JP2002371102A - ビニル単量体の重合方法 - Google Patents

ビニル単量体の重合方法

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JP2002371102A JP2001181817A JP2001181817A JP2002371102A JP 2002371102 A JP2002371102 A JP 2002371102A JP 2001181817 A JP2001181817 A JP 2001181817A JP 2001181817 A JP2001181817 A JP 2001181817A JP 2002371102 A JP2002371102 A JP 2002371102A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 重合器内の攪拌軸シール部への重合体スケー
ルの付着を効果的に防止し、機械的な損傷を与えること
なく、生産性よく高品質の製品を得ることができるアク
リル酸エステルを含むビニル単量体の重合方法を提供す
る。 【解決手段】 本発明のビニル単量体の重合方法は、攪
拌機付重合器内で、アクリル酸エステルを0.1質量%
以上含むビニル単量体を攪拌しつつ重合する方法であっ
て、前記攪拌機付重合器内の攪拌軸シールユニットの下
部からヒンダードフェノールを注入しながら前記ビニル
単量体の重合を行うことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ビニル単量体の重
合方法に関し、より詳しくは、ビニル単量体を重合する
際、重合器の攪拌軸シール部に重合体が付着することを
防止したビニル単量体の重合方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ビニル単量体を攪拌機付重合器内
で塊状重合、溶液重合、懸濁重合あるいは乳化重合する
方法が知られている。これらの重合法においては、重合
器内の全空間を重合反応液で満たして重合を行う方法
と、気相部分が存在した状態で重合を行う方法とがあ
る。
【0003】しかし、通常、重合器の攪拌軸シール部分
においてシールユニットの下部には若干の空隙部があ
り、上記のいずれの方法で重合を行っても、この空隙部
に入り込んだモノマー蒸気がモノマーとなって滞留し、
重合して重合体スケールとなることがある。一旦この重
合体スケールが攪拌軸シール部に生成すると、攪拌機の
機能に障害が起こるなどの機械的異常が発生することが
あり、また、重合体スケールの剥離スケールが製品中に
混入して異常製品が発生することがある。そのため、工
業規模で生産を行う場合、重合器の攪拌軸シール部への
重合体の付着は大きな問題となる。
【0004】重合器気相部における重合体スケールの付
着防止法として、特開昭56−806号公報には、沸点
が常圧で100℃以下であるメルカプタンを気相部に存
在させて重合を行う方法が開示されている。しかしなが
ら、この方法によれば、未反応揮発成分を除去した後で
も、低沸点のメルカプタンが極微量ではあるが重合体中
に残存することがある。低沸点のメルカプタンが極微量
でも残存すると、その特異な臭気のため工業的には使用
に堪え難いという問題がある。そのため、連鎖移動剤と
して使用されるメルカプタンは、通常、炭素数8以上の
比較的沸点の高いものが使用されている。炭素数8以上
の比較的沸点の高いメルカプタンを用いた場合、気相部
に存在する量が少なくなるので、攪拌軸シール部での重
合を防止する効果が十分には得られないこともある。
【0005】また、特開平2−55703号公報には、
上下に二分割されたジャケット式重合槽で、重合槽上部
ジャケットを冷却し、反応液の気液界面を冷却ジャケッ
ト面に位置させ、モノマーフィード管が気相部にあり、
その先端を攪拌翼の軸に近接して設けることで冷却モノ
マーが軸に接触し、軸を冷却することにより、軸部、気
相部での熱重合ポリマーの生成を抑制した重合反応槽が
開示されている。
【0006】さらに、特開平10−158307号公報
には、液相部および気相部を特殊な攪拌翼により攪拌
し、気相部を冷却ジャケットにより冷却することで、気
液界面からのモノマーの蒸発量を増加させ、壁面を常に
凝縮液で洗い流すことにより、気相部の反応器内壁への
ポリマーの付着を防止する方法が開示されている。
【0007】しかしながら、これらの方法は、メチルメ
タクリレートやスチレンの重合など、アクリル酸エステ
ルを単量体として含まない場合には効果が認められる
が、アクリル酸エステルを含む場合は攪拌軸シール部で
の重合防止効果、攪拌軸シール部への重合体の付着防止
効果は必ずしも十分とは言えない。アクリル酸エステル
は、メタクリル酸エステルやスチレンと異なり、ポップ
コン重合と称される異常重合を起こしやすいことが知ら
れている。ポップコン重合の反応機構は未だ明確ではな
いが、ポップコン重合によって得られる重合体は、通
常、いかなる溶媒にも溶解しない。
【0008】したがって、アクリル酸エステルを含むビ
ニル単量体の重合方法において、重合器内の攪拌軸シー
ル部での重合体スケールの付着を十分に防止する工業的
方法は、未だ開示されていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、重合器内の
攪拌軸シール部への重合体スケールの付着を効果的に防
止し、機械的な損傷を与えることなく、生産性よく高品
質の製品を得ることができるアクリル酸エステルを含む
ビニル単量体の重合方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、このよう
な状況に鑑み鋭意検討を行った結果、特殊な重合方法を
採用することにより前述の問題点が解決できることを見
出し、本発明を完成した。
【0011】すなわち、本発明の上記目的は、以下の本
発明により解決できる。 (1)攪拌機付重合器内で、アクリル酸エステルを0.
1質量%以上含むビニル単量体を攪拌しつつ重合する方
法であって、前記攪拌機付重合器内の攪拌軸シールユニ
ットの下部からヒンダードフェノールを注入しながら前
記ビニル単量体の重合を行うことを特徴とするビニル単
量体の重合方法。 (2)ビニル単量体を塊状重合または溶液重合すること
を特徴とする前記(1)のビニル単量体の重合方法。 (3)ヒンダードフェノールがオクタデシル3−
(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネートであることを特徴とする前記
(1)または(2)のビニル単量体の重合方法。 (4)ビニル単量体のいずれか1種以上および/または
不活性溶媒にヒンダードフェノールを溶解し、このヒン
ダードフェノールを含む溶液を攪拌軸シールユニットの
下部から注入することを特徴とする前記(1)〜(3)
のいずれかのビニル単量体の重合方法。 (5)ヒンダードフェノールを含む溶液の注入量をQリ
ットル/hr、その溶液におけるヒンダードフェノール
の含有濃度をCモル/リットル、攪拌軸シールユニット
から釜内壁に至るまでのシール部の空隙部の体積をVリ
ットルとしたときに、下記(1)式および(2)式を満
たすことを特徴とする前記(4)のビニル単量体の重合
方法。
【0012】 2×10-5 ≦ C ≦ 0.2 (1) 0.001 ≦ (V/Q) ≦ 72000×C +24 (2) (6)アクリル酸エステルがメチルアクリレートである
ことを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかのビニ
ル単量体の重合方法。(7)攪拌機付重合器内には液層
部と気相部が存在し、気相部の攪拌機付重合器の壁面温
度が、気相部圧力におけるビニル単量体の沸点以下であ
ることを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかのビ
ニル単量体の重合方法。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明では、攪拌機付重合器内
で、原料単量体を含む反応液を攪拌しつつ、攪拌軸シー
ルユニットの下部からヒンダードフェノールを注入しな
がら、アクリル酸エステルを0.1質量%以上含むビニ
ル単量体の重合を行う。攪拌軸シールユニットの下部に
常時ヒンダードフェノールが存在するようにすることに
よって、攪拌軸シール部での重合体の生成を効果的に防
止し、攪拌軸シール部への重合体スケールの付着を抑制
することができる。その結果、機械的な損傷を与えるこ
となく、生産性よく高品質の製品を得ることができる。
【0014】ここで、攪拌軸シールユニットの下部と
は、攪拌軸シールユニットの摺動部最下端から釜内壁に
至るまでの箇所のことをいう。
【0015】以下、本発明を詳細に説明する。
【0016】本発明で用いる攪拌機付重合器の一例の概
略図を図1に示す。この攪拌機付重合器では、槽型反応
器5に、攪拌翼(不図示)を有する攪拌軸4が取り付け
られている。そして、そのシール部分、攪拌軸シールユ
ニット2の下にヒンダードフェノールを注入するノズル
1が設けられている。このノズル1は、攪拌軸シールユ
ニット2から釜内壁に至るまでの空隙部3に設ければよ
いが、通常、攪拌軸シールユニットのすぐ下に設けるこ
とが好ましい。また、ノズルの個数は、通常、1個で十
分であるが、必要に応じて2個以上としてもよい。
【0017】本発明においては、攪拌軸シールユニット
の下部のノズルから、ヒンダードフェノールを注入すれ
ばよい。ヒンダードフェノールを注入する方法として
は、ヒンダードフェノールを溶解させたヒンダードフェ
ノール溶液を注入する方法が好ましい。注入するヒンダ
ードフェノール溶液は、原料ビニル単量体のいずれか1
種以上および/または不活性溶媒にヒンダードフェノー
ルを溶解した溶液が好ましい。不活性溶媒は用いるヒン
ダードフェノール、ビニル単量体と反応しないものであ
り、例えば、トルエン、メチルエチルケトン、エチルベ
ンゼン、メタノール、エタノール等を用いることができ
る。
【0018】注入する溶液のヒンダードフェノールの濃
度は、十分高い重合防止効果、重合スケール付着防止効
果が得られるので、2×10-5モル/リットル以上、特
に2×10-4モル/リットル以上であることが好まし
い。また、注入する溶液のヒンダードフェノールの濃度
は、ビニル単量体の重合にほとんど影響を及ぼさない範
囲である0.2モル/リットル以下、特に0.02モル
/リットル以下であることが好ましい。
【0019】ヒンダードフェノールを溶解した溶液の注
入量は、十分高い重合防止効果、重合スケール付着防止
効果が得られるので、前記式(2)を満たす範囲である
ことが好ましい。溶液の注入量があまりに多すぎる場合
は経済的でない。溶液の注入量があまりに少なすぎる
と、十分な重合防止効果が得られにくくなる。0.01
≦(V/Q)≦50000×C+24であることが、よ
り好ましい。
【0020】本発明において用いるヒンダードフェノー
ルとしては、例えば、トリエチレングリコール−ビス
[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシ
フェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル−テト
ラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ
フェニル)プロピオネート]、オクタデシル3−(3,
5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピ
オネート等が挙げられる。中でも、オクタデシル3−
(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネートは、下にある反応液と混合しても
ビニル単量体の重合に影響がほとんど出ないので、好ま
しい。
【0021】本発明では、アクリル酸エステルを0.1
質量%以上含むビニル単量体を重合する。
【0022】ビニル単量体に含まれるアクリル酸エステ
ルとしては特に限定されず、例えば、メチルアクリレー
ト、エチルアクリレート、ブチルアクリレートなどのア
ルキルアクリレート、フッ化アクリレート、ベンジルア
クリレート等が挙げられる。アクリル酸エステルは、1
種を用いても2種以上を併用してもよい。中でも、メチ
ルアクリレートは、従来技術では攪拌軸シール部におけ
る重合スケールが生成しやすい傾向があり、本発明の重
合スケール付着防止効果が顕著である。
【0023】また、アクリル酸エステル以外のビニル単
量体としては特に限定されず、例えば、メチルメタクリ
レート、エチルメタクリレートなどのアルキルメタクリ
レート、フッ化メタクリレート、ベンジルメタクリレー
ト、スチレン、アクリロニトリル等が挙げられる。アク
リル酸エステル以外のビニル単量体は、1種を用いても
2種以上を併用してもよい。
【0024】ビニル単量体中のアクリル酸エステルの含
有量は0.1質量%以上であり、これ以上であれば従来
技術と比べて高い本発明の重合スケール付着防止効果が
得られる。一般に、ビニル単量体中のアクリル酸エステ
ルの含有量が高いほど重合スケールが攪拌軸シール部に
付着しやすくなるが、本発明によれば、ビニル単量体中
のアクリル酸エステルの含有量が2.0質量%以上であ
っても顕著な重合スケール付着防止効果が得られる。ビ
ニル単量体中のアクリル酸エステルの含有量の上限は特
に規定されず、100%でもよいが、通常、50質量%
以下とする。
【0025】本発明では、原料のビニル単量体にラジカ
ル重合開始剤を添加し、このラジカル重合開始剤を含む
ビニル単量体を攪拌機付重合器に供給することが好まし
い。原料には溶媒を含んでもよい。そして、前述のよう
に攪拌軸シールユニットの下部からヒンダードフェノー
ルを注入しながら、重合温度でビニル単量体を攪拌して
ビニル単量体の重合を行う。
【0026】用いる重合開始剤は特に限定されるもので
はなく、公知の有機過酸化物やアゾ化合物を使用でき
る。重合開始剤の添加量は、反応条件に応じて適宜決め
ればよい。
【0027】また、本発明では、必要に応じてラジカル
連鎖移動剤としてメルカプタン化合物をビニル単量体に
添加してもよい。用いるメルカプタン化合物としては、
n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン
が好ましく挙げられる。メルカプタン化合物の添加量
は、反応条件に応じて適宜決めればよい。
【0028】本発明において使用される攪拌機付重合器
としては特に限定されず、公知の攪拌機を有する重合器
を用いることができる。ただし、図1に示したように、
ヒンダードフェノールを注入するノズル1が設けられて
いることが必要である。
【0029】攪拌翼は特に限定されないが、ダブルヘリ
カルリボン翼、マックスブレンド翼(住友重機械工業
(株)製)等が好適である。
【0030】シール構造としては、メカニカルシール、
グランドシールが挙げられるが、工業的には専らメカニ
カルシールが使用される。
【0031】重合方法としては、ビニル単量体を液相で
重合できる塊状重合または溶液重合が挙げられる。重合
条件は公知の方法に従って、あるいは、準じて決めれば
よい。
【0032】本発明では、反応槽内に気相部が存在する
ようにしてもよく、気相部がないように反応槽内を反応
液で満たしてもよい。
【0033】本発明では、通常、重合温度は50〜27
0℃であることが好ましく、反応圧力は0.1〜5MP
aであることが好ましい。
【0034】また、反応槽が気相部を有する場合、反応
槽の気相部は、冷却ジャケット、または、気相部内部に
設けられた冷却装置により冷却することが好ましい。さ
らに、反応槽気相部の壁面温度が、気相部圧力における
ビニル単量体の沸点以下であることが好ましい。壁面温
度がビニル単量体の沸点以下であれば、壁面でモノマー
蒸気の凝縮が起こるため、ヒンダードフェノールがビニ
ル単量体に均一に溶解する状況が生まれるので、高い気
相部内壁への重合体スケール付着防止効果が得られ、好
ましい。
【0035】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳しく説
明するが、これらは本発明を限定するものではない。
【0036】<実施例1>反応器には、攪拌翼がダブル
ヘリカルリボン翼の図1に示すような攪拌機付重合器を
用いた。また、攪拌軸シールユニット2はダブルメカニ
カルシールユニットとし、攪拌軸シール部の空隙部3の
体積Vは1リットルである。反応器の体積は10000
リットルである。
【0037】精製したメチルメタクリレート90質量%
とメチルアクリレート10質量%とからなるモノマー混
合物に窒素を導入して溶存酸素を0.5ppmとした
後、このモノマー混合物に対してn−オクチルメルカプ
タン(ELF ATOCHEM NORTH AMERICA INC製、純度99.
5質量%)0.0171モル/kgと、ラジカル開始剤
として2,2'−アゾビスイソブチロニトリル(和光純薬製
V−60、純度99質量%)を1.71 ×10-4 モル
/kgとを混合し、この原料モノマーを含む反応液を重
合温度135℃に制御された攪拌混合下の完全混合型反
応器に連続的に供給して単量体の重合を行った。反応器
に供給するモノマー混合物の流速は、1500リットル
/hrとした。反応槽気相部の圧力は、反応液が沸騰し
ないように0.5MPaに維持した。また、重合反応
中、反応槽内の反応液はダブルヘリカルリボン翼により
撹拌混合した。平均滞留時間は4時間とした。
【0038】また、重合反応中、ヒンダードフェノール
としてオクタデシル3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−
4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(チバガイ
ギー(株)製、Irganox-1076)をメチルメタクリレート
に1.9×10-3モル/リットル溶解した溶液を、攪拌
軸シールユニットの直下のノズル1より、0.5リット
ル/hrで注入した。
【0039】また、反応槽気相部はジャケットに冷却水
を流し、気相部温度を60℃に冷却した。
【0040】続いて反応混合物を連続的にベントエクス
トルーダに供給し、未反応モノマーを主成分とする揮発
物を分離除去して重合体を得た。単位時間当たりの反応
槽に供給する単量体量と、ベントエクストルーダ先端か
ら得られる重合体量とから反応槽における重合体転化率
を計算した結果、49%であった。
【0041】上記運転を30日間継続した後、運転を終
了し、反応槽内部を観察した結果、攪拌軸シール部分に
重合体スケールの付着はなく、軸シール部の機械的損傷
はなかった。
【0042】<実施例2〜3>表1に示すようにモノマ
ー混合物の組成を変えた以外は、実施例1と同様にして
重合反応を行った。30日間連続運転後に反応槽内部を
観察した結果、攪拌軸シール部分に重合体スケールの付
着はなく、軸シール部の機械的損傷はなかった。
【0043】<比較例1>攪拌軸シールユニットの直下
のノズルからヒンダードフェノールの溶液を注入しなか
った以外は、実施例1と同様にして重合反応を行った。
30日間連続運転後に反応槽内部を観察した結果、攪拌
軸シール直下の空間部に重合体スケールが見られた。ま
た、メカニカルシールの摺動部分に重合体が入り込み、
摺動材が著しく損傷していた。
【0044】この重合体スケール1gをアセトン10g
に浸積し、30℃で10日間保持したが、全く溶解しな
かった。
【0045】<比較例2>攪拌軸シールユニットの直下
のノズルからヒンダードフェノールの溶液を注入しなか
った以外は、実施例2と同様にして重合反応を行った。
30日間連続運転後に反応槽内部を観察した結果、攪拌
軸シール直下の空間部に重合体スケールが見られた。ま
た、メカニカルシールの摺動部分に重合体が入り込み、
摺動材が著しく損傷していた。
【0046】この重合体スケール1gをアセトン10g
に浸積し、30℃で10日間保持したが、全く溶解しな
かった。
【0047】<比較例3>攪拌軸シールユニットの直下
のノズルからヒンダードフェノールの溶液を注入しなか
った以外は、実施例3と同様にして重合反応を行った。
30日間連続運転後に反応槽内部を観察した結果、攪拌
軸シール直下の空間部に重合体スケールが見られた。ま
た、メカニカルシールの摺動部分に重合体が入り込み、
摺動材が著しく損傷していた。
【0048】この重合体スケール1gをアセトン10g
に浸積し、30℃で10日間保持したが、全く溶解しな
かった。
【0049】<参考例1>モノマー混合物をメチルメタ
クリレート100質量%とした以外は実施例1と同様に
して重合反応を行い、30日間連続運転後に反応槽内部
を観察した結果、攪拌軸シール部分および反応槽気相部
に重合体スケールの付着は見られなかった。
【0050】<参考例2>攪拌軸シールユニットの直下
のノズルからヒンダードフェノールの溶液を注入しなか
った以外は参考例1と同様にして重合反応を行い、30
日間連続運転後に反応槽内部を観察した結果、攪拌軸シ
ール部分および反応槽気相部に重合体スケールの付着は
見られなかった。
【0051】実施例1〜3、比較例1〜3、参考例1、
2の結果を表1に示す。
【0052】
【表1】
【0053】攪拌軸シールユニットの下部のノズルから
ヒンダードフェノールの溶液を注入してアクリル酸エス
テルを含むビニル単量体の重合を行った実施例1〜3で
は、攪拌軸シール部分に重合体スケールの付着は見られ
なかった。一方、ヒンダードフェノールの溶液を注入し
なかった比較例1〜3では、重合体スケールの付着が見
られた。
【0054】また、メチルメタクリレートの重合を行っ
た参考例1、2では、ヒンダードフェノールの溶液の注
入に関係なく、どちらも重合体スケールの付着は見られ
なかった。
【0055】
【発明の効果】本発明によれば、重合器内の攪拌軸シー
ル部への重合体スケールの付着を効果的に防止し、機械
的な損傷を与えることなく、生産性よく高品質の製品を
得ることができるアクリル酸エステルを含むビニル単量
体の重合方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明で用いる攪拌機付重合器の一例の概略
図である。
【符号の説明】
1 ノズル 2 攪拌軸シールユニット 3 シール部の空隙部 4 攪拌軸 5 槽型反応器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J011 DA02 DA04 DB19 DB23 EC05 EC08 FB16 FB19 HB03 HB18 HB24 HB27

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 攪拌機付重合器内で、アクリル酸エステ
    ルを0.1質量%以上含むビニル単量体を攪拌しつつ重
    合する方法であって、前記攪拌機付重合器内の攪拌軸シ
    ールユニットの下部からヒンダードフェノールを注入し
    ながら前記ビニル単量体の重合を行うことを特徴とする
    ビニル単量体の重合方法。
  2. 【請求項2】 ビニル単量体を塊状重合または溶液重合
    することを特徴とする請求項1に記載のビニル単量体の
    重合方法。
  3. 【請求項3】 ヒンダードフェノールがオクタデシル3
    −(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフ
    ェニル)プロピオネートであることを特徴とする請求項
    1または2に記載のビニル単量体の重合方法。
  4. 【請求項4】 ビニル単量体のいずれか1種以上および
    /または不活性溶媒にヒンダードフェノールを溶解し、
    このヒンダードフェノールを含む溶液を攪拌軸シールユ
    ニットの下部から注入することを特徴とする請求項1〜
    3のいずれかに記載のビニル単量体の重合方法。
  5. 【請求項5】 ヒンダードフェノールを含む溶液の注入
    量をQリットル/hr、その溶液におけるヒンダードフ
    ェノールの含有濃度をCモル/リットル、攪拌軸シール
    ユニットから釜内壁に至るまでのシール部の空隙部の体
    積をVリットルとしたときに、下記(1)式および
    (2)式を満たすことを特徴とする請求項4に記載のビ
    ニル単量体の重合方法。 2×10-5 ≦ C ≦ 0.2 (1) 0.001 ≦ (V/Q) ≦ 72000×C +24 (2)
  6. 【請求項6】 アクリル酸エステルがメチルアクリレー
    トであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記
    載のビニル単量体の重合方法。
  7. 【請求項7】 攪拌機付重合器内には液層部と気相部が
    存在し、気相部の攪拌機付重合器の壁面温度が、気相部
    圧力におけるビニル単量体の沸点以下であることを特徴
    とする請求項1〜6のいずれかに記載のビニル単量体の
    重合方法。
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