JP2002525342A - 移動水素化法 - Google Patents

移動水素化法

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JP2002525342A
JP2002525342A JP2000572172A JP2000572172A JP2002525342A JP 2002525342 A JP2002525342 A JP 2002525342A JP 2000572172 A JP2000572172 A JP 2000572172A JP 2000572172 A JP2000572172 A JP 2000572172A JP 2002525342 A JP2002525342 A JP 2002525342A
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hydrogen
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ブラッカー,アンドリュー・ジョン
キャンベル,リンネ
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アベシア・リミテッド
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    • C07D209/08Indoles; Hydrogenated indoles with only hydrogen atoms or radicals containing only hydrogen and carbon atoms, directly attached to carbon atoms of the hetero ring
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07DHETEROCYCLIC COMPOUNDS
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Abstract

(57)【要約】 触媒移動水素化法が提供される。この方法において用いられる触媒は、定義された二座配位子に配位する金属中性ヒドロカルビル複合体である。好ましい二座配位子はジアミン及びアミノアルコール、特には、キラル中心を有するものである。水素供与体はトリエチルアミン及びギ酸の混合液であることが有利である。この方法は、好ましくはプロキラルである、イミン塩の移動水素化に用いることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、特には錯体化遷移金属の存在下における、触媒移動水素化(cataly
tic transfer hydrogenation)、及び光学的に活性の化合物の製造方法に関する
【0002】 本発明の第1の側面によると、式(1)の化合物の移動水素化方法であって、
【0003】
【化4】
【0004】 (ここで; Xは(NR34+-、N+5−O-、(NR6OR7+-、(NR8NR91 0+-、(NR8NR9C(=NR11)R12+-、(NR8NR9SO213+
-、又は(NR8NR9COR14+-を表し; Q-は、一価アニオンを表し; R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、及びR11は、各々独
立に、水素原子、置換されていてもよいヒドロカルビル、ペルハロゲン化ヒドロ
カルビル又は置換されていてもよいヘテロシクリル基を表し、R1及びR2、R1
及びR3、R2及びR4、R3及びR4、R1及びR5、R1及びR6、R2及びR7、R1 及びR8、R1及びR9、R6及びR7、R8及びR9並びにR9及びR10のうちの1つ
以上が置換されていてもよい環(1つもしくは複数)を形成するような方法で結
合していてもよく;並びに R12、R13及びR14は、各々独立に、置換されていてもよいヒドロカルビル、
ペルハロゲン化ヒドロカルビル又は置換されていてもよいヘテロシクロ基を表す
。) 式(1)の化合物を触媒の存在下において水素供与体と反応させることを含み、
該触媒が下記一般式:
【0005】
【化5】
【0006】 (ここで: R15は中性の置換されていてもよいヒドロカルビル又はペルハロゲン化ヒドロ
カルビル配位子を表し; Aは−NR16−、−NR17−、−NHR16、−NR1617又は−NR1718
表し、ここで、R16はH、C(O)R18、SO218、C(O)NR1822、C
(S)NR1822、C(=NR22)SR23又はC(=NR22)OR23であり、R 17 及びR18は、各々独立に、置換されていてもよいヒドロカルビル、ペルハロゲ
ン化ヒドロカルビル又は置換されていてもよいヘテロシクリル基を表し、かつR 22 及びR23は、各々独立に、水素又はR18について定義される基であり; Bは−O−、−OH、OR19、−S−、−SH、SR19、−NR19−、−NR 20 −、−NHR20、−NR1920、−NR1921、−PR19−又は−PR1921 を表し、ここで、R20はH、C(O)R21、SO221、C(O)NR2124
C(S)NR2124、C(=NR24)SR25又はC(=NR24)OR25であり、
19及びR21は、各々独立に、置換されていてもよいヒドロカルビル、ペルハロ
ゲン化ヒドロカルビル又は置換されていてもよいヘテロシクリル基を表し、かつ
24及びR25は、各々独立に、水素又はR21について定義される基であり; Eは連結基を表し; Mは移動水素化を触媒することが可能な金属を表し;並びに Yはアニオン基、塩基性配位子又は空の部位を表し; ただし、Yが空の部位ではない場合、A又はBの少なくとも1つは水素原子を
担持する。) を有することを特徴とする方法が提供される。
【0007】 この触媒種は、実質的に、上記式に表される通りであるものと信じられる。こ
れは固体支持体上に導入されていてもよい。 Xが(NR34+-を表す場合、式(1)の化合物はイミニウム塩である。
イミニウム塩にはプロトン化イミン塩及び四級イミン塩が含まれ、好ましくは四
級イミン塩である。四級イミン塩は、R3及びR4の両者が水素ではない式(1)
の化合物で表される。
【0008】 Q-で表すことができるアニオンには、ハライド、置換されていてもよいアリ
ールスルホネート、例えば、置換されていてもよいフェニル及びナフチルスルホ
ネート、ハロゲン化アルキルスルホネートを含む置換されていてもよいアルキル
スルホネート、例えば、C1-10アルキルスルホネート、置換されていてもよいカ
ルボキシレート、例えば、C1-10アルキル及びアリールカルボキシレート、ホウ
素、リンもしくはアンチモンの多ハロゲン化から誘導されるイオン、及び他の一
般的な無機イオン、例えば、ペルクロレートが含まれる。存在し得るアニオンの
例は、ブロミド、クロリド、ヨーダイド、硫酸水素、トシレート、ホルメート、
アセテート、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフ
ルオロアンチモネート、ペルクロレート、トリフルオロメタンスルホネート及び
トリフルオロアセテートである。好ましいアニオンにはブロミド、クロリド、ヨ
ーダイド、ホルメート及びトリフルオロアセテートが含まれ、特に好ましいアニ
オンにはヨーダイド、ホルメート及びトリフルオロアセテートが含まれる。
【0009】 R1-14、R17、R18、R19及びR21-25で表すことができるヒドロカルビル基
には、独立に、アルキル、アルケニル及びアリール基、並びにそれらのあらゆる
組み合わせ、例えば、アラルキル及びアルカリール、例えば、ベンジル基が含ま
れる。
【0010】 R1-14、R17、R18、R19及びR21-25で表すことができるアルキル基には、
20個までの炭素原子、特には1ないし7個の炭素原子、好ましくは1ないし5
個の炭素原子を含む直鎖及び分岐鎖アルキル基が含まれる。アルキル基が分岐鎖
である場合、それらの基はしばしば10個までの分岐鎖炭素原子、好ましくは4
個までの分岐鎖原子を含む。特定の態様においては、アルキル基は環状であって
もよく、これは、通常、最大環内に3ないし10個の炭素原子を含み、1つ以上
の架橋環を特徴としていてもよい。R1-14、R17、R18、R19及びR21-25で表
すことができるアルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、2−プロピル
、ブチル、2−ブチル、t−ブチル及びシクロヘキシル基が含まれる。
【0011】 R1-14、R17、R18、R19及びR21-25で表すことができるアルケニル基には
、C2-20、好ましくはC2-6アルケニル基が含まれる。1つ以上の炭素−炭素二
重結合が存在していてもよい。アルケニル基は1つ以上の置換基、特には、フェ
ニル置換基を担持することができる。アルケニル基の例には、ビニル、スチリル
及びインデニル基が含まれる。R1又はR2のいずれかがアルケニル基を表す場合
、炭素−炭素二重結合は、好ましくは、C=X部分に対するβ位置に位置する。
1又はR2のいずれかがアルケニル基を表す場合、式(1)の化合物は、好まし
くは、α,β−不飽和イミニウム化合物である。
【0012】 R1-14、R17、R18、R19及びR21-25で表すことができるアリール基は1つ
の環又は2つ以上の縮合環を含むことができ、これにはシクロアルキル、アリー
ルもしくは複素環式環が含まれ得る。R1-14、R17、R18、R19及びR21-25
表すことができるアリール基の例には、フェニル、トリル、フルオロフェニル、
クロロフェニル、ブロモフェニル、トリフルオロメチルフェニル、アニシル、ナ
フチル及びフェロセニル基が含まれる。
【0013】 R1-14、R17、R18、R19及びR21-25で表すことができるペルハロゲン化ヒ
ドロカルビル基には、独立に、ペルハロゲン化アルキル及びアリール基、並びに
それらのあらゆる組み合わせ、例えば、アラルキル及びアルカリール基が含まれ
る。R1-14、R17、R18、R19及びR21-25で表すことができるペルハロゲン化
ヒドロカルビル基の例には、−CF3及び−C25が含まれる。
【0014】 R1-14、R17、R18、R19及びR21-25で表すことができる複素環基には、独
立に、芳香族の飽和及び部分的に不飽和の環系が含まれ、シクロアルキル、アリ
ールもしくは複素環式環を含み得る1つの環又は2つ以上の縮合環を構成してい
てもよい。この複素環基は少なくとも1つの複素環式環を含み、そのうちの最大
のものは一般に3ないし7個の環原子を含み、それらの原子においては少なくと
も1つの原子が炭素であり、かつ少なくとも1つの原子がN、O、SもしくはP
のいずれかである。R1又はR2のうちのいずれかが複素環基を表すか、又はそれ
を含む場合、C=X基に結合するR1又はR2内の原子は、好ましくは、炭素原子
である。R1-14、R17、R18、R19及びR21-25で表すことができる複素環基の
例には、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、チオフェニル、フラニル、インドリ
ル、キノリル、イソキノリル、イミダゾイル及びトリアゾイル基が含まれる。
【0015】 R1-14、R17、R18、R19及びR21-25のいずれかが置換ヒドロカルビル又は
複素環基である場合、その置換基(1つもしくは複数)は反応の速度又は立体選
択性に悪影響を及ばさないようなものでなければならない。任意の置換基には、
ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アミノ、チオール、アシル、ヒドロカ
ルビル、ペルハロゲン化ヒドロカルビル、ヘテロシクリル、ヒドロカルビルオキ
シ、モノもしくはジ−ヒドロカルビルアミノ、ヒドロカルビルチオ、エステル、
カーボネート、アミド、スルホニル及びスルホンアミド基が含まれ、ここで、ヒ
ドロカルビル基は上でR1について定義される通りである。1つ以上の置換基が
存在することができる。
【0016】 R1及びR2、R1及びR3、R2及びR4、R3及びR4、R1及びR5、R1及びR6 、R2及びR7、R1及びR8、R1及びR9、R6及びR7、R8及びR9並びにR9
びR10のいずれかが、式(1)の化合物の炭素原子及び/又は原子Xのいずれか
と一緒になったときに環が形成されるような様式で結合する場合、これらは5、
6又は7員環であることが好ましい。このようにして形成される環は、さらに、
互いに、又は他の環系に縮合していてもよい。そのようにして形成され得る環の
例には、
【0017】
【化6】
【0018】 が含まれ、ここで、Xは上述の通りであり、かつこれらの環は置換されていても
よく、又は他の環に縮合していてもよい。 特定の好ましい態様においては、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8
9、R10、R11、R12、R13及びR14が全て独立にC1-6アルキルであるか、又
はアリール、特にはフェニル、C1-6アルキル及びC6-10アラルキルの組み合わ
せである。置換基、特に、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R1 0 、R11、R12、R13及びR14のうちの1つ以上がフェニル基である場合にはC
=X基に対してパラの置換基が存在していてもよい。
【0019】 特に好ましい態様においては、R4、R5、R6、又はR8がC1-6アルキル又は
6-10アラルキル、特には、メチル、ベンジル又はPhCHCH3である。 特定の非常に好ましい態様においては、Xが式(NR34+-の基であり、
1及びR3が、式(1)の化合物のC=X基の炭素原子及び窒素原子と一緒にな
ったときに5、6もしくは7員環を形成するような様式で結合し、R4がC1-6
ルキル又はC6-10アラルキル、特には、メチル、ベンジルもしくはPhCHCH 3 であり、並びにR2が置換されていてもよいヒドロカルビル、好ましくはC1-6
アルキル、又は置換されていてもよいフェニル、特にはメトキシ、ヒドロキシも
しくはフルオロ置換フェニルである。R1及びR3が結合することによって形成さ
れる5、6もしくは7員環は他の環系、好ましくは、置換されていてもよい(好
ましい置換基にはヒドロキシ、メトキシ及びフルオロが含まれる)ベンゼノイド
系に縮合していてもよい。
【0020】 最も有利には、式(1)の化合物はプロキラルであり、そのハロゲン化生成物
が、R1、R2及びXが各々結合するキラル原子を含む。そのような非対称性移動
水素化法は本発明の特に好ましい側面を形成する。最も一般的には、式(1)の
化合物がプロキラルである場合、R1及びR2は異なり、かついずれもが水素では
ない。有利には、R1及びR2のうちの一方が脂肪族であり、他方がアリール又は
ヘテロシクリルである。
【0021】 式(1)の化合物の例には以下のものが含まれ、
【0022】
【化7】
【0023】 ここで、R2及びR4は上述の通りであり、かつG1、G2及びG3は、独立に、水
素、クロロ、ブロモ、フルオロ、ヨード、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アミノ
、チオール、アシル、ヒドロカルビル、ペルハロゲン化ヒドロカルビル、ヘテロ
シクリル、ヒドロカルビルオキシ、モノもしくはジ−ヒドロカルビルアミノ、ヒ
ドロカルビルチオ、エステル、カーボネート、アミド、スルホニル及びスルホン
アミド基であり、ここで、ヒドロカルビル基は上でR1について定義される通り
である。
【0024】 水素供与体には、水素、一級及び二級アルコール、一級及び二級アミン、カル
ボン酸並びにそれらのエステル及びアミン塩、容易に脱水素化が可能な炭化水素
、清浄な還元剤、並びにそれらのあらゆる組み合わせが含まれる。
【0025】 水素供与体として用いることができる一級及び二級アルコールは、一般に、1
ないし10個の炭素原子、好ましくは2ないし7個の炭素原子、より好ましくは
3もしくは4個の炭素原子を含む。水素供与体として表すことができる一級及び
二級アルコールの例には、メタノール、エタノール、プロパン−1−オール、プ
ロパン−2−オール、ブタン−1−オール、ブタン−2−オール、シクロペンタ
ノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、及びメントールが含まれる
。水素供与体がアルコールである場合、二級アルコールが好ましく、特にはプロ
パン−2−オール及びブタン−2−オールである。
【0026】 水素供与体として用いることができる一級及び二級アミンは、一般には1ない
し20個の炭素原子、好ましくは2ないし14個の炭素原子、最も好ましくは3
もしくは8個の炭素原子を含む。水素供与体として表すことができる一級及び二
級アミンの例には、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチ
ルアミン、イソブチルアミン、ヘキシルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルア
ミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジヘキシ
ルアミン、ベンジルアミン、ジベンジルアミン及びピペリジンが含まれる。水素
供与体がアミンである場合、一級アミン、特には、第2アルキル基を含む一級ア
ミン、特にはイソプロピルアミン及びイソブチルアミンが好ましい。
【0027】 水素供与体として用いることができるカルボン酸又はそれらのエステルは、一
般には1ないし10個の炭素原子、好ましくは1ないし3個の炭素原子を含む。
特定の態様においては、カルボン酸は、有利には、ベータ−ヒドロキシ−カルボ
ン酸である。エステルはカルボン酸及びC1-10アルコールから誘導することがで
きる。水素供与体として用いることができるカルボン酸の例には、ギ酸、乳酸、
アスコルビン酸及びマンデル酸が含まれる。最も好ましいカルボン酸はギ酸であ
る。特定の態様においては、カルボン酸を水素供与体として用いる場合、そのカ
ルボン酸の少なくとも幾らかは好ましくは塩として、好ましくは、アミン、アン
モニウム又は金属塩として存在する。好ましくは、金属塩が存在する場合、その
金属は周期律表のアルカリもしくはアルカリ土類金属から選択され、より好まし
くはI族元素、例えば、リチウム、ナトリウムもしくはカリウムから選択される
。そのような塩の形成に用いることができるアミンには芳香族及び非芳香族アミ
ンの両者が含まれ、また一級、二級及び三級アミンも含まれ、これらは、典型的
には、1ないし20個の炭素原子を含む。三級アミン、特には、トリアルキルア
ミンが好ましい。塩の形成に用いることができるアミンの例には、トリメチルア
ミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン及びピリジンが含まれる
。最も好ましいアミンはトリエチルアミンである。カルボン酸の少なくとも幾ら
かがアミン塩として存在する場合、特には、ギ酸及びトリエチルアミンの混合物
が用いられる場合、酸のアミンに対するモル比は1:1ないし50:1、好まし
くは1:1ないし10:1、最も好ましくは約5:2である。カルボン酸の少な
くとも幾らかが金属塩として存在する場合、特には、ギ酸及びI族金属塩の混合
物が用いられる場合、酸の存在する金属イオンに対するモル比は1:1ないし5
0:1、好ましくは1:1ないし10:1、最も好ましくは約2:1である。酸
の塩に対する比は、いずれかの成分を添加することにより、しかしながら、通常
は、カルボン酸を添加することにより、反応の過程を通して維持することができ
る。
【0028】 水素供与体として用いることができる容易に脱水素化可能な炭化水素には、芳
香族化する傾向を有する炭化水素又は高度な共役系を形成する傾向を有する炭化
水素が含まれる。水素供与体として用いることができる、容易に脱水素化可能な
炭化水素の例には、シクロヘキサジエン、シクロヘキセン、テトラリン、ジヒド
ロフラン及びテルペンが含まれる。
【0029】 水素供与体として表すことができる清浄な還元剤(clean reducing agents)
には、高い還元電位を有する還元剤、特には、約−0.1eVを上回り、しばし
ば約−0.5eVを上回り、好ましくは約−1eVを上回る、標準水素電極に対
する還元電位を有するものが含まれる。水素供与体として表すことができる清浄
な還元剤の例には、ヒドラジン及びヒドロキシルアミンが含まれる。
【0030】 最も好ましい水素供与体は、プロパン−2−オール、ブタン−2−オール、ト
リエチルアンモニウムホルメート及びトリエチルアンモニウムホルメートとギ酸
との混合物である。しかしながら、式(1)の化合物がプロトン化イミニウム塩
である特定の態様においては、カルボン酸又はそれらの塩ではない水素供与体を
用いることが望ましい。
【0031】 R15で表すことができる、中性の置換されていてもよいヒドロカルビル又はペ
ルハロゲン化ヒドロカルビル配位子には、置換されていてもよいアリール及びア
ルケニル配位子が含まれる。
【0032】 R15で表すことができる置換されていてもよいアリール配位子は、シクロアル
キル、アリールもしくは複素環式環を含む、1つの環又は2つ以上の縮合環を有
することができる。好ましくは、この配位子は6員芳香族環を含む。アリール配
位子の環(1つもしくは複数)は、しばしば、ヒドロカルビル基で置換されてい
る。置換パターン及び置換基の数は変化し、存在する環の数によって影響を受け
ることがあるが、しばしば1つないし6つのヒドロカルビル置換基が存在し、好
ましくは2つ、3つもしくは6つのヒドロカルビル基、より好ましくは6つのヒ
ドロカルビル基が存在する。好ましいヒドロカルビル置換基には、メチル、エチ
ル、イソプロピル、メンチル、ネオメンチル及びフェニルが含まれる。特には、
アリール配位子が単環である場合、その配位子は、好ましくは、ベンゼン又は置
換ベンゼンである。配位子がペルハロゲン化ヒドロカルビルである場合、好まし
くは、多ハロゲン化ベンゼン、例えば、ヘキサクロロベンゼン又はヘキサフルオ
ロベンゼンである。ヒドロカルビル置換基が鏡像異性及び/又はジアステレオ異
性中心を有する場合、これらの鏡像異性的及び/又はジアステレオ異性的に純粋
な形態を用いることが好ましい。ベンゼン、p−シミル(p-cymyl)、メシチレ
ン及びヘキサメチルベンゼンが特に好ましい配位子である。
【0033】 R15で表すことができる置換されていてもよいアルケニル配位子には、C2-30 、好ましくはC6-12のアルケン又はシクロアルケンが含まれ、これらは、好まし
くは、2つ以上の炭素−炭素二重結合、好ましくは2つだけの炭素−炭素二重結
合を有する。炭素−炭素二重結合は、存在し得る他の不飽和系と共役していても
よいが、好ましくは互いに共役する。これらのアルケン又はシクロアルケンは、
好ましくは、ヒドロカルビル置換基で置換されていてもよい。アルケンが二重結
合を1つだけ有する場合、置換されていてもよいアルケニル配位子は2つの別々
のアルケンを含むことができる。好ましいヒドロカルビル置換基には、メチル、
エチル、イソプロピル及びフェニルが含まれる。置換されていてもよいアルケニ
ル配位子の例には、シクロ−オクタ−1,5−ジエン及び2,5−ノルボルナジ
エンが含まれる。シクロ−オクタ−1,5−ジエンが特に好ましい。
【0034】 A又はBのいずれかが、−NR16−、−NHR16、NR1617、−NR20−、
−NHR20もしくはNR1920で表されるアミド基であり、ここで、R17及びR 19 が前に定義される通りであり、かつR16又はR20が−C(O)R18もしくは−
C(O)R21で表されるアシル基である場合、R18及びR21は、独立に、しばし
ば直鎖もしくは分岐鎖C1-7アルキル、C1-8−シクロアルキル又はアリール、例
えば、フェニルである。R16又はR20で表すことができるアシル基の例には、ベ
ンゾイル、アセチル及びハロゲノアセチル、特にはトリフルオロアセチル基が含
まれる。
【0035】 A又はBのいずれかが−NR18−、−NHR16、NR1617、−NR20−、−
NHR20又はNR1920で表されるスルホンアミド基として存在し、ここで、R 17 及びR19が前に定義される通りであり、かつR16又はR20が−S(O)218
又は−S(O)221で表されるスルホニル基である場合、R18及びR21は、独
立に、しばしば直鎖もしくは分岐鎖C1-8アルキル、C1-8シクロアルキル又はア
リール、例えば、フェニルである。好ましいスルホニル基には、メタンスルホニ
ル、トリフルオロメタンスルホニル及び、特には、p−トルエンスルホニル基及
びナフチルスルホニル基が含まれる。
【0036】 A又はBのいずれかが−NR16−、−NHR16、NR1617、−NR20−、−
NHR20又はNR1920で表される基として存在し、ここで、R17及びR19が前
に定義される通りであり、かつR16又はR20がC(O)NR1822、C(S)N
1822、C(=NR22)SR23、C(=NR22)OR23、C(O)NR2124 、C(S)NR2124、C(=NR24)SR25又はC(=NR24)OR25で表さ
れる基である場合、R18及びR21は、独立に、しばしば直鎖もしくは分岐鎖C1- 8 アルキル、例えば、メチル、エチル、イソプロピル、C1-8シクロアルキル又は
アリール、例えば、フェニル基であり、かつR22-25は、しばしば、各々独立に
、水素又は直鎖もしくは分岐鎖C1-8アルキル、例えば、メチル、エチル、イソ
プロピル、C1-8シクロアルキル又はアリール、例えば、フェニル基である。
【0037】 Bが−OR19、−SR19、−PR19−又は−PR1921で表される基として存
在する場合、R19及びR21は、独立に、しばしば直鎖もしくは分岐鎖C1-8アル
キル、例えば、メチル、エチル、イソプロピル、C1-8シクロアルキル又はアリ
ール、例えば、フェニルである。
【0038】 A及びBの正確な性質が、A及び/又はBが形式上金属に結合しているのか、
又は孤立電子対によって金属に配位しているのかによって決定されることは認識
されるであろう。
【0039】 A及びB基は連結基Eによって結合する。この連結基Eは、A及びBの両者が
金属Mに結合又は配位できるようなA及びBの適切な立体配座を達成する。A及
びBは、一般には、2、3又は4個の原子を介して連結する。A及びBを連結す
るEの原子は1つ以上の置換基を担持することができる。Eの原子、特には、A
又はBに対してアルファ位の原子は、複素環式環、好ましくは飽和環、及び、好
ましくは5、6又は7員環を形成するような様式でA及びBに連結することがで
きる。このような環は1つ以上の他の環と縮合していてもよい。しばしば、A及
びBを連結する原子は炭素原子である。好ましくは、A及びBを連結する炭素原
子の1つ以上がA又はBに加えて置換基を担持する。置換基には、上で定義され
るR1を置換し得るものが含まれる。そのような置換基は、金属Mに配位しない
基であるように選択することが有利である。好ましい置換基には、上で定義され
るハロゲン、シアノ、ニトロ、スルホニル、ヒドロカルビル、ペルハロゲン化ヒ
ドロカルビル及びヘテロシクリル基が含まれる。最も好ましい置換基はC1-6
ルキル基、及びフェニル基である。最も好ましくは、A及びBは2個の炭素原子
、特には、置換されていてもよいエチル部分によって連結される。A及びBが2
個の炭素原子によって連結される場合、A及びBを連結するこれら2つの炭素原
子は芳香族又は脂肪族環状基、特には、5、6もしくは7員環の一部を構成して
いてもよい。そのような環は1つ以上の他のそのような環と縮合していてもよい
。Eが2炭素原子分離を表し、かつそれらの炭素原子の一方もしくは両者が上に
定義される置換されていてもよいアリール基を担持するか、又はEが、フェニル
環に縮合していてもよいシクロペンタンもしくはシクロヘキサン環を含む2炭素
原子分離を表す態様が特に好ましい。
【0040】 Eは、好ましくは、少なくとも1つの立体特異的中心を有する化合物の一部を
構成する。A及びBを連結する2、3もしくは4個の原子のいずれかもしくは全
てがこれらの原子の1個以上に対して少なくとも1つの立体特異的中心を定義す
るように置換される場合、それらの立体特異的中心の少なくとも1つがA又はB
基のいずれかに隣接する原子に位置することが好ましい。そのような立体特異的
中心が少なくとも1つ存在する場合、それは鏡像異性的に純粋な状態で有利に存
在する。
【0041】 Bが−O−又は−OHを表し、かつEにおける隣接原子が炭素である場合、B
はカルボン酸基の一部を形成しないことが好ましい。 A−E−Bによって表すことができるか、又は脱プロトン化によってA−E−
Bを誘導することができる化合物は、しばしば、4−アミノアルカン−1−オー
ル、1−アミノアルカン−4−オール、3−アミノアルカン−1−オール、1−
アミノアルカン−3−オール、特には2−アミノアルカン−1−オール、1−ア
ミノアルカン−2−オール、3−アミノアルカン−2−オール及び2−アミノア
ルカン−3−オール、特に2−アミノエタノールもしくは3−アミノプロパノー
ルを含むアミノアルコール、又は1,4−ジアミノアルカン、1,3−ジアミノ
アルカン、特には1,2−もしくは2,3−ジアミノアルカン、特にエチレンジ
アミンを含むジアミンである。A−E−Bで表すことができるさらなるアミノア
ルコールは、好ましくはフェニル環に縮合している、2−アミノシクロペンタノ
ール及び2−アミノシクロヘキサノールである。A−E−Bで表すことができる
さらなるジアミンは、好ましくはフェニル環に縮合している、1,2−ジアミノ
シクロペンタン及び1,2−ジアミノシクロヘキサンである。アミノ基は有利に
N−トシル化することができる。ジアミンがA−E−Bで表される場合、好まし
くは、少なくとも1つのアミノ基がN−トシル化されている。これらのアミノア
ルコール又はジアミンは、特には連結基Eで、少なくとも1つのアルキル基、例
えばC1-4−アルキル、特にはメチル基、又は少なくとも1つのアリール基、特
にはフェニル基によって有利に置換される。
【0042】 A−E−Bで表すことができる化合物、及びそれらを誘導することができるプ
ロトン化等価物の具体的な例は以下のものである:
【0043】
【化8】
【0044】 好ましくは、これらの鏡像異性的及び/又はジアステレオ異性的に純粋な形態
が用いられる。例には、(1S,2R)−(+)−ノルエフェドリン、(1R,
2S)−(+)−シス−1−アミノ−2−インダノール、(1S,2R)−2−
アミノ−1,2−ジフェニルエタノール、(1S,2R)−(−)−シス−1−
アミノ−2−インダノール、(1R,2S)−(−)−ノルエフェドリン、(S
)−(+)−2−アミノ−1−フェニルエタノール、(1R,2S)−2−アミ
ノ−1,2−ジフェニルエタノール、N−トシル−(1R,2R)−1,2−ジ
フェニルエチレンジアミン、N−トシル−(1S,2S)−1,2−ジフェニル
エチレンジアミン、(1R,2S)−シス−1,2−インダンジアミン、(1S
,2R)−シス−1,2−インダンジアミン、(R)−(−)−2−ピロリジン
メタノール及び(S)−(+)−2−ピロリジンメタノールが含まれる。
【0045】 Mで表すことができる金属には、移動水素化を触媒することが可能である金属
が含まれる。好ましい金属には遷移金属、より好ましくは周期律表のVIII族の金
属、特にはルテニウム、ロジウム又はイリジウムが含まれる。金属がルテニウム
である場合、好ましくは原子価状態IIで存在する。金属がロジウム又はイリジウ
ムである場合、好ましくは原子価状態Iで存在する。
【0046】 Yで表すことができるアニオン基には、ハイドライド、ヒドロキシ、ヒドロカ
ルビルオキシ、ヒドロカルビルアミノ及びハロゲン基が含まれる。好ましくは、
ハロゲンがYで表される場合、そのハロゲンはクロリドである。ヒドロカルビル
オキシ又はヒドロカルビルアミノ基がYで表される場合、その基はその反応にお
いて利用される水素供与体の脱プロトン化から誘導することができる。
【0047】 Yで表すことができる塩基性配位子には、水、C1-4アルコール、C1-8一級も
しくは二級アミン、又はその反応系に存在する水素供与体が含まれる。Yで表さ
れる好ましい塩基性配位子は水である。
【0048】 最も好ましくは、A−E−B、R15及びYの性質は、その触媒がキラルである
ように選択される。そのような場合、鏡像異性的及び/又はジアステレオ異性的
に純粋な形態が好ましく用いられる。そのような触媒は、非対称性移動水素化法
において最も有利に用いられる。多くの態様において、触媒のキラリティーはA
−E−Bの性質に由来する。
【0049】 この方法は、特にYが空の部位ではない場合、好ましくは塩基の存在下におい
て実施する。塩基のpKaは、好ましくは少なくとも8.0、特には少なくとも
10.0である。都合のよい塩基は、アルカリ金属の水酸化物、アルコキシド及
び炭酸塩;三級アミン及び四級アンモニウム化合物である。好ましい塩基は、ナ
トリウム2−プロポキシド及びトリエチルアミンである。水素供与体が酸ではな
い場合、用いられる塩基の量は触媒のモルを基準にして5.0まで、一般には3
.0まで、しばしば2.5まで、特には1.0ないし3.5の範囲であり得る。
水素供与体が酸である場合、水素供与体を導入する前に触媒を塩基と接触させる
ことができる。そのような場合、水素供与体を導入する前の、塩基の触媒に対す
るモル比は、しばしば1:1ないし3:1、好ましくは約1:1である。
【0050】 気体状水素が存在していてもよいが、それは不必要であると思われるため、こ
の方法は、通常、気体状水素の不在下で実施される。 この方法は、二酸化炭素の実質的な不在下で行うことが有利である。
【0051】 水素供与体の脱水素化からの生成物(1種類もしくは複数種類)が揮発性、例
えば、100℃未満で沸騰する場合、この揮発性生成物を除去することが好まし
い。この除去は、好ましくは大気圧未満での、蒸留によって、又は不活性ガス噴
霧の使用によって達成することができる。減圧蒸留を用いる場合、その圧力はし
ばしば500mmHg以下、一般には200mmHg以下、好ましくは5ないし
100mmHgの範囲、最も好ましくは10ないし80mmHgである。水素供
与体の脱水素化からの生成物(1種類もしくは複数種類)が気体状物質である場
合、例えば、ギ酸が水素供与体として存在する場合、その除去は、最も好ましく
は、例えば窒素を用いる、不活性ガス噴霧の使用によって達成される。
【0052】 適切には、この方法は、マイナス78ないしプラス150℃、好ましくはマイ
ナス20ないしプラス110℃、より好ましくはマイナス5ないしプラス60℃
の範囲の温度で行われる。基質、式(1)の化合物の初期濃度は、モル濃度ベー
スで、適切には0.05ないし1.0の範囲であり、都合のよいより大規模の操
作に対しては、例えば6.0まで、特には0.25ないし2.0である。基質の
触媒に対するモル濃度比は、適切には50:1以上で50000:1までが可能
であり、好ましくは100:1ないし5000:1、より好ましくは200:1
ないし2000:1である。水素供与体は、基質よりモル濃度過剰、特には5な
いし20倍、都合が許すのであれば、より多く、例えば500倍までで好ましく
用いられる。反応後、混合物を標準手順によって後処理する。
【0053】 反応の間、溶媒、好ましくは極性溶媒、より好ましくは極性非プロトン性溶媒
、例えば、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド又はジクロロメタンが存在し
得る。都合のよいことには、水素供与体は、それが反応温度で液体である場合に
は溶媒であってもよく、又は希釈剤と組み合わせて用いることができる。通常は
、実質的な水の不在下で実施することが好ましいが、水が反応を妨げるものとは
思われない。水素供与体又は反応溶媒が水と混和性ではなく、かつ所望の生成物
が水溶性である場合には、生成物を抽出し、平衡を移動させ、かつ反応の進行に
伴う生成物の光学的純度の喪失を防止する第2相として水を存在させることが望
ましいものであり得る。基質の濃度は、反応時間、収量及び鏡像異性過剰を最適
化するように選択することができる。
【0054】 触媒種は、実質的には、上記式に表される通りであるものと信じられる。これ
はオリゴマーもしくは複分解生成物として、固体支持体上で用いることができ、
又はインサイチュで生成させてもよい。
【0055】 特定の態様においては、特定の触媒がイミニウム塩の移動水素化に好ましいこ
とが見出されている。A−E−BがN−トシルジアミン、好ましくはモノ−N−
トシルジアミン、特にはモノ−N−トシル化エチレンジアミンから誘導される触
媒が好ましい。特には、Mがルテニウム(II)でもあり、かつR15がアリール基
を表すか、又はMがイリジウム(I)もしくはロジウム(I)であり、かつR15 がシクロ−オクタジエンである。さらに、トリエチルアミンが塩基として好まし
く用いられ、ギ酸及びトリエチルアミンの5:2(ギ酸:トリエチルアミン)の
好ましい比の混合物が水素供与体として好ましく用いられ、かつイミニウム塩が
好ましくはプロトン化イミンであるか、又はヨーダイド、ホルメートもしくはト
リフルオロアセテート対イオンを伴うメチル化もしくはベンジル化イミンである
。Yが空の部位ではなく、かつMがロジウムもしくはイリジウムであって原子価
状態(I)にある場合、A−E−Bは2つの配位結合(A及びBの両者における
ヘテロ原子の孤立電子対がMと配位する)によってMに結合し、これに対して、
Mがルテニウムであって原子価状態(II)にある場合には、A−E−Bは1つの
配位結合及び1つの定石通りの結合によってMに結合する。
【0056】 触媒は、金属アリールもしくはアルケニルハライド複合体を上で定義される式
A−E−Bの化合物、又はそれを誘導することができるプロトン化等価物と反応
させることによって製造することができ、Yが空の部位を表す場合には、それら
の生成物を塩基と反応させる。金属アリールもしくはアルケニルハライド複合体
は、好ましくは、Mがルテニウム(II)であるときには式[MR1522を、M
がイリジウムもしくはロジウム(I)であるときには式[MR15Z]2を有し、
ここで、R15は上に定義される通りであり、かつZはハライド、特にはクロリド
を表す。
【0057】 本発明による触媒の調製には、好ましくは、溶媒が存在する。適切な反応温度
は0−100℃の範囲、例えば、20−70℃であり、この温度でしばしば0.
5−24.0時間の反応時間がかかる。反応が完了した後、所望であれば触媒を
単離することができるが、より好都合には溶液として保存するか、又は調製後直
ちに使用する。この溶液は水素供与体を含むことができ、これは、二級アルコー
ルである場合、工程(a)及び/又は(b)に存在してもよく、又はそこで溶媒
として用いることもできる。この調製及び後の取り扱いは、好ましくは不活性雰
囲気下、特には二酸化炭素及び酸素非含有条件で行うべきである。
【0058】 触媒又は触媒溶液は、一般には、移動水素化反応における使用直前、又は使用
中のいずれかに塩基で処理する。これは、溶液中の触媒もしくは溶液中の式(1
)の化合物に塩基を添加することによって、又は移動水素化反応に添加すること
によって達成することができる。
【0059】 イミニウム塩は、一般には、公知の文献法、例えば、イミンをアルキル化剤で
処理することによるもののようなイミンの四級化によって得ることができる。 移動水素化は、触媒の溶液を基質、一般式Iの化合物の溶液に移動させること
によって達成することができる。あるいは、基質の溶液を触媒の溶液に添加する
こともできる。塩基は、触媒溶液及び/又は基質溶液に予め添加することができ
、又は後に添加することができる。水素供与体は、既に触媒溶液中に存在しない
場合には、基質溶液に添加することができ、又は反応混合物に添加することがで
きる。
【0060】 本発明を以下の実施例によって説明する。 実施例1 N−メチル−1−フェニル−6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリ
ウムヨウ化物の還元
【0061】
【表1】
【0062】 反応に先立ち、全ての溶媒を脱気した。例えば: 100mlの無水プロパン−2−オールをシリンジにより密封清浄乾燥丸底フラ
スコに加え;溶媒が沸騰し始めるまで圧力を低下させて窒素を3回充填すること
により、又は溶液を通して少なくとも20分間窒素を泡立てることにより脱気し
た。
【0063】 (R,R)−N−トシル−1,2−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン及び
ルテニウム化合物を計量して清浄乾燥 Schlenk フラスコに入れた。フラスコに
‘Suba-seal’(RTM)で栓をした。その内容物を排出した後、室温で窒素を
3回交換することによりパージした。混合物を80℃で1時間加熱した。その後
、プロパン−2−オール溶媒を真空中で除去し、結晶を真空中、周囲温度で2時
間乾燥させた。その残滓をアセトニトリルに溶解して2.49mM溶液を形成し
た。
【0064】
【表2】
【0065】 N−メチル−1−フェニル−6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノ
リニウムヨウ化物をアセトニトリル(2ml)に溶解した後、脱気した。これに
、アセトニトリル(2ml)中の触媒の溶液を添加した。トリエチルアミン/ギ
酸混合物[2:5]を添加することにより反応を開始させた。反応物を規則的な
間隔でサンプリングした。これらの試料(0.25ml)は、各々、ジクロロメ
タン(4ml)を添加することによって直ちに後処理し、有機相を飽和炭酸水素
ナトリウム溶液(3ml)で洗浄した。有機相を固体無水硫酸マグネシウムと接
触させることによって乾燥させ、次いでその固体を濾過した後、直ちに真空中で
溶媒を除去した。これらの試料を1H NMRによって分析した。
【0066】 20時間後、反応が完了した(>98%変換)。 実施例2 N−メチル−1−フェニル−6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリ
ニウムヨウ化物の還元
【0067】
【表3】
【0068】 反応に先立ち、全ての溶媒を脱気した。例えば: 100mlの無水プロパン−2−オールをシリンジにより密封清浄乾燥丸底フラ
スコに加え;溶媒が沸騰し始めるまで圧力を低下させて窒素を3回充填すること
により、又は溶液を通して少なくとも20分間窒素を泡立てることにより脱気し
た。
【0069】 (R,R)−N−トシル−1,2−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン及び
ルテニウム化合物を計量して清浄乾燥 Schlenk フラスコに入れた。フラスコに
‘Suba-seal’(RTM)で栓をした。その内容物を排出した後、室温で窒素を
3回交換することによりパージした。混合物を80℃で1時間加熱した。その後
、プロパン−2−オール溶媒を真空中で除去し、結晶を真空中、周囲温度で2時
間乾燥させた。その残滓をアセトニトリルに溶解して2.49mM溶液を形成し
た。
【0070】
【表4】
【0071】 N−メチル−1−フェニル−6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノ
リニウムヨウ化物をアセトニトリル(3ml)に溶解した後、脱気した。これに
、アセトニトリル(3ml)中の触媒の溶液を添加した。トリエチルアミン/ギ
酸混合物[2:5]を添加することにより反応を開始させた。反応物を規則的な
間隔でサンプリングした。これらの試料(0.25ml)を、各々、ジクロロメ
タン(4ml)を添加することによって直ちに後処理し、有機相を飽和炭酸水素
ナトリウム溶液(3ml)で洗浄した。有機相を固体無水硫酸マグネシウムと接
触させることによって乾燥させ、次いでその固体を濾過した後、直ちに真空中で
溶媒を除去した。これらの試料を1H NMRによって分析した。
【0072】 2日後、反応が69%eeで完了した(>99%変換)。 実施例3ないし6 一般手順 反応に先立ち、全ての溶媒を脱気した。例えば: 100mlの無水アセトニトリルをシリンジにより密封清浄乾燥丸底フラスコに
加え;溶媒が沸騰し始めるまで圧力を低下させて窒素を3回充填することにより
、又は溶液を通して少なくとも20分間窒素を泡立てることにより脱気した。
【0073】 還元体系として用いるトリエチルアミン/ギ酸混合液を以下のように調製した
。新たに蒸留したギ酸(41.5ml、50.6g、1.1モル)をトリエチル
アミン(58.8ml、44.82g、0.44モル)に、攪拌及び冷却(氷浴
)しながら窒素雰囲気下で徐々に添加し、5:2モル濃度比のギ酸:トリエチル
アミンからなる混合液を得た。 出発物質の調製 N−メチル−1−フェニル−6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリ
ニウムヨウ化物の調製
【0074】
【表5】
【0075】 アセトン中の1−フェニル−6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノ
リンの攪拌溶液にヨウ化メチルを添加し、その反応混合物を室温で16時間攪拌
した。淡黄色の沈殿が形成された。副生物及び未反応ヨウ化メチルを真空中で除
去し、所望の化合物を収率93%で得た。 N−メチル−1−メチル−6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリニ
ウムヨウ化物の調製
【0076】
【表6】
【0077】 アセトン中の1−メチル−6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリ
ンの攪拌溶液にヨウ化メチルを添加し、その反応混合物を室温で16時間攪拌し
た。明黄色の沈殿が形成された。副生物及びヨウ化メチルを真空中で除去し、所
望の化合物を収率95%で得た。 N−ベンジル−1−メチル−6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリ
ニウム臭化物の調製
【0078】
【表7】
【0079】 アセトン中の1−メチル−6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリ
ンの攪拌溶液に臭化ベンジルを添加し、その反応混合物を室温で16時間攪拌し
た。黄色の沈殿が形成され、それを濾過して氷冷アセトンで洗浄し、真空中で乾
燥させた。この生成物を、ヘキサン/ジクロロメタン混合液及びペンタンからの
再結晶化によってさらに精製し、所望の化合物を収率81%で得た。 N−ベンジル−インドレニニウム臭化物の調製
【0080】
【表8】
【0081】 アセトン中のインドレニンの攪拌溶液に臭化ベンジルを添加し、その反応混合
物を室温で16時間攪拌した。沈殿が形成され、それを濾過して真空中で濃縮し
た。その生成物を、ヘキサン/ジクロロメタン混合液及びペンタンからの再結晶
化によってさらに精製し、所望の化合物を収率10%で得た。 移動水素化反応 実施例3 N−メチル−1−フェニル−6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリ
ニウムヨウ化物の移動水素化
【0082】
【表9】
【0083】 (R,R)−N−トシル−1,2−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン、二
塩化ルテニウム二量体及びN−メチル−1−フェニル−6,7−ジメトキシ−3
,4−ジヒドロイソキノリニウムヨウ化物を計量し、清浄乾燥 Schlenk フラス
コに入れた。そのフラスコを‘Suba-seal’(RTM)で栓をし、空気を抜いた
後、窒素を3回充填した。固体をアセトニトリルに溶解し、窒素噴霧を適用した
。この反応混合物を5−10分攪拌した後、ギ酸/トリエチルアミン混合物を添
加して反応を開始させた。反応物を規則的な間隔でサンプリングした。これらの
試料(0.25ml)を、ジクロロメタン(4ml)を添加することによって直
ちに後処理し、有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液(4ml)で洗浄した。有
機相を固体無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後、固体を濾別し、溶媒を真空中
で除去して白色粉末を得た。これらの試料をキラルHPLCによって分析した。
2時間後に反応は87%完了し、7時間後に反応は>98%完了して所望の生成
物が〜60%eeで形成された。 実施例4 N−メチル−1−メチル−6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリニ
ウムヨウ化物の移動水素化
【0084】
【表10】
【0085】 (R,R)−N−トシル−1,2−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン及び
二塩化ルテニウム二量体を秤量して清浄乾燥 Schlenk フラスコに入れた。この
フラスコを‘Suba-seal’(RTM)で栓をし、空気を抜いた後、窒素を3回充
填した。固体をイソプロパノールに溶解した。その反応混合物を一晩攪拌した後
、N−メチル−1−メチル−6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリ
ニウムヨウ化物を添加した。ひとたび固体が溶解したら、ナトリウムイソプロポ
キシドを一度に添加して反応を開始させた。その反応混合物を40℃に加熱し、
攪拌した。
【0086】 反応物を規則的な間隔でサンプリングした。これらの試料(0.25ml)を
直ちに後処理した。溶媒を真空中で除去し、残滓をジクロロメタン(4ml)に
取った。有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液(4ml)で洗浄した。有機相を
固体無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後、固体を濾別し、溶媒を真空中で除去
してオフホワイトの粉末を得た。これらの試料を1H NMRによって分析し、
eeをキラルHPLCによって決定した。
【0087】 48時間後、反応は72%完了し、所望の生成物が63%eeで形成された。 実施例5 N−ベンジル−1−メチル−6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリ
ニウム臭化物の移動水素化
【0088】
【表11】
【0089】 (R,R)−N−トシル−1,2−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン及び
二塩化ルテニウム二量体を計量して清浄乾燥 Schlenk フラスコに入れた。この
フラスコを‘Suba-seal’(RTM)で栓をし、空気を抜いた後、窒素を3回充
填した。固体をイソプロパノールに溶解した。その反応混合物を一晩攪拌した後
、N−ベンジル−1−メチル−6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノ
リニウムヨウ化物を添加した。ひとたび固体が溶解したら、ナトリウムイソプロ
ポキシドを一度に添加して反応を開始させた。その反応混合物を40℃に加熱し
、攪拌した。
【0090】 反応物を規則的な間隔でサンプリングした。これらの試料(0.25ml)を
直ちに後処理した。溶媒を真空中で除去し、残滓をジクロロメタン(4ml)に
取った。有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液(4ml)で洗浄した。有機相を
固体無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後、固体を濾別し、溶媒を真空中で除去
してオフホワイトの粉末を得た。これらの試料を1H NMRによって分析し、
eeをキラルHPLCによって決定した。
【0091】 48時間後、反応は73%完了し、所望の生成物が69%eeで形成された。 実施例6 N−ベンジル−インドレニニウム臭化物の移動水素化
【0092】
【表12】
【0093】 (R,R)−N−トシル−1,2−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン、二
塩化ルテニウム二量体及びN−ベンジル−インドレニニウム臭化物を計量して清
浄乾燥 Schlenk フラスコに入れた。このフラスコを‘Suba-seal’(RTM)で
栓をし、空気を抜いた後、窒素を3回充填した。固体をアセトニトリルに溶解し
た。その反応混合物を5−10分間攪拌した後、ギ酸/トリエチルアミン混合物
を添加して反応を開始させた。これらの試料(0.25ml)を、ジクロロメタ
ン(4ml)を添加することによって直ちに後処理し、有機相を飽和炭酸水素ナ
トリウム溶液(4ml)で洗浄した。有機相を固体無水硫酸マグネシウムで乾燥
させた後、固体を濾別し、溶媒を真空中で除去して白色粉末を得た。これらの試
料を1H NMRによって分析した。
【0094】 22時間後、還元は>98%完了していた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07M 7:00 C07M 7:00 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C U,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GD ,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN, IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,L K,LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK ,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO, RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,T M,TR,TT,UA,UG,US,UZ,VN,YU ,ZA,ZW (72)発明者 キャンベル,リンネ イギリス国ウェスト・ヨークシャー エイ チディー2・1エフエフ,ハダースフィー ルド,リーズ・ロード,ピー・オー・ボッ クス エイ38 Fターム(参考) 4C034 AB20 4C204 AB20 CB03 DB01 FB10 GB01 4G069 AA06 BA27A BA27B BC70A BC70B BC71A BC74A BE14A BE14B BE21A BE36A BE37A BE37B BE46A BE46B CB02 CB57 CB62 4H006 AA02 AB84 AC50 AC81 BA22 BA23 BA24 BA39 BA44 BA46 BA81 BA92 4H039 CA42 CB30

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(1)の化合物の移動水素化方法であって、 【化1】 (ここで; Xは(NR34+-、N+5−O-、(NR6OR7+-、(NR8NR91 0+-、(NR8NR9C(=NR11)R12+-、(NR8NR9SO213+
    -、又は(NR8NR9COR14+-を表し; Q-は、一価アニオンを表し; R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、及びR11は、各々独
    立に、水素原子、置換されていてもよいヒドロカルビル、ペルハロゲン化ヒドロ
    カルビル又は置換されていてもよいヘテロシクリル基を表し、R1及びR2、R1
    及びR3、R2及びR4、R3及びR4、R1及びR5、R1及びR6、R2及びR7、R1 及びR8、R1及びR9、R6及びR7、R8及びR9並びにR9及びR10はうちの1つ
    以上が置換されていてもよい環(1つもしくは複数)を形成するような方法で結
    合していてもよく;並びに R12、R13及びR14は、各々独立に、置換されていてもよいヒドロカルビル、
    ペルハロゲン化ヒドロカルビル又は置換されていてもよいヘテロシクリル基を表
    す。) 式(1)の化合物を触媒の存在下において水素供与体と反応させることを含み、
    該触媒が下記一般式: 【化2】 (ここで: R15は中性の置換されていてもよいヒドロカルビル又はペルハロゲン化ヒドロ
    カルビル配位子を表し; Aは−NR16−、−NR17−、−NHR16、−NR1617又は−NR1718
    表し、ここで、R16はH、C(O)R18、SO218、C(O)NR1822、C
    (S)NR1822、C(=NR22)SR23又はC(=NR22)OR23であり、R 17 及びR18は、各々独立に、置換されていてもよいヒドロカルビル、ペルハロゲ
    ン化ヒドロカルビル又は置換されていてもよいヘテロシクリル基を表し、かつR 22 及びR23は、各々独立に、水素又はR18について定義される基であり; Bは−O−、−OH、OR19、−S−、−SH、SR19、−NR19−、−NR 20 −、−NHR20、−NR1920、−NR1921、−PR19−又は−PR1921 を表し、ここで、R20はH、C(O)R21、SO221、C(O)NR2124
    C(S)NR2124、C(=NR24)SR25又はC(=NR24)OR25であり、
    19及びR21は、各々独立に、置換されていてもよいヒドロカルビル、ペルハロ
    ゲン化ヒドロカルビル又は置換されていてもよいヘテロシクリル基を表し、かつ
    24及びR25は、各々独立に、水素又はR21について定義される基であり; Eは連結基を表し; Mは移動水素化を触媒することが可能な金属を表し;並びに Yはアニオン基、塩基性配位子又は空の部位を表し; ただし、Yが空の部位ではない場合、A又はBの少なくとも1つは水素原子を
    担持する。) を有することを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 Xが(NR34+Qを表し、R1、R2、R3及びR4が、各々独立に、置換さ
    れていてもよいヒドロカルビル、ペルハロゲン化ヒドロカルビルもしくは置換さ
    れていてもよいヘテロシクリル基を表すか、又はR1及びR2、R1及びR3、R2
    及びR4並びにR3及びR4のうちの1つ以上が置換されていてもよい環(1つも
    しくは複数)を形成するような様式で連結していてもよい、請求項1に記載の方
    法。
  3. 【請求項3】 MがVIII族遷移金属、特にはルテニウム、ロジウム又はイリジウムである、請
    求項1又は2のいずれかに記載の方法。
  4. 【請求項4】 R15が置換されていてもよいアリール又は置換されていてもよいアルケンであ
    る、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 【請求項5】 A−E−Bが、好ましくは置換されていてもよい2−アミノエタノール、置換
    されていてもよい3−アミノプロパノール及び置換されていてもよいエチレンジ
    アミンから選択される、アミノアルコール又はジアミンであるか、又はそれらか
    ら誘導される、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 【請求項6】 A又はBのいずれかがアシル又はスルホニル基、好ましくは、トルエンスルホ
    ニル、メタンスルホニル、トリフルオロメタンスルホニル又はアセチル基を担持
    する、請求項5に記載の方法。
  7. 【請求項7】 A−E−Bが以下のもののうちの1つであるか、又はそれから誘導される請求
    項5に記載の方法。 【化3】
  8. 【請求項8】 式(1)の化合物がプロキラルであり、かつ触媒がキラルであって、鏡像異性
    的及び/又はジアステレオ異性的に純粋な形態の触媒が用いられ、それにより式
    (1)の化合物を非対称的に水素化する、請求項1ないし7のいずれかに記載の
    方法。
  9. 【請求項9】 A−E−Bが少なくとも1つの立体特異的中心を含む、請求項8に記載の方法
  10. 【請求項10】 水素供与体が水素、一級及び二級アルコール、一級及び二級アミン、カルボン
    酸及びそれらのエステル及びアミン塩、容易に脱水素化可能な炭化水素、清浄な
    還元剤、並びにそれらのあらゆる組み合わせから選択される、請求項1ないし9
    のいずれか1項に記載の方法。
  11. 【請求項11】 水素供与体がトリエチルアミン及びギ酸の混合物である、請求項10に記載の
    方法。
  12. 【請求項12】 水素供与体の脱水素化に由来する生成物を不活性ガス噴霧又は真空蒸留によっ
    て除去する、請求項1ないし11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 【請求項13】 A−E−BがN−トシルジアミンであるか、又はそれから誘導されるものであ
    る触媒の存在下で、式(1)の化合物を移動水素化する、請求項1ないし12の
    いずれか1項に記載の方法。
  14. 【請求項14】 少なくとも8.0のpKaを有する塩基の存在下において実施される、請求項
    1ないし13のいずれか1項に記載の方法。
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