JP2002374044A - 窒化物半導体発光素子 - Google Patents
窒化物半導体発光素子Info
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Abstract
を提供することにより、発光出力を高めて半導体レーザ
を実現する。 【解決手段】 n型コンタクト層の上に、第一のn型層
と、第二のn型層と、第三のn型層と、多重量子井戸構
造を有する活性層と、第一のp型層と、第二のp型層
と、第三のp型層と、p型コンタクト層とが順に積層さ
れ、ダブルへテロ構造を有する。
Description
ED)、レーザダイオード(LD)等に使用される窒化
物半導体(InXAlYGa1-X-YN、0≦X、0≦Y、X+
Y≦1)よりなる発光素子に関する。
Y、X+Y≦1)で示される窒化物半導体はMOVPE
(有機金属気相成長法)、MBE(分子線ビーム気相成
長法)、HDVPE(ハライド気相成長法)等の気相成
長法を用いて基板上にエピタキシャル成長されている。
またこの半導体材料は直接遷移型の広ワイドギャップ半
導体であるため、紫外から赤色までの発光素子の材料と
して知られており、最近この材料で高輝度な青色LE
D、緑色LEDが実現され、次の目標としてレーザダイ
オード(LD)の実現が望まれている。
えば特開平6−21511号公報にLED素子が示され
ている。この公報ではInGaNよりなる膜厚100オ
ングストロームの井戸層と、GaNよりなる膜厚100
オングストローム障壁層とを積層した多重量子井戸構造
の活性層を備えるLED素子が示されている。
nGaNとGaNよりなる多重量子井戸構造の活性層を
GaNと、AlGaNよりなるクラッド層で挟んだ分離
閉じ込め型のダブルへテロ構造を有するLED素子が示
されている。活性層を多重量子井戸構造とすることによ
り、発光出力に優れたLED素子を得ることができる。
しかしながら、LDではLEDよりも、さらに発光出力
を高める必要がある。従って本発明はこのような事情を
鑑みて成されたものであって、その目的とするところ
は、窒化物半導体よりなる発光素子の新規な構造を提供
することにより、発光出力を高めて半導体レーザを実現
することにある。
型コンタクト層の上に、第一のn型層と、第二のn型層
と、第三のn型層と、多重量子井戸構造を有する活性層
とが積層され、ダブルへテロ構造を有することを特徴と
する。また、本発明の発光素子は、多重量子井戸構造を
有する活性層の上に、第一のp型層と、第二のp型層
と、第三のp型層と、p型コンタクト層とが順に積層さ
れ、ダブルへテロ構造を有することを特徴とする。さら
にまた、本発明の発光素子は、n型コンタクト層の上
に、第一のn型層と、第二のn型層と、第三のn型層
と、多重量子井戸構造を有する活性層と、第一のp型層
と、第二のp型層と、第三のp型層と、p型コンタクト
層とが順に積層され、ダブルへテロ構造を有することを
特徴とする。
GaNからなり、前記第一のn型層がInを含むn型の
窒化物半導体からなり、前記第二のn型層がAlを含む
n型の窒化物半導体からなり、前記第三のn型層がGa
N若しくはInを含む窒化物半導体からなることが望ま
しく、また前記第一のp型層がAlを含むp型窒化物半
導体からなり、前記第二のp型層がGaN若しくはIn
を含むp型窒化物半導体からなり、前記第三のp型層が
Alを含むp型窒化物半導体からなり、前記p型コンタ
クト層がGaNからなることが望ましい。また、多重量
子井戸構造を有する活性層では、井戸層の膜厚が70オ
ングストローム以下であり、障壁層の膜厚が150オン
グストローム以下であることが望ましい。
n型層が光閉じ込め層であり、前記第三のn型層が光ガ
イド層であり、前記第二のp型層が光ガイド層であり、
前記第三のp型層が光閉じ込め層であることが望まし
い。
構造(MQW:Multi-quantum-well)を構成するInを
含む窒化物半導体よりなる井戸層には、三元混晶のIn
XGa1-XN(0<X≦1)が好ましく、また障壁層も同
様に三元混晶のInYGa1-YN(0<Y<1)が好まし
い。三元混晶のInGaNは四元混晶のものに比べて結
晶性が良い物が得られるので、発光出力が向上する。ま
た障壁層は井戸層よりもバンドギャップエネルギーを大
きくして、井戸+障壁+井戸+・・・+障壁+井戸層と
なるように積層して多重量子井戸構造を構成する。この
ように活性層をInGaNを積層したMQWとすると、
量子準位間発光で約365nm〜660nm間での高出
力なLDを実現することができる。
り井戸層と障壁層を積層した活性層の総膜厚は200オ
ングストローム以上に調整することが好ましい。200
オングストロームよりも薄いと、十分に出力が上がら
ず、レーザ発振しにくい傾向にある。また活性層の膜厚
も厚すぎると出力が低下する傾向にあり、0.5μm以
下に調整することが望ましい。
ム以下、さらに望ましくは50オングストローム以下に
調整することが好ましい。図2は井戸層の膜厚と発光出
力との関係を示す図であり、発光出力はLED素子につ
いて示している。出力に関してはLDでも同様のことが
云える。これはこの膜厚がInGaN井戸層の臨界膜厚
以下であることを示している。InGaNでは電子のボ
ーア半径が約30オングストロームであり、このためI
nGaNの量子効果が70オングストローム以下で現れ
る。
ム以下、さらに望ましくは100オングストローム以下
の厚さに調整することが望ましい。図3は障壁層と膜厚
と発光出力との関係を示す図であり、発光出力は図2と
同様に、LED素子について示すものであるが、LDに
関しても同様のことが云える。
少なくともAlを含むp型の窒化物半導体、好ましくは
三元混晶若しくは二元混晶のAlZGa1-ZN(0<Z≦
1)よりなるp型クラッド層が形成されていることが望
ましい。さらにこのAlGaNは1μm以下、さらに好
ましくは10オングストローム以上、0.5μm以下に
調整する。このp型クラッド層を活性層に接して形成す
ることにより、素子の出力が格段に向上する。逆に活性
層に接するクラッド層をGaNとすると素子の出力が約
1/3に低下してしまう。これはAlGaNがGaNに
比べてp型になりやすく、またp型クラッド層成長時
に、InGaNが分解するのを抑える作用があるためと
推察されるが、詳しいことは不明である。またp型クラ
ッド層の膜厚は1μmよりも厚いと、クラッド層自体に
クラックが入りやすくなり素子作製が困難となる傾向に
あるからである。
発明の発光素子は、先にも述べたように好ましくは、I
nGaNよりなる井戸層と、井戸層よりもバンドギャッ
プの大きいInGaNよりなる障壁層を積層した多重量
子井戸構造である。特開平6−21511号とは障壁層
がGaNである。これは薄膜の井戸層と障壁層とを積層
したMQWでは、各層に係るストレスが違う。井戸層の
上にInGaNよりなる障壁層を積層すると、InGa
Nよりなる障壁層はGaN、AlGaN結晶に比べて結
晶が柔らかい。そのためクラッド層のAlGaNの厚さ
を厚くできるのでレーザ発振が実現できる。一方、障壁
層をGaNとすると、活性層の上にAlGaNよりなる
クラッド層を成長させると、そのクラッド層にクラック
が発生しやすい傾向にある。
長温度が異なる。例えばMOVPE法ではInGaNは
600℃〜800℃で成長させるのに対して、GaNは
800より高い温度で成長させる。従って、InGaN
よりなる井戸層を成長させた後、GaNよりなる障壁層
を成長させようとすれば、成長温度を上げてやる必要が
ある。成長温度を上げると、先に成長させたInGaN
井戸層が分解してしまうので結晶性の良い井戸層を得る
ことは難しい。さらに井戸層の膜厚は数十オングストロ
ームしかなく、薄膜の井戸層が分解するとMQWを作製
するのが困難となる。それに対し本発明では、障壁層も
InGaNであるため、井戸層と障壁層が同一温度で成
長できる。従って、先に形成した井戸層が分解すること
がないので結晶性の良いMQWを形成することができ
る。
る方法を述べるが、本発明の発光素子はMOVPE法だ
けではなく、例えばMBE、HDVPE等の他の知られ
ている窒化物半導体の気相成長法を用いて成長させるこ
とができ、またLDだけでなくLEDにも適用可能であ
る。
板1(0001面)をMOVPE装置の反応容器内に設
置した後、原料ガスにTMG(トリメチルガリウム)
と、アンモニアを用い、温度500℃でサファイア基板
の表面にGaNよりなるバッファ層2を200オングス
トロームの膜厚で成長させた。
格子不整合を緩和する作用があり、他にAlN、AlG
aN等を成長させることも可能である。また基板にはサ
ファイアの他にスピネル111面(MgAl2O4)、S
iC、MgO、Si、ZnO等の単結晶よりなる従来よ
り知られている基板が用いられる。このバッファ層を成
長させることにより、基板の上に成長させるn型窒化物
半導体の結晶性が良くなることが知られているが、成長
方法、基板の種類等によりバッファ層が成長されない場
合もある。
にTMG、アンモニア、ドナー不純物としてSiH
4(シラン)ガスを用いて、SiドープGaNよりなる
n型コンタクト層3を4μmの膜厚で成長させた。n型
コンタクト層3はGaNとすることによりキャリア濃度
の高い層が得られ、電極材料と好ましいオーミック接触
が得られる。
TMG、TMI(トリメチルインジウム)、アンモニ
ア、不純物ガスにシランガスを用い、SiドープIn0.
1Ga0.9Nよりなる第一のn型層4を500オングスト
ロームの膜厚で成長させた。
化物半導体、好ましくはInGaNで成長させることに
より、次に成長させるAlを含む窒化物半導体を厚膜で
成長させることが可能となる。LDの場合は、光閉じ込
め層、光ガイド層となる層を、例えば0.1μm以上の
膜厚で成長させる必要がある。従来ではGaN、AlG
aN層の上に直接厚膜のAlGaNを成長させると、後
から成長させたAlGaNにクラックが入るので素子作
製が困難であったが、第一のn型層がバッファ層として
作用する。つまり、この層がバッファ層となり次に成長
させるAlを含む窒化物半導体層にクラックが入るのを
防止することができる。しかも次に成長させるAlを含
む窒化物半導体層を厚膜で成長させても膜質良く成長で
きる。なお第一のn型層は100オングストローム以
上、0.5μm以下の膜厚で成長させることが好まし
い。100オングストロームよりも薄いと前記のように
バッファ層として作用しにくく、0.5μmよりも厚い
と、結晶自体が黒変する傾向にある。なお、この第一の
n型層4は省略することもできる。
にTEG、TMA(トリメチルアルミニウム)、アンモ
ニア、不純物ガスにシランガスを用いて、Siドープn
型Al0.3Ga0.7Nよりなる第二のn型層5を0.5μ
mの膜厚で成長させた。この第二のn型層はLDの場合
光閉じ込め層として作用し、通常0.1μm〜1μmの
膜厚で成長させることが望ましい。
不純物ガスにシランガスを用い、Siドープn型GaN
よりなる第三のn型層6を500オングストロームの膜
厚で成長させた。この第三のn型層6はLDの場合、光
ガイド層として作用し、通常100オングストローム〜
1μmの膜厚で成長させることが望ましく、GaNの他
にInGaN等のInを含むn型窒化物半導体で成長さ
せることもでき、特にInGaN、GaNとすることに
より次の活性層を量子井戸構造とすることが可能にな
る。
アを用いて活性層7を成長させた。活性層7は温度を7
50℃に保持して、まずノンドープIn0.2Ga0.8Nよ
りなる井戸層を25オングストロームの膜厚で成長させ
る。次にTMIのモル比を変化させるのみで同一温度
で、ノンドープIn0.01Ga0.95Nよりなる障壁層を5
0オングストロームの膜厚で成長させる。この操作を1
3回繰り返し、最後に井戸層を成長させ総膜厚0.1μ
mの膜厚の多重量子井戸構造よりなる活性層7を成長さ
せた。井戸層の好ましい膜厚は100オングストローム
以下、障壁層は150オングストローム以下の膜厚で成
長することにより、井戸層、障壁層が弾性的に変形して
結晶欠陥が少なくなり、素子の出力が飛躍的に向上する
ので、レーザ発振が可能となる。さらに井戸層はInG
aN等のInGaNを含む窒化物半導体、障壁層はGa
N、InGaN等で構成することが望ましく、特に井戸
層、障壁層ともInGaNとすると、成長温度が一定に
保持できるので生産技術上非常に好ましい。
TMG、TMA、アンモニア、アクセプター不純物源と
してCp2Mg(シクロペンタジエニルマグネシウム)
を用い、Mgドープp型Al0.2Ga0.8Nよりなる第一
のp型層8を100オングストロームの膜厚で成長させ
た。この第一のp型層8は1μm以下、さらに好ましく
は0.1μm以下の膜厚で成長させることにより、In
GaNよりなる活性層が分解するのを防止するキャップ
層としての作用があり、また活性層の上にAlを含むp
型窒化物半導体よりなる第一のp型層8を成長させるこ
とにより、発光出力が向上する。またp型窒化物半導体
層はZn、Mg、Cd、Ca、Be、C等のアクセプタ
ー不純物を成長中にドープすることにより得られるが、
その中でもMgが最も好ましいp型特性を示す。さら
に、アクセプター不純物をドープした後、不活性ガス雰
囲気中で400℃以上のアニーリングを行うとさらに好
ましいp型が得られる。
MG、アンモニア、Cp2Mgを用いMgドープp型G
aNよりなる第二のp型層9を500オングストローム
の膜厚で成長させた。この第二のp型層9はLDの場
合、光ガイド層として作用し、通常100オングストロ
ーム〜1μmの膜厚で成長させることが望ましく、Ga
Nの他にInGaN等のInを含むp型窒化物半導体で
成長させることもでき、特にInGaN、GaNとする
ことにより次のAlを含む第三のp型層10を結晶性良
く成長できる。
p2Mgを用いてMgドープAl0.3Ga0.7Nよりなる
第三のp型層10を0.5μmの膜厚で成長させた。こ
の第三のp型層10はLDの場合、光閉じ込め層として
作用し、0.1μm〜1μmの膜厚で成長させることが
望ましく、AlGaNのようなAlを含むp型窒化物半
導体とすることにより、好ましく光閉じ込め層として作
用する。
を用い、Mgドープp型GaNよりなるp型コンタクト
層11を0.5μmの膜厚で成長させた。このp型コン
タクト層はMgを含むGaNとすると、最もキャリア濃
度の高いp型層が得られて、正電極の材料と良好なオー
ミック接触が得られる。
ウェーハを反応容器から取り出し、図1に示すように最
上層のp型コンタクト層11より選択エッチングを行
い、n型コンタクト層3の表面を露出させ、露出したn
型コンタクト層3と、p型コンタクト層11の表面にそ
れぞれストライプ状の電極を形成した後、ストライプ状
の電極に直交する方向から、さらにエッチングを行い垂
直なエッチング端面を形成して、そのエッチング面に常
法に従って反射鏡を形成して共振面とした。共振面側か
ら見たレーザ素子の断面図が図1に示す断面図である。
このレーザ素子をヒートシンクに設置し、LDとしたと
ころ、非常に優れた結晶が積層できていたため、常温に
おいて、しきい値電流密度4.0kA/cm2で発光波長
410nm、半値幅2nmのレーザ発振を示した。
は、好ましくInを含む窒化物半導体よりなる井戸層
と、Inを含む窒化物半導体よりなる障壁層とを積層し
たMQWの活性層を有しているため、発光素子の出力が
向上してレーザダイオードが実現できた。これは膜質の
良い活性層が成長できていることによる。このように本
発明の新規な構造により、短波長LDが実現できたこと
により、書き込み光源、読みとり光源としての容量が従
来に比べて飛躍的に向上し、その産業上の利用価値は非
常に大きい。
式断面図。
層と発光出力との関係を示す図。
層と発光出力との関係を示す図。
Claims (7)
- 【請求項1】 窒化物半導体(InXAlYGa
1-X-YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)よりなる発光素子
であって、n型コンタクト層の上に、第一のn型層と、
第二のn型層と、第三のn型層と、多重量子井戸構造を
有する活性層とが積層され、ダブルへテロ構造を有する
窒化物半導体発光素子。 - 【請求項2】 窒化物半導体(InXAlYGa
1-X-YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)よりなる発光素子
であって、多重量子井戸構造を有する活性層の上に、第
一のp型層と、第二のp型層と、第三のp型層と、p型
コンタクト層とが順に積層され、ダブルへテロ構造を有
する窒化物半導体発光素子。 - 【請求項3】 窒化物半導体(InXAlYGa
1-X-YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)よりなる発光素子
であって、n型コンタクト層の上に、第一のn型層と、
第二のn型層と、第三のn型層と、多重量子井戸構造を
有する活性層と、第一のp型層と、第二のp型層と、第
三のp型層と、p型コンタクト層とが順に積層され、ダ
ブルへテロ構造を有する窒化物半導体発光素子。 - 【請求項4】 前記n型コンタクト層がGaNからな
り、前記第一のn型層がInを含むn型の窒化物半導体
からなり、前記第二のn型層がAlを含むn型の窒化物
半導体からなり、前記第三のn型層がGaN若しくはI
nを含む窒化物半導体からなる請求項1または3に記載
の窒化物半導体発光素子。 - 【請求項5】 前記第一のp型層がAlを含むp型窒化
物半導体からなり、前記第二のp型層がGaN若しくは
Inを含むp型窒化物半導体からなり、前記第三のp型
層がAlを含むp型窒化物半導体からなり、前記p型コ
ンタクト層がGaNからなる請求項2または3に記載の
窒化物半導体発光素子。 - 【請求項6】 前記第二のn型層が光閉じ込め層であ
り、前記第三のn型層が光ガイド層である請求項1、
3、4の内のいずれか一項に記載の窒化物半導体発光素
子。 - 【請求項7】 前記第二のp型層が光ガイド層であり、
前記第三のp型層が光閉じ込め層である請求項2、3、
5の内のいずれか一項に記載の窒化物半導体発光素子。
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