JP2002500508A - デスエフェクタードメインを有するcash(カスパーゼホモログ)、fasレセプター機能モジュレーター - Google Patents

デスエフェクタードメインを有するcash(カスパーゼホモログ)、fasレセプター機能モジュレーター

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Abstract

(57)【要約】 MORT-1の機能をモジュレートまたはメディエートし得るタンパク質を開示する。これらタンパク質をコードするDNA配列、これらタンパク質の組換え産物ならびにそれらの使用をも開示する。

Description

【発明の詳細な説明】 デスエフェクタードメインを有するCASH(カスパーゼホモログ)、FASレセプタ ー機能モジュレーター 発明の分野 本発明は、一般的には、TNF/NGFスーパーファミリーのレセプターに属するレ セプターの分野に属し、そしてそれらの生物学的機能の制御である。TNF/NGFス ーパーファミリーのレセプターにはp55およびp75の腫瘍壊死因子レセプター(TNF -R、それぞれ、CD120aおよびCD120bとも呼ばれるが、以下、p55-Rおよびp75-Rと 呼ぶ)およびFASリガンドレセプター(FAS/APO1またはFAS-RまたはCD95とも呼ば れているが、以下、FAS-Rと呼ぶ)などのレセプターが含まれる。より詳細には 、本発明は、さらに、タンパク質MORT-1(またはFADD)に自ら結合する他のタ ンパク質、これらもまたMORT-1結合タンパク質と呼ばれており、それらに結合 する新規なタンパク質、またはMORT-1にも直接結合してよい新規なタンパク質 に関する。また、より詳細には、本発明は、本明細書中においてG1と称するそ のような1つのタンパク質(現在、「カスパーゼホモログ」の代わりに「CASH」 とも称されているが、本明細書中を通して「G1」と呼ぶ)に関し、このタンパ ク質は、MORT-1結合タンパク質のMch4(CASP-10とも称されている/呼ばれて いる)に結合し、MACH(CASP-8とも称されている/呼ばれている)と呼ばれる別 のMORT-1結合タンパク質にもまた結合す ることができ、そしてMORT-1自身にも直接結合することができる。 したがって、本発明は、一般に、MORT-1の機能を直接的または間接的に、ま たはMORT-1に結合する他のタンパク質の機能を直接的または間接的にモジュレ ートし得るかまたはメディエートし得る新規なタンパク質に関する。とくに、本 発明は、G1、その製造およびその使用、ならびにG1の種々の新規アイソフォー ム、それらの製造および使用に関する。 関連技術の背景 腫瘍壊死因子(TNF-α)およびリンホトキシン(TNF-β)(以下、TNFはTNF-αお よびTNF-βの両方を示す)は、単核食細胞によって主として形成される多機能性 の前炎症性サイトカインであり、それは細胞に対し多くの作用を有する(Wallac h,D.(1986)Interferon (Ion Gresser編)、83〜122頁、Academic Press、London ;BeutlerとCerami(1987))。TNF-αおよびTNF-βはともに、特定の細胞表面レ セプターに結合することによってそれらの作用を開始する。そのような作用の中 には、生物にとって有益でありそうなものがある:それらは、たとえば、腫瘍細 胞またはウイルス感染細胞を破壊し、顆粒球の抗菌活性を増大することであるか もしれない。このように、TNFは、腫瘍および感染源に対する生物防御に寄与し 、傷害からの回復に寄与する。したがって、TNFは、抗腫瘍剤として使用するこ とができる。その適用において、TNFは、腫瘍細胞の表面 にあるそのレセプターに結合し、それによって、腫瘍細胞を死に導く事象を開始 する。TNFはまた、抗感染剤として使用することができる。 しかし、TNF-αおよびTNF-βはともに有害作用をも有する。TNF-αの過剰産生 はいくつかの疾患において主要な病原の役割を果たし得る。たとえば、主として 血管系に対するTNF-αの作用は、敗血症性ショック症状の主原因であることが知 られている(Traceyら、1986)。いくつかの疾患において、TNFは、脂肪細胞の活 性を抑制して、食欲不振をもたらすことによる過度の体重喪失(悪液質(cachexi a))をもたらすかもしれない。したがって、TNF-αは、カケチン(cachetin)と 呼ばれた。TNF-αはまた、リウマチ疾患における損傷の組織へのメデイエーター (BeutlerとCerami、1987)として、また移植片対宿主反応(graft-versus-host reactions)において観測される損傷の組織への主要なメディエーター(Piquet ら、1987)として報告された。さらに、TNFは、炎症プロセスおよび多くの他の 疾患に関与していることが知られている。 2つの異なる、独立して発現するレセプター、p55 TNF-Rおよびp75 TNF-Rは、 TNF-αおよびTNF-βの両方と特異的に結合し、TNFの前記の生物学的作用を開始 および/またはメディエートする。これらの2つのレセプターは、それらが異な ったシグナル伝達をすることを示唆する構造的に似ていない細胞内ドメインを有 する(Hohmannら、1989;Engelmannら、1990;Brockhausら、1990;Leotscherら、1 990;Schall、1990;Nopharら、1990;Smithら、1990;とHellerら、1990を参照 のこと)。しかし、細胞機構、たとえば、p55 TNF-Rおよびp75 TNF-Rの細胞内シ グナリング(signaling)に関与している様々なタンパク質およびおそらくは他 の因子は未だ解明されていない。リガンド、すなわちTNF(αまたはβ)がレセ プターに結合した後に通常起こるこの細胞内シグナリングが、TNFに対して観測 される細胞応答を最終的にもたらす反応カスケードの開始を担っている。 TNFの前記の細胞殺傷作用に関して、これまでに研究された多くの細胞におい て、この作用は、主としてp55 TNF-Rによって引き起こされる。p55 TNF-Rの細胞 外ドメイン(リガンド結合ドメイン)に対する抗体は、自身で細胞殺傷作用を引 き起こすことができる(欧州特許第412486号を参照のこと)。これは、抗体によ る架橋レセプターの効果と相関し、細胞内シグナリングプロセスの発生における 第1段階であると考えられる。さらに、変異研究(Brakebushら、1992;Tartagl iaら、1993)によって、p55 TNF-Rの生物学的機能は、その細胞内ドメインの完 全性に依存しており、したがって、TNFの細胞殺傷作用に至る細胞内シグナリン グは、p55 TNF-Rの2つまたはそれ以上の細胞内ドメインが会合する結果として 起こることが示唆されている。さらに、TNF(αまたはβ)はホモトリマーとして 存在しており、そういうものとして、これがレセプター分子に結合し、レセプタ ー分子を架橋し得るその能力によって、すなわち、レセプター凝集を引き起こし 得るその能力によって、TNFはp55 TNF-Rを介する細胞内シグナリングを誘導する ことが示唆されている。 TNF/NGFスーパーファミリーレセプターの別のメンバーは、FAS抗原とも呼ばれ ているFASレセプター(FAS-R)である。これは、様々な組織で発現し、TNF-Rお よびNGF-Rを含む多数の細胞表面レセプターと相同性を有する細胞表面タンパク 質である。FAS-Rは、アポトーシスの形での細胞死をメディエートし(Itohら、1 991)、自己反応性T細胞の負のセレクターとして働くようである。すなわち、 T細胞の成熟途中において、FAS-Rは、自己抗原を認識するT細胞のアポトーシ ス死をメディエートする。FAS-R遺伝子(lpr)における変異は、ヒトの自己免疫 疾患である全身性エリテマトーデス(SLE)に似たリンパ増殖異常をマウスに引 き起こすこともまた見出された(Watanabe−Fukunagaら、1992)。FAS-Rのリガ ンドは、とくに、キラーT細胞(または細胞傷害性Tリンパ球−CTL)により保持 される細胞表面結合分子であるようである。したがって、そのようなCTLがFAS-R を保持する細胞と接触する場合、FAS-Rを保持する細胞のアポトーシス細胞死を 誘導し得る。さらに、FAS-Rに特異的なモノクローナル抗体が調製された。この モノクローナル抗体は、ヒトのFAS-RをコードするcDNAによって形質転換された マウス細胞を含む、FAS-Rを保持する細胞でアポトーシス細胞死を誘導し得る(I tohら、1991)。 リンパ球の細胞傷害作用のいくつかは、リンパ球産生リガンドと、細胞死を引 き起こす能力を有する広く存在している細胞表面レセプターFAS-R(CD95)との 相互作用によってメディエートされる。一方、Tリンパ球以外の様々な他の正常 な細胞はそれらの表面に FAS-Rを発現し、このレセプターが引き起こすことによって殺傷され得ることも また見出されている。そのような殺傷プロセスの制御されない誘導は、いくつか の疾患、たとえば、急性肝炎における幹細胞の破壊における組織損傷に寄与して いることが疑われる。したがって、FAS-Rの細胞傷害活性を制限する方法を見出 すことは、治療の可能性を有するかもしれない。 逆に、一定の悪性細胞およびHIV感染細胞はその表面にFAS-Rを有することもま た見出されているので、FAS-Rに対する抗体、またはFAS-Rリガンドを使用して、 これらの細胞におけるFAS-Rがメディエートする細胞傷害作用を引き起こし、そ れによってそのような悪性細胞またはHIV感染細胞と闘うための手段が提供され 得る(Itohら、1991を参照のこと)。したがって、FAS-Rの細胞傷害活性を増強 するなお別の方法を見出すことはまた、治療の可能性を有するかもしれない。 TNF(αまたはβ)およびFAS-Rリガンドに対する細胞応答をモジュレートする 方法の提供は長く切望されていた。たとえば、TNFまたはFAS-Rリガンドが過剰発 現される前記の病理学的状況において、TNF誘導またはFAS-Rリガンド誘導の細胞 殺傷作用を阻害することは望ましいが、他の状況、たとえば、傷害治癒での適用 においては、TNF作用を増強することが望ましく、またはFAS-Rの場合、腫瘍細胞 またはHIV感染細胞においては、FAS-Rがメディエートする作用を増強することが 望ましい。 多数のアプローチが本出願人によってなされている(たとえば、欧州出願番号 第186833号、同第308378 号、同第398327号および同第412486号を参照のこと)。そのようなアプローチで は、抗TNF抗体を使用してTNFのそのレセプターへの結合を阻害することによって 、または可溶性TNFレセプター(本質的には、レセプターの可溶性の細胞外ドメ インである)を使用して細胞表面に結合したTNF-Rに対するTNFの結合と競合させ ることによってTNFの有害作用が調節される。さらに、そのレセプターへのTNF結 合がTNF誘導による細胞作用に必要であるということに基づいて、本出願人によ るアプローチ(たとえば、欧州特許第568925号を参照のこと)が、TNF-Rの活性 をモジュレートすることによってTNF作用を調節するためになされている。 簡単に記載すると、欧州特許第568925号は、シグナル伝達および/またはTNF- Rの切断をモジュレートする方法に関し、それによって、ペプチドまたは他の分 子は、レセプター自身と、またはレセプターと相互作用するエフェクタータンパ ク質と相互作用し、したがってTNF-Rの正常な機能をモジュレートし得る。欧州 特許第568925号において、p55 TNF-Rの細胞外ドメイン、膜貫通ドメインおよび 細胞内ドメイン内に変異を有する様々な変異型p55 TNF-Rの構築および特徴づけ が記載されている。この方法において、p55 TNF-Rの前記ドメイン内の領域が、 レセプターの機能発現、すなわち、リガンド(TNF)の結合、その後のシグナル 伝達、および最終的に細胞で観察されるTNF作用をもたらす細胞内シグナリング に必須であるとして同定された。さらに、TNF-Rの前記ドメイン内の様々な領域 に結合し得るタンパク質、ペプチドまたは他の因子の単離お よび同定を行うための多数のアプローチもまた記載されている。そのようなタン パク質、ペプチドおよび他の因子は、TNF-Rの活性のレギュレートまたはモジュ レートに関与するかもしれない。そのようなタンパク質およびペプチドをコード するDNA配列の単離およびクローニングを行うための多くのアプローチ;これら タンパク質およびペプチドを産生させるための発現ベクターを構築するための多 くのアプローチ;およびTNF-Rと相互作用するか、またはTNF-Rの様々な領域と結 合する前記のタンパク質およびペプチドと相互作用する抗体またはそのフラグメ ントを調製するための多くのアプローチもまた、欧州特許第568925号に記載され ている。しかし、欧州特許第568925号は、TNF-R(たとえば、p55TNF-R)の細胞 内ドメインに結合する実際のタンパク質またはペプチドを特定しておらず、TNF- Rの細胞内ドメインに結合するそのようなタンパク質およびペプチドの単離およ び同定を行うための酵母のツーハイブリッド(two-hybrid)法を記載していない 。同様に、欧州特許第568925号には、FAS-Rの細胞内ドメインと結合し得るタン パク質またはペプチドは何ら開示されていない。 したがって、TNFまたはFAS-Rリガンドの作用を阻害することが望ましい場合、 細胞表面でのTNF-RまたはFAS-Rの量または活性を減少させることが望ましく、一 方で、TNF-RまたはFAS-Rの量または活性の増大は、TNFまたはFAS-Rリガンドの増 強された作用が求められる場合には望ましい。この目的のために、p55 TNF-Rお よびp75 TNF-Rの両プロモーターの配列決定および 分析を行い、様々な転写調節因子に特異的な多数の重要な配列モチーフを見出し た。そのようなものとして、これらTNF-Rの発現は、それらのプロモーターレベ ルで制御され得る。すなわち、レセプター数の減少のためのプロモーターからの 転写阻害、およびレセプター数の増加のためのプロモーターからの転写増強(欧 州特許第606869号および国際特許公開第WO 9531206号)。FAS-R遺伝子のプロモー ターレベルでのFAS-Rの制御に関する対応する研究をさらに報告しなければなら ない。 腫瘍壊死因子(TNF)レセプターおよび構造的に関連するレセプターのFAS-Rは 、細胞において、白血球産生リガンドによって刺激されたときに、自分自身の死 を導く破壊活性(destructive activities)を引き起こすことが知られているが 、この引き起こしの機構は、依然としてほとんど理解されていない。変異研究に よって、細胞傷害性のためのシグナリングを行うFAS-Rおよびp55 TNFレセプター (p55-R)は、それらの細胞内ドメイン内に異なる領域を有することが示されて いる(Brakebuschら、1992;Tartagliaら、1993;ItohとNagata、1993)。これら の領域(「DED」と呼ばれる「デスドメイン」または「デスエフェクタードメイ ン」)は配列類似性を有する。FAS-Rおよびp55-Rの両「デスドメイン」は自己会 合しやすい。それらの自己会合は、シグナリングの開始に必要なレセプター凝集 を明らかに促進し(Songら、1994;Wallachら、1994;Boldinら、1995を参照の こと)、および高レベルのレセプター発現において、リガンドに依存しないシグ ナリングを引 き起こし得る(Boldinら、1995)。 リンパ球のいくつかの細胞傷害作用は、リンパ球産生リガンドと、細胞死を引 き起こす能力を有する広く存在する細胞表面レセプターのFAS-R(CD-95)との相 互作用によってメディエートされる(NagataとGolstein、1995もまた参照のこと) 。また、単核食細胞によるその細胞殺傷は、リガンド−レセプター結合、FAS-R およびそのリガンドと構造的に関連しているTNFおよびそのレセプターp55-R(CD1 20):Vandenabeeleら、1995もまた参照のこと)を含む。レセプター誘導による 他の作用と同様に、TNFレセプターおよびFAS-Rによる細胞死の誘導は、リガンド ーレセプター結合から酵素的エフェクター機能の最終的な活性化に至る一連のタ ンパク質−タンパク質相互作用を介して生じる。そのような酵素的エフェクター 機能によって、事例研究において、細胞死のシグナリングを開始する非酵素的な タンパク質−タンパク質相互作用:三量体TNFまたはFAS-Rリガンド分子のレセプ ターへの結合、デスドメインモチーフ(またはデスエフェクタードメイン、DED) が自己会合しやすいこと(Boldinら、1995a)によって増大されるその細胞内ド メインの得られる相互作用(Brakebuschら、1992;Tartagliaら、1993;ItohとNag ata、1993)が解明され、そしてレセプターの細胞内ドメインへの2つの細胞質 タンパク質(これらもまた互いに結合し得る)の結合−MORT-1(またはFADD)のF AS-Rへの(Boldinら、1995b;Chinnaiyanら、1995;Kischkelら、1995)およびT RADDのp55-Rへの結合(Hsuら、1995;Hsuら、1996)が誘導される。相同性領域 のヘテ ロ会合(hetero-association)を経由するレセプターによる細胞死誘導に関与す る「デスドメイン」領域においてFAS-Rおよびp55-Rの細胞内ドメインに結合し、 細胞死をも独立して引き起こし得る3つのタンパク質が、酵母ツーハイブリッド スクリーニング法によって同定された。その1つは、タンパク質MORT-1(Boldi nら、1995b)であり、FAS-Rに特異的に結合するFADDとしても知られている(Chi nnaiyanら、1995)。第2は、TRADDであり(Hsuら、1995、1996もまた参照のこ と)、p55-Rに結合する。そして第3は、RIP(Stangerら、1995もまた参照のこと )であり、FAS-Rおよびp55-Rの両方に結合する。FAS-Rおよびp55-Rでのそれらの 結合に加えて、これらのタンパク質はまた互いに結合し得る。これによって、FA S-Rおよびp55-Rの間での機能的な「クロストーク(cross-talk)」がもたらされ る。このような結合は、レセプターおよびそれらの結合タンパク質に共通する保 存された配列モチーフの「デスドメインモジュール」(「デスエフェクタードメ イン」の代わりに「DED」とも呼ばれる)を通して生じる。さらに、酵母ツーハ イブリッド試験で、MORT-1は、哺乳動物細胞において、FAS-Rに自発的に結合す ることが示されているが、この結合は、レセプター刺激後においてのみ起こる。 このことは、MORT-1が、FAS-Rシグナリングの開始事象に関与していることを示 唆する。MORT-1は、酵素活性の特徴的な配列モチーフを含有しない。したがっ て、細胞死を引き起こすその能力は、MORT-1自身の固有の活性を含まず、むし ろ、MORT-1と結合し、シグナリングカスケードのさらに下流で作 用するいくつかの他のタンパク質の活性化に関与しているようである。分子のN 末端部分を欠く変異型MORT-1の細胞発現によって、FAS/APO1(FAS-R)またはp5 5-Rによる細胞傷害性誘導が阻止されることが明らかにされた(Hsuら、1996;Ch innaiyanら、1996)。このことは、このN末端領域は、タンパク質−タンパク質 相互作用を経て両レセプターの細胞殺傷作用に関するシグナリングを伝えること を示す。 最近の研究は、一群の細胞質チオールプロテアーゼを含む。それらは、Caenor habditis elegansプロテアーゼCED3に、そして様々な生理学的細胞死プロセス の開始における哺乳動物のインターロイキン-1β変換酵素(ICE)に構造的に関 連している(Kumar、1995およびHcnkart、1996に総説される)。このファミリー のプロテアーゼは、FAS-RおよびTNF-Rによって誘導される細胞−細胞傷害性(ce ll-cytotoxicity)に参加し得ることもいくつか示されている。該プロテアーゼ の特異的なペプチドインヒビター、およびそれらの機能を阻止するウイルスがコ ードする2つのタンパク質、牛痘タンパク質crmAおよびバキュロウイルスp35タ ンパク質が、このような細胞−細胞傷害性に対する保護を細胞にもたらすことが 見出された(Enariら、1995;Losら、1995;Tcwariら、1995;Xueら、1995;Bei dlerら、1995)。明らかにCED3/ICEファミリーのプロテアーゼによってメディ エートされるある特定の細胞タンパク質の迅速な切断が、FAS-RまたはTNF-Rの刺 激直後の細胞において明らかにされ得た。 これらCED3/ICEプロテアーゼは、カスパーゼとも呼 ばれ、不活性前駆体として産生され、死の誘導の際にタンパク質分解プロセシン グによって活性化されることは注目すべきことである。これらカスパーゼは、保 存されたシステインプロテアーゼであり、特定の細胞タンパク質をアスパラギン 酸残基の下流で切断し、それによってすべての知られているプログラム細胞死プ ロセスでの重要な役割を果たす。成熟プロテアーゼが得られるそれらの相同的な C末端領域に加えて、前駆体タンパク質は、特徴的なN末端領域を含有する。こ れら「プロドメイン」の特定の調節分子との相互作用によって、異なる死の誘導 シグナルによる様々なカスパーゼの特異な活性化がおこる(Boldinら、1996;Muzi oら、1996;DuanとDixit、1997;Van Criekingeら、1996;Ahmadら、1997)。 そのようなプロテアーゼの1つおよびその様々なアイソフォーム(阻害性のも のを含む)は、MACHと称される(CASP-8とも呼ばれる)。これは、MORT-1結合 タンパク質であり、MORT-1の活性、したがってFAS-Rおよびp55-Rの活性をモジ ュレートするように作用し、そしてMORT-1とは無関係に作用もし得る。最近、 その単離、クローニング、特徴づけが行われ、その可能な使用もまた示されてい る。これらは、共に所有し、共に係属中のイスラエル国特許出願番号第114615号 、同第114986号、同第115319号、同第116588号および同第117932号、ならびにそ れらの対応するPCT対応出願PCT/US96/10521、および本発明者らの最近の刊行物 (Boldinら、1996)に詳細に示され、これらはその全体において参考として本明 細書中に援用される。もう 1つのそのようなプロテアーゼおよびその様々なアイソフォーム(阻害性のもの を含む)は、Mch4と称される(CASP-10とも呼ばれる)。最近、その単離および 特徴づけが、本発明者ら(未発表)によって、そして他の者(Fernandes-Alnemr iら、1996;Srinivasulaら、1996)によって行われた。このMch4タンパク質も また、MORT-1結合タンパク質であり、それは、MORT-1の活性をモジュレートす るように作用し、したがってFAS-Rおよびp55-Rの活性もまたモジュレートするよ うに作用するようであり、そしてMORT-1とは独立して作用し得る。したがって 、Mch4のすべての面、特徴、特質および使用に関する詳細は前記の刊行物に示 される。そのすべては、参考としてその全体において本明細書中に援用される。 カスパーゼ、MACH(CASP-8)およびMch4(CASP-10)は、類似したプロドメ インを有し(Boldinら、1996;Muzioら、1996;Fernandes-Alnemriら、1996;Vin centとDixit、1997)、そのプロドメインを介してMORT-1と相互作用することも また注目すべきことである。この相互作用は、MORT-1のN末端部に存在し、そ してMACH(CASP-8)およびMch4(CASP-10)に2つ存在する「デスドメインモ チーフ」または「デスエフェクタードメイン」(DED)を介して行われる(Boldi nら、1995b;Chinnaiyanら、1995を参照のこと)。 細胞死を導く細胞内シグナリングプロセスに関与する様々なタンパク質/酵素 /レセプターには様々な名称が与えられていることもまた、上記を考慮して述べ なければならない。混乱を避けるために、下記は、新 しい取り決めによって決定された新しい名称を含む、これらの各タンパク質また はその部分の様々な名称、および便宜のために本明細書中で使用される名称のリ ストである。 発明の要約 本発明の目的は、たとえば、前記のMch4タンパク質およびMACHタンパク質お よびそれらのアイソフォームなどのMORT-1結合タンパク質に結合し得るか、ま たはMORT-1自身に結合し得る、そのすべてのアイソフォーム、アナログ、フラ グメントまたは誘導体を含む新規なタンパク質を提供することである。MORT-1 自身はFAS-Rの細胞内ドメインに結合するので、MORT- 1結合タンパク質に結合することによる、したがって、MORT-1に間接的に結合 することによる、あるいは、MORT-1タンパク質に直接的に結合することによる 本発明の新規なタンパク質は、したがって、FASリガンドがそのレセプターに結 合することによって開始される細胞内シグナリングプロセスに影響し得る。そし てそのように、本発明の新しいタンパク質は、細胞でのFAS-Rがメディエートす る作用のモジュレーターである。MORT-1はまた、p55-Rのモジュレーションにお けるその関与を介して細胞でのTNF作用のモジュレーションにも関与する。した がって、本発明の新しいタンパク質はまた、p55-Rによってメディエートされる 細胞でのTNF作用のモジュレーターと考えられる。同様に、細胞においてFAS-Rお よびp55-Rによってメディエートされる作用の前記モジュレーションと類似して 、本発明のタンパク質もまた、本発明のタンパク質(たとえば、G1およびその アイソフォーム)が関与する共通するかまたは関連する細胞内シグナリング経路 を介して機能するとして知られている他の細胞傷害性メディエーターまたはイン デューサーのメディエーターまたはモジュレーターであり得る。本発明のこれら 新規なタンパク質は、「G1」タンパク質と称され、前記のように、G1タンパク 質(下記に例示する)、そのすべてのアイソフォーム、アナログ、フラグメント またはその誘導体を含む。 本発明の別の目的は、前記の新規なG1タンパク質、そのアイソフォーム、ア ナログ、フラグメントおよび誘導体に対するアンタゴニスト(たとえば、抗体、 ペ プチド、有機化合物またはいくつかのアイソフォームさえも)を提供することで ある。これらを使用して、シグナリングプロセス、またはより詳細には、所望す るときには細胞−細胞傷害性を阻害することができる。 本発明のさらなる目的は、前記の新規なG1タンパク質、そのアイソフォーム 、アナログ、フラグメントおよび誘導体を使用すること、レセプター活性のレギ ュレーションに関与し得るさらなるタンパク質または因子、たとえば、新規なタ ンパク質を切断してから生物学的に活性にするプロテアーゼの単離および特徴づ けを行うこと、および/またはこれらの新規なタンパク質、アナログ、フラグメ ントおよび誘導体が結合するシグナリングプロセスにおいて、したがってそれら もまた関与するその機能におけるさらに上流の他のレセプター(たとえば、他の FAS-Rまたは関連レセプター)の単離および同定を行うことである。 本発明のなおさらなる目的は、細胞内に導入して、G1タンパク質およびプロ テアーゼ活性を有する可能なG1アイソフォーム(このG1タンパク質は、Mch4 およびMACHのタンパク質分解領域に相同的な領域を有する)と結合するか相互作 用し、少なくともいくつかの可能なG1アイソフォームに関して、タンパク質分 解活性であり得るそれらの細胞内活性を阻害し得るインヒビターを提供すること である。 さらに、本発明の目的は、前記の新規なG1タンパク質、そのアイソフォーム 、アナログ、フラグメントおよび誘導体を、それに対するポリクローナル抗体お よび/またはモノクローナル抗体を調製するための抗原 として使用することである。該抗体は、ついで、たとえば、細胞抽出物または形 質転換細胞株などの異なる供給源から新規なタンパク質を精製するために使用し てよい。 さらに、これら抗体は、診断目的のために、たとえば、FAS-Rまたは他の関連 レセプターによってメディエートされる細胞作用の異常な機能発現に関連する疾 患を同定するために使用することができる。 本発明のさらなる目的は、前記の新規なG1タンパク質、そのアイソフォーム 、アナログ、フラグメントまたは誘導体からなる医薬組成物、ならびに前記の抗 体または他のアンタゴニストからなる医薬組成物を提供することである。 本発明により、Mch4との結合または相互作用が可能であり、自身でMORT-1に 結合し、FAS-Rの細胞内ドメインに結合する新規なタンパク質G1が単離された。 G1はまた、MACHと呼ばれる別のMORT-1結合タンパク質と相互作用し得るし、MO RT-1との直接的な結合または相互作用もまたは可能である。G1は、おそらくは 、FASリガンドがFAS-Rに細胞表面で結合することによって開始される細胞死経路 のモジュレーター成分として機能する。これは、Mch4およびMACHのタンパク質 分解領域に類似するタンパク質分解領域を有するという事実に基づく。したがっ て、G1はまた、活性な細胞内プロテアーゼであり得る。さらに、G1の発現、と くにそのタンパク質分解領域の発現における転写/翻訳プロセスに依存して、G 1のいくつかのアイソフォームは、活性なタンパク質分解領域を有することなく 発現 し得るし、そのようなものとして、たとえば、Mch4およびMACHによってメディ エートされるタンパク質分解活性のアンタゴニストとして作用し得る。CED3/IC Eファミリーのプロテアーゼは、FAS-Rによつて引き起こされるアポトーシスプロ セスに関与している。MORT-1(または、FADD)は、FAS-Rの細胞内ドメインに、 このレセプターが活性化されたときに結合する。本発明の新規なG1タンパク質 は、Mch4などのMORT-1結合タンパク質に、そしておそらくはMACHに結合するか 、またはMORT-1に直接的に結合する。本発明にしたがってクローン化および特 徴づけが行われたG1タンパク質は、多数のアイソフォームで存在し得る。その いくつかのアイソフォームにおいて、Mch4のタンパク質分解活性およびMACHの いくつかのアイソフォームのタンパク質分解活性に類似するタンパク質分解活性 (タンパク質分解ドメイン)を有するCED3/ICE相同性領域を有し、そして細胞 内で発現したときに細胞死を生じさせ得る。したがって、この新規なCED3/ICE ホモログ(すなわち、タンパク質分解ドメインを有する様々なG1アイソフォー ム)のFAS-Rによる(直接的または間接的なMORT-1との相互作用を介する)活性化 は、FAS-Rがメディエートする細胞死経路のエフェクター成分を構成するようで ある。 さらに、G1はまた、TNFがp55-Rに細胞表面で結合することによって開始され る細胞死経路のエフェクター成分として機能するようである。これは、p55-Rの 細胞内ドメインに結合するタンパク質(Hsuら、1995)のTRADDに結合するMORT- 1の間接的な機構によるもの であり、G1の、細胞死をもたらすことに関与する活性なプロテアーゼへの活性 化とともに、たとえば、Mch4またはMACHなどのMORT-1結合タンパク質に結合す るか、またはMORT-1に直接的に結合するG1が伴うか、あるいはそのようなG1 と一緒になることによる。 G1は、CED3/ICEプロテアーゼ機能の重要な配列特徴の少なくともいくつかを 呈するが、独特で可能な組織/細胞特異的な形式の作用を与え得るそれ自身の異 なる配列特徴をいくつか有することにもまた注意すべきである。 したがって、本発明により、G1と称する新しいタンパク質が提供される。こ のG1タンパク質は、ツーハイブリッドスクリーニングアッセイによって単離お よびクローン化が行われ、Mch4と結合する分子として特徴づけられた。Mch4は 、前記のように、細胞死に作用し得るMORT-1結合タンパク質である。しかし、M ch4のいくつかのアイソフォームは反対の作用を有する、すなわち、それらは細 胞殺傷を阻害することにもまた注意すべきである。さらに、G1の配列決定によ って、そのN末端領域に、MORT-1結合タンパク質のMACHおよびMch4においても 見出されている2つのいわゆる「MORTモジュール(MORT MODULES)」(MM)を有 することがかなり明らかにされた。G1内のこれらMORTモジュールは、Mch4に結 合するその能力を説明するようであり、MORT-1に対する直接的なその可能な結 合、およびMACHまたは特定のMACHアイソフォーム(MACHの特定のスプライシング 変異体(splice vaviants))に対するその結合に関する基礎でもあり得る。MORT モジ ュールを含有するN末端領域の下流のG1配列において、MACHおよびMch4のタン パク質分解領域に対する類似性を呈する長い領域もまた存在するようである。さ らに、ヒト染色体におけるG1配列の可能な位置の初期の分析から、G1は、第2 染色体において、Mch4およびMACHの位置から非常に近いところに位置するよう である。これは、G1、MACHおよびMch4の間での関係もまた示している。 より詳細には、G1の少なくとも3つの可能なアイソフォームが本発明により 見出されている(下記の実施例1を参照のこと)。これらの内の2つは、単離お よびクローン化され、G1(またはCASH)と称する新規なタンパク質の2つのスプ ライシング変異体を表しているようである。これら2つのアイソフォームは、大 きい方のアイソフォームがG1α(またはCASHα)と呼ばれ、短い方のアイソフ ォームがG1β(またはCASHβ)と呼ばれる(2つ以上の短いアイソフォームが 存在するようであり、したがって、G1βはG1β1とも称され、もう一方の短い アイソフォームはG1β2と称される−下記の実施例1を参照のこと)。これらG 1αアイソフォームおよびG1βアイソフォームは、それぞれ、N末端の2つの デスドメインモチーフ/MORTモジュールを含有し、これらデスドメインモチーフ を介して互いに結合することができ、MORT1、MACHおよびMch4にもこれらデス ドメインモチーフを介して結合することができる。長い方のG1αアイソフォー ムは、(短い方のG1βアイソフォームと比較して)独特なC末端部分を有する 。この独特なC末端部分は、カスパーゼプ ロテアーゼの活性領域に対する配列相同性を有する。生物学的活性に関しては、 短い方のG1βアイソフォームは、p55-RおよびFAS-Rによってメディエートされ る細胞死/細胞傷害性を阻害する。一方、対照的に、長い方のG1αアイソフォ ームは、少なくともいくつかのタイプの細胞(たとえば、293細胞)に対する細 胞傷害作用を有する。その細胞傷害性は、そのプロテアーゼ相同性領域を含んだ 。しかし、長い方のG1αアイソフォームはまた、別のタイプの細胞(たとえば 、ヒーラ(HeLa)細胞)でのFAS-Rおよびp55-Rによってメディエートされる細胞 傷害性を阻害し得ることにもまた注意すべきである。これらの結果は、G1(す なわち、その様々なアイソフォーム)は、細胞死についてp55-RおよびFAS-Rがメ ディエートするシグナリングのアテニュエーター(attcnuator)/インヒビター および/または開始因子/エンハンサーとして作用することを示す。 明確にするために、G1の様々なアイソフォーム、たとえば、G1αおよびG1 βは、本明細書中では、単に「G1」として示されることが多いが、このような 場合、G1のすべてのアイソフォームが、「G1」の意味の中に含まれ得ることに 注意しなければならない。その結果、これは、細胞の細胞傷害のインデューサー /エンハンサーならびに細胞の細胞傷害のインヒビター/アテニュエーターの両 方を意味し得る。特定のG1アイソフォームを意図する場合には、場合に応じて 、たとえば、G1αまたはG1βと具体的に呼ばれる。そのようなものとして、「 G1」は、様々なアイソフォームを示すために 総称的に使用されるときには、本明細書中では「モジュレーター」として示され ることが多い。これは、議論している生物学的活性に対して阻害的または増大的 であり得ることを意味する。 前記を考慮して、したがって、前記のように、そして本明細書中下記に示され るように、G1は、明らかにMORT-1活性のモジュレーターであり、したがって、 FAS-Rによって、そしてp55-Rならびにそして共通した細胞内シグナリング成分と 機構とを有するTNF/NGFレセプターファミリーの可能な他のレセプターなどによ ってもまた同様にメディエートされる細胞作用のモジュレーターであることがわ かる。 このように、G1はプロテアーゼ様領域を有する(少なくとも、長いアイソフ ォーム)ので、G1は、TNF/NGFレセプターファミリーのレセプターを介して、そ して可能な他のレセプターを介しても同様に伝えられる刺激を含む様々な刺激に よって引き起こされるか、または誘導される細胞の細胞傷害性および炎症に関す る直接的な原因であり得る。 G1は、他のタンパク質複合体の一部として存在することにより細胞の細胞傷 害性および炎症のインヒビターとしても作用し得るし、これら他のタンパク質( たとえば、MACHおよびMch4またはMORT-1でさえも)の細胞傷害作用および炎症 作用をもたらし、最終的には、それらの細胞傷害活性または炎症でのそれらの活 性を阻害し得る。 G1はなおまた、細胞の細胞傷害性および炎症のエンハンサーまたは増大因子 (augmentor)として作用し得 る。これは、それらに結合することによって他のタンパク質(たとえば、Mch4お よびMACHまたはMORT-1でさえも)の活性を増大させ、それらを強化(recruiting) してMORT-1と結合するかまたはMORT-1とは無関係に作用することによる。いず れの場合においても、該強化は、様々なタンパク質の細胞傷害活性を増大させる か、またはそれらの炎症作用を増大させるのに役立つ。 同様に、類似した様式で、G1はまた、G1が積極的に関与している経路を有す る他の細胞内メディエーターまたはモジュレーターのインヒビターまたは増大因 子として作用し得る。 MORT-1(「レセプター傷害性メディエーター」の代わり、Boldinら、1995b) は、FAS-Rの細胞内ドメインに結合し得る。このFAS結合タンパク質は、細胞表面 でのFAS-Rリガンドの結合後に通常生じる細胞内シグナリングプロセスをメディ エートまたはモジュレートすることによる細胞でのFAS-Rリガンド作用のメディ エーターまたはモジュレーターとして作用するようである。そのFAS結合特異性 に加えて、MORT-1は、他の特徴を有することが明らかにされた(参考例1を参 照のこと)。たとえば、p55-TNF-RおよびFAS-Rの「デスドメイン」(DD)領域( p55-DDおよびFAS-DD)に相同的な領域を有し、それによって自己会合をもし得る 。MORT-1はまた、自身で細胞の細胞傷害性、その自己会合能におそらく関連す る活性を活性化し得る。「デスドメイン」の相同配列を含有するMORT-1の領域 (MORT-1のC末端部に存在するMORT-DD)の同時発 現は、FAS-ICの「デスドメイン」に結合するその能力から予想されるように、FA S誘導による細胞死を強く妨害することもまた見出されている。さらに、その同 じ実験条件において、MORT-DD領域を含有しないMORT-1の一部(MORT-1のN末 端部、アミノ酸1〜117、「MORT-1ヘッド」)の共発現は、FAS誘導による細胞 死を妨害せず、そしてあったとして、若干増強されたFAS誘導による細胞の細胞 傷害性を妨害しないことが見出された。 したがって、MORT-1はまた、細胞内シグナリングプロセスに関与する他のタ ンパク質に結合するようである。したがって、これらMORT-1結合タンパク質は また、MORT-1活性をメディエートまたはモジュレートすることにより細胞でFAS -Rリガンド作用の間接的なメディエーターまたはモジュレーターとして作用し得 る;あるいは、これらMORT-1結合タンパク質は、MORT-1活性をメディエートま たはモジュレートすることによりMORT-1結合による細胞内シグナリングプロセ スのメディエーターまたはモジュレーターとして直接的に作用し得る。MORT-1 は、前記のように、細胞の細胞傷害性を活性化する明らかに独立した能力を有す る。これらMORT-1結合タンパク質を標準的なスクリーニング法のいずれかで使 用して、さらなるタンパク質、ペプチド、因子、抗体などの単離、同定および特 徴づけを行うこともできる。これらは、MORT-1結合またはFAS-R結合によるシグ ナリングプロセスに関与し得るか、または他の細胞内シグナリングプロセスの一 部であり得る。そのようなMORT-1結合タンパク質が、共 に所有し、共に係属中のイスラエル国特許出願番号第114,615号、同第114,986号 、同第115,319号、同第116,588号および同第117,932号、ならびにそれらの対応 するPCT出願PCT/US96/10521(MACHおよびそのアイソフォームに関する)におい て、そしてフェルナンデスーアルネマー(Fernandes-Alnemr)ら(1996)および スリンバスラ(Srinivasula)ら、(1996)などの他の者によって(Mch4および 他のそのような「Mch」タンパク質に関する)、前記のように単離され、そして そのように記載されている。これらMORT-1結合タンパク質の1つ、前記MACHが 、最初に、クローン化および配列決定が行われ、下記の特性を有するとして部分 的に特徴づけられた:MACH cDNAはORF-Bオープンリーディングフレームをコード する;MACHは非常に強固で特異的な様式でMORT-1に結合する;MORT-1におけるM ACH結合部位はMORT-1の「デスドメイン」モチーフの上流に存在する;MACHのOR F-B領域はそのMORT-1相互作用部である;そしてMACHは、自己会合して自身で細 胞の細胞傷害性を誘導し得る。さらに、前記の共に所有し、共に係属中の特許出 願ならびにボルディン(Boldin)ら(1996)において示されるその後の分析によ って、MACHは、実際には、多数のアイソフォームで存在することが示された。さ らに、前記のMACHのORF-Bは、実際には、MACHβ1と称されるMACHアイソフォー ムの1つである。Mch4に関する上記の刊行物において、このタンパク質もまたM ORT-1(またはFADD)を結合し、そしてMORT-1により、またはそれと独立に細 胞の細胞傷害性に直接的に関与し、これは、 そのタンパク質分解活性によることも明らかにされた。 したがって、本発明は、MORT-1および/またはいずれかのMORT-1結合タンパ ク質、たとえば、Mch4またはMACHなど、との直接的または間接的な結合または 相互作用を行い得るG1タンパク質、そのアナログまたはフラグメントをコード するDNA配列を提供する。前記G1タンパク質、そのアナログまたはフラグメント は、FAS-Rまたはp55-TNF-Rによってメディエートされる細胞内作用をメディエー トし得る。前記G1タンパク質、そのアナログまたはフラグメントはまた、直接 的または間接的に結合し得る他の細胞内タンパク質の細胞内作用のモジュレート またはメディエートもし得る。 とくに、本発明は、下記のDNA配列からなる群から選択されるDNA配列を提供す る: (a)ネイティブのG1タンパク質のコード領域に由来するcDNA配列; (b)適度なストリンジェント(stringent)条件下で(a)の配列に対するハイブ リダイゼーションが可能で、生物学的に活性なG1タンパク質をコードするDNA配 列;および (c)(a)および(b)において規定されるDNA配列に対する遺伝コードの結果として 、縮重した生物学的に活性なG1タンパク質をコードするDNA配列。 本発明の前記DNA配列の別の具体的な態様は、G1タンパク質の少なくとも1つ のアイソフォームをコードする配列の少なくとも一部からなるDNA配列である。 前記DNA配列の別の態様は、図1に示すG1タンパク質(G1αアイソフォーム) をコードする配列である。 もう1つのそのような態様は、図2に示す第2のG1アイソフォーム(G1βアイ ソフォーム)である。 本発明は、本発明の前記の配列のいずれかによってコードされるG1タンパク 質、およびそのアナログ、フラグメントまたは誘導体を提供する。前記タンパク 質、アナログ、フラグメントおよび誘導体は、MORT-1および/または、たとえ ばMch4またはMACHなどのいずれかのMORT-1結合タンパク質との直接的または間 接的な結合または相互作用を行い、そしてFAS-Rまたはp55TNF-R、あるいは前記 のG1タンパク質、アナログ、フラグメントまたは誘導体が直接的または間接的 に結合し得るインデューサーの任意の他の細胞傷害性メディエーターによってメ ディエートされる細胞内作用のメディエートを行い得る。 本発明の具体的な態様は、G1タンパク質、そのアナログ、フラグメントおよ び誘導体である。もう1つの態様は、G1タンパク質、そのアナログ、フラグメ ントおよび誘導体の任意のアイソフォームである。 本発明によって、本発明の前記のG1タンパク質ならびにそのアナログ、フラ グメントまたは誘導体をコードするベクターもまた提供される。このベクターは 本発明の前記のDNA配列を含有する。これらベクターは、適切な真核生物宿主細 胞または原核生物宿主細胞で発現し得る;形質転換された真核生物宿主細胞また は原核生物宿主細胞はそのようなベクターを含有する。そして、本発明は、本発 明のG1タンパク質あるいはアナログ、フラグメントまたは誘導体を産生するた めの方法も提供する。その方法は、そのような形質転換宿主 細胞を、前記のタンパク質、アナログ、フラグメントまたは誘導体の発現に適切 な条件下で増殖させ、前記のタンパク質を得るために必要な前記タンパク質の翻 訳後修飾を行い、前記の発現したタンパク質、アナログ、フラグメントまたは誘 導体を、前記形質転換細胞の培養培地から、あるいは前記形質転換細胞の細胞抽 出物から抽出することによって行われる。前記の規定は、G1タンパク質のすべ てのアイソフォームを含むことが意図される。 別の面において、本発明はまた、本発明のG1タンパク質ならびにそのアナロ グ、フラグメントおよび誘導体に特異的な抗体あるいはその活性誘導体またはフ ラグメントを提供する。 本発明のなおさらなる面によって、前記のDNA配列、または本発明によりそれ らがコードするタンパク質の様々な使用が提供される。一般に、そのような使用 には、下記の方法がとくに含まれる: (A)細胞死プロセスまたは炎症プロセスのモジュレーションのための方法であ って、前記の本発明のG1タンパク質、アナログ、フラグメントまたは誘導体の 1つまたはそれ以上を用いて前記細胞を処置することからなり、この場合、前記 細胞の前記処置は、前記の1つまたはそれ以上のタンパク質、アナログ、フラグ メントまたは誘導体を前記細胞に、その細胞内導入に適切な形で導入すること、 または前記の1つまたはそれ以上のタンパク質、アナログ、フラグメントまたは 誘導体をコードするヌクレオチド配列を前記細胞に、前記配列を保持する適切な ベクターの形で導入することか らなり、前記ベクターは、前記配列が前記細胞内で発現するように前記配列の前 記細胞への挿入を行い得る;および (B)細胞死プロセスまたは炎症プロセスのモジュレーションのための方法であ って、前記の細胞死プロセスまたは炎症プロセスをメディエートする1つまたは それ以上のタンパク質/酵素の1つまたはそれ以上のインヒビターを用いて前記 細胞を処置することからなり、前記インヒビターは下記からなる群から選択され る:(i)前記の細胞死プロセスまたは炎症プロセスを阻害し得る1つまたはそれ 以上の本発明のG1タンパク質、そのアナログ、フラグメントまたは誘導体;お よび(ii)前記の1つまたはそれ以上のG1タンパク質が、前記の細胞死プロセス または炎症プロセスを増大/増強またはメディエートする場合における1つまた はそれ以上の本発明のG1タンパク質のインヒビター。 より詳細には、本発明の前記の方法は、下記の具体的な態様を含む: (i)FAS-Rまたはp55-Rを保持する細胞でのFAS-RリガンドまたはTNF作用のモジ ュレーションのための方法であって、前記細胞を、1つまたはそれ以上の本発明 のG1タンパク質、アナログ、フラグメントまたは誘導体で処置することからな り、本発明のG1タンパク質、アナログ、フラグメントまたは誘導体は、MORT-1 に直接的または間接的に結合し得るか、あるいは、Mch4またはMACHなどのMORT- 1結合タンパク質に結合し得り、そのMORT-1は、ついで、FAS-Rの細胞内ドメイ ンに直接結合する、あるいは、前記のMORT-1または MORT-1結合タンパク質に直接的または間接的に結合し得、そのMORT-1は、つい で、p55-Rの細胞内ドメインに結合するTRADDに結合して、それによって前記のFA S-Rまたはp55 TNF-Rの活性をモジュレート/メディエートし得る。この場合、前 記細胞の前記処置は、前記細胞内に、前記のタンパク質、アナログ、フラグメン トまたは誘導体の1つまたはそれ以上をその細胞内導入に適切な形で導入するこ と、あるいは前記細胞内に、前記のタンパク質、アナログ、フラグメントまたは 誘導体の1つまたはそれ以上をコードするDNA配列を、前記配列を保持する適切 なベクターの形で導入することからなり:前記ベクターは、前記配列が前記細胞 内で発現するように前記配列の前記細胞への挿入を行ない得る。 (ii)前記(i)にしたがう細胞でのFAS-RリガンドまたはTNFの作用のモジュレー ションのための方法であって、この場合、細胞の前記処置は、前記細胞内に、前 記のG1タンパク質あるいはそのアナログ、フラグメントまたは誘導体をその細 胞内導入に適切な形で導入すること、あるいは前記細胞内に、前記のG1タンパ ク質あるいはアナログ、フラグメントまたは誘導体をコードするDNA配列を、前 記配列を保持する適切なベクターの形で導入することからなり、前記ベクターは 、前記配列が前記細胞内で発現するように前記配列の前記細胞への挿入を行ない 得る。 (iii)前記細胞の前記処置が組換え動物ウイルスベクターによる前記細胞のト ランスフェクションによって行われる前記(ii)の方法であって、下記の工程から な る: (a)FAS-Rまたはp55-Rを保持する細胞の表面で特定の細胞表面レセプターに 結合し得るウイルス表面タンパク質(リガンド)をコードする配列と、前記細胞 で発現したときに、前記のFAS-Rまたはp55-Rの活性をモジュレート/メディエー トし得るG1タンパク質ならびにそのアナログ、フラグメントおよび誘導体から 選択されるタンパク質をコードする第2の配列とを保持する組換え動物ウイルス ベクターの構築;および (b)前記細胞への(a)の前記ベクターの感染。 (iv)FAS-Rまたはp55-Rを保持する細胞でのFAS-RリガンドまたはTNFの作用のモ ジュレートのための方法であって、前記細胞を、本発明にしたがって抗体あるい はその活性フラグメントまたは誘導体で処置することからなり、前記処置は、前 記の抗体、その活性フラグメントまたは誘導体を含有する適切な組成物の前記細 胞への適用によって行われ、この場合、G1タンパク質の少なくとも一部が細胞 外表面に露出するときには、前記組成物は細胞外適用のために処方され、そして 前記G1タンパク質が完全に細胞内に存在するときには、前記組成物は細胞内適 用のために処方される。 (v)FAS-Rまたはp55-Rを保持する細胞でのFAS-RリガンドまたはTNFの作用のモ ジュレートのための方法であって、前記細胞を、本発明のG1タンパク質配列の 少なくとも一部のアンチセンス配列をコードするオリゴヌクレオチド配列で処置 することからなり:前記オリゴヌクレオチド配列はG1タンパク質の発現を阻止 し 得る。 (vi)腫瘍細胞またはHIV感染細胞あるいは他の疾患細胞を処置するための前記( ii)の方法であって、下記からなる: (a)特定の腫瘍細胞表面レセプターまたはHIV感染細胞表面レセプターあるい は他の疾患細胞が保持するレセプターに結合し得るウイルス表面タンパク質をコ ードする配列と、前記の腫瘍細胞、HIV感染細胞、または他の疾患細胞で発現し たときに前記細胞を殺傷し得る本発明のG1タンパク質、アナログ、フラグメン トおよび誘導体から選択されるタンパク質をコードする配列とを保持する組換え 動物ウイルスベクターの構築;および (b)前記腫瘍細胞、HIV感染細胞または他の疾患細胞への(a)の前記ベクター の感染。 (vii)細胞でのFAS-RリガンドまたはTNFの作用のモジュレートのための方法で あって、リボザイム法を適用することからなり、この場合、本発明にしたがって 、G1タンパク質をコードする細胞mRNA配列と相互作用し得るリボザイム配列を コードするベクターが、前記細胞内に、前記細胞内での前記リボザイム配列の発 現を可能にする形で導入され、前記リボザイム配列が前記細胞内で発現したとき に、前記細胞mRNA配列と相互作用して、前記mRNA配列を切断し、その結果、前記 細胞での前記G1タンパク質の発現を阻害する。 (viii)本発明による方法から選択される方法であって、この場合、前記のG1 タンパク質コード配列は、本発明にしたがうG1アイソフォームの少なくとも1 つ、 その任意のアナログ、フラグメントおよび誘導体からなり、それらは、MORT-1 またはたとえば、Mch4およびMACHなどのMORT-1結合タンパク質に直接的または 間接的に結合し得り、そのMORT-1は、ついで、FAS-ICに特異的に結合し、ある いはMORT-1または前記のMORT-1結合タンパク質に直接的または間接的に結合し 得、そのMORT-1は、ついで、TRADDに結合し、ついでp55−ICに結合する。 (ix)MORT-1タンパク質またはMORT-1結合タンパク質に直接的または間接的に 結合し得る本発明にしたがうタンパク質の単離および同定を行うための方法であ って、酵母ツーハイブリッド法を適用することからなり、この場合、前記のMORT -1タンパク質またはMORT-1結合タンパク質をコードする配列が一方のハイブリ ッドベクターによって保持され、cDNAライブラリーまたはゲノムDNAライブラリ ー由来の配列が第2のハイブリッドベクターによって保持され、ついで、該ベク ターを使って酵母宿主細胞を形質転換し、ポジティブな形質転換細胞を単離し、 その後前記の第2のハイブリッドベクターを抽出して、前記MORT-1タンパク質 または前記MORT-1結合タンパク質に結合するタンパク質をコードする配列を得 る。 (x)前記の(i)〜(ix)のいずれかの方法であって、この場合、前記のG1タンパ ク質は、G1アイソフォームのいずれか1つ、その任意のアナログ、フラグメン トおよび誘導体である。 (xi)前記の(i)〜(x)のいずれかにしたがう方法であって、この場合、G1タン パク質あるいは任意のそのア イソフォーム、アナログ、フラグメントまたは誘導体は、前記のG1タンパク質 、アイソフォーム、アナログ、フラグメントまたは誘導体が直接的または間接的 に結合し得る任意の他の細胞傷害性メディエーターまたはインデューサーにより メディエートまたはモジュレートされる細胞作用のモジュレーションに関与して いる。 (xii)G1活性の阻害、たとえば、G1αプロテアーゼ活性の阻害を行い、それ によって細胞の細胞傷害性を阻害し得るか、あるいはG1β活性の阻害を行い、 それによって細胞の細胞傷害性を増強し得る特定の薬剤を得るために、たとえば 、ペプチド、有機化合物、抗体などの他の物質をスクリーニングするための方法 。 前記(xii)の前記スクリーニング方法の態様には下記の方法が含まれる: (1)前記のように、本発明のG1タンパク質に結合し得るリガンドをスクリーニ ングするための方法であって、前記タンパク質が結合するアフィニティークロマ トグラフィーマトリックスを細胞抽出物と接触させ、前記リガンドを前記マトリ ックスに結合させて、前記リガンドの溶出、単離および分析を行うことからなる 。 (2)本発明のG1タンパク質に結合し得るリガンドをコードするDNA配列をスク リーニングするための方法であって、酵母ツーハイブリッド法を適用することか らなり、この場合、前記タンパク質をコードする配列が一方のハイブリッドベク ターによって保持され、cDNAライブラリーまたはゲノムDNAライブラリー由来の 配列が第2のハイブリッドベクターによって保持され、前記ベクターで酵母宿主 細胞を形質転換し、ポジティ ブな形質転換細胞を単離し、前記の第2のハイブリッドベクターを抽出して、前 記リガンドをコードする配列を得る。 (3)MORT-1またはMORT-1結合タンパク質によってモジュレート/メディエー トされる細胞活性をモジュレートし得るリガンドを同定し作製するための方法で あって、下記からなる: a)MACHタンパク質、Mch4タンパク質および他のMORT-1結合タンパク質から 選択されるMORT-1またはMORT-1結合タンパク質の少なくとも一部からなるポリ ペプチドに結合し得るリガンドのスクリーニング; b)MORT-1または前記MORT-1結合タンパク質、あるいはTNF/NGFレセプター ファミリーのレセプターの一部ではなく、前記スクリーニング工程によって前記 結合が可能であることが見出されたリガンドの同定および特徴づけ;および c)実質的に単離され精製された形態での前記リガンドの作製。 (4)本発明のG1タンパク質によりモジュレートまたはメディエートされる細胞 活性をモジュレートし得るリガンドを同定し作製するための方法であって、下記 からなる: a)図1に示すG1α配列の少なくとも一部、または図2に示すG1β配列の少 なくとも一部からなるポリペプチドに結合し得るリガンドのスクリーニング; b)MORT-1またはMORT-1結合タンパク質、あるいはTNF/NGFレセプターファ ミリーのレセプターの一部ではなく、前記スクリーニング工程によって前記結合 が可能であることが見出されたリガンドの同定および特徴づけ;および c)実質的に単離され精製された形態での前記リガンドの作製。 (5)G1によってモジュレート/メディエートされる細胞活性をモジュレートし 得るリガンドを同定し作製するための方法であって、下記からなる: a)図1に示すG1α配列または図2に示すG1β配列の少なくとも一部に結合 し得るリガンドのスクリーニング; b)MORT-1またはMORT-1結合タンパク質、あるいはTNF/NGFレセプターファ ミリーのレセプターの一部ではなく、前記スクリーニング工程によって前記結合 が可能であることが見出されたリガンドの同定および特徴づけ;および c)実質的に単離され精製された形態での前記リガンドの作製。 (6)G1によってモジュレート/メディエートされる細胞活性を直接的または間 接的にモジュレートし得る分子を同定し作製するための方法であって、下記から なる: a)G1によってモジュレート/メディエートされる活性をモジュレートし得 る分子のスクリーニング; b)前記分子の同定および特徴づけ;および c)実質的に単離され精製された形態での前記分子の作製。 (7)本発明のG1タンパク質によりモジュレート/メディエートされる細胞活性 を直接的または間接的にモ ジュレートし得る分子を同定し作製するための方法であって、下記からなる: a)前記G1タンパク質によってモジュレート/メディエートされる活性をモ ジュレートし得る分予のスクリーニング; b)前記分子の同定および特徴づけ;および c)実質的に単離され精製された形態での前記分子の作製。 本発明はまた、細胞でのFAS-Rリガンド作用またはTNF作用、あるいは前記のよ うに細胞での任意の細胞傷害性メディエーターまたはインデューサーの作用のモ ジュレーションのための医薬組成物を提供する。この医薬組成物は、活性成分と して下記のいずれか1つからなる: (i)本発明によるG1タンパク質、およびその生物学的に活性なフラグメント、 アナログ、誘導体の混合物; (ii)細胞表面レセプターと結合し得るタンパク質をコードし、そして本発明に したがうG1タンパク質あるいは生物学的に活性なフラグメントまたはアナログ をコードする組換え動物ウイルスベタター; (iii)本発明によるG1タンパク質配列のアンチセンス配列をコードするオリゴ ヌクレオチド配列であって、この場合、前記オリゴヌクレオチドは、前記(ii)の 組換え動物ウイルスベクターの第2の配列であり得る。 本発明はまた、下記を提供する: I.細胞でのMORT-1誘導による作用またはMORT-1結合タンパク質誘導による 作用、または任意の他の細胞傷害性メディエーターまたはインデューサーの作用 のモジュレーションのための方法であって、前記細胞を、前記の(i)〜(x)のいず れか1つの方法にしたがって、G1タンパク質、そのアナログ、フラグメントま たは誘導体を用いて、あるいはG1タンパク質、そのアナログまたはフラグメン トをコードする配列を用いて処置することからなり、前記処置の結果、前記MORT -1がメディエートする作用の増強または阻害が得られ、それによってFAS-Rがメ ディエートするまたはp55-Rがメディエートする作用、または前記の他の細胞傷 害性メディエーターまたはインデューサーをもまた増強されるかまたは阻害され る。 II.前記G1タンパク質、そのアナログ、フラグメントまたは誘導体が、MORT- 1もしくはMORT-1結合タンパク質、または前記の他の細胞傷害性メディエータ ーもしくはインデューサーへの結合に特異的に関与するG1タンパク質のそのよ うな一部であるか、あるいは前記のG1タンパク質配列が、MORT-1タンパク質も しくはMORT-1結合タンパク質、または前記の他の細胞傷害性メディエーターも しくはインデューサーへの結合に特異的に関与するG1タンパク質の一部をコー ドする、前記の方法。 III.前記のG1タンパク質はG1アイソフォームのいずれか1つであり、前記 アイソフォームは、細胞でのMORT-1会合作用あるいは他の細胞傷害性メディエ ーターまたはインデューサーの会合作用を増強することができ、それによって細 胞でのFAS-R会合作用またはp55-R会合作用、あるいは細胞での他の細胞傷害性メ ディエーターまたはインデューサーの作用もまた増強するこ とができる、前記の方法。 IV.前記G1タンパク質はG1アイソフォームのいずれか1つであり、前記アイ ソフォームは、細胞でのMORT-1会合作用あるいは他の細胞傷害性メディエータ ーまたはインデューサーの会合作用を阻害することができ、それによって細胞で のFAS-R会合作用またはp55-R会合作用、あるいは細胞での他の細胞傷害性メディ エーターまたはインデューサーの作用もまた阻害することができる、前記の方法 。 前記のすべてから、本明細書中下記の詳細な説明からも同様に得られるように 、G1はまた、細胞または組織を処置するために、MORT-1とは独立した様式で使 用してよい。G1タンパク質の単離、それらの同定および特徴づけは、タンパク 質の単離および同定のために使用される任意の標準的なスクリーニング技法によ って、たとえば、酵母ツーハイブリッド法、アフィニティークロマトグラフィー 法、およびこの目的のために使用される他の周知のいくつかの標準的な手順によ って行うことができる。 さらに、G1のいくつかのアイソフォームは、(他の知られているプロテアー ゼの前記プロテアーゼ領域に対して相同性を有する)プロテアーゼ様領域のみを 有してよいが、この領域は、実際にはプロテアーゼ活性を有さず、その結果、そ のようなアイソフォームは、前記の阻害的な役割を主に示すかもしれない。 さらに、G1または任意のそのアイソフォームはMORT-1とは独立した細胞内経 路のモジュレートに関与し得るので、G1または任意のそのアイソフォームは、 任意の 他の細胞内経路または機構のシグナリングのモジュレーションに関与し得る。 本発明の別の面および態様もまた、下記の本発明の詳細な説明から得られるよ うに提供される。 下記の用語:「細胞でのFASリガンドまたはTNFの作用のモジュレーション」お よび「細胞でのMORT-1またはMORT-1結合タンパク質の作用のモジュレーション 」は、それらが使用される場合、インビトロならびにインビボでの処置を含み、 さらに阻害または増強/増大をも含むことが理解されることに注意すべきである 。 図面の簡単な説明 図1Aは、実施例1に詳しく示すG1タンパク質の1つのアイソフォームの仮 の(preliminary)ヌクレオチド配列の概要を示す。 図1Bは、図1Aに示すアイソフォームの推定アミノ酸配列の概要を示す。 図2は、実施例1に詳しく示すG1タンパク質の第2のアイソフォームの仮の ヌクレオチド配列および推定アミノ酸配列の概要を示す。 図3は、ヒト(hCASHα、hCASHβ)G1(またはCASH)およびマウス(mCASHα)の スプライシング変異体のアミノ酸配列、ならびにこれらのタンパク質に見出され る保存されたモチーフのアミノ酸配列の比較の概要を示す。図3において、マウ スG1α(mCASHα)、ヒトG1α(hCASHα)およびG1β(hCASHβ)、CASP-8( MACH/FLICE1/Mch5)、CASP-10(Mch4/FLICE2)、 CASP-3(CPP32/Apopain/Yama)およびCASP-1(ICE)の同時に並べたアミノ酸配 列のアラインメントを示す。CASP-1およびCASP-3は、そのプロドメイン領域を 示していない。アミノ酸残基には、各配列の右側に番号を付す。点線は、最適な アラインメントを可能にするための配列内の空白部を示す。「デスドメイン」モ ジュール(DED)には陰影を付ける。示されたタンパク質の4つ以上で同一であ るアミノ酸を囲って示す。プロテアーゼ相同性の領域において、X線結晶解析学 によって触媒活性に関係していることが示されたCASP-1残基と一致するアミノ 酸は、下記のように示される:触媒作用に関与することが推定される残基は、CA SP-1のHis237およびCys285に対応し、暗陰影を付し、配列の下部に黒丸によっ て示す。P1 Aspのカルボン酸塩側鎖の結合ポケットを構成する残基は、CASP-1 のArg179、Gln238、Arg341およびSer347に対応し、薄い陰影を付け、白丸によっ て示す。既知のAsp-X切断部位および示唆されるAsp-X切断部位、ならびにG1(C ASH)内の類似位置で見出される潜在的な切断部位に陰影を付ける。横向きの矢 印は、CASP-1の小サブユニットおよび大サブユニットのN末端およびC末端を 示す。タンパク質のC末端を星印で示す。 図4(A、B)は、様々なヒト組織でのG1転写物の同定を示すノーザンブロ ットのオートラジオグラムの複製を示す(心臓、脳、胎盤、肺、肝臓、骨格筋、 腎臓、膵臓、脾臓、胸腺、前立腺、精巣、卵巣、小腸、結腸および末梢血リンパ 球−PBL)。ノーザンブロット分析を以下のように行った:G1の「デスドメイン」( DED) モジュール領域に対応する放射標識mRNAプローブ(G1βのヌクレオチド番号482 〜1070(図2参照)由来、クローン化した両方のG1(CASH)スプライシング変異 体の共通領域)を、T7 RNAポリメラーゼ(プロメガ)を使用して調製し、様々な ヒト組織のポリ(A)+RNA(2μg/レーン)を含有するヒトの多数の組織ブロッ ト(クロンテック)を分析するために使用した。 図5は、トランスフェクトされた酵母でのG1α(CASHα)およびG1β(CASHβ) と他の「デスドメイン」(DED)含有タンパク質との相互作用を示す結果の概要を示 す(たとえば、MORT1/FADD、MACHα1(CASP-8α1)、MACHβ1(CASP-8β 1)、MACHβ4(CASP-8β4)、Mch4(CASP-10)、G1α(CASHα)、G1β (CASHβ)、p55-R(p55ic)、RIP、TRADDおよびラミン(Lamin)(ネガティブ コントロール))。G1β(CASHβ)ならびにG1α(CASHα)の結合特性を、酵 母SFY526レポーター株(クロンテック)において、pGBT9-GAL4 DNA結合ドメイ ンベクターならびにpGAD1318活性化ドメインベクターおよびpGADGH-GAL4活性化 ドメインベクターを使用して評価した。β-ガラクトシダーゼ発現フィルターア ッセイによる酵母での結合の定量化を、参考例1〜3において記されるようにし て行った。結果を、強い色の発色に要する時間として表す。試験したすべての場 合において、同一の結果が、試験したインサートをDNA結合ドメイン構築物およ び活性化ドメイン構築物に両方を組合せて配置したときに得られた。調べたイン サートはどれも、ヒトのp55-R(CD120a)、p75-R(CD120b)、CD40、ラミンの細 胞内ドメイン、 および空の(empty)Ga14ベクターを含むいくつかのコントロールタンパク質と 相互作用しなかった。 図6(A〜d)は、G1α(CASHα)、G1β(CASHβ)およびG1α(CASHα )の変異体の細胞生存性および細胞死誘導に対する作用を示す結果を表す。指示 された構築物でこれらの細胞をトランスフェクションすることによって、ヒーラ -Fas細胞(図5Aに棒グラフとして概要を図示する結果)および293-T細胞(図 5Bおよび図5Cに棒グラフとして概要を図示する結果)において誘導された細 胞死の定量化を実施例1に記されるように行った。細胞(6cmディッシュあたり 5×105個の293T細胞または3×105個のヒーラ細胞)を、pCMV-β-galと一緒に 、指示されたタンパク質のcDNAを用いて、リン酸カルシウム沈澱法を用いて一時 的なトランスフェクションをした。各ディッシュを、目的のpcDNA3構築物の5 μgで、あるいは2つの異なる構築物をトランスフェクトする場合にはそれぞれ の2.5μgと1.5μgのβ-ガラクトシダーゼ発現ベクターでトランスフェクトし た。細胞をトランスフェクションの6〜10時間後に洗浄し、ついで、さらなる処 理を行うことなく、さらに14時間のインキュベーションを行った。抗CD95(抗Fas -R)モノクローナル抗体(CH11(オンコー(Oncor)(ガイザースバーグ(Gaithersbur g)、メリーランド州))、0.5μg/ml)およびヒト組換えTNFα(100ng/ml)を細胞に シクロヘキシミド(CHX、10μg/ml)とともに加え、さらに4時間のインキュベ ートし、ついで、細胞を、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドキシル−β−D −ガラクトピラノシド(X-Gal)で染色し、位相差顕微 鏡によって調べた。示されたすべての実験において、死を、ヒーラ-Fas細胞につ いてはトランスフェクションの24時間後に、そして293T細胞についてはトラン スフェクションの20時間後に評価した。示した結果(平均±SD;nは少なくとも 3つの実験である)は、メンブレンでの泡状物形成(blebbing)を示した青色の 細胞の計測割合を示す。 図6Dには、指示された構築物の一時的な発現を行った293-T細胞の形態を示 す顕微鏡写真の複製を示す。写真をトランスフェクションの20時間後に撮影した 。 発明の詳細な説明 本発明は、1つの面において、新規なG1タンパク質に関する。このG1タンパ ク質は、MORT-1と、あるいは、たとえば、Mch4およびMACHなどのMORT-1結合 タンパク質と直接的または間接的に結合するかまたは相互作用することができ、 それによって、これにMORT-1が結合するFAS-Rレセプターの細胞内ドメインに結 合することができ、あるいは、タンパク質TRADDが結合し、そしてそのTRADDタン パク質にMORT-1が結合するp55 TNF-Rの細胞内ドメインに結合することができる 。したがって、本発明のG1タンパク質は、たとえば、FASリガンドがFAS-Rに結 合することによって開始されるシグナリングプロセスでの役割を有し、同様に、 TNFがp55-Rに結合することによって開始されるシグナリングプロセスでの役割を も有するFAS-Rのメディエーターまたはモジュレーターと見なされる。本発明のG 1タンパク質には、新しく発見されたG1およびそ のアイソフォームが含まれる。 より詳細には、本発明により、線虫のプロテアーゼCED3のホモログであるこ とが明らかな(CASHとも呼ばれる)新規なタンパク質G1が開示される。しかし 、この新規なG1タンパク質は、密接に関連しているが、いくつかの異なった構 造および基質特異性を示し、そのようにして哺乳動物細胞においていくらか異な る機能を示し得る。実際に、2つの異なるプロテアーゼ活性が知られている。IC E(CASP-1とも呼ばれる)の主な役割は、IL-1β前駆体のプロセシングである ようである。一方、CED3は、プログラムされた細胞死のエフェクターとして作 用することが明確に示されている。この後者の役割はまた、少なくともいくつか の哺乳動物ホモログ、たとえば、前記の共に所有し、共に係属中の特許出願のMA CH(CASP-8とも呼ばれる)アイソフォームのいくつか、ならびに、本発明のG1 が結合する前記の関連したMch4(CASP-10とも呼ばれる)の役割であるようであ る。MACHα1のアミノ酸配列は、CED3の最も詳しく知られている哺乳動物ホモ ログであるCPP32(CASP-3とも呼ばれる)に対して最も大きな類似性を示す。MA CHの基質特異性もまた、CPP32の基質特異性に類似している。しかし、MACHα1 は、CPP32の基質特異性よりもさらに限定された基質特異性を有するようである 。CPP32は、ポリ(ADPリボース)ポリメラーゼ(PARP)の切断部位に対応する基 質ペプチドを優先的に切断するが、IL-1β前駆体のICE切断部位に対応するペプ チドに対してもまたいくらかのタンパク質分解活性を有する。しかし、MACHα1 は、PARP に由来する配列を専ら切断し得るようである。MACHα1のCPP32およびCED3に対 するこれらの関係ならびにICEに対するその違いは、MACHα1は、CED3に類似し て、細胞死のレギュレーターとして作用するという考えと一致する。しかし、MA CHα1は、MACHα1がCED3およびCPP32から、ならびにCED3/ICEファミリーの 他のすべてのメンバーから区別される配列特徴をいくつか示す。MACHα1のC末 端部は、そのCED3/ICE相同性領域の上流であるが、他のホモログのどの上流領 域に対しても類似性を全く示さない。タンパク質のCED3/ICE相同性領域に特有 な配列特徴もまたいくつか存在する。これらの違いは、MACHα1がファミリーの 異なる進化枝(evolutionary branch)に属し、細胞死に対するその寄与は、前 記のCED3/ICEホモログの寄与とはある程度異なっていることを示唆する。同様 に、本発明のG1タンパク質およびその可能なアイソフォームはまた、G1配列内 のCED3/ICE相同性領域においていくつかの異なる違いを示す。そのように、こ れらの違いは、哺乳動物細胞におけるG1の活性の特異性を反映する独特の特徴 を表し得る。 重要な違いの1つは、プロテアーゼの機能がレギュレートされる方法に関し得 る。進化的に関連した細胞死プロセスおよびレセプター誘導による免疫性細胞溶 解の両方に関与しているとすれば、CED3/ICEファミリーのプロテアーゼによる タンパク質の切断は、細胞内で形成されるシグナル、および細胞表面レセプター から発するシグナルの両方による調節を受けやすいにちがいない。進化的な細胞 死プロセスにおいて、そのよ うなプロテアーゼの活性化は、遺伝子発現に影響を与えて、その結果、プロテア ーゼ合成の増強、ならびにそのアポトーシス作用に拮抗するBCL-2などのタンパ ク質合成の減少をもたらす機構を含むようである。しかし、これはFAS-RまたはT NFレセプターによって引き起こされる細胞傷害性には明らかに当てはまらない。 細胞は、それらのタンパク質合成活性が完全に阻止されたときにTNFまたはFAS-R リガンドによって殺傷され得るし(そのとき、細胞は、実際にはより効果的に殺 傷される)、これらの条件下で刺激に依存したままである。このように、TNFレ セプターおよびFAS-RによるCED3/ICEファミリーのプロテアーゼの活性化は、タ ンパク質合成に依存する機構によって生じ得る。MACHα1の独特な配列特性によ って、MACHα1はそのような機構への参加が可能になり得る。同様に、本発明の G1タンパク質の独特な配列特性もまた、そのような機構に参加する能力をG1タ ンパク質にもたらし得る。 したがって、新たなG1タンパク質は、最近見出されたプロテアーゼ群のさら に別のメンバーであり得る。この群には、前記のMACH(およびそのアイソフォー ム)およびMch4が含まれ、アダプタータンパク質と直接的に、またはアダプター タンパク質を介して細胞表面レセプターの細胞内ドメインと会合することが見出 されている。他の酵素活性を有するレセプター会合タンパク質の作用の仕方から 推論することによって、G1のMch4への結合またはG1のMACH(またはMACHα1 アイソフォーム)への結合、およびついでMachのMch4のMORT-1への結合または G1のMORT-1への直接的な結 合は、FasリガンドによりFAS-Rが引き金を引くときに、G1および/またはMch4 および/またはMACHのプロテアーゼ活性を刺激し得ることはもっともらしいよう である。それはまた、p55-Rに結合するTRADDへのMORT-1の結合を介して、p55-R によるプロテアーゼの活性化を可能にしうる。 CED3/ICEファミリーの別のメンバーは、それらの自己切断またはこのファミ リーの他のプロテアーゼの作用のいずれかによって生じるタンパク質分解プロセ シングの後においてのみ完全な活性を示すことが見出された(Kumas、1995;Hen kart、1996参照)。たとえば、MACHに関する前記の共に所有し、共に係属中であ る特許出願に詳述されているように、MACHα1の2つの主要な潜在的な自己切断 産物の同時発現から得られる細胞傷害性作用は、全長のCED3/ICE相同性領域を 発現する細胞での細胞傷害性の欠如とは反対に、MACHα1もまた、そのプロセシ ング後においてのみ完全な活性を獲得するという可能性と矛盾しない。全長領域 を発現する細菌の溶解物で観測される酵素活性は、これらの条件下で得られるタ ンパク質の自己プロセシング、またはいくつかの細菌プロテアーゼによるプロセ シングを明らかに反映している。どのような方法でこのプロセシングが哺乳動物 細胞で生じているか、またはFAS-Rおよびp55-Rによる引き起こしによってそれが どのように生じ得るかは不明であり、MACHα1のプロテーゼ活性が、FAS-R誘導 およびTNF誘導による細胞傷害性にどのような相対的な寄与をなすかは未だはっ きりしていない。この寄与の評価は、CED3/ICE相同性領域を 有さないMACHβ1の発現によってもまた、著しい細胞傷害性が生じるという事実 によって複雑になっている。おそらくは、この細胞傷害性は、MACHα1に対する MACHβ1の結合能を反映している。この能力のために、トランスフェクトされた MACH分子は、凝集の際に、トランスフェクトされた細胞にとって内因性のMACHα 1分子における配座的な変化をもたらし得る。そのような機構は、MACH(MORT1 、TRADD、あるいはp55-RまたはFAS-Rのいずれかのデスドメイン)の上流で作用 する分子が細胞内で過剰に発現したときに観測される細胞傷害性もまた充分に説 明し得る。しかし、今のところ、MACHの誘導発現時、またはその上流で作用する 分子の誘導発現時に観測される細胞傷害性は、MACHのCED3/ICE相同性領域のタ ンパク質分解活性に加えて、FAS-Rおよびp55-Rの細胞傷害作用(たとえば、中性 または酸性スフィンゴミエリナーゼの活性化)に参加することが考えられている 他の機構のいくつかの活性化もまた反映することを除外し得ない。CED3/ICE相 同性領域のタンパク質分解活性は、細胞傷害性の誘導に加えて、他の機能を有す ることもまた除外し得ない。MACHα1の機能のより明快な考えは、MACHα1の活 性化時に切断される内因性の基質タンパク質を同定することによって得られるに ちがいない。MACHα1の活性を、たとえば、阻害分子の発現によって自由に除去 する方法を見出すことはまた、このタンパク質の機能を理解することにつながり 、所望するときにその活性を調節するための方法として役に立つ。 したがって、本発明のG1タンパク質およびその可能 なアイソフォームは、他のタンパク質との直接的な相互作用を有するかまたはそ のような相互作用を有することなく、前記のMACHタンパク質に関して述べた類似 の様式で挙動し得る。すなわち、G1は、MORT-1に対する結合を介して直接的に 作用することができ、あるいはMch4および/またはMACHに対する結合を介して 、ついでMch4および/またはMACHのMORT-1への結合によって、あるいはG1に 特異的な機構がまだ解明されていない他のいくつかにおいて間接的に作用するこ とができる。同様に、G1活性のレギュレーションは、MACHタンパク質のレギュ レーションに関して前記示された機構に類似し得る。 G1を発現する細胞内に、このタンパク質に含まれるプロテアーゼの天然のイ ンヒビターが充分に存在し得る。CED3/ICEファミリーのいくつかの他のメンバ ーの別にスプライスされるアイソフォームの存在によって、これらのプロテアー ゼの機能の生理学的な制限方法が組み立てられていることが明らかにされた。こ れら他のプロテアーゼのアイソフォームのいくつかは、明らかにそれらとの不活 性ヘテロダイマーを形成することによって、全長アイソフォームの天然のインヒ ビターとして作用することが報告された。これは、G1およびその可能なアイソ フォーム、たとえば、潜在的なN末端切断部位を失っているそれらアイソフォー ムに関してもまた充分に当てはまり得る。そのような阻害性アイソフォームの発 現は、FAS-RおよびTNFの細胞傷害性に対する細胞自己防護機構を構成し得る。 G1は、さらに他の機能を有し得る。たとえば、G1ま たはいずれかのそのアイソフォームは、たとえば、Mch4およびMACHの様々なア イソフォームのタンパク質分解活性といった酵素活性を有する他のタンパク質に 対する増強作用または増大作用を有し得る。この増強作用または増大作用は、G 1が、MORT-1との結合のために他のタンパク質(たとえば、Mch4タンパク質お よびMACHタンパク質)を呼び寄せるように作用する機構を介する。さらに、G1ま たはいずれかのそのアイソフォームは、細胞傷害性に関連しない役割をも有し得 るが、むしろ、FAS-RおよびTNFの他の非細胞傷害性作用に関与する分子のドッキ ング部位として作用し得る。 本発明にしたがういくつかの特定のG1アイソフォームを、下記の実施例1に 例示する。ヒトおよびマウスから単離されたG1α(CASHα)と呼ばれるこれら の1つ(それぞれ、hG1α/hCASHαおよびmG1α/mCASHα)は、プロテアーゼ 相同性領域を有する1mgのスプライシング変異体であり、少なくともいくつかの 細胞(たとえば、293細胞)において、細胞傷害性を有する。これらの別のもの は、G1β(CASHβ)と呼ばれ、ヒトから単離されている。これは、プロテアー ゼ相同性領域を有さず、実際には細胞死シグナリング経路を阻害する明らかに短 いスプライシング変異体である。 細胞死を引き起こすFAS-RおよびTNFレセプターの独特な能力、ならびに様々な 他の組織損傷活性を引き起こさせるTNFレセプターの能力のために、これらレセ プターの機能の変調は生物にとってとくに有害であり得る。実際、これらのレセ プターの過度な機能および不足した機能はともに、様々な疾患の病理学的な発 現に寄与することが示されている。これらレセプターのシグナリング活性に参加 する分子の同定、およびこれら分子の機能をモジュレートする方法を見出すこと は、これらの疾患に対する新しい治療のアプローチのための有力な手がかりにな る。FAS-RおよびTNFの毒性におけるG1の考えられる重要な役割を考慮して、CED 3/ICEファミリーのいくつかの他のメンバーについてなされているように、この 分子のタンパク質分解機能を阻止し得る薬物を設計することはとくに重要である ようである。G1分子に含まれるCED3/ICEホモログの独特な配列特徴は、CED3/ ICEファミリーの他のメンバーが関与する生理学的な細胞死プロセスを妨害する ことなく、過度の免疫でメディエートされる細胞傷害性からのその保護に影響し 得る薬物を設計することを可能にし得る。 前記のように、G1またはいずれかのそのアイソフォームはまた、他の細胞内 シグナリング経路のモジュレーション、たとえば、他の細胞傷害性メディエータ ーまたはインデューサーあるいはMORT-1またはMORT-1結合タンパク質に依存し ない様式での他のタンパク質などのモジュレーションに関与し得る。さらに、G 1、または実際のプロテアーゼ活性を有さないプロテアーゼ様領域を有する少な くともそのアイソフォームは、主として阻害機能に関与し得る、すなわち、G1 またはそのアイソフォームは、それらが、これらの経路のメンバーへの直接的な 結合、あるいは他のタンパク質に間接的に結合し、ついでこれらタンパク質がこ れらの経路のメンバーに結合することのいずれかによって関 与するそれら経路、たとえば、一般にはシグナリング経路、具体的には細胞傷害 性経路を阻害し得る。 したがって、本発明はまた、G1タンパク質をコードするDNA配列およびこのよ うなDNA配列によってコードされるG1タンパク質に関する。 さらに、本発明はさらに、G1タンパク質の生物学的に活性なアナログ、フラ グメントおよび誘導体をコードするDNA配列、ならびにそれらによってコードさ れるアナログ、フラグメントおよび誘導体に関する。そのようなアナログ、フラ グメントおよび誘導体の調製は、標準的な手順よって行われる(たとえば、Samb rookら、1989を参照のこと)。この場合、G1タンパク質をコードするDNA配列に おいて、1つまたはそれ以上のコドンの欠失、付加、または別のコドンによる置 換を行って、ネイティブのタンパク質に関して少なくとも1つのアミノ酸残基の 変化を有するアナログを作製することができる。 G1タンパク質に「実質的に対応する」ポリペプチドまたはタンパク質には、G 1タンパク質だけでなく、G1のアナログであるポリペプチドまたはタンパク質 もまた含まれる。 G1タンパク質に実質的に対応するアナログは、G1タンパク質のアミノ酸配列 のアミノ酸の1つまたはそれ以上が、別のアミノ酸による置換、欠失および/ま たは挿入が行われているポリペプチドである。ただし、この場合、得られるタン パク質は、それが対応するG1タンパク質と実質的に同じか、それよりも大きな 生物学的活性を示す。 G1タンパク質に実質的に対応するために、アイソフォームなどのG1タンパク 質の配列における変化は、一般には、相対的には小さい。変化の数は10個を超え 得るが、好ましくは、変化はわずかに10個であり、より好ましくは、わずかに5 個であり、最も好ましくは、そのような変化はわずかに3個にすぎない。いずれ かの技法を使用して、G1タンパク質に実質的に対応し、潜在的に生物学的な活 性を有し得るタンパク質を見出すことができるが、そのような技法の1つは、タ ンパク質をコードするDNAに対する従来の変異誘発技法の使用であり、これによ って少数の改変が得られる。そのようなクローンによる発現タンパク質は、つい で、たとえば、Mch4およびMACHなどの様々なMORT-1結合タンパク質に結合する それらの能力、またはMORT-1に対して直接的にでも結合するその能力、および /またはFAS-Rおよびp55-Rがメディエートする媒介活性について、および/また は前記の方法で任意の他の細胞内経路のメディエーティング活性に対してスクリ ーニングされ得る。 「保存的」変化は、タンパク質の活性を変化させないことが予想される変化で あり、通常、スクリーニングされる最初のものである。なぜなら、これらは、タ ンパク質の大きさ、電荷または配置を実質的に変化させないことが予想され、し たがってその生物学的特性を変化させないことが予想されるからである。 G1タンパク質の保存的置換には、ポリペプチドにおける少なくとも1つのア ミノ酸残基が、異なるアミノ酸によって保存的に置換されているアナログが含ま れ る。そのような置換は、好ましくは、表IAに示す下記のリストにしたがって行 われる。そのような置換は、G1タンパク質の生物学的活性特徴を維持しながら 合成されたポリペプチド分子の改変された構造的特性および機能的特性を得るた めの日常的な実験によって決定することができる。 あるいは、G1タンパク質のもう一群の置換は、ポリペプチドにおける少なく とも1つのアミノ酸残基が除去され、下記の表IBにしたがって異なる残基がそ の場所に挿入されている置換である。ポリペプチドにおいて行われ得る置換のタ イプは、異なる種の相同性タンパク質の間におけるアミノ酸変化の頻度分析に基 づくことができる。たとえば、シュルツ(Schulz)ら、G.E.、Principles of Pr oteins StructureSp ringer-Verlag、New York、NY、1798の表1〜2およびクラ イフトン ティー イー(Creighton,T.E.)、Protein:Structure and Molecul ar Propertics、W.H.Freeman & Co.、San Francisco、CA 1983の図3〜9など に示される。そのような分析に基づいて、代替的で保存的な置換が、下記の5グ ループのいずれかの中での交換として本明細書中に規定される。 前記の括弧内の3つのアミノ酸残基は、タンパク質骨格において特別な役割を 有している。Glyは、側鎖を全く有しない唯一の残基であり、したがって、鎖に 柔 軟性を与える。しかし、この残基は、αヘリックス以外の二次構造の形成を促進 しやすい。Proは、他と変わったその幾何構造のために、鎖を強固に束縛して、 一般にβターン様の構造を促進しやすい。一方、cysは、場合によっては、タン パク質の折り畳みにおいて重要なジスルフィド結合の形成に参加し得ることがで きる。前記のシュルツ(Schulz)らは、前記のグループ1およびグループ2を合 わせていることに注意すること。Tyrは、その水素結合能のために、SerおよびTh rなどとの共通点が大きいことにも注意すること。 本発明による保存的なアミノ酸置換、たとえば、前記のようなものは、この分 野では知られており、アミノ酸置換後においてポリペプチドの生物学的および構 造的な特性を保持していることが予想されよう。本発明による欠失および置換の 大部分は、タンパク質またはポリペプチド分子の特質における極端な変化をもた らさない欠失および置換である。「特質」は、二次構造、たとえば、αヘリック スまたはβシートにおけるの変化ならびに生物学的活性、たとえば、MORT-1結 合タンパク質の結合またはMORT-1の結合あるいは細胞でのFAS-Rリガンドまたは TNFの作用のメディエーションにおける変化の両方を規定する非包含的様式で規 定される。 タンパク質におけるアミノ酸置換を行う例で、本発明において使用するための G1タンパク質アナログを得るために使用することができる例には、任意の知ら れている方法の工程が含まれ、たとえば、下記において示されている:USP RE33 ,653、4,959,314、4,588,585お よび4,737,462(Markら);5,116,943(Kothsら);4,965,195(Namenら);4,879,111(Ch ongら);ならびに5,017,691(Leeら);ならびにUSP 4,904,584(Shawら)に示さ れるリジン置換タンパク質。 G1タンパク質の活性を著しく変化させない前記の保存的な置換に加えて、保 存的な置換、または保存性があまり高くなく、そしてより大きな任意性で行われ る変化のどちらも、G1タンパク質のアナログの生物学的活性を増大させる場合 には、本発明の範囲内であるものとする。 置換または欠失の正確な効果を確認しようとする場合、当業者は、置換、欠失 などの効果を日常的な結合アッセイおよび細胞死アッセイによって評価するとい うことを充分に理解しているであろう。そのような標準的な試験を使用するスク リーニングは、過度な実験を含まない。 許容されるアナログは、前記のMORT-1結合タンパク質に対する結合能、ある いはMORT-1または他のタンパク質に対する結合能を少なくとも保持し、それに よってFAS-Rおよびp55-Rまたは前記の他のタンパク質の活性を前記のようにメデ ィエートするアナログである。そのようにして、いわゆる、ドミナント−ネガテ ィブ作用(dominant-negative effect)を有するアナログを得ることができる。 すなわち、MORT-1結合タンパク質(たとえば、Mch4またはMACH)に対する結合 、あるいはMORT-1または他のタンパク質に対する結合、あるいはそのような結 合を伴うその後のシグナリングまたはプロテアーゼ活性のいずれかが不完全なア ナロ グを得ることができる。そのようなアナログを使用して、たとえば、FASリガン ド作用または他のタンパク質の作用を、天然のMORT-1結合タンパク質または他 のタンパク質との競合によって阻害することができる。たとえば、MACHアイソフ ォーム、MACHα2およびMACHα3は、これらMACHアイソフォームの活性化に必須 であるようなMORT-1への活性(プロテアーゼ)MACHアイソフォームの結合との 競合によってMACH活性を阻害するように作用する「天然の」アナログであること が確かなようである。いったん活性MACHアイソフォームがMORT-1に結合し得な ければ、FAS-Rおよびp55-Rによってメディエートされる細胞内シグナリング経路 もまた、それによって阻害される。類似する様式で、G1または任意のそのアイ ソフォームはまた、MORT-1と結合する様々なMORT-1結合タンパク質との競合に よるか、またはMORT-1へのそれらの結合を妨げる方法でそれらと相互作用する ことによりFASリガンド作用のインヒビターとして作用し得る。同様に、FASリガ ンドまたはTNFの作用を増強するように作用する、いわゆる、ドミナント−ポジ ティブ(dominant-positive)のG1アナログを得ることができる。これらは、天然 のG1タンパク質のMORT-1結合タンパク質に対する同じかまたは良好な結合能、 あるいは同じかまたは良好なMORT-1結合特性および同じかまたは良好なシグナ リング特性さえも有する。 遺伝子レベルにおいて、このようなアナログは、一般に、G1タンパク質をコ ードするDNAにおけるヌクレオチドの部位特異的変異誘発法、それによってアナ ロ グをコードするDNAを作製し、その後、DNAを合成し、組換え細胞培養においてポ リペプチドを発現させることによって調製される。アナログは、典型的には、天 然に存在するタンパク質と同じかまたは増大した量的な生物学的活性を示す:オ ースベル(Ausubel)ら、Current Protocols in Molecular Biology、Greene Publ ications and Wiley Interscience、New York、NY、1987-1995;サンブルック (Sambrook)ら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbo r Laboratory、Cold Spring Harbor、NY、1989。 本明細書によるG1タンパク質の調製、あるいは同じポリペプチドをコードす るが、遺伝子コードの知られている縮重によって許容される変化のために天然配 列とは異なる代わりのヌクレオチド配列の調製は、以前に調製されたアナログま たは天然型のG1タンパク質をコードするDNAの部位特異的変異誘発によって行う ことができる。部位特異的変異誘発は、特定のオリゴヌクレオチド配列を使用す ることによってアナログの作製を可能にする。そのようなオリゴヌクレオチド配 列は、所望の変異ならびに充分な数の隣接ヌクレオチドのDNA配列をコードして 、橋渡している欠失接合部の両側で安定な二重鎖を形成するのに充分な大きさお よび配列複雑度のプライマー配列を提供する。典型的には、約20〜25ヌクレオチ ドの長さのプライマーが好ましく、配列のそれぞれの側で、約5個〜10個の相補 性ヌクレオチドが変更される。一般に、部位特異的変異誘発技法はこの分野では よく知られており、これは、アデルマン(Adelman)ら、DNA 2:183(1983)などの 刊 行物によって例示されており、その開示は参考として本明細書中に援用される。 よく理解されているように、部位特異的変異誘発技法は、典型的には、一本鎖 形態および二本鎖形態の両方で存在するファージベクターを用いる。部位特異的 変異誘発において有用な典型的なベクターには、M13ファージなどのベクターが 含まれる。このファージは、たとえば、メッシング(Messing)ら、Third Cleve land Symposium on Macromolcculcs and Rccombinant DNA、A.Walton(編者)、 Elsevier、Amsterdam(1981)によって開示さており、そのの開示は参考として本 明細書中に援用される。これらファージは市販されており容易に入手することが でき、それらの使用も、一般に、当業者には充分に知られている。あるいは、一 本鎖ファージの複製起点を含有するプラスミドベクター(Veiraら、Meth.Enzymo l.153:3、1987)を、一本鎖DNAを得るために用いることができる。 一般に、本明細書による部位特異的変異誘発は、適切なポリペプチドをコード するDNA配列をその配列内に含む一本鎖ベクターを最初に得ることによって行わ れる。所望の変異配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーを、自動化DNA/ オリゴヌクレオチド合成によって人工的に調製する。ついで、このプラマーを、 タンパク質配列を含有する一本鎖ベクターとアニーリングし、大腸菌(E.coli) ポリメラーゼIクレノー断片などのDNA重合化酵素で処理して、変異を有する鎖 の合成を完了する。このようにして、変異配列および第2の鎖は、所望の変異を 有する。ついで、このヘテロ 二重鎖ベクターを使用して、大腸菌JM101細胞などの適当な細胞を形質転換し、 変異配列配置を有する組換えベクターを含むクローンを選択する。 そのようなクローンを選択した後に、変異G1タンパク質を取り出して、適当 なベクターに、一般には、適当な宿主のトランスフェクションのために用いるこ とができる種類の転移ベクターまたは発現ベクターの中に入れることができる。 したがって、G1タンパク質をコードする遺伝子または核酸はまた、PCRおよび 化学的なオリゴヌクレオチド合成などの知られているDNA増幅技法またはRNA増幅 技法を使用することによって、インビトロ、インサイチュウおよび/またはイン ビボで、検出、入手および/または改変を行うことができる。PCRは、反復したD NAポリメラーゼ反応による特定のDNA配列の増幅(数の増大)を可能にする。こ の反応は、クローニングの代わりとして使用することができる:必要なものは、 核酸配列の情報だけである。PCRを行うために、目的の配列に相補的なプライマ ーが設計される。ついで、そのプライマーを自動化DNA合成によって作製する。 プライマーは遺伝子の任意の部分にハイブリダイズするように設計することがで きるので、相補的な塩基対形成におけるミスマッチが許容され得るような条件を 作ることができる。これらミスマッチ領域の増幅によって、新しい特性を有する ペプチドの生成をもたらす変異処理産物の合成(すなわち、部位特異的変異誘発 )を行うことができる。たとえば、前記のオースベル(Ausubel)、16章もま た参照のこと。さらに、 逆転写酵素を使用する相補的DNA(cDNA)合成をPCRと組み合わせることによって 、RNAは、クローニングすることなく、プロラクチンレセプターの細胞外ドメイ ンの合成のための出発物質として使用することができる。 さらに、PCRプライマーは、新しい制限部位または他の特徴、増幅すべき遺伝 子セグメントの終点での終止コドンなどを組み入れるように設計することができ る。増幅遺伝子配列の5'末端および3'末端での制限部位のこの置換は、G1タ ンパク質またはそのフラグメントをコードする遺伝子セグメントを、ベクター内 の他の配列および/またはクローニング部位に連結するための自由な設計を可能 にする。 RCRならびにRNAおよび/またはDNAの増幅の他の方法は、この分野ではよく知 られており、本発明にしたがって、過度な実験を行うことなく、本明細書中に示 される教示および指針に基づいて使用することができる。DNA増幅またはRNA増幅 の知られている方法には、下記の方法が含まれるが、これらに限定されない:ポ リメラーゼ連鎖反応(PCR)および関連する増幅プロセス(米国特許第4,683, 195号、同第4,683,202号、同第4,800,159号、同第4,956,188号(Mullisら);同 第4,795,699号および同第4,921,794号(Taborら);同第5,142,033号(Innis) ;同第5,122,464号(Wilsonら);同第5,091,310号(Innis);同第5,066,584号(Gy llenstenら);同第4,889,818号(Gelfandら);同第4,994,370号(Silverら);同 第4,766,067号(Biswas);同第4,656,134号(Ringold);およびInnisら編、PCR Prot ocols:A Guide to Method and Applications)、および二本鎖DNA合成のためのテンプレートと して標的配列に対するアンチセンスRNAを使用するRNAによりメディエートされる 増幅(米国特許第5,130,238号(Malekら)、NASBAのトレードネーム(tradename )を有する);およびDNA増幅の使用を抗体標識と組み合わせる免疫PCR(Ruzicka ら、Science 260:487(1993);Sanoら、Science 258:120(1992);Sanoら、Biotec hniques 9:1378(1991))。これらの特許および参照文献のすべての内容は参考と して本明細書中にすべて援用される。 類似した様式で、G1タンパク質の生物学的活性フラグメント(たとえば、G1 またはそのアイソフォームの任意のフラグメント)を、G1タンパク質のアナロ グに関して前記のようにして調製することができる。G1タンパク質の適切なフ ラグメントは、G1の能力を保持し、FAS-Rおよびp55-Rまたは他のタンパク質の 生物学的活性を前記のようにメディエートし得るフラグメントである。したがっ て、アナログに関して前記に記載されているドミナント−ネガティブ作用または ドミナント−ポジティブ作用を有するG1タンパク質フラグメントを調製するこ とができる。これらフラグメントは、本発明の特別な種類のアナログであること に注意すべきである。すなわち、それらは、完全なG1タンパク質配列(たとえ ば、G1またはそのアイソフォームのいずれかの配列由来)から誘導されるG1タ ンパク質の規定された部分である。そのような部分またはフラグメントはそれぞ れ、前記の所望の活性のいずれかを有する。そのようなフラグメントは、たとえ ば、ペプチドであ り得る。 同様に、誘導体を、この分野で充分に知られているような、G1タンパク質、 そのアナログまたはフラグメントの1つまたはそれ以上のアミノ酸残基の側鎖基 の標準的な修飾によって、あるいはG1タンパク質、そのアナログまたはフラグ メントを別の分子、たとえば、抗体、酵素、レセプターなどに結合させることに よって調製することができる。したがって、本明細書中で使用される「誘導体」 は、残基あるいはN末端基またはC末端基での側鎖として存在する官能基から、 この分野で知られている手段によって調製することができる誘導体を含み、それ らは本発明に含まれる。誘導体は、炭水化物またはリン酸塩(Phosphate)残基 などの化学的部分を有し得る。ただし、この場合、そのような部分は、G1タン パク質と同じかまたはそれよりも大きな生物学的活性を有する。 たとえば、誘導体には、カルボキシル基の脂肪族エステル、アンモニアまたは 一級アミンもしくは二級アミンとの反応によるカルボキシル基のアミド、アシル 基(たとえば、アルカノイル基または炭素環アロイル基)によって形成されるア ミノ酸残基の遊離アミノ基のN-アシル誘導体、またはアシル基によって形成さ れる遊離ヒドロキシル基(たとえば、セリン残基またはトレオニン残基のヒドロ キシル基)のO-アシル誘導体が含まれる。 用語「誘導体」は、アミノ酸が、20個の一般的に存在する天然アミノ酸の別の アミノ酸に変更されていないそれらの誘導体のみを含むものとする。 G1タンパク質はタンパク質またはポリペプチドではあるが、それはアミノ酸 残基の配列である。本明細書中の定義にしたがって、G1タンパク質の全配列を 含むより大きな配列からなるポリペプチドは、付加が本発明の基本的および新規 な特質に影響を与えない限り、そのようなポリペプチドの範囲の中に含まれるも のとする。すなわち、それらは、G1タンパク質の生物学的活性を保持するかま たは増大する場合、あるいはG1タンパク質の生物学的活性を有するタンパク質 またはポリペプチドを残すように切断し得る場合である。したがって、たとえば 、本発明は、G1タンパク質と他のアミノ酸またはペプチドとの融合タンパク質 を含むものとする。 新しいG1タンパク質、それらのアナログ、そのフラグメントおよび誘導体に は、多数の可能な使用法がある、たとえば: (i)G1タンパク質、そのアナログ、そのフラグメントおよび誘導体を使用して 、たとえば、Mch4およびMACH(その様々なアイソフォームを含む)などのMORT- 1結合タンパク質の機能またはMORT-1自身さえの機能、したがって、FAS-Rリガ ンドまたはTNFあるいは他のタンパク質の機能の模倣または増強を、FAS-Rリガン ドまたはTNFまたは他のタンパク質の増強された作用が、抗腫瘍適用、抗炎症適 用、抗HIV適用などにおいて所望される状況、FAS-RリガンドまたはTNFまたは他 のタンパク質によって誘導される細胞傷害性が所望される状況において行うこと ができる。この場合、FAS-RリガンドまたはTNFまたは他のタンパク質の作用、す なわち、細胞傷害作用を増強するG1タンパク質、そのアナログ、そのフラグメ ントまたは誘導体を、それ自体は知られている標準的な手順によって細胞に導入 することができる。たとえば、G1タンパク質が、(推測されるように)完全に 細胞内性であり、FAS-RリガンドまたはTNFまたは他のタンパク質の作用が所望さ れる細胞のみに導入しなければならない場合、このタンパク質の細胞への特異的 な導入システムが必要である。これを行う1つの方法は、下記の2つの遺伝子が 導入されるそのDNAに対する組換え動物ウイルス、たとえば、ワクシニアに由来 する組換えウイルスを作製することによって行われる:細胞が特異的に発現する 細胞表面タンパク質に結合するリガンドをコードする遺伝子、たとえば、いくつ かの細胞(CD4リンパ球および関連白血球)に特異的に結合するAID(HIV)ウイ ルスgp120タンパク質などのリガンド、あるいはFAS-Rまたはp55-Rを保持する細 胞に、組換えウイルスベクターがそのようなFAS-Rまたはp55-Rを保持する細胞と 結合し得るように、特異的に結合する任意の他のリガンドをコードする遺伝子; およびG1タンパク質をコードする遺伝子。したがって、細胞表面結合タンパク 質のウイルス表面での発現によって、ウイルスを、腫瘍細胞あるいは他のFAS-R またはp55-Rを保持する細胞に特異的に標的とし、その後、G1タンパク質コード 配列(たとえば、G1α配列)がウイルスを介して細胞内に導入され、そしてい ったん細胞内で発現すると、FAS-RリガンドまたはTNFの作用が増強され、殺傷す ることが望まれる腫瘍細胞あるいは他のFAS-Rまたはp55-R を保持する細胞を死に至らしめる。そのような組換え動物ウイルスの構築は、標 準的な手順によって行われる(たとえば、Sambrookら、1989を参照のこと)。別 の可能な方法は、G1タンパク質(たとえば、G1またはそのアイソフォームのい ずれか)の配列を、細胞によって吸収され、その中で発現し得るオリゴヌクレオ チドの形で導入することである。 そのような細胞の細胞傷害性を増強するさらなる方法は、それら自身が細胞の 細胞傷害性に対して阻害性であるG1アイソフォーム(たとえば、G1β)の活性 を阻害することであろう。そのようなG1アイソフォームを阻害する方法は無数 にあり、そのような阻害性G1アイソフォーム、たとえば、G1βなどを特異的に 阻害するために適用されるように、下記の(ii)にあげられる方法を含む。 (ii)それらを使用して、FAS-RリガンドまたはTNFまたは他のタンパク質を、た とえば、敗血症ショック、移植片対宿主拒絶または急性肝炎における組織損傷な どの場合において阻害することができ、この場合、FAS-RリガンドまたはTNF誘導 FAS-Rまたはp55-Rの細胞内シグナリングあるいは他のタンパク質によってメディ エートされるシグナリングを阻止することが所望される。このような状況におい て、たとえば、G1タンパク質をコードするmRNAの翻訳を効果的に阻止し、それ によってその発現を阻止してFAS-Rリガンド作用またはTNF作用または他のタンパ ク質の作用を阻害するG1タンパク質のアンチセンスをコードする配列を有する オリゴヌクレオチドを細胞に標準的な手順によって導 入することができる。そのようなオリゴヌクレオチドは、ウイルスによって保持 されるオリゴヌクレオチド配列である第2の配列を、前記の組換えウイルス法を 使用して細胞に導入することができる。 さらに、前記され、そして下記に例示されるように、細胞の細胞傷害性の「天 然のインヒビター」である少なくとも1つのG1アイソフォーム、すなわち、G1 βが単離された。したがって、そのようなG1アイソフォームを細胞に直接投与 することができ、あるいはこのアイソフォームをコードするヌクレオチド配列を 保持する適切なベクターを細胞に導入することができ、その結果、細胞内で発現 したときに、このG1アイソフォームは細胞の細胞傷害性を阻害するように作用 する。 別の可能性は、G1タンパク質の特異的な抗体を使用して、その細胞内シグナ リング活性を阻害することである。 FAS-RリガンドまたはTNFの作用を阻害するなお別の方法は、最近開発されたリ ボザイム法によって行われる。リボザイムは、RNAを特異的に切断する触媒性のR NA分子である。リボザイムは、選択した標的RNA、たとえば、本発明のG1タンパ ク質をコードするmRNAを切断するように操作することができる。そのようなリボ ザイムは、G1タンパク質のmRNAに特異的な配列を有し、それと相互作用し(相 補的な結合を形成し)、その後mRNAを切断して、G1タンパク質の発現の低下( または完全な喪失)をもたらし得る。低下した発現レベルは、標的細胞でのリボ ザイムの発現レベルに依存する。リボザイムを選択された細胞(たとえば、FAS-R またはp55-Rを保持する細胞)に導入するためには、この目的(前記の(i)をもまた 参照のこと、この場合、ウイルスは、第2の配列として、選択されたリボザイム 配列をコードするcDNAを有する)のために通常使用される任意の適切なベクター 、(たとえば、プラスミド、動物ウイルス(レトロウイルス)ベクター)を使用 することができる。(リボザイムに関する総説、方法などに関しては、Chenら、 1992;ZhaoおよびPick、1993;Shoreら、1993;JosephおよびBurke、1993;Shim ayamaら、1993;Cantorら、1993;Barinaga、1993;Crisellら、1993およびKoizum iら、1993を参照こと)。 (iii)G1タンパク質、そのアナログ、そのフラグメントまたは誘導体を使用し て、同じクラスの別のタンパク質、すなわち、FAS-Rの細胞内ドメインまたは機 能的に関連したレセプターに結合するタンパク質、あるいは前記のMORT-1結合 タンパク質に結合するタンパク質、あるいはMORT-1に結合して、それによって 細胞内シグナリングプロセスに関与するFAS-Rおよびp55-Rなどの機能的に関連す るレセプターを単離、同定およびクローニングを行うこともできる。このような 適用において、前記の酵母ツーハイブリッドシステムを使用することができるか 、あるいは、非ストリンジェントなサザンハイブリダイゼーションを適用し、そ の後のPCRクローニングを用いる最近開発されたシステムを使用することができ る(Wilksら、1989)。ウィルクス(Wilks)らの刊行物において、非ストリンジ ェントなサザンハイブリダイゼーション、その後、キナーゼモチーフ、想像され たキナーゼ配列の既知配列に 基づくPCRによるクローニングによる2つの推定的なタンパク質−チロシンキナ ーゼの同定およびクローニングが記載されている。この方法は、関連するMORT- 1結合タンパク質の配列を同定してクローニングするために、G1タンパク質の 配列を使用して本発明にしたがって使用することができる。 (iv)本発明のG1タンパク質、あるいはそのアナログ、そのフラグメントまた は誘導体を利用するなお別の方法は、アフィニティークロマトグラフィーの方法 においてそれらを使用して、たとえば、MORT-1、MORT-1結合タンパク質、ある いは細胞内シグナリングプロセスに関与している他のタンパク質または因子と結 合し得る他のタンパク質または因子を単離して同定することである。この適用に おいて、本発明のG1タンパク質、そのアナログ、そのフラグメントまたは誘導 体を、個々にアフィニティークロマトグラフィーマトリックスに結合し、ついで 、細胞抽出物あるいは細胞内シグナリングプロセスに関与していることが考えら れる単離されたタンパク質または因子と接触させることができる。アフィニティ ークロマトグラフィー手順の後に、本発明のG1タンパク質、あるいはそのアナ ログ、そのフラグメントまたは誘導体に結合する他のタンパク質または因子を溶 出して、単離および特徴づけを行うことができる。 (v)前記のように、本発明のG1タンパク質、あるいはそのアナログ、そのフラ グメントまたは誘導体はまた、免疫原(抗原)として使用して、それに対する特 異的な抗体を作製することができる。これらの抗体は また、G1タンパク質(たとえば、G1または任意のそのアイソフォーム)を、細 胞抽出物から、あるいはG1タンパク質またはそのアナログまたはそのフラグメ ントを産生する形質転換された細胞株から精製する目的で使用することができる 。さらに、これらの抗体は、FAS-Rリガンド系またはTNF系の異常な機能発現、た とえば、作用が過大または不充分なFAS-Rリガンド誘導またはTNF誘導の細胞作用 に関連する傷害を同定するための診断目的に使用することができる。したがって 、そのような傷害が、MORT-1タンパク質または様々な他のタンパク質、前記のM ORT-1結合タンパク質またはG1タンパク質自身を含む多機能的な細胞内シグナ リングシステムに関連しているならば、そのような抗体は、重要な診断用品とし て役に立つ。 本発明のG1タンパク質の単離、同定および特徴づけは、充分に知られている 標準的なスクリーニング手順のいずれかを使用して実施できることにも注意しな ければならない。たとえば、これらスクリーニング手順の1つである、本明細書 中下記に示される酵母ツーハイブリッド手順は、MORT-1タンパク質、ならびに 続いて様々なMORT-1結合タンパク質および本発明のG1タンパク質を同定するた めに使用された。同様に、前記および下記に記載されているように、この分野で 充分に知られているアフィニティークロマトグラフィー手順、DNAハイブリダイ ゼーション手順などの他の手順を用いて、本発明のG1タンパク質の単離、同定 および特徴づけ、あるいは本発明のG1タンパク質に結合し得るさらなるタンパ ク質、因子、レセプターなどの単離、 同定および特徴づけを行うことができる。 本明細書中で前記に示されているように、G1タンパク質を使用して、G1タン パク質、たとえば、G1およびそのアイソフォームに対する特異的な抗体を作製 することができる。これら抗体またはそのフラグメントは、本明細書中で下記に 詳細に示されているように使用することができる。これら適用において、抗体ま たはそのフラグメントはG1タンパク質に特異的な抗体であることが理解される 。 本発明にしたがって、G1またはその可能なアイソフォームの少なくともいく つかは、プロテアーゼのCED3/ICEファミリーのプロテアーゼに関連するプロテ アーゼであるという知見に基づいて、下記の特定の医療での適用が、これらG1 タンパク質およびアイソフォームに関して考えられる:他のCED3/ICEプロテア ーゼの特異的なインヒビターは既に存在し、そのいくつかは細胞透過性であるが 、それらは、プログラムされた細胞死プロセスを効果的に阻止し得ることが見出 された。したがって、FAS-Rリガンド誘導またはTNF誘導の細胞死、G1プロテア ーゼアイソフォームが関与するその経路を妨げ得るインヒビターの設計が、本発 明にしたがって可能である。さらに、これら新しいG1プロテアーゼの独特な配 列特徴を考慮して、TNF誘導およびFAS-Rリガンド誘導の作用に非常に特異的なイ ンヒビターを設計することは可能であるようである。本発明の知見はまた、「殺 傷プロテアーゼ(killing protease)」がFAS-RリガンドおよびTNFに応答して活性 化される機構の研究方法を提供する。このことは、この活性化 の程度を制御し得る薬物のその後の開発を可能にする。そのような薬物が非常に 役に立ち得る疾患は多数存在する。とくに、肝臓に対する急性損傷は肝細胞のFA S-Rリガンドがメディエートする死を反映していると思われる急性肝炎;糖尿病 を生じさせる膵臓のβランゲルハンス細胞の死など自己免疫誘導による細胞死; 移植片拒絶(たとえば、腎臓、心臓および肝臓)での細胞死;多発性硬化症の脳 での稀突起膠細胞の死;AIDSウイルスの増殖、したがって、AIDS疾患の原因とな るAIDS阻害のT細胞自殺。 本明細書中前記のように、G1あるいはその可能なアイソフォームの1つまた はそれ以上(たとえば、G1βアイソフォーム)は、G1プロテアーゼまたはG1 プロテアーゼアイソフォームの「天然の」インヒビターとして役に立ち得る。し たがって、これらを、これらG1プロテアーゼの前記の特異的なインヒビターと して用いることができる。同様に、ペプチド、有機化合物、抗体などの他の物質 もまた、G1プロテアーゼを阻害し得る特異的な薬物を得るためにスクリーニン グすることができる。 G1プロテアーゼのペプチドインヒビターの設計法およびスクリーニング法に 関する非限定的な例は、ICEプロテアーゼまたはICE様プロテアーゼのペプチドイ ンヒビターに対する以前の研究、ICEの基質特異性、およびペプチド合成を使用 するエピトープ分析に関する戦略に基づく。ICEによるペプチドの効率的な切断 に関する最少の必要条件は、P1位置におけるアスパラギン酸の強い優位性を有し 、メチルアミンがP1位置の右側に は充分でる切断部位の左側に4つのアミノ酸を含むことが見出された(Sleathら 、1990;Howardら、1991;Thornberry、1992)。さらに、Ac-DEVD-AMCと略記さ れる蛍光性の基質ペプチド(テトラペプチド)であるアセチル-Asp-Glu-Val-Asp -a-(4-メチルクマリル-7-アミド)は、FAS-R刺激の直後、ならびに他のアポト ーシスプロセスにおいて細胞内で切断されることが見出されたポリ(ADP-リボー ス)ポリメラーゼ(PARP)内の配列に対応し(Kaufmann、1989;Kaufmannら、19 93;Lazebnikら、1994)、そしてCPP32プロテアーゼ(CED3/ICEプロテアーゼフ ァミリーのメンバー)およびMACHプロテアーゼによって効率的に切断される(同 様に、G1プロテアーゼによってもまた可能である)。 基質のP1位置におけるAspは重要であるようなので、4番目のアミノ酸残基と してAspを有し、はじめの3つの残基位置において様々な組合せのアミノ酸を有 するテトラペプチドを、たとえば、固相支持体上の非常に多くのペプチドが抗体 との特異的な相互作用についてスクリーニングされるGeysenによって開発された 方法(Geysen、1985;Geysenら、1987)を使用して、G1プロテアーゼの活性部 位への結合に関して迅速にスクリーニングすることができる。MACHプロテアーゼ の特定ペプチドへの結合を、G1プロテアーゼの放射標識などの当業者において よく知られている様々な検出法によって検出することができる。Geysenのこの方 法は、1作業日あたり少なくとも4000個のペプチドを試験し得ることが示された 。 CED3/ICEファミリーのプロテアーゼの他のメンバー が関与している生理学的な細胞死プロセスを妨害することなくG1プロテアーゼ を選択的に阻害するペプチドインヒビターを設計することは好都合であり得るの で、前記のアッセイなどのアッセイにおいてG1プロテアーゼに結合するペプチ ドのプール(pool)を、蛍光性の基質ペプチドとしてさらに合成して、他のCED3/ ICEプロテアーゼによって切断されることなく、G1プロテアーゼによる選択的な 切断について試験することができる。ついで、G1プロテアーゼによって選択的 に切断されることが決定されたペプチドを改変して、細胞透過性を増強し、可逆 的または不可逆的のいずれかでG1の細胞死活性を阻害することができる。Thorn berryら(1994)は、テトラペプチド(アシルオキシ)メチルケトンAc-Tyr-Val- Ala-Asp-CH2OC(O)-[2,6-(CF3)2]PhがICEの強力な不活性化因子(inactivator )であることを報告した。Milliganら(1995)は、クロロメチルケトン基(不可 逆的)またはアルデヒド基(可逆的)を有するテトラペプチドインヒビターがIC Eを阻害することを報告した。さらに、ベンジルオキシカルボキシル-Asp-CH2OC( O)-2,6-ジクロロベンゼン(DCB)がICEを阻害することが明らかにされた(Mas himaら、1995)。したがって、G1プロテアーゼに選択的に結合するテトラペプ チドを、たとえば、アルデヒド基、クロロメチルケトン、(アシルオキシ)メチ ルケトン、またはCH2OC(O)-DCB基で修飾して、G1プロテアーゼ活性のペプチド インヒビターを作製することができる。 他のCED3/ICEプロテアーゼの特定のインヒビターには細胞透過性のものがあ るが、ペプチドインヒビター の細胞透過性を増強することが必要であり得る。たとえば、ペプチドを化学的に 修飾するかまたは誘導体化して、細胞膜を通過するそれらの透過性を増強するこ とができ、そして細胞膜を通過して細胞質内へのそのようなペプチドの輸送を容 易にすることができる。Muranishiら(1991)は、細胞膜を横断する良好な貫通 特性を有する親油性ラウロイル誘導体を形成するためにラウリン酸で甲状腺刺激 ホルモン放出ホルモンを誘導体化することを報告した。Zachariaら(1991)はま た、細胞膜を通過するペプチド輸送を容易にするために、メチオニンのスルホキ シドへの酸化およびペプチド結合のそのケトメチレンイソエステル(COCH2)に よる置換を報告した。これらは、当業者において充分に知られている改変および 誘導体化のまさにそのものである。 さらに、G1またはその可能なアイソフォームの細胞死活性を阻害し得る薬物 またはペプチドインヒビターは、細胞内への進入を容易にする分子との抱合体ま たは複合体を形成させることができる。 米国特許第5,149,782号は、融合性(fusogenic)ポリペプチド、イオンチャン ネル形成ポリペプチド、他の膜ポリペプチド、および長鎖脂肪酸、たとえば、ミ リスチン酸、パルミチン酸などの膜混合剤を用いて、細胞膜を通過して輸送され 得る分子を抱合体化することを開示する。これら膜混合剤は、分子抱合体を細胞 膜の脂質二重層の中に挿入させ、細胞質内へのそれら進入を容易にする。 ロウ(Low)らの米国特許第5,108,921号は、レセプターがメディエートするエ ンドサイトーシス活性の機 構による、タンパク質および核酸など、しかしそれらに限定されないが、それら の分子の膜貫通送達に関する利用可能な方法を概説している。これらレセプター 系には、ガラクトース、マンノース、マンノース6-リン酸、トランスフェリン 、アシアロ糖タンパク質、トランスコバラミン(ビタミンB12)、α-2マクログ ロブリン、インスリン、および上皮成長因子(EGF)などの他のペプチド成長因 子を認識するものが含まれる。ロウ(Low)らは、ビオチンおよび葉酸のレセプ ターなどの栄養レセプターを使用して、大部分の細胞の膜表面におけるビオチン レセプターおよび葉酸レセプターの位置および多様性、ならびに結合したレセプ ターがメディエートする膜貫通輸送プロセスのために、細胞膜を横断する輸送を 増強することは好都合であり得ることを教示する。したがって、細胞質内に送達 され得る化合物と、ビオチンまたは葉酸などのリガンドとの間で形成される複合 体は、ビオチンレセプターまたは葉酸レセプターを有する細胞膜と接触して、レ セプターがメディエートする膜貫通輸送機構を開始させて、それによって所望の 化合物の細胞内への進入を可能にする。 ICEは、P2位置での自由な置換に耐える(tolerate)能力を有することが知ら れている。自由な置換に対するこのような耐性を利用して、ビオチン標識を含有 する強力で選択性の高いアフィニティー標識が開発された(Thornberryら、1994 )。したがって、P2位置、ならびにおそらくはテトラペプチドインヒビターのN 末端を、ビオチン分子の付加などにより修飾または誘導 体化をし、細胞膜を横断するこれらペプチドインヒビターの透過性を増強させる ことができる。 さらに、所望のペプチド配列をリーダー/シグナルペプチド配列と融合させて 「キメラペプチド」を作製することによって、そのような「キメラペプチド」は 、細胞膜を横断して細胞質内への輸送が可能になることがこの分野で知られてい る。 ペプチド分野の当業者によってよく理解されているように、本発明によるG1 タンパク質分解活性のペプチドインヒビターには、ペプチドミメティックス薬( peptidomimetic drugs)またはインヒビターが含まれるものとする。これらはま た、おそらくより安定的であるインヒビターを設計するために、G1プロテアー ゼに対する結合について迅速にスクリーニングすることができる。 細胞膜を横断するペプチドインヒビターの輸送を容易にするかまたは増強する ための前記と同じ手段もまた、G1またはそのアイソフォーム自体、ならびに細 胞内でそれらの作用を発揮する他のペプチドおよびタンパク質に適用可能である こともまた理解される。 本明細書中を通して記載されている抗体に関して、用語「抗体」は、ポリクロ ーナル抗体、モノクローナル抗体(mAb)、キメラ抗体、可溶形態または結合形 態で標識することができる抗体に対する抗イディオ型(抗Id)抗体、ならびに酵 素消化、ペプチド合成または組換え技法など、しかし、これらに限定されないが 、それらの知られている技法のいずれかによって提供されるそれらのフラグメン トを含むことを意味する。 ポリクローナル抗体は、抗原で免疫化された動物の血清由来の抗体分子の不均 一な集団(populations)である。モノクローナル抗体は、抗原に特異的な抗体 の実質的に均一な集団を含有し、その集団は実質的に類似するエピトープ結合部 位を含有する。mAbは当業者に知られている方法によって得ることができる。た とえば、KohlerとMilstein、Nature、256:495-497(1975);米国特許第4,376,11 0号;Ausubelら編、HarlowとLane ANTIBODIES:A LABORATORY MANUAL、Cold Spr ing Harbor Laboratory(1988);およびColliganら編、Current Protocols in Imm unology、Greene Publishing Assoc.およびWiley Intersciece、N.Y.(1992-19 96)。それら参照文献の内容は参考として本明細書中に全体が援用される。その ような抗体は、免疫グロブリンの任意のクラスであることが可能であり、それに はIgG、IgM、IgE、IgA、GILDおよびそのいずれかのサブクラスが含まれる。本発 明のmAbを産生するハイブリドーマを、インビトロ、インサイチュウまたはイン ビボで培養することができる。インビボまたはインサイチュウにおける高力価mA bの産生は、現時点での好ましい産生方法である。 キメラ抗体は、その異なる部分が異なる動物種に由来する分子であり、マウス mAbに由来する可変領域およびヒトの免疫グロブリンの定常領域を有する抗体な どである。キメラ抗体は、適用時の免疫原性を減らして、産生量を増大させるた めに主に使用される。たとえば、マウスmAbが、ハイブリドーマからより大きな 収量で得られるが、ヒトにおいてより大きな免疫原性を有する場合には、ヒト/ マウスのキメラmAbが使用 される。キメラ抗体およびそれらの作製方法はこの分野で知られている(Cabilly ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:3273-3277(1984);Morrisonら、Proc.Natl.Acad .Sci.USA 81:6851-6855(1984);Boulianneら、Nature 312:643-646(1984);Cab illyら、欧州特許出願第125023号(1984年11月14日公開);Neubergerら、Nature 314:268-270(1985);Taniguchiら、欧州特許出願第171496号(1985年2月19日 公開);Morrisonら、欧州特許出願第173494号(1986年3月5日公開);Neuber gerら、PCT出願WO 8601533(1986年3月13日公開);Kudoら、欧州特許出願第18 4187号(1986年6月11日公開);Sahaganら、J.Immunol.137:1066-1074(1986):Rob insonら、国際特許出願第WO 8702671号(1987年5月7日公開);Liuら、Proc. Natl.Acad.Sci.USA84:3439-3443(1987);Sunら、Proc.Natl.Acad.Sci.US A 84:214-218(1987);Betterら、Science 240:1041-1043(1988);ならびに、Ha rlowおよびLane、ANTIBODIES:A LABORATORY MANUAL(前記)。これらの参照文 献は参考として本明細書中に全体が援用される。 抗イディオ型(抗Id)抗体は、抗体の抗原結合部位と一般に結合する独特な決 定基を認識する抗体である。Id抗体は、mAbこれに対して抗Idが調製されている のであるが、その供給源と同じ種および遺伝子型の動物(たとえば、マウス株) を免疫化することによって調製することができる。免疫化された動物は、これら イディオ型決定基に対する抗体(抗Id抗体)が産生されることによって免疫化抗 体のイディオ型決定基を認識して、これに応答するであろう。たとえば、米国特 許 第4,699,880号を参照のこと。これは参考として本明細書中に全体が援用される 。 抗Id抗体はまた、いわゆる、抗−抗Id抗体を産生するさらに別の動物における 免疫応答を誘導するための「免疫原」として使用することができる。抗−抗Id抗 体は、抗Idを誘導したオリジナルのmAbとエピトープ的に同一であり得る。した がって、mAbのイディオ型決定基に対する抗体を使用することによって、同一特 異性の抗体を発現する他のクローンを同定することができる。 したがって、本発明のG1タンパク質、そのアナログ、フラグメントまたは誘 導体に対して惹起されたmAbを使用して、BALB/cマウスなどの適切な動物におい て抗Id抗体を誘導することができる。免疫化されたそのようなマウスから得られ た牌臓細胞を使用して、抗Id mAbを分泌する抗Idハイブリドーマを作製すること ができる。さらに、抗Id mAbを、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)な どの担体に結合させることができ、さらにBALB/cマウスを免疫化するために使用 することができる。これらマウス由来の血清は、前記のG1タンパク質あるいは そのアナログ、フラグメントまたは誘導体のエピトープに特異的なオリジナルの mAbの結合特性を有する抗−抗Id抗体を含有するであろう。 したがって、抗Id mAbは、それら自身のイディオ型エピトープ、またはGRBタ ンパク質-aなどの評価されているエピトープに構造的に類似した「イディオトー プ」を有する。 用語「抗体」には、インタクト(intact)な分子、な らびに、たとえば、抗原を結合し得るFabおよびF(ab')2などのそのフラグメン トの両方が含まれることもまた意味する。FabフラグメントおよびF(ab')2フラ グメントは、インタクトな抗体のFcフラグメントを欠き、循環からより迅速に排 除され、インタクトな抗体よりも小さな非特異的な組織結合を有し得る(Wahlら 、J.Nucl.Med.24:316-325(1983))。 本発明において有用な抗体のFabおよびF(ab')2ならびに他のフラグメントは 、インタクトな抗体分子に関して本明細書中に開示されている方法にしたがって 、G1タンパク質の検出および定量化のために使用することができると理解され るであろう。そのようなフラグメントは、典型的には、(Fabフラグメントを作 製するための)パパインまたは(F(ab')2フラグメントを作製するための)ペプ シンなどの酵素を使用するタンパク質分解切断によって作製される。 抗体は、それが分子と特異的に反応して、それによってその分子を抗体に結合 し得る場合に、「分子を結合し得る」と言われる。用語「エピトープ」は、抗体 が結合し得る任意の分子のそのような部分で、そのような抗体によってもまた認 識され得る部分を示すことを意味する。エピトープまたは「抗原性決定基」は、 通常、アミノ酸または糖側鎖などの分子の化学的に活性な表面集団からなり、特 異的な三次元構造特徴ならびに特異的な電荷特徴を有する。 「抗原」は、そのような抗原のエピトープに結合し得る抗体を動物にさらに産 生させ得る抗体が結合し得る分子または分子の部分である。抗原は、1つまたは 2つ以上のエピトープを有し得る。前記の特異的反応は、抗原が、選択性の高い 様式で、その対応する抗体と反応するが、他の抗原により惹起され得る多数の他 の抗体とは反応しないことを示すことを意味する。 本発明において有用な抗体、それは抗体のフラグメントを含み、それらは、サ ンプル中のG1タンパク質を定性的または定量的に検出するために、あるいは本 発明のG1タンパク質を発現する細胞の存在を検出するために使用することがで きる。これは、光学顕微鏡検出、フローサイトメトリー検出または蛍光測定検出 と組み合わせた蛍光標識抗体(下記参照)を用いる免疫蛍光技法によって達成す ることができる。 本発明において有用な抗体(またはそのフラグメント)は、本発明のG1タン パク質をインサイチュウで検出するために、免疫蛍光顕微鏡または免疫電子顕微 鏡の場合のように組織学的に用いることができる。インサイチュウで検出は、患 者から組織学的標本を取り出し、本発明の標識抗体をそのような標本に提供する ことによって達成することができる。抗体(またはフラグメント)は、好ましく は、標識抗体(またはフラグメント)を生物学的サンプルに塗布または重層する ことによって提供される。そのような手順の使用によって、G1タンパク質の存 在だけでなく、試験組織におけるその分布を決定することも可能である。本発明 を使用して、当業者は、(染色手順などの)広範囲の様々な組織学的方法のいず れかを、そのようなインサイチュウで検出を行うために改変し得ることを容易に 理解する。 本発明のG1タンパク質に関するそのようなアッセイは、典型的には、生物学 的体液、組織抽出物、リンパ球または白血球などの新しく採取した細胞、あるい は組織培養でインキュベートされている細胞などの生物学的サンプルを、G1タ ンパク質を同定し得る検出可能な標識抗体の存在下でインキュベートすること、 およびこの分野で充分に知られている多数の技法のいずれかによってその抗体を 検出することからなる。 生物学的サンプルは、ニトロセルロースなどの固相支持体または担体で、ある いは細胞、細胞粒子または可溶性タンパク質を固定化し得る他の固体支持体また は担体で処理することができる。ついで、支持体または担体は、適切な緩衝液で 洗浄され、その後、前記の本発明にしたがう検出可能な標識抗体で処理すること ができる。ついで、固相支持体または担体を緩衝液で2回洗浄して、未結合抗体 を除去することができる。ついで、前記の固体支持体または担体上に結合した標 識の量を、従来の手段によって検出することができる。 「固相支持体」、「固相担体」、「固体支持体」、「固体担体」、「支持体」 または「担体」によって、抗原または抗体を結合し得る任意の支持体または担体 が意図される。よく知られている支持体または担体には、ガラス、ポリスチレン 、ポリプロピレン、ポリエチレン、デキストラン、ナイロンアミラーゼ、天然セ ルロースおよび修飾セルロース、ポリアクリルアミド、ガブロス(gabbros)お よびマグネタイトが含まれる。担体の性質は、本発明の目的のためには、ある程 度可溶性であり得るかあるいは不溶性であり得る。支持体 物は、実際には、結合分子が抗原または抗体に結合し得る限り、任意の可能な構 造的形状を有し得る。したがって、支持体または担体の形状は、ビーズの場合の ような球状であるか、または試験管内面または棒の外面の場合のような円柱状で ありうる。あるいは、その表面は、シート、試験紙などのように平坦であり得る 。好ましい支持体または担体には、ポリスチレンビーズが含まれる。当業者は、 抗体または抗原の結合に適切な多くの他の担体を知っているか、または日常的な 実験での使用によってこれらを確認し得る。 前記の本発明の抗体のあるロットの結合活性は、よく知られている方法にした がって測定することができるであろう。当業者は、日常的な実験を用いることに よって、それぞれの測定に関して適切で最適なアッセイ条件を決定することがで きるであろう。 洗浄、攪拌、振盪、ろ過などの他の工程を、特定の状況について慣用的である か、あるいは必要とされているように、アッセイに加えることができる。 本発明による抗体を検出可能に標識し得る方法の1つは、抗体を酵素に結合す ることによって行われ、酵素免疫アッセイ(EIA)において使用される。ついで 、この酵素は、その後適切な基質に曝されたときに、たとえば、分光光度法的手 段、蛍光光度法的手段または視覚的手段によって検出され得る化学物質が産生さ れるような様式で基質と反応する。検出可能な標識を行うために使用することが できる酵素には、下記の酵素が含まれるが、これらに限定されない。マレイン酸 デヒドロゲナーゼ、ブドウ球菌ヌクレアーゼ、δ-5-ステ ロイドイソメラーゼ、酵母アルコールデヒドロゲナーゼ、α-グリセロリン酸デ ヒドロゲナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ 、アルカリホスファターゼ、アスパラギナーゼ、グルコースオキシダーゼ、β- ガラクトシダーゼ、リボヌクレアーゼ、ウレアーゼ、カタラーゼ、グルコース- 6-リン酸デヒドロゲナーゼ、グルコアミラーゼ、およびアセチルコリンエステ ラーゼ。検出は、酵素の発色性基質を用いる比色法によって達成することができ る。検出はまた、同じように調製した標準と比較して、基質の酵素反応の程度を 視覚的に比較することによって達成することができる。 検出は、様々な他の免疫アッセイのいずれかによって達成することができる。 たとえば、抗体または抗体フラグメントを放射能標識することによって、R-PTPa seを、ラジオイムアッセイ(RIA)の使用によって検出することができる。RIAの適 切な説明は、ワーク ティー エス(Work,T.S.)らによるLaboratory Techniq ues and Biochemistry in Molecular Biology(North Holland Publishing Company,NY(1978))に見出すことができ、とくに、チャード ティー(Chard, T.)による「An Introduction to Radioimmune Assay and Related Tech niques」と題される章を参照すること。そして、これは参考として本明細書中に 援用される。放射性同位元素は、gカウンターまたはシンチレーションカウンタ ーを使用するような手段によって、あるいはオートラジオグラフィーによって検 出することができる。 本発明による抗体を蛍光性化合物で標識することも または可能である。蛍光標識された抗体をその適切な波長の光に曝したときに、 蛍光により、その存在を検出することができる。最も一般的に使用される蛍光標 識化合物は、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、フィコエリトリ ン、ピコシアニン、アロフィコシアニン、o-フタルアルデヒドおよびフルオレ スカミンである。 抗体はまた、152Eまたはランタニド系列の他の金属などの蛍光放出金属を使 用して検出可能に標識することができる。これら金属は、ジエチレントリアミン 五酢酸(ETPA)などの金属キレート基を使用して抗体に結合させることができる 。 抗体はまた、化学発光化合物に結合させることによって検出可能に標識するこ とができる。ついで、化学発光標識された抗体の存在は、化学反応の途中で生成 する発光の存在を検出することによって測定される。とくに有用な化学発光標識 化合物の例は、ルミノール、イソルミノール、テロマチック(theromatic)アク リジニウムエステル、イミダゾール、アクリジニウム塩およびシュウ酸エステル である。 同様に、生物発光化合物を使用して本発明の抗体を標識することができる。生 物発光は、触媒活性タンパク質が化学発光反応の効率を増大させる生物学系で見 出される一種の化学発光である。生物発光タンパク質の存在は、発光の存在を検 出することによって測定される。標識のための重要な生物発光化合物は、ルシフ ェリン、ルシフェラーゼおよびエクオリンである。 本発明の抗体分子は、「ツーサイト」アッセイまた は「サンドイッチ」アッセイとしても知られている免疫測定アッセイにおいて利 用するために適合させることができる。代表的な免疫測定アッセイにおいては、 一定量の未標識抗体(または抗体フラグメント)を固体支持体または担体に結合 させ、一定量の検出可能な可溶性の標識抗体を添加して、固相抗体、抗原および 標識抗体の間で形成される三元複合体の検出および/または定量が行われること を可能にする。 典型的で好ましい免疫測定アッセイには、固相に結合した抗体を最初に試験サ ンプルと接触させて、固相抗体−抗原の二元複合体形成によってサンプルから抗 原を抽出する「フォワード」アッセイが含まれる。適切な時間のインキュベーシ ョンを行った後に、固体支持体または担体を洗浄して、もし存在しているならば 、未反応抗原を含む体液サンプルの残渣を除き、ついで未知量の標識抗体(これ は「レポーター分子」として機能する)を含有する溶液と接触させる。標識抗体 が、未標識抗体を介して固体支持体または担体に結合した抗原との複合体を形成 し得る第2のインキュベーションを行った後に、固体支持体または担体を2回洗 浄して、未反応の標識抗体を除く。 別のタイプの「サンドイッチ」アッセイにおいて、これもまた本発明の抗原と ともに有用であり得るが、いわゆる、「同時」アッセイおよび「リバース」アッ セイが使用される。同時アッセイは、固体支持体または担体に結合した抗体およ び標識抗体がともに試験サンプルに同時に加えられるように、単一のインキュベ ーション段階を含む。インキュベーションが終了した 後に、固体支持体または担体を洗浄して、体液サンプルおよび複合体を形成しな かった標識抗体を除く。ついで、固体支持体または担体と会合した標識抗体の存 在を、従来の「フォワード」サンドイッチアッセイの場合のように測定する。 「リバース」アッセイにおいては、最初に、標識抗体の溶液を体液サンプルに 徐々に添加し、その後、適切な時間のインキュベーションを行った後に、固体支 持体または担体に結合した未標識抗体が添加される。第2のインキュベーション を行った後に、固相を従来様式で洗浄して、試験サンプルの残渣および反応しな かった標識抗体の溶液を除く。ついで、固体支持体または担体に結合した標識抗 体の測定を、「同時」アッセイおよび「フォワード」アッセイの場合のように行 う。 本発明のG1タンパク質は、標準的な組換えDNA手順によって作製することがで きる(たとえば、Sambrookら、1989およびAnsabelら、1987-1995、上記参照)。 この場合、この分野で充分に知られている適切な真核生物または原核生物の宿主 細胞が、タンパク質をコードする配列を含有する適当な真核生物ベクターまたは 原核生物ベクターによって形質転換される。したがって、本発明はまた、本発明 のタンパク質を作製するためのそのような発現ベクターおよび形質転換宿主に関 する。前記のように、これらタンパク質には、それらの生物学的に活性なアナロ グ、フラグメントおよび誘導体も含まれ、したがって、それらをコードするべク ターには、これらタンパク質のアナログおよびフラグ メントをコードするベクターも含まれ、形質転換宿主には、そのようなアナログ およびフラグメントを産生する宿主が含まれる。形質転換宿主によって産生され るこれらタンパク質の誘導体は、タンパク質あるいはそれらのアナログまたはフ ラグメントの標準的な改変によって作製される誘導体である。 本発明はまた、G1タンパク質をコードする組換え動物ウイルスベクターから なる医薬組成物に関する。そのようなベクターはまた、細胞内にG1タンパク質 配列を挿入させために特定の標的細胞(たとえば、ガン細胞)の表面タンパク質 を結合し得るウイルス表面タンパク質をコードする。さらに、本発明の医薬組成 物は、活性成分として、(a)G1タンパク質配列のアンチセンス配列をコードする オリゴヌクレオチド、または(b)G1またはそのアイソフォームのタンパク質分解 活性を阻止する薬物からなる。 本発明による医薬組成物は、その意図する目的を達成するために充分な量の活 性成分を含む。さらに、医薬組成物は、当業者に充分に知られているように、賦 形剤および補助剤からなる薬学的に許容されうる適切な担体を含有することがで き、そのような賦形剤および補助剤は、製剤への活性化合物の加工を容易にし、 薬学的に使用することができ、それを必要とする患者に投与するためのそのよう な製剤を安定化し得る。 G1タンパク質およびそのアイソフォームまたはアイソタイプは、異なる組織 で、著しく異なるレベルで、そして前記の共に所有し、共に係属中の特許出願に おいて示されているMACHタンパク質およびその様々な アイソタイプの発現に類似する様式で明らかに異なるパターンのアイソタイプを 伴って発現していることが考えられる。これらの違いは、おそらくは、Fas/APO 1リガンドおよびTNFに対する応答の組織特異的な特徴に寄与し得る。他のCED3 /ICEホモログの場合(Wangら、1994;Alnemriら、1995)のように、本発明者ら は、不完全なCED3/ICE領域を含有するMACHアイソフォーム(たとえば、MACHα 3)が、同時に発現したMACHα1分子またはMACHα2分子の活性に対する阻害作 用を有することを見出したことを以前に(上記の特許出願において)明らかにして いる:それらはまた、Fas/APO1およびp55-Rによる死の誘導を阻止することが見 出されている。細胞におけるそのような阻害性アイソフォームの発現は、Fas/AP O1およびTNFがメディエートする細胞傷害性に対する細胞の自己防御機構を構成 し得る。したがって、少なくともいくつかのG1アイソフォームの類似する阻害 性作用が考えられる。MACHアイソフォームの広い不均一性、および同様にG1ア イソフォームの考えられる広い不均一性は、CED3/ICEファミリーの他のプロテ アーゼのいずれかについて観測される不均一性を大きく上回り、活性なMACHアイ ソフォーム、そして類似により、さらに本発明によるG1アイソフォームの機能 のとくに細かい調整を可能にする。 いくつかの可能なG1アイソフォームが他の機能を示すこともまたは可能であ る。たとえば、MORT1およびMACHα1の両方に結合するMACHβ1の以前に見出さ れた能力(前記の本発明者ら)によって、このアイソフォームは、実際に、酵素 的に活性なアイソフォーム の活性を増強し得ることが示唆されている。このアイソフォームでトランスフェ トされた293-EBNA培養物およびMCF7培養物において観測される穏やかな細胞傷 害性、およびそれがヒーラ細胞において示すかなり顕著な細胞傷害性作用は、ト ランスフェクトされたMACHβ1分子への結合時に、内因的に発現したMACHa分子 の活性化を反映しているようである。MACHアイソフォームのいくつかはまた、Fa s/APO1およびTNFレセプターの細胞傷害性でない他の作用に関与している分子の ドッキング部位として作用し得るであろう。したがって、類似した様式で、G1 および/またはそのアイソフォームはまた、そのような増強活性を有し得るか、 または他のそのような分子のドッキング部位として作用し得る。 Fas/APO1およびTNFレセプターが細胞死、これらのレセプターの機能における 異常を引き起こす独特な能力、ならびにTNFレセプターが他の組織損傷活性の引 き起こし能力は、生物にはとくに有害であり得る。実際、これらのレセプターの 過度な機能発現および不充分な機能発現はともに、様々な疾患の病理的発現に寄 与していることが明らかにされている(Vassalli、1992;NagataおよびGolstein 、1995)。レセプターのシグナリング活性に参加する分予の同定およびこれら分 子の活性をモジュレートする方法の発見は、新しい治療法を導き得る。Fas/APO 1がメディエートする毒性およびTNFがメディエートする毒性におけるG1の考え られる中心的役割を考慮して、CED3/ICEファミリーの他のタンパク質のいくつ かについて行われたように、G1の可 能なタンパク質分解機能を阻止し得る薬物を設計することはとくに重要であるよ うである(Thornberryら、1994;Milerら、1995;Mashimaら、1995;Milliganら 、1995;Enariら、1995;Losら、1995)。G1分子内に明らかに存在しているCED 3/ICEホモログの独特な配列特徴は、その活性に特異的に影響を与える薬物の設 計を可能にし得る。そのような薬物により、CED3/ICEファミリーの他のメンバ ーが関与している生理学的な細胞死プロセスを妨害することなく、G1を含む過 度な免疫によりメディエートされる細胞傷害性から保護され得る。 本発明の他の面は下記の実施例から明らかとなるであろう。 次に、本発明を、下記の非限定的な実施例および添付する図面においてより詳 細に説明する。 下記の手順は、本発明のG1およびその可能なアイソフォームの対応する単離 、クローニングおよび特徴づけに(いくらかの改変を伴って)等しく適用可能で あることにもまた注意しなければならない: (i)ツーハイブリッドスクリーニングおよびツーハイブリッドβ−ガラクトシダ ーゼ発現試験;(ii)タンパク質の誘導発現、代謝的標識および免疫沈降;(iii) インビトロでの結合;(iv)細胞傷害性の評価;および(v)それぞれ、MORT-1およ びMORT-1結合タンパク質(たとえば、MACH)に関する、下記の参考例1(Boldi nら、1995bもまた参照のこと)、2および3(Boldinら、1996もまた参照のこと )に示されるノーザン分析および配列分析。したがって、これらの手順は、下記 の実施例 1に詳しく記載されるように、本発明によるG1の単離、クローニングおよび特 徴づけのために使用される同じ手順の完全な開示と解釈される。(下記の参考例 1〜3はまた、共に所有し、共に係属中のイスラエル国出願第114,615号、同第1 14,986号、同第115,319号、同第116,588号および同第117,932号、ならびに対応 するPCT出願第PCT/US96/10521号において同一または等しい形で存在する)。さ らに、「図面の簡単な説明」と題する前記の節において、本発明にしたがって実 施される実験手順のいくつかの詳細が示されている。これらは、本発明の完全な 開示に関して下記の実施例1の一部を形成し、したがって、実施例1の開示とと もに考慮しなければならない。参考例1:FAS-Rの細胞内ドメインに結合するMORT-1タンパク質のクローニング と単離 (i)ツーハイブリッドスクリーニングおよびツーハイブリッドβ−ガラクトシダ ーゼ発現試験 FAS-Rの細胞内ドメインと相互作用するタンパク質を単離するために、酵母ツ ーハイブリッドシステムを使用した(FieldsとSong、1989)。すなわち、このツ ーハイブリッドシステムはGAL4のような真核生物の転写活性化因子の再生によ りインビボで特異的なタンパク質−タンパク質の相互作用を検出するための酵母 をベースとした遺伝学的なアッセイである。GAL4は2つの別個のドメイン、DNA 結合ドメインと活性化ドメインをもっており、それらが発現し互いに結合して再 生GAL4タンパク 質を形成し、それはlacZまたはHIS3のようなレポーター遺伝子の発現を制御す るプロモーターを順に活性化する上流活性化配列に結合することができる。該レ ポーター遺伝子の発現は培養細胞において容易に観察される。このシステムにお いては、候補である相互作用するタンパク質の遺伝子が別個の発現ベクターにク ローン化される。1つの発現ベクターにおいて、1つの候補タンパク質の配列が GAL4 DNA結合ドメインの配列と同位相で(inphase)クローン化され、GAL4 DNA 結合ドメインとのハイブリッドタンパク質を生じ、そして、もう1つのベクター において、第2の候補タンパク質の配列がGAL4活性化ドメインの配列と同位相 でクローン化され、GAL4活性化ドメインとのハイブリッドタンパク質を生ずる 。ついで、その2つのハイブリッドベクターで、上流GAL4結合部位の制御下に あるlacZまたはHIS3レポーター遺伝子を有する酵母宿主菌株をコトランスフォ ーメーションする。2つのハイブリッドタンパク質が発現し、互いに相互作用す ることができる、それら形質転換した宿主細胞(コトランスフォーマント(cotra nsformants))だけがレポーター遺伝子を発現することができるであろう。lacZ レポーター遺伝子の場合、この遺伝子を発現する宿主細胞は、X-galを培地に加 えたときに青色になるであろう。それゆえ、青いコロニーは、2つのクローン化 された候補タンパク質が互いに相互作用できるという事実を示す。 このツーハイブリッドシステムを使って、GAL4 DNA結合ドメインとの融合タ ンパク質を形成するために、細胞内ドメインであるFAS-ICをベクターpGBT9(GAL 4 DNA 結合配列を保持する。クロンテック、アメリカ。以下参照。)に別々にクローン 化した。pGBT9へのFAS-Rのクローニングのために、FAS-Rの全長のcDNA配列をコ ードするクローン(WO 9531544)を用いた。そして、それから種々の制限酵素を 使って標準的な方法で細胞内ドメイン(IC)を切り出し、ついで標準的な方法で 単離してpGBT9ベクターに挿入し、対応する適した制限酵素によりマルチプルク ローニングサイト領域(MCS)において開裂した。FAS-ICはインタクト(intact )なFAS-Rのアミノ酸残基175から319にわたっており、この部分はpGBT9ベクタ ーに挿入されるFAS-ICで残基175から319を含むことに注意するべきである。 ついで、前記ハイブリッド(キメラの)ベクターを、GAL4活性化ドメインを 有するpGAD GHベクターにクローン化したヒトヒーラ細胞由来のcDNAライブラリ ーと共にHF7c酵母宿主菌株にコトランスフェクトした(全ての前記ベクター、p GBT9およびヒーラ細胞cDNAライブラリーを保持するpGAD GH、および酵母菌株は マッチメーカー ツーハイブリッドシステム(MATCHMAKER Two-Hybrid System) 、#PT1265-1の一部として、クロンテック ラボラトリーズ、インク、アメリカ 、から購入した)。コトランスフェクトした酵母をヒスチジン欠損培地(His-培 地)において成長するそれらの能力により選抜した。コロニーの成長はポジティ ブな形質転換体であることを示す。ついで、選抜した酵母のクローンを、lacZ遺 伝子を発現するそれらの能力、すなわち、それらのLACZ活性について試験した。 そしてこれは、X-galを培養培地に添加することにより行われ、それは代謝され て、lacZ 遺伝子によりコードされる酵素であるβ−ガラクトシダーゼにより青色の生成物 を生成する。それゆえ、青いコロニーは活性なlacZ遺伝子を示す。lacZ遺伝子の 活性のためには、形質転換されたクローンにおいて活性な形でGAL4転写活性化 因子が存在することが必要であり、すなわち、前記ハイブリッドベクターにより コードされるGAL4 DNA結合ドメインが、もう一方のハイブリッドベクターによ りコードされるGAL4活性化ドメインと適切に結合することが必要である。その ような組合わせは、GAL4ドメインの各々に融合した2つのタンパク質が、互い に安定に相互作用(結合)できる場合にのみ可能である。このように、単離され たHis+かつ青色(LACZ+)のコロニーは、FAS-ICをコードするベクターと、FAS-I Cに安定に結合することができるヒトヒーラ細胞由来のタンパク質産物をコード するベクターとでコトランスフェクトされたコロニーである。 前記His+、LACZ+の酵母のコロニーに由来するプラスミドDNAを単離し、そして 標準的な方法で大腸菌HB101菌株にエレクトロポレートして、Leu+かつアンピシ リン耐性の形質転換体の選抜を行った。これらの形質転換体は、AmpRとLeu2の 両方をコードする配列をもつハイブリッドpGAD GHベクターを保持するものであ る。それゆえ、そのような形質転換体は、FAS-ICに結合することができる新規に 同定されたタンパク質をコードする配列を保持するクローンである。ついで、プ ラスミドDNAを、これらの形質転換した大腸菌から単離し、以下により再試験し た: (a)前記したようにして、オリジナルのFAS-R細胞内ド メインのハイブリッドプラスミド(FAS-ICを保持するハイブリッドpGTB9)を用い て、それらにより酵母HF7菌株を再形質転換する。コントロールとして、関連の ないタンパク質をコードする配列を保持するベクター、たとえばpACT−ラミンま たはpGBT9のみを、FAS-IC結合タンパク質(すなわち、MORT-1)をコードする プラスミドとコトランスフォーメーションに使用した。ついで、コトランスフォ ームした酵母を、His-培地のみ、または、異なる濃度の3−アミノトリアゾール の存在において、成長について試験した;そして、 (b)(a)に記載の、前記プラスミドDNA、オリジナルのFAS-ICハイブリッドプラ スミドおよびコントロールのプラスミドにより酵母宿主細胞であるSFY526菌株を 再形質転換し、LACZ+活性(β-gal形成の有効性、すなわち、青色形成)を測定 した。 前記試験の結果により、His-培地におけるコロニーの成長パターンは、コロニ ーの色により評価するLACZ活性のパターンと同一であることが明らかとなった。 すなわち、His+コロニーはLACZ+でもあった。さらに、液体培地(好ましい培養 条件)におけるLACZ活性を、GAL4 DNA結合ドメインと活性化ドメインとのハイ ブリッドを、GAL4転写活性化因子をもつと共に、HF7酵母宿主細胞のそれよりも よいLACZ誘導性を示すSFY526酵母宿主にトランスフェクションしたあと評価した 。 前記方法を用いて、以前にはHF1と呼ばれ、そして今「レセプター誘導性毒性 メデイエーター(Mediator)」であるMORT-1と称されるタンパク質を同定し、単 離し、そして特徴を明らかにした。 さらに、多くの前記ツーハイブリッドβ−ガラクトシダーゼ発現試験において 、β−ガラクトシダーゼの発現を好ましいフィルターアッセイによっても評価し たこともまた言及すべきである。スクリーニングにおいて、5つの約3×106のc DNAが、MORT-1インサートを含んでいることが明らかとなった。ついで、そのよ うに単離されたクローン化したMORT-1 cDNAインサートを、標準的なDNAシーク エンシング法を使って配列分析した。MORT-1のアミノ酸配列をそのDNA配列から 推定した(MORT-1 DNAおよびアミノ酸配列に関しては、共に所有し、共に係属 中のイスラエル出願番号112,022、112,692、および114,615、そしてそれらに対 応するPCT出願番号WO96/18641を参照のこと)。cDNAインサートによりコードさ れるタンパク質における残基の番号付けは、スイス−プロットデータバンクにお けるのと同様である。欠失変異体をPCRにより作製し、オリゴヌクレオチド特異 的変異誘発(oligonucleotide-directed mutagenesis)により点変異体を作製し た(Current Protocols in Molec.Biol.、1994)。 (ii)タンパク質の発現誘導、代謝標識および免疫沈降 MORT-1、FLAGオクタペプチドにNリンク(N-linked)したもの(FLAG-MORT- 1;イーストマンコダック、ニューヘブン、コネチカット州、アメリカ)、Fas- IC、FAS-R、p55-R、FAS-Rの膜貫通および細胞内ドメイン(アミノ酸153-319)に 融合したp55-Rの細胞外ドメイン(アミノ酸1-168)からなるキメラ、およびコン トロールとして働くルシフェラーゼcDNAを、ヒーラ細胞中で発現 させた。発現を、テトラサイタリンで制御されるトランスアクチベーター(Gosse nとBujard、1992;また、Boldinらを参照のこと)を発現するヒーラ細胞クローン( HtTA-1)中でテトラサイクリンで制御される発現ベクターを使って実施した。[3 5 S]メチオニンおよび[35S]システイン(デュポン、ウィルミントン、デラウェ ア州、アメリカおよびアマシャム、バッキンガムシャー、イギリス)による代謝 標識をトランスフェクションのち18時間実施し、メチオニンおよびシステインを 欠くが2%の透析したウシ胎児血清を添加したダルベッコ改変イーグル培地にお いてさらに4時間、37℃でインキュベーションした。ついで、細胞をRIPA緩衝液 (10mM Tris-HCl、pH7.5、150mM NaCl、1%NP-40、1%デオキシコレート、0.1% SDSおよび1mM EDTA)中で溶解し、溶解物を、関連のないウサギ抗血清(3μl /ml)およびプロテインGセファロースビーズ(Protein G Sepharose beads) (ファルマシア、ウプサラ、スウェーデン;60μl/ml)と共にインキュベーシ ョンすることにより前清澄した。免疫沈降を、FLAGオクタペプチド(M2;イー ストマンコダック)、p55-R(#18および#20;エンゲルマン(Engelmann)ら、1990 年)、またはFAS-R(ZB4;カミヤ サウザンド オークス、カリフォルニア州 、アメリカ)に対するマウスモノクローナル抗体(5μl/aliquot)と共に、あ るいはコントロールとしてマウス抗体にマッチするアイソタイプと共に、0.3ml ずつの溶解物を4℃で1時間インキュベーションすることにより実施し、プロテ インGセファロースビーズ(30μl/aliquot)と共にさらに1時間インキュベー ションした。 (iii)インビトロでの結合 野生型または変異させたFas-ICとのグルタチオンS−トランスフェラーゼ(GS T)融合物を作成し、グルタチオン−アガロースビーズに吸着させた(Boldinら、 1995、Current Protocols in Molec.Biol.、1994、FrangioniとNeel、1993を参 照のこと)。代謝的にラベルしたFLAG-MORT-1融合タンパク質のGST-Fas-ICへの 結合を、[35S]メチオニン(60μCi/ml)で代謝的にラベルしたFLAG-MORT-1を 発現するヒーラ細胞の抽出物と共に、4℃で2時間前記ビーズをインキュベート し評価した。抽出物は、50mM Tris-HCl、pH7.5、150mM NaCl、0.1% NP-40、1mM ジチオトレイトール、1mM EDTA、1mMフェニルメチルスルホニルフルオライド 、20μg/mlアプロトニン、20μg/mlロイペプチン、10mMフッ化ナトリウムおよ び0.1mMバナジウム酸ナトリウム(5×105細胞当たり1ml)を含む緩衝液中で調 製した。 (iv)MORT−1の発現誘導により引き起こされる細胞毒性の評価 MORT-1、Fas-IC、p55-ICおよびルシフェラーゼcDNAをテトラサイクリンで制 御される発現ベクターに挿入し、SV40プロモーターの制御下におかれた分泌性胎 盤アルカリホスファターゼcDNA(pSBC-2 ベクター、Dirksら、1993)と共にHtT A-1細胞(ヒーラ細胞系)(GossenとBujard、1992)ヘトランスフェクトした。 ニュートラル−レッドアップテイクアッセイ(neutral-red uptake assay)(Wall ach、1984)、または、トランスフェクトしたcDNAを発現するそれらの細胞にお ける細胞死を特異的に評価 するために、最終5時間の培養において増殖培地に分泌された胎盤アルカリホス ファターゼ(Bergerら、1988)の量を測定することにより、トランスフェクショ ン後40時間において細胞死を評価した。 FAS-ICへの結合に関与するMORT-1タンパク質の領域を分析するための他の実 験では、テトラサイクリンで制御される発現ベクター(pUHD10-3)を用いて、 テトラサイクリンで制御されるトランスアクチベーター(HtTA-1)を含むヒーラ 細胞において、以下のタンパク質を一時的に発現させた:ヒトFAS-Rのみ;MORT- 1のN末端部(アミノ酸1-117、「MORT-1ヘッド」)およびヒトFAS-R;その「デス ドメイン(death domain)」相同領域(アミノ酸130-245、「MORT-1DD」を含む MORT-1のC末端部およびヒトFAS-R;FLAG-55.11(アミノ末端でFLAGオクタペプ チドに融合したタンパク質55.11のアミノ酸309-900であり、タンパク質55.11はp 55-IC−特異的な結合タンパク質である)。トランスフェクションから12時間後 、その細胞をトリプシン処理し(trypsinized)、30,000cells/wellの濃度で再 播種した。さらに24時間インキュベーションした後、10μg/mlのシクロヘキサ ミド存在下に、様々な濃度(0.001-10μg/mlのモノクローナル抗体)においてF AS-Rの細胞外ドメインに対するモノクローナル抗体(モノクローナル抗体CH-11 、Oncor、Gaithersburg、メリーランド州、アメリカ)と共にその細胞を6時間 処理した。ついで、ニュートラル−レッドアップテイクアッセイにより細胞の生 存能力を測定し、シクロヘキサミドのみ(抗FAS-Rモノクローナル抗体CH-11の非 存在下)で培養した細胞と比較し、%生存細胞に換 算してその結果を示した。 (v)ノーザンおよび配列分析 ヒーラ細胞の全RNAからポリA+RNAを単離した(オリゴテックス−dT mRNAキ ット、QIAGEN、Hilden、ドイツ)。プローブとしてMORT-1 cDNAを用いたノーザ ン分析は従来法により実施した(Boldinら、1995参照)。MORT-1のヌクレオチ ド配列は、ジデオキシチェーンターミネーション法により両方向から決定した。 ツーハイブリッド法によりクローン化したMORT-1 cDNAの配列分析は、それが 新規のタンパク質をコードしているということを示した。このタンパク質(「レ セプター誘導性毒性メディエーター」としてのMORT-1)のFas-ICに対する結合 の特異性を評価するために、また、それが結合するFas-IC中の特定の領域を明ら かにするために、さらにツーハイブリッド試験を行ったところ、以下の発見が導 かれた:(a)MORT-1タンパク質はヒトおよびマウスFas-ICに結合するが、TNF/NG Fレセプターファミリー(p55とp75TNFレセプターおよびCD40)の3つのレセプタ ーを含む、試験を行った他のいくつかのタンパク質には結合しなかった;(b)イ ンビトロおよびインビボの両方でシグナリングが消失することが示されているFA S-Rの「デスドメイン」中の位置225(Ile)における置換変異(lprcg変異(Watana be-Fukunagaら、1992;ItoとNagata、1993)は、MORT-1のFAS-ICへの結合も妨 げる;(c)FAS-R中のMORT-1結合部位はこのレセプターの「デスドメイン」内に 生ずる;また(d)MORT-1はそれ自身に結合する。この自己結合とFAS-RへのMORT- 1の結 合には、そのタンパク質の異なる領域が関与する:残基1-117に対応するMORT- 1のフラグメントは全長のMORT-1に結合するが、それ自身にも、FAS-ICにも結 合しない。逆に、残基130-245に対応するフラグメントはFAS-Rに結合するが、MO RT-1には結合しない。さらに、その結果からp55-ICの自己会合にとってのp55-R の「デスドメイン」領域のように、FAS-Rの「デスドメイン」領域はFAS-ICの自 己会合にとって重要であることも生起された。これら「デスドメイン」の両側に おける欠失はその自己会合能に影響しない。一方、これら「デスドメイン」内の 欠失は自己会合に影響をおよぼす。MORT-1の場合、FAS-ICへのMORT-1の結合も またFAS-Rの完全な(完全長の)「デスドメイン」に依存しており、しかし一方 で、それはFAS-IC結合にとってのFAS-R「デスドメイン」領域の外側の領域にもま た依存していない。 トランスフェクトしたSFY526酵母内のGal4 DNA結合ドメインおよび活性化ド メインの構築物(pGBT9およびpGAD-GH)によりコードされるタンパク質の相互 作用をβ−ガラクトシダーゼ発現フィルターアッセイにより評価した。DNA結合 ドメインの構築物はヒトFas-ICの4つの構築物、位置225におけるIleのLeuへの 、またはIleのAlaへの置換変異を有する2つの完全長の構築物(それぞれ、I225 NおよびI225A)を含むマウスFas-ICの4つの構築物、および3つのMORT-1構築 物を含んだ。活性化ドメイン構築物は、3つのMORT-1構築物、そのMORT-1部分 はDNA結合ドメイン構築物におけるようであり;かつ完全長のヒトFas-IC構築物 、そのFas-IC部分は前記のDNA結合ドメインの構築物におけるのと同じ であるものを含んだ。ラミン、サイクリンDおよび「空の」Gal4(pGBT9)ベク ターだけでなく、ヒトp55TNFレセプター(p55-IC、残基206-426)、ヒトCD40(C D40-IC、残基216-277)およびヒトp75TNFレセプター(p75-IC、残基287-461)の 細胞内ドメインは、DNA結合ドメイン構築物の形でネガティブコントロールとし て働いた。SNF-1およびSNF4は、DNA結合ドメイン(SNF1)および活性化ドメイ ン(SNF4)構築体の形でポジティブコントロールとして働いた。「空の」Gal4ベ クター(pGAD-GH)もまた活性化ドメイン構造体の形でネガティブコントロールと して働いた。前記分析の結果を表示する際に使った記号の「++」および「+」は 、それぞれアッセイの30分および90分以内に強い色を生じたこと示している;そ して「-」は24時間以内に色が生じなかったことを示している。 それらのN末端でFLAGオクタペプチド(FLAG-MORT-1)と融合したMORT-1分 子の発現により、ヒーラ細胞内で4つの異なったサイズ、約27、28、32、および 34kDのタンパク質を生じた。インビトロでのMORT-1のFas-ICとの相互作用は、F LAG-MORT-1融合タンパク質またはコントロールとしてのルシフェラーゼcDNAで トランスフェクトしたヒーラ細胞の抽出物由来のタンパク質の免疫沈降を行うこ とにより観察した。免疫沈降は抗FLAG抗体(aFLAG)を用いて行った。インビト ロでの相互作用MORT-1とFAS-ICの間でも示された。そこで、MORT-1はトランス フェクトしたヒーラ細胞の抽出物から得られ、[35S]メチオニンで代謝的にラ ベルしたFLAG-MORT-1融合タンパク質の形をとっており、ま たFAS-ICは、FAS-IC内の位置225において置換変異を有するものを含むヒトおよ びマウスのGST-FAS-IC融合タンパク質の形をとっている。全てのGST-FAS-IC融合 タンパク質は大腸菌にて生産した。そのGST融合タンパク質は、MORT-1-FLAG融 合タンパク質を含む抽出物と相互作用させる前にグルタチオンビーズに付着させ 、この相互作用につづいてSDS-PAGEを行った。このように、インビトロでの相互 作用をSDS-PAGEにつづくオートラジオグラフィーにより、FLAGオクタペプチドと の融合物(FLAG-MORT-1)としてトランスフェクトしたヒーラ細胞にてつくられ た、[35S]で代謝的にラベルしたMORT-1のGST、およびヒトまたはマウスFas-I C(GST-huFas-IC、GST-mFas-IC)とのGST融合物、または位置225におけるIleのA laへの置換変異を含むFas-ICとのGST融合物との結合を測定することにより評価 した。GST-Fas-IC融合タンパク質と共にインキュベーションした際、4つのFLAG -MORT-1タンパク質の全てがFas-ICに結合する能力を示すということが示された 。酵母ツーハイブリッド試験におけるように、MORT-1はlprcg変異部位で置換さ れているGST-Fas-IC融合タンパク質(I225A)には結合しなかった。 ヒーラ細胞において以下のレセプターを共に発現させると、FLAG-MORT-1cDNA によってコードされるタンパク質は、その細胞外ドメインをp55-Rのものに置換 したFAS-Rキメラ(p55-FAS)の細胞内ドメインとだけでなく、FAS-Rの細胞内ド メインに結合する能力も示した。この場合、トランスフェクトしたヒーラ細胞内 、すなわちインビボでのMORT-1のFAS-ICとの相互作用は、様々 なトランスフェクトしたヒーラ細胞の免疫沈降で観察されたように、これらのタ ンパク質をコードする構築物によりコトランスフェクトした細胞内での、MORT- 1とFAS-IC間のインビボでの相互作用やその相互作用の特異性を証明した。この ように、FLAG-MORT-1融合タンパク質を、ヒーラ細胞において、単独で、または ネガティブコントロールとして、ヒトFAS-R、FAS-Rの細胞外ドメインをヒトp55- R中の対応する領域で置換したFAS-Rキメラ、またはヒトp55-Rと共に発現し、ま た「[35S]システイン(20μCi/ml)および[35S]メチオニン(40μCi/ml) 」により代謝的にラベルした、共に発現したレセプターとのMORT-1の交差免疫 沈降を様々な特異的抗体を用いて行った。その結果は、以下のレセプターをヒー ラ細胞内で共に発現させると、FLAG-MORT-1はFAS-Rの細胞内ドメイン、およびF AS-Rの細胞内ドメインおよびp55-Rの細胞外ドメインを有するFAS-R-p55-Rキメラ の細胞内ドメインに結合できることを示した。さらにトランスフェクトした細胞 の抽出物由来のFLAG-MORT-1の免疫沈降は、共に発現したFAS-Rまたは共に発現 したp55-FASキメラの沈降も生じた。逆に言えば、これらのレセプターの免疫沈 降はFLAG-MORT-1の共沈降を生じた。 プローブとしてMORT-1 cDNAを用いたノーザン分析から、ヒーラ細胞における 単一のハイブリダイズする転写物が明らかになった。トランスフェクトした細胞 由来のポリA+RNA(0.3μg)がMORT-1 cDNAとハイブリダイズしたノーザンブロ ットでは、RNA転写物の大きさ(約1.8kb)がMORT-1 cDNAの大きさ(約1702ヌクレ オチ ド)に近いことがわかった。 配列分析では、そのcDNAが約250アミノ酸のオープンリーディングフレームを 含むことがわかった。前記の共に所有する、共に係属中の出願において、MORT- 1 DNAおよびアミノ酸の配列が示されている(WO96/18641参照)。これらの配列 では、可能性のある開始Met残基(位置49;太字、Mに下線)や翻訳終始コドン( 位置769-771のコドンの下にアステリスク)であるように、「デスドメイン」モ チーフに下線を引いてある。この「デスドメイン」モチーフは既知のp55-RやFAS -Rの「デスドメイン」モチーフ(p55DDやFAS-DD)と相同性をもっている。MORT- 1の正確なC末端を決定し、またMORT-1の正確なN末端(開始Met残基)に関す る証拠を得るために、以下のような追試を行った。 前記した手法を用いて、N末端にてFLAGオクタペプチドと融合したMORT-1分 子をコードする多くの構築物(FLAG-MORT-1)を構築し、そして35S−システイ ンや35S−メチオニンを使って発現するタンパク質を代謝的にラベルしながらヒ ーラ細胞中で発現させた。そのMORT-1-FLAG分子はMORT-1をコードする配列の 異なる部分を含んでいる以下のcDNAによりコードされた。 i)ヌクレオチド1-145を欠失したMORT-1 cDNAの5'末端に結合したFLAGオクタ ペプチドcDNA; ii)MORT-1の全長cDNAの5'末端に結合したFLAGオクタペプチドcDNA; iii)ヌクレオチド832-1701だけでなくヌクレオチド1-145も欠失させ、かつ、 位置142-144におけるコドンGCCを、この部位において翻訳が開始されるのを防ぐ ために TCCに変異させたMORT-1 cDNAの5'末端に結合したFLAGオクタペプチドcDNA。 前記のFLAG-MORT-1融合産物の発現につづき、抗FLAGモノクローナル抗体また はコントロールとして抗p75 TNF-R抗体を用いて、前記のようにして免疫沈降を 行い、その後、SDS-PAGE(10%アクリルアミド)およびオートラジオグラフィー を行った。前記のFLAG-MORT-1融合産物を用いた分析の結果、MORT-1のC末端 を確定(確認)し、またMORT-1のN末端は配列の位置49であるかもしれないと いう証拠が得られた。実際、5'末端にFLAGオクタペプチドが融合されないMORT- 1の発現の追試によって、Met49が翻訳開始の有効な部位として働くことが示さ れた。 「ジーンバンク(Gene Bank)」および「プロテインバンク(Protein Bank) 」データーベースで行った検索で、その時点では前記単離したMORT-1配列のそ れに相当する配列は存在しないことが明らかになった。それゆえ、MORT-1は新 規のFAS-IC特異的結合タンパク質であることを意味した。 p55-ICの高頻度の発現は細胞死の効果を引き起こすことになる(Boldinら、19 95)。ヒーラ細胞でのFas-ICの発現もまた、低い程度ではあるが、そのような効 果をもっており、高感度アッセイを用いてのみ検出することができた。そこで、 リガンド非依存的に引き起こされる、ヒトp55-ICおよびFAS-ICだけでなく、MORT -1をトランスフェクトした細胞における細胞死の効果を分析した。MORT-1、ヒ トFas-IC、ヒトp55-ICまたはコントロールとして働くルシフェラーゼの一時的な 発現の効果を、ヒ ーラ細胞の生存能力に関して、テトラサイクリンで制御される発現ベクターを用 いて評価した。細胞の生存能力を、テトラサイクリンの存在下(1μg/ml、発 現を阻害するため)または非存在下で、これらのcDNAおよび分泌性胎盤アルカリ ホスファターゼをコードするcDNAと共にトランスフェクトしてから40分後に評価 した。細胞の生存能力を、ニュートラルレッドアップテイクアッセイにより、ま たはトランスフェクトしたDNAを発現するそれら特定の細胞の生存能力を特異的 に決定するために成長培地に分泌された胎盤アルカリホスファターゼ量を測定す ることにより決定した。 前記の分析によって、ヒーラ細胞におけるMORT-1の発現は有意な細胞死を引 き起こし、それはFAS-IC発現によって引き起こされるものよりも重大であるとい うことが明らかになった。p55-IC、FAS-ICおよびMORT-1全てのこれら細胞毒性 効果は、これらのタンパク質全てに存在する「デスドメイン」領域に関連してい るようである。この「デスドメイン」は自己会合する性質があり、それによって 細胞毒性効果を促進しうる。 前記でしたMORT-1の性質、すなわち、細胞死の誘導に関与するFAS-Rにおける その特定領域とMORT-1との特異的な結合を考慮に入れ、また、シグナリング(s ignaling)を妨げるその領域における構造のわずかな変化でさえも(lprcg変異 )、MORT-1の結合を消失させるという事実はこのタンパク質が細胞死のシグナ リングまたは誘引の役割を担うことを示している。この推測(notion)は、それ 自身により細胞死の効果を引き起こすMORT-1の観察された能力によりさらに支 持される。 このようにMORT-1は、(i)それ自身への結合だけでなくFAS-Rに結合するそれ自 身の能力によりFAS-Rの自己会合のモジュレーターとして機能しているかもしれ ず、または(ii)FAS-Rシグナリングに関与する付加的なタンパク質に対するドッ キング部位として働く、すなわちMORT-1は「ドッキング」タンパク質であるか もしれず、また、それゆえにFAS-R以外の他のレセプターと結合するかもしれず 、あるいは(iii)FAS-Rシグナリングと相互作用する別個のシグナリング系の一部 を構成している。 FAS-ICの結合およびFAS-Rがメディエートする細胞への影響(細胞毒性)のモ ジュレーションに関与するMORT-1の領域をさらに分析するために、ヒーラ細胞 へのコトランスフェクションのためにヒトFAS-Rをコードするベクターと共に、M ORT-1の部分をコードするベクター(「MORT-1ヘッド」、アミノ酸1-117および「M ORT-1DD」、アミノ酸130-245)(別個に)を用いて、前記した実験を行った。こ れらの実験においては、種々のタンパク質およびタンパク質の組み合わせを、テ トラサイクリンで制御される発現ベクターpUHD10-3に該タンパク質をコードす る配列を挿入することにより、テトラサイクリンで制御されるトランスアクチベ ーター(HtTA-1)を含むヒーラ細胞内において一時的に発現させた。コントロ ールのトランスフェクションにはFAS-RのみをコードするベクターおよびFLAG-55 .11融合タンパク質(55.11タンパク質はアミノ酸309-900を含む部分をFLAGオク タペプチドに(そのN末端に)融合したp55-IC特異的結合タンパク質である)を コードするベクターを用いた。 トランスフェクションし、一定のインキュベーション の後、細胞によって発現されたFAS-Rの細胞外ドメインに特異的に結合する抗FAS -Rモノクローナル抗体(CH-11)の様々な濃度で、トランスフェクトした細胞を 処理した。この抗FAS−R抗体の結合は、その細胞表面においてFAS-Rの会合 (FAS-Rのリガンドのように)を誘導し、また、FAS-ICによってメディエートさ れる細胞内シグナリングを誘導し、最終的には細胞死(FAS-Rがメディエートし た細胞毒性)をもたらす。用いた抗FAS-Rモノクローナル抗体(CH-11)濃度は0.0 1-10μg/mlの範囲であり、通例、0.005;0.05;0.5および5μg/mlというよう な濃度であった。その細胞を10μg/mlのシクロヘキサミドの存在下で抗FAS抗体 で処理した。 前記の分析の結果、トランスフェクトした細胞内におけるFAS-Rの発現は、抗F AS-R抗体の細胞死の効果に対する感度の上昇を示唆する。さらに、FAS-R「デス ドメイン」(FAS-DD)に結合するMORT-1「デスドメイン」(DD)領域の能力から 予想されたように、「デスドメイン」の相同性領域を含むMORT-1とFAS-Rにおけ る領域を共に発現させるとFASで誘導される(すなわちFAS-Rにメディエートされ る)細胞死を強く阻害した。さらにMORT-1およびFAS-RのN末端を共に発現させ るとFAS-Rがメディエートする細胞死を阻害せず、阻害があったとしてもごくわ ずかであり、いくぶん細胞毒性を促進する(つまり、わずかに細胞死が増加)。 このように、FAS-ICに結合する限り、MORT-1タンパク質は2つの異なる領域 をもっており、またFAS-ICの細胞毒性活性の仲介が関係していることを、前記の 結果は明らかにした。 それゆえにこれらの結果はまた、異なる医薬用途のためのMORT-1タンパク質 の異なる部分(すなわち活性フラグメントまたはアナログ)の使用のための基盤 を提供する。たとえば、本質的に「デスドメイン」領域を含むMORT-1のC末端 部分のみを含むMORT-1タンパク質のアナログまたはその誘導体を、FAS-Rを含む 細胞または組織内でFAS-Rがメディエートする細胞毒性の効果を阻害するのに使 用してよい。そして、それによって、たとえば急性肝炎のような場合に、FAS-R リガンドの有害な影響からこれらの細胞または組織を守るのである。一方、本質 的にMORT-1のN末端のみを含むMORT-1タンパク質のアナログまたはアラグメン トまたはその誘導体をFASRを含む細胞および組織において、FAS-Rがメディエー トする細胞毒性の効果を高めるのに使ってよい。それによって、たとえば、腫瘍 細胞および自主反応性のTおよびB細胞のような場合に望まれるときは、これら 細胞または組織の崩壊を高めることになる。ここで前記詳述したように、MORT- 1の異なる領域の前記使用は、処理が望まれる特定の細胞または組織にMORT-1 領域をコードする配列を挿入するために種々の組換えウイルス(たとえば、ワク シニア(vaccinia))を使ってよい。 さらに、抗体、ペプチドおよび有機分子などの様々な他の分子を調製しまた使 用することも可能である。それらは、前記のMORT-1領域に対応する配列または 分子構造を有し、これらMORT-1領域によりメディエートされる同様な所望の作 用を奏し得る。 さらにまた、MORT-1を利用し、MORT-1に結合し得る他のタンパク質(すなわ ち、MORT-1結合タンパク質) を特異的に同定、単離および特徴づけし得る;参考例2および3を参照。参考例2:MORT-1結合タンパク質の単離 (i)ツーハイブリッドスクリーニングおよびツーハイブリッドβ−ガラクトシダ ーゼ発現試験 参考例1に記載される手順に類似する方法で、p55 TNF-Rの細胞内ドメイン(p 55 IC)およびMORT-1をおとり(baits)として使用し、ヒトB細胞ライブラリ ーをスクリーニングして、2つのcDNAクローンを得た。これらのクローンは、MO RT-1およびp55-ICの両方に結合し得るタンパク質産物をコードする。両クロー ンは、5'端で同一のヌクレオチド配列を有することが明らかにされた(共に所 有し、共に係属中のWO96/18641およびPCT/US96/10521を参照のこと)。 (ii)ツーハイブリッドスクリーニングにおいて新しくクローン化されたcDNAの結 合特性 前記の酵母ツーハイブリッド手順を使用して、新しいMORT-1結合タンパク質c DNAを含有する構築物を「えじき(prey)」として使用し、これに、多数の「おと り」の構築物を別々の反応において加え、このcDNAがコードするMORT-1結合タ ンパク質の結合特異性を測定した。これらの「おとり」には、MORT-1、MORT-1 の一部(MORT-1「ヘッド(head)」、aa1〜117、MORT-1「テール(tail)」 、aa130〜245)、p55 IC(206〜426p55)またはその一部(「デスドメイン」、326 〜426 p55および「デスドメイン」の上流部、すなわち、206〜326) をコードする構築物が含まれた。結果を下記の表2に示す。 大きなパネルのおとりに対するクローンの結合のツーハイブリッドβ-ガラク トシダーゼ発現試験の前記結果によって、このクローンによってコードされるタ ンパク質は、p55 TNF-RおよびMORT-1の両方のデスドメインに特異的に結合する ことが確認された。 一般に、MORT-1結合タンパク質は、細胞でのMORT-1 会合作用のモジュレートまたはメディエートを行うために直接利用され得るか、 または細胞でのFAS-Rリガンドメディエート作用のモジュレートまたはメディエ ートを行うために、この作用がMORT-1によるモジュレートまたはメディエート を受ける場合には間接的に利用され得る。同じことが、本明細書中のp55 TNF-R について特異的に明らかにされたように、他の細胞内タンパク質に関して、また は膜貫通タンパク質の細胞内ドメインに関して当てはまる。 MORT-1結合タンパク質には、全長のMORT-1タンパク質に特異的に結合するタ ンパク質、またはMORT-1タンパク質の異なる領域、たとえば、MORT-1の前記の N末端領域およびC末端領域に結合するタンパク質が含まれる。そのような領域 に特異的に結合するMORT-1結合タンパク質は、これらの領域の活性、したがっ て、これらの領域によって測定されるMORT-1の比活性をモジュレートするため に使用することができる。参考例3:MACHタンパク質、別のMORT-1結合タンパク質の単離および特徴づけ (i)ツーハイブリッドスクリーニング、ツーハイブリッドβ−ガラクトシダーゼ 試験、配列決定および配列分析 前記の参考例1および参考例2に記載される手順を使用して、ヒトMORT-1タ ンパク質をコードする全長の構築物を、酵母ツーハイブリッドシステムにおける 「おとり」として用いて、新しいMORT-1結合タンパク質をコードするcDNAクロ ーンをさらに単離した。こ の新しいタンパク質は、最初、MORT-2と呼ばれたが、現在は、本明細書の下記 に詳しく記載されているその特徴により、(MORT-1会合CED3ホモログの代わり に)MACHと呼ばれ、MACHとして示される。 このcDNAクローンを、前記の参考例1および参考例2に示される標準的な手順 により配列決定した。標準的な手順およびコンピュータプログラムによる配列分 析(参考例1および参考例2を参照のこと)によって、このcDNAは新規な配列を 有し、新規なタンパク質をコードすることが明らかにされた(そのDNA配列また はアミノ酸配列のいずれも、GENBANKまたはPROTEIN BANKの配列データベースに おいて見出されなかった)。さらに、MACHをコードするこのcDNAによって、MORT -1タンパク質の「デスドメイン」モチーフの先行する(5'上流)領域に対して強 固な相同性を有するORF-Bオープンリーディングフレームが明らかになった(参 考例1を参照のこと)。共に所有し、共に係属中のイスラエル国出願番号第1146 15号、同第114986号、同第115319号、同第116588号および同第117932号、ならび にそれらの対応するPCT出願番号第PCT/US96/10521号において、ORF-B(235aa残基 )を含有するMACH cDNAクローンの一部の構造;MACH ORF-Bの推定アミノ酸配列; およびMACH cDNA分子のヌクレオチド配列が示されている。ORF-B領域は、MORT- 1「デスドメイン」モチーフの上流のMORT-1領域との高い相同性を有する。 酵母ツーハイブリッド試験は、MORT-1に対するMACHの結合特異性を評価する ために、とくに、MACHが結合 するMORT-1での領域を明確にするために、ならびに、どのMACHORFがMORT-1と 相互作用するかを決定するためにさらに適用された。その手順は、本明細書の前 記の参考例1および参考例2に示されている。簡単に記すと、様々なMORT-1構 築物およびMACH構築物を、Gal4 DNA結合ドメインによってコードされるタンパ ク質および活性化ドメイン構築物の相互作用を、β-ガラクトシダーゼ発現フィ ルターアッセイによって評価されるトランスフェクトされたSFY526酵母細胞で調 べるために調製した。DNA結合ドメイン構築物をpGBT9ベクターにおいて調製し 、活性化ドメイン構築物をpGAD-GMベクターにおいて調製した。活性化ドメイン 構築物については、全長のMACH cDNAを使用した(MACH)。これは、ORF-B(MACH B)領域のみをコードする構築物であった。コントロールの活性化ドメイン構築 物は、全長のMORT-1をコードする配列を含有する構築物(MORT 1、ポジティブ コントロール)およびインサートを含まない、すなわち、「空の」ベクター(pG AD-GM)を含む構築物であった。DNA結合ドメイン構築物については、全長のMORT -1cDNAを使用した(MORT 1)。これは、MORT-1の上流領域(MORT-1DD、aa130〜 245)のみをコードする構築物であった。コントロールのDNA結合ドメイン構築物 は、MACHの結合特異性をも測定するために構築されたが、ラミン(lamin)をコ ードする構築物(Lamin)、ヒトp75 TNF-Rの細胞内ドメインの残基287〜461をコ ードする構築物(ヒトp75 IC)、サイクリックDをコードする構築物(cycD)、 ヒトp55 TNF-Rの細胞内ドメインの残基206〜426の SNF1をコードする構築物(ヒトp55 IC)、ヒトFas-Rの細胞内ドメインの「デス ドメイン」領域をコードする構築物(ヒトFas DD)、ヒトCD40の細胞内ドメイン の残基216〜277をコードする構築物(ヒトCD40 IC)をコードする構築物、イン サートを含まないベクター、すなわち、「空の」pGBT9ベクター(pGBT9、ネガ ティブコントロール)、およびMACHのORF-B領域をコードする構築物(MACH B) が含まれた。アッセイにおいて、色の発色を測定した。この場合、発色が大きい ほど、DNA結合ドメインによってコードされる構築物と活性化ドメインによって コードされる構築物との間の相互作用は大きい。発色を記号によって示した。「 +++」および「+」は、それぞれ、アッセイの30分以内および90分以内での強い発 色を示し、「---」は24時間のアッセイにおいて発色がなかったことを示す。相 互作用が調べられなかった場合は、記号を示さなかった。前記の場合の様々な相 互作用の結果を、下記の表3に示す。MACHアイソフォームの様々な相互作用の結 果は、前記の共に所有し、共に係属中のPCT/US96/10521およびその対応するイス ラエル対応出願に示されている。 したがって、前記の表3に示す結果から得られるように、下記のことは明らか である: (a)MACHは非常に強く特異的な様式でMORT-1に結合する; (b)MORT-1内のMACH結合部位はMORT-1内の「デスドメイン」モチーフの前( 上流)に存在する:すなわち、MORT-1のaa1〜117によって規定される領域内で ある; (c)MACHのORF-B領域はMACHタンパク質のMORT-1相互作用領域である;および (d)MACHのORF-B領域は自己会合が可能である。 (ii)MACH タンパク質の自己会合能によってメディエートされる細胞−細胞傷害性 作用 MACHが自己会合し得ること、とくに、MACHのORF-B領域が自己会合することが 観測されたこと、およびp55 TNF-RおよびFAS-Rの細胞内ドメインについて観測さ れ、そしてMORT-1について観測された(参考例1を参照のこと)ような自己会 合と細胞−細胞傷害性との間の以前の相関は、MACHの自己会合は細胞−細胞傷害 性に関与し得ることも示唆する。 この可能性を調べるために、MACHをコードする構築物を、テトラサイクリンで 制御される発現ベクターを用いて調製した(詳細については参考例1を参照のこ と)。これらの構築物を使用して、ベクターの一時的な発現が行われるヒーラ細 胞をトランスフェクトした。MACH構築物に加えて、他のコントロール構築物を使 用して、MACH構築物の効果が比較され得るヒーラ細胞の 生存性に対する一時的な発現の効果を評価した。これら他の構築物には、MORT- 1、ヒトFAS-ICおよびルシフェラーゼ(Luc)が含まれた。さらに、MORT-1構築 物およびMACH構築物を使用することによってヒーラ細胞のコトランスフェクショ ンも調べ、どのような効果がこれらのタンパク質の相互作用によって生じ得るか を求めた。トランスフェクションの後にヒーラ細胞をインキュベートし、細胞の 生存性を、トランスフェクションの48時間後に、発現を阻止するためのテトラサ ィクリン(1μg/ml)の存在下または非存在下で評価した、細胞生存性を、ニ ュートラルレッドアップテイクアッセイによって測定した。 前記の分析結果から、MACHが劇的な細胞傷害作用をヒーラ細胞において誘導す ること、すなわち、ヒーラ細胞においてMACH cDNAの誘導された過剰発現は、劇 的な細胞傷害作用をもたらすことは明らかであった。この細胞傷害作用は、MACH の自己会合能に関連しているようである。 (iii)ノーザン分析 よく知られている手順(参考例1を参照のこと)を使用して、いくつかの細胞 株のノーザン分析を、MACH cDNAをプローブとして使用して行った。この分析結 果は、非常に多数の細胞株において、とくに、CEM、Raji、Daudi、ヒーラ、Alex ander、JurkatおよびA673の細胞株において、大きさが約3.2kbのハイブリダイズ する転写物が2つ存在することを示す。 前記を考慮して、MACHタンパク質、とくに、MACH β1タンパク質(MACHのORF-B)は、細胞でのMORT-1会合作用のモジュレートまた はメディエートを行うために直接利用することができるか、あるいは細胞でのFA S-Rリガンド作用のモジュレートまたはメディエートを行うために、このような 作用がMORT-1によるモジュレートまたはメディエートを受ける場合には間接的 に利用することができる。MACHがMORT-1の上流領域に特異的に結合し、MORT-1 との相同性を有するという事実は、MACHまたはMACH ORF-Bを使用してMORT-1の この特異的な領域をモジュレートし、したがって、この上流領域によって決定さ れるMORT-1の比活性をモジュレートする特異的な方法を提供する。さらに、MAC HまたはMACH ORF-Bは、自己会合して、自分自身での細胞−細胞傷害性を誘導す るMACHの能力によるMORT-1自身(前記参照)に類似する方法で、細胞内作用の モジュレーターまたはメディエーターとして使用することができる。 MACHタンパク質およびそれをコードするDNA配列のさらなる分析を、本明細書 の下記に示すように行った。さらに、MACHのORF-Bは多数のMACHアイソフォーム のいくつかを表すことを明らかにした。したがって、MACHタンパク質およびそれ をコードするDNA配列は、下記から明らかとなるように、現在、名前が変更され ている。 (a)MORT- 1に結合するタンパク質に関するツーハイブリッドスクリーニングは、 MORT- 1との配列モチーフを有する新規なタンパク質を明らかにする: 前記のように、MORT-1による細胞死の誘導に参加するタンパク質を同定する ために、ツーハイブリッド技法を使用して、MORT-1に結合するタンパク質につ いてcDNAライブラリーをスクリーニングした。おとりとしてMORT-1 cDNAを使用 するヒトB細胞ライブラリー(Durfeeら、1993)のツーハイブリッドスクリーニ ングによって、このタンパク質の自己会合能を反映するMORT-1自身のcDNAクロ ーン、ならびにMORT-1が効果的に結合するTRADDのクローンが得られた(参考例 2を参照のこと)。そのスクリーニングによって、その産物がMORT-1に特異的 に結合する新規配列のcDNAクローンもまた得られた。そのタンパク質は、最初は MACHと呼ばれたが、その後、それが多数のアイソフォームで存在することが見出 された(下記を参照のこと)後ではMACHβ1と呼ばれ、ツーハイブリッド試験に おいて、自分自身に結合し得ることも示したが、FAS-Rには結合できなかった( 前記の共に所有し、共に係属中のPCT/US96/10521を参照のこと、これはまた、下 記の分析およびそれらから得られる結果のすべてを含んでいる)。 MORT-1およびMACHβ1およびそれらの欠失構築物、ならびにMACHα1、触媒 活性システインCys360がSerによって置換されているMACHα1変異体(MACHα1(C 360S))およびヒトFAS-Rの細胞内ドメイン(Fas-IC)を、トランスフェクトしたSFY 526酵母で、Gal4 DNA結合ドメイン構築物および活性化ドメイン構築物(pGBT9 およびpGAD-GH)において発現させた。それらの相互作用を、Boldinら(1995b) に記載されるβ- ガラクトシダーゼ発現フィルターアッセイによって評価した。その結果を、強い 発色に要する時間として示す。試験インサートはどれも、多数の試験したネガテ ィブコントロールと相互作用しなかった。これらには、ヒトp55 TNFレセプター 、p75 TNFレセプターおよびCD40、およびラミン、サイクリンDおよび「空の」G al4ベクターが含まれる。MACHβ1を、HF7c酵母レポーター株を使用して、MOR T-1に結合するタンパク質に関してGal4 AD標識ヒトB細胞ライブラリー(Durf eeら、1993)をツーハイブリッドスクリーニングすることによってクローン化し た。別途指示しない場合を除いて、示された知見に必要なすべての実験手順は前 記に示される(Boldinら、1995もまた参照のこと)。欠失分析は、MACHβ1が、 細胞死誘導に関与しているMORT-1のN末端部に結合することを示した(Chinnai yanら、1995)。MACHβ1はまた、トランスフェクトした細胞において自己会合 した。しかし、それは、いくつかのコントロールタンパク質に結合せず、MORT- 1とは異なり、FAS-Rには結合できなかった。哺乳動物細胞におけるMACHβ1分 子の発現は、それと同時に発現したMORT-1分子に結合する34kDaタンパク質を産 生した。それはまた、インビトロで、GST-MORT-1融合タンパク質に結合するこ とができた。 MACHβ1およびMORT-1におけるアミノ酸配列の比較によって、これら2つの タンパク質において占められる(「Mortモジュール」と呼ばれる)配列モチーフ が明らかにされ、これは、MORT-1がFAS-Rに結合することを介するデスモチーフ とは異なっていた。この モチーフは、MORT-1においては1つ、MACHβ1においては2つ存在する。同じ モチーフが、機能が不明な星状細胞のリンタンパク質のPEA-15においても見出 されている。予備的なデータは、MORT-1モチーフはMORT-1に対するMACHβ1( および他のMACHアイソフォーム)の結合に関与していることを示唆する。 MACHβ1の推定アミノ酸配列は、前記のPCT/US96/10521およびその対応イスラ エル対応出願、とくに第117932号に示されている。2つのMORTモジュールが明ら かにされ、用いたこの2つのMACHβ1欠失変異体のC末端が示されている。MACH β1、MORT-1およびPEA-15遺伝子(アクセス番号X86809)におけるモジュール の配列相同性もまた、前記の共に所有し、共に係属中の出願に示され、その出願 において、同一残基および類似残基は、それぞれ、四角および陰影によって示さ れる。 デスドメインおよびMORTモジュール、ならびにFas/APO1、MACHβ1およびMAC Hα1のCED3/ICE相同性領域の概略図もまた、前記の共同所有の出願に示されて いる。 この「MORTモジュール」を含有するMORT-1内の領域は、このタンパク質によ る細胞死誘導に参加していることが示されている(前記の参考例1を参照のこと )。MORT-1の自己会合に、充分ではないが、寄与することもまた示されている (参考例1を参照のこと)。トランスフェクトした酵母におけるMACHβ1の欠失 構築物(deletion constructs)の結合特性を分析することによって、MACHβ1の 自己会合ならびにMORT-1に対するそ の結合におけるMORTモジュールの類似した関与が明らかにされた:MORTモジュー ルの下方(下流)領域を有していない欠失構築物は、互いに結合することができ なかったが、全長のMORT-1および全長のMACHβ1に対する結合能を維持してい た。MORTモジュール配列の部分をさらに欠失したさらなる短縮物は、タンパク質 の結合能の喪失をもたらした。これらの相互作用におけるMORTモジュールの関与 をさらに評価するために、FLAGオクタペプチドと融合したMACHβ1(FLAG-MACH β1)の欠失変異体をヒーラ細胞で発現させ、細菌が産生したグルタチオン-S- トランスフェラーゼ−MORT-1融合タンパク質(GST-MORT-1)に対するインビト ロでのその結合を評価した。酵母ツーハイブリッド試験において観察された結合 に類似して、このインビトロ結合は、MACHβ1モジュール内の領域の相互作用に 依存していることが見出された。35[S]代謝標識MACHβ1、FLAGオクタペプチド に対してそのN末端で融合したMACHβ1(FLAG-MACHβ1)、FLAG-MACHβ1のC末 端短縮変異体、およびコントロールとしてのルシフェラーゼを、トランスフェク トしたヒーラ細胞で作製した。発現は、テトラサイクリンで制御される発現ベク ターを使用して、テトラサイクリンで制御されるトランスアクチベーターを発現 するヒーラ細胞クローン(HtTA-1)で行った。 タンパク質の発現およびそれらの分子サイズの評価を、抗FLAG抗体を使用して 細胞溶解物からの免疫沈降によって行った。使用抗体は下記の通りである:ウサ ギの抗MACHβ1抗血清および抗MORT-1抗血清を、融 合タンパク質GST-MACHβ1およびGST-MORT-1に対して惹起させた。FLAGオクタ ペプチドに対するマウスのモノクローナル抗体(M2)およびFAS/APO1に対する マウスのモノクローナル抗体(CH11、Yoneharaら、1989)を、イーストマンコダッ クおよびオンコー(Gaithersburg、メリーランド州)からそれぞれ購入した。マウ スのモノクローナル抗HAエピトープ抗体(12CA5、Fieldら、1988)および抗TNF 抗体を、この分野で充分に知られている通常の方法にしたがって本発明者らの実 験室で作製した。グルタチオン−アガロースビーズに吸着するGST-MORT-1(あ るいは、コントロールとして、GST、またはFas-APO1の細胞内ドメインと融合し たGST)に対するタンパク質のアフィニティー結合を示す結果;および様々な特 異抗体を使用する様々なMORT-1融合構築物およびMACH融合構築物の免疫沈降は 、前記の共に所有し、共に係属中の出願に、とくに、PCT/US96/10521およびIL 1 17932に示されている。 (b)MACH は多数のアイソフォームで存在する: MACHβ1 cDNAをプローブとして使用するノーザン分析によって、いくつかの 異なる細胞株において、大きさが約3kbの存在量の少ない転写物が明らかにされ た。簡単に記すと、いくつかの細胞株から得られた全RNA(14μg/レーン)また はポリA+RNA(2μg)のノーザンブロット分析を、MACHβ1 cDNAをプローブと して使用して行った。調べた細胞株のT47D、CEM、Raji、Daudi、ヒーラ、Alexan der、JurkatおよびA673はすべて、ヒト起源であり、それぞれ、乳房の腺管ガ ン、急性リンパ芽球T細胞白血病、バーキットリンパ腫、バーキットリンパ腫、 上皮様ガン、ヒト肝ガン、急性T細胞白血病および横紋筋肉腫から得られた。ノ ーザンブロットでハイブリダイズするバンドのかなり分散した形状は、これらの 転写物が、2.85Kb〜3.5Kbの間に広がる不均一な大きさであることを示唆した。 転写物の量および大きさはともに、異なるヒト組織において変化し、MORT1また はFAS/APO1の発現と相関していなかった(Watanabeら、1992)。たとえば、精 巣および骨格筋においては、これらの組織が充分な量のMORT1を発現していたと しても、MACH転写物の検出はほとんどできなかった。逆に、安静時の末梢血単核 白血球は、MORT1の発現は非常に低いが、高いレベルでMACHを発現していること が見出された。白血球のレクチン活性化は、MORT-1の誘導とともに、MACH転写 物のサイズパターンの著しい変化をもたらす。 このようなサイズの不均一性の本質を明らかにするために、cDNAライブラリー を、MACHβ1cDNAプローブとハイブリダイズする転写物についてスクリーニング した。MACHα1およびMACHα2を、ヒト胸腺のmRNA由来のCharon BS cDNAライブ ラリーからクローン化した。そのライブラリーを、ストリンジェントな条件下で 、ランダムプライミングキット(ベーリンガー マンハイム)を使用して標識し たMACHβ1 cDNAプローブを用いてスクリーニングした。他のMACHアイソフォー ムを、RT-PCRによってクローン化した。Rajiヒトリンパ芽球細胞由来の全RNA(M ACHα1、α2、α3、β3およびβ4)、Daudiヒトリンパ芽球細胞由来の全RN A (MACHα2、β2、β3、β4およびβ5)で実施した。逆転写酵素反応を、オ リゴdTアダプタープライマー(5'-GACTCGAGTCTAGAGTCGAC(T)17-3')、および製 造者の指示にしたがって使用したSupcrScript II逆転写酵素(ギブコ-BRL)を用 いて行った。RCRの1回目は、Expand Long Template PCR System(ベーリンガー マンハイム)を用いて、下記のセンスプライマーおよびアンチセンスプライマ ーを使用して行った:それぞれ、MACHβ1 cDNAのヌクレオチド530〜551に対応 する5'-AAGTGAGCAGATCAGAATTGAG-3'、および5'-GACTCGAGTCTAGAGTCGAC-3'。 2回目は、Ventポリメラーゼ(NEB)を用いて下記の内側のセンスプライマーお よびアンチセンスプライマーを使用して行った:それぞれ、MACHβ1 cDNAの配 列から由来する5'-GAGGATCCCCAAATGCAAACTGGATGATGAC-3'および5'-GCCACCAGC TAAAAACATTCTCAA-3'。MACHβ3およびMACHβ4が開始コドンを有することを確 認するために、Raji細胞のRNA由来のこれらのアイソフォームのさらに5'側の配 列をクローン化した。前記のオリゴdTアダプタープライマーを使用して行ったRT -PCR反応は、下記のセンスオリゴヌクレオチドおよびアンチセンスオリゴヌクレ オチドを使用する2回のPCR(Ventポリメラーゼ(NEB)による)に従った:MACH β1配列に由来する5'-TTGGATCCAGATGGACTTCAGCAGAAATCTT-3'および5'-ATTCT CAAACCCTGCATCCAAGTG-3'。後者のオリゴヌクレオチドは、β-アイソフォームに 特異的である。この方法で得られたクローンの中で、「ブロック2」(この存在 によって、MACHβ3およびMACH β4はMACHβ1およびMACHβ2から区別される)のアミノ酸をコードするヌクレ オチドを含有することが見出されたクローンを完全に配列決定した。クローン化 されたすべてのアイソフォームのヌクレオチド配列を、ジデオキシチェーンター ミネーション法によって両方向で決定した。MACHa3およびMACHβ2の部分的なc DNAクローンのみが得られた。このスクリーニングは、MACH MACHアイソフォーム が多数存在することを明らかにした。7個のこれらアイソフォームのアミノ酸配 列を詳細に調べた。結果は、前記の共に所有し、共に係属中の出願に、とくに、 PCT/US96/10521およびIL 117932に図示されている:それらにおいて、3つのア イソフォームのアミノ酸配列が、知られているホモログと比較されている。 MACHα1において「ブロック2」をコードする65ヌクレオチドの欠失は、「ブ ロック3」をコードするヌクレオチドのリーディングフレームの変化をMACHβ1 およびMACHβ2にもたらす。したがって、そのようなアイソフォームにおいて、 これらのヌクレオチドは、それらの独特なC末端領域をともに構成する他のアミ ノ酸をコードする。一方、MACHβ3およびMACHβ4においては、ブロック3のリ ーディングフレームは維持されているが、CED3/ICE領域および3'非コード領域 の一部が存在しないために、さらに下流のヌクレオチドのリーディングフレーム が変化している。この変化のために、この非コード下流領域の5'部分の大部分 は、これらの2つのアイソフォームに特徴的なC末端領域を構成する10個のアミ ノ酸をコードする。 アイソフォームを下記の細胞からクローン化した。ヒトB細胞cDNAライブラリ ー(MACHβ1)、ヒト胸腺cDNAライブラリー(MACHα1およびα2)、ヒトリン パ芽球細胞Raji(MACH2α1、α2、α3、β3、β4およびβ5)、およびヒ トリンパ芽球細胞Daudi(MACHα2、β2、β3、β4およびβ5)のmRNA。Raji 細胞およびDaudi細胞のmRNAからのクローニングを、3'非コード領域に対応する オリゴヌクレオチドおよびMACHβ1内の第2MORTモジュール内の配列に対応する オリゴヌクレオチドを使用するRT-PCRによって行った。したがって、そのような 方法で単離されたクローンの開始コドンは、第2のMORTモジュール内に位置する 。 異なるアイソフォームにおける配列は、互いに下記の通りに関連している:(a )すべてのMACHアイソフォームは、MORTモジュールを含む共通した182アミノ酸の N末端領域を有するが、これらのモジュールのカルボキシ末端(3'下流)、な らびにその非コード領域において異なっている。(b)それらのC末端配列に基づ いて、アイソフォームは2つのサブグループに分けられる:サブグループβとし て規定される4つのアイソフォームは、リーディングフレーム内の変化のために C末端が異なる。2つ(MACHβ1およびβ2)は、ツーハイブリッドスクリーニ ングにおいて最初にクローン化されたアイソフォームで見出されたC末端を有し 、2つ(MACHβ3およびβ4)は異なるC末端を有する;サブグループαと規定 される3つのアイソフォームは、CED3/ICEファミリーのプロテアーゼに非常に 似たさらに長いC末端領域を有する(下記参照);(c)MORTモ ジュール領域と、そのサブグループを規定するC末端領域との間に広がる領域は 、アイソフォーム毎に互いに異なっていた。しかし、詳細な検討によって、これ ら中間領域は、同じ3個のアミノ酸による配列ブロック(ブロック1、2および 3)の異なる組合せからなることが明らかになった。異なるクローン間でのアミ ノ酸配列の変化は、オルターナティブスプライシング(alternative splicing) によって生じることが最も確からしいヌクレオチド配列での2種類の変化を反映 する:(a)Lys184をコードするヌクレオチドの下流での2つのヌクレオチド配列 、45ヌクレオチド(nt)の配列および65ntの配列の一方またはその両方の挿入ま たは非存在;(b)MACHβ1において、3'非コード部分を構成する領域内でのさら なるインサートの存在。これらの変化は、タンパク質のリーディングフレームお よび長さの両方に影響する。 一部のMACHアイソフォームは、CED3/ICEホモログを含む。データバンク検索 によって、ブロック3およびその下流に広がる配列を含むMACHαアイソフォーム のC末端領域は、CED3/ICEファミリーのプロテアーゼに非常に似ていることが 明らかにされた。MACHにおけるこの領域とこのファミリーの様々な既知のヒトの メンバー、ならびにCaenorhabditis elegans ced3タンパク質との配列比較を行 った(EllisおよびHorvitz、1986;Yuanら、1993)。CED3/ICEプロテアーゼフ ァミリーの既知のヒトプロテアーゼ:CPP32(Fernandes-Alnemriら、1994)、こ れはまたアポパインとも呼ばれている(Nicholsonら、1995)およびYama(Tewari ら、1995b)、 Mch2α(Fernandes-Alnemriら、1995)、Ich-1(Wangら、1994;マウスNedd2 タンパク質のヒトのホモログ、Kumarら、1994)、ICErelII(<umdayら、1995) 、ICErelII(Mundayら、1995)、これはTXおよびIch2とも呼ばれている(Fauch euら、1995;Kamensら、1995)、およびICE(Thornberryら、1992;Cerrettiら 、1992)。 MACHの前記のC末端領域は、CPP32(41%の同一性および62%の相同性を有す る)およびCED3(34%の同一性および56%の相同性を有する)と最も良く似てい る。ICE(28%の同一性および50%の相同性を有する)、ならびにその非常に関連 するホモログのICErelII(TXおよびIch2とも呼ばれる)およびICErelIIIに対し てはあまり大きくない類似性を示す。類似性は、ブロック3内のTyr226から始ま って、MACHαアイソフォームのC末端までのほぼ全領域を通して認められた。 2点の類似性はとくに注目される: (a)CED3/ICEファミリーのすべての知られているプロテアーゼは、タンパク質 を、P1位置でのAspおよびP1'での小型の疎水性アミノ酸の存在によって規定さ れる部位で切断する。しかし、それらの特異性は、位置P2〜P4の残基の性質を 含む基質の他の構造的特徴に関して異なる。したがって、触媒作用に関与する活 性部位残基(ICEにおけるHis237、Gly238およびCys285に対応する)、およびP1 Aspのカルボン酸側鎖の結合ポケット(Arg179、Gln283、Arg341、およびおそら くはSer347も)は、これらのプロテアーゼの間で保存されている。これらの残基 は、MACHα1においても保存されている。しかし、1つの例外−ICEのScr347に 対応 する部位でのSerからThrへの保存的な置換が存在する。MACHaアイソフォームと そのプロテアーゼファミリーの他のメンバーとの間のわずかではあるが、重要と 考えられる配列の別の違いは、ICEのArg286に対応する残基のArgからGlnへの置 換である。予想される触媒活性システイン残基に隣接しているこの残基は、他の CED3/ICEファミリーのメンバーすべてにおいて完全に保存されている。基質のP 2〜P4残基の近くに位置する部位での残基部分もまた、MACHαアイソフォーム においては、他のCED3/ICEファミリーのメンバーにおいて見出された残基と異 なっている。 (b)CED3/ICEファミリーのプロテアーゼは自己切断部位を含有する。いくつか のプロテアーゼは、実際に、自己プロセシングし、そして最大触媒活性の呈示は このプロセシングに依存していることが知られている。それらの完全な生物学的 活性形態は、非共有結合的に会合した2つの切断産物からなる。それらは大きさ が異なる(ICEではp20およびp17;CPP32ではp17およびp12)。ファミリーの他の メンバーにおける自己切断可能部位の存在によって、それらは類似のプロセシン グを受けること、および同様に、最大活性の呈示はこのプロセシングに依存する ことが示唆されている。そのような自己切断の潜在的部位が、CPP32の場合とほ ぼ同じ位置でMACHα1に存在する。CPP32のp17サブユニットのN末端に対応する 部位は、CED3/ICE相同性領域のN末端のわずかに数アミノ酸上流(Asp216の下流 )の第2の保存されたアミノ酸ブロック内に位置する。CPP32の2つのサブユニッ ト間の切断点に対応する部位 は、切断されることが知られているCED3/ICEファミリーの他のすべてのメンバ ーの場合のように、触媒活性システイン残基の数アミノ酸下流(Asp374の下流) に位置する。このような保存は、MACHα1におけるCED3/ICE相同性領域がタン パク質分解プロセシングを受けることを示唆する。この切断の2つの予想される 産物の大きさは、プロセシングを受けたCPP32分子の2つのサブユニットの大き さに非常に接近している。 (c)MACH におけるCED3/ICE相同性領域はタンパク質分解活性を有する。 MACHaにおけるCED3/ICE相同性領域がタンパク質分解活性を有するかを明らか にするために、本出願者らは、Asp216とSer217との間にあるこの領域上流の潜在 的な切断部位からタンパク質のC末端まで広がる領域を、細菌でGST融合タンパ ク質として発現させた。細菌溶解物を、他のCED3/ICEホモログによって切断さ れ得ることが以前に示された蛍光性ペプチド基質の切断能について調べた。2つ の基質ペプチドを使用した:第1は、アセチル-Asp-Glu-Val-Asp-a-(4-メチル クマリル-7-アミド)(AC-DEVD-AMC)である。これは、核タンパク質のポリ(ADP− リボース)ポリメラーゼ(PARP)の配列に対応し、FAS-R刺激直後の細胞(Tewariら 、1995b)、ならびに他のアポトーシス過程(Kaufmann、1989;Kaufmannら、199 3;Lazebnikら、1994)において切断されることが見出された。この蛍光性基質 は、CPP32によって効果的に切断される。第2の蛍光性基質は、アセチル−Tyr-V al-Ala-Asp-AMC(Ac-YVAD-AMC) であり、IL-1β前駆体におけるICEの基質部位に対応する。この蛍光性基質は、 ICEによって切断される。MACHα1のCED3/ICE相同性領域を発現する細菌の溶解 物は、PARP配列由来の蛍光性基質を効果的に切断した。しかし、それらは、IL- 1β前駆体のICE切断部位(Thornberryら、1992)であるIL-1β前駆体配列由来 の蛍光性基質(コントロール)のAc-YVAD-AMCに対する測定可能なタンパク質分 解活性を有していなかった。タンパク質分解活性は、ヨード酢酸(5mM)によ って阻止された。このことによって、タンパク質分解活性はチオールプロテアー ゼによってメディエートされていることが確認される。触媒活性システイン残基 Cys360がSerによって置換されたGST融合MACH CED3/ICE相同性領域を含有する溶 解物による切断は認められなかった。さらに、GST融合タンパク質として全長のM ACHα1を発現する細菌から得られた溶解物はAC-DEVD-AMCを切断しなかった。こ れは、おそらくは、全長分子をプロセシングし得る細菌性酵素が存在しないため である。CED3/ICE相同性領域の2つの潜在的な切断産物のいずれかを含有する 溶解物による切断も生じなかった。 MACHα1のCED3/ICE相同性領域(タンパク質のSer217からC末端まで)のGST 融合タンパク質を発現する大腸菌の抽出物によるPARP配列に由来する蛍光性基質 AC-DEVD-AMC(50μM)の切断の反応速度論を、全長のMACHα1分子またはCED3/ ICE相同性領域の2つの潜在的なタンパク質分解産物(タンパク質のSer217〜Asp3 74およびAsp374〜C末端)のいずれか一方のGST融合タンパク質を発現する細菌の 抽出物による切 断がないことと比較して明らかにした。 さらに、MACHα1 CED3/ICE相同性領域をGSTとの融合で発現する細菌の抽出 物を用いて180分間インキュベートされるAC-DEVD-AMC切断の基質濃度依存性を明 らかにした。ヨード酢酸(5mM)存在下では切断は認められなかった。抽出物 は、IL-1β前駆体におけるICEの基質部位に対応する蛍光性基質のAc-YVAD-AMC に対しては活性を有さなかった。 簡単に記すと、GST融合タンパク質を、pGEX3発現ベクターを使用してXL1-bl ue細菌で作製した。細菌を、超音波処理により、25mM HEPES(pH7.5)、0.1%3-[3 -コルアミドプロピル)ジメチルアミノ]-1-プロパンスルホネート、5mM EDTAお よび2mM DTTを含有する緩衝液中で溶解し、その後、16,000Xgで10分間遠心分離 した。SDS-PAGE分析により、様々な融合タンパク質が類似した量で溶解物中に存 在することを確認した。抽出物の50μlずつ(4mg/mlの総タンパク質)を、所 定濃度の蛍光性基質を有する500μl総容量の反応で室温で所定時間インキュベ ートした。AMCの遊離を、励起波長が380nmで、放出波長が460nmの分光蛍光法に よって測定した。AMC濃度を標準曲線から求めた。両方の蛍光性基質ペプチドは 、ペプチド研究所(Peptide InstituteInc.)(大阪、日本国)から得た。他のCED 3/ICEプロテアーゼは、自己切断によるか、または他のプロテアーゼによるそれ らの切断を介して生じるタンパク質分解プロセシングの後でのみ完全な活性を呈 示することが示された(Kumar、1995の総説;Henkart、1996)。GST-MACHα1分 子を発現する細菌の溶解物は酵素活性 を有さないという本出願者らの観察は、CED3/ICE相同性領域を発現する細菌の 溶解物において認められた活性とは逆であり、これは、プロセシングはMACHα活 性のためにも必要であることを示唆する。MACHαプロセシングが哺乳動物細胞内 で生じる方法、およびこのプロセシングがFAS-Rまたはp55-Rの引き起こしにより どのようにもたらされるかは不明である。MORT-1は、細胞内で、いくつかの他 のタンパク質とともに活性化FAS-Rに結合することが示されている(Kischkelら、 1995)。これらタンパク質が、MACHα1および他のMACHアイソフォームを含むこ とは確かである。MORT-1が、MACHαと会合してFAS-Rに結合することにより、い くつかのMACH分子を結び付けるかまたはそれらにおける配座変化を誘導すること 、およびこれらの変化がMACHαの自己切断的プロセシングを引き起こすか、また は他のプロテアーゼによる切断に対してMACHαを感受性にすることはもっともら しいようである。p55-Rの刺激は、MACHαの自己プロセシングを、同様に、しか しあまり直接的な様式ではなく、いくつかのTRADD分子を結びつけることによっ て、あるいはそれらにおける配座変化を誘導し、ついでMORT-1およびその会合M ACH分子の生成または状態または凝集における変化を誘導することによって引き 起こさせることができる。 MACHαの基質特異性は、かなりの「デス配向性」であるようである。MACHαは 、デス基質PARP(Ac-DEVD-AMC)内の切断部位に対応する基質ペプチドを切断し得 るが、ICEによるIL-1β前駆体のプロセシング部位に対応するペプチド(Ac-YVA D-AMC)に対するタン パク質分解活性を示さなかった。MACHαによって切断される基質として役に立つ 細胞タンパク質の同定によって、このプロテアーゼによる死の誘導におけるさら に下流の事象が解明される。同様に、MACHαが切断する基質は、CPP32およびICE のようなCED3/ICEファミリーの他のメンバーである。これらプロテアーゼのい くつかは、実際に、FAS-RまたはTNFレセプターによる引き起こし後にプロセスを 受ける(Miuraら、1995;Schlegelら、1996;Chinnaiyanら、1996)。CED3/ICE ファミリーに属さないプロテアーゼもまた、おそらくは、直接的に、あるいは他 のCED3/ICEプロテアーゼの作用を介してMACHαにより活性化される。細胞死プ ロセスにおける多数のプロテアーゼの関与は、FAS-RおよびTNFレセプター誘導の 毒性から細胞を防御するための様々なプロテアーゼインヒビター、それはセリン プロテアーゼインヒビターおよびICE切断インヒビターならびにアンチセンスICE cDNAを含み、それらの報告された能力と一致する(WeitzenおよびGranger、198 0;Ruggieroら、1987;Enariら、1995;Losら、1995)。 ホスホリパーゼ、スフィンゴミエリナーゼおよびプロテインキナーゼを含む様 々な他の酵素が、TNFレセプターおよびFAS-Rによる細胞死誘導に参加し得る(Ei schenら、1994;Vandenabeeleら、1995;Cifoneら、1995およびそれらにおける 引用文献を参照のこと)。これらの酵素のいくつかは、MACHαによって開始され るタンパク質分解切断により活性化され得る。しかし、これらの死に関連する他 の活性の少なくとも一部は、MACHα刺激とは関係なく、別のシグナリング経路に よ って刺激されることもまた確かであるようである。細胞死誘導における2つ以上 のシグナリングカスケードの関与は、いくつかはp55-RおよびFAS/APO1と共通し ており、いくつかはそれらの1つだけによって誘導されるが、この2つのレセプ ターによって誘導される細胞死プロセスの共有する特徴および異なる特徴の両方 に関する報告と一致する(Grellら、1994;Schulzc-Osthoffら、1994;Wongおよび Goeddel、1994;ClementおよびStamenkovic、1994)。 (d)MACH α1はMORT1ならびにMACHβ1に結合する: MACHβ1が結合するように、MACHα1がMORT1に結合し得るかどうかを解明す るために、トランスフェクトした酵母でのタンパク質の相互作用を最初に調べた 。MACHα1は、酵母に対して大きな細胞傷害性作用を有するようである。この作 用は、(発現レベルはDNA結合ドメイン(DBD)ベクターの発現レベルよりも大き い)活性化ドメイン(AD)ベクター内のタンパク質を発現する酵母におけるコロ ニー形成の著しい減少として現れた。一方、触媒活性システイン残基Cys360をSe rで置換したMACHβ1(MACHα1(C360S))は、哺乳動物細胞(下記参照)または酵 母のいずれに対しても細胞傷害性ではなかった。MACHβ1と同様に、MACHα1(C 360S)は、トランスフェクトした酵母においてMORT-1に結合し、そしてそれ自身 にも結合した。MACHα1(C360S)はMACHβ1にも結合した。さらに、野生型MACH α1をMORT-1またはMACHβ1とともに発現する酵母は、トランスフェクトした タンパク質との相互 作用を示した。しかし、lac-Z産物の色の強度は、酵母コロニーの中で変化した ;ADベクター内およびDBDベクター内の両方のMACHα1でトランスフェクトした 酵母においては、おそらくは野生型MACHα1の細胞傷害作用のために、色素産物 は認められなかった。しかし、このような変化にもかかわらず、MORT1との組合 せまたはMACHβ1との組合せのいずれかでMACHα1を発現する酵母は、トランス フェクトしたタンパク質との相互作用に関して明らかに陽性であると評価された 。MACHα1は、MACHβ1とは異なり、ツーハイブリッド試験において自己相互作 用を示さなかった。 MACHα1(C360S)およびMACHβ1はともに、ヒト胚腎臓293-EBNA細胞の溶解物 に由来するMORT-1と同時に免疫沈降した。このことは、それらが哺乳動物細胞 においてもMORT-1に結合することを示している。MACHα1が哺乳動物細胞にお いてもMORT1に結合するかどうかをさらに試験するために、FLAGオクタペプチド と融合したMACHα1またはMACHβ1を、HAエピトープ標識のMORT1分子と一緒に 発現させた。それらのN末端でFLAGオクタペプチドに融合させた35[S]代謝標識 のMACHα1およびMACHβ1(FLAG-MACHa1およびβ1)、およびそのN末端でHAエ ピトープに融合させたMORT1(Fieldら、1988)をヒーラ細胞で発現させた。細胞 溶解物からのタンパク質の免疫沈降を、FLAGオクタペプチドに対するマウスモノ クローナル抗体(M2;イーストマンコダック)、HAエピトープに対するマウス モノクローナル抗体(12CA5、Fieldら、1988)、またはコントロールとしてのp 75 TNFレセプターに対す るマウスモノクローナル抗体(#9、Bigdaら、1994)を使用して行った。タンパ ク質をSDS-PAGEポリアクリルアミドゲル電気泳動(12%アクリルアミド)によっ て分析し、その後オートラジオグラフィーを行った。MACHα1およびMACHβ1は ともに、細胞溶解物に由来するMORT1と同時に免疫沈降した。これは、それらが MORT1に結合することを示す。MACHα1のMORT1との相互作用の効果は、MACHβ 1の効果よりも低いようであった。 (e)CED 3/ICE相同性領域を含有するMACH分子は細胞死をメディエートし得る: 細胞死誘導におけるMACHの関与を明らかにするために、細胞生存性に対する様 々なMACHアイソフォームの過剰発現の影響を調べた。試験を、トランスフェクシ ョンマーカーとしてのβ-ガラクトシダーゼ発現ベクターとともに、MACH発現ベ クターをヒト胚腎臓細胞293-EBNA細胞および乳腺ガンMCF7細胞にトランスフェ クトすることによって行った。 簡単に記すと、293-EBNA細胞、MCF7ヒト乳腺ガン細胞およびヒーラHtTA-1細 胞を、10%ウシ胎児血清、非必須アミノ酸、100U/mlペニシリンおよび100μg/ mlストレプトマイシンを補充したダルベッコ改変イーグル最少必須培地で増殖さ せた。細胞組織培養ディッシュ(6cmディッシュ中に5×105個の293-EBNA細胞、 3×105個のMCF7細胞または3×105個のヒーラ細胞)の一時的なトランスフェク トを、リン酸カルシウム沈澱法を使用して、β-ガラクトシダーゼ発現ベクター とと もに指示されたタンパク質のcDNAを用いて行った。1組の実験において、各ディ ッシュを、3.5μgのMACH構築物および1.5μgのpSV-β-galを用いてトランスフェ クトした;別の組の実験においては、2.5μgの指示されたMACH構築物またはMORT 1構築物(あるいは、コントロールとして、空のベクター)および1.5μgのpSV-β -galを用いてトランスフェクトした。細胞をトランスフェクションの6〜10時間 後に洗浄した。293-EBNA細胞およびMCF7細胞を、さらに処理することなく、さ らに18時間インキュベートした。ヒーラ細胞は、トランスフェクション後、26時 間インキュベートし、ついで、抗Fas.APO1抗体(CH11、0.5μg/ml)またはTN F(100ng/ml)のいずれかの存在下で、シクロヘキシミド(10μg/ml)ととも に5時間インキュベーションした。インキュベーション終了時における細胞死の 程度を、Kumarら(1994)によって記載されているように、β−ガラクトシダー ゼ発現の測定によって評価した。 MACHα1またはMACHα2のいずれかの発現ベクターでトランスフェクトした培 養物は、細胞が丸くなり、泡状突起を形成し、収縮して、最後にはディッシュか ら細胞が剥離することによって示される甚だしい細胞死を示した。トランスフェ クションの20時間後までにおいて、β−ガラクトシダーゼ染色(X-Gal)によっ て同定されたトランスフェクトした細胞の大部分は、アポトーシスに典型的な凝 縮した形態を示した。これとは対照的に、空のベクターを発現する細胞は生存し 続けた。 それらアポトーシス作用におけるMACHαアイソフォーム内のCED3/ICE相同性 領域の関与を調べるために、細胞を下記の発現ベクターでトランスフェクトした 。CED3/ICE相同性領域を欠失しているMACHβ1アイソフォーム発現ベクター、 ならびにその領域のN末端部分を欠失しているMACHα3発現ベクター、およびMA CHα1(C360S)発現ベクター、およびCED3/ICEプロテアーゼ機能に重要と考えら れる残基の1つ(ICEのSer347に対応)を欠失しているMACHα1のC末端短縮変 異体(MACHa1(1-415))発現ベクター。MACHα3、MACHα1(1-415)またはMACH α1(C360S)の発現ベクターでトランスフェクトした293-EBNA細胞またはMCF7細 胞において、(空の発現ベクターでトランスフェクトした細胞で認められるわず かな量を超える)死は生じなかった。さらに、これらのベクターとともにMACHα 1でトランスフェクションされた細胞はまた、ほとんど細胞死を示さなかった。 このことは、不完全なCED3/ICE領域を含有するMACH分子は、野生型分子の活性 に対する負の優性作用を有することを示す。CED3/ICE領域を全く含有しないMAC Hβ1を発現する培養物は、わずかにいくらかの細胞死を示した。内因性のMACH α1分子の活性化から生じることが最も確からしいMACHβ1のこの作用は、どう いう訳か、トランスフェクトされたヒーラ細胞ではより顕著であった。さらに、 ヒーラ細胞においては、MACHα3、MACHα1(1-415)およびMACHα1(C360S)は また、いくらかの細胞傷害性であった。 MACHα活性は、FAS/APO1およびp55-Rの細胞殺傷作用に関するシグナリングカ スケードの最も上流の酵 素段階を構成するようである。MACHβ1がMORT-1およびMACHα1の両方に結合 する能力によって、このアイソフォームが酵素的に活性なアイソフォームの活性 を増強することが示唆されている。いくつかのMACHアイソフォームはさらなる機 能を有する可能性がある。MACHβ1がMORT-1およびMACHα1の両方に結合する 能力によって、このアイソフォームが酵素的活性アイソフォームの活性を増強し 得ることが示唆されている。このアイソフォームでトランスフェクトした293-EB NA培養物およびMCF7培養物において認められた穏やかな細胞傷害性、およびそ れがヒーラ細胞において示すかなり大きな細胞傷害作用は、おそらくは、トラン スフェクトしたMACHβ1分子への結合時における、内在的に発現したMACHα分子 の活性化を反映している。いくつかのMACHアイソフォームはまた、FAS/APO1お よびTNFレセプターの細胞傷害性でない他の作用に関与している分子のドッキン グ部位として作用し得ることが考えられる。 (f)MACH α機能の阻止は、Fas/APO1および55-Rによる細胞死誘導を妨害する Fas/APO1およびp55-Rの細胞傷害性に対するMACHαの寄与を評価するために、 MACHα3ならびに非機能的MACHα1変異体のMACHα1(1-415)およびMACHα(C36 0S)を、このような細胞傷害性の呈示が誘導される細胞で発現させた。p55-R誘導 の細胞傷害性は、293-EBNA細胞においては、このレセプターの一時的な過剰発現 によって引き起こされた(Boldinら、1995a)。 Fas/APO1細胞傷害性は、p55-Rの細胞外ドメインならびにFas/APO1の膜貫通ド メインおよび細胞内ドメインからなるキメラ分子の過剰発現によって引き起こさ れた。このキメラは、正常なFas/APO1の細胞傷害性よりもかなり大きな細胞傷 害作用を有した。ヒーラ細胞における細胞傷害活性はまた、細胞をTNFまたは抗F as/APO1抗体を用いてタンパク質合成阻止剤シクロヘキシミドの存在下で処理す ることによって誘導された。ヒーラ細胞は、このレセプターの一時的な発現によ ってFas/APO1に応答し得るようになった。調べた系のすべてにおいて、MACHα 3および非機能的MACHα1変異体は、Fas/APO1またはp55-Rの引き起こしによっ て誘導される細胞傷害性に対する効果的な防御をもたらした。そのような防御は また、以前に報告されていたように(Hsuら、1996;Chinnaiyanら、1996)、MAC H結合領域を欠失しているMORT-1のN末端欠失変異体(MACH1(92-208))により トランスフェクトした細胞で認められた。これらの防御作用は、MACHαが、細胞 死に関するFas/APO1誘導シグナリングカスケードおよびp55-R誘導シグナリング カスケードの両方の必要な成分であることを示す。 MACHの発現は、組織で異なり、著しく異なるレベルであり、そして異なるアイ ソタイプパターンであることも明らかである。これらの違いは、おそらくは、FA S/APO1リガンドおよびTNFに対する応答の組織特異的特徴に寄与する。他のCED 3/ICEホモログの場合(wangら、1994;Alnemriら、1995)のように、不完全なCED 3/ICE領域を含有するMACHアイソフォーム(たとえば、MACH α3)は、同時発現したMACHα1分子またはMACHα2分子の活性を阻害すること が見出されている;それらはまた、FAS/APO1およびp55-Rによる死の誘導を阻止 することも見出されている。そのような阻害性アイソフォームの細胞内発現は、 FAS/APO1がメディエートする細胞傷害性およびTNFがメディエートする細胞傷害 性に対する細胞の自己防御機構を構成し得る。CED3/ICEファミリーの他のプロ テアーゼのいずれかについて認められた不均一性を大きく超えるMACHアイソフォ ームの広い不均一性は、活性MACHアイソフォームの機能のとくに細かい調節を可 能にするはずである。実施例1:MORT-1結合タンパク質Mch4に結合するG1タンパク質のクローニング および単離 (i) ツーハイブリッドスクリーニングおよびツーハイブリッドβ-ガラクトシダー ゼ発現試験 本明細書の前記の参考例1〜3において示された手順を使用して、G1と呼ば れる新しいタンパク質を単離した。このタンパク質は、ICE様プロテアーゼファ ミリーのメンバーに対して明らかに相同的であり、したがっておそらくそのメン バーである。そのG1タンパク質は、MORTモジュールに対する相同性を有するモ ジュールを2つ含有する。すなわち、MORT-1のN末端部のMACHタンパク質のMOR Tモジュール(前記の参考例1〜3およびBoldinら、1996を参照のこと)および 別の関連するMORT-1結合タンパク質Mch4のMORTモジュール(Fernandes-Alnemr iら、1996;Srinivasulaら、1996)に対する相同性を有するモジュール。さらに 、 そのG1タンパク質は、CED3/ICEファミリーのプロテアーゼの酵素的(プロテア ーゼ)領域に相同的な酵素的(プロテアーゼ様)領域を有する(たとえば、MACH タンパク質およびMch4などのプロテアーゼ領域)。 簡単に記すと、タンパク質G1の1つのクローン(「クローンG1」)を、ヒトJu rkat T細胞cDNAライブラリーのツーハイブリッドスクリーニングにしたがって、 タンパク質Mch4を「おとり」として使用して得た。Gal4活性化ドメイン標識のヒ トJurkatT細胞cDNAライブラリーを使用したスクリーニングは、HF7c酵母レポ ーター株(クロンテック、Palo Alto、Ca)を3-アミノトリアゾールの非存在下 においてマッチメーカー(登録商標)ツーハイブリッドシステムプロトコル(ク ロンテック)にしたがって使用して行った。Mch4配列をEMBLデータベースから得 た。この得られた配列を使用して、PCRプライマーをOLIGO4(登録商標)ソフト ウエアによって設計した。Mch4のコード部分に対応するDNAフラグメントを、逆 転写酵素PCR(RT-PCR)によって、初代ヒト臍帯静脈内皮細胞から(標準的な方法 によって)得られた全RNAから得た。ついで、Mch4のこのコード部分をpGADGH( クロンテック)にクローン化して、前記のように、ツーハイブリッドスクリーニ ング手順のおとりとして使用した。このツーハイブリッドスクリーニングにおい て、11個のクローンを得た。このクローンはすべて、MORT-1に相同的な2つの モチーフを含有するスプライシング変異体のタンパク質であることが明らかなタ ンパク質をコードしていた。G1の予備的な部分配列、ならびに「dbcst」データ ベースお よびHuman Genome Databaseレベル1の配列の分析によって、クローンG1の配列 の一部を含有する多数の発現配列標識(est)を得ることができた。これらのest の配列分析によって、ICE様プロテアーゼに相同的なタンパク質モチーフをコー ドする配列領域を含有する多数のスプライシング変異体のタンパク質G1が存在 し得ること、およびこの配列領域が、ツーハイブリッドスクリーニングで得られ たG1配列の3'に位置していることが明らかになった。 プロテアーゼ様酵素領域を含有するG1のアイソフォームの完全な配列を得る ために、逆転写酵素反応を、様々な細胞株から得られた全RNAに対して、15dT領 域およびcDNA分子を得るためのアダプター配列を含有するオリゴヌクレオチドを プライマーとして使用して行った。ついで、これらのcDNA分子をPCR反応におけ るテンプレートとして使用した。このPCRプライマーは、G1の5'非コード部分 から得られた配列およびアダプター配列を有するオリゴヌクレオチドの形態で設 計および合成が行われた。これらのプライマーを1回目のPCR反応で使用した。 続く2回目の前記のPCR反応において、開始ATGを含むG1の5'コード部分から得 られる配列ならびにアダプター配列を有するさらなるオリゴヌタレオチドプライ マーを使用した。このような方法で、酵素的(プロテアーゼ様)領域を含有する G1タンパク質の明らかなスプライシング変異体の完全な配列を得ることが可能 であった。これは、考えられるG1アイソフォームの1つを単に表すだけである 。 そのような1つのG1アイソフォーム(G1スプライ シング変異体)の仮の配列を図1に示す。図1において、上段の配列はヌクレオ チド配列であり、下段の配列は、ATG(ヌクレオチド番号482)から始まり、TAA (ヌクレオチド1921)で終わるORFの推定アミノ酸配列である。これら開始ヌク レオチドおよび終了ヌクレオチドを、ヌクレオチド配列内の星印(*)によって 示す。図1のG1スプライシング変異体はまた、推定的に「G1α」と呼ばれてい る。 図2に、別のG1アイソフォームの仮の配列を図示する。これは、2つのMORT モジュールを有する短いG1スプライシング変異体であり、推定的に「G1β」と 呼ばれている。上段の配列はヌクレオチド配列であり、下段の配列は、ヌクレオ チド番号482(ATG)で始まり、ヌクレオチド1145(TGA)で終わるORFの推定アミ ノ酸配列である。この開始ヌクレオチドおよび終了ヌクレオチドを、ヌクレオチ ド配列内の星印(*)によって示す。 さらに、Mch4配列を「おとり」として使用して得られたオリジナルの単離G1 クローンは、G1β(図2を参照のこと)と呼ばれるG1の短いスプライシング変 異体の少なくとも一部であることに注意しなければならない。このオリジナルに 単離されたG1クローンは、新規cDNAの部分クローンであった。これは、MACH(CA SP-8)およびMch4(CASP-10)と同様に、そのN末端のちょうど下流に2つの「 デスドメイン」モチーフ/Mortモジュール(または、「デスェフェクタードメイ ン」−DED)を含有していた(図3もまたは参照のこと)。ついで、このオリジ ナルのクローンを使用して、より大 きなスプライシング変異体G1αおよびより短いスプライシング変異体G1βのcD NAクローンの単離および特徴づけが可能であった。より大きなスプライシング変 異体は、カスパーゼのプロテアーゼ領域に相同的なC末端領域を有していた。し たがって、この変異体は、カスパーゼファミリーの新しいメンバーであることは 確かである。そうであるように、G1はまた、「カスパーゼホモログ」の代わり にCASHと呼ばれている。G1α(CASHα)配列およびG1β(CASHβ)配列と他の カスパーゼ配列との比較を行った(さらに詳細な点、とくに、マウスG1配列の 単離については、図3に関する下記および上記の「図面の簡単な説明」を参照の こと)。この比較結果を図3に図示する。その充分な詳細、とくに、この図に示 された配列に対する解説の充分な詳細を、上記の「図面の簡単な説明」に示す。 G1、とくに、G1αアイソフォームおよびG1βアイソフォームの上記の最初 のクローニングおよび配列決定の後に、これらのタンパク質をさらに分析した: (ii)ノーザン分析およびさらなる配列分析: ノーザンブロット分析により、G1タンパク質は、少なくとも3つの異なる転 写物サイズ(2kb、2.4kbおよび4.4kb)で存在していることが明らかになった。 その割合は異なる組織の間で大きく変化する(図4)。G1(CASH)の全長cDNA を得るために、ヒト皮膚線維芽細胞のcDNAライブラリー(クロンテック)を、G 1配列に対応するcDNAプローブを用いてスクリーニングした。G1の2つのスプ ライシング変異体に明らかに対応する2つのcDNA種を得た(上記もまた参照のこ と)。 これら2つのcDNAによりコードされるタンパク質は、デスエフェクタードメイン を含有するN末端領域を有していたが、それらのC末端は異なっていた。1つ( G1β=CASHβ)は、オリジナルにクローン化されたcDNAのC末端に対応する短 いC末端を有していた。もう一方(G1α=CASHα)は、長いC末端を有してい た。 G1αのこの長い方のC末端領域におけるアミノ酸配列は、MACH(CASP-8)お よびMch4(CASP-10)のプロテアーゼ前駆体領域のアミノ酸配列に対するかなり 大きな相同性を示した(図3もまた参照のこと)。しかし、G1αは、プロテア ーゼ活性に関して極めて重要であると考えられる残基のいくつかを欠失していた 。このことは、このタンパク質はシステインプロテアーゼ活性を有しないかもし れないことを示唆する。興味深いことに、G1αは、MACH(CASP-8)およびMch 4(CASP-10)のプロテアーゼ領域内のタンパク質分解プロセシング部位に対応 する部位にカスパーゼ基質配列を含有する(図3における陰影部)。予備的なデ ータにより、G1αは、実際に、MACHによってこの部位において切断され得るこ とが示唆されている(結果を示さず)。 G1の一部の「デスドメイン」(DED)のマウスホモログに対応することが見出 されているESTクローンのヌクレオチド配列に基づいて、マウスのCASHαおよびC ASHβの両スプライシング変異体のcDNAを、マウス肝臓mRNAからRT-PCRによって クローン化した。ESTクローン(GcnBankアクセス番号AA198928)が、G1の一部 のDED領域のマウスホモログとして同定された。 この配列に基づいて、マウス肝臓mRNAに由来するマウスのG1α(CASHα)およ びG1β(CASHβ)のスプライシング変異体をRT-PCRによってクローン化した。 逆転写酵素反応を、オリゴdTアダプタープライマー(5'-GACTCGAGTCTAGAGTCGAC (T)17-3')、および製造者の指示にしたがって使用したAMV逆転写酵素(プロメ ガ)を用いて行った。1回目のPCRは、Expand Long Template PCR System(ベー リンガーマンハイム)を用いて下記のセンスプライマーおよびアンチセンスプラ イマーを使用して行った:それぞれ、 5'-GGCTTCTCGTGGTTCCCAGAGC-3'および 5'-GACTCGAGTCTAGAGTCGAC-3'(アダプター)。2回目は、Ventポリメラーゼ( NEB)を用いて内側のセンスプライマー:5'-TGCTCTTCCTGTGTAGAGATG-3'および アダプターを使用して行った。 配列比較によって、高い保存性がG1α(CASHα)分子の全体を通して明らか にされた(DED領域における71%の同一性およびプロテアーゼ相同性領域におけ る59%の同一性)。このことは、タンパク質内のDED領域およびプロテアーゼ相 同性領域はともに、その機能に寄与していることを示唆する(図3を参照のこと )。 (iii)G 1アイソフォームの結合特異性に関するツーハイブリッド分析: G1α(CASHα)およびG1β(CASHβ)の相互作用特性のツーハイブリッド試 験(図5)によって、両変異体は、最も確からしいことにはそれらの共有のDED 領域を介して、MORT1/FADDおよびMACH(CASP-8)と相互作用することが明らか にされた。注目すべきこ とに、G1β(CASHβ)は、Mch4(CASP-10)に結合するタンパク質に関するツー ハイブリッドスクリーニングによって最初にクローン化されたが、この試験にお いては、Mch4(CASP-10)およびG1α(CASHα)に弱く結合し、Mch4にはほん の弱く結合するようであることが見出された。しかし、G1タンパク質をクロー ニングするための最初のツーハイブリッドスクリーニングは、結合特異性を評価 するためのこのツーハイブリッドスクリーニングとは異なっていたことに注意し なければならない。したがって、実際には、G1αおよびG1βはともに、オリジ ナルのクローニング結果が示すように、MACHおよびMch4に結合するようである 。2つのG1変異体はまた、自己会合して互いに結合するが、RIPまたはTRADD(M ORT1/FADDと同様に、デスドメインを含有するが、DEDを欠失しているアダプタ ータンパク質)には結合しなかったし、特異性コントロールとして使用した多数 の関係のないタンパク質(たとえば、ラミン)には結合しなかった。 G1の機能をさらに調べるために、その2つの変異体の一時的な発現をヒーラ 細胞および293-T細胞で行い、トランスフェクトしたされたタンパク質の下記の 作用を評価した。TNFによって引き起こされるか、またはレセプターの過剰発現 によって引き起こされる細胞傷害性に関するp55-R(CD120a)誘導のシグナリン グに対する作用、ならびにFAS-Rの抗体架橋によって引き起こされるか、またはp 55-R(CD120a)の細胞外ドメインおよびFAS-R(CD95)の細胞内ドメインからな るキメラレセプター(図6を参照のこと)の過剰発現に よって引き起こされる細胞傷害性に関するFAS-R(CD95)誘導のシグナリングに 対する作用。両方の細胞株において、G1β(CASHβ)だけの発現は、細胞生存 性に対する作用を有さなかったが、p55-R(CD120a)ならびにFAS-R(CD95)によ る細胞死の誘導を強く阻害した。G1α(CASHα)変異体の発現は、この2つの 細胞株に非常に異なる影響を与えた。ヒーラ細胞においては、G1β(CASHβ) と同様に、p55-R(CD120a)およびFAS-R(CD95)の細胞傷害性が阻害された。し かし、293-T細胞においては、著しい細胞傷害性が生じた。類似した細胞傷害性 が、G1αタンパク質を293-EBNA細胞で発現させたときに認められた(示さず) 。この細胞傷害作用は、バキュロウイルス由来のカスパーゼインヒビターである p35の同時発現によって完全に阻止され得る(p35については、Clemら、1991;Xu eおよびHorvitz、1995もまた参照のこと)。 G1α(CASHα)内のプロテアーゼ相同性領域のその細胞殺傷作用に対する寄 与を評価するために、2つの変異体タンパク質の機能を調べた。これらの変異体 を下記に示す:G1/CASHα(1-385)およびG1/CASHα(1-408)。これらは、成熟 プロテアーゼの小サブユニットに由来するプロテアーゼドメインのそのような部 分に対応する領域でのC末端欠失を有する。両変異体は、細胞傷害作用を何ら有 していなかった。さらに、G1β(CASHβ)と同様に、それらは、293細胞を、p55- R(CD120a)およびFAS-R(cd95)による死の誘導から保護した(図6Cおよび6D )。 上記の手順について、下記の方法および材料を用い たことに注意しなければならない。 (i)G1α(CASHα)欠失変異体およびp55-R/FAS-R(CD120a/CD95)キメラを、 PCRおよび/または従来のクローニング技法によって作製した。G1(CASH)スプ ライシング変異体、FAS-R(CD95)またはp55-R(CD120a)のシグナリングカスケード タンパク質(すべて、ヒト起源)およびバキュロウイルスp35タンパク質を、哺 乳動物細胞において、pcDNA3発現ベクター(Invitrogen)を使用して発現させた 。β-ガラクトシダーゼを、pCMV-β-galベクター(プロメガ)を使用して発現さ せた。 (ii)ヒト胚腎臓の293-T細胞および293EBNA細胞、ならびにトランスフェクトし たヒトFAS-R(CD95)を安定的に発現するヒト頸腺ガンヒーラ細胞(ヒーラ-Fas; HtTA-1クローン)(本発明者らの実験室において樹立)を、10%ウシ胎児血清、非 必須アミノ酸、100U/mlペニシリンおよび100mg/mlストレプトマイシンを補充 したダルベッコ改変イーグル最少必須培地で増殖させた。 上記の知見は、G1がp55-RおよびFAS-Rのシグナリング複合体の成分と相互作 用し得ること、およびそれは、G1スプライシング変異体の同一性および発現細 胞のタイプに依存して異なるかもしれない方法で死の誘導に影響を与えることを 示す。 G1βによる細胞傷害性誘導の阻害、およびヒーラ細胞の場合には、さらにG1 αによる細胞傷害性誘導の阻害は、明らかに、このタンパク質の「デスドメイン 」(DED)領域によってメディエートされている。これは、おそらくは、G1のDE Dと、MORT1/FADDへの結合に関 するMACH(CASP-8)およびMch4(CASP-10)における対応領域との競合を反映し ている。 CASHαが293細胞の死を生じさせる方法に関して、p35タンパク質のこのような 細胞傷害作用を阻止する能力は、細胞傷害性がカスパーゼの活性化によってメデ ィエートされることを示している。しかし、G1αは、カスパーゼに対して顕著 な配列相同性を示すとしても、実際には、保存されたカスパーゼ活性部位残基の いくつかを有していないために、システインプロテアーゼ活性を有していない。 したがって、G1αは、カスパーゼ活性を持たない他の分子を活性化することに よって作用し得る。 別の可能性は、G1αは、プロテアーゼとして単独で作用することができない が、それにもかかわらず、活性なプロテアーゼ分子の一部を構成し得るというこ とである。CASP-1およびCASP-3の構造に関する結晶解析学研究によって、プロ セスされたそれぞれの酵素の小プロテアーゼサブユニットおよび大プロテアーゼ サブユニットは、別個のプロ酵素分子に由来することが示されている(Walkerら 、1994;Wilsonら、1994;Mittlら、1997;Rotondaら、1996)。小プロテアーゼ サブユニットに対応する領域の完全性に対するG1α細胞障害活性の認められた 依存性(図6C)を考慮して、G1α(CASHα)内のこの領域は、酵素的活性分 子を再構成し得る方法で、あるカスパーゼの大サブユニット領域と会合し得るこ とが考えられる。その後、得られる活性ヘテロ四量体は、他のカスパーゼを活性 化することができ、したがって細胞死を引き起こし得るはずであ る。 さらに、G1は、IL-1によってメディエートされるシグナリング経路に関与す るMYD88と呼ばれる別のタンパク質に対して少なくともいくらかの相同性を有す ることもまた得られている(結果を示さず)。したがって、G1は、他のサイト カインにより開始/メディエートされる他の経路にも関与し得る。 G1タンパク質(少なくとも2つのそのアイソフォーム)のクローニングおよ び単離に関する上記を考慮して、G1の下記の特徴および使用が得られる。 (i)G1を、ツーハイブリッドスクリーニングによって、MORT-1結合タンパク 質Mch4を結合する分子として、したがって、Mch4およびMORT-1の活性のモジ ュレーションに関与していることが確かな分子としてクローニングした。したが って、上記の機構によって、G1は、FAS-Rおよびp55-Rによって開始される細胞 事象のモジュレーションにおそらく関与している。Mch4は、MORT-1に結合する ことが可能であり、細胞の細胞傷害性および最終的には細胞死に直接的に関与し ているので、また、Mch4のいくつかのアイソフォームは細胞死を阻害すること も知られているので、様々なアイソフォームを含むG1は、細胞の細胞傷害性お よび細胞死の両方に、細胞死の阻害と同様に、直接的にまたは間接的に関与し得 ることが考えられる。 (ii)G1は、MACHの2つのMORTモジュール(上記の参考例1〜3を参照のこと) およびMch4の2つのMORTモジュールに相同的な2つのMORTモジュールを含有す るN末端領域を明らかに有する。したがって、G1に おけるこれらMORTモジュールの存在は、Mch4を結合するG1の能力を説明するよ うであり、G1(または、少なくともいくつかのそのアイソフォーム)が、MACH(ま たは、少なくともいくつかのそのアイソフォーム)およびMORT-1に直接的に結合 することもまた可能にすることが考えられる。したがって、G1は、MORT-1に直 接結合することによって直接的に、あるいはその後にMORT-1を結合するが知ら れているMch4および/またはMACHに結合することによって間接的に、MORT-1の 活性(ついで、FAS-Rおよびp55-Rの活性)をモジュレートし得る。 (iii)上記のデータバンクおよびスクリーニングにおけるG1配列の分析によっ て、G1は、ヒト第2染色体のMch4座およびMACH座の近くに位置しているらしい こともまた明らかにされた。これは、染色体レベルにおいてもまた、これらのタ ンパク質のすべてをコードする遺伝子の間における密接な関係を示す。 (iv)G1アイソフォームの少なくともいくつか(たとえば、図1のG1αアイソ フォーム)は、MORTモジュール領域の下流に、MACHおよびMch4の酵素、すなわ ち、プロテアーゼ領域との類似性を示す領域を有する。したがって、G1は、CED 3/ICEプロテアーゼファミリーのメンバーであり得る。 (v)G1アィソフォームの少なくともいくつか(たとえば、G1α)におけるプ ロテアーゼ様領域の存在によって、G1またはそのようなそのアイソフォームは 、TNF/NGFレセプターファミリーのレセプター(たとえば、FAS-Rおよびp55-R) 、ならびに細胞傷害性および炎症をも たらす細胞内プロテアーゼ活性を介して直接的にまたは間接的に作用する他のレ セプターをも含む様々な刺激によって引き起こされる細胞の細胞傷害性および炎 症に直接的に関与し得ることが示されている。 (vi)G1はまた、TNF/NGFレセプターファミリーのレセプターおよび共通した細 胞内エフェクターを有する他のレセプターによってメディエートされる細胞の細 胞傷害性、炎症および他の関連する作用に至る細胞内機構において、たとえば、 MACHタンパク質およびMch4タンパク質(それらの様々なアイソフォームを含む )などの他のタンパク質の活性のエンハンサーまたは増強因子として作用し得る 。G1(または、少なくともそのアイソフォームのいくつか)のエンハンサーま たは増強因子の作用は、G1がこれらの他のタンパク質に結合し(上記のように 、G1は、Mch4に結合し、そしてMACHおよびMORT-1にもおそらく結合する)、 それによって(MORT-1の自己会合を含めて)MORT-1に結合するために、あるい はMORT-1とは無関係に作用するためにそれらを集めることによって生じ得る。 (vii)G1は他のタンパク質の活性インヒビターとしても作用し得る。これは、 G1が、それが結合する他のタンパク質(たとえば、Mch4、そしてMACHおよびMOR T-1もまた確からしい)の複合体の一部であり、それによってこの活性の阻害量 に対して細胞傷害性に影響を及ぼすことによるものであり得る。さらに、いくつ かのMACHアイソフォームならびにいくつかのMch4アイソフォームに関する上記 の類似する様式において、特異的な阻害活性を有するG1アイソフォームもまた 存在し 得る。そのようなG1アイソフォームの1つは、図2に示すG1βアイソフォーム であり得る。これは、2つのMORTモジュールを有するが、他の知られているプロ テアーゼに類似する明らかなプロテアーゼ様領域は有さない。 これまで、本発明を充分に説明してきたが、本発明は、本発明の精神および範 囲から逸脱することなく、そして過度の実験を行うことなく、広範囲の等価なパ ラメーター、濃度および条件において実施し得ることは、当業者によって充分に 理解されるであろう。 本発明をその具体的な態様と関連して説明してきたが、さらなる改変が可能で あることは理解されるであろう。本出願は、一般に、本発明の原理に従い、そし て本発明が関係する分野において知られている操作または慣用的な操作で生じる ような本開示からの発展、ならびに本明細書の前記に記される本質的な特徴に適 用することができ、添付した請求の範囲内においてしたがうような本開示からの 発展を含む本発明の任意の変化、使用または適応を含むものとする。 本明細書中に引用されるすべての参照文献は、雑誌の記事または要約、公開ま たは対応の米国特許出願または外国特許出願、発行された米国特許または外国特 許、あるいはいずれかの他の参照文献を含み、本明細書中に参考として、すべて のデータ、表、図および参照文献に示される本文を含むすべてが援用される。さ らに、本明細書中に引用された参照文献における引用文献の内容のすべてもまた 、参考としてすべてが援用される。 既知の方法工程、従来の方法工程、既知の方法または従来の方法に対する参照 は、いかなる点においても、本発明の任意の面、説明または態様が関連分野にお いて開示、教示または示唆されていることを承認するものではない。 特定態様の前記の説明は、本発明の一般的な性質を完全に明らかにしているの で、(本明細書中に引用された参照文献の内容を含む)この分野の技術内の知識 を適用することによって、過度な実験を行うことなく、本発明の一般的な思想か ら逸脱することなく、様々な適用のために、そのような特定態様の容易な改変お よび/または適応を行うことが可能である。したがって、そのような適応および 改変は、本明細書中に示された教示および指針に基づいて、開示された態様の均 等物の意味および範囲に含まれるものとする。本明細書中の表現または用語は、 説明するためのものであり、限定するためのものではない。したがって、本明細 書中の用語または表現は、当業者の知識との組合せにおいて、本明細書中に示さ れる教示および指針を参照して当業者により解釈され得ることを理解しなければ ならない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 31/18 A61P 43/00 105 35/00 C12N 1/15 43/00 105 1/19 C12N 1/15 1/21 1/19 9/00 1/21 9/64 5/10 C12Q 1/68 A 9/00 G01N 33/15 Z 9/64 33/50 Z C12Q 1/68 C12N 15/00 ZNAA G01N 33/15 5/00 A 33/50 A61K 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,GM,KE,LS,M W,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY ,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM ,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY, CA,CH,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,E S,FI,GB,GE,GH,GM,GW,HU,ID ,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ, LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MD,M G,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT ,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL, TJ,TM,TR,TT,UA,UG,US,UZ,V N,YU,ZW (72)発明者 ゴルトセフ、ユラ イスラエル国、76100 レホボト、ルーム 410、ベイト クローレ、ワイズマン インスティチュート オブ サイエンス (番地なし) (72)発明者 コバレンコ、アンドレイ イスラエル国、76100 レホボト、ルーム 223、ベイト クローレ、ワイズマン インスティチュート オブ サイエンス (番地なし) (72)発明者 バルフォロミーフ、ユージン イスラエル国、76100 レホボト、ルーム 412、ベイト クローレ、ワイズマン インスティチュート オブ サイエンス (番地なし) (72)発明者 ブロジアンスキー、バジム イスラエル国、76251 レホボト、レコフ ハバルトスキー 10/12

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. 少なくとも1つのG1タンパク質のアイソフォーム、またはそのフラグメン トおよびアナログをコードするDNA配列であって、前記少なくとも1つのG1アイ ソフォーム、またはそのフラグメントおよびアナログがMORT-1および/またはM ORT-1結合タンパク質のいずれか、または他の細胞内メディエーター/モジュレ ータータンパク質と直接的または間接的に結合または相互作用し得、かつFAS-R またはp55-TNF-R、または他の細胞傷害メディエーターまたはインデューサーに よりメディエートされる細胞内作用をメディエートし得る、少なくとも1つのG 1タンパク質のアイソフォーム、またはそのフラグメントおよびアナログをコー ドするDNA配列。 2.(a)G1タンパク質のネイティブのアイソフォームのコード領域に由来するc DNA配列; (b)適度なストリンジェント条件下に(a)の配列とハイブリダイゼーション し得、かつG1タンパク質の生物学的に活性なアイソフォームをコードするDNA配 列;および (c)(a)および(b)に規定されるDNA配列に対する遺伝コードの結果として縮 重し、かつG1タンパク質の生物学的に活性なアイソフォームをコードするDNA配 列、 からなる群から選択された請求の範囲第1項記載のDNA配列。 3. 図1に示される配列の少なくとも一部からなり、か つ少なくとも1つのG1タンパク質のアイソフォームである、G1αアイソフォー ムをコードする請求の範囲第1項または第2項記載のDNA配列。 4. 図2に示される配列の少なくとも一部からなり、かつ少なくとも1つのG1 タンパク質のアイソフォームである、G1βアイソフォームをコードする請求の 範囲第1項または第2項記載のDNA配列。 5. 図1に示されるアミノ酸配列を有するG1アイソフォーム、そのフラグメン トおよびアナログをコードする請求の範囲第3項記載のDNA配列。 6. 図2に示されるアミノ酸配列を有するG1アイソフォーム、そのフラグメン トおよびアナログをコードする請求の範囲第4項記載のDNA配列。 7. 請求の範囲第1項〜第6項のいずれか1つに記載のDNA配列からなるベクタ ー。 8. 真核生物宿主細胞において発現され得る請求の範囲第7項記載のベクター。 9. 原核生物宿主細胞において発現され得る請求の範囲第7項記載のベクター。 10.請求の範囲第7項〜第9項のいずれか1つに記載のベクターを含有する形質 転換した真核生物または原核生物宿主細胞。 11.請求の範囲第1項〜第6項のいずれか1つに記載のDNA配列によりコードさ れるG1タンパク質のアイソフォーム、そのフラグメント、または機能的アナロ グまたは誘導体であって、前記タンパク質、そのフラグメント、アナログおよび 誘導体がMORT-1および/またはMORT-1結合タンパク質のいずれか、または他の 細胞内メディエーター/モジュレータータンパク質と直接的または間接的に結合 または相互作用し得、かつFAS-Rまたはp55-TNF-R、または他の細胞傷害メディエ ーターまたはインデューサーをメディエートし得る、請求の範囲第1項〜第6項 のいずれか1つに記載のDNA配列によりコードされるG1タンパク質のアイソフォ ーム、そのフラグメント、または機能的アナログまたは誘導体。 12.請求の範囲第11項記載のG1アイソフォーム、そのフラグメント、アナログ および誘導体であって、前記タンパク質、アナログ、フラグメントおよび誘導体 が図1に示されるアミノ酸配列の少なくとも一部を有する、請求の範囲第11項記 載のG1アイソフォーム、そのフラグメント、アナログおよび誘導体。 13.請求の範囲第11項記載のG1アイソフォーム、そのフラグメント、アナログ および誘導体であって、前記タンパク質、アナログ、フラグメントおよび誘導体 が図2に示されるアミノ酸配列の少なくとも一部を有する、請求の範囲第11項記 載のG1アイソフォーム、そのフラグメント、アナログおよび誘導体。 14.請求の範囲第11項〜第13項のいずれか1つに記載のG1タンパク質の少なく とも1つのアイソフォーム、そのフラグメント、アナログまたは誘導体の製造法 であって、前記タンパク質、アナログ、または誘導体の発現に適する条件下で請 求の範囲第10項記載の形質転換した宿主細胞を増殖すること、前記タンパク質、 フラグメント、アナログ、または誘導体を得るために必要な転写後修飾を行なう こと、および前記発現したタ ンパク質、フラグメント、アナログ、または誘導体を単離することからなる、請 求の範囲第11項〜第13項のいずれか1つに記載のG1タンパク質の少なくとも1 つのアイソフォーム、そのフラグメント、アナログまたは誘導体の製造法。 15.請求の範囲第11項〜第13項のいずれか1つに記載のG1タンパク質、フラグ メント、アナログまたは誘導体に特異的な抗体またはその活性フラグメントまた は誘導体。 16.細胞死プロセスまたは炎症プロセスのモジュレーション法であって、前記細 胞を請求の範囲第11項〜第13項のいずれか1つに記載の1つまたはそれ以上のG 1タンパク質、アナログ、フラグメントまたは誘導体で処置することからなり、 前記細胞の前記処置が、前記細胞に前記1つまたはそれ以上のタンパク質、アナ ログ、フラグメントまたは誘導体をその細胞内導入に適する形で導入すること、 または前記細胞に前記1つまたはそれ以上のタンパク質、アナログ、フラグメン トまたは誘導体をコードするヌクレオチド配列を前記配列を保持する適当なベク ターの形で導入することからなり、前記ベクターが前記配列が前記細胞内で発現 されるように前記配列を前記細胞へ挿入し得るものである、細胞死プロセスまた は炎症プロセスのモジュレーション法。 17.FAS-Rまたはp55-Rを保持する細胞でのFAS-RリガンドまたはTNFの作用のモジ ュレーション法であって、前記細胞を、MORT-1、および/またはMORT-1結合タ ンパク質のいずれかに直接的または間接的に結合し得 る、請求の範囲第11項〜第13項のいずれか1つに記載の1つまたはそれ以上のG 1タンパク質、アナログ、フラグメントまたは誘導体で処置することからなり、 そのMORT-1はFAS-Rの細胞内ドメインに結合し、またはTRADDに結合するMORT-1 に直接的または間接的に結合し得、TRADDはp55-Rの細胞内ドメインに結合し、そ してそれによって前記FAS-Rまたはp55 TNF-Rの活性をモジュレート/メディエー トし得るものであり、前記細胞の前記処置は、前記細胞に前記1つまたはそれ以 上のタンパク質、アナログ、フラグメントまたは誘導体をその細胞内導入に適す る形で導入すること、または前記細胞に前記1つまたはそれ以上のタンパク質、 アナログ、フラグメントまたは誘導体をコードするDNA配列を前記配列を保持す る適当なベクターの形で導入することからなり、前記ベクターが前記配列が前記 細胞内で発現されるように前記配列を前記細胞へ挿入し得るものである、FAS-R またはp55-Rを保持する細胞でのFAS-RリガンドまたはTNFの作用のモジュレーシ ョン法。 18.請求の範囲第17項記載の細胞でのFAS-RリガンドまたはTNFの作用のモジュレ ーション法であって、細胞の前記処置が前記細胞に前記G1タンパク質、アナロ グ、フラグメントまたは誘導体を導入することからなり、DNA配列は、前記G1タ ンパク質、アナログ、フラグメントまたは誘導体を、前記配列を保持する適当な ベクターの形でコードしており、前記ベクターが前記配列が前記細胞内で発現さ れるように前記配列を前記細胞へ挿入し得るものである、請求の範囲第17 項記載の細胞でのFAS-RリガンドまたはTNFの作用のモジュレーション法。 19.請求の範囲第17項または第18項記載の方法であって、前記細胞の前記処置が 、組換え動物ウイルスベクターによる前記細胞のトランスフェクションによるも のであり、 (a)FAS-R保持細胞またはp55-R保持細胞の表面で特異的な細胞表面レセプタ ーに結合し得るウイルス表面タンパク質(リガンド)をコードする配列、および 請求の範囲第11項〜第13項のいずれか1つに記載のG1タンパク質、アナログ、 フラグメントおよび誘導体から選択されたタンパク質、それは前記細胞内で発現 された場合に前記FAS-Rまたはp55-Rの活性をモジュレート/メディエートし得る ものであり、そのようなタンパク質をコードする第2の配列を保持する組換え動 物ウイルスベクターの構築;および (b)前記細胞に(a)の前記ベクターを感染させる 工程からなる、請求の範囲第17項または第18項記載の方法。 20.細胞死プロセスまたは炎症プロセスのモジュレーション法であって、前記細 胞死プロセスまたは炎症プロセスをメディエートする1つまたはそれ以上のタン パク質/酵素の1つまたはそれ以上のインヒビターにより前記細胞を処置するこ とからなり、前記インヒビターは、(i)前記細胞死プロセスまたは炎症プロセス を阻害し得る請求の範囲第11項〜第13項のいずれか1つに記載の1つまたはそれ 以上のG1タンパク質、アナログ、フラグメントまたは誘導体;および(ii)請求 の範 囲第11項〜第13項のいずれかに記載の1つまたはそれ以上のG1タンパク質のイ ンヒビターであって、前記1つまたはそれ以上のG1タンパク質が前記細胞死プ ロセスまたは炎症プロセスを増大/増強またはメディエートする場合におけるイ ンヒビター、からなる群から選択される、細胞死プロセスまたは炎症プロセスの モジュレーション法。 21.FAS-Rまたはp55-Rを保持する細胞でのFAS-RリガンドまたはTNFの作用をモジ ュレートする方法であって、請求の範囲第15項記載の抗体またはその活性なフラ グメントまたは誘導体により前記細胞を処置することからなり、前記処置は前記 抗体、その活性なフラグメントまたは誘導体を含有する適する組成物の前記細胞 への適用によるものであり、前記細胞のG1タンパク質またはその一部が細胞外 表面に曝される場合には、前記組成物は細胞外適用のために調合され、そして前 記G1タンパク質が細胞内にある場合には、前記組成物は細胞内適用のために調 合される、FAS-Rまたはp55-Rを保持する細胞でのFAS-RリガンドまたはTNFの作用 をモジュレートする方法。 22.FAS-Rまたはp55-Rを保持する細胞でのFAS-RリガンドまたはTNFの作用をモジ ュレートする方法であって、請求の範囲第1項〜第6項のいずれか1つに記載の G1タンパク質をコードする少なくとも一部のDNA配列に対するアンチセンス配列 をコードするオリゴヌクレオチド配列により前記細胞を処置することからなり、 前記オリゴヌクレオチド配列がG1タンパク質の発現を阻止し得る、FAS-Rまたは p55-Rを保持する細 胞でのFAS-RリガンドまたはTNFの作用をモジュレートする方法。 23.請求の範囲第22項記載の方法であって、前記オリゴヌクレオチド配列が請求 の範囲第19項記載のウイルスを介して前記細胞に導入され、前記ウイルスの前記 第2の配列が前記オリゴヌクレオチド配列をコードする、請求の範囲第22項記載 の方法。 24.腫瘍細胞またはHIV感染細胞または他の病的な細胞を処置する方法であって 、 (a)特定の腫瘍細胞表面レセプターまたはHIV感染細胞表面レセプターまた は他の病的な細胞により保持されるレセプターに結合し得るウイルス表面タンパ ク質をコードする配列、および請求の範囲第11項〜第13項のいずれか1つに記載 のG1タンパク質、アナログ、フラグメントおよび誘導体から選択されたタンパ ク質、それは前記腫瘍細胞、HIV感染細胞、または他の病的な細胞内で発現され た場合に前記細胞を殺傷し得るものであり、そのようなタンパク質をコードする 配列を保持する組換え動物ウイルスベクターの構築;および (b)前記腫瘍細胞またはHIV感染細胞または他の病的な細胞に前記(a)のベク ターを感染させること、 からなる、腫瘍細胞またはHIV感染細胞または他の病的な細胞を処置する方法 。 25.細胞でのFAS-RリガンドまたはTNFの作用をモジュレートするための方法であ って、リボザイム法を適用することからなり、その方法において、請求の範囲第 11項〜第13項のいずれか1つに記載のG1タンパク質 をコードする細胞mRNA配列と相互作用し得るリボザイム配列が、前記細胞内で前 記リボザイム配列が発現可能な形で前記細胞に導入され、そして前記リボザイム 配列が前記細胞内で発現される場合に、それが細胞mRNA配列と相互作用し、かつ 前記mRNA配列を切断し、その結果、前記細胞内で前記G1タンパク質の発現を阻 止する、細胞でのFAS-RリガンドまたはTNFの作用をモジュレートするための方法 。 26.請求の範囲第16項〜第25項のいずれか1つに記載の方法から選択された方法 であって、前記G1タンパク質、そのアナログ、フラグメントおよび誘導体のい ずれかが、MORT-1および/またはいずれかのMORT-1結合タンパク質に直接的ま たは間接的に結合し得、ついでそのMORT-1が特異的にFAS-ICに結合し、あるい は、前記G1タンパク質、そのアナログ、フラグメントおよび誘導体のいずれか は、MORT-1および/またはいずれかのMORT-1結合タンパク質に直接的または間 接的に結合し得、ついでそのMORT-1がTRADDに結合し、ついでそれがp55-ICに結 合する、請求の範囲第16項〜第25項のいずれか1つに記載の方法から選択された 方法。 27.MORT-1タンパク質、および/またはいずれかのMORT-1結合タンパク質に直 接的または間接的に結合し得る、請求の範囲第11項〜第13項のいずれか1つに記 載のタンパク質を単離および同定するための方法であって、酵母ツーハイブリッ ド法を適用することからなり、その方法において、前記MORT-1タンパク質およ び/またはMORT-1結合タンパク質をコードする 配列が1つのハイブリッドベクターにより保持され、かつcDNAライブラリーまた はゲノムDNAライブラリー由来の配列が第2のハイブリッドベクターにより保持 され、ついでそれらベクターを使って酵母宿主細胞を形質転換し、そしてポジテ ィブの形質転換細胞を単離し、その後、前記第2のハイブリッドベクターを抽出 して前記MORT-1タンパク質、および/またはMORT-1結合タンパク質に結合する タンパク質をコードする配列を得る、請求の範囲第11項〜第13項のいずれか1つ に記載のタンパク質を単離および同定するための方法。 28.前記タンパク質がG1アイソフォーム、そのアナログ、フラグメントおよび 誘導体の少なくとも1つである請求の範囲第16項〜第27項のいずれか1つに記載 の方法。 29.細胞でのFAS-RリガンドまたはTNFまたは他のタンパク質の作用のモジュレー ションのための医薬組成物であって、活性成分として、請求の範囲第11項〜第13 項のいずれか1つに記載のG1タンパク質の少なくとも1つのアイソフォーム、 その生物学的に活性なフラグメント、アナログ、誘導体またはその混合物からな る、細胞でのFAS-RリガンドまたはTNFまたは他のタンパク質の作用のモジュレー ションのための医薬組成物。 30.細胞でのFAS-RリガンドまたはTNFまたは他のタンパク質の作用をモジュレー トするための医薬組成物であって、活性成分として、細胞表面レセプターを結合 し得るタンパク質をコードし、かつ請求の範囲第11 項〜第13項のいずれか1つに記載のG1タンパク質の少なくとも1つのアイソフ ォームまたはその生物学的に活性なフラグメントまたはアナログをコードする組 換え動物ウイルスベクターからなる、細胞でのFAS-RリガンドまたはTNFまたは他 のタンパク質の作用をモジュレートするための医薬組成物。 31.細胞でのFAS-RリガンドまたはTNFまたは他のタンパク質の作用をモジュレー トするための医薬組成物であって、活性成分として、請求の範囲第1項〜第6項 のいずれか1つに記載のG1タンパク質mRNA配列のアンチセンス配列をコードす るオリゴヌクレオチド配列からなる、細胞でのFAS-RリガンドまたはTNFまた は他のタンパク質の作用をモジュレートするための医薬組成物。 32.細胞でのMORT-1で誘導される作用またはMORT-1結合タンパク質で誘導され る作用または他のタンパク質で誘導される作用のモジュレーション法であって、 請求の範囲第16項〜第28項のいずれか1つに記載の方法にしたがって、前記細胞 をG1タンパク質、そのアナログ、フラグメントまたは誘導体により、またはG1 タンパク質、そのアナログまたはフラグメントをコードする配列により処置する ことからなり、前記処置により前記MORT-1でメディエートされる作用またはMOR T-1結合タンパク質でメディエートされる作用または他のタンパク質でメディエ ートされる作用が増強または阻害され、そしてそれによってFAS-Rまたはp55-Rま たは他の細胞傷害メディエーターまたはインデューサーでメディエートされる作 用もまた増強また は阻害される、細胞でのMORT-1で誘導される作用またはMORT-1結合タンパク質 で誘導される作用または他のタンパク質で誘導される作用のモジュレーション法 。 33.前記G1タンパク質、そのアナログ、フラグメントまたは誘導体が、MORT-1 またはMORT-1結合タンパク質または他のタンパク質への結合に特異的に関与す るG1タンパク質のその一部である、請求の範囲第32項記載の方法。 34.請求の範囲第32項または第33項記載の方法であって、前記G1タンパク質が 、細胞でのMORT-1会合作用またはMORT-1結合タンパク質会合作用または他のタ ンパク質会合作用を増強し得、そしてそれによって細胞でのFAS-R会合作用また はp55-R会合作用または他の細胞傷害メディエーターまたはインデューサー会合 作用もまた増強し得るG1アイソフォームのいずれか1つである、請求の範囲第3 2項または第33項記載の方法。 35.アポトーシスプロセスまたはプログラムされた細胞死プロセスをモジュレー トする方法であって、MORT-1、および/またはMORT-1結合タンパク質のいずれ かに直接的または間接的に結合し得る、請求の範囲第11項〜第13項のいずれか1 つに記載のG1タンパク質、アナログ、フラグメントまたは誘導体の1つまたは それ以上により前記細胞を処置することからなり、MORT-1はFAS-Rの細胞内ドメ インに結合し、またはMORT-1および/またはMORT-1結合タンパク質のいずれか に直接的または間接的に結合し得、MORT-1は、 p55-Rの細胞内ドメインに結合し、そしてそれによって前記FAS-Rまたはp55TNF-R の活性をモジュレート/メディエートし得るTRADDに結合し、前記細胞の前記処 置は前記細胞に前記1つまたはそれ以上のタンパク質、アナログ、フラグメント または誘導体をその細胞内導入に適する形で導入すること、または前記細胞に前 記1つまたはそれ以上のタンパク質、アナログ、フラグメントまたは誘導体を前 記配列を保持する適当なベクターの形で導入することからなり、前記ベクターは 前記配列が前記細胞内で発現され得るように前記配列を前記細胞に挿入し得るも のである、アポトーシスプロセスまたはプログラムされた細胞死プロセスをモジ ュレートする方法。 36.ペプチドである請求の範囲第11項記載のフラグメント。 37.請求の範囲第11項〜第13項のいずれか1つに記載のタンパク質に結合し得る リガンドのスクリーニング法であって、前記タンパク質が結合されたアフィニテ ィークロマトグラフィーマトリックスを細胞抽出物と接触すること、それによっ て前記マトリックスにリガンドが結合され、そして前記リガンドを溶出、単離お よび分析することからなる、請求の範囲第11項〜第13項のいずれか1つに記載の タンパク質に結合し得るリガンドのスクリーニング法。 38.請求の範囲第11項〜第13項のいずれか1つに記載のタンパク質を結合し得る リガンドについてコードするDNA配列のスタリーニング法であって、酵母ツーハ イブリッド法を適用すること、その方法において、前 記タンパク質をコードする配列が1つのハイブリッドベクターにより保持され、 かつcDNAライブラリーまたはゲノムDNAライブラリー由来の配列が第2のハイブ リッドベクターにより保持され、それら前記ベクターにより酵母宿主細胞を形質 転換すること、ポジティブな形質転換細胞を単離すること、および前記第2のハ イブリッドベクターを抽出し前記リガンドをコードする配列を得ることからなる 、請求の範囲第11項〜第13項のいずれか1つに記載のタンパク質を結合し得るリ ガンドについてコードするDNA配列のスクリーニング法。 39.MORT-1またはMORT-1結合タンパク質によりモジュレート/メディエートさ れる細胞活性をモジュレートし得るリガンドを同定および製造するための方法で あって、 a)MACHタンパク質、Mch4タンパク質および他のMORT-1結合タンパク質から 選択されたMORT-1またはMORT-1結合タンパク質の少なくとも一部からなるポリ ペプチドに結合し得るリガンドについてのスクリーニング; b)前記結合し得る前記スクリーニング工程により見出される、MORT-1また は前記MORT-1結合タンパク質またはTNF/NGFレセプターファミリーのレセプター の一部以外の、リガンドの同定および特徴づけ;および c)前記リガンドの実質的に単離および精製された形での製造 からなる、MORT-1またはMORT-1結合タンパク質に よりモジュレート/メディエートされる細胞活性をモジュレートし得るリガンド を同定および製造するための方法。 40.請求の範囲第11項〜第13項のいずれか1つに記載のタンパク質によりモジュ レートまたはメディエートされる細胞活性をモジュレートし得るリガンドを同定 および製造するための方法であって、 a)図1に示されるG1α配列の少なくとも一部または図2に示されるG1β配 列の少なくとも一部からなるポリペプチドに結合し得るリガンドについてのスク リーニング; b)前記結合し得る前記スクリーニング工程により見出される、MORT-1また はMORT-1結合タンパク質またはTNF/NGFレセプターファミリーのレセプターの一 部以外の、リガンドの同定および特徴づけ;および c)前記リガンドの実質的に単離および精製された形での製造 からなる、請求の範囲第11項〜第13項のいずれか1つに記載のタンパク質により モジュレートまたはメディエートされる細胞活性をモジュレートし得るリガンド を同定および製造するための方法。 41.G1によりモジュレート/メディエートされる細胞活性をモジュレートし得 るリガンドを同定および製造するための方法であって、 a)図1に示されるG1α配列の少なくとも一部または図2に示されるG1β配 列の少なくとも一部に結合し得るリガンドについてのスクリーニング; b)前記結合し得る前記スクリーニング工程により見 出される、MORT-1またはMORT-1結合タンパク質またはTNF/NGFレセプターファ ミリーのレセプターの一部以外の、リガンドの同定および特徴づけ;および c)前記リガンドの実質的に単離および精製された形での製造 からなる、G1によりモジュレート/メディエートされる細胞活性をモジュレ ートし得るリガンドを同定および製造するための方法。 42.G1によりモジュレート/メディエートされる細胞活性を直接的または間接 的にモジュレートし得る分子を同定および製造するための方法であって、 a)G1によりモジュレート/メディエートされる活性をモジュレートし得る 分子についてのスクリーニング b)前記分子の同定および特徴づけ;および c)前記リガンドの実質的に単離および精製された形 での製造 からなる、G1によりモジュレート/メディエートされる細胞活性を直接的ま たは間接的にモジュレートし得る分子を同定および製造するための方法。 43.請求の範囲第11項〜第13項のいずれか1つに記載のタンパク質によりモジュ レート/メディエートされる細胞活性を直接的または間接的にモジュレートし得 る分子を同定および製造するための方法であって、 a)請求の範囲第11項〜第13項のいずれか1つに記載のタンパク質によりモジ ュレート/メディエートされる活性をモジュレートし得る分子についてのスクリ ーニング b)前記分子の同定および特徴づけ;および c)前記リガンドの実質的に単離および精製された形での製造 からなる、請求の範囲第11項〜第13項のいずれか1つに記載のタンパク質により モジュレート/メディエートされる細胞活性を直接的または間接的にモジュレー トし得る分子を同定および製造するための方法。
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