JP2002520065A - ケトンの立体選択的還元的アミノ化 - Google Patents

ケトンの立体選択的還元的アミノ化

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JP2002520065A JP2000560276A JP2000560276A JP2002520065A JP 2002520065 A JP2002520065 A JP 2002520065A JP 2000560276 A JP2000560276 A JP 2000560276A JP 2000560276 A JP2000560276 A JP 2000560276A JP 2002520065 A JP2002520065 A JP 2002520065A
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Abstract

(57)【要約】 ある種のケトカルボン酸誘導体を立体選択的に酵素的変換して対応のアルキルアミノ酸化合物を製造する方法を記載する。本発明はまた、フェニルアラニンデヒドロゲナーゼを発現しうる組換え核酸を含有する遺伝子操作した酵母宿主細胞、並びにフェニルアラニンデヒドロゲナーゼ酵素を発現しうる組換え核酸およびギ酸デヒドロゲナーゼ酵素を発現しうる核酸を含有する遺伝子操作した宿主細胞にも関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (技術分野) 本発明は、立体選択的な酵素的還元的アミノ化プロセスに関する。
【0002】 (背景技術) 米国特許第5,508,272号のRoblは、式:
【化15】 (式中、Aは式:
【化16】 である)で示される化合物を中性エンドペプチダーゼおよびアンジオテンシン変
換酵素阻害活性を有するものとして開示している。これら化合物のなかには、[
4S−[4α(R),7α,10αβ]]−オクタヒドロ−4−[(2−メルカプト−
1−オキソ−3−フェニルプロピル)アミノ]−5−オキソ−7H−ピリド[2,1
−b][1,3]チアゼピン−7−カルボン酸が含まれ、これは現在、臨床評価を受
けている段階である。
【0003】 Roblは、この化合物のアミノラクタム部分、すなわち式:
【化17】 で示される中間体が、(S)−2−アミノ−6,6−ジメトキシヘキサン酸メチル
エステルなどのアルキルエステル化合物を式:
【化18】 (式中、Pはアミノ保護基であり、Pは硫黄保護基である)で示されるN−
保護アミノ酸とカップリングさせて式:
【化19】 で示されるジペプチドを得ることにより調製できることを開示している。P
護基を除去した後、酸触媒環化ついでP保護基を除去すると、[4S−(4α,
7α,10αβ)]−オクタヒドロ−4−アミノ−5−オキソ−7H−ピリド[2,
1−b][1,3]チアゼピン−7−カルボン酸メチルエステルが得られる。
【0004】 Roblは、N−保護L−ε−ヒドロキシノルロイシンをそのメチルエステルに変
換し、対応のアルデヒド、たとえば式:
【化20】 で示されるものに酸化し、ついで強い酸触媒の存在下でオルトギ酸トリメチルと
反応させ、ついでP保護基を除去することにより、(S)−2−アミノ−6,6
−ジメトキシヘキサン酸メチルエステルなどの(S)−2−アミノ−6,6−ジア
ルコキシヘキサン酸アルキルエステルを調製することを開示している。
【0005】 (発明の開示) 本発明は、ある種のケトカルボン酸誘導体を立体選択的に酵素的変換して対応
のアルキルアミノ酸化合物を生成する方法を提供する。本発明の酵素的方法によ
って調製したアミノ化合物は、N−(トリフルオロアセチル)−L−ホモシステイ
ン,(1→1')−ジスルフィドなどの化合物を用いて対応の(S)−2−アミノ−6
,6−ジアルコキシヘキサン酸アルキルエステルまたはそのような化合物の安定
な塩、たとえばリン酸塩、シュウ酸塩または二塩に都合よく変換することができ
る。
【0006】 さらに詳しくは、本発明は、式(式I):
【化21】 (式中、Rは水素または一価カチオンまたはC−C18アルキル(好ましく
はC−C10アルキル、さらに好ましくは低級アルキル)、Rは式:
【化22】 で示される残基、式:
【化23】 (式中、各RはC−C18アルキル(好ましくはC−C10アルキル、さ
らに好ましくは低級アルキル))で示される残基、または式:
【化24】 (式中、各RはHまたはR)で示される残基)で示されるアルキルアミノ酸
化合物の製造方法に関し、該方法は、式(式II):
【化25】 (式中、Rは前記と同じ、Rは前記と同じ)で示されるアルキルケト化合物
をアンモニアおよび補因子の存在下、式Iの化合物の生成に適した条件下でアミ
ノ酸デヒドロゲナーゼに接触させることを含む。
【0007】 本発明はまた、フェニルアラニンデヒドロゲナーゼ酵素を発現しうる組換え核
酸およびギ酸デヒドロゲナーゼ酵素を発現しうる内生または組換え核酸を含む遺
伝子操作した酵母宿主細胞に関する。
【0008】 (発明の詳細な記載) 上記式において、一価カチオンは、たとえばリチウム、カリウム、ナトリウム
、アンモニウムなどであってよい。Rは水素、アンモニウム、リチウムまたは
カリウムであるのが好ましく、Rは式:
【化26】 で示されるジオキソラン残基であるのが好ましい。Rは低級アルキル、とりわ
けメチルであるのが好ましい。
【0009】 本発明の最も好ましい還元的アミノ化法は、還元的アミノ化による5−(1,3
−ジオキソラン−2−イル)−2−オキソ−ペンタン酸の5−(1,3−ジオキソ
ラン−2−イル)−2S−アミノ−ペンタン酸(L−アリシンエチレンアセター
ル)への変換であり、これは以下のように表される。
【化27】 (式中、Rは水素またはリチウム)。
【0010】 本明細書において単独または他の基の一部として使用する「アルキル」なる語
は、任意に置換された(しかしながら、置換されないのが好ましい)、好ましく
は主鎖中に1〜10個の炭素を有する直鎖および分枝鎖飽和炭化水素基を意味す
る。置換されていないそのような基の例としては、メチル、エチル、プロピル、
イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、イ
ソヘキシル、ヘプチル、4,4−ジメチルペンチル、オクチル、2,2,4−トリ
メチルペンチル、ノニル、デシルなどが挙げられる。アルキル基は本発明におい
て使用するのに適した化合物を提供する適当な置換基で置換されていてよい。ア
ルキル基の置換基の例としては、1またはそれ以上、好ましくは3またはそれ以
下の塩素基、臭素基、またはヨード基が挙げられる。 本明細書において使用する「低級アルキル」なる語は、1〜3個の炭素原子を
有するアルキル基を意味する。
【0011】 本発明の還元的アミノ化法は、鏡像異性体特異的な結果が得られるという利点
を有する。本発明の方法は、好ましい鏡像異性体と好ましくない鏡像異性体との
ラセミ混合物よりも(S)鏡像異性体を主として生成する。特定の態様のさらな
る利点としては、たとえば、多工程の化学合成と比較して単一工程での鏡像異性
体特異的還元が挙げられる。また、とりわけ約40℃にて周囲圧で還元を触媒し
た場合に、ケトン化合物から対応アミン化合物の所望の鏡像異性体への高変換、
および該アミン化合物の高鏡像異性体純度が得られる。
【0012】 酵素的な変換法に関し、RがLiなどの一価カチオンである場合は、単離手
順は一般にpHの低下を含み、これはカチオンをHに変換する。 本発明において使用するアミノ酸デヒドロゲナーゼは、本明細書に記載する立
体選択的な酵素的還元的アミノ化を触媒しうるものであればいかなるアミノ酸デ
ヒドロゲナーゼであってもよい。酵素源としての酵素的または微生物的材料は、
遊離の形態かまたは物理的吸着や包括などにより支持体上に固定化して使用して
よい。
【0013】 適当な酵素は、その由来または純度に係りなく、アミノ酸デヒドロゲナーゼと
称される酵素である。使用する酵素は、たとえば、菌体浮遊液をホモジナイズし
、ついで分解し、遠心分離し、DEAE−セルロースクロマトグラフィーにかけ
、硫酸アンモニウム分画し、セファクリル(アリルデキストランとN,N'−メチ
レンビスアクリルアミドとの架橋コポリマー)クロマトグラフィーなどのゲル濾
過媒体を用いたクロマトグラフィーにかけ、ついでモノQ(第四級アミン基によ
り負に荷電した生体分子を結合する陰イオン交換体)クロマトグラフィーなどの
イオン交換クロマトグラフィーにかけることにより単離した酵素であってよい。
【0014】 別の態様として、本発明の還元的アミノ化法は酵素源として完全な菌体または
菌体抽出物を用いてよい。微生物の使用に関しては、本発明の方法は、本明細書
に記載する立体選択的な酵素的還元を触媒しうる適当な微生物材料を用いて行う
ことができる。たとえば、菌体は、完全な湿潤菌体または凍結乾燥した菌体、噴
霧乾燥した菌体もしくは加熱乾燥した菌体などの乾燥菌体の形態、または破砕し
た菌体もしくは菌体抽出物などのような処理した菌体材料の形態で用いてよい。
適当な微生物としては、細菌、酵母および真菌の種、たとえば、Bacillus種、た
とえばB. subtilis、Sporosarcina種、Thermoactinomyces種、たとえばT. inter
mediusなどが挙げられる。
【0015】 遺伝的に操作した微生物の使用もまた包含される。宿主細胞は、本明細書に記
載する触媒をなし得る1またはそれ以上のアミノ酸デヒドロゲナーゼを発現する
単一もしくは複数の遺伝子を含むように修飾した菌体、たとえば、Escherichia
coli、Pichia pastorisなどであってよい。 以下にさらに詳細に説明するように、本発明のある種の好ましい遺伝子操作し
た微生物はまた、補因子(ギ酸デヒドロゲナーゼなど)を再生する第二の酵素を
も発現する。この第二の酵素をコードする核酸は、内生のものであるか、または
組換え法により菌体中に遺伝子操作したもののいずれであってもよい。
【0016】 Pichia属、とりわけPichia pastoris種、特にPichia pastoris ATCC74
408およびPichia pastoris ATCC74433株の微生物を用いるのが特に
好ましい。他の好ましい微生物は、E. coliATCC98374である。本明細
書において使用する「ATCC」なる語は、本明細書において言及する微生物の
アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(特許寄託(Patent Depositor
y)、バージニア20110−2209、マナサス、ユニバーシティー・ブール
バード、10801番)寄託の受託番号をいう。Pichia pastoris ATCC74
408は、ブダペスト条約の規定の下、ATCCに1997年3月26日に寄託
してある。Pichia pastoris ATCC74433は、ブダペスト条約の規定の下
、ATCCに1998年2月13日に寄託してあり、E. coli ATCC9837
4は、ブダペスト条約の規定の下、ATCCに1997年3月26日に寄託して
ある。本発明において菌体抽出物またはこれら微生物から単離した酵素を用いる
のもまた特に好ましい。
【0017】 本発明の立体選択的な酵素的還元法は、使用した微生物の発酵後に行うことも
できるし(2工程の発酵および還元)、または微生物の発酵と同時に行うことも
でき、後者の場合はその場での(in situ)発酵および還元(単一工程の発酵お
よび還元)による。単一工程法では、微生物の充分な増殖が達成されるまで微生
物を適当な培地で増殖させる。ついで、式IIの化合物を微生物の培養液に加え、
好ましくは完全な変換が得られるまで発酵とともに立体選択的な酵素的還元を継
続させる。
【0018】 2工程法では、微生物を第一の工程において適当な培地で所望の酵素(すなわ
ち、還元的アミノ化)活性が示されるまで増殖して発酵させる。引き続き、菌体
を遠心分離により回収し、回収した菌体を適当な緩衝液に浮遊させることにより
微生物菌体の浮遊液を調製する。トリス−HCl、リン酸、酢酸ナトリウムなど
の緩衝液を用いることができる。微生物菌体の浮遊液を調製するのに水を用いる
こともできる。第二の工程において、式IIの化合物を微生物菌体の浮遊液と混合
し、微生物菌体の浮遊液により触媒して該化合物の立体選択的な酵素的還元を行
う。還元は、すべてまたは殆どすべての式IIの化合物が立体選択的に還元される
まで行うのが好ましい。
【0019】 微生物の増殖は、適当な培地を用いることにより当業者によって行うことがで
きる。微生物の増殖に適した培地としては、微生物菌体の増殖に必要な栄養素を
提供するものが挙げられる。増殖のための典型的な培地は、必要な炭素源、窒素
源、および微量元素を含む。インデューサーを加えてもよい。本明細書において
使用する「インデューサー」なる語は、微生物菌体内での所望の酵素的還元的ア
ミノ化活性の生成を促進する化合物、たとえばケト基を含有する化合物などを包
含する。式Iの化合物を微生物の増殖の際にインデューサーとして加えてよい。
遺伝的に操作した酵母および細菌培養液については、メタノールおよびイソプロ
ピルベータガラクトシド(IPTG)がそれぞれ良好なインデューサーである。
【0020】 炭素源としては、マルトース、乳糖、グルコース、フルクトース、グリセロー
ル、ソルビトール、ショ糖、デンプン、マンニトール、プロピレングリコールな
どの糖類;ギ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムなどの有機酸
;グルタミン酸ナトリウムなどのアミノ酸;メタノール、エタノール、プロパノ
ールなどのアルコールが挙げられる。
【0021】 窒素源としては、N−ZアミンA、コーンスティープリッカー(corn steep l
iquor)、ソイビーンミール(soy bean meal)、牛肉エキス、酵母エキス、イー
スタミン(yeastamine)、糖蜜、パン酵母、トリプトン、ニュートリソイ(nutr
isoy)、ペプトン、亜硝酸ナトリウム、硫酸アンモニウムなどが挙げられる。 微量元素としては、リン酸、およびマグネシウム、マンガン、カルシウム、コ
バルト、ニッケル、鉄、ナトリウムおよびカリウム塩が挙げられる。 使用する培地は、1を超える炭素源または窒素源または他の栄養素を含んでい
てよい。
【0022】 Thermoactinomyces種に好ましい培地は、以下の成分(重量%)を有する水性
培地である。 成分 L−フェニルアラニン 0.5% NZアミンA 2% 酵母エキス 0.5% KHPO 0.2% NaHPO 0.1% MgSO・HO 0.02% 界面活性剤(antifoam) 0.02% (たとえばSAG5693) pH6.5−6.9
【0023】 E. coliに好ましい培地は、以下の成分(重量%)を有する水性培地である。 成分 NZアミンA 1% イースタミン 2% グリセロール 2% NaHPO 0.6% KHPO 0.3% (NH)SO 0.125% プロピレングリコール 0.05% MgSO・7HO 0.0246% カナマイシン 0.005% イソプロピルβ−D−チオガラクトシド 0.00238% pH7.0−7.2
【0024】 酵母に好ましい培地は、以下の成分(重量%)を有する水性培地である。 培地1: 成分 アミノ酸不含の酵母窒素ベース 1.34% ペプトン 2.0% 酵母エキス 1.0% グリセロール 1.0% メタノール 0.5% KHPO 0.282% KHPO 1.14% ビオチン 4×10−5% 界面活性剤 0.01% (すなわちA289) pH6.0 培地1で酵母を増殖するに際しては、必要に応じてメタノールを供給すること
によりメタノール濃度を約0.5%に保持した。
【0025】 培地2: 成分 ペプトン 2.0% 酵母エキス 1.0% グルコース 2.0% 界面活性剤A289 0.01% pH6.0 培地のpHを、特定の培地(たとえば、121℃の温度で30分間滅菌したも
の)に依存して約6〜8に調節し、ついで滅菌後に所望のpHに調節するのが好
ましい。
【0026】 本発明の方法は、式Iの化合物を生成するのに適した条件下で行う。培地のp
Hは、微生物の増殖に際して好ましくは約4〜10、さらに好ましくは約6〜8
に保持する。立体選択的な還元法に際しては、酵素を用いるにせよ微生物を用い
るにせよpHを約7〜9.5、好ましくは約8に保持する。
【0027】 温度は立体選択的な還元法に利用できる熱エネルギーの基準であり、この方法
に充分なエネルギーが利用できることを保証すべく維持しなければならない。本
発明の方法に適した温度範囲は、約15℃〜約60℃である。好ましい温度は約
25℃〜約40℃である。 圧力については本発明を行うに際して重要であるか否かは判明しておらず、便
宜上、大気圧を典型的に用いる。
【0028】 微生物を増殖させる場合は、本発明の方法は好気的条件下で行うのが好ましい
。反応混合物の攪拌および通気は、発酵プロセスおよび立体選択的な還元プロセ
スの際に利用できる酸素の量に影響を及ぼし、単一工程または2工程プロセスで
の微生物の増殖の際にたとえば振盪フラスコ培養または発酵タンクで行うことが
できる。50〜500RPMの範囲の攪拌が好ましく、50〜100RPMが最
も好ましい。1分間当たり、培地1容量当たりに約0.1〜10容量の空気の通
気(0.1〜10v/v/分)が好ましく、1分間当たり、培地1容量当たりに
約5容量の空気の通気(5v/v/分)が最も好ましい。
【0029】 還元プロセスを微生物の増殖後の第二の段階で行う場合は、酸素が必要か否か
は判明しておらず、有害であるかもしれない。 式IIの化合物の完全な変換には、式IIの化合物を本明細書に記載する酵素また
は微生物で最初に処理した時点から測定して、たとえば約4〜48時間、好まし
くは約12〜30時間を要する。
【0030】 本発明の立体選択的な酵素的還元法は、補因子を用いて行う。補因子は、ケト
酸の還元のためのメディエーター(mediator)として働く。補因子の量は、通常
、約0.05〜約2mM、好ましくは約0.5〜約1mMである。本発明において
有用な補因子は、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、還元型N
AD(NADH)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)
、および還元型NADP(NADPH)である。最も好ましいのはNADHであ
る。補因子の使用は単離酵素を用いる場合に必要である。たとえば、NADHは
再生され、再利用される。補因子をその場で(in situ)再生するのが好ましい
。再生のための好ましい手段は、補因子を再生する第二のタイプの酵素、たとえ
ば、ギ酸デヒドロゲナーゼ(FDH)、グルコースデヒドロゲナーゼ、アルコー
ルデヒドロゲナーゼなどである。適当な水素ドナーとしては、分子状水素、グル
コース、エタノールまたはギ酸塩(たとえば、ギ酸のアルカリ金属塩またはアン
モニウム塩)が挙げられる。
【0031】 化学的な還元(たとえば、亜ジチオン酸の使用)またはビオロゲン、たとえば
メチルビオロゲンの存在下での電気化学的な還元もまた用いることができる。好
ましい態様において、反応に際して産生されたNADは、FDHを用いたギ酸の
二酸化炭素への酸化により、またはグルコースデヒドロゲナーゼを用いたグルコ
ースのグルコン酸への酸化により、NADHに再利用されるのが好ましい。好ま
しい態様において、単一の宿主細胞株をPDHおよびFDHの両者の源として用
いる。特に好ましい態様において、組換えまたは遺伝子操作した宿主細胞を、ア
ミノ酸デヒドロゲナーゼ、とりわけPDHの源として、およびFDHの源として
用いる。予期しないことに、本発明に使用するのに好ましい微生物、すなわちPi
chia pastoris、ATCC74408は、組換えPDHを発現すべく遺伝子操作
されているのみならず、内生のFDH活性レベルもまた増大していることが見出
された。本発明に使用するのに適した他の微生物、すなわちPichia pastoris A
TCC74433は、組換えPDHおよび組換えFDHの両者を発現すべく遺伝
子操作されている。
【0032】 有機液、または混和性のまたは非混和性の(2相)有機/水性液混合物も用い
ることができるが、水性液を反応媒体として用いるのが好ましい。 式IIの出発物質化合物および反応媒体の合計重量に基づいて0.1〜25重量
%の式IIの化合物を用いるのが好ましい。出発物質に対して使用する酵素または
微生物の量は、本発明の立体選択的な酵素的還元の触媒が可能となるように選択
する。
【0033】 本発明の立体選択的な還元プロセスの生成物は、所望なら抽出、蒸留、結晶化
、カラムクロマトグラフィーなどの知られた方法により単離および精製すること
ができる。 反応媒体の残留化合物から式Iの所望の化合物を分離するのに好ましい方法は
、水分を除去して濃縮し、ついでメタノールを加えてアミノ酸を析出することで
ある。
【0034】 本発明において有用な好ましいアミノ酸デヒドロゲナーゼは、上記式IIのケト
ンに対して活性のアミノ酸デヒドロゲナーゼから選択する。そのようなアミノ酸
デヒドロゲナーゼとしては、アラニンデヒドロゲナーゼ、フェニルアラニンデヒ
ドロゲナーゼ、ロイシンデヒドロゲナーゼ、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、バ
リンデヒドロゲナーゼなどが挙げられる。本発明はまた、とりわけ全菌体または
粗製の抽出物を用いる場合には、2またはそれ以上のアミノ酸デヒドロゲナーゼ
の使用をも包含する。本発明において有用なアミノ酸デヒドロゲナーゼは、典型
的に様々な植物、動物、および微生物由来のものである。あるいは、本発明にお
いて有用な酵素は、当業者に知られた方法による合成手段、すなわちその成分ア
ミノ酸からのポリペプチドの化学的合成により得ることもできる。たとえば、Ho
ughtonらのProc.Natl.Acad.Sci.82,5131-5135(1985)に記載された固相法を用い
ることができる。これら酵素は、所望の酵素(内生のまたは組換えの酵素)をコ
ードするDNA配列を発現する原核または真核宿主細胞での産生により、または
所望の酵素の全体または一部をコードするDNA配列によりコードされるmRN
Aのインビトロ翻訳により、得ることができる。これら手段によるポリペプチド
製造の技術は当該技術分野で知られており、本明細書に記載してある。本発明に
おいて有用な酵素の特定の例示としては、これらに限られるものではないが、ウ
シ肝臓グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、Bacillus subtilisからのアラニンデヒ
ドロゲナーゼ、Sporosarcina種からのフェニルアラニンデヒドロゲナーゼ、Baci
llus sphaericus ATCC4522からのロイシンデヒドロゲナーゼ、Thermoac
tinomyces intermedius ATCC33205からの抽出物(フェニルアラニンデ
ヒドロゲナーゼ、アラニンデヒドロゲナーゼおよびロイシンデヒドロゲナーゼの
源)などが挙げられる。
【0035】 本発明の方法はアンモニアを必要とする。アンモニアが必要なのは、それがア
ミノ酸化合物(すなわち、式Iの化合物)のためのアミノ基を供給するからであ
る。アンモニア源としては、NHOH、尿素とウレアーゼ、およびHCOON
が挙げられる。アンモニアの量は、典型的にケト酸化合物(すなわち、式II
の化合物)の量と等モルかまたはそれ以上である。
【0036】 酵素的還元的アミノ化プロセスの条件は、使用した酵素の種類により大きく変
わりうる。たとえば、Thermoactinomyces/ギ酸デヒドロゲナーゼの組合せの場
合は、約35℃〜約45℃、好ましくは約40℃の温度で、約12〜約48時間
、好ましくは約25時間の反応時間が典型的に適している。
【0037】 本発明の方法は、高収率の式Iの化合物という結果となる。典型的な収率は約
80%よりも大きく、好ましくは約90%よりも大きく、さらに好ましくは約9
5%よりも大きく、最も好ましくは約99%よりも大きい。本発明の方法はまた
、優れた光学純度、すなわち、所望でない(R)鏡像異性体に比べて所望の(S
)鏡像異性体の産生という結果となる。典型的な光学純度は、約95%よりも高
く、好ましくは約99%よりも高い。
【0038】 本発明の還元的アミノ化プロセスにより製造された化合物(たとえば、L−ア
リシンエチレンアセタール)は、米国特許第5,508,272号(その全体を参
照のため本明細書中に引用する)に開示されているエステル誘導体に容易に変換
することができる。このエステル誘導体は、米国特許第5,508,272号に開
示されているように、心血管疾患の治療のためのアンジオテンシン変換酵素(A
CE)および中性エンドプロテアーゼ(NEP)の両者を阻害するバソペプチダ
ーゼインヒビターを調製するための構築材料である。それゆえ、本発明はまた、
式Iのジオキソランアセタール含有化合物を対応エステル誘導体に変換する任意
の工程をも包含する。さらに詳しくは、この任意のエステル化の追加工程は、ジ
オキソランアセタール残基、すなわち、Rが式:
【化28】 で示される残基(もし存在するなら)、または式:
【化29】 で示される残基(もし存在するなら)、または式:
【化30】 で示される残基であるものをジアルコキシアセタールと交換し、ついでカルボン
酸(もし存在するなら)をアルキルエステルに変換して所望の化合物、(S)−
2−アミノ−6,6−ジアルコキシヘキサン酸アルキルエステルとすることを含
む。このことは、化合物Iをメタノールまたは高級アルコールなどの適当な溶媒
中で塩化チオニルと反応させるか、または化合物Iをメタノールなどの適当な溶
媒中で無水HCl(気体としてまたはTMSClからまたは相当の手段により得
たもの)および亜硫酸ジメチルと反応させて、式(式III):
【化31】 (式中、各RはC−C18アルキル(好ましくはC−C10アルキル、さ
らに好ましくは低級アルキル、最も好ましくはメチル))で示されるエステル化
合物を生成することにより行うことができる。
【0039】 上記エステル化工程において、条件が重要であるか否かは判明しておらず、た
とえば、約0〜約45℃、好ましくは約35〜約40℃の温度で、約8〜約72
時間、好ましくは約6〜約9時間の反応時間が一般に適当である。この工程は、
HCl、窒素またはアルゴンなどの雰囲気で行うのが好ましい。この反応の結果
は、完全なアミノ基かまたはアミノ塩のいずれかとなり、そのいずれもRoblに記
載の反応に用いることができる。
【0040】 本発明の酵素的還元的アミノ化プロセスのためのケト出発物質を調製するため
、式(式IV)を有するハロアルキル化合物(式中、nは0〜5(好ましくは2
)、XはCl、BrまたはI(好ましくはBr))を出発物質として用いる。好
ましくは式IVのブロモ誘導体をマグネシウムと反応させて式IVの化合物のオ
ルガノマグネシウム誘導体を生成させ、ついで該誘導体をテトラヒドロフラン(
THF)中、低温にてシュウ酸ジエチル(好ましい)またはシュウ酸ジメチルな
どのアルファジカルボニル化合物と反応させて式IIを有する化合物のエステル(
メチルまたはエチル)を得る。ついで、式IIのエステル誘導体をスキーム1に示
すように鹸化してR=Hである式IIの誘導体を得るか、またはさらに好ましく
はスキーム2に示すように鹸化してR=Liである式IIの誘導体として単離す
る。
【化32】
【0041】 式IVにおいてnが2または3であるハロ誘導体は、HBrを適当な出発物質
(テトラヒドロフランまたはテトラヒドロピラン)と反応させ、標準条件を用い
て酸化してアルデヒドとし、最後にハロアルデヒドを適当なアルコール(メチル
、エチルまたはプロピル)またはジオール(エチレングリコール、1,3−ジヒ
ドロキシプロパン、1,3−ジヒドロキシ−2,2−ジメチルプロパン)と反応さ
せて式IVの化合物を得ることにより調製することができる。別法として、式II
の化合物はまた、スキーム1または2に示す化学を用いて適当な市販のハロアル
コール、アルデヒドまたはアセタールから出発して調製できる。
【0042】スキーム1
【化33】
【0043】 本発明の他の製造法の例を以下(スキーム2)に示す。スキーム2
【化34】
【0044】 Roblの米国特許第5,508,272号に記載されているように、本発明の方法
により製造された化合物(本発明の式IIIの化合物またはRoblの式XXIIIの化合
物)またはその酸付加塩、たとえば(S)−2−アミノ−6,6−ジメトキシヘ
キサン酸メチルエステルは、式(式V):
【化35】 で示されるN−保護アミノ酸とカップリングさせて式(式VI):
【化36】 (式中、Pはベンジルオキシカルボニルやt−ブチルオキシカルボニルなどの
アミノ保護基またはフタルイミドなどのようなN−原子といっしょになって保護
基を形成する基、Pはアセチルやベンゾイルなどのメルカプト保護基)で示さ
れるジペプチドを得ることができる。このカップリング反応は、ベンゾトリアゾ
ール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホス
フェート、エチル−3−(3−ジメチルアミノ)プロピルカルボジイミド、ジシク
ロヘキシルカルボジイミド、または1H−ベンゾトリアゾール−1−オール、メ
タンスルホン酸エステルなどのカップリング試薬の存在下で行うのが好ましい。
【0045】 P保護基は、メタノール中のナトリウムメトキシドで処理するかまたはメタ
ノール中のp−トルエンスルホン酸で処理することにより式VIのジペプチドか
ら選択的に除去する。ついで、得られたメルカプタン化合物を、好ましくはトリ
フルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸などの強酸、または
Amberlyst15Rなどの市販のポリスチレンスルホネートポリマー型のイオン交換樹
脂で処理することにより酸触媒環化反応に供する。この環化反応は、塩化メチレ
ンやクロロホルムなどの非プロトン溶媒中で行うことができ、式(式VII):
【化37】 で示されるラクタムを得る。
【0046】 ついで、式VIIのラクタムを処理してPのN−保護基を除去し、ついで式(
式VIII):
【化38】 (式中、Rはメチルまたはフェニル)で示されるアシルメルカプトアルカノイ
ル側鎖と反応させて式(式IX):
【化39】 で示される化合物を得る。
【0047】 このカップリング反応は、塩化メチレンなどの有機溶媒中、1−エチル−3−
(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、ジシクロヘキシルカルボジイミ
ド、またはカルボニルジイミダゾールなどのカップリング試薬の存在下で行うこ
とができる。別法として、カップリングする前に式VIIIのアシルメルカプトア
ルカン酸を酸クロライド、混合酸無水物、対照酸無水物、活性エステルなどの活
性形に変換することができる。
【0048】 式VIIのラクタムからのP N−保護基の除去は、たとえば、PがN−原
子といっしょになってフタルイミド基を形成している場合にはヒドラジン一水和
物で処理することにより、またはPがベンジルオキシカルボニルである場合に
はヨードトリメチルシランまたはパラジウム/炭素および水素で処理することに
より、またはPがt−ブトキシカルボニルである場合にはジオキサンの塩酸ま
たは他の強酸で処理することにより行うことができる。 式IXの化合物からアシル基R−C(O)−を除去し、メチルエステル基をカ
ルボン酸に変換して所望の最終生成物が得られる。たとえば、Rがメチルであ
る場合は、メタノール中のナトリウムヒドロキシドで処理し、ついで酸水溶液で
処理すれば所望の化合物が得られる。
【0049】 4S−[4a(R),7a,10ab]]−オクタヒドロ−4−[(2−メルカプト
−1−オキソ−3−フェニルプロピル)アミノ]−5−オキソ−7H−ピリド[2,
1−b][1,3]チアゼピン−7−カルボン酸は、アンジオテンシン変換酵素およ
び中性エンドペプチダーゼ阻害活性を有する。この化合物および薬理学的に許容
しうるその塩は、Roblの米国特許第5,508,272号に記載されているように
高血圧や欝血性心不全などの心血管疾患の治療に有用である。この化合物は、ヒ
トなどの哺乳動物宿主に1日当たり、体重1kg当たり約0.1mg〜約100
mg、好ましくは1日当たり、体重1kg当たり約0.5mg〜約25mgにて
投与することができる。この化合物は経口で投与するのが好ましいが、非経口経
路および局所経路も採用することができる。1日の投与量は、単回にて投与でき
るし、または1日のうちの2〜4回に分けて投与することもできる。
【0050】 本発明はまた、ギ酸デヒドロゲナーゼ(FDH)をコードする組換えまたは内
生核酸配列およびフェニルアラニンデヒドロゲナーゼ(PDH)をコードする組
換えまたは内生核酸配列を含む遺伝子操作した酵母宿主細胞にも関する。好まし
くは、核酸分子はDNA分子であり、核酸配列はDNA配列である。本明細書に
おいてDNA配列はすべて左から右の方向が通常の5'から3'方向であるような
式により表示してある。本発明が修飾した配列を包含することもまた考えられる
。本明細書において使用するに際して「修飾した」なる語は、ヌクレオチド配列
またはポリペプチド配列に言及する場合に天然に見出される野生型の配列とは異
なるヌクレオチド配列またはポリペプチド配列を意味する。
【0051】 本発明の組換え宿主細胞は、組換えおよび/または天然の(内生の)FDHを
産生することができ、他の種からのPDHで形質転換または遺伝子操作して触媒
活性のあるPDHを発現することのできるあらゆる微生物であってよい。本発明
の宿主細胞の例としては、たとえば、Candida種、Saccharomyces種、Cephalospo
rium種、Fusarium種、Penicillium種、Pichia pastoris、Candida種、Escherich
ia種およびPseudomonas種が挙げられる。本発明の最も好ましい宿主細胞は、Pic
hia種、とりわけPichia pastorisである。
【0052】 酵母宿主細胞を形質転換するのに用いるPDH核酸は、宿主細胞で触媒活性の
あるPDHを発現する結果となりうるあらゆる核酸であってよい。たとえば、P
DH源をコードするPDH核酸配列は、Bacillus sphaericus、Bacillus badius
、Sporosarcina ureae、Bacillus faecalis、Corynebacterium equis、Rhodotor
ula glutinis、Brevibacterium種、Rhodococcus種、たとえばRhodococcus maris
などであってよい。好ましいPDH核酸は、Takada, H.ら、J.Biochem.,109,371
-376(1991)(その開示全体を参照のため本明細書中に引用する)に開示されてい
るようにThermoactinomyces intermedius ATCC33205からのPDH遺伝
子である。
【0053】 酵母宿主細胞を形質転換するのに用いる本発明のPDH(および任意にFDH
)配列は、当業者によく知られた種々の方法を用いて得ることができる。少なく
とも3つの択一的な主たる方法を用いることができる: (1)当該配列を含むゲノムDNAまたは相補的DNA(cDNA)からの二本
鎖DNA配列の単離; (2)当該DNA配列の化学的合成;および (3)ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による当該DNA配列の合成。
【0054】 第一のアプローチでは、PDH(および任意にFDH)の全部または一部をコ
ードするDNA配列を同定するためにゲノムライブラリーまたはcDNAライブ
ラリーをスクリーニングすることができる。たとえば、PDH(および任意にF
DH)の全部または一部をコードするDNA配列を同定するためにT. intermedi
usのゲノムDNAライブラリーをスクリーニングすることができる。種々の方法
を用いてゲノムDNAライブラリーまたはcDNAライブラリーをスクリーニン
グすることができる。
【0055】 たとえば、PDHの全部または一部をコードする標的ゲノムDNAまたはcD
NA中に存在する配列と二本鎖を形成する標識一本鎖DNAプローブ配列を、ゲ
ノムDNAまたはcDNA(一本鎖の形態に変性しておいたもの)のクローニン
グコピーに対して行うDNA/DNAハイブリダイゼーション法に用いることが
できる。 ゲノムDNAライブラリーまたはcDNAライブラリーはまた、イムノブロッ
ティング法を用いてPDH(および任意にFDH)の全部または一部をコードす
るゲノムDNAまたはcDNAをスクリーニングするために用いることができる
【0056】 イムノブロッティング法かまたはハイブリダイゼーション法に適した一つの典
型的なスクリーニング法では、ゲノムDNA(通常、ベクター中に含まれる)ま
たはcDNAライブラリーをまず寒天プレート上に広げ、ついでクローンをフィ
ルターメンブレン、たとえばニトロセルロースメンブレンに移す。ついで、クロ
ーンにDNAプローブをハイブリダイズさせるかまたは抗体を結合させてPDH
(および任意にFDH)の全部または一部をコードするゲノムDNAまたはcD
NAを含むクローンを同定することができる。
【0057】 第二のアプローチでは、PDH(および任意にFDH)をコードする本発明の
DNA配列を化学的に合成することができる。たとえば、PDH(および任意に
FDH)をコードするDNA配列を一連の100塩基オリゴヌクレオチドとして
合成することができ、これはヌクレオチドの正しい線状配列を形成するように連
続的にライゲート(適当な末端制限部位または相補的な末端配列により)するこ
とができる。
【0058】 第三のアプローチでは、PDH(および任意にFDH)をコードする本発明の
DNA配列をPCRを用いて合成することができる。簡単に説明すると、標的D
NA配列の反対鎖にハイブリダイズする長さが少なくとも15ヌクレオチドの合
成DNAオリゴヌクレオチドのペア(PCRプライマー)を用い、標的配列上の
DNAの挟まれた領域を酵素的に増幅させる。鋳型の熱変性、プライマーのアニ
ーリング、およびDNAポリメラーゼを用いたアニールしたプライマーの3'末
端の伸長のサイクルを繰り返すと、PCRプライマーの5'末端によって定めら
れるセグメントの増幅という結果となる。Whiteら、Trends Genet.5,185-189(19
89)を参照。
【0059】 PDH(および任意にFDH)をコードする本発明において有用なDNA配列
はまた修飾して(すなわち、変異させて)種々の変異体を調製することができる
。そのような変異は、縮重している、すなわち変異が変異コドンによってコード
されるアミノ酸配列を変化させるものであるか、または縮重していない、すなわ
ち変異が変異コドンによってコードされるアミノ酸配列を変化させないもののい
ずれであってもよい。これら修飾DNA配列は、当該技術分野で知られた種々の
方法を用い、たとえば、コードされるポリペプチド中の1またはそれ以上のアミ
ノ酸の欠失、置換、挿入、逆位または付加という結果となるようにPDH(およ
び任意にFDH)DNA配列を変異させることにより調製できる。たとえば、Mo
rinagaら、Bio/Technol.2,636-639(1984)、Taylorら、Nucl. Acids Res.13,8749
-8764(1985)およびKunkel, Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82,482-492(1985)に記載さ
れた部位特異的突然変異誘発法を用いることができる。さらに、部位特異的突然
変異誘発に使用するキットは市場の業者から購入することができる。たとえば、
部位特異的突然変異誘発のためのキットはAmersham Corp.(アーリントン・ハイ
ツ、イリノイ)から購入できる。さらに、Sayersら、Nucl. Acids Res.16,791-8
02(1988)に記載されているような破砕法、欠失法および先端切断(truncation)
法も用いることができる。本発明のポリペプチドを製造または使用するに際して
縮重変異および非縮重変異のいずれも有利である。たとえば、これら変異は、高
レベルの産生、容易な精製を可能とし、あるいはさらなる制限エンドヌクレアー
ゼ認識部位を提供する。そのような修飾したDNAおよびポリペプチド分子はす
べて本発明の範囲に包含される。
【0060】 本発明の酵母宿主細胞は、PDH(および任意にFDH)をコードするDNA
配列を含む発現ベクターを用いて都合よく形質転換することができる。発現ベク
ターは、実質的にTakada, H.ら、J.Biochem.,109,371-376(1991)に示されるよう
なPDHヌクレオチド配列を有するDNA配列の一つの全部または一部を含んで
いるのが好ましい。さらに好ましいのは、PDH(および任意にFDH)の全部
または一部をコードするDNA配列に作動可能に連結された1またはそれ以上の
調節DNA配列を含む発現ベクターである。この文脈において用いる「作動可能
に連結した」とは、調節DNA配列がPDH(および任意にFDH)をコードす
るDNA配列の複製および/または発現を指令しうることを意味する。
【0061】 本発明において有用な発現ベクターはまた、しばしば「プラスミド」の形態で
あり、これはそのプラスミドの形態では染色体に結合していない環状二本鎖DN
Aループをいう。しかしながら、本発明は、同等の機能を有しその後当該技術分
野において知られるようになる他の形態の発現ベクターをも包含することを意図
するものである。
【0062】 本発明において有用な発現ベクターは、典型的に複製起点、DNA配列の前(
すなわち、その上流)に位置するプロモーター(好ましくはAOX1などの誘導
性プロモーターまたはGAPなどの構成的プロモーター)、ついでPDH(およ
び任意にFDH)の全部または一部をコードするDNA配列を含む。PDH(お
よび任意にFDH)の全部または一部をコードするDNA配列の次には転写停止
配列および残りのベクターが続く。組換えFDH核酸を用いる場合は、FDH
DNAはPDHと同じベクターの一部であるかまたは別のベクターの一部であっ
てよい。発現ベクターはまた、当該技術分野で知られた他のDNA配列、たとえ
ば、発現産物に安定性を付与する安定性リーダー配列、発現産物を分泌させる分
泌リーダー配列、調節すべき(たとえば、増殖培地中の栄養素または他のインデ
ューサーの存在または不在によって)構造遺伝子の発現を可能とする配列、形質
転換した宿主細胞の表現型選択を可能とするマーカー配列、プラスミドに有糸分
裂安定性を付与する中心体などの安定性要素、および制限エンドヌクレアーゼに
より開裂部位を提供する配列を含んでいてよい。
【0063】 実際の発現ベクターの特性は、使用すべき宿主細胞と両立するものでなければ
ならない。たとえば、真菌または酵母細胞系でクローニングする場合は、発現ベ
クターは真菌または酵母細胞のゲノムから単離したプロモーター(たとえば、As
pergillus nidulansからのtrpCプロモーター、Pichia pastorisからのAO
X1プロモーター、およびP. pastorisからのGAPプロモーター)を含んでい
なければならない。ある種の発現ベクターは、自己複製配列(ARS;たとえば
、Fusarium oxysporum、Saccharomyces cerevisiaeなどからのARS)を含んで
いてもよく、これは真菌または酵母宿主での自己複製プラスミドのインビボ産生
を促進する。本発明の酵母発現ベクターは酵母ARS配列を有しておらず、それ
ゆえプラスミドが宿主細胞に入ったときに宿主染色体中に組み込まれるのが好ま
しい。そのような組み込みは、遺伝的な安定性が増大するので好ましい。本発明
に包含される発現ベクターは、少なくとも、酵母または真菌細胞中での複製およ
び組み込みを指令することができるものであり、好ましくは、Takada, H.ら、J.
Biochem.,109,371-376(1991)に開示されているPDH DNA配列をPichia細胞
中で発現しうるものである。
【0064】 適当なプロモーターとしては、たとえば、Aspergillus nidulansからのtrp
Cプロモーター、F. oxysporumからのペニシリンVアミダーゼプロモーター、Pi
chia pastorisからのGAPプロモーター、およびP. pastorisからのAOXプロ
モーターが挙げられる。適当な停止配列としては、たとえば、A. nidulansから
のtrpCターミネーター、F. oxysporumからのPVAターミネーター、および
P. pastorisからのAOX1ターミネーターが挙げられる。発現ベクターはまた
、選択マーカーをコードする配列を含んでいるのが好ましい。選択マーカーは抗
生物質耐性であるのが好ましい。選択マーカーとしてはG418耐性またはZeoc
in耐性を都合よく用いることができる。これら材料はすべて当該技術分野で知ら
れており、市販されている。
【0065】 特に好ましいのは以下に記載するpPDH9k/10、pPDH155K、お
よびpGAPk−PDHと称する発現ベクター(PDHをコードするDNA配列
を含む)、またはこれらプラスミドの同定特性を有する発現ベクターである。ま
た、FDHをコードするDNA配列を含むpGAPZ−FDHと称する発現ベク
ターも好ましい。
【0066】 プラスミドpPDH9k/10を含む宿主細胞Pichia pastoris株SMD11
68は、ブダペスト条約下、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(
「ATCC」)(マナサス、バージニア)に1997年3月26日に寄託してあ
り、ATCC受託番号74408を付与されている。 プラスミドpGAPk−PDHおよびpGAPZ−FDHを含む宿主細胞Pich
ia pastoris株GS115は、ブダペスト条約の規定下、ATCCに1998年
2月13日に寄託してあり、ATCC受託番号74433を付与されている。
【0067】 プラスミドpPDH155Kを含む宿主細胞Escherichia coli株BL21は、
ブダペスト条約の規定下、ATCCに1997年3月26日に寄託してあり、A
TCC受託番号98374を付与されている。 所望のコード配列および調節配列を含む適当な発現ベクターは、当該技術分野
で知られた標準組換えDNA法を用いて構築することができ、該方法の多くはSa
mbrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第2版、コールド・スプ
リングス・ハーバー・ラボラトリー、コールド・スプリングス・ハーバー、ニュ
ーヨーク(1989)に記載されている。
【0068】 本発明の宿主細胞は、PDHの全部または一部をコードするDNA配列の複製
および/または発現を指令することができ該DNA配列に作動可能に連結した1
またはそれ以上の調節DNA配列を含有する発現ベクターを含むのが好ましい。
宿主細胞は、たとえば、Cephalosporium acremonium、Fusarium oxysporumおよ
びPenicillium chrysogenum、Pichia pastoris、Candida boidinii、およびSacc
haromyces cerevisiae細胞であってよい。宿主細胞として特に好ましいのはPich
ia pastoris株である。
【0069】 発現ベクターは当該技術分野で知られた様々な方法により宿主細胞中に導入す
ることができる。たとえば、発現ベクターによる宿主細胞の形質転換は、ポリエ
チレングリコールによるプロトプラスト形質転換法によって行うことができる。
しかしながら、宿主細胞中に発現ベクターを導入するための他の方法、たとえば
、エレクトロポレーション、バイオリスティックインジェクション(biolistic
injection)、またはプロトプラスト融合も用いることができる。
【0070】 発現ベクターが適当な宿主細胞中に導入されたら、所望のポリペプチド、好ま
しい場合はPDH(および任意にFDH)を含むポリペプチド分子の大量の発現
を可能とする条件下で宿主細胞を培養する。それゆえ、本発明は、フェニルアラ
ニンデヒドロゲナーゼ(PDH)およびギ酸デヒドロゲナーゼ(FDH)の両者
を産生することのできる遺伝子操作した宿主細胞、好ましくは酵母に関し、その
際、該宿主細胞は、 (a)PDHをコードする組換え核酸、および任意にPDHをコードする内生の
核酸、および (b)FDHをコードする核酸であって、内生のものであるか、組換えのもので
あるか、または内生および組換えの両者であるもの を含む。
【0071】 PDH(および任意にFDH)の全部または一部をコードするDNA配列を含
有する発現ベクターを含む宿主細胞の同定は、以下の5つの一般的なアプローチ
の1またはそれ以上により行うことができる:(a)DNA−DNAハイブリダ
イゼーション;(b)マーカー遺伝子機能の存在または不在;(c)宿主細胞中
でのmRNA転写物の産生により測定される転写レベルの評価;(d)遺伝子産
物の免疫学的な検出;および(e)酵素アッセイ(酵素アッセイが好ましい同定
法である)。
【0072】 第一のアプローチでは、所望の酵素の全部または一部をコードするDNA配列
の存在を、該DNA配列に相補的なプローブを用いたDNA−DNAまたはRN
A−DNAハイブリダイゼーションにより検出することができる。 第二のアプローチでは、組換え発現ベクター宿主系をある種のマーカー遺伝子
機能(たとえば、アセトアミドの利用性、抗生物質に対する耐性、抗真菌剤に対
する耐性、ウラシル原栄養性など)の存在または不在に基づいて同定および選択
することができる。マーカー遺伝子は、酵素コード配列を制御するのに用いたも
のと同じまたは異なるプロモーターの制御下に酵素の全部または一部をコードす
るDNA配列と同じプラスミド中に配置することができる。誘導または選択に応
答したマーカー遺伝子の発現は、所望の酵素の全部または一部をコードするDN
A配列を含む全組換え発現ベクターの存在を指示する。
【0073】 第三のアプローチでは、酵素mRNA転写物の産生をハイブリダイゼーション
アッセイにより評価することができる。たとえば、ポリアデニル化RNAを、該
RNA配列に相補的なプローブを用いたノーザンブロッティングまたはヌクレア
ーゼ保護アッセイにより単離および分析することができる。別法として、宿主細
胞の全核酸を抽出し、そのようなプローブに対するハイブリダイゼーションにつ
いてアッセイすることができる。 第四のアプローチでは、所望の酵素の全部または一部の発現を、たとえばウエ
スタンブロッティングにより免疫学的にアッセイすることができる。 第五のアプローチでは、酵素の発現を公知の方法により酵素活性をアッセイし
て測定することができる。
【0074】 本発明の発現ベクター、プラスミドまたはDNA分子のDNA配列の決定は、
当該技術分野で知られた種々の方法により行うことができる。たとえば、Sanger
ら、Proc. Natl. Acad. Sic. USA 74,5463-5467(1977)に記載されたジデオキシ
チェインターミネーション法、またはProc. Natl. Acad. Sic. USA 74,560-564(
1977)に記載されたマクサム−ギルバート法。
【0075】 もちろん、発現ベクターおよびDNA調節配列のすべてが本発明のDNA配列
を発現するために同等にうまく機能するものではないであろうことが理解されね
ばらない。また、同じ発現ベクターですべての宿主細胞が同等にうまく機能する
ものではないであろう。しかしながら、当業者であれば、本明細書に開示した案
内に従い、不当な実験を行うことなく、また本発明の範囲から逸脱することなく
、発現ベクター、DNA調節配列、および宿主細胞を選択することができるであ
ろう。 組換えFDHを発現すべく遺伝子操作した宿主細胞を用いるのであれば、上記
と同様の手順を用い、適合させて宿主細胞を形質転換してFDHをコードする核
酸を含ませることができる。FDH核酸の適当な源はPichia種である。
【0076】 本発明によるPDH形質転換した宿主細胞はまた、FDHを発現しうる天然ま
たは内生の核酸をも含むのが好ましい。任意に、宿主細胞はまた、組換えPDH
核酸に加えてPDHをコードする内生の核酸をも含んでいてよい。それゆえ、発
現ベクターを挿入すべく選択した宿主細胞はFDH発現能を既に有しているのが
好ましい。予期しないことに、PDHの発現を指令しうる発現ベクターによるPi
chia細胞の形質転換はFDH発現の増大という結果となることが見出された。そ
のような細胞を本発明の酵素的変換プロセスに使用するのが好ましい。
【0077】 本発明はさらに、FDHを発現しうる組換えまたは内生の核酸およびPDHを
発現しうる発現ベクターを含有する遺伝子操作した宿主細胞を培養することを含
む、PDHまたはFDHの製造方法に関する。該発現ベクターは好ましくはpD
H9K/10である。
【0078】 本明細書において同定するアミノ酸残基はすべて天然のL−立体配置である。
標準的なポリペプチド命名法、J. Biol. Chem.243,3557-3559(1969)に従うため
、アミノ酸残基の略語を下記対応表に示す。 対応表 符号 アミノ酸 1文字 3文字 Y Tyr L−チロシン G Gly L−グリシン F Phe L−フェニルアラニン M Met L−メチオニン A Ala L−アラニン S Ser L−セリン I Ile L−イソロイシン L Leu L−ロイシン T Thr L−トレオニン V Val L−バリン P Pro L−プロリン K Lys L−リジン H His L−ヒスチジン Q Gln L−グルタミン E Glu L−グルタミン酸 W Trp L−トリプトファン R Arg L−アルギニン D Asp L−アスパラギン酸 N Asn L−アスパラギン C Cys L−システイン 本明細書においてアミノ酸配列はすべて、左から右の方向が通常のアミノ末端
からカルボキシ末端であるような式により表示してある。
【0079】 本発明において有用な核酸配列およびアミノ酸配列の対立遺伝子変異体が天然
に存在し、または当該技術分野で知られた方法を用いて意図的に導入しうること
が理解されるであろう。これら変異体は、全体の配列中の1またはそれ以上のア
ミノ酸の相違、または該配列中の1またはそれ以上のアミノ酸の欠失、置換、挿
入、逆位または付加によって示される。そのようなアミノ酸の置換は、たとえば
、関与するアミノ酸残基の極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性および/または
両親媒特性の類似性に基づいて行うことができる。たとえば、負に荷電したアミ
ノ酸にはアスパラギン酸およびグルタミン酸が含まれ、正に荷電したアミノ酸に
はリジンおよびアルギニンが含まれ、類似の親水価を有する非荷電の極性末端(
head)基または非極性末端基を有するアミノ酸には以下のものが含まれる:ロイ
シン、イソロイシン、バリン、グリシン、アラニン、アスパラギン、グルタミン
、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、チロシン。他に考えられる変異体と
しては、上記ポリペプチドの塩およびエステル、並びに上記ポリペプチドの前駆
体、たとえばN−末端置換基(メチオニン、N−ホルミルメチオニンおよびリー
ダー配列)を有する前駆体が挙げられる。そのような変異体はすべて本発明の範
囲に包含される。
【0080】 以下の実施例は本発明を説明するものであるが、本発明を限定することを意図
するものではない。実施例1〜6の反応をスキーム3に示す。スキーム3
【化40】
【0081】実施例1 種々の入手源からのアミノ酸デヒドロゲナーゼを用いた還元的アミノ化 最終容量1.0ml(pH8.7)の溶液は以下のものを含んでいた:1Mギ酸
アンモニウム(NHOHでpH8.7に調整したもの)、0.1M 5−(1,3
−ジオキソラン−2−イル)−2−オキソペンタン酸、1mM NAD、1mg
タンパク質/ml(Boehringer Mannheimからの0.53単位/mgタンパク質)
のCandida boidiniiからのギ酸デヒドロゲナーゼ、および表1に示すアミノ酸デ
ヒドロゲナーゼ。溶液を30℃で16時間インキュベートし、ついで高速液体ク
ロマトグラフィー(HPLC)分析のために試料を反応液から取り出した。その
結果を表1に示す。鏡像異性体の過剰は各場合に98%以上であった。
【0082】表1 デヒドロゲナーゼ 入手源 5−(1,3−ジオキソラン−2−イル) −(S)−2−アミノペンタン酸
単位 mM グルタミン酸 Sigma 76 1.03 アラニン Sigma 35.7 11.77 ロイシン 実験室内 22 14.01 フェニルアラニン Sigma 12.6 51.71 ロイシンデヒドロゲナーゼは、Bacillus sphaericus ATCC4525から部
分的に精製した。グルタミン酸デヒドロゲナーゼはウシ肝臓からのものであった
。アラニンデヒドロゲナーゼはBacillus subtilisからのものであった。フェニ
ルアラニンデヒドロゲナーゼはSporosarcina種からのものであった。
【0083】5−(1,3−ジオキソラン−2−イル)−(S)−2−アミノペンタン酸の光学純
度および量のHPLCアッセイ 試料を水で約5mMの濃度に希釈し、沸騰水浴中に1分間入れて反応を停止さ
せ、タンパク質を沈殿させた。冷却後、試料を0.2ミクロンのナイロンフィル
ターでHPLCバイアル中へ濾過した。 カラム:Chiralpak WH 25×0.46cm(Daicel Chemical Industries, Ltd.
) 移動相:0.3mM CuSO 流速:1ml/分 カラム温度:40℃ 検出:230ナノメーター(nm)に設定したDAD 注入容量:20マイクロリットル(μl) 保持時間:L−鏡像異性体28.044分、D−鏡像異性体23.842分。保持
時間はカラムの使用につれて低下するので試料の濃度に応じて変えることができ
る。検出できるD−鏡像異性体の最小パーセントは約1%である。
【0084】実施例2 Thermoactinomyces intermediusからの抽出物を用いた還元的アミノ化 Thermoactinomyces intermedius ATCC33205を、55℃の15L発酵
槽中、1.0%L−フェニルアラニン、0.1%L−グルタミン酸、1.0%ペプ
トン、0.5%酵母エキス、0.2%KHPO、0.1%NaClおよび0.0
2%MgSO・7HOを含有する培地上で増殖させた。接種19時間後に菌
体を回収し、−12℃で凍結保存した。凍結した菌体ペースト(8.0g)を2
00mlの50mMリン酸カリウム緩衝液(pH7)で洗浄し、16000×g
にて10分間遠心分離にかけた。菌体を1mMジチオトレイトールを含有する4
0mlの50mMリン酸カリウム緩衝液(pH7)中に再浮遊させた。この菌体
浮遊液を2分間超音波処理し、ついで16000×gにて10分間遠心分離にか
けた。上澄み液はフェニルピルビン酸の還元的アミノ化についてアッセイしたと
きに0.43単位PDH/mgタンパク質を含んでいた。
【0085】 1Mギ酸アンモニウム(25.22g)、0.1M 5−(1,3−ジオキソラン
−2−イル)−2−オキソペンタン酸(7.527g)、1mM NAD(274
mg)、1mMジチオトレイトール(61.6mg)、40U(76mgタンパ
ク質)のギ酸デヒドロゲナーゼ、および40ml(309mgタンパク質)のTh
ermoactinomyces intermedius抽出物を含有するpH8.7の溶液(400ml)
を調製した。ギ酸アンモニウムを300mlの水に溶解し、濃水酸化アンモニウ
ムを用いてpH8.7とし、ついで他の成分を加え、溶液を400mlとし、再
び濃水酸化アンモニウムを用いてpH8.7に調節した。この溶液を40℃にて
インキュベートした。さらに20mgのギ酸デヒドロゲナーゼを9時間および2
3時間にて加えた。21時間後、溶液はHPLC分析による測定で80.1mM
のL−5−(1,3−ジオキソラン−2−イル)−(S)−2−アミノペンタン酸を
含んでいた。この濃度は29時間後もそのままであった。キラルHPLCによる
測定で鏡像異性体の過剰は98%以上であった。
【0086】実施例3 熱乾燥Thermoactinomyces intermediusおよび熱乾燥Candida boidiniiを用いた
還元的アミノ化 5−(1,3−ジオキソラン−2−イル)−2−オキソペンタン酸(10.0g、
53.14ミリモル)、ギ酸アンモニウム(3.509g、55.65ミリモル)
およびマグネチック攪拌棒を300ml容ビーカーに加えた。このビーカーに1
50mlの水および4.5mlの濃水酸化アンモニウム溶液(29.6%)を加え
、固形分が溶解するまで攪拌した。必要に応じて水酸化アンモニウムをさらに加
えてpHを8に調節した。ジチオトレイトール(36.2mg、0.235ミリモ
ル)およびNAD(145.2mg、0.212ミリモル)を加え、攪拌して溶解
させた。水を加えて容積を200mlとし、溶液を250ml容のジャケットで
被覆した(jacketed)反応容器に注いだ。ビーカーを6mlの水ですすぎ、すす
いだ水を反応容器に加えた。反応容器をNeslab RTE-110バス/サーキュレーター
で40℃に保持した。溶液をHeidolph RZR-2000スターラーで1分間あたり28
0回転(RPM)で攪拌した。
【0087】 この攪拌溶液に、Thermoactinomyces intermediusの熱乾燥菌体(4.08g、
333Uフェニルアラニンデヒドロゲナーゼ)およびCandida boidiniiの熱乾燥
菌体(1.42g、55Uギ酸デヒドロゲナーゼ)を加えた。30分後、菌体は
スターラーにより分散された。この時点で濃水酸化アンモニウム溶液(約0.5
ml)を加えてpHを約7.1からpH8に戻した。蒸発を最小限に抑えるため
、反応容器をパラフィルムで覆い続けた。3時間後、pHを8.0に調節するた
めに少量の水酸化アンモニウムを添加する必要があった。その後、6時間後には
pHは8.1〜8.2に上昇し、19時間後には約8.5まで上昇した。HPLC
により5−(1,3−ジオキソラン−2−イル)−2−オキソペンタン酸の5−(1
,3−ジオキソラン−2−イル)−(S)−2−アミノペンタン酸への変換が完了し
たと判断されたら、浮遊液をSorvall GSAローターで13,000rpmにて15
分間(27,504×g)遠心分離にかけることにより菌体を除去した。菌体の
ペレットをガラス棒を用いて20mlの水中に再浮遊させ、Sorvall SS34ロータ
ーで20,000rpmにて10分間(47,807×g)遠心分離にかけた。こ
の洗浄工程を3回繰返し、上澄み液を最初の上澄み液とともにコンバインした。
反応の終点でのHPLC収量は6.85gの5−(1,3−ジオキソラン−2−イ
ル)−(S)−2−アミノペンタン酸であった(投入したケト酸の91%HPLC
純度に対して補正して74.9M%)。鏡像異性体の過剰は98%以上であった
【0088】実施例4 熱乾燥した組換えE. coliおよび熱乾燥Candida boidiniiを用いた還元的アミノ
5−(1,3−ジオキソラン−2−イル)−2−オキソペンタン酸(20.0g、
106.28ミリモル)、ギ酸アンモニウム(7.018g、111.29ミリモ
ル)およびマグネチック攪拌棒を500ml容ビーカーに加えた。このビーカー
に300mlの水および9mlの濃水酸化アンモニウム溶液(29.6%)を加
え、固形分が溶解するまで攪拌した。必要に応じて水酸化アンモニウムをさらに
加えてpHを8に調節した。ジチオトレイトール(65.6mg、0.425ミリ
モル)およびNAD(282mg、0.425ミリモル)を加え、攪拌して溶解
させた。水を加えて容積を400mlとし、溶液を1リットル(L)容のジャケ
ットで被覆した反応容器に注いだ。ビーカーを12mlの水ですすぎ、すすいだ
水を反応容器に加えた。反応容器をNeslab RTE-110バス/サーキュレーターで4
0℃に保持した。溶液をHeidolph RZR-2000スターラーで350RPMにて攪拌
した。
【0089】 この攪拌溶液に、E. coli BL21(DE3)(pPDH155K)[SC16144]の
熱乾燥菌体(0.360g、666Uフェニルアラニンデヒドロゲナーゼ)およ
びCandida boidiniiの熱乾燥菌体(3.116g、110Uギ酸デヒドロゲナー
ゼ)を加えた。5〜10分後、菌体はスターラーにより分散された。この時点で
濃水酸化アンモニウム溶液(約1.4ml)を加えてpHを約7.2からpH8に
戻した。蒸発を最小限に抑えるため、反応容器をパラフィルムで覆い続けた。3
時間後、pHを8.0に調節するために少量の水酸化アンモニウムを添加する必
要があった。その後、16時間後にpHは約8.4に上昇した。HPLCにより
測定されるように、5−(1,3−ジオキソラン−2−イル)−2−オキソペンタ
ン酸の5−(1,3−ジオキソラン−2−イル)−(S)−2−アミノペンタン酸へ
の変換が完了したら、浮遊液を反応容器から取り出し、菌体を除去するまで4℃
で貯蔵した。菌体を、セライト混合物およびプレコートの助けを借りてブフナー
漏斗で濾過することにより除去した。ついで、濾液を10,000分子量(MW
)のカットオフのポリスルホンメンブレンを用いて限外濾過した。反応の終点で
のHPLC収量は12.5gの5−(1,3−ジオキソラン−2−イル)−(S)−2
−アミノペンタン酸であった(投入したケト酸の88%HPLC純度に対して補
正して71.0M%)。
【0090】実施例5 組換えPichiaを用いた還元的アミノ化 プラスミドpPDH9K10を含有するPichia pastoris株SMD1168(
ATCC受託番号74408)の抽出物を、1mMのジチオトレイトールおよび
0.2%のトリトンX−100を含有する50mMリン酸カリウム緩衝液(pH
7.3)中に1ml当たり100mgの菌体を浮遊させ、ついでガラスビーズ含
有ビーズミルで4℃にて5分間破砕することにより調製した。この抽出物を10
000rpmにて5分間、マイクロ遠心分離した。この抽出物には2.44単離
(U)/mlのギ酸デヒドロゲナーゼおよび15.4U/mlのフェニルアラニ
ンデヒドロゲナーゼを含んでおり、湿菌体の活性は24.4U/gの湿菌体ギ酸
デヒドロゲナーゼおよび154U/gの湿菌体フェニルアラニンデヒドロゲナー
ゼであった。5−(1,3−ジオキソラン−2−イル)−2−オキソペンタン酸(
Li塩)(1.0g、5.1517ミリモル)およびギ酸アンモニウム(389.
8mg、6.182ミリモル)を20mlの水中に溶解した。ジチオトレイトー
ル(3.28mg、0.0213ミリモル)およびNAD(14.1mg、0.02
06ミリモル)を加えた。この溶液のpHは8.16であった。
【0091】 (a)Pichia抽出物(0.112ml;0.273Uのギ酸デヒドロゲナーゼおよ
び1.723Uのフェニルアラニンデヒドロゲナーゼを含有)を、ケト酸を含有
する溶液(1ml)に加え、蓋をしたマイクロ遠心管中で40℃にて25時間イ
ンキュベートした。反応の終点でのHPLC収量は0.038gの5−(1,3−
ジオキソラン−2−イル)−(S)−2−アミノペンタン酸であった(投入したケ
ト酸の93%HPLC純度および9.4%のカールフィッシャー(KF)水に対
して補正して92.6M%)。鏡像異性体の過剰は98%以上であった。
【0092】 (b)基質を含有する溶液の残りの19mlを50ml容のエーレンマイヤーフ
ラスコ中でPichia湿菌体(0.214g;5.23Uのギ酸デヒドロゲナーゼおよ
び32.93Uのフェニルアラニンデヒドロゲナーゼを含有)に加えた。浮遊液
のpHは8.04であった。菌体を−15℃で凍結保存した。フラスコをパラフ
ィルムで蓋をし、ロータリーシェーカー上、40℃、200rpmにて25時間
インキュベートした。反応の終点でのHPLC収量は0.7506gの5−(1,
3−ジオキソラン−2−イル)−(S)−2−アミノペンタン酸であった(投入し
たケト酸の93%HPLC純度および9.4%のKF水に対して補正して96.2
M%)。鏡像異性体の過剰は98%以上であった。
【0093】 (c)脱イオン水(200ml)、ギ酸アンモニウム(7.796g、123.6
3ミリモル)、および5−(1,3−ジオキソラン−2−イル)−2−オキソペン
タン酸リチウム塩(20g、103.03ミリモル)を、40℃に保持し500
ml容のジャケットで被覆した反応容器に加え、250RPMにて攪拌した。固
形分が溶解した後、NAD(66.34mg、0.1ミリモル)、および熱乾燥Pi
chia(1.6406g;666単位のギ酸デヒドロゲナーゼおよび150単位の
フェニルアラニンデヒドロゲナーゼを含有)を加えた。pHを濃NHOHで8
.0に調節した。7時間後、ギ酸(99%)を加えることによりpHを8.76か
ら8に調節した。10時間および23時間後に再びpHをギ酸で8に調節した。
25時間後、5−(1,3−ジオキソラン−2−イル)−(S)−2−アミノペンタ
ン酸の収量は17.16g(98.3%)であった(投入したケト酸の純度に対し
て補正)。鏡像異性体の過剰は98%以上であった。菌体を遠心分離により除去
し、タンパク質を限外濾過により取り出した。
【0094】実施例6 固定化酵素を用いた還元的アミノ化 製造業者の指示に従い、組換えE. coli抽出物からのフェニルアラニンデヒド
ロゲナーゼをEupergit C250L(Rohm GmbHから入手)上に固定化し、Candida boi
dinii抽出物からのギ酸デヒドロゲナーゼをEupergit C(Rohm GmbHから入手)上
に固定化した。反応液は100mlの容量中に以下のものを含んでいた:5−(
1,3−ジオキソラン−2−イル)−2−オキソペンタン酸リチウム塩(5.0g
、25.8ミリモル)、ギ酸アンモニウム(1.754g、27.8ミリモル)、
ジチオトレイトール(16.4mg、0.106ミリモル)、NAD(70.5m
g、0.103ミリモル)、Eupergit C250L上に固定化した組換えフェニルアラ
ニンデヒドロゲナーゼ(4.35g、166.5単位)、およびEupergit Cに固定
化したCandida boidiniiギ酸デヒドロゲナーゼ(7.29g、27.5単位)。p
HをNHOHおよびギ酸で8.0に調節し、温度は40℃であった。各反応の
終点で溶液をステンレス鋼のふるい(80/400メッシュ)を通して排出して
固定化酵素を保持させ、ついで新鮮な溶液を反応容器に加えた。酵素は下記表に
示すように6つの反応で使用した。鏡像異性体の過剰は各反応について98%以
上であった。
【0095】使用 反応時間 5−(1,3−ジオキソラン 投入量の純度に対 −2−イル)−(S)−2− して補正した収率 アミノペンタン酸 時間 1 26 2.76 61.9 2 26 2.70 60.5 3 45 3.73 83.5 4 69 4.37 97.8 5 48 3.03 67.9 6 120 3.83 85.8
【0096】実施例7 C. boidiniiギ酸デヒドロゲナーゼおよびT. intermediusフェニルアラニンデヒ
ドロゲナーゼのためのPichia組換え体 脱イオン水(10.0ml)、ギ酸アンモニウム(389.8mg、6.18ミ
リモル)、および5−(1,3−ジオキソラン−2−イル)−2−オキソペンタン
酸リチウム塩(1.0g、5.15ミリモル)を、50ml容のエーレンマイヤー
フラスコに加え、ロータリーシェーカー上で40℃、200rpmにて混合した
。固形分が溶解した後、NAD(3.32mg、0.005ミリモル)、並びにT.
intermediusのフェニルアラニンデヒドロゲナーゼおよびC. boidiniiギ酸デヒ
ドロゲナーゼについてのPichia株SC16245の二重構成的組換え体(0.6
7g;40.9単位のフェニルアラニンデヒドロゲナーゼおよび7.24単位のギ
酸デヒドロゲナーゼを含有)を加えた。pHを濃NHOHで8.0に調節した
。フラスコをパラフィルムで蓋をし、ロータリーシェーカー上、40℃、200
rpmにてインキュベートした。25時間後、5−(1,3−ジオキソラン−2−
イル)−(S)−2−アミノペンタン酸の収量は0.98g(100%)であった(
投入したケト酸の純度に対して補正)。鏡像異性体の過剰は98%以上であった
【0097】実施例8 以下の方法に関する記載は、THFから91.5g(77.9M%)の4−(3
−ブロモプロピル)−1,3−ジオキソランを調製するのに用いた手順の詳細であ
る。4−(3−ブロモプロピル)−1,3−ジオキソラン THF(50mL)およびジクロロメタン(500mL)を、窒素導入口、熱
電対、HBr噴霧管(sparge tube)および気体通気孔を備えた1L容の3つ首
フラスコに加えた。反応温度を20〜25℃に保持しながら、HBrガス(〜6
3g)を溶液に通気した。HBrガスの添加は、反応が完了したと判断されるま
で(THFのGC面積(Area)%が<10%、実際には3.5%)続けた。
【0098】 ついで、反応混合物に窒素ガスを通気して過剰のHBrガスを除去し、8w/
v%の重炭酸ナトリウム(2×220mL)で洗浄して4−ブロモブタノール(
GC面積%=90.5、みかけのpH=6.9)の塩化メチレン溶液を得た。得ら
れた4−ブロモブタノールの溶液および臭化カリウム溶液(25mL中に5g)
を、オーバーヘッドスターラー、窒素導入口、熱電対および1L圧均等添加漏斗
(pressure equalizing addition funnel)を備えた2L容の3つ首丸底フラス
コに加えた。攪拌しながら、反応フラスコの内容物を−5〜+5℃に冷却した。
反応フラスコに8w/v%重炭酸ナトリウム溶液(81mL)および2,2,6,
6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシフリーラジカル(0.675g)を
加えた。激しく攪拌しながら、滴定した次亜塩素酸ナトリウムの5.25%溶液
(874mL)を温度を−5〜+25℃の範囲に保持しながら〜1時間かけて反
応混合物に加えた。添加完了後、製造過程のGC分析により判断されるように(
<3 Rel A% 4−ブロモブタノール)反応が完了した。
【0099】 相を分離させ、水性相を塩化メチレン(150mL)で抽出した。コンバイン
した有機層を酸性のヨウ化カリウム水溶液(125mLの10w/v%HCl中
の1.19gのヨウ化カリウム)、6.4w/v%チオ硫酸ナトリウム溶液(12
5mL)および水(2×125mL)で洗浄した。得られた4−ブロモブタノー
ル(GC AP=91.5)の塩化メチレン溶液、エチレングリコール(39.0
g)およびパラトルエンスルホン酸(7.25g)を、オーバーヘッドスターラ
ー、窒素導入口、熱電対および冷却器付きディーンスターク水分離器を備えた2
L容の3つ首丸底フラスコに充填した。GC分析により判断されるように反応が
完了するまで(<2面積% 未反応の4−ブロモブタノール)、水を共沸除去し
ながら反応混合物を加熱還流した。20〜25℃に冷却した後、反応混合物を1
0w/v%炭酸カリウム溶液(250mL)および水(2×250mL)で洗浄
した。得られた4−(3−ブロモプロピル)−1,3−ジオキソランの塩化メチレ
ン溶液を最初の容量の半分に濃縮し、テトラヒドロフランを加えた。濃縮は、4
−(3−ブロモプロピル)−1,3−ジオキソラン(91.5g)を含有する生成物
溶液中に0.2%未満の塩化メチレンが存在するようになるまで続けた(77.9
M%、GC面積%=89.4、保持時間7.9分)。
【0100】 製造過程のGC法: 装置:HP 5890シリーズIIガスクロマトグラフ 注入温度:200℃ カラム:Restek RTx-5;30m;0.32mmID オーブンプログラム:2分@50℃、25℃/分にて275℃まで上昇勾配、8
分@275℃ 検出:FID 検出温度:300℃ 試料の調製:塩化メチレンで希釈 保持時間: 4−ブロモブタノール 6.4分 4−ブロモブチルアルデヒド 5.6分 4−(3−ブロモプロピル)−1,3−ジオキソラン 7.9分 BMS-207170中の後期溶出不純物 10.8分
【0101】 4−(3−ブロモプロピル)−1,3−ジオキソラン
【0102】実施例9 以下の方法に関する記載は、50gの4−(3−ブロモプロピル)−1,3−ジ
オキソランから34g(68M%)の5−(1,3−ジオキソラン−2−イル)−
2−オキソペンタン酸リチウムを調製するのに用いた手順の詳細である。5−(1,3−ジオキソラン−2−イル)−2−オキソペンタン酸リチウムの調製 窒素雰囲気下、マグネシウム(6.55g)および乾燥テトラヒドロフラン(
30mL)を清浄な乾燥した500mL容3つ首フラスコに充填した。この懸濁
液に4−(3−マグネシオブロモプロピル)−1,3−ジオキソランのテトラヒド
ロフラン溶液(5mL)を加え、混合物を10〜30分間攪拌した。4−(3−
ブロモプロピル)−1,3−ジオキソランのテトラヒドロフラン溶液の調製は、ブ
ロモアセタール(50g)をテトラヒドロフラン(130mL)に溶解すること
により行った。発熱(2〜7℃)を観察した後、反応混合物に4−(3−ブロモ
プロピル)−1,3−ジオキソラン(5mL)を加えた。発熱(2〜5℃)を観察
した後、温度を25〜35℃の範囲に保持しながら反応混合物に残りの4−(3
−ブロモプロピル)−1,3−ジオキソランのテトラヒドロフラン溶液を2〜4時
間かけてゆっくりと加えた。添加完了後、製造過程のGCアッセイにより判断さ
れるようにグリニャール試薬の生成が完了するまで(未反応の臭化物が<1%)
反応混合物を攪拌した。
【0103】 シュウ酸ジエチル(29.85g)およびテトラヒドロフラン(78mL)を
、窒素導入口、オーバーヘッドスターラーおよび極低温冷却浴を備えた清浄な乾
燥した500mL容3つ首丸底フラスコに加えた。得られたシュウ酸ジエチルの
溶液を−60〜−78℃に冷却し、温度を−60〜−78℃の範囲に保持しなが
ら4−(3−マグネシオブロモプロピル)−1,3−ジオキソランのテトラヒドロ
フラン溶液をゆっくりと加えた。製造過程のGC分析によりカップリング反応が
完了したと判断されるまで(未反応のシュウ酸ジエチルレベルは連続的なアッセ
イにおいてNMT0.5%変化する)、カップリング反応混合物を−60〜−7
8℃で約2時間攪拌した。−60〜−78℃のカップリング反応混合物を、冷却
し攪拌したメチルt−ブチルエーテル(100mL)と12.5w/v%水性ク
エン酸との2相混合物に速やかに加えた。相を分離し、水性層をメチルt−ブチ
ルエーテル(100mL)で抽出した。コンバインした有機層をpH6.5〜7.
0の10w/v%リン酸二水素ナトリウム緩衝液(100mL)で洗浄した。
【0104】 得られた5−(1,3−ジオキソラン−2−イル)−2−オキソペンタン酸メチ
ルのメチルt−ブチルエーテル溶液を0〜5℃に冷却し、温度を<5℃に保持し
ながらリチウムヒドロキシド溶液(85mL、80mLの水中の9.90gのリ
チウムヒドロキシド一水和物)を加えた。この2相反応混合物を、製造過程のG
C分析により鹸化が完了したと判断されるまで(T=0の試料と比較して<1の
相対面積%)0〜10℃で攪拌した。反応完了後、相を分離し、有機層を水(1
0mL)で抽出した。コンバインした水性相を15〜30℃に温め、イソプロパ
ノール(800mL)で20分未満かけて希釈した。得られた結晶性のスラリー
を15〜30℃で約1時間攪拌し、ついで0〜5℃に冷却し、上澄み液中の生成
物の濃度が8M%未満となるまで攪拌した。5−(1,3−ジオキソラン−2−イ
ル)−2−オキソペンタン酸リチウムをフィルター上で回収し、この湿ケーキを
冷(0〜5℃)水性イソプロパノール(1:8、75mL)で洗浄した。湿ケー
キを40〜50℃で真空乾燥させて5−(1,3−ジオキソラン−2−イル)−2
−オキソペンタン酸リチウムを白色の自由流動性結晶(34.0g、68.0M%
、HPLC保持時間=4.0分、HPLC AP=94%)として得た。 HPLC法:カラム;YMC基本(basic)5ミクロン粒径、4.6×250mm
、溶媒;10:90アセトニトリル:0.01M酢酸アンモニウム、流速=1m
L/分、および検出はUV@210nm。
【0105】実施例10 以下の方法に関する記載は、10,000MW限界のフィルターで限外濾過し
た後に酵素的還元的アミノ化法から5−(1,3−ジオキソラン−2−イル)−(S
)−2−アミノペンタン酸を単離するのに用いた手順の詳細である。5−(1,3−ジオキソラン−2−イル)−(S)−2−アミノペンタン酸の単離 (S)−a−アミノ−1,3−ジオキソラン−2−ペンタン酸の水溶液(濃度
=16g/L、3500mL容量)(シュウ酸(濃度=7.74mM)が混入)
に窒素ガスを通気した。30w/v%酢酸(55mL)を加えることにより溶液
のpHを8.6から6.5に調節し、窒素ガスの噴霧を止めた。pH調節後、中和
した生成物溶液に1M塩化カルシウム溶液(81.4mL)をシュウ酸の混入レ
ベルに基づいて加えた。得られたスラリーを室温で20〜30分間、60℃で3
0〜60分間攪拌し、〜50℃で900mLまで真空濃縮した。得られたスラリ
ーを濾過し、濾液を残留シュウ酸について試験し(シグマキット591)、さら
に350mLまで真空濃縮した。攪拌しながら濃縮物にメタノール(1400m
L)を加え、得られた混合物を55〜60℃で約1時間加熱した。得られた結晶
性のスラリーを1〜1.5時間かけて1〜5℃に冷却し、この温度で2〜4時間
保持した。生成物の結晶をフィルター上で回収し、冷メタノールで洗浄し、つい
でLODが1%未満となるまで40〜50℃で真空乾燥させて5−(1,3−ジオ
キソラン−2−イル)−(S)−2−アミノペンタン酸(44.7g、78.5%回
収、標準と比べて97.7%効力、HPLC AP=98.9%、HPLC保持時
間=2.7分、残留(R)鏡像異性体=明らかならず(not evident))を白色結
晶として得た。 HPLC法:カラム;YMC ODS AQ4×50mm、溶媒;硫酸銅五水和物
、水中に782mg/L、流速=1mL/分、および検出はUV@230nm、
保持時間=2.7分。
【0106】実施例11 以下の方法に関する記載は、20.0gの5−(1,3−ジオキソラン−2−イ
ル)−(S)−2−アミノペンタン酸から17.4g(80.8M%)の(S)−2
−アミノ−6,6−ジメトキシヘキサン酸メチルエステルを調製するのに用いた
手順の詳細である。(S)−2−アミノ−6,6−ジメトキシヘキサン酸メチルエステルの調製 窒素雰囲気下、メタノール(240mL)中の5−(1,3−ジオキソラン−2
−イル)−(S)−2−アミノペンタン酸(20.0g)および亜硫酸ジメチル(1
2.0g)のスラリーにクロロトリメチルシラン(28.0g)を加えて均一な溶
液を得た。29℃まで発熱するのを観察した後、溶液を40〜45℃に加熱し、
この温度で8時間、ついで〜22℃で72時間まで攪拌した。製造過程のHPL
C分析は反応が完了したことを示し(生成物への〜93M%の変換)、得られた
溶液を−5〜−10℃に冷却した。攪拌しながら、32%(または4.45M)
のカリウムメトキシドのメタノール溶液(70mL)を温度を−5〜0℃の範囲
に保持しながらゆっくりと注意深く加えることにより混合物のみかけのpHを1
1.7〜11.9に調節した。生成物のスラリーの分析(NMR)は、中和が完了
したことを示していた(BMS−205787のアルファプロトンのケミカルシ
フトは<3.36ppmであった)。
【0107】 まず、薄いスラリーを真空下、<30℃で300mL容量まで濃縮し、ついで
製造過程のGC分析により判断されるように(<1AP)メタノールの除去が完
了するまで酢酸エチルを加えることにより、生成物のスラリーの溶媒を酢酸エチ
ルで置換した。溶媒の置換が完了したらバッチ容量を酢酸エチルで〜400mL
に調節し、得られたスラリーを濾過した。ポリ(アクリル酸コアクリルアミド)、
カリウム塩(3.0〜3.2g)および水(30〜32mL)を濾液に加えた。こ
の混合物を〜35分間攪拌し、濾過した。もしもエチレングリコールの量が製造
過程のGC分析により判断されるように0.15当量を超える場合には、ポリ(ア
クリル酸コアクリルアミド)、カリウム塩処理を濾液に対して任意に繰り返すこ
とができる。製造過程のHPLC分析の後、(S)−2−アミノ−6,6−ジメ
トキシヘキサン酸メチルエステル(17.4g)を酢酸エチル溶液として80.8
M%収率で得た。 分析データ:HPLC:Tr=7.1分(UV215):Mac-Mod Analytical, Z
orbax CN 5μM、4.6×250mm、72v/v%(0.02Mリン酸アンモ
ニウム溶液):28v/v%アセトニトリル、20μl注入容量、1.0mL/
分にて溶出。300μl〜5mLを移動相で希釈。
【0108】実施例12 以下の方法に関する記載は、50gの5−(1,3−ジオキソラン−2−イル)
−(S)−2−アミノペンタン酸から62.5g(78.7M%)の(S)−2−ア
ミノ−6,6−ジメトキシヘキサン酸メチルエステルシュウ酸塩(1:1)を調
製するのに用いた手順の詳細である。(S)−2−アミノ−6,6−ジメトキシヘキサン酸メチルエステルシュウ酸塩
(1:1)の調製 メカニカルアジテーター、熱電対、加熱マントル、冷却器、窒素導入口および
通気孔を備えた250mL容の3つ首フラスコに、5−(1,3−ジオキソラン−
2−イル)−(S)−2−アミノペンタン酸(50g)、メタノール(300mL
)および亜硫酸ジメチル(11.2mL)を充填した。得られたスラリーにクロ
ロトリメチルシラン(83.9mL)を加え、反応混合物を40〜42℃で約8
時間加熱し、ついで周囲温度で8時間攪拌した。重炭酸カリウム(104.3g
)を2L容の3つ首フラスコに入れたメタノール(200mL)中でスラリー化
し、(S)−2−アミノ−6,6−ジメトキシヘキサン酸メチルエステルの塩酸
塩を含有する反応混合物を重炭酸カリウムのスラリーに加え、混合物のpHを7
以上に保持することにより中和した。ハイフロー(12.5g)および酢酸n−
ブチル(400mL)を加え、混合物の温度を30℃以下に保持しながら混合物
を真空(76〜180mmHg)濃縮してメタノールを除去した。
【0109】 このスラリーにt−ブチルメチルエーテル(300mL)を加え、−5℃に冷
却した後、中和後の塩を濾去し、濾過ケーキをt−ブチルメチルエーテル(50
mL)で洗浄した。コンバインした濾液を20〜25℃に温め、シュウ酸二水和
物(36.7g)の温(〜27℃)メタノール(73mL)溶液を約1時間かけ
て少しずつ加えた。得られた(S)−2−アミノ−6,6−ジメトキシヘキサン
酸メチルエステルシュウ酸塩(1:1)のスラリーを30分間攪拌し、t−ブチ
ルメチルエーテル(800mL)をゆっくりと加えて生成物をさらに析出させた
。生成物のスラリーを30分間攪拌した後、0〜5℃に冷却し、少なくとも1時
間保持し、ついで濾過した。湿ケーキをt−ブチルメチルエーテル(2×300
mL)で洗浄し、真空下(〜200mmHg)、40℃以下の温度で乾燥させた
。生成物の(S)−2−アミノ−6,6−ジメトキシヘキサン酸メチルエステル
シュウ酸塩(1:1)(62.5g)(97.0のHPLC APおよび68.3%
の遊離塩基効力(実験室標準に対して)を有する)を白色の自由流動性の粉末と
して、(S)−2−アミノ−6,6−ジメトキシヘキサン酸メチルエステルから
補正して78.7M%補正収率で得た。
【0110】 分析データ:HPLC:Tr=13.5分(UV205nm):Rockland Techno
logies Inc., Zorbax CN 5μM、4.6×250mm(製品#880952.7
05)、85v/v%(0.01Mリン酸カリウム溶液):15v/v%アセト
ニトリル、10μl注入容量、1.0mL/分にて溶出。HPLC応答は0.16
〜1.5mg/mLの範囲では線形であることがわかった。試料はメタノールま
たは移動相で希釈してよい。
【0111】実施例13 以下の方法に関する記載は、100gの5−(1,3−ジオキソラン−2−イル
)−(S)−2−アミノペンタン酸から100.3g(78M%、補正)の(S)−
2−アミノ−6,6−ジメトキシヘキサン酸メチルエステルシュウ酸塩(2:1
)を調製するのに用いた手順の詳細である。(S)−2−アミノ−6,6−ジメトキシヘキサン酸メチルエステルシュウ酸塩
(2:1)の調製 メカニカルアジテーター、熱電対、加熱マントル、冷却器、窒素導入口および
通気孔を備えた250mL容の3つ首フラスコに、5−(1,3−ジオキソラン−
2−イル)−(S)−2−アミノペンタン酸(100g)、メタノール(1200
mL)および亜硫酸ジメチル(44.8mL)を充填した。得られたスラリーに
クロロトリメチルシラン(168mL)を加え、反応混合物を40〜42℃で約
8時間加熱し、ついで周囲温度で8時間攪拌して(S)−2−アミノ−6,6−
ジメトキシヘキサン酸メチルエステルの塩酸塩(製造過程の定量100.9g、
93M%)の溶液を得た。重炭酸カリウム(208.6g)を5L容の3つ首フ
ラスコに入れたメタノール(400mL)中でスラリー化し、(S)−2−アミ
ノ−6,6−ジメトキシヘキサン酸メチルエステルの塩酸塩を含有する反応混合
物を重炭酸カリウムのスラリーに加え(1.5時間かけて)、混合物のpHを6.
9以上に保持することにより中和した。得られたスラリーの溶媒を、ポット容量
を約2Lに保持した真空蒸留(50〜60mmHgおよび30〜40℃)により
酢酸n−ブチルで置換した。2.25Lの酢酸n−ブチルを蒸留した後、蒸留容
器にメタノール(1.25L)を加え、ポット容量をNLT2Lに保持しながら
、スラリー上澄み液の水分含量が<0.05重量%でメタノールレベルが<5相
対面積%となるまで蒸留を継続した。
【0112】 得られたスラリーにヘキサン(1.5L)を加え、ついで−5℃に冷却した。
この混合物を1時間攪拌した後、濾過し、濾過ケーキをヘキサン(2×100m
L)で洗浄した。得られた濁った濾液をポリッシュ(polish)濾過して透明な濾
液を得た。この透明な濾液を20〜25℃に温め、シュウ酸二水和物(33.3
g)のメタノール(1333mL)溶液を約2時間かけてゆっくりと加えた。得
られた(S)−2−アミノ−6,6−ジメトキシヘキサン酸メチルエステルシュ
ウ酸塩(2:1)のスラリーを周囲温度で18時間攪拌し、ついで生成物を濾過
により回収した。生成物の湿ケーキをアセトニトリル(4×100mL)で洗浄
し、真空下、45℃で乾燥させて103.2g(78M%)の(S)−2−アミ
ノ−6,6−ジメトキシヘキサン酸メチルエステルシュウ酸塩(2:1)(84
重量%の遊離塩基効力(理論的な実験室標準(=82重量%)に対して)および
100のHPLC APを有する)を得た。
【0113】 分析データ:HPLC:Tr=10.0分(UV205nm):Rockland Techno
logies Inc., Zorbax stable bond CN、5μM、4.6×250mm、85v/
v%(0.01Mリン酸二水素カリウム溶液、KOHでpH7.5に調整):15
v/v%アセトニトリル、10μl注入容量、1.0mL/分にて溶出。試料は
メタノールまたは移動相で希釈してよい。
【0114】実施例14 4−(3−ブロモプロピル)−1,3−ジオキソラン(110g)から5−(
1,3−ジオキソラン−2−イル)−2−オキソ−ペンタン酸(60.3g、8
0モル%)を調製するのに用いた手順を以下に詳述する。5−(1,3−ジオキソラン−2−イル)−2−オキソ−ペンタン酸の調製
【化41】 滴下ロート、窒素ライン、オーバーヘッドマグネチックスターラー、熱電対お
よび水浴を備えた500mlの3つ首丸底フラスコに、マグネシウム削片(14
.13g)を入れる。窒素雰囲気下、無水テトラヒドロフラン(KF=0.00
16重量%、3×70ml)でマグネシウム削片を濯ぐ。フラスコにテトラヒド
ロフラン(70ml、KF=0.02重量%)、次いで、予め調製したグリニャ
ール試薬のおよそ2Mのテトラヒドロフラン溶液5mlを加える。滴下ロートに
、ブロモアセタール:クロロアセタール(85:15)の希釈しない混合物(1
10g、90:10重量%)を加える。反応フラスコにブロモアセタール混合物
約0.5mlを加えた後、温度を20℃から25℃に上げる。反応温度が約30
℃に維持されるように添加速度を調節する。添加ロートをテトラヒドロフラン(
25ml)で濯ぎ、濯ぎ液を反応フラスコに加える。約1.5時間後に添加が完
了し、該バッチを室温まで放冷する。プロセス中のこの時点で、グリニャール試
薬のGC分析により、ブロモアセタールの90%がシクロブタン不純物を含まな
いグリニャール試薬に変換されたことがわかる。
【0115】 1リットルの3つ首丸底フラスコは、窒素ライン、オーバーヘッドスターラー
および熱電対を備えている。窒素雰囲気下、フラスコに蓚酸ジエチル(73.8
5g)およびテトラヒドロフラン(250ml)を入れる。溶液を−60℃に冷
却し、グリニャール試薬の溶液をカニューレにて冷却した蓚酸ジエチルに加え、
温度を−55℃に維持する。グリニャール調製物のフラスコをテトラヒドロフラ
ン(3×20ml)を洗浄し、得られる洗液をカニューレにて加える。約1.5
時間後に添加が完了し、反応物を−60℃〜−55℃にて約2時間攪拌する。冷
反応混合物を、NHCl(32.1g)、水(100ml)および酢酸エチル(
300ml)からなる混合物に急速に加える。層を分離し、水層を再度酢酸エチ
ル(2×300ml)で抽出する。有機層を合わせ、乾燥(硫酸マグネシウム)し
、濃縮して、5−(1,3−ジオキソラン−2−イル)−2−オキソ−ペンタン
酸エチルエステル(87g、収率79M%)を濃厚な液体で得る。
【0116】 1リットルの3つ首丸底フラスコは、オーバーヘッドスターラー、熱電対およ
び1.5NのNaOH(460ml)を含む添加ロートを備えている。フラスコ
にMeOH(700ml)を入れ、0℃に冷却する。温度を10℃以下に維持し
ながらメタノールにNaOH溶液をゆっくりと加え、添加完了後、得られる溶液
を0℃に冷却する。滴下ロートを介して、反応混合物の温度を3℃以下に維持す
るような速度で、5−(1,3−ジオキソラン−2−イル)−2−オキソ−ペン
タン酸エチルエステル(350ml)のメタノール溶液を反応物に加える(添加
時間1時間)。反応物を0℃で2時間攪拌し、2Mの重硫酸カリウム(75ml
)を添加することによって反応物のpHを7.71に調節する。メタノールを蒸
発し、濁った水性スラリーををMTBE(3×500ml)で洗浄する。2Mの
重硫酸カリウム(100ml)を添加することによって水層のpHを4.5に調
節し、酢酸エチル(500ml)で抽出する。2Mの重硫酸カリウム(50ml)
を添加することによって水層のpHをさらに2.0に調節し、酢酸エチル(2×
500ml)で抽出する。酢酸エチル抽出物を合わせ、乾燥(硫酸マグネシウム
)し、濃縮して、5−(1,3−ジオキソラン−2−イル)−2−オキソ−ペン
タン酸(60g、収率80M%)を濃厚な液体で得る。 (5−(1,3−ジオキソラン−2−イル)−2−オキソ−ペンタン酸)
−NMR:300MHz;CDCl:δ1.75(br m,4H)、2.95
(tr,2H)、3.85(m,2H)、3.95(m,2H)、4.85(t
r,1H)および7.70(br s,1H)。13C−NMR:75MHz;
CDCl:δ17.27、32.30、37.19、64.85、103.9
4、160.19および195.38。
【0117】 反応工程式4にて、実施例15および16における反応を示す。 反応工程式4
【化42】
【0118】実施例15 50mlのエルレンマイヤーフラスコに、ギ酸アンモニウム(175mg、2
.775ミリモル)、6,6−ジメトキシ−2−オキソへキサン酸モノリチウム
塩(50mg、0.225ミリモル)、水(10ml)、ジチオスレイトール(1
.64mg、10.6マイクロモル)、NAD(7.05mg、10.3マイク
ロモル)、サーモアクチノマイセス・インテルメジウス(Thermoactinomyces in
termedius)からフェニルアラニンデヒドロゲナーゼをクローニングされた熱乾
燥大腸菌(50mg、62.5ユニット)および熱乾燥カンジダ・ボイジニイ(
Candida boidinii)(82.55mg、2.75ユニット)をこの順番で加える
。調節なしのpHは8.03である。フラスコを40℃、200rpmで18時
間震とうする。キラルパクWHカラム(ダニエル・ケミカル・インダストリーズ
)を用いて、5−(1,3−ジオキソラン−2−イル)−(S)−2−アミノ−
ペンタン酸で記載したのと同じ方法によって、生成物(S)−2−アミノ−6,
6−ジメトキシヘキサン酸の濃度を評価する。アミノ酸のモル収率は74.5%
である。HPLC標準として、5−(1,3−ジオキソラン−2−イル)−(S
)−2−アミノ−ペンタン酸を用いて、濃度を評価する。MS:(M+H)
192。
【0119】実施例16 50mlのエルレンマイヤーフラスコに、ギ酸アンモニウム(389.8mg
、6.18ミリモル)、6,6−ジメトキシ−2−オキソへキサン酸モノリチウ
ム塩(1.000g、5.099ミリモル)、水(20ml)、ジチオスレイトー
ル(3.28mg、21.27マイクロモル)、NAD(14.1mg、20.5
7マイクロモル)、凍結保存したピシア(Pichia)ウエット細胞(サーモアクチ
ノマイセス・インテルメジウス由来の5.5uのギ酸デヒドロゲナーゼおよび3
4.7ユニットのフェニルアラニンデヒドロゲナーゼを含む0.2255g)を
この順番で加える。NHOHにて7.56〜8.0にpHを調節する。フラス
コを40℃、200rpmにて43時間震とうする。反応後、遠心分離によって
細胞を除去し、次いで、10000MWのカットオフポリスルホン膜(YM10
)を用いて上清を限外濾過する。細胞およびタンパク質を除去した後にキラルパ
クWHカラムを用いて評価した(S)−2−アミノ−6,6−ジメトキシオキソ
へキサン酸の補正された全収率は108%である。
【0120】実施例17 4,4−ジメトキシ−1−ブロモブタン(10g)から6,6−ジメトキシ−
2−オキソヘキサン酸(4.33g、25モル%)を調製するのに用いた手順を
以下に詳述する。 滴下ロート、窒素ライン、オーバーヘッドスターラー、熱電対および水浴を備
えた100mlの3つ首丸底フラスコに、マグネシウム削片(1.7g)を入れ
る。窒素雰囲気下、無水テトラヒドロフラン(10ml)でマグネシウム削片を
濯ぐ。フラスコにテトラヒドロフラン(6ml、KF=0.02重量%)、次い
で、予め調製したグリニャール試薬(4,4−ジメトキシ−1−マグネシオブロ
モブタン)のテトラヒドロフラン溶液1mlを加える。滴下ロートに、4,4−
ジメトキシ−1−ブロモブタンのTHF溶液(10g、THF26ml中)を加
える。温度を28〜31℃に維持しながら溶液を滴下する。添加完了後、溶液を
30℃で1時間保持する。
【0121】 窒素ライン、オーバーヘッドスターラーおよび熱電対を備えた100mlの3
つ首丸底フラスコを20mlの無水THFで濯ぐ。ジエチルオキサレート(4.
85g)およびTHF(10ml)をフラスコに入れ、溶液を−70まで冷却す
る。温度を−60〜−70℃に維持しながら、ジエチルオキサレート溶液にグリ
ニャール試薬(4,4−ジメトキシ−1−マグネシオブロモブタン)のTHF溶
液を入れる。インプロセスGC分析(未反応ジエチルオキサレート:0.5%)
によって反応の完了を判定した後、反応混合物を−70℃で2時間保持する。反
応混合物混合物にクエン酸溶液(水40mlに5gのクエン酸を溶解)を加えて
反応を停止する。反応停止した反応混合物をメチル第3ブチルエーテル(2×2
0ml)で抽出し、メチル第3ブチルエーテル抽出物を合わせ、pH6.5の一
塩基性リン酸ナトリウムの溶液(水20ml中2g、10N水酸化ナトリウム溶
液でpHを調節)で洗浄する。濃厚な有機相を2℃に冷却し、温度を5℃以下に
維持しながら水酸化リチウム溶液(水15ml中、LiOH1.4g)を滴下す
る。インプロセスGC分析が反応の完了を示すまで(有機相中、未反応エステル
:<0.5%)、反応混合物を5℃にて30分間攪拌する。相を分離し、有機相
を水(2ml)で抽出する。濃厚な水相にイソプロパノール(300ml)を加え
、得られるスラリーを回転蒸発器にて濃縮して固体を得る。固体をメチル第3ブ
チルエーテル(300ml)とイソプロパノール(100ml)の混合物に懸濁し
、スラリーを3℃にて1時間攪拌し、濾過により生成物を集める。生成物のウエ
ットケーキを冷メチル第3ブチルエーテル/イソプロパノール(75ml、4:
1)で洗浄し、減圧乾燥して、6,6−ジメトキシ−2−オキソヘキサン酸リチ
ウム(4.33g、4,4−ジメトキシ−1−ブロモブタンからの収率25モル
%)を得る。 分析データ:HPLC:Tr=4.4分(UV210nm):YMC−basic
、5μM、4.6×250mm、90v/v%(0.05M酢酸アンモニウム溶
液):10v/v%アセトニトリル、10μLを注入、溶離速度1.0ml/分
。 分析データ:H−NMR:300MHz;DO:δ1.6(br m,6H
)、3.3(s,6H)および4.4(m,1H)。13C−NMR:75MH
z;DO:δ18.78、32.39、39.70、54.34、105.8
5および207.03。
【0122】実施例18 10000MW限外濾紙を通す限外濾過を行った後、酵素還元的アミノ化プロ
セスを行って、(S)−2−アミノ−6,6−ジメトキシヘキサン酸を単離する
のに用いた手順を以下に詳述する。(S)−2−アミノ−6,6−ジメトキシヘキサン酸の単離 蓚酸(濃度=5.4mM)で汚染された(S)−2−アミノ−6,6−ジメト
キシヘキサン酸(濃度=26.5g/L、体積35ml)の水溶液を窒素でスパ
ージする。30w/v%酢酸(1.2ml)を加えて溶液のpHを約6.5に調
節し、窒素によるスパージングを停止する。pHを調節した後、蓚酸による汚染
の程度に応じて中和された生成物溶液に1M塩化カルシウム溶液(1.3ml)
を加える。得られるスラリーを室温にて20〜30分間、55℃にて30分間攪
拌し、蓚酸カルシウムを濾去する。濾液をDarco G−60で30分間攪拌し、Hy
Floにて濾過する。n−BuOHを用いて濾液から水分を共沸除去して減圧濃縮
し、泡状物(2.04g)を得る。泡状物をメタノール(5.1ml)に溶解し、
アセトニトリル(15ml)と混合する。溶液に(S)−2−アミノ−6,6−
ジメトキシヘキサン酸の種晶を入れ、氷浴で4時間冷却する。濾過して生成物を
集め、ウエットケーキを50℃で4時間減圧乾燥して、(S)−2−アミノ−6
,6−ジメトキシヘキサン酸(0.392g、インプット溶液からの収率35.
6モル%、HPLCエリア%=97.6)を得る。 分析データ:HPLC:Tr=3.6分(UV230nm):YMC−ODS
AQ、4.6×50mm、無水硫酸銅@500mg/L濃度、10μLを注入
、溶離速度1.0ml/分。 分析データ:H−NMR:300MHz;DO:δ1.3−1.5(m,
2H)、1.6−1.75(m,2H)、3.4(s,6H)、3.75(tr
,1H)および4.6(tr,1H)。13C−NMR:75MHz;DO:
δ19.89、30.57、32.05、53.82、55.11、105.0
7および175.05。
【0123】実施例19 FDHおよびPDHのデュアル構成性発現 1.組換え菌株ピシア・パストリスGS115(pGAPZ−FDH)の構築 pGAPZは、インビトロゲン社(カールスバド、カナダ)から入手できるベ
クターである。pGAPZは、構成性グリセルアルデヒド3'−リン酸プロモー
ターの制御下にピシア・パストリスにおいて外来性遺伝子を発現させる。カンジ
ダ・ボイジニイ由来のギ酸デヒドロゲナーゼ(fdh)遺伝子はpGAPZ内へ
以下のようにクローニングされる。 クローニングされたカンジダ・ボイジニイfdh遺伝子のDNA配列を決定し
、ポリメラーゼ鎖反応(PCR)を用いる増幅のためのオリゴヌクレオチドプラ
イマーに対して用いる。プライマーは、(NH末端)5'−GGAATTCC
ATATGAAGATCGTTTTAGTCTTA'3'(配列番号1)および(
COOH末端)5'−CCTTAAGAATAATAAAGAATAGACAA
ATGG−3'(配列番号2)である。カンジダ・ボイジニイ染色体DNAをP
CR反応の標的として用いる。PCR反応により、予定の大きさ(およそ110
0塩基対)の一本鎖DNAフラグメントが得られ、これを単離、精製し、制限エ
ンドヌクレアーゼEcoRIで切断する。切断したPCR産物をEcoRI処理
pGAPZ DNAにライゲートし、ライゲーション混合物を電気穿孔により、
E.coli菌株TOP10F'を形質転換する。25mg/mlの抗生物質ゼオシ
ン(Zeocin)(インビトロゲン)を含むLB寒天培地で形質転換した細胞を選択
する。PCRにより、fdh遺伝子の存在について18個のコロニーをテストす
る;3個が陽性である。fdh遺伝子の配列決定を行い、Sakai,YらのJ.of Bac
teriology、179、p4480−4485(1997)に記載されているもの
と同じであることを決定する。プラスミドpGAPZ―FDHを含む1つのコロ
ニーを選び、続いての実験に用いる。TOP10F'(pGAPZ―FDH)か
らプラスミドDNAを単離し、制限エンドヌクレアーゼAvrIIで直線化し、
電気穿孔にてピシア・パストリスGS115を形質転換する。2g/リットルゼ
オシンを含む培地へ細胞を拡散させることによってpGAPZ―FDHの組込ま
れたコピーを多く含む形質転換細胞を選択する。このようなコロニーが数個得ら
れ、pGAPZのみを含む細胞の少なくとも2倍のFDH活性をもつことがわか
る(ピシア・パストリスはそれ自身のFDH遺伝子を含む)。続いての実験のた
めに、高いFDH活性を示す単離体を選び、GS115(pGAPZ−FDH)
と称する。
【0124】 2.pGAPk−PDHの構築 デュアル構成性発現菌株の構築における次の段階は、組換えフェニルアラニン
デヒドロゲナーゼ(pdh)遺伝子をGS115(pGAPZ−FDH)に導入
することである。この菌株は、すでにゼオシン耐性があるので、構成性プロモー
ターを含むが、形質転換細胞に対して別の選択方法を可能にするプラスミドが作
成される。グリセルアルデヒド3'−リン酸プロモーター領域を含むpGAPZ
の546塩基対のBglIII/NotI制限フラグメントを、pPIC9k(
インビトロゲン)の9000塩基対のBglIII/NotIフラグメント内に
クローニングする。新しいプラスミドをpGAPkと称する。pGAPkは、G
S115に存在する不完全バージョンを補う機能性HIS4遺伝子の存在により
、最小量の培地での形質転換細胞の選択を可能にする。抗生物質G418に対す
る耐性を用いて、多くの組込み体を選択することができ、プラスミドによってコ
ードされる。pGAPkのマップを添付する。
【0125】 3.組換えプラスミドpGAPk−PDHの構築およびGS115(pGAPk
−FDH)の形質転換 サーモアクチノマイセス・インテルメジウスフェニルアラニンデヒドロゲナー
ゼ遺伝子の公表された遺伝子配列(Takada,Hら、J.of Biochem.、109、p3
71−376(1991))を用い、NH(5'−CGGAATTCAAGA
TGCGCGACGTGTTTGAAATG−3')(配列番号3)およびCO
OH(5'−CGTTCTCGCGTTCCTCCATTGAGCTCGCC−
3')(配列番号4)末端に対応するDNAプライマーを合成する。それらを用
い、サーモアクチノマイセス・インテルメジウス染色体DNAを標的DNAとし
てPCRを行う。寒天ゲル電気泳動後、予定の大きさのフラグメント(およそ1
100塩基対)が見られる。DNAを精製し、制限エンドヌクレアーゼEcoR
IとXhoIで切断する。EcoRIでpGAPkを切断し、次いでXhoIで
部分的に切断する;寒天ゲル電気泳動後、9500塩基対のフラグメントが単離
される。2つのフラグメントを一緒にライゲートし、E.coliDH10Bを
形質転換する。PCRにより、pdh遺伝子の存在について形質転換細胞をスク
リーニングする。このようなコロニーを同定し、プラスミドをpGAPk−PD
Hと称する。 制限酵素AvrIIを用いてpGAPk−PDHを直線化し、電気穿孔により
ピシア・パストリスGS115(pGAPk−FDH)を形質転換する。G41
8(4g11)に対する耐性について、およそ10000個のコロニーをスクリ
ーニングする。数個の耐性コロニーを単離し、液体YPD培地で成長させ、次い
で採取し、PDHおよびFDH活性をアッセイする。両方の活性が存在する。5
−(1,3−ジオキサラン−2−イル)−2−オキソ−ペンタン酸から5−(1,
3−ジオキサラン−2−イル)−(S)−2−アミノペンタン酸への生物変換を
評価するための使用試験は、組換え単離体からの細胞抽出物を用いて陽性である
【0126】実施例20 pPDH誘発性発現系 1.組換え菌株E.coliBL21(DE3)(pPDH155K)によるr
PDHの発現 最終組換えベクター(pPDH155K)の構築は2段階である:a)組換え
ベクターpPDH15b/1を作成するための、プラスミドベクターpET15
b(ノヴァゲン、マジソン、WI;図1)へのサーモアクチノマイセス・インテ
ルメジウスPDH遺伝子のクローニング;およびb)ベクターpET9b(ノヴ
ァゲンマジソン、WI;図2)のカナマイシン耐性マーカーによるプラスミドベ
クターpPDH15b/1のアンピシリン耐性マーカーの交換。この発現系にお
けるPDH遺伝子の発現は、強力なT7プロモーターの制御下にある。PDH発
現の誘発は、IPTG(イソプロピルB−D−チオガラクトピラノシド)による
。PDHタンパク質の発現は、細胞内である。
【0127】 組換え菌株E.coliBL21(DE3)(pPDH155K)(ATCC
98374)を次の方法で構築する。サーモアクチノマイセス・インテルメジウ
スフェニルアラニンデヒドロゲナーゼ遺伝子の公表された遺伝子配列(Takada,H
ら、J.of Biochem.、109、p371−376(1991))を用い、PDH
タンパク質のN−(5'CATGCCATGGTCGACGTGTTTGAAA
TGATGG3')(配列番号5)およびC−(5'CCGCTCGAGTTAC
CTCCTTGCGCTGTTGC3')(配列番号6)末端に対応するDNA
プライマーを合成し、サーモアクチノマイセス・インテルメジウス標的DNAを
用いるPCR反応に使用する。PCR反応により、予定の大きさの一本鎖DNA
フラグメントが得られ、これを単離し、精製し、次いで、制限酵素NcoIおよ
びXhoIで切断する。切断されたPCRフラグメントをNcoI/XhoI切
断pET15bプラスミドベクターとライゲートし、電気穿孔により、ライゲー
ション混合物でE.coli菌株BL21(DE3)を形質転換する。単離されたE
.coliBL21(DE3)(pPDH15b/1)の誘発培養物由来の細胞
抽出物のSDS−PAGE分析から、正しい大きさの過剰発現タンパク質の存在
がわかる。PDH活性アッセイならびに5−(1,3−ジオキサラン−2−イル
)−2−オキソ−ペンタン酸から5−(1,3−ジオキサラン−2−イル)−(
S)−2−アミノペンタン酸への生物変換を評価するための使用試験は、組換え
細胞抽出物を用いて陽性である。
【0128】 次いで、ベクターpPDH15b/1を単離し、制限酵素AlwおよびEco
RIで切断する。これら2つの酵素によるpPDH15b/1の切断は、PDH
発現カセットまたはプラスミド複製/維持機能に影響を及ぼすことなく、アンピ
シリン耐性遺伝子を完全に欠落させる。同様に、プラスミドベクターpET9b
を同じ2つの制限酵素で切断し、カナマイシン耐性遺伝子を含む1.17kbの
AlwNI/EcoRI DNAフラグメントを単離し、次いでpPDH15b
/1 PDH含有フラグメント(上記)とのライゲーション反応に用いる。ライ
ゲーション混合物を用いて、電気穿孔により、E.coli菌株BL21(DE
3)を形質転換する。カナマイシン耐性形質転換細胞(E.coliBL2(D
E3)(pPDH155K))を単離し、PCRによってPDH発現カセットの
存在を証明する。PDH活性ならびに組換え菌株細胞溶解液を用いる5−(1,
3−ジオキサラン−2−イル)−2−オキソ−ペンタン酸から5−(1,3−ジ
オキサラン−2−イル)−(S)−2−アミノペンタン酸への生物変換を評価す
るための使用試験は、陽性である。
【0129】 2.組換え菌株ピシア・パストリスSMD1168(pPDH9K/10)によ
るFDH/rPDHの発現 5−(1,3−ジオキサラン−2−イル)−2−オキソ−ペンタン酸から5−
(1,3−ジオキサラン−2−イル)−(S)−2−アミノペンタン酸への生物
変換には、フェニルアラニンデヒドロゲナーゼ(PDH)およびギ酸デヒドロゲ
ナーゼ(FDH)という2つの酵素が関与する。組換え菌株ピシア・パストリス
SMD1168(pPDH9K/10)は、ピシア・パストリスの内因性FDH
とサーモアクチノマイセス・インテルメジウスのクローニングされたPDH遺伝
子を用いる1細胞FDH/rPDH系として構築される。最終組換えベクター(
pPDH9K)の構築は、2つの段階からなる:a)まず、サーモアクチノマイ
セス・インテルメジウスpdh遺伝子をプラスミドベクターpICZ(インビト
ロゲン、サンディエゴ、カリフォルニア;図3)内へクローニングすることによ
り、プラスミドベクターpICZ−PDHを構築し;次いで、b)ベクターpI
CZ−PDH内でクローニングされたPDH遺伝子をプラスミドRベクターpI
C9K(インビトロゲン、サンディエゴ、カリフォルニア)内へ移すことによっ
て、プラスミドベクターpPDH9Kを構築する。この発現系におけるPDHは
、メタノールによって発現を誘発されるAOX1の制御下にある。
【0130】 組換え菌株ピシア・パストリスSMD1168(pPDH9K/10)(AT
CC74408)を以下の方法で単離する。サーモアクチノマイセス・インテル
メジウスpdhの公表されたDNA配列を用い、pdh遺伝子のN−(5'CG
GAATTCAAGATGCGCGACGTGTTTGAAATG3')(配列
番号7)およびC−(5'GGGGTACCCCTCCTTGCGCTGTTG
CGGGG3')(配列番号8)末端に対応するDNAプライマーを合成し、サ
ーモアクチノマイセス・インテルメジウス標的DNAを用いるPCR反応に使用
する。PCR反応により、予定の大きさの一本鎖DNAフラグメントが得られ、
これを単離し、精製し、次いで、制限酵素EcoRIおよびKpnIで切断する
。切断されたPCRフラグメントをEcoRI/KpnI切断プラスミドベクタ
ーpICZとライゲートし、電気穿孔により、ライゲーション混合物でピシア・
パストリス菌株GS115を形質転換する。組換え単離ピシア・パストリスGS
115(pICZ−PDH)由来の細胞抽出物におけるPDH活性の分析は、陽
性である。
【0131】 次いで、プラスミドpICZ−PDHを制限酵素PmeIおよびNotIで切
断し、次いで、pdhカセットを含む2.5kbのDNAフラグメントを単離し
、精製する。同様に、プラスミドベクターpIC9Kを同じ2つの制限酵素で切
断し、精製する。2つの切断DNAをライゲートし、電気穿孔により、ライゲー
ション混合物でピシア・パストリス菌株SMD1168を形質転換する。高レベ
ルの抗生物質G418(4mg/ml)に対する耐性について、この電気穿孔に
より得られる形質転換細胞をスクリーニングすると、多くのプラスミド組込みイ
ベントを含む単離体が存在することがわかる。メタノール誘発後、8個の高G4
18耐性コロニーを組換えPDH発現について試験する。1つの単離体[ピシア
・パストリスSMD1168(pPDH9K/10)]は、他の試験した形質転
換細胞と比べて、有意に高いレベルのPDH活性があることを実証する。FDH
活性は、予測されるように、この単離体からの細胞抽出物において著しい。この
単離体からの細胞抽出物を用いる5−(1,3−ジオキサラン−2−イル)−2
−オキソ−ペンタン酸から5−(1,3−ジオキサラン−2−イル)−(S)−
2−アミノペンタン酸への生物変換を評価するための使用試験は、陽性であり、
反応混合物に外来性FDHを加える場合または反応混合物にFDHを加えない場
合のどちらの場合においても、この1細胞FDH/rPDH系の有効性が実証さ
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 プラスミドpET−15bを示す。配列の番号付けはpBR32
2の慣例による。配列の目印としては、453−469のT7プロモーター;4
52のT7転写開始部位;362−380のHisタグコード配列;213−2
59のT7ターミネーター;3882のpBR322起点;および4643−5
500のblaコード配列が挙げられる。
【図2】 プラスミドpET−9bを示す。
【図3】 プラスミドpPICZA,B,Cを示す。特徴としては、1−94
2の5'AOX1プロモーター領域;824のAOX1 mRNAの5'末端;8
55−875の5'AOX1プライミング部位;932−1011のマルチプル
クローニングサイト;1012−1044のmycエピトープタグ;1057−
1077のポリヒスチジンタグ;1160−1180の3'AOXプライミング
部位;1251のmRNAの3'末端;1078−1419のAOX1転写停止
領域;1420−1831のTEF1プロモーター含有フラグメント;1832
−1899のEM7プロモーター;1900−2274のSh ble ORF;
2275−2592のCYC1転写停止領域;2603−3276のColE1
起点。
【図4】 プラスミドpPIC9kを示す。特徴としては、1−948の5
'AOX1プロモーターフラグメント;855−875のAOX1プライマー部
位;949−1218のα因子分泌シグナル;1152−1172のα因子プラ
イマー部位;1192−1241のマルチプルクローニングサイト;1327−
1347の3'AOX1プライマー部位;1253−1586の3'AOX1転写
停止領域;4514−1980のHIS4 ORF;5743−4928のカナ
マイシン耐性遺伝子;6122−6879の3'AOX1フラグメント;796
1−7288のColE1開始点;8966−8106のアンピシリン耐性遺伝
子。
【図5】 プラスミドpGAPZA,B,Cを示す。特徴としては、1−48
3のGAPプロモーター領域;455−476のpGAPフォアウォードプライ
ミング部位;484−563のマルチプルクローニングサイト;564−593
のmycエピトープタグ;609−626のポリヒスチジンタグ;711−73
1の3'AOX1プライミング部位;630−970のAOX1転写停止領域;
971−1381のTEF1プロモーター含有フラグメント;1382−144
9のEM7プロモーター;1450−1824のSh ble ORF;1825
−2142のCYC1転写停止領域;2153−2826のColE1開始点。
【図6】 プラスミドpGAPkを示す。プラスミドpGAPkは、pPI
C9kの8980塩基対(bp)のBamHI/NotI断片中にクローニング
したGAPプロモーターおよびマルチプルクローニングサイトを含有するpGA
PZからの546bpのBglII/NotI断片を有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) (C12P 13/00 C12R 1:01) C12R 1:01) (C12P 13/00 (C12P 13/00 C12R 1:84) C12R 1:84) (C12N 1/19 (C12N 1/19 C12R 1:84) C12R 1:84) (C12P 17/04 (C12P 17/04 C12R 1:01) C12R 1:01) (C12P 17/04 (C12P 17/04 C12R 1:84) C12R 1:84) (C12P 17/06 (C12P 17/06 C12R 1:01) C12R 1:01) (C12P 17/06 (C12P 17/06 C12R 1:84) C12R 1:84) C12N 15/00 A (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB ,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ, DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE,GH,G M,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG ,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT, LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX,N O,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG ,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,UA, UG,UZ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 スティーブン・ゴールドバーグ アメリカ合衆国07933ニュージャージー州 ジレット、サンライズ・ドライブ100番 (72)発明者 ロナルド・エル・ハンソン アメリカ合衆国07950ニュージャージー州 モリス・プレインズ、ホワイトウッド・ド ライブ54番 (72)発明者 ポール・エイ・ジャス アメリカ合衆国08527ニュージャージー州 ジャクソン、イースト・プレザント・グロ ーブ・ロード315番 (72)発明者 ウェン−セン・リ アメリカ合衆国07733ニュージャージー州 ホームデル、ディアボーン・ドライブ14番 (72)発明者 ラメシュ・エヌ・ペイテル アメリカ合衆国08807ニュージャージー州 ブリッジウォーター、キャボット・ヒル・ ロード572番 (72)発明者 キース・ラミグ アメリカ合衆国07050ニュージャージー州 オレンジ、ローン・リッジ・ロード389番 (72)発明者 ラズロ・ジェイ・サーカ アメリカ合衆国08816ニュージャージー州 イースト・ブランズウィック、ウェリント ン・ロード5番 (72)発明者 ジョン・ジェイ・ベニット アメリカ合衆国08902ニュージャージー州 ノース・ブランズウィック、ドーズ・ロー ド260番 Fターム(参考) 4B024 BA08 BA71 CA04 DA05 DA06 DA12 EA04 GA11 4B064 AE03 CA02 CA03 CA06 CA21 CB16 CC03 CC24 CD15 DA16 4B065 AA01X AA26X AA73X AA77X AB01 BA02 CA17 CA28

Claims (28)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式: 【化1】 (式中、Rは水素またはC−C18アルキルまたは一価カチオン、Rは式
    : 【化2】 で示される残基、式: 【化3】 (式中、各RはC−C18アルキル)で示される残基、または式: 【化4】 (式中、各RはHまたはR)で示される残基)で示されるアルキルアミノ酸
    化合物の製造方法であって、式(式II): 【化5】 (式中、Rは前記と同じ、Rは前記と同じ)で示されるケト化合物をアンモ
    ニアおよび補因子の存在下、式Iの化合物の生成に適した条件下でアミノ酸デヒ
    ドロゲナーゼに接触させることを含む、方法。
  2. 【請求項2】 Rが水素である請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 Rがリチウムである請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 Rが式: 【化6】 で示される残基である請求項1に記載の方法。
  5. 【請求項5】 Rがメチルであるか、またはRが式: 【化7】 (式中、RはHまたはメチル)で示される残基である、請求項1に記載の方法
  6. 【請求項6】 該アミノ酸デヒドロゲナーゼが、アラニンデヒドロゲナーゼ
    、フェニルアラニンデヒドロゲナーゼ、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、ロイシ
    ンデヒドロゲナーゼ、またはバリンデヒドロゲナーゼである、請求項1に記載の
    方法。
  7. 【請求項7】 該アミノ酸デヒドロゲナーゼが微生物によりその場で産生さ
    れる、請求項1に記載の方法。
  8. 【請求項8】 該微生物がThermoactinomyces種またはPichia pastorisまた
    はE. coliである、請求項7に記載の方法。
  9. 【請求項9】 該補因子がNADHである請求項1に記載の方法。
  10. 【請求項10】 該補因子が酵素によりその場で生成される請求項9に記載
    の方法。
  11. 【請求項11】 再生酵素がギ酸デヒドロゲナーゼである請求項10に記載
    の方法。
  12. 【請求項12】 式: 【化8】 で示される化合物の生成に適した条件下、適当な溶媒中で化合物Iを塩化チオニ
    ルと反応させる工程をさらに含むか、または式IIIで示される化合物の生成に適
    した条件下、適当な溶媒中で化合物Iをクロロトリメチルシランおよび亜硫酸ジ
    メチルと反応させる工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  13. 【請求項13】 フェニルアラニンデヒドロゲナーゼ(PDH)およびギ酸
    デヒドロゲナーゼ(FDH)の両者を産生しうる遺伝子操作した酵母宿主細胞で
    あって、 (a)PDHをコードする組換え核酸、および任意にPDHをコードする内生の
    核酸、および (b)FDHをコードする核酸であって、内生のものであるか、組換えのもので
    あるか、または内生および組換えの両者であるもの を含むことを特徴とする遺伝子操作した酵母宿主細胞。
  14. 【請求項14】 ギ酸デヒドロゲナーゼを発現しうる核酸が内生のものであ
    る、請求項13に記載の遺伝子操作した宿主細胞。
  15. 【請求項15】 フェニルアラニンデヒドロゲナーゼを発現しうる核酸が内
    生のものでない、請求項14に記載の遺伝子操作した宿主細胞。
  16. 【請求項16】 Pichia種である請求項13に記載の宿主細胞。
  17. 【請求項17】 Pichia pastorisである請求項13に記載の宿主細胞。
  18. 【請求項18】 Pichia pastoris ATCC74408。
  19. 【請求項19】 Pichia pastoris ATCC74433。
  20. 【請求項20】 内生のギ酸デヒドロゲナーゼを発現しうるCandida boidin
    ii ATCC32195である、請求項13に記載の宿主細胞。
  21. 【請求項21】 フェニルアラニンデヒドロゲナーゼを発現しうる組換え核
    酸およびギ酸デヒドロゲナーゼを発現しうる内生の核酸を含む、遺伝子操作した
    細菌宿主細胞。
  22. 【請求項22】 Escherichia coli ATCC98374。
  23. 【請求項23】 式: 【化9】 (式中、Rは水素、C−C18アルキル、または一価カチオン、Rは式: 【化10】 で示される残基、式: 【化11】 (式中、各RはC−C18アルキル)で示される残基、または式: 【化12】 (式中、各RはHまたはR)で示される残基)で示される化合物。
  24. 【請求項24】 Rが式: 【化13】 で示される残基である、請求項23に記載の化合物。
  25. 【請求項25】 Rが水素、アンモニウム、リチウムまたはカリウムであ
    る、請求項23に記載の化合物。
  26. 【請求項26】 Rが水素、アンモニウム、リチウムまたはカリウムであ
    り、Rが式: 【化14】 で示される残基である、請求項23に記載の化合物。
  27. 【請求項27】 Rが水素である請求項25に記載の化合物。
  28. 【請求項28】 Rがリチウムである請求項25に記載の化合物。
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