JP2002367820A - 磁石廃材を再利用した希土類ボンド磁石 - Google Patents

磁石廃材を再利用した希土類ボンド磁石

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 希土類焼結磁石の製造工程において大量に発
生する磁石廃材を、乾燥や粒度調整をしてそのまま用い
るか、あるいは磁性回復のための表面処理を行ってボン
ド磁石用粉末として再利用することにより、省資源で安
価、且つ高磁気特性のボンド磁石を提供すること。 【構成】 希土類焼結磁石およびその加工屑から成る、
平均粒径2〜40ミクロンの磁石廃材粉末が60質量%
未満5質量%以上と、急冷法によって製作した、または
水素処理した平均粒径40〜300ミクロンの等方性N
d−Fe−B系粉末が40質量%以上95質量%未満と
を、有機物樹脂で成形固化して成ることを特徴とする、
磁石廃材を再利用した等方性の希土類ボンド磁石。磁石
廃材粉末には、保磁力向上のためその表面に0.01〜
3ミクロン厚の金属あるいはセラミックス被膜を形成す
ることが望ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、焼結磁石廃材を再
利用した省資源で安価、且つ高い磁気エネルギー積を有
する希土類ボンド磁石に関する。
【0002】
【従来の技術】Nd−Fe−B系希土類ボンド磁石は、
焼結磁石より磁気特性は劣るものの高寸法精度の円筒形
状磁石が容易に製作できる。そのため、急冷法によって
製造された磁粉を用いた等方性ボンド磁石は、HDD用
スピンドルモータや各種のステッピングモータに広く応
用され生産量が増加している。また、水素処理をして異
方性の結晶組織をもつ、所謂HDDR粉末と称するNd
−Fe−B系磁粉を用いた異方性ボンド磁石も、等方性
より高い磁気特性が得られるために実用化され始めた。
【0003】一方、希土類焼結磁石の生産量も年々著し
く増加しており、製造工程において発生する焼結不良品
や研磨屑などの磁石廃材は磁石仕込み量の数十%に達
し、年間数千トンに及んでいると推定される。この磁石
廃材の中には希少資源である希土類元素が相当量含まれ
るために、その回収と再利用が求められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】Nd−Fe−B系ボン
ド磁石は、MQI社が製造販売する等方性磁粉にエポキ
シ樹脂を混合して圧縮成形または射出成形する方式が主
流となっている。この磁石の磁気特性は成形体中の磁粉
含有率の高低によってほぼ決まるが、磁気特性向上のた
めの手段として第一に、平均粉末粒径を100〜300
ミクロン程度に大きくし、磁石表面粗さの悪さを犠牲に
して圧縮成形性を上げる、第二に、ダイスやパンチ類の
消耗や欠損を考慮しつつ約1.5GPa迄の高圧力を加
えて、粉末の充填性を上げる、第三に、ステアリン酸や
窒化硼素などの潤滑剤を磁粉に混ぜるか金型に塗布して
成形性を改善する、などの手段を採用しても磁気特性は
90〜100kJ/m3程度である。
【0005】また、最近では、異方性のHDDR磁粉を
用いた異方性ボンド磁石も工業化の緒についたが、モー
タに多用される小径筒状磁石を製作する場合には本質的
に磁界配向が充分に行われないため、角型ブロック磁石
では容易に得られる150kJ/m3の特性が、120
kJ/m3程度に止まってしまう。このように、いずれ
のボンド磁石においても、磁気特性を向上させることが
容易ではなかった。
【0006】一方、近年の希土類磁石の生産量の増加に
伴って資源再利用の必要性が唱えられている。ボンド磁
石の製造工程は比較的短く、且つ成形後の機械加工がな
いために製品歩留まりは98〜99%であり、したがっ
て、磁石廃材発生量は少ない。それに対して、Nd−F
e−B系焼結磁石は製造工程数が多く、主たる用途であ
るHDD向けVCM用磁石の場合には、大きなブロック
を成形し、焼結した後に切断研磨する方式が採られてい
るために、端材や研磨屑、あるいは特性不良品などの磁
石廃材が多量に発生する。
【0007】この磁石廃材の中で、焼結片など数mmの
固形スクラップは再溶解して一次合金とした後に本溶解
する事が一部実施されているが、メッキ被膜の剥離手間
や不純物除去の困難性から採算的に問題がある。また、
磁石の研磨屑は数ミクロン程度であるために表面が酸化
して保磁力が著しく低下し、そのままでは焼結磁石に使
用するのが困難である。従って、研磨屑は加熱焼成して
完全な酸化物にして、イオン抽出法によりNdやDyな
どを分離回収し合金原料とするが、工程管理が複雑で安
定操業上その実施は限られている。
【0008】周知のように、Nd−Fe−B系焼結磁石
は1mm以下の薄片や数十ミクロンの粉末形態では、核
発生型の保磁力機構が故に保磁力が著しく低下し、従来
は磁石として用いられることはなかった。しかし、最
近、焼結磁石表面にZn被膜を形成して表面相の合金化
反応を研究し、耐食性の向上についての報告がある(J.
Alloys and Compound, 306(2000)253)。また、焼結磁
石薄片にAu,Ta,Dyなどのスパッタ被膜を形成し
て、保磁力回復の機構を研究した報告がある(Pro. of
16th Int. Workshop on Rare-earth Magnets and Their
applications, Sendai, 2000, pp.257)。しかし、こ
れらの報告は、いずれも、焼結磁石としての特性確保を
目的とした研究に関するものであり、焼結磁石廃材を再
利用する意図はみられない。
【0009】本発明は、希土類焼結磁石の製造工程にお
いて大量に発生する磁石廃材を、乾燥や粒度調整をして
そのまま用いるか、あるいは磁性回復等のための表面被
膜形成処理を行ってボンド磁石用粉末として再利用する
ことにより、省資源で安価、且つ高磁気特性のボンド磁
石を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】本発明は、上記の目的を達成するために、
希土類焼結磁石およびその加工屑から成る、平均粒径2
〜40ミクロンの磁石廃材粉末が60質量%未満5質量
%以上と、急冷法によって製作した平均粒径40〜30
0ミクロンの等方性Nd−Fe−B系粉末が40質量%
以上95質量%未満とを、有機物樹脂で成形固化したこ
とを特徴とする磁石廃材を再利用した等方性の希土類ボ
ンド磁石を提供する。
【0011】また、希土類焼結磁石およびその加工屑か
ら成る、平均粒径2〜40ミクロンの磁石廃材粉末が6
0質量%未満5質量%以上と、水素処理した平均粒径4
0〜300ミクロンの異方性Nd−Fe−B系粉末が4
0質量%以上95質量%未満とを、有機物樹脂で成形固
化したことを特徴とする磁石廃材を再利用した異方性の
希土類ボンド磁石を提供する。
【0012】さらに、上述の磁石廃材粉末として、その
表面に0.01〜3ミクロン厚の金属、合金、またはセ
ラミックス被膜が形成されているものを用いたことを特
徴とする磁石廃材を再利用した希土類ボンド磁石を提供
する。
【0013】
【作用】本発明において、磁石廃材からなる粉末は、新
規材磁粉の空隙を埋めることを意図しているために、そ
の粒径は相対的に小さくなければならない。粒径の下限
は2ミクロンとし、これより小さいと強酸化されている
ために保磁力の回復が実質的に困難であり、一方、40
ミクロンを超えると空隙を埋める作用が果たし得なくな
る。
【0014】また、磁粉全体に占めるその混入量は、6
0質量%未満までとすることが、充分な空隙充填効果を
生み、従来の磁気特性を超えるために必要である。磁石
廃材粉末は5質量%程度以上なるべく多く再利用した方
が省資源上望ましいが、磁気特性を考慮すれば、好まし
くは10〜50質量%、より好ましくは20〜40質量
%とする。特に、異方性ボンド磁石においては、相対的
に小さい磁石廃材粉末が磁界中成形時のHDDR粉末粒
子の回転を助長して、配向性を向上させる効果がある。
【0015】混合する磁石廃材粉末を微粉にするのに対
して、新規材磁粉の平均粒径は高密度充填にとって有利
なように大きくし、下限は40ミクロンとする。これ以
下の粒径では充填密度が著しく低下して所定の磁気特性
が得られず、反対に300ミクロンを超えると粉末粒子
間の空隙が増加して密度が減少し、また、同時に磁石表
面の粗さが大きくなって保護膜にピンホールができるの
で耐食性が低下する。
【0016】磁石廃材粉末の表面に金属、合金、または
セラミックス被膜を形成し粉末の表面を修復することに
より保持力向上や耐酸化性を向上させることができる。
これらの効果を得るには、被膜の膜厚は、少なくとも百
原子層程度の0.01ミクロンが必要であり、一方、3
ミクロンを超えると被膜材質が非磁性であるために全体
の磁性を薄めてしまうことになり、高磁気特性を得るこ
とができなくなる
【0017】
【発明の実施の形態】本発明を製造工程に従って詳しく
説明する。本発明で対象とする希土類ボンド磁石は、希
土類元素をRとし遷移元素をTとした場合にR214
等で示される化合物を主相とし、一般にNd−Fe−B
系ボンド磁石と表現される。その合金成分中にはα−F
eやFe3B相を含有したり、あるいはNd以外にDy
やPr等他の希土類元素や、Co,Cr等の遷移元素を
含有しても差し支えない。
【0018】ボンド磁石の結合材は成形方式によって選
択され、圧縮成形ではエポキシやフェノール等の熱硬化
性樹脂を、射出成形ではナイロンやPVT等の熱可塑性
樹脂を、押し出し成形では加硫ゴムなどが用いられる。
また、異方性磁石においては、800〜2400kA/
m程度の直流あるいはパルス磁界を所定の方向に印加さ
せて成形を行う。得られた磁石は殆ど機械加工すること
なく、通常、錆び防止のために表面を樹脂で塗装し、最
後に着磁をして磁石製品とする
【0019】新規材として用いる磁粉は、合金溶湯を回
転するロール表面に噴出して急冷凝固させた等方性の急
冷法によって製作した磁粉や、合金に水素を吸蔵放出さ
せる過程で異方性の結晶組織を得た水素処理した(HD
DR)磁粉が最も一般的であるが、その他にアトマイズ
や水中紡糸法による急冷法よっても所望の磁粉を得るこ
とができる。これらの磁粉は、ボンド磁石内に高密度に
充填させて高い磁気特性を得るために、適切な粒径を選
択することが必要である。
【0020】一方、磁石廃材粉末の原料とする希土類焼
結磁石およびその加工屑などの廃材としては、焼結工程
で割れや亀裂を生じた不良品、メッキや樹脂塗装での外
観不良品、検査工程での寸法や磁気特性不良品、切断時
の欠けや端材、研磨工程での研磨屑などの加工屑、など
が挙げられる。廃材として量的にはNd−Fe−B系が
圧倒的に多いがその約半分程度の量があるSm−Co系
磁石廃材を対象の廃材として除外するものではない。
【0021】Sm−Co系焼結磁石廃材は、Nd−Fe
−B系磁石廃材と比較してCoを多量に含有するために
酸化され難く、したがって、保持力の低下が少ない性質
を持っている。また、Sm−Co系焼結体の初期BHm
axはNd−Fe−B系より低いが、廃材ではNd−F
e−B系より保持力の低下が小さいため、ボンド磁石に
混合する廃材はどちらの系を用いてもかまわない。
【0022】これらの磁石廃材の内、大きさが1mm以
上の欠けや不良品はクラッシャーによる粗粉砕後、ボー
ルミルやジェットミルによる微粉砕を行って数〜数十ミ
クロンの粉末を製作する。また、研磨屑は通常数ミクロ
ンの粉末となっており、粉末表面の酸化や形態的な荒れ
によって保磁力が著しく低下していることが多い。
【0023】保磁力を回復する場合、粉末粒子表面に各
種の金属または合金薄膜を形成する。粒子表面に露出し
たNd−Fe−B相は酸化によってNdが欠損している
ために、NdやDy等の希土類金属を機械的に混合して
成膜したり、気相蒸着あるいは物理蒸着法によって成膜
する。
【0024】研磨屑は機械加工による内部歪と不規則な
表面層をもつために、ZnやAl等の比較的低融点の金
属を蒸発成膜し、加熱によって粒子表面と固相反応を起
こさせ、表面相の形態的修復を行う。なお、被膜材質は
この他に酸化防止効果のあるNiやTaなどの金属また
は合金を用いることができる。さらには、酸化ケイ素な
どセラミックスをゾルゲル法などの湿式処理によって成
膜しても、ボンド磁石の耐環境特性の向上に効果があ
る。
【0025】図3に、上記の磁石廃材粉末に各金属を被
覆したときの、被膜の厚さと磁気特性の関係を示す。図
3から明らかなように、磁石廃材粉末の表面にごく薄い
被膜を形成することによって、保磁力(HcJ)と残留磁
化(Br)が著しく向上する。被膜厚が薄い場合の残留
磁化の向上は保磁力の増加に伴う現象であり、被膜厚が
厚過ぎる場合は非磁性の金属被膜の体積が増加するため
に、残留磁化は低下する。従って、本発明の磁石におい
て用いる磁石廃材粉末の場合は、被膜厚は3ミクロン以
下にすることが好ましい。
【0026】図3に示す磁石廃材粉末への成膜は、下記
の方法によって行った。磁気エネルギー積が336kJ
/m3のNd−Dy−Fe−Co−B系焼結磁石の研磨
屑を回収・乾燥して、平均粒径7ミクロンの粉末を得
た。この研磨屑は、粒子表面が酸化して2.1質量%の
酸素を含有し、磁気特性のうち特に保磁力が著しく低下
していたため、粒子表面の酸化層除去と凹凸解消の目的
で金属被覆処理を行った。被覆処理は、研磨屑粉末に金
属Zn,Al,またはDyの各粉末とアルミナボールを
石英容器に装填し、真空引きした後に容器を回転させな
がら、400〜600℃で1〜6時間加熱することによ
った。
【0027】また、被膜の厚さ測定用として当該焼結磁
石片を石英ポットに装填した。被膜の厚さはβ線測定器
によって測定した。また、被覆しや粉末の磁気特性は、
予め、パラフィン中に磁粉を混合して磁界中で配向固定
し、4.8MA/mのパルス着磁をした後に振動試料型
磁力計を用いて測定した。
【0028】
【実施例】以下、本発明を実施例に従って詳細に説明す
る。 実施例1 MQI社製の急冷法によるNd−Fe−Co−B系磁粉
(商品名:MQPB)を、窒素ガスを導入した衝撃式気
流粉砕機を用いて粉砕刃の回転数を3000rpmにセ
ットして粉砕し、平均粒径140ミクロンの粗粉末を得
た。一方、336kJ/m3の磁気エネルギー積をもつ
Nd−Dy−Fe−Co−B系焼結磁石のアルミメッキ
不良品を廃材として用いた。この磁石廃材から、塩酸に
よってメッキ膜を剥離乾燥した後に、粉砕機の回転数を
6000rpmに上げて粉砕をし、平均粒径22ミクロ
ンの微粉末を得た。
【0029】前者に、磁石廃材粉末を0,10,20,
30,40,50,60,70質量%の割合で混ぜた混
合粉末と、質量比で2.5wt%のエポキシ樹脂とを混
合・混練し、WC製金型を使用して無磁界中で1.2G
Paの圧力をかけて、10×10×7mmの成形体を製
作した。続いて、窒素雰囲気中、120℃で1時間の硬
化処理を行って磁石試料とした。
【0030】各試料の密度はアルキメデス法により、ま
た、磁気特性は4.8MA/mのパルス磁界を加えた
後、2MA/mの磁界中でBHトレーサによって測定し
た。得られた試料の、混合比に対する密度と磁気特性と
の関係を図1に示す。図から明らかなように、MQPB
粉末に粒子サイズの小さな磁石廃材粉末を混合すること
によって、密度が向上し、その結果として磁気特性が向
上した。ただし、磁石廃材粉末の混合率が60質量%以
上では微粉末量が過剰となるために、MQPB磁粉単独
の場合より密度が低下して磁気特性も低下する。
【0031】実施例2 MQPB粉末を粉砕せずに振動ふるい機によって篩い分
けし、平均粒径が28,47,74,110,164,
274,355みくろんの各粉末を得た。この粉末に、
実施例1で用いた平均粒径22ミクロンの磁石廃材微粉
末を20質量%の割合で混合し、エポキシ樹脂とを添加
混合してボンド磁石を製作し、本発明試料1〜5、およ
び比較例試料2〜3とした。また、上記の本発明試料3
の110ミクロンの粉末を使用して、磁石廃材粉末を混
合しない磁石試料を比較例1として製作した。表1に、
各試料の密度と磁気特性を示す。
【0032】
【表1】
【0033】MQPB粉末の粒径が小さ過ぎる比較例2
と大き過ぎる比較例試料3は、磁石廃材粉末を混合しな
い比較例試料1より、密度も磁気特性共に低下した。こ
の理由は、比較例2の試料では粒径が小さ過ぎるため
に、磁石廃材粉末がMQPBの粒子間の空隙に充填され
ずに密度が得られなかったためで、比較例3の試料では
粒径が大き過ぎるため上記空隙を埋めるに充分な磁石廃
材粉末が供給されずに密度が低下したためである。一
方、本発明試料1〜5は密度が向上して、高い磁気特性
が得られた。
【0034】実施例3 水素処理によって製作されたNd−Dy−Fe−Zr−
B系のHDDR磁粉を粉砕した平均粒径140ミクロン
の粉末に、実施例1で用いた平均粒径22ミクロンの磁
石廃材からなる微粉末を、0,10,20,30,4
0,50,60,70質量%の割合で混合した。この混
合粉末に、質量比で2.2%のエポキシ樹脂と0.1%
のオレイン酸を添加混合し、1.6MA/mの磁界中で
1GPaの圧力を加えて10×10×7mmの成形体を
製作し、硬化処理を行って異方性の磁石試料を得た。
【0035】図2に、磁石廃材粉末の混合比に対する密
度と磁気特性との関係を示す。この結果、磁石廃材粉末
を混合させることによって密度と磁気特性が向上するこ
とがわかった。但し、混合率が60質量%以上では微粉
末量が過剰となり磁気特性が低下する。
【0036】実施例4 磁気エネルギー積が336kJ/m3のNd−Dy−F
e−Co−B系焼結磁石の研磨屑を回収・乾燥して、平
均粒径7ミクロンの粉末を得た。この研磨屑粉末と金属
Zn粉末とアルミナボールを石英容器に装填し、真空引
きした後に容器を回転させながら、500℃で1時間加
熱し厚さ0.08ミクロンのZn被膜粉末を得た。この
Zn被膜粉末20質量%を平均粒径100ミクロンに粉
砕したHDDR磁粉に混合した。この混合粉末にシラン
カップリング処理をして12ナイロン樹脂を6質量%混
合し、加熱押し出しをして成形用ペレットを製作した。
次に、極配向用金型を用いて280℃で射出成形をし、
外形24mm、内径20mm、高さ4mmの極異方配向
した本発明試料を得た。
【0037】また、比較例として、HDDR単独粉を用
いて射出成形した磁石を合わせて製作した。これら磁石
を着磁ヨークに装填し、約2MA/mのパルス磁界を加
えて外周24極に着磁をし、ガウスメータによって表面
磁束密度を測定した。その結果、比較例の表面磁束密度
が322mTであるのに対して本発明試料のそれは34
0mTの値を示し、研磨廃材を用いているにもかかわら
ず高い磁気特性が得られることがわかった。
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、希土類ボンド磁石にお
いて、焼結磁石の廃材を磁石粉として再利用し、従来、
ボンド磁石に用いていた磁粉より粒径を小さくして、磁
石中の磁粉充填率を従来より高めて磁気特性の高い希土
類ボンド磁石ができる。また、磁石廃材粉末の表面に被
膜を形成して保磁力を回復させること、耐環境特性を向
上させることもでき、優れた特性を有し、省資源で安価
なボンド磁石の供給が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、MQPB粉末と磁石廃材粉末の混合比
に対する、ボンド磁石の密度と磁気特性との関係を示す
グラフである。
【図2】図2は、HDDR粉末と磁石廃材粉末の混合比
に対する、ボンド磁石の密度と磁気特性との関係を示す
グラフである。
【図3】図3は、磁石廃材粉末への各金属の被覆膜厚
と、磁気特性の関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 町田 憲一 大阪府箕面市粟生間谷西1−4−5−401 (72)発明者 足立 吟也 兵庫県神戸市東灘区御影町御影字滝ヶ鼻 1345−9 Fターム(参考) 5E040 AA04 BB03 BC01 CA01 HB15 HB17 NN06 5E062 CD05 CE05 CG07

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 希土類焼結磁石およびその加工屑から成
    る、平均粒径2〜40ミクロンの磁石廃材粉末が60質
    量%未満5質量%以上と、急冷法によって製作した平均
    粒径40〜300ミクロンの等方性Nd−Fe−B系粉
    末が40質量%以上95質量%未満とを、有機物樹脂で
    成形固化して成ることを特徴とする磁石廃材を再利用し
    た等方性の希土類ボンド磁石。
  2. 【請求項2】 希土類焼結磁石およびその加工屑から成
    る、平均粒径2〜40ミクロンの磁石廃材粉末が60質
    量%未満5質量%以上と、水素処理した平均粒径40〜
    300ミクロンの異方性Nd−Fe−B系粉末が40質
    量%以上95質量%未満とを、有機物樹脂で成形固化し
    て成ることを特徴とする磁石廃材を再利用した異方性の
    希土類ボンド磁石。
  3. 【請求項3】 希土類焼結磁石およびその加工屑から成
    る磁石廃材粉末として、その表面に0.01〜3ミクロ
    ン厚の金属、合金、またはセラミックス被膜が形成され
    ているものを用いたことを特徴とする請求項1または請
    求項2に記載の磁石廃材を再利用した希土類ボンド磁
    石。
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