JP2002364394A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

内燃機関の制御装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】希薄燃焼を行う筒内噴射式内燃機関において、
運転性や排気ガスの悪化を極力抑えつつ、迅速な機関ト
ルクの変更の要求を満たすことができる内燃機関の制御
装置を提供する。 【解決手段】希薄燃焼を行う多気筒内燃機関の制御装置
であって、前記内燃機関の機関トルクの低減変更の要求
がなされた場合には、所定数の気筒の燃料カットを行う
と共に、該燃料カットを行う気筒以外の稼働気筒のトル
クを前記要求される機関トルクになるように制御してな
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車等に搭載さ
れる内燃機関の制御装置に係り、特に、機関トルクの低
減の要求に対して好適に適用できる希薄空燃比での燃焼
が可能な内燃機関の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、車両等に搭載される内燃機関にお
いては、環境問題や燃料消費量の低減等の課題から空燃
比を大きくし燃料を希薄にして燃焼するリーンバーン筒
内噴射式内燃機関が注目されている。また、前記の如く
車両等に搭載されるリーンバーン筒内噴射式内燃機関に
おいては、車両の運転状態が変更される変速時等のため
に、内燃機関に出力低下制御が要求される場合があり、
該要求に適う燃焼制御を行う内燃機関の制御装置が種々
提案されている。
【0003】例えば、特開2000−120481号公
報に所載の筒内噴射式内燃機関の制御装置は、出力低下
要求を受けたときに、内燃機関が圧縮リーンモード状態
にある場合には、燃料噴射量を減少させると共に空燃比
をリーン化することで内燃機関の出力特性を抑制し、非
圧縮リーンモード状態にある場合には、燃料噴射量を減
少させると共に点火時期を遅らせることで内燃機関の出
力特性を抑制させるものである。
【0004】また、特開平10−61476号公報に所
載の内燃機関の制御装置は、燃焼室に供給される燃料の
成層化により、希薄空燃比での燃焼が可能な内燃機関で
あって、その燃焼を制御する制御装置は、機関トルクの
低減要求があったときには、燃料噴射時期と点火時期と
を同期して補正(遅角制御)することにより、迅速に応
答性良く機関トルクを要求に見合うように低減させるこ
とができるものである。
【0005】更に、特開平11−324748号公報に
所載の内燃機関の制御装置は、内燃機関の出力トルクダ
ウンが要求されたとき、任意の気筒の燃料カットを行い
稼働気筒数を制限するとともに、稼働気筒へ供給される
燃料の量を増量補正して混合気の空燃比をリッチ側に補
正し、更に、該空燃比が所定値以上になるのを制限し、
かつ、実際の出力トルクが要求トルクとなるように、内
燃機関の運転状態を制御するための各種制御量(点火時
期等)を増減させるトルク制御手段を備えているもので
ある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記の特開
2000−120481号公報に所載の如き内燃機関の
制御装置のように、空燃比をリーン化することによっ
て、トルクを変更する方法では、通常、希薄混合気燃焼
によって燃費の向上を狙う場合、図11に示すように、空
燃比は燃焼安定限界付近のリーン状態に設定されてい
る。この際トルクを低減するために、燃料供給量を減量
してさらにリーン化すると燃焼安定限界を超えてしま
い、その結果、燃焼の悪化、ひいては失火を生じること
もあり、運転性や排気の悪化を生じてしまう場合があ
る。また、これを考慮して燃焼安定限界を超えないよう
にリーン化した場合、リーン化代が十分でなく要求され
た機関トルクまでトルクの変更ができない場合があると
の不具合を生じる。
【0007】また、特開平10−61476号公報に所
載の如き内燃機関の制御装置にあって、点火時期、噴射
時期を遅角制御することで機関トルクを低減させるもの
であるが、該制御では、図13の(a)に示すように理論
空燃比による燃焼が点火時期変更範囲が広い特徴をもつ
こととは異なり、図13の(b)に示すように希薄燃焼時
(特に成層燃焼時)においては、安定燃焼を得ることが
できる点火時期と噴射時期の両立範囲が狭いために、そ
の範囲を外れた場合には、同じく燃焼の悪化、ひいて
は、失火を生じることもあり、運転性や排気が悪化する
と言う不具合を生じてしまう。更に、これを考慮して両
立範囲を外れないようにした場合には、点火時期、噴射
時期の遅角代が十分でなく要求された機関トルクまでト
ルクの変更ができない場合がある。
【0008】更に、特開平11−324748号公報に
所載の内燃機関の制御装置は、内燃機関の出力トルクダ
ウンが要求されたとき、任意の気筒の燃料カットを行い
稼働気筒数を制限するものであるが、該気筒の燃料カッ
トと同時に、エミッション悪化の抑制のために、稼働気
筒へ供給される燃料の量を増量補正して混合気の空燃比
をリッチ側に補正するものであり、かつ該リッチ側への
補正により稼働気筒の失火を抑えるために空燃比が所定
値以上になるのを制限するものであるので、要求される
トルク値での希薄燃焼状態での内燃機関の正確なトルク
制御が行えないとの不具合がある。
【0009】本発明は、前記のような問題に鑑みてなさ
れたものであって、その目的とするところは、希薄燃焼
を行う筒内噴射式内燃機関において、運転性や排気ガス
の悪化を極力抑えつつ、正確でかつ迅速な機関トルクの
変更の要求を満たすことができる内燃機関の制御装置を
提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成すべく、
本発明に係る内燃機関の制御装置は、希薄燃焼を行う多
気筒内燃機関の制御装置であって、前記内燃機関の機関
トルクの低減変更の要求がなされた場合には、所定数の
気筒の燃料カットを行うと共に、該燃料カットを行う気
筒以外の稼働気筒のトルクを前記要求される機関トルク
になるように制御することを特徴とする。
【0011】好ましい具体的な態様としては、前記燃料
カットする気筒の数は、前記機関トルクの低減変更の要
求度合により決定されるものであり、前記稼働気筒のト
ルクの制御は、前記燃料カットを行う気筒の数と前記要
求される機関トルクとに基づいて増加もしくは低減する
ものであることを特徴としている。前記の如く構成され
た本発明の内燃機関の制御装置は、希薄燃焼を行う内燃
機関において、運転性や排気の悪化を極力抑えつつ、迅
速なトルク変更の要求を満たすことができ、正確なトル
ク制御を行うことがきる。
【0012】また、他の好ましい具体的な態様として
は、前記制御装置は、機関トルクの低減変更の要求値と
低減要求前の機関トルク値とに基づいて燃料カットする
気筒数値を概算する手段と、該気筒数が整数であるか否
かを判定する判定手段と、該判定した気筒が整数でない
場合に整数値としての燃料カットする気筒数を演算する
手段と、を備えており、前記燃料カットする気筒数を演
算する手段は、気筒数値概算手段で概算された気筒数値
に基づいて気筒数を演算するか、もしくは、検出した空
燃比に基づいて気筒数を演算するものであり、かつ、前
記稼動気筒のトルクを制御する手段を備えていることを
特徴としている。
【0013】更に、他の好ましい具体的な態様として
は、前記稼動気筒のトルクを制御する手段は、前記稼動
気筒の燃料供給量、燃料噴射時期、点火時期の少なくと
も一つを変更制御させるものであり、前記稼動気筒にお
ける燃料供給量は、空燃比に基づいてその供給量が制限
されることを特徴とし、前記所定数の気筒の燃料カット
と前記稼動気筒のトルクの制御は、前記各気筒の爆発行
程が全気筒分経過する期間で行うことを特徴としてい
る。
【0014】更にまた、他の好ましい具体的な態様とし
ては、前記機関トルクの低減変更は、内燃機関以外の外
部からの情報に基づいて実行されるか、前記制御装置で
演算された情報に基づいて実行されるか、もしくは、内
燃機関以外の外部からの情報と前記制御装置内で演算さ
れた情報とに基づいて実行されることを特徴としてい
る。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づき本発明の内燃
機関の制御装置の一実施形態について説明する。図1
は、本実施形態の筒内噴射内燃機関107の制御システ
ムにおける全体構成を示したものである。シリンダ10
7bに導入される吸入空気は、エアクリーナ102の入
口部102aから取り入れられ、内燃機関の運転状態計
測手段の一つである空気流量計(エアフロセンサ)10
3を通り、吸気流量を制御する電制スロットル弁105
aが収容されたスロットルボディ105を通ってコレク
タ106に入る。前記コレクタ106に吸入された空気
は、内燃機関107の各シリンダ107bに接続された
各吸気管101に分配された後、ピストン107a、前
記シリンダ107b等によって形成される燃焼室107
cに導かれる。
【0016】また、前記エアフロセンサ103からは、
前記吸気流量を表す信号が内燃機関107の制御装置で
あるコントロールユニット115に出力されている。更
に、前記スロットルボディ105には、電制スロットル
弁105aの開度を検出する内燃機関の運転状態計測手
段の一つであるスロットルセンサ104が取り付けられ
ており、その信号もコントロールユニット115に出力
されるようになっている。
【0017】一方、ガソリン等の燃料は、燃料タンク1
08から燃料ポンプ109により一次加圧されて燃料圧
力レギュレータ110により一定の圧力に調圧されると
ともに、高圧燃料ポンプ111でより高い圧力に二次加
圧されてインジェクタ112に接続されているコモンレ
ールへ圧送される。
【0018】前記コモンレールへ圧送された高圧燃料
は、各シリンダ107bに設けられているインジェクタ
112から燃焼室107cに噴射される。該燃焼室10
7cに噴射された燃料は、点火コイル113で高電圧化
された点火信号により点火プラグ114で着火される。
【0019】また、排気弁126のカムシャフトに取り
付けられたカム角センサ116は、カムシャフトの位相
を検出するための信号をコントロールユニット115に
出力する。ここで、カム角センサ116は、吸気弁12
7側のカムシャフトに取り付けてもよい。また、内燃機
関のクランクシャフト107dの回転と位相を検出する
ためにクランク角センサ117をクランクシャフト10
7dの軸上に設け、その出力をコントロールユニット1
15に入力する。更に、排気管119中の触媒120の
上流に設けられた空燃比センサ118は、排気ガスの空
燃比を検出し、その検出信号をコントロールユニット1
15に出力する。
【0020】図2は、前記コントロールユニット115
の主要部を示しており、MPU203、ROM202、
RAM204及びA/D変換器を含むI/OLSI20
1等で構成され、内燃機関の運転状態を計測(検出)す
る手段の一つであるエアフロセンサ103、燃料圧力セ
ンサ121を含む各種のセンサ等からの信号を入力とし
て取り込み、所定の演算処理を実行し、この演算結果と
して算定された各種の制御信号を出力し、前記各インジ
ェクタ112、点火コイル113等に所定の制御信号を
供給して燃料供給量制御、点火時期制御を実行するもの
である。
【0021】前記のような内燃機関107を自動車等の
車両に搭載した場合において、車両の走行安定性を確保
するとき等のために車両の挙動を制御する際、迅速に機
関のトルクを目標とするトルクまで変化させるという要
求が発生する場合があるが、本実施形態の内燃機関の制
御装置は、前記要求を達成させるべく、内燃機関107
を希薄燃焼のまま、迅速に要求された機関トルクまでト
ルクを減少させる手段として、特定の気筒の燃料カット
を行うと共に他の稼動気筒におけるトルクを増加させる
ものである。
【0022】図3は、本発明の第一の実施形態の内燃機
関の制御装置の制御フローチャートを示したものであ
り、車両の運転状態に応じて、内燃機関107が機関ト
ルクの低減要求を受けた場合に、該内燃機関の制御装置
115が、燃料供給制御を演算するまでの各処理のフロ
ーチャートである。
【0023】前記処理は、所定時間毎に実行され、ステ
ップ302では、車両からの機関トルクの低減要求が制
御装置115に読み込まれる。機関トルクの低減要求
は、前記制御装置115内に入力された情報から演算さ
れたもの、或いは、他の制御ユニットで演算された情報
と前記制御装置115内に入力された情報とを基にして
演算されたものであっても良い。機関トルクの低減要求
を他の制御ユニットに演算させることにより、本制御装
置115の演算負荷を低減する効果が得られる。
【0024】ステップ303では、内燃機関の回転数や
燃料噴射量等の内燃機関の運転状態に関する情報に基づ
き現在の内燃機関の機関トルクを演算する。ステップ3
04では、要求された機関トルクと現在の内燃機関の機
関トルクとの大小関係や演算されている値の信頼性等に
基づいて、トルク変更の必要性を判断する。トルクの変
更が「必要なし」と判断した場合には、現状の内燃機関
の状態を維持したままフローを終了する。また、トルク
の変更が「必要あり」と判断された場合には、ステップ
305に進み、該ステップ305において、燃料供給制
御のための演算がされる。
【0025】図4は、本実施形態の内燃機関の制御装置
における燃料供給制御の制御フローチャートを示すもの
であり、前記図3の制御フローチャートのステップ30
5における燃料供給制御の具体的で詳細な制御フローチ
ャートを説明したものである。
【0026】ステップ401では、図3のステップ30
2で演算された要求された機関トルクとステップ303
で演算された現在の機関トルクとからトルク変更値を演
算する。ここで、演算される値は、要求された機関トル
クと現在の機関トルクの比であるトルク変更率でも良
い。
【0027】ステップ402では、トルク変更値と現在
の機関トルクの比から、エンジンの各気筒の爆発行程が
全気筒分経過する期間で行う燃料カット気筒数を演算す
る。トルク変更値と現在の機関トルクの比と燃料カット
気筒数の関係は、図12のように示される。実際に燃料
カットを行う場合には整数本しか実行することはできな
いが、ブロック402の演算値では、小数が出る場合は
小数を残したままで良い。
【0028】ステップ403では、演算した燃料カット
気筒数が整数が否かを判定し、整数であれば、制御フロ
ーを終了し、整数でなければ、ステップ404に進む。
ステップ404では、演算された燃料カット気筒数が整
数とならない値の場合に、該値の切り上げを行って、そ
の切り上げた数を燃料カット気筒数とする。ここでの思
想は、ステップ402の演算値より大きな整数本の燃料
カットを行うということである。
【0029】ステップ405では、図3のステップ30
2で演算された要求された機関トルクとステップ404
で演算された気筒数の燃料カットが行われたとしたとき
のトルクから目標トルクになるためのトルク補正量を演
算する。ステップ406では、トルク補正量を満たすた
めの稼動気筒における燃料噴射量を演算し、燃料を増量
する。ここで、トルク補正量を満たすために稼動気筒の
トルクを増加させる方法は、燃料供給量を増加させる以
外に、点火力を高め燃焼効率を向上させる点火時期また
はおよび噴射時期を進角する等の方策が考えられる。ま
た、トルク補正量をモータ等の外部装置により、機関ト
ルクを増加させて要求機関トルクを満たす方法もある。
【0030】図5は、本実施形態の内燃機関の制御装置
における燃料供給制御の制御フローチャートを示すもの
であり、図4の制御フローチャートのステップ406に
おける稼動気筒燃料噴射量補正の具体的で詳細な制御フ
ローチャートを説明したものである。
【0031】ステップ501では、空燃比センサの値、
燃料噴射量等により現在の燃焼状態が希薄燃焼か否かを
判定する。希薄燃焼状態と判定された場合、ステップ5
02へ進む。ステップ502では、図4のステップ40
5で演算されたトルク補正量を満足するような燃料供給
量を演算する。
【0032】図6は、6気筒の内燃機関において、要求
トルクを満たすためにステップ404で演算された燃料
カット気筒数が2気筒の場合の例を示している。一般
に、機関トルクは、燃料供給量より決定されるので、ト
ルク補正量から燃料供給量を求めることができる。内燃
機関への燃料供給量を求めることにより、1気筒当たり
の燃料増量も演算される。ここで、燃料供給量は、トル
クより演算する例を示したが、内燃機関の運転状態によ
って決定されるという思想を持つている。
【0033】ステップ503では、燃焼モード切り換え
判定を行う。内燃機関の燃焼モードは、吸気行程中に燃
料を噴射して理論空燃比で予混合気燃焼を行うストイキ
燃焼モードと、主に吸気行程中に燃料を噴射して理論空
燃比よりもリーンな空燃比で予混合燃焼を行う均質リー
ン燃焼モードと、主に圧縮行程中に燃料を噴射して均質
リーン燃焼よりもリーンな空燃比で層状燃焼を行う成層
燃焼モードがある。
【0034】例えば、内燃機関が成層燃焼モード中であ
る場合に、前記燃料増量を実行したときに燃料噴射量等
の情報からリッチ側の燃焼安定限界を超えてしまうと判
定した場合、燃料噴射時期、点火時期を変化させ均質リ
ーン燃焼モードに切り換える。このことにより、燃料を
増量した場合の燃焼安定限界を更に広げ、トルク変更代
を大きくすることが可能となる。ステップ505では、
前記燃料増量を行ったときに燃料噴射量等の情報から機
関のリッチ側の燃焼安定限界を超えてしまうと判定した
場合、燃料噴射量を制限し、燃焼安定限界を超えないよ
うにする。
【0035】図7は、本発明の第二の実施形態の内燃機
関の制御装置の制御フローチャートを示すものであり、
図4の第一の実施形態の燃料供給制御の制御フローを一
部変更したものである。ステップ701(401)で
は、図3のステップ302で演算された要求された機関
トルクとステップ303で演算された現在の機関トルク
からトルク変更値を演算する。ステップ702(40
2)では、トルク変更値と現在の機関トルクの比から燃
料をカットする気筒数の演算(概算)する。演算(概
算)された燃料カット気筒数が整数とならない場合は、
ステップ704に進む。ステップ704では、ステップ
702(402)で演算された燃料カット気筒数を切り
上げるか切り下げるかを選択する。
【0036】ステップ705(404)とステップ70
6とでは、演算された燃料カット気筒数が整数とならな
い値の切り上げもしくは切り下げを行って、その切り上
げもしくは切り下げた値を燃料カット気筒数とする。ス
テップ707では、図3のステップ302で演算された
要求された機関トルクと、ステップ705(404)あ
るいはステップ706で演算された気筒数の燃料カット
が行われた場合のトルクから、目標トルクになるための
トルク補正量を演算する。ステップ708では、トルク
補正量を満たすために稼動気筒における燃料量を演算す
る。
【0037】ステップ704では、図10に示すよう
に、ステップ702(402)で演算された燃料カット
気筒数を切り上げた場合、このままでは要求された機関
トルクを下回るので、稼動気筒における燃料噴射量を、
図5に示したように増量する。また、ステップ704
で、ステップ702(402)で演算された燃料カット
気筒数を切り下げた場合、このままでは要求された機関
トルクを上回るので、稼動気筒における燃料量を減量す
る。ここで、変更する燃料量は、燃焼状態の悪化を防ぐ
ために、図11に示されるような燃焼限界を超えないよ
うに制限を設けなければならない。また、燃料補正分を
モータ等の外部装置によるトルクに置き換えて補正する
ことも可能である。
【0038】図8は、本発明の第二の実施形態の内燃機
関の制御装置の制御フローチャートを示すものであり、
図7のステップ704における燃料カット気筒数選択演
算の具体的な第一の実施例の制御フローを示したもので
ある。ステップ801(704)では、図7のステップ
702(402)で演算された燃料カット気筒数の小数
部分が規定値以上かあるいは以下であるかを判定する。
稼動気筒における燃料噴射補正量を減らすために、規定
値以上である場合、ステップ702(402)で演算さ
れた燃料カット気筒数を切り上げた気筒数の燃料カット
を行い稼動気筒の燃料噴射量を増加させる。また、規定
値以下である場合、ステップ702(402)で演算さ
れた燃料カット気筒数を切り下げた気筒数の燃料カット
を行い稼動気筒の燃料噴射量を減少させる。規定値は、
運転状態と燃焼安定の範囲から求める。
【0039】図9は、本発明の第二の実施形態の内燃機
関の制御装置の制御フローチャートを示すものであり、
図7のステップ704における燃料カット気筒数選択演
算の具体的な第二の実施例の制御フローを示したもので
ある。ステップ901(504)では、空燃比を読み込
み、ステップ902及びステップ903では、リーン側
燃焼安定限界およびリッチ側燃焼安定限界を読み込む。
この限界は、内燃機関の状態により検索され、例えばマ
ップに基づいて演算される。
【0040】ステップ904では、ステップ901(5
04)で読み込まれた現在の空燃比と、ステップ90
2、903で演算された限界値との比較により、空燃比
変化可能代を演算する。安定した燃焼状態を得るため
に、リッチ側の変化可能代が大きい場合にはステップ9
05(705)に進み、該ステップ905(705)
で、演算された燃料カット気筒数の切り上げを行う。ま
た、リーン側の変化可能代が大きい場合にはステップ9
06(706)に進み、該ステップ906(706)
で、演算された燃料カット気筒数を切り下げた気筒数の
燃料カットを行う。ここで、ステップ904で限界値と
比較する空燃比は、目標空燃比でも良い。
【0041】また、図9の第二の実施例を図8の第一実
施例と組み合わせること、あるいは内燃機関の運転状態
により検索される、例えばステップ702(402)で
演算された燃料カット気筒数を切り上げるかもしくは切
り下げるかのどちらを選択するかを示したマップを使用
して、燃料カット気筒数の選択演算を行うことも可能で
ある。
【0042】図14は、本発明の実施形態の内燃機関の
制御装置と公知の制御装置とを、希薄燃焼を行う6気筒
内燃機関を例としてその効果を示したものである。迅速
な機関トルクの低減要求を受けたときに、公知の制御装
置の燃料カットのみでは、エンジンの各気筒の爆発行程
が全気筒分経過する期間内で、内燃機関の機関トルクの
変化は、固定された6点でしかできない。
【0043】また、トルク低減要求を受けたとき、燃料
カットを4気筒で行っている場合を考えると、図14に
示されるように、公知例と比較して本発明では、トルク
変更可能幅が大きい燃料を増量する手段と、燃料を減量
する手段と、の複数を持ち、その二つの手段を、内燃機
関の運転状態に応じて、最適に使い分けるので、運転性
や排気の悪化を極力抑えつつ、トルク変更の要求を満た
す範囲を広げることが可能である。なお、トルク変更手
段には、吸入空気量の減量を併用して実施しても良い。
【0044】以上、本発明の二つの実施形態について詳
述したが、本発明は前記実施形態に限定されるものでは
なく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱
しない範囲で、設計において種々の変更ができるもので
ある。前記実施形態においては、機関トルクの低減変更
の要求の情報発生部所については、具体的に説明してい
ないが、該発生部所は、内燃機関以外の外部からの情報
に基づくか、前記制御装置で演算された情報に基づく
か、もしくは、内燃機関以外の外部からの情報と前記制
御装置内で演算された情報とに基づくかのいずれであっ
てもよい。
【0045】
【発明の効果】以上の説明から理解されるように、本発
明に係る内燃機関の制御装置は、希薄燃焼を行う多気筒
内燃機関であって、車両の状態に応じて機関トルクの低
減要求を受けたときに、前記内燃機関のトルクを低減さ
せるトルク低減手段として、トルク変更可能幅が大きい
燃料を増量する手段と、燃料を減量する手段の複数の手
段とを持ち、その手段を内燃機関の状態に応じて最適に
使い分けることにより、運転性や排気の悪化を極力抑え
つつ、迅速なトルク変更の要求を満たすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の内燃機関の制御装置の一実施形態を示
す内燃機関の制御システムの全体構成図。
【図2】図1の内燃機関の制御装置の内部構成図。
【図3】本発明の内燃機関の制御装置の第一の実施形態
の制御フローチャート。
【図4】図3の制御フローチャートのステップ305に
おける燃料供給制御の具体的な制御フローチャート。
【図5】図4の制御フローチャートのステップ406に
おける稼動気筒燃料噴射量補正の具体的な制御フローチ
ャート。
【図6】図3の内燃機関の制御装置における気筒が6気
筒内燃機関において、要求トルクを満たすために演算さ
れた燃料カット気筒数が2気筒の場合の例を示した図。
【図7】本発明の第二の実施形態の内燃機関の制御装置
の制御フローチャートで、燃料供給制御の制御フローチ
ャート。
【図8】図7のステップ704における燃料カット気筒
数選択演算の具体的な第一の実施例の制御フローチャー
ト。
【図9】図7のステップ704における燃料カット気筒
数選択演算の具体的な第二の実施例の制御フローチャー
ト。
【図10】本発明の第二の実施形態の内燃機関の制御装
置のタイムチャート。
【図11】成層燃焼において空燃比とトルクの関係(吸
入空気量一定)を示す図。
【図12】トルク変更値と現在の機関トルクの比と、燃
料カット気筒数の関係を示す図。
【図13】理論空燃比による燃焼と成層燃焼における安
定燃焼範囲を示す図。
【図14】本発明の実施形態の内燃機関の制御装置と公
知の制御装置とを、希薄燃焼を行う6気筒内燃機関を例
として、その効果比較をした図。
【符号の説明】
101・・・吸気管 102・・・エアクリーナ 103・・・エアフローセンサ 104・・・スロットルセンサ 105・・・スロットルボディ 106・・・コレクタ 107・・・筒内噴射内燃機関 109・・・燃料ポンプ 111・・・高圧燃料ポンプ 112・・・インジェクタ 113・・・点火コイル 114・・・点火プラグ 115・・・コントロールユニット 116・・・カム角センサ 117・・・クランク角センサ 118・・・空燃比センサ 201・・・I/O LSI 203・・・MPU
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F02D 41/36 F02D 41/36 A 45/00 368 45/00 368F Fターム(参考) 3G084 AA03 AA04 BA02 BA13 BA15 BA17 DA02 EB03 EB12 FA32 3G092 AA01 AA06 AA09 AA14 AB02 BB10 CB05 DE03S EA11 EA14 FA24 HB01X HB02X HE05X 3G301 HA01 HA04 HA07 JA02 LB04 MA11 MA18 MA24 ND02 PE06A

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】希薄燃焼を行う多気筒内燃機関の制御装置
    であって、前記内燃機関の機関トルクの低減変更の要求
    がなされた場合には、所定数の気筒の燃料カットを行う
    と共に、該燃料カットを行う気筒以外の稼働気筒のトル
    クを前記要求される機関トルクになるように制御するこ
    とを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 【請求項2】前記燃料カットする気筒の数は、前記機関
    トルクの低減変更の要求度合により決定されるものであ
    ることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装
    置。
  3. 【請求項3】前記稼働気筒のトルクの制御は、前記燃料
    カットを行う気筒の数と前記要求される機関トルクとに
    基づいて増加もしくは低減するものであることを特徴と
    する請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  4. 【請求項4】前記制御装置は、機関トルクの低減変更の
    要求値と低減要求前の機関トルク値とに基づいて燃料カ
    ットする気筒数値を概算する手段と、該気筒数が整数で
    あるか否かを判定する判定手段と、該判定した気筒が整
    数でない場合に整数値としての燃料カットする気筒数を
    演算する手段と、を備えていることを特徴とする請求項
    1乃至3のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置。
  5. 【請求項5】前記燃料カットする気筒数を演算する手段
    は、気筒数値概算手段で概算された気筒数値に基づいて
    気筒数を演算するか、もしくは、検出した空燃比に基づ
    いて気筒数を演算するものであることを特徴とする請求
    項4に記載の内燃機関の制御装置。
  6. 【請求項6】前記制御装置は、前記稼動気筒のトルクを
    制御する手段を備えていることを特徴とする請求項4又
    は5に記載の内燃機関の制御装置。
  7. 【請求項7】前記稼動気筒のトルクを制御する手段は、
    前記稼動気筒の燃料供給量、燃料噴射時期、点火時期の
    少なくとも一つを変更制御させるものであることを特徴
    とする請求項6に記載の内燃機関の制御装置。
  8. 【請求項8】前記稼動気筒における燃料供給量は、空燃
    比に基づいてその供給量が制限されることを特徴とする
    請求項7に記載の内燃機関の制御装置。
  9. 【請求項9】前記少なくとも一つの気筒の燃料カットと
    前記稼動気筒のトルクの制御は、前記各気筒の爆発行程
    が全気筒分経過する期間で行うことを特徴とする請求項
    1に記載の内燃機関の制御装置
  10. 【請求項10】前記機関トルクの低減変更は、内燃機関
    以外の外部からの情報に基づいて実行されることを特徴
    とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  11. 【請求項11】前記機関トルクの低減変更は、前記制御
    装置で演算された情報に基づいて実行されることを特徴
    とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  12. 【請求項12】前記機関トルクの低減変更は、内燃機関
    以外の外部からの情報と前記制御装置内で演算された情
    報とに基づいて実行されることを特徴とする請求項1に
    記載の内燃機関の制御装置。
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