JP2002362917A - クロロシラン精製方法 - Google Patents
クロロシラン精製方法Info
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Abstract
って反応炉から排出される排ガスから、1本の蒸留塔で
高純度のジクロロシラン、トリクロロシラン及び四塩化
珪素を安定的に回収する。 【解決手段】 反応炉から排出される排ガスから得たト
リクロロシラン及び四塩化珪素を主成分とするフィード
液を蒸留塔10に通し、塔頂部よりトリクロロシラン
を、またサイドカットにより四塩化珪素をそれぞれ取り
出す。蒸留塔10の塔頂部より下の任意の中段温度Tを
温度計14により測定し、測定された中段温度Tが一定
範囲内に維持されるように、塔頂部における還流量Rを
制御する。フィード液の組成変動に伴う四塩化珪素の純
度低下が防止される。
Description
製造に伴って反応炉から排出される排ガスから高純度の
クロロシラン類を回収するクロロシラン精製方法に関す
る。
結晶は、シーメンス法と呼ばれる気相成長法により製造
された高純度の多結晶シリコンを素材として製造され
る。シーメンス法による多結晶シリコンの製造では、通
常、トリクロロシランと水素の混合ガスからなる原料ガ
スが反応炉に導入される。これにより、反応炉内で通電
加熱されたシリコン棒の表面に多結晶シリコンが気相成
長により析出される。
ロロシランの反応率が10%程度と低く、原料トリクロ
ロシランの大半が未反応のまま反応炉から排ガスとして
排出される。反応炉への供給ガスは金属不純物及びボロ
ン、リンなどの非金属不純物が極めて少ない高純度ガス
であるため、反応炉からの排ガスも副生成物は含むもの
の同様に高純度である。この高純度の排ガスから未反応
トリクロロシランを回収し、再度、反応炉へ投入するこ
とにより、多結晶シリコンの製造コストが低減されるこ
とは、良く知られている。
ンの一部が四塩化珪素に変成され、反応炉から排出され
る。この排出される四塩化珪素は、排出される未反応の
トリクロロシランと同様に高純度であり、回収できれ
ば、光ファイバー用原料などの付加価値の高い商品とな
る。よって、多結晶シリコンメーカは、高純度の多結晶
シリコンと共に、反応炉から回収された四塩化珪素も商
品として取り扱っているのが通例である。
トリクロロシラン、副生成物である四塩化珪素の他、ポ
リマーと呼ばれるSi2 HCl5 等の四塩化珪素よりも
高沸点の成分、ジクロロシラン等のトリクロロシランよ
りも低沸点の成分を含む。ジクロロシランは、トリクロ
ロシランと同様に還元反応の原料として用いることがで
きるので、回収対象として有効成分である。このような
排ガスから、目的成分であるトリクロロシラン、ジクロ
ロシラン、四塩化珪素を分離回収する場合、その純度が
重要となる。
反応炉から排出された排ガスを冷却し、凝縮された液体
のみを蒸留塔に送る方法である。排ガスの冷却温度を調
節することにより、凝縮液中からジクロロシランより沸
点の低い成分を排除することができる。このようにし
て、ジクロロシランより沸点の低い成分が排除された原
料液が生成される。この原料液を蒸留塔に通して、目的
成分であるジクロロシランとトリクロロシランの混合物
及び四塩化珪素を回収するが、その回収方法には次の2
つがある。
ジクロロシランとトリクロロシランの混合物と、その他
の成分(四塩化珪素・高沸点物)とに分離するもの、よ
り具体的には、塔頂からジクロロシランとトリクロロシ
ランの混合物を取り出し、塔底からその他の成分を取り
出す方法である。
ジクロロシランとトリクロロシランの混合物と、その他
の成分(四塩化珪素・高沸点物)とに分離することは、
第1の方法と同じである。第1の方法と異なるのは、塔
頂部と塔底部の間からサイドカットによって四塩化珪素
を取り出す点である。
頂から取り出されたジクロロシランとトリクロロシラン
の混合物は、四塩化珪素より高沸点の成分を含んでいな
いため、そのまま反応炉に投入することができる。しか
し、塔底から取り出された成分は、四塩化珪素と四塩化
珪素より高沸点の成分の混合物であるため、四塩化珪素
を回収するためには、塔底から取り出された所謂缶出液
を再度蒸留塔に通して分離しなければならない。つま
り、反応炉から排出された排ガスを冷却して得た凝縮液
からジクロロシランとトリクロロシランの混合物及び四
塩化珪素を回収するためには2本の蒸留塔が必要とな
る。その結果、1本の蒸留塔による操業と比較して設備
コスト、ランニングコストの面でコスト高となるのを避
け得ない。
カットにより、理想的には四塩化珪素のみを、塔底から
排出される四塩化珪素よりも高沸点の成分と分離して、
高純度の状態で取り出すことができる。ところが、実際
の操業では、サイドカットにより取り出される四塩化珪
素の純度が変動し、品質が安定しない。従って、第2の
方法の場合も、四塩化珪素の純度を常に一定範囲内に維
持するためには、第1の方法の場合と同様に2本の蒸留
塔が必要となり、コスト高を免れない。
ガスから、1本の蒸留塔で高純度のジクロロシランとト
リクロロシランの混合物及び四塩化珪素を安定的に回収
できるクロロシラン精製方法を提供することにある。
に、本発明者らは、サイドカットにより四塩化珪素を取
り出す第2の方法で、四塩化珪素の純度が低下する原因
及びその対策について調査検討した。その結果、以下の
事実が判明した。
では、複数のバッチ式反応炉が使用され、その複数の反
応炉間で蒸留塔が共用される。ここで、同時に反応が進
行するバッチ数、各バッチでの反応の進行状況は常時一
定になるとは限らない。このため、複数の反応炉から送
られてくる排ガスの成分、蒸留塔へ送られるフィード液
(凝縮液)の成分が変動する。具体的には、フィード液
(凝縮液)中のトリクロロシラン濃度が変動する。そし
て、フィード液(凝縮液)中のトリクロロシラン濃度が
高くなると、サイドカットにより取り出される四塩化珪
素へのトリクロロシラン混入量が多くなり、その純度が
低下する。
ロシラン、トリクロロシラン、四塩化珪素及び四塩化珪
素より高沸点の成分からなる凝縮液が中段部に供給され
る。その凝縮液は塔底部で加熱され、沸点の低いジクロ
ロシラン及びトリクロロシランは蒸気となって塔頂部か
ら排出され、凝縮器により液化される。このクロロシラ
ン液は塔頂液と呼ばれ、塔内の温度制御のために一部が
塔頂部に還流され、残りが製品クロロシランとして取り
出される。塔頂液の取り出し量Dに対する還流量Rの比
(R/D)は還流比と呼ばれている。
部から缶出液として抜き取られる。中間の沸点をもつ四
塩化珪素は、塔頂部と塔底部の間からのサイドカットに
より、また一部が塔底部から缶出液として抜き取られ
る。ちなみに、大気圧下におけるジクロロシランの沸点
は約8℃、トリクロロシランの沸点は約32℃、四塩化
珪素の沸点は約58℃、ポリマーと呼ばれる四塩化珪素
より高沸点の成分の沸点は60℃以上である。
維持するため、塔頂部の圧力が一定の条件で運転され
る。しかし、塔中段部では、温度変動が生じる。この温
度変動には、フィード液中のジクロロシラン、トリクロ
ロシラン及び四塩化珪素の組成比が影響している。
化珪素濃度が低くなった場合、その影響で中段温度Tが
下がり、サイドカットによって取り出される四塩化珪素
中のジクロロシラン及びトリクロロシランの濃度が高く
なるため、四塩化珪素の純度が低下してしまう。逆に、
フィード液中の四塩化珪素濃度が高くなると、その影響
で中段温度Tが上昇する。この場合、サイドカットによ
って取り出される四塩化珪素中のジクロロシラン及びト
リクロロシランの濃度が低くなることは問題ないが、塔
頂部から取り出されるジクロロシランとトリクロロシラ
ンの混合物中の四塩化珪素濃度が高くなることが問題に
なる。その理由は、反応炉内でのシリコンへの反応率が
ジクロロシランやトリクロロシランと比較して四塩化珪
素の方が低いためである。
Tから、サイドカットにより取り出される四塩化珪素中
のジクロロシラン及びトリクロロシランの濃度を推定で
き、その中段温度Tを操作することにより、四塩化珪素
中のジクロロシラン及びトリクロロシランの濃度を制御
できる。そして、蒸留塔の中段温度Tは、前述した塔頂
液の還流量Rの増減により操作できる。なぜなら、塔頂
液は低沸点のジクロロシラン及びトリクロロシランが液
化したものであるため、この塔頂液の還流量Rを増加さ
せることにより、塔内のジクロロシラン及びトリクロロ
シランの濃度が上昇し、中段温度Tが低下する。逆に、
塔頂液の還流量Rを減少させることにより、塔内のジク
ロロシラン及びトリクロロシランの濃度が低下し、中段
温度Tは上昇する。
知見に基づいて完成されたものであり、気相成長法によ
る多結晶シリコンの製造に伴って反応炉から排出される
排ガスから得たトリクロロシラン及び四塩化珪素を主成
分とする液体を蒸留塔に通し、塔頂部よりトリクロロシ
ランを、またサイドカットにより四塩化珪素をそれぞれ
取り出すクロロシラン精製方法において、前記蒸留塔の
塔頂部より下の任意の中段温度Tを測定し、測定された
中段温度Tが一定範囲内に維持されるように、前記塔頂
部における還流量Rを制御することにより、複数の蒸留
塔を使用することなく前記四塩化珪素の純度を一定範囲
内で安定的に維持することができる。
合は前記還流量Rを増加させ、前記中段温度Tが低下し
た場合は前記還流量Rを減少させることにより、中段温
度Tを一定範囲内に維持することができる。
基づいて説明する。図1は本発明の1実施形態を説明す
るための蒸留塔の構成図である。
シリコンの製造に使用される複数の反応炉から排出され
た排ガスを冷却して得た凝集液が、フィード液として蒸
留塔10の中段部に供給される。排ガスの冷却温度を調
整することにより、凝縮液中からジクロロシランより沸
点の低い成分は排除され、その凝縮液は、回収対象成分
であるジクロロシラン、トリクロロシラン及び四塩化珪
素と、ポリマーと呼ばれるSi2 HCl5 等の四塩化珪
素よりも高沸点の成分とからなる。
蒸発缶11により加熱される。沸点の低いジクロロシラ
ン及びトリクロロシランは、蒸気となって塔頂部から排
出され、凝縮器12により液化されて高純度のジクロロ
シランとトリクロロシランの混合液(塔頂液)となる。
この塔頂液は、一部が塔頂部に還流され、残りが製品と
して多結晶シリコンの製造に使用される。塔頂液の取り
出し量Dに対する還流量Rの比(R/D)が還流比と呼
ばれることは前述したとおりである。
沸点の成分(ポリマー)と一部の四塩化珪素が缶出液と
して抜き取られる。また、中間沸点の四塩化珪素は、塔
頂部と塔底部の間からサイドカットにより製品として抜
き出される。
塔頂部における塔内温度(塔頂温度To)が第1の温度
計13により測定される。また、塔頂部と塔底部の間の
任意位置おける塔内温度(中段温度T)が第2の温度計
14により測定される。塔頂温度Toは一定である。そ
の理由は、凝縮器12の冷却水量を調整し、蒸留塔10
の塔頂圧力を一定に維持しているからである。中段温度
Tは塔頂温度Toより高く、フィード液の組成による影
響を受けて変動する。すなわち、フィード液の組成が変
わると、塔中段における組成が変化し、中段温度Tが変
化すると共に、塔頂部と塔底部の間からサイドカットに
より抜き取られる四塩化珪素の純度が変わる。
温度Toの差ΔT(=T−To)を求め、この差ΔTが
所定範囲内に維持されるように、塔頂液の還流量Rを制
御する。塔頂温度Toは一定であるから、中段温度Tの
変動がこの差ΔTに現れることになり、この差ΔTを所
定範囲内に維持することにより、フィード液の組成変動
の影響を受けることなく、塔頂部と塔底部の間からサイ
ドカットにより抜き取られる四塩化珪素の純度が一定範
囲内に維持される。その理由は前述したとおである。
の間であればよく、特にそのレベルを問うものではない
が、あまりに塔底部に近いと、還流量Rの変化による温
度変化が遅くなり、制御が困難となる。このため、中段
温度Tの測定位置はサイドカットの段以上が望ましく、
ここではフィード段の位置とした。
Tの経時的な変動を示している。ここにおける塔頂温度
Toは約60℃である。本実施形態のクロロシラン精製
方法では、例えばこの差ΔTが図中に破線で示す3℃以
内に維持されるように、還流量Rが操作される。この温
度差制御を行なった場合と行なわなかった場合につい
て、フィード液、塔頂回収液及びサイドカット回収液の
各組成を調査した結果を表1に示す。
ジクロロシランを含む。即ち、TCSはジクロロシラン
とトリツロロシランの混合物である。STCは四塩化珪
素である。ポリマーは四塩化珪素より高沸点の成分であ
る。塔頂回収液はTCSであり、その組成はTCS中の
STC濃度である。サイドカット回収液はSTCであ
り、その組成はSTC中のTCS濃度及びポリマー濃度
である。塔頂回収液(TCS)の評価基準はSTC濃度
で0.5モル%以下、サイドカット回収液(STC)の
評価基準はTCS濃度で2.0モル%以下、ポリマー濃
度で0.5モル%以下とした。濃度測定にはガスクロマ
トグラフィを用いた。
変動は顕著である。温度差制御を行なわない場合、塔頂
部から回収されるジクロロシランとトリクロロシランの
混合物中の不純物濃度は基準値以下に維持されるが、塔
頂部と塔底部の間からサイドカットにより取り出される
四塩化珪素中の不純物濃度は、フィード液中のジクロロ
シラン及びトリクロロシランの濃度が高くなった場合に
基準値を超える。しかしながら、温度差制御を行なった
場合は、塔頂部から回収されるジクロロシランとトリク
ロロシランの混合物中の不純物濃度が基準値以下に維持
されるのは勿論のこと、塔頂部と塔底部の間からサイド
カットにより取り出される四塩化珪素中の不純物濃度
も、フィード液中のジクロロシラン及びトリクロロシラ
ンの濃度に関係なく基準値以下に維持される。
シラン精製方法は、反応炉から排出される排ガスから、
1本の蒸留塔で高純度のジクロロシランとトリクロロシ
ランの混合物、及び高純度の四塩化珪素を安定的に回収
できる。2本の蒸留塔を必要とした従来に比べて、設備
コスト及びランニングコストを半減でき、トラブル発生
の可能性も半減することから、製品コストに及ぼす効果
は多大である。
構成図である。
変動を示すグラフである。
Claims (2)
- 【請求項1】 気相成長法による多結晶シリコンの製造
に伴って反応炉から排出される排ガスから得たトリクロ
ロシラン、ジクロロシラン及び四塩化珪素を含む液体を
蒸留塔に通し、塔頂部よりトリクロロシランとジクロロ
シランの混合物を、またサイドカットにより四塩化珪素
をそれぞれ取り出すクロロシラン精製方法において、前
記蒸留塔の塔頂部より下の任意の中段温度Tを測定し、
測定された中段温度Tが一定範囲内に維持されるよう
に、前記塔頂部における還流量Rを制御することを特徴
とするクロロシラン精製方法。 - 【請求項2】 前記中段温度Tが上昇した場合は前記還
流量Rを増加させ、前記中段温度Tが低下した場合は前
記還流量Rを減少させることを特徴とする請求項1に記
載のクロロシラン精製方法。
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JP2001172663A JP3584218B2 (ja) | 2001-06-07 | 2001-06-07 | クロロシラン精製方法 |
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JP3584218B2 JP3584218B2 (ja) | 2004-11-04 |
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