JPH07201623A - 焼結磁石およびその製造方法 - Google Patents

焼結磁石およびその製造方法

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JPH07201623A
JPH07201623A JP5353917A JP35391793A JPH07201623A JP H07201623 A JPH07201623 A JP H07201623A JP 5353917 A JP5353917 A JP 5353917A JP 35391793 A JP35391793 A JP 35391793A JP H07201623 A JPH07201623 A JP H07201623A
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sintered
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Akira Fukuno
亮 福野
Hideki Nakamura
英樹 中村
Koichi Nishizawa
剛一 西沢
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    • H01F1/0577Alloys characterised by their composition containing rare earth metals and magnetic transition metals, e.g. SmCo5 and IIIa elements, e.g. Nd2Fe14B in the form of particles, e.g. rapid quenched powders or ribbon flakes pressed, sintered or bonded together sintered

Abstract

(57)【要約】 【目的】 R−T−B系焼結磁石の製造において焼結時
の寸法変化を抑えることにより焼結後の研削加工を不要
として、安価な薄肉磁石を提供する。 【構成】 R(Rは、Yを含む希土類元素の少なくとも
1種である)、T(Tは、Fe、またはFeおよびCo
である)およびBを含有し、R214Bを主相とする平
均粒子径20μm 以上の粉末と、Rを75〜97重量%
含み、残部が実質的にFeおよび/またはCoであっ
て、開きが38μm 以上のフルイに残留し、開きが50
0μm 以下のフルイを通過する粉末とを含む成形体を焼
結して、閉空孔を3〜15体積%含む焼結磁石を製造す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、焼結時の収縮が小さい
希土類焼結磁石と、その製造方法とに関する。
【0002】
【従来の技術】高性能を有する希土類磁石としては、粉
末冶金法によるSm−Co系磁石でエネルギー積32M
GOeのものが量産されている。また、近年Nd−Fe
−B磁石等のR−T−B系磁石(TはFe、またはFe
およびCo)が開発され、特開昭59−46008号公
報には焼結磁石が開示されている。R−T−B系磁石
は、Sm−Co系磁石に比べ原料が安価である。R−T
−B系焼結磁石の製造には、従来のSm−Co系の粉末
冶金プロセス(溶解→鋳造→インゴット粗粉砕→微粉砕
→成形→焼結→磁石)を適用することができる。
【0003】R−T−B系磁石では、焼結磁石の他に、
磁石粉末を樹脂バインダや金属バインダで結合したボン
ディッド磁石も実用化されている。ボンディッド磁石
は、成形の際の寸法がほぼ維持されるため、寸法精度が
高く、製造後に形状加工を必要としない。しかし、工業
化されているR−T−B系のボンディッド磁石は、単ロ
ール法等の急冷法により製造した微細結晶からなる多結
晶粒子を用いているので、磁場中成形などによる異方性
化は困難である。R−T−B系焼結磁石の粉砕粉は、粉
砕による歪や酸化などにより保磁力が激減しているた
め、ボンディッド磁石の原料粉として用いることはでき
ない。なお、R−T−B系合金インゴットの粉砕粉を水
素と反応させて、希土類水素化物とTのほう化物とTと
に分解し、所定温度で脱水素することにより、個々の粒
子内で結晶方位の揃った微細結晶を析出させる提案もな
されている。この方法で得られた多結晶粒子は磁場配向
が可能であり、微細結晶により高保磁力が得られるが、
水素を用いるため工程が複雑となるので、実用化されて
いない。
【0004】一方、R−T−B系焼結磁石では、実質的
に単結晶粒子からなる粉末を磁場中で成形するため、容
易に異方性磁石が得られ、しかもバインダを用いないた
め、高特性が得られる。しかし、焼結法では、成形体が
焼結反応時に著しく収縮し、その収縮が不均一であるた
め、成形体の寸法精度の維持が難しい。この収縮は、成
形体中の粒子の配向度や密度のばらつきなどにより異な
る。異方性焼結磁石では、磁化容易軸方向とそれに垂直
な方向とで収縮率が異なり、例えば、成形体の密度が
4.3g/cm3 のとき、磁化容易軸方向で22%程度、そ
れに垂直な方向で15%程度となり、焼結後の密度は
7.55g/cm3 に達する。
【0005】異方性焼結磁石におけるこのような寸法変
化は、リング状磁石や板状磁石で薄肉のものの場合に特
に問題となる。薄肉磁石において収縮率が不均一になる
と、反りが発生するからである。そこで、製品化に際し
ては、このような寸法変化を修正するために焼結体を研
削加工する。しかし、研削加工には以下に述べるような
問題がある。
【0006】 研削加工時の焼結体の材料損失量が大
きくなる。例えば、厚さ1mmの薄肉板状の磁石を作製す
る際に1mmの反りが発生する場合、まず、厚さ3mm程度
の焼結体を製造し、これの上下面を研削する必要がある
ので、材料の2/3が損失となる。このような損失を避
けるために、厚肉の1個の母材から複数の薄肉板状磁石
を厚さ1mmに切り出す場合でも、研削用カッターの歯幅
が0.6mmであると約40%もの損失が生じてしまう。
また、薄肉の焼結体は機械的強度が小さいので、加工時
の衝撃や取り扱いの際に欠けや割れが発生しやすく、歩
留りが低くなってしまう。
【0007】 磁気特性が低下する。Nd2 Fe14
系焼結磁石の保磁力は、結晶粒界のNdリッチ相の存在
に依存していることは、様々な論文などにおいて詳しく
報告されている。この系の焼結磁石を加工する際には、
応力により加工面に近い領域の結晶粒界にクラック等が
生じ、加工面から0.1〜0.2mmの深さまでの領域で
保磁力が失われてしまう。加工面近傍における磁石特性
の消失は、厚肉の磁石では無視し得るものであっても薄
肉磁石では影響が大きく、磁石全体としての磁気特性劣
化が明白になってしまう。なお、加工により保磁力が消
失した領域を酸エッチングにより除去することも可能で
あるが、焼結体の損失量がさらに増大し、製造コストも
増加してしまう。
【0008】このような事情から、長手方向長さ/厚さ
が10以上に達する薄肉異方性磁石では、通常、Sm−
Co系ボンディッド磁石が用いられており、コスト高が
問題となっている。R−T−B系の薄肉焼結磁石も存在
するが、寸法調整のための加工が必須であり、しかも加
工の際の材料歩留りが20〜30%となるため、やはり
コスト高となってしまっている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、R−T−B
系焼結磁石の製造において焼結時の寸法変化を抑えるこ
とにより焼結後の研削加工を不要として、安価な薄肉磁
石を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(15)の本発明により達成される。 (1)R(Rは、Yを含む希土類元素の少なくとも1種
である)、T(Tは、Fe、またはFeおよびCoであ
る)およびBを含有する焼結磁石であって、閉空孔を3
〜15体積%含むことを特徴とする焼結磁石。 (2)密度が7.15g/cm3 以下である上記(1)の焼
結磁石。 (3)閉空孔1個あたりの平均投影断面積が1000〜
30000μm 2 である上記(1)または(2)の焼結
磁石。 (4)開空孔の比率が2体積%以下である上記(1)〜
(3)のいずれかの焼結磁石。 (5)Rを30〜45重量%、Bを0.5〜3.5重量
%含有し、残部が実質的にTである上記(1)〜(4)
のいずれかの焼結磁石。 (6)R(Rは、Yを含む希土類元素の少なくとも1種
である)、T(Tは、Fe、またはFeおよびCoであ
る)およびBを含有する焼結磁石を、主相用母合金の粉
末と粒界相用母合金の粉末との混合物を成形した後、焼
結することにより製造する方法であって、前記主相用母
合金が、実質的にR214Bから構成される結晶粒を有
し、平均粒子径が20μm 以上であり、前記粒界相用母
合金が、Rを70〜97重量%含み、残部が実質的にF
eおよび/またはCoであって、開きが38μm 以上の
フルイに残留し、開きが500μm 以下のフルイを通過
するものであることを特徴とする焼結磁石の製造方法。 (7)前記混合物中における粒界相用母合金の粉末の比
率を2〜20重量%とする上記(6)の焼結磁石の製造
方法。 (8)前記粒界相用母合金のRの50%以上をNdが占
める上記(6)または(7)の焼結磁石の製造方法。 (9)前記粒界相用母合金を液体急冷法により製造する
上記(6)〜(8)のいずれかの焼結磁石の製造方法。 (10)前記粒界相用母合金の融点以上の温度で焼結を
行なう上記(6)〜(9)のいずれかの焼結磁石の製造
方法。 (11)真空中で焼結を行なう上記(6)〜(10)のい
ずれかの焼結磁石の製造方法。 (12)密度5.5g/cm3 以上の成形体を、密度変化が
0.2g/cm3 以上となるように焼結する工程を有する上
記(6)〜(11)のいずれかの焼結磁石の製造方法。 (13)抗折強度が0.3kgf/mm2 以上である成形体を
焼結する上記(6)〜(12)のいずれかの焼結磁石の製
造方法。 (14)成形圧力が8t/cm2 以上である上記(6)〜
(13)のいずれかの焼結磁石の製造方法。 (15)上記(1)〜(5)のいずれかの焼結磁石を製
造する上記(6)〜(14)のいずれかの焼結磁石の製造
方法。
【0011】
【作用および効果】Nd2 Fe14B焼結磁石用の従来の
成形体は、空孔がないと仮定したときの密度(理論密
度:約7.6g/cm3 )の55%程度の密度(約4.2g/
cm3 )であり、45%程度の空孔を含んでいる。そし
て、焼結により理論密度の99%程度まで緻密化させる
ので、体積収縮率が大きくなってしまう。
【0012】これに対し本発明では、焼結の際に、磁石
内に閉空孔を所定比率で形成することにより、収縮を小
さく抑える。閉空孔は磁石外部へ連通していないため、
後述する従来の半焼結磁石の開放気孔(開空孔)と異な
り、磁石の腐食を招くことがない。このようにして焼結
の際の収縮率を小さく抑えることにより、リング状や板
状の薄肉異方性磁石を製造する場合でも、形状を修正す
るための加工が不要となり、低コスト化および生産性向
上が実現する。また、高密度成形体は抗折強度が高いの
で、取り扱いが容易となり、成形工程と焼結工程との間
での割れや欠けの発生が少なくなる。
【0013】本発明では、上記閉空孔を形成するため
に、2合金法を用いる。R−T−B系焼結磁石製造にお
ける2合金法は、組成の異なる2種の合金の粉末を混合
して焼結する方法である。本発明では、2合金法におい
て、上記主相用母合金と上記粒界相用母合金とを用い
る。本発明で用いる主相用母合金の粉末は、従来の2合
金法で用いるものと組成は同様であるが、粒子径は大き
い。そして、本発明では、焼成時に閉空孔が形成される
ように従来にない大径のRリッチ粉末を、粒界相用母合
金粉末として用いる。この粒界相用母合金粉末は、Nd
89Fe11(重量比)を中心とする低融点組成を有する。
粒界相用母合金の粉末は焼結時に溶融し、R214B主
相に対して濡れ性の極めて良好な液相となって流動し、
主相用母合金の粉末の周囲を被覆して磁石の粒界相とな
り、保磁力を向上させる。粒界相用母合金の粉末は大径
であり、しかも溶融・流動しやすい。このため、粒界相
用母合金粉末が溶融流動したあとには、焼結反応では埋
まらない大きな閉空孔が残される。
【0014】従来の2合金法でも、焼結後に粒界相とな
るRリッチ粉末を添加しているが、従来のRリッチ粉末
は小径であるため、焼結体中に閉空孔は残存しない。そ
もそも従来の2合金法でRリッチ粉末を添加するのは、
保磁力を向上させると共に液相焼結を促進して磁石の高
密度化をはかるためである。Rリッチ粉末を添加する2
合金法において、焼結体密度を下げて収縮率を低減する
という提案は従来なされてない。
【0015】本発明の焼結磁石の表面付近には開空孔も
存在するが、焼結工程の少なくとも一部を真空中または
減圧雰囲気下で行なえば、液相化した粒界相用母合金が
開空孔の外部への連通路を塞ぐため、開空孔の割合が減
って耐食性が向上する。
【0016】本発明では、高密度(5.5g/cm3 以上)
の成形体を用い、かつ、完全に焼結させない(焼結後の
密度が7.15g/cm3 以下)ことが好ましい。これによ
り、焼結時の収縮率はよりいっそう小さくなる。
【0017】本発明により製造される焼結磁石の磁気特
性{(BH)max =約17〜25MGOe}は、従来のR−T−
B系高密度焼結磁石よりは低くなるが、Sm−Co系の
ボンディッド磁石{(BH)max =約15MGOe}よりは高く
なる。R−T−B系磁石はSm−Co系磁石に比べ原料
が安価である。したがって、本発明により製造される焼
結磁石は、従来、薄肉磁石に用いられてきたSm−Co
系ボンディッド磁石の代替品として好適である。
【0018】なお、以下に示すように、2合金法により
214B系焼結磁石を製造する各種の提案がなされて
おり、また、成形体を完全に焼結せずに低密度のポーラ
スな焼結体を製造する方法も以下に示すように知られて
いるが、これらはいずれも本発明とは異なる。
【0019】特開平5−47528号公報には、異方性
希土類ボンド磁石の製造方法が開示されている。この方
法では、まず、Nd−Fe−B磁石粉末に焼結阻止剤ま
たは気化剤を混合するか、あるいは磁石粉末の表面を酸
化した後、磁石粉末を磁界中において0.2〜5t/cm2
の圧力で圧縮して圧粉体を作る。次いで、圧粉体を50
0〜1140℃で焼成して開放気孔を有する異方性焼成
体を作り、400〜1000℃で熱処理する。次いで、
開放気孔に樹脂を含浸した後、樹脂を硬化する。同公報
の表1〜2には、各種焼結阻止剤を添加して700〜1
060℃で焼成して製造した焼成体(樹脂含浸前)の密
度が記載されており、これらはいずれも6.9g/cm3
下となっている。
【0020】同公報記載の焼結阻止剤は、酸化物、フッ
化物、塩化物等、焼成中に溶融しないか、一部溶融する
程度に留まるものである。同公報では、これらの焼結阻
止剤が、焼成時に生じるRリッチな液相の流動を妨げる
ので、高温焼成を行なっても焼成体が大きく収縮しなく
なり、その結果、焼成温度を従来よりも高くでき、高い
保磁力が得られるようになる、としている。同公報記載
の気化剤は、カンファー、リン、硫黄、スズなどであ
り、これらは焼成中に気化して開放気孔を残留させる。
開放気孔とは、焼成体の表面に孔の入口があり、樹脂が
侵入できる大きさの連続気孔である。
【0021】同公報の方法では6.9g/cm3 以下の低密
度焼結磁石が得られているが、同公報の方法は本発明と
は異なり開放気孔を形成することが目的である。同公報
には、閉じた気孔が形成される前に焼成を止める旨の記
載と、全空孔体積に対する開放気孔の体積の割合(有効
気孔率)が高いほどよい旨の記載があり、閉空孔の比率
を高くするという本発明の技術思想はみられない。同公
報記載の焼結磁石は開放気孔を主体とするので、耐食性
確保のために樹脂含浸が不可欠であり、しかも磁石の深
奥部まで延びた開放気孔中に樹脂を到達させる必要があ
るので、生産性が著しく低くなってしまう。例えば、同
公報の実施例では、真空引きした後に2時間樹脂含浸を
行ない、さらに加圧して2時間の含浸を行なった後、樹
脂の硬化処理に2時間を要している。
【0022】本発明では閉空孔を形成するために所定組
成のRリッチ粉末を添加するので、保磁力も向上する
が、同公報の方法では上記のような焼結阻止剤や気化剤
を用いて開放気孔を形成しているため、磁石中でのRの
分散が不良となり、保磁力が不十分となる。一方、保磁
力向上のために磁石のR量を増加させると、残留磁束密
度が不十分となってしまう。同公報には、焼結阻止剤の
寸法に関する記載はない。なお、同公報には、保磁力向
上のためにTbやDyの金属粉末を焼成体の収縮があま
り大きくならない範囲で添加してもよい旨の記載があ
る。しかし、金属Tbの融点は1357℃、金属Dyの
融点は1407℃であり、本発明で用いる融点の低い粒
界相用母合金粉末と同様の効果は得られない。しかも、
同公報には金属Tbや金属Dyの粒子径範囲は開示され
ておらず、これらを添加した実施例もない。
【0023】また、同公報には、Nd−Fe−B合金の
好ましい平均粒径は2〜20μm であると記載されてお
り、実施例では3.5μm の微粉末を使用している。同
公報には焼成前の圧粉体の密度は記載されていないが、
圧粉の際に加える圧力は0.2〜5t/cm2 と低圧であ
り、高密度成形体は得られていないと考えられる。これ
らの点でも、同公報記載の方法は本発明とは異なる。
【0024】特開昭60−230959号公報には、N
d−Fe−B合金粉末とNd−Co合金粉末との混合物
(平均粒径3〜7μm )を焼結する方法が開示されてい
るが、同公報の実施例では密度7.4g/cm3 の緻密な焼
結磁石を作製しており、閉空孔を形成する本発明とは全
く異なる。
【0025】特開昭63−93841号公報には、R−
T−B系合金粉末とR−X(Xは、Fe、またはFeと
B、Al、Ti、V、Co、Zr、Nb、Moの1種以
上との混合物)合金粉末との混合物を焼結する方法が開
示されている。このR−X合金粉末は、溶融物を急冷す
ることにより製造され、焼結助剤としてはたらく。同公
報の実施例では、1t/cm2 で成形して1000〜120
0℃で焼結し、密度7.43g/cm3 の緻密な焼結磁石を
製造している。同公報には、実施例において1〜500
μm のR−X合金粉末を用いた旨の記載があるが、実施
例で得られた焼結磁石は密度7.43g/cm3 の緻密なも
のである。同公報には、あえて空孔を形成することによ
り焼結時の収縮を抑えるという技術思想はみられない。
【0026】特開昭63−278208号公報には、R
214B系磁石合金を粉末冶金法により製造する方法に
おいて、Pr、Tb、Dy値が32〜100重量%の組
成を有する液体急冷合金粉末または薄帯(アモルファス
および微結晶)より得られる合金粉末を0〜70体積%
含有する粉末成形体を焼結することが開示されている。
この方法は、Rリッチ粉末を用いる2合金法であるが、
同公報の実施例で用いているRリッチ粉末は平均粒子径
3〜5μm の微粉末なので、焼結時に閉空孔は形成され
ない。
【0027】特開平5−21219号公報には、R2
14B相からなるA合金と、R、CoFe、Bを含有し、
Rリッチ相を有するB合金とを混合して焼結する方法が
開示されている。同公報の実施例では、両合金ともに平
均粒径約5μm まで微粉砕されており、得られた焼結体
はすべて密度7.42g/cm3 以上の緻密なものであり、
本発明とは全く異なる。
【0028】特開昭63−114939号公報には、低
融点元素(Al、Zn、Sn、Cu、Pb、S、In、
Ga、Ge、Teの少なくとも1種)または高融点元素
を含むマトリックス材粉末と、R214B系磁性粉末と
を混合して混合粉末を形成する混合工程と、前記混合粉
末を成形して磁石化する磁石化工程とを有する複合型磁
石材料の製造方法が開示されている。そして、前記磁石
化工程として、混合粉末を成形して焼結する工程、また
は、混合粉末に熱間加圧を施して成形体を生成する熱間
加圧工程が挙げられている。なお、熱間加圧前には、好
ましくは予備成形を行なう。焼結温度はマトリックス材
の融点よりも高く1150℃よりも低い温度であり、熱
間加圧温度は300〜1100℃、熱間加圧圧力は5〜
5000kgf/cm2 である。同公報では寸法歩留りを向上
させることを課題としており、同公報には熱間成形法に
より製品の寸法歩留りを向上させることができる旨の記
述がある。しかし、同公報の実施例では、焼結後または
熱間加圧後の密度はすべて7.1g/cm3 以上となってお
り、また、焼結前または熱間加圧前の成形体の密度の開
示はない。同公報の実施例におけるR214B系磁性粉
末の平均粒径は3〜4μm と小径であり、低融点元素を
含むマトリックス材粉末の粒径は最大でも20〜30μ
m と小径である。同公報には、平均粒子径100μm の
Alをマトリックス材に用いて熱間加圧成形を行なった
比較例があるが、この場合、密度7.5g/cm3 の緻密な
磁石が得られている。同公報の実施例における成形時の
圧力および予備成形時の圧力は、いずれも1.5t/cm2
以下と小さい。
【0029】特開平3−80508号公報には、RFe
B系磁石を粉末冶金法により製造する方法において、磁
石粉をプレス成形した後、400〜900℃の温度範囲
でポーラスな焼結体とし、それを溶融合金Ndx Fe
1-x (x=0.65〜0.85)に一定時間浸漬する方
法が開示されている。この方法は、磁場配向による熱収
縮の異方性に起因する焼結後の変形を抑えることを目的
とするものである。しかし、この方法は2合金法ではな
い。また、同公報の実施例で用いているNd2 Fe14
磁石粉末は約10μm と小径であり、同公報には、成形
圧力、成形体の密度、低温焼結後のポーラスな焼結体の
密度は記載されていない。
【0030】特開昭55−15224号公報には、Sm
2 Co17やPr2 Co17等の2−17系磁石を製造する
際に、成形体を400〜900℃で仮焼結後、液状プラ
スチックを含浸する方法が開示されている。この方法
は、磁石の強度向上を目的としている。同公報の実施例
には、5〜30μm の粒子を成形して800℃で焼結し
たときの収縮率が7%であったこと、1150℃で完全
焼結したときの収縮率が約12〜15%であったことが
記載されている。そして、仮焼結体をエポキシ樹脂に浸
漬して固化した後の密度が6.80g/cm3 であったこと
が記載されている。しかし、この方法は2合金法ではな
く、磁石組成も本発明とは異なる。同公報では5〜30
μm の小径粒子を用いており、また、同公報には仮焼結
前の成形体の密度は開示されていない。
【0031】特開昭62−281307号公報には、N
d−Fe−B系合金インゴットを1000〜1150℃
の温度範囲で溶体化処理し、溶体化処理したインゴット
を200μm 以下の粒径に粉砕し、粉砕した合金粉末の
成形体を、500〜1050℃の温度範囲で焼鈍する方
法と、焼鈍した成形体にプラスチックを含浸させて固化
させる方法が開示されている。この方法において、50
0〜1050℃で焼鈍するのは、粉砕歪を除去して保磁
力を向上させるためである。同公報の実施例では小径
(平均粒径5μm )の合金粉末を低圧力(2t/cm2 )で
成形した後、焼鈍している。同公報には、成形体の密
度、焼結体の密度は開示されていない。
【0032】特開平4−314307号公報には、希土
類元素、鉄およびボロンを基本成分とする合金を粉砕し
て磁場中成形した後、焼結して、ボンド磁石用バルク体
を製造する方法が開示されている。この方法では、温度
700〜1000℃で3時間以下焼結することにより、
理論密度の60〜95%の密度をもつ半焼結合金のバル
ク体を製造する。半焼結合金は空孔をかなり含む組織で
あり、空孔は亀裂発展の核、さらには破壊の核となるた
め、小さな応力で容易に粉砕できる。よって破砕時の機
械的歪の影響が少なくなる。同公報の実施例では、平均
粒径3μm の微粉体を成形した後、半焼結してバルク体
を製造している。この実施例には成形体の密度および半
焼結時の収縮率は記載されていない。同公報記載の発明
は、2合金法を用いておらず、半焼結合金のバルク体を
粉砕してボンド磁石を製造する点で本発明と異なる。同
公報の実施例における半焼結合金のバルク体の密度は
5.6g/cm3 以下であり、本発明における成形体密度と
同程度である。したがって、同公報記載の半焼結合金の
バルク体は空孔率が高すぎ、磁気特性および強度が不足
するため、バルク磁石として使用することはできない。
すなわち、粉砕およびボンド磁石化が必須である。この
ため、保磁力が劣化し、また、製造コストが高くなって
しまう。
【0033】また、特開平4−314315号公報に
は、特開平4−314307号公報記載の半焼結合金の
バルク体を磁場中成形した後、成形体に樹脂を含浸させ
てボンド磁石を製造する方法が開示されている。この方
法における磁場中成形は、半焼結合金のバルク体の粉砕
と成形を兼ねるものである。同公報には、従来の焼結体
の抗折強度が2.5t/cm2 以上であるのに対し、半焼結
合金のバルク体の抗折強度は1t/cm2 未満と非常に小さ
く、粉砕が容易である旨が記載されている。同公報の実
施例では、特開平4−314307号公報と同様に平均
粒径3μm の微粉体を成形して半焼結し、密度5.2g/
cm3 以下のバルク体を製造し、さらに圧縮成形して樹脂
含浸し、密度5.9〜6.0g/cm3 のボンド磁石を製造
している。同公報記載の半焼結合金のバルク体は、特開
平4−314307号公報記載の半焼結合金よりもさら
に密度が低いため、圧縮成形および樹脂含浸を行なわず
にバルク磁石として使用することは不可能である。この
ため、保磁力が劣化し、また、製造コストが高くなって
しまう。
【0034】上記したような従来の半焼結合金では、S
2 Co17等の2−17系磁石で30μm の粒子からな
る粉末が用いられている例があるが、R214B系磁石
では平均粒径3μm 前後の小径粒子からなる磁石粉末の
成形体を半焼結している。このような小径粒子からなる
成形体を半焼結する場合、完全焼結を行なうときより低
い温度で熱処理を施す必要があるが、低い温度領域で
は、保持温度の変化に対応して焼結体密度が大きく変化
してしまう。すなわち、所定密度の半焼結体を製造する
ためには、厳密な温度管理が必要となり、製造コストが
上昇してしまう。
【0035】これに対し本発明では、まず、大径のRリ
ッチ粉末を用いる2合金法を利用する点で従来の方法と
は異なる。また、磁石の主相となる粉末に大径のものを
用いる点でも異なる。大径の主相用粉末を含む成形体中
では、希土類元素リッチの液相を介した粒子移動が困難
なので、焼結工程における保持温度が高温(例えば従来
の完全焼結温度領域)であっても、完全焼結する前に焼
結反応が進行しなくなる。このため、所定の低密度の焼
結体が広い温度範囲で安定して得られることになり、焼
結工程の管理が極めて容易となる。また、大径の粒子は
凝集しにくいため、取り扱いが容易となり、特に成形時
に金型への充填が容易となる。
【0036】
【具体的構成】以下、本発明の具体的構成について詳細
に説明する。
【0037】<焼結磁石>本発明の焼結磁石は、R(R
は、Yを含む希土類元素の少なくとも1種である)、T
(Tは、Fe、またはFeおよびCoである)およびB
を含有する。
【0038】磁石組成は特に限定されないが、通常、 Rを30〜45重量%、 Bを0.5〜3.5重量%含有し、 残部が実質的にTである ことが好ましい。
【0039】Rは、Y、ランタニドおよびアクチニドで
あり、Rとしては、Nd、Pr、Tbのうち少なくとも
1種、特にNdが好ましく、さらにDyを含むことが好
ましい。また、La、Ce、Gd、Er、Ho、Eu、
Pm、Tm、Yb、Yのうち1種以上を含んでもよい。
希土類元素の原料としては、ミッシュメタル等の混合物
を用いることもできる。R含有量が少なすぎると鉄に富
む相が析出して高保磁力が得られなくなり、R含有量が
多すぎると高残留磁束密度が得られなくなる。
【0040】B含有量が少なすぎると高保磁力が得られ
なくなり、B含有量が多すぎると高残留磁束密度が得ら
れなくなる。
【0041】なお、T中のCo量は30重量%以下とす
ることが好ましい。
【0042】保磁力を改善するために、Al、Cr、M
n、Mg、Si、Cu、C、Nb、Sn、W、V、Z
r、Ti、Moなどの元素を添加してもよいが、添加量
が6重量%を超えると残留磁束密度の低下が問題とな
る。
【0043】磁石中には、これらの元素の他、不可避的
不純物あるいは微量添加物として、例えば炭素や酸素が
含有されていてもよい。
【0044】本発明の焼結磁石は、実質的に正方晶系の
結晶構造の主相を有し、結晶粒界には、R214Bより
もR比率の高いRリッチ相が存在する。磁石の平均結晶
粒径は、後述する主相用母合金の結晶粒径および焼結条
件に応じたものとなる。
【0045】本発明の焼結磁石は、閉空孔を含む。閉空
孔とは、磁石表面に連通していない空孔である。閉空孔
は磁石の3〜15体積%であり、好ましくは3〜12体
積%である。閉空孔が少なすぎる磁石は、焼結時に大き
く収縮しており、成形体の良好な寸法精度が維持されて
いない。閉空孔の多すぎる磁石は、磁石特性が不十分と
なり、強度も不足する。磁石中における閉空孔の合計容
積率および後述する開空孔の合計容積率は、以下のよう
にして算出することができる。
【0046】開空孔合計容積率K 式I K=(WW −W)/V 閉空孔合計容積率H 式II H=1−K−W/(V・ρ) ただし、上記各式において、 V:サンプル形状から求めた体積、 W:サンプル重量、 WW :サンプルを水中に浸漬し、100Torr以下まで減
圧して30秒間保持した後、取り出し、サンプル表面の
水をふき取った後のサンプル重量、 ρ:磁石の理論密度 である。
【0047】閉空孔の形状および寸法は特に限定されな
いが、閉空孔1個あたりの平均投影断面積は1000〜
30000μm 2 であることが好ましい。焼結初期に小
さな閉空孔が形成された場合でも、焼結終了までに消滅
してしまうため、閉空孔の平均投影断面積は一般に10
00μm 2 未満にはなりにくい。すなわち、平均投影断
面積が1000μm 2 未満の閉空孔を形成しようとする
と、閉空孔が形成されずに焼結が進みすぎてしまうこと
になり、閉空孔の合計容積が小さくなって収縮率が小さ
くならない。また、閉空孔に隣接する結晶粒は保磁力が
小さくなるが、磁石の密度が同じで閉空孔1個あたりの
平均容積が小さい場合、閉空孔に隣接する結晶粒が多く
なるので、高保磁力が得られにくい。一方、平均投影断
面積が大きすぎると、磁石の強度が不十分となる。ま
た、平均投影断面積が30000μm 2 を超える閉空孔
を形成するためには巨大な粒界相用母合金を使う必要が
あるため、薄肉磁石では成形が困難となり、また、磁石
の表面磁束が不均一となりやすい。閉空孔の断面積は、
磁石断面の走査型電子顕微鏡写真を用いて測定すること
ができる。測定に際しては、磁石を切断した後、切断面
を研磨し、さらに切断面に金のスパッタ膜を形成した
後、写真を撮影する。そして、磁石1個あたり任意の1
00個以上の閉空孔について断面積を測定して平均値を
求め、これを閉空孔1個あたりの平均投影断面積とす
る。
【0048】本発明の焼結磁石の密度は、7.15g/cm
3 以下であることが好ましい。200μm 程度の大径の
粒子を用いて高圧で成形すれば、成形体の密度を6.4
g/cm3 程度と高くすることができるが、このような成形
体では焼成の際に粒子移動が困難であるため、高温で焼
成しても7.15g/cm3 を超える密度とすることは困難
である。逆に、小径の粒子を用いて低密度の成形体とし
た場合に7.15g/cm3 を超える密度となるまで焼成す
ると、焼結が進みすぎて収縮率が大きくなってしまう。
焼結磁石の密度がこの範囲であっても、磁石表面に連通
する開空孔が多い場合には、磁石の耐食性が極端に低下
するため好ましくない。開空孔の比率は、2体積%以下
であることが好ましい。開空孔の比率は、前述した方法
により求めることができる。
【0049】本発明の焼結磁石は、以下に示す方法によ
り製造することが好ましい。この方法では、成形工程に
おいて主相用母合金の粉末と粒界相用母合金の粉末との
混合物の成形体を製造し、焼結工程において前記成形体
を焼結する。
【0050】<主相用母合金>主相用母合金の組成は、
目的とする磁石組成に応じ、粒界相用母合金の組成とそ
の混合比率とを考慮して適宜決定すればよいが、通常、 Rを26〜35重量%、 Bを0.5〜3.5重量%含有し、 残部が実質的にTである ことが好ましい。
【0051】R214B系磁石では、Rリッチ相が液相
となって流動することにより焼結反応が進行するが、本
発明では、Rリッチの粒界相用母合金粉末を添加し、ま
た、収縮率を抑えるために焼結反応の進行を抑える必要
があるので、主相用母合金のR含有量は少なくすること
が好ましい。
【0052】主相用母合金は、前述した主相と前述した
Rリッチ相とを有する。主相用母合金の粉末の平均結晶
粒径は特に限定されない。本発明では、磁場配向により
異方性化するので、後述する粒子径としたときに単結晶
粒子となるような結晶粒径であることが好ましいが、多
結晶粒子であっても粒子内で結晶粒が配向していればよ
いので、平均結晶粒径は、例えば3〜600μm 程度の
広い範囲から選択することができる。
【0053】主相用母合金の粉末の平均粒子径は、好ま
しくは20μm 以上、より好ましくは50〜350μm
とする。平均粒子径が小さすぎると、前述した粒子大径
化による効果が不十分となる。一方、平均粒子径が大き
すぎると、薄肉の成形体中では磁場配向が困難となる。
なお、主相用母合金粉末の平均粒子径は、粒子1個あた
りの平均投影面積を算出し、これを円に換算したときの
直径とする。粒子の投影面積の測定方法は特に限定され
ない。例えば、粉末の分散液を、粒子同士が重ならない
ようにガラス板上に塗布して写真を撮影し、この写真か
ら粒子の投影面積を求めることができる。この他、前記
塗布物を光ビームで走査して反射率変化を検出すること
により、粒子の投影面積を求めることもできる。
【0054】主相用母合金の粉末の製造方法は特に限定
されず、鋳造合金を水素吸蔵粉砕などにより粉末化する
方法や、還元拡散法等のいずれを用いてもよく、焼結磁
石を粉砕して粉末化してもよい。磁場配向により異方性
化された焼結磁石を粉砕すれば、配向された小径の結晶
粒からなる大径の多結晶粒子を得ることができるので、
高残留磁束密度かつ高保磁力の磁石が得られる。
【0055】<粒界相用母合金>粒界相用母合金は、R
を70〜97重量%、好ましくは75〜92重量%含
み、残部が実質的にFeおよび/またはCoである。粒
界相用母合金に含まれるRとしてはNdが好ましく、R
中の50%以上をNdが占めることがより好ましく、R
として実質的にNdだけを用いることがさらに好まし
い。R中のNd量が少なく、また、R量が少ないと、粒
界相用母合金の融点が低くならず、閉空孔が形成されに
くくなる。Nd89Fe11(重量比)共晶合金の融点は6
40℃、Nd81Co19(重量比)共晶合金は566℃で
あるが、Dy88Fe12(重量比)共晶合金の融点は89
0℃である。本発明で用いる粒界相用母合金は、Bを含
まない。粒界相用母合金中のBは、磁石特性の向上に寄
与せず、また、粒界相用母合金の融点の低下にも寄与し
ない。
【0056】本発明で用いる粒界相用母合金の粉末は、
開きが38μm 以上、好ましくは開きが53μm 以上の
フルイに残留し、開きが500μm 以下、好ましくは開
きが250μm 以下のフルイを通過するものである。粒
界相用母合金の粉末の粒子径が小さいと、所定の閉空孔
を有する磁石が得られなくなる他、粒界相用母合金の粉
末が酸化されやすくなる。粒界相用母合金の粒子径が大
きくなりすぎると空孔が大きくなりすぎ、表面磁束が不
均一となりやすい。また、磁石内に残留する空孔の寸法
が磁石寸法に対して大きくなりすぎると十分な磁石強度
が得られなくなる。
【0057】粒界相用母合金の製造方法は特に限定され
ないが、好ましくは液体急冷法を用いる。液体急冷法と
しては、合金溶湯を冷却基体に接触させて冷却する方
法、例えば単ロール法、双ロール法、回転ディスク法等
などが好ましく、ガスアトマイズ法を用いてもよい。合
金溶湯の冷却は、窒素やAr等の非酸化性雰囲気中ある
いは真空中で行なう。冷却速度が遅い場合、上記した組
成の粒界相用母合金は、主としてNdとFe2 Ndとに
相分離してしまう。これらの融点は1000℃以上と高
く、また、Ndは極めて酸化されやすいため、閉空孔形
成が難しくなる。液体急冷法により製造された粒界相用
母合金は、アモルファス相または微結晶相を有する。
【0058】<粉砕工程および混合工程>主相用母合金
の粉末と粒界相用母合金の粉末との混合物の製造方法
は、特に限定されない。例えば、両母合金を混合した
後、同時に粉砕して混合物を製造してもよく、各母合金
を粉砕した後、両母合金を混合し、必要に応じてさらに
微粉砕することにより混合物を製造してもよい。
【0059】混合物中における粒界相用母合金の比率
は、好ましくは2〜20重量%、より好ましくは3〜1
2重量%とする。この比率が低すぎると磁石中に十分な
閉空孔を形成することが難しくなり、この比率が高すぎ
ると高特性の磁石を得ることが難しくなる。
【0060】各母合金の粉砕方法は特に限定されず、機
械的粉砕法や水素吸蔵粉砕法などを適宜選択すればよ
く、これらを組み合わせて粉砕を行なってもよい。ただ
し、粒度分布の鋭い磁石粉末が得られることから、水素
吸蔵粉砕を行なうことが好ましい。機械的粉砕には、鋭
い粒度分布が得られることから、ジェットミル等の気流
式粉砕機を用いることが好ましい。
【0061】<成形工程>成形工程では、両母合金の粉
末の混合物を磁場中で成形する。このとき、成形体の密
度が好ましくは5.5g/cm3 以上、より好ましくは6.
0g/cm3 以上となるように成形を行なう。密度の小さい
成形体では、十分な磁石特性を得ようとすると焼結時の
収縮率が大きくなってしまい、焼結時の収縮率を小さく
すると磁石特性が不十分となってしまう。成形体の密度
の上限は特にないが、6.4g/cm3を超える密度とする
ことは困難である。例えば、成形時に20t/cm2 以上の
超高圧が必要になるため成形装置や金型が高価になり、
また、成形体の形状が単純なものに制限されてしまう。
成形体密度を向上させるためには多量の有機潤滑剤の利
用も有効であるが、焼結前に有機潤滑剤を除去すること
が困難であり、磁石中の残留炭素が磁石特性を低下させ
てしまう。なお、成形体の密度は、マイクロメータなど
により測定した成形体の寸法から算出することができ
る。
【0062】このように高い密度の成形体は、抗折強度
が0.3kgf/mm2 以上、さらには0.5kgf/cm2 以上と
なるので、取り扱いが容易となり、割れや欠けの発生が
少なくなる。
【0063】成形圧力は特に限定されず、所望の密度の
成形体が得られるように適宜決定すればよいが、好まし
くは8t/cm2 以上、より好ましくは12t/cm2 以上とす
る。成形時の磁場強度は、通常、10 kOe以上、好まし
くは15 kOe以上とする。
【0064】成形時に印加する磁界は、直流磁界であっ
てもパルス磁界であってもよく、これらを併用してもよ
い。本発明は、圧力印加方向と磁界印加方向とがほぼ直
交するいわゆる横磁場成形法にも、圧力印加方向と磁界
印加方向とがほぼ一致するいわゆる縦磁場成形法にも適
用することができる。
【0065】<焼結工程>上記のようにして得られた成
形体は、焼結されて磁石化される。
【0066】本発明では、焼結体の密度から成形体の密
度を減じた値(焼結時の密度変化量)が0.2g/cm3
上となるように焼結することが好ましい。焼結工程での
密度変化が小さすぎる場合、焼結が不十分であり、磁石
特性および機械的強度が不十分となる。収縮率を小さく
するためには、密度変化量を好ましくは1.5g/cm3
下、より好ましくは1.2g/cm3 以下とする。
【0067】焼結時の各種条件に特に制限はなく、焼結
時の密度変化などが所望の値となるように適宜選択すれ
ばよい。焼結時の保持温度は、粒界相用母合金の溶融温
度以上であればよいが、上述したように、本発明では大
径の粒界相用母合金粉末を用いることにより低密度磁石
を形成するため、従来のいわゆる半焼結の場合よりも保
持温度を高くすることができる。具体的には、900〜
1100℃で0.5〜10時間熱処理を施して焼結し、
その後、急冷することが好ましい。なお、焼結雰囲気
は、真空中またはArガス等の不活性ガス雰囲気である
ことが好ましく、前述したように開空孔の比率を減らす
ことができる点で、真空中または減圧した不活性ガス雰
囲気での焼結がより好ましい。なお、焼結工程の一部だ
けを真空または減圧雰囲気とする構成としてもよい。
【0068】<その他>焼結後、保磁力向上のために時
効処理を必要に応じて施す。
【0069】磁石の耐食性を向上させるためには、開空
孔を塞ぐことが好ましい。このためには、例えば、有機
溶剤に樹脂を溶解した溶液中に磁石を浸漬した後、乾燥
させる処理を施せばよい。なお、このような処理の後、
樹脂の電着塗装や無電解めっき等により、通常の防食被
覆を設けてもよい。
【0070】本発明は、後述するような薄肉のリング状
や板状の磁石の製造に好適であり、特に厚さが3mm以下
である薄肉磁石の製造に本発明は適する。なお、磁石厚
さが0.5mm未満となると、成形が困難となる傾向があ
る。
【0071】<寸法偏差>本発明では、寸法偏差の極め
て小さい焼結磁石が得られるので、焼結後、研削等によ
る形状加工をせずに製品化することができる。
【0072】すなわち、本発明によれば、平行部を有
し、平行部の最大長さをその平均厚さで除した値が10
以上である薄肉焼結磁石において、平行部の厚さ偏差を
1.5%以下とすることができ、1%以下とすることも
容易であり、最大長さ/平均厚さが15以上である薄肉
磁石についても厚さ偏差をこのような範囲に収めること
が可能である。平行部とは、対向する平行な2面で挟ま
れたブロックであり、平行部を有する磁石とは、例え
ば、板状磁石や円盤状磁石、リング状磁石である。平行
部の厚さ偏差とは、平行部の厚さの最大値と最小値との
差を平行部の最大長さで除した値である。平行部の厚さ
偏差は、平行部の反りや厚さの不均一性の指標となる値
であり、上記のような寸法比の薄肉焼結磁石の場合、反
りや厚さの不均一さが大きくなるので、従来、一般に厚
さ偏差が2.5%以上となっている。
【0073】また、本発明によれば、円筒部を有し、円
筒部の平均外径をその平均肉厚で除した値が10以上で
ある薄肉磁石において、円筒部の外径偏差および/また
は内径偏差を1.5%以下とすることができ、1%以下
とすることも容易であり、平均外径/平均肉厚が15以
上である薄肉磁石についても外径偏差および/または内
径偏差をこのような範囲に収めることが可能である。円
筒部とは、外周面を有するか、外周面および内周面を有
する円筒状ブロックであり、円筒部を有する磁石とは、
例えばリング状磁石や円盤状磁石であるが、この場合の
外径偏差および内径偏差は、外周面および内周面を有す
る円筒部を対象とする。円筒部の外径偏差とは、円筒部
の外径の最大値と最小値との差を平均外径で除した値で
あり、内径偏差とは、円筒部の内径の最大値と最小値と
の差を平均内径で除した値である。円筒部の外径偏差お
よび内径偏差は、円筒部の反りや歪、肉厚の不均一性の
指標となる値であり、上記のような寸法比の薄肉焼結磁
石の場合、反りや歪、肉厚の不均一さが大きくなるの
で、従来、一般に外径偏差および内径偏差が3%以上と
なっている。
【0074】なお、円盤状磁石など、外周面だけを有す
る円筒部をもち、平均外径/平均厚さが10以上、さら
には15以上である薄肉焼結磁石においても、円筒部の
外径偏差を1.5%以下とすることができ、1%以下と
することも容易である。
【0075】本明細書において、平行部の厚さ偏差は以
下のようにして測定する。まず、被測定物を、その平行
部を構成する一方の面が定盤と接するように、定盤上に
載置する。そして、平行部を構成する他方の面の定盤表
面からの高さを、20箇所で測定する。次に、前記他方
の面が定盤表面と接するように、被測定物を裏返して定
盤上に載置し、同様にして20箇所で高さを測定する。
測定位置は、測定対象の面をほぼ均等に20に分割し、
各領域内のほぼ中央の点とする。得られたすべての測定
値から、最大値(Tmax )と最小値(Tmin )との差
(Tmax −Tmin)を求める。この差を、前記平行部を
構成する各面の長さ(長手方向長さ)のうちの最大値L
で除した値{(Tmax −Tmin )/L}を、厚さ偏差と
する。互いに平行な面を2組以上有する薄肉磁石の厚さ
偏差は、両主面を前記一方の面および前記他方の面とし
たときに大きな値となる。なお、薄肉磁石の説明におけ
る平均厚さには、上記のようにして得られたすべての測
定値の平均を用いればよい。
【0076】円筒部の外径偏差および内径偏差は以下の
ようにして求める。まず、円筒部の外径または内径を、
円筒部の軸方向に連続して測定し、最大値と最小値とを
求める。このとき、円筒部の軸方向両端部の0.1mmの
範囲の測定値は除外する。次に、前記円筒部をその軸を
中心にして15°回転させた後、同様な測定を行なう。
このようにして、15°間隔で周方向180°にわたっ
て測定を合計12回繰り返す。12の最大値のうち最大
のものをφmax 、12の最小値のうち最小のものをφmi
n とし、φmax −φmin を求める。次に、12の最大値
の平均と12の最小値の平均との平均値φ0 を求め、φ
0 を平均外径または平均内径とする。そして、{(φma
x −φmin )/φ0 }を、外径偏差または内径偏差とす
る。なお、薄肉磁石の寸法比の説明における平均外径、
平均内径には、上記φ0 を用いればよく、平均肉厚に
は、(平均外径−平均内径)/2を用いればよい。
【0077】なお、寸法偏差の測定には、光学式などの
非接触式の測定器を用いてもよく、接触式3次元測定器
や、マイクロメータ、内周マイクロメータなどの接触式
の測定器を用いてもよい。
【0078】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明
をさらに詳細に説明する。
【0079】<実施例1>表1に示す焼結磁石サンプル
を、以下に示す方法で作製した。
【0080】まず、主相用母合金のインゴットを、鋳造
により製造した。インゴットの組成を表1に示す。な
お、組成の残部はFeである。これらの合金インゴット
の平均結晶粒径は300μm であった。各合金インゴッ
トを、水素吸蔵・脱ガス反応による体積の膨張・収縮を
利用して粗粉砕した後、ディスクミルにより粉砕し、表
1に示す平均粒子径の粉末とした。なお、粉末の平均粒
子径は、粉末の塗膜の光学顕微鏡写真から前述した方法
により求めた。
【0081】次に、合金溶湯をAr雰囲気中で単ロール
法により冷却し、表1に示す組成の粒界相用母合金を製
造した。なお、表1に示す組成の残部はFeである。冷
却ロールにはCuロールを用いた。粒界相用母合金は厚
さ0.15mmの薄帯状であり、X線回折の結果、アモル
ファス状態であることが確認された。各粒界相用母合金
をピンミルにより粉砕し、得られた合金粉末をフルイに
より分級した。各粉末の分級に用いたフルイを、表1に
示す。なお、表1には、粒子径の下限を規制する開きの
小さいフルイを残留フルイとして、粒子径の上限を規制
する開きの大きいフルイを通過フルイとして示してあ
る。
【0082】次いで、主相用母合金粉末と粒界相用母合
金粉末とを混合した。粒界相用母合金粉末の添加量(混
合物中の粒界相用母合金粉末の比率)を、表1に示す。
【0083】各混合物を磁場中成形し、直径20mm、厚
さ1.5mmの円盤状成形体を得た。磁界強度は12 kOe
とし、磁化容易軸が成形体の厚さ方向となるように磁界
を印加した。成形圧力および成形体密度を、表1に示
す。
【0084】次いで、各成形体を真空中で焼結した後、
急冷した。焼結時の熱処理温度およびその温度に保持し
た時間を、表1に示す。焼結後、Ar雰囲気中において
650℃で1時間時効処理を施して、円盤状の焼結磁石
サンプルとした。各焼結磁石サンプルの密度、焼結時の
密度変化量、残留磁束密度(Br)、保磁力(Hcj)
を、表1に示す。なお、BrおよびHcjの測定には、
直径15mm、厚さ10mmの成形体を焼結して作製した磁
気特性測定用サンプルを用いた。磁気特性測定用サンプ
ルの製造条件は、成形体寸法以外は表1に示す各サンプ
ルとそれぞれ同一とした。また、各サンプルの開空孔の
合計容積率および閉空孔の合計容積率を、前述した方法
により求めた。なお、磁石の理論密度を7.55g/cm3
として計算した。結果を表1に示す。
【0085】
【表1】
【0086】次に、JIS1級定盤を用いて、前述した
方法により各サンプルの厚さ偏差を求めた。この結果、
本発明サンプルでは、厚さ偏差が0.2〜0.8%と著
しく小さく、焼結時の不均一な収縮による反りが極めて
少なかった。ただし、サンプルNo. 12は成形体の密度
が低かったため焼結が進み、厚さ偏差が1.5%であっ
た。厚さ1.5mmの薄肉磁石においてこのように厚さ偏
差が小さければ、研削加工による寸法修正をせずに製品
化することが可能である。しかも、表1に示されるよう
に、本発明サンプルでは十分な磁石特性が得られてい
る。なお、厚さ偏差の算出に際しては、平行部の最大長
さとして磁石の直径を用いた。
【0087】これに対し、比較サンプルNo. 2では、残
留フルイを用いず粒界相用母合金粉末の粒子径の下限を
規制しなかったため、微細なRリッチ粉末により焼結が
進みすぎて閉空孔が少なくなっている。比較サンプルN
o. 4では、粒子径の小さな主相用母合金の粉末を用い
て形成した低密度の成形体を焼結したため、焼結が進み
すぎて閉空孔が少なくなっている。比較サンプルNo.
2、4は、厚さ偏差が2.9〜6.3%と大きく、焼結
時の不均一な収縮により大きな反りが発生していること
がわかった。厚さ偏差がこのように大きいと、製品化は
不可能である。
【0088】また、2合金法を用いなかった比較サンプ
ルNo. 1では、成形体密度が高く焼結による密度変化量
が小さいため、厚さ偏差は0.9%と小さかったが、粒
界相用母合金粉末を添加しなかったために、閉空孔率が
低く開空孔率が高くなっており、耐食性が低い。そし
て、保磁力が著しく低くなっている。比較サンプルNo.
3では、成形体密度が高く焼結による密度変化量が小さ
いため、厚さ偏差は0.8%と小さかったが、粒界相用
母合金として融点の高い金属Ndを用いたため、焼結の
際の溶融・流動が不十分となり、サンプルNo. 1と同様
に閉空孔率が低く開空孔率が高くなっており、保磁力も
著しく低い。比較サンプルNo. 5では、低温で焼結した
ため、焼結による密度変化量が著しく小さくなり、サン
プルNo. 1と同様に閉空孔率が低く開空孔率が高くなっ
ており、保磁力も著しく低い。
【0089】次に、各サンプルを切断し、断面を研磨し
た後、断面に金のスパッタ膜を形成して走査型電子顕微
鏡写真を撮影し、閉空孔1個あたりの平均投影断面積を
求めた。サンプルNo. 7について、拡大率の異なる断面
写真を図1の(a)および(b)に示す。同図には、フ
レーク状の粒界相用母合金粉末の溶融・流動により形成
された閉空孔が認められる。閉空孔の測定数は、各サン
プルにつき100個とした。この結果、本発明サンプル
では閉空孔の平均投影断面積が1500〜25000μ
m 2 であったのに対し、比較サンプルNo. 1、3および
5では100〜700μm 2 、No. 2では80μm 2
No. 4では5μm 2 にすぎなかった。
【0090】なお、密度が5.5g/cm3 以上の成形体
は、0.45kgf/mm2 以上の十分に高い抗折強度を示し
た。これに対し、サンプルNo. 4製造用の成形体(密度
4.45g/cm3 )では、抗折強度が0.15kgf/mm2
低かった。
【0091】<実施例2>形状をリング状とした以外は
実施例1のサンプルNo. 4および9とそれぞれ同様にし
て、焼結磁石サンプルNo. 104および109を作製し
た。成形体密度は、サンプルNo. 104では4.43g/
cm3 、サンプルNo. 109では5.76g/cm3 となり、
それぞれサンプルNo. 4および9よりやや小さくなった
が、焼結による密度変化量はそれぞれサンプルNo. 4お
よび9と同じであった。成形体の寸法は、いずれも外径
30mm、内径27mm、肉厚1.5mm、高さ7mmとし、成
形の際には、磁化容易軸が径方向となるように磁界を印
加した。
【0092】これらのリング状焼結磁石サンプルについ
て、前述した方法により外径偏差および内径偏差を測定
した。測定の際には各サンプルをJIS1級定盤上に外
周面が接するように載置し、外径偏差は接触式3次元測
定器で、内径偏差は内周マイクロメータで測定した。こ
の結果、本発明によるサンプルNo. 109では、外径偏
差が0.30%、内径偏差が0.32%であり、極めて
小さい値が得られたが、密度の低い成形体を焼結したサ
ンプルNo. 104では、外径偏差が4.5%、内径偏差
が5.5%にも達し、製品化は不可能であった。
【0093】以上の実施例の結果から、本発明の効果が
明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)および(b)は結晶構造を示す図面代用
写真であって、本発明の焼結磁石の断面の走査型電子顕
微鏡写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01F 1/08

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 R(Rは、Yを含む希土類元素の少なく
    とも1種である)、T(Tは、Fe、またはFeおよび
    Coである)およびBを含有する焼結磁石であって、 閉空孔を3〜15体積%含むことを特徴とする焼結磁
    石。
  2. 【請求項2】 密度が7.15g/cm3 以下である請求項
    1の焼結磁石。
  3. 【請求項3】 閉空孔1個あたりの平均投影断面積が1
    000〜30000μm 2 である請求項1または2の焼
    結磁石。
  4. 【請求項4】 開空孔の比率が2体積%以下である請求
    項1〜3のいずれかの焼結磁石。
  5. 【請求項5】 Rを30〜45重量%、Bを0.5〜
    3.5重量%含有し、残部が実質的にTである請求項1
    〜4のいずれかの焼結磁石。
  6. 【請求項6】 R(Rは、Yを含む希土類元素の少なく
    とも1種である)、T(Tは、Fe、またはFeおよび
    Coである)およびBを含有する焼結磁石を、主相用母
    合金の粉末と粒界相用母合金の粉末との混合物を成形し
    た後、焼結することにより製造する方法であって、 前記主相用母合金が、実質的にR214Bから構成され
    る結晶粒を有し、平均粒子径が20μm 以上であり、 前記粒界相用母合金が、Rを70〜97重量%含み、残
    部が実質的にFeおよび/またはCoであって、開きが
    38μm 以上のフルイに残留し、開きが500μm 以下
    のフルイを通過するものであることを特徴とする焼結磁
    石の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記混合物中における粒界相用母合金の
    粉末の比率を2〜20重量%とする請求項6の焼結磁石
    の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記粒界相用母合金のRの50%以上を
    Ndが占める請求項6または7の焼結磁石の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記粒界相用母合金を液体急冷法により
    製造する請求項6〜8のいずれかの焼結磁石の製造方
    法。
  10. 【請求項10】 前記粒界相用母合金の融点以上の温度
    で焼結を行なう請求項6〜9のいずれかの焼結磁石の製
    造方法。
  11. 【請求項11】 真空中で焼結を行なう請求項6〜10
    のいずれかの焼結磁石の製造方法。
  12. 【請求項12】 密度5.5g/cm3 以上の成形体を、密
    度変化が0.2g/cm3 以上となるように焼結する工程を
    有する請求項6〜11のいずれかの焼結磁石の製造方
    法。
  13. 【請求項13】 抗折強度が0.3kgf/mm2 以上である
    成形体を焼結する請求項6〜12のいずれかの焼結磁石
    の製造方法。
  14. 【請求項14】 成形圧力が8t/cm2 以上である請求項
    6〜13のいずれかの焼結磁石の製造方法。
  15. 【請求項15】 請求項1〜5のいずれかの焼結磁石を
    製造する請求項6〜14のいずれかの焼結磁石の製造方
    法。
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