンパク質は、配列および構造的構成がS.aureusのSdrタンパク質と類似して
いる。それらは、そのN末端部に、それぞれ、625残基および548残基の特徴的な
領域Aを含み、その後に様々な数の 110残基〜119残基の領域B反復、SD反復領
域、そしてペプチドグリカンに共有結合的に固定される表面タンパク質に特徴的
なC末端部のLPXTGモチーフおよび疎水性ドメインを含む。これに対して、SdrH
は、短い60残基の領域AをN末端部に有し、その後に、SD反復領域、特徴的な27
7残基の領域C、およびC末端部の疎水性ドメインを有する。SdrHは LPXTG
モチーフを有していない。SdrF、SdrGおよびSdrHのそれぞれの領域Aをコードす
るDNAが大腸菌の発現ベクターにクローニングされ、組換えタンパク質の発現お
よび精製が行われた。特異的な抗血清をウサギで惹起させ、S.edidermidisが発
現するSdrタンパク質を同定するために使用した。SdrFのみが、リソスタフィン
で作製された、後期対数期まで増殖させた細胞のプロトプラストから放出された
。SdrGおよびSdrHはプロトプラスト画分に結合したままであり、従って分類され
ず、ペプチドグリカンに関連づけられなかった。サザンハイブリダイゼーション
分析において、SdrG遺伝子およびSdrH遺伝子は調べた16株のすべてに存在してい
たが、SdrFは12株に存在していた。S.edidermidis感染症から回復した15名の患
者の抗血清には、SdrF、SdrGおよびSdrHの組換え領域Aと反応する抗体が含まれ
ていた。このことは、これらのタンパク質が感染時に発現していることを示唆し
ている。
【0159】 背景 S.edidermidisは、ヒト皮膚の一般的な常在菌であり、しばしば異物感染症の
原因である。発病は、人工弁、整形外科デバイスならびに静脈内および腹腔透析
カテーテルなどの医療デバイスに最初に付着し、その 後、その表面に生物膜を
形成して、それに住み着く生物の能力によって促進される。デバイスに関連する
感染症は医学的処置の成功を危うく し、患者の死亡率を著しく増大させる(11)
【0160】 合成表面に対するS.edidermidisの付着は、表面の疎水性および細胞表面タン
パク質の両方と相関している(2、13)。S.edidermidisのプロテアーゼ処理は疎
水性および付着性を低下させることが示されている(24)。そして、S.edidermidis
の220kDaの細胞表面タンパク質に反応し得るモノクローナル抗体は、ポリスチレ
ンに対する細菌の接着を部分的に阻止することができた(30)。icaオペロンによ
り発現される多糖類は生物膜形成において極めて重要である。あるグループによ
り、多糖類の付着因子 (PS/A)が、生物膜形成の蓄積期に関連する付着および細
胞−細胞相互作用の両方に十分であることが示唆された。別の見解は、付着性は
、表面結合タンパク質によって媒介され、多糖類は蓄積期に関与するだけである
というものである(5、12、19)。
【0161】 S.edidermidisのように、S.aureusもまた、医療インプラントデバイスに付着
し得るが、この結合は、生体材料表面が移植直後に覆われる宿主のフィブリノー
ゲンおよびフィブロネクチンに特異的な細菌レセプターによって主に媒介されて
いる。これらの相互作用を媒介するS.aureusの付着因子には、フィブリノーゲン
結合タンパク質であるClfAおよび ClfB、ならびにフィブロネクチン結合タンパ
ク質であるFnbpAおよび FnbpBが含まれる[(3)に総説される]。S.ediderm
idisは、フィブリノーゲン、フィブロネクチン、ビトロネクチンおよびラミニン
と相互作用する能力を有する(6、25、29)が、これらの相互作用を媒介する特異
的な付着因子について、あるいは、これらの相互作用が、宿主のタンパク質で覆
われた生体材料に対する細菌の付着性にどのように影響しているかについてはほ
とんど知られていない。
【0162】 S.aureusのフィブリノーゲン結合凝集因子タンパク質(またはClfA)(図1A
)はリガンド結合領域AとC末端配列との間に位置し、細胞壁に対する結合を伴
うセリン−アスパラギン酸(SD)のジペプチド反復領域(これは以前の研究では領
域Rと呼ばれている)が存在することによって区別される(16、17)。SD反復領域
は細胞壁にまたがり、リガンド結合領域を細菌表面から広げていることが推定さ
れている(4)。ClfAは、 S.aureusで見出されたSD反復(Sdr)タンパク質フ
ァミリーの以前に使用されていたものである。さらなるメンバーには、ClfB(別
のフィブリノーゲン結合凝集因子)、SdrC、SdrDおよびSdrEが含まれる(図
5 A)(8、21)。SdrC、SdrDおよびSdrEのタンパク質は、領域AとSD反復と
の間に位置する領域B反復と名付けられたさらなる反復を含む。B反復はそれぞ
れ、長さが110アミノ酸〜113アミノ酸であり、推定的な Ca2+結合EFハンドモ
チーフを含む。Ca結合性は領域B反復の構造的一体性に必要であることが示され
ている(9)。SdrC、SdrDおよびSdrEの機能は不明であるが、これらのタンパク
質は、その領域Aを介して宿主のマトリックス分子と相互作用することが仮定さ
れている。
【0163】 本実施例では、S.edidermidisによって発現される3つのSdrタンパク質が記載
される。2つはS.aureusのSdrタンパク質に対して配列類似性を有し、そしてそ
れらと同じ構造的構成を有しているが、SdrHは異なっている。これらのタンパク
質をコードする遺伝子は、S.edidermidisの様々な株に広く存在している。それ
ぞれのSdr領域Aに反応し得る抗体が回復期患者の抗血清に存在することは、こ
れらのタンパク質が感染時に発現していることを示唆している。
【0164】 材料および方法 細菌株および増殖条件 大腸菌XL-1 BlueまたはJM109を組換え宿主株として使用した。XL-1 Blue株ま
たはTOPP3株(Stratagene、La Jolla、CA)の細胞をタンパク質発現に使用した。細
菌は、100μgml-1のアンピシリン(USB、Cleveland、OH)を補充したLuriaブロスま
たはLuria寒天(Gibco BRL、 Gaithersburg、 MD)で日常的に増殖させた。S.epider
midis株(表2)はトリプシン消化ダイズブロス(TSB)またはトリプシン消化ダイ
ズ寒天(TSA)(Difco、 Detroit、 MI)で増殖させた。
【0165】 Sdr遺伝子のクローニングおよび配列決定 SdrF遺伝子をS.epidermidis株9491からクローニングした。長さが 6.5kb〜7.
5kbの範囲にあるHindIII消化DNAフラグメントをアガロースゲルから単離し、そ
してHindIIIで消化して、仔ウシ小腸アルカリホスファターゼ(CIAP)(Promega、Ma
dison、WI)で処理したpBluescriptSK+クローニングベクター(Stratagene)に連結
した。1つの組換えプラスミドpC5を、ClfAのSD反復領域をコードするDNAに対す
るプライマー(P3プライマーおよびP4プライマー、表4)を用いたPCRスク
リーニング(27)により同定した。
【0166】 SdrG遺伝子を、Sau3Aで部分消化して、λGem(登録商標)−11 (Promega
)の半サイトXhoIアームに連結したDNAを用いて作製した S.epidermidis株K-
28のλGem(登録商標)−11ライブラリーからクローニングした。パッケージン
グ後、E6−2と名付けられた陽性ファージを、ClfAのSD反復領域を表すDNAプ
ローブのハイブリダイゼーションによって同定した。その後、E6-2から得られる
SacI-KpnI消化DNAフラグメントを大腸菌プラスミドベクターpZero(Invitrogen、C
arlsbad、CA)にサブクローニングした。次いで、このクローンを制限エンドヌク
レアーゼでマッピングし、SD反復アミノ酸配列をコードするDNAに対する相同性
を有するDNAを含む3.5kbのEcoRI-KpnIフラグメントをpUC18 (Amersham Ph
armacia Biotech、Piscataway、NJ)にサブクローニングし て、pE6-2を作製した
【0167】 SdrH遺伝子を下記のようにしてクローニングした。S.epidermidis株 9491のゲ
ノムDNAから得られたHindIIIフラグメントを5〜20%スクロースグラジェントで
分画した。1.5kb〜2.5kbのフラグメントを含む画分のDNAを、HindIIIで消化し
、かつCIAP(Promega)で脱リン酸化した pBluescriptに連結した。連結産物を含
む大腸菌の形質転換体を、ClfAのSD反復領域をコードするDNAに対して作製され
たDIG標識 (Boehringer Mannheim、Indianapolis、IN)プローブを用いた
コロニーブロットハイブリダイゼーションによってスクリーニングした。
【0168】 自動化されたジデオキシDNA配列決定を、クローニングされたDNAの両方の鎖に
対して行った。ほとんどの場合、所与クローンでのDNA配列の伸長はプライマー
ウォーキングにより得られた。しかし、この方法では、SdrFのSD反復をコードす
る反復DNAの全長を含むことができない。従って、この領域のDNAをpC5からSau3A
で切り出し、pBluescriptに連結して、エキソヌクレアーゼ欠失誘導体を構築す
るためのテンプレートとして使用した(Erase-a-base System、Promega)。両方の
鎖の適切な欠失体(示さず)をPCRスクリーニングおよび制限マッピングによっ
て同定した。
【0169】
【表2】 本研究で使用されたS.epidermidis株
【表3】 DNAプローブ用のPCR増幅およびタンパク質発現構築物において使用されたプライ
マー na:適用されず 下線部:クローニングに使用された制限エンドヌクレアーゼ部位
【0170】 サザンハイブリダイゼーション サザンブロット転写およびハイブリダイゼーションは他のところに記載されて
いる(8)。DNAプローブを、ClfAのSD反復領域、または SdrF、SdrGおよび
SdrHのそれぞれの領域AをコードするPCR産物から作製した(表3)。PCR産物を
、Taq DNAポリメラーゼ(Gibco BRL)を用いて作製し、プローブをジゴキシゲニン
(Boehringer Mannheim)またはフルオレセイン(Amersham)で標識した。
【0171】 抗血清産生に必要なタンパク質の発現および精製 SdrF、SdrGまたはSdrHの領域AをコードするDNAを、S.epidermidis株9491また
は株K28から得られたゲノムテンプレートDNAを適切なプライマー(表3)でPCR
増幅することによって得た。SdrFの領域Aの構築物は末端残基のプロリンを有し
ていなかった。PCRにはPfu DNAポリメラーゼ(Stratagene)を用いた。その細部は
以前に記載されている(7)。PCR産物を適切な制限エンドヌクレアーゼで消化して
、ヒスチジン標識タンパク質を得るための発現ベクターpQE30(Qiagen、 Valencia
、CA)に、あるいはGST標識タンパク質を得るための発現ベクターpGEX-2T(Pharmac
ia)またはpGEX-KGに連結した。タンパク質を、4リットルの組換え生物を 0.5の
光学密度(OD600)に達するまで増殖させ、0.3mMのイソプロピル−1−チオ−β−
D−ガラクトシド(IPTG)(Gibco BRL)で2時間にわたって誘導することによって
大腸菌で発現させた。細胞をPBS(150mM NaCl、4.3mM Na2HPO4、1mM NaH2PO4)中
に集め、-80℃で凍結した。大腸菌をフレンチプレスに通し、これらの溶解物の
上清を0.45μmメンブランでろ過した。上清に存在する可溶性のヒスチジン標識
タンパク質を金属キレートクロマトグラフィーで最初に精製した。上清を5mlのN
i2+負荷HiTrapキレートカラム(Pharmacia Biotech Inc.)に加えた。結合したタ
ンパク質を、 4mMのTris-HCl、100mMのNaCl、pH7.9における0〜200mMのイミダ
ゾールの200ml直線グラジェントを用いて5ml/分の流速で溶出した。組換えタ
ンパク質を含む画分をSDS-PAGE(下記参照)によって同定して、一緒にし、25mM
のTris-HCl(pH8.0)に対して透析した。透析されたタンパク質を濃縮して、サン
プルを5mlのHiTrapQカラム(Pharmacia Biotech Inc.)に加え、結合したタンパ
ク質を、25mMのTris-HCl(pH8.0)における0〜0.5MのNaClの200ml直線グラジェン
トを用いて5ml/分の流速で溶出することによるイオン交換クロマトグラフィー
でさらに精製した。精製された組換えタンパク質を含む画分をSDS-PAGEによって
同定した。 GST標識タンパク質を、上記のようにして得られた大腸菌溶解物か
ら精製した。溶解物を自然流速のもとで10mlのグルタチオンアガロースカラムに
通し、5カラム容量のPBSで洗浄した。タンパク質を、新たに調製した5mMの還
元型グルタチオン(Sigma)/50mM Tris-HCl(pH8.0)を用いてカラムから溶出した
。精製されたタンパク質を使用して、ニュージーランド白ウサギにおいて、HTI
Bioproducts(Romano、CA)またはアイルランド国立大学Biological Core Facilit
y(Dublin、アイルランド)によって発表された標準的なプロトコルを使用して抗
血清を惹起させた。
【0172】 SDS-PAGEおよびウエスタンブロット転写 SDS-PAGEには、10%アクリルアミドを含有するトリシンゲルを用いた (28)。
分離されたタンパク質をPVDFメンブラン(Immbilon-P、 Millipore、Bed
ford、MA)にセミドライ転写セル(Bio-Rad Laboratories、 Hercules、 CA)により
転写した。すべてのタンパク質サンプルを還元性条件下で熱変性した。精製タン
パク質(それぞれ1μg)をSDS-PAGEに供し、クーマシーブリリアントブルーで
染色した。大腸菌の溶解物または溶解画分を下記のようにして得た。IPTG誘導さ
れた組換え大腸菌をOD600が2.0になるまで増殖させ、洗浄し、PBSで最初の容量に
再懸濁して、SDS-PAGEのために調製した。各調製物の10μlをアクリルアミドゲ
ルのそれぞれのウエルに負荷した。S.epidermidis株を、1.25U/10mlのエンドプ
ロテイナーゼ阻害剤α2−マクログロブリン(Boehringer Mannheim)を含むTSBに
おいて初期定常期になるまで増殖させた。細胞をOD600が2.0になるように調節し
、洗浄し、最初の容量の1/2量で再懸濁した。プロテアーゼ阻害剤(4mMのフ
ェニルメチルスルホニルフルオリド、1mMのN−エチルマレイミド、および25mM
のアミノヘキサン酸)およびDNAse(10μgml-1)をリソスタフィン(100μgml-1)お
よびリゾチーム (100μgml-1)の前に加えた。酵素消化を、振とうしながら37℃
で30分間行った。プロトプラストからの細胞壁タンパク質の分離には、30%ラフ
ィノースの存在下で同じ条件を用いた。S.epidermidisの溶解物または溶解画分
を、大腸菌の場合のように処理し、30μl量のサンプルをアクリルアミドゲルの
ウエルに入れた。
【0173】 免疫アッセイ ウエスタン免疫アッセイを下記のように行った。ウエスタンブロットを、1%
脱脂乾燥ミルクを含むPBS中で1時間インキュベーションし た。その後、ブロ
ットを(PBS−ミルクで希釈した)抗血清とともに1時間インキュベーションし
た。モノクローナル抗ヒスチジン抗体 (Clontech、 Palo Alto、 CA)を1:
3000に希釈した。抗SdrFA抗血清(免疫、予備免疫および抗原吸収)を1:30,000
に希釈した;抗SdrGA抗血清を1:2000に希釈し、抗SdrHA抗血清を1:1000に希釈
した。抗血清吸収は以前に記載されている(14)。簡単に記載すると、抗SdrFA抗
血清および抗SdrGA抗血清を、超音波処理して遠心分離された誘導処理した大腸
菌の不溶性画分に存在するGST標識SdrGAタンパク質およびGST標識 SdrFAタン
パク質を用いてそれぞれ完全に吸収させた。この手順は、それぞれの抗血清に存
在するかもしれない交差反応性抗体を除くために使用された。免疫反応性の抗SD
RFA、抗SdrGAおよび抗SdrHAの除去は、GST標識されたSdrFA、SdrGAおよびSdrHA
をそれぞれ含む大腸菌溶解物を用いてそれぞれの抗血清を吸収させることによっ
て達成された。抗血清をインキュベーションした後、ウエスタンブロットをPBS
で3回洗浄し、 1:2000希釈したヤギ抗ウサギIgG結合アルカリホスファターゼま
たはヤギ抗マウスIgG結合アルカリホスファターゼ(Bio-Rad Laboratories)とと
もに30分間インキュベーションした。その後、ブロットを洗浄し、発色基質(150
μgml-1の5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルホスファートp−トルイジ
ン塩および300μgml-1のp−ニトロブルーテトラゾリウム塩化物を含む重炭酸塩
緩衝液)(Bio-Rad)により10分間〜15分間発色させた。
【0174】 組換えタンパク質に対する回復期患者のIgGの反応性は以前に記載されている
(1)。S.epidermidis感染症から回復しつつある15名のヒトの抗血清を集め、
プロテインAセファロースクロマトグラフィーを使用してIgGを精製した。酵素
結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を使用して、マイクロタイタープレートにコーテ
ィングされた組換えタンパク質(1μg/ウエルのヒスチジン標識SdrFAまたはヒス
チジン標識SdrGAあるいはGST標識SdrHA)に対するIgG(2μg/ウエル)の反応性を
明らかにした。
【0175】 結果 SdrF遺伝子、SdrG遺伝子およびSdrH遺伝子の同定 S.epidermidisのDNAの予備的なサザンハイブリダイゼーション分析により、S.
aureusのSdrタンパク質ファミリーのSD反復をコードするDNAとハイブリダイゼー
ションする遺伝子座がいくつか存在することが明らかにされた(未発表の観察)
。これらの遺伝子座をさらに明らかにするために、本発明者らは3つのDNAフラ
グメントをS.epidermidi株9491および株K28からクローニングした。pC5およびpC
28の2つのクローン が、HindIII消化DNAフラグメントを大腸菌プラスミドベク
ターに直接連結することによって株9481から得られた。もう1つのクローンE6-2
が、株K28から作製されたλGem(登録商標)−11ゲノムライブラリーから得
られた。E6-2挿入物DNAのフラグメントを大腸菌プラスミドベクターにサブクロ
ーニングして、pE6-2を得た。pC5、pE6-2およびpC28 は、それぞれ、6.8kb、6.
0kbおよび2.0kbのDNA挿入物を有していることが見出された(示されず)。
【0176】 DNA配列分析により、1つのオープンリーディングフレーム(ORF)がそれぞれの
プラスミドに存在していることが明らかにされた。SdrF、SdrGおよびsdeHと名付
けられたこれらのORFは、長さが、それぞれ、5199塩基対(bp)、2793塩基対(bp)
および1461塩基対(bp)であった。メチオニンではなくロイシンのコドンが、SdrG
の翻訳開始コドンとして作用していることが予想される。リボソーム結合部位と
考えられる部位(GGAG)が各 ORFの5’側の7bp〜12bpのところに同定された。Sd
rF、SdrGおよび sdeHのORFに隣接する500bp〜1000bpのDNA配列は類似していな
かっ た。このことは、それらが、S.aureusのSdrC遺伝子、SdrD遺伝子および
SdrE遺伝子のように前後に並んで連結していないことを示唆している(データ
は示されず)。
【0177】 SdrF、SdrGおよびSdrHの推定アミノ酸配列 S.epidermidisのSdrFタンパク質およびSdrGタンパク質のアミノ酸の構造的構
成はS.aureusのSdrタンパク質と類似しており、従って、グラム陽性細菌のペプ
チドグリカンに共有結合的に固定される細胞表面タンパク質に典型的な特徴を有
している。このような細胞表面特徴には、疎水性の膜展開領域に続く、最もC末
端側にある正荷電残基と、LPXTGモチーフとが含まれる。SD反復領域がLPXTGモチ
ーフのN末端側に位置しており、細胞壁を横断していることが提案されている(4
、10)。SdrFおよびSdrGは、そのN末端に予想されるシグナル配列(それぞれ、52
残基および50残基)を含み、そのC末端に細胞壁との連結に関連する残基を含む
(図5B、5C)。SdrFおよびSdrGのSD反復領域(下記参照)は、それぞれ、LPXTG
モチーフに隣接した7残基および13残基のところで終わっている。SdrFおよびSd
rGのSD反復領域には、それぞれ、558残基および 56残基が含まれる(図5B)。Sd
rGのジペプチド組成はセリンおよびアスパラギン酸から外れていないが、SdrFの
場合には26個のアラニン残基がSD反復領域内に存在する。成熟型タンパク質の(
シグナル配列を除いた)予想分子量は、SdrFの場合には179kDaであり、SdrGの場
合には97.6kDaである。
【0178】 S.aureusのSdrタンパク質はそれぞれ、知られているか、または推定されてい
る構造的に異なるリガンド結合ドメイン(領域Aと呼ばれる)をそのN末端部に
有する(8、16、21)。成熟型のSdrFおよびSdrGのN末端部には、それぞれ、62
5アミノ酸および548アミノ酸の領域Aが存在する。両者を比較することにより、
SdrFおよびSdrGの領域Aのアミノ酸配列は、互いに22%の同一性を有し、S.aure
usのSdrタンパク質の領域Aに対して20%〜35%(平均=23%)の同一性を有し
ていることが明らかにされている。
【0179】 アミノ酸配列モチーフが、S.aureusのSdrタンパク質の領域Aにおいて報告さ
れている。これには、ClfAの推定されるCa2+結合EFハンドモチーフ、ClfBのカチ
オン配位MIDASモチーフ、および機能が知られていない共通したSdrタンパク質モ
チーフのTYTFTDYVDが含まれる(8、23)。SdrFおよびSdrGの領域AはともにTYT
FTDYVDモチーフを含み、EFハンドモチーフ(DYSEYEDVTNDDY)がSdrAの領域Aにお
いて見出された。
【0180】 S.aureusの3つのSdrタンパク質(SdrC、SdrDおよびSdrE)は、領域B反復と
呼ばれる数が一定しない110アミノ酸〜113アミノ酸のセグメント(図5A)を含
み、それぞれの反復が、推定されるCa2+結合EFハンドモチーフを含んでいる(8
、9)。同様に、SdrFは4つの領域B反復 (119残基、110残基、111残基およ
び111残基)を含み、SdrGは2つの領域B反復(113残基および111残基)を含ん
でいる(図5B)。それぞれの反復は、DX(N/D)X(D/N)GXX(D/N/G)XX(E/D)のコン
センサス配列を有する推定されるEFハンドモチーフを含んでいる。SdrFおよびSd
rGの領域B反復は、互いに43%〜85%(平均=55%)の同一性を有し、 S
.aureusのSdrタンパク質に見出される領域B反復に対して39%〜73%(平均=54
%)の同一性を有している。
【0181】 SdrHのアミノ酸配列レベルでの構造的構成は、SdrFおよびSdrGの構造的構成と
はかなり異なっている。そのN末端における推定される30残基のシグナル配列の
後に、SdrHは、特徴的な60残基の領域(領域A)を有し、その後に120残基のSD
反復領域および277残基のセグメント(領域C)が続いている。領域Cは、そのC
末端に疎水性配列を含有するが、適切に配置されたLPXTGモチーフを有していない
。しかし、LGVTGの配列が疎水性領域内に存在している(図1B、1C)。SdrH
は領域B反復を含んでいなかった。SdrHの領域Aおよび領域Cは、他の知られて
いるSdrタンパク質または様々なデータベースのタンパク質配列に対するアミノ
酸配列類似性を有していない。他のSdrタンパク質に共通したモチーフは見出さ
れなかった。SdrHの成熟型の分子量は50.5kDaであることが推定される。
【0182】 まとめると、これらの結果は、S.epidermidisは、S.aureusのSdrタンパク質フ
ァミリーに関連する2つのタンパク質、ならびに新規な構造を有する第3のSdr
タンパク質を発現し得ることを示唆している。
【0183】 S.epidermidis株におけるSdrF、SdrGおよびSdrHの分布 サザンハイブリダイゼーション分析において、ClfAのSD反復のコード領域を表
すDNAプローブが、S.epidermidisの16株において、いくつかのゲノムHindIIIフ
ラグメントにハイブリダイゼーションした(図6 A)。3つのハイブリダイゼ
ーションフラグメントがほとんどの株で認められたが、これらは、SdrF遺伝子、
SdrG遺伝子およびSdrH遺伝子を示していると考えられる。これを確認して、これ
らの株における遺伝子の頻度を明らかにするために、さらなる分析を、それぞれ
の領域AをコードするDNAに特異的なプローブを用いて行った。SdrHプローブは
、すべての株において1.8kb〜6.5kbのフラグメントにハイブリダイゼーションし
た(図6B)。SdrGプローブは、調べたすべての株において16kbのフラグメント
にハイブリダイゼーションした(図6C)。さらに、このプローブは、16株のう
ち、4株において3.4kbのHindIIIフラグメントにハイブリダイゼーションした(K
H11、K28、RP6aおよびN910102)。しかし、この同じ3.4kbのフラグメントは、SD
反復をコードするDNAに特異的なプローブとはハイブリダイゼーションしなかっ
た。このことは、SD反復領域を有しないSdrGの領域Aに対する類似性を有する遺
伝子が存在することを示唆している。図6Dには、SdrGおよびSdrFの領域AのDN
Aを用いてプローブされたサザンブロットが示されている。SdrFプローブは、 16
株のうち、12株において4.5kb〜10kbのHindIII消化DNAフラグメントにハイブリ
ダイゼーションした(K28、RP6a、N910173およびN910191の株はハイブリダイゼ
ーションバンドを有しなかった)。これらの結果により、SdrF遺伝子、SdrG遺伝
子およびSdrH遺伝子はS.epidermidis株に広く存在していることが示唆される。
【0184】 SdrF、SdrGおよびSdrHのS.epidermidisでの発現 免疫学的方法を使用して、SdrF、SdrGおよびSdrHがS.epidermidisによって発
現されているかどうかを明らかにした。特異的なウサギ抗血清を、(SdrFA、Sdr
GAおよびSdrHAと名付けられた)種々の領域Aを表す組換え融合タンパク質に対
して惹起させた。SdrFAおよびSdrGAをポリヒスチジン(Hisn)に融合させ、SdrHA
をGSTに融合させた(図7A)。抗血清の単一特異性を、種々のタンパク質融合
体を含む組換えタンパク質パネルに対して確認した。詳しく記載すると、Hisn-Sd
rFAおよびHisn−SdrGAに対して惹起された抗血清は、それぞれ、GST−SdrGAおよ
びGST−SdrFAと交差反応しなかった(図7B)。さらに、これらの同じ抗血清は GST−SdrHAに対して交差反応しなかった(図7B)。GST−SdrHAに対して
惹起された抗血清は、全長のHisn-SdrHタンパク質に対して反応した が、Hisn-S
drFAタンパク質またはHisn-SdrGAタンパク質に対しては反応しなかった(図7C
)。
【0185】 領域Aに特異的な抗血清を使用して、同系のS.epidermidis株の溶解物におけ
る本来のSdrF、SdrGおよびSdrHをウエスタン免疫ブロッティングで同定した。抗
SdrFA抗血清は、株9491に由来する約230kDaのバンドと反応した(図8A)。こ
のバンドは、予備免疫抗血清と反応したウエスタンブロット、またはGST−SdrFA
融合タンパク質を発現する大腸菌の溶解物で吸収させた抗SdrFA抗血清と反応し
たウエスタンブロットの場合には存在しなかった(図8A)。抗SdrGA抗血清は
、S.epidermidis株K28の溶解物における170kDaのバンドに対して反応した。こ
のバンドは、予備免疫抗血清の場合、またはGST−SdrGA融合タンパク質を発現す
る大腸菌の溶解物で吸収させた抗SdrGA抗血清の場合には存在しなかった(図8
B)。SdrHに対する抗血清は、株9491における75kDaのバンドを認識したが、こ
の反応性は、大腸菌の溶解物に存在する組換えSdrHで抗血清を吸収することによ
って除くことができる(図8C)。抗SdrFA、抗SdrGAおよび抗SdrHAと免疫反応
し得るバンドの見かけの分子量は、推定されたアミノ酸配列の予想分子量(それ
ぞれ、179kDa、97kDaおよび50kDa)よりも大きい。SDS-PAGEでの低下した移動度
は、S.aureusの2つのSdrタンパク質(ClfAおよびClfB)について以前に認められ
ていた。この場合、予想分子量の50%〜100%までの増大が認められていた。こ
れらの観測はSdrタンパク質の酸性的な性質によって説明されることが示唆され
ている。
【0186】 S.epidermidis株におけるSdrHの分子量の違い ウエスタン免疫ブロット分析において、S.epidermidisの種々の株は、60kDa〜
75kDaの間で変化した見かけの分子量を有するSdrHを有していた(図9A)。Clf
Aの分子量の変動は、以前にはSD反復領域の長さと相関させられていた(15)。
上記の使用されたS.epidermidis株から得られたSdrH遺伝子のPCR分析により、SD
反復領域をコードするDNAサイズの変動はウエスタンブロットでのSdrHタンパク
質の異なる分子量と相関していることが明らかにされた。これに対して、各SdrH
の領域CをコードするDNAのPCR産物はサイズが類似していた(図9B)。
【0187】 細胞壁抽出物およびプロトプラストにおけるSdrF、SdrGおよびSdrHの分析 LPXTGモチーフがSdrFおよびSdrGの両方に存在することは、これらのタンパク
質が細胞壁に固定され、従って、リソスタフィンで処理された S.epidermidisの
細胞壁抽出物に存在することを示唆している。抗SdrFA抗血清を用いた初期定常
期のリソスタフィン消化したS.epidermidis株 9491のウエスタンブロット分析は
、230kDaのSdrFが、プロトプラスト画分にではなく、全細胞溶解物および細胞壁
抽出物の両方に存在していることを明らかにした(図10A)。対照的に、抗SdrG
A抗血清を用いた同じサンプルの分析は、SdrG(170kDa)が、細胞壁抽出物にで
はなく、溶解物およびプロトプラスト画分に存在していることを明らかにした(
図 10B)。類似する結果が、リソスタフィンで処理された株K28を含むブロッ
トで認められた(示されず)。抗SdrHA抗血清を用いた9491のリソスタフィン画
分のさらなる分析により、細胞壁溶解物およびプロトプラスト画分の両方で免疫
反応性バンドが明らかにされた(図10C)。これらの結果は、これらのインビト
ロ条件下において、SdrFが局在化して、細胞壁に固定されていること、およびSd
rG(そのLPXTGモチーフにもかかわらず)およびSdrHは細胞膜に結合しているか
、あるいは細胞内に存在していることを示唆している。
【0188】 SdrF、SdrGおよびSdrHに対する回復期患者の抗血清の反応性 最近、S.aureus感染症から回復しつつある患者から得られたIgGがフィブロネ
クチン結合タンパク質(FnbpA)と反応することが示されている。このことは、Fnb
pAがS.aureusにより感染時に発現していることを示唆している(1)。今回、様
々なS.epidermidis感染症から回復しつつある15名の患者の抗血清から精製され
たIgGを、ELISAによって、組換え SdrF、SdrGおよびSdrHの領域Aタンパク質
との反応性について調べた。図11には、患者の抗血清に由来するIgGが、子供の
集められたた抗血清から精製されたIgGの力価と比較して、SdrFA、SdrGAおよびS
drHAに対してより大きな力価を有したことが示されている。患者のIgGは、SdrGA
およびSdrHAとの反応性がSdrFAとの反応性よりも大きいことが多かっ た。これ
らの結果は、Sdrタンパク質がS.epidermidis感染時にヒトにおいて発現している
ことを示唆している。
【0189】 考察 ヒトにおけるS.epidermidis感染症は、患者体内に導入されたときにマトリッ
クスタンパク質で迅速に覆われる異物デバイスに関連している(26)。(icaオ
ペロンによってコードされる)機構によって、未被覆のポリマー表面における付
着および生物膜形成が媒介されることが提案されているが、宿主タンパク質で覆
われた表面に対する付着を媒介する具体的な因子はほとんど明らかにされていな
い。Sdrタンパク質が S.epidermidisに存在することは、フィブリノー
ゲンで覆われた補綴デバイスに対する付着を媒介するためにClfAおよびClfBを利
用する S.aureusと類似した様式で、S.epidermidisがタンパク質で覆われ
たマトリックスデバイスに結合し得ることを示唆している(21、31)。この点に
関して、クローニングされたS.epidermidisのDNAから発現され、 SdrGに類似
した組換えタンパク質がフィブリノーゲンと結合することが示されている(22
)。
【0190】 S.epidermidisのSdrタンパク質は、初期の付着のほかに、病原性プロセスにお
いて役割を果たすことがある。S.aureusの表面に由来するフィブロネクチン結合
タンパク質Fnbpのタンパク質分解的切断により可溶性で活性なタンパク質が生じ
ることを実験は示しており、従って、この切断により、固相のフィブロネクチン
からのS.aureusの遊離および伝搬が開始されることが提案されている(18)。同
様に、本来のSdrFおよび SdrGは、プロテアーゼ阻害剤の非存在下においてイ
ンビトロ培養条件での迅速な分解を受ける(未発表の観測)。このタンパク質分
解により、細菌が基体から分離され得る機構がもたらされ得る。
【0191】 SdrFが、リソスタフィン消化により遊離した細胞膜結合タンパク質で分画され
る。このことは、SdrFが細胞表面に存在していることを示唆している。これに対
して、SdrFに類似した細胞壁分類モチーフである LPXTGを含むSdrGは、プロ
トプラスト画分において見出されるだけであった。細胞壁画分におけるSdrGの明
らかな非存在は、細菌の増殖期によって、あるいは様々な増殖期のときに発現す
るタンパク質分解酵素によって影響され得る。例えば、SdrGは、初期対数期の株
K28の溶解物において存在していないか、または減少していることが見出された
。さら に、後期定常期まで増殖させた多数のS.epidermidis株は細胞壁抽出物
にSdrGを含んでいたが、他の株(K28および9491を含む)は、SdrGの考えられる
分解産物のみを含んでいた(未発表の結果)。一層の研究によって、細胞壁に対
するSdrGの結合の調節および細胞表面での局在化が詳しく明らかにされることは
確かである。同様に、さらなる研究が、細胞壁タンパク質の特徴を含むが、明確
なLPXTGモチーフを有していない SdrHについて必要である。
【0192】 上記のように、SdrGに類似した(Fbeと名付けられた)タンパク質 が、フィ
ブリノーゲンに結合し得るS.epidermidisのタンパク質として同定された(22)
。Fbeは、SD反復領域に直接隣接する領域Aを有すると報告されていたが、領域
B反復に類似した構造は記載されていなかっ た。本発明者らは、Fbeが、SdrG
の領域B反復に対して99%のアミノ酸同一性を有する2つの領域B反復を含むこ
とを見出した(未発表の結 果)。Fbeの報告された配列において、これらの反
復はアミノ酸601から始まり、SD反復の開始で終わる。Fbeの元の領域Aは、最少
のフィブリノーゲン結合領域を残基269〜残基599の間に含むことが報告されてい
た。新しく同定された領域B反復に関して、この最少のフィブリノーゲン結合
領域は領域Aの最もC末端側に位置している。これは、最少のフィブリノーゲン
結合領域をそのC末端に含むClfAと類似している (McDevitt、 1995)。Fbe
およびSdrGの領域Aはアミノ酸配列において93%の同一性を有し、その予想され
る最少結合領域は98%の同一性を有している。
【0193】 SdrHは、異なる推定されるドメイン構成を有する点で、(S.aureusおよびS.ep
idermidisから得られる)Sdrタンパク質ファミリーの8個の記載されたタンパク
質において特徴的である。N末端におけるSD反復領域の位置、新規な領域C、お
よび明らかな細胞壁結合領域の欠失は、このタンパク質が、知られているSdrのM
SCRAMMと異なる機能を有することを示唆している。SdrHの細菌局在化およびリガ
ンド結合能に関する一層の研究が現在行われている。
【0194】 SdrFおよびSdrGのSD反復領域は、8個の知られているSdrタンパク質の最長SD
反復および最短のSD反復(それぞれ、558残基および56残基)を示している。SD
反復はフィブリノーゲン結合に関与していない が、野生型レベルの機能的なC
lfA発現には、40残基を超えるSD反復領域(領域Aの終わりからLPXTGモチー
フまでに72残基)が必要であることが見出された(4)。アミノ酸のこの拡大が
、細胞壁に広がり、機能的な領域Aを示すために主張されていた。SdrGは領域B
反復の終わりからLPXTGモチーフまでに73残基を含むが、2つの領域B反復はま
た、リガンド結合領域Aの構造および機能に影響を及ぼし得る。SdrFにおける極
端に長いSD反復領域の目的は不明である。SD反復領域が細胞壁と相互作用した場
合、SdrFとSdrGとのSD反復領域の長さの差は、これらのタンパク質の細胞壁画分
において認められた局在化の差と関連し得る。 SdrHにおけるSD反復の長さの
変動は記載されている。株KH11から得られたSdrHタンパク質(認められた最小の
SdrH)は、DNA配列分析によって、64残基を含むことが見出された(未発表の結
果)。SdrHにおけるSD反復の役割は不明であるが、本発明者らは、他のSdrタン
パク質のように、この領域は細胞壁と部分的に結合し得ると考ええている。
【0195】 S.epidermidisのSdrタンパク質をコードする遺伝子は、今日までに調べられた
臨床的単離体のほとんどに存在している。これらの株は、様々な地理的位置の患
者における広範囲の疾患転帰者から単離された。さらに、様々なS.epidermidis
感染症から回復しつつある患者は、SdrF、 SdrGおよびSdrHと反応し得るIgGを
その抗血清に有している。同様の特徴が、S.aureusの5個の報告されたSdrタン
パク質について認められている[(8、17)および未発表の結果]。これらの研
究は、Sdrタンパク質がS.epidermidisの感染性および増殖における重要な成分で
あることを示唆している。興味深いことに、SD反復領域をコードするDNAに対す
る相同性を有する遺伝子座もまた、S.haemolyticus、S.lugdunensisおよびS.int
ermedius株、さらにはヒトおよび他の哺乳動物において発病し得るブドウ球菌に
広く存在している(未発表の結果)。
【0196】 実施例2で採用された文献
【0197】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、S.epidermidis株K28のSdrGタンパク質を表わす。これらの領域は、
この構成の上部に沿って標識されており、アミノ酸の数は、図面の対応領域のす
ぐ下に示されているタンパク質の各領域に見られる。
【図2】 図2は、フランキング配列と共に、SdrFのDNA配列、及びSdrFタンパク質(太
字)のアミノ酸配列である。
【図3】 図3は、フランキング配列と共に、SdrGのDNA配列、及びSdrGタンパク質(太
字)のアミノ酸配列である。
【図4】 図4は、SdrHタンパク質のアミノ酸配列と共に、SdrHコーディング部位のDNA
配列である。
【図5】 図5は、次のようにS.aureus及びS.epidermidisSdrタンパク質間の関係を示し
ている:図5Aは、既に記載されているS.aureusSdrタンパク質の概略図であり
;図5Bは、SdrF、SdrG、及びSdrHの概略図であ り、これらのシグナル配列(
S)、領域As(A)、領域B反復(Bn)、SD反復領域(SD)、領域C(C)(Sd
rHのみ)、及び壁/膜をまたいでいる領域(WM)の相対位置及び/又はサイズを
示している;図5Cは、SdrF、 SdrG、及びSdrHのC末端アミノ酸配列を表わし
ており、SD反復、LPXTGモチーフ(下線)、疎水膜をまたいでいる領域(太字)
、及び装入されている末端残渣を示している。
【図6】 図6は、S.epidermidis株におけるSdr遺伝子の優勢を示しており、 (A)SD
反復領域;(B)SdrH領域A;(C)SdrG領域A;及び(D) SdrG及びSdrF領
域AsをエンコードするDNAプローブに交雑する S.epidermidisゲノムDNA
を含むサザンブロットを示している。菌株は次のとおりである:レーン1、ATCC
14990;レーン2、KH11;レーン3、 K28;レーン4、RP62a;レーン5、TU329
8;レーン6、9142;レーン7、1457;レーン8、8400;レーン9、N910308;レ
ーン10、N910160;レーン11、N910102;レーン12、N910173;レーン13、N9101
91;レーン14、N910231;レーン15、N950249である。株9491は示されていない。
キロベース(kb)サイズマーカーは、パネルA〜Dの左側に示されている。
【図7】 図7は、組換えSdr領域Aたんぱく質及び次のものによって証明されたこれら
の各々の抗血清を示している:(A)ウサギのポリクローナル抗血清を高めるた
めに用いられた精製タンパク質のクーマシー株SDS- PAGE。レーン1及び2
、それぞれヒスチジン標識SdrFA及びSdrGA;レーン3、GST標識SdrHA;(B)左
側パネル:GST標識SdrFA(レーン1)、 SdrGA(レーン2)、及びSdrHA(レー
ン3)を発現するE.coliライゼートへのプールされた抗−SdrFA、−SdrGA、及び
−SdrHA抗血清の反応性。真中及び右パネル:それぞれ同じたんぱく質への抗−S
drFA及び−SdrGA抗血清の反応性;及び(C)左側パネル:ヒスチジン標識SdrFA
(レーン1)、SdrGA(レーン2)、及び完全長SdrH(レーン3)を発現する
E.coliライゼートへの抗ヒスチジンモノクローナル抗体の反応性。右側パネ
ル:同じタンパク質への抗−SdrHA抗血清の反応性。キロダルトン (kDa)サイ
ズマーカーは、パネルA、B、及びCの左側に示されてい る。
【図8】 図8は、次のものを含むS.epidermidisにおけるSdrタンパク質発現のイムノブ
ロット分析を示している:(A)S.epidermidis9491のライゼートへの抗SdrFA抗
血清の反応性。レーン1、免疫抗血清;レーン2、プレ免疫(preimmune)抗血
清;及びレーン3、SdrFA吸収免疫抗血清; (B)S.epidermidis株K28のライ
ゼートへの抗SdrGA免疫(レーン−1)、プレ免疫(レーン2)、及びSdrGA吸
収免疫(レーン3)抗血清の反応性;及び(C)S.epidermidis9491のライゼー
トへの抗SdrHA免疫(レーン1)、及びSdrHA吸収免疫(レーン2)抗血清の反
応性。kDaサイズマーカーは、A、B、及びCの左側に示されている。
【図9】 図9は、次のものを含むS.epidermidis株の中のSdrHタンパク質サイズバリエ
ーションの遺伝子分析を示す:(A)SdrHの分子質量における菌株のバリエーシ
ョンをあらわす様々なS.epidermidis株ライゼートへの抗―SdrHA抗血清の反応性
。レーン1〜3;それぞれ株9491、8400、及びKH11;及び(B)SdrH SD反復領
域(レーン1〜3)又は同じ株の領域Cs(レーン4〜6)をエンコードするDNA
を代表するPCR産物。kDa及びkbサイズマーカーは、それぞれA及びBの左側に示
されている。
【図10】 図10は、次のものを含む細胞壁抽出物及びプロトプラストにおける Sdrタン
パク質の分析を表わす:(A)S.epidermidis株9491ライゼート(レーン1)、
細胞壁抽出物(レーン2)、及び精製プロトプラスト(レーン3)への抗―SdrF
A抗血清の反応性;及び(B)及び(C)ぞれぞれ同じサンプルに対する、抗−S
drGA及び−SdrHA抗血清の反応性。KDaサイズマーカーは、A、B、及びCの左側
に示されている。
【図11】 図11は、ELISAミクロ滴定プレートにおいて被覆された、組換え SdrFA(
オープン棒)、SdrGA(グレーの棒)、及びSDRHA(黒い棒)へ の、S.epiderm
idis感染から徐々に回復しつつある患者からのIgGの反応性を示している。2歳
の子供からプールされたIgGを、比較対照として用いた。エラー棒は、標準偏差
を反映している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 39/395 A61L 27/00 G 4C085 48/00 29/00 T 4H045 A61L 27/00 31/00 T A61P 9/00 29/00 17/02 31/00 19/00 A61P 9/00 31/04 17/02 C07K 14/31 19/00 16/12 31/04 C12Q 1/02 C07K 14/31 G01N 33/15 Z 16/12 33/50 Z C12Q 1/02 33/569 F G01N 33/15 C12R 1:45) 33/50 (C12Q 1/02 33/569 C12R 1:44) //(C12N 15/09 C12N 15/00 ZNAA C12R 1:45) A (C12Q 1/02 A61K 37/02 C12R 1:44) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ,BA ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CR, CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI,G B,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL ,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ, LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MD,M G,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT ,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL, TJ,TM,TR,TT,UA,UG,UZ,VN,Y U,ZA,ZW (72)発明者 フオスター,テイモテイ,ジエイ. アイルランド国 ダブリン 16,テンプロ ーグ,クーランバー パーク 70 (72)発明者 フツク,マグナス アメリカ合衆国 テキサス 77005,ハウ ストン,オーバーリン 4235 (72)発明者 デービス,スタキイ アメリカ合衆国 テキサス 77030,ハウ ストン,カービイ ドライブ ナンバー 310 (72)発明者 ハートフオード,オリア アイルランド国 ダブリン 2,トリニテ イ カレツヂ(番地なし)ザ プラヴアス ト フエロウス アンド スカラース オ ブ ザ カレツヂ オブ ザ ハリー ア ンド アンデイヴアイデツド トリニテイ オブ クイーン エリザベス ニヤー ダブリン内 (72)発明者 マツクレア,カーク アメリカ合衆国 テキサス 77030,ハウ ストン,カービイ ドライブ 7600,アパ ートメント 1504 (72)発明者 ニ エイドハイン,デイドラ アイルランド国 ダブリン 8,ザ カム ベ,ワトキンス ビルデイング 15 Fターム(参考) 2G045 AA25 AA28 AA40 CB21 DA12 DA13 DA14 DA36 DA77 FB03 FB04 4B024 AA01 AA13 BA31 BA50 CA04 CA07 CA12 DA02 DA05 EA04 GA11 HA01 HA03 HA15 4B063 QA01 QA18 QQ01 QQ06 QR33 QR48 QR59 QR75 QR80 QS05 QS15 QS36 4C081 AB13 AB17 AB31 AC05 AC08 BA14 CD112 DA03 DC03 4C084 AA02 AA07 AA13 AA17 BA42 BA44 CA04 CA53 DA41 NA14 ZA362 ZA902 ZA962 ZB352 4C085 AA03 AA13 AA14 AA16 AA38 BA13 BB11 BB15 BB24 CC07 CC21 EE01 EE05 FF02 FF11 GG02 GG03 GG04 GG06 GG08 4H045 AA10 AA11 AA20 AA30 BA41 CA11 DA50 DA76 EA29 EA52 FA72 FA74 GA23 GA26

Claims (42)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コアグラーゼ(coagulase)陰性のスタフィロコカス・エピデ
    ルミディス(Staphylococcus epidermidis)から単離されたフィブリノーゲン結合
    性タンパク質をコードする、単離(isolated)された核酸分子。
  2. 【請求項2】 コードされる該タンパク質は、図2に示されているアミノ酸
    配列によってコードされるタンパク質であるところの、請求項1に記載の単離さ
    れた核酸分子。
  3. 【請求項3】 図2に示されている塩基配列から成る、請求項1に記載の単
    離された核酸。
  4. 【請求項4】 図2に示されている配列に選択的にハイブリダイズする配列
    より成る、請求項1に記載の単離された核酸。
  5. 【請求項5】 ベクターに導入された、請求項1に記載の単離された核酸。
  6. 【請求項6】 請求項1の単離された核酸の発現のために生物に導入された
    、請求項5に記載のベクター。
  7. 【請求項7】 細胞壁会合性(cell wall-associated)であり、カチオン依存
    性リガンド結合性を示し、かつTYTFTDYVDというコンセンサス配列を含む高度に
    保存されたモチーフを有するところのフィブリノーゲン結合性タンパク質であっ
    て、しかもコアグラーゼ陰性のスタフィロコカス・エピデルミディス(Staphyloc
    occus epidermidis)から単離されたところの該フィブリノーゲン結合性タンパク
    質をコードする、単離された核酸分子。
  8. 【請求項8】 コードされる該タンパク質が、図2〜4に示されている複数
    のアミノ酸配列から成る群から選ばれるアミノ酸配列によってコードされるタン
    パク質であるところの、請求項7に記載の単離された核酸。
  9. 【請求項9】 図2〜4に示されている複数の核酸配列から成る群から選ば
    れる配列を含んでいる、請求項7に記載の単離された核酸。
  10. 【請求項10】 図2〜4に示されている複数の核酸配列から成る群から選
    ばれる核酸配列に選択的にハイブリダイズする配列をから成 る、請求項7に記
    載の単離された核酸。
  11. 【請求項11】 ベクターに導入された、請求項7に記載の単離された核酸
  12. 【請求項12】 請求項7の単離された核酸の発現のために生物に導入され
    た、請求項11に記載のベクター。
  13. 【請求項13】 細胞壁会合性であり、可溶性フィブリノーゲン及び固定化
    フィブリノーゲンの両方に結合性であり、またフィブリノーゲンのアルファ鎖及
    びベータ鎖の両方の鎖に結合性であるところの、組換えあるいは合成された単離
    したSdrタンパク質。
  14. 【請求項14】 図2に示されている配列を含むアミノ酸配列を有するタン
    パク質であるところの、請求項13に記載のタンパク質。
  15. 【請求項15】 図2に示されている配列を含む核酸配列によってコードさ
    れる、請求項13に記載のタンパク質。
  16. 【請求項16】 図2に示されている配列に選択的にハイブリダイズする配
    列を含んでいる核酸配列によってコードされる、請求項13に記載のタンパク質
  17. 【請求項17】 生物に導入されたベクターから発現される、請求項13に
    記載のタンパク質であって、しかも図2に示されている配列を含む核酸配列を含
    んでいる該ベクターから発現されたところの請求項13のタンパク質。
  18. 【請求項18】 細胞壁会合性であり、カチオン依存性リガンド結合性を示
    し、かつTYTFTDYVDというコンセンサス配列を含む高度に保存されたモチーフを
    有する、組換えあるいは合成された単離したタンパク質であって、しかも、該タ
    ンパク質がコアグラーゼ陰性のスタフィロコカス・エピデルミディス(Staphyloc
    occus epidermidis)から単離されるタンパク質であるところの、組換え又は合成
    タンパク質。
  19. 【請求項19】 該タンパク質が、図2〜4に示されているアミノ酸配列か
    ら成る群から選ばれる配列を含むアミノ酸配列を有する、請求項18に記載のタ
    ンパク質。
  20. 【請求項20】 図2〜4に示されている複数の核酸配列から成る群から選
    ばれる配列を含む核酸配列によってコードされる、請求項18に記載のタンパク
    質。
  21. 【請求項21】 図2〜4に示されている複数のアミノ酸配列から成る群か
    ら選ばれる配列に選択的にハイブリダイズする配列を含む核酸配列によってコー
    ドされる、請求項18に記載のタンパク質。
  22. 【請求項22】 生物に導入されたベクターから発現される請求項18に記
    載のタンパク質であって、しかも、図2〜4に示されている複数の核酸配列から
    成る群から選ばれる配列を含む核酸配列を含んでいる該ベクターから発現された
    ところの、請求項18のタンパク質。
  23. 【請求項23】 製薬的に許容しうるキャリヤーに配合された、請求項13
    に記載のタンパク質。
  24. 【請求項24】 製薬的に許容しうるキャリヤーに配合された、請求項18
    に記載のタンパク質。
  25. 【請求項25】 固体相上に固定化された、請求項13に記載のタンパク質
  26. 【請求項26】 固体相上に固定化された、請求項18に記載のタンパク質
  27. 【請求項27】 細胞壁会合性であり、また可溶性フィブリノーゲン及び固
    定化フィブリノーゲンの両方に結合するSdrタンパク質を阻害するのに発生した
    抗体及び抗血清。
  28. 【請求項28】 細胞壁会合性であり、カチオン依存性リガンド結合性を示
    し、かつTYTFTDYVDというコンセンサス配列を含む高度に保存されたモチーフを
    有するタンパク質であって、しかもコアグラーゼ陰性スタフィロコカス・エピデ
    ルミディス(Staphylococcus epidermidis)から単離されたところの該タンパク質
    を阻害するのに発生した抗体及び抗血清。
  29. 【請求項29】 細胞壁会合性であり、また可溶性フィブリノーゲン及び固
    定化フィブリノーゲンの両方に結合性であるところのSdrタンパク質を含む診断
    キット。
  30. 【請求項30】 細胞壁会合性であり、カチオン依存性リガンド結合性を示
    し、かつTYTFTDYVDというコンセンサス配列を含む高度に保存されたモチーフを
    有するタンパク質を含む診断キットであって、該タンパク質がコアグラーゼ陰性
    Staphylococcus epidermidisから単離されたタンパク質であるものであるところ
    の診断キット。
  31. 【請求項31】 細胞壁会合性であり、可溶性フィブリノーゲン及び固定化
    フィブリノーゲンの両方に結合性であるところのSdrタンパク質に対して反応性
    である抗体を含む診断キット。
  32. 【請求項32】 細胞壁会合性であり、カチオン依存性リガンド結合性を示
    し、かつTYTFTDYVDというコンセンサス配列を含む高度に保存されたモチーフを
    有するタンパク質であって、しかもコアグラーゼ陰性 Staphylococcus epidermi
    disから単離されたところの該タンパク質に対して反応性である抗体を含む診断
    キット。
  33. 【請求項33】 細胞壁会合性であり、可溶性フィブリノーゲン及び固定化
    フィブリノーゲンの両方に結合性であるSdrタンパク質をコードするところの核
    酸分子を含む診断キット。
  34. 【請求項34】 細胞壁会合性であり、カチオン依存性リガンド結合性を示
    し、かつTYTFTDYVDというコンセンサス配列を含む高度に保存されたモチーフを
    有するタンパク質であって、しかもコアグラーゼ陰性 Staphylococcus epidermi
    disから単離されたところの該タンパク質をコードする核酸を含む診断キット。
  35. 【請求項35】 フィブリノーゲン結合を阻害するのに十分な量 で、SdrF
    、SdrG、及びSdrH、及びこれらのタンパク質の断片から成る群から選ばれるタン
    パク質を含む製薬組成物を、患者に投与することから成る、患者におけるコアグ
    ラーゼ陰性スタフィロコカス菌感染症の治療方法。
  36. 【請求項36】 この感染症が、敗血症、骨髄炎、又は心内膜炎である、請
    求項35に記載の方法。
  37. 【請求項37】 フィブリノーゲンへのコアグラーゼ陰性スタフィロコカス
    菌の結合を阻害するのに十分な量で、SdrF、SdrG、及びSdrH、及びこれらのタン
    パク質の断片から成る群から選ばれるタンパク質を含む製薬組成物を、患者に投
    与することを含む、患者におけるコアグラーゼ陰性スタフィロコカス菌感染症の
    予防方法。
  38. 【請求項38】 フィブリノーゲンへのコアグラーゼ陰性スタフィロコカス
    菌の結合を阻害するのに十分な量で、SdrF、SdrG、及びSdrH、及びこれらのタン
    パク質の断片から成る群から選ばれるタンパク質に対する抗体を含む製薬組成物
    を、患者に投与することを含む、患者におけるコアグラーゼ陰性スタフィロコカ
    ス菌感染症の予防方法。
  39. 【請求項39】 SdrF、SdrG、又はSdrH、及びこれらのタンパク質の断片か
    ら成る群から選ばれるタンパク質を含む組成物で、医療器具を被覆することから
    成る、体内留置型の医療器具のコアグラーゼ陰性スタフィロコカス菌感染の減少
    方法。
  40. 【請求項40】 この医療器具が、血管移植片、血管ステント、静脈内カテ
    ーテル、人工心臓弁、及び心臓補助装置から成る群から選ばれる、請求項39に
    記載の方法。
  41. 【請求項41】 SdrF、SdrG、又はSdrH、及びこれらのタンパク質の断片、
    これらのサブドメイン、及びそれらをコードする核酸分子でコードされるタンパ
    ク質から成る群から選ばれるタンパク質を含む組成物を、患者に投与することか
    ら成る、免疫応答を誘発する方法。
  42. 【請求項42】 コアグラーゼ陰性スタフィロコカス菌を阻害する化合物を
    同定する方法において、同定される該化合物を、SdrF、SdrG、又はSdrHから成る
    群から選ばれるタンパク質に対して反応させ、さらに該化合物の結合している分
    子への該タンパク質の結合を計測し、その計測に際してこの化合物は、前記の結
    合している分子へのコアグラーゼ陰性スタフィロコカス菌の結合を阻害させるか
    を判定することから成る、コアグラーゼ陰性スタフィロコカス菌を阻害する化合
    物を同定する方 法。
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