【発明の詳細な説明】
脂漏性皮膚炎、フケ、乾癬及びニキビを治療する
ジクロロフェニルイミダゾールジオキソラン
を含有する組成物の使用方法及び該組成物
関連出願の相互参照
この出願は参照することによってその全部が合体される1997年7月2日に
出願された米国仮特許出願第60/051,418号の利益を主張するものであ
る。
発明の背景 1.技術分野
この発明は、脂漏性皮膚炎、フケ、乾癬及びニキビに関連した症状を治療する
のにジクロロフェニルイミダゾールジオキソランを含む組成物を使用する方法及
び当該方法に使用される組成物に関するものである。2.先行技術の記述
フケ、脂漏性皮膚炎、乾癬及びニキビ等の皮膚又は頭皮の疾病を治療する伝統
的な方法には、1)皮膚表面上での微生物の成長を阻害する能力を有する薬剤、
2)皮膚表面の刺激を弱める能力を有する薬剤及び/又は3)皮膚表面上での脂
肪性分泌物(皮脂)の生成を減らす能力を有する薬剤を局所的に適用する方法が
含まれる。
微生物の成長、特にマラゼチア・ファーファ(Malassezia furfur(ピチロス
ポラム・オバレPityrosporum ovale))の成長の阻害を通じて当該疾病を治療す
る第1の方法では、製品にはケトコナゾール、セレニウムスルフィド、ジンクピ
リチオン、コールタール及びピロクトンオラミン等の多くの既知のマラゼチア・
ファーファ(Malassezia furfur)阻害剤のうち、1つ又はそれ以上が組み入れら
れていた。
米国特許第4,569,935号はケトコナゾールが乾癬及び脂漏性皮膚炎の
局所治療に使用されていたことを開示した。2%のケトコナゾールを含有するシ
ャンプーは局所適用後、脂漏性皮膚炎の治療に有益な効果を示すことが知られて
いる。更に、泡立ち性や柔軟性の点でより優れた化粧品特性を示す安定したシャ
ンプーが2%未満の界面活性剤を含むように定式化されていたことが知られてい
る。米国特許第5,456,851号を参照されたい。
1つ又はそれ以上の上記疾病を治療する第2の公知方法には、当該疾病に関連
した付着、剥がれ及び痒み等の症状を弱める方法が含まれる。当該方法の1つで
は皮膚表面上に積み重なる過剰な細胞を徐々に無くす効果があるケラチン溶解薬
を局所的に適用するステップを経由する。イスラエル特許第IL 113057
号を参照されたい。痒み、刺すような刺激及び皮膚乾燥を減らす他の方法は、使
用されている洗剤のタイプ及び使用量を調節するステップを含む。PCT国際公
開第WO 96/29983号(約4重量部乃至約12重量部のアニオン性界面
活性剤、このアニオン性界面活性剤1重量部当たり少なくとも約0.75重量部
の両性界面活性剤及びリストアップされた11種類のうち1種又はそれ以上の治
療剤を含む低刺激性の水性洗剤組成物)を参照されたい。
コールタールがマラゼチア・ファーファ(Malassezia furfur)の成長をいくら
かだけ阻害するが、これはDNA合成を抑制して細胞分裂を阻害する効果があるこ
とが知られている。細胞増殖及び成長が付着、剥がれ及び痒みの症状を生じさせ
るので、細胞分裂を阻害するコールタールにより上記症状が緩和されるように見
える。例えば、PCT国際公開第WO 96/29045号は頭皮における脂漏
性皮膚炎の治療に細胞毒性剤及び抗真菌剤の組み合わせを総称的に開示している
。しかしながら、それが具体的に開示しているのは1.8%のコールタールを含
む未確認の組成物と2%ケトコナゾールを含む未確認溶液の複合的使用である。
脂漏性皮膚炎、フケ、乾癬及びニキビを治療する第3の方法では、罹患した者
に現れる普通の症状である、皮膚表面上での脂肪性分泌物の生成を減らすという
ステップを経由する。表面皮膚細胞の増殖によって皮膚表面上に閉じ込められた
脂肪性分泌物が高度に存在することにより、微生物にとって有益な影響環境が与
えられることになる。アルコール、溶媒及び界面活性剤等の薬剤は脂肪性分泌物
の生成の減少という目的のために種々の治療に組み入れられてきた。しかしなが
ら、これらの薬剤は皮膚に非常に刺激を与えると共に、マラゼチア・ファーファ
(M.furfur)の成長を阻害するのに有効ではない。
脂漏性皮膚炎、フケ、乾癬、ニキビなどを治療するための組成物であって、微
生物の成長を阻害するばかりでなく、皮膚表面上の過剰量の皮膚細胞を効果的に
少しずつ減らし、上記の如何なる不利益なしに皮膚表面上の脂肪性分泌物を減ら
すものを得ることは有益であろう。
発明の概要
この発明に従えば、a)1)ジクロロフェニルイミダゾールジオキソラン及び
2)サリチル酸、コールタール及びそれらの誘導体、ピロクトンオラミン(オク
トピロックス)、セレニウムスルフィド、シクロピロックスオラミン及びこれら
の混合物から選択された治癒効果成分を含む有効量の組成物を皮膚又はヘアに塗
布するステップを含む、あるいは本質的に当該ステップからなる、あるいは当該
ステップのみからなる、脂漏性皮膚炎、フケ及び乾癬を治療する方法が提供され
る。
本発明の他の実施の形態は、a)ジクロロフェニルイミダゾールジオキソラン
、及びb)サリチル酸、コールタール及びそれらの誘導体、ピロクトンオラミン
(オクトピロックス)、セレニウムスルフィド、シクロピロックスオラミン及び
これらの混合物から選択された治癒効果成分を含む、あるいは本質的に当該成分
からなる、あるいは当該成分のみからなる、組成物を対象とする。
この組成物は、当該技術分野で公知のボディクレンジング製品あるいはヘアク
レンジング製品の成分と組み合わせてソープ、ゲル、シャンプー等の種々のボデ
ィ及びヘアクレンジング製品を構成してもよい。
この発明の更に他の実施の形態は、(a)第1の混合物を生じさせるのに十分
な条件下でアニオン性界面活性剤及び脱イオン水を混合し、(b)第2の混合物
を生じさせるのに十分な条件下で有効量のジクロロフェニルイミダゾールジオキ
ソラン及び抗酸化剤を前記第1の混合物に混合し、(c)前記第2の混合物に治
癒効果成分を添加する前に十分な温度に冷却し、(d)第3の混合物を生じさせ
るのに十分な条件下で前記冷却した第2の混合物に治癒効果成分を混合し、(e
)第4の混合物を生じさせるのに十分な条件下で前記第3の混合物に緩衝剤及び
両性界面活性剤を混合するステップを含む、あるいは本質的に当該ステップのみ
からなる、あるいは当該ステップのみからなる、ボディ及びヘアクレンジングの
処方物(formulation)を製造する方法に導かれる。
更に他の実施の形態では、ジクロロフェニルイミダゾールジオキソランを含む
有効量の組成物を皮膚に局所的に塗布するステップを含む、あるいは本質的に当
該ステップからなる、あるいは当該ステップからなる、皮膚表面上のバクテリア
の成長阻害方法が導かれる。
我々は、ジクロロフェニルイミダゾールジオキソラン及びこれを含む組成物が
マラゼチア・ファーファ(M.furfur)及びプロピオニバクテリウム・アクネス(P
ropionibacterium acnes、以下P.acneとも言う)等の微生物の成長を阻害する
点で優れていることを期せずして見出した。更に、ジクロロフェニルイミダゾー
ルジオキソランと1種又はそれ以上の治癒効果成分との組み合わせにより、しば
しば上記成分を単独で含有したシャンプーやクレンザーという先行技術以上の十
分な改良及び/又は相乗作用が与えられる。このため、異なるタイプの成分の一
方または両方の濃度を下げることができるので、ユーザーの許容範囲を増やすこ
とができることになる。発明を実施するための最良の形態
次の記述では、本発明は例示としてシャンプーを用いて示されているが、本発
明に従う組み合わせが浴用、棒状、ゲル状などを含む他のボディ及びヘアクレン
ジング製品においても同様に使用できることは当業者にとって明らかであろう。
用語「MEA」は式RCO−NH−CH2CH2−OHのモノエタノールアミド
を含み、「DEA」は式RCO−N(CH2CH2−OH)2のジエタノールアミ
ドを含み、「MIPA」は式RCO−NH−CH2−CHOH−CH3のモノイソ
プロパノールアミドを含み、式中、各RCO基は炭素数13乃至19のアルキル
カルボニル基あるいは炭素数13乃至19のアルケニルカルボニル基等の脂肪酸
残基である。「TEA」はトリエタノールアンモニウムを意味する。ここで使用
されているように、「両性(amphoteric)」という語は、1)例えばアミノ官能
基(塩基)と酸性官能基(例えば、カルボキシル酸、他の酸性物質)の双方を含
有するアミノ酸のように酸性部位及び塩基性部位を含有する分子、あるいは2)
同一分子内でプラス及びマイナスの両方に帯電領域を有する双極性分子を意味す
る。後者の帯電は、その組成物のpHに依存するか、依存しないかのいずれかで
もよい。
ジクロロフェニルイミダゾールジオキソランはエルビオール(Elubiol)という
商標名でジャンセン・ファーマシューティカ(Janssen Pharmaceutica N.V.)か
ら商業的に入手可能である。本発明の組成物におけるジクロロフェニルイミダゾ
ールジオキソランの使用量は例えば現れている症状のタイプ及び組み合わせた他
の成分の量に依存するが、ジクロロフェニルイミダゾールジオキソランは組成物
の全重量に対して約0.1%乃至約2%、好ましくは約0.25%乃至約1%及
びより好ましくは約0.25%乃至約1%の量で使用してもよいことは過度の実
験なしに当業者は容易に決定できる。更に説明されるように、上記範囲の下限で
はシャンプーが貯蔵中に抗菌剤の劣化のためにその抗菌性を喪失しないことを保
証するために特別の子防措置を採らなければならない。上記範囲より高い濃度で
はそれ以上に症状に対する治療法が改善されず、概して有益な点よりも不利益な
点が多くなる。
本発明の組成物は、フケ、脂漏性皮膚炎及び乾癬の治療において治療成果を達
成するのに効果があり、サリチル酸、コールタール及びそれらの誘導体、ピロク
トンオラミン(オクトピロックス)、セレニウムスルフィド、シクロピロックス
オラミン及びこれらの混合物から選択された治癒効果成分を更に含むものである
。サリチル酸は精選された治癒効果成分である。治癒効果成分の使用量は上述と
同様に種々の理由で変えてもよいが、治癒効果成分は組成物の全重量に対して約
0.5%乃至約3%、好ましくは約1%乃至約2%の量で使用してもよいことは
過度の実験なしに当業者は容易に決定できる。
好適な実施の形態では、ジクロロフェニルイミダゾールジオキソラン及び1種
又はそれ以上の治癒効果成分は皮膚糸状菌、特にフケ及び脂漏性皮膚炎に関連し
た属、即ちマラゼチア・ファーファ(Malassezia furfur、(Pityrosporum oval
e))の成長阻害、他に例えば頭部白癬、体幹白癬などに関連したエピデモフィ
トン(Epidermophyton),マイクロスポラム(Microsporum)及びトリコフィトン(T
richophyton spp.)のような属の成長阻害に対しても十分な改善及び/又は相互
相乗作用を生じさせる量で存在する。ジクロロフェニルイミダゾールジオキソラ
ン及び1種又はそれ以上の治癒効果成分の量比は治癒効果成分の特質及び標的と
なる微生物の属に依存することになる。特に、ジクロロフェニルイミダゾールジ
オキソランと治癒効果成分との重量:重量の比率は約0.1:3乃至約2:0.
5の範囲、好ましくは約0.25:2乃至約0.5:1.0の範囲でよい。皮膚
糸状菌、特にマラゼチア・ファーファ(Malassezia furfur)の増殖を阻害する場
合に特別に有効なのは、約0.5:2.0乃至約1:1の範囲の重量比でジクロ
ロフェニルイミダゾールジオキソランとサリチル酸とを組み合わせた場合である
。また、意外にも、この組み合わせは病原性酵母、カンジダ・アルビカンス(Ca
ndida albicans)に対する相互の相乗効果を生じさせるものとなる。
他の好適な実施の形態では、組成物はジクロロフェニルイミダゾールジオキソ
ラン、サリチル酸、及び当該組成物の全重量に対して約0%乃至約1%、好まし
くは約0.25%乃至約1%、より好ましくは約0.50%乃至約0.75%の
範囲のピロクトンオラミン(オクトピロックス)を含めてもよい。
本発明に従うシャンプーは公知のシャンプーベースを用いて好都合に処方する
ことができる。この公知のシャンプーベースの成分は1種又はそれ以上の界面活
性剤、発泡剤、室温で約4,000乃至約9,000mPa・sの範囲の粘度を
最終処方物に与えるに十分な増粘剤、防腐剤系、抗酸化剤系及び上記シャンプー
のpHを約3乃至約8の範囲とするに十分な酸性物質あるいは塩基性物質あるい
は緩衝剤を含むものである。単独成分に2つ又はそれ以上の機能、例えば界面活
性剤及び発泡剤の機能を持たせることができる。
本発明に従うシャンプーへの使用に適した界面活性剤には商業的に利用できる
如何なる非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、アニオン性界面活性剤あるい
はこれらの混合物も含まれる。
本発明への使用に適した非イオン性界面活性剤の類の1つにはポリオールエス
テル類のポリオキシエチレン誘導体が含まれる。このポリオールエステル類のポ
リオキシエチレン誘導体は、(a)約8個乃至約22個、好ましくは約10個乃
至約14個の炭素原子を含有する脂肪酸、及び(b)ソルビトール、ソルビタン
、グルコース、α−メチルグルコシド、1分子当たり平均約1個乃至約3個のグ
ルコース残基を有するポリグルコース、グリセリン、ペンタエリトリトール及び
これらの混合物から誘導される。また、上記誘導体は平均約10個乃至約120
個、好ましくは約20個乃至約80個のオキシエチレン単位を含有し、かつポリ
オールエステル類のポリオキシエチレン誘導体の1モル当たり平均約1個乃至約
3個の脂肪酸残基を有している。
本発明に適した非イオン性界面活性剤の他の類には、(a)約6個乃至約22
個、好ましくは約8個乃至約14個の炭素原子を含有する長鎖アルコールと(b
)グルコースあるいはグルコース含有ポリマとの縮合生成物である長鎖アルキル
グルコシド類あるいはポルグルコシド類が含まれる。上記アルキルグルコシド類
はアルキルグルコシド1分子当たり約1個乃至約6個のグルコース残基を有して
いる。
本発明への使用に適した両性界面活性剤には、アンホカルボキシレート類、ア
ルキルベタイン類、アミドアルキルベタイン類、アミドアルキルスルタイン類(s
ultaines)、アンホホスフェート類、ホスホベタイン類、ピロホスホベタイン類
、カルボキシアルキルアルキルポリアミン類及びこれらの混合物が含まれるが、
これらに限定されるものではない。
本発明に適したアニオン性界面活性剤は、アルキルスルフェート類、アルキル
エーテルスルフェート類、アルキルモノグリセリルエーテルスルフェート類、ア
ルキルモノグリセリドスルフェート類、アルキルモノグリセリドスルホネート類
、アルキルスルホネート類、アルキルアリールスルホネート類、アルキルスルホ
スクシネート類、アルキルエーテルスルホスクシネート類、アルキルスルホスク
シナメート類、アルキルアミドスルホスクシネート類、アルキルカルボキシレー
ト類、アルキルアミドエーテルカルボキシレート類、アルキルスクシネート類、
脂肪酸アシルサルコシネート類、脂肪酸アシルアミノ酸類、脂肪酸アシルタウレ
ート類、脂肪酸アルキルスルホアセテート類、アルキルホスフェート類及びこれ
らの混合物から選択されてもよい。
好適な界面活性剤には約14個乃至約16個の炭素原子を有するオレフィンス
ルホネート類のナトリウム塩、ラウリルスルフェートナトリウム、TEAラウリ
ルスルフェート、ラウレス(laureth)スルフェートナトリウム、コカミドプロピ
ルアミンオキシド、ラウリルアミンオキシド、ラウルアミドDEA、コカミドプ
ロピルベタイン、ラウリルジメチルベタイン、ココジメチルスルホ−プロピルベ
タイン、ココイルサルコシネートナトリウム、オレアミドMIPAスルホスクシ
ネート二ナトリウム、コカミドMIPAスルホスクシネート二ナトリウム、ラウ
レス(laureth)スルホスクシネート二ナトリウム、ココアンホカルボキシ−グリ
シネート、オレアミドMEAスルホスクシネート二ナトリウム、アミングリシネ
ート類、アミンプロピオネート類、アミンスルタイン類及びこれらの混合物が含
まれ、オレフィンスルホネート類のナトリウム塩が最も好適である。
本発明のシャンプーの好適な実施の形態では、2つ又はそれ以上の異なる界面
活性剤の混合物、より好ましくはアニオン性界面活性剤と両性界面活性剤の混合
物、特にラウレス(laureth)スルホネートナトリウムとココイルサルコシネート
ナトリウムの混合物、あるいはラウリルスルホネートナトリウム、ラウレス(lau
reth)スルホネートナトリウム、TEAラウリルスルホネート、ココアミドプロピル
アミンオキシド及びコカミドプロピルベタインの混合物を使用してもよい。
本発明に従う組成物では、界面活性剤の全量は組成物の全重量に対して約30
%乃至約60%、好ましくは約40%乃至約50%の範囲でよい。好ましくは、
上記シャンプーは、シャンプーの全重量に対して、約15%乃至約30%、好ま
しくは約20%乃至約25%のアニオン性界面活性剤、約5%乃至約20%、好
ましくは約10%乃至約15%の非イオン性界面活性剤、約10%乃至約30%
、好ましくは約20%乃至約25%の両性界面活性剤を含有する。好ましくは、
両性界面活性剤の重量は界面活性剤の全重量の15%未満である。最も好適には
、上記シャンプーは、組成物の全重量に対して、約20%乃至約25%のオレフ
ィンスルホネート類のナトリウム塩等のアニオン性界面活性剤及び約20%乃至
約25%の両性界面活性剤を含めてよい。この両性界面活性剤はその両性界面活
性剤の全重量に対して約1.0%乃至約5.0%のコカミドプロピルアミンオキ
シド及び約20%乃至約25%のコカミドプロピルベタインを含むものである。
本発明の組成物への使用に適した発泡剤(発泡助剤及び安定化剤)には脂肪酸
モノ−及びジアルカノールアミド類及びこれらの混合物が含まれるが、これらに
限定されるものではない。当該アミド類の例は、コカミドMEA、コカミドDE
A、オレアミドMEA、オレアミドDEA及びこれらの混合物である。上記発泡
剤は約0%乃至約10%(重量/重量)、好ましくは約2%乃至約6%(重量/
重量)、特に約4%乃至約5%(重量/重量)の範囲で存在してよい。これらの
成分は概して上記処方物中で増粘効果をも有している。
本発明のシャンプーへの使用に適した防腐剤は、例えばEDTAナトリウム、
メチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、エチルパラベン、イミダ
ゾリジニルウレア、ジアゾリジニルウレア、フェノキシエタノール、クォータニ
ウム(quaternium)15、クエン酸、好ましくは互いに組み合わせたものが皮膚
科学的に許容できる防腐剤である。EDTAナトリウム及びクエン酸はキレート
剤としても機能する。上記防腐剤は最終組成物の有効期間を適切なものにするた
めに最終組成物の劣化を遅らせるのに有効な量で使用される。
ジクロロフェニルイミダゾールジオキソランの濃度が上述の範囲の下限である
ときは、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソー
ル(BHA)、アスコルビン酸、N−アセチル−システイン及びメタビスルファ
イトからなる群より選択され、注意深く調製された量の抗酸化剤の添加により、
50℃、13週間の短縮したエージング試験においてシャンプー中に存在するジ
クロロフェニルイミダゾールジオキソランの劣化を有効に止めることができる。
なお、上記エージング試験は2年間の周囲温度での貯蔵中の挙動を予測できるも
のと考えられている。米国特許第5,456,851号を参照されたい。有効な
安定性は貯蔵中の活性成分の損失を10%未満とすることであると考えられてい
る。最も効果的であると見出されたBHTあるいはBHAの割合は約0.01%
乃至約1%(重量/重量)の範囲内である。この範囲の量よりも多い割合にする
と、13週間の短縮エージング試験中ではジクロロフェニルイミダゾールジオキ
ソランを有効に安定化しない。しかしながら、50℃、13週間の安定性試験は
、室温で2年間貯蔵する通常の有効期間中の製品安定性を予測するのに十分であ
ると、政府監督庁によって、及び製薬産業界及び化粧品産業界において良く認識
されている。また、非常に重要なことに、安全性(即ち、皮膚刺激の程度を最小
限にする)の理由からBHTあるいはBHAの使用量をできる限り少なくするこ
とが望ましい。
シャンプーのユーザーがシャンプーに僅かに粘性を持たせることを期待するの
で、1種又はそれ以上の増粘剤が室温で4,000乃至9,000mPa・sの
範囲の粘度をシャンプーに与えるようにしばしば処方物に含まれる。本発明に適
した増粘剤はカーボマー即ち商標名カルボポール(Carbopol)1342等のポリ
カルボン酸であり、これは製造の最終段階で水酸化ナトリウムあるいは塩化ナト
リウムを添加することによって粘性が増すものである。本発明に適した他の増粘
剤はキサンタンガム、ビーガム(veegum)及び上述した発泡剤、好ましくはコカ
ミドMEAである。増粘剤の使用量は所望の粘度に依存するが、増粘剤の典型的
な使用量はシャンプーの全重量に対して約0%乃至約2%、好ましくは約0.2
%乃至約1.3%である。
本発明への使用に適したpH調整剤あるいは緩衝剤にはクエン酸ナトリウム、
クエン酸及びこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されるものではない。
本発明に従うシャンプーのpHは皮膚科学的に許容できる酸性物質、塩基性物質
及び緩衝剤を用いて確立されることに差し支えない。上記pHは約3.0乃至約
8.0の範囲であるが、好ましくは約3.5乃至約5.0の範囲であり、特に約
3.7乃至約4.2の範囲である。
本発明への使用に任意に選択される可溶化剤にはヘキシレングリコール、プロ
ピレングリコール、ブチレングリコール及びこれらの混合物が含まれるが、これ
らに限定されるものではない。これらの可溶化剤は一定の溶液中に固形分が実質
的に全て溶解されるのに有効な量で使用されるべきである。
上記シャンプーはそのシャンプーの全重量に対して約0%乃至約5%、好まし
くは約1%乃至約3%の範囲でコンディショナーを任意選択的に含めることがで
きる。本発明に適したコンディショナーの例にはカチオン性セルロース誘導体、
カチオン性グアル(guar)誘導体、シクロメチコン、ジメチコン等のシリコン物質
及びリノールアミドプロピルポリグリコールジモニウムクロリド等のグリセリル
誘導体、及びこれらの混合物、(a)次の化学式1を有するモノマあるいは(b
)ジアリルジメチルアンモニウムクロリド又はこれを含む混合物から選択された
カチオン性モノマのホモポリマあるいはコポリマが含まれるが、これらに限定さ
れるものではない。
化学式1
ここで、化学式1中のRはHあるいはCH3であり、YはOあるいはNHであ
り、R1は約2個乃至約6個、好ましくは約2個乃至約3個の炭素原子を有する
アルキレン基であり、R2、R3及びR4はそれぞれ独立して約1個乃至約22個
、好ましくは約1個乃至約4個の炭素原子を有するアルキル基であり、Xはハラ
イド及びアルキルスルフェートから選択された一価のアニオンである。
各コンディショナー成分量は組成物の全重量に対して約0.01%乃至約1.
0%、好ましくは約0.01%乃至約0.5%、より好ましくは約0.01%乃
至約0.2%の範囲としてよい。
好ましくは、カチオン性セルロース誘導体にはポリクォータニウム7、ポリク
ォータニウム22、ポリクォータニウム10あるいはこれらとの混合物等の第4
アンモニウム塩の重合体が含まれるが、ポリクオォータニウム22が好適である
。
上記カチオン性グアル誘導体は好ましくはグアルヒドロキシプロピルトリモニ
ウムクロリドであり、これはニュージャージー州クランブリ所在のローン−プー
レンク・インク(Rhone-Poulenc Inc.)から商標名ジャガー(Jaguar)C−17
で商業的に入手可能である。
他の好適なカチオン性ポリマには、次の化学式2を有するアクリルアミドプロ
ピルトリモニウムクロリドから誘導された化合物、より好ましくはこのモノマと
アクリルアミドとのコポリマが含まれ、後者のコポリマはヴァージニア州サフォ
ーク所在のアライドコロイズ(Allied Colloids)から商標名サルケア(Salcare)
SC60で商業的に入手可能である。
化学式2
他の好適なカチオン性のコンディショニングポリマはジアリルメチルアンモニ
ウムクロリドモノマから誘導されたものである。このモノマのホモポリマはヴァ
ージニア州サフォーク所在のアライドコロイズ(Allied Colloids)から商標名サ
ルケア(Salcare)SC30で商業的に入手可能なポリクォータニウム6である。
ジアリルメチルアンモニウムクロリドモノマとアクリルアミドとのコポリマはヴ
ァージニア州ソフォーク所在のアライドコロイズ(Allied Colloids)から商標名
サルケア(Salcare)SC10で商業的に入手可能なポリクォータニウム7として
知られている。
上記シャンプーはシャンプーの全重量に対して約0%乃至約3%、好ましくは
約1%乃至1.5%の光沢化剤を任意選択的に含めてもよい。本発明に適した光
沢化剤の例には、エチレングリコールジステアレート、エチレングリコールモノ
ステアレート及びこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されるものではな
い。
上記シャンプーには更に1種又はそれ以上の着香料及び/又は着色料を任意選
択的に含めてもよい。
上記組成物はフケ、脂漏性皮膚炎、乾癬及び/又はニキビに関連した症状を改
善するのに有効な量で適用されるべきである。ここで使用されているように、「
有効量」とは上記症状が現れた皮膚表面の領域を覆いかつそれぞれの疾病に関連
した症状を改善するのに十分な量を意味するものである。
上記組成物は一定の間隔をもって症状が出た体表部分に局所的に、好ましくは
1週間に約1回乃至約7回塗布されるべきである。より好ましくは、上記組成物
は治療の初期段階では所望の効果が見られるまで、より頻繁に例えば1週間に約
4回乃至約7回塗布され、その後、治療効果の維持が必要であるときは例えば1
週間に約1回乃至約2回に塗布回数を減らす。上記組成物は皮膚上に残されかつ
塗布直後に洗い落とされないようにデザインされた例えばローション、クリーム
、ゲルなどの形態で所望の領域に塗布されてもよい。これに代えて、上記組成物
は塗布後の一定時間内に洗い落とされるようにデザインされた例えばローション
、クリーム、ゲル、ソープ、シャンプーなどの形態で所望の領域に塗布されても
よい。
上記組成物がシャンプーに組み入れられた場合における好適な実施の形態では
、上記シャンプーは濡れたヘアに塗布され、そのヘアは公知の習慣に従って洗わ
れる。上記組成物は濯ぐ前に、約0分乃至約10分、好ましくは約4分乃至約7
分以上、上記ヘア上に止まらせるのがより好ましい。
本発明において、公知の脂肪性分泌物減少剤(PCT国際公開第WO 93/
18743号参照)であるジクロロフェニルイミダゾールジオキソランを含む組
成物を哺乳動物の皮膚又はヘアに局所的に塗布したとき、マラゼチア・ファーフ
ァ(Malassezia furfur)及びプロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibact e
rium acnes)の増殖を著しく阻害したことを予期せずして発見した。従って、ジ
クロロフェニルイミダゾールジオキソランを含む組成物は脂肪性分泌物減少特性
ばかりでなく、マラゼチア・ファーファ(Malassezia furfur)及びプロピオニバ
クテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes)の成長に対する優れた阻害特
性をも有しているので、上記組成物は、フケ、ニキビなどに関連した症状を改善
する他の公知の治療剤に比べて優れている。更に、上記組成物が公知のケラチン
溶解剤であるサリチル酸を含むときは、得られた組成物は3つの伝統的な方法の
全てを経由して行うフケ等の治療に有効な特性を有するものとなる。
ここに説明的に開示された本発明はここに具体的に開示されていない如何なる
要素、成分あるいはステップが存在しない状態で実用化されてもよい。幾つかの
実施例では本発明の本質及び本発明を実行する方法を更に示す以下に述べられる
。
実施例 実施例1:シャンプーベースの製造
467グラムの純水と、250グラムの界面活性剤ウィットコネート(Witcona
te)AOS(約39%の炭素原子数14個乃至16個を有するオレフィンスルホ
ネートナトリウム含有:ウィットコ・コーポレーション(Witco Coporation)か
ら入手可能)とを周囲の温度と圧力の下で適当な機械混合用容器内に加えた。容
器内の攪拌羽根の回転速度を毎分50回に設定した後、上記混合物をその内部温
度が70℃になるまで加熱し、容器内の圧力を1bar(106Pa)まで上昇さ
せた。容器内の温度及び圧力を一定に維持しながら約15分間、上記混合物を攪
拌した後、約45℃まで冷却してから5グラムのクエン酸ナトリウム、5グラム
の「ホスホリピッドEFA」化合物(約30%のリノールアミドプロピルPGジ
モニウムクロリド含有:モナ・インダストリー社(Mona Industries Incorporat
ed)から入手可能)及び3グラムのヘキシレングルコールを添加した。
得られた混合物を、容器内の温度及び圧力を一定に維持しながら約15分間攪
拌した後、240グラムのケムベタイン(Chembetaine)界面活性剤(約30%の
コカミドプロピルベタイン含有:ケムロン・コーポレーション(Chemron Corpor
ation)から入手可能)、10グラムのスタンダモックス(Standamox)CAW化
合物(約30%のコカミドプロピルアミンオキシド含有:ヘンケル・コーポレン
ション(Henkel Corporation)から入手可能)及び20グラムのポリクォータニ
ウム22(Calgon Corporationから商標名メルクォート(Merquat)280で入手可
能)を攪拌状態で添加した。得られた混合物を一定の温度及び圧力で20分間追
加して攪拌した。混合物の内部温度を約35℃に低下させてから、如何なる水分
の損失量をも補償するだけの十分な量の水を添加した。
この実施例で使用された成分の重量百分率を以下の表1に示す。表1 シャンプーの処方 BA:シャンプーベース、DI:ジクロロフェニルイミダゾールジオキソラン、
SA:サリチル酸、PO:ピロクトンオラミン、SOS:オレフィンスルホネー
トナトリウム、SC:クエン酸ナトリウム、LPC:リノールアミドプロピルP
Gジモニウムクロリド、HG:ヘキシレングリコール、CB:コカミドプロピル
ベタイン、CAO:コカミドプロピルアミンオキシド、PQ22:ポリクォータ
ニウム22実施例2:ジクロロフェニルイミダゾールジオキソランを含有するシャンプーベ ースの製造
5グラムのエルビオール(Elubiol)という商標名でジャンセン・ファーマシュ
ーティカ(Janssen Pharmaceutica,N.V.)から商業的に入手可能なジクロロフ
ェニルイミダゾールジオキソランを、純水とオレフィンスルホネートナトリウム
との混合物に添加した以外は実施例1で述べた方法を繰り返した。
得られた混合物を全ての固形分が実質的に溶解するまで約40分間混合してか
らクエン酸ナトリウム、リノールアミドプロピルPGジモニウムクロリド及びヘ
キシレングリコールを添加した。混合物のpHは約7であった。十分な量のクエ
ン酸を用いて混合物のpHを約4に調整した。この実施例で使用された成分の重
量百分率を表1に示した。実施例3:サリチル酸及びピロクトンオラミンを含有するシャンプーベースの製 造
水とオレフィンスルホネートナトリウムとの混合物を、440グラムの純水を
用いた以外は、実施例1で述べた方法で調製した。
容器内の温度及び圧力を一定に維持しながら約40分間、混合物を攪拌した後
、約50℃まで冷却してから、全ての固形分が実質的に溶解するまで約15分間
攪拌した状態で20グラムのサリチル酸(Spectrum Chemicalsから入手可能)を
添加した。なお、温度及び圧力を一定にした。
その後、上記混合物に、5グラムのクエン酸ナトリウム、5グラムの「ホスホ
リピッドEFA」化合物(実施例1)及び3グラムのヘキシレングリコールを攪
拌混合した。容器内の温度及び圧力を一定に維持しながら約15分間、混合物を
攪拌した後、240グラムのケムベタイン(Chembetaine)界面活性剤(実施例
1)、10グラムのスタンダモックス(Standamox)CAW化合物(実施例1)、
20グラムのポリクォータニウム22(実施例1)及び7.5グラムのピロクト
ンオラミン(ヘキストHoechst)から商標名オクトピロック(Octopirox)で入手可
能)を攪拌状態で添加した。得られた混合物を一定の温度及び圧力で追加の20
分間混合した後、上記混合物の内部温度を約35℃まで下げてから、如何なる水
分の損失量をも補償するだけの十分な量の水を添加した。この実施例で使用され
た成分の重量百分率を表1に示した。実施例4:ジクロロフェニルイミダゾールジオキソラン、サリチル酸及びピロク トンオラミンを含有するシャンプーベースの製造
5グラムのジクロロフェニルイミダゾールジオキソラン(実施例2)を、水と
オレフィンスルホネートナトリウムとの混合物に攪拌混合し、得られた混合物を
全ての固形分が実質的に溶解するまで40分間追加攪拌してから50℃に冷却し
た以外は実施例3で述べた方法を繰り返した。実施例5:ピチロスポラム・オバレ(Pityrosporum ovale)及びカンジダ・アル ビカンス(Candida albicans)に対するシャンプーの最低阻害濃度
受託番号(ATCC)42132,44337,44340,44342及び
受託番号44343のマラゼチア・ファーファ(Malassezia furfur)の5菌株と
カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)H29の1菌株に対するインビト
ロ(in vitro)活性に関し、比較例として2種類の市販のシャンプーと同様に実施
例1乃至実施例4のシャンプーを調査した。比較例のシャンプー「A」はコール
タールを0.5%含有する抗フケシャンプー(Neutrogena Corporationから商標
名「T-Gel」で入手可能)であり、比較例のシャンプー「B」はケトコナゾール
を1%含有する抗フケシャンプー(Neutrogena Corporationから商標名ニュート
ロジーナ・ロング・ラスティング・ダンドラフ・コントロール・シャンプー(Ne
utrogena Long Lasting Dandruff Control Shampoo)で入手可能)である。
上記シャンプーを直接培地上で希釈した。培地は診断感受性試験用寒天(DST;
Oxoid社、英国)にツイーン(Tween)80(2mL/L)及びグリセリルモノステ
アレート(2.5g/L)を添加し、その培地内にシャンプーの0.1%乃至4
0%の濃度を与えたものである。次に、活性成分ばかりでなく、全シャンプーに
関しても最低阻害濃度(MIC)の値を出した。ここで用いられているように、
「MIC」とは微生物の成長の全阻害が観察されたシャンプーの最低濃度を意味
する。
上記微生物のうち、マラゼチア・ファーファ(Malassezia furfur)は107個/
mLの濃度で、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)は106個/mL
の濃度で寒天培地を満たした皿に添加した。これらの皿を37℃でインキュベー
トし、1日後、2日後及び3日後に皿内の情報を読んだ。全てのシャンプーに
ついては正と副とを作製して試験した。最低阻害濃度を以下の表2に表す。
表2 実施例1乃至実施例4のシャンプーの最低阻害濃度 Mf:マラゼチア ファーファ、Ca:カンジダ アルビカンス
上記表2で示したように、我々はマラゼチア・ファーファ(Malassezia furfur
)の成長を不可能にするジクロロフェニルイミダゾールジオキソラン、ピロクト
ンオラミン及びサリチル酸(実施例4)を含有するシャンプーの有効性がケトコ
ナゾール含有シャンプー(比較例B)の有効性と等価であり、コールタール含有
シャンプー(比較例A)の有効性よりも優れていることを驚きをもって発見した
。
カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)の成長を不可能にする点に関し
ても、我々はジクロロフェニルイミダゾールジオキソラン、ピロクトンオラミン
及びサリチル酸(実施例4)を含有するシャンプーの有効性がケトコナゾール含
有シャンプー(比較例B)の有効性と等価であり、コールタール含有シャンプー
(比較例A)の有効性よりも優れていることを更に驚きをもって発見した。
要するに、ジクロロフェニルイミダゾールジオキソランを含有するシャンプー
、特にジクロロフェニルイミダゾールジオキソラン、ピロクトンオラミン及びサ
リチル酸(実施例4)を含有するシャンプーの、マラゼチア・ファーファ(Malas
sezia furfur)及びカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)の成長に対す
る有効性は他の市販のシャンプーに比較して著しいことが明白である。実施例6:マラゼチア・ファーファ(Malassezia furfur)に対するシャンプーの 最低阻害濃度
マラゼチア・ファーファ(Malassezia furfur)の29菌株に対するインビトロ
活性に関し、追加比較例としての市販のシャンプーと同様に実施例5のシャンプ
ーを調査した。比較例「C」のシャンプーはケトコナゾールを2%含有する抗フ
ケシャンプー(Janssen Pharmaceutica,N.V.から商標名ニゾラール(Nizoral)
で入手可能)である。上記シャンプーを滅菌水で50倍に希釈した後、更に滅菌
水で2倍間隔で希釈系を作った。
フケ、あるいは脂漏性皮膚炎を患っている人及び患っていない人から採集した
マラゼチア・ファーファ(Malassezia furfur)酵母の29分離株をディクソン(D
ixon)変更培地上で維持した。この培地は1リットルの蒸留水に、36グラムの
モルト抽出物(Difco Laboratoriesから入手可能)と、6グラムのオキソィド(
Oxoid)の菌類用ペプトン(Unipath,Ltdから入手)と、20グラムの雄牛胆汁
エキス(Difco Laboratoriesから入手)と、10mLのポリソルベート40(IC
I Americasから商標名「Tween 40」で入手可能)と、2.5mLのグリセロール
と、20グラムの寒天を加えたものである。ディクソン(Dixon)培養液は上記
組成から寒天を除いたものであり、それ以外は同一組成である。
接種原を、ディクソン(Dixon)培養液及び滅菌したガラスビーズを入れかつ
毎分20回転させたガラスの試験管(内径13mm)内で30℃、2日間に亘っ
て上記酵母を成長させることによって調製した。培養液の懸濁状態を、滅菌水を
加えることによって530nmの波長光で1.0の光学密度に標準化させた。光
学密度を型式UV−160A(Shimadzu)の分光測光器及び1cmの光路で測定し
た。
上記で得られた接種原懸濁液の33倍希釈液50μLを、プラスチック製の平
底型希釈プレート内に配された各シャンプー希釈液50μLに添加した。最終的
なシャンプーの希釈系列は1:100から始まっている。
上記培地を30℃、4日間、インキュベータ内でインキュベートした後、上記
プレートの穴の光学密度を型式3550バイオラッド(Bio-Rad)の自動プレー
ト読出装置を用いて570nmで読んだ。サンプルのシャンプー内に存在するマ
ラゼチア・ファーファ(Malassezia furfur)の成長(濁り度)を、各分離株に関
して薬剤フリーとした対照区の穴内の成長(濁り度)の百分率として算出した。
マラゼチア・ファーファ(Malassezia furfur)の1つの分離株に関して最大阻害
を示す希釈物を、分光測光器の読みに従って対照区の50%以下に成長が減少し
たシャンプーの最も高い希釈物と定義した。最大阻害を示す希釈物の結果を以下
の表3に表す。
表3:阻害された分離株の累積百分率
ジクロロフェニルイミダゾールジオキソランを含有した3種のシャンプー全て
が1:102400の希釈倍率で2090試験用分離株の90%を阻害するとい
う、マラゼチア・ファーファ(Malassezia furfur)に対して非常に強いインビト
ロ阻害活性を示したことは表3から明白である。この実施例は、ジクロロフェニ
ルイミダゾールジオキソランを含有する組成物が頭皮の角質増殖症疾患の一因と
なると信じられている微生物であるマラゼチア・ファーファ(Malassezia furfur
)の成長を有効に阻害したことにより上記疾患を治療するための処方に有効であ
ろうということを示すものである。実施例7:プロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes)に 対する処方物の最低阻害濃度
培養培地を実施例5で述べた手順に従って準備したが、シャンプーに代えて水
にジクロロフェニルイミダゾールジオキソランを加えたものを用いた。
プロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes)を107個/m
Lの濃度で寒天培地を満たした皿に添加した後、上記皿を実施例5で述べた手順
に従ってインキュベートし皿内の情報を読んだ。この実施例では2つの追加した
異なるプロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes)の2つ
の追加した異なる菌株を用いて実施例5を繰り返した。
この実施例では、微生物の成長の全阻害が観察されたジクロロフェニルイミダ
ゾールジオキソラン濃度の最も低い最低阻害濃度が2つの菌株に関しては1mg
/mLであり、第3の菌株に関しては10mg/mLであった。この実施例はジ
クロロフェニルイミダゾールジオキソランがニキビの発生原因に含まれる微生物
の成長に対する活性を有することを示すものである。実施例8:エルビオール(Elubiol)、サリチル酸及びベンゾイル過酸化物の比 較試験
32%が男性で、14歳乃至31歳の年齢で、ほとんどニキビの症状が同程度
である107人の大人に対し、12週間に亘って1日に2度一定のクリームを塗
布することを課した。上記グループの約3分の1はエルビオールを0.1%含有
するクリーム(Penaten G.m.b.H.から商標名「BeBe Rein und Klar Gel(Eクリ
ーム)」で入手可能)を塗布し、他の約3分の1はサリチル酸を2%含有するク
リーム(Johnson & Johnson Consumer Companies,Inc.から商標名「CLEAN AND
CLEAR Invisible Blemish Treatment(SAクリーム)」で入手可能)を塗布して
いるのに対し、残りの大人はベンゾイル過酸化物を10%含有するクリーム(Pr
octer & Gamble Companyから商標名クレアラシル・マキシマム・ストレングス・
バニッシング・クリーム(Clearasil Maximum Strength Vanishing Cream(BP
Oクリーム))で入手可能)を塗布した。
治療を開始する前に、各人毎に基準(baseline)となる疑いの余地のない傷の
数、即ちコメドの全数、開いたコメド数、閉じたコメド数、丘疹数、膿疱数、嚢
胞数及び小塊数を計算した。また、各人には基準となるニキビの症状、即ち脂性
、紅斑、乾燥、剥離、熱傷、刺すような刺激、痒み及び堅さに関し、0(無し)
乃至3(重度)の量的なスケールで評価が与えられた。各人は更に基準となるニ
キビの程度、即ち等級1(コメド)、等級2(一般的な膿疱ニキビ)あるいは等
級3(凝塊形成ニキビ)に関する評価がなされた。基準において、全ての大人は
等級2を有するものとして、ほぼ同一のレベルのニキビの症状を有するものとし
て分類された。この処方計画に従う治療の1週間後、2週間後、4週間後、8週
間後及び12週間後に、各人の疑いの余地のない傷の数、ニキビの症状及びニキ
ビの程度を計算し直した。
治療を開始した後に、全員に関して基準に対しコメドの全数が著しく低下した
。BPOクリームを使用したグループでは2週間後に46%低下し、その低下が
最も速かった。また、Eクリームで治療したグループは2週間後に8%低下して
いるのに対し、SAクリームで治療したグループはコメド数で2%減少しただけ
だった。
12週間後、BPOクリームを使用したグループはコメド数で67%低下して
いるのに対し、Eクリームで治療したグループ及びSAクリームで治療したグル
ープはそれぞれ36%及び37%減少した。開いたコメド及び閉じたコメドに関
しても同様のパターンを観察した。
この実施例はベンゾイル過酸化物を10%含有するクリームがエルビオールを
0.1%含有するクリームあるいはサリチル酸を2%含有するクリームに比べて
コメドに対して比較的速くかつより顕著な効果を有していたことを示した。更に
、この実施例はエルビオールがサリチル酸よりも効果の表れが幾分か速い傾向に
あることを示した。
また、ベンゾイル過酸化物を10%含有するクリームが丘疹に対して最も速く
かつ顕著な効果を示した。BPOクリームの使用者の約3分の2の最終的な傷の
数が減少したのに対し他の2つのグループでは約3分の1が減少したに止まった
。膿疱、嚢胞及び小塊は大人のいずれにも希に見られた。
治療開始後の1週間以内において、BPOクリームの使用者では脂性が75%
減少したのに対し、Eクリームの使用者では55%、SAクリームの使用者では
35%であった。12週間の治療期間終了時点では、エルビオール治療グループ
では脂性の73%が減少したのに対し、サリチル酸及びベンゾイル過酸化物のグ
ループではそれぞれ51%及び71%であった。
エルビオールのグループでは治療開始後の1週間以内において紅斑が39%減
少したのに対し、サリチル酸のグループでは30%減少し、ベンゾイル過酸化物
のグループでは13%増加した。12週間の終了時点で、紅斑は3グループでそ
れぞれ48%,48%及び55%減少した。この実施例は、基準値と比較して、
エルビオール治療患者のみが第1週から先において紅斑で顕著に減少したことを
示した。
治療の最初の2週間では、刺激の評価が全てのグループの大人に関してより非
常に目立った。当初の2週間経過後に、刺激の徴候が減った。12週間の終了時
点では、エルビオールのグループは刺激が最も少ない量(0/3.0)であった
のに対し、サリチル酸のグループ(0.3/3.0)及びベンゾイル過酸化物の
グループ(0.38/3.0)では明らかな刺激があった。この実施例は刺激レ
ベルが最も高いのはベンゾイル過酸化物のグループで、続いてサリチル酸のグル
ープ及びエルビオールのグループの順であったことを示した。
乾燥及び剥離に関しては全てのグループで厳格に同一基準で評価された。特に
、ベンゾイル過酸化物のグループはサリチル酸のグループあるいはエルビオール
のグループよりも乾燥及び剥離の量が著しく大きいことを示した。
刺すような刺激は如何なるユーザーにも問題であると示さなかったが、痒みは
3グループにおいて研究の過程で改善された。最も速く痒みが減少したのはEク
リームの使用者であった。
皮膚の堅さは当初大した問題ではなかったが、BPOクリームを使用するグル
ープでは治療の第1週で注目に値するほど悪化した。
要するに、この実施例はエルビオールを0.1%含有するクリームがサリチル
酸を2%含有するクリームよりも相対的に速くかつより多くの効き目があること
を示した。エルビオールを0.1%含有するクリームがベンゾイル過酸化物を1
0%含有するクリームとは同じくらい速く効き目が出ないのに対し、エルビオー
ルのクリームは相対的に最低限の効果を有し、かつベンゾイル過酸化物のクリー
ムよりも全体的に見てユーザーによって許容されるものであった。
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フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
A61K 7/075 A61K 7/075
7/48 7/48
7/50 7/50
31/4164 31/4164
31/60 31/60
A61P 17/00 A61P 17/00
17/06 17/06
17/10 17/10
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY,
DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I
T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ
,CF,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,
NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,KE,L
S,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ
,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL
,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,
BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,DK,E
E,ES,FI,GB,GE,GH,HU,IL,IS
,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,
LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,M
N,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU
,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,
TR,TT,UA,UG,UZ,VN,YU,ZW
(72)発明者 フェルナンデズ,キャンデラリオ,エイ
アメリカ合衆国、90069 カリフォルニア
州、ウェスト・ハリウッド、ファウンテ
ン・アベニュー・ナンバー520 8455
(72)発明者 オッズ,フランク,シー
ベルギー国、ビー―2970 シルド、ローゼ
ンラーン 52